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課題
解決手段
概要
背景
近年、マイコンのようなプログラム可能な演算装置の周辺回路として、AD変換機能が組み込まれ多チャンネルで信号のAD変換を可能とするICが急速に普及している。また、これらICは素子の高集積化が進み、低消費電力化の要請から駆動電圧は5V〜3.3Vとだんだんと低下する傾向にある。そのため,これらICに付属するAD変換機能も、0〜5Vや0〜3.3Vの範囲での利用制限があり、正負両極性に振れる信号をAD変換するためには事前に入力信号を上記範囲内の電圧値に縮小して変換する必要がある。
上記のような制限があるAD変換器に対して、入力信号を縮尺して変換することでAD変換を可能にする技術が非特許文献1に開示されている。非特許文献1においては、入力電圧をvin、AD変換に用いる参照電圧をvrefとし、変換式をv=(0.63×Vref×1.6+Vin×0.4)/2とすれば、vin=2.5vrefのときv=1.004vrefへ、vin=−2.5vrefのとき0.004vrefへ変換される。よって、−2.5vref≦vin≦2.5vrefの入力電圧は、0.004vref≦v≦1.004vrefへ変換され、vref以下の正極性の入力のみ受け付けるAD変換器によって変換が可能となる。これを実現する抵抗分圧回路は、0.63vrefの電圧源側に例えば400Ωを、vin入力端子の後に1.6kΩを繋ぎ、これら2つの抵抗を直列接続し、接続点から電圧を取り出せば上述の変換式の関係になる。
概要
所定の範囲にある両極性の入力電圧を縮小変換することなく、単極性の電圧をAD変換する単極性AD変換器を利用できるためのインターフェース回路及び信号処理装置等を提供する。インターフェース回路10は、単極性の信号に対してAD変換を行うAD変換器11の処理対象となる入力信号であって、当該入力信号が両極性の値を有しており、前記入力信号を正極性の領域を有する信号と負極性の領域を有する信号とに分離し、一方の極性の信号を他方の極性に反転して2つの同一極性の単極性の信号に変換する変換手段を備える。また、インターフェース回路10で変換された2つの単極性信号がAD変換器11でAD変換された結果に基づいて、2つの単極性信号を元の両極性信号に再構成する再構成処理部12を備える。
目的
本発明は、所定の範囲にある両極性の入力電圧を縮小変換することなく、単極性の電圧をAD変換する単極性AD変換器を利用できるためのインターフェース回路及び信号処理装置等を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
単極性の信号に対してAD変換を行うAD変換器の処理対象となる入力信号であって、当該入力信号が両極性の値を有しており、前記入力信号を正極性の領域を有する信号と負極性の領域を有する信号とに分離し、一方の極性の信号を他方の極性に反転して2つの同一極性の単極性信号に変換する変換手段を備えることを特徴とするインターフェース回路。
請求項2
請求項1に記載のインターフェース回路において、前記変換手段が、前記入力信号に対して符号反転回路で符号を反転し、符号が反転した前記入力信号の一方の極性領域部分を第1の反転型理想ダイオード回路で単極性信号に変換する第1変換手段と、前記入力信号に対して当該入力信号の波形における前記一方の極性領域部分を第2の反転型理想ダイオード回路で単極性信号に変換する第2変換手段とを有するインターフェース回路。
請求項3
請求項2に記載のインターフェース回路において、前記第1の反転型理想ダイオード回路及び前記第2の反転型理想ダイオード回路は、オペアンプの負極入力端子とオペアンプの出力端子との間に第1のダイオードが配設され、オペアンプ出力端子から回路の出力端子の間に第2のダイオードが配設されているインターフェース回路。
請求項4
請求項3に記載のインターフェース回路において、前記第2のダイオードが同方向に直列に複数接続されているインターフェース回路。
請求項5
請求項1に記載のインターフェース回路において、前記変換手段が、前記入力信号に対して当該入力信号の波形における一方の極性領域部分を第1の非反転型理想ダイオード回路で単極性信号に変換する第3変換手段と、前記入力信号に対して符号反転回路で符号を反転し、符号が反転した前記入力信号の前記一方の極性領域部分を第2の非反転型理想ダイオード回路で単極性信号に変換する第4変換手段とを有するインターフェース回路。
請求項6
請求項5に記載のインターフェース回路において、前記第1の非反転型理想ダイオード回路及び前記第2の非反転型理想ダイオード回路は、オペアンプ出力端子とグランドとの間に第3のダイオードが配設され、回路の出力端子とオペアンプの出力端子との間に第4のダイオードが配設されているインターフェース回路。
請求項7
請求項6に記載のインターフェース回路において、前記第4のダイオードが同方向に直列に複数接続されているインターフェース回路。
請求項8
請求項5に記載のインターフェース回路において、前記第1の非反転型理想ダイオード及び前記第2の非反転型理想ダイオード回路が、前記入力信号の極性に応じて異なる論理レベルの制御信号を出力するコンパレータ回路と、前記コンパレータ回路の出力制御信号に応じて接続/非接続を切り替える第1の非反転型理想ダイオード用の第1のスイッチと、前記コンパレータ回路の出力制御信号に応じて接続/非接続を切り替える第2の非反転型理想ダイオード用の第2のスイッチと、前記第2のスイッチを制御する前記コンパレータ回路からの出力制御信号の論理レベルを反転するインバータとを有するインターフェース回路。
請求項9
請求項1ないし8のいずれかに記載のインターフェース回路で変換された2つの単極性信号が前記AD変換器でAD変換された結果に基づいて、2つの前記単極性信号を元の両極性信号に再構成する再構成手段を備える信号処理装置。
請求項10
技術分野
0001
本発明は、単極性の信号に対してAD変換を行うAD変換器(以下、単極性AD変換器という)に入力される入力信号を変換するインターフェース回路等に関する。
背景技術
0002
近年、マイコンのようなプログラム可能な演算装置の周辺回路として、AD変換機能が組み込まれ多チャンネルで信号のAD変換を可能とするICが急速に普及している。また、これらICは素子の高集積化が進み、低消費電力化の要請から駆動電圧は5V〜3.3Vとだんだんと低下する傾向にある。そのため,これらICに付属するAD変換機能も、0〜5Vや0〜3.3Vの範囲での利用制限があり、正負両極性に振れる信号をAD変換するためには事前に入力信号を上記範囲内の電圧値に縮小して変換する必要がある。
0003
上記のような制限があるAD変換器に対して、入力信号を縮尺して変換することでAD変換を可能にする技術が非特許文献1に開示されている。非特許文献1においては、入力電圧をvin、AD変換に用いる参照電圧をvrefとし、変換式をv=(0.63×Vref×1.6+Vin×0.4)/2とすれば、vin=2.5vrefのときv=1.004vrefへ、vin=−2.5vrefのとき0.004vrefへ変換される。よって、−2.5vref≦vin≦2.5vrefの入力電圧は、0.004vref≦v≦1.004vrefへ変換され、vref以下の正極性の入力のみ受け付けるAD変換器によって変換が可能となる。これを実現する抵抗分圧回路は、0.63vrefの電圧源側に例えば400Ωを、vin入力端子の後に1.6kΩを繋ぎ、これら2つの抵抗を直列接続し、接続点から電圧を取り出せば上述の変換式の関係になる。
先行技術
発明が解決しようとする課題
0005
しかしながら、非特許文献1に記載の技術では入力電圧の幅が縮小されてAD変換器に入力されることとなる。上記例において具体的な数値を挙げると、vref=5[V]とした場合に、−12.5[V]≦vin≦12.5[V]が、おおよそ0[V]≦vin≦5[V]となり約1/5程度に縮小されてしまう。入力電圧の幅が縮小されると、その分1ビット当たりの電圧値が小さくなるため雑音が大きな問題となる。
課題を解決するための手段
0007
本発明に係るインターフェース回路は、単極性の信号に対してAD変換を行うAD変換器の処理対象となる入力信号であって、当該入力信号が両極性の値を有しており、前記入力信号を正極性の領域を有する信号と負極性の領域を有する信号とに分離し、一方の極性の信号を他方の極性に反転して2つの単極性の信号に変換する変換手段を備えるものである。
0008
このように、本発明に係るインターフェース回路においては、単極性の信号に対してAD変換を行うAD変換器の処理対象となる入力信号であって、当該入力信号が両極性の値を有しており、前記入力信号を正極性の領域を有する信号と負極性の領域を有する信号とに分離し、一方の極性の信号を他方の極性に反転して2つの単極性の信号に変換する変換手段を備えるため、入力信号が両極性の電圧値を有する場合であっても、単極性AD変換器でAD変換を行うことが可能になるという効果を奏する。すなわち、AD変換を行う際には入力信号を単極性の信号に変換し、AD変換後に元の入力信号に再構成することで、両極性の入力電圧を縮小変換することなく単極性AD変換器を利用することができる。
図面の簡単な説明
0009
第1の実施形態に係るインターフェース回路を用いた信号処理システムの機能ブロック図である。
第1の実施形態に係るインターフェース回路において入力信号となる信号fの一例を示す図である。
図2における信号fを正極性領域のみに存在する部分と負極性領域のみに存在する部分とに分離した場合の信号を示す図である。
反転型理想ダイオードの回路構成及び入出力特性を示す第1の図である。
反転型理想ダイオードを用いた場合のインターフェース回路の構成を示すブロック図である。
反転型理想ダイオードの回路構成及び入出力特性を示す第2の図である。
非反転型理想ダイオードの回路構成を示す図である。
第2の実施形態に係るインターフェース回路においてコンパレータ回路に入力信号fの波形を入力した場合の出力波形の一例を示す図である。
第2の実施形態におけるインターフェース回路の構成を示す図である。
第3の実施形態に係るインターフェース回路の反転型理想ダイオードの回路構成を示す図である。
実施例
0010
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るインターフェース回路及び信号処理装置について、図1ないし図6を用いて説明する。以下の本実施形態では、一例としてMPUなどのマイクロコントローラに組み込まれたAD変換器におけるAD変換処理について説明する。本実施形態に係るインターフェース回路は、正極又は負極のいずれかの単極性の信号をAD変換する単極性AD変換器に対して入力信号を入力する場合に、処理対象となる入力信号が両極性の値を有する場合であっても電圧値を縮小することなく単極性に変換するインターフェース回路である。
0011
すなわち、単極性の入力信号しか処理できないAD変換器に対して、両極性の入力信号が処理対象となる場合、上述したように入力信号を単極性の信号に縮小変換する必要があり、ノイズが大きな問題となってしまう。仮にノイズの問題が解決できるとしても、ノイズを高精度に除去するために極めて複雑な装置構成になってしまい、あるいは微細な素子を高精度でシリコンチップ上に作り込む必要があり、製造が困難になると共にコストも非常に大きくなってしまう。本実施形態においては、両極性の入力信号を縮小することなく単極性の入力信号に変換することで、簡単な構成でノイズの問題を生じさせることなく単極性AD変換器でのAD変換を可能とする。
0012
また、インターフェース回路で変換された信号に対してAD変換器によるAD変換が行われた後は、その値をソフトウェアで元の両極性信号の値に復元する再構成処理を行うことで、元の入力信号をそのままデジタル変換した信号として後段の演算処理に利用することが可能となる。
0013
図1は、本実施形態に係るインターフェース回路を用いた信号処理システムの機能ブロック図である。信号処理システム1は、両極性の電圧値を有する入力信号を正の領域を有する信号と負の領域を有する信号とに分離し、一方の極性の信号を他方の極性に反転して2つの単極性の信号に変換するインターフェース回路10と、複数のチャンネルでAD変換処理を多重化して(マルチプレクシングで)行うAD変換器11と、インターフェース回路10で分離された2つの信号を元の両極性信号に再構成する再構成処理部12と、再構成された信号を用いてデジタル処理を実行する演算処理部13とを備える。
0014
なお、再構成処理部12の処理は、例えば図1における信号処理全体を制御するマイクロコントローラが行うようにしてもよいし、マイクロコントローラの上位に高性能なコンピュータが接続される場合は、その高性能コンピュータの演算処理部13が行うようにしてもよい。後者の場合は、再構成処理部12と演算処理部13とは一体的な構成となる。
0015
インターフェース回路10及び再構成処理部12の処理について、以下詳細に説明する。まず、本発明における信号処理の原理について説明する。以下の説明では0<vrefを仮定する。本発明における信号処理は、−vref<v<vrefの範囲にある入力電圧vを縮小変換することなく0〜vref間の電圧をAD変換可能な単極性AD変換器でAD変換するものである。図2は、本実施形態に係るインターフェース回路において入力信号となる信号fの一例を示す図である。図2における信号fは、正の領域において変化する部分fpと負の領域において変化する部分fnを有する両極性信号である。
0016
図3は、図2における信号fを正極性領域のみに存在する部分(図3(A))と負極性領域のみに存在する部分(図3(B))とに分離した場合の信号を示している。また、図3(C)は図3(B)の波形を極性反転したものである。図3(A)の信号をfp、図3(B)の信号をfnとすると、図3(C)の信号は−(fn)となる。ここで、信号fが負になる部分ではfp=0とし、信号fが正になる部分ではfn=0とする。これにより、f=fp+fnの関係式が成り立ち、第2項のfnを反転させるとf=(fp)−(−fn)となる。
0017
上記の式からfは0を含む正極性領域のみに存在する2つの信号の減算で与えられる。fpもfnも0を含む正極性領域に存在するので第1項も第2項も0〜Vref間の信号をAD変換する単極性AD変換器によってAD変換することができる。第1項と第2項とを個別にAD変換し、fpに対するAD変換後の時系列を{an}、−fnに対するAD変換後の時系列を{bn}とすれば、{an−bn}によって信号fに対するAD変換出力を再構成することができる。すなわち、図3(A)のfpと図3(B)のfnとを別々にAD変換器11で数値化し、数値化後にソフトウェアによってfpの変換で得られる時系列から−fnの変換で得られる時系列を減算する。
0018
図2の信号fから図3(A)の正極側の波形を抽出するためには、信号fをオペアンプで一旦極性反転した状態で反転型理想ダイオード回路に入力し、その出力波形を取得する。反転型理想ダイオード回路は図4(A)に示すような回路構成となっており、図4(B)に示すような入出力特性を有する。
0019
ここで、一般的なシリコンのPN接合のダイオードの場合、順方向電圧が0.7V程度からようやく電流が流れ始める。反転型理想ダイオード回路は、図4(A)に示すように、ダイオードの向きをアノードからカソードに向かう方向とし、当該ダイオードをオペアンプの負極入力端子とオペアンプの出力端子の間に出力端子へ向かう方向に1つ配設し、オペアンプ出力端子から回路の出力端子の間に回路の出力端子へ向かう方向に1つ配設した構成となっている。そのため、図4(B)に示すように負極性領域にある信号のみを正極性側に出力し、波形歪みが生じない特性を有する。
0020
図3(A)に戻って、上述したように、信号fを極性反転してから反転型理想ダイオード回路に入力することで、信号fの極性反転が2回行われ、正極性側の波形fpが得られる。図3(C)に示す信号fの負極側を極性反転した波形を抽出するためには、信号fをそのまま図4に示す回路構成(図4(A))及び入出力特性(図4(B))を有する理想ダイオード回路に入力する。こうすることで信号fの負極側の波形を正極側に反転した波形−fnを得ることができる。
0021
図5は、図4に示す反転型理想ダイオード回路を用いた場合のインターフェース回路10の構成を示すブロック図である。図5において、インターフェース回路10は、信号fを(−1)倍の増幅率で符号を反転する符号反転回路51と、入力された信号に対して負極性領域の波形のみを出力する反転型理想ダイオード回路52a,52bとを備える。反転型理想ダイオード回路52aからは信号fの正極性部分の波形(fp)のみが出力され、反転型理想ダイオード回路52bからは信号fの負極性部分の波形が正極側に反転された状態(-fn)で出力される。それぞれの反転型理想ダイオード回路52a,52bから出力された信号は同一極性の単極性信号となっているため、AD変換器11の異なるチャンネル(iチャンネル,jチャンネル)に入力されてマルチプレクシングでAD変換処理が可能となる。
0022
なお、図6に示すような他の反転型理想ダイオードを用いることもできる。図6は、他の反転型理想ダイオードの回路構成及び入出力特性を示す図であり、図6(A)が回路構成、図6(B)が入出力特性を示す。図4の反転型理想ダイオードと異なるのは、ダイオードの向きが逆になっているため、入出力特性が反転される(正電圧に対して負電圧が出力される)。この図6に示す反転型理想ダイオードを用いた場合は、抽出される2つの単極性信号がそれぞれ負極(−fp,fn)となるが、0<vrefの場合には、それぞれの信号を再度極性反転することで0<vrefを満たす単極性信号を得ることができる。この図6に示す他の反転型理想ダイオードを用いる場合は、図5における符号反転回路51が、反転型理想ダイオード52aの前段ではなく反転型理想ダイオード52bの前段に配設された構成となる。
0023
また、図4及び図5においては、反転型理想ダイオード回路を用いた場合の処理について説明したが、図7に示すような非反転型理想ダイオード回路を用いても上記と同様の処理を実現することが可能である。例えば、図7(A)においては、非反転型理想ダイオード回路は、信号入力が正の入力端子に加えられ、負の入力端子へは出力電圧を抵抗を介して帰還する。このときオペアンプの出力端は過度に負電圧にならないようアノード側がグランドに接続されたダイオードでクランプされる。また、負の出力電圧が出力されないように、アノードをオペアンプ出力端側にカソードを回路の出力端側にしてオペアンプ出力端に挿入し、ダイオードに電流が流れないときは回路の出力端が常に0Vになるよう回路の出力端とグランドとの間には抵抗が接続された構成である。すなわち、図7に示す非反転型理想ダイオード回路は、正極性領域にある信号のみを正極性側に出力し、又は負極性領域にある信号のみを負極性側に出力すると共に、波形歪みが生じない特性を有するものである。図7(A)の非反転型理想ダイオード回路を用いる場合は、負極性側の信号fnを抽出する際に符号反転回路51により予め信号のfの符号が反転され、図7(B)の非反転型理想ダイオード回路を用いる場合は、正極性側の信号fpを抽出する際に符号反転回路51により予め信号のfの符号が反転される。
0024
図5のインターフェース回路10から出力された信号は上述したようにAD変換器11でAD変換される。仮にAD変換器11が2つのAD変換機能を有しており、2つの信号に対してそれぞれをAD変換処理できる場合は、それぞれの信号(fp,-fn)に対するAD変換処理を同時に行うことができる。一方、AD変換器11が複数のチャンネルでAD変換処理を多重化して行う場合は、それぞれの信号(fp,-fn)に対するAD変換処理がマルチプレクシングで行われる。この場合、処理対象となる入力信号fに対してサンプリング周波数を十分に高くしておく必要がある。
0025
AD変換器11でAD変換処理された2つの信号(fp,-fn)は、再構成処理部12により元の両極性信号に再構成される。具体的には、AD変換器11で数値化された後にソフトウェアによってfpの変換時系列の要素から同一タイミングでサンプリングされた-fnの変換時系列の要素を減算することで、元の両極性信号の値に戻す。
0026
以上のような処理により、複雑な構成や処理を行わなくても、0〜Vrefの間でAD変換が可能な単極性AD変換器で-Vref〜Vref間に存在する両極性の電圧波形を取り扱うことが可能となる。
0027
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係るインターフェース回路及び信号処理装置について、図8及び図9を用いて説明する。本実施形態においては、基本的な原理は前記第1の実施形態の場合と同じであるが、インターフェース回路10において、図2に示す入力波形から図3に示す波形を抽出する際にコンパレータ回路を用いたスイッチ制御で非反転型理想ダイオード回路を実現するものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態を重複する説明は省略する。
0028
図8は、コンパレータ回路に入力信号fの波形を入力した場合の出力波形の一例を示す図であり、図8(A)が入力波形、図8(B)が出力波形を示す図である。また、図9は、本実施形態におけるインターフェース回路の構成を示す図である。図8において、コンパレータ回路は、図8(A)に示す入力波形の正負に応じて図8(B)に示すようなハイレベル電圧とローレベル電圧とを出力する。ここでは、正極性の値の場合にハイレベル電圧、負極性の値の場合にローレベル電圧が出力される。図9においては、図8(B)のハイレベル電圧とローレベル電圧とを利用したスイッチの制御を行うことで、信号fの正極部分の波形(fp)と信号fの負極部分の波形を極性反転した波形(-fn)を抽出する。
0029
図9の構成についてより詳細に説明する。図9においてインターフェース回路10は、信号fを(-1)倍の増幅率で符号を反転する符号反転回路51と、電気的な接続をON/OFFするスイッチ92a,92bと、当該スイッチ92a,92bのON/OFFを信号fの正負に応じて制御するための制御信号を出力するコンパレータ回路93と、スイッチ92bの制御信号を反転するインバータ94とを備える。
0030
信号fの正極性側の波形(fp)は、コンパレータ回路93の出力のハイレベル電圧でスイッチ92aをON、ローレベル電圧でスイッチ92aをOFFにすることで抽出することができる。一方、信号fの負極性側を極性反転した波形(-fn)は、符号反転回路51により信号fの符号を反転させた状態で、スイッチ92bのON/OFFをコンパレータ回路93の制御信号とインバータ94とで制御することで抽出される。すなわち、信号fの極性を反転させた状態で、インバータ94によりハイレベル電圧とローレベル電圧とが反転したコンパレータ93の出力制御信号のハイレベル電圧でスイッチ92bをONとしローレベル電圧でスイッチ92bをOFFとする。この結果、信号fの負極性側を極性反転した波形(-fn)を得ることができる。
0031
このように、本実施形態においては、コンパレータ回路93とインバータ94とによってON/OFFが制御される2つのスイッチ92a,92bを用いることで非反転型理想ダイオード回路を実現することができる。
0032
なお、AD変換後の再構成処理については、前記第1の実施形態の場合と同じであるため詳細な説明は省略する。
0033
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係るインターフェース回路及び信号処理装置について、図10を用いて説明する。±5V電源で駆動される電子回路の出力が±5V近くまで到達する場合がある。これは、rail-to-rail型と呼ばれるオペアンプを用いた時がそうである。このような電圧を上記の反転型又は非反転型理想ダイオード回路で単極性に変換したとしても3.3V電源で駆動されるAD変換器内蔵型のマイクロコントローラICにそのまま入力すると、当該マイクロコントローラICを破壊する危険性がある。例えば、既に製品化されているマイクロコントローラICで、3.3Vの単極性で動作し、3.3V+0.6Vを最大定格とするものがある。この場合、3.3Vを超えると内蔵されたAD変換器はオーバーフローするが、超えた電圧が0.6V未満であれば破壊を免れることができる。本実施形態に係るインターフェース回路においては、例えば±5Vの電源で駆動されるオペアンプ回路の出力を3.3Vで駆動されるAD変換器に入力するような場合であっても、AD変換器の破壊を回避することができる回路構成となっているものである。
0034
図10は、本実施形態に係るインターフェース回路の反転型理想ダイオード回路の回路構成を示す図である。図4に示す反転型理想ダイオード回路と異なるのは、最終段に2つのダイオードが直列接続されている点である。この回路構成は、図4の反転型理想ダイオード回路と同じ回路特性を持つが、最終段のダイオードにシリコンダイオードを用いることで順方向の下降電圧が約0.7Vとなり、反転型理想ダイオード回路の出力は、5V−0.7V×2=3.6Vを越えることはない。つまり、±5Vの電源で駆動されるrail to rail型のオペアンプ回路(出力電圧が正の電源電圧および負の電源電圧の近くまで振れるタイプのオペアンプ回路)の出力を3.3Vで駆動されるAD変換器に入力しても、AD変換器が破壊されることがなく、機器を護ることができる。
0035
このように、本実施形態においては、反転型理想ダイオード回路の最終段に複数のダイオードを直列接続することにより、それらのダイオードによる降下電圧でAD変換器の破壊等を防止することができる。
0036
なお、AD変換後の再構成処理については、前記第1の実施形態の場合と同じであるため詳細な説明は省略する。また、非反転型理想ダイオード回路においても最終段に複数のダイオードを直列接続することにより、それらのダイオードによる降下電圧でAD変換器の破壊等を防止することが可能である。
0037
1信号処理システム
10インターフェース回路
11AD変換器
12再構成処理部
13演算処理部
51符号反転回路
52a,52b反転型理想ダイオード回路
92a,92b スイッチ
93コンパレータ回路
94 インバータ