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課題
解決手段
概要
背景
イヌはヒトと同様の環境で生活し、マウスやラットなどのげっ歯類と比較して生理学的にヒトに近いことに加え、大型であり、寿命も長いことから、比較的多量の薬物や生物製剤の投与が可能であり、長期間にわたるモニターにも適していることからヒトの疾患モデル動物として重宝されてきた。また、イヌはヒトと共通のがんを自然発症し、その生物学的、組織学的特徴が似ていることから、イヌ腫瘍における治療の成果は、獣医療の発展のみでなく、人医療にも実践的な有用性を示すことができる。
現在、がんに対する治療法としては、イヌやヒトを問わず、外科療法・化学療法・放射線療法の3つが主流となっている。しかし、これらの治療法は、正常組織に対する侵襲や、後遺症、副作用などの深刻な問題を伴う。そこで近年、第4の治療法として、免疫療法が注目されている。これは生体に本来備わっている異物排除に関わる免疫反応を利用してがんの治療を行うというものである。
免疫療法のうち活性化リンパ球療法は、がん患者から採取したリンパ球を増殖因子と共に体外で培養し、その後培養したリンパ球を当該患者に繰り返し投与して弱まった免疫力を回復させ、がんと戦う力を高める治療法である。現在、ヒトの医学領域では抗Cluster of differentiation(CD)3抗体とインターロイキン(Interleukin)-2(IL−2)が最も一般的に用いられる増殖因子であり、両者はリンパ球全体の増殖を促進する。体内をめぐる血液に含まれるリンパ球のうち7割はT細胞といわれており、T細胞はがんの目印(がん抗原)を教える樹状細胞と協力してがん細胞を攻撃する。活性化リンパ球療法は、悪性腫瘍に対する副作用のほとんどない免疫療法として臨床応用されており、固形腫瘍を有する患者に対する延命効果や肝臓がんにおける術後の再発率の低下が統計的に証明されている。
一方、活性化リンパ球療法によって増殖したリンパ球の中には、樹状細胞との協力を必要とせずに自らの判断でがん細胞などの異常な細胞を識別し、これを殺傷する細胞もわずかではあるが含まれる(特許文献1、2)。本細胞は、ナチュラルキラー(Natural Killer)細胞(NK細胞)と呼ばれており、免疫反応において重要な役割を担うリンパ球系細胞の一つである。本細胞には様々な機能があるが、特にがん細胞や外部から侵入した病原菌に感染された細胞などを殺す強い活性を有しており、腫瘍化した、あるいは腫瘍化が進んでいる異常細胞を除去する役割をもつ。NK細胞はがん免疫療法で最も効果が速く、かつ効率的な免疫細胞として重要視されている。
細胞表面マーカーを指標としたNK細胞の特性として、ヒトではCD3-CD56+、マウスではCD3-CD56-の免疫表現型を有するとされているが、一方、イヌでは特有の細胞表面マーカーが未だ確定されていない。イヌのNK細胞はCD3-CD21-大顆粒リンパ球(non-T,non-B lymphocytes)とも言われているが、これに当てはまるイヌ体内のNK細胞は血液細胞の数%程度しか存在せず(非特許文献1)、これに当てはまらないものもある。
NK細胞を含むがん殺傷能力を有する細胞集団を治療用途に用いる場合には、健常な血液または患者血液からリンパ球を多量に含む末梢血単核球細胞(PBMC;peripheral blood lymphocyte)を分離した後、培養することでリンパ球を多量に増殖させることが必要となる。また、イヌではNK細胞の細胞マーカーが特定されていないので、培養されたリンパ球の全体としてがん殺傷能力が高いことが要求される。
これまで、イヌの末梢血単核球細胞を元にした細胞集団の培養方法はいくつか報告されているが、これらの方法には、支持細胞(フィーダー細胞)を使用する方法(非特許文献2,4,6〜9)と使用しない方法(非特許文献3,5)がある。
フィーダー細胞を使用する方法は、例えばBリンパ腫細胞株であるK562細胞などにサイトカイン発現遺伝子を導入したフィーダー細胞や41BBL細胞を使用する方法である。しかし、これらの方法では培養操作が煩雑で、しかもこれらのフィーダー細胞は腫瘍細胞であって、臨床適用において重要な安全性を保障するには適していない。
これに対して、フィーダー細胞を使用しない方法は臨床適用を考える上では有利である。この方法には例えばPBMCを抗CD3抗体やIL−2などの増殖因子により刺激する方法がある(非特許文献3,5)。この方法では、細胞膜上にCD3抗原を持つリンパ球が抗CD3抗体に反応し、その細胞表面にIL−2レセプターを誘導発現し、培養液中に添加されたIL−2が細胞にシグナルを与えて増殖する。
非特許文献3に記載された方法では、抗CD3抗体が固相化された抗CD3抗体固相化フラスコ中IL−2を含む培地でPBMCを培養(初代培養)した後、その後抗CD3抗体を含まず、ヒトIL−2培地を含む培地に初代培養された細胞を移植して2次培養(拡大培養)を行っている。この方法では、初代培養から拡大培養に移行する際に雑菌等が混入するリスクが高く、簡便に無菌状態下で拡大培養することは困難である。
この点、特許文献3には、培養バッグをクリッピング処理して分割した一方の内室に抗CD3抗体を固相化して初代培養を行い、次にクリッピングを解除して拡大培養を行う方法が記載されている。当該方法では、クリッピングを解除することで初代培養された細胞を移植することなく拡大培養に移行できるので、雑菌等による汚染リスクが少なく、簡便かつ安全に培養を行える。また、拡大培養後には培養バッグを点滴バッグとして直ちに利用できるという利点もある。
概要
イヌのがん免疫療法として使用するリンパ球由来の高い細胞殺傷能を有する細胞集団を、作業リスクの少ない簡便で且つ安全な方法で生産することができるより安価な方法を提供する。 好ましくは0.1ng/ml以下の抗CD3抗体を含む溶液によってほぼ内面全体に抗CD3抗体が固相化された培養バッグをクリッピングにより2以上の分室に分割し、分割された培養バッグの分室の少なくとも一つでイヌの末梢血から分離されたPBMCを培養した後、前記クリッピングを除き、前記培養バッグの内室全体でさらに培養する。
目的
本願発明は、イヌのがん免疫療法として使用するリンパ球由来の高い細胞殺傷能を有する細胞集団を、作業リスクの少ない簡便で且つ安全な方法で生産することができるより安価な方法を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
イヌの末梢血からリンパ球由来のがん殺傷能力を有する細胞集団を作製する方法であって、ほぼ内面全体に抗CD3抗体が固相化された培養バッグを用いて、前記末梢血から分離されたリンパ球を培養する工程を含む方法。
請求項2
0.1ng/ml以下の抗CD3抗体の濃度を用いて固相化された培養バッグを用いる請求項1に記載の方法。
請求項3
請求項4
前記増殖させる工程は、前記培養バッグをクリッピングにより2以上に分割されたバッグ内室の一つに前記末梢血から分離されたリンパ球を培養する第1の工程と、前記第1の工程後に前記クリッピングを解いて、前記培養バッグの拡張されたバッグ内室でさらに培養する第2の工程を有する請求項1又は2に記載の方法。
請求項5
前記第2の工程において、抗CD3抗体以外の増殖因子を含む培養液で拡大培養する請求項4に記載の方法。
請求項6
前記第1の工程において、抗CD3抗体以外の増殖因子を含む培養液で初代培養する請求項4又は5に記載の方法。
請求項7
少なくともインターロイキン−2を含む培養液で培養する請求項1〜6に記載の方法。
請求項8
前記培養液は自己血漿を含む請求項1〜7の何れか1項に記載の方法。
請求項9
請求項1〜8の何れか1項に記載の方法により製造されたイヌのリンパ球由来のがん殺傷能力を有する細胞集団。
請求項10
請求項11
ほぼ内面全体に抗CD3抗体が固相化された培養バッグの製造方法であって、0.1ng/ml以下の抗CD3抗体の溶液を培養バッグの内面と接触させる方法。
技術分野
背景技術
0002
イヌはヒトと同様の環境で生活し、マウスやラットなどのげっ歯類と比較して生理学的にヒトに近いことに加え、大型であり、寿命も長いことから、比較的多量の薬物や生物製剤の投与が可能であり、長期間にわたるモニターにも適していることからヒトの疾患モデル動物として重宝されてきた。また、イヌはヒトと共通のがんを自然発症し、その生物学的、組織学的特徴が似ていることから、イヌ腫瘍における治療の成果は、獣医療の発展のみでなく、人医療にも実践的な有用性を示すことができる。
0003
現在、がんに対する治療法としては、イヌやヒトを問わず、外科療法・化学療法・放射線療法の3つが主流となっている。しかし、これらの治療法は、正常組織に対する侵襲や、後遺症、副作用などの深刻な問題を伴う。そこで近年、第4の治療法として、免疫療法が注目されている。これは生体に本来備わっている異物排除に関わる免疫反応を利用してがんの治療を行うというものである。
0004
免疫療法のうち活性化リンパ球療法は、がん患者から採取したリンパ球を増殖因子と共に体外で培養し、その後培養したリンパ球を当該患者に繰り返し投与して弱まった免疫力を回復させ、がんと戦う力を高める治療法である。現在、ヒトの医学領域では抗Cluster of differentiation(CD)3抗体とインターロイキン(Interleukin)-2(IL−2)が最も一般的に用いられる増殖因子であり、両者はリンパ球全体の増殖を促進する。体内をめぐる血液に含まれるリンパ球のうち7割はT細胞といわれており、T細胞はがんの目印(がん抗原)を教える樹状細胞と協力してがん細胞を攻撃する。活性化リンパ球療法は、悪性腫瘍に対する副作用のほとんどない免疫療法として臨床応用されており、固形腫瘍を有する患者に対する延命効果や肝臓がんにおける術後の再発率の低下が統計的に証明されている。
0005
一方、活性化リンパ球療法によって増殖したリンパ球の中には、樹状細胞との協力を必要とせずに自らの判断でがん細胞などの異常な細胞を識別し、これを殺傷する細胞もわずかではあるが含まれる(特許文献1、2)。本細胞は、ナチュラルキラー(Natural Killer)細胞(NK細胞)と呼ばれており、免疫反応において重要な役割を担うリンパ球系細胞の一つである。本細胞には様々な機能があるが、特にがん細胞や外部から侵入した病原菌に感染された細胞などを殺す強い活性を有しており、腫瘍化した、あるいは腫瘍化が進んでいる異常細胞を除去する役割をもつ。NK細胞はがん免疫療法で最も効果が速く、かつ効率的な免疫細胞として重要視されている。
0006
細胞表面マーカーを指標としたNK細胞の特性として、ヒトではCD3-CD56+、マウスではCD3-CD56-の免疫表現型を有するとされているが、一方、イヌでは特有の細胞表面マーカーが未だ確定されていない。イヌのNK細胞はCD3-CD21-大顆粒リンパ球(non-T,non-B lymphocytes)とも言われているが、これに当てはまるイヌ体内のNK細胞は血液細胞の数%程度しか存在せず(非特許文献1)、これに当てはまらないものもある。
0007
NK細胞を含むがん殺傷能力を有する細胞集団を治療用途に用いる場合には、健常な血液または患者血液からリンパ球を多量に含む末梢血単核球細胞(PBMC;peripheral blood lymphocyte)を分離した後、培養することでリンパ球を多量に増殖させることが必要となる。また、イヌではNK細胞の細胞マーカーが特定されていないので、培養されたリンパ球の全体としてがん殺傷能力が高いことが要求される。
0008
これまで、イヌの末梢血単核球細胞を元にした細胞集団の培養方法はいくつか報告されているが、これらの方法には、支持細胞(フィーダー細胞)を使用する方法(非特許文献2,4,6〜9)と使用しない方法(非特許文献3,5)がある。
0009
フィーダー細胞を使用する方法は、例えばBリンパ腫細胞株であるK562細胞などにサイトカイン発現遺伝子を導入したフィーダー細胞や41BBL細胞を使用する方法である。しかし、これらの方法では培養操作が煩雑で、しかもこれらのフィーダー細胞は腫瘍細胞であって、臨床適用において重要な安全性を保障するには適していない。
0010
これに対して、フィーダー細胞を使用しない方法は臨床適用を考える上では有利である。この方法には例えばPBMCを抗CD3抗体やIL−2などの増殖因子により刺激する方法がある(非特許文献3,5)。この方法では、細胞膜上にCD3抗原を持つリンパ球が抗CD3抗体に反応し、その細胞表面にIL−2レセプターを誘導発現し、培養液中に添加されたIL−2が細胞にシグナルを与えて増殖する。
0011
非特許文献3に記載された方法では、抗CD3抗体が固相化された抗CD3抗体固相化フラスコ中IL−2を含む培地でPBMCを培養(初代培養)した後、その後抗CD3抗体を含まず、ヒトIL−2培地を含む培地に初代培養された細胞を移植して2次培養(拡大培養)を行っている。この方法では、初代培養から拡大培養に移行する際に雑菌等が混入するリスクが高く、簡便に無菌状態下で拡大培養することは困難である。
0012
この点、特許文献3には、培養バッグをクリッピング処理して分割した一方の内室に抗CD3抗体を固相化して初代培養を行い、次にクリッピングを解除して拡大培養を行う方法が記載されている。当該方法では、クリッピングを解除することで初代培養された細胞を移植することなく拡大培養に移行できるので、雑菌等による汚染リスクが少なく、簡便かつ安全に培養を行える。また、拡大培養後には培養バッグを点滴バッグとして直ちに利用できるという利点もある。
先行技術
0014
Grondahl-Rosado C et al., 2015, Vet Res Commun, Vol. 39:19-30.
O'Connor CM et al., 2012, Sci Rep, Vol. 2: 249.
Mie K et al., 2016, Vet Immunol Immunopathol Vol. 177:58-63.
Canter RJ et al., 2017, J ImmunoTherapy Cancer Vol. 5:98.
Huang YC et al., 2008, J Leukoc Biol, Vol. 84: 1501-1510.
MichaelHTet al., 2013, Vet Immunol Immunopathol, Vol. 155: 211-217.
Shin DJ et al., 2013, Vet Immunol Immunopathol, Vol. 153:249-259.
Foltz JA et al., 2016, Front Immunol Vol. 7:521.
Lee SH et al., 2018, Front Immunol, Vol. 9:841.
発明が解決しようとする課題
0015
ところで、非特許文献3においては固相化に用いる抗CD3抗体の濃度は5000ng/mlという極めて高い濃度である。抗CD3抗体は高価であり、ペットの対象とされるイヌのがん治療には安価であることが求められるので、さらなる使用量の削減が求められる。
0016
一方、特許文献3による方法では初代培養において必要な抗CD3抗体の使用量を節約できると記載されているが具体的な使用量の記載はなく、当業者であれば非特許文献3に記載された技術を転用するとしても、その使用量は5000ng/ml程度の濃度の抗CD3抗体溶液を用いると考えるのが自然である。
0017
本願発明は、イヌのがん免疫療法として使用するリンパ球由来の高い細胞殺傷能を有する細胞集団を、作業リスクの少ない簡便で且つ安全な方法で生産することができるより安価な方法を提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0018
本願発明に係る方法は、ほぼ内面全体に、例えば0.1ng/ml以下の抗CD3抗体を含む溶液を用いて抗CD3抗体が固相化された培養バッグを用いて、イヌ由来のリンパ球を培養する工程を有するイヌ由来のがん殺傷能力を有する細胞集団の製造方法である。
発明の効果
0019
本願発明によれば、より少ない抗CD3抗体の使用量で強いがん殺傷能力を有する細胞集団を安全かつ簡便な方法で製造できる。
図面の簡単な説明
0020
図1は培養細胞とイヌ甲状腺癌由来上皮細胞株(canine thyroid adenocarcinoma;CTAC)と5:1の割合で共培養を行った顕微鏡写真の画像である。生存している灰暗色紡錘形の癌細胞と死滅して白色粒状になった癌細胞を示す。
図2は培養細胞とCTACと20:1の割合で共培養を行った顕微鏡写真の画像である。ほとんどの癌細胞が白色粒状に死滅していることを示す。
図3はフローサイトメトリーによる培養細胞の表面マーカーの解析画像である。(A)はリンパ球、(B)はCD3−及びCD3+リンパ球、(C)はCD3−リンパ球中のCD5lowCD8+リンパ球、及び(D)はCD3+リンパ球中のCD5lowCD8+リンパ球を示す。
図4は発現している表面マーカーにより分画採取した培養細胞のCTACに対する細胞殺傷能を示すグラフである。(A)は全細胞、(B)はCD3+CD5lowCD8+リンパ球、(C)はCD3−リンパ球を示す。
図5は抗CD3抗体の固相化濃度を、(1)初代培養時には5000ng/ml、拡大培養時には0ng/ml、(2)初代培養時には0.09ng/ml、拡大培養時には0.05ng/ml、(3)初代培養時と拡大培養時ともに0.09ng/mlの3段階の濃度で各々14日間培養後、それぞれの培養細胞とCTACを5:1〜50:1の割合で共培養を行ったときの細胞殺傷能を示すグラフである。
図6は図5と同様に3段階の濃度で抗CD3抗体を固相化して14日間培養したときの回収細胞数を示すグラフである。
0021
本願発明に係る方法は、イヌ由来のがん殺傷能力を有する細胞集団を作製する方法であって、ほぼ内面全体に抗CD3抗体が固相化された培養バッグを用いて、イヌ由来の末梢血単核細胞を培養する工程を含む。
0022
培養バッグは細胞を培養するために用いられる培養バッグであって、ガス透過性を有するものが用いられる。当該培養バッグの素材も細胞培養に用いられるものであれば特に限定されるものではない。例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリエステル、シリカ系ポリマーまたはポリオレフィンなどの熱可塑性ポリマーが挙げられ、中でもポリオレフィンが好ましい。ポリオレフィンの具体例としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられるが、中でもポリエチレンが好ましく、また、これらのポリマーにおいて炭素原子の一部がフッ素原子に置き換えられたポリマー素材も用いることができる。これらのポリマーからなる培養バッグは酸素透過性及び二酸化炭素透過性であり、抗CD3抗体を固相化させることができればよい。酸素透過性としては、例えば、酸素透過係数が100〜5000cm3/m2・24hr・atmであり、二酸化炭素透過性として、例えば二酸化炭素透過係数が1000〜20000cm3/m2・24hr・atmであるものが例示される。培養バッグは密閉し得る可撓性の容器であり、通例バッグ内室に培養液や培養用細胞、培養後の細胞を出し入れするための1以上のポートを
備える。本願発明では上市されたものを用いることができ、例えばニプロ社製の商品名ニプロカルチャーバッグやタカラバイオ社製の商品名CultiLife 215 Culture bagを用いることができる。
0023
抗CD3抗体は、T細胞受容体(TCR)と結合して抗原認識複合体を形成する分子群であるCD3抗原に特異的に結合する抗体を意味し、本願発明ではCD3に結合する特性を有する抗体であれば制限されずに用いられる。また、イヌ由来であるか否かを問わず、ヒト由来、ラット由来などの種々由来の抗CD3抗体を用いることができる。本願発明では、上市されている種々の抗CD3抗体を使用することができ、組み替え体による抗CD3抗体でも差しつかえない。
0024
抗CD3抗体の固相化は、抗CD3抗体を含む溶液を培養バッグに注入し、培養バッグの内面と当該溶液を接触させることで行われる。このとき、培養バッグ内面のほぼ全体に固相化させることが望ましい。固相化させることで、初代培養から拡大培養まで同一の培養バッグ内で連続して培養させることができ、この期間、抗CD3抗体を培養液中に追加することなく、抗CD3抗体と接触させた状態で細胞を培養できる。
0025
固相時における抗CD3抗体の濃度も特に限定されるものではないが、高濃度の抗CD3抗体溶液を用いる必要がなく、高くとも1.0ng/ml、好ましくは0.5ng/ml、さらに望ましくは0.1ng/ml程度の濃度で十分である。一方、低濃度であれば固相化される抗CD3抗体量が少なくて抗CD3抗体による細胞刺激を起こさせることができないので、少なくとも0.001ng/ml、好ましくは0.01ng/ml以上の濃度の溶液を用いるのがよい。
0026
抗CD3抗体の溶液は水性の溶液であればよく、例えば水溶液や0.1〜1.0w/v%程度の炭酸水素ナトリウム水溶液などの弱アルカリ性溶液が用いられる。好ましくは有機溶媒を含まない溶液がよい。固相化は抗CD3抗体の溶液とほぼ平衡状態となるまで接触させればよく、室温又は好ましくは5℃程度の冷却下で概ね3時間〜48時間程度接触させるのがよい。接触後は、余分な抗CD3抗体の溶液を除去し、必要に応じて洗浄する。除去は溶液を流し出し、あるいはシリンジやスポイト、ピペットで吸い取ることで行える。洗浄は水で行えば足りる。培養バッグの内容量も適宜決められるが、好ましくは300mlから2000mlまで、好ましくは1000ml程度までである。
0027
培養する末梢血単核細胞(PBMC)はイヌの末梢血から得られる。PBMCは常法に従って得ることができ、イヌから採取された末梢血を例えば密度勾配遠心法による遠心分離する。採血量は採血された末梢血中のリンパ球の割合、リンパ球の培養期間、投与量などを考慮して設定される。例えば、14日間の培養期間で、投与する全リンパ球数として1〜5×108個を想定した場合であれば、採血量はおおよそ6〜12mlであって、PBMCとして1〜5×106個程度あれば十分である。
0028
得られたPBMCは前記培養バッグ中に注入され、いわゆる初代培養に付される。本明細書において初代培養とは、培養初期の段階において抗CD3抗体と接触させることでPBMC中のリンパ球の分化・増殖を誘発させる段階である。この初代培養は例えば非特許文献3に記載された方法で言うと、抗CD3抗体が固相化された固相化フラスコ中で培養する工程に相当する。
0029
初代培養においては細胞濃度を高くする方が細胞数の増加速度を高められる。このため、ストッパーなどを用いて培養バッグを外側からクリッピングして、培養バッグの内室を2つ以上、好ましくは2つに分割する。2つに分割する場合、分割は1:1や1:2など、培養バッグの内容量、PBMC中の単球数、リンパ球数などに応じて適度な比率で行えばよいが、細胞濃度を高めるために、1:2や1:3など一方の分室が小さくなるようにするのが好ましい。PBMCはクリッピング前に培養バッグに注入してもよく、培養バックにPBMCを注入した後にクリッピングしてもよいが、内容積の小さな分室の方にPBMCを存在させる。
0030
PBMCはリンパ球培養用の培養液(培地)に懸濁した後に培養バッグに注入してもよく、PMBMCを注入した後に必要量の培養液を注入してもよい。使用するリンパ球培養用の培養液組成はリンパ球の培養に適したものであれば特に限定されるものではなく、例えば、KBM570−OK培地(コージンオ社製)、AIM−V培地(インビトロジェン社製)、AlyS培地(細胞科学研究所社製)、RPMI−1640培地(インビトロジェン社製)等の市販されている培養液を使用してもよい。また、必要に応じて、後述する拡大培養時と同様なPBMC中のリンパ球を増殖させることのできる各種の増殖因子が用いられる。用いられ得る増殖因子として、例えば、血清や血漿、レクチンや各種のサイトカインを添加できる。その添加量は適宜決定され得るが、例えば、血清や血漿、レクチンであれば添加量は培地中に0.1〜20%、サイトカインであれば例えばIL−2などを培地中10〜10000IU/ml、好ましくは100〜5000IU/ml、より好ましくは約500〜3000IU/ml添加してもよい。また、血清や血漿の由来もイヌに限らず各種の動物由来のものが使用でき、例えば、イヌの自己血漿等が使用される。
0031
初代培養での培養液量も適宜決定されるが、前記採血量の場合では50〜100ml程度である。また、培養バッグをクリッピングして用いる場合には、注入される培養液でほぼ充満されるようにクリッピングを行うのがよい。もっともクリッピングすることなく初代培養を行うこともできる。この場合には内室にはほぼ空気が入ることのないようにPBMCを注入し、次の拡大培養に備えて、新鮮な培養液を注入できる余地を残しておくことが望まれる。クリッピングすることなく初代培養を行うのであれば、50〜100ml程度の培養液を培養バッグに注入するのがよい。
0032
培養条件はリンパ球を培養できる条件であればよく、35〜40℃、好ましくは37℃の通性嫌気条件から嫌気条件、例えば5%CO2下の条件下で静置培養を行う。初代培養の培養期間としては3日〜1週間乃至10日間程度である。培養期間中振盪し続ける必要はないが、必要に応じて時々バッグを振盪させるのが好ましい。
0033
初代培養を終えると拡大培養に移行する。拡大培養とは、培養に用いる初期細胞量に対して比較的大容量の培養液を用いてリンパ球を増殖させる段階であって、初代培養された培養バッグに新たに培養液を追加して培養を継続する。培養バッグに追加するリンパ球増殖用の培養液は、リンパ球の培養に適したものであれば特に限定されるものではなく、例えば、前記した市販の培養液が使用され得る。
0034
拡大培養においては1種以上のサイトカインを用いることが望まれる。サイトカインはインターロイキン類から選択される一つ以上であることが好ましい。インターロイキンとは、リンパ球や単球及びマクロファージなど、免疫担当細胞が生産するタンパク質性生物活性物質の総称である。使用可能なインターロイキンは、例えばインターロイキン−2(IL−2)であり、インターロイキン−12(IL−12)であり、インターロイキン−15(IL−15)であり、インターロイキン−18(IL−18)であり、インターロイキン−21(IL−21)であり得る。インターロイキンは1種でもよく2種以上でもよい。特に、IL−2を使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。
0035
培養液中のサイトカイン濃度も適宜当業者によって決定され得るが、例えば10〜10000IU/ml、好ましくは100〜5000IU/ml、より好ましくは約500〜3000IU/mlである。予めこれらの濃度のサイトカインが含まれている培養液を拡大培養時に注入してもよく、拡大培養時にこの濃度となるように追加してもよい。また、拡大培養中サイトカインの濃度は一定である必要はなく、必要に応じて変化させても良い。好ましくは、拡大培養の初期にIL−2濃度が1000IU/mL以上とするとよい。
0036
拡大培養時には、インターロイキン以外に、PBMC中のリンパ球を増殖させることのできる各種の増殖因子、例えば、血清や血漿、レクチンなどを培養液中に0.1〜20%添加してもよい。血清や血漿の由来もイヌに限らず各種の動物由来のものが使用でき、例えば、イヌの自己血漿等が使用される。そして、リンパ球の培養に適する限り、他のサイトカインも制限されずに使用できる。
0037
拡大培養の培養条件もリンパ球を培養できる条件であればよく、35〜40℃、好ましくは37℃の通性嫌気条件から嫌気条件、例えば5%CO2下の条件で培養を行う。拡大培養の培養期間としては2日〜2週間程度、好ましくは5〜7日間程度である。拡大培養中も振盪し続ける必要はないが、必要に応じて時々バッグを振盪させるのが好ましい。
0038
拡大培養により得られた細胞集団はがんに対する殺傷能力を有する。得られた細胞集団はこれまでに報告があるNK細胞であるCD3+CD5lowCD8+細胞以外にCD3−細胞を多く含み、これらの細胞はイヌのがんに対して殺傷能力を有する。
0039
拡大培養により得られた細胞集団を含む培養液は、そのままいわゆる活性化リンパ球療法に用いられるイヌのがん治療用組成物として使用できる。また、細胞集団を含む培養液を培養バッグから取り出して細胞のみを集めがん治療用組成物として用いることもできる。この際、必要に応じて生理食塩水などの適宜媒体で洗浄した後、生理食塩水などの媒体に懸濁した組成物として用いることもできる。これらの組成物は細胞集団の他に、他の抗がん物質などの各種医薬成分やビタミンなどの補助成分も含み得る。もちろん、得られた細胞集団をセルソータなどによってがん殺傷能力の高いCD3+CD5lowCD8+細胞からなる細胞集団やCD3−細胞からなる細胞集団にそれぞれ分画して得られた細胞集団をがん治療用組成物として、あるいは分画集団を合わせてがん治療用組成物として使用することもできる。
0040
治療の対象となるがんは特に制約されるものではなく、固形がん及び血液がんを含む全ての種類のがんに適用され得る。固形がんとは、血液がんと異なり種々の臓器で塊をなして形成されるがんを意味し、大部分の臓器で生じるがんがこれに該当する。例えば胃癌、肝癌、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、膵臓癌、子宮頚癌、甲状腺癌、喉頭癌、急性骨髄性白血病、脳腫瘍、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、頭頸部癌、唾液腺癌、リンパ腫などが挙げられる。投与間隔や投与期間はがんの種類、症状などに応じて適宜決定される。
0041
以上のように本願発明の方法では、抗CD3抗体がほぼ内面全体に固相化された培養バッグを用いているので、極めて低濃度の抗CD3抗体溶液の使用で足り、抗CD3抗体の使用量を低減できる。また、1つの培養バック内でいわゆる初代培養から拡大培養まで、採取したPBMCからがん殺傷能力を有する細胞集団を製造できるので、製造途中における汚染の可能性がほとんどなく、安全かつ簡便にがん殺傷能力のある細胞集団を作製できる。
0042
以下、下記実施例に基づいて本発明について説明するが、本願発明は下記実施例に限定されないのは言うまでもない。
0043
〔培養バッグを用いたがん殺傷能力を有する細胞集団の作製〕
抗CD3抗体を固相化した培養バッグを用いて活性化リンパ球療法に用いられ得るがん殺傷能力を有する細胞を製造した。なお、以下において、試薬の濃度は全て最終濃度である。
0044
1.抗CD3抗体の固相化
イヌリコンビナント抗CD3抗体を0.3Mのリン酸水素二ナトリウム溶液に溶解し、0.09ng/mlとなるように抗CD3抗体溶液を調製した。一方端に3つの入出用ポートを有するガス透過性培養バッグ(商品名、ニプロカルチャーバッグ350mL容:ニプロ社製)を用いた。当該培養バッグの1つのポートを使って、調製した抗CD3抗体溶液20mlを入れ、抗体(溶液)を培養バッグ内室全体に行きわたらせた後、平らにセットとして4℃で48時間放置した。放置後、抗CD3抗体溶液を全量回収し、その後、生理食塩水約20mlをバック内に注入し、左右に往復10回程度バックを揺することで洗浄し、抗CD3抗体が固相化された培養バッグを得た。
0045
2.PBMC懸濁液の調製
イヌ(ラブラドール・レトリバー種、オス10才)の橈側皮静脈から末梢血10mlを採血した。末梢血を密度勾配遠心法によりPBMCを取得した後、リンパ球用培養液(KBM570−OK培地:コージンオ株式会社製)100mlに懸濁して、PBMC懸濁液とした。
0046
3.細胞集団の作製
1)初代培養
培養バッグのポート側から約3分の1容となる箇所にストッパー(エニーロック2号:三宝社製)をセットして、培養バッグの内室を2つ分割した。ポート側の分室に1つのポートから、前記2.で作製したPBMC懸濁液の全量を注入した。そこに700IU/mlとなるようにヒトIL−2(PeproTech社製)を添加した。
0047
注入後、37℃、5%のCO2の存在下で7日間静置培養した。この間IL−2の含有濃度が700IU/mlを下回らない程度にIL−2を適宜添加した。また培養中、培養バックを必要に応じて軽く揺すった。
0048
2)拡大培養
初代培養開始後5日を経過すると培養液の色が変化しはじめ、リンパ球の増殖が確認できた。7日経過後にストッパーを外して、培養バッグ全体を1つの閉鎖空間として、引き続き培養を行った。培養開始時に、2000IU/mlのIL−2を含むリンパ球用培養液約200mlを追加し、37℃、5%のCO2の存在下でさらに7日間静置培養した。この間、適宜、軽く揺すった。
0049
3)細胞集団の回収
拡大培養により得られた細胞を遠心分離により培地を取り除き、細胞を回収した。回収した細胞を生理食塩水で洗浄し、さらに遠心分離することで細胞を回収した。
0050
4.がん殺傷能力の確認
1)細胞集団のがん殺傷能力
回収された細胞集団ががん細胞を殺傷するのかを確認するために、イヌ甲状腺がん細胞株(CTAC)との共培養試験を行った。96穴プレートを用いて予め1ウェルあたり1×104個となるようにCTACを播種し、37℃、5%CO2の条件下でオーバーナイトインキュベートさせた。前記3.で回収された細胞を、CTACに対して5倍、10倍、20倍の細胞数となるように播種して18時間共培養を行った。細胞傷害活性は、Cell Counting Kit-8(Dojindo Molecular Technologies, Inc., Kumamoto, JAPAN)の手順に従って算出した。
0051
得られた細胞をCTACと共培養した後の細胞を示す顕微鏡写真の1例を図1(CTACに対して5倍の細胞を播種)及び図2(CTACに対して20倍の細胞を播種)に画像として示す。それぞれ、紡錘形の接着細胞が生存しているCTACであり、図2ではCTACがほとんど生存していないことを示す。
0052
2)フローサイトメトリーによる解析
回収された細胞集団についてフローサイトメトリーによる細胞表面マーカーの解析を行った。細胞集団をFCM bufferに希釈し、抗CD3抗体(clone CA17.2A12, Bio-Rad Laboratories, Inc., CA, U.S.A.)、抗CD5抗体 (clone YKIX322.3, Thermo Fisher Scientific Inc., MA, U.S.A.)、抗CD8抗体 (clone YCATE55.9, Thermo Fisher Scientific Inc., MA, U.S.A.)を加えて30分間氷上で反応させた。染色後の反応性を、FACSAria (Becton Dickinson, NJ, USA)を用いて測定して表面マーカーの発現強度を求めた。ネガティブコントロールにはそれぞれのIsotype controlを用いた。
0053
解析結果の1例を図3に示す。解析に用いた細胞集団のうちリンパ球の普遍的表面マーカーであるCD3+細胞の割合を算出し、さらにCD3+細胞、CD3−細胞のそれぞれについてCD5+、CD8+細胞の割合を算出した。
0054
8つの培養バッグから回収された細胞数は各々1〜5×108個であり、フローサイトメトリー解析による結果から、CD3+CD5lowCD8+細胞の割合は3〜22%(平均8%)、CD3−細胞の割合は13〜73%(平均39%)となった。
0055
3)表現型の違いによるがん殺傷能力
細胞数の多かった培養バッグから6つの培養バッグを選び、回収された細胞集団をセルソーティングした後、CTACと共培養を行った際の細胞傷害活性の解析結果を図4に示した。同図(A)は全細胞、(B)はCD3+CD5lowCD8+細胞、(C)はCD3−細胞の細胞傷害活性を示す。培養細胞とCTACを20:1の割合で共培養を行ったとき、CD3+CD5lowCD8+細胞の細胞傷害活性は18〜36%(平均28%)、CD3−細胞の細胞傷害活性は34〜80%(平均57%)であった。このことから、本願発明に係る方法で培養された細胞集団はCD3−細胞が主であり、細胞集団のがん殺傷能力もCD3−細胞が主体であると言える。
0056
4)参考実験
参考実験として非特許文献3に準じた方法で実施した場合との比較を行った。抗CD3抗体を(A)5000ng/mlの濃度でフラスコに固相化して初代培養を行い、次いで拡大培養時には抗CD3抗体を添加しない場合と、(B)0.09ng/mlの濃度で固相化して初代培養を行い、次いで拡大培養時には0.05ng/mlの抗CD3抗体を培養液に添加して培養して得られた細胞集団、(C)上記実施例と同様に培養バッグを用いて培養して得られた細胞集団で比較を行った。なお、培養液の量は上記実施例と等量になるように調整し、IL−2も等量となるように加えた。がん殺傷能力の比較は上記の方法と同様にして行ったが、それに加えてCTACに対して50倍の細胞数を加えた場合についても行った。その結果を図5に示した。また、回収された細胞数を図6に示した。
0057
本願発明の方法により得られた細胞集団は20〜50倍の細胞数と共存させることで他の方法で得られた細胞集団に比べてがん殺傷能力は上回った。初代培養において多量の抗CD3抗体とPBMCを接触させると拡大培養の際に抗CD3抗体が存在しなくとも細胞数の増大が見られるが、初代培養において少量の抗CD3抗体と接触させた場合には、拡大細胞の際に抗CD抗体の濃度が低いと細胞数の減少する傾向となった。
0058
これらのことから、0.1ng/ml程度の極めて低濃度と言える抗CD3抗体でほぼその内面全体を固相化した培養バッグを用いることで、がん殺傷能力を有する細胞集団を極めて簡単に無菌状態で製造できると言える。
実施例
0059
〔臨床応用例1〕
犬口腔内悪性黒色腫ステージIVのイヌ(フラットコーテット・レトリバー種、オス12才)に対して、低用量カルボプラチン療法と活性化リンパ球療法の併用を行った。実施例1で得られた細胞集団50mlとカルボプラチンの標準量をそれぞれ2週間間隔で投与した。ステージIII及びIVの非外科的切除群41例の中央生存期間は61日であるところ、本症例では投与開始後150日生存した。
0060
本願発明により得られた細胞集団はイヌのがん治療等に用いられる。
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