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技術 Vリブドベルトとその製造方法、およびゴム組成物

出願人 三ツ星ベルト株式会社
発明者 光冨学勘場裕司日根野順文武市博樹
出願日 2020年3月24日 (10ヶ月経過) 出願番号 2020-053084
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-176718
状態 特許登録済
技術分野 プラスチック等のその他の成形、複合成形(変更なし) ベルト・チェーン
主要キーワード 非吸水性繊維 字状リブ 押圧ユニット 短繊維量 リブ表面 カバー布 中空筒 ゴム組成物全量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
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図面 (5)

課題

簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できるVリブドベルトを提供する。

解決手段

ゴム成分および短繊維を含むゴム組成物加硫物で形成された伸張ゴム層4と心線3とを備えたVリブドベルトにおいて、前記短繊維の割合を、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部に調整し、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度を70〜130に調整する。前記加硫物の硬度(JIS−A)が80〜90度であってもよい。前記短繊維の配向方向はベルト幅方向であってもよい。前記短繊維の平均繊維長は1〜10mmであってもよい。前記心線を形成する繊維の引張弾性率は50GPa以上であってもよい。前記心線と前記加硫物とが接触していてもよい。前記心線のベルト厚み方向のズレ量は0.08mm以下であってもよい。

概要

背景

自動車補機駆動用ベルトとして、ベルト周方向に略平行に複数のV字状リブ部が設けられ、リブ部の表面を編布などの布帛被覆したVリブドベルトが知られている。リブ表面を布帛で被覆したVリブドベルトは、通常、モールド型工法モールデッド製法)により製造される。モールド型付工法では、伸張ゴム心線圧縮ゴム、布帛などを積層した成形体外金型に向けて押し付ける必要がある。この際、成形体を押し付ける圧力によって、伸張ゴムが心線の隙間を通って圧縮ゴム側へ流れ出ようとする力が働く。そのため、心線が圧縮ゴム側に向かって押し出されたり、逆に心線が伸張ゴムに食い込んだりする現象が起こりやすい。その結果、ベルト厚み方向における心線の位置が不揃いとなってしまう。心線の位置が不揃いになるとベルトの耐久性が低下するため、これを改善する方法がいくつか提案されている。

例えば、特開2018−9588号公報(特許文献1)には、背面ゴム中間帆布接着ゴムアラミド心線本体ゴム表面帆布からなり、本体ゴムにベルト長手方向に延びる複数のV形リブが形成されているVリブドベルトであって、前記アラミド心線よりもベルト背面側に設けられる前記中間帆布が、ベルト長手方向に延びる経糸ベルト幅方向に延びる緯糸から成る織布によって構成され、前記中間帆布の前記緯糸の打込み密度が20本/cm以上であることを特徴とするVリブドベルトが開示されている。そして、中間帆布の緯糸の打込み密度および伸び率の小さい比較例では背面ゴムが心線の間に入り込み、接着ゴムがリブ側にはみ出しているのに対し、中間帆布の緯糸の打込み密度および伸び率の大きい実施例では背面ゴムが中間帆布よりもベルト背面側に位置しており、アラミド心線とベルト背面との間に所定厚さの背面ゴムが形成されたVリブドベルトが得られることが記載されている。また、背面ゴムは、例えば、EPDMゴム、EPMゴム等であり、接着ゴムは、例えば、EPDMゴム、CRゴム等であることが記載されている。

また、特開2019−7618号公報(特許文献2)には、4cN/dtex荷重時における中間伸度が0.8%以上であり、かつ引張弾性率が50〜100GPaである高伸度アラミド繊維と、この高伸度アラミド繊維よりも引張弾性率が低い低モジュラス繊維とを混撚りした撚りコードを含むVリブドベルトが開示されている。そして、発明の効果として、モールド型付工法での製造時に心線のピッチ(心線のベルト幅方向の並び)の乱れや損傷を抑制でき、かつVリブドベルトを動的張力の高い用途に使用しても耐発音性や耐久性も維持できることが記載されている。伸張層は、カバー帆布またはゴム組成物で構成されていることが記載され、実施例では、EPDM100質量部に対して繊維長約0.5mmのナイロン短繊維15質量部を含む伸張層が調製されている。

概要

簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できるVリブドベルトを提供する。ゴム成分および短繊維を含むゴム組成物の加硫物で形成された伸張ゴム層4と心線3とを備えたVリブドベルトにおいて、前記短繊維の割合を、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部に調整し、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度を70〜130に調整する。前記加硫物の硬度(JIS−A)が80〜90度であってもよい。前記短繊維の配向方向はベルト幅方向であってもよい。前記短繊維の平均繊維長は1〜10mmであってもよい。前記心線を形成する繊維の引張弾性率は50GPa以上であってもよい。前記心線と前記加硫物とが接触していてもよい。前記心線のベルト厚み方向のズレ量は0.08mm以下であってもよい。

目的

本発明の目的は、簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できるVリブドベルトとその製造方法、およびゴム組成物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ゴム成分および短繊維を含むゴム組成物加硫物で形成された伸張ゴム層心線とを備えたVリブドベルトであって、前記ゴム組成物の前記短繊維の割合が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部であり、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130であるVリブドベルト。

請求項2

前記加硫物の硬度(JIS−A)が80〜90度である、請求項1記載のVリブドベルト。

請求項3

前記短繊維の配向方向がベルト幅方向である、請求項1または2記載のVリブドベルト。

請求項4

前記短繊維の平均繊維長が1〜10mmである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のVリブドベルト。

請求項5

前記心線を形成する繊維の引張弾性率が50GPa以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のVリブドベルト。

請求項6

前記心線と前記加硫物とが接触している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のVリブドベルト。

請求項7

前記心線のベルト厚み方向ズレ量が0.08mm以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のVリブドベルト。

請求項8

前記ゴム組成物のシートと心線とを含む積層体金型押し付ける工程を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のVリブドベルトの製造方法。

請求項9

Vリブドベルトの伸張ゴム層を形成するための未加硫ゴム組成物であって、ゴム成分および短繊維を含み、かつ前記短繊維の割合が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部であり、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130であるゴム組成物。

技術分野

0001

本発明は、心線ベルト厚み方向の位置が安定したVリブドベルトとその製造方法、およびゴム組成物に関する。

背景技術

0002

自動車補機駆動用ベルトとして、ベルト周方向に略平行に複数のV字状リブ部が設けられ、リブ部の表面を編布などの布帛被覆したVリブドベルトが知られている。リブ表面を布帛で被覆したVリブドベルトは、通常、モールド型工法モールデッド製法)により製造される。モールド型付工法では、伸張ゴム、心線、圧縮ゴム、布帛などを積層した成形体外金型に向けて押し付ける必要がある。この際、成形体を押し付ける圧力によって、伸張ゴムが心線の隙間を通って圧縮ゴム側へ流れ出ようとする力が働く。そのため、心線が圧縮ゴム側に向かって押し出されたり、逆に心線が伸張ゴムに食い込んだりする現象が起こりやすい。その結果、ベルト厚み方向における心線の位置が不揃いとなってしまう。心線の位置が不揃いになるとベルトの耐久性が低下するため、これを改善する方法がいくつか提案されている。

0003

例えば、特開2018−9588号公報(特許文献1)には、背面ゴム中間帆布接着ゴムアラミド心線本体ゴム表面帆布からなり、本体ゴムにベルト長手方向に延びる複数のV形リブが形成されているVリブドベルトであって、前記アラミド心線よりもベルト背面側に設けられる前記中間帆布が、ベルト長手方向に延びる経糸ベルト幅方向に延びる緯糸から成る織布によって構成され、前記中間帆布の前記緯糸の打込み密度が20本/cm以上であることを特徴とするVリブドベルトが開示されている。そして、中間帆布の緯糸の打込み密度および伸び率の小さい比較例では背面ゴムが心線の間に入り込み、接着ゴムがリブ側にはみ出しているのに対し、中間帆布の緯糸の打込み密度および伸び率の大きい実施例では背面ゴムが中間帆布よりもベルト背面側に位置しており、アラミド心線とベルト背面との間に所定厚さの背面ゴムが形成されたVリブドベルトが得られることが記載されている。また、背面ゴムは、例えば、EPDMゴム、EPMゴム等であり、接着ゴムは、例えば、EPDMゴム、CRゴム等であることが記載されている。

0004

また、特開2019−7618号公報(特許文献2)には、4cN/dtex荷重時における中間伸度が0.8%以上であり、かつ引張弾性率が50〜100GPaである高伸度アラミド繊維と、この高伸度アラミド繊維よりも引張弾性率が低い低モジュラス繊維とを混撚りした撚りコードを含むVリブドベルトが開示されている。そして、発明の効果として、モールド型付工法での製造時に心線のピッチ(心線のベルト幅方向の並び)の乱れや損傷を抑制でき、かつVリブドベルトを動的張力の高い用途に使用しても耐発音性や耐久性も維持できることが記載されている。伸張層は、カバー帆布またはゴム組成物で構成されていることが記載され、実施例では、EPDM100質量部に対して繊維長約0.5mmのナイロン短繊維15質量部を含む伸張層が調製されている。

先行技術

0005

特開2018−9588号公報(請求項1、段落[0011][0017]、実施例)
特開2019−7618号公報(請求項1、段落[0010]、実施例)

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、特許文献1に記載の構成は、背面ゴム(伸張ゴム)が心線の間に入り込むのを防ぐ効果が得られているものの、心線の並びについてはベルト背面から心線の中心ラインまでの高さを評価するに留まり、個々の心線の位置のばらつきについては検討されていない。また、中間帆布が必須の構成であるために製造コストが上昇するとともに、ベルトの屈曲性を低下させる虞があった。

0007

また、特許文献2では心線のベルト幅方向の並びについて記載されているが、ベルト厚み方向の並びについては検討されていない。また、低モジュラス繊維を含むことで心線が伸びやすくなるために伝動容量が低下する側面があり、特に高い伝動容量が求められる場面には採用が難しい構成であった。

0008

従って、本発明の目的は、簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できるVリブドベルトとその製造方法、およびゴム組成物を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、Vリブドベルトの伸張ゴム層を、ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部の短繊維を含み、125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130であるゴム組成物の加硫物で形成することにより、簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できることを見出し、本発明を完成した。

0010

すなわち、本発明の摩擦伝動ベルトは、ゴム成分および短繊維を含むゴム組成物の加硫物で形成された伸張ゴム層と心線とを備えたVリブドベルトであって、前記ゴム組成物の前記短繊維の割合が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部であり、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130である。前記加硫物の硬度(JIS−A)が80〜90度であってもよい。前記短繊維の配向方向はベルト幅方向であってもよい。前記短繊維の平均繊維長は1〜10mmであってもよい。前記心線を形成する繊維の引張弾性率は50GPa以上であってもよい。前記心線と前記加硫物とは接触(または密着)していてもよい。前記心線のベルト厚み方向のズレ量は0.08mm以下であってもよい。

0011

本発明には、前記ゴム組成物のシートと心線とを含む積層体金型に押し付ける工程を含む、前記Vリブドベルトの製造方法も含まれる。

0012

本発明には、Vリブドベルトの伸張ゴム層を形成するための未加硫ゴム組成物であって、ゴム成分および短繊維を含み、かつ前記短繊維の割合が、前記ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部であり、かつ前記ゴム組成物の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130であるゴム組成物も含まれる。

0013

なお、本願において、ゴム組成物のムーニースコーチ最低粘度を「Vm」で示す場合があり、特に言及しない限り、ムーニースコーチ最低粘度「Vm」は、温度125℃での値を示す。また、アクリル系単量体メタクリル系単量体とを(メタ)アクリル系単量体と総称する場合がある。数値範囲「XX〜YY」は、数値「XX」と数値「YY」とを含む意味、すなわち、数値「XX」以上であり、かつ数値「YY」以下であることを意味する。

発明の効果

0014

本発明では、Vリブドベルトの伸張ゴム層が、ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部の短繊維を含み、125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度が70〜130であるゴム組成物の加硫物で形成されているため、簡素な構成で低コストであっても、弾性率が高く伸びが小さい心線の位置をベルト厚み方向で安定化できる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明のVリブドベルトの一例を示す概略断面図である。
図2は、ムーニースコーチ最低粘度(Vm)の測定方法を説明するためのムーニー粘度挙動を示すグラフである。
図3は、実施例において、心線のベルト厚み方向のズレ量を測定するための方法を説明するための概略図である。
図4は、実施例での耐久試験で用いた試験機レイアウトを示す概略図である。

0016

以下に、必要により添付図面を参照しつつ、本発明の一実施態様を、本発明の一例として詳細に説明する。本発明のVリブドベルトは、ベルト周長方向に延びる複数のV字状リブ部が形成され、伝動効率が高いことを特徴としている。具体的には、図1に示すように、本発明のVリブドベルト1は、ベルト背面(ベルトの外周面)を形成し、かつゴム成分および短繊維を含むゴム組成物の加硫物で形成された伸張ゴム層4と、この伸張ゴム層4の内周側に設けられた圧縮ゴム層2と、この圧縮ゴム層2の表面(内周面)に被覆(積層)されてベルト内周面を形成し、プーリに接触可能な布帛5と、前記伸張ゴム層4と圧縮ゴム層2との間にベルト長手方向(周長方向)に沿って埋設された心線3とを備えている。この例では、心線3は、ベルト幅方向に所定間隔で配列した撚りコードであり、伸張ゴム層4と圧縮ゴム層2とに接して、両層の間に介在している。圧縮ゴム層2には、ベルト長手方向に延びる複数の断面V字状溝が形成され、この溝の間には断面V字形(逆台形)の複数のリブが形成されており、リブの二つの傾斜面は、布帛5を介して、プーリと接触可能である。

0017

[伸張ゴム層]
本発明では、伸張ゴム層をムーニースコーチ最低粘度が高く、短繊維が多く配合されたゴム組成物の加硫物で形成することにより、伸張ゴム層のゴム成分が心線の間から圧縮ゴム層側へ流れ出たり、心線が伸張ゴム層のゴム成分に食い込んだりするのを抑制することができ、心線の位置が安定し、Vリブドベルトの耐久性を向上できる。

0018

(ゴム成分)
ゴム成分としては、公知のゴム成分および/またはエラストマー、例えば、ジエン系ゴム天然ゴムイソプレンゴムブタジエンゴムクロロプレンゴムスチレンブタジエンゴムSBR)、アクリロニトリルブタジエンゴムニトリルゴム)、水素化ニトリルゴム(水素化ニトリルゴムと不飽和カルボン酸金属塩との混合ポリマーを含む)など]、エチレンα−オレフィンエラストマー、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、アルキル化クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴムアクリル系ゴムシリコーンゴムウレタンゴムフッ素ゴムなどが例示できる。これらの成分は単独または組み合わせて使用できる。

0019

これらのゴム成分のうち、耐オゾン性耐熱性耐寒性を有し、経済性にも優れる点から、エチレン−α−オレフィンエラストマー[エチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−プロピレンジエン三元共重合体(EPDMなど)などのエチレン−α−オレフィン系ゴムなど]が好ましく、EPDMなどのエチレン−プロピレン−ジエン系共重合体が特に好ましい。

0020

エチレン−α−オレフィンエラストマーのジエン含量は好ましくは0.5〜5質量%(例えば1〜4.5質量%)程度の範囲から選択でき、ゴム組成物のムーニー粘度を高くすることができ、心線の位置を安定化(心線の安定性を向上)できる点から、例えば0.5〜3.5質量%、好ましくは1〜3質量%、さらに好ましくは1.5〜2.8質量%(特に2〜2.5質量%)程度である。ジエン含量が少なすぎると、架橋密度が低下してゴムの強度が低下する虞があり、逆にジエン含量が多すぎると、ムーニー粘度が低下して、心線の安定性が低下する虞がある。なお、本願において、ジエン含量は、ASTMD6047−17の標準試験法準拠して測定できる。

0021

なお、好ましいゴム成分は、エチレン−α−オレフィン系エラストマーだけで形成してもよく、ゴム組成物のVmを調整するため、第1のゴム成分としてのエチレン−α−オレフィン系エラストマーと、第2のゴム成分としての他のゴム成分とを組み合わせてもよい。第2のゴム成分の割合は、エチレン−α−オレフィンエラストマー(第1のゴム成分)100質量部に対して、50質量部以下(例えば1〜40質量部、好ましくは5〜30質量部程度)であってもよい。

0022

加硫のゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)のムーニー粘度[ML(1+4)125℃]は好ましくは30〜80程度の範囲から選択でき、ゴム組成物のVmを調整し、心線の安定性を向上できる点から、例えば35〜75(例えば40〜73)、好ましくは45〜70(例えば50〜68)、さらに好ましくは55〜65(特に58〜63)程度である。未加硫ゴム成分のムーニー粘度は、異なるムーニー粘度を有する複数種のゴム成分の混合物のムーニー粘度であってもよい。ムーニー粘度が低すぎると、ゴム組成物のVmも低下して心線の安定性が低下する虞がある。逆に、ムーニー粘度が高すぎると、ゴム組成物の流動性が低下して、リブ形状不良が発生する虞がある。

0023

なお、本願において、ムーニー粘度は、JIS K 6300−1(2013)に準じた方法で測定でき、試験条件は、L形ロータを使用し、試験温度125℃、予熱1分、ロータ作動時間4分である。

0024

伸張ゴム層全体(または伸張ゴム層のゴム組成物全量)に対するゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)の割合は、ベルトの耐久性を向上できる点から、例えば20〜80質量%、好ましくは30〜70質量%(例えば40〜60質量%)、さらに好ましくは45〜55質量%(特に50〜53質量%)程度である。伸張ゴム層全体に対するゴム成分の割合が小さすぎると、伸張ゴム層の接着性耐屈曲疲労性が低下する虞があり、逆に伸張ゴム層全体に対するゴム成分の割合が大きすぎると、心線の安定性が低下する虞がある。

0025

(短繊維)
本発明では、伸長ゴム層において、前記ゴム成分に対して特定割合で短繊維を配合することにより、心線の安定性を向上できる。

0026

短繊維には、天然繊維合成繊維無機繊維などが含まれる。

0027

天然繊維としては、例えば、セルロース系繊維セルロース繊維(綿などの植物、動物またはバクテリアなどに由来するセルロース繊維など)、レーヨンなどの再生繊維アセテートなどのセルロース誘導体の繊維など]、動物由来の繊維(羊毛など)などが挙げられる。

0029

無機繊維としては、例えば、炭素繊維ガラス繊維金属繊維などが挙げられる。

0030

これらの短繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらの短繊維のうち、綿やレーヨンなどのセルロース系短繊維ポリエステル短繊維(PET短繊維など)、ポリアミド短繊維(ポリアミド6などの脂肪族ポリアミド短繊維アラミド短繊維など)などが汎用され、心線の位置をベルト厚み方向でより安定化でき、コストおよび耐摩耗性にも優れる点から、脂肪族ポリアミド短繊維が好ましい。

0031

合成繊維および無機繊維の短繊維(特に、ポリアミド短繊維)の平均繊度は、例えば1〜50dtex、好ましくは2〜30dtex、さらに好ましくは3〜20dtex(特に5〜10dtex)程度である。繊度が小さすぎると、均一に分散するのが困難となる虞があり、逆に大きすぎると、伸張ゴム層の機械的特性が低下する虞がある。

0032

天然繊維の短繊維(特に、綿短繊維)の平均繊度(番手)は、例えば3〜20番手、好ましくは5〜15番手(特に7〜10番手)程度である。繊度(番手)が大きすぎると、均一に分散するのが困難となる虞があり、逆に小さすぎると、伸張ゴム層の機械的特性が低下する虞がある。

0033

なお、本願において、短繊維の平均繊度は、慣用の方法で測定でき、例えば、量法で測定してもよい。

0034

短繊維(特に、ポリアミド短繊維)の平均繊維長は好ましくは0.5〜30mm程度の範囲から選択でき、例えば1〜10mm、好ましくは2〜9mm、さらに好ましくは3〜8mm(特に4〜7mm)程度であってもよい。繊維長が短すぎると、短繊維による補強効果が低下する虞があり、逆に繊維長が長すぎると、短繊維の配向性が低下する虞がある。繊維長が短すぎる場合、長すぎる場合のいずれの場合も、伸張ゴム層のゴム成分が心線の間から圧縮ゴム層側へ流れ出たり、心線が伸張ゴム層に食い込んだりするのを抑制する効果が低下する虞がある。

0035

なお、本願において、短繊維の平均繊維長は、慣用の方法で測定でき、例えば、透過型電子顕微鏡走査型電子顕微鏡などの電子顕微鏡撮影した写真画像解析により適当なサンプル数(例えば50サンプル)の算術平均として算出できる。

0036

前記短繊維の配向方向は、ランダムであってもよく、所定の方向に配向していてもよいが、心線の安定性を向上できる点から、ベルト幅方向に配向するのが好ましい。短繊維の配向方向をベルト幅方向に配向させると、短繊維の長さ方向と心線の長さ方向とが略直交とするため、伸張ゴム層のゴム成分が心線の間を通り抜けようとする際や、心線が伸張ゴム層に食い込もうとする際の抵抗を大きくできるためか、伸張ゴム層のゴム成分が心線の間から圧縮ゴム側へ流れ出たり、心線が伸張ゴム層に食い込んだりするのを抑制する効果を高められ、心線の位置が安定し、Vリブドベルトの耐久性が向上する。

0037

なお、本願において「短繊維がベルト幅方向に配向する」とは、短繊維の長手方向(軸方向)とベルト幅方向とが略平行であることを意味し、「略平行」とは、短繊維の長手方向(軸方向)とベルト幅方向との角度が30°以内、好ましくは20°以内、さらに好ましくは10°以内(特に5°以内)の角度であることを意味する。

0038

短繊維を所定の方向に配向させる方法としては、バンバリーミキサーなどで混練したゴム組成物を、ロールまたはカレンダーなどで圧延して未加硫ゴムシートを調製する過程で、所定の方向に配向させる方法などを利用できる。

0039

短繊維は、ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)との接着性を向上させるため、必要に応じて、接着処理を施してもよい。接着処理としては、慣用の接着処理を利用でき、例えば、接着性成分(例えば、エポキシ化合物イソシアネート化合物)を有機溶媒トルエンキシレンメチルエチルケトンなど)に溶解させた樹脂処理液などへの浸漬処理レゾルシンホルマリンラテックス液(RFL液)への浸漬処理、ゴム組成物を有機溶媒に溶解させたゴム糊への浸漬処理が挙げられる。

0040

短繊維の割合は、心線の安定性を向上できる点から、ゴム成分100質量部に対して15〜50質量部であり、好ましくは20〜40質量部、さらに好ましくは25〜35質量部(特に28〜32質量部)程度である。短繊維の割合が少なすぎると、補強効果が低下する虞があり、逆に短繊維の割合が多すぎると、加工性が低下するとともに、ベルトに亀裂が入り易くなって耐久性が低下する虞がある。

0041

加硫剤および架橋剤)
ゴム組成物は、通常、加硫剤および/または架橋剤をさらに含んでいる。加硫剤としては、例えば、硫黄オキシム類キノンジオキシムなど)、グアニジン類ジフェニルグアニジンなど)などが挙げられる。架橋剤としては、例えば、有機過酸化物が挙げられ,有機過酸化物としては、慣用の成分、例えば、ジアシルパーオキサイドジラウロイルパーオキサイドジベンゾイルパーオキサイドなど)、パーオキシケタール(1,1−ジ(t−ブチルパーオキシシクロヘキサン、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタンなど)、アルキルパーオキシエステル(t−ブチルパーオキシベンゾエートなど)、ジアルキルパーオキサイド(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,3−ビス(2−t−ブチルパーオキシイソプロピルベンゼン、2,5−ジ−メチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなど)、パーオキシカーボネート(t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチル−ヘキシルカーボネートなど)などが挙げられる。これらの加硫剤および架橋剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。

0042

加硫剤および架橋剤の合計割合は、耐久性を向上できる点から、ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)100質量部に対して好ましくは0.2〜10質量部程度の範囲から選択でき、例えば、0.5〜7質量部、好ましくは1〜5質量部(例えば1.5〜4質量部)、さらに好ましくは1.5〜3質量部(特に1.5〜2.5質量部)程度である。加硫剤および架橋剤の割合が多すぎると、ゴム硬度過度に上昇して耐久性が低下する虞があり、少なすぎると、架橋が十分に進行せず、ゴムの強度やモジュラス不足して高負荷伝動が困難となる虞がある。

0043

補強剤または補強性充填剤
ゴム組成物は、補強剤(補強性充填剤)として、カーボンブラックおよび/またはシリカを含んでいてもよい。このような補強剤を添加すると、ゴム組成物のVmを高めることができ、補強剤の種類および添加量によりゴム組成物のVmを調整できる。

0044

カーボンブラックは、ASTMにより「N0**」〜「N9**」に分類ヨウ素吸着量に基づき分類)され、従来、ゴム製品の性能などに基づいてもSAFHAF、GPFなどに分類されており、一次粒子径の小さいN110(SAF)、N220(ISAF)、N330(HAF)などはハードカーボンと称され、一次粒子径の大きいN550(FEF)、N660(GPF)、N762(SRF)などはソフトカーボンと称されることもある。これらのカーボンブラックは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。

0045

カーボンブラックの平均粒径平均一次粒子径)は、例えば5〜200nm、好ましくは10〜150nm、さらに好ましくは15〜120nm(特に20〜100nm)程度である。カーボンブラックの平均粒径が小さすぎると、トルクロスが大きくなる虞があり、カーボンブラックの平均粒径が大きすぎると、ベルト本体の機械的特性が低下する虞がある。

0046

カーボンブラックとしては、少なくとも一次粒子径の小さいカーボンブラック(ハードカーボン)を用い、ゴムに対する補強性、ゴムの硬度や耐摩耗性およびベルトの耐久性(高負荷での伝動性)を向上させる場合が多い。カーボンブラック(ハードカーボン)の平均一次粒子径は、例えば10〜35nm、好ましくは15〜33nm、さらに好ましくは20〜32nm(特に25〜30nm)程度である。平均一次粒子径が小さすぎるハードカーボンは、調製が困難となる虞があり、平均一次粒子径が大きすぎると、高負荷伝動の向上効果が低下する虞がある。

0047

カーボンブラックのヨウ素吸着量は、例えば5〜200mg/g、好ましくは10〜150mg/g、さらに好ましくは12〜130mg/g(特に20〜100mg/g)程度である。ハードカーボンのヨウ素吸着量は60mg/g以上、例えば60〜150mg/g、好ましくは65〜130mg/g、さらに好ましくは70〜100mg/g(特に75〜90mg/g)程度であってもよい。ハードカーボンのヨウ素吸着量が小さすぎると、高負荷伝動の向上効果が低下する虞があり、逆にヨウ素吸着量が大きすぎると、調製が困難となる虞がある。

0048

シリカには、乾式シリカ湿式シリカ表面処理したシリカなどが含まれる。また、シリカは、製法によって、例えば、乾式法ホワイトカーボン湿式法ホワイトカーボンコロイダルシリカ沈降シリカなどにも分類できる。これらのシリカは、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのシリカのうち、表面シラノール基を有するシリカ(無水ケイ酸含水ケイ酸)が好ましく、表面シラノール基の多い含水ケイ酸はゴム成分との化学的結合力が強い。

0049

シリカの平均粒径(平均一次粒子径)は、例えば1〜500nm、好ましくは3〜300nm、さらに好ましくは5〜100nm(特に10〜50nm)程度である。シリカの粒径が大きすぎると、ベルト本体の補強性が低下する虞があり、小さすぎると、均一に分散するのが困難となる虞がある。

0050

シリカのBET法による窒素吸着比表面積は、例えば50〜400m2/g、好ましくは70〜300m2/g、さらに好ましくは100〜250m2/g(特に150〜200m2/g)程度である。比表面積が大きすぎると、トルクロスが生じやすくなるとともに、均一に分散するのが困難となる虞があり、比表面積が小さすぎると、ゴム成分に対する補強性が低下する虞がある。

0051

これらの補強性充填剤としては、ゴムの補強剤として市販の充填剤が使用できる。

0052

補強剤(補強性充填剤)の割合は、ゴム組成物のVmに応じて選択でき、ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマーなどの未加硫ゴム)100質量部に対して30質量部以上であってもよく、例えば30〜150質量部、好ましくは35〜120質量部、さらに好ましくは40〜100質量部(特に45〜80質量部)程度であってもよい。より具体的には、カーボンブラックの割合は、ゴム組成物のVmに応じて選択でき、ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマーなどの未加硫ゴム)100質量部に対して20質量部以上であってもよく、例えば25〜100質量部、好ましくは30〜80質量部、さらに好ましくは35〜70質量部(特に40〜60質量部)程度である。なお、カーボンブラックの割合が多くなるに従って、ゴム組成物のVmが大きくなる傾向を示す。カーボンブラックの割合が少なすぎると、ベルトの機械的強度が低下する虞があり、逆にカーボンブラックの割合が多すぎると、均一に分散させるのが困難となる虞がある。

0053

なお、本願において、前記補強性充填剤(カーボンブラックおよびシリカ)の平均一次粒子径は、例えば、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡などの電子顕微鏡で撮影した写真の画像解析により適当なサンプル数(例えば50サンプル)の算術平均粒子径として算出できる。また、カーボンブラックのヨウ素吸着量は、ASTMD1510−19の標準試験法に準拠して測定できる。ヨウ素吸着量と一次粒子径には緊密な関係があり、一次粒子径が小さいほど、ヨウ素吸着量が大きくなる傾向を示す。

0054

(他の成分)
ゴム組成物は、必要に応じて、慣用の添加剤をさらに含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、共架橋剤エチレングリコールジメタクリレートブタンジオールジメタクリレートトリメチロールプロパントリメタクリレートペンタリストリールテトラメタクリレートなどのアルカンポリオールポリ(メタ)アクリレートトリアリルイソシアヌレート;N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、N,N’−(4,4’−ジフェニルメタンビスマレイミド)などのビスマレイミドなど]、加硫助剤加硫促進剤チウラム系促進剤など)、加硫促進助剤ステアリン酸など)、加硫遅延剤金属酸化物(例えば、酸化亜鉛酸化マグネシウム酸化カルシウム酸化バリウム酸化鉄酸化銅酸化チタン酸化アルミニウムなど)、充填剤(クレー炭酸カルシウムタルクマイカなど)、可塑剤軟化剤パラフィンオイルナフテン系オイルなどのオイル類など)、加工剤または加工助剤ステアリン酸金属塩ワックスパラフィンなど)、老化防止剤芳香族アミン系老化防止剤ベンズイミダゾール系老化防止剤など)、接着性改善剤[レゾルシン−ホルムアルデヒド共縮合物ヘキサメトキシメチルメラミンなどのメラミン樹脂、これらの共縮合物(レゾルシン−メラミン−ホルムアルデヒド共縮合物など)など]、着色剤粘着付与剤カップリング剤シランカップリング剤など)、安定剤(酸化防止剤紫外線吸収剤熱安定剤など)、潤滑剤、難燃剤帯電防止剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。

0055

添加剤は、添加剤の種類に応じて選択でき、添加剤の合計割合は、ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)100質量部に対して好ましくは0.1〜30質量部程度の範囲から選択でき、例えば1〜30質量部、好ましくは3〜25質量部、さらに好ましくは5〜20質量部(特に10〜15質量部)程度である。

0056

(伸張ゴム層の特性)
伸張ゴム層を形成するゴム組成物(未加硫ゴム組成物)の125℃で測定したムーニースコーチ最低粘度(ムーニー粘度の最低値)は70〜130であり、好ましくは80〜125、さらに好ましくは90〜120(特に100〜110)程度である。ムーニースコーチ最低粘度が70未満では、心線の安定性が低下する虞があり、ムーニースコーチ最低粘度が130を超えると加工性が低下するとともに、ベルトに亀裂が入り易くなって耐久性が低下する虞がある。

0057

なお、本願において、ムーニースコーチ最低粘度は、JIS K 6300−1(2013)のムーニースコーチ試験に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。

0058

前記ゴム組成物の加硫物の硬度(JIS−A)は、例えば80〜90度、好ましくは82〜89度、さらに好ましくは83〜88度(特に85〜87度)程度である。加硫物の硬度が小さすぎると、伸張ゴム層のゴム成分が心線の間から圧縮ゴム層側へ流れ出たり、心線が伸張ゴム層に食い込んだりするのを抑制する効果が低下する虞がある。逆に硬度が大きすぎると、屈曲性が低下して動力損失が大きくなるとともに、ベルトに亀裂が入り易くなって耐久性が低下する虞がある。

0059

なお、本願において、硬度(JIS−A)は、JIS K 6253(2012)(加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム−硬さの求め方−)に規定されているデュロメータ硬さ試験(A形)に準じて測定された値Hs(JIS A)を意味する。

0060

本発明では、伸張ゴム層を形成する加硫物は、前記心線と直接接触しているのが好ましい。そのため、本発明のVリブドベルトは、心線と伸張ゴム層との間に接着ゴム層または接着ゴム成分を配置しないことが好ましく、接着ゴム層または接着ゴム成分を有さないVリブドベルトが好ましい。すなわち、Vリブドベルトでは、心線と伸張ゴム層との接着性を向上するために、心線と伸張ゴム層との間に接着ゴム層または接着ゴム成分を配する場合が多いが、接着ゴム層または接着ゴム成分を用いると、接着ゴムが心線の間に流れ込んだり、心線が接着ゴム層に食い込んだりしやすいため、本発明の効果が低下する虞がある。

0061

伸張ゴム層の厚み(平均厚み)は、例えば0.5〜10mm、好ましくは0.7〜8mm、さらに好ましくは1〜5mm程度である。

0062

[心線]
本発明のVリブドベルトは、ベルト幅方向に所定間隔で配列して埋設されている心線を有する。この心線は、ベルト厚み方向において、安定して位置している。前記心線のベルト厚み方向のズレ量(ベルト背面からの深さ位置のバラツキ)は0.08mm以下であってもよく、例えば0.05mm以下、好ましくは0.04mm以下、さらに好ましくは0.03mm以下(例えば0.01〜0.03mm程度)であってもよい。心線のベルト厚み方向のズレ量が大きく、一部の心線のみがベルト背面側やベルト内面側に位置すると、該心線に応力が集中して屈曲疲労が促進されやすい。心線のベルト厚み方向のズレ量を小さくすることで心線の屈曲疲労が各心線で平均化され、耐久性が向上する。

0063

なお、本願において、心線のベルト厚み方向のズレ量は、後述する実施例に記載の方法で測定できる。

0064

心線(または芯体)を形成する繊維としては、弾性率の高い繊維、例えば、高強力ポリエチレン繊維、PBO繊維、ポリエステル繊維(PET繊維PEN繊維などのポリアルキレンアリレート系繊維、ポリアリレート繊維など)、ポリアミド繊維(アラミド繊維など)、炭素繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。

0065

心線を形成する繊維の引張弾性率は好ましくは1〜500GPa程度の範囲から選択できるが、本発明の効果が有効に発現する点から、50GPa以上の高弾性率が好ましく、例えば50〜500GPa、好ましくは55〜300GPa、さらに好ましくは60〜200GPa(特に65〜150GPa)程度であってもよい。このような高弾性率繊維には、例えば、アラミド繊維、炭素繊維などが含まれる。本発明では、引張弾性率50GPa以上の高弾性率繊維で形成された心線であっても、心線の安定性を向上できる。

0066

なお、本願において、引張弾性率は、JIS L1013(2010)に記載の方法で荷重−伸び曲線を測定し、荷重1000MPa以下の領域の平均傾斜を求める方法で測定できる。

0067

繊維(モノフィラメント糸)の平均繊度は、例えば0.1〜5dtex、好ましくは0.3〜3dtex、さらに好ましくは0.5〜2dtex(特に1〜1.8dtex)程度であってもよい。繊維は、原糸としてのマルチフィラメント糸(例えば100〜20000本、好ましくは500〜5000本(特に600〜2000本)程度のモノフィラメント糸を含むマルチフィラメント糸)の形態で使用できる。

0068

心線は、抗張力および耐屈曲疲労性を高めるため、通常、マルチフィラメント糸を使用した撚りコード(例えば、諸撚り、片撚り、ラング撚りなど)などの形態で使用できる。心線は、コード、例えば、これらのマルチフィラメント糸を下撚り糸とし、所定の方向(例えば、下撚り糸と同じ方向又は逆方向)に上撚りした撚りコード(撚糸)として使用する場合が多い。下撚り糸の平均直径平均線径)は、例えば0.2〜1mm、好ましくは0.3〜0.8mm、さらに好ましくは0.4〜0.7mm程度であってもよく、コード(または心線)の平均直径(平均線径)は、例えば0.3〜1.5mm、好ましくは0.5〜1.3mm、さらに好ましくは0.7〜1.2mm程度であってもよい。

0069

ゴム成分(特に、エチレン−α−オレフィンエラストマー)との接着性を改善するため、心線には、前記伸張ゴム層の短繊維と同様に、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、RFL処理液、シランカップリング剤などで接着処理を施してもよい。

0070

心線は、通常、ベルト本体の長手方向に埋設され、さらにベルト本体の長手方向に平行に所定のピッチで並列的に埋設されていてもよい。心線ピッチは、心線径に応じて、心線径よりも大きければよく、例えば、0.5〜2mm、好ましくは0.7〜1.7mm、さらに好ましくは0.8〜1.5mm程度であってもよい。

0071

[圧縮ゴム層]
圧縮ゴム層は、Vリブドベルトの圧縮ゴム層として慣用的に利用されているゴム組成物で形成でき、例えば、前記伸張ゴム層と同様のゴム組成物(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマーを含むゴム組成物など)で形成できる。

0072

圧縮ゴム層では、短繊維は必要に応じて配合でき、短繊維を配合しなくてもよい。

0073

圧縮ゴム層では、補強剤として、ハードカーボンとソフトカーボンとを組み合わせてもよい。ソフトカーボンとハードカーボンとの質量比は、要求される品質に応じて適宜選択でき、例えば、トルクロスの低減と高負荷伝動への適用のバランスが取れる点から、ソフトカーボン/ハードカーボン=10/90〜99/1(例えば30/70〜90/10)程度の範囲から選択でき、例えば、ソフトカーボン/ハードカーボン=40/60〜80/20、好ましくは45/55〜70/30、さらに好ましくは50/50〜60/40程度であってもよい。

0074

圧縮ゴム層の厚み(平均厚み)は、例えば1〜30mm、好ましくは1.5〜25mm、さらに好ましくは2〜20mm程度であってもよい。

0075

[接着ゴム層]
接着ゴム層は、Vリブドベルトの接着ゴム層として慣用的に利用されているゴム組成物で形成でき、例えば、前記伸張ゴム層と同様のゴム組成物(例えば、エチレン−α−オレフィンエラストマーを含むゴム組成物など)で形成できる。

0076

接着ゴム層では、短繊維は必要に応じて配合でき、短繊維を配合しなくてもよい。また、接着力向上のため、レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物アミノ樹脂などを配合してもよい。

0077

接着ゴム層の厚み(平均厚み)は、例えば0.01〜2mm、好ましくは0.1〜1mm、さらに好ましくは0.2〜0.5mm程度であってもよい。接着ゴム層の厚みが大きすぎると心線の安定性が低下する虞があり、接着ゴム層の厚みが小さすぎると未加硫ゴムシートの作製および取り扱いが困難となる虞がある。

0078

接着ゴム層は心線と伸張ゴム層の間および/または心線と圧縮ゴム層の間に設けてもよいが、心線の安定性を向上できることから、接着ゴム層は設けない形態が好ましい。

0079

[布帛]
本発明では、圧縮ゴム層の表面(内周面)を布帛で被覆してもよく、布帛で被覆することにより、Vリブドベルトの耐久性および耐発音性を向上できる。布帛としては、織物(織布)、編物(編布)、不織布などの繊維部材が利用でき、編布を使用する場合が多い。編布としては、Vリブドベルトの圧縮ゴム層の表面を被覆する編布やカバー布として慣用的に利用されている編布を利用できる。編布は、吸水性繊維及び/又は非吸水性繊維で形成でき、被水時の耐発音性と耐摩耗性とを両立できる点から、吸水性繊維と非吸水性繊維とで形成された編布(例えば、特開2016−70494号公報に記載の編布)であってもよい。

0080

吸水性繊維(または吸水性糸を含む繊維)としては、例えば、ビニルアルコール系繊維(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体の繊維、ビニロンなど)、ポリアミド繊維(ポリアミド6繊維、ポリアミド66繊維、ポリアミド46繊維などの脂肪族ポリアミド繊維など)、セルロース系繊維[セルロース繊維(植物、動物またはバクテリアなどに由来するセルロース繊維など)、セルロース誘導体の繊維など]、動物由来の繊維(羊毛、絹など)などが挙げられる。これらの吸水性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、セルロース繊維(特に、綿繊維)が好ましい。

0081

セルロース繊維はスパン糸であってもよい。セルロース繊維の太さ(番手)は、例えば5〜100番手、好ましくは10〜80番手、さらに好ましくは20〜70番手(特に30〜50番手)程度である。太さが小さすぎると、編布の機械的特性が低下する虞があり、太さが大きすぎると、吸水性(被水時の耐発音性)が低下する虞がある。

0082

非吸水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン繊維(ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維など)、非吸水性ポリアミド繊維(アラミド繊維などの芳香族ポリアミド繊維など)、アクリル繊維、ポリエステル繊維[PET繊維、PPT繊維PTT繊維、PBT繊維、PEN繊維などのC2−4アルキレンC6−14アリレート系繊維、ポリアリレート系繊維など]、PBO繊維、ポリウレタン繊維などの合成繊維;炭素繊維などの無機繊維が例示できる。これらの非吸水性繊維は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、合成繊維同士の複合繊維(合成繊維の複合糸)が好ましく、編布の耐摩耗性を向上させるとともに、摩擦伝動面(または編布の表面)にゴムが滲出するのを抑制できるために、断面の嵩を大きくした嵩高加工糸(PTT/PETコンジュゲート糸などのポリエステル系複合糸など)が特に好ましい。

0083

非吸水性繊維の繊度は、例えば20〜600dtex、好ましくは50〜300dtex、さらに好ましくは60〜200dtex(特に70〜100dtex)程度であってもよい。

0084

布帛(特に、編布)は、少なくとも吸水性繊維(特に、セルロース系繊維)を含むのが好ましい。非吸水性繊維の割合は、吸水性繊維100質量部に対して、例えば200質量部以下(例えば0〜200質量部)であってもよく、例えば1〜100質量部、好ましくは3〜80質量部(例えば5〜50質量部)、さらに好ましくは10〜40質量部(特に20〜30質量部)程度であってもよい。非吸水性繊維の割合が多すぎると、編布の吸水性が低下し、被水時の耐発音性が低下する虞がある。

0085

編布の構造は、特に限定されず、慣用の構造を利用できるが、単層の緯編[例えば、平編(天竺編)を編組織とする緯編]、多層編布[例えば、鹿の子編(鹿の子編を編組織とする緯編)など]が好ましく、多層編布が特に好ましい。多層編布において、編布の層の数は、例えば2〜5層、好ましくは2〜3層、さらに好ましくは2層であってもよい。

0086

編布の繊維または糸の密度は、例えば、ウェール方向およびコース方向で、それぞれ30本/インチ以上(例えば32〜70本/インチ、好ましくは34〜60本/インチ、さらに好ましくは35〜55本/インチ)であってもよい。また、編布の繊維または糸の密度は、例えば、ウェール方向およびコース方向で、合計で60本/インチ以上(例えば62〜120本/インチ、好ましくは70〜115本/インチ、さらに好ましくは80〜110本/インチ、特に90〜105本/インチ)であってもよい。

0087

圧縮ゴム層の表面に対する接着性を向上させるため、布帛(特に、編布)は、必要に応じて、接着処理を施してもよい。接着処理により、摩擦伝動面(動力伝達面)の耐摩耗性を向上させることもできる。接着処理としては、伸張ゴム層の短繊維と同様の接着処理を施してもよい。他の接着処理として、例えば、布帛とゴム組成物とをカレンダーロールに通して布帛にゴム組成物を刷り込むフリクション処理、布帛にゴム糊を塗布するスプレディング処理、布帛にゴム組成物を積層するコーティング処理なども採用できる。

0088

布帛(特に、編布)は、繊維表面または繊維内部に、慣用の添加剤を含んでいてもよい。慣用の添加剤としては、例えば、界面活性剤分散剤フィラー、着色剤、安定剤、表面処理剤レベリング剤などが挙げられる。他の成分の割合は、布帛全体に対して10質量%以下であってもよく、例えば0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、さらに好ましくは0.5〜2質量%程度である。

0089

布帛(特に、編布)の目付は、例えば50〜500g/m2、好ましくは80〜400g/m2、さらに好ましくは100〜350g/m2程度である。

0090

布帛(特に、編布)の厚み(平均厚み)は、好ましくは0.1〜5mm程度の範囲から選択でき、例えば0.3mm以上(例えば0.4〜3mm)、好ましくは0.5〜2mm、さらに好ましくは0.7〜1.5mm程度である。

0091

[Vリブドベルトの製造方法]
本発明のVリブドベルトの製造方法としては、慣用のVリブドベルトの製造方法を利用でき、心線を安定化できる本発明の効果が有効に発現する点から、伸張ゴム層を形成するための未加硫ゴムシート(未加硫伸張ゴム層)と心線とを含む積層体を金型に押し付ける工程を含むモールド型付工法(モールデッド製法)を好ましく利用できる。具体的には、例えば、前記製造方法は、布帛と未加硫圧縮ゴム層と、心線と、未加硫伸張ゴム層とを積層し、得られた未加硫積層体成形型で筒状に成形し、加硫してスリーブを成形し、この加硫スリーブ所定幅カッティングすることにより、布帛が圧縮ゴム層を被覆したVリブドベルトを製造できる。より詳細には、Vリブドベルトは、例えば、以下の方法で製造できる。

0092

(第1の製造方法)
Vリブドベルトは、中空円筒外型と、この外型内に同心円状に配置可能な円筒状内型と、前記外型と前記内型との間に配設された筒状の未加硫積層体を、外型に向けて可動または押圧可能な押圧ユニットとを備えた成形装置を用いて製造できる。すなわち、中空円筒状外型内に同心円状に配置された円筒状内型に、前記布帛を前記外型に向けた形態で、筒状の未加硫積層体を積層して配置し;前記筒状の未加硫積層体を前記外型に向かって加圧して加硫し;加硫した筒状の加硫成形体脱型して所定の形態に加工することにより製造できる。前記筒状の未加硫積層体は、例えば、未加硫圧縮ゴム層と、この未加硫圧縮ゴム層の一方の面に積層または配された未加硫伸張ゴム層とを少なくとも含み、ベルト本体を形成するための未加硫ゴム積層シート(未加硫圧縮ゴム層および未加硫伸張ゴム層)と;この未加硫ゴム積層シートに埋設した心線と;前記未加硫圧縮ゴム層の他方の面に積層または配された布帛とを含む中空筒状またはスリーブ状の積層体であってもよく、このような積層体を、前記布帛を外型のリブ型に向けて配置し、未加硫ゴム積層シートを加圧して加硫してもよい。

0093

より具体的には、外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに未加硫伸張ゴム層を巻きつけ、このシート上に芯体を形成する心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに未加硫圧縮ゴム層と布帛とを巻き付けて積層体を作製する。次に、前記内型に装着可能な外型として、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型を用い、この外型内に、前記積層体が巻き付けられた内型を、同心円状に設置する。その後、可撓性ジャケットを外型の内周面(リブ型)に向かって膨張させて積層体(圧縮ゴム層)をリブ型に圧入し、加硫する。そして、外型から内型を抜き取り、複数のリブを有する加硫ゴムスリーブを外型から脱型することによりスリーブ状のVリブドベルトを作製できる。なお、スリーブ状のVリブドベルトは、必要により、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットし、Vリブドベルトを作製してもよい。この第1の製造方法では、伸張ゴム層、心線、圧縮ゴム層、布帛を備えた積層体を一度に膨張させて複数のリブを有するスリーブ(またはVリブドベルト)に仕上げることができる。

0094

(第2の製造方法)
第1の製造方法に関連して、例えば、特開2004−82702号公報に開示される方法[布帛および圧縮ゴム層のみを膨張させて予備成形体半加硫状態)とし、次いで伸張ゴム層と心線とを膨張させて前記予備成形体に圧着し、加硫一体化してVリブドベルトに仕上げる方法]を採用してもよい。

0095

このような方法(特に、前記第1の製造方法)において、外型に対する未加硫ゴムシート(または筒状の未加硫積層体)の圧力は、特に制限されないが、引張弾性率の高い繊維の心線を用いる場合には、1.2MPa以上(例えば1.3〜2MPa、好ましくは1.3〜1.7MPa程度)の圧力(例えば、前記可撓性ジャケットによる膨張圧力)で加圧してもよい。このような圧力で加圧することにより、引張弾性率の高い繊維の心線を用いても、リブ部の形状を精度よく成形できる。さらに、伸張ゴム層を特定のゴム組成物で形成することにより、可撓性ジャケットの膨張力を利用して高圧で加圧したとしても、心線の安定性を向上できる。

0096

以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下に、ゴム組成物、心線、編布の調製方法、ベルトの作製方法、各物性の測定方法または評価方法などを示す。

0097

[ゴム組成物]
表1に示すゴム組成物をバンバリーミキサーでゴム練りし、この練りゴムをカレンダーロールに通して所定厚みの未加硫圧延ゴムシート(伸張ゴム層用シート)を作製した。また、表2に示すゴム組成物を用い、伸張ゴム層用シートと同様にして、圧縮ゴム層用シートおよび接着ゴム層用シートを作製した。なお、表1および2の成分は下記の通りである。さらに、編布の接着処理用ゴム組成物の組成も表2に示す。

0098

EPDM1:三井化学(株)製「EPT3070」、ムーニー粘度(125℃)≒47
EPDM2:三井化学(株)製「EPT3092M」、ムーニー粘度(125℃)≒61
EPDM3:三井化学(株)製「EPT4045M」、ムーニー粘度(125℃)≒33
EPDM4:Lanxess社製「KELTAN(登録商標)5260Q」、ジエン含量2.3質量%、ムーニー粘度(125℃)55
EPDM5:Lanxess社製「KELTAN(登録商標)2470」、ジエン含量4.2質量%、ムーニー粘度(125℃)24
酸化亜鉛:正同化学工業(株)製「酸化亜鉛2種」
ステアリン酸:日油(株)製、「ステアリン酸つばき」
カーボンブラックHAF:東海カーボン(株)製「シースト(登録商標)3」、平均一次粒子径28nm、ヨウ素吸着量80mg/g
カーボンブラックSRF:東海カーボン(株)製「シースト(登録商標)S」、平均一次粒子径66nm
含水シリカ:東ソー・シリカ(株)製「Nipsil VN3」、BET比表面積240m2/g
短繊維1:ニシヨリ(株)製「ナイロン短繊維」、平均繊度6.7dtex、平均繊維長3mm
短繊維2:ニシヨリ(株)製「ナイロン短繊維」、平均繊度6.7dtex、平均繊維長6mm
短繊維3:橋本(株)製「綿短繊維」、平均繊度(綿番手)8番手、平均繊維長6mm
軟化剤1:出光興産(株)製「ダイアプロセスオイルNS−90」
軟化剤2:出光興産(株)製「ダイアナ(登録商標)PW−380」(パラフィン系プロセスオイル
老化防止剤1:精工化学(株)製「ノンフレックスOD−3」、オクチルジフェニルアミン
老化防止剤2:大内新興化学工業(株)製「ノクラック(登録商標)MB−O」
有機過酸化物1:日油(株)製「パークミル(登録商標)D」、ジクミルパーオキサイド
有機過酸化物2:日油(株)製「パークミル(登録商標)D−40」、ジクミルパーオキサイド、有効成分40%
加硫促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
硫黄:美源化学社製
レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物:田岡化学工業(株)製「スミカノール620」
ヘキサメトキシメチロールメラミン:Power Plast社製「PP−1890S」

0099

0100

0101

[心線]
1100dtexのアラミド繊維のマルチフィラメント糸(フィラメント数1000)を下撚り糸とし、この下撚り糸を4本合わせて上撚り(諸撚り)した総繊度4400dtex(フィラメント数4000)のアラミドコードを用いた。ゴムとの接着性を向上させるため、予め心線をレゾルシン−ホルマリン−ラテックス液(RFL液)へ浸漬処理した後、EPDMを含むゴム組成物を有機溶媒(トルエン)に溶解させた処理液でオーバーコート処理を行った。

0102

[編布]
吸水性繊維としての綿紡績糸(40番手、1本)と、非吸水性繊維としてのPTT/PETコンジュゲート複合糸(繊度84dtex)とを、吸水性繊維/非吸水性繊維=80/20の質量比で編成し、編組織が緯編(鹿の子、2層)の編布を作製した。得られた編布の厚みは0.85mmであり、編布密度(ウェール+コース)は100本/インチであった。表2に示す接着処理用ゴム組成物を固形分濃度が10質量%となるようにトルエンに溶解してゴム糊とし、このゴム糊に編布を浸漬後、100℃で3分間乾燥する接着処理を行った。

0103

なお、編布の平均厚みおよび編布の密度は次のようにして測定した。編布の平均厚みは、JIS L 1096(2010)に準拠し、不自然しわや張力を除いて編布を平らな台上に置き、定荷重測厚器にて5箇所の厚みを測定し、算術平均値を算出し、平均厚みとした。編布の密度は、JIS L 1096(2010)に準拠し、不自然なしわや張力を除いて編布を平らな台上に置き、1インチの長さにおける編目の数を任意の5箇所で測定し、算術平均値を算出し、平均密度とした。

0104

実施例1〜8および比較例1〜3
[Vリブドベルトの調製]
実施例1〜7および比較例1〜3については、外周面に可撓性ジャケットを装着した円筒状内型を用い、外周面の可撓性ジャケットに、表1に示すゴム組成物で形成された未加硫の伸張ゴム層用シートを短繊維がベルト幅方向に配向するように巻き付け、このシート上に芯体となる心線(撚りコード)を螺旋状にスピニングし、さらに表2に示すゴム組成物で形成された未加硫の圧縮ゴム層用シートと編布とを巻き付けて積層体を作製した。この筒状積層体が巻き付けられた内型を、内周面に複数のリブ型が刻設された筒状外型内に同心円状に設置し、前記可撓性ジャケットを膨張させて積層体をリブ型に圧入し、180℃で加硫した。そして、外型から内型を抜き取り、複数のリブを有する加硫ゴムスリーブを外型から脱型し、カッターを用いて、加硫ゴムスリーブをベルト長手方向に所定の幅にカットし、Vリブドベルト(リブ数:3個、周長:1100mm、ベルト形:K形ベルト厚み:4.3mm、リブ高さ:2mm、リブピッチ:3.56mm)を作製した。

0105

なお、実施例8では、心線と伸張ゴム層用シートとの間および心線と圧縮ゴム層用シートとの間に接着ゴム層用シートを巻き付けて積層体を作製する以外は、実施例1〜7および比較例1〜3と同様の方法でVリブドベルトを製造した。得られたVリブドベルトの積層構造は、心線と伸張ゴム層との間に接着ゴム層を有しており、心線と伸張ゴム層とは接触していなかった。

0106

[伸張ゴム層のムーニースコーチ最低粘度(Vm)]
ムーニースコーチ最低粘度は、JIS K 6300−1(2013)のムーニースコーチ試験に準じて測定した。ロータはL形を用い、試験温度は125℃とした。なお、試験片(未加硫の伸張ゴム層用組成物)とダイとが接する面の間に、厚さ約0.04mmのポリエステルフィルム(東レ(株)製「ルミラー」)を配置した。ダイを閉じた後1分間予熱し、その後ロータを回転し、ムーニー粘度の推移を記録した。記録したムーニー粘度は、概ね、図2に示すような挙動を示し、ムーニー粘度が最低となった時の値をムーニースコーチ最低粘度(Vm)として採用した。測定結果を表3に示す。

0107

[伸張ゴム層のゴム硬度]
未加硫の伸張ゴム層用シートを温度180℃、時間20分でプレス加硫し、加硫ゴムシート(100mm×100mm×2mm厚み)を作製した。硬度はJIS K 6253(2012)に準拠し、加硫ゴムシートを3枚重ね合わせた積層物試料とし、デュロメータA形硬さ試験機を用いて硬度を測定した。測定結果を表3に示す。

0108

[心線のベルト厚み方向のズレ量]
心線のベルト厚み方向のズレ量を測定し、ベルト背面から心線の中心までの距離がどの程度変動しているかを評価した。具体的な測定手順を以下に示す。まず、Vリブドベルトを幅方向に平行に切断し、その断面をマイクロスコープで20倍に拡大して観察する。図3に示すように、ベルト背面から心線の直上までの距離(Lnt)と、ベルト背面から心線の直下までの距離(Lnb)とを、それぞれの心線について測定する。この際、測定の対象となる心線は、断面の全体が観察できる心線に限るものとし、断面の全体が観察できない(一部がベルト端面にかかっている)心線は測定の対象から除く。測定は、前記の測定の対象となる心線全て(n本:nは2以上の整数、本実施例では、n=9〜10)について行う。心線のベルト厚み方向のズレ量(:X)は、以下の式で計算する。計算結果を表3に示す。Xが小さい程、心線のベルト厚み方向の位置が安定していると判断できる。

0109

X2−1=|(L2t+L2b)−(L1t+L1b)|/2
X3−2=|(L3t+L3b)−(L2t+L2b)|/2
・・・
Xn−(n−1)=|(Lnt+Lnb)−(L(n−1)t+L(n−1)b)|/2
X=(X2−1+X3−2+・・・+Xn−(n−1))/(n−1)

0110

[耐久試験]
図4に示すように、外径120mmの駆動プーリ11、外径85mmのアイドラプーリ12、外径120mmの従動プーリ13、外径45mmのテンションプーリ14を順に配した試験機を用いて耐久試験を行った。試験機の各プーリにVリブドベルトを掛架し、アイドラプーリへのベルトの巻き付け角度が120°、テンションプーリへのベルトの巻き付け角度が90°、ベルト張力が395Nとなるように調節した。駆動プーリの回転数を4900rpm(回転方向は図の矢印の方向)、従動プーリの負荷を8.8kW、雰囲気温度を120℃とし、500時間を上限としてベルトを走行させた。ベルトの寿命(時間)を表3に示す。

0111

[24時間後強力保持率
走行時間を24時間とする以外は前記の耐久試験と同じ条件でベルトを走行させた。そして、走行前と走行後のVリブドベルトの引張強力を測定し、下記の式より24時間後強力保持率を求めた。引張強力の測定は万能試験機((株)島津製作所製「UH−200kNX」)を用いて、引張速度50mm/分の条件で行った。測定結果を表3に示す。

0112

24時間後強力保持率(%)=(走行後のVリブドベルトの引張強力/走行前のVリブドベルトの引張強力)×100

0113

0114

表3の結果から明らかなように、短繊維を多く配合し、Vmの高い伸張ゴムを用いた実施例1〜8では心線のベルト厚み方向のズレ量が小さく、耐久試験寿命が長く、24時間後強力保持率が高かった。なかでも、実施例3〜5がバランスに優れ、実施例5が最も優れていた。なお、実施例6はナイロン短繊維に替えて綿短繊維を配合した例であるが、実施例5と比較すると心線のベルト厚み方向のズレ量が大きく、24時間後強力保持率が若干低下したが、実用上は問題のないレベルであった。また、実施例7は実施例3よりも短繊維の割合が多い例であるが、心線のベルト厚み方向のズレ量は小さいが、ベルトに亀裂が入り易くなり、24時間後強力保持率が若干低下した。さらに、実施例8は、接着ゴム層を有する例であるが、心線のベルト厚み方向のズレ量が大きくなり、耐久試験寿命が低下した。

0115

一方、短繊維の配合量が少ない比較例1、Vmの低い比較例2では心線のベルト厚み方向のズレ量が大きく、耐久試験寿命が短かった。また、短繊維の配合量が多い比較例3では、心線のベルト厚み方向のズレ量は小さいが、ベルトに亀裂が入り易くなり、24時間後強力保持率が大きく低下した。

実施例

0116

なお、表3の短繊維量(質量部)は、伸張ゴム層用組成物においてゴム成分(EPDM)100質量部に対する割合を示している。

0117

本発明のVリブドベルトは、耐久性に優れ、自動車、自動二輪車農業機械などのVリブドベルトとして利用でき、高い伝動容量が求められる分野でも使用できるため、自動車の補機駆動用のVリブドベルトとして特に有用である。

0118

1…Vリブドベルト
2…圧縮ゴム層
3…芯体
4…伸張ゴム層
5…布帛

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