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技術 遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラム

出願人 三菱重工業株式会社
発明者 益子哲行水野智広
出願日 2019年4月15日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-076975
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-177266
状態 未査定
技術分野 CAD
主要キーワード 要求荷重 積層モデル 各積層部材 対称状態 多目的最適化 初期世代 隣接方向 最終世代
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

自動的により適切な積層順を設計することのできる遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムを提供することを目的とする。

解決手段

遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置1であって、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを用いて複数の個体モデルを生成し、初期世代個体群とする初期世代生成部11と、生成された個体群の各個体モデルを、所定のセル区分けし、各セルにおける積層パターンに対して、対称性隣接方向性、及び連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価部12と、個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異により新たな個体モデルを生成し、次世代として個体群を更新する次世代生成部14とを備える。

概要

背景

プリプレグに代表されるような一方向材または織物材を積層することによって、CFRPGFRP等の複合材が製造される(例えば、特許文献1)。積層する材料としては、予め樹脂含侵されたものや、樹脂が含侵されていない繊維だけのものなどが存在する。

概要

自動的により適切な積層順を設計することのできる遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムを提供することを目的とする。遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置1であって、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを用いて複数の個体モデルを生成し、初期世代個体群とする初期世代生成部11と、生成された個体群の各個体モデルを、所定のセル区分けし、各セルにおける積層パターンに対して、対称性隣接方向性、及び連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価部12と、個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異により新たな個体モデルを生成し、次世代として個体群を更新する次世代生成部14とを備える。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、自動的により適切な積層順を設計することのできる遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデル複数通り順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代個体群とする初期世代生成部と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセル区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価部と、前記個体群の各個体モデルを前記評価部の評価に基づいて順位付けを行うランキング部と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成部と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定部と、を備える遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置

請求項2

前記評価部は、前記個体モデルにおいて、各前記セルに対して前記指標を用いて評価を行い、前記個体モデルにおける各前記セルの評価を総合して、前記個体モデルの評価を行う請求項1に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項3

前記評価部は、複数種類の前記指標を用いて前記セルにおける前記積層パターンを評価する場合に、各前記指標に基づく評価のノルムによって前記セルを評価する請求項1または2に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項4

前記交叉は、順序交叉または部分写像交叉である請求項1から3のいずれか1項に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項5

前記突然変異は、選択した前記個体モデルにおける前記積層部材モデルの積層状態において、積層方向において所定幅区間を選択し、前記区間における前記積層部材モデルの積層順組み替える請求項1から4のいずれか1項に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項6

前記所定幅は、前記個体モデルにおける前記積層部材モデルの総積層数に対して4分の1以下の範囲で予め設定されている請求項5に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項7

前記次世代生成部は、前記交叉、前記複製、及び前記突然変異の少なくともいずれか1つの処理を、各前記処理に対して予め設定された発生確率に基づいて選択し、所定の世代の前記個体群を作成する場合に、前記突然変異に関する前記発生確率を上昇させる請求項1から6のいずれか1項に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項8

前記評価部は、前記指標と、最外側に積層された前記積層部材モデルの方向性とに基づいて評価を行う請求項1から7のいずれか1項に記載の遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置。

請求項9

荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを複数通りの順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代の個体群とする初期世代生成工程と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセルに区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価工程と、前記個体群の各個体モデルを前記評価工程の評価に基づいて順位付けを行うランキング工程と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成工程と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定工程と、を有する遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計方法

請求項10

荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを複数通りの順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代の個体群とする初期世代生成処理と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセルに区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価処理と、前記個体群の各個体モデルを前記評価処理の評価に基づいて順位付けを行うランキング処理と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成処理と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定処理と、をコンピュータに実行させるための遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計プログラム

技術分野

0001

本発明は、遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムに関するものである。

背景技術

0002

プリプレグに代表されるような一方向材または織物材を積層することによって、CFRPGFRP等の複合材が製造される(例えば、特許文献1)。積層する材料としては、予め樹脂含侵されたものや、樹脂が含侵されていない繊維だけのものなどが存在する。

先行技術

0003

米国特許第6555488号明細書

発明が解決しようとする課題

0004

複合材において各積層部材を積層する順番によっては、完成した複合材に欠陥が発生する場合がある。例えば、順番によっては、クラックや反りが発生する可能性がある。このため、複合材の積層順熟練した設計者によって設計される必要があり、人的な負担が大きかった。

0005

特許文献1では、複合材の形成を最適化するために遺伝的アルゴリズムが使用されることが示唆されているものの、遺伝的アルゴリズムを用いた具体的な処理内容については開示されていない。

0006

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、自動的により適切な積層順を設計することのできる遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の第1態様は、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデル複数通り順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代個体群とする初期世代生成部と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセル区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価部と、前記個体群の各個体モデルを前記評価部の評価に基づいて順位付けを行うランキング部と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成部と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定部と、を備える遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置である。

0008

上記のような構成によれば、積層部材モデルが積層された個体モデルを、所定のセルに区分けし、各セルの積層パターンに対して、積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行うことで、セル毎に評価を行うことが可能となる。セル毎に、積層部材モデルの積層に関する対称性や、隣接する積層部材モデルの方向性、同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性が好ましい状態かどうかを評価することができるため、個体モデルを詳細に評価することが可能となる。評価の指標として、積層部材モデルの積層に関する対称性を用いることで、実際の製造工程において反りが発生し易いかどうかを評価することができる。また、評価の指標として、隣接する積層部材モデルの方向性を用いることで、界面において剥がれが発生し易いかどうかを評価することができる。また、評価の指標として、同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性を用いることで、クラックが発生し易いかどうかを評価することができる。なお、強度の方向性とは、例えば、積層部材における繊維強化プラスチックの繊維の延在方向である。

0009

そして、評価に基づいて順位付けを行い、ランキング選択を行うことによって、評価の指標により適合した個体モデルを用いて新たな個体モデルを生成(次世代の個体群の生成)することができ、評価の指標により適合するように進化を進めることが可能となる。

0010

そして、順位付けに基づいて個体モデルを特定することで、より最適な積層部材の積層パターンを特定することが可能となる。

0011

すなわち、指標に基づいてより適切な積層部材の積層パターンを自動的に特定することができ、人的な負担を軽減し、適切な積層部材の積層パターンによる複合材を設計することが可能となる。

0012

上記複合材設計装置において、前記評価部は、前記個体モデルにおいて、各前記セルに対して前記指標を用いて評価を行い、前記個体モデルにおける各前記セルの評価を総合して、前記個体モデルの評価を行うこととしてもよい。

0013

上記のような構成によれば、各セルに対して評価を行い、各セルの評価を総合して、個体モデルの評価を行うため、各部について詳細な評価を行いつつ、個体モデル全体の評価を行うことが可能となる。

0014

上記複合材設計装置において、前記評価部は、複数種類の前記指標を用いて前記セルにおける前記積層パターンを評価する場合に、各前記指標に基づく評価のノルムによって前記セルを評価することとしてもよい。

0015

上記のような構成によれば、評価において複数種類の指標を用いる場合には、各指標に基づく評価のノルムをとるため、各指標の評価のバランスをとることができる。すなわち、特定の指標のみが評価に強く影響することを抑制し、全体としてバランスよく各指標の評価を判定することができる。

0016

上記複合材設計装置において、前記交叉は、順序交叉または部分写像交叉であることとしてもよい。

0017

上記のような構成によれば、順序交叉または部分写像交叉を用いることによって、初期世代の作成時に荷重条件に基づいて設計された方向性を持つ各積層部材モデルの構成(ある方向性を持つ積層部材が何枚含まれているかということ)に影響を与えることなく交叉を行うことが可能となる。このため、荷重条件をより確実に満たすように積層部材モデルの積層パターンを設計することが可能となる。

0018

上記複合材設計装置において、前記突然変異は、選択した前記個体モデルにおける前記積層部材モデルの積層状態において、積層方向において所定幅区間を選択し、前記区間における前記積層部材モデルの積層順を組み替えることとしてもよい。

0019

上記のような構成によれば、個体モデルにおける積層部材モデルの積層状態において、選択させた積層方向の所定幅の区間に対して積層順を組み替えて突然変異を発生させるため、初期世代の作成時に荷重条件に基づいて設計された方向性を持つ各積層部材モデルの構成(ある方向性を持つ積層部材が何枚含まれているかということ)に影響を与えることなく突然変異を行うことが可能となる。このため、荷重条件をより確実に満たすように積層部材モデルの積層パターンを設計することが可能となる。

0020

上記複合材設計装置において、前記所定幅は、前記個体モデルにおける前記積層部材モデルの総積層数に対して4分の1以下の範囲で予め設定されていることとしてもよい。

0021

上記のような構成によれば、所定幅は、個体モデルにおける積層部材モデルの総積層数に対して4分の1以下の範囲で設定されることで、突然変異を発生させる個体モデルの積層順番を大きく変更することを抑制し、より評価が高くなるように突然変異を発生さえることが可能となる。

0022

上記複合材設計装置において、前記次世代生成部は、前記交叉、前記複製、及び前記突然変異の少なくともいずれか1つの処理を、各前記処理に対して予め設定された発生確率に基づいて選択し、所定の世代の前記個体群を作成する場合に、前記突然変異に関する前記発生確率を上昇させることとしてもよい。

0023

上記のような構成によれば、所定の世代の個体群を作成する場合に、突然変異に関する発生確率を上昇させることによって、突然変異を発生させ易くなり、局所最適解が維持されることを抑制することが可能となる。

0024

上記複合材設計装置において、前記評価部は、前記指標と、最外側に積層された前記積層部材モデルの方向性とに基づいて評価を行うこととしてもよい。

0025

上記のような構成によれば、最外側に積層された積層部材モデルの方向性も評価に含めて進化させることができるため、最外側に積層された積層部材モデルの方向性を例えば所定の方向性となるようにコントロールすることが可能となる。

0026

本発明の第2態様は、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを複数通りの順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代の個体群とする初期世代生成工程と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセルに区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価工程と、前記個体群の各個体モデルを前記評価工程の評価に基づいて順位付けを行うランキング工程と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成工程と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定工程と、を有する遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計方法である。

0027

本発明の第3態様は、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを複数通りの順序で積層して複数の個体モデルを生成し、初期世代の個体群とする初期世代生成処理と、生成された前記個体群の各個体モデルを、所定のセルに区分けし、各前記セルにおける積層パターンに対して、前記積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する前記積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ前記積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う評価処理と、前記個体群の各個体モデルを前記評価処理の評価に基づいて順位付けを行うランキング処理と、前記個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として前記個体群を更新する次世代生成処理と、前記順位付けに基づいて、前記指標に適合する個体モデルを特定する特定処理と、をコンピュータに実行させるための遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計プログラムである。

発明の効果

0028

本発明によれば、自動的により適切な積層順を設計することができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0029

本発明の一実施形態に係る複合材設計装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、複合材を積層方向から見たときの45°層の積層構成を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、複合材を積層方向から見たときの0°層の積層構成を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、45°層の積層構成を各積層部材に分割した図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、0°層の積層構成を各積層部材に分割した図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において生成した個体モデルの例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、個体モデルにセルを設定した例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、選択確率の例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、順序交叉の例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、部分写像交叉の例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置において、突然変異の例を示す図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置における積層順最適化処理フローチャートを示した図である。
本発明の一実施形態に係る複合材設計装置における多目的最適化の場合を例示した図である。

実施例

0030

以下に、本発明に係る遺伝的アルゴリズムを用いた複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。複合材は、例えば、飛行機における主翼胴体尾翼パネルなど、さまざまな構造体に用いられる。

0031

複合材とは、プリプレグに代表されるような一方向材または織物材を積層することによって製造されるCFRPやGFRP等である。複合材では、所定の方向にかかる荷重条件を満足するように、強度の方向性を持つ積層部材(プライ)を組み合わせて積層して構成される。強度の方向性を持つ積層部材とは、該方向に強度が向上された積層部材である。強度の方向性は、例えば繊維強化プラスチックの繊維の延在方向である。このように、特定の方向に強度の強い積層部材を積層することによって、所定の荷重条件を満足するように複合材が構成される。

0032

複合材設計装置1は、遺伝的アルゴリズムを用いて、より最適な積層部材の積層順を特定する。すなわち、複合材設計装置1では、複合材を製造する前段階において、最適な積層部材の積層順をシミュレーションする。このため、複合材設計装置1では、実際の積層部材に対応したモデル(以下、「積層部材モデル」という。)を積層して生成した個体のモデル(以下、「個体モデル」という。)を用いて、遺伝的アルゴリズムによるシミュレーションを行う。なお、積層部材モデルには、積層部材の形状と方向性に係る情報が含まれていればよい。

0033

複合材設計装置1は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラム形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク光磁気ディスクCD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。

0034

図1は、複合材設計装置1が備える機能を示した機能ブロック図である。図1に示されるように、複合材設計装置1は、初期世代生成部11と、評価部12と、ランキング部13と、次世代生成部14と、特定部15とを備えている。

0035

初期世代生成部11は、遺伝的アルゴリズムを適用するために初期世代の個体群を生成する。具体的には、初期世代生成部11は、荷重条件に基づいて設計された強度の方向性を持つ各積層部材モデルを、複数通りの順序で積層することで複数の個体モデルを生成し、初期世代の個体群を生成する。

0036

まず、初期世代生成部11では、荷重条件に適合するように、複合材において積層される各構成部材の積層構成を設定する。荷重条件とは、複合材が使用される環境下においてかかると推定される荷重に基づいて予め設定される要求荷重性能であり、荷重状態と荷重のかかる方向を含むものである。積層構成とは、荷重条件に適合するために複合材に含まれる積層部材の構成に係る情報であり、含まれる積層部材の種類である。積層構成には、荷重条件を満たすように、積層部材の方向性と、該方向性の積層部材の枚数と、各積層部材の形状が設定される。なお、積層構成には、積層される積層部材の構成は含まれるものの、積層順については含まれていない。すなわち、荷重条件に適合するように設定された各積層部材を含んでいれば、荷重条件に適合することができ、積層順を最適化するために後述する遺伝的アルゴリズムを適用する。

0037

このように、複合材は、実際に使用される環境下において、荷重条件が示す荷重の方向と大きさに耐えるように積層部材の構成(積層構成)が設定される。初期世代生成部11においては、仮想的なシミュレーションを行うために、荷重条件を満たすように設定した積層構成の各積層部材を積層部材モデルとし、積層部材モデルが積層されることによって作成された個体を個体モデルとして設定する。なお、方向性を持つ積層部材は層をなすため、各方向性(角度)に対応する層を角度層という。例えば、45°の方向性を持つ層を45°層という。

0038

図2及び3は、複合材を積層方向から見たときの各角度層の積層構成を示す図である。図2及び3の積層構成は所定の荷重条件に基づいて設定されたものである。図2は、45°の方向性を持つ積層部材の積層構成であり、図3は、0°の方向性を持つ積層部材の積層構成である。すなわち、荷重条件を満たすためには、複合材は、積層方向から見たときに、45°層が図2のように含まれており、0°層が図3のように含まれている。なお、本実施形態では、図2及び3のように45°及び0°の方向性を持つ積層部材により複合材が構成される場合について説明するが、荷重条件によっては、90°等の他の方向性を持つ積層部材を含んで設定されてもよい。

0039

図2及び3では、積層方向から見たときの2次元平面の直交軸横軸及び縦軸)方向において、各軸の位置に対してセルが定義される。具体的には、横軸方向に13分割(横軸の0から12)、縦軸方向に6分割(縦軸の0から5)されている。各セルにおける数字は、対応する方向性を持つ積層部材の積層数を示している。具体的には、図2に示すように、領域Aには、45°の方向性を持つ積層部材が5枚積層方向に積層されており、領域Bには、45°の方向性を持つ積層部材が4枚積層方向に積層されており、領域Cには、45°の方向性を持つ積層部材が7枚積層方向に積層されている。そして、図3に示すように、領域Dには、0°の方向性を持つ積層部材が6枚積層方向に積層されており、領域Eには、0°の方向性を持つ積層部材が8枚積層方向に積層されている。図2及び3のような各積層構成における積層部材の方向性(角度)、形状、積層数は荷重条件に基づいて設定される。

0040

荷重条件に基づいて各角度層における積層構成を決定すると、初期世代生成部11は、各角度層の積層構成を、積層される積層部材に分割する。

0041

具体的には、初期世代生成部11は、図2及び3のような各角度層の積層構成を、図4及び5に示すように、各積層部材に分ける。すなわち、積層構成は、1枚の積層部材毎に分割される。図4は、図2における45°層の積層構成を各積層部材に分けた図であり、図5は、図3における0°層の積層構成を各積層部材に分けた図である。なお、図4及び5では、各積層部材を図2及び3のセルを背景として表示しており、斜線部が積層部材となる。すなわち、図4においては、セルの位置を合わせて、分割した各積層部材を積層すると、図2における45°層の積層構成となる。また、図5においては、セルの位置を合わせて、分割した各積層部材を積層すると、図3における0°層の積層構成となる。すなわち、図4及び5の各角度層の積層構成となる積層部材を混合して積層することで、荷重条件に適合する複合材が構成できる。

0042

分割された各積層部材には、それぞれ固有識別情報が付与される。なお、同じ方向性を持ち同じ形状の積層部材は同一の識別情報(以下、「ID」という。)を付けることによって、処理負担を軽減できる。図4の例では、形状に応じて、0001(45°)、0002(45°)、0003(45°)のIDが付与されている。図5の例では、形状に応じて、0004(0°)、0005(0°)が付与されている。このように分割された各積層部材は、仮想的にシミュレーションを行うために積層部材モデルとして扱われる。

0043

複合材においては、分割された各積層部材がすべて含まれていれば荷重条件に適合することができる。しかしながら、積層部材の積層順によっては反り等が生じる可能性がある。このため、遺伝的アルゴリズムを用いて各積層部材の積層順(スタッキングシークエンス)を最適化する。

0044

初期世代生成部11は、分割された各積層部材モデルの積層順をランダムに設定して所定数(例えば100個)の個体モデルを作成する。すなわち、各個体モデルには、異なる積層順で各積層部材モデルが積層されている。なお、各個体モデルは、それぞれ荷重条件を満たすため、分割された積層部材モデルのすべてが積層されている。すなわち、積層されている積層部材モデルの構成は等しく、積層順の異なる個体が複数生成されたこととなる。このようにして生成された個体は、初期世代の個体群として設定される。

0045

具体的には、図4及び5のように各角度層の積層構成が各積層部材モデルへ分割された場合には、初期世代生成部11は、分割されたすべての積層部材モデルを用いて、積層順をランダムに決定し、所定数の個体モデルを生成する。積層順は各積層部材モデルに付けたIDを用いて表すことができる。図6は、図4及び5の例に対応した初期世代の個体モデルの例(個体モデルn1及び個体モデルn2)である。各個体モデルは、図4及び5のように分割された各積層部材モデルを含み、積層順が異なっている。図6の例のように積層順が異なる個体モデルが所定数(例えば100個)生成され、初期世代の個体群となる。

0046

このように生成された初期世代の個体群の情報は、評価部12へ出力される。

0047

評価部12は、生成された個体群の各個体モデルを、所定のセルに区分けし、各セルにおける積層パターンに対して、積層部材モデルの積層に関する対称性(以下、単に「対称性」という。)、隣接する積層部材モデルの方向性(以下、単に「隣接方向性」という。)、及び同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性(以下、単に「連続積層性」という。)の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行う。そして、評価部12は、個体モデルにおいて、各セルに対して指標を用いて評価を行い、個体モデルにおける各セルの評価を総合して、個体モデルの評価を行う。なお、本実施形態では、対称性、隣接方向性、及び連続積層性の3つの指標を用いて評価を行う場合について説明するが、少なくともいずれか1つを用いることとしてもよい。

0048

まず、評価部12は、各個体モデルをそれぞれ評価するために、個体モデルを所定のセルで区分けする。セルについては、個体モデルを積層方向から見たときに小領域に区分けするように設定される。セルは、例えば、図7のように、個体モデルを積層方向から見たときの2次元平面における直交軸(横軸及び縦軸)方向において、各軸の位置に対してセルが定義される。なお、図7における各セルは、図2及び3におけるセルと同様である。具体的には、横軸方向に13分割(横軸の0から12)、縦軸方向に6分割(縦軸の0から5)することで、個体モデルを積層方向から見たときに78個のセルへ分割し、各セルに対して評価を行う。各セルの評価は、それぞれのセルにおける積層方向の状態(積層パターン)に対して、所定の指標(対称性、隣接方向性、連続積層性)により評価を行う。

0049

分割したセル毎に評価を行うことによって、個体モデルを詳細に評価することが可能となる。評価については、各指標に基づいて、ペナルティスコアを付与する。すなわち、各指標において好ましくない状態ほど高い点数を付与する。具体的には、対称性が悪いほど高い得点が付与され、隣接方向性が悪いほど高い点数が付与され、連続積層性が悪いほど高い点数が付与される。ペナルティスコアを付与することによって、より好ましくない個体モデルを特定することができる。なお、評価については、ペナルティスコアに限定されず、各指標において好しい状態ほど高い点数を付与することとしてもよい。

0050

対称性(積層部材モデルの積層に関する対称性)とは、積層方向において、各積層部材モデルの積層状態の対称状態である。例えば、積層方向において、中点に対して片側に特定の角度層が偏って積層されており、他方に、他の角度層が偏って積層されている場合には、対称性が悪い状態となっている。対称性が悪いと、実際の製造工程において反りが発生し易くなってしまう。このため、対称性を指標として評価することによって、実際の製造工程において反りが発生し易いかどうかを評価することができる。対称性を用いて評価する場合には、積層方向における積層状態の対称性に基づいて、対称性が悪化するほど(積層部材モデルの積層パターンのバランスが悪くなるほど)高い点数(ペナルティスコア)が付与される。

0051

隣接方向性(隣接する積層部材モデルの方向性)とは、積層方向において、隣接する積層部材モデルの角度(方向性)の状態である。例えば、隣接する積層部材モデルの方向性が所定の角度(例えば60°)以上離れている場合には、隣接方向性が悪い状態となっている。隣接方向性が悪いと、界面において剥がれが発生し易くなってしまう。このため、隣接方向性を指標として評価することによって、界面において剥がれが発生し易いかどうかを評価することができる。隣接方向性を用いて評価する場合には、隣接する積層部材モデルの角度に基づいて、隣接方向性が悪化するほど(隣接する積層モデルの角度が大きくなるほど)高い点数(ペナルティスコア)が付与される。

0052

連続積層性(同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性)とは、積層方向において、同一の方向性を持つ積層部材モデルの連続積層状態である。例えば、同一の方向性を持つ積層部材モデルが連続して所定枚数以上積層されている場合には、連続積層性が悪い状態となっている。連続積層性が悪いと、クラックが発生し易くなってしまう。このため、連続積層性を指標として評価することによって、クラックが発生し易いかどうかを評価することができる。連続積層性を用いて評価する場合には、同一の方向性を持つ積層部材モデルの連続積層状態に基づいて、連続積層性が悪化するほど(同一の方向性を持つ積層部材モデルの連続積層数が多くなるほど)高い点数(ペナルティスコア)が付与される。

0053

このように、対称性、隣接方向性、連続積層性を指標として評価を行うことで、反りや剥がれ、クラックが発生し易い積層順となっているかどうかを評価することが可能となる。

0054

すなわち、各セルには、対称性に対するペナルティスコアと、隣接方向性に対するペナルティスコアと、連続積層性に対するペナルティスコアとが付与される。そして、評価部12は、複数種類の指標を用いてセルにおける積層パターンを評価する場合に、各指標に基づく評価のノルムによってセルを評価する。具体的には、各セルでは、各指標におけるペナルティスコアのノルム(各スコアの2乗の総和の平方根)を算出し、算出したノルムが各セルの評価となる。各セルにおいてノルムで評価することにより、特定の指標のみが評価に強く影響することを抑制し、全体としてバランスよく各指標の評価を判定することができる。

0055

そして、評価部12では、各セルの評価(ノルムにより算出されたスコア)の総和をとって個体モデルの評価が算出される。例えば図7の例では、78個の各セルに対して各指標を用いて評価が行われ、各評価によるペナルティスコアのノルムによりセルの評価が算出される。そして、78個の各セルの評価(ノルム)の総和を算出することによって、個体モデルの評価が算出される。なお、各セルに対してペナルティスコアを付与しているため、個体モデルの評価は点数が高い方が好ましくないものとなる。

0056

なお、評価部12における評価指標は、対称性、隣接方向性、連続積層性に加えて設定することも可能である。例えば、最外側に積層された積層部材モデルの方向性を評価指標として加えてもよい。最外側に積層された積層部材モデルの方向性は、例えば、所定の角度(例えば90°層)を持つ積層部材モデルが、最も外側の層に積層されることである。この場合には、最も外側の層に積層された積層部材モデルの方向性が所定の角度でない場合にペナルティスコアが付与される。

0057

評価部12では、生成された個体群(例えば初期世代)の各個体モデルに対してそれぞれ上記のような評価を行い、個体群のすべての個体モデルに対して評価を行う。各個体モデル対して評価が行われると、評価に係る情報はランキング部13へ出力される。

0058

ランキング部13は、個体群の各個体モデルを評価部12の評価に基づいて順位付けを行う。具体的には、評価部12においてペナルティスコアにより得点付けされているため、ペナルティスコアが低い順に各個体を順位付けする。すなわち、ランキング上位の個体モデルは、ペナルティスコアが低く、各評価の指標に対してより好ましい積層順となっている。すなわち、ランキング上位の個体モデルほど適応度が高い状態となっている。

0059

このように順位付けを行うことで、生成された個体群における各個体モデルの中で、評価指標に適合している個体モデルを特定することができる。すなわち、荷重条件に基づいて設定した各積層部材モデルをどのような積層順で積層すれば評価指標に対して好ましいかランキングで表すことが可能となる。このため、遺伝的アルゴリズムにおいて、より評価指標に適合するように進化を進めることが可能となり、効率的に遺伝的アルゴリズムによる処理を進めることができる。

0060

各個体モデルのランキング情報は、次世代生成部14へ出力される。

0061

次世代生成部14は、個体群からランキング選択により個体モデルを選択し、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つを選択して新たな個体モデルを生成し、次世代として個体群を更新する。すなわち、次世代生成部14では、個体モデルの積層順に変化を与え、より好ましい積層順を探索できるように次世代の個体群を生成する。

0062

次世代生成部14では、交叉、複製、及び突然変異の各処理に対して予め発生確率が設定されており、次世代を生成する場合に、発生確率に基づいて実行する処理を選択する。なお、本実施形態では、交叉、複製、及び突然変異のいずれかの処理を選択する場合について説明するが、複数の処理を組み合わせて次世代の個体を生成してもよい。発生確率は、ユーザ等によって予め設定されている。例えば、交叉、複製、及び突然変異の発生確率は、それぞれ65%、30%、5%に設定される。

0063

そして、次世代生成部14では、生成されている個体群からランキング選択によって個体モデルを選択する。ランキング選択とは、ランキングの上位ほど選択確率が高く設定されており、ランキング上位の個体モデルほど選択されやすい方法である。選択確率は、例えば、図8のように、ランキングが上がるほど所定の勾配で選択確率が上昇する(一次関数)ように設定される。なお、ランキング上位ほど選択確率が高くなれば、一次関数で表される場合に限定されない。ランキング選択を行うことによって、ランキング上位の個体モデルに対して交叉等の処理を行うことができるため、ペナルティスコアが低下する方向へ進化を進めることが可能となる。

0064

次世代生成部14では、選択された処理(交叉、複製、及び突然変異のいずれか1つ)に応じて、ランキング選択により個体モデルを選択する。具体的には、交叉を行う場合には、2つの個体を用いる必要があるため、個体群からランキング選択により個体モデルを2つ選択する。また、複製や突然変異を行う場合には、個体群からランキング選択により個体モデルを1つ選択する。

0065

交叉は、順序交叉または部分写像交叉である。交叉を行う場合には、2つの個体モデルを用いる。しかしながら、各個体モデルは荷重条件に適合するように積層構成が設定されているため、交叉により積層構成が変化すると耐荷重性能に影響を与える可能性がある。このため、交叉では、予め設定された積層構成に影響を与えないような交叉方法が採用される。すなわち、個体モデルに含まれる積層部材モデルの種類及び積層数は変化させず、積層順のみ変化させる。

0066

順序交叉とは、片方の個体モデルから一部をそのままの位置及び積層順で受け継ぎ、残りの部分については、該片方の個体モデルの積層部材モデルを、他方の個体モデルの積層順に従って並べ替える方法である。換言すると、順序交叉とは、片方の個体と一部が等しく、残りの部分の積層順を他方の個体の積層順に基づいて並べ替える方法である。

0067

図9は、具体的な順序交叉を説明する図である。図9では、図6における個体モデルn1及び個体モデルn2を用いて順序交叉を行う場合を例示している。図9に示すように、まず、ランダムに切れ目Y1を入れる。そして、切れ目Y1よりも上側の構成(遺伝子)をそのまま受け継ぐ。そして、新たな個体モデルn1では、個体モデルn1における切れ目Y1よりも下側の各積層部材モデルについて、相手方の個体モデルn2における対応する各積層部材モデルの積層順に従って並べ替える。このようにして、新たな個体モデルn1及び新たな個体モデルn2が生成される。

0068

このように、順序交叉を行うことによって、交叉の前後で個体に含まれる積層部材モデルの種類及び積層数には影響を与えず、積層順のみ変化させることができるため、荷重条件を満足しつつ交叉を実行することができる。

0069

部分写像交叉とは、2つの個体モデルの積層順の対応関係に基づいて組み替える2つの積層部材モデルを決定し、それぞれの個体モデルにおいて、決定した2つの積層部材モデルを組み替える方法である。換言すると、部分写像交叉とは、2つの個体モデルにおいて同じ積層位置の積層部材モデルを対応づけて組み替えパターンとして設定し、各個体モデルにおいて、設定した組み替えパターンの積層部材モデルと等しい特徴を持つ積層部材モデルを組み替える方法である。

0070

図10は、具体的な部分写像交叉を説明する図である。図10では、図6における個体モデルn1及び個体モデルn2を用いて部分写像交叉を行う場合を例示している。図10に示すように、まず、ランダムに交叉範囲Y2を設定する。そして、交叉範囲Y2において互いに向かい合う(積層位置が対応する)積層部材モデル同士の組合せを組み替えパターンとして設定する。図10の例では、0003(45°)と0001(45°)、0004(0°)と0005(0°)がそれぞれ組み替えパターンとして設定される。そして、各個体モデルにおいて、設定した組み替えパターンに従って組み替えを行い、新たな個体モデルn1及び新たな個体モデルn2が生成される。

0071

このように、部分写像交叉を行うことによって、交叉の前後で個体モデルに含まれる積層部材モデルの種類及び積層数には影響を与えず、積層順のみ変化させることができるため、荷重条件を満足しつつ交叉を実行することができる。

0072

なお、各個体モデルの積層構成に影響を与えず、積層順のみを変化させることができる交叉方法であれば、上記に限定されず適用することができる。

0073

複製とは、選択された個体モデルをそのままコピーして個体モデルを生成する方法である。すなわち、複製が選択された場合には、ランキング選択により選択された個体モデルをそのままの積層順でコピーして個体を生成し、次世代の個体群に入れる。

0074

突然変異は、選択された個体モデルにおいて、一部の積層順を変化させる方法である。具体的には、突然変異は、選択した個体モデルにおける積層部材モデルの積層状態において、積層方向において所定幅の区間を選択し、区間における積層部材モデルの積層順を組み替える。所定幅は、個体モデルにおける積層部材モデルの総積層数に対して4分の1以下の範囲で予め設定されている。4分の1程度の範囲で突然変異を発生させることで、積層順を大幅に変更することなく、並べ替えを行うことができる。

0075

図11は、具体的な突然変異を説明する図である。図11では、図6における個体モデルn1を用いて突然変異を行う場合を例示している。図11に示すように、まず、所定幅の区間Y3を選択する。図11の例では、総積層数が15のため、4分の1以下の範囲として3を所定幅としてランダムに区間が選択されている。そして、区間Y3において、切れ目Y4が設定され、区間Y3内において、切れ目Y4に対して積層部材モデルを入れ替える。このようにして、新たな個体モデルn1が生成される。

0076

次世代生成部14は、所定の世代の個体群を作成する場合に、突然変異に関する発生確率を上昇させる。例えば、次世代生成部14は、一定世代毎に突然変異の発生確率を上昇させる。突然変異は、個体の特徴を大きく変化する可能性があるため、発生確率は低く設定される。本実施形態では、突然変異の発生確率は5%に設定されている。しかしながら、個体の積層順が局所最適解となった場合には、交叉等では局所最適解から抜け出して全体最適解に至る確率は低くなってしまう。このため、一定の条件化において意図的に突然変異が発生し易くすることによって、突然変異により局所最適解から抜け出す可能性を高めることが可能となる。このようにすることで、全体最適解に至る可能性を向上させることができる。本実施形態では、一定世代毎に、例えば突然変異の発生確率は85%以上90%未満程度へ上昇させる。

0077

本実施形態では、個体群の世代が所定の世代に達するまで、次世代生成部14において生成した個体群を評価し、ランキング付けし、さらに次世代生成部14において新たな世代の個体群が生成される。すなわち、所定の世代に達するまで個体群に処理が行われ、個体モデルは進化する。なお、ランキング選択によって進化を進めるため、所定の評価指標におけるペナルティスコアが低下する方向へ進化が進む。

0078

特定部15は、順位付けに基づいて、指標に適合する個体モデルを特定する。具体的には、特定部15は、個体群の世代が所定の最終世代へ達した場合に、最終世代の各個体モデルにおいて最もペナルティスコアが低い個体モデル(ランキング最上位の個体モデル)を最終個体モデルとして特定する。

0079

最終個体モデルはペナルティスコアが最も低い個体モデルのため、積層順が最適化された状態である。このため、最終個体モデルの積層順に従って複合材を生成することで、反り等の不具合の発生を抑制することができる。

0080

なお、特定部15は、最終世代に達した場合に限定されず、個体モデルのペナルティスコアが所定のスコア未満となった場合に、最終個体モデルとして特定することとしてもよい。

0081

次に、上述の複合材設計装置1による積層順最適化処理について図12を参照して説明する。図12に示すフローは、ユーザ等によって処理開始指示が入力されると実行される。

0082

まず、初期世代の個体群を生成する(S101)。具体的には、荷重条件に基づいて、複合材に含まれる積層部材モデルの方向性の種類や、形状、枚数を設定し、各積層部材モデルの積層順をランダムに設定して所定数(例えば100個)の個体モデルを生成する。

0083

次に、各個体モデルに対して所定の評価指標により評価を行う(S102)。評価指標は、対称性、隣接方向性、連続積層性である。これらの評価指標により個体モデルをセル毎に評価し、セル毎の評価を総評して個体モデルの評価を行う。

0084

次に、生成された個体群が最終世代か否かを判定する(S103)。生成された個体群が最終世代である場合(S103のYES判定)には、最終世代の各個体モデルにおいて最もペナルティスコアが低い個体モデル(ランキング最上位の個体モデル)を最終個体モデルとして特定する(S104)。最終世代は、初期世代を第1世代として、例えば150世代に設定される。なお、最終世代については適宜設計することが可能である。

0085

生成された個体群が最終世代でない場合(S103のNO判定)には、生成された個体群の各個体モデルの評価に基づいて順位付けを行う(S105)。評価は、ペナルティスコアの付与によって行われているため、スコアが低い順に順位付けされることによりランキングが作成される。

0086

次に、ランキング選択によって、処理が行われる個体モデルが選択される(S106)。ランキング選択によってランキング上位の個体モデル(適応度の高い個体モデル)が選択され易くなるため、適応度が高まる方向に進化を進めることが可能となる。なお、S106においては、ランキング選択に加えてまたは替えて、エリート選択を行うこととしてもよい。エリート選択では、ランキング上位所定数の個体モデルが選択される。エリート選択された個体モデルも、ランキング選択の場合と同様に後述するS107において交叉等の処理が行われる。エリート選択を行うことで、適応度の高い個体モデルをより確実に処理することが可能となる。

0087

次に、選択された個体モデルに対して、交叉、複製、及び突然変異の少なくともいずれか1つの処理を行い、新たな個体モデルを生成する(S107)。S107の処理によって、進化を進めることが可能となる。

0088

そして、新たな世代の個体群が生成されると、S102へ戻り、上記の処理が繰り返し実行される。

0089

このように遺伝的アルゴリズムを複合材の設計に適応し、自動的により適切な積層順を特定することが可能となる。すなわち、上記の処理によって特定された最終個体モデルの積層順に従って実際に積層部材を積層することで、評価指標(対称性、隣接方向性、連続積層性)に対する適合性の高い積層部材を設計することが可能となる。

0090

なお、本実施形態では、単目的(ペナルティスコア)の場合について説明したが、多目的最適化についても同様に適用することが可能である。多目的最適化を行う場合には、例えば上述のペナルティスコアの付与に加えて、積層機のヘッド移動距離や積層にかかる時間、及び試用する材料の量の少なくとも1つに対する評価を行うことができる。この場合には、上述のようにペナルティスコアを算出するとともに、積層機のヘッドの移動距離や積層にかかる時間、及び試用する材料の量の少なくとも1つに基づくペナルティスコアを算出し、両ペナルティスコアのノルム(単に合計でもよい)を総ペナルティスコアとして図12のフローと同様に処理を行えばよい。このようにすることで、多目的最適化を行うことができる。多目的最適化を行った例を図13に示す。図13では、ペナルティスコアに加えて、積層機のヘッドの移動距離に係る評価を行った場合の例である。図13の例では、初期世代、第100世代、第150世代における各個体モデルの評価をプロットしており、進化が進むほど、ペナルティスコアが低下し、ヘッドの移動距離が短くなる方向に個体モデルが生成される。このため、多目的に対して最適化された個体モデルを特定することが可能となる。

0091

以上説明したように、本実施形態に係る複合材設計装置、複合材設計方法、及び複合材設計プログラムによれば、積層部材モデルが積層された個体モデルを、所定のセルに区分けし、各セルの積層パターンに対して、積層部材モデルの積層に関する対称性、隣接する積層部材モデルの方向性、及び同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性の少なくともいずれか1つの指標を用いて評価を行うことで、セル毎に評価を行うことが可能となる。セル毎に、積層部材モデルの積層に関する対称性や、隣接する積層部材モデルの方向性、同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性が好ましい状態かどうかを評価することができるため、個体モデルを詳細に評価することが可能となる。評価の指標として、積層部材モデルの積層に関する対称性を用いることで、実際の製造工程において反りが発生し易いかどうかを評価することができる。また、評価の指標として、隣接する積層部材モデルの方向性を用いることで、界面において剥がれが発生し易いかどうかを評価することができる。また、評価の指標として、同一方向性を持つ積層部材モデルの連続積層性を用いることで、クラックが発生し易いかどうかを評価することができる。

0092

そして、評価に基づいて順位付けを行い、ランキング選択を行うことによって、評価の指標により適合した個体モデルを用いて新たな個体モデルを生成(次世代の個体群の生成)することができ、評価の指標により適合するように進化を進めることが可能となる。そして、順位付けに基づいて個体モデルを特定することで、より最適な積層部材の積層パターンを特定することが可能となる。すなわち、指標に基づいてより適切な積層部材の積層パターンを自動的に特定することができ、人的な負担を軽減し、適切な積層部材の積層パターンによる複合材を設計することが可能となる。

0093

また、評価において複数種類の指標を用いる場合には、各指標に基づく評価のノルムをとるため、各指標の評価のバランスをとることができる。すなわち、特定の指標のみが評価に強く影響することを抑制し、全体としてバランスよく各指標の評価を判定することができる。

0094

また、順序交叉または部分写像交叉を用いることによって、初期世代の作成時に荷重条件に基づいて設計された方向性を持つ各積層部材モデルの構成(ある方向性を持つ積層部材が何枚含まれているかということ)に影響を与えることなく交叉を行うことが可能となる。このため、荷重条件をより確実に満たすように積層部材モデルの積層パターンを設計することが可能となる。

0095

また、個体モデルにおける積層部材モデルの積層状態において、選択させた積層方向の所定幅の区間に対して積層順を組み替えて突然変異を発生させるため、初期世代の作成時に荷重条件に基づいて設計された方向性を持つ各積層部材モデルの構成(ある方向性を持つ積層部材が何枚含まれているかということ)に影響を与えることなく突然変異を行うことが可能となる。このため、荷重条件をより確実に満たすように積層部材モデルの積層パターンを設計することが可能となる。

0096

また、所定の世代の個体群を作成する場合に、突然変異に関する発生確率を上昇させることによって、突然変異を発生させ易くなり、局所最適解が維持されることを抑制することが可能となる。

0097

本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。

0098

1 :複合材設計装置
11 :初期世代生成部
12 :評価部
13 :ランキング部
14 :次世代生成部
15 :特定部

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