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課題

本発明はエスゾピクロンを含有する錠剤について、有効成分の安定性と含量均一性、更には製造性およびコスト面で優れた錠剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。

解決手段

エスゾピクロン、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有し、軽質無水ケイ酸を含まないエスゾピクロン含有錠とすることで、安価で製造性に優れ、エスゾピクロンの良好な含量均一性および不純物量の少ない錠剤とすることができる。

概要

背景

ベンゾジアゼピン系の薬剤であるエスゾピクロンは、γ−アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid:GABA受容体作動薬としてGABA受容体イオンチャンネル型であるGABAA受容体複合体に結合することにより、GABAの効果を増強し、催眠作用を誘発すると考えられている。エスゾピクロンは不眠症主症状である入障害および中途覚醒のいずれにも有効であり、臨床的に問題となる依存性や持ち越し効果は認められず、長期に投与した場合による耐性(有効性減弱)を示さない等、注意すべき副作用リスクが少ない睡眠薬として開発され、日本では2012年に発売された。(非特許文献1)

一方、エスゾピクロンを含有する錠剤は、保存中に酸化および加水分解等の反応により、種々の分解物が生ずる(非特許文献2)。そのため、エスゾピクロンを安全に服用できる医薬品として医療に供するには、錠剤中で経時的に増加する不純物を可能な限り低減することが求められる。また、エスゾピクロンは薬理活性が高いため、市販されている錠剤中の薬物含量は1mg、2mgおよび3mgと非常に少ない。このような低含量の成分を錠剤化する場合は、個々の錠剤に含まれる主薬(有効成分)が不均一になり易いという問題も生ずる。従って、個々の錠剤中に含まれるエスゾピクロン含量を均一にすることも、安定した治療効果を得るために重要となる。

エスゾピクロンを含有する錠剤は既に知られており、特許文献1には、質量200mgの素錠フィルム層を含まない錠剤)中にエスゾピクロンを各々0.5mg、1mg、2mgおよび3mgを含有する4種類の錠剤が開示されている。これらの錠剤は、錠剤化のプロセスにおいて水を溶媒として用いた湿式法で製造されている。また、添加剤として、乳糖トウモロコシデンプン部分α化デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含んでいることが示されているが、これらの錠剤の安定性および製剤均一性に関するデータは全く示されていない。

また、特許文献2には、質量100mgの素錠中にエスゾピクロンを3mg含有する錠剤が開示されている。これらは、製造工程中に水を用いない直接打錠法で製造されており、錠剤中には添加剤として、固体酸結晶セルロース無水リン酸水素カルシウム軽質無水ケイ酸クロスカルメロース、ステアリン酸マグネシウムを含んでいることが示されている。しかし、このエスゾピクロン含有錠は、エスゾピクロンの溶解特性をpH非依存性とし、消化管吸収における食事の影響を小さくすることを目的とするものであり、エスゾピクロンの安定性や製剤均一性に関するデータは示されていない。

また、非特許文献1には、質量104.5mgの錠剤中にエスゾピクロンを各々1mg、2mgおよび3mg含有する市販製品が開示されている。例えば、エスゾピクロンを1mg含む錠剤には、添加剤としてクロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン乳糖水和物ヒプロメロースマクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。またエスゾピクロンを2mg含む錠剤には添加剤として、黄色三二酸化鉄、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。さらにエスゾピクロンを3mg含む錠剤には添加剤として、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。しかし、これら3種類の錠剤の各成分の分量や製造方法は示されておらず、安定性および製剤均一性に関する具体的な数値も示されていない。

一方、特許文献3には、質量103mgの錠剤中にエスゾピクロンを各々1mg、2mgおよび3mgを含有する9種類の錠剤が開示され、これらは錠剤化プロセスにおいて、水分を全く用いない直接圧縮打錠法で製造されている。例えばエスゾピクロンを1mg含む錠剤の試料3Aと3mg含む試料3Bには、素錠成分(フィルムコーティング成分を除いた錠剤)として、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムが含まれている。またエスゾピクロンを1mg含む試料4Aと、3mg含む試料4Bの素錠成分には結晶セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムが含まれている。更に、エスゾピクロンを1mg含む試料5Aと試料6A、2mg含む試料6B、3mg含む試料5Bおよび試料6Cの素錠成分には、MicroceLacTM100(乳糖水和物と結晶セルロースを3:1の割合でスプレードライした造粒物)、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを含むことが開示されている。

また特許文献3には、9種類のエスゾピクロン含有錠と市販のエスゾピクロン含有錠との安定性を比較したデータが開示されている。例えば40℃75%の相対湿度の保存下において、市販製剤の1mg錠より、試料5Aと試料6Aは不純物生成量が抑制された。また、市販製剤の3mg錠より、試料5Bと試料6Cは不純物生成量が抑制された。

不純物生成量が抑制された試料5A、試料6A、試料5Bおよび試料6Cは、市販製剤と比較して、リン酸水素カルシウムと軽質無水ケイ酸を含まず、乳糖水和物と結晶セルロースからなる造粒粒子(MicroceLacTM)を含んでいるのが特徴であった。

一方、不純物生成量が多かった、試料4Aと試料4Bの素錠には、乳糖水和物が含まれておらず、結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸が含まれている。同様に、不純物生成量が多かった試料3Aおよび試料3Bの素錠にも、乳糖水和物が含まれておらず、軽質無水ケイ酸およびリン酸水素カルシウムが含まれている。

また、特許文献3の試験例2には、エスゾピクロンと各種添加剤との配合試験の結果が開示され、エスゾピクロンとの配合により不純物生成量を増加させる成分として、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸および特定の粒度に調節した結晶セルロース(Avicel PH102、平均粒子径が約90μm)が示されている。

このように、特許文献3におけるエスゾピクロン含有錠の不純物生成量を抑制する技術は、素錠成分中に乳糖水和物あるいは乳糖水和物と結晶セルロースからなる造粒粒子の配合は好ましいが、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸および平均粒子径が約90μmの結晶セルロースの配合は好ましくないことが示唆される。しかし、これ以外のエスゾピクロンの安定性に係る技術的要件や、錠剤中のエスゾピクロンの含量均一性および錠剤の製造性等に関しては、何れも示していない。

例えば、特許文献3には、エスゾピクロンの好ましい粒子径が例示されているが、この粒子径のエスゾピクロン含有錠の安定性との関係、更にはエスゾピクロンの錠剤中の含量均一性や製造性にどのような影響があるのか全く示されていない。

また、特許文献3には、エスゾピクロンを含有する錠剤中に存在する水分の好ましい量(8%以下)が例示されているが、開示された全ての錠剤の水分量が8%以下であること、また、不純物の増加と錠剤中水分量の変化との関連性も示されていない。

概要

本発明はエスゾピクロンを含有する錠剤について、有効成分の安定性と含量均一性、更には製造性およびコスト面で優れた錠剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。エスゾピクロン、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有し、軽質無水ケイ酸を含まないエスゾピクロン含有錠とすることで、安価で製造性に優れ、エスゾピクロンの良好な含量均一性および不純物量の少ない錠剤とすることができる。なし

目的

しかし、このエスゾピクロン含有錠は、エスゾピクロンの溶解特性をpH非依存性とし、消化管吸収における食事の影響を小さくすることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

エスゾピクロン結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有し、軽質無水ケイ酸を含まないことを特徴とするエスゾピクロン含有錠。

請求項2

レーザー回折散乱法により測定した際の結晶セルロースの平均粒子径が70〜110μm、無水リン酸水素カルシウムの平均粒子径が120〜180μmであることを特徴とする、請求項1に記載のエスゾピクロン含有錠。

請求項3

錠剤全重量に対してエスゾピクロンの含有量が0.5〜5重量%、結晶セルロースの含有量が40〜85重量%、および無水リン酸水素カルシウムの含有量が10〜55重量%であることを特徴とする、請求項1または2に記載のエスゾピクロン含有錠。

請求項4

苛酷条件下で1箇月間保存した時に、生成する不純物の総量が0.4%以下であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のエスゾピクロン含有錠。

請求項5

第17改正日本薬局方に基づいて製剤均一性を求める時、判定値が7.5以下であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のエスゾピクロン含有錠。

請求項6

錠剤を製造するプロセスにおいて、湿式造粒工程を含まないことを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のエスゾピクロン含有錠の製造方法。

請求項7

直接打錠法により錠剤化することを特徴とする、請求項6に記載のエスゾピクロン含有錠の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、有効成分が不安定で、なおかつ低含量の医薬品であるエスゾピクロン含有錠において、経時的に増加する不純物量の低減および有効成分の含量均一性(製剤均一性)、更には製造性およびコスト面で優れた錠剤組成物とその製造方法に関する。

背景技術

0002

ベンゾジアゼピン系の薬剤であるエスゾピクロンは、γ−アミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid:GABA受容体作動薬としてGABA受容体イオンチャンネル型であるGABAA受容体複合体に結合することにより、GABAの効果を増強し、催眠作用を誘発すると考えられている。エスゾピクロンは不眠症主症状である入障害および中途覚醒のいずれにも有効であり、臨床的に問題となる依存性や持ち越し効果は認められず、長期に投与した場合による耐性(有効性減弱)を示さない等、注意すべき副作用リスクが少ない睡眠薬として開発され、日本では2012年に発売された。(非特許文献1)

0003

一方、エスゾピクロンを含有する錠剤は、保存中に酸化および加水分解等の反応により、種々の分解物が生ずる(非特許文献2)。そのため、エスゾピクロンを安全に服用できる医薬品として医療に供するには、錠剤中で経時的に増加する不純物を可能な限り低減することが求められる。また、エスゾピクロンは薬理活性が高いため、市販されている錠剤中の薬物含量は1mg、2mgおよび3mgと非常に少ない。このような低含量の成分を錠剤化する場合は、個々の錠剤に含まれる主薬(有効成分)が不均一になり易いという問題も生ずる。従って、個々の錠剤中に含まれるエスゾピクロン含量を均一にすることも、安定した治療効果を得るために重要となる。

0004

エスゾピクロンを含有する錠剤は既に知られており、特許文献1には、質量200mgの素錠フィルム層を含まない錠剤)中にエスゾピクロンを各々0.5mg、1mg、2mgおよび3mgを含有する4種類の錠剤が開示されている。これらの錠剤は、錠剤化のプロセスにおいて水を溶媒として用いた湿式法で製造されている。また、添加剤として、乳糖トウモロコシデンプン部分α化デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含んでいることが示されているが、これらの錠剤の安定性および製剤均一性に関するデータは全く示されていない。

0005

また、特許文献2には、質量100mgの素錠中にエスゾピクロンを3mg含有する錠剤が開示されている。これらは、製造工程中に水を用いない直接打錠法で製造されており、錠剤中には添加剤として、固体酸結晶セルロース無水リン酸水素カルシウム軽質無水ケイ酸クロスカルメロース、ステアリン酸マグネシウムを含んでいることが示されている。しかし、このエスゾピクロン含有錠は、エスゾピクロンの溶解特性をpH非依存性とし、消化管吸収における食事の影響を小さくすることを目的とするものであり、エスゾピクロンの安定性や製剤均一性に関するデータは示されていない。

0006

また、非特許文献1には、質量104.5mgの錠剤中にエスゾピクロンを各々1mg、2mgおよび3mg含有する市販製品が開示されている。例えば、エスゾピクロンを1mg含む錠剤には、添加剤としてクロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン乳糖水和物ヒプロメロースマクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。またエスゾピクロンを2mg含む錠剤には添加剤として、黄色三二酸化鉄、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。さらにエスゾピクロンを3mg含む錠剤には添加剤として、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、酸化チタン、三二酸化鉄、ステアリン酸マグネシウム、トリアセチン、乳糖水和物、ヒプロメロース、マクロゴール4000、無水リン酸水素カルシウムが含まれている。しかし、これら3種類の錠剤の各成分の分量や製造方法は示されておらず、安定性および製剤均一性に関する具体的な数値も示されていない。

0007

一方、特許文献3には、質量103mgの錠剤中にエスゾピクロンを各々1mg、2mgおよび3mgを含有する9種類の錠剤が開示され、これらは錠剤化プロセスにおいて、水分を全く用いない直接圧縮打錠法で製造されている。例えばエスゾピクロンを1mg含む錠剤の試料3Aと3mg含む試料3Bには、素錠成分(フィルムコーティング成分を除いた錠剤)として、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムが含まれている。またエスゾピクロンを1mg含む試料4Aと、3mg含む試料4Bの素錠成分には結晶セルロース、マンニトール、クロスカルメロースナトリウム、軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムが含まれている。更に、エスゾピクロンを1mg含む試料5Aと試料6A、2mg含む試料6B、3mg含む試料5Bおよび試料6Cの素錠成分には、MicroceLacTM100(乳糖水和物と結晶セルロースを3:1の割合でスプレードライした造粒物)、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを含むことが開示されている。

0008

また特許文献3には、9種類のエスゾピクロン含有錠と市販のエスゾピクロン含有錠との安定性を比較したデータが開示されている。例えば40℃75%の相対湿度の保存下において、市販製剤の1mg錠より、試料5Aと試料6Aは不純物生成量が抑制された。また、市販製剤の3mg錠より、試料5Bと試料6Cは不純物生成量が抑制された。

0009

不純物生成量が抑制された試料5A、試料6A、試料5Bおよび試料6Cは、市販製剤と比較して、リン酸水素カルシウムと軽質無水ケイ酸を含まず、乳糖水和物と結晶セルロースからなる造粒粒子(MicroceLacTM)を含んでいるのが特徴であった。

0010

一方、不純物生成量が多かった、試料4Aと試料4Bの素錠には、乳糖水和物が含まれておらず、結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸が含まれている。同様に、不純物生成量が多かった試料3Aおよび試料3Bの素錠にも、乳糖水和物が含まれておらず、軽質無水ケイ酸およびリン酸水素カルシウムが含まれている。

0011

また、特許文献3の試験例2には、エスゾピクロンと各種添加剤との配合試験の結果が開示され、エスゾピクロンとの配合により不純物生成量を増加させる成分として、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸および特定の粒度に調節した結晶セルロース(Avicel PH102、平均粒子径が約90μm)が示されている。

0012

このように、特許文献3におけるエスゾピクロン含有錠の不純物生成量を抑制する技術は、素錠成分中に乳糖水和物あるいは乳糖水和物と結晶セルロースからなる造粒粒子の配合は好ましいが、リン酸水素カルシウム、軽質無水ケイ酸および平均粒子径が約90μmの結晶セルロースの配合は好ましくないことが示唆される。しかし、これ以外のエスゾピクロンの安定性に係る技術的要件や、錠剤中のエスゾピクロンの含量均一性および錠剤の製造性等に関しては、何れも示していない。

0013

例えば、特許文献3には、エスゾピクロンの好ましい粒子径が例示されているが、この粒子径のエスゾピクロン含有錠の安定性との関係、更にはエスゾピクロンの錠剤中の含量均一性や製造性にどのような影響があるのか全く示されていない。

0014

また、特許文献3には、エスゾピクロンを含有する錠剤中に存在する水分の好ましい量(8%以下)が例示されているが、開示された全ての錠剤の水分量が8%以下であること、また、不純物の増加と錠剤中水分量の変化との関連性も示されていない。

0015

特開2012−10137号公報
特許第5628910号公報
US2009/0269409 A1

先行技術

0016

医薬品インタビューフォームルネスタ錠 2017年3月改訂(改訂第7版)
Kabeer Shaikh, Ashish Patil and Sandeep Gite, Stability -Indicating LC-UV Method for the Determination of Eszopiclone and Degradation Impurities in Tablet Dosage Form; Journal of Chromatographic Science 2014; 52: 293-297

発明が解決しようとする課題

0017

エスゾピクロンは不安定な化合物であり、水分の存在下で加水分解が生ずるため、錠剤を製造する各プロセスにおいて、水分を用いない乾式造粒法や直接打錠法を選択するのが適切であり、特に直接打錠法が最も簡便で安価な方法であり好ましい。一方、エスゾピクロンのような薬理活性の高い低含量医薬品を直接打錠法で錠剤化する場合は、一般的に錠剤中の各成分の含量均一性を高めることが困難であり、流動性分散性の良好な添加剤を使用する等の工夫が必要となる。

0018

直接打錠法において、流動性が良好な添加剤として汎用される成分は、軽質無水ケイ酸および造粒等により粒子径を調節した乳糖、マンニトール、無水リン酸水素カルシウム、結晶セルロース等であるが、特許文献3には、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウムおよび結晶セルロース等の成分はエスゾピクロンの分解物を増加させるため、好ましくないことが示される。

0019

そこで、本発明はエスゾピクロンを含有する錠剤について、有効成分の安定性と同時に製剤均一性、更には製造性およびコスト面で優れた錠剤組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0020

本発明者らは、鋭意検討を行った結果、エスゾピクロン含有錠に配合する添加剤成分の種類、その粒子径および添加量が、エスゾピクロン含有錠の安定性、製剤均一性、製造性に大きく影響することを見出し、本発明を完成させた。

0021

すなわち本発明は、不安定な有効成分を低含量有するエスゾピクロン含有錠について、製造性(打錠障害および流動性)の改善に一般的に用いられる軽質無水ケイ酸が、エスゾピクロンの不純物の増加に影響を及ぼすため、当該添加剤を使用せずに、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを使用することにより、不純物量が少なく、安価で良好な製造性および製剤均一性を有する錠剤を提供するものである。更に、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを特定の粒子径および配合量とすることや、直接打錠法によって製造することにより、不純物量が少なく、安価で良好な製造性および製剤均一性を有する錠剤を提供するものである。

0022

本発明は、以下の発明を含む。
(1)エスゾピクロン、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有し、軽質無水ケイ酸を含まないことを特徴とするエスゾピクロン含有錠。
(2)レーザー回折散乱法により測定した際の結晶セルロースの平均粒子径が70〜110μm、無水リン酸水素カルシウムの平均粒子径が120〜180μmであることを特徴とする、(1)に記載のエスゾピクロン含有錠。
(3)錠剤の全重量に対してエスゾピクロンの含有量が0.5〜5重量%、結晶セルロースの含有量が40〜85重量%、および無水リン酸水素カルシウムの含有量が10〜55重量%であることを特徴とする、(1)または(2)に記載のエスゾピクロン含有錠。
(4)苛酷条件下で1箇月間保存した時に、生成する不純物の総量が0.4%以下であることを特徴とする、(1)から(3)のいずれか1つに記載のエスゾピクロン含有錠。
(5)第17改正日本薬局方に基づいて製剤均一性を求める時、判定値が7.5以下であることを特徴とする、(1)から(4)のいずれか1つに記載のエスゾピクロン含有錠。
(6)錠剤を製造するプロセスにおいて、湿式造粒工程を含まないことを特徴とする、(1)から(5)のいずれか1つに記載のエスゾピクロン含有錠の製造方法。
(7)直接打錠法により錠剤化することを特徴とする、(6)に記載のエスゾピクロン含有錠の製造方法。

発明の効果

0023

本発明によると、安定性と製剤均一性の良好なエスゾピクロン含有錠剤が得られるため、医薬品の流通過程医療機関および患者が服用するまでの様々な保存環境下においても、高純度で安全性が高く、薬効も均一なエスゾピクロン錠を提供することができる。また、本発明において、特殊な生産設備や高価な添加剤を用いないため、安価な製造方法が提供できる。

0024

以下、本発明に係るエスゾピクロン含有錠について説明する。ただし、本発明のエスゾピクロン含有錠は、以下に示す実施の形態および実施例の記載内容に限定されるものではない。

0025

本発明において、水を用いた湿式造粒法とは、当該分野において周知の技術であり、例えば、粒度やカサ密度の異なる複数の成分を用いて錠剤化する場合において、それらの成分を水または結合剤を含む水溶液と共に、造粒装置撹拌造粒機流動層造粒装置等)で造粒する製造方法のことであり、湿式造粒プロセスにより、錠剤化に適した、各成分が均一で流動性が良好な粒子が得られる。

0026

本発明において、乾式造粒法とは、当該分野において周知の技術であり、例えば、粒度やカサ密度の異なる複数の成分を用いて錠剤化する場合において、水および水以外の溶媒も全く用いずに混合し、この混合物を回転する2本のローラーで薄い板状に圧縮成形するか、またはスラッグマシン等で任意の形状に圧縮成形し、得られた圧縮成形物を、破砕造粒装置等を用いて任意の粒度に調節する製造方法のことであり、乾式造粒プロセスにより錠剤化に適した、各成分が均一で流動性が良好な粒子が得られる。

0027

本発明において、直接打錠法とは、当該分野において周知の技術であり、例えば、錠剤を構成する各成分を造粒せずにそのまま混合し、この混合物(打錠用粒子)を圧縮成形し錠剤化する方法のことである。打錠用粒子の流動性と製剤均一性を確保するためには、混合する粒子同士の粒度やカサ密度の管理が重要となる。

0028

本発明に係るエスゾピクロン含有錠は、エスゾピクロン、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有する。本発明に係る錠剤は、内服用錠剤ならば特に制限はなく、例えば、素錠、コーティング錠糖衣錠、フィルムコーティング(FC)錠、腸溶錠)、口腔内崩壊錠などが含まれる。本発明において、エスゾピクロン含有錠中のエスゾピクロンの含有量は、例えば、1錠あたり1mg、2mgまたは3mgである。エスゾピクロンの含有量は錠剤の全重量に対して0.5〜5重量%であることが好ましく、1〜3重量%であることが更に好ましい。

0029

本発明において、平均粒子径とは、レーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径を意味する。

0030

本発明において、苛酷条件下とは、60℃、成り行き湿度での保存条件下を意味する。

0031

本発明に係る結晶セルロースの平均粒子径は200μm以下であり、好ましくは50〜150μmであり、より好ましくは70〜110μmである。結晶セルロースの含有量は錠剤の全重量に対して40〜85重量%であることが好ましく、45〜80重量%であることが更に好ましい。

0032

本発明に係る無水リン酸水素カルシウムの平均粒子径は300μm以下であり、好ましくは、100〜250μmであり、より好ましくは120〜180μmである。無水リン酸水素カルシウムの含有量は錠剤の全重量に対して10〜55重量%であることが好ましく、15〜50重量%であることが更に好ましい。

0033

本発明に係るエスゾピクロン含有錠は、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウム以外にも、軽質無水ケイ酸以外の種々の添加剤を含有しても良い。添加剤としては、例えば、賦形剤崩壊剤、結合剤、滑沢剤およびコーティング剤などが挙げられる。

0034

(賦形剤)
本発明に係るエスゾピクロン含有錠において、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウム以外の成分を賦形剤として添加することも可能であり、例えば、マンニトール、エリスリトールソルビトールおよびキシリトールなどの糖アルコールトレハロースショ糖炭酸カルシウムなどを単体または適宜組み合わせて使用することができる。但し、軽質無水ケイ酸は使用しない。

0035

(崩壊剤)
本発明に係るエスゾピクロン含有錠において、崩壊剤は特に限定されず、カルメロースカルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースクロスポビドン等を単体または適宜組み合わせて使用することができる。但し、軽質無水ケイ酸は使用しない。本発明においてはクロスカルメロースナトリウムが特に好ましい。

0036

(結合剤)
本発明に係るエスゾピクロン含有錠において、結合剤は、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースヒドロキシプロピルメチルセルロースポリビニルピロリドンポリビニルアルコールマクロゴールおよび上記に賦形剤として示した化合物等から選択することができる。これらの結合剤は、単体または適宜組み合わせて使用することができる。

0037

(滑沢剤)
本発明に係るエスゾピクロン含有錠において、滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ステアリン酸カルシウムフマル酸ステアリルナトリウムタルク水素添加植物油マイクロクリスタリンワックスショ糖脂肪酸エステルポリエチレングリコール等から選択することができる。これらの滑沢剤は、単体または適宜組み合わせて使用することができる。本発明においてはステアリン酸マグネシウムが好ましい。

0038

(コーティング剤)
本発明に係るエスゾピクロン含有製剤は、コーティング剤を含有してもよく、医薬用途使用可能なコーティング剤であればよい。例えば、ヒプロメロース、ポリビニルアルコール、エチルセルロースカルボキシメチルエチルセルロース、カルメロース、カルメロースナトリウムヒドロキシエチルセルロースヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVコポリマーアクリル酸エチルメタクリル酸メチルコポリマー分散液アミノアルキルメタクリレートコポリマーオパドライカルナウバロウヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネートヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートメタクリル酸コポリマー等が挙げられる。但し、軽質無水ケイ酸は使用しない。また、遮光剤着色剤等の成分を添加しても良い。

0039

以上説明したように、本発明に係るエスゾピクロン含有錠は、エスゾピクロン、結晶セルロースおよび無水リン酸水素カルシウムを含有し、軽質無水ケイ酸を含まないことにより、錠剤中のエスゾピクロンの含量均一性および不純物の生成が少ない安定性に優れる錠剤が得られる。特に、平均粒子径が80〜100μmの結晶セルロース、平均粒子径が130〜170μmの無水リン酸水素カルシウムおよび任意の添加剤を混合するという簡単な方法で製剤均一性および流動性の良好な打錠用粒子が得られ、この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形することにより、錠剤中のエスゾピクロンの含量均一性および不純物の生成が少ない安定性に優れる錠剤が得られる。

0040

次に実施例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限られるものではない。

0041

[実施例1]
エスゾピクロン3g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム51g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース234gおよびクロスカルメロースナトリウム9gからなる混合物を1.2mmのスクリーンを装着した解砕機解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム3gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000および酸化チタンからなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0042

[実施例2]
エスゾピクロン6g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム48g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース234gおよびクロスカルメロースナトリウム9gからなる混合物を1.2mmのスクリーンを装着した解砕機で解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム3gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタンおよび黄色三二酸化鉄からなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0043

[実施例3]
エスゾピクロン9g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム45g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース234gおよびクロスカルメロースナトリウム9gからなる混合物を1.2mmのスクリーンを装着した解砕機で解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム3gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタンおよび三二酸化鉄からなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0044

[実施例4]
エスゾピクロン9g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム150g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース135gおよびクロスカルメロースナトリウム3gからなる混合物を1.2mmのスクリーンを装着した解砕機で解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム3gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000、酸化チタンおよび三二酸化鉄からなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0045

[比較例1]
エスゾピクロン3.0g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム243.9g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース45.0g、クロスカルメロースナトリウム4.5gおよび軽質無水ケイ酸0.6gからなる混合物を1.2mmのスクリーンを装着した解砕機で解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム3.0gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000および酸化チタンからなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0046

[比較例2]
エスゾピクロン4.0g、平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウム67.2g、平均粒子径が90μmの結晶セルロース312.0g、クロスカルメロースナトリウム12.0gおよび軽質無水ケイ酸0.8gからなる混合物を0.6mmのスクリーンを装着した解砕機で解砕した後、混合し、更にステアリン酸マグネシウム4.0gを加えて混合し、打錠用粒子とした。この打錠用粒子を打錠機で圧縮成形し、質量100mg、直径6.5mmの錠剤を製した。この錠剤にヒプロメロース、マクロゴール6000および酸化チタンからなる成分を被覆し、1錠104.5mgのフィルムコーティング錠とした。

0047

実験
実施例1、実施例2、実施例3および実施例4と比較例1および比較例2のフィルムコーティング錠について、打錠性、製剤均一性および安定性を比較した。製剤均一性は、各試料10錠をとり、個々の錠剤中のエスゾピクロンの含有量を液体クロマトグラム法により測定し、第17改正日本薬局方製剤総則の製剤均一性試験に基づいて、判定値と標準偏差を求めた。また、安定性に関しては、各錠剤をガラス瓶に入れて密栓し、60℃、成り行き湿度(苛酷条件下)に保存した。保存後の錠剤中の不純物の含量を、液体クロマトグラフ法により測定し、生成した不純物の総量を求めた。結果を表1に示す。

0048

実施例

0049

素錠成分中に平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウムと平均粒子径が90μmの結晶セルロースを各々50重量%以下および45重量%以上を含み、かつ軽質無水ケイ酸を含まない実施例1、実施例2、実施例3および実施例4は、打錠性、製剤均一性が良好であって、苛酷条件下での保存1箇月後においても、不純物の生成が抑制され、安定性が良好であった。一方、素錠成分中に平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウムと平均粒子径が90μmの結晶セルロースを各々約80重量%および約15重量%含み、かつ軽質無水ケイ酸を含む比較例1は、打錠性、製剤均一性および安定性が、良好ではなかった。さらに、素錠成分中に平均粒子径が150μmの無水リン酸水素カルシウムと平均粒子径が90μmの結晶セルロースを各々約17重量%および78重量%含み、かつ軽質無水ケイ酸を含む比較例2は、実施例1に比べて製剤均一性は、更に改善されていたが、安定性は低下していた。

0050

本発明により、有効成分の含量均一性および保存安定性に優れる品質の良好なエスゾピクロン含有錠が提供される。また、本発明によれば、特殊な生産設備を設けることなく、一般的な製造設備にて安価に製造することが可能なエスゾピクロン含有錠が提供される。

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