図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
U字状の熱交換パイプに熱媒体液を通して地中と熱交換する地中熱採熱システムとしては、特許文献1の垂直式でクローズド型の地中熱採熱システムが一般的に採用されている。このような地中熱採熱システムの熱交換容量を増加させるために、揚水井戸から汲み上げた揚水を利用した地中熱採熱システムがある(特許文献2、特許文献3)。特許文献2は、深井戸131から井戸水を汲み上げ、深井戸131より浅い水平式の熱交換パイプ120に井戸水を降りかけることにより、熱交換容量を増加させたものである。また、特許文献3は、深井戸2から井戸水を汲み上げ、深井戸2より浅い浅井戸5に注入し、この浅井戸5に設置された垂直式の地中熱採熱システムで熱交換を行うことにより、自然水位の高低とは無関係に熱交換をすることができるようにしたものである。しかし、特許文献2、特許文献3の地中熱採熱システムは、熱交換パイプを設置するための掘削工事と、揚水用の深井戸を設置するための掘削工事の両方が必要になるため、工事費が高くなり、設置面積も広くなる問題がある。
概要
揚水用の井戸を設置するための掘削工事と熱交換パイプを設置するための掘削工事を共用することにより、工事費が安価で、設置面積も小さくて済むようにした揚水併用型熱交換器を提供する。掘削ロッド2が所定の深さに達したら、掘削ヘッド12の下端から掘削ロッド2の上端を取り外し、掘削ロッド2の上端開口部から中空円筒状のケーシング管3を掘削ロッド2の中空部22に挿入する。ケーシング管3の外周には4対のU字状の熱交換パイプ4が90度間隔に固定されている。熱交換パイプ4はケーシング管3の軸線に平行に配置され、帯状の結束バンド5によってケーシング管3の外周に固定されている。熱交換パイプ4は、ケーシング管3の軸方向の複数の箇所で結束バンド5によって固定される。熱交換パイプ4は中空で閉ループ状に形成され、熱媒体液を通して循環し、地中と地上のヒートポンプ6(参照)との間で熱交換する。
目的
本発明の目的は、揚水用の井戸を設置するための掘削工事と熱交換パイプを設置するための掘削工事を兼用することにより、工事費が安価で、設置面積も狭くて済むようにした揚水併用型熱交換器とその設置工法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
U字状の熱交換パイプに熱媒体液を通して地中と熱交換する地中熱採熱システムとしては、特許文献1の垂直式でクローズド型の地中熱採熱システムが一般的に採用されている。このような地中熱採熱システムの熱交換容量を増加させるために、揚水井戸から汲み上げた揚水を利用した地中熱採熱システムがある(特許文献2、特許文献3)。特許文献2は、深井戸131から井戸水を汲み上げ、深井戸131より浅い水平式の熱交換パイプ120に井戸水を降りかけることにより、熱交換容量を増加させたものである。また、特許文献3は、深井戸2から井戸水を汲み上げ、深井戸2より浅い浅井戸5に注入し、この浅井戸5に設置された垂直式の地中熱採熱システムで熱交換を行うことにより、自然水位の高低とは無関係に熱交換をすることができるようにしたものである。しかし、特許文献2、特許文献3の地中熱採熱システムは、熱交換パイプを設置するための掘削工事と、揚水用の深井戸を設置するための掘削工事の両方が必要になるため、工事費が高くなり、設置面積も広くなる問題がある。
先行技術
0003
特表2008−531945号公報
特開2015−152236号公報
特開2017−120169号公報
発明が解決しようとする課題
0004
本発明は、以上のような背景で発明されたものであり、以下の目的を達成するものである。本発明の目的は、揚水用の井戸を設置するための掘削工事と熱交換パイプを設置するための掘削工事を兼用することにより、工事費が安価で、設置面積も狭くて済むようにした揚水併用型熱交換器とその設置工法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0005
本発明は、前記課題を解決するために、次の手段を採る。
即ち、本発明1の揚水併用型熱交換器は、地中に埋設され、中空部を通して地下水を揚水するケーシング管と、前記ケーシング管の外周に固定され、地中と熱交換する熱媒体液を通す熱交換パイプとからなることを特徴とする。
0006
本発明2の揚水併用型熱交換器は、本発明1において、前記熱交換パイプは、前記ケーシング管の軸線と平行、又は前記ケーシング管の外周に螺旋状に巻いて配置されていることを特徴とする。
本発明3の揚水併用型熱交換器は、本発明1又は2において、前記熱交換パイプは、前記熱交換パイプの内部を通る熱媒体液を循環させるために閉ループ状に形成されていることを特徴とする。
0007
本発明4の揚水併用型熱交換器設置工法は、本発明1ないし3の揚水併用型熱交換器を設置するための揚水併用型熱交換器設置工法であって、下端に掘削ビットを有し、掘削水を中空部を通して供給し、掘削土を外周から地表に排出する掘削ロッドで地中に掘削孔を形成する掘削工程と、前記掘削ロッドの前記中空部に前記揚水併用型熱交換器を挿入する挿入工程と、前記掘削ロッドを地表に引き上げる掘削ロッド引き上げ工程と、前記ケーシング管の外周と前記掘削孔との間を充填材で充填する充填工程とからなることを特徴とする。
発明の効果
0009
本発明の揚水併用型熱交換器は、中空部を通して地下水を揚水するケーシング管の外周に、地中と熱交換する熱媒体液を通す熱交換パイプを固定したので、揚水用の井戸を設置するための掘削工事と熱交換パイプを設置するための掘削工事を兼用することができるため、工事費が安価で、設置面積も狭くて済む。
図面の簡単な説明
0010
図1は、本発明の実施の形態の揚水併用型熱交換器の設置工法を示す全体図であり、掘削ロッドで地中を掘削する掘削工程を示す。
図2は、図1の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、掘削ロッドの中空部に揚水併用型熱交換器を挿入する挿入工程を示す。
図3は、図2のA−A断面図である。
図4は、図2の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、掘削ロッドを地表に引き上げる掘削ロッド引き上げ工程が完了した状態を示す。
図5は、図4の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、ケーシング管の外周と掘削孔の間を充填材で充填する充填工程を示す。
図6は、図5の後工程を示し、本発明の実施の形態の揚水併用型熱交換器を運転している状態を示す全体図である。
実施例
0011
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施の形態の揚水併用型熱交換器の設置工法を示す全体図であり、掘削ロッド2で地中15を掘削する掘削工程を示す。図1に示すように、移動式の掘削装置1の垂直なリーダ11には、掘削ヘッド12が垂直方向に移動可能に取り付けられている。掘削ヘッド12の下端に中空円筒状の掘削ロッド2の上端をねじ込んで固定する。掘削ロッド2の下端には、環状の掘削ビット(リングビット)21がボルト等で固定されている。掘削ヘッド12で掘削ロッド2に回転(矢印24)と縦横の振動(矢印25)を付与し、掘削ヘッド12がリーダ11に沿って垂直方向の下方に移動して、地中15を掘削する。掘削装置1のポンプ13で加圧した掘削水を掘削ロッド2の中空部22に供給(矢印14)する。掘削ロッド2の下端開口部から掘削水が噴出し、掘削土は掘削孔17と掘削ロッド2の外周で囲まれた環状間隙23から地表16に排出される。掘削ロッド2が所定の深さ(地下水が豊富な帯水層)に達するまで、掘削ロッド2を継ぎ足しながら掘削する。
0012
図2は図1の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、掘削ロッド2の中空部22に揚水併用型熱交換器を挿入する挿入工程を示し、図3は図2のA−A断面図である。本発明の実施の形態の揚水併用型熱交換器は、ケーシング管3と熱交換パイプ4で構成されている。即ち、掘削ロッド2が所定の深さに達したら、掘削ヘッド12の下端から掘削ロッド2の上端を取り外し、図2、図3に示すように、掘削ロッド2の上端開口部から掘削ロッド2の中空部22に中空円筒状のケーシング管3を挿入する。ケーシング管3の外径、正確には熱交換パイプ4をケーシング管3に配置したときの外径は、掘削ロッド2の内径より小さい。また、ケーシング管3の軸方向の長さは、掘削ロッド2の軸方向の長さとほぼ同一長さに設定されている。ケーシング管3の外周には、U字状の熱交換パイプ4が90度間隔に4対固定されている。中空でポリエチレン製の熱交換パイプ4は、ケーシング管3の軸線に平行に配置され、帯状の結束バンド5によってケーシング管3の外周に固定されている。熱交換パイプ4は、ケーシング管3の軸方向の複数の箇所で結束バンド5によって固定される。熱交換パイプ4は中空で閉ループ状に形成され、熱媒体液を通して循環し、地中と地上のヒートポンプ6(図6参照)との間で熱交換する。熱交換パイプ4をケーシング管3の外周に固定しているので、熱交換パイプ4を掘削ロッド2の中空部22に挿入する作業が容易になる。
0013
図4は、図2の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、掘削ロッド2を地表16に引き上げる掘削ロッド引き上げ工程が完了した状態を示す。即ち、掘削ヘッド12の下端に掘削ロッド2の上端をねじ込んで固定した後、掘削ヘッド12を垂直方向の上方に移動し、掘削ロッド2を地表16に引き上げると、図4に示すように、4対の熱交換パイプ4が掘削孔17に露出する。図5は図4の後工程を示す要部の拡大縦断面図であり、ケーシング管3の外周と掘削孔17との間を充填材18で充填する充填工程を示す。充填材18としては、熱伝導率が高いケイ砂が好ましい。
0014
図6は図5の後工程を示し、本発明の実施の形態の揚水併用型熱交換器を運転している状態を示す全体図である。図6に示すように、地上に設置されたヒートポンプ6に4対の熱交換パイプ4を接続する。ポンプ61で熱交換パイプ4の熱媒体液を循環し、ヒートポンプ6との間で熱交換を行い、冷暖房や給湯等に使用する。ケーシング管3の中空部31には、ケーシング管3の上端開口部から揚水パイプ32を挿入する。揚水パイプ32には、ケーシング管3の下端近傍にポンプ33とフィルタ34が設置されている。ケーシング管3の下端近傍に溜まった地下水をフィルタ34を通してポンプ33で揚水し、地上に設置された貯水タンク35に貯め、飲料水、工業用水、散水、農業用水等に使用する。地下水の揚水は、使用目的に応じて連続的または断続的に行うことができる。地下水をポンプ33で揚水するため、熱交換パイプ4周辺の充填材18中の地下水の流れが促進されるため、熱交換パイプ4の熱交換容量を増加させることが可能となる。また、揚水用の井戸を設置するための掘削工事を利用して熱交換パイプ4を設置するため、工事費が安価で、設置面積も狭くて済む。
0015
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はこの実施例に限定されることはない。例えば、前述した実施例では、熱交換パイプはケーシング管の軸線に平行に配置されているが、ケーシング管の外周に螺旋状に巻いて配置してもよい。また、前述した実施例では、地下水を濾過するフイルタとしてラインフィルタを使用しているが、ケーシング管の下端開口部を覆う網状のストレーナースクリーンを使用してもよい。その場合には、ストレーナースクリーンの近傍には充填材として砂利を使用し、ストレーナースクリーンの目詰まりを防止するのが望ましい。また、前述した実施例では、貯水タンクを使用しているが、貯水タンクは使用しなくてもよい。さらに、前述した実施例では、ケーシング管を地下水を揚水するために使用しているが、還元井として使用してもよい。