図面 (/)
課題
解決手段
トナー粒子と、無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを有するトナーであって、 前記無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下であり、 前記トナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーに関し、 前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下であり、 前記水洗後のトナーに存在する前記シリカ微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下であり、X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aによる被覆率をX、前記シリカ微粒子Bによる被覆率をYとしたときに、0.10≦X/Y≦5.00である。
概要
背景
複写機およびプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。トナーを用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、長期間にわたり高速でかつ、多量に出力する場合であっても、従来よりも高品質な画質のプリント成果物を安定的に得ることが求められる。
そこでこれまで、長期的に安定した流動性を維持することを目的に、スペーサー効果を付与できる大粒径粒子をトナーに添加した提案が多数なされてきた。特許文献1では、ゾルゲル法により形成された大粒径シリカ粒子をトナー粒子に添加することで、トナーの流動性を維持させる提案がなされている。
また長期使用に伴い外添剤はトナー粒子の表面からキャリアなどへ移行し、帯電性能、流動性を変化させる原因となることがある。この現象を防ぐために特許文献1には、トナーを熱処理し、外添剤である大粒径シリカ粒子をトナー粒子に固着させる手法が提案されている。
しかしながら、さらなる環境変化への対応や、従来以上の高品質化を考えた場合には、トナーにスペーサー効果を与えうる大粒径シリカ粒子を用いたトナーは、長期使用によって帯電分布が不均一になりやすく、改善の余地がある。具体的には、トナー1個表層は、トナー組成物が混在した状態にあり、原材料ごとに帯電性能や電気抵抗が異なるため、帯電の高い部位と低い部位とがまばらに存在する。特にシリカ粒子などは電気抵抗が高く、強く帯電していると考えられる。その結果、長期間にわたってトナーが使用された場合には、特にシリカ粒子に電荷が偏ってしまいやすい。そのため、トナー1個表層における帯電分布がより不均一になりやすく、従来以上の高品質化を考えた場合には、潜像に対して僅かにトナー像が乱れることで、ドット再現性が不十分となる。また、トナー1個表層における帯電分布が不均一となることで、定着時に画像上のトナー像が定着部材の影響で乱れる定着爆発という現象や、定着部材にオフセットする静電オフセットという現象が起こりやすい。
一方、特許文献2では、環境特性および帯電特性の良好なトナー外添剤として、チタン酸ストロンチウム系微細粒子が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載のトナーまたはトナー用外添剤は、現像されるトナー全体で見た場合の帯電均一性は向上するが、トナー1個表層における帯電均一性に関する議論はなされていない。また、POD市場のような長期間にわたる使用に関しても議論されておらず、近年のPOD市場に求められる画質を達成するためには改善の余地がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものである。すなわち、POD市場のような長期間にわたって従来よりも高品質な画質を要求された場合においても、トナー1個表層における帯電均一性に優れ、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好なトナーを提供することを目的とする。
概要
長期間にわたって高速でかつ多量に出力する場合であっても、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制に優れ、従来よりも高品質な画質を達成できるトナーを提供する。トナー粒子と、無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを有するトナーであって、 前記無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下であり、 前記トナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーに関し、 前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下であり、 前記水洗後のトナーに存在する前記シリカ微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下であり、X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aによる被覆率をX、前記シリカ微粒子Bによる被覆率をYとしたときに、0.10≦X/Y≦5.00である。なし
目的
すなわち、POD市場のような長期間にわたって従来よりも高品質な画質を要求された場合においても、トナー1個表層における帯電均一性に優れ、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好なトナーを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在する無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを有するトナーであって、前記無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下であり、前記トナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーに関し、前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下であり、前記水洗後のトナーに存在する前記シリカ微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下であり、X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aによる被覆率をX、前記シリカ微粒子Bによる被覆率をYとしたときに、0.10≦X/Y≦5.00であることを特徴とするトナー。
請求項2
前記水洗後のトナーに存在する前記無機微粒子Aは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DAが、10nm以上95nm以下である請求項1に記載のトナー。
請求項3
前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、2.2質量%以上10.0質量%以下である請求項1または2に記載のトナー。
請求項4
前記無機微粒子Aが、ペロブスカイト構造を有する無機微粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
請求項5
前記無機微粒子Aが、チタン酸ストロンチウム粒子である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
請求項6
前記トナーは、前記無機微粒子Aおよび前記シリカ微粒子Bがトナー粒子の表面に熱固着されている請求項1〜5のいずれか1項に記載のトナー。
請求項7
前記水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの含有量Z(質量%)と、前記水洗後のトナーにおけるシリカ微粒子Bの含有量S(質量%)とが、下記の関係を満たしている請求項1〜6のいずれか1項に記載のトナー。Z>S
請求項8
前記無機微粒子Aの一次粒子の個数平均粒径(D1)DAと、前記シリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)DBとが、下記の関係を満たしている請求項1〜7のいずれか1項に記載のトナー。DA<DB
技術分野
背景技術
0002
複写機およびプリンターが広く普及するに従い、トナーに要求される性能もより高度になっている。近年では、プリントオンデマンド(POD)と呼ばれる、製版工程を経ずに直接印刷するデジタル印刷技術が注目されている。トナーを用いた画像形成方法のPOD市場への適用を考えた場合、長期間にわたり高速でかつ、多量に出力する場合であっても、従来よりも高品質な画質のプリント成果物を安定的に得ることが求められる。
0003
そこでこれまで、長期的に安定した流動性を維持することを目的に、スペーサー効果を付与できる大粒径粒子をトナーに添加した提案が多数なされてきた。特許文献1では、ゾルゲル法により形成された大粒径シリカ粒子をトナー粒子に添加することで、トナーの流動性を維持させる提案がなされている。
また長期使用に伴い外添剤はトナー粒子の表面からキャリアなどへ移行し、帯電性能、流動性を変化させる原因となることがある。この現象を防ぐために特許文献1には、トナーを熱処理し、外添剤である大粒径シリカ粒子をトナー粒子に固着させる手法が提案されている。
0004
しかしながら、さらなる環境変化への対応や、従来以上の高品質化を考えた場合には、トナーにスペーサー効果を与えうる大粒径シリカ粒子を用いたトナーは、長期使用によって帯電分布が不均一になりやすく、改善の余地がある。具体的には、トナー1個表層は、トナー組成物が混在した状態にあり、原材料ごとに帯電性能や電気抵抗が異なるため、帯電の高い部位と低い部位とがまばらに存在する。特にシリカ粒子などは電気抵抗が高く、強く帯電していると考えられる。その結果、長期間にわたってトナーが使用された場合には、特にシリカ粒子に電荷が偏ってしまいやすい。そのため、トナー1個表層における帯電分布がより不均一になりやすく、従来以上の高品質化を考えた場合には、潜像に対して僅かにトナー像が乱れることで、ドット再現性が不十分となる。また、トナー1個表層における帯電分布が不均一となることで、定着時に画像上のトナー像が定着部材の影響で乱れる定着爆発という現象や、定着部材にオフセットする静電オフセットという現象が起こりやすい。
0005
一方、特許文献2では、環境特性および帯電特性の良好なトナー外添剤として、チタン酸ストロンチウム系微細粒子が開示されている。
しかしながら、特許文献2に記載のトナーまたはトナー用外添剤は、現像されるトナー全体で見た場合の帯電均一性は向上するが、トナー1個表層における帯電均一性に関する議論はなされていない。また、POD市場のような長期間にわたる使用に関しても議論されておらず、近年のPOD市場に求められる画質を達成するためには改善の余地がある。
本発明は上記課題に鑑みなされたものである。すなわち、POD市場のような長期間にわたって従来よりも高品質な画質を要求された場合においても、トナー1個表層における帯電均一性に優れ、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好なトナーを提供することを目的とする。
先行技術
0006
特開2012−163623号公報
特開2015−137208号公報
発明が解決しようとする課題
0007
本発明の目的は、長期間にわたって高速でかつ多量に出力する場合であっても、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制に優れ、従来よりも高品質な画質を達成できるトナーを提供することにある。
課題を解決するための手段
0008
本発明者らは、水洗後のトナーにおけるチタン酸ストロンチウムと大粒径シリカの存在状態を制御することで、長期間の使用においても、トナー1個表層における帯電均一性を向上させることができることを見出した。その結果、長期間にわたって高速でかつ多量に出力する場合であっても、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制に優れ、従来よりも高品質な画質を達成できるトナーが得られることを見出した。
すなわち、本発明のトナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在する無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを有するトナーであって、
前記無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下であり、
前記トナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーに関し、
前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下であり、
前記水洗後のトナーに存在する前記シリカ微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下であり、
X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aによる被覆率をX、前記シリカ微粒子Bによる被覆率をYとしたときに、
0.10≦X/Y≦5.00である。
発明の効果
0009
本発明によれば、長期間にわたって高速でかつ多量に出力する場合であっても、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制に優れ、従来よりも高品質な画質を達成できるトナーを提供することができる。
図面の簡単な説明
0010
本発明で用いたトナー表面処理装置の概略図である。
0011
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○〜××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
本発明のトナーは、トナー粒子と、前記トナー粒子の表面に存在する無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを有するトナーであって、
前記無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下であり、
前記トナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーに関し、
前記水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下であり、
前記水洗後のトナーに存在するシリカ微粒子Bは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下であり、
X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける無機微粒子Aによる被覆率をX、シリカ微粒子Bによる被覆率をYとしたときに、
0.10≦X/Y≦5.00
である。
尚、“トナー粒子の表面に存在する”とは、無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bが、トナー粒子表面に、固着している状態、および、付着している状態のいずれも含む表現である。
0012
上記構成により、従来にない優れた効果を得られる理由は以下のように考えている。
本発明のトナーに含有される無機微粒子Aは、温度25℃、周波数1MHzでの誘電率の測定において、誘電率が35pF/m以上100pF/m以下である。また、好ましくは50pF/m以上90pF/m以下であり、より好ましくは60pF/m以上80pF/m以下である。
0013
無機微粒子Aの誘電率が上記の範囲にあるということは、無機微粒子Aが分極しやすいことを示している。そのため、周囲に存在する高く帯電した部位の電荷を、無機微粒子Aが引き付けて緩和することができる。
誘電率が35pF/m以上であると無機微粒子Aが分極しやすく、トナー同士がこすれあうことで、周囲に存在する高く帯電した部位の電荷を効果的に引き付けることができる。また、誘電率が100pF/m以下であると、無機微粒子Aの分極が大きくなりすぎず、周囲に存在する高く帯電した部位の電荷を余分に引き付けない。
0014
その結果、トナー同士がこすれあうことで、トナー粒子表層に固着した無機微粒子Aが、周囲に存在する高く帯電した部位の電荷を効果的に引き付けて緩和する。そのため、現像器内等でトナー同士が接触を繰り返すことで、トナー表層に存在する高く帯電した部位の電荷が、近接するトナー粒子表層の無機微粒子Aに引き付けられ一様に広がる。その結果、トナー1個表層における帯電均一性を向上する。その結果、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好になる。
0015
また、水洗後のトナーにおける前記無機微粒子Aの含有量Zが、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.2質量%以上10.0質量%以下である。また、好ましくは2.2質量%以上9.9質量%以下であり、より好ましくは3.6質量%以上8.0質量%以下である。
本発明に係るトナーを水洗処理することによって得られる、水洗後のトナーとは、長期間の使用によって現像器内等で受けるストレスによりトナー表面から外添剤が外れた後のトナー状態を模擬している。そのため、電子写真特性を評価する上では、水洗後のトナーの状態を明確にすることが重要である。
水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの含有量Zが上記の範囲にあるということは、トナーが長期間使用された場合においも、無機微粒子Aが適度にトナー粒子表面近傍に存在していることを表している。その結果、長期間にわたってトナーが使用された場合において、トナー同士のこすれ合いによって、トナー表層に存在する高く帯電した部位の電荷が、近接するトナー粒子表面近傍の無機微粒子Aに引き付けられ一様に広がる。その結果、トナー1個毎の表層における帯電均一性が向上する。
0016
含有量Zが0.2質量%以上であると、トナーが長期間使用された場合において、周囲に存在する高く帯電した部位との十分な接触機会がある。また、含有量Zが10.0質量%以下であると、トナーが長期間使用された場合において、周囲に存在する高く帯電した部位との接触機会が多くなりすぎず、電荷を余分に引き付けないため、トナー全体で見た場合の帯電量が下がりすぎない。その結果、トナー1個表層における帯電均一性が向上し、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好になる。
0017
また、前記無機微粒子Aは長期の使用によっても安定してトナー粒子表面に存在できるようにトナー粒子の表面に強く固着していることが好ましい。強く固着させる方法としては、トナー粒子と無機微粒子Aとの混合中または混合後に、熱風処理または機械的衝撃処理を加えることなどが挙げられる。この中でも、熱風処理が特に好ましい。熱風処理を加えることで、トナー粒子表面に無機微粒子Aを強固に熱固着させることができる。
0018
また、水洗後のトナーに存在するシリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)DBが、60nm以上300nm以下である。また、好ましくは70nm以上280nm以下である。
0019
水洗後のトナーの表面に粒径の大きいシリカ微粒子が存在しているということは、長期間使用された場合においても、トナー粒子の表面に粒径の大きいシリカ微粒子が固着していることを意味している。そのため、本発明のトナーは、粒径の大きいシリカ微粒子による高いスペーサー効果と帯電の維持性を長期間にわたって発揮することができる。
0020
個数平均粒径(D1)DBが60nm以上であると、長期間使用された場合においても、トナー粒子に埋没せず高いスペーサー効果と帯電の維持性を長期間にわたって発揮することができる。また、個数平均粒径(D1)DBが300nm以下であると、長期間使用された場合においても、現像器内での機械的負荷の影響により粒径の大きいシリカ微粒子がトナー粒子からキャリアや現像器内部材に移行しない。そのため、長期間にわたってトナーが使用された場合においても、高いスペーサー効果と帯電の維持性を長期間にわたって発揮することができる。その結果、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好になる。
0021
また、前記シリカ微粒子Bを水洗後のトナーに存在させるには、シリカ微粒子Bはトナー粒子の表面の樹脂に一部分が埋没していることが好ましい。埋没させる方法は、トナー粒子とシリカ微粒子Bの混合中または混合後に、熱風処理または機械的衝撃処理を加えることなどが挙げられる。この中でも、熱風処理が特に好ましい。熱風処理を加えることで、トナー粒子表面にシリカ微粒子Bを強固に熱固着させることができる。
0022
さらに本発明のトナーは、X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される前記水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの被覆率をX、シリカ微粒子Bの被覆率をYとしたときに、0.10≦X/Y≦5.00である。また、好ましくは0.15≦X/Y≦1.50であり、より好ましくは0.20≦X/Y≦1.00である。これは長期使用後のトナー粒子の表層において、シリカ微粒子に対して一定量の無機微粒子Aが存在していることを表している。
0023
前述の範囲の誘電率を有する無機微粒子Aが、シリカ微粒子Bに対して一定量存在するため、トナー粒子表層に固着した無機微粒子Aが分極し、シリカ微粒子Bの電荷を十分に引き付けることができる。その結果、長期間にわたってトナーが使用された場合において、トナー同士のこすれ合いによって、トナー粒子表層に存在するシリカ微粒子Bの電荷が、近接するトナー粒子表層の無機微粒子Aに引き付けられ一様に広がる。その結果、トナー1個表層における帯電均一性が向上する。
0024
上記の効果によって、長期間にわたって高速でかつ多量に出力する場合であっても、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制に優れ、従来よりも高品質な画質を達成できるトナーを提供することができる
本発明においてその目的を達成するにための構成を以下に詳述する。
0025
[無機微粒子A]
本発明におけるトナーは、トナー粒子の表面に無機微粒子Aを有する。本発明において無機微粒子Aは立方体形状または直方体形状が好ましい。立方体形状または直方体形状であることで、トナー粒子表層に強固に固着することができ、本発明の効果を発現するうえで好ましい。
さらに、本発明の水洗後のトナーに含有される前記無機微粒子Aは、一次粒子の個数平均粒径(D1)DAが10nm以上95nm以下であることが好ましい。より好ましくは20nm以上80nm以下であり、さらに好ましくは、25nm以上70nm以下である。無機微粒子Aの一次粒子の個数平均粒径(D1)DAが上記の範囲であることにより、トナー粒子の表面を効率よく覆うことができる。そのため、長期間にわたってトナーが使用された場合において、トナー同士のこすれ合いによって、トナー粒子表層の無機微粒子Aとシリカ微粒子Bとが効率よく接触する。その結果、トナー粒子表層に存在するシリカ微粒子Bの電荷が、近接するトナー粒子表層の無機微粒子Aに効率よく引き付けられ一様に広がることで、トナー1個表層における帯電均一性がより向上する。その結果、よりドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
0026
また、無機微粒子Aの一次粒子の個数平均粒径(D1)DAと、シリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)DBは、下記の関係を満たしていることが好ましい。
DA<DB
上記の関係を満たしていることで、トナー粒子表層の無機微粒子Aとシリカ微粒子Bとがより効率よく接触できる。その結果、近接するトナー粒子表層に存在するシリカ微粒子Bの電荷が、近接するトナー粒子表層の無機微粒子Aにより効率よく引き付けられ一様に広がることで、トナー1個表層における帯電均一性がより向上する。その結果、よりドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
0027
さらに、前記無機微粒子A粒子の表面は、フッ素系のシランカップリング剤で処理されていることが好ましい。
フッ素系のシランカップリング剤としては、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシランなどが挙げられる。
また、該フッ素系のシランカップリング剤による表面処理量は、無機微粒子A100質量部に対して、1質量部〜60質量部であることが好ましく、2質量部〜20質量部であることがより好ましく、3質量部〜10質量部であることがさらに好ましい。
0028
無機微粒子Aの表面がフッ素系のシランカップリング剤で処理されていることで、無機微粒子Aの帯電量を適度に高く保つことができ、トナーの帯電性能が向上することで、よりドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
また無機微粒子A粒子の表面は、必要に応じ、前記フッ素系のシランカップリング剤による表面処理に加えて、他の処理剤で表面処理されていても良いよい。処理剤としては、アルキルアルコキシシランが好ましい。また、該アルキルアルコキシシランは、下記式(1)で示されるアルキルアルコキシシランであることが好ましい。
下記式(1)中のmは1〜3の自然数を示し、nは4〜18の自然数を示す。
0029
0030
該アルキルアルコキシシランとしては、以下のものが挙げられる。イソブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシランなど。
0031
また、該アルキルアルコキシシランによる表面処理量は、無機微粒子A100質量部に対して、1質量部〜60質量部であることが好ましく、2質量部〜20質量部であることがより好ましく、3質量部〜10質量部であることがさらに好ましい。
また、好ましくは、無機微粒子Aの表面がフッ素系のシランカップリング剤と式(1)で示されるアルキルアルコキシシランの両方で表面処理されていることが好ましい。
0032
両方で表面処理されていることで、トナー1個表層における帯電均一性がより向上する。この理由は明確ではないが、以下のように推察している。
フッ素系のシランカップリング剤で処理することで、無機微粒子Aの帯電量を適度に高く保つことができ、トナーの帯電性能が向上する。一方、アルキルアルコキシシランはポリエステル樹脂やスチレンアクリル樹脂等の結着樹脂とのなじみがよい。そのため、アルキルアルコキシシランを介して、シリカ微粒子Bの電荷を引き付けた無機微粒子Aの電荷がトナー粒子の表層を構成する結着樹脂部にも均一に広がりやすくなる。その結果、トナー粒子表層に存在する、無機微粒子A、シリカ微粒子B、およびトナー粒子の表層を構成する結着樹脂部それぞれの帯電がより均一となり、トナー1個表層における帯電均一性がより向上することで、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
0033
該無機微粒子Aの表面処理としては、一般的に公知の処理であれば特に制約されるものではない。
例えば、下記の方法などが挙げられる。
表面処理剤を有機溶剤に溶解した溶液中に、該無機微粒子を分散した後、ろ別又はスプレードライ法により溶剤を除去し、次いで過熱により硬化する方法;
流動化ベッド装置を用いて、表面処理剤を有機溶剤に溶解した溶液を該無機微粒子にスプレー塗布し、次いで加熱乾燥することにより溶剤を除去して皮膜を硬化させる方法などの乾式処理方法;
該無機微粒子を水系媒体下にて表面処理剤で表面処理し、その後アルカリで中和し、ろ過、洗浄後、乾燥、解砕する湿式処理方法。
0034
前記無機微粒子Aの構造は、ペロブスカイト結晶構造であることが好ましい。
ペロブスカイト結晶構造であることで、前記無機微粒子Aがより効果的に分極することができる。その結果、トナーが長期間使用された場合において、トナー同士がこすれあうことで、トナー粒子表層に固着した無機微粒子Aが、シリカ微粒子Bの電荷を効果的に引き付けて緩和する。そのため、長期間にわたってトナーが使用された場合において、トナー同士のこすれ合いによって、トナー粒子表層に存在するシリカ微粒子Bの電荷が、近接するトナー粒子表層の無機微粒子Aに引き付けられ一様に広がる。その結果、トナー1個表層における帯電均一性が向上し、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好になる。
0035
構造が、ペロブスカイト結晶構造(3種類の異なる元素で構成された面心立方格子)であることを確認するには、X線回折測定を行うとよい。
ペロブスカイト結晶構造をとる無機微粒子としては、チタン酸カルシウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、ジルコン酸カルシウム粒子、ジルコン酸ストロンチウム粒子などが挙げられる。これらの中でもチタン酸ストロンチウム粒子がより好ましい。チタン酸ストロンチウムは、より効果的に分極することができ、長期使用での装置内循環によってトナー同士がこすれあったときに、シリカ微粒子Bの電荷をより効果的にトラップすることができる。そのため、シリカ微粒子Bの電荷がトナー1個表層により均一に広がることで、よりドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
0036
チタン酸ストロンチウムの製造方法としては、特に限定されず、以下の方法が例示できる。
酸化チタン源としてはチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用いることができる。好ましくは、硫酸法で得られたSO3含有量が1.0質量%以下、好ましくは0.5質量%以下のメタチタン酸を、塩酸でpHを0.8〜1.5に調整して解膠したものを用いるとよい。
0037
酸化金属源としては、金属の硝酸塩、塩酸塩などを使用することができ、例えば、硝酸ストロンチウム、塩化ストロンチウムを使用することができる。
アルカリ水溶液としては、苛性アルカリを使用することができるが、中でも水酸化ナトリウム水溶液が好ましい。
チタン酸ストロンチウムの製造において、粒子径に影響を及ぼす因子としては、以下のものが挙げられる。メタチタン酸を塩酸で解膠する際のpH、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、アルカリ水溶液を添加するときの温度、添加速度、反応時間及び撹拌条件など。特に、アルカリ水溶液の添加後に、氷水中に投入するなどして急激に系の温度を低下させて反応を停止させると、結晶成長が飽和する中途で強制的に反応を停止でき、広い粒度分布を得やすい。また、撹拌速度を低下する、撹拌方法を変更する、などして反応系の状態を不均一な状態にすることでも、広い粒度分布を得ることができる。
0038
これらの因子は、目的の粒子径及び粒度分布のチタン酸金属粒子を得るため適宜調整することができる。なお、反応過程に於ける炭酸塩の生成を防ぐために窒素ガス雰囲気下で反応させるなど、炭酸ガスの混入を防ぐことが好ましい。
また、チタン酸ストロンチウムの製造において、誘電率に影響を及ぼす因子としては、粒子結晶性を崩す条件や操作が挙げられる。例えば、反応液の濃度を大きくした状態で結晶成長を乱すエネルギーを与える操作を行うことが好ましい。具体的な方法としては、結晶成長工程に窒素によるマイクロバブリングを加えることが挙げられる。
0039
反応時の酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合は、チタン以外の金属をMで示し、その酸化物をMXOで示したとき、MXO/TiO2のモル比で、0.90以上1.40以下であることが好ましく、1.05以上1.20以下であることがより好ましい。ただし、Mがアルカリ土類金属であるときXは1であり、Mがアルカリ金属であるときXは2である。
0040
MXO/TiO2(モル比)が0.90未満の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存しやすくなる。相対的にチタン以外の金属源は水への溶解度が高いのに対し酸化チタン源は水への溶解度が低いため、MXO/TiO2(モル比)が1.00以下の場合、反応生成物はチタン酸金属だけでなく未反応の酸化チタンが残存しやすくなる傾向にある。
0041
反応初期の酸化チタン源の濃度としては、TiO2として0.050モル/L以上1.300モル/L以下であることが好ましく、0.080モル/L以上1.200モル/L以下であることがより好ましい。
反応初期の酸化チタン源の濃度を高くすることで、チタン酸金属粒子の一次粒子の個数平均粒径を小さくすることができる。
0042
アルカリ水溶液を添加するときの温度は、100℃以上ではオートクレーブなどの圧力容器が必要であり、実用的には60℃以上100℃以下の範囲が適切である。
また、アルカリ水溶液の添加速度は、添加速度が遅いほど大きな粒子径のチタン酸金属粒子が得られ、添加速度が速いほど小さな粒子径のチタン酸金属粒子が得られる。アルカリ水溶液の添加速度は、仕込み原料に対し0.001当量/h以上1.2当量/h以下であることが好ましく、より好ましくは0.002当量/h以上1.1当量/h以下である。これらは、得ようとする粒子径に応じて適宜調整することができる。
0043
該製造方法においては、常圧加熱反応によって得たチタン酸金属粒子をさらに酸処理することが好ましい。常圧加熱反応を行って、チタン酸金属粒子を製造する際に、酸化チタン源とチタン以外の金属源の混合割合がMXO/TiO2(モル比)で、1.00を超える場合、反応終了後に残存した未反応のチタン以外の金属源が空気中の炭酸ガスと反応する。その結果、金属炭酸塩などの不純物を生成しやすい。また、表面に金属炭酸塩などの不純物が残存すると、疎水性を付与するための表面処理をする際に、不純物の影響で表面処理剤を均一に被覆しにくくなる。したがって、アルカリ水溶液を添加した後、未反応の金属源を取り除くため酸処理を行うとよい。
0044
酸処理では、塩酸を用いてpH2.5以上7.0以下に調整することが好ましく、pH4.5以上6.0以下に調整することがより好ましい。
酸としては、塩酸の他に硝酸、酢酸などを酸処理に用いることができる。硫酸を用いると、水への溶解度が低い金属硫酸塩が発生しやすい。
0045
本発明のチタン酸ストロンチウムは、表面処理が可能である。
表面処理剤は特に限定はされないが、ジシリルアミン化合物、ハロゲン化シラン化合物、シリコーン化合物又はシランカップリング剤が挙げられる。
ジシリルアミン化合物は、ジシリルアミン(Si−N−Si)部位を有する化合物である。ジシリルアミン化合物の例としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、N−メチル−ヘキサメチルジシラザン又はヘキサメチル−N−プロピルジシラザンが挙げられる。ハロゲン化シラン化合物の例としては、ジメチルジクロロシランが挙げられる。
0046
シリコーン化合物の例としては、シリコーンオイル又はシリコーン樹脂(ワニス)が挙げられる。シリコーンオイルの例としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル又はフッ素変性シリコーンオイルが挙げられる。シリコーン樹脂(ワニス)としては、メチルシリコーンワニス、フェニルメチルシリコーンワニスが挙げられる。
0047
シランカップリング剤の例としては、アルキル基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又はアミノ基とアルコキシ基とを有するシランカップリング剤、又は含フッ素シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としてより具体的には、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルジエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルジメトキメチルシラン又はγ−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルジエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、1,1.1−トリフルオロヘキシルジエトキシシランなどが挙げられる。
0048
[シリカ微粒子B]
シリカ微粒子Bの製造方法は、燃焼法や水熱合成等の公知の製造方法で製造してもよいが、燃焼法によるアモルファスシリカ粒子が空気中の水分の影響を受けにくくなるため好ましい。
さらに、前記シリカ粒子は、その表面を脂肪酸又はその金属塩、シリコーンオイル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などにより疎水化処理されていることが好ましく、中でも、ヘキサメチルジシロキサン(HMDS)やオクチルトリエトキシシラン、ジクロロシラン等のシランカップリング剤がより好ましい。
0049
また、水洗後のトナーにおける前記シリカ微粒子Bの含有量Sは、前記水洗後のトナーの質量に対して、0.10質量%50質量%部以下が好ましい。
シリカ微粒子Bの含有量Sが上記の範囲にあることで、長期間にわたってトナーが使用された場合においても、シリカ微粒子Bによる高いスペーサー効果と、帯電維持性をより効果的に得ることができる。その結果、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制がより良好となる。
0050
また、水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの含有量Zと、シリカ微粒子Bの含有量Sは、下記の関係を満たしていることが好ましい。
Z>S
0051
これは長期使用後のトナー粒子表面近傍において、シリカ微粒子に対して十分な量の無機微粒子Aが存在していることを表している。前述の範囲の誘電率を有する無機微粒子Aが、シリカ微粒子Bに対して十分な量存在するため、トナーが長期間使用された場合において、トナー粒子表面に固着した無機微粒子Aが分極し、シリカ微粒子Bの電荷をより効果的に引き付けることができる。そのため、長期間にわたってトナーが使用された場合において、トナー同士のこすれ合いによって、トナー粒子表面近傍に存在するシリカ微粒子Bの電荷が、近接するトナー粒子表面近傍の無機微粒子Aに引き付けられ一様に広がる。その結果、トナー1個毎の表層における帯電均一性が向上する。その結果、ドット再現性、定着爆発の抑制、静電オフセットの抑制が良好となる。
0052
<結着樹脂>
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂として、下記の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂を主成分としていることが、外添剤固着性の観点から好ましい。
0053
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
0054
2価のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表されるビスフェノール及びその誘導体;
0055
0057
0058
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
0059
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、n−ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
0060
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
0061
本発明のポリエステルユニットの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に混合し、エステル化反応またはエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステルユニットの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。
0062
また、ポリエステル樹脂の酸価は酸価が0.1〜50mgKOH/g、好ましくは1〜40mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/g、水酸基価が5〜80mgKOH/g、好ましくは5〜60mgKOH/g、より好ましくは10〜50mgKOH/gの範囲であることが、トナーの帯電性及び適度な機械的強度の点で好ましい。
0063
また、結着樹脂は、低分子量の樹脂と高分子量の樹脂を混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の含有比率は質量基準で40/60以上85/15以下であることが、無機微粒子Aとシリカ微粒子Bをトナー粒子の表面の樹脂に一部分埋没させるうえで好ましい。
0064
<着色剤>
本発明のトナーは、磁性1成分現像剤、非磁性1成分現像剤、非磁性2成分現像剤のいずれの態様でも使用できる。
磁性1成分現像剤の場合、着色剤として、磁性体が好ましく用いられる。該磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトのような磁性酸化鉄、及び他の金属酸化物を含む磁性酸化鉄;Fe、Co、Niのような金属、又は、これらの金属とAl、Co、Cu、Pb、Mg、Ni、Sn、Zn、Sb、Be、Bi、Cd、Ca、Mn、Se、Ti、W、Vのような金属との合金、及びこれらの混合物が挙げられる。
磁性体の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、30質量部以上100質量部以下であることが好ましい。
0065
非磁性1成分現像剤、及び非磁性2成分現像剤の場合、着色剤としては、以下のものが挙げられる。
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックが挙げられる。また、マグネタイト、フェライトなどの磁性体を用いることもできる。
0066
イエロー色の着色剤としては、下記顔料又は染料が例示できる。
顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、17、23、62、65、73、74、81、83、93、94、95、97、98、109、110、111、117、120、127、128、129、137、138、139、147、151、154、155、167、168、173、174、176、180、181、183、191、C.I.バットイエロー1,3,20が挙げられる。
染料としては、C.I.ソルベントイエロー19、44、77、79、81、82、93、98、103、104、112、162などが挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
0067
シアン色の着色剤としては、下記顔料又は染料が例示できる。
顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15;1、15;2、15;3、15;4、16、17、60、62、66、C.I.バットブルー6、C.I.アシッドブルー45が挙げられる。
染料としては、C.I.ソルベントブルー25、36、60、70、93、95などが挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
0068
マゼンタ色の着色剤としては、下記顔料又は染料が例示できる。
顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、48;2、48;3、48;4、49、50、51、52、53、54、55、57、57;1、58、60、63、64、68、81、81;1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、144、146、150、163、166、169、177、184、185、202、206、207、209、220、221、238、254、C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
0069
染料としては、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、52、58、63、81、82、83、84、100、109、111、121、122、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料などが挙げられる。
これらは、1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
0070
<無機微粒子>
本発明におけるトナーは、上述した無機微粒子Aとシリカ微粒子Bを含有する。また必要に応じて、その他の無機微粒子例えば酸化アルミニウムなどを含有していてもよい。
無機微粒子は、外添剤としてトナー粒子と混合する。混合に用いられる装置は、特に限定されるものではなく、ヘンシェルミキサー、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、スーパーミキサー、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)などの公知の混合機を用いることができる。
0071
無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、及び研磨剤などの働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム微粒子、炭化ケイ素微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子が挙げられる。
これらのうち、シリカ微粒子をトナー粒子に外添することが好ましい。
0072
該シリカ微粒子は、窒素吸着によるBET法による比表面積が30m2/g以上500m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上400m2/g以下であることがより好ましい。また、シリカ微粒子の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部以上8.0質量部以下であることが好ましく、0.10質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。
0073
シリカ微粒子のBET比表面積は、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)、GEMINI2360/2375(マイクロメティリック社製)、トライスター3000(マイクロメティリック社製)を用いてシリカ微粒子の表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
該シリカ微粒子は、必要に応じて、疎水化、摩擦帯電性コントロールの目的で、下記のような処理剤で処理されていてもよい。
未変性のシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシラン化合物又は、その他の有機ケイ素化合物。
0074
<現像剤>
本発明におけるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、トナー表面の電荷局在化を抑制するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
該磁性キャリアとしては、例えば、下記のものを使用することができる。
酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体。磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア)。
0075
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4.0質量%以上13.0質量%以下である。
0076
<トナーの製造方法>
トナーを製造する方法としては、特に限定されないが、顔料などのトナー材料の分散の観点から粉砕法が好ましい。
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。
0077
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に顔料などを分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーなどのバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機((株)神戸製鋼所製)、TEM型2軸押出機(東芝機械(株)製)、PCM混練機((株)池貝製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業(株)製)などが挙げられる。さらに、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
0078
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルなどの粉砕機で粗粉砕した後、さらに、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業(株)製)、スーパーローター(日清エンジニアリング(株)製)、ターボ・ミル(ターボ工業(株)製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
0079
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)などの分級機や篩分機を用いて分級する。
0080
また、必要に応じて、粉砕後に、ハイブリタイゼーションシステム((株)奈良機械製作所製)、メカノフージョンシステム(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)、メテオレインボーMRType(日本ニューマチック工業(株)製)を用いて、球形化処理などのトナー粒子の表面処理を行うこともできる。
特に、本発明では、上記製法により得られたトナー粒子に無機微粒子Aとシリカ微粒子Bを同時に添加し、ヘンシェルミキサーなどの公知の混合機を用いて混合したのち、熱風によって表面処理することが好ましい。かかる表面処理によって無機微粒子Aとシリカ微粒子Bとをトナー粒子の表面に埋め込ませて、熱固着させることができる。
0081
本発明では、例えば、図1で表される表面処理装置を用いて熱風により表面処理を行い、必要に応じて分級をすることによりトナーを得ることが好ましい。ここで、上記熱風を用いた表面処理の方法の概略を、図1を用いて説明するが、これに限定されるものではない。図1は本発明で用いた表面処理装置の一例を示した断面図である。
0082
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管3を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
0083
このとき、処理室6に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、分配部材12で分配され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段出口11における温度が100℃〜300℃であることが好ましい。熱風供給手段出口11における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナーの融着や合一を抑制しつつ、トナーを均一に球形化処理することが可能となる。
0084
さらに熱処理された熱処理トナーは冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は−20℃〜30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナーを効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナーの融着や合一を抑制することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
0085
次に、冷却された熱処理トナーは、処理室6の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室6の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体粒子供給口14から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段8から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段7から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性がさらに向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
トナーの平均円形度は、0.960以上0.980以下であることが、トナーの帯電性が優れるという観点から好ましい。
0086
その後、必要に応じて下記の分級機や篩分機を用いて分級する。
分級機・篩分機:慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン(株)製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン(株)製)、ファカルティ(ホソカワミクロン(株)製)等
その後、得られた所望の粒度の熱処理トナー粒子の表面に、所望量の外添剤を外添処理する。外添処理する方法としては、下記の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
混合装置:ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業(株)製)、ノビルタ(ホソカワミクロン(株)製)等
その際、必要に応じて、さらに流動化剤等の外添剤を外添処理しても良い。
0087
外添剤としては、例えば、帯電補助剤、導電性付与剤、流動性付与剤、ケーキング防止剤、熱ローラー定着時の離型剤、滑剤、及び研磨剤などの働きをする樹脂微粒子や無機微粒子が挙げられる。滑剤としては、ポリフッ化エチレン微粒子、ステアリン酸亜鉛微粒子、ポリフッ化ビニリデン微粒子が挙げられる。研磨剤としては、酸化セリウム微粒子、炭化ケイ素微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子が挙げられる。
本発明において、無機微粒子Aとシリカ微粒子Bは、上述の加熱による表面処理(熱処理)の前に外添された後、熱処理によって、トナー粒子の表面に埋め込まれることが好ましい。
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
0088
<水洗処理方法>
本発明では水洗処理を次のように行った。イオン交換水10.3gにショ糖31.1g(キシダ化学(株)製)を溶解させたショ糖水溶液に、下記のコンタミノンN 6ccを下記の30ccのガラスバイアルに入れて十分に混合し、分散液を作製する。
コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤、和光純薬工業(株)製
ガラスバイアル:日電理化硝子(株)製、VCV−30、外径:35mm、高さ:70mm
0089
このガラスバイアルにトナー1.0gを添加し、トナーが自然に沈降するまで静置して処理前分散液を作製する。この分散液を、振とう機(YS-8D型:(株)ヤヨイ製)にて、振とう速度:200rpmで5分間振とうし、無機微粒子をトナー粒子の表面から離脱させた。「無機微粒子が表面に残存したトナー」と「トナー粒子の表面から脱離した無機微粒子」との分離は遠心分離機を用いて行う。遠心分離工程は3700rpmで30分間行った。無機微粒子が残存したトナーを吸引濾過することで採取し、乾燥させ水洗後のトナーを得る。
0090
<水洗後のトナーに含有される無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
上記水洗処理方法で得られた水洗後のトナーに対し、走査透過型電子顕微鏡(STEM)における水洗後のトナーの断面を観察し、STEM画像を得る。そして得られたSTEM画像をもとに無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bの一次粒子の個数平均粒径(D1)を算出する。
0091
水洗後のトナーの断面画像は以下の手法で得る。
(1)カバーガラス上にトナーを一層となるように散布する。
(2)次に、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のチューブ(内径1.5mm×外径3mm×長さ3mm)に光硬化性樹脂D800(日本電子(株))を充填する。そして、チューブの上に前記カバーガラスをトナーが光硬化性樹脂D800に接するような向きで静かに置く。この状態で光を照射して樹脂を硬化させた後、カバーガラスとチューブとを取り除くことで、最表面にトナーが包埋された円柱型の樹脂を形成する。
0092
(3)超音波ウルトラミクロトーム(Leica社、UC7)により、切削速度0.6mm/sで、円柱型の樹脂の最表面からトナーの半径(例えば、重量平均粒径(D4)が10.0μmの場合は5.0μm)の長さだけ切削して、トナー中心部の断面を出す。
(4)次に、膜厚250nmとなるように切削し、トナーの断面の薄片サンプルを作製する。このような手法で切削することで、トナー中心部の断面を得ることができる。
0093
(5)走査透過型電子顕微鏡(日本電子(株)、JEM2800)の走査像モードを用いて、STEM画像を作製する。
STEM画像の撮影に用いるプローブサイズを1nmとし、画像サイズを1024×1024ピクセルとした。また、明視野像のDetector ControlパネルのContrastを1425、Brightnessを3750、Image ControlパネルのContrastを0.0、Brightnessを0.5、Gammmaを1.00に調整して、画像を取得した。なお、トナー1個に対して画像を1枚取得し、少なくともトナー 25個以上について画像を取得する。
0094
トナー1個に対してランダムに100個の無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bの一次粒子の粒径を測定して個数平均粒径を求める。一次粒子の粒径の測定は手動でもよいし、計測ツールを用いてもよい。
なお、トナー1個の断面での無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bの粒子径を測定する際には、予めエネルギー分散型X線分析装置(EDS)による元素分析等でトナーの断面における無機微粒子Aおよびシリカ微粒子Bを特定して測定を行う。
0095
<水洗後のトナーに含有される無機微粒子Aの含有量の測定方法>
上記水洗処理方法で得られた水洗後のトナーに対し、蛍光X線測定から無機微粒子Aの含有量を算出する。
各元素の蛍光X線の測定は、JIS K 0119−1969に準ずるが、具体的には以下のとおりである。
0096
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と、測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフト「SuperQ ver.4.0F」(PANalytical社製)とを用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mm、測定時間10秒間とする。また、軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
測定サンプルとしては、専用のプレス用アルミリングの中に無機微粒子約4gを入れて平らにならし、下記の錠剤成型圧縮機を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約39mmに成型したペレットを用いる。
錠剤成型圧縮機「BRE−32」((株)前川試験機製作所製)
0097
上記条件で測定を行い、得られたX線のピーク位置をもとに無機微粒子A由来の元素を同定し、単位時間あたりのX線光子の数である計数率(単位:cps)から無機微粒子Aの含有量を算出する。
無機微粒子A由来の元素としては、例えば、無機微粒子Aがチタン酸ストロンチウム微粒子の場合はストロンチウム元素である。
0098
<水洗後のトナーにおける、X線光電子分光装置(ESCA)によって測定される無機微粒子Aによる被覆率Xおよび、シリカ微粒子Bによる被覆率Yの測定方法>
水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの被覆率Xおよび、シリカ微粒子Bの被覆率Yは、X線光電子分光分析(ESCA)装置による表面組成分析を行い算出される。ESCAの装置及び測定条件は、下記のとおりである。
測定サンプル:
専用のプレス用アルミリングの中に水洗後のトナー約2gを入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE−32」((株)前川試験機製作所製)を用いて、20MPaで、60秒間加圧し、厚さ約2mm、直径約20mmに成型したペレットを用いる。
成形したペレットをESCA装置に付属の20mmφプラテンにカーボンテープ等で張り付け、測定した。
使用装置:
アルバック・ファイ(株)製 PHI5000VersaProbeII
照射線;Al−Kα線
出力;100μm 25W 15kV
光電子取り込み角度;45°
Pass Energy;58.70eV
Step size;0.125eV
以上の条件より測定された各元素のピーク強度からアルバック・ファイ(株)提供の相対感度因子を用いて表面原子濃度(原子%)を算出する。測定元素としては、C、O、Siおよび無機微粒子A由来の元素(例えば、無機微粒子Aがチタン酸ストロンチウム微粒子の場合はTi、Sr)を測定した。
水洗後のトナーにおける無機微粒子Aの被覆率Xおよび、シリカ微粒子Bの被覆率Yは下記式から求められる。
被覆率[X]=100×C1/C3
被覆率[Y]=100×C2/C3
〔式中、
C1は、X線光電子分光分析によって算出されたトナー中の無機微粒子A由来の元素(例えば、無機微粒子Aがチタン酸ストロンチウム微粒子の場合はSr)存在比率[atm%]であり、
C2は、X線光電子分光分析によって算出されたトナー中のSi存在比率、
C3は、X線光電子分光分析によって算出されたトナー中のC存在比率、O存在比率、Si存在比率、及び無機微粒子A由来の元素(例えば、チタン酸ストロンチウムの場合はTi、Sr)存在比率の和[atm%]である。〕
該被覆率[X]は、無機微粒子Aの粒径や添加量でコントロールすることが可能である。該被覆率[Y]は、シリカ微粒子Bの粒径や添加量でコントロールすることが可能である。
0099
<無機微粒子Aの誘電率の測定方法>
284AプレシジョンLCRメーター(ヒューレット・パッカード社製)を用いて、1kHz及び1MHzの周波数で校正後、周波数1MHzにおける複素誘電率を測定する。
試料に39200kPa(400kg/cm2)の荷重を5分間かけて、直径25mm、厚さ1mm以下(大凡0.5mm〜0.9mm)の円盤状に成型する。
得られた測定試料を直径25mmの誘電率測定治具(電極)を装着したARES(レオメトリック・サイエンティフィック・エフ・イー社製)に装着し、温度25℃の雰囲気下、0.49N(50g)の荷重をかけた状態で、1MHzの周波数で誘電率を測定する。
0100
以下、本発明を実施例と比較例を用いてさらに詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。なお、実施例及び比較例の部数及び%は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
<無機微粒子A−1の製造例>
硫酸法で製造されたメタチタン酸を脱鉄漂白処理した後、3モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH9.0とし脱硫処理を行い、その後、5モル/L塩酸によりpH5.6まで中和し、ろ過水洗を行った。洗浄済みのケーキに水を加えTiO2として1.90モル/Lのスラリーとした後、塩酸を加えpH1.4とし解膠処理を行った。
0101
脱硫・解膠を行ったメタチタン酸をTiO2として1.90モルを採取し、3Lの反応容器に投入した。該解膠メタチタン酸スラリーに、塩化ストロンチウム水溶液をSrO/TiO2(モル比)で1.15となるよう2.185モル添加した後、TiO2濃度1.039モル/Lに調整した。
0102
次に、撹拌混合しながら90℃に加温した後、10モル/L水酸化ナトリウム水溶液440mLを40分間かけて添加し、その後、95℃で45分間撹拌を続けたのち、氷水中に投入し急冷させて反応を終了した。
該反応スラリーを70℃まで加熱し、pH5.0となるまで12モル/L塩酸を加え1時間撹拌を続け、得られた沈殿をデカンテーションした。
0103
得られた沈殿物を含むスラリーを40℃に調整し、塩酸を加えてpH2.5に調整した。その後、表面処理剤1として固形分に対して4.0質量%の3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシランと、表面処理剤2として固形分に対して4.0質量%のイソブチルトリメトキシシランとを添加して10時間撹拌を行った。5モル/L水酸化ナトリウム水溶液を加えpH6.5に調整し1時間撹拌を続けた後、ろ過・洗浄を行い、得られたケーキを120℃の大気中に8時間乾燥して無機微粒子A−1を得た。得られた無機微粒子A−1の誘電率は70Pf/m、一次粒子の個数平均粒径(D1)は40nmであった。物性を表1に示す。
0104
<無機微粒子A−2〜A−6の製造例>
無機微粒子A−1の製造例において、塩化ストロンチウム水溶液を添加した後の混合溶液におけるTiO2濃度、水酸化ナトリウム水溶液の滴下時間、滴下後の撹拌時間、及び急冷の有無を表1に記載したように変更した。かかる変更以外は無機微粒子A−1の製造例と同様にして、無機微粒子A−2〜A−6を得た。物性を表1に示す。
0105
<無機微粒子A−7、A−8の製造例>
無機微粒子A−1の製造例において、塩化ストロンチウム水溶液を添加した後の混合溶液におけるTiO2濃度、水酸化ナトリウム水溶液の滴下時間、滴下後の撹拌時間、及び急冷の有無を表1に記載したように変更し、表面処理剤1を使用しなかった。かかる変更以外は無機微粒子A−1の製造例と同様にして、無機微粒子A−7、A−8を得た。物性を表1に示す。
0106
<無機微粒子A−9、A−10の製造例>
無機微粒子A−1の製造例において、塩化ストロンチウム水溶液を添加した後の混合溶液におけるTiO2濃度、水酸化ナトリウム水溶液の滴下時間、滴下後の撹拌時間、及び急冷の有無を表1に記載したように変更し、表面処理剤1および2を使用しなかった。かかる変更以外は無機微粒子A−1の製造例と同様にして、無機微粒子A−9、A−10を得た。物性を表1に示す。
0107
<無機微粒子A−11の製造例>
酸化ジルコニウム(一次粒子の個数平均粒径:30nm、純度:97.0質量%)と炭酸ストロンチウム(一次粒子の個数平均粒径:30nm、純度:99.0質量%)とをそれぞれ水に分散させてスラリーを調製した。
各スラリーを、ジルコニウム、及びストロンチウムのモル比が1:1となるように混合して、混合スラリーを得た。
得られた混合スラリーを200℃で噴霧乾燥した。その後、噴霧乾燥した粉末を電気炉にて800℃の温度で4時間加熱し、無機微粒子A−11を得た。得られた無機微粒子A−11の誘電率は97Pf/m、一次粒子の個数平均粒径(D1)は95nmであった。
0108
<無機微粒子A−12の製造例>
無機微粒子A−11の製造例において、電気炉での焼成時間を4.5時間に変更した以外は同様にして、無機微粒子A−12を得た。得られた無機微粒子A−12の誘電率は100Pf/m、一次粒子の個数平均粒径(D1)は100nmであった。
<無機微粒子A−13の製造例>
酸化ジルコニウム(一次粒子の個数平均粒径:2nm、純度:97.0質量%)と炭酸ストロンチウム(一次粒子の個数平均粒径:2nm、純度:99.5質量%)をそれぞれ水に分散させてスラリーを調製した。
各スラリーを、ジルコニウム、及びストロンチウムのモル比が1:0.94となるように混合して、混合スラリーを得た。
得られた混合スラリーを130℃で噴霧乾燥した。その後、噴霧乾燥した粉末を電気炉にて650℃の温度で2時間加熱し、無機微粒子13を得た。得られた無機微粒子A−13の誘電率は35Pf/m、一次粒子の個数平均粒径(D1)は5nmであった。
<無機微粒子A−14の製造例>
無機微粒子A−13の製造例において、電気炉での焼成時間を2.5時間に変更した以外は同様にして、無機微粒子A−14を得た。得られた無機微粒子A−14の誘電率は39Pf/m、一次粒子の個数平均粒径(D1)は10nmであった。
0109
0110
<シリカ微粒子B−1の製造例>
シリカ微粒子B−1の製造には、燃焼炉は、内炎と外炎が形成できる二重管構造の炭化水素−酸素混合型バーナーを用いた。バーナー中心部にスラリー噴射用の二流体ノズルが接地され、原料のケイ素化合物が導入される。二流体ノズルの周囲から炭化水素−酸素の可燃性ガスが噴射され、還元雰囲気である内炎及び外炎を形成する。可燃性ガスと酸素の量及び流量の制御により、雰囲気と温度、火炎の長さ等が調整される。火炎中においてケイ素化合物からシリカ微粒子が形成され、さらに所望の粒径になるまで融着させる。その後、冷却後、バグフィルター等により捕集することによって得られる。
原料のケイ素化合物として、ヘキサメチルシクロトリシロキサンを用いて、シリカ微粒子を製造し、得られたシリカ微粒子100質量部を、ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理した。物性を表2に示す。
0111
<シリカ微粒子B−2〜B−10の製造例>
シリカ微粒子B−1と同様にして、バーナーによる火炎の大きさと温度と流量を調整し、粒度の異なる粒子を得た後、ヘキサメチルジシラザン4質量%で表面処理を行い、シリカ微粒子B−2〜B−10を得た。物性を表2に示す。
0112
0113
<酸化チタン微粒子1の製造例>
出発原料としてTiO2相当分を50質量%含有しているイルメナイト鉱石を使用した。この原料を温度150℃で2時間乾燥させた後、硫酸を添加して溶解させることによって、TiOSO2の水溶液を得た。この水溶液に炭酸ナトリウムを加えてpH9.0に調整してアルカリ中和を行い、濾過することにより白色沈殿物を得た。この白色沈殿物に純水を加えて温度約90℃に保ちながら2.5時間加熱処理して加水分解処理を行い、濾過・水洗浄を繰り返し行うことでアナターゼ型の酸化チタンを得た。
0114
得られたアナターゼ型の酸化チタンを1100℃の高温加熱によって焼結させることによってルチル型の酸化チタンを得た。このルチル型の酸化チタンをジェットミルにて解砕処理を行い、酸化チタン微粒子を得た。この酸化チタン微粒子をエタノール中に分散させ、酸化チタン微粒子100質量部に対して、疎水化剤としてイソブチルトリメトキシシランを固形分で10質量部を粒子の合一が生じないように十分に撹拌しながら滴下混合し、反応させて疎水化処理を行った。
0115
さらに十分に撹拌しながら、スラリーのpHを6.5に調整した。これを濾過、乾燥した後、温度170℃で2時間加熱処理し、その後、酸化チタンの凝集体がなくなるまで繰り返しジェットミルにより解砕処理を行い、酸化チタン微粒子1を得た。酸化チタン微粒子1の誘電率は25Pf/m、一次粒子の個数平均粒径は10nmであった。
0116
<結着樹脂の製造例>
(ポリエステル樹脂Cの製造例)
・ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
多価アルコール総モル数に対して80.0mol%
・ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン:
多価アルコール総モル数に対して20.0mol%
・テレフタル酸:多価カルボン酸総モル数に対して80.0mol%
・無水トリメリット酸:多価カルボン酸総モル数に対して20.0mol%
冷却管、攪拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を投入した。そして、モノマー総量100部に対して、触媒としてチタンテトラブトキシド0.2質量部を添加した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2.5時間反応させた。
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、180℃まで冷却し、そのまま反応させASTMD36−86に従って測定した軟化点が110℃に達したのを確認してから温度を下げて反応を止めた。
0117
<トナー1の製造例>
・ポリエステル樹脂C 100.0部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物0.1部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピーク温度90℃) 5.0部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5.0部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5分間で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、(株)池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T−250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F−300、ホソカワミクロン(株)製)を用い、分級を行い、トナー粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
0118
・トナー粒子1 100部
・無機微粒子A−1 5.0部
・シリカ微粒子B−1 4.0部
上記処方で示した材料をヘンシェルミキサー(FM−10C型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数2000rpm、回転時間2分間で混合した後、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い、熱処理トナー1を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、熱風温度C=160℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度E=−5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
得られた熱処理トナー1を、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)を用いて分級し、熱処理トナー1Mを得た。
0119
・熱処理トナー1M 100部
・無機微粒子A−1 0.5部
・シリカ微粒子B−1 0.5部
・シリカ微粒子(一次粒子の個数平均粒径(D1)が10nm) 1.5部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM−10C型、日本コークス工業(株)製)を用いて、回転数67s−1(4000rpm)、回転時間2分間で混合した後、目開き54μmの超音波振動篩を通過させ、トナー1を得た。物性を表3に示す。
0120
<トナー2〜18の製造例>
トナー1の製造例において、水洗後トナーにおける物性が表3記載の値となるように、無機微粒子Aの種類、シリカ微粒子Bの種類、添加部数を変更した以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー2〜18を得た。物性を表3に示す。
0121
0122
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe2O3 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
0123
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記のとおりである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe2O3)d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393である。
0124
・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
0125
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機(株))で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
0126
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
0127
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
0128
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5,000のマクロモノマー)
トルエン31.3質量%
メチルエチルケトン31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル2.0質量%
0129
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
0130
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
上記材料を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散を行った。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過を行い、被覆樹脂溶液1を得た。
0131
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及び被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
0133
<二成分系現像剤2〜18の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表4のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2〜18を得た。
0134
0135
<実施例1>
キヤノン(株)製フルカラー複写機imagePRESS C800又はその改造機を用いて、以下の評価を実施した。
該画像形成装置は、像坦持体として静電潜像を形成させる感光体を有し、感光体の静電潜像を二成分現像剤によりトナー像として現像する現像工程を有する。
さらに、現像されたトナー像を中間転写体に転写し、その後に中間転写体のトナー像を紙に転写する転写工程を有し、紙上のトナー像を熱により定着する定着工程を有する。
この画像形成装置のシアン色用のプロセスカートリッジのステーションの現像器に、二成分現像剤1を投入し、下記評価を行った。
0136
<ドット再現性の評価>
低温低湿環境下(温度5℃、相対湿度5%)で、印字比率5%のテストチャートを1万枚まで連続出力後、ハーフトーン(30h)画像を形成し、この画像のドット再現性について以下の基準に基づき評価した。
記録媒体には、高白色用紙GF−C081(81.4g/m2、キヤノンマーケティングジャパン(株))を使用した。なお、30h画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00hをベタ白(非画像)とし、FFhをベタ画像(全面画像)とするときのハーフトーン画像である。
画像はデジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100 (株)キーエンス製)を用い、ドット1,000個の面積を測定した。
ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下記式により算出した。
そして、ハーフトーン画像のドット再現性指数(I)で評価した。ドット再現性指数(I)は値が小さいほどドット再現性に優れていることを示している。
ドット再現性指数(I)=σ/S×100
(評価基準)
A:Iが1.0未満
B:Iが1.0以上2.0未満
C:Iが2.0以上4.0未満
D:Iが4.0以上6.0未満
E:Iが6.0以上8.0未満
F:Iが8.0以上
0137
<静電オフセットの評価>
記録媒体には、上質紙(npi上質:157.0g/m2、日本製紙(株))を使用した。なお、評価前に記録媒体を低温低湿環境下(温度5℃、相対湿度5%)に48時間以上静置して十分に乾燥させて、水分量を3%未満とした。
低温低湿環境下(温度5℃、相対湿度5%)で、印字比率5%のテストチャートを1万枚まで連続出力した後、下記の静電オフセット試験用チャートを用いて連続500枚の画出しを行った。
静電オフセット試験用チャート:
画像の前半分は、1cm幅に0.2mmのラインが15本、転写材の進行方向に対して直交するように描かれている。画像の後半分は、白地である、
この画像の白地部を光学顕微鏡(30倍の倍率)にて観察し、静電オフセット性の評価を行った。
A:光学顕微鏡で拡大しても、静電オフセットが発生したものは1枚も確認できない。
B:光学顕微鏡で拡大すると、1枚にわずかに静電オフセットが確認できる。
C:光学顕微鏡で拡大すると、2枚以上3枚以下にわずかに静電オフセットが確認できる。
D:光学顕微鏡で拡大すると、4枚以上5枚以下にわずかに静電オフセットが確認できる。
E:光学顕微鏡で拡大すると、6枚以上9枚以下にわずかに静電オフセットが確認できる。
F:光学顕微鏡で拡大すると、10枚以上にわずかに静電オフセットが確認できる。
0138
<定着爆発の評価>
記録媒体には、リサイクルペーパー(GF−R070:67.0g/m2、キヤノンマーケティングジャパン(株))を使用した。なお、評価前に記録媒体を高温高湿環境下(温度30℃、相対湿度80%)に48時間以上静置して十分に吸湿させて、水分量を9%以上とした。
高温高湿環境下(温度30℃、相対湿度80%)で、4ドットラインを20ドットスペースで並べたヨコ線画像チャートを用い、画像上の横線から発生した尾引きを数えて下記判断基準により判定した。
A:尾引き発生なし。
B:横線1ラインあたり1個以下の尾引き発生。
C:横線1ラインあたり1個を超え2個以下の尾引き発生。
D:横線1ラインあたり2個を超え3個以下の尾引き発生。
E:横線1ラインあたり3個を超え4個以下の尾引き発生。
F:横線1ラインあたり4個を超え5個以上の尾引き発生。
0139
<画像濃度の評価>
評価は下記の各環境下において、印字比率5%のテストチャートを1万枚まで連続出力した後、20mm四方のベタ画像パッチが現像域内に5箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その5点の画像濃度の平均値(画像濃度)を下記の基準によって評価した。
常温常湿(温度23℃、相対湿度55%)環境
低温低湿(温度5℃、相対湿度5%)環境
高温高湿(温度30℃、相対湿度80%)環境
記録媒体には、漂白紙(CS−068:68.0g/m2紙、A4、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を使用した。
なお、画像濃度は、X−Riteカラー反射濃度計(X−rite社製、X−rite 500Series)を用いて測定した。
(評価基準)
A:画像濃度1.40以上
B:画像濃度1.30以上1.40未満
C:画像濃度1.30未満
0140
<カブリの評価>
評価は下記の各環境下において、印字比率が5%の画像を1万枚まで連続出力した後、ベタ白画像を出力し、以下の基準で評価した。
常温常湿(温度23℃、相対湿度55%)環境
低温低湿(温度5℃、相対湿度5%)環境
高温高湿(温度30℃、相対湿度80%)環境
記録媒体には、漂白紙(CS−068:68.0g/m2紙、A4、キヤノンマーケティングジャパン(株)より販売)を使用した。
なお、測定は反射率計(リフレクトメーターモデルTC−6DS (有)東京電色製)を用いて行い、画像形成後の白地部の反射濃度の最悪値をDs、画像形成前の記録媒体の反射平均濃度をDrとし、Dr−Dsをカブリ量としてカブリの評価を行った。したがって、数値が小さいほどカブリが少ないことを示す。
(評価基準)
A:カブリが1.00未満
B:カブリが1.00以上3.00未満
C:カブリが3.00以上
0141
<実施例2〜18>
二成分系現像剤2〜18を実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表5に示す。
0142
0143
<トナー19の製造例>
トナー1の製造例において、水洗後トナーにおける物性が表6記載の値となるように、下記の変更点以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー19を得た。物性を表6に示す。
変更点:無機微粒子Aの種類、シリカ微粒子Bの種類、添加部数を変更し、熱風処理前にはシリカ微粒子Bのみを添加し、無機微粒子Aは熱風処理後のみ加えた。
0144
<トナー20、22の製造例>
トナー1の製造例において、水洗後トナーにおける物性が表6記載の値となるように、無機微粒子Aの種類、シリカ微粒子Bの種類、添加部数を変更し、熱風処理を行わなかった以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー20、22を得た。物性を表6に示す。
0145
<トナー21の製造例>
トナー1の製造例において、水洗後トナーにおける物性が表6記載の値となるように、下記の変更点以外はトナー1の製造例と同様の操作を行い、トナー21を得た。物性を表6に示す。
変更点:無機微粒子Aの代わりに酸化チタン微粒子1を使用し、酸化チタン微粒子1の添加部数、シリカ微粒子Bの種類、添加部数を変更し、熱風処理を行わなかった。
0146
0147
<二成分系現像剤19〜22の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表7のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤19〜22を得た。
0148
0149
<比較例1〜4>
二成分系現像剤19〜22を実施例1と同様の方法で評価した。評価結果を表8に示す。
実施例
0150
0151
1.原料定量供給手段
2.圧縮気体流量調整手段
3.導入管
4.突起状部材
5.供給管
6.処理室
7.熱風供給手段
8.冷風供給手段
9.規制手段
10.回収手段
11.熱風供給手段出口
12.分配部材
13.旋回部材
14.粉体粒子供給口