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課題
解決手段
概要
背景
高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する液々熱交換器を備える給湯装置などの熱源装置が知られている。この種の熱源装置において、第2流体として硬水が液々熱交換器内を流通すると、スケールが生じる。スケールは、水中のカルシウムやマグネシウムなどの成分が温度変化の影響を受けて結晶化することによって生成され、第2流路の内面に付着する。このようなスケールの堆積によって第2流路の流路詰まりが発生すると、液々熱交換器の熱効率が低下する。
従来、気液熱交換器を備える給湯装置では、第1流体である燃焼排気の排気温度と排気管の閉塞の程度とに基づいて、水道水が流れる第2流路内のスケールの堆積を判定する判定方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、燃焼排気の排気温度は、燃焼量によって異なる。上記のような給湯装置においては、要求される給湯量や給湯温度が変化すると、燃焼状態が変化するため、燃焼排気の排気温度が変化する。それゆえ、排気温度に基づく判定方法では、スケールの堆積を正確に判定することができないという問題がある。特に、低燃焼量の領域では、スケールの有無による排気温度の差が生じ難い。
第2流路の流量低下や圧力損失に基づき、第2流路の流路詰まりを判定することも考えられる。しかしながら、スケールは配管の表面に薄く形成されていく。それゆえ、スケールの堆積初期では、一般的な流量計や圧力計により流量や圧力の変化を正確に検知することが難しい。従って、大きな流量低下や圧力損失が確認されるまで、スケールの堆積を判定することができない。そして、流量低下や圧力損失が現れる程度までスケールが堆積している場合、既に熱交換器の伝熱性能は大きく低下しているため、適切な時期に熱源装置のメンテナンスが行われないという問題がある。
概要
高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する熱交換器を備える熱源装置において、第2流路の流路詰まりを正確に判定する。熱源装置の作動中、液々熱交換器3に流入する第1流体の第1流入温度と、液々熱交換器3から流出する第1流体の第1流出温度と、液々熱交換器3に流入する第2流体の第2流入温度と、液々熱交換器3から流出する第2流体の第2流出温度と、液々熱交換器3の第2流路32を流れる第2流体の第2流量とに基づき伝熱係数を演算し、演算された伝熱係数と、第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較して、第2流路32の流路詰まりを判定する。
目的
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明は、高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する熱交換器を備える熱源装置において、第2流路の流路詰まりを正確に判定することにある
効果
実績
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請求項1
高温側の第1流体が流れる第1流路及び低温側の第2流体が流れる第2流路を有する液々熱交換器と、前記液々熱交換器に流入する前記第1流体の第1流入温度を検出する第1流入温度検出部と、前記液々熱交換器から流出する前記第1流体の第1流出温度を検出する第1流出温度検出部と、前記液々熱交換器に流入する前記第2流体の第2流入温度を検出する第2流入温度検出部と、前記液々熱交換器から流出する前記第2流体の第2流出温度を検出する第2流出温度検出部と、前記第2流路を流れる前記第2流体の第2流量を検出する第2流量検出部と、制御部と、を備える熱源装置であって、前記制御部は、前記熱源装置の作動中、前記第1流入温度と、前記第1流出温度と、前記第2流入温度と、前記第2流出温度と、前記第2流量とに基づき伝熱係数を演算し、前記演算された伝熱係数と、前記第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較して、前記第2流路の流路詰まりを判定する制御構成を有する熱源装置。
請求項2
請求項1に記載の熱源装置において、前記制御部は、前記熱源装置の作動中、前記第1流路を流れる前記第1流体の前記第1流量が所定量となるように前記液々熱交換器に前記第1流体を流通させ、前記演算された伝熱係数と、前記所定量の第1流量ごとの前記第2流量に応じた前記伝熱係数閾値とを比較して、前記第2流路の前記流路詰まりを判定する制御構成を有する熱源装置。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する液々熱交換器を備える給湯装置などの熱源装置が知られている。この種の熱源装置において、第2流体として硬水が液々熱交換器内を流通すると、スケールが生じる。スケールは、水中のカルシウムやマグネシウムなどの成分が温度変化の影響を受けて結晶化することによって生成され、第2流路の内面に付着する。このようなスケールの堆積によって第2流路の流路詰まりが発生すると、液々熱交換器の熱効率が低下する。
0003
従来、気液熱交換器を備える給湯装置では、第1流体である燃焼排気の排気温度と排気管の閉塞の程度とに基づいて、水道水が流れる第2流路内のスケールの堆積を判定する判定方法が提案されている(特許文献1)。しかしながら、燃焼排気の排気温度は、燃焼量によって異なる。上記のような給湯装置においては、要求される給湯量や給湯温度が変化すると、燃焼状態が変化するため、燃焼排気の排気温度が変化する。それゆえ、排気温度に基づく判定方法では、スケールの堆積を正確に判定することができないという問題がある。特に、低燃焼量の領域では、スケールの有無による排気温度の差が生じ難い。
0004
第2流路の流量低下や圧力損失に基づき、第2流路の流路詰まりを判定することも考えられる。しかしながら、スケールは配管の表面に薄く形成されていく。それゆえ、スケールの堆積初期では、一般的な流量計や圧力計により流量や圧力の変化を正確に検知することが難しい。従って、大きな流量低下や圧力損失が確認されるまで、スケールの堆積を判定することができない。そして、流量低下や圧力損失が現れる程度までスケールが堆積している場合、既に熱交換器の伝熱性能は大きく低下しているため、適切な時期に熱源装置のメンテナンスが行われないという問題がある。
先行技術
0005
特開2017−142040号公報
発明が解決しようとする課題
0006
本発明は上記課題を解決するものであり、本発明は、高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する熱交換器を備える熱源装置において、第2流路の流路詰まりを正確に判定することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明によれば、
高温側の第1流体が流れる第1流路及び低温側の第2流体が流れる第2流路を有する液々熱交換器と、
前記液々熱交換器に流入する前記第1流体の第1流入温度を検出する第1流入温度検出部と、
前記液々熱交換器から流出する前記第1流体の第1流出温度を検出する第1流出温度検出部と、
前記液々熱交換器に流入する前記第2流体の第2流入温度を検出する第2流入温度検出部と、
前記液々熱交換器から流出する前記第2流体の第2流出温度を検出する第2流出温度検出部と、
前記第2流路を流れる前記第2流体の第2流量を検出する第2流量検出部と、
制御部と、を備える熱源装置であって、
前記制御部は、前記熱源装置の作動中、前記第1流入温度と、前記第1流出温度と、前記第2流入温度と、前記第2流出温度と、前記第2流量とに基づき伝熱係数を演算し、
前記演算された伝熱係数と、前記第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較して、前記第2流路の流路詰まりを判定する制御構成を有する熱源装置が提供される。
0008
液々熱交換器の第2流路内にスケールが堆積すると、熱交換性能が低下して、伝熱係数が低下してくる。この2流体間で熱交換を行うときの液々熱交換器の伝熱係数は、第1流入温度と、第1流出温度と、第2流入温度と、第2流出温度と、第2流量とから求めることができる。一方、液々熱交換器の伝熱係数は、第2流体の第2流入温度及び第2流出温度が異なっていても、第2流路を流れる第2流量に依存する。また、第2流路の流路詰まりが発生した場合でも、上記の第2流量と伝熱係数との相関関係は変わらず、第2流量に応じた伝熱係数は、流路詰まりが同程度であれば、略同一となる。従って、熱源装置の作動中の演算された伝熱係数と、第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較することにより、第2流路の流路詰まりを正確に判定することができる。
0009
好ましくは、上記熱源装置において、
前記制御部は、前記熱源装置の作動中、前記第1流路を流れる前記第1流体の前記第1流量が所定量となるように前記液々熱交換器に前記第1流体を流通させ、
前記演算された伝熱係数と、前記所定量の第1流量ごとの前記第2流量に応じた前記伝熱係数閾値とを比較して、前記第2流路の前記流路詰まりを判定する制御構成を有する。
0010
上記熱源装置によれば、演算された伝熱係数と、第1流量ごとの第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較することにより、異なる第1流量で第1流体が液々熱交換器を流通する場合でも、第2流路の流路詰まりを正確に判定することができる。
0011
好ましくは、上記熱源装置は、さらに、
前記第2流路に接続された第2流入流路と、
前記第2流路に接続された第2流出流路と、
前記液々熱交換器を介さずに前記第2流入流路と前記第2流出流路とを接続するバイパス流路と、を備える。
0012
上記熱源装置によれば、第2流入流路と第2流出流路とを接続するバイパス流路が設けられている場合でも、第2流路の流路詰まりを正確に判定することができる。
発明の効果
0013
以上のように、本発明によれば、高温側の第1流体が流れる第1流路と低温側の第2流体が流れる第2流路とを有する液々熱交換器を備える熱源装置において、正確に第2流路の流路詰まりを判定することができる。これにより、適切な時期に熱源装置をメンテナンスすることができる。
図面の簡単な説明
0014
図1は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置を示す模式図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置の第2流量と伝熱係数との相関を示すグラフである。
図3は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置の燃焼量と排気温度との相関を示すグラフである。
図4は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置の燃焼量と伝熱係数との相関を示すグラフである。
図5は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
図6は、本発明の実施の形態2に係る熱源装置を示す模式図である。
図7は、本発明の実施の形態2に係る熱源装置の制御動作の一例を示すフローチャートである。
実施例
0015
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態1の係る熱源装置を提供する。図1は、本発明の実施の形態1に係る熱源装置を示す模式図である。
0016
本実施の形態の熱源装置は、暖房端末90(例えば、床暖房機)が途中に接続された第1循環流路1;第1循環流路1の途中に接続されて燃焼室5内に配設された気液熱交換器52;気液熱交換器52を加熱するバーナ51;ガス供給路6から供給される空気と燃料ガスとの混合気をバーナ51に供給する燃焼ファン58;ガス供給路6の開度を変更して、燃料ガスの供給流量を変更するガス可変弁61;第1循環流路1内に熱媒である第1流体(例えば、不凍液)を循環させる循環ポンプ53;気液熱交換器52に流入する第1流体の戻り側温度(第1流出温度)を検出する戻り側温度センサ54(第1流出温度検出部);気液熱交換器52から流出する第1流体の往き側温度(第1流入温度)を検出する往き側温度センサ55(第1流入温度検出部);高温側の第1流体が流れる第1流路31と、低温側の第2流体(例えば、水道水)が流れる第2流路32とを有し、第1流体と第2流体との間で熱交換を行って、第2流体を加熱するプレート式の液々熱交換器3;第1流路31の上流端と往き側の第1循環流路1aとを接続するとともに、第1流路31の下流端と戻り側の第1循環流路1bとを接続して、往き側と戻り側の第1循環流路1a,1bを接続する第1バイパス流路11;第2流路32の上流端と接続された第2流入流路21;第2流路32の下流端と接続された第2流出流路22;液々熱交換器3に流入する第2流体の第2流量を検出する第2流量センサ23(第2流量検出部);液々熱交換器3に流入する第2流体の第2流量を変更する流量可変弁24;液々熱交換器3に流入する第2流体の第2流入温度を検出する第2流入温度センサ25(第2流入温度検出部);及び、液々熱交換器3から流出する第2流体の第2流出温度を検出する第2流出温度センサ26(第2流出温度検出部)を備える。
0017
また、戻り側の第1循環流路1bと第1バイパス流路11との接続部には、第1バイパス流路11を経由して液々熱交換器3に流通する第1流体の第1流量と、暖房端末90と第1バイパス流路11との間の第1循環流路1を経由して気液熱交換器52に流通する第1流体の循環流量との比率を変更する切替弁40が設けられている。
0018
また、熱源装置は、熱源装置の全体的な作動を制御するコントローラ7を備える。コントローラ7は、図示しないCPU、ROM、RAM、各種インターフェース回路等を備えた電子回路ユニットからなる。コントローラ7は、メモリ71に保持された熱源装置の制御用プログラムをCPUで実行することにより、制御部70として機能する。
0019
コントローラ7は、既述した戻り側温度センサ54、往き側温度センサ55、第2流量センサ23、流量可変弁24、第2流入温度センサ25、第2流出温度センサ26、切替弁40、循環ポンプ53、燃焼ファン58、ガス可変弁61や、図示しない点火プラグやフレームロッドと電気配線を介して接続されている。コントローラ7には、各種センサから出力される検出信号が入力される。また、コントローラ7から出力される制御信号により、バーナ51、ガス可変弁61、切替弁40、循環ポンプ53、燃焼ファン58、流量可変弁24の作動が制御される。
0020
また、コントローラ7には、熱源装置を遠隔操作するためのリモコンRが電気配線を介して接続されている。使用者によるリモコンRの操作に応じて、操作信号(例えば、給湯温度等の給湯運転条件の設定や暖房運転の開始を指示する信号)が、コントローラ7に入力される。また、コントローラ7から出力される制御信号により、リモコンRの表示部の画面やスピーカからの音出力が制御される。
0021
図示しないが、コントローラ7の制御部70は、機能構成として、燃焼制御部と、伝熱係数演算部と、流路詰まり判定部と、報知部とを備える。燃焼制御部は、バーナ51、循環ポンプ53や、燃焼ファン58などの作動を制御して、給湯運転や暖房運転を実行する。伝熱係数演算部は、給湯運転の実行中、第1流体の戻り側温度(第1流出温度)、第1流体の往き側温度(第1流入温度)、第2流体の第2流入温度、第2流体の第2流出温度、及び第2流体の第2流量に基づいて伝熱係数を算出する。流路詰まり判定部は、演算された伝熱係数と、予め設定された第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較して、第2流路32の流路詰まりを判定する。報知部は、演算された伝熱係数が伝熱係数閾値未満になると、リモコンRの表示部やスピーカから液々熱交換器3の清掃などのメンテナンスの必要性を報知させる。なお、コントローラ7のメモリ71には、第2流路32の流路詰まりを判定するための、後述する第2流量に応じた伝熱係数閾値のデータが格納されている。
0022
次に、伝熱係数を演算する演算処理の一例を説明する。
2流体間で熱交換を行う際の液々熱交換器3全体の通過熱量Qは、熱通過率kと伝熱面積Aに基づき、以下の式(1)から算出できることが知られている。
0023
Q=k・ΔTm・A (1)
k:熱通過率[W/K・m2],ΔTm:平均温度差[K],A:伝熱面積[m2]
0025
Hx=Q/ΔTm (2)
Hx:伝熱係数[W/K]
0026
ここで、液々熱交換器3全体の平均温度差ΔTmは、以下の式(3)から算出される。
0027
ΔTm=(ΔT1+ΔT2)/2 (3)
0029
ΔT1=T(1)in−T(2)out (4)
ΔT2=T(1)out−T(2)in (5)
T(1)in:第1流入温度[℃],T(1)out:第1流出温度[℃]
T(2)in:第2流入温度[℃],T(2)out:第2流出温度[℃]
0030
従って、平均温度差ΔTmは、以下の式(6)から算出される。
0031
ΔTm={(T(1)in+T(1)out)/2}−{(T(2)in+T(2)out)/2} (6)
0032
一方、第2流量の第2流体が液々熱交換器3内を流れるときの通過熱量Qは、第2流出温度T(2)outと第2流入温度T(2)inとの温度差に基づき、以下の式(7)から算出できる。
0033
Q=(T(2)out−T(2)in)・W(2) (7)
W(2):第2流量[L/min]
0034
従って、上記式(2)、(6)、及び(7)から、伝熱係数Hxは、以下の式(8)により算出される。
0035
Hx=[(T(2)out−T(2)in)・W(2)]/[{(T(1)in+T(1)out)/2}−{(T(2)in+T(2)out)/2}]
={2・W(2)・(T(2)out−T(2)in)}/{(T(1)in+T(1)out)−(T(2)in+T(2)out)} (8)
0036
図2は、上記演算式を用いて、第2流路32の流路詰まりによる伝熱係数の変化を測定した測定結果である。図2において、実線(A1)〜(D1)は、第2流路32の流路詰まりのない初期の液々熱交換器3で、第2流量を変更したときの第2流入温度及び第2流出温度の相違による伝熱係数の変化を示す。また、破線(A2)〜(D2)は、第2流路32が部分的に閉塞された液々熱交換器3(閉塞率:40%)で、第2流量を変更したときの第2流入温度及び第2流出温度の相違による伝熱係数の変化を示す。また、(A1)及び(A2)は、第2流入温度が25℃、第2流出温度が60℃であるときの測定結果を、(B1)及び(B2)は、第2流入温度が25℃、第2流出温度が40℃であるときの測定結果を、(C1)及び(C2)は、第2流入温度が5℃、第2流出温度が60℃であるときの測定結果を、(D1)及び(D2)は、第2流入温度が5℃、第2流出温度が40℃であるときの測定結果を示す。なお、この測定では、第1流路31を流れる第1流体の第1流量が20L/minの所定量となるように、循環ポンプ53及び切替弁40が制御されている。
0037
図2に示すように、第2流路32の流路詰まりのない液々熱交換器3において、第2流入温度及び第2流出温度が異なる場合でも、第2流量に応じた伝熱係数は略同一であることが分かる((A1)〜(D1))。すなわち、液々熱交換器3内で高温側の第1流体と低温側の第2流体との間で熱交換させて、第2流入温度の第2流体を第2流出温度まで上昇させるときの伝熱係数は、第2流入温度及び第2流出温度の条件が異なっても、第2流量に依存する。
0038
また、図2に示すように、第2流路32に流路詰まりがあると、伝熱係数は低下する。しかしながら、第2流路32の流路詰まりがある液々熱交換器3においても、第2流量に応じた伝熱係数は略同一であることが分かる((A2)〜(D2))。すなわち、第2流入温度及び第2流出温度の条件が異なっても、第2流量と伝熱係数との相関関係は変わらず、第2流量に応じた伝熱係数は、流路詰まりが同程度であれば、略同一となる。なお、図示しないが、上記第2流量と伝熱係数とは、第1流量が一定量であれば、第1流体が異なる第1流量で第1流路31を流れているときでも同様の相関関係を有する。
0039
従って、所定以上、第2流路32の流路詰まりのある液々熱交換器3の第2流量に応じた伝熱係数を予め測定し、その伝熱係数を伝熱係数閾値として利用すれば、熱源装置の作動時の運転条件が異なっても、第2流路32の流路詰まりを正確に判定することができる。そして、上記のように第2流量に応じた伝熱係数閾値を設定することにより、第2流入温度、第2流出温度、及び第2流量ごとに多数の閾値を設けることなく、第2流路32の流路詰まりを判定することができる。また、伝熱係数閾値の設定にあたっても、1つの第2流入温度及び第2流出温度の条件における第2流量に応じた伝熱係数を測定することにより、伝熱係数閾値を設定することができる。また、第2流量に応じた伝熱係数を所定量の第1流量ごとに測定すれば、熱源装置の作動時の第1流量の条件が異なるときでも、第2流路32の流路詰まりを正確に判定することができる。また、所定量の第1流量ごとの第2流量に応じた伝熱係数を測定すれば、第2流体が高熱効率で加熱されるよう第1流量を変更することができる。
0040
なお、図3は、図2と同じ測定条件で熱源装置を作動させたときのバーナ51の燃焼量と燃焼排気の排気温度との関係を示し、図4は、図2と同じ測定条件で熱源装置を作動させたときのバーナ51の燃焼量と伝熱係数との関係を示す。図3及び図4に示すように、第2流路32の流路詰まりが同一であっても、第2流入温度及び第2流出温度が異なれば、燃焼量に応じた排気温度も、燃焼量に応じた伝熱係数も異なってくることが分かる。従って、燃焼量に応じた排気温度閾値や、燃焼量に応じた伝熱係数閾値が流路詰まりの判定基準として設定されると、第2流入温度及び第2流出温度が異なる条件下では、第2流路32の流路詰まりが生じていないにも関わらず、流路詰まりが発生していると誤判定されたり、第2流路32の流路詰まりが生じているにも関わらず、流路詰まりが発生していないと誤判定されたりする。
0041
図5は、本実施の形態の熱源装置において、第2流路32の流路詰まりを判定する制御動作の一例を示すフローチャートである。以下では、暖房端末90を作動させる暖房運転が実行されず、気液熱交換器52で加熱された第1流体を第1バイパス流路11に循環させて第2流路32を流れる第2流体を加熱する給湯運転のみが実行されるときの第2流路32の流路詰まりの判定について説明する。
0042
熱源装置の電源オン状態で、使用者が第2流体の供給端末(例えば、カランやシャワー)の使用を開始し、第2流量センサ23で所定以上の第2流量が検出されると、制御部70は燃焼運転を開始させる(ステップS1)。図示しないが、この燃焼運転では、暖房端末90側の第1循環流路1に第1流体が流れないように、切替弁40の開弁方向が切り替えられるとともに、第1流体が所定量の第1流量で第1循環流路1を循環するように、循環ポンプ53が所定の回転数で駆動される。そして、制御部70がバーナ51を作動させると、液々熱交換器3の第2流路32を流れる第2流体が第1流路31を流れる第1流体との熱交換により加熱される。
0043
上記のように液々熱交換器3で第2流体の加熱が開始されると、第2流出温度がリモコンRで設定された給湯温度となるようにバーナ51の燃焼量を調整するため、制御部70は、ガス可変弁61の開度及び燃焼ファン58の回転数を制御する。
0044
第2流出温度が給湯温度に上昇すると、制御部70は、往き側温度(第1流入温度)、戻り側温度(第1流出温度)、第2流入温度、第2流出温度、及び第2流量に基づき、給湯運転中の伝熱係数Hxを演算する(ステップS2)。
0045
次いで、制御部70は、演算された伝熱係数Hxが、メモリ71に記憶されている現在の第2流量に応じた伝熱係数閾値Hxtより低くなっているかどうかから第2流路32の流路詰まりを判定する(ステップS3)。このとき、演算された伝熱係数Hxが伝熱係数閾値Hxt未満であれば、第2流路32に流路詰まりが発生している可能性がある。そのため、制御部70は、流路詰まり有りをメモリに記憶させる。そして、給湯運転が終了した後に、リモコンRの表示部やスピーカから液々熱交換器3のメンテナンスの必要性を報知させる(ステップS4〜S6)。これにより、適切な時期に液々熱交換器3のメンテナンスを行うことができる。なお、流路詰まりの報知は、給湯運転中に行ってもよい。また、演算された伝熱係数Hxが伝熱係数閾値Hxtよりも所定以上、低下して、第2流路32の流路詰まりが進行している場合、制御部70は給湯運転を中断させてもよい。
0046
以上のように、本実施の形態によれば、第2流入温度及び第2流出温度や第2流量の運転条件が変化しても、第2流路32の流路詰まりを正確に判定することができる。これにより、適切な時期に熱源装置をメンテナンスすることができる。
0047
(実施の形態2)
本実施の形態の熱源装置は、第2流入流路21と第2流出流路22とを接続する第2バイパス流路29を有する以外は、実施の形態1の熱源装置と同一の構成を有する。このため、同一の構成については、同一の引用番号を付与して説明を省略し、異なる構成を説明する。
0048
図6に示すように、本実施の形態の熱源装置は、液々熱交換器3を介さずに第2流入流路21から第2流出流路22に第2流体を流通させる第2バイパス流路29を有する。このような第2バイパス流路29を設けることにより、液々熱交換器3から流出する第2流体の第2流出温度が変化しても、第2流体の供給端末への供給温度を一定に維持することができる。
0049
第2バイパス流路29の上流端の接続部よりも上流側の第2流入流路21には、第2流入流路21を流れる第2流体の全流量を検出する全流量センサ30が設けられている。また、第2バイパス流路29の下流端の接続部よりも上流側の第2流出流路22には、既述した液々熱交換器3から流出する第2流体の第2流出温度を検出する第2流出温度センサ26が設けられている。また、第2バイパス流路29の下流端の接続部よりも下流側の第2流出流路22には、液々熱交換器3から流出する加熱された第2流体と、液々熱交換器3を介さずに第2バイパス流路29を流れる非加熱の第2流体とが混合された後の第2流体の第2供給温度を検出する第2供給温度センサ28(第2供給温度検出部)が設けられている。また、第2流入流路21と第2バイパス流路29との接続部には、第2バイパス流路29を流れる第2流体のバイパス流量と、第2流路32を流れる第2流体の第2流量との比率を変更する流量サーボ80が設けられている。
0050
本実施の形態において、コントローラ7aには、実施の形態1における各種センサや制御弁以外に、上記した全流量センサ30、第2供給温度センサ28や流量サーボ80が電気配線を介して接続されている。また、コントローラ7aには、全流量センサ30や第2供給温度センサ28から出力される検出信号が入力される。また、コントローラ7aから出力される制御信号により、流量サーボ80の作動が制御される。
0051
図示しないが、コントローラ7aの制御部70aは、機能構成として、実施の形態1と同様の燃焼制御部、伝熱係数演算部、流路詰まり判定部、及び報知部以外に、バイパス比演算部を備えている。バイパス比演算部は、給湯運転の実行中、第2流入温度、第2流出温度、及び第2供給温度に基づき、バイパス比(バイパス流量/第2流量)を演算する。また、伝熱係数演算部は、給湯運転の実行中、第2流体の全流量やバイパス比を用いて伝熱係数を算出する。なお、コントローラ7aのメモリ71aには、実施の形態1と同一の第2流量に応じた伝熱係数閾値のデータが格納されている。
0052
次に、バイパス比及び伝熱係数を演算する演算処理の一例を説明する。
本実施の形態では、全流量センサ30は、第2バイパス流路29の接続部よりも上流側の第2流入流路21に配設されているため、第2バイパス流路29の接続部よりも下流側の第2流路32を流れる第2流体の第2流量を直接、検出することができない。そのため、以下の演算式が利用される。
0053
まず、全流量センサ30で検出される第2流体の全流量Wは、液々熱交換器3の第2流路32を流れる第2流体の第2流量W(2)と、第2バイパス流路29を流れる第2流体のバイパス流量W(B)との合計であるから、以下の式(9)の関係が成立する。
0054
W=W(2)+W(B) (9)
W:全流量[L/min],W(2):第2流量[L/min],W(B):バイパス流量[L/min]
0055
また、液々熱交換器3から第2流量W(2)で流出する第2流出温度T(2)outの第2流体と、第2バイパス流路29をバイパス流量W(B)で流れる第2流入温度T(2)inの第2流体とが混合されて、第2バイパス流路29の下流端の接続部よりも下流側の第2流出流路22を全流量Wで流れる第2供給温度T(2)supの第2流体となるから、以下の式(10)の関係が成立する。
0056
T(2)sup・W=T(2)out・W(2)+T(2)in・W(B) (10)
T(2)sup:第2供給温度[℃],T(2)in:第2流入温度[℃],T(2)out:第2流出温度[℃]
0057
従って、式(9)及び(10)を利用して、バイパス比(BP:W(B)/W(2))は、以下の式(11)から求めることができる。
0058
BP=(T(2)out−T(2)sup)/(T(2)sup−T(2)in) (11)
0059
また、式(9)から、第2流量W(2)は、全流量W及びバイパス比BPと以下の式(12)の関係にある。
0060
W(2)=W/(1+BP) (12)
0061
従って、本実施の形態では、第2流路32を流れる第2流体の第2流量を直接、検出する第2流量センサは設けられていないが、全流量センサ30と、第2流入温度センサ25と、第2流出温度センサ26と、第2供給温度センサ28とを設けることにより、第2流体が第2流量で第2流路32を流れるときの伝熱係数Hxを算出することができる。このため、本実施の形態では、これらのセンサと、制御部70aの第2流量を演算する機能部とが第2流量検出部として機能する。
0062
そして、上記式(12)と既述した式(8)とから、本実施の形態における伝熱係数Hxは、以下の式(13)により算出される。
0063
Hx=[2・W・{1/(1+BP)}・(T(2)out−T(2)in)]/{(T(1)in+T(1)out)−(T(2)in+T(2)out)} (13)
0064
上記式(13)において、第2バイパス流路29に第2流体が流れないとき、BPは0になるため、式(13)は式(8)と同一となる。
0065
従って、本実施の形態でも、第2流体が第2流量で第2流路32を流れるときの伝熱係数Hxと、既述した第2流量に応じた伝熱係数閾値Hxtとを比較することにより、第2流路32の流路詰まりを判定することができる。
0066
図7は、本実施の形態の熱源装置において、第2流路32の流路詰まりを判定する制御動作の一例を示すフローチャートである。実施の形態1と同様に、使用者が第2流体の供給端末の使用を開始すると、制御部70aは燃焼運転を開始させる(ステップS21)。燃焼運転が開始されると、流量サーボ80の開度が初期開度に調整される。そして、実施の形態1と同様に、制御部70aは、第2供給温度がリモコンRで設定された給湯温度となるように、ガス可変弁61の開度、燃焼ファン58の回転数、及び流量サーボ80の開度を制御する。
0067
第2供給温度が給湯温度に上昇すると、制御部70aは、上記演算式によりバイパス比BP及び給湯運転中の伝熱係数Hxを算出する(ステップS22)。流路詰まり判定以後のステップ(ステップS23〜S26)は、実施の形態1のそれらと同様である。
0068
以上のように、液々熱交換器3を介さずに第2流入流路21と第2流出流路22とを接続する第2バイパス流路29を有する熱源装置においても、実施の形態1と同様に、熱源装置の作動中の伝熱係数と、第2流量に応じた伝熱係数閾値とを比較することにより、第2流路32の流路詰まりを正確に判定することができる。また、第2バイパス流路29を設けることにより、バーナ51がオン・オフ制御されて、第2流出温度が頻繁に変化する場合でも、第2供給温度を一定に維持することができる。
0069
また、上記実施の形態では、第2流量を直接、検出する第2流量センサは設けられていないが、全流量センサ30、第2流入温度センサ25、第2流出温度センサ26、及び第2供給温度センサ28からの出力を利用することにより、第2流量を検出することができる。従って、実施の形態1の熱源装置に高コストの流量センサを追加することなく、熱源装置を構成することができる。
0070
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、給湯運転のみが実行されているときに、第2流路の流路詰まりが判定されている。しかしながら、給湯運転と暖房運転とが同時に実行される場合でも、上記と同様に、第2流路の流路詰まりを判定することができる。
(2)上記実施の形態2では、第2流量を直接、検出する第2流量検出部を用いることなく、伝熱係数が算出されている。しかしながら、第2流量を直接、検出する第2流量検出部を設けて、伝熱係数が算出されてもよい。また、第2流量検出部は、第2流入流路に設けられてもよいし、第2流出流路に設けられてもよい。
0071
3 液々熱交換器
23 第2流量センサ(第2流量検出部)
25 第2流入温度センサ(第2流入温度検出部)
26 第2流出温度センサ(第2流出温度検出部)
31 第1流路
32 第2流路
54 第1流出温度センサ(第1流出温度検出部)
55 第1流入温度センサ(第1流入温度検出部)
70 制御部