図面 (/)
課題
解決手段
請求項1
量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質を改善する方法であって、前記量子化信号の信号レベルを変更することを含む信号品質を改善する方法。
請求項2
量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質を改善する方法であって、第1信号品質値を求め、第2信号品質値を求め、前記第1信号品質値と前記第2信号品質値との比較結果に基づいて、対象量子化信号の信号レベルを決定することを含み、前記対象量子化信号は、前記列に含まれる量子化信号であり、前記第1信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、第1レベルである場合における信号品質値であり、前記第2信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、前記第1レベルとは異なる第2信号レベルである場合における信号品質値である信号品質を改善する方法。
請求項3
量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号における誤り検出方法であって、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出することを含む誤り検出方法。
請求項4
前記量子化信号の誤りは、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときに、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値が改善する変化が生じることで検出される請求項3に記載の誤り検出方法。
請求項5
前記信号品質は、隣接チャネル漏洩電力比である請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
請求項6
量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号を受信する受信器と、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する検出器と、を備える通信装置。
請求項7
前記検出器によって誤りが検出された前記量子化信号の信号レベルを変更する誤り補償器を更に備える請求項6に記載の通信装置。
請求項8
前記検出器は、第1信号品質値と第2信号品質値との比較結果に基づいて、前記列に含まれる対象量子化信号の誤りを検出するよう構成され、前記第1信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、第1レベルである場合における信号品質値であり、前記第2信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、前記第1レベルとは異なる第2信号レベルである場合における信号品質値である請求項6又は7に記載の通信装置。
請求項9
アナログ信号を表す量子化信号の列の誤りを検出するためのコンピュータプログラムであって、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する動作をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
技術分野
0001
本開示は、信号品質を改善する方法、誤り検出方法、通信装置及びコンピュータプログラムに関する。
背景技術
0002
特許文献1は、デルタシグマ変調器から出力されたデルタシグマ変調信号を信号伝送路に出力する送信機を開示している。デルタシグマ変調信号は、量子化信号の列からなる。特許文献1に開示の技術によれば、無線周波数信号を、デジタル信号である量子化信号列として伝送することができる。デルタシグマ変調信号は、受信側において、フィルタを通過することで、復調される。例えば、デルタシグマ変調信号が、無線周波数信号を復調したものであれば、デルタシグマ変調がフィルタを通過することにより、無線周波数信号に復調される。
先行技術
0003
特開2013−220437号公報
発明が解決しようとする課題
0004
デルタシグマ変調信号を伝送路に伝送すると、伝送路中において雑音が印加されることがある。雑音が印加されると、量子化信号に誤り(error)が生じることがある。量子化信号に誤りが生じると、デルタシグマ変調信号から復調された信号の品質が劣化する。
0005
したがって、量子化信号に生じる誤りに対処することが望まれる。
課題を解決するための手段
0006
本開示のある側面は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質を改善する方法である。開示の前記方法は、前記量子化信号の信号レベルを変更することを含む。
0007
本開示の他の側面において、信号品質を改善する方法は、第1信号品質値を求め、第2信号品質値を求め、前記第1信号品質値と前記第2信号品質値との比較結果に基づいて、対象量子化信号の信号レベルを決定することを含み、前記対象量子化信号は、前記列に含まれる量子化信号であり、前記第1信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、第1レベルである場合における信号品質値であり、前記第2信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、前記第1レベルとは異なる第2信号レベルである場合における信号品質値である。
0008
本開示の更に他の側面は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号における誤り検出方法である。開示の前記方法は、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出することを含む。
0009
本開示の更に他の側面は、通信装置である。開示の通信装置は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号を受信する受信器と、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する検出器と、を備える。
0010
本開示の更に他の側面は、アナログ信号を表す量子化信号の列の誤りを検出するためのコンピュータプログラムである。開示のコンピュータプログラムは、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する動作をコンピュータに実行させる。
発明の効果
0011
本開示によれば、量子化信号に生じる誤りに対処することができる。
図面の簡単な説明
0012
図1は、通信システムのブロック図である。
図2は、第2通信装置のハードウェア構成図である。
図3は、伝送路における雑音の影響を示す回路モデルである。
図4は、図3の回路モデルと等価な誤り発生モデルである。
図5は、誤りデータCn及び誤り時間波形ΣCnh(t−Tn)の図である。
図6は、デルタシグマ変調信号の電力スペクトラムである。
図7は、誤り検出及び補償処理のフローチャートである。
図8は、誤り検出結果を示す図である。
図9は、変形例に係る通信システムのブロック図である。
図10は、変形例に係る誤り検出及び補償処理のフローチャートである。
実施例
0013
[本開示の実施形態の説明]
0014
(1)実施形態に係る方法は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質を改善する方法である。実施形態に係る方法は、前記量子化信号の信号レベルを変更することを含む。量子化信号の信号レベルは、デルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質に影響を与えるため、量子化信号の信号レベルを変更することで、信号品質を改善することができる。信号品質は、例えば、隣接チャネル漏洩電力比、又はSN比である。
0015
(2)実施形態に係る方法は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号から復調される信号の信号品質を改善する方法である。実施形態に係る方法は、第1信号品質値を求め、第2信号品質値を求め、前記第1信号品質値と前記第2信号品質値との比較結果に基づいて、対象量子化信号の信号レベルを決定することを含む。前記対象量子化信号は、前記列に含まれる量子化信号である。前記第1信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、第1レベルである場合における信号品質値である。前記第2信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、前記第1レベルとは異なる第2信号レベルである場合における信号品質値である。対象量子化信号が、どの信号レベルをとるかによって、信号品質値が変化するため、信号レベル毎の信号品質値を考慮することで、対象量子化信号の適切な信号レベルを決定できる。
0016
(3)実施形態に係る方法は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号における誤り検出方法である。実施形態に係る方法は、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出することを含む。量子化信号の誤りは、復調された信号品質値に影響を与えるため、量子化信号の信号レベルの変化に対応した信号品質値の変化から、量子化信号の誤りを検出できる。
0017
(4)前記量子化信号の誤りは、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときに、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値が改善する変化が生じることで検出されるのが好ましい。信号レベルの変更により信号品質値が改善すれば、変更前の信号レベルは誤っていると判定できる。
0018
(5)前記信号品質は、隣接チャネル漏洩電力比であるのが好ましい。この場合、復調される信号の隣接チャネル漏洩電力比を改善することができる。
0019
(6)実施形態に係る通信装置は、量子化信号の列からなるデルタシグマ変調信号を受信する受信器と、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、前記デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する検出器と、を備える。
0021
(8)前記検出器は、第1信号品質値と第2信号品質値との比較結果に基づいて、前記列に含まれる対象量子化信号の誤りを検出するよう構成され、前記第1信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、第1レベルである場合における信号品質値であり、前記第2信号品質値は、前記対象量子化信号の信号レベルが、前記第1レベルとは異なる第2信号レベルである場合における信号品質値であるのが好ましい。
0022
(9)実施形態に係るコンピュータプログラムは、アナログ信号を表す量子化信号の列の誤りを検出するためのコンピュータプログラムである。実施形態に係るコンピュータプログラムは、前記量子化信号の信号レベルを変更させたときにおける、デルタシグマ変調信号から復調された信号品質値の変化に基づいて、前記量子化信号の誤りを検出する動作をコンピュータに実行させる。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な、非一時的な記憶媒体に格納される。
0023
[本開示の実施形態の詳細]
0024
図1は、実施形態に係る通信システム10を示している。通信システム10は、第1通信装置11及び第2通信装置12を含む。第1通信装置11は、第2通信装置12へ、信号を送信する。信号は、信号伝送路15を伝搬する。伝送路15は、無線伝送路であってもよいし、光ファイバー等の有線伝送路であってもよい。
0025
第1通信装置11は、デルタシグマ変調器(delta-sigma modulator; DSM)111を備える。デルタシグマ変調器111は、原信号をデルタシグマ変調して得られるデルタシグマ変調信号を出力する。以下では、原信号は、一例として、無線周波数信号である。
0026
デルタシグマ変調器111は、例えば、バンドパス−デルタシグマ変調器(bandpass-DSM; BP-DSM)である。実施形態において、デルタシグマ変調器111は、1bitデルタシグマ変調器である。すなわち、実施形態のデルタシグマ変調器111は、2値の量子化信号を出力する。ここでは、量子化信号は、+1及び−1のいずれか一方の値(信号レベル)をとる。+1及び−1は、伝送される信号の強度に対応する。例えば、光信号伝送であれば、強い光が+1に相当し、弱い光が−1に相当する。電気信号伝送であれば、高い電圧が+1に相当し、低い電圧が−1に相当する。なお、量子化信号がとる信号レベルは2つに限らず、3以上であってもよい。
0027
デルタシグマ変調器111は、デルタシグマ変調により生成された量子化信号の列、すなわちパルス列、を出力する。信号伝送時において、デルタシグマ変調信号は、複数の量子化信号が時間方向に並んだ信号波形を有する。1つの量子化信号は、量子化信号の列における1サンプリング周期分の信号、すなわち、1つのサンプル(sample)である。各サンプルは、+1及び−1のいずれか一方の値をとる。
0028
デルタシグマ変調信号は、無線周波数信号などの原信号の成分を有する。したがって、デルタシグマ変調信号を、バンドパスフィルタなどのフィルタに通すことで、原信号が復調される。
0029
第1通信装置11は、デルタシグマ変調信号を、伝送路15へ出力する。第2通信装置12は、第1通信装置11によって送信されたデルタシグマ変調信号を受信する。このように、第1通信装置11と第2通信装置12との間の伝送は、パルス列であるデルタシグマ変調信号が伝送されるデジタル信号伝送である。
0030
第2通信装置12は、受信器121を備える。受信器121は、伝送路15を通って伝送されてきたデルタシグマ変調信号を受信する。受信器121は、コンパレータ122を備える。コンパレータ122は、受信信号の信号レベルが+1であるか−1であるかを判定する。つまり、コンパレータ122は、受信信号を2値化する。受信信号のレベルは、伝送中における雑音印加により変動することがある。このため、受信器121が、受信信号を2値化した際に、誤りを生じることがある。誤りは、送信された量子化信号が+1であるのに、−1であると受信器121が判定することで生じる。また、誤りは、送信された量子化信号が−1であるのに、+1であると受信器121が判定することで生じる。
0031
第2通信装置12は、バッファ123を備える。バッファ123は、コンパレータ122により2値化された信号、すなわち、受信器121において信号レベルが判定された量子化信号を保存する。バッファ123は、複数の量子化信号を保存する。ここでは、バッファ123は、少なくとも、所定の時間区間分のN個(Nは、2以上の整数)の量子化信号を保存できる容量を有する。
0032
第2通信装置12は、受信した量子化信号の誤りを検出する誤り検出器131を備える。実施形態の誤り検出器131は、バッファ123に保存された量子化信号を読み出して、誤り検出をする。誤り検出器131の詳細については後述する。
0033
第2通信装置12は、誤り補償器151を備える。誤り補償器151は、誤りが検出された量子化信号の信号レベルを変更する。量子化信号が2値である場合、信号レベルの変更は、信号レベルの反転でよい。すなわち、信号レベルが+1である量子化信号が誤りであることが検出されると、誤り補償器151は、その量子化信号の信号レベルを−1に反転させる。また、信号レベルが−1である量子化信号が誤りであることが検出されると、誤り補償器151は、その量子化信号の信号レベルを+1に反転させる。なお、量子化信号が3値以上である場合、誤り補償器151は、量子化信号の信号レベルを、適切な他の信号レベルに変更する。
0034
図2は、第2通信装置12のハードウェア構成を示している。第2通信装置12は、誤り検出及び誤り補償処理を実行するコンピュータ200を備えている。コンピュータ200は、プロセッサ210と記憶装置220と、を備える。コンピュータ200は、受信器121に接続されている。コンピュータ200は、受信器121から量子化信号を受け取り、量子化信号を、バッファ123として機能する記憶装置220に保存する。
0035
記憶装置220には、コンピュータ200を誤り検出器131及び誤り補償器151として機能させるコンピュータプログラム230が格納されている。なお、コンピュータプログラム230が格納される記憶領域と、バッファ123として機能する記憶領域は、それぞれ別体の記憶装置によって構成されていてもよい。
0036
プロセッサ210は、記憶装置220に格納されたコンピュータプログラム230を読み出して実行する。コンピュータプログラム230は、プロセッサ210に、誤り検出及び補償処理211を実行させる。コンピュータプログラム230は、プロセッサ210に誤り検出の動作を実行させるプログラムコードと、プロセッサ210に誤り補償の動作を実行させるプログラムコードと、を含む。誤り検出の動作を実行したプロセッサ210は、図1に示す誤り検出器131として機能する。誤り補償の動作を実行したプロセッサ210は、図1に示す誤り補償器151として機能する。なお、誤り検出器131及び誤り補償器151の少なくともいずれか一方は、ソフトウェアによって実現されるのではなく、ハードウェアロジック回路によって構成されてもよい。
0037
以下、誤り検出器131の詳細について説明するが、理解の容易のため、誤り検出器131自体の説明に先立って、デルタシグマ変調信号の伝送における雑音の影響について説明する。
0038
図3は、伝送路15における雑音の影響を示す回路モデルM1を示している。図3に示すように、デルタシグマ変調器111から出力されたデルタシグマ変調信号は、伝送路15を通って伝送される。デルタシグマ変調信号には、伝送中に雑音が印加される。伝送先において、デルタシグマ変調信号に含まれる各量子化信号は、コンパレータにより信号レベル判定、すなわち、2値化がなされる。ただし、雑音が印加された量子化信号を2値化すると、誤りが生じることがある。2値化された信号列、すなわち量子化信号列を、バンドパスフィルタ132に通すと、原信号である無線周波数信号f(t)に復調される。ただし、誤った量子化信号を含む量子化信号列をバンドパスフィルタ132に通すと、得られる信号f(t)の信号品質が劣化する。例えば、誤った量子化信号があると、信号f(t)の隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)が劣化する。
0039
雑音による誤りは、送信された量子化信号の信号レベルが+1であるのに、雑音によって−1に変化することで生じる。また、誤りは、送信された量子化信号の信号レベルが−1であるのに、雑音によって+1に変化することで生じる。
0040
図4は、図3の回路モデルM1と等価である誤り発生モデルM2,M3,M4を示している。誤り発生モデルM2が示すように、誤りは、デルタシグマ変調信号に誤りデータCnが加算されていると解釈できる。すなわち、雑音により信号レベルが+1から−1に変化することは、伝送路15中に存在する加算器301に、誤りデータCn=−2が加算されたと考えることができる。雑音により信号レベルが−1から+1に変化することは、加算器301に、誤りデータCn=+2が加算されたと考えることができる。雑音による影響がない場合には、加算器301に、誤りデータCn=0が加算されたと考えることができる。
0042
図4に示す誤り発生モデルM4では、誤り発生モデルM3のバンドパスフィルタ322から加算器301に与えられる信号が、バンドパスフィルタ322のインパルス応答h(t)に誤りデータCnを乗算したものCnh(t−Tn)に変更されている。なお、Tnは、デルタシグマ変調信号の1bit(1つの量子化信号)の時間伝送速度の逆数である。
0043
図5は、誤り発生モデルM4に与えられる誤りE1の例を示している。図5に示す誤りE1は、誤りデータCn及び誤り時間波形ΣCnh(t−Tn)を含む。図5では、+2又−2である誤りデータCnが、7つ設けられている。+2又−2である誤りデータCnの発生時点の誤り時間波形Cnh(t−Tn)は、バンドパスフィルタ322のインパルス応答h(t)に誤りデータCnを乗算したものCnh(t−Tn)になっている。
0044
図6は、デルタシグマ変調信号の電力スペクトラムSの例を示している。図6に示す電力スペクトラムSは、131072サンプル(131072個の量子化信号)からなるデルタシグマ変調信号の電力スペクトラム(図6における”BP-DSMwithout error”)と、同じデルタシグマ変調信号中の131サンプルに+2又は−2である誤りデータCnを挿入した場合の電力スペクトラム(図6における”BP-DSM with error”)と、を含む。”BP-DSM with error”の誤り率は、10−4である。なお、図6における分解能帯域幅(RBW)は、78.1kHzである。
0045
図6に示すように、”BP-DSMwithout error”における隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)は、周波数の低いチャネルから順に、52.0dB,52.2dB,50.5dB,51.4dBである。一方、”BP-DSM with error”における隣接チャネル漏洩電力比(ACLR)は、周波数の低いチャネルから順に、35.3dB,36.1dB,36.6dB,36.2dBである。図6から明らかなように、”BP-DSM with error”の方が、隣接チャネル漏洩電力が増加しており、隣接チャネル漏洩電力比によって示される信号品質が劣化している。
0046
このように、信号品質値である隣接チャネル漏洩電力比は、量子化信号の誤りによって影響を受ける。したがって、ある量子化信号の信号レベルを変更したときに、信号品質が改善した場合、その量子化信号は誤っていることを検出できる。すなわち、信号レベル変更前の量子化信号は誤っており、信号レベル変更後の量子化信号が正しいと判定できる。一方、ある量子化信号の信号レベルを変更したときに、信号品質が悪化した場合、信号レベル変更前の量子化信号は正しいと判定できる。
0047
また、量子化信号が、3以上の信号レベルをとり得る場合、信号品質が最も良くなる信号レベルが正しく、それ以外の信号レベルは誤っていると判定できる。誤り補償は、信号品質が最も良くなる信号レベルへの変更によって行える。
0048
以上によれば、量子化信号の誤りは、当該量子化信号への誤りデータCnの付加であると考えることができる。したがって、誤りデータCnを相殺するように、量子化信号の信号レベルを変更すれば、誤りを補償して、信号品質を改善することができる。また、量子化信号の誤りは、デルタシグマ変調信号から復調された信号の品質に影響を与えるため、量子化信号の信号レベルを変更させてみたときの信号品質値の変化により、誤りの有無を検出することができる。
0049
図1に示す誤り検出器131は、上記の観点から構成されている。
0050
図1に示す誤り検出器131は、バッファ123から読み出されたN個の量子化信号からなるデルタシグマ変調信号を通過させるバンドパスフィルタ132を備える。第2通信装置12が受信したデルタシグマ変調信号に誤りが含まれている場合、バンドパスフィルタ132の出力は、原信号波形f(t)に、誤り波形ΣCnh(t−Tn)が加算されたf(t)+ΣCnh(t−Tn)になっている(図4の誤り発生モデルM4参照)。
0051
誤り検出器131は、バンドパスフィルタ132のインパルス応答h(t)に補償データDnを乗算する乗算器134を備える。補償データDnは、−2,0,及び+2のいずれか一つの値をとる。補償データDnは、誤りデータCnを相殺するために用いられる。誤り検出器131は、バンドパスフィルタ132の出力f(t)に、乗算器134の出力を加算する加算器133を備える。
0052
誤り検出器131は、加算器133の出力が与えられるACLR測定器135を備える。ACLR測定器135は、信号品質測定器の一例である。ACLR測定器135は、加算器133の出力信号の隣接チャネル漏洩電力比、すなわち、信号品質値を求める。
0053
誤り検出器131は、ACLR測定器135から出力された複数のACLRを比較する比較器136を備える。比較器136による比較結果により、量子化信号における誤りの有無が検出される。誤りがある場合には、誤り補償器151により、量子化信号の誤りが訂正される。
0055
まず、図7に示すステップS11において、誤り検出器131は、変数nを、1にセットする。ステップS12において、誤り検出器131は、バッファ123に保存された、所定の時間区間分のN個の量子化信号Q1〜QNをバンドパスフィルタ132に与える。このとき、補償データDnは0にセットされている。したがって、加算器133におけるDnh(t−Tn)の加算がない状態で、バンドパスフィルタ132の出力がACLR測定器135に与えられる。つまり、バッファ123に保存されたN個の量子化信号Q1〜QNそのものがバンドパスフィルタ132を通過したときのACLRが測定される。ステップS12において、測定されたACLRを、第1ACLR又は第1信号品質値という。
0056
ステップS13において、誤り検出器131は、N個の量子化信号Q1〜QNのうち、n番目の量子化信号Qnをバッファ123から読み出す。ステップS14において、誤り検出器131は、量子化信号Qnの信号レベルを判定する。量子化信号Qnの信号レベルが、−1である場合、ステップS15において、補償データDnを+2にセットし、+1である場合、ステップS16において、補償データDnを−2にセットする。
0057
ステップS17において、誤り検出器131は、バッファ123に保存された、所定の時間区間分のN個の量子化信号Q1〜QNをバンドパスフィルタ132に与える。バンドパスフィルタ132の出力には、加算器133により、Dnh(t−Tn)が加算される。加算器133の出力が、ACLR測定器135に与えられる。つまり、バッファ123に保存されたN個の量子化信号Q1〜QNのうち、n番目の量子化信号Qnの信号レベルが反転したもの、すなわち補償データDnによって補償されたもの、がバンドパスフィルタ132を通過したときのACLRが測定される。ステップS17において、測定されたACLRを、第2ACLR又は第2信号品質値という。
0058
ステップS18において、誤り検出器131は、第1ACLRと第2ACLRとを比較する。第1ACLRよりも第2ACLRの品質が良い場合、ステップS19において、量子化信号Qnは誤りであることが検出される。量子化信号Qnが誤りである場合、ステップS20において、誤り補償器151は、量子化信号Qnを反転させる、すなわち、量子化信号Qnを他の信号レベルへ変更する。
0059
ステップS13からステップS20までの処理は、nが1からNになるまで繰り返される(ステップS21及びステップS22参照)。繰り返しにより、N個の量子化信号それぞれについて、誤りの有無が検出され、誤りがあれば補償される。誤りの補償により、バッファ123に保存されたデルタシグマ変調信号から復調される信号の品質を改善できる。
0060
図8は、誤りE2の例を示している。図8に示す誤りの例E2は、”Er data”及び”Decoder Er data”を含む。図8に示す”Er data”は、デルタシグマ変調信号に対して実験的に印加した誤りデータCnの時間位置示している。また、図8に示す”Decoder Er data”は、誤りデータCnが印加されたデルタシグマ変調信号において、誤り検出器131によって実際に誤りが検出された量子化信号の時間位置を示している。図8に示すように、誤り検出器131は、挿入された誤りを正しく検知できている。
0062
図9に示す誤り検出器131は、バッファ123に保存されたN個の量子化信号Q1〜QNそのものが与えられる第1バンドパスフィルタ141と、レベル反転器142を介して与えられる第2バンドパスフィルタ143と、を備える。第1バンドパスフィルタ141の出力は、第1ACLR測定器145に与えられる。第1ACLR測定器145によって測定されたACLRを第1ACLR又は第1信号品質値という。第2バンドパスフィルタ143の出力は、第2ACLR測定器146に与えられる。第2ACLR測定器146によって測定されたACLRを第2ACLR又は第2信号品質値という。誤り検出器131は、比較器148を備える。比較器148は、第1ACLRと第2ACLRとを比較して、誤りの有無を検出する。
0064
まず、図10に示すステップS101において、誤り検出器131は、変数nを、1にセットする。ステップS102において、誤り検出器131は、バッファ123に保存された、所定の時間区間分のN個の量子化信号Q1〜QNを第1バンドパスフィルタ141に与える。第1バンドパスフィルタ141の出力は第1ACLR測定器145に与えられ、第1ACLRが測定される。
0065
ステップS107において、誤り検出器131は、バッファ123に保存された、所定の時間区間分のN個の量子化信号Q1〜QNのうち、n番目の量子化信号Qnの信号レベルだけが判定された量子化信号列を第2バンドパスフィルタ143に与える。第2バンドパスフィルタ144の出力は第2ACLR測定器146に与えられ、第2ACLRが測定される。
0066
ステップS108において、誤り検出器131は、第1ACLRと第2ACLRとを比較する。第1ACLRよりも第2ACLRの品質が良い場合、ステップS109において、量子化信号Qnは誤りであることが検出される。量子化信号Qnが誤りである場合、ステップS110において、誤り補償器151は、量子化信号Qnを反転させる、すなわち、量子化信号Qnを他の信号レベルへ変更する。
0067
ステップS107からステップS110までの処理は、nが1からNになるまで繰り返される(ステップS11及びステップS112参照)。繰り返しにより、N個の量子化信号それぞれについて、誤りの有無が検出され、誤りがあれば補償される。誤りの補償により、バッファ123に保存されたデルタシグマ変調信号から復調される信号の品質を改善できる。
0068
[付記]
0069
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
0070
10 :通信システム
11 :第1通信装置
12 :第2通信装置
15 :伝送路
111 :デルタシグマ変調器
121 :受信器
122 :コンパレータ
123 :バッファ
131 :誤り検出器
132 :バンドパスフィルタ
133 :加算器
134 :乗算器
135 :ACLR測定器
136 :比較器
141 :第1バンドパスフィルタ
142 :レベル反転器
143 :第2バンドパスフィルタ
144 :第2バンドパスフィルタ
145 :第1ACLR測定器
146 :第2ACLR測定器
148 :比較器
151 :誤り補償器
200 :コンピュータ
210 :プロセッサ
211 :誤り検出補償処理
220 :記憶装置
230 :コンピュータプログラム
301 :加算器
321 :バンドパスフィルタ
322 :バンドパスフィルタ
Cn :誤りデータ
Dn :補償データ
h(t) :インパルス応答
M1 :回路モデル
M2 :誤り発生モデル
M3 :誤り発生モデル
M4 :誤り発生モデル
Qn :量子化信号