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課題
解決手段
概要
背景
広く実用化されている無線LAN(Local area network)規格であるIEEE802.11nの発展規格として、IEEE802.11ac規格がIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定された。現在、IEEE802.11n/acの後継規格として、IEEE802.11axの標準化活動が行なわれている。現在の無線LANシステムでは、面積当たりの端末数の増加による干渉が大きな問題となりつつあり、IEEE802.11ax規格では、そのような過密環境を考慮する必要がある。一方で、IEEE802.11ax規格では、これまでの無線LAN規格とは異なり、ピークスループットの改善だけではなく、ユーザスループットの改善が主な要求条件として挙げられている。ユーザスループットの改善には、高効率な同時多重伝送方式(アクセス方式)の導入が不可欠である。
IEEE802.11nまでの規格では、アクセス方式としてCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)と呼ばれる自律分散制御方式のアクセス方式が採用されていた。IEEE802.11acでは、新たにマルチユーザ多重入力多重出力(Multi-user multiple-input multiple-output:MU-MIMO)技術による空間分割多重アクセス(Space division multiple access:SDMA)が追加された。
IEEE802.11ax規格では、既存のIEEE802.11規格に対する後方互換性が必要とされている。このことは、IEEE802.11ax規格においても、CSMA/CAに基づくアクセス方式をサポートする必要があることを示唆している。しかし、送信に先立ってのキャリアセンスを必須とするCSMA/CAでは、先に示したような過密環境下においては、端末装置間の干渉により、通信機会が大幅に低下してしまう問題がある。そこで、最近、ある程度の干渉を許容し、通信機会を改善させることを目的とし、キャリアセンスによるクリアチャネル評価(clear channel assessment:CCA)の閾値(CCAレベル、CCAスレッショルド)の変更が議論されている(非特許文献1等)。端末装置はキャリアセンスによってCCAレベル以上の干渉を計測すると通信を停止するから、CCAレベルを上げることで、過密環境においても、端末装置は通信機会を失う可能性が低くなる。当然、CCAレベルを上げることで干渉による受信品質の低下が引き起こされるが、パケット伝送に特有のパケットキャプチャ効果ならびに適応変調伝送によって、通信品質は維持されることが期待される。
概要
CSMA/CAを前提とし、新しいCCAレベルを使用可能な端末装置と、既存のCCAレベルを使用する既存の端末装置とが共存する通信システムにおいて、既存の端末装置の通信機会を確保する。本発明の無線送信装置の通信方法は、第1のCCA区間と、第2のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングするステップを備える。また、本発明の無線受信装置の通信方法は、第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なうステップと、第1のCCA区間を示す情報に基づいて、前記第1のCCA区間において、第1のCCAレベルに基づいて前記キャリアセンスを行なうステップと、を備える。
目的
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、CSMA/CAを前提とし、新しいCCAレベルを使用可能な端末装置と、既存のCCAレベルを使用する既存端末装置とが共存する通信システムにおいて、既存端末装置の通信機会を確保しつつ、新しい端末装置の通信機会を改善可能な、無線送信装置、無線受信装置、通信システムおよび通信方法を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
フレームを送信する無線送信装置であって、キャリアセンスによるCCAを行なう受信部と、第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報を含むフレームを送信する送信部と、を備え、前記第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報は、前記フレームを受信した無線受信装置が参照し、前記送信部は、前記無線受信装置が前記第1のCCAレベルに基づいた受信動作が可能である第1のCCA区間を示す情報を含む第1のフレームまたは前記無線受信装置が第2のCCAレベルに基づいた受信動作が可能である第2のCCA区間を示す情報を含む第2のフレームの何れか1つを送信し、前記第1のCCAレベルは変更可能であり、前記第1のフレームと、前記第2のフレームは、前記無線受信装置が前記無線送信装置との間のチャネル情報を推定するためのトレーニングフィールドを含む、無線送信装置。
請求項2
前記第1のフレームは所定のタイプのフレームである請求項1に記載の無線送信装置。
請求項3
前記第1のCCAレベルは、前記第2のCCAレベルよりも高い、請求項2に記載の無線送信装置。
請求項4
無線送信装置が送信するフレームを受信する無線受信装置であって、第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報を含むフレームを受信する受信部を備え、前記受信部は、前記第1のCCAレベルに基づいて受信動作を行なう第1のCCA区間を示す情報を含む第1のフレームまたは第2のCCAレベルに基づいて受信動作を行なう第2のCCA区間を示す情報を含む第2のフレームを受信し、前記受信部は、前記第1のCCAレベルを変更可能であり、前記第1のフレームと、前記第2のフレームは、前記無線送信装置との間のチャネル情報を推定するためロングトレーニングフィールドを含む、無線受信装置。
請求項5
前記受信部は、前記第1のCCA区間において受信したフレームが所定のタイプのフレームであった場合、前記第1のCCAレベルに基づいた受信動作を行なう、請求項4に記載の無線受信装置。
請求項6
前記第1のCCAレベルは、前記第2のCCAレベルよりも高い、請求項5に記載の無線受信装置。
請求項7
無線送信装置がフレームを送信する通信方法であって、受信部において、キャリアセンスによるCCAを行なうステップと、送信部において、第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報を含むフレームを送信するステップと、を含み、前記第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報は、前記フレームを受信した無線受信装置が参照し、前記送信部において、前記無線受信装置が前記第1のCCAレベルに基づいた受信動作が可能である第1のCCA区間を示す情報を含む第1のフレームまたは前記無線受信装置が第2のCCAレベルに基づいた受信動作が可能である第2のCCA区間を示す情報を含む第2のフレームの何れか1つを送信し、前記第1のCCAレベルは変更可能であり、前記第1のフレームと、前記第2のフレームは、前記無線受信装置が前記無線送信装置との間のチャネル情報を推定するためのトレーニングフィールドを含む、通信方法。
請求項8
無線送信装置が送信するフレームを受信する無線受信装置の通信方法であって、受信部において、第1のCCAレベルに基づいた受信動作に入るか否かを示す情報を含むフレームを受信するステップを含み、前記受信部において、前記第1のCCAレベルに基づいて受信動作を行なう第1のCCA区間を示す情報を含む第1のフレームまたは第2のCCAレベルに基づいて受信動作を行なう第2のCCA区間を示す情報を含む第2のフレームを受信し、前記受信部は、前記第1のCCAレベルを変更可能であり、前記第1のフレームと、前記第2のフレームは、前記無線送信装置との間のチャネル情報を推定するためロングトレーニングフィールドを含む、通信方法。
技術分野
背景技術
0002
広く実用化されている無線LAN(Local area network)規格であるIEEE802.11nの発展規格として、IEEE802.11ac規格がIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定された。現在、IEEE802.11n/acの後継規格として、IEEE802.11axの標準化活動が行なわれている。現在の無線LANシステムでは、面積当たりの端末数の増加による干渉が大きな問題となりつつあり、IEEE802.11ax規格では、そのような過密環境を考慮する必要がある。一方で、IEEE802.11ax規格では、これまでの無線LAN規格とは異なり、ピークスループットの改善だけではなく、ユーザスループットの改善が主な要求条件として挙げられている。ユーザスループットの改善には、高効率な同時多重伝送方式(アクセス方式)の導入が不可欠である。
0003
IEEE802.11nまでの規格では、アクセス方式としてCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)と呼ばれる自律分散制御方式のアクセス方式が採用されていた。IEEE802.11acでは、新たにマルチユーザ多重入力多重出力(Multi-user multiple-input multiple-output:MU-MIMO)技術による空間分割多重アクセス(Space division multiple access:SDMA)が追加された。
0004
IEEE802.11ax規格では、既存のIEEE802.11規格に対する後方互換性が必要とされている。このことは、IEEE802.11ax規格においても、CSMA/CAに基づくアクセス方式をサポートする必要があることを示唆している。しかし、送信に先立ってのキャリアセンスを必須とするCSMA/CAでは、先に示したような過密環境下においては、端末装置間の干渉により、通信機会が大幅に低下してしまう問題がある。そこで、最近、ある程度の干渉を許容し、通信機会を改善させることを目的とし、キャリアセンスによるクリアチャネル評価(clear channel assessment:CCA)の閾値(CCAレベル、CCAスレッショルド)の変更が議論されている(非特許文献1等)。端末装置はキャリアセンスによってCCAレベル以上の干渉を計測すると通信を停止するから、CCAレベルを上げることで、過密環境においても、端末装置は通信機会を失う可能性が低くなる。当然、CCAレベルを上げることで干渉による受信品質の低下が引き起こされるが、パケット伝送に特有のパケットキャプチャ効果ならびに適応変調伝送によって、通信品質は維持されることが期待される。
先行技術
発明が解決しようとする課題
0006
しかし、IEEE802.11ax規格に対応する新しい端末装置は、新しく規定されるCCAレベルに基づいて送信することで、通信機会が多く得られる一方で、既存のCCAレベルに基づいて通信を行なう既存端末装置(従来の端末装置、レガシー端末装置)は、ほとんど通信機会が得られなくなってしまう問題がある。
0007
本発明はこのような事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、CSMA/CAを前提とし、新しいCCAレベルを使用可能な端末装置と、既存のCCAレベルを使用する既存端末装置とが共存する通信システムにおいて、既存端末装置の通信機会を確保しつつ、新しい端末装置の通信機会を改善可能な、無線送信装置、無線受信装置、通信システムおよび通信方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0008
上述した課題を解決するための本発明に係る無線送信装置、無線受信装置、通信システム、および通信方法は、次の通りである。
0009
(1)すなわち、本発明の無線送信装置は、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、無線受信装置と通信を行なう無線送信装置であって、第1のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングすることを特徴とする。
0010
(2)また、本発明の無線送信装置は、さらに第2のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングすることを特徴とする、上記(1)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0011
(3)また、本発明の無線送信装置は、前記第1のCCA区間内において、前記第1のCCA区間の終了を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングすることを特徴とする、上記(1)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0012
(4)また、本発明の無線送信装置は、前記第1のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置に報知するビーコンフレームに含めることを特徴とする、上記(1)または(3)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0013
(5)また、本発明の無線送信装置は、前記第1のCCA区間の前に、第2のリソース確保フレームを送信し、第2のCCA区間の前に、第1のリソース確保フレームを送信することを特徴とする、上記(1)または(3)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0014
(6)また、本発明の無線送信装置は、前記無線受信装置には、第1の無線受信装置と、第2の無線受信装置が含まれており、前記第1のリソース確保フレームは、前記第2の無線受信装置がリソース確保フレームと認識できないフレームであることを特徴とする、上記(5)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0015
(7)また、本発明の無線送信装置は、前記第1のCCA区間において、第1のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行ない、前記第2のCCA区間において、第2のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行ない、前記第1のCCAレベルは、前記第2のCCAレベルよりも高いことを特徴とする、上記(6)に記載の無線送信装置であることを特徴とする。
0016
(8)また、本発明の無線受信装置は、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、無線送信装置と通信を行なう無線受信装置であって、第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なう受信部を備え、第1のCCA区間を示す情報に基づいて、前記第1のCCA区間において、前記第1のCCAレベルに基づいて前記キャリアセンスを行なうことを特徴とする。
0017
(9)また、本発明の無線受信装置は、さらに第2のCCA区間を示す情報に基づいて、前記第2のCCA区間において、第2のCCAレベルに基づいて前記キャリアセンスを行なうことを特徴とする、上記(8)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0018
(10)また、本発明の無線受信装置は、フレームを送信する送信部を備え、前記送信部が送信するフレームのタイプに基づいて、前記第1のCCA区間におけるCCAレベルを決定することを特徴とする、上記(8)または(9)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0019
(11)また、本発明の無線受信装置は、前記第1のCCA区間の終了を示す情報が前記無線送信装置よりシグナリングされた場合、前記第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なうことを特徴とする、上記(8)または(9)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0020
(12)また、本発明の無線受信装置は、前記無線送信装置より、第2のリソース確保フレームが送信され、前記第2のリソース確保フレームに記載の区間は、前記第1のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なうことを特徴とする、上記(8)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0021
(13)また、本発明の無線受信装置は、前記無線送信装置より、第1のリソース確保フレームが送信され、前記第1のリソース確保フレームに記載の区間は、通信を停止することを特徴とする、上記(12)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0022
(14)また、本発明の無線受信装置は、前記無線送信装置より、第1のリソース確保フレームが送信され、前記前記第1のリソース確保フレームに記載の区間は、前記第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なうことを特徴とする、上記(12)に記載の無線受信装置であることを特徴とする。
0023
(15)また、本発明の通信方法は、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、無線受信装置と通信を行なう無線送信装置の通信方法であって、第1のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングするステップを備えることを特徴とする通信方法であることを特徴とする。
0024
(16)また、本発明の通信方法は、キャリアセンスを必要とする通信システムにおいて、無線送信装置と通信を行なう無線受信装置の通信方法であって、第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なうステップと、第1のCCA区間を示す情報に基づいて、前記第1のCCA区間において、第1のCCAレベルに基づいて前記キャリアセンスを行なうステップと、を備えることを特徴とする。
0025
(17)また、本発明の通信システムは無線送信装置と無線受信装置を備え、キャリアセンスを必要とする通信システムであって、前記無線送信装置は第1のCCA区間を示す情報を、前記無線受信装置にシグナリングし、前記無線受信装置は第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルに基づいて、前記キャリアセンスを行なう受信部を備え、前記第1のCCA区間を示す情報に基づいて、前記第1のCCA区間において、前記第1のCCAレベルに基づいて前記キャリアセンスを行なうこと、を特徴とする。
発明の効果
0026
本発明によれば、既存端末装置の通信機会を確保しつつ、新しい端末装置の通信機会を改善可能な無線LANシステムを実現可能であるから、ユーザスループットを大幅に改善することが可能となる。
図面の簡単な説明
0027
本発明に係る通信システムの一例を示す図である。
本発明に係る無線送信装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
本発明の信号のフレーム構成の一構成例を示す図である。
本発明の通信の一例を示す図である。
本発明の信号の一構成例を示す図である。
本発明に係る無線受信装置の一構成例を示す概略ブロック図である。
本発明の通信の一例を示す図である。
実施例
0028
[1.第1の実施形態]
本実施形態における通信システムは、無線送信装置(アクセスポイント、Access point(AP))、および複数の無線受信装置(ステーション、Station(STA))を備える。また、APとSTAとで構成されるネットワークを基本サービスセット(Basic service set:BSS)と呼ぶ。
0029
BSS内のAPおよびSTAは、それぞれCSMA/CA(Carrier sense multiple access with collision avoidance)に基づいて、通信を行なうものとする。本実施形態においては、APが複数のSTAと通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、本実施形態の方法は、STA同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。
0030
IEEE802.11システムでは、各装置は、共通のフレームフォーマットを持った複数のフレームタイプの送信フレームを送信することが可能である。送信フレームは、物理(Physical:PHY)層、媒体アクセス制御(Medium access control:MAC)層、論理リンク制御(Logical Link Control:LLC)層でそれぞれ定義されている。
0031
PHY層の送信フレームは、物理プロトコルデータユニット(PHY protocol data unit:PPDU)と呼ばれる。PPDUは、物理層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれる物理層ヘッダ(PHYヘッダ)と、物理層で処理されるデータユニットである物理サービスデータユニット(PHY service data unit:PSDU)等から構成される。PSDUは無線区間における再送単位となるMACプロトコルデータユニット(MAC protocol data unit:MPDU)が複数集約された集約MPDU(Aggregated MPDU:A-MPDU)で構成されることが可能である。
0032
PHYヘッダには、信号の検出・同期等に用いられるショートトレーニングフィールド(Short training field:STF)、データ復調のためのチャネル情報を取得するために用いられるロングトレーニングフィールド(Long training field:LTF)などの参照信号と、データ復調のための制御情報が含まれているシグナル(Signal:SIG)などの制御信号が含まれる。また、STFは、対応する規格に応じて、レガシーSTF(Legacy-STF:L-STF)や、高スループットSTF(High throughput-STF:HT-STF)や、超高スループットSTF(Very high throughput-STF:VHT-STF)等に分類され、LTFやSIGも同様にL−LTF、HT−LTF、VHT−LTF、L−SIG、HT−SIG、VHT−SIGに分類される。VHT−SIGは更にVHT−SIG−AとVHT−SIG−Bに分類される。
0033
PPDUは対応する規格に応じて変調される。例えば、IEEE802.11n規格であれば、直交周波数分割多重(Orthogonal frequency division multiplexing:OFDM)信号に変調される。
0034
MPDUはMAC層での信号処理を行なうためのヘッダ情報等が含まれるMAC層ヘッダ(MAC header)と、MAC層で処理されるデータユニットであるMACサービスデータユニット(MAC service data unit:MSDU)もしくはフレームボディ、ならびにフレームに誤りがないかをどうかをチェックするフレーム検査部(Frame check sequence:FCS)で構成されている。また、複数のMSDUは集約MSDU(Aggregated MSDU:A-MSDU)として集約されることも可能である。
0035
MAC層の送信フレームのフレームタイプは、装置間の接続状態などを管理するマネージメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの3つに大きく分類され、それぞれは更に複数種類のサブフレームタイプに分類される。コントロールフレームには、受信完了通知(Acknowledge:ACK)フレーム、送信要求(Request to send:RTS)フレーム、受信準備完了(Clear to send:CTS)フレーム等が含まれる。マネージメントフレームには、ビーコン(Beacon)フレーム、プローブ要求(Probe request)フレーム、プローブ応答(Probe response)フレーム、認証(Authentication)フレーム、接続要求(Association request)フレーム、接続応答(Association response)フレーム等が含まれる。データフレームには、データ(Data)フレーム、ポーリング(CF-poll)フレーム等が含まれる。各装置は、MACヘッダに含まれるフレームコントロールフィールドの内容を読み取ることで、受信したフレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプを把握することができる。
0036
ビーコンフレームには、ビーコンが送信される周期(Beacon interval)やAPを識別する情報(Service set identifier(SSID)等)を記載するフィールド(Field)が含まれる。APは、ビーコンフレームを周期的にBSS内に報知することが可能であり、STAはビーコンフレームを受信することで、STA周辺のAPを把握することが可能である。STAがAPより報知される信号に基づいてAPを把握することを受動的スキャニング(Passive scanning)と呼ぶ。一方、STAがプローブ要求フレームをBSS内に報知することで、APを探査することを能動的スキャニング(Active scanning)と呼ぶ。APは該プローブ要求フレームへの応答としてプローブ応答フレームを送信することが可能であり、該プローブ応答フレームの記載内容は、ビーコンフレームと同等である。
0037
STAはAPを認識したあとに、該APに対して接続処理を行なう。接続処理は認証(Authentication)手続きと接続(Association)手続きに分類される。STAは接続を希望するAPに対して、認証フレームを送信する。APは、認証フレームを受信すると、該STAに対する認証の可否などを示すステータスコードを含んだ認証フレームを該STAに送信する。STAは、該認証フレームに記載されたステータスコードを読み取ることで、自装置が該APに認証を許可されたか否かを判断することができる。なお、APとSTAは認証フレームを複数回やり取りすることが可能である。
0038
STAは認証手続きに続いて、APに対して接続手続きを行なうために、接続要求フレームを送信する。APは接続要求フレームを受信すると、該STAの接続を許可するか否かを判断し、その旨を通知するために、接続応答フレームを送信する。接続応答フレームには、接続処理の可否を示すステータスコードに加えて、STAを識別するためのアソシエーション識別番号(Association identifier:AID)が記載されている。APは接続許可を出したSTAにそれぞれ異なるAIDを設定することで、複数のSTAを管理することが可能となる。
0039
接続処理が行なわれたのち、APとSTAは実際のデータ伝送を行なう。IEEE802.11システムでは、分散制御機構(Distributed Coordination Function:DCF)と集中制御機構(Point Coordination Function:PCF)、およびこれらが拡張された機構(ハイブリッド制御機構(Hybrid coordination function:HCF)等)が定義されている。以下では、APがSTAにDCFで信号を送信する場合を例にとって説明する。
0040
DCFでは、APおよびSTAは、通信に先立ち、自装置周辺の無線チャネルの使用状況を確認するキャリアセンス(Carrier sense:CS)を行なう。例えば、送信局であるAPは予め定められたクリアチャネル評価レベル(Clear channel assessment level:CCAレベル)よりも高い信号を該無線チャネルで受信した場合、該無線チャネルでの送信フレームの送信を延期する。以下では、該無線チャネルにおいて、CCAレベル以上の信号が検出される状態をビジー(Busy)状態、CCAレベル以上の信号が検出されない状態をアイドル(Idle)状態と呼ぶ。このように、各装置が実際に受信した信号の電力に基づいて行なうCSを物理キャリアセンス(物理CS)と呼ぶ。なおCCAレベルをキャリアセンスレベル(CS level)、もしくはCCA閾値(CCA threshold:CCAT)とも呼ぶ。なお、APおよびSTAは、CCAレベル以上の信号を検出した場合は、少なくともPHY層の信号を復調する動作に入る。
0041
APは送信する送信フレームに種類に応じたフレーム間隔(Inter frame space:IFS)だけキャリアセンスを行ない、無線チャネルがビジー状態かアイドル状態かを判断する。APがキャリアセンスする期間は、これからAPが送信する送信フレームのフレームタイプおよびサブフレームタイプによって異なる。IEEE802.11システムでは、期間の異なる複数のIFSが定義されており、最も高い優先度が与えられた送信フレームに用いられる短フレーム間隔(Short IFS:SIFS)、優先度が比較的高い送信フレームに用いられるポーリング用フレーム間隔(PCF IFS:PIFS)、最も優先度の低い送信フレームに用いられる分散制御用フレーム間隔(DCF IFS:DIFS)などがある。APがDCFでデータフレームを送信する場合、APはDIFSを用いる。
0042
APはDIFSだけ待機したあとで、フレームの衝突を防ぐためのランダムバックオフ時間だけ更に待機する。IEEE802.11システムにおいては、コンテンションウィンドウ(Contention window:CW)と呼ばれるランダムバックオフ時間が用いられる。CSMA/CAでは、ある送信局が送信した送信フレームは、他送信局からの干渉が無い状態で受信局に受信されることを前提としている。そのため、送信局同士が同じタイミングで送信フレームを送信してしまうと、フレーム同士が衝突してしまい、受信局は正しく受信することができない。そこで、各送信局が送信開始前に、ランダムに設定される時間だけ待機することで、フレームの衝突が回避される。APはキャリアセンスによって無線チャネルがアイドル状態であると判断すると、CWのカウントダウンを開始し、CWが0となって初めて送信権を獲得し、STAにデータフレームを送信できる。なお、CWのカウントダウン中にAPがキャリアセンスによって無線チャネルをビジー状態と判断した場合は、CWのカウントダウンを停止する。そして、無線チャネルがアイドル状態となった場合、先のIFSに続いて、APは残留するCWのカウントダウンを再開する。
0043
受信局であるSTAは、送信フレームを受信し、該送信フレームのPHYヘッダを読み取り、受信した送信フレームを復調する。そして、STAは復調した信号のMACヘッダを読み取ることで、該送信フレームが自装置宛てのものか否かを認識することができる。なお、STAは、PHYヘッダに記載の情報(例えば、VHT-SIG-Aの記載されるグループ識別番号(Group identifier:Group ID))に基づいて、該送信フレームの宛先を判断することも可能である。
0044
STAは、受信した送信フレームが自装置宛てのものと判断し、そして誤りなく送信フレームを復調できた場合、フレームを正しく受信できたことを示すACKフレームを送信局であるAPに送信しなければならない。ACKフレームは、SIFS期間の待機だけ(ランダムバックオフ時間は取られない)で送信される最も優先度の高い送信フレームの一つである。APはSTAから送信されるACKフレームの受信をもって、一連の通信を終了する。なお、STAがフレームを正しく受信できなかった場合、STAはACKを送信しない。よってAPは、フレーム送信後、一定期間(SIFS+ACKフレーム長)の間、受信局からのACKフレームを受信しなかった場合、通信は失敗したものとして、通信を終了する。このように、IEEE802.11システムの1回の通信(バーストとも呼ぶ)の終了は、ビーコンフレームなどの報知信号の送信の場合や、送信データを分割するフラグメンテーションが用いられる場合などの特別な場合を除き、必ずACKフレームの受信の有無で判断されることになる。
0045
STAは、受信した送信フレームが自装置宛てのものではないと判断した場合、PHYヘッダ等に記載されている該送信フレームの長さ(Length)に基づいて、ネットワークアロケーションベクタ(Network allocation vector:NAV)を設定する。STAは、NAVに設定された期間は通信を試行しない。つまり、STAは物理CSによって無線チャネルがビジー状態と判断した場合と同じ動作をNAVに設定された期間行なうことになるから、NAVによる通信制御は仮想キャリアセンス(仮想CS)とも呼ばれる。NAVは、PHYヘッダに記載の情報に基づいて設定される場合に加えて、隠れ端末問題を解消するために導入される送信要求(Request to send:RTS)フレームや、受信準備完了(Clear to send:CTS)フレームによっても設定される。
0046
各装置がキャリアセンスを行ない、自律的に送信権を獲得するDCFに対して、PCFは、ポイントコーディネータ(Point coordinator:PC)と呼ばれる制御局が、BSS内の各装置の送信権を制御する。一般にAPがPCとなり、BSS内のSTAの送信権を獲得することになる。
0047
PCFによる通信期間には、非競合期間(Contention free period:CFP)と競合期間(Contention period:CP)が含まれる。CPの間は、前述してきたDCFに基づいて通信が行なわれ、PCが送信権を制御するのはCFPの間となる。PCであるAPは、CFPの期間(CFP Max duration)などが記載されたビーコンフレームをPCFの通信に先立ちBSS内に報知する。なお、PCFの送信開始時に報知されるビーコンフレームの送信にはPIFSが用いられ、CWを待たずに送信される。該ビーコンフレームを受信したSTAは、該ビーコンフレームに記載されたCFPの期間をNAVに設定する。以降、NAVが経過する、もしくはCFPの終了をBSS内に報知する信号(例えば、CF-endを含んだデータフレーム)が受信されるまでは、STAはPCより送信される送信権獲得をシグナリングする信号(例えば、CF-pollを含んだデータフレーム)を受信した場合のみ、送信権を獲得可能である。なお、CFPの期間内では、同一BSS内でのパケットの衝突は発生しないから、各STAはDCFで用いられるランダムバックオフ時間を取らない。
0048
本実施形態に係る通信システムが備えるAPおよびSTAは、以上説明してきたCSMA/CAに基づいた一連の通信を行なう機能を備えているものとするが、必ずしもすべての機能を備えている必要はない。
0049
図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システムの下り回線(ダウンリンク)の一例を示す概略図である。図1の通信システムでは、AP1が存在し、1aは、AP1が管理可能な範囲(カバレッジ範囲、Basic service set(BSS))を示す。BSS1aにはAP1と接続するSTA2−1〜4と、既存の端末装置(従来の端末装置、レガシー端末装置)であるSTA3−1〜4が存在する。以下では、STA2−1〜4を単にSTA2または第1の無線受信装置とも呼称する。同様に、STA3−1〜4を単にSTA3または第2の無線受信装置とも呼称する。AP1、STA2、およびSTA3は、それぞれ対応可能な規格が異なる。例えば、AP1およびSTA2は、本発明を適用可能な装置であり、STA3は本発明が適用されない装置である。
0050
AP1、STA2、およびSTA3は、それぞれCSMA/CAに基づいて、通信を行なうものとする。本実施形態においては、各STA2およびSTA3がAP1と通信を行なうインフラストラクチャモードを対象とするが、本実施形態の方法は、STA同士が通信を直接行なうアドホックモードでも実施可能である。
0051
図2は、本発明の第1の実施形態に係るAP1の構成の一例を示すブロック図である。図3に示す通り、AP1は、上位層部101と、制御部102と、送信部103と、受信部104と、アンテナ105と、を備える。
0052
上位層部101は、媒体アクセス制御(MAC:Medium Access Control)層等の処理を行なう。また、上位層部101は、送信部103と、受信部104の制御を行なうための情報を生成し、制御部102に出力する。制御部102は、上位層部101と送信部103と受信部104を制御する。
0053
送信部103は、更に物理チャネル信号生成部1031と、フレーム構成部1032と、制御信号生成部1033と、無線送信部1034を備える。物理チャネル信号生成部1031は、AP1が各STAに送信するベースバンド信号を生成する。物理チャネル信号生成部1031が生成する信号は、各STAがチャネル推定に用いるTF(Training field)や、MSDU(MAC service data unit)で送信されるデータが含まれる。なお、図1においてSTA数を8としたため、STA2−1〜4およびSTA3−1〜4に送信するベースバンド信号を生成する例を示すが、本実施形態はこれに限定されない。
0054
フレーム構成部1032は、物理チャネル信号生成部1031が生成する信号と、制御信号生成部1033が生成する信号とを多重し、実際にAP1が送信するベースバンド信号の送信フレームを構成する。
0055
図3は、本実施形態に係るフレーム構成部1032が生成する送信フレームの一例を示す概略図である。送信フレームは、L−STF、L−LTF、VHT−STF、VHT−LTF等の参照信号を含む。また、送信フレームは、L−SIG、VHT−SIG−A、VHT−SIG−B等の制御情報を含む。また、送信フレームは、Data部分を含む。フレーム構成部1032が生成する送信フレームの構成は、図4に限るものではなく、他の制御情報(例えば、HT-SIG)や参照信号(例えば、HT-LTF)等を含んでも良い。また、フレーム構成部1032が生成する送信フレームはL−STFやVHT−SIG−Aなどの信号をすべて含む必要もない。なお、L−SIGなどが含む制御情報は、Data部分を復調するために必要となる情報であるから、以下ではL−SIGなどが含む制御情報を物理層ヘッダ(PHYヘッダ)とも記載する。
0056
フレーム構成部1032が生成する送信フレームは、いくつかのフレームタイプに分類される。例えば、フレーム構成部1032は、装置間の接続状態などを管理するマネージメントフレーム、装置間の通信状態を管理するコントロールフレーム、および実際の送信データを含むデータフレームの三つのフレームタイプの送信フレームを生成することができる。フレーム構成部1032は、生成する送信フレームが属するフレームタイプを示す情報を、Data部分で送信する媒体アクセス制御層ヘッダ(MACヘッダ)に含めることができる。
0057
無線送信部1034は、フレーム構成部1032が生成するベースバンド信号を無線周波数(Radio frequency(RF))帯の信号に変換する処理を行なう。無線送信部1034が行なう処理には、デジタル・アナログ変換、フィルタリング、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換等が含まれる。
0058
アンテナ105は、送信部103が生成した信号を、各STAに対して送信する。
0059
AP1は、各STAから送信された信号を受信する機能も備える。アンテナ105は、各STAから送信された信号を受信し、受信部104に出力する。
0060
受信部104は、物理チャネル信号復調部1041と無線受信部1042を備える。無線受信部1042は、アンテナ105から入力されたRF帯の信号をベースバンド帯の信号に変換する。無線受信部1042が行なう処理には、RF帯からベースバンド帯への周波数変換、フィルタリング、アナログ・デジタル変換等が含まれる。また、受信部104が行なう処理には、特定の周波数バンドにおいて周辺の干渉を測定し、該周波数バンドを確保する(キャリアセンス)機能が含まれていても良い。
0061
物理チャネル信号復調部1041は、無線受信部1042が出力するベースバンド帯の信号を復調する。物理チャネル信号復調部1041が復調する信号は、STA2およびSTA3が上り回線(上りリンク)で送信する信号であり、そのフレーム構成は、フレーム構成部1032が生成するデータフレームと同様である。よって、物理チャネル信号復調部1041は、データフレームの制御チャネルで送信される制御情報に基づいて、データチャネルより上りリンクデータを復調することができる。また、物理チャネル信号復調部1041には、キャリアセンス機能が含まれていても良い。なお、受信部104は、該周波数バンドにおける信号電力を制御部102を介して上位層部101に入力し、上位層部101がキャリアセンスに関連する処理を行なっても良い。
0062
AP1は、先に示したCSMA/CAに基づいて通信を行なうから、受信部104によるキャリアセンスによって確保可能な周波数バンドに対してのみ、送信フレームを送信できる。本実施形態に係るAP1や後述するSTA2は、CCAレベルを変更可能であり、例えば、レガシー端末装置であるSTA3が用いるCCAレベルよりも高いCCAレベルを使用することができる。
0063
本実施形態に係るAP1は、STA2に対して、レガシー端末装置であるSTA3とは異なるCCAレベルでのキャリアセンスを指示することが可能である。例えば、AP1はビーコンフレームのCCAフィールドにCCAレベルの値を直接記載することができる。STA2は、該ビーコンフレームを受信し、該CCAフィールドに記載のCCAレベルを読み取ることで、該ビーコンフレームを送信したAP1が管理する該BSS内において、STA2が使用可能なCCAレベルを把握することが可能となる。一方、レガシー端末装置であるSTA3は当該CCAフィールドを読み取ることはできないから、既存のCCAレベルに基づいて、通信を行なうことになる。以下では、STA3が用いるCCAレベルをレガシーCCAレベルと記載する。そして、特に説明がない限り、単にCCAレベルと記載した場合や、可変CCAレベルと記載した場合は、本発明が適用されたSTA2やAP1が用いることが可能なCCAレベルを指すものとする。また、STA2のみが用いることが可能なCCAレベルを第1のCCAレベル、レガシーCCAレベルを第2のCCAレベルとも記載する。
0064
また、AP1はCCAフィールドに、レガシーCCAレベルと、可変CCAレベルの差(CCAオフセット)を記載することも可能である。
0065
また、STA2は予めレガシーCCAレベルとは異なるCCAレベルを可変CCAレベルとして少なくとも一つ把握しておき、AP1は、ビーコンフレームにて、レガシーCCAレベルとは異なる可変CCAレベルを使用することを、STA2にシグナリングすることができる。この場合、CCAフィールドには、可変CCAレベルを用いるか否かを示す1ビットの情報が記載されることになる。
0066
なお、AP1は、以上の情報をビーコンフレーム以外のマネージメントフレームでシグナリングすることも可能である。また、AP1はCCAレベルに関する情報を、特定タイプの送信フレームでシグナリングするのではなく、例えば送信フレームのPHYヘッダに当該情報(例えば、CCAレベルやCCAオフセット)を含めることも可能である。
0067
なお、AP1は、必ずしもSTA2にレガシーCCAレベルとは異なるCCAレベルの利用指示をシグナリングする必要はない。例えば、AP1に接続している装置が殆どSTA2であったり、AP1が送信する信号のタイプ(種類)の殆どが、本発明が適用されたSTA2宛ての信号である場合や、AP1が受信する信号のタイプの殆どが、本発明が適用されたSTA2より受信された信号である場合、AP1は、STA2に対して、レガシーCCAレベルをシグナリングしても構わないし、CCAレベルの通知自体を止めても良い。
0068
ただし、AP1とSTA2が、レガシー端末装置であるSTA3よりも高いCCAレベルを用いる場合、AP1およびSTA2は、高い頻度で通信機会を獲得できる一方で、CCAレベルを変更できないSTA3は、ほとんど通信機会を獲得できない問題が発生する。
0070
図4は、本実施形態に係る通信の一例を示す図である。ここでは、STA2およびSTA3に、AP1宛ての送信フレームが発生している場合を仮定する。また、STA2およびSTA3の周辺の干渉レベルを併せて示している。はじめに、AP1は、周期的にビーコンフレームをBSS内に送信する。AP1は該ビーコンフレームに、CCAレベルを変更可能な区間(ダイナミックCCA区間、第1のCCA区間とも呼ぶ)と、CCAレベルを変更不可能な区間(レガシーCCA区間、第2のCCA区間とも呼ぶ)の長さおよび周期を示す情報を含めることができる。
0071
図5は本実施形態に係るAP1が送信するビーコンフレームの一例を示す概要図である。ビーコンフレームは、フレームタイプや、送信元アドレスなどを含むMACヘッダと、実際のデータを含むフレームボディ(Frame body)ならびにフレームに誤りがないかをどうかをチェックするフレーム検査部(Frame check sequence:FCS)で構成されている。本実施形態に係るAP1が生成するビーコンフレームのフレームボディには、レガシー端末であるSTA3も受信可能な既存のビーコンフレーム(レガシービーコンフレーム)も含んでいる、ビーコンが送信される周期(Beacon interval)やAP1を識別する情報(Service set identifier(SSID)等)を記載するフィールド(Field)が含まれる。本実施形態に係るAP1が生成するビーコンフレームのフレームボディには、更にSTA2がキャリアセンスを行なう際に使用するクリアチャネル評価(Clear channel assessment:CCA)に関する情報を記載するフィールド(CCAフィールド)と、第1のCCA期間の長さを記載するフィールド(Dynamic CCA periodフィールド)が含まれる。
0072
STA2は、CCAフィールドおよびDynamic CCA periodフィールドの値を読み取ることが可能であるから、第1のCCA期間の長さと、第1のCCA期間内でのCCAレベルを把握することができる。一方、STA3は、CCAフィールドおよびDynamic CCA periodフィールドの値を読み取ることができないから、ビーコンフレームとビーコンフレームの間の期間は、常に第2のCCAレベルでキャリアセンスを行なうことになる。
0073
なお、図5に示すビーコンフレームが送信された場合、AP1およびSTA2は、該ビーコンフレーム送信後に、第1のCCA区間が開始されるものと判断し、Dynamic CCA periodフィールドに記載の値が示す期間だけ、第1のCCAレベルに基づいて、キャリアセンスを行ない、該期間が終了したのち、第2のCCA区間が開始されるものと判断することができる。一方で、AP1はビーコンフレームに、第2のCCA期間の長さを記載するフィールド(Legacy CCA periodフィールド)を含めることができる。この場合、AP1およびSTA2は、該ビーコンフレーム送信後に、第2のCCA区間が開始されるものと判断し、Legacy CCA periodフィールドに記載の値が示す期間だけ、第2のCCAレベルに基づいて、キャリアセンスを行ない、該期間が終了したのち、第1のCCA区間が開始されるものと判断することができる。このように、AP1がSTA2に第1のCCA区間および第2のCCA区間の長さをシグナリングする方法は、何かに限定されるものではなく、STA2が、第1のCCA区間および第2のCCA区間の長さを把握可能とするAP1からのシグナリング、およびAP1とSTA2との間の予めの取決め(例えば、ビーコンフレーム後に第1のCCA区間が開始される等)が行なわれていれば良い。
0074
なお、図4においては、Beacon intervalの間に、第1のCCA区間と第2のCCA区間が1つずつ存在するが、AP1は、Beacon intervalの間に複数の第1のCCA区間と第2のCCA区間を設定しても良い。
0075
また、AP1は、第1のCCA区間と第2のCCA区間に関する情報を含んだビーコンフレーム(第1のビーコンフレーム)と、第1のCCA区間と第2のCCA区間に関する情報を含まないビーコンフレーム(第2のビーコンフレーム)を、それぞれ異なる周期で送信しても良い。この場合、AP1は、送信するビーコンフレームのフレームボディに、該ビーコンフレームが、第1のビーコンフレームか、第2のビーコンフレームかを示す情報を含めることができる。
0076
また、AP1は、第1のCCA区間の間に、第1のCCA区間の終了を示す信号(CCA End frame:CCA-Endフレーム)を送信することができる。STA2は、CCA−Endフレームを受信した場合、少なくとも次のビーコンフレームを受信するまでは、第2のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なうことになる。
0077
また、AP1は、ビーコンフレーム以外のフレーム(例えば、プローブ応答フレーム)に基づいて、先に示した第1のCCA区間の長さや周期をSTA2に通知することもできる。また、AP1は、先に示した第1のCCA区間の長さや周期に関する情報を、PHYヘッダに含めて、STA2に通知することも可能である。
0078
また、AP1の受信部104は、第1のCCA区間の間は、第1のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なうことが可能であるが、第2のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なっても良い。また、AP1の受信部104は、受信されたフレームの種類(タイプ)に応じて、第1のCCA区間においても、第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルを切り替えて用いても良い。例えば、AP1の受信部104は、受信されたフレームが、本発明が適用可能な規格のフレームであった場合には、第1のCCAレベルでキャリアセンスを行ない、一方で、受信されたフレームが、本発明が適用できない規格のフレームであった場合には、第2のCCAレベルでキャリアセンスを行なっても良い。
0079
また、AP1の受信部104は、送信部103が送信を予定しているフレームが、本発明が適用可能な規格のフレームであった場合には、第1のCCAレベルでキャリアセンスを行ない、一方で、送信部103が送信を予定しているフレームが、本発明が適用できない規格のフレームであった場合には、受信部104は第2のCCAレベルでキャリアセンスを行なっても良い。なお、AP1は、受信部104がキャリアセンスに用いているCCAレベルに基づいて、送信するフレームの優先度を変更しても良い。例えば、受信部104が第1のCCAレベルと第2のCCAレベルで、それぞれキャリアセンスを行なった結果、第1のCCAレベルならば無線リソースを確保可能と判断した場合、送信部103は本発明が適用可能な規格のフレームを優先的に送信するように制御されても良い。
0080
図4に戻り、時刻t1においては、干渉レベルは第1のCCAレベルを下回っているから、STA2は送信機会の獲得を試みることが可能である。STA2はDIFSおよびCWの間に干渉レベルが第1のCCAレベルを超えなかった場合、送信フレームを送信することができる。一方、STA3は、第2のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なうから、時刻t1では送信機会の獲得を試みることはない。
0081
次いで、時刻t2において、STA2もレガシーCCA区間となり、第2のCCAレベルでのキャリアセンスを開始する。時刻t2においては、依然として第2のCCAレベルを上回る干渉が存在するから、STA2も送信機会の獲得を試みない。
0082
次いで、時刻t3において干渉レベルが第2のCCAレベルを下回るから、STA2とSTA3はともに、送信機会の獲得を試みる。そして、DIFSとCWの合計期間が小さい端末(図4ではSTA3)が送信機会を獲得できる。よって、レガシーCCA区間においては、STA2とSTA3の送信機会を平等とすることができるから、CCAレベルを変更可能な通信システムにおいても、レガシーCCAレベルを用いるレガシー端末装置であるSTA3の送信機会の減少を、最小限とすることができる。
0084
上位層部201は、MAC層等の処理を行なう。また、上位層部201は、送信部203と、受信部204の制御を行なうための情報を生成し、制御部202に出力する。
0085
アンテナ205は、AP1が送信した信号を受信し、受信部204に出力する。
0086
受信部204は、物理チャネル信号復調部2041と制御情報モニタリング部2042と無線受信部2043を備える。無線受信部2043は、アンテナ205から入力されたRF帯の信号をベースバンド帯の信号に変換する。無線受信部2043が行なう処理には、RF帯からベースバンド帯への周波数変換、フィルタリング、アナログ・デジタル変換等が含まれる。
0087
制御情報モニタリング部2042は、無線受信部2043が出力するベースバンド帯の信号からAP1が送信する送信フレームのPHYヘッダ(例えば、L-SIGやVHT-SIG-A)に記載されている情報を読み取り、物理チャネル信号復調部2041に入力する。
0088
物理チャネル信号復調部2041は、制御情報モニタリング部2042が取得した制御情報に基づいて、AP1が送信した送信フレームを復調し、復調結果を、制御部202を介して、上位層部201に入力する。
0089
上位層部201は、物理チャネル信号復調部2041が復調したデータを、MAC層、LLC(Logical Link Control)層およびトランスポート層で、それぞれ解釈する。上位層部201のMAC層の処理として、AP1が送信した送信フレームから、CCAレベルに関する情報を取得できる。例えば、上位層部201はAP1が送信した送信フレームが、ビーコンフレームであると解釈した場合、該ビーコンフレームのCCAフィールドおよびDynamic CCA periodフィールドに記載されている、CCAレベルおよび第1のCCA区間の長さをそれぞれ取得することが可能である。また、取得したCCAレベルおよび第1のCCA区間の長さは、制御部202を介して受信部2043に入力されても良い。
0090
受信部204が行なう処理には、特定の周波数バンドにおいて周辺の干渉を測定(キャリアセンス)し、該周波数バンドを確保する機能が含まれていても良い。
0091
STA2は、信号を送信する機能も備える。アンテナ205は、送信部203が生成したRF帯の信号を、AP1に対して送信する。
0092
送信部203は、物理チャネル信号生成部2031と、無線送信部2032を備える。物理チャネル信号生成部2031は、STA2がAP1に送信するベースバンド帯の信号を生成する。物理チャネル信号生成部2031が生成する信号は、AP1のフレーム構成部1032が生成する送信フレームと同様の構成である。
0093
無線送信部2032は、物理チャネル信号生成部2031が生成したベースバンド帯の信号をRF帯の信号に変換する。無線送信部2032が行なう処理には、デジタル・アナログ変換、フィルタリング、ベースバンド帯からRF帯への周波数変換等が含まれる。
0094
ここで、STA2はCSMA/CAに基づいてAP1と接続しているから、送信部203の送信処理に先立って、受信部204がキャリアセンスを行なう。受信部204は、ある周波数バンドにおいて、指定されたCCAレベル以上の電力の信号を受信した場合は、少なくとも、PHY層の信号復調の動作に入ることができる。よって、受信部204が、該周波数バンドにおいて、PHY層の信号復調の動作に入らなかった場合、該周波数バンドは確保可能と判断されるから、送信部203は送信処理を開始可能である。
0095
なお、キャリアセンスによって、受信動作に入るか否か、および送信処理を開始可能であるか否かについては、受信部204が判断しても良い。一方で、受信部204は、該周波数バンドで測定した信号の電力を、制御部202を介して上位層部201に通知するのみとし、上位層部201が、該周波数バンドにおいて、受信部204が受信動作に入るか否か、および送信部203が送信処理を開始可能であるか否か(該周波数バンドを確保可能か否か)を判断しても良い。以下では、簡単のため、キャリアセンスに関連する判断は、受信部204が行なうものとして説明する。
0096
受信部204は、上位層部201より通知される第1のCCA区間の長さに基づいて、CCAレベルを変更する区間とレガシーCCAレベルを用いる区間を把握することができる。また、受信部204は、CCAレベルを変更する区間においては、上位層部201より通知されるCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なうことができる。例えば、受信部204の無線受信部2043が受信した信号の電力が、該CCAレベルより大きい場合は、受信部204は、当該周波数バンドを確保不能と判断する。一方で、受信部204の無線受信部2043が受信した信号の電力が、該CCAレベルより小さい場合は、受信部204は、当該周波数バンドを確保可能と判断可能である。よって、受信部204が用いるCCAレベルが高ければ高いほど、STA2の通信機会は大幅に増加する。
0097
一方で、通信システムが備えるSTA2の数が多く、そして各STA2が用いるCCAレベルが高い場合、各STA2が受信する信号には多くの干渉が含まれることになるから、STA2が送信する送信フレームの受信品質は低下してしまう。よって、AP1やSTA2の物理チャネル信号生成部1031および2031は、予め受信品質が低下することを見越して、変調レベルの低いデータ変調方式や、符号化率の低い誤り訂正符号を用いることができる。
0098
また、受信部204は、第1のCCA区間においても、受信した信号のタイプ(種類)に応じて、CCAレベルを変更しても構わない。例えば、受信部204が受信した信号が、本発明が適用された他のSTA2より送信された送信フレームと判断した場合のみ、AP1より通知されたCCAレベルでキャリアセンスを行なうことができる。一方で、受信部204は、受信した信号が、レガシー端末装置である他のSTA3より送信された送信フレームと判断した場合、レガシーCCAレベルでキャリアセンスを行なうことができる。また、受信部204は、第1のCCA区間においても、受信した信号がIEEE802.11システムに基づいた信号か否かで、CCAレベルを変更しても構わない。例えば、受信部204は受信した信号からPHYヘッダを読み取れなかった場合、IEEE802.11システムの信号ではないと判断し、第1のCCAレベルよりも高いCCAレベルでキャリアセンスを行なっても良い。なお、上位層部201が該周波数バンドを、確保可能か否かを判断する場合も同様である。
0099
また、受信部204は、第1のCCA区間においても、受信した信号の頻度(ヒストグラム)に応じて、CCAレベルを変更しても構わない。例えば、一定期間の間に受信部204が受信している信号の殆どが、本発明が適用された他のSTA2より送信された送信フレームであった場合、受信部204は、AP1より通知されたCCAレベルでキャリアセンスを行なうことが可能である。一方で、一定期間の間に受信部204が受信している信号の殆どが、本発明が適用されないSTA3より送信された送信フレームであった場合、受信部204は、レガシーCCAレベルでキャリアセンスを行なうことが可能である。なお、STA2は、上述したヒストグラムに関する情報を、AP1からシグナリングされることも可能である。なお、上位層部201が該周波数バンドを、確保可能か否かを判断する場合も同様である。
0100
また、AP1の受信部104は、第1のCCA区間の間は、第1のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なうことが可能であるが、第2のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なっても良い。また、AP1の受信部104は、受信されたフレームの種類(タイプ)に応じて、第1のCCA区間においても、第1のCCAレベルと、第2のCCAレベルを切り替えて用いても良い。例えば、AP1の受信部104は、受信されたフレームが、本発明が適用可能な規格のフレームであった場合には、第1のCCAレベルでキャリアセンスを行ない、一方で、受信されたフレームが、本発明が適用できない規格のフレームであった場合には、第2のCCAレベルでキャリアセンスを行なっても良い。
0101
また、STA2の受信部204は、送信部203が送信を予定しているフレームが、本発明が適用可能な規格のフレームであった場合には、第1のCCAレベルでキャリアセンスを行ない、一方で、送信部203が送信を予定しているフレームが、本発明が適用できない規格のフレームであった場合には、受信部204は第2のCCAレベルでキャリアセンスを行なっても良い。なお、STA2は、受信部204がキャリアセンスに用いているCCAレベルに基づいて、送信するフレームの優先度を変更しても良い。例えば、受信部204が第1のCCAレベルと第2のCCAレベルで、それぞれキャリアセンスを行なった結果、第1のCCAレベルでは、無線リソースを確保可能と判断した場合、送信部203は本発明が適用可能な規格のフレームを優先的に送信するように制御されても良い。
0102
また、受信部204が、第1のCCA区間において、第1のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なっている最中に、第2のCCA区間に移行してしまう場合がある。この場合、受信部204は、第1のCCAレベルに基づいたキャリアセンスを終了し(CWをリセットし)、第2のCCAレベルに基づいて再びキャリアセンスを行なうことができる。また、受信部204は、第1のCCAレベルに基づいてキャリアセンスを行なっている最中に第2のCCA区間に移行してしまう場合も、第1のCCAレベルに基づいたキャリアセンスを継続しても構わないし、第2のCCA区間に移行した時間から所定の時間だけ経ったあとで、CCAレベルを第2のCCAレベルに設定して、キャリアセンスを継続しても構わない。
0103
また、本実施形態が対象とする通信システムは、第2のCCA区間において、STA2は、レガシーCCAレベルよりも低いCCAレベル(第3のCCAレベル)でキャリアセンスを行なうことも可能である。この場合、AP1は、STA2に対して、ビーコンフレーム等を用いて第3のCCAレベルを通知することが可能である。
0104
なお、以上説明してきた方法では、基本的にAP1が送信するビーコンフレームに記載された情報に基づいて、AP1およびSTA2は第1のCCA区間と、第2のCCA区間を区別するが、AP1はビーコンフレーム以外の送信フレームによって、第1のCCA区間と第2のCCA区間を時間的に分けても良い。例えば、AP1は、STA2に、第1のCCA区間の開始を示すフレーム(CCA start frame:CCA-Startフレーム)と、CCA−Endフレームを送信することで、第1のCCA区間と、第2のCCA区間を分けることも可能である。また、AP1は、CCA−Startフレームと、CCA−Endフレームを、全STA2にブロードキャストしても良いし、特定のSTA2に送っても良いし、特定のSTA2のグループに送信しても良い。この場合、CCA−Startフレームを受信したSTA2は、次にCCA−Endフレームを受信するまでは、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なうことが可能となる。
0105
以上説明してきたAP1およびSTA2によれば、AP1およびSTA2は、既存のSTA3よりも高いCCAレベルに基づいた通信を行なう一方で、既存のSTA3の通信機会も確保可能な通信システムが可能となるから、通信システムのシステムスループットを大幅に改善可能である。
0106
[2.第2の実施形態]
本実施形態が対象とする通信システムは、仮想キャリアセンスによって、第1のCCA区間と第2のCCA区間を切り替える。
0107
本実施形態が対象とする通信システムの概要、AP1およびSTA2の構成は、実施形態1と同様であるから説明は省略する。また、AP1は第1の実施形態と同様に、ビーコンフレーム等によって、STA2に第1のCCAレベルを通知しているものとする。
0108
本実施形態に係る通信システムでは、AP1は、第1のCCA区間の前に、STA3も把握可能なCTS−to−selfフレーム(以下ではLegacy CTS-to-selfフレームまたは第2のリソース確保フレームと呼ぶ)を送信する。CTS−to−selfフレームは、宛先アドレスに送信局のアドレスが記載されたCTSフレームであるから、CTS−to−selfフレームを受信した受信局は、該CTS−to−selfフレームに記載されたデュレーションに応じてNAVを設定し、通信機会の獲得を試みない。よって、AP1は、第1のCCA区間の長さをデュレーションとして記載したCTS−to−selfフレームを送信することで、レガシー端末装置であるSTA3は、第1のCCA区間の間は、通信機会の獲得を試みない。一方、本実施形態に係るSTA2は、Legacy CTS−to−selfフレームを受信してもNAVを設定せずに、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なう。このように制御することで、レガシー端末装置であるSTA3は、比較的送信機会の獲得が困難である第1のCCA区間において、送信機会の獲得を試みないので、キャリアセンスに係る負担を軽減できる。一方で、第1のCCA区間では、第1のCCAレベルでキャリアセンス可能なSTA2だけが送信機会の獲得を試みるから、通信システムの周波数利用効率を改善できる。
0109
加えて、AP1は、第2のCCA区間の前に、STA3は把握できないが、STA2は把握することが可能なCTS−to−selfフレーム(以下ではCCA CTS-to-selfフレームまたは第1のリソース確保フレームと呼ぶ)に、第2のCCA区間の長さをデュレーションとして記載して送信する。CCA CTS−to−selfフレームのフレーム構成は何かに限定されるものではないが、例えば、STA3が把握できないPHYヘッダを備えた構成とすれば良い。STA3は、CCA CTS−to−selfフレームを、CTS−to−selfフレームとして認識できないから、CCA CTS−to−selfフレームを受信したあとは、第2のCCAレベルに基づいてDCFにて通信を行なうことが可能である。一方、STA2は、CCA CTS−to−selfフレームを受信した場合は、該CCA CTS−to−selfフレームに記載されたデュレーションに基づいてNAVを設定するから、第2のCCA区間の間は通信機会の獲得を試みない。よって、第2のCCA区間においては、STA3のみが送信機会の獲得を試みることになるから、STA2とSTA3が混在する通信システムにおいても、STA3の送信機会を確保することが可能となる。
0110
図7は本実施形態に係る通信の一例を示す図である。AP1ははじめに、第1のCCA区間(ダイナミックCCA区間)の前に、第1のCCA区間の長さ(図7ではt1〜t2の長さ)をデュレーションとして記載したLegacyCTS−to−selfフレームを送信する。STA3は、Legacy CTS−to−selfフレームに記載されたデュレーションだけNAVを設定する。一方で、STA2は、Legacy CTS−to−selfフレームを受信しても、NAVの設定はせずに、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なう。
0111
一方で、AP1は第2のCCA区間の前に、第2のCCA区間の長さ(図7ではt3〜t4の長さ)をデュレーションとして記載したCCACTS−to−selfフレームを送信する。STA2は、CCA CTS−to−self信号に記載されたデュレーションだけNAVを設定する。一方で、STA3は、CCA CTS−to−selfフレームをCTS−to−selfフレームとは認識できないから、CCA CTS−to−selfフレームを受信したあとは、第2のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なうことができる。
0112
なお、LegacyCTS−to−selfおよびCCA CTS−to−selfに記載されたデュレーション以外の区間におけるSTA2の動作の仕方については、何かに限定されるものではない。例えば、STA2は、図7におけるt2〜t3の間の期間は、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なうことができる。
0113
また、STA2は、CCACTS−to−self信号を受信した場合に、CCA CTS−to−self信号に記載されたデュレーションの期間は、第2のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なっても構わない。
0114
また、AP1は、LegacyCTS−to−selfフレームを送信する際に、該フレームの宛先アドレスに、自装置のアドレス(第2のアドレス)ではなく、STA2と予め取り決めた第1のアドレスを記載しても良い。例えば、AP1は該フレームの宛先アドレスに、第1のアドレスとしてブロードキャストアドレスを記載することができる。STA2は、第1のアドレスが記載されたLegacy CTS−to−selfフレームを受信した場合には、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行ない、第2のアドレスが記載されたLegacy CTS−to−selfフレームを受信した場合には、通信を停止することができる。このように制御することで、本発明が適用できないレガシーAPが送信した、自装置のアドレス(第2のアドレス)を記載したLegacy CTS−to−selfフレームを受信した場合に、STA2が、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を開始してしまう問題を回避できる。
0115
なお、AP1が送信するリソース確保フレームは、上述してきたCTS−to−selfフレームに限定されるものではない。例えば、本実施形態に係るAP1とSTA2は、RTSフレームとCTSフレームをやり取りすることで、第1のCCA区間と、第2のCCA区間を時間的に分けることが可能である。
0116
この場合、AP1は、第1のCCA区間の前に、BSS内の特定のSTA2に、STA3も認識可能なRTSフレーム(Legacy RTSフレームと呼ぶ)に、第1のCCA区間の長さを、デュレーションとして記載して送信する。該Legacy RTSフレームを受信したSTA2は、AP1に対して、STA3も認識可能なCTSフレーム(Legacy CTSフレームと呼ぶ)に、該Legacy RTSフレームに記載の第1のCCA区間を示すデュレーションから、該Legacy CTSフレームの送受信に要する期間を引いた期間をデュレーションとして記載して送信する。Legacy RTSフレーム、もしくはLegacy CTSフレームを受信したSTA3は、それぞれのフレームに記載されたデュレーションだけNAVを設定するから、第1のCCA区間の間は、通信機会の獲得を試みない。一方で、Legacy RTSフレーム、もしくはLegacy CTSフレームを受信(もしくは送信)したAP1およびSTA2は、それぞれのフレームに記載されたデュレーションの間は、第1のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なう。
0117
一方、AP1は、第2のCCA区間の前に、BSS内の特定のSTA2に、STA3は認識できないRTSフレーム(CCA RTSフレームと呼ぶ)に、第2のCCA区間の長さを、デュレーションとして記載して送信する。該CCA RTSフレームを受信したSTA2は、AP1に対して、STA3は認識できないCTSフレーム(CCA CTSフレームと呼ぶ)に、該CCA RTSフレームに記載の第2のCCA区間を示すデュレーションから、該CCA CTSフレームの送受信に要する期間を引いた期間をデュレーションとして記載して送信する。CCA RTSフレーム、もしくはCCA CTSフレームを受信(もしくは送信)したSTA2は、それぞれのフレームに記載されたデュレーションだけNAVを設定するから、第2のCCA区間の間は、通信機会の獲得を試みない。一方で、STA3は、CCARTSもCCACTSも認識できないから、第2のCCA区間の間は、第2のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なう。このように制御することで、AP1は、第1のCCA区間と、第2のCCA区間を、時間的に分けることが可能である。なお、STA2は、CCA RTSもしくはCCA CTSを受信したとき、NAVを設定するのではなく、それぞれのフレームに記載されたデュレーションの期間の間は、第2のCCAレベルに基づいて、DCFにて通信を行なっても構わない。
0118
以上説明してきたAP1およびSTA2によれば、AP1およびSTA2は、既存のSTA3よりも高いCCAレベルに基づいた通信を行なう一方で、既存のSTA3の通信機会も確保可能な通信システムが可能となるから、通信システムのシステムスループットを大幅に改善可能である。
0119
[3.全実施形態共通]
本発明に係るAP1、STA2およびSTA3で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであっても良い。また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。
0120
また、市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。また、上述した実施形態におけるAP1、STA2およびSTA3の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現しても良い。AP1、STA2およびSTA3の各機能ブロックは個別にチップ化しても良いし、一部、または全部を集積してチップ化しても良い。各機能ブロックを集積回路化した場合に、それらを制御する集積回路制御部が付加される。
0121
また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
0122
なお、本願発明は上述の実施形態に限定されるものではない。本願発明のAP1、STA2およびSTA3は、移動局装置への適用に限定されるものではなく、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、例えば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器などに適用出来ることは言うまでもない。
0123
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も請求の範囲に含まれる。
0124
本発明は、無線送信装置、無線受信装置、通信システムおよび通信方法に用いて好適である。
0125
なお、本国際出願は、2014年10月31日に出願した日本国特許出願第2014−222235号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2014−222235号の全内容を本国際出願に援用する。
0126
1AP
2、2−1、2−2、2−3、2−4、3、3−1、3−2、3−3、3−4 STA
101、201 上位層部
102、202 制御部
103、203 送信部
104、204 受信部
105、205アンテナ
1031、2031物理チャネル信号生成部
1032フレーム構成部
1033制御信号生成部
1034、2032無線送信部
1041、2041 物理チャネル信号復調部
1042、2043無線受信部
2042制御情報モニタリング部