図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
パワー半導体素子の寿命には、パワー半導体素子自体の発熱に起因した熱疲労現象による寿命と、パワー半導体素子の外部環境の温度変化に起因した熱疲労現象による寿命とがある。また、パワー半導体素子のゲート絶縁膜への印加電圧による電圧疲労による寿命等がある。
一般的に、パワー半導体素子の寿命試験は、パワー半導体素子に通電オンオフを繰り返すことが行われている。パワー半導体素子のエミッタ端子(ソース端子)、コレクタ端子(ドレイン端子)等に印加電圧および電流を設定し、ゲート端子に周期的なオンオフ信号(動作/非動作信号)を印加して試験が行われる。
図16、図17は従来例としての半導体試験装置および半導体素子の試験方法の説明図である。パワー半導体素子としてのトランジスタ117のコレクタ端子cには定電流を出力する電流電源装置121が接続されている。トランジスタ117のエミッタ端子eは接地(グランド)されている。トランジスタ117のゲート端子gには、ゲートドライバ回路113が接続されている。
スイッチSWa122aがオンすることにより、トランジスタ117のコレクタ端子cには電流電源回路121が出力する定電流Iaが印加される。
ゲートドライバ回路113からは、設定された周波数、かつ、設定されたオン電圧時間のトランジスタ117のゲートをオンさせるオン電圧Vgが出力される。オン電圧Vgに基づいて、トランジスタ117はオンオフ制御される。ゲートドライバ回路113はゲート信号制御回路112で制御される。
ゲートドライバ回路113から出力されるVgs信号電圧により、トランジスタ117はオンオフ動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
トランジスタ117がオンするトランジスタ117のチャンネル電圧Vceが順方向電圧Vnまで降下する。トランジスタ117がオフするとVce電圧は、電圧Vcまで上昇する。
一例として、トランジスタ117のチャンネル電圧Vce(図17(c))に図示するように、電流Idが流れている時はVn電圧となり、オフ状態ではVc電圧となる。
試験回路系には容量成分である容量リアクタンス(インダクタンス)151がある。また、誘導成分である誘導リアクタンス152がある。また、電流電源装置121は、トランジスタ117がオフとなっても、電流Iaを流し続けようとし、電流電源装置121の端子電圧を上昇させる。
トランジスタ117は電流Idにより発熱する。また、トランジスタ117は、繰り返し印加される試験電流Idにより、トランジスタ117の温度が上昇する。温度の変化は、トランジスタ117に配置された温度センサ126により取得される、温度計128で測定される。
容量リアクタンス151、誘導リアクタンス152、電流電源装置121の定電流動作などによりトランジスタ117のコレクタ電圧(Vc電圧)は上昇し、サージ電圧Vsが発生する(図17(d)Vce’)。容量リアクタンス151は、トランジスタ117がオンする時に、トランジスタ117に大きな電流を供給し、突入電流Isが発生する(図17(e)Id’)。
概要
従来の半導体試験装置では、実使用状態でのトランジスタ寿命の予測、トランジスタ破壊までの時間を測定できない。電流電源装置121aは電流Idを出力する。トランジスタ117のゲート端子にはゲートドライバ回路113から周期的なオンオフ信号が印加される。トランジスタ117に電流Idはスイッチ124aがクローズすることにより行う。スイッチ124aのクローズする前にスイッチ124bをクローズさせて電流電源装置121aの電流をグランドに流す。スイッチ124aをオープンさせる前に、スイッチ124bをクローズさせて電流電源装置121aの電流をグランドに流す。トランジスタ117の温度はダイオードDiに定電流Icを流し、ダイオードDiの端子間電圧を測定して求める。
目的
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0003
パワー半導体素子の寿命には、パワー半導体素子自体の発熱に起因した熱疲労現象による寿命と、パワー半導体素子の外部環境の温度変化に起因した熱疲労現象による寿命とがある。また、パワー半導体素子のゲート絶縁膜への印加電圧による電圧疲労による寿命等がある。
0004
一般的に、パワー半導体素子の寿命試験は、パワー半導体素子に通電オンオフを繰り返すことが行われている。パワー半導体素子のエミッタ端子(ソース端子)、コレクタ端子(ドレイン端子)等に印加電圧および電流を設定し、ゲート端子に周期的なオンオフ信号(動作/非動作信号)を印加して試験が行われる。
0005
図16、図17は従来例としての半導体試験装置および半導体素子の試験方法の説明図である。パワー半導体素子としてのトランジスタ117のコレクタ端子cには定電流を出力する電流電源装置121が接続されている。トランジスタ117のエミッタ端子eは接地(グランド)されている。トランジスタ117のゲート端子gには、ゲートドライバ回路113が接続されている。
スイッチSWa122aがオンすることにより、トランジスタ117のコレクタ端子cには電流電源回路121が出力する定電流Iaが印加される。
0006
ゲートドライバ回路113からは、設定された周波数、かつ、設定されたオン電圧時間のトランジスタ117のゲートをオンさせるオン電圧Vgが出力される。オン電圧Vgに基づいて、トランジスタ117はオンオフ制御される。ゲートドライバ回路113はゲート信号制御回路112で制御される。
0010
試験回路系には容量成分である容量リアクタンス(インダクタンス)151がある。また、誘導成分である誘導リアクタンス152がある。また、電流電源装置121は、トランジスタ117がオフとなっても、電流Iaを流し続けようとし、電流電源装置121の端子電圧を上昇させる。
0011
トランジスタ117は電流Idにより発熱する。また、トランジスタ117は、繰り返し印加される試験電流Idにより、トランジスタ117の温度が上昇する。温度の変化は、トランジスタ117に配置された温度センサ126により取得される、温度計128で測定される。
0012
容量リアクタンス151、誘導リアクタンス152、電流電源装置121の定電流動作などによりトランジスタ117のコレクタ電圧(Vc電圧)は上昇し、サージ電圧Vsが発生する(図17(d)Vce’)。容量リアクタンス151は、トランジスタ117がオンする時に、トランジスタ117に大きな電流を供給し、突入電流Isが発生する(図17(e)Id’)。
先行技術
0013
特開2017−17822
発明が解決しようとする課題
0014
従来の半導体試験装置では、トランジスタ117をオンオフ動作させるとともに、定電流Iaをトランジスタのチャンネルに流すことにより、トランジスタの試験を実施している。
0015
試験は、トランジスタのオン周期、トランジスタのオン時間、トランジスタのオンオフ回数、トランジスタに流れる電流を設定することにより、試験するトランジスタにストレスを与え、トランジスタの寿命予測あるいは試験トランジスタの破壊までの時間測定を行っていた。
0016
実使用状態において、トランジスタは、複数の電子デバイスと組み合わされて所定の動作をする回路が構成される。回路は基板に形成された配線パターンと接続される。また、前記回路に制御信号を入出力する接続ケーブルが接続される。配線パターン、接続ケーブルなどは容量リアクタンス、誘導リアクタンスを発生させ、これらのリアクタンスによりトランジスタにサージ電圧、突入電流を印加することになる。
0018
試験時にトランジスタに突入電流が流れると、トランジスタにストレスが与えられ寿命が短くなる。また、試験時にトランジスタのチャンネルにサージ電圧が印加されるとトランジスタにストレスが与えられ、トランジスタの寿命が短くなる。
0019
従来の半導体試験装置および半導体素子の試験方法では、これらの誘導性リアクタンス、容量性リアクタンスによる影響を制御できなかった。そのため、試験を行うトランジスタに突入電流・サージ電圧が印加され、また、突入電流Is・サージ電圧Vsの大きさも調整することができなかった。
0020
トランジスタ117の試験結果は、制御できないサージ電圧Vs、突入電流Isの大きさなどに依存し、従来の試験装置で試験した結果から得られたトランジスタの寿命予測と、実際の回路で使用したトランジスタの寿命とが乖離しているという問題があった。
0021
また、トランジスタ117の温度は、温度センサ126、温度計128で測定される。測定される温度は、トランジスタ117とトランジスタ117の絶縁状態により誤差が大きい、あるいはノイズの影響が大きいという問題があった。そのため、所定の温度に到達した時、トランジスタ117の試験を停止しようとしても、所定の温度で停止できないという問題があった。
0022
以上のことから、従来の半導体試験装置および半導体素子の試験方法でトランジスタの試験を実施しても、実際の使用状態でのトランジスタ寿命の予測、トランジスタ破壊までの時間を測定できないという問題点があった。
課題を解決するための手段
0024
本発明の半導体試験装置は、試験に用いる電源装置、試験回路などに保持された電荷が放電する放電回路を有してする。放電回路は、トランジスタのチャンネルに流れる電流をオフされるタイミングを設定できるように構成されている。
発明の効果
0025
本発明は、試験する半導体素子に、所定の周期およびオン時間で試験電流を印加し、半導体素子の温度をモニターし、所定の温度変化した時あるいは所定の温度に到達した時に試験を停止あるいは試験条件等の変更をする。したがって、半導体素子を所定のストレス状態を定量化して試験を実施できる。
図面の簡単な説明
0026
本発明の第1の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の半導体試験装置の構成図である。
本発明の第1の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
本発明の第1の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
本発明の第2の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第3の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第4の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第5の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第6の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第6の実施例における半導体試験装置および試験方法の説明図である。
本発明の第7の実施例における半導体試験装置の説明図である。
本発明の第7の実施例における半導体試験装置および試験方法の説明図である。
パワー半導体素子の説明図である。
従来の半導体試験装置の説明図である。
従来の半導体素子の試験方法の説明図である。
実施例
0027
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るパワーサイクル試験などの半導体試験装置および半導体素子の試験方法を説明する。
0028
明細書で記載する実施形態では、パワー半導体素子のうち、IGBTを例にとって説明する。本発明はIGBTに限定されるものではなく、SiC、MOSFET、JFET、トランジスタ等の各種のパワー半導体素子に適用することができる。また、トランジスタだけに適用さえるものではなく、ダイオードなどの2端子素子にも本発明は適用できる。
また、パワー半導体素子に限定されるものではなく、低電力用の半導体素子にも本発明は適用できることは言うまでもない。
0029
発明を実施するための形態を説明するための各図面において、同一の機能を有する要素には同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、本発明の実施例は、それぞれを組み合わせることができる。
0030
図2は本発明のパワーサイクル試験装置(半導体試験装置)の構成図である。パワーサイクル試験装置は、チラー(冷却・加温装置)136と、加熱冷却プレート134、加熱冷却プレート134とチラー136間を循環する循環水パイプ135を有する。加熱冷却プレート134には、試験サンプルとしてのトランジスタ117が積載されている。
0031
試験をするトランジスタ117の温度情報Tjが所定値となるように、電流Id、ゲート電圧Vg、電圧Vceを変化させて試験の条件を設定する。温度情報Tjが変化すると、トランジスタ117が劣化あるいは特性が変化していると判断し、トランジスタ117の試験を停止、あるいは制御方法を変更する。
0032
例えば、温度情報Tjの変化で、トランジスタ117の信頼性特性を判定あるいは判定する。また、電圧Vceが所定電圧になる時間、トランジスタ117の破壊までの時間などからトランジスタ117の信頼性、寿命を評価する。
0033
本発明の半導体の試験方法において、トランジスタ117の劣化あるいは特性変化にあわせて外部条件を変える。例えば、トランジスタ117が発熱した場合は水温を下げる。水温を下げると、トランジスタ117に流れる電流を少なくすると、トランジスタ117の劣化、特性変化が進まず、結果、トランジスタ117の寿命が延びる。したがって、所定設定条件に対するトランジスタ117の寿命、信頼性特性を定量的に測定、判断することができる。
0034
チラー136の循環水を加温または冷却することにより、トランジスタ117の温度を規定値あるいは所定値に維持する。また、試験条件に対応してトランジスタ等の温度を周期的に変化させ、また、一定に冷却し、加熱させる。また、試験トランジスタの温度情報Tjを測定し、測定した温度情報Tjを一定値に維持するように、チラー136を制御する。
0035
チラーは水や熱媒体の液温を管理しながら循環させることで、機器などの温度を一定に保つことができるように構成している。主に冷却に用いる場合が多いが冷やすだけでなく温めることもでき、様々な温度の制御を実施できるように構成している。
0037
制御回路133には、トランジスタ117の温度情報Tjが入力され、温度情報Tjに基づいてチラー136を制御する。あるいは、温度情報Tjを所定値にするように、チラー136を制御する。
0038
なお、本明細書では循環水として説明するが、水に限定されるものではない。エチレングリコール、グリセリンなどでも良いし、強制空冷であってもよい。チラー136は循環水パイプ135内の液体を、例えば水温マイナス10℃からプラス100℃までの範囲で制御して試験ユニット3の加熱冷却プレート134に供給する。加熱冷却プレート134は十分に大きな熱容量を持っている。
0039
上記実施形態では加熱冷却プレート134を使用したが、加熱プレートと冷却プレートを別体とし、加熱冷却プレート以外の熱源・冷熱源を用いて加熱・冷却するものであってもよい。
図1は本発明の第1の実施例における半導体試験装置(例えば、パワートランジスタを試験するパワーサイクル試験装置)の構成図である。
0040
電流電源装置121は、トランジスタ117を試験するための大電流の定電流を出力する。電流電源装置121は、コントローラ(パーソナルコンピュータ等)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給すると共に、供給された電力を用いて前記負荷を設定された定電流または定電圧で駆動する。また、電流電源装置121は、出力する最大電圧値を設定することができる。
0041
スイッチ122a(SWa)は、電流電源装置121が出力する定電流の供給をオン(供給)オフ(遮断)させる。スイッチ122aはコントローラ111からの信号に基づき、オン(定電流を出力)またはオフ(定電流を遮断)に設定または制御される。通常、スイッチ122aは試験開始前にオンされ、半導体素子の試験中は常時、オン状態に維持される。
図1において、1台の電流電源装置121を図示している。電流電源装置121は1台に限定されるものではない。
0042
例えば、図11に図示するように、本発明の半導体試験装置において、2台以上の電流電源装置121を保有させてもよい。電流電源装置121の台数が増加するほど、多種多様な電流波形Idを発生させることができる。
本発明の実施例において、電流電源装置121として説明するが、電流電源装置121は定電流を出力するものに限定されるものではない。
0043
例えば、電流電源装置121に最大電圧を設定できるものを使用する。一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。また、定電流を出力する場合に、出力端子電圧を所定の最大電圧を設定できるように構成されることが例示される。したがって、電流電源装置121は、定電流のみ出力する装置ではなく、電圧、電流を出力できる電源装置であってもよい。
0044
図1などの実施例において、電流電源装置121で電流Idを発生させるとして説明するが、電流Idは、トランジスタ117のオン抵抗の状態に応じて、印加電圧を調整することによっても実現できる。したがって、本発明の半導体試験装置において、電流を出力する電流電源装置121に限定するものではなく、電圧出力の電源装置で構成しても良いことはいうまでもない。
0045
電流Idは、トランジスタ117のゲート電圧の電圧値の制御によっても実現できる。本明細書では、電流電源装置121の制御によって、トランジスタ117に所定の電流を印加するとして説明する。しかし、これに限定するものはなく、トランジスタ117のゲート端子gの電圧、トランジスタ117のコレクタ端子cの電圧を調整あるいは制御してもよいことは言うまでもない。
0046
本発明の第1の半導体素子の試験方法の実施例では、説明を容易にするため、定電流Ia=Idは電流電源装置121aが発生するとしている。トランジスタ117に流す電流Idは電流電源装置121を動作させることにより供給する。電流電源装置121はコントローラ111からの信号によりオン/オフ制御される。電流制御回路114はコントローラ111によりタイミング制御される。
0047
トランジスタ117のエミッタ端子eは接地(グランド)されている(接地ラインと接続されている)。トランジスタ117のゲート端子gには、ゲートドライバ回路113が接続されている。
0048
ゲートドライバ回路113からは、設定された周波数、かつ、設定されたオン電圧時間でトランジスタ117のゲートをオンさせるオン電圧Vgが出力される。図3の実施例では、図4(a)に図示するように、トランジスタ117のオンオフ周期はtcycleであり、オン時間はton、オフ時間はtoffである。
0049
図4(a)のオン信号電圧Vgsに基づいて、トランジスタ117はオンオフ制御される。ゲートドライバ回路113はゲート信号制御回路112で制御される。
電流電源装置121aは定電流Iaを出力し、定電流Iaがトランジスタ117のIdとして供給される。
0050
ゲートドライバ回路113から出力されるVgs信号電圧により、トランジスタ117はオンオフ動作し、トランジスタ117がオンしている期間にトランジスタ117のチャンネル間に電流Idが流れる。
0051
ゲートドライバ回路113は、内部に可変抵抗Vr125を有している。可変抵抗Vr125の値は、0(Ω)から500(Ω)間で、所定値に、あるいはステップ的に設定できるように構成されている。ゲート端子gの波形を観察しながら、コントローラ111からの制御信号により可変抵抗Vr125の値を設定してもよい。
0052
トランジスタ117のゲート端子gとエミッタ端子eまたは、コレクタ端子c間に抵抗R(図示せず)を配置してもよい。抵抗Rの値を調整することにより、ゲート信号の立ち上がりおよび立ち下がり電圧波形の傾斜角度を調整できる。
0053
可変抵抗Vr125の値が大きい場合は、トランジスタ117のゲート端子に印加するトランジスタ117のゲート信号の立ち上がり/立ち下がり波形の傾斜が緩やかになる。
0054
一方、可変抵抗Vr125の抵抗値が小さい場合は、ゲート信号の立ち上がり/立ち下がり波形の傾斜が急峻になる。可変抵抗Vr125の値を変更あるいは所定値に設定することにより、トランジスタ117のオン時間を調整できる。
0055
ゲートドライバ回路113は、トランジスタ117のゲート端子gに印加するゲート電圧において、立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を設定できる。立ち上がり時間Trと立ち下がり時間Tdを別々に調整することによりトランジスタ117のオン時間等を任意に調整できる。
0056
可変抵抗Vr125の抵抗値は、コントローラ111により設定する。設定は、一定値であることに限定されない。ゲートドライバ回路113の立ち上がり波形の傾斜(立ち上がり時間Tr)と立ち下がり波形の傾斜(立ち下がり時間Td)を変化させてもよい。ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値と、立ち下がり時の抵抗値とを変化させてもよい。また、リアルタイムに抵抗値を可変制御してもよい。可変抵抗Vr125を可変制御することにより、トランジスタ117のオン時間が安定する。
0057
ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値を小さくすると、トランジスタ117のゲート端子に印加されるオン電圧の波形が急峻になり、高速にトランジスタ117がオンする。ゲート信号の立ち上がり時の抵抗値を大きくすると、トランジスタ117のゲート端子に印加されるオン電圧の波形が緩やかになり、緩やかにトランジスタ117がオンする。
0058
ゲート信号の立ち下がり時の抵抗値を小さくすると、トランジスタ117のゲート端子に印加されるオン電圧の波形が急峻になり、高速にトランジスタ117がオフする。ゲート信号の立ち下がり時の抵抗値を大きくすると、トランジスタ117のゲート端子に印加されるオン電圧の波形が緩やかになり、緩やかにトランジスタ117がオフする。
0059
以上のように、トランジスタ117のゲート端子に接続された可変抵抗Vrの値、あるいはゲートドライバ回路113の立ち上がり時間/立ち下がり時間を制御あるいは調整または設定することができる。したがって、ゲートドライバ回路113の機能として、トランジスタ117に発生させる突入電流Is、サージ電圧Vsを変化あるいは変更することができる。
0060
トランジスタ117の動作は、トランジスタ117のゲート端子のオン電圧の制御だけでなく、電流電源装置121がトランジスタ117に供給する定電流Idあるいは電圧Vmの値を変化あるいは設定できることは言うまでもない。
0061
ゲートドライバ回路113の可変抵抗Vr125はコントローラ111により制御される。図4に図示するゲートドライバ回路113が出力するゲート信号の周期時間tcycle、オン時間tonあるいはオフ時間toffはゲート信号制御回路112が制御し、ゲート信号がトランジスタ117のゲート端子に印加される。また、ゲート信号制御回路112はコントローラ111により制御される。
0062
図1などにおいて、ゲートドライバ回路113の可変抵抗Vr125の抵抗値は、可変としたがこれに限定するものではない。例えば、可変抵抗Vr125を外付け抵抗とし、抵抗をコネクタ(図示せず)などによりトランジスタ117のゲート端子に接続してもよいことは言うまでもない。
接続する抵抗の値は、トランジスタ117のゲート端子の波形、チャンネル電流Idの波形を観察して設定する。
0063
図1などにおいて、トランジスタ117のコレクタ端子cとエミッタ端子e間には定電流回路Pc118が接続されている。定電流回路118は、所定の定電流Icを流す。定電流Icはトランジスタ117の温度をモニターするためである。
0064
なお、IGBTを例示して本明細書は説明するため、トランジスタ117の端子はゲート端子g、コレクタ端子c、エミッタ端子eである。MOSトランジスタ117の場合は、トランジスタ117の端子はゲート端子g、ドレイン端子d、ソース端子sとなる。
0065
トランジスタ117には、ボディダイオードあるいはチャンネルダイオードDiが形成されている。なお、ダイオードDiはトランジスタ117が形成された半導体チップに実装された別の半導体チップのダイオードであってもよい。
0066
ダイオードDiは、トランジスタ117の形成時に副次的に形成されるダイオード(寄生ダイオード)を利用してもよい。寄生ダイオードはトランジスタ117の層構造により副次的に形成される。ダイオードDiは、構造上、トランジスタ117のチャンネル部の近傍に形成される。
0067
ダイオードDiは、トランジスタ117を動作させている時には動作しないものであれば、いずれの素子でもよい。例えば、ダイオードに限定されるものではなく、トランジスタをダイオード接続して使用しても良いことはいうまでもない。
0068
また、ダイオードなどの半導体に限定されるものではなく、抵抗などのデバイスでもよい。抵抗などのデバイスに定電流Icを印加することにより、抵抗の端子電圧を測定する。この電圧を電圧Viとして測定する。
0069
以上のように、温度を取得する素子は、半導体などのデバイスだけでなく、抵抗などのデバイスでもよい。つまり、電流を流すことにより電圧値を取得できるデバイス、あるいは電圧を印加することにより電流値を取得できるデバイスであればいずれのデバイスでも適用できる。
0070
ダイオードDiはトランジスタ117の発熱により抵抗値が変化する。ダイオードDiに定電流Icを流すと、ダイオードDiの抵抗値の変化に比例してダイオードDiの端子間の電圧が変化する。端子間の電圧をモニターあるいは測定すれば、トランジスタ117の温度、または温度の変化を知ることができる。
トランジスタ117の温度をダイオードDiの電圧からモニターするためには、温度係数を予め取得しておく必要がある。
0071
温度係数は、トランジスタ117を恒温槽で所定温度に設定し、ダイオードDiに定電流Icを流して、ダイオードDiの端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつダイオードDiの端子電圧を測定することにより、温度に対するダイオードの端子電圧を取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧からトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
0072
温度係数Kは、トランジスタ117の各生産ロットで異なる場合があるが、一般的には生産ロットで一定の値を示す。したがって、各生産ロットで、試験を行うトランジスタ117を抜き取り、温度係数Kを求めておけば他のトランジスタ117の温度係数Kにも使用できる。
0073
精度よく温度係数Kを取得するには、同じロットでも、各トランジスタ117の温度係数Kを個別に測定して試験をする。温度係数Kの測定は、恒温槽の使用に限定されない。例えば、トランジスタ117を実装したヒートシンクに流す水温を変えて温度係数Kを取得する。
0074
試験時は、トランジスタ117に間欠的に、試験電流Idを印加する。試験電流Idをオフした直後あるいは、オフした後、短時間の所定時間の経過後、定電流回路118から、温度測定用の定電流Icを流す。
0075
定電流Icでトランジスタ117が発熱することを防止するため、あるいは定電流Icの影響がないようにするため、定電流Icはトランジスタ117のチャンネルに流す定電流Idよりも十分に小さい電流値にする。定電流Idは、温度測定に影響を与える発熱しない程度の電流を流す。
0076
具体的には、定電流Icは試験時にトランジスタ117に流す電流Idの1/1000以下に設定する。好ましくは、トランジスタ117に流す電流Icは電流Idの1×106の1以上1×104の1以下にする。定電流Icは0.1mA以上100mA以下にする。
0078
温度を測定する時、ダイオードDiがトランジスタ117と同一チップ内に形成されている場合、ゲート電圧Vgsによって飽和電圧のVn電圧が変化する場合がある。ゲート電圧Vgsはゼロ(0)電圧または負電圧(マイナス電圧)とすることが好ましい。
0080
以上の実施例では、予め、温度係数Kを求めるとしたが、本発明の半導体試験方法はこれに限定するものではない。なお、温度係数とダイオード端子電圧などからトランジスタ117の温度情報Tjを求める。
トランジスタ117と加熱冷却プレート134に密着して配置し、加熱冷却プレート134の温度が、トランジスタ117と略一致するように構成する。
0081
コントローラ111はチラー136を制御して、加熱冷却プレート134の温度を所定温度にし、トランジスタ117に定電流Icを印加して、ダイオードDiの端子電圧を測定する。
0082
測定結果から、温度係数Kを求める。加熱冷却プレート134の温度は、複数の温度に設定し、それぞれの温度での温度係数Kを求め、結果からより温度係数の値の精度を向上させる。
0083
温度係数Kは、トランジスタ117を加熱冷却プレート134で所定温度にし、ダイオードDiに定電流Icを流して、端子電圧を測定する。前記所定温度を変化させ、かつダイオードDiの端子電圧を測定することにより、温度に対するダイオードDiの端子電圧を取得できる。したがって、温度に対するダイオードDiの端子電圧からトランジスタ117の温度係数Kを求めることができる。
0084
トランジスタ117の試験時は、定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にダイオードDiに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してダイオードDiの端子間電圧を測定する。
0085
オペアンプ回路(バッファ回路)116は、ダイオードDiの端子電圧Vi(端子c−端子e)を出力する。なお、オペアンプ回路116は、オペアンプ素子から構成されるものに限定されない。入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスが低いものであればいずれのものでもよい。
温度測定回路115を保持されている温度係数Kと電圧Viから、試験を実施しているトランジスタ117の温度情報Tjを求める。
0086
求められた温度情報Tjはコントローラ111に送られる。コントローラ111は、温度情報Tjが所定設定値以上のなった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態、あるいは劣化状態となったと判断し、試験の制御変更あるいは試験の停止などを行う。
0087
試験でトランジスタが劣化する箇所は主として、トランジスタ117内の接合部であることが多い。半導体そのものが劣化することはなく、トランジスタ117の接合部(ボンディング、ダイボンドなど)が劣化し、接合部の抵抗値が高くなる。抵抗値が高くなることにより、電圧Vceが高くなり、発熱してトランジスタ117の温度が上昇する。
0088
半導体が劣化する場合は、トランジスタ117のゲート酸化膜(絶縁膜)の劣化である場合が多い。ゲート酸化膜の劣化が発生した場合は、酸化膜(絶縁膜)の短絡状態になり、電圧Vceは下がる。または、トランジスタ117がオフ状態となり、トランジスタ117には電流は流れず、電圧Vceは電源電圧の最大値まで上昇する。
0089
温度情報Tjは、試験開始時は、最低温度T1から最高温度T2の間を変化する。試験によりトランジスタ117にストレスがかかると、トランジスタ117のVce電圧が変化し、通常は温度情報Tjが高くなる方向に変化する。
したがって、図5(c)に図示するように、最低温度は、温度T1より上昇し、最高温度は温度情報Tm(Tjmax)に近づく。
本発明の半導体の試験方法では、試験の終了は下記のいずれかの条件で停止する。
・温度情報Tjが所定範囲内から外れた場合。
・チャンネル電圧Vceが所定の電圧範囲から外れた場合。
・熱抵抗が所定の範囲内から外れた場合。
0090
図1などの実施例において、スイッチSsa124a、スイッチSab124bはスイッチの記号を使用している。スイッチSsa124a、スイッチSab124bは、クローズ(オン)した時の抵抗(オン抵抗)が小さいものであれば、いずれの素子でもスイッチとして使用できる。例えば、トランジスタ、メカニカルリレー、ホトトランジスタ、ホトダイオードスイッチなどが例示される。
0091
本実施例では、スイッチSsa、スイッチSabは、図3に図示するようにパワーMOSFETを使用している。パワーMOSFETはチャンネル間の電圧(Vsd)が小さい。
スイッチSsa、スイッチSabはパワーMOSFETだけでなく、パワートランジスタなどであっても良いことはいうまもない。
0092
パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)は、パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)以下となるものを選定する。つまり、パワーMOSFET124bのオン時のチャネル電圧(Vsdb)は、パワーMOSFET124aのオン時のチャネル電圧(Vsda)よりも小さくなるようにする。スイッチ124bがオンした時、完全に電流電圧装置121aの端子間を短絡して、電流Imを安定して流すためである。
以上の事項は、スイッチ124がパワートランジスタなどの場合も同様である。パワートランジスタ124の場合は、チャンネル電圧はVceとなる。
0093
図4は、第1の実施例における本発明の半導体素子の試験方法の説明図である。図4においてVgsは、試験をするトランジスタ117のゲート端子に印加するゲート信号である。Idは試験時にトランジスタ117に流す電流である。説明を容易にするため、トランジスタ117がオン時に定電流Iaを流すとしている。
0094
図4(c)St1はダイオードDiに電流Icを流すタイミング信号であり、St1がHレベルの時、トランジスタ117のダイオードDiに電流が流れる。オペアンプ回路116はダイオードDiの端子間電圧を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。温度情報Tjはコントローラ111に送られ、コントローラ111は温度情報Tjにしたがってトランジスタ117の試験を実施する。
0095
Idは試験を行うトランジスタ117に流れる電流であり、電流電源装置121が出力する電流である。St1、St2は温度測定用のダイオードに測定用電流を流す時間あるいは温度の測定時間である。
図4(e)Ssaはスイッチ124aのオンオフ信号、図4(f)Sabはスイッチ124bのオンオフ信号である。
0096
図4(g)Vceはトランジスタ117のc端子の電圧(トランジスタ117のチャンネル電圧)、温度情報Tjは測定されたトランジスタ117の温度変化を示す。
0097
図4(a)に図示するように、ゲートドライバ回路113からゲート信号Vgsがトランジスタ117のゲート端子gに印加される。ゲート信号Vgsは周期時間tcycle、オン時間tonである。周期時間tcycle、オン時間tonはゲート信号制御回路112で任意の値に設定することができる。また、オン電圧Vgも任意の電圧に設定することができる。
0098
図4(d)St2は図7に示す実施例において、ダイオードDsa、ダイオードDsbに電流Icを流すタイミング信号である。St2がHレベルの時、トランジスタ117のダイオードDsaまたはDsbに電流が流れる。トランジスタ117と独立したデバイス(ダイオード)に定電流Icを流して温度情報Tjを取得する場合である。
0099
オペアンプ回路116はダイオードDsaまたはDsbの端子間電圧を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。温度情報Tjはコントローラ111に送られ、コントローラ111は温度情報Tjに基づいてトランジスタ117の試験を実施する。なお、St2に関連する事項は、図7等で説明する。
0100
理解を容易にするため、測定された温度情報Tjは図4(h)で示すように、T1からT2の間を変化するとして説明する。温度情報Tjはトランジスタ117に通電されることにより高くなり、通電する電流が停止すると低下する。また、温度情報Tjはトランジスタ117の特性変化にともなって変化する。
0101
図4(e)SsaはスイッチSsaのオンオフ制御信号のタイミングを示す。SsaがVonになるとスイッチSsaがクローズ(オン)する。0の場合は、スイッチSsaがオープン(オフ)になり、電流あるいは電圧の印加が遮断される。
0102
図4(f)SsbはスイッチSsbのオンオフ制御信号のタイミングを示す。SsbがVonになるとスイッチSsbがクローズ(オン)する。0の場合は、スイッチSsbがオープン(オフ)になる。
0103
図4(g)Vceはトランジスタ117のチャンネル電圧(エミッタ端子とコレクタ端子間の電圧)である。トランジスタ117のオンオフにともなって、サージ電圧、ザージ電流が発生し、また、トランジスタ117のオン抵抗の変化にともないVce波形が時間的に複雑に変化する。また、ダイオードDiに電流Icが流れることにより、トランジスタ117のVce波形は変化する。
0104
本明細書、図面では、説明を容易にするため、あるいは作図を容易にするため、トランジスタ117がオンの時は電圧Vnになるとし、トランジスタがオフの時は電圧Veになるとして説明をする。
ゲート信号は、周期tcycle、オン時間ton、オフ時間toffで試験をするトランジスタ117のゲート端子に印加される。
0105
ゲート信号Vgsはトランジスタ117がNチャンネルの場合は、グランド(接地)電圧0(V)がオフ電圧であり、Vgがオン電圧である。トランジスタ117がPチャンネルの場合は、オン電圧の電位とオフ電圧の電位を変更する。
0106
トランジスタ117をオンする前のtn2期間は、オフ電圧よりもマイナス側のVt電圧にする。また、トランジスタ117をオフ後のtn1期間は、オフ電圧よりもマイナス側のVt電圧にする。
Vt電圧は、0(V)よりも低く、−4(V)よりも高い電圧である。したがって、Vtとは、−4(V)以上かつ0(V)よりも低い電圧である。
0107
なお、トランジスタ117がSiCの場合はオフ電圧をVt電圧とし、IGBTの場合は、オフ電圧を0(V)とする。以上のように、試験するトランジスタ117の種類に応じて、トランジスタ117に供給するオフ電圧を変更できるように本発明の半導体試験装置を構成している。
0108
Vt電圧が印加されている時に、St1(St2)をHレベルにしてトランジスタ117の温度を測定する。Vt電圧を印加している期間にダイオードDiに定電流Icを流す。また、St1(St2)のHレベルに期間には定電流Icを流す。
0109
トランジスタ117のゲート端子にVt電圧が印加されることにより、トランジスタ117のオフ状態が安定し、温度情報Tjの測定を安定して実施することができる。また、温度情報Tjの測定時にノイズが乗りにくく、温度情報Tjの測定精度が向上する。
0110
トランジスタ117のゲート端子にVt電圧を印加することにより、トランジスタ117のリーク電流が減少し、Vi電圧の測定精度が向上、また測定が安定する。
0111
ゲート信号Vgsは、tn1、tn2の時間にVt電圧にされる。一例としてtn1、tn2の時間は、0.2m秒以上2m秒以下の時間である。トランジスタ117は0(V)でオフする。
0112
したがって、トランジスタ117のゲート端子gには、Vg、0(V)、Vtの3電圧を印加する。Vtを印加している期間に、トランジスタのダイオードDiに電流を流して温度情報Tjを測定する。
0113
ダイオードDiに定電流Icを流すときには、スイッチSsaをオフして、電流電源装置121aからの電流がトランジスタ117に印加されないように制御する。
0114
ダイオードDiに定電流Icを流すことにより、ダイオードDiの端子電圧を取得し、オペアンプ回路116は端子電圧に対応するVi電圧を出力する。Vi電圧は温度測定回路115に入力され、温度測定回路115はトランジスタ117の温度に対応する温度情報Tjを求める。
0118
スイッチ124aがオンする前のtb2時間前にスイッチ124bがオンする。スイッチ124aがオンしてからtb1時間後までスイッチ124bのオン状態は維持される。tb2時間、tb1時間は独立して変更設定できるように構成されている。
特に、tb1の設定は重要である。tb1の時間は、トランジスタ117のVce電圧の波形を観察して、適正に設定あるいは変更する。
0119
スイッチ124aは、トランジスタ117のVgs信号がVtになるtm1時間前にオフする。tm1時間はコントローラ111により変更設定できるように構成されている。
0120
スイッチ124aがオフする前のta2時間前にスイッチ124bがオンする。スイッチ124aがオフしてからta1時間後までスイッチ124bのオン状態は維持される。ta2時間、ta1時間は独立して変更設定できるように構成されている。
特に、ta1の設定は重要である。ta1の時間は、トランジスタ117のVce電圧の波形を観察あるいは測定して、適正に設定あるいは変更する。
0121
スイッチSsbがオンすることにより、電流電源装置121aの出力端子がグランド(接地ライン)と短絡し、電荷が放電される。電荷が放電されることにより電流電源装置121aの端子電圧は0(V)(グランド電圧)となる。また、電流電源装置121aが出力する電流Iaを、電流Imとして接地(グランド)へ流す。したがって、電流Iaはトランジスタ117に印加されることはなく、また、トランジスタ117のコレクタ電圧が上昇することはない。
0122
tb2時間は、電流電源装置121aの出力電圧が0(V)あるいは0(V)近傍になる時間、あるいは、電流電源装置121aの出力電圧の方が、トランジスタ117のコレクタ電圧よりも低くなる時間を観察あるいは測定して設定する。
0123
上記の電圧の関係が所定値になった時刻(tb2経過後)で、スイッチ124aをオンさせて、電流電源装置121aからの電流Ia(=Id)を印加する。しかし、このときは、スイッチ124bがオンしているため、電流電源装置121aからの電流Ia(=Id)は、スイッチ124bを介して電流Imとしてグランド(接地ライン)に流れる。したがって、トランジスタ117には定電流Idは流れない。
スイッチ124aがオンしてから、tb1時間経過後、スイッチ124bがオフし、試験電流Idがトランジスタ117に供給される。
試験電流Idは、図4のように、スイッチ124aに同期して、トランジスタ117に供給される。
0124
以上のようにスイッチ124a、124bを動作させることにより、トランジスタ117にはサージ電圧Vsあるいは突入電流Isが印加されない。または、サージ電圧Vsあるいは突入電流Isが抑制され、良好なトランジスタ117の試験を実施することができる。
0125
トランジスタ117への試験電流Idの停止時は、スイッチ124aのオフさせるta2前にスイッチ124bをオンさせる。スイッチSsbを介して、電流電源装置121aが出力する定電流Iaは電流Imとしてグランドに流れ、トランジスタ117には供給されない。
0126
ta2時間は、電流電源装置121aの出力電圧が0(V)あるいは0(V)近傍になる時間、あるいは、電流電源装置121aの出力電圧の方が、トランジスタ117のコレクタ電圧よりも低くなる時間を観察して設定する。
0127
上記の電圧の関係が所定値になった時刻(ta2経過後)で、スイッチ124aをオフさせる。スイッチ124aがオフしてから、ta1時間経過後、スイッチ124bがオフされる。
0128
以上のようにスイッチ124a、124bを以上のように動作あるいは制御することにより、トランジスタ117にはサージ電圧Vsあるいは突入電流Isが印加されない。または、サージ電圧Vsあるいは突入電流Isが抑制され、良好なトランジスタ117の試験を実施することができる。
0129
トランジスタ117に定電流Idが供給されることにより、温度情報Tjは上昇する。トランジスタ117への定電流Idが停止することにより、温度情報Tjは下降する。温度情報TjはT1とT2間を変動する。試験によりトランジスタ117の特性が変動すると温度情報Tjは徐々に上昇する。
一定値の電流Idをトランジスタ117に印加するには、電流電源装置121aを動作させ、トランジスタ117に電流Id(=Ia)を印加する。
0130
図1、図5などに図示するように、ゲートドライバ回路113の可変抵抗Vr125の抵抗値も設定することができる。抵抗値を大きくすることにより、ゲート信号Vgsの立ち上がり/立ち下がり波形は、図5(a)の点線あるいは一点鎖線のように変化させることができる。
0131
ゲート信号Vgsの変化あるいは設定により、トランジスタ117に流れる電流Idも図5(b)に図示するように、点線あるいは一点鎖線のように変化させることができる。
電流Idの立ち上り波形、立ち下り波形を変化させることにより、サージ電圧あるいは突入電流を調整あるいは抑制することができる。
0132
温度情報Tjは図5(c)に図示するように、試験によりトランジスタ117の特性が変化するにともなって、実線から点線、点線から一点鎖線に変化する。温度情報TjがTmのレベルに達した時に試験を停止する。あるいは、温度情報Tjの変化割合が所定値になったときに試験と停止する。また、試験条件を変更する。
0133
図6に図示するように、スイッチSsa(スイッチ124a)がオフ状態の時に、St1信号をHにして、温度情報Tjを測定する。St1信号は、ゲート信号がVtの時に、Hレベルにする。tn2期間で、tc2の期間にHレベルにして、温度情報Tjを測定する。tn1期間で、tc1の期間に温度情報Tjを測定する。
0134
tc2の期間に測定した温度情報Tjは、トランジスタ117が冷却された時点の温度情報Tjとなる。tc1期間に測定した温度情報Tjは、トランジスタ117に電流Idを停止した直後の温度情報Tjとなる。
試験の停止、条件変更、制御の変更などは、tc2の期間に測定した温度情報Tjと、tc1期間に測定した温度情報Tjで判断する。
0135
tc1期間に測定した温度情報Tjがtc2の期間に測定した温度情報Tjに比較して変化率が大きい場合、tc1期間に測定した温度情報Tjがtc2の期間に測定した温度情報Tjとの絶対値の差が大きい場合等、測定値温度情報Tjに対応して、試験を制御、変更する。
0136
また、tc2の期間に測定した温度情報Tjが標準値と所定値異なっていると場合、トランジスタ117の接続状態、試験装置に問題があるかを判定し「試験を開始せず」の判断などを行う。
tc2あるいはtc1期間に、Viを複数回測定し、Viに対する温度情報Tjを求める。
0137
図7の実施例では、図4(d)のSt2信号のタイミングで温度情報Tjを測定する。スイッチSsa(スイッチ124a)がオフ状態の時に、St2信号をHにして、温度情報Tjを測定する。tn2期間で、tc2の期間にHレベルにして、温度情報Tjを測定する。tc1の期間は、tonの期間、tn1の期間にいずれの期間に温度情報Tjを測定してもよい。tc2の期間に測定した温度情報Tjと、tc1期間に測定した温度情報Tjは、平均を取り、温度情報Tjを求める。
0138
なお、tc2あるいはtc1期間に、Viを複数回測定し、Viに対する温度情報Tjを求める。図4の他の信号あるいはスイッチの動作は、図1で説明した実施例と同一あるいは同様である。
以上の実施例は、トランジスタ117に付加する、あるいは形成されたダイオードで温度情報Tjを測定する実施例であった。
0140
ダイオードDsaは定電流Icを流す向きに形成されている。ダイオードDsbは定電流Ic’を流す向きに形成されている。定電流回路118(Pc)は定電流Icおよび定電流Ic’を発生する。
0141
ダイオードDsa、ダイオードDsbは温度測定用のダイオードである。ダイオードDsa、ダイオードDsbの構造は、図1のダイオードDiと類似あるいは同一である。
0142
ダイオードDiがトランジスタ117の端子(c、e)と接続されているのに対して、ダイオードDsa、ダイオードDsbはトランジスタ117の端子とは接続されておらず、独立した端子に接続されている点、ダイオードDiは図4(c)のSt1のタイミングで温度情報Tjが測定されるのに対し、ダイオードDsa、ダイオードDsbは図4(d)St2のタイミングで温度情報Tjが測定される点以外は、同一動作あるいは同一構成である。
0143
図7の実施例では、トランジスタ117に電流Idを流している状態でもダイオードに定電流Icを流すことができる。したがって、温度情報Tjを測定する時間を自由に設定することができる。図4(d)に図示するように、tc1、tc2の位置を設定することができる。
0144
ただし、tc2にあっては、図4(d)に示すように、ゲート信号がVtの期間に配置あるいは設定する。tc2の期間で測定する温度情報Tjは、トランジスタ117が動作前の値として使用する。tc1の期間は、トランジスタ117の定電流Idを停止する直前が好ましい。なお、定電流Idの停止した直後でもよい。直前、直後とは1m秒以内の時間とすることが好ましい。
図4(d)のSt2はダイオードDs(Dsa、Dsb)の電流Ic(または電流Ic’)を流すタイミング信号である。
0145
St2がHレベルの時、トランジスタ117のダイオードDs(Dsa、Dsb)に電流が流れる。オペアンプ回路116はダイオードDsの端子間電圧を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。
0146
温度情報Tjはコントローラ111に送られ、コントローラ111は温度情報Tjにしたがってトランジスタ117の試験を実施あるいは停止あるいは制御を変更する。
0147
St2がHレベルの時に、定電流回路118は定電流Icを流し、定電流IcはダイオードDsaに流れる。また、定電流回路118は定電流Ic’を流し、定電流Ic’はダイオードDsbに流れる。
0148
定電流Icと定電流Ic’は同一の大きさの電流である。ただし、ダイオードDsaとダイオードDsbの閾値電圧が異なる場合、ダイオードDsaとダイオードDsbの特性が異なる場合などは、定電流Icと定電流Ic’の大きさを異ならせることが好ましい。
0149
オペアンプ回路116はダイオードDsaまたはDsbの端子間電圧を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。温度情報Tjはコントローラ111に送られ、コントローラ111は温度情報Tjにもとづいてトランジスタ117の試験を実施する。
0150
定電流Icを流して求めたTjと、定電流Ic’を流して求めた温度情報Tjとは、平均値をとる、あるいは重みづけ処理を行い、1つの温度情報Tjの値とする。この温度情報Tjを用いて、コントローラ111はトランジスタ117の試験を実施あるいは停止あるいは制御を変更する。
他の事項は、本明細書、図面で説明した事項あるいは内容と同一あるいは類似であるので説明を省略する。
0151
本発明はその要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。 本明細書および図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。
0153
ダイオードDia、ダイオードDibは寄生ダイオードとしてトランジスタ117の形成にともない形成される。また、トランジスタ117の温度測定のために付加的に形成される場合もある。なお、ダイオードDiaとダイオードDibの両方が形成される場合もあるが、一方の場合もある。
0155
Tiを求めるタイミングは、図4(c)のSt1で実施される。スイッチSsa(スイッチ124a)がオフ状態の時に、St1信号をHにして、温度情報Tjを測定する。St1信号は、ゲート信号がVtの時に、Hレベルにする。tn2期間で、tc2の期間にHレベルにして、温度情報Tjを測定する。tn1期間で、tc1の期間に温度情報Tjを測定する。tc2の期間に測定した温度情報Tjは、トランジスタ117が冷却された時点の温度情報Tjとなる。tc1期間に測定した温度情報Tjは、トランジスタ117に電流Idを停止した直後の温度情報Tjとなる。
0156
ダイオードDiaは定電流Icを流す向きに形成されている。ダイオードDibは定電流Ic’を流す向きに形成されている。定電流回路118は定電流Icおよび定電流Ic’を発生する。
0157
ダイオードDia、ダイオードDibは温度情報Tjを取得するためのダイオードである。ダイオードDia、ダイオードDibは、図1のダイオードDiと類似である。ダイオードDiがトランジスタ117のコレクタ端子とエミッタ端子と接続されている。ダイオードDia、ダイオードDibはトランジスタ117のベース端子とエミッタ端子は接続されている。
図8の実施例では、トランジスタ117に電流Idを流していない状態でもダイオードに定電流Icを流す。
図4(c)のSt1はダイオードDi(Dia、Dib)に電流Ic(または電流Ic’)を流すタイミング信号である。
0158
St1がHレベルの時、トランジスタ117のダイオードDiに電流が流れる。ダイオードDi(Dia、Dib)に電流Ic(または電流Ic’)を流す時は、スイッチ124cをオープン(ハイインピーダンス)にする。スイッチ124cをオープンにした状態で、ダイオードDiに定電流Icまたは定電流Ic’を流す。
0159
オペアンプ回路116はダイオードDiの端子間電圧(トランジスタ117のゲート端子とエミッタ端子間の電圧)を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。温度情報Tjはコントローラ111に送られる。コントローラ111は温度情報Tjによってトランジスタ117の試験を実施あるいは停止あるいは制御を変更する。
0160
図4(c)のようにSt1がHレベルの時に、定電流回路118は定電流Icを流し、定電流IcはダイオードDiaに流れる。また、定電流回路118は定電流Ic’を流し、定電流Ic’はダイオードDibに流れる。
0161
なお、定電流Icと定電流Ic’は同一の大きさの電流である。ただし、例えば、ダイオードDsaとダイオードDsbの閾値電圧が異なる場合、ダイオードDsaとダイオードDsbの特性が異なる場合などは、定電流Icと定電流Ic’の大きさを異ならせることが好ましい。
0162
オペアンプ回路116はダイオードDiaまたはDibの端子間電圧を取得し、温度測定回路115は端子間電圧を温度情報Tjに変換する。温度情報Tjはコントローラ111に送られ、コントローラ111は温度情報Tjにもとづいてトランジスタ117の試験を実施あるいは継続する。
0163
定電流Icを流して求めた温度情報Tjと、定電流Ic’を流して求めた温度情報Tjとは、平均値をとる、あるいは重みづけ処理を行って、1つの温度情報Tjの値とする。この温度情報Tjを用いて、コントローラ111はトランジスタ117の試験を実施あるいは停止あるいは制御方法を変更する。
0164
図9は本発明の第4の実施例における半導体試験装置の説明図である。図1との差異は、ダイオード接続されたトランジスタ117sが試験を行うトランジスタ117mに流す電流Idの経路に配置されている点である。他の箇所は同一であるので説明を省略する。
0165
トランジスタ117sは一例として、試験を実施するトランジスタ117と同一のトランジスタである。トランジスタ117sのゲート端子とエミッタ端子は接続され、トランジスタ117sは等価的にダイオードとみなせる。
0166
スイッチ124bがオンすると電流Imが流れ、電流電源装置121aの電荷を放電する。あるいは、電流電源装置121aが出力する電流Iaはスイッチ124bを介して、グランドに流す。
0167
試験をするトランジスタ117mに突入電流Isが流れるとトランジスタ117mを突入電流Isあるいはサージ電圧Vsの発生によって、トランジスタ117mが破壊する。突入電流Isあるいはサージ電圧Vsの発生することを防止するため、スイッチ124a、124bのオンオフ制御、オンオフ順序を制御する。
0168
周期tcycleを速くして、トランジスタ117mの試験を実施する場合、スイッチ124a、スイッチ124bのオンオフを高速に実施する必要がある。この場合、スイッチ124のオンオフタイミングにより、突入電流Isあるいはサージ電圧Vsが発生する場合がある。
0169
トランジスタ117のコレクタ端子の電圧Vmの電圧が、電流電源装置の出力部の電圧Vpよりも高ければ、電流は電流Imとしてグランドに向かって流れ、トランジスタ117mには流れないか、わずかとなる。
0170
Vm > Vpの関係を作るため、図9に示す実施例では、ダイオード接続したトランジスタ117sを電流Idの経路に配置している。トランジスタ117sに電流が流れる場合、トランジスタ117sのチャンネル電圧分だけ、電圧Vmに積み上がる状態になる。したがって、電圧Vpは、電圧Vmより低い状態となり、トランジスタ117mに突入電流は印加されなくなる。トランジスタ117mが突入電流Isあるいはサージ電圧Vsで破壊することはない。
0171
図10は本発明の第5の実施例における半導体試験装置の説明図である。図1の実施例との差異は、図1のトランジスタ117にはダイオードDiが配置されているのに対し、図10の実施例ではダイオード接続されたトランジスタが形成または配置されている点である。他の事項等については、図1の実施例等と同一あるいは類似であるので説明を省略する。
トランジスタ117dのゲート端子とエミッタ端子は接続され、トランジスタ117dは等価的にダイオードとみなせる。
0172
トランジスタ117mの試験時は、定電流Icは、チャンネル電流Idが流れていない時にトランジスタ117dに流す。つまり、トランジスタ117がオンしていない時に、定電流Icを流してトランジスタ117dの端子間電圧を測定する。
オペアンプ回路(バッファ回路)116は、トランジスタ117dの端子電圧Viを出力する。
0173
温度測定回路115を保持されている温度係数Kと電圧Viから、試験を実施しているトランジスタ117の温度情報Tjを求める。求められた温度情報Tjはコントローラ111に送られる。コントローラ111は、温度情報Tjが所定設定値以上のなった場合、トランジスタ117が所定のストレス状態となったと判断して試験の停止、あるいは試験の制御条件の変更などを行う。
0174
図11は本発明の第6の実施例における半導体試験装置の説明図である。電流電源装置121a、電流電源装置121bは、トランジスタ117を試験するための等価的な突入電流Isを発生させる電源装置である。
0175
電流電源装置121は、コントローラ(パーソナルコンピュータ等)111からの制御信号に同期させて電力(電流、電圧)を供給すると共に、供給された電力を用いて前記負荷を設定された定電流または定電圧で駆動する。また、電流電源装置121は、出力する最大電圧値を設定することができる。
0176
スイッチ122(SWa122a、SWb122b)は、電流電源装置121が出力する定電流の供給をオン(供給)オフ(遮断)させる。スイッチ122は電流制御回路114からの信号に基づき、オン(定電流を出力)またはオフ(定電流を遮断)に設定制御される。
0177
スイッチSWaは電流電源装置121aの電流経路に配置されている。スイッチSWbは電流電源装置121bの電流経路に配置されている。スイッチ122は、電流制御回路114からの信号に基づき、オン(定電流を出力)またはオフ(定電流を遮断)に設定制御される。
0178
図11では2台の電流電源装置121を図示している。電流電源装置121は2台に限定されるものではない。3台以上の電流電源装置121を保有してもよい。電流電源装置121の台数が増加するほど、多種多様な電流波形Idを発生させることができる。
0179
本発明の実施例において、電流電源装置121として説明するが、電流電源装置121は定電流を出力するものに限定されるものではない。例えば、電流電源装置121が最大電圧を設定し、一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。したがって、電流電源装置121は、定電流の出力する装置ではなく、電圧、電流を出力できる電源装置である。
0181
図12は、本発明の突入電流Isを発生させる方法の説明図である。トランジスタ117のチャンネルに流す試験電流Idを図12(b)に示す。ベース電流I1は電流電源装置(Pa)121aにより定電流Iaとしてトランジスタ117に供給される。
0182
トランジスタ117に供給される定電流IaはスイッチSWa122aによりオンオフ制御される。また、オン時間tonはトランジスタ117のゲート端子gに印加されるゲート信号Vgsにより規定される。
tcの期間に、電流電源装置121bから定電流Ibが出力される。定電流IbはスイッチSWb122bにより印加時間が制御される。
トランジスタ117には、電流電源装置121aと電流電源装置121bとが出力される定電流(Ia、Ib)が加算されて印加される。
0183
図11に図示するように、本発明の半導体試験装置は、第1の電流電源装置(Pa)121aと、第2の電流電源装置(Pb)121bとを具備する。また、第1の電流電源装置121aが出力する定電流Iaをトランジスタ117に印加するスイッチ(SWa)122aと、第2の電流電源装置121bが出力する定電流Ibをトランジスタ117に印加するスイッチ(Sb)122bとを具備する。
0184
スイッチSWa122aは、周期tcycleの時間中、tonの時間に定電流Iaをトランジスタ117に印加する。第2の電流電源装置121bが出力する定電流Ibは、第1の電流電源装置121aが出力する定電流Iaと同期して、トランジスタ117に印加される。最初は、定電流Iaと定電流Ibは加算(重畳)されてトランジスタ117に流れ、定電流Ibはtc時間流れる。
0185
なお、実際にトランジスタ117に流れる電流は図4に図示して説明したように他のスイッチで制御されるが、ここでは説明を容易にするために前述のように記載している。
0186
突入電流Is=Ia+Ibとして、トランジスタ117の試験を実施する。図12では、I1=Ia、I2=Is=Ia+Ibとしている。電流Iaの立ち上がりと電流Ibの立ち上がりは同時、あるいは略一致させる。実際には、回路の容量成分などにより、電流波形は点線のようになる。ゲート端子に印加するオン電圧信号についても同様である。
0187
以上の実施例では、第1の電流電源装置(Pa)121aが定電流Iaを出力し、第2の電流電源装置121bが定電流Ibを出力するとしたが、これに限定するものではない。
0188
図6(b)で図示する電流Idを発生できるものであれば、いずれの電流電源装置であってもよい。例えば、1台の電流電源装置121で、定電流I2を出力し、tc時間の経過後、定電流I1(A)を出力し、tonの時間後、電流出力を0(A)とできればよい。
0190
突入電流Isにより、トランジスタ117に電流ストレスが印加される。突入電流Isをトランジスタ117が使用される実回路と同等あるいは類似とすることにより、適正な試験を実施できる。
0191
図11の実施例では、主として電流電圧装置121が発生する電流を重畳等させることにより、突入電流Isを発生させるとして説明したが、本発明はこれに限定するものではない。
0192
例えば、第1の電流電源装置(Pa)121aと電圧電源装置1として定電圧V1を発生させる。第2の電流電源装置(Pb)121bと電圧電源装置2として定電圧V2を発生させる。定電圧V1または定電圧V2をトランジスタ117の端子cに印加することにより、トランジスタ117に突入電流Isを流すように構成してもよい。定電圧V1は定電圧V2より大きいという関係にする。
0193
定電圧V1により、トランジスタ117に電流Iaがトランジスタ117に流れ、定電圧V2の印加により電流Ibがトランジスタ117に流れる。したがって、定電圧V1または定電圧V2の加により、トランジスタ117に突入電流Isを流すことができる。
0194
以上のように、本発明は、試験するパワー半導体素子に突入電流Isを容易に設定して試験を実施できる。したがって、パワー半導体素子に対して実際の使用環境、実際の使用回路を想定してトランジスタ117の信頼性を評価することができる。
0195
図1などにおいて、2台の電流電源装置121を図示している。電流電源装置121は2台に限定されるものではない。3台以上の電流電源装置121を保有してもよい。電流電源装置121の台数が増加するほど、多種多様な電流波形Idを発生させることができる。
0196
1台の電流電源装置121が図6などで図示する電流Id信号を発生できる場合は、1台の電流電源装置121を有すればよいことは言うまでもない。1つの電流電源装置121が、定電流I2を出力し、tc時間の経過後、定電流I1を出力し、tonの時間後、電流出力を0とできれば1台の電流電源装置121でよいことは言うまでもない。
0197
本発明の実施例において、電流電源装置121として説明するが、電流電源装置121は定電流を出力するものに限定されるものではない。例えば、電流電源装置121が最大電圧を設定し、一定の条件で、設定された最大電圧において、所定の定電流を出力できるように機能させることが例示される。したがって、電流電源装置121は、定電流の出力する装置ではなく、電圧、電流を出力できる電源装置である。
0198
図13は、本発明の第7の実施例における半導体試験装置の説明図である。図13において、電流電源装置121に並列して、試験を行う複数のトランジスタ117(トランジスタ117Q1〜トランジスタ117Qn)が接続されている。
図14は、図13の動作を説明する本発明の実施例における半導体素子の試験方法の説明図である。
0199
図14(a)に図示するように、スイッチSt1(151s1)〜スイッチStn(151sn)がオンすることにより、トランジスタ117に定電流Id1〜定電流Idnが流れる。例えば、定電流Idの印加時間はtonであり、定電流Id1と定電流Id2とは時間tcycleの間隔で順次トランジスタ117に印加される。トランジスタ117はオンすることにより、トランジスタ117のチャンネル電圧が順次、変化する(図14(c))。
0200
したがって、たとえば、定電流Id1と定電流Id2とは時間的に重なりがない。そのため、電流電源装置121の出力容量は、1つのトランジスタ117の試験に必要とする出力容量でよい。
0201
定電流Id(Id1〜Idn)は重ならないように制御する。また、好ましくは定電流Id(Id1〜Idn)のそれぞれの電流Id間は、1μ(マイクロ)秒以上の間隔をあけることが好ましい。なお、各トランジスタ117に対しては、図4で説明した駆動方法、制御方法を実施する。
0202
各トランジスタ117Qに供給する定電流Icは、スイッチSsa(Ssa1〜Ssan)を順次オンさせて、各トランジスタ117QのダイオードDsに供給する。
0203
ダイオードDsの端子電圧に対応する電圧Vi(Vi1〜Vin)はスイッチSsa(Ssa1〜Ssan)に同期して、セレクタ127によって選択される。例えば、トランジスタ117Q1に電流Icが供給されている時は、セレクタ127はトランジスタ117Q1のダイオードDsの端子電圧を選択する。トランジスタ117Q3に電流Icが供給されている時は、セレクタ127はトランジスタ117Q3のダイオードDsの端子電圧を選択する。選択された電圧Viが温度測定回路115に供給される。
他の構成、動作は他の実施例で説明している構成、動作と同様であるので説明を省略する。
本発明の実施例において、トランジスタ117は、IGBTを例示して説明したが、これに限定するものではない。
0204
例えば、NチャンネルのJFET(図15(a))、PチャンネルのJFET(図15(b))、NチャンネルのMOSFET(図15(c))、PチャンネルのMOSFET(図15(d))、NチャンネルのバイポーラFET(図15(e))、PチャンネルのバイポーラFET(図15(f))であっても良いことは言うまでもない。
0205
また、3端子のデバイスに限定されるものではなく、図15(g)に図示するダイオードなどの2端子素子であってもよい。2端子素子では、ゲート信号Vgsは必要がない。電流電圧装置121で定電流Idを流して試験することにより、本発明の半導体試験装置、半導体素子の試験方法を適用できることは言うまでもない。
0206
以上、本明細書において、実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
0207
本明細書および図面に記載した事項あるいは内容は、相互に組み合わせることができることは言うまでもない。例えば、図8で示すスイッチ124cは、他の実施例にも適用できる。例えば、図11、図13の構成あるいは動作は、図1、図7などの他の実施例にも適用できることは言うまでもない。また、例えば、図11、図13の実施例に対して図4の実施例を適用できることは言うまでもない。
0208
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、実際の環境下での故障モードに近いストレスを効率よく再現でき、高い信頼性でパワー半導体素子の評価を行うことができるパワーサイクル試験装置および試験方法を提供することができる。