図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
課題
解決手段
概要
背景
パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等様々な電子機器の小型化や高性能化に伴い、半導体素子においてもさらなる小型化、薄型化及び高密度化への要求が急速に高まっている。これに伴い、半導体素子の層間絶縁膜、表面保護膜にはより優れた電気特性、耐熱性、機械特性等を併せ持つことが求められている。
三次元積層といった高密度実装技術において、基板上にパターン形成可能な感光性絶縁材料は、以前からポリイミド膜が保護被膜や絶縁層として活用されており、その絶縁性、機械特性、基板との密着性等が注目され続け、現在においても開発が旺盛である。
従来、感光性のポリイミド系材料としては、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を利用した材料、例えば、ポリアミック酸のカルボキシル基に感光基をエステル結合により導入したもの(特許文献1、特許文献2)が提案されている。しかしながら、これらの提案では、パターン化された皮膜を形成した後、目的とするポリイミド皮膜を得るために、300℃を超える高温でのイミド化処理が必須であり、この高温に耐えるため、下地基材が制約されたり、配線の銅を酸化させたりする問題を有していた。
この改善として、後硬化温度の低温化を目的にすでにイミド化された溶剤可溶の樹脂を用いた感光性のポリイミドが提案されている(特許文献3、特許文献4)。特許文献3において、既閉環ポリイミドを含有するネガ型感光性組成物が提案されているが、パターン形成性と密着性に関する記載はあるものの、機械的強度に関する記載がなされていない。
特許文献4において、アルカリ可溶性の既閉環ポリイミド、光酸発生剤及びメチロール基を有する熱架橋剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されているが、低温で硬化した場合の破断伸びの値に改善の余地があった。
また特許文献5において、分子骨格中にトリアジン又は/ジアジン骨格含有のジアミン残基をもつアルカリ可溶性ポリイミドと前記ポリイミドとはガラス転移温度が異なるアルカリ可溶性ポリイミド、光酸発生剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されており、銅配線との密着性に優れる材料であるが、機械特性、特に破断伸びには改善の余地があった。
また、特許文献6において、分子骨格中にカルボキシル基を有するポリイミドと分子末端に窒素原子含有のヘテロ環骨格を有するポリイミドとを組み合わせたポリイミド系樹脂組成物が提案されているが、感光性樹脂組成物の記載はない。また上述の表面保護膜や層間絶縁膜に用いる絶縁材料として特許文献6に記載の組成物を用いる場合、樹脂中に含まれるカルボキシル基が硬化膜中に残存すると銅マイグレーションの原因となるため、カルボキシル基を完全に封止する必要がある。そこでカルボキシル基を封止するためには、例えばエポキシ系架橋剤などが用いられるが、カルボキシル基とエポキシ系架橋剤とは反応性が高く、保存安定性に問題が発生するため、当該組成物の本分野への適用は困難である。
また、特許文献7において、アルカリ可溶性のポリアミドイミド、光酸発生剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されており、溶剤溶解性、解像性能に優れる材料であるが、機械特性、特に破断伸びには改善の余地があった。
このように、今後、チップの高密度化、高集積化に伴い、絶縁保護膜の再配線技術におけるパターンの微細化も益々進むであろうことから、感光性樹脂組成物において、加熱によって得られるパターン及び保護被膜の機械特性、密着性等の優れた特徴を損なうことなく、高解像度を具現化できる組成物が強く望まれている。
概要
微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができ、且つ低温で硬化した場合でも機械特性が良好であるポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。(A−1)ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂、(B)光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物、及び(D)溶剤を含むものであることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。なし
目的
しかしながら、これらの提案では、パターン化された皮膜を形成した後、目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
ポジ型感光性樹脂組成物であって、(A−1)ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂、(B)光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物、及び(D)溶剤、を含むものであることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
請求項2
前記(A−2)が下記一般式(1)で表されるポリイミド構造を含むものであることを特徴とする請求項1に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、Wは少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有する1価の有機基であり、X1は4価の有機基であり、X2は2価の有機基であり、lは1から1000の整数を表す。)
請求項3
前記ポジ型感光性樹脂組成物が、前記(A−1)100質量部に対し、前記(A−2)を5質量部以上50質量部以下含有するものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
請求項4
前記(A−1)が下記一般式(2)及び/又は(3)で表される構造を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、X3は4価の有機基であり、sは0又は1を表し、Zは2価の結合基であり、s=0のとき、式中の2つの芳香環は結合基を介さず直結する。)(式中、X4は2価の有機基であり、s及びZは前記と同様である。)
請求項5
前記一般式(2)、(3)におけるZが、下記一般式(4)又は(5)で示される2価の基であることを特徴とする請求項4に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、点線は結合を表す。)
請求項6
前記(A−1)が、更に、下記一般式(6)及び/又は(8)で示される構造単位を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、X5は4価の有機基であり、R1は下記一般式(7)で示される基であり、sは0又は1を表し、Zは2価の結合基であり、s=0のとき、式中の2つの芳香環は結合基を介さず直結する。)(式中、点線は結合を表し、Y1は(k+1)価の有機基であり、Rfは水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基又はアルキル基で置換されていても良い芳香族基であり、kは1、2、又は3を表し、nは0又は1を表す。)(式中、X6は4価の有機基であり、X7は下記一般式(9)で示される基である。)(式中、R2〜R5はそれぞれ独立に炭素数2〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、m1は1〜40の整数、m2、m3はそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
請求項7
前記一般式(6)中のR1が、下記一般式(10)、(11)、(12)、及び(13)で示される基のいずれかより選ばれる有機基であることを特徴とする請求項6に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、点線は結合を表す。Rfは前記と同様であり、Ra及びRbは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Y2及びY3は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、n1は0〜6の整数、n2は1〜6の整数、n3は0〜6の整数、n4は1〜6の整数、n5は0〜6の整数、n6は0又は1、n7は0〜6の整数を表す。)
請求項8
前記ポジ型感光性樹脂組成物が、更に、(C)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子を下記式(C−1)で示される置換基に置換した化合物、及び下記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。(式中、点線は結合を示し、Rcは炭素数1〜6の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を示し、vは1又は2を表す。)
請求項9
前記ポジ型感光性樹脂組成物が、更に、(E)熱によって酸を発生する化合物を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物。
請求項10
(1)請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光材皮膜を形成する工程、(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長190〜500nmの高エネルギー線もしくは電子線で感光材皮膜を露光する工程、(3)アルカリ水溶液の現像液を用いて現像する工程、を含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項11
請求項12
請求項13
請求項1から請求項9のいずれか一項に記載のポジ型感光性樹脂組成物が硬化してなる硬化被膜からなるものであることを特徴とする表面保護膜。
請求項14
請求項12に記載の層間絶縁膜又は請求項13に記載の表面保護膜を有するものであることを特徴とする電子部品。
技術分野
背景技術
0002
パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等様々な電子機器の小型化や高性能化に伴い、半導体素子においてもさらなる小型化、薄型化及び高密度化への要求が急速に高まっている。これに伴い、半導体素子の層間絶縁膜、表面保護膜にはより優れた電気特性、耐熱性、機械特性等を併せ持つことが求められている。
0003
三次元積層といった高密度実装技術において、基板上にパターン形成可能な感光性絶縁材料は、以前からポリイミド膜が保護被膜や絶縁層として活用されており、その絶縁性、機械特性、基板との密着性等が注目され続け、現在においても開発が旺盛である。
0004
従来、感光性のポリイミド系材料としては、ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸を利用した材料、例えば、ポリアミック酸のカルボキシル基に感光基をエステル結合により導入したもの(特許文献1、特許文献2)が提案されている。しかしながら、これらの提案では、パターン化された皮膜を形成した後、目的とするポリイミド皮膜を得るために、300℃を超える高温でのイミド化処理が必須であり、この高温に耐えるため、下地基材が制約されたり、配線の銅を酸化させたりする問題を有していた。
0005
この改善として、後硬化温度の低温化を目的にすでにイミド化された溶剤可溶の樹脂を用いた感光性のポリイミドが提案されている(特許文献3、特許文献4)。特許文献3において、既閉環ポリイミドを含有するネガ型感光性組成物が提案されているが、パターン形成性と密着性に関する記載はあるものの、機械的強度に関する記載がなされていない。
0006
特許文献4において、アルカリ可溶性の既閉環ポリイミド、光酸発生剤及びメチロール基を有する熱架橋剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されているが、低温で硬化した場合の破断伸びの値に改善の余地があった。
0007
また特許文献5において、分子骨格中にトリアジン又は/ジアジン骨格含有のジアミン残基をもつアルカリ可溶性ポリイミドと前記ポリイミドとはガラス転移温度が異なるアルカリ可溶性ポリイミド、光酸発生剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されており、銅配線との密着性に優れる材料であるが、機械特性、特に破断伸びには改善の余地があった。
0008
また、特許文献6において、分子骨格中にカルボキシル基を有するポリイミドと分子末端に窒素原子含有のヘテロ環骨格を有するポリイミドとを組み合わせたポリイミド系樹脂組成物が提案されているが、感光性樹脂組成物の記載はない。また上述の表面保護膜や層間絶縁膜に用いる絶縁材料として特許文献6に記載の組成物を用いる場合、樹脂中に含まれるカルボキシル基が硬化膜中に残存すると銅マイグレーションの原因となるため、カルボキシル基を完全に封止する必要がある。そこでカルボキシル基を封止するためには、例えばエポキシ系架橋剤などが用いられるが、カルボキシル基とエポキシ系架橋剤とは反応性が高く、保存安定性に問題が発生するため、当該組成物の本分野への適用は困難である。
0009
また、特許文献7において、アルカリ可溶性のポリアミドイミド、光酸発生剤を用いたポジ型感光性樹脂組成物が提案されており、溶剤溶解性、解像性能に優れる材料であるが、機械特性、特に破断伸びには改善の余地があった。
0010
このように、今後、チップの高密度化、高集積化に伴い、絶縁保護膜の再配線技術におけるパターンの微細化も益々進むであろうことから、感光性樹脂組成物において、加熱によって得られるパターン及び保護被膜の機械特性、密着性等の優れた特徴を損なうことなく、高解像度を具現化できる組成物が強く望まれている。
先行技術
0011
特開昭49−115541号公報
特開昭55−45746号公報
特許第3232022号公報
特開2006−313237号公報
国際公開2018/159384号
特開2001−106911号公報
特開2018−158966号公報
発明が解決しようとする課題
0012
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、アルカリ水溶液に可溶であり、微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができ、且つ低温で硬化した場合でも機械特性が良好であるポジ型感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0013
上記課題を解決するために、本発明では、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
(A−1)ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、
(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂、
(B)光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物、及び
(D)溶剤、
を含むものであることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物を提供する。
0014
このようなポジ型感光性樹脂組成物であれば、アルカリ水溶液に可溶であり、微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができ、且つ低温で硬化した場合でも機械特性が良好になる。
0015
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、前記(A−2)が下記一般式(1)で表されるポリイミド構造を含むものであることができる。
(式中、Wは少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有する1価の有機基であり、X1は4価の有機基であり、X2は2価の有機基であり、lは1から1000の整数を表す。)
0017
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、前記(A−1)100質量部に対し、前記(A−2)を5質量部以上50質量部以下含有するものであることが好ましい。
0018
このようなポジ型感光性樹脂組成物であれば、樹脂(A−1)同士、及び樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の分子間相互作用を好適にすることができ、感光性組成物の硬化膜の伸びが向上する効果が得られ、リソグラフィーパターニング時の残渣等の問題を引き起こすこともない。
0019
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、前記(A−1)が下記一般式(2)及び/又は(3)で表される構造を含むものであることが好ましい。
(式中、X3は4価の有機基であり、sは0又は1を表し、Zは2価の結合基であり、s=0のとき、式中の2つの芳香環は結合基を介さず直結する。)
(式中、X4は2価の有機基であり、s及びZは前記と同様である。)
0021
この場合、前記一般式(2)、(3)におけるZが、下記一般式(4)又は(5)で示される2価の基であることが好ましい。
(式中、点線は結合を表す。)
0022
Zがこのような基であると、アルカリ水溶液である現像液に対する溶解性が向上するため、好ましい。
0023
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物では、前記(A−1)が、更に、下記一般式(6)及び/又は(8)で示される構造単位を含むものであることが好ましい。
(式中、X5は4価の有機基であり、R1は下記一般式(7)で示される基であり、sは0又は1を表し、Zは2価の結合基であり、s=0のとき、式中の2つの芳香環は結合基を介さず直結する。)
(式中、点線は結合を表し、Y1は(k+1)価の有機基であり、Rfは水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基又はアルキル基で置換されていても良い芳香族基であり、kは1、2、又は3を表し、nは0又は1を表す。)
(式中、X6は4価の有機基であり、X7は下記一般式(9)で示される基である。)
(式中、R2〜R5はそれぞれ独立に炭素数2〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、m1は1〜40の整数、m2、m3はそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
0025
この場合、前記一般式(6)中のR1が、下記一般式(10)、(11)、(12)、及び(13)で示される基のいずれかより選ばれる有機基であることが好ましい。
(式中、点線は結合を表す。Rfは前記と同様であり、Ra及びRbは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Y2及びY3は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、n1は0〜6の整数、n2は1〜6の整数、n3は0〜6の整数、n4は1〜6の整数、n5は0〜6の整数、n6は0又は1、n7は0〜6の整数を表す。)
0027
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、更に、(C)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子を下記式(C−1)で示される置換基に置換した化合物、及び下記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤を含むものであることが好ましい。
(式中、点線は結合を示し、Rcは炭素数1〜6の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を示し、vは1又は2を表す。)
0029
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、更に、(E)熱によって酸を発生する化合物を含むものであることが好ましい。
0031
また、本発明は、(1)上記ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光材皮膜を形成する工程、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長190〜500nmの高エネルギー線もしくは電子線で感光材皮膜を露光する工程、
(3)アルカリ水溶液の現像液を用いて現像する工程、
を含むことを特徴とするパターン形成方法を提供する。
0032
このようなパターン形成方法であれば、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いることにより、アルカリ水溶液に可溶であり、微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができる。
0033
また、本発明は、上記パターン形成方法により得られたパターン形成された被膜を、温度100〜300℃において加熱、後硬化する工程を含むことを特徴とする硬化被膜形成方法を提供する。
0034
このような硬化被膜形成方法であれば、低温で硬化した場合でも機械特性が良好な硬化皮膜(パターン)を形成することができる。
0035
また、本発明は、上記ポジ型感光性樹脂組成物が硬化してなる硬化被膜からなるものであることを特徴とする層間絶縁膜あるいは表面保護膜を提供する。
0036
本発明のポジ型感光性樹脂組成物が硬化してなる硬化被膜は、基板との密着性、耐熱性、電気特性、機械的強度及びアルカリ性剥離液等に対する薬品耐性に優れ、それを保護用被膜とした半導体素子の信頼性にも優れるため、電気・電子部品、半導体素子等の保護用被膜(層間絶縁膜あるいは表面保護膜)として好適である。
0037
また、本発明は、上記層間絶縁膜又は表面保護膜を有するものであることを特徴とする電子部品を提供する。
0038
このような保護用被膜(層間絶縁膜又は表面保護膜)は、その耐熱性、薬品耐性、絶縁性から、再配線用途を含む半導体素子用絶縁膜、多層プリント基板用絶縁膜等に有効であり、信頼性に優れた電子部品とすることができる。
発明の効果
0039
以上のように、本発明であれば、アルカリ水溶液に可溶であり、微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができ、且つ低温で硬化した場合でも機械特性が良好であるポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
0040
上述のように、アルカリ水溶液に可溶であり、微細なパターンを形成可能で高解像度を得ることができ、且つ低温で硬化した場合でも機械特性が良好である感光性樹脂組成物が求められていた。
0041
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ポジ型感光性樹脂組成物であって、(A−1)特定の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、特定の構造が含まれる樹脂、(B)特定の感光剤、及び(D)溶剤、を含むものであることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物を用いて得られたパターンは微細でかつパターン形状が良好となることを見出した。
0042
さらに、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用い、パターン形成、加熱によって得られた保護被膜は機械特性、特に破断伸びに優れることを見出した。即ち、上記ポジ型感光性樹脂組成物を用いて形成したパターンを有して得られた硬化被膜が、電気、電子部品保護被膜、絶縁保護被膜として優れることを見出して、本発明を完成させた。なお、本明細書においては、電気・電子部品をまとめて「電子部品」ともいう。
0043
即ち、本発明は、ポジ型感光性樹脂組成物であって、
(A−1)ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、
(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂、
(B)光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物、及び
(D)溶剤、
を含むものであることを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物である。
0044
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
0045
[ポジ型感光性樹脂組成物]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物について説明する。
0046
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、
(A−1)ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂、
(A−2)アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂、
(B)光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物、及び
(D)溶剤、
を含むものである。前記ポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ現像可能である。また、前記ポジ型感光性樹脂組成物は、上記(A−1)成分、(A−2)成分、(B)成分、(D)成分以外に、必要に応じて(C)架橋剤、(E)熱によって酸を発生する化合物(熱酸発生剤)などを更に含有することができる。以下、これら成分について詳細に説明する。
0047
[(A−1)アルカリ可溶性樹脂]
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、ポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂である。前記樹脂(A−1)は、上記構造が含まれるアルカリ可溶性樹脂であれば特に限定されないが、下記一般式(2)及び/又は(3)で表される構造を含むものであることが好ましい。
(式中、X3は4価の有機基であり、sは0又は1を表し、Zは2価の結合基であり、s=0のとき、式中の2つの芳香環は結合基を介さず直結する。)
(式中、X4は2価の有機基であり、s及びZは前記と同様である。)
0048
上記一般式(2)中のX3は、4価の有機基であるが、4価の有機基であれば限定されるものではない。好ましくは、炭素数4〜40の脂環式脂肪族基又は芳香族基の4価の有機基であり、さらに好ましくは下記式(14)で示される4価の有機基である。また、
X3の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
(式中、点線は結合を表す。)
0049
上記一般式(2)中のsは、0又は1を表し、s=0の場合、上記一般式(2)中の2つの芳香環は2価の結合基Zを介さず直結する。
0050
一方、s=1の場合、上記一般式(2)中の2つの芳香環は、2価の結合基Zを介して結合する。Zは、2価の基であれば限定されるものではない。好ましくは、炭素数4〜40の脂環式脂肪族基又は芳香族基の2価の有機基であり、さらに好ましくは下記式(15)で示される2価の結合基である。また、Zの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
0051
(式中、q1、q2、及びq3は、1〜6の整数を表し、q4及びq5は1〜10の整数を表す。点線は結合を表す。)
0052
特に、好ましい2価の結合基Zは、下記一般式(4)又は(5)で示される2価の基である。
(式中、点線は結合を表す。)
0053
上記一般式(2)で示される構造単位としては、上記一般式(2)におけるZが上記式(4)で示される基である場合、下記一般式(2−1)で示される構造単位が好ましく、上記一般式(2)におけるZが上記式(5)で示される基である場合、下記一般式(2−2)で示される構造単位が好ましい。
(式中、X3は前記と同様である。)
0054
上記一般式(2−1)のように、2価の結合基であるZが上記式(4)で示されるヘキサフルオロプロピレン基であって、フェノール性水酸基のp−位に位置する場合、ヘキサフルオロプロピレン基が電子吸引性の基であることから、該フェノール性水酸基の酸性度は高くなり、アルカリ水溶液の現像液に対する溶解性が向上するため、好ましい。
0055
同様に、上記一般式(2−2)のように、2価の結合基であるZが上記式(5)で示されるスルホン基であって、フェノール性水酸基のp−位に位置する場合、スルホン基も電子吸引性の基であることから、該フェノール性水酸基の酸性度は高くなり、アルカリ水溶液の現像液に対する溶解性が向上するため、好ましい。
0056
上記一般式(3)中のX4は、2価の有機基であり、2価の有機基であれば限定されるものではない。好ましくは、炭素数4〜40の脂肪族鎖長構造もしくは脂環式脂肪族基又は芳香族基の2価の有機基である。さらに好ましくは下記式(16)で示される2価の有機基である。また、X4の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
(式中、R6、R7は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜6のアルキル基であり、q6は1〜30の整数であり、点線は結合を表す。)
0057
上記一般式(3)中のX4が脂肪族鎖長構造である2価の有機基である場合、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の硬化膜の機械的強度、特に伸度が高くなることから好ましい。
0058
上記一般式(3)中のs、Zは前記と同様であり、Zはアルカリ水溶液の現像液に対する溶解性の観点から、上記一般式(4)または(5)が好ましい。この場合も、上記式(2−1)、(2−2)の場合と同様に、フェノール性水酸基の酸性度は高くなり、アルカリ水溶液である現像液に対する溶解性が向上するため、好ましい。
0059
また本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、上記一般式(2)、(3)で示される構造単位に加え、更に、下記一般式(17)で示される構造単位(以下、構造単位(17)とも言う)を含んでいても良い。
(式中、X4は前記と同様である。X8は2価の有機基である。)
0060
上記一般式(17)中のX8は、2価の有機基であるが、2価の有機基であれば限定されるものではないが、炭素数6〜40の2価の有機基であることが好ましく、置換基を有した芳香族環もしくは脂肪族環を1〜4個含有する環状有機基、又は環状構造を持たない脂肪族基もしくはシロキサン基であることがより好ましい。さらに好適なX8としては、下記式(18)又は(19)で示される構造が挙げられる。また、X8の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
(式中、点線はアミノ基との結合を表す。)
0062
また本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、上記一般式(2)、(3)で示される構造単位に加え、更に、下記一般式(20)で示される構造単位(以下、構造単位(20)とも言う)を含んでいても良い。
(式中、X3及びX8は前記と同様である。)
0063
また本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、上記一般式(2)、(3)で示される構造単位に加え、更に、下記一般式(6)で示される構造単位(以下、構造単位(6)とも言う)を含有していることが好ましい。
(式中、X5は前記X3と同一もしくは異なる4価の有機基であり、R1は下記一般式(7)で示される基であり、s及びZは前記と同様である。)
(式中、点線は結合を表し、Y1は(k+1)価の有機基であり、Rfは水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された炭素数1〜20の直鎖状、分枝状、もしくは環状のアルキル基又はアルキル基で置換されていても良い芳香族基であり、kは1、2、又は3を表し、nは0又は1を表す。)
0064
アルカリ可溶性樹脂(A−1)が構造単位(6)を含むことで、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのような汎用的な有機溶剤への溶解性が向上し、組成物の溶剤を限定することなく使用できる。
0065
上記一般式(7)中のY1としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分枝状の2価の有機基(例えばアルキレン基)であることが好ましい。
0066
さらに、上記一般式(6)中のR1が、下記式(10)、(11)、(12)及び(13)で示される基のいずれかより選ばれる有機基であることが好ましい。下記式(11)については、下記式(11’)で示される有機基であることがより好ましい。
(式中、点線は結合を表す。Rfは前記と同様であり、Ra及びRbは水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基であり、Y2及びY3は炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、n1は0〜6の整数、n2は1〜6の整数、n3は0〜6の整数、n4は1〜6の整数、n5は0〜6の整数、n6は0又は1、n7は0〜6の整数を表す。)
0067
上記一般式(10)で示される有機基において、好ましく用いることのできる有機基としては、具体的には下記のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
0068
0069
(式中、点線は結合を表す。)
0070
上記一般式(11)で示される有機基において、好ましく用いることのできる有機基としては、具体的には下記のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
0071
0072
0073
0074
(式中、点線は結合を表す。n2は1〜6の整数を表し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。)
0075
上記一般式(12)で示される有機基において、好ましく用いることのできる有機基としては、具体的には下記のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
0076
0077
0078
0079
0080
0081
(式中、点線は結合を表す。n4は1〜6の整数を表し、好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1又は2、最も好ましくは1である。)
0082
上記一般式(13)で示される有機基において、好ましく用いることのできる有機基としては、具体的には下記のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
0083
(式中、点線は結合を表す。)
0084
ここで、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いてパターニングを行った後、後硬化の加熱において、一般式(6)で示されるポリイミド前駆体の構造単位ではイミド化の閉環反応が進行するが、この際、導入されたR1は脱離し系中から取り除かれるため、形成された膜の膜厚の減少が観察される。従って、後硬化時の膜減りを最小にとどめるため、さらに好適なR1としては、その分子量が小さいものである。
0085
また本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、上記一般式(2)、(3)で示される構造単位に加え、更に、下記一般式(8)で示される構造単位(以下、構造単位(8)とも言う)を含有していることが好ましい。
(式中、X6は前記X3と同一もしくは異なる4価の有機基であり、X7は下記一般式(9)で示される基である。)
(式中、R2〜R5はそれぞれ独立に炭素数2〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基であり、m1は1〜40の整数、m2、m3はそれぞれ独立に0〜40の整数である。)
0086
式(8)中のX6は、X3について挙げた4価の有機基、例えば、上記式(14)で示される4価の有機基であることができる。また、X7(上記一般式(9)で示される基)において、好ましく用いることのできる有機基としては、具体的には下記のものを挙げることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
0087
アルカリ可溶性樹脂(A−1)がこのような構造単位(8)を含むことで、柔軟性が生まれ高伸度かつ低反りである硬化膜を得ることができる。
0088
[アルカリ可溶性樹脂(A−1)の製造方法]
本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は下記一般式(2)及び/又は(3)で表される構造を含むものである。
(式中、X3、X4、s及びZは前記と同様である。)
0089
上記一般式(2)で示される構造単位を含むアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物と下記一般式(22)で示されるジアミンとを反応させることで得ることができる。まず、下記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物と下記一般式(22)で示されるジアミンとを反応させることで、アミド酸を合成した後、次いで、加熱脱水によりイミド環を形成することで構造単位(2)を含む重合体を得ることができる。
0090
前記構造単位(2)の製造は、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンのような高沸点で且つ極性の高い溶媒にジアミンを溶解後、酸無水物を添加し、0〜80℃、好ましくは10〜50℃で反応させてアミド酸とした後、キシレンなどの非極性の溶媒を添加し、100〜200℃、好ましくは130〜180℃に加熱し、反応系から水を除去しながらイミド化反応を行うことにより実施できる。
(式中、X3は前記と同様である。)
(式中、s及びZは前記と同様である。)
0091
好適な上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物の例としては、芳香族酸二無水物、脂環式酸二無水物、脂肪族酸二無水物等が挙げられる。芳香族酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,2’,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ターフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−オキシフタル酸二無水物、2,3,2’,3’−オキシフタル酸二無水物、ジフェニルスルホン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ベンゼン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビス(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロイソベンズフラン−5−カルボン酸)1,4−フェニレン、2,2−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(4−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,6−ジフルオロピロメリット酸二無水物、1−トリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、1,6−ジトリフルオロメチルピロメリット酸二無水物、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ビフェニル二無水物、2,2’−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物、2,2’−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン二無水物、あるいはこれらの芳香族環をアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換した酸二無水物化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0092
脂環式酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘプタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物、ビシクロ[3,3,0]オクタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,3,0]ノナン−2,4,7,9−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,7,9−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[4,4,0]デカン−2,4,8,10−テトラカルボン酸二無水物、トリシクロ[6,3,0,02,6]ウンデカン−3,5,9,11−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタンテトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−5−カルボキシメチル−2,3,6−トリカルボン酸二無水物、7−オキサビシクロ[2,2,1]ヘプタン−2,4,6,8−テトラカルボン酸二無水物、オクタヒドロナフタレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、テトラデカヒドロアントラセン−1,2,8,9−テトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロへキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジシクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、及び“リカシッド”(登録商標)BT−100(以上、商品名、新日本理化(株)製)及びそれらの誘導体、あるいはこれらの脂環をアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換した酸二無水物化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0093
脂肪族酸二無水物としては、例えば、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ペンタンテトラカルボン酸二無水物、及びそれらの誘導体等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0094
これらの芳香族酸二無水物、脂環式酸二無水物、又は脂肪族酸二無水物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
0095
一方、上記一般式(22)中のsは、0又は1を表し、s=0の場合、上記一般式(22)中の2つの芳香環は2価の結合基Zを介さず直結する。
0096
また、上記一般式(22)中のsがs=1の場合、上記一般式(22)中のZは2価の基であれば限定されるものではない。好ましくは、上述のように炭素数4〜40の脂環式脂肪族基又は芳香族基の2価の有機基であり、さらに好ましくは上記式(15)で示される2価の結合基である。また、Zの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
0097
さらに、上記一般式(22)で示されるジアミンの好適な例は、下記一般式(23)、(24)で示される化合物である。
0098
上記一般式(23)で示されるジアミンと上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより得られるアルカリ可溶性樹脂は、好ましい構造単位である上記一般式(2−1)で示される構造単位を含む重合体となる。
0099
一方、上記一般式(24)で示されるジアミンと上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物を反応させることにより得られるアルカリ可溶性樹脂は、好ましい構造単位である上記一般式(2−2)で示される構造単位を含む重合体となる。
0100
一方、上記構造単位(3)を含有するアルカリ可溶性樹脂は、下記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物と上記一般式(22)で示されるジアミンとを反応させることによって得ることができる。
(式中、X4は前記と同様である。)
0101
ここで、構造単位(3)を含む重合体は、例えば、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物と、上記一般式(22)で示されるジアミンとを脱水縮合剤存在下で反応させることで得ることができる。即ち、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物は、反応溶媒中に溶解した状態で反応に用い、この反応溶液中に、氷冷下、既知の脱水縮合剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジヒドロキノリン、1,1−カルボニルジオキシ−ジ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、N,N’−ジスクシンイミジルカーボネート等)を投入混合して、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物を酸無水物とした後、これに、上記一般式(22)で示されるジアミンを別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより構造単位(3)を含む重合体を得ることができる。
0102
また、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物と、上記一般式(22)で示されるジアミン(ジアミン化合物)とを反応させて、構造単位(3)を含む重合体を得る別の方法としては、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸ジエステル化合物を塩化チオニル又はジクロロシュウ酸等の塩素化剤を用いて酸塩化物に変換し、上記一般式(22)で示されるジアミンとを反応させることによって合成する方法が挙げられる。
0103
上述のジカルボン酸化合物を、塩素化剤を用いて酸塩化物に変換する反応においては、塩基性化合物を用いてもよい。この塩基性化合物としては、例えばピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、トリエチルアミン等を用いることができる。
0104
次いで、得られたジカルボン酸化合物の酸塩化物と上記一般式(22)で示されるジアミンとを塩基性触媒存在下で反応させることで、目的の構造単位(3)を含む重合体を得ることができる。このとき、塩基性触媒としては、ピリジン、ジメチルアミノピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン等が挙げられる。
0105
本発明のアルカリ可溶性樹脂を製造する方法のうち、酸塩化物を経る方法において用いられる溶媒としては、上記ジカルボン酸化合物及びその酸塩化物、さらにジアミン類との重縮合反応によって得られる重合体をよく溶解するものが好ましい。具体的には、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ヘキサメチルリン酸トリアミド、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。また、極性溶媒以外に、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等も用いることができる。例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチル、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
0106
上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物中のX4の好適な例としては、上述のものと同様な例を挙げることができる。
0107
また、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物としては、例えばマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ−n−ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2−ジメチルスクシン酸、2,3−ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−エチル−3−メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3−メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6−テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9−ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。
0108
更にまた、芳香環を有したジカルボン酸化合物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,3’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,4’−ビフェニルジカルボン酸、3,3’−ビフェニルジカルボン酸、4,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,4’−ベンゾフェノンジカルボン酸、3,3’−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4’−ヘキサフルオロイソプロピリデン二安息香酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルアミド、1,4−フェニレンジエタン酸、ビス(4−カルボキシフェニル)スルフィド、2,2−ビス(4−カルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラフェニルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ビス(4−カルボキシフェニル)スルホン、ビス(4−カルボキシフェニル)メタン、5−tert−ブチルイソフタル酸、5−ブロモイソフタル酸、5−フルオロイソフタル酸、5−クロロイソフタル酸、2,2−ビス−(p−カルボキシフェニル)プロパン、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらのものは単独あるいは混合して用いてもよい。
0109
また上記一般式(22)中のs及びZとして好適な例としては上述の例と同様のものを挙げることができる。
0110
一方、上述したように、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、更に、下記構造単位(17)、(20)を含有することができる。
(式中、X4及びX8は前記と同様である。)
(式中、X3及びX8は前記と同様である。)
0111
上記構造単位(17)を含有するアルカリ可溶性樹脂は、上記一般式(25)で示されるジカルボン酸化合物と、上記一般式(22)で示されるジアミン及び下記一般式(26)で示されるジアミンの両方とを同時に反応させることによって得ることができる。即ち、上記のような構造単位(3)を含む重合体の製造方法と同様な脱水縮合剤存在下の反応や塩素化剤を用いて酸塩化物に変換する反応を行った後、上記のジアミンと反応させることによって得ることができる。
(式中、X8は前記と同様である。)
0112
上記一般式(26)で示されるジアミンとしては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン等が挙げられる。好ましい芳香族ジアミンとしては、例えば、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、4,4’−ジアミノジフェニルスルヒド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、2,2’3,3’−テトラメチルベンジジン、2,2’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、2,2’3,3’−テトラクロロベンジジン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、ビス(4−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(3−アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2’−ビス[3−(3−アミノベンズアミド)−4−ヒドロキシフェニル]ヘキサフルオロプロパン、4−アミノフェニル−4’−アミノベンゾエート、4,4’−ジアミノベンズアニリド、あるいはこれらの芳香族環をアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換したジアミン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0113
脂環式ジアミンとしては、例えば、シクロブタンジアミン、イソホロンジアミン、ビシクロ[2,2,1]ヘプタンビスメチルアミン、トリシクロ[3,3,1,13,7]デカン−1,3−ジアミン、1,2−シクロヘキシルジアミン、1,3−シクロヘキシルジアミン、1,4−ジアミノシクロへキサン、trans−1,4−ジアミノシクロへキサン、cis−1,4−ジアミノシクロへキサン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,5−ジエチル−3’,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、3,5−ジエチル−3’,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルエーテル、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジエチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、2,2−(3,5−ジエチル−3’,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシル)プロパン、あるいはこれらの脂環をアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換したジアミン化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0114
脂肪族ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン等のアルキレンジアミン類、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル等のエチレングリコールジアミン類、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン等のシロキサンジアミン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0115
これらの芳香族ジアミン、脂環式ジアミン、又は脂肪族ジアミンは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
0116
また、シロキサンジアミン類も好適に用いることができる。
0117
一方、上記構造単位(20)を含有するアルカリ可溶性樹脂は、上述構造単位(2)と同じ反応手順を行うことで得ることができる。即ち、上記一般式(22)で示されるジアミン及び上記一般式(26)で示されるジアミンの混合物と上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物とを反応させ、アミド酸を合成した後に、加熱脱水工程を経てイミド環を形成することで、上記構造単位(20)を含有するアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
0118
一方、上述したように、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、更に、下記構造単位(6)含有することができる。
0119
下記一般式(6)で示される構造単位を重合体は、下記一般式(27)で示されるテトラカルボン酸ジエステル化合物と上記一般式(22)で示されるジアミンとを反応させることで得ることができる。即ち、上記のような構造単位(3)を含む重合体の製造方法と同様な脱水縮合剤存在下の反応や塩素化剤を用いて酸塩化物に変換する反応を行った後、上記のジアミンと反応させることによって得ることができる。
(式中、X5、R1、s、及びZは前記と同様である。)
(式中、R1及びX5は前記と同様である。)
0120
上記一般式(27)で示されるテトラカルボン酸ジエステル化合物の製造方法としては、下記一般式(28)で示されるテトラカルボン酸二無水物と下記一般式(29)で示される末端に水酸基を有した化合物とをピリジン等の塩基性触媒の存在下反応させることによって、R1を導入する方法が挙げられる。ここで、下記一般式(28)で示されるテトラカルボン酸二無水物は、上記一般式(6)中のX5(例えば、上記式(14)で示される4価の有機基)の元となるものであり、下記一般式(29)で示される末端に水酸基を有した化合物は、上記一般式(7)で示される基を導入することができるものである。
(式中、X5は前記と同様である。)
(式中、Y1、Rf、k、及びnは前記と同様である。)
0121
上記一般式(28)で示されるテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物で示した例を好適な例として挙げることができる。
0122
上記一般式(28)で示されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(29)で示される末端に水酸基を有した化合物との反応は、上記一般式(28)で示されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(29)で示される末端に水酸基を有した化合物とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、反応溶媒中、反応温度20〜50℃で4〜10時間にわたって撹拌、溶解、及び混合することにより、酸二無水物のハーフエステル化反応が進行し、所望の上記一般式(27)で示されるテトラカルボン酸ジエステル化合物を反応溶媒中に溶解した溶液として得ることができる。
0123
得られたテトラカルボン酸ジエステル化合物は、単離を行ってもよいし、得られた溶液をそのまま後述する次工程のジアミンとの反応に用いてもよい。
0124
上記反応溶媒としては、上記テトラカルボン酸ジエステル化合物、及び次いで行われる上記テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミン類との重縮合反応によって得られるポリイミド前駆体の構造単位を有する重合体をよく溶解するものが好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。また、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等も用いることができ、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
0125
一方、上記一般式(22)の好適な例は上述のものと同様である。
0126
一方、上述したように、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)は、更に、下記構造単位(8)含有することができる。
(式中、X6及びX7は前記と同様である。)
(式中、R2〜R5m1、m2、m3は前記と同様である。)
0127
上記構造単位(8)を含有するアルカリ可溶性樹脂は、上述構造単位(2)と同じ反応手順を行うことで得ることができる。即ち、下記一般式(29)で示されるテトラカルボン酸二無水物と上記一般式(22)で示されるジアミン及び下記一般式(30)で示されるジアミンの混合物とを反応させ、アミド酸を合成した後に、加熱脱水工程を経てイミド環を形成することで、上記構造単位(8)を含有するアルカリ可溶性樹脂を得ることができる。
(式中、X6は前記と同様である。)
(式中、R2〜R5m1、m2、m3は前記と同様である。)
0128
上記一般式(30)で示されるテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(21)で示されるテトラカルボン酸二無水物で示した例を好適な例として挙げることができる。
0129
上記一般式(31)で示されるジアミンとしては、例えば、1,2−ビス(アミノエトキシ)エタン、HK−511、ED−600、ED−900、ED−2003、EDR−148、EDR−176、D−230、D−400、D−2000、THF−100、THF−140、THF−170、RE−600、RE−900、RE−2000、RP−405、RP−409、RP−2005、RP−2009、RT−1000、HE−1000、HT−1700(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
0130
(重合体の分子量及び末端封剤の導入)
上述のアルカリ可溶性樹脂の好適な分子量は、好ましくは5,000〜100,000、より好ましくは7,000〜30,000である。分子量が5,000以上であれば、上記アルカリ可溶性樹脂をベース樹脂に用いた感光性樹脂組成物を基板上に所望な膜厚に成膜することは容易になり、分子量が100,000以下であれば、該感光性樹脂組成物の粘度が著しく高いものとはならず、成膜できなくなる恐れがない。
0131
上述のアルカリ可溶性樹脂は、縮重合反応における分子量の制御、得られた重合体の経時における分子量の変化、即ちゲル化を抑制する目的で、末端封止剤により両末端を封止してもよい。酸二無水物と反応する末端封止剤としては、モノアミンや一価のアルコール等が挙げられる。また、ジアミン化合物と反応する末端封止剤としては、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物、二炭酸エステル類、ビニルエーテル類等が挙げられる。また、末端封止剤を反応させることにより、末端基として種々の有機基を導入することができる。
0132
酸無水物基末端の封止剤として用いられるモノアミンとしては、アニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、4−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−8−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−ヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−ヒドロキシナフタレン、1−カルボキシ−8−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−4−アミノナフタレン、1−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−カルボキシ−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−カルボキシナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−4−アミノナフタレン、2−カルボキシ−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−カルボキシナフタレン、2−アミノニコチン酸、4−アミノニコチン酸、5−アミノニコチン酸、6−アミノニコチン酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、アメライド、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、5−アミノ−8−メルカプトキノリン、4−アミノ−8−メルカプトキノリン、1−メルカプト−8−アミノナフタレン、1−メルカプト−7−アミノナフタレン、1−メルカプト−6−アミノナフタレン、1−メルカプト−5−アミノナフタレン、1−メルカプト−4−アミノナフタレン、1−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−メルカプト−2−アミノナフタレン、1−アミノ−7−メルカプトナフタレン、2−メルカプト−7−アミノナフタレン、2−メルカプト−6−アミノナフタレン、2−メルカプト−5−アミノナフタレン、2−メルカプト−4−アミノナフタレン、2−メルカプト−3−アミノナフタレン、1−アミノ−2−メルカプトナフタレン、3−アミノ−4,6−ジメルカプトピリミジン、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、2,4−ジエチニルアニリン、2,5−ジエチニルアニリン、2,6−ジエチニルアニリン、3,4−ジエチニルアニリン、3,5−ジエチニルアニリン、1−エチニル−2−アミノナフタレン、1−エチニル−3−アミノナフタレン、1−エチニル−4−アミノナフタレン、1−エチニル−5−アミノナフタレン、1−エチニル−6−アミノナフタレン、1−エチニル−7−アミノナフタレン、1−エチニル−8−アミノナフタレン、2−エチニル−1−アミノナフタレン、2−エチニル−3−アミノナフタレン、2−エチニル−4−アミノナフタレン、2−エチニル−5−アミノナフタレン、2−エチニル−6−アミノナフタレン、2−エチニル−7−アミノナフタレン、2−エチニル−8−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,5−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,6−ジエチニル−2−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−1−アミノナフタレン、3,7−ジエチニル−2−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−1−アミノナフタレン、4,8−ジエチニル−2−アミノナフタレン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
0133
一方、酸無水物基末端の封止剤として用いられる一価のアルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、1−デカノール、2−デカノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、2−ドデカノール、1−トリデカノール、2−トリデカノール、1−テトラデカノール、2−テトラデカノール、1−ペンタデカノール、2−ペンタデカノール、1−ヘキサデカノール、2−ヘキサデカノール、1−へプタデカノール、2−ヘプタデカノール、1−オクタデカノール、2−オクタデカノール、1−ノナデカノール、2−ノナデカノール、1−イコサノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2−プロピル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、4−メチル−3−ヘプタノール、6−メチル−2−ヘプタノール、2,4,4−トリメチル−1−ヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、イソノニルアルコール、3,7ジメチル−3−オクタノール、2,4ジメチル−1−ヘプタノール、2−ヘプチルウンデカノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール1−メチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロペンタンモノメチロール、ジシクロペンタンモノメチロール、トリシクロデカンモノメチロール、ノルボネオール、テルピネオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
0134
アミノ基末端の封止剤として用いられる酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、及びモノ活性エステル化合物としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水ナジック酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシフタル酸無水物等の酸無水物、2−カルボキシフェノール、3−カルボキシフェノール、4−カルボキシフェノール、2−カルボキシチオフェノール、3−カルボキシチオフェノール、4−カルボキシチオフェノール、1−ヒドロキシ−8−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−7−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−6−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−5−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−4−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−3−カルボキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−8−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−7−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−6−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−5−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−4−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−3−カルボキシナフタレン、1−メルカプト−2−カルボキシナフタレン、2−カルボキシベンゼンスルホン酸、3−カルボキシベンゼンスルホン酸、4−カルボキシベンゼンスルホン酸、2−エチニル安息香酸、3−エチニル安息香酸、4−エチニル安息香酸、2,4−ジエチニル安息香酸、2,5−ジエチニル安息香酸、2,6−ジエチニル安息香酸、3,4−ジエチニル安息香酸、3,5−ジエチニル安息香酸、2−エチニル−1−ナフトエ酸、3−エチニル−1−ナフトエ酸、4−エチニル−1−ナフトエ酸、5−エチニル−1−ナフトエ酸、6−エチニル−1−ナフトエ酸、7−エチニル−1−ナフトエ酸、8−エチニル−1−ナフトエ酸、2−エチニル−2−ナフトエ酸、3−エチニル−2−ナフトエ酸、4−エチニル−2−ナフトエ酸、5−エチニル−2−ナフトエ酸、6−エチニル−2−ナフトエ酸、7−エチニル−2−ナフトエ酸、8−エチニル−2−ナフトエ酸等のモノカルボン酸類及びこれらのカルボキシル基が酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、及びテレフタル酸、フタル酸、マレイン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、3−ヒドロキシフタル酸、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、1,2−ジカルボキシナフタレン、1,3−ジカルボキシナフタレン、1,4−ジカルボキシナフタレン、1,5−ジカルボキシナフタレン、1,6−ジカルボキシナフタレン、1,7−ジカルボキシナフタレン、1,8−ジカルボキシナフタレン、2,3−ジカルボキシナフタレン、2,6−ジカルボキシナフタレン、2,7−ジカルボキシナフタレン等のジカルボン酸類のモノカルボキシル基だけが酸クロリド化したモノ酸クロリド化合物、モノ酸クロリド化合物とN−ヒドロキシベンゾトリアゾールやN−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドとの反応により得られる活性エステル化合物等が挙げられる。
0136
アミノ基末端の封止剤として用いられるビニルエーテル化合物としては、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル等が挙げられる。
0137
アミノ基末端の封止剤として用いられるその他の化合物としては、ベンゾイルクロリド、クロロギ酸フルオレニルメチル、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル、クロロギ酸−tert−ブチル、クロロギ酸−n−ブチル、クロロギ酸イソブチル、クロロギ酸ベンジル、クロロギ酸アリル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のクロロギ酸エステル類、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸1−ナフチル、イソシアン酸オクタデシル、イソシアン酸フェニル等のイソシアナート化合物類、メタンスルホン酸クロリド、p−トルエンスルホン酸クロリド等が挙げられる。
0138
酸無水物基末端の封止剤の導入割合は、本発明のアルカリ可溶性樹脂の原料である上記一般式(21)に相当するテトラカルボン酸二無水物成分に対して、0.1〜60モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜50モル%、さらに好ましくは5〜20モル%である。また、アミノ基末端の封止剤の導入割合は、ジアミン成分に対して、0.1〜100モル%の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜90モル%である。また、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
0139
[(A−2)窒素原子を有するヘテロ環骨格含有樹脂]
本発明の(A−2)成分は、アルカリ可溶性基を持たず、分子末端に少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有するポリイミド構造、ポリベンゾオキサゾール構造、ポリアミドイミド構造、それらの前駆体構造から選ばれる少なくとも1つ以上の構造が含まれる樹脂である。前記樹脂はアルカリ可溶性基を持たず、上記特定の構造を含むものであれば特に限定されないが、下記一般式(1)で表される構造を含むことができる。
(式中、Wは少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有する1価の有機基であり、X1は前記X3と同一もしくは異なる4価の有機基であり、X2は前記X8と同一もしくは異なる2価の有機基であり、lは1から1000の整数を表す。)
0140
ここで、アルカリ可溶性基とは、アルカリと相互作用、または反応することによりアルカリ溶液に対する樹脂の溶解性を増加させる官能基を指し、具体的には酸性基などが挙げられる。好ましいアルカリ可溶性基としてはカルボキシル基、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基のα位の炭素原子が電子吸引性基で置換されたヒドロキシアルキル基、スルホン酸基、およびチオール基などが挙げられる。例えば、フェノール性水酸基と同程度の酸解離定数(pKa)を有する基(例えばpKaが6〜12の範囲内のもの)がアルカリ可溶性基となる。
本発明の(A−2)成分は、樹脂の構造単位中および/またはその主鎖末端にこのようなアルカリ可溶性基を有さない。
0141
上記一般式(1)中のWは、少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有する1価の有機基であり、好ましくは、下記式(32)で示される1価の有機基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Wの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。
(式中、点線は結合を表す。)
0142
上記一般式(1)中のWがこのような有機基を分子末端に持つことで、本発明のアルカリ可溶性樹脂(A−1)と樹脂(A−2)を用いた感光性組成物の硬化膜の伸びが向上する。これはアルカリ可溶性樹脂(A−1)のアルカリ可溶性基と樹脂(A−2)中のWで示される有機基が分子間で水素結合を形成することで、樹脂(A−1)と樹脂(A−2)が適度に絡み合い、樹脂(A−1)同士、及び樹脂(A−1)と樹脂(A−2)の分子間相互作用を高めることからだと考えられる。
0143
またこのとき、樹脂(A−2)中の少なくとも1つ以上の窒素原子を有するヘテロ環骨格を有する1価の有機基(Wで示される官能基)が分子末端ではなく、分子骨格中に存在すると、樹脂(A−1)との水素結合による分子間相互作用が過度になるため望んだ効果が得られない。このため、前記有機基は分子末端に少なくとも1つ以上あることが必要である。
0144
またこのとき、樹脂(A−2)がアルカリ可溶性基を持つと、樹脂(A−2)中の分子内、あるいは樹脂(A−2)同士の分子間で水素結合を形成してしまうことで、望んだ効果が得られず、さらに樹脂合成時にゲル化が進行するため、アルカリ可溶性基を持たないことが必要である。
0145
上記一般式(1)中のlは1から1000の整数を表し、好ましくは1から100の整数、さらに好ましくは1から50の整数を表す。lが1000より大きくなるとアルカリ可溶性樹脂(A−1)と相互作用する末端有機基Wの量が相対的に少なくなるためlは1000以下、特には50以下であることが好ましい。
0146
またこのとき樹脂(A−2)の添加量はアルカリ可溶性樹脂(A−1)100質量部に対し、5質量部以上50質量部以下であることが好ましい。添加量が5質量部以上であると上述したようなアルカリ可溶性樹脂(A−1)との相互作用の効果が得られ、50質量部以下であると、(A−2)自身がアルカリ溶解性を持たないことによる、リソグラフィーパターニング時の残渣等の問題が起きることがないため、樹脂(A−2)の添加量は上記の範囲とすることが好ましい。樹脂(A−2)の添加量はより好ましくは5質量部以上30質量部以下である。この範囲とすることで上述の相互作用の効果とリソグラフィーパターニングのバランスが良好となる。
0147
[(B)感光剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(B)成分は、光により酸を発生しアルカリ水溶液に対する溶解速度が増大する感光剤であって、キノンジアジド構造を有する化合物である。(B)成分としては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を分子中に有する化合物を挙げることができる。
0148
1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を分子中に有する化合物としては、下記一般式(33)又は(34)で示される1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基を分子中に有する化合物が挙げられる。
0149
0150
上記1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基が導入される化合物として、具体的には、トリヒドロキシベンゾフェノン又はテトラヒドロキシベンゾフェノン、フェノール性水酸基を有する下記一般式(35)で示されるバラスト分子又は後記式(40)で示される繰り返し単位を有する重量平均分子量が2,000〜20,000、好ましくは3,000〜10,000の範囲であるノボラック樹脂が好適に用いられる。即ち、下記に挙げられるフェノール性水酸基を有する樹脂や化合物のフェノール性水酸基の水素原子を上記1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換したものが(B)成分として好適に用いられる。
0151
ここで、R101〜R106はそれぞれ独立して水素原子、メチル基、下記式(36)で示される基又は下記式(37)で示される基である。wは0〜2の整数、zは0〜2の整数であり、zが0の場合、wは1又は2である。Aは、zが0でかつwが1の場合、水素原子、メチル基、又は下記式(36)で示される基であり、zが0でかつwが2の場合、一方がメチレン基又は下記式(38)で示される基で、他方が水素原子、メチル基又は下記式(36)で示される基、zが1の場合、メチレン基又は下記式(38)で示される基である。zが2の場合、wが1のとき、Aはメチン基又は下記式(39)で示される基、wが2のときはAの一方がメチレン基又は下記式(38)で示される基で、他方がメチン基又は下記式(39)で示される基である。
0152
(式中、a1、a2、a3、a4、a5、a6、及びa7はそれぞれ0〜3の整数であるが、a1+a2≦5、a3+a4≦4、a6+a7≦3である。)
0153
この場合、上記式(35)の低核体(バラスト分子)は、ベンゼン環の数が2〜20個、より好ましくは2〜10個、更に好ましくは3〜6個であり、且つ、フェノール性水酸基の数とベンゼン環の数の比率が0.5〜2.5、より好ましくは0.7〜2.0、更に好ましくは0.8〜1.5のものであることが好適である。
0154
このような低核体(バラスト分子)として具体的には、下記のものが挙げられる。
0155
0156
0157
0158
0159
0160
0161
0162
上記例示された低核体(バラスト分子)の中で、(B−3)、(B−29)、(B−33)、(B−38)等が好適に用いられ、これらのバラスト分子のフェノール性水酸基の水素原子を1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換した化合物が、本発明のポジ型感光性樹脂組成物の(B)成分に好適に用いられる。
0163
(式中、mmは0〜3の整数である。)
0164
上記式(40)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂は、下記式(41)で示されるフェノール類、具体的にはo−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、3,5−キシレノール等の少なくとも1種のフェノール類とアルデヒド類とを通常の方法で縮合させることにより合成することができる。
0165
(式中、mmは0〜3の整数である。)
0166
この場合、アルデヒド類としては、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等が挙げられるが、ホルムアルデヒドが好適である。
0167
なお、上記式(41)で示されるフェノール類とアルデヒド類との割合は、モル比で0.2〜2、特に0.3〜2の割合が好ましい。
0168
上記1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基が導入される化合物への1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基の導入方法としては、1,2−ナフトキノンジアジドスルホニルクロライドとフェノール性水酸基との塩基触媒による脱塩酸縮合反応を用いることが好ましい。上記式(35)で示されるバラスト分子、トリヒドロキシベンゾフェノン又はテトラヒドロキシベンゾフェノンの場合には、フェノール性水酸基の水素原子を1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換する割合は10〜100モル%、好ましくは50〜100モル%であり、上記式(40)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の場合、フェノール性水酸基の水素原子を1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基で置換する割合は2〜50モル%、好ましくは3〜27モル%が好ましい。
0169
(B)成分の添加量は、(A−1)成分100質量部に対して1〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部であることが好ましい。また、(B)成分の1種類又は2種類以上組み合わせて用いることもできる。
0170
このような(B)成分を配合することで、露光前においては(B)成分の溶解阻止性によってアルカリ水溶液に対する溶解性が抑制され、系はアルカリ不溶性となり、露光した際には(B)成分の感光剤は光により酸を発生させ、アルカリ水溶液に対する溶解速度が増大して、系はアルカリ可溶性となる。
即ち、現像液にアルカリ水溶液を用いた場合、未露光部は現像液に溶解することがなく、露光部は現像液に可溶であることから、ポジ型のパターンを形成することが可能となる。
0171
[(D)溶剤]
次に、ポジ型感光性樹脂組成物における(D)成分は溶剤である。(D)成分の溶剤は、(A−1)成分、(A−2)成分及び(B)成分を溶解するものであれば、限定されない。溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、メチル−2−n−アミルケトン等のケトン類;3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類;プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコール−モノ−tert−ブチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン等のエステル類等が挙げられ、これらの1種以上を用いることができる。特に、乳酸エチル、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はそれらの混合溶剤が好ましい。
0172
(D)成分の配合量は、(A−1)成分、(A−2)成分及び(B)成分の配合量の合計100質量部に対して50〜2,000質量部が好ましく、特に100〜1,000質量部が好ましい。
0173
[(C)架橋剤]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、必須成分である上記(A−1)、(A−2)、(B)、(D)成分に加え、更に、(C)ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子を下記式(C−1)で示される置換基に置換した化合物、及び下記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤を含むことが好ましい。
(式中、点線は結合を示し、Rcは炭素数1〜6の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を示し、vは1又は2を表す。)
0174
本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(C)成分は、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物、多価フェノールの水酸基の水素原子を下記式(C−1)で示される基に置換した化合物、及び下記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物から選ばれる1種又は2種以上の架橋剤である。
(式中、点線は結合を示し、Rcは炭素数1〜6の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を示し、vは1又は2を表す。)
0175
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたアミノ縮合物としては、例えばホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物、又はホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物が挙げられる。
0176
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物の調製は、例えば、まず公知の方法に従ってメラミンモノマーをホルマリンでメチロール化して変性、又はこれをさらにアルコールでアルコキシ化して変性して、下記一般式(42)で示される変性メラミンとする。なお、上記アルコールとしては、低級アルコール、例えば炭素数1〜4のアルコールが好ましい。
0177
(式中、R10は同一でも異なってもよく、メチロール基、炭素数1〜4のアルコキシ基を含むアルコキシメチル基又は水素原子であるが、少なくとも1つはメチロール基又は上記アルコキシメチル基である。)
上記R10としては、例えば、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基等のアルコキシメチル基及び水素原子等が挙げられる。
0178
上記一般式(42)で示される変性メラミンとして、具体的にはトリメトキシメチルモノメチロールメラミン、ジメトキシメチルモノメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチロールメラミン等が挙げられる。次いで、上記一般式(42)で示される変性メラミン又はこの多量体(例えば二量体、三量体等のオリゴマー体)を、常法に従って、ホルムアルデヒドと所望の分子量になるまで付加縮合重合させて、ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性されたメラミン縮合物が得られる。
0179
また、上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物の調製は、例えば公知の方法に従って、所望の分子量の尿素縮合物をホルムアルデヒドでメチロール化して変性し、又はこれをさらにアルコールでアルコキシ化して変性する。
上記ホルムアルデヒド又はホルムアルデヒド−アルコールにより変性された尿素縮合物の具体例としては、例えば、メトキシメチル化尿素縮合物、エトキシメチル化尿素縮合物、プロポキシメチル化尿素縮合物等が挙げられる。
なお、これら変性メラミン縮合物及び変性尿素縮合物の1種又は2種以上を混合して使用することもできる。
0180
次いで、1分子中に平均して2個以上のメチロール基又はアルコキシメチロール基を有するフェノール化合物としては、例えば(2−ヒドロキシ−5−メチル)−1,3−ベンゼンジメタノール、2,2’,6,6’−テトラメトキシメチルビスフェノールA、下記式(C−3)〜(C−7)で示される化合物等が挙げられる。
0181
なお、上記架橋剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
0182
一方、多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物としては、ビスフェノールA、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンの水酸基を塩基存在下エピクロロヒドリンと反応することで得られる化合物を挙げることができる。多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物の好適な例としては、下記式(C−8)〜(C−14)で示される化合物を挙げることができる。
(式中、tは、2≦t≦3である。)
これら多価フェノールの水酸基をグリシドキシ基に置換した化合物(多価フェノールの水酸基の水素原子をグリシジル基に置換した化合物)の1種又は2種を、架橋剤として使用することができる。
0183
多価フェノールの水酸基の水素原子を下記式(C−1)で示される置換基に置換した化合物としては、該置換基を2つ以上含有し、下記式(C−15)で示されるものを挙げることができる。
(式中、点線は結合を示す。)
(式中、1≦u≦3である。)
0184
一方、下記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物としては、下記式(C−16)で示されるものを挙げることができる。
(式中、点線は結合を示し、Rcは炭素数1〜6の直鎖状、分枝状、又は環状のアルキル基を示し、vは1又は2を表す。)
(式中、Wは炭素数2〜12の直鎖状、分枝状、環状のアルキレン基、又は2価の芳香族基を示す。なお、ここでのWは上記式においてのみ適用する。)
0185
上記式(C−16)で示される化合物としては、例えば下記式(C−17)〜(C−20)で示される化合物を例示することができる。
0186
また一方、上記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物としては、下記式(C−21)で示される化合物を好適に用いることができる。
0187
これら上記式(C−2)で示されるグリシジル基を有した窒素原子を2つ以上含有した化合物は、1種又は2種を架橋剤として使用することができる。
0188
(C)成分は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物のパターン形成後、後硬化において架橋反応を起こし、硬化物の強度をさらに上げる成分である。そのような(C)成分の重量平均分子量は、光硬化性及び耐熱性の観点から、150〜10,000が好ましく、特に200〜3,000のものが好ましい。
0189
(C)成分の配合量は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(A−1)成分100質量部に対して0.5〜50質量部が好ましく、特に1〜30質量部が好ましい。
0190
[(E)熱によって酸を発生する化合物]
本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、さらに、(E)熱によって酸を発生する化合物を含むものとすることができる。(E)成分の熱によって酸を発生する化合物は、上記のパターン形成後施される温度100〜300℃において加熱、後硬化する工程において、熱的に(A−1)成分と架橋反応を促す目的で加えることができる。
0191
特に(E)成分としては、現像によってパターンが形成されるまでは膜の硬化を促さず、パターン形成を阻害しないものが好ましい。これを実現するために、(E)成分は、感光性樹脂組成物を塗膜した後、溶媒を除去、乾燥する工程の温度では酸を発生せず、パターン形成後の熱処理により初めて酸を発生してポジ型感光性樹脂組成物のパターンや被膜の硬化を促すものが好ましい。具体的には、100℃〜300℃、好ましくは150℃〜300℃の熱処理によって分解し、酸を発生する化合物であることが好ましい。そのような(E)成分を含有することにより、ポジ型感光性樹脂組成物のパターンや被膜をパターン形成後施される温度100〜300℃において加熱、後硬化の工程において、架橋、硬化反応がより進んだパターン、被膜に変化させることができる。(E)成分は、架橋、硬化反応をより一層進行させることで、得られたパターンもしくは被膜の機械的強度、耐薬品性、密着性等をより一層向上させることを可能とする。
0192
好適な熱によって酸を発生する化合物としては、特開2007−199653号公報の段落[0061]〜[0085]に記載された化合物を用いることができる。
0193
熱によって酸を発生する化合物の配合量は、本発明のポジ型感光性樹脂組成物における(A−1)成分100質量部に対して好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは30質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
0194
[その他の成分]
また、本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、(A−1)成分、(A−2)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、及び(E)成分以外の成分をさらに含有してもよい。その他の成分としては、例えば、密着助剤、(G)界面活性剤等を挙げることができ、(G)界面活性剤としては、下記に例示した化合物等を好適に用いることができる。
0195
(G)界面活性剤としては、非イオン性のものが好ましく、例えばフッ素系界面活性剤、具体的にはパーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール、フッ素化アルキルエステル、パーフルオロアルキルアミンオキサイド、含フッ素オルガノシロキサン系化合物等が挙げられる。
0196
これらの界面活性剤としては、市販されているものを用いることができ、例えば、フロラード「FC−4430」(住友スリーエム(株)製)、サーフロン「S−141」及び「S−145」(以上、旭硝子(株)製)、ユニダイン「DS−401」、「DS−4031」及び「DS−451」(以上、ダイキン工業(株)製)、メガファック「F−8151」(DIC(株)製)、「X−70−093」(信越化学工業(株)製)等が挙げられる。これらの中でも好ましくは、フロラード「FC−4430」(住友スリーエム(株)製)及び「X−70−093」(信越化学工業(株)製)である。
0197
(パターン形成方法)
本発明は、以下の工程を含むことを特徴とするパターン形成方法を提供する。
(1)上記ポジ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、感光材皮膜を形成する工程、
(2)次いで加熱処理後、フォトマスクを介して波長190〜500nmの高エネルギー線もしくは電子線で感光材皮膜を露光する工程、
(3)アルカリ水溶液の現像液を用いて現像する工程。
以下、本発明のポジ型感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法に関して、説明を行う。
0198
本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、パターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えばシリコンウエハーあるいはSiO2基板、SiN基板、もしくは銅配線等のパターンが形成されている基板に、感光性樹脂組成物をスピンコーティングの手法(スピンコート法)で塗布し、80〜130℃、50〜600秒間程度の条件でプリベークし、厚さ1〜50μm、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmの感光材皮膜を形成する。
0199
スピンコート法では、感光性樹脂組成物をシリコン基板上へ5mL程度ディスペンスした後に基板を回転することによって、基板上へ感光性樹脂組成物を塗布することができる。このとき、回転速度を調整することで容易に基板上の感光材皮膜の膜厚を調整することが可能である。
0200
次いで、目的のパターンを形成するためのマスクを上記の感光材皮膜上にかざし、i線、g線等の波長190〜500nmの高エネルギー線もしくは電子線を露光量1〜5,000mJ/cm2程度、好ましくは100〜2,000mJ/cm2程度となるように照射する。
0202
その後、現像を施す。上記の本発明のポジ型感光性樹脂組成物において、アルカリ水溶液によるアルカリ現像が可能である。
0203
一方、アルカリ現像に用いることのできる好適なアルカリ水溶液は、2.38%のテトラメチルヒドロキシアンモニウム(TMAH)水溶液である。現像は、スプレイ法、パドル法等通常の方法、現像液に浸漬すること等により行うことができる。その後、必要に応じて、洗浄、リンス、乾燥等を行い、所望のパターンを有するレジスト皮膜を得ることができる。
0204
(硬化被膜形成方法)
また、上記パターン形成方法により得られたパターン形成された被膜をオーブンやホットプレートを用いて、温度100〜300℃、好ましくは150〜300℃、さらに好ましくは180〜250℃において加熱、後硬化することで硬化被膜を形成することができる。後硬化温度が100〜300℃であれば、感光性樹脂組成物の皮膜の架橋密度を上げ、残存する揮発成分を除去でき、基板に対する密着力、耐熱性や強度、さらに電気特性の観点から好ましい。そして、後硬化時間は10分間〜10時間とすることができる。
0205
上記の形成されたパターンは、配線、回路及び基板等を覆う保護用被膜を目的として使用されるが、これら形成されたパターン及び保護用被膜は、優れた絶縁性を有しながら、被覆する配線、回路のCuのような金属層、基板上に存在する金属電極上、もしくは被覆する配線や回路に存在するSiNのような絶縁基板上で優れた密着力を示し、かつ保護用被膜として相応しい機械的強度を具備したまま、さらに微細なパターン形成を可能にするための解像性能を大幅に改善できるものである。
0206
(硬化被膜)
このようにして得られた硬化被膜は、基板との密着性、耐熱性、電気特性、機械的強度及びアルカリ性剥離液等に対する薬品耐性に優れ、それを保護用被膜とした半導体素子の信頼性にも優れ、特に温度サイクル試験の際のクラック発生を防止でき、電気・電子部品、半導体素子等の保護用被膜(層間絶縁膜あるいは表面保護膜)として好適に用いられる。
0207
即ち、本発明では、上述のポジ型感光性樹脂組成物が硬化してなる硬化被膜からなる層間絶縁膜あるいは表面保護膜を提供する。
0209
さらに、本発明では、上記の層間絶縁膜又は上記の表面保護膜を有する電子部品を提供する。
このような電子部品は、耐熱性、薬品耐性、絶縁性を有する保護用被膜(層間絶縁膜又は表面保護膜)を有することから、信頼性に優れたものとなる。
0210
以下、合成例、比較合成例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。
0212
6FAP 2,2—ビス(3—アミノ—4—ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
BPS ビス(3—アミノ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン
ODA 4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
APB 1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン
TFMB 2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン
s−ODPA 3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物
s−BPDA 3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
6FDA4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
ChDA 1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物
DC−1セバシン酸ジクロライド
DC−2ドデカンニ酸ジクロライド
PAP4−アミノフェノール
4APY4−アミノピリジン
5AIN 5−アミノインドール
5AQU 5−アミノキノリン
4APM 4−アミノピリミジン
BGAベンゾグアナミン
Rf−1 4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール
Rf−2 1H,1H,2H,2H−ノナフルオロ−1−ヘキサノール
Rf−3 1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル−2’−ヒドロキシエチルエーテル
Rf−4 3,3,3−トリフルオロプロピル−2’−ヒドロキシエチルエーテル
Rf−5 ヒドロキシエチルトリフルオロアセテート
Rf−6 3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルトリフルオロアセテート
Rf−7 4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−1,2−ヘプタンジオール
0213
D−400、ED−600、RT−1000(以上商品名、HUNTSMAN(株)製)は、一般式(31)で示されるジアミンである。
0214
[合成例1]ポリイミド樹脂(A1−1)の合成
撹拌機、温度計を具備した1Lのフラスコ内に2,2—ビス(3—アミノ—4—ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)30g(81.9mmol)、4−アミノフェノール(PAP)0.9g(8.6mmol)、N−メチル−2−ピロリドン125gを加え、室温で撹拌し溶解した。次に室温下、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(s−ODPA)26.7g(86.2mmol)、をN−メチル−2−ピロリドン270gに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後室温下3時間撹拌した。その後、この反応液にキシレン40gを加え、170℃で生成する水を系外へ除きながら3時間加熱還流を行った。室温まで冷却後、この反応液を超純水2Lの撹拌下に滴下し、析出物をろ別し、適宜水洗後、40℃で48時間減圧乾燥することにより、ポリイミド樹脂(A1−1)を得た。この重合体の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量35,000であった。
0215
[合成例2]〜[合成例8]、[比較合成例1]ポリイミド樹脂(A1−2)〜(A1−8)、(B−1)の合成
ジアミン化合物、モノアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物として下記表1中に示す重量の化合物を用い、合成例1と同様の処方でポリイミド樹脂(A1−2)〜(A1−8)、(B−1)を得た。それぞれの重合体の分子量をGPCにより測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を下記表1に示す。
0216
[合成例9]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−1)の合成
撹拌機、温度計を具備した3Lのフラスコ内に3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(s−ODPA)100g(322mmol)、トリエチルアミン65.2g(644mmol)、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン39.3g(322mmol)、γ−ブチロラクトン400gを加え、室温で撹拌しているところに4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)114.7g(644mmol)を滴下後、室温下で24時間撹拌した。その後、氷冷下10%塩酸水溶液370gを滴下し反応を停止させた。反応液に、4−メチル−2−ペンタノン800gを加え有機層を分取した後、超純水600gで6回洗浄した。得られた有機層の溶媒を留去し、テトラカルボン酸ジエステル化合物(X−1)を193g得た。得られたテトラカルボン酸ジエステル化合物にN−メチル−2−ピロリドン772gを加え、室温で撹拌し溶解した。次に氷冷下、塩化チオニル75.8g(637mmol)を反応溶液温度が10℃以下を保つように滴下し、滴下終了後氷冷下で2時間撹拌し、テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−1)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0217
[合成例10]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−2)の合成
合成例9において、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(s−ODPA)を3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s−BPDA)94.8g(322mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−2)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0218
[合成例11]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−3)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を1H,1H,2H,2H−ノナフルオロ−1−ヘキサノール(Rf−2)170.1g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−3)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0219
[合成例12]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−4)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル−2’−ヒドロキシエチルエーテル(Rf−3)136.6g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−4)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0220
[合成例13]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−5)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を3,3,3−トリフルオロプロピル−2’−ヒドロキシエチルエーテル(Rf−4)112.2g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−5)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0221
[合成例14]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−6)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を2−ヒドロキシエチルトリフルオロアセテート(Rf−5)101.8g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−6)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0222
[合成例15]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−7)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピルトリフルオロアセテート(Rf−6)101.8g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−7)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0223
[合成例16]テトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−8)の合成
合成例9において、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール(Rf−1)を4,4,5,5,6,6,7,7,7−ノナフルオロ−1,2−ヘプタンジオール(Rf−7)189.4g(644mmol)に代え、それ以外は同様の処方でテトラカルボン酸ジエステルジクロライド(X−8)のN−メチル−2−ピロリドン溶液を得た。
0224
[合成例17]ポリアミドイミド樹脂(A1−9)の合成
撹拌機、温度計を具備した500mlのフラスコ内に2,2—ビス(3—アミノ—4—ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(6FAP)28.5g(77.9mmol)、4−アミノフェノール(PAP)0.4g(4.1mmol)、N−メチル−2−ピロリドン125gを加え、室温で撹拌し溶解した。次に室温下、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(s−ODPA)15.3g(49.2mmol)、をN−メチル−2−ピロリドン155gに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後室温下3時間撹拌した。その後、この反応液にキシレン40gを加え、170℃で生成する水を系外へ除きながら3時間加熱還流を行った。室温まで冷却後、ピリジン1.4g(18.0mmol)を加え、別途調製したテトラカルボン酸ジエステルジクロライドのN−メチル−2−ピロリドン溶液(X−1)14.7g(テトラカルボン酸ジエステルジクロライドとして4.1mmol)、セバシン酸ジクロライド(DC−1)6.9g(28.7mmol)の混合液を5℃以下に保つように滴下した。滴下終了後、室温まで戻し、この反応液を超純水2Lの撹拌下に滴下し、析出物をろ別し、適宜水洗後、40℃で48時間減圧乾燥することにより、ポリアミドイミド樹脂(A1−9)を得た。この重合体の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量35,000であった。
0225
[合成例18]〜[合成例29]ポリアミドイミド樹脂(A1−10)〜(A1−21)の合成
ジアミン化合物、モノアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸ジエステルジクロライドとして下記表2中に示す重量の化合物を用い、合成例17と同様の処方でポリイミド樹脂(A1−10)〜(A1−21)を得た。それぞれの重合体の分子量をGPCにより測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を下記表2に示す。
0226
0227
[合成例30]含窒素ヘテロ環含有ポリイミド樹脂(A2−1)の合成
撹拌機、温度計を具備した1Lのフラスコ内に2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン(TFMB)30g(93.7mmol)、4−アミノピリジン(APY)5.9g(62.5mmol)、N−メチル−2−ピロリドン144gを加え、室温で撹拌し溶解した。次に室温下、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物(s−ODPA)38.8g(125.0mmol)、をN−メチル−2−ピロリドン390gに溶解した溶液を滴下し、滴下終了後室温下3時間撹拌した。その後、この反応液にキシレン40gを加え、170℃で生成する水を系外へ除きながら3時間加熱還流を行った。室温まで冷却後、この反応液を超純水2Lの撹拌下に滴下し、析出物をろ別し、適宜水洗後、40℃で48時間減圧乾燥することにより、ポリイミド樹脂(A2−1)を得た。この重合体の分子量をGPCにより測定すると、ポリスチレン換算で重量平均分子量6,500であった。
0228
[合成例31]〜[合成例37]含窒素ヘテロ環含有ポリイミド樹脂(A2−2)〜(A2−8)の合成
ジアミン化合物、モノアミン化合物、テトラカルボン酸二無水物として下記表3中に示す重量の化合物を用い、合成例30と同様の処方でポリイミド樹脂(A2−2)〜(A2−8)を得た。それぞれの重合体の分子量をGPCにより測定し、ポリスチレン換算で重量平均分子量を下記表3に示す。
0229
0230
II.感光性樹脂組成物の調製
上記合成例1〜合成例8、比較合成例1で合成したポリイミド樹脂(A1−1)〜(A1−8)、(B−1)及び合成例17〜合成例29で合成したポリアミドイミド樹脂(A1−9)〜(A1−21)、並びに、合成例31〜合成例37で合成した含窒素ヘテロ環含有ポリイミド樹脂(A2−2)〜(A2−8)をベース樹脂として使用して、表4に記載した組成と配合量で、樹脂換算30質量%の樹脂組成物を調製した。その後、撹拌、混合、溶解した後、テフロン(登録商標)製0.5μmフィルターで精密濾過を行って感光性樹脂組成物を得た。表中溶剤のPGMEAはプロピレングルコールモノメチルエーテルアセテート、GBLはγ—ブチロラクトンを示す。
0231
なお、表4中、キノンジアジド化合物である感光剤(感光剤1)、架橋剤(CL−1)(CL−2)、熱酸発生剤(E−1)の詳細は以下の通りである。
0232
感光剤(感光剤1)
(式中、Qは下記式(40)で示される1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基又は水素原子を示し、Qの90%が下記式(40)で示される1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル基に置換されている。)
0233
架橋剤(CL−1)
0234
架橋剤(CL−2)
エポキシ樹脂:ADEKA(株)社製 EP4000L
0235
熱酸発生剤(E−1)
0236
III.パターン形成
上記の感光性樹脂組成物1〜34、比較感光性樹脂組成物1〜3をシリコン基板上へ5mLディスペンスした後に基板を回転することによって、即ち、スピンコート法によって、パターン形成後に施す後硬化の加熱後に膜厚が10μmとなるように塗布した。即ち、後硬化工程後、膜厚が減少することを予め検討し、後硬化後の仕上がり膜厚が10μmとなるように塗布時の回転数を調整した。
次に、ホットプレート上100℃、2分間のプリベークを施した。そして次に、ニコン社製i線ステッパーNSR−2205i11を用いてi線露光、パターン形成を行った。パターン形成においては、ポジ型パターン用のマスクを使用した。該マスクは、縦横1:1配列の20μmのホールが形成できるパターンを有し、50μm〜20μmまでは10μm刻み、20μm〜10μmまでは5μm、10μm〜1μmまでは1μmのホールパターンが形成できるものである。
0237
現像工程においてはアルカリ水溶液を現像液として、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を現像液として用いた。2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液の1分間のパドル現像を3回実施した後、超純水によるリンスを行った。
0239
次に、得られたホールパターンの形状が観察できるように、各基板を切り出し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてホールパターン形状を観察した。後硬化後の膜厚10μmにおける最小となる開口ホールの口径を求め、パターンの形状を評価した。これらの結果と合わせ、最小パターンを形成できた感度を表5に示した。
0240
なお、ホールのパターン形状は下記のような基準で評価し、表5中に評価結果を示した。
良好:ホールが矩形又は順テーパー形状(ホール上部の寸法が底部の寸法より大きい形状)が観察されたもの
不良:逆テーパー形状(ホール上部の寸法が底部の寸法より小さい形状)、オーバーハング形状(ホール上部が張り出した形状)、著しい膜減りが観察されたもの、又はホール底部に残渣が観察されたもの
0241
IV.破断伸度
上記の感光性樹脂組成物1〜34、比較感光性樹脂組成物1〜3をアルミ基板上へ硬化後の仕上がり膜厚が10μmとなるようにスピンコートした。次に、ホットプレート上100℃、3分間のプリベークを施し、感光性樹脂膜を得た。
0242
その後、オーブンを用いて180℃で2時間、窒素パージしながら硬化を行い、感光性樹脂硬化膜を得た。次に、硬化膜付きウェハを、幅10mm、長さ60mmの短冊状に割断し、20質量%の塩酸に浸漬することで硬化膜を基板から剥離した。得られた硬化膜を島津製作所社製オートグラフAGX−1KNを用いて破断伸度の測定を行った。測定は1サンプルにつき10回行いその平均値を表5中に示した。
0243
0244
表5に示すように、本発明のポジ型感光性樹脂組成物は、アルカリ溶剤現像において良好なパターン形状を示し、最小ホール寸法は仕上がり膜厚10μmと比較して小さい値を示すことから、アスペクト比の1以上を達成することができることが分かった。
0245
また本発明のポジ型感光性組成物は低温で硬化した場合であっても、良好な機械特性を有する硬化膜が得られた。
0246
一方、比較感光性樹脂組成物1〜3を用いた硬化膜は本発明の組成物から得られる硬化膜と比べ機械特性が劣化する結果となった。
実施例
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成