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技術 地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラント

出願人 三菱日立パワーシステムズ株式会社西日本技術開発株式会社地熱技術開発株式会社
発明者 福田憲弘齊藤象二郎辻井一記天野嘉春川副聖規大里和己
出願日 2019年4月22日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-081002
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-176590
状態 未査定
技術分野 化学反応及び燃焼によらない熱の発生又利用 地中削孔 特殊原動機
主要キーワード フラッシュサイクル 抽出流量 気相流体 液相流体 地熱発電プラント 組合せ条件 地熱流体 特性推定装置
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

坑井特性の変化を正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることのできる地熱発電プラントの坑井特性推定ステム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントを提供することを目的とする。

解決手段

坑井特性推定システムは、少なくとも1つの坑井2から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラント1が稼働している場合において、坑井2から噴気する圧力が変動した際に、圧力に対する地熱流体の蒸気流量及び地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得部と、取得部において取得した情報に基づいて、坑井から噴気する圧力、蒸気流量、及び熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定部とを備える。

概要

背景

地熱発電プラントでは、坑井から噴気する地熱流体(主として蒸気及び熱水混合流体)から分離した蒸気を蒸気タービンに導入して発電を行っている。このため、複数の坑井から抽出した地熱流体を合流して利用するにあたり、各坑井における坑井特性(噴気流体の圧力と流量の特性)に基づいて噴気される地熱流体の流量等を制御し、発電電力最大化等を図る坑井管理が行われている(例えば、特許文献1)。

概要

坑井特性の変化を正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることのできる地熱発電プラントの坑井特性推定ステム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントを提供することを目的とする。坑井特性推定システムは、少なくとも1つの坑井2から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラント1が稼働している場合において、坑井2から噴気する圧力が変動した際に、圧力に対する地熱流体の蒸気流量及び地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得部と、取得部において取得した情報に基づいて、坑井から噴気する圧力、蒸気流量、及び熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定部とを備える。

目的

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、坑井特性の変化を正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることのできる地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラント稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得部と、前記取得部において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定部と、を備える地熱発電プラントの坑井特性推定ステム

請求項2

前記推定部は、複数の前記坑井の各々に対して、前記坑井特性を推定する請求項1に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項3

前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気合計流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の合計流量を取得し、前記推定部は、蒸気の合計流量と熱水の合計流量に基づいて、回帰分析により、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定する請求項2に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項4

前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気の一部合計流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の一部合計流量を取得し、前記推定部は、蒸気の一部合計流量と熱水の一部合計流量に基づいて、回帰分析により、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定する請求項2に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項5

前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気の流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の流量を取得し、前記推定部は、蒸気の流量と熱水の流量に基づいて、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定する請求項2に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項6

特定の前記坑井に対して設けられた前記地熱流体の流量調整弁開度を所定量だけ調整すると共に、前記調整による発電量変動分を抑制するように他の前記坑井に対して設けられた前記地熱流体の流量調整弁を制御する弁制御部を備え、前記取得部は、前記弁制御部によって各流量調整弁の制御が実行された後に前記情報を取得する請求項2から5のいずれか1項に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項7

過去所定期間において推定された各前記坑井の前記坑井特性に基づいて、各前記坑井の相関関係演算する相関演算部を備える請求項2から6のいずれか1項に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項8

推定した各前記坑井の前記坑井特性を用いて、各前記坑井から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各前記坑井から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定範囲内となるように各前記坑井の噴気圧力の組合せを決定する最適化部を備えた請求項2から7のいずれか1項に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システム。

請求項9

坑井から噴気された地熱流体を蒸気と熱水に分離する分離器と、分離器により分離された蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンと回転連結された発電機と、請求項1から8のいずれか1項に記載の地熱発電プラントの坑井特性推定システムと、を備えた地熱発電プラント。

請求項10

少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラントが稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定工程と、を含む地熱発電プラントの坑井特性推定方法

請求項11

少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラントが稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得処理と、前記取得処理において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定処理と、をコンピュータに実行させるための地熱発電プラントの坑井特性推定プログラム

技術分野

0001

本発明は、地熱発電プラント坑井性推定ステム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントに関するものである。

背景技術

0002

地熱発電プラントでは、坑井から噴気する地熱流体(主として蒸気及び熱水混合流体)から分離した蒸気を蒸気タービンに導入して発電を行っている。このため、複数の坑井から抽出した地熱流体を合流して利用するにあたり、各坑井における坑井特性(噴気流体の圧力と流量の特性)に基づいて噴気される地熱流体の流量等を制御し、発電電力最大化等を図る坑井管理が行われている(例えば、特許文献1)。

先行技術

0003

特開平2−232495号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、坑井の運用にあたり、例えば竣工時に行われる噴気試験初期に行われる試験等)により初期の坑井特性(噴気圧力(坑口圧力)に対して蒸気流量と熱水流量とを関係付けた特性)を取得する。初期の坑井特性が取得された後は、継続して運用されるために途中で坑井特性の計測を行わないことが多い。坑井が発電設備系統併入された後(発電プラント稼働後)では、坑井特性を取得するために坑井を発電設備系統から解列等しなければならず、坑井の解列により発電電力の低下等を招く恐れがあるため、特別な事情が無い限り坑井特性を取得することは容易ではなかった。すなわち、運用に伴う坑井特性の変化を把握することはなかった。

0005

一方、坑井は、地熱蒸気抽出流量を増加しすぎると坑井の減衰が大きくなる場合があり、地熱蒸気の抽出流量を絞って圧力を上げすぎると流量が急に低下する場合がある。このため、坑井特性が変化しているにも関わらず、過去に取得した坑井特性に基づいて坑井管理を行った場合には、坑井の制御が不適切となる場合があり、坑井の減衰(短寿命化)を促進させる可能性があった。特定の坑井が減衰してしまうと、発電電力の低下等を避けるために減衰した坑井に代わる新たな坑井の掘削が必要となり、コストの増加を招く可能性もある。このため、坑井管理は、熟練者と経験のもとで運用されることが多く、坑井の噴気圧力と蒸気流量の適正な調整と、坑井の長寿命化が課題となっている。

0006

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、坑井特性の変化を正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることのできる地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明の第1態様は、少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラントが稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得部と、前記取得部において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定部と、を備える地熱発電プラントの坑井特性推定システムである。

0008

上記のような構成によれば、坑井特性は運用に従って変化するものの、地熱発電プラントの稼働中は坑井特性を取得することが困難であったが、運用中に取得した複数の情報により坑井特性を容易に推定することが可能となる。すなわち、坑井の坑井特性をより正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることができ、より効率的に坑井管理を行うことが可能となる。より正確に坑井管理を行うことによって、坑井の長寿命化等を図ることが可能となる。

0009

また、発電プラントが稼働中に取得可能な坑井における噴気圧力、地熱流体の蒸気流量、及び地熱流体の熱水流量の複数の情報に基づいて坑井特性を推定するため、例えば、坑井を発電設備系統に併入したままであっても坑井特性を把握することが可能となる。

0010

上記坑井特性推定システムにおいて、前記推定部は、複数の前記坑井の各々に対して、前記坑井特性を推定することとしてもよい。

0011

上記のような構成によれば、複数の坑井に対して、各々の坑井における坑井特性を推定するため、各々の坑井特性をより正確に把握して、各々の坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることができ、各坑井の管理を効果的に行うことが可能となる。

0012

上記坑井特性推定システムにおいて、前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気の合計流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の合計流量を取得し、前記推定部は、蒸気の合計流量と熱水の合計流量に基づいて、回帰分析により、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定することとしてもよい。

0013

上記のような構成によれば、坑井特性を推定するための情報として、各坑井から噴気された地熱流体における蒸気の合計流量及び各坑井から噴気された地熱流体における熱水の合計流量を取得して、回帰分析等により、各坑井の圧力と、蒸気流量と熱水流量の関係を示す坑井特性を推定することとしたため、流量計等の計測器を最小限に抑制しつつ、坑井特性を推定することが可能となる。

0014

上記坑井特性推定システムにおいて、前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気の一部合計流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の一部合計流量を取得し、前記推定部は、蒸気の一部合計流量と熱水の一部合計流量に基づいて、回帰分析により、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定することとしてもよい。

0015

上記のような構成によれば、坑井特性を推定するための情報として、例えば、複数の坑井のうちの少なくとも一部の坑井から噴気された地熱流体を1つの気水分離器に集めるシステムなど、一部の坑井に対して、各坑井から噴気された地熱流体における蒸気の一部合計流量及び各坑井から噴気された地熱流体における熱水の一部合計流量を取得して、回帰分析等により、各坑井の圧力と、蒸気流量と熱水流量の関係を示す坑井特性を推定することとした。このため、例えば、各坑井から噴気された地熱流体における蒸気の合計流量を取得する場合と比較して、各坑井の坑井特性の推定精度を向上させることができる。

0016

上記坑井特性推定システムにおいて、前記取得部は、前記蒸気流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における蒸気の流量を取得し、前記熱水流量に係る前記情報として、各前記坑井から噴気された前記地熱流体における熱水の流量を取得し、前記推定部は、蒸気の流量と熱水の流量に基づいて、各前記坑井に対する前記坑井特性を推定することとしてもよい。

0017

上記のような構成によれば、坑井特性を推定するための情報として、各坑井から噴気された地熱流体における蒸気の流量及び各坑井から噴気された地熱流体における熱水の流量を取得することとしたため、各坑井の坑井特性を精度よく推定することが可能となる。

0018

上記坑井特性推定システムにおいて、特定の前記坑井に対して設けられた前記地熱流体の流量調整弁開度を所定量だけ調整すると共に、前記調整による発電量変動分を抑制するように他の前記坑井に対して設けられた前記地熱流体の流量調整弁を制御する弁制御部を備え、前記取得部は、前記弁制御部によって各流量調整弁の制御が実行された後に前記情報を取得することとしてもよい。

0019

上記のような構成によれば、特定の坑井の流量調整弁を所定量だけ変化させた場合に、他の坑井の流量調整弁を制御して、地熱発電プラントの発電量の変動を抑制することとしたため、発電量をほとんど変動させることなく、特定の坑井の流量調整弁の調整に伴う噴気圧力、蒸気流量や熱水流量の変動量を取得することが可能となる。すなわち、発電量をほとんど変動させることなく、取得した情報に基づいて坑井特性を推定することが可能となる。

0020

上記坑井特性推定システムにおいて、過去所定期間において推定された各前記坑井の前記坑井特性に基づいて、各前記坑井の相関関係演算する相関演算部を備えることとしてもよい。

0021

上記のような構成によれば、各坑井は、地下貯留層において導通している場合など独立でないことがあり、各坑井の相関関係を発見することは困難であったが、過去所定期間において推定した各坑井の坑井特性を参照することによって各坑井の相関関係を発見することが期待できる。例えば、発見した相関関係を用いて地熱流体の貯留層モデル等を修正することで、地熱流体の地下での貯留層の状態をより正確に把握して、各坑井の相関関係を考慮しながら、各坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることも可能となる。

0022

上記坑井特性推定システムにおいて、推定した各前記坑井の前記坑井特性を用いて、各前記坑井から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各前記坑井から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定範囲内となるように各前記坑井の噴気圧力の組合せを決定する最適化部を備えたこととしてもよい。

0023

上記のような構成によれば、坑井特性を用いることで各坑井の特性を正確に把握して、各坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることが可能となるため、蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲内で最小値に近づくような各坑井の熱水の流量値の組合せを推定することが可能となる。各坑井から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲内で最小値に近づくように各坑井からの熱水の流量値を選定して設定する。これにより、各坑井の短寿命化を抑制することが可能となる。

0024

本発明の第2態様は、坑井から噴気された地熱流体を蒸気と熱水に分離する分離器と、前記分離器により分離された蒸気により回転駆動する蒸気タービンと、前記蒸気タービンと回転連結された発電機と、上記の地熱発電プラントの坑井特性推定システムと、を備えた地熱発電プラントである。

0025

本発明の第3態様は、少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラントが稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得工程と、前記取得工程において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定工程と、を含む地熱発電プラントの坑井特性推定方法である。

0026

本発明の第4態様は、少なくとも1つの坑井から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラントが稼働している場合において、前記坑井から噴気する圧力が変動した際に、前記圧力に対する前記地熱流体の蒸気流量及び前記地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する取得処理と、前記取得処理において取得した前記情報に基づいて、前記坑井から噴気する前記圧力、前記蒸気流量、及び前記熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する推定処理と、をコンピュータに実行させるための地熱発電プラントの坑井特性推定プログラムである。

発明の効果

0027

本発明によれば、坑井特性の変化を正確に把握して、坑井から噴気する地熱流体の流量を適正にすることができるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0028

本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定システムを備えた地熱発電プラントの概略構成を示す図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性の一例を示した図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性の変動例を示した図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定装置により推定した坑井特性の例を示した図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定装置における得点付けの例を示した図である。
本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定装置の処理のフローチャートを示す図である。
本発明の第2実施形態に係る坑井特性推定装置が備える機能を示した機能ブロック図である。
本発明の第3実施形態に係る坑井特性推定装置が備える機能を示した機能ブロック図である。

実施例

0029

〔第1実施形態〕
以下に、本発明に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントの第1実施形態について、図面を参照して説明する。坑井特性推定システムは、坑井2から噴気される地熱流体によって発電を行う地熱発電プラントであれば幅広く適用できるものであって、以下に説明する構成の地熱発電プラントのみに適用を限定されるものではない。また、坑井特性推定システム(坑井特性推定装置20)は、少なくとも取得部21と推定部22とを備えて構成されていればよい。

0030

図1は、本発明の第1実施形態に係る坑井特性推定システムを備えた地熱発電プラント1の概略構成を示す図である。本実施形態では、例えば坑井2を3つ設ける場合について説明する。なお、図1に示す地熱発電プラント1は、例えばフラッシュサイクル型の地熱発電プラントであるが、坑井特性推定システムは、バイナリサイクル型など他の構成の地熱発電プラントであっても同様に適用することが可能である。また、図1では、例えば坑井2を3つ設け、気水分離器5を3つ設け、還元井19を1つ設けることとしているが、坑井2は少なくとも1つ設けられれば、上記の構成に限らず本発明を適宜適用することが可能である。

0031

本実施形態に係る地熱発電プラント1は、図1に示すように、地熱流体輸送管二相流体輸送管)3と、噴気流量調整弁(以下、単に「流量調整弁4」という。)と、気水分離器5と、熱水管6と、蒸気管7と、蒸気タービン8と、復水器10と、冷却塔11とを主な構成として備えている。また、地熱発電プラント1には、図2に示すような坑井特性推定装置(坑井特性推定システム)20が適用される。

0032

地熱流体輸送管3は、坑井(地熱坑井)2から噴気された地熱流体を気水分離器5へ導く管である。地下にはマグマ溜りが形成されており、この熱によって地下に浸透した雨水や流入した地下水等が加熱され地熱貯留層が形成される。地熱貯留層には、地熱流体が溜まっており、坑井2によって地上へ取り出される。地熱流体輸送管3は、坑井2を介して地熱貯留層から気水分離器5へ地熱流体を輸送している。なお、地熱流体とは、主として蒸気と熱水からなる二相混合流体である。

0033

流量調整弁(噴気流量調整弁)4は、地熱流体輸送管3上に設けられており、坑井2から気水分離器5へ流入する地熱流体の流量(噴気量)を調整している。なお、流量調整弁4の調整により坑井2の噴気圧力を調整することもできる。

0034

また、地熱流体輸送管3上には、流量調整弁4の地熱流体流れの上流側に、噴気圧力(坑口圧力)を計測する圧力計16が設けられている。圧力計16では、坑井2から噴気される地熱流体の圧力を計測している。なお、地熱流体輸送管3上における地熱流体流れの最も上流側(坑井2出口付近)に、開閉弁13を設け、地熱流体の導通状態(導通状態または非導通状態)を制御することとしてもよい。

0035

気水分離器5は、地熱流体輸送管3により供給された二相混合流体である地熱流体を、蒸気と熱水に分離する装置(セパレータ)である。気水分離器5によって分離された熱水は熱水管6に導かれ、気水分離器5によって分離された蒸気は蒸気管7へ導かれる。

0036

熱水管6は、気水分離器5によって分離された熱水を還元井19へ導く管である。還元井19を介して地下の地熱貯留層に熱水を還すことで、地下の地熱貯留層における地熱流体の枯渇を抑制する。各気水分離器5によって分離された熱水は熱水管6で合流し、ポンプ14を介して還元井19へ圧送される。なお、自圧によって還元井19へ圧送可能な場合には、ポンプ14を用いなくてもよい。また、還元井19に送られる熱水の流量は、熱水管6上に設けた流量計17によって計測される。なお、本実施形態では、各気水分離器5によって分離された熱水が合流した後の熱水の流量(合計流量)を計測して回帰分析等により、各坑井の熱水流量を推定する場合について説明するが、各気水分離器5によって分離された熱水の流量をそれぞれ計測することとしてもよい。また、還元井19が複数設けられることとしてもよい。

0037

蒸気管7は、気水分離器5によって分離された蒸気を蒸気タービン8へ導く管である。各気水分離器5によって分離された蒸気は、蒸気管7で合流して蒸気タービン8へ供給される。また、蒸気タービン8に送られる蒸気の流量は、蒸気管7上に設けた流量計18によって計測される。なお、本実施形態では、各気水分離器5によって分離された蒸気が合流した後の蒸気の流量(合計流量)を計測して回帰分析等により、各坑井の蒸気流量を推定する場合について説明するが、各気水分離器5によって分離された蒸気の流量をそれぞれ計測することとしてもよい。また、蒸気管7には、各気水分離器5によって分離された蒸気が合流した後の蒸気に対して流量調整弁15を設け、蒸気タービン8への蒸気の供給流量を制御することとしてもよい。

0038

蒸気タービン8は、蒸気管7により供給された蒸気のエネルギーによってタービン翼を回転駆動させ、タービン翼の回転軸に接続された発電機9を回転駆動して発電を行う。

0039

復水器10は、蒸気タービン8において仕事をし終えた蒸気を冷却水で冷却することで凝縮して復水する装置である。凝縮された復水(温水)は、冷却塔11へ供給される。

0040

冷却塔11は、復水器10において凝縮された温水を蒸発冷却する装置である。具体的には、冷却塔11に供給された温水は冷却塔11上部の散布部から散布される。散布された温水は、冷却塔11の送風機によって流通する空気と接触することで一部が蒸発し、この蒸発に伴う潜熱によって他の温水が冷やされて水になる。冷やされた水は、冷却塔水として冷却塔11の水槽貯水される。水槽に貯水されている冷却塔水は、ポンプ12を介して冷却水として復水器10へ供給される。

0041

坑井特性推定装置20は、地熱発電プラント1に設けられた各坑井2に対して坑井特性を推定する。特に、坑井特性推定装置20は、地熱発電プラント1が稼働している場合にあっても、坑井特性を推定することが可能な装置である。なお、地熱発電プラント1が稼働している場合とは、地熱発電プラント1が竣工後、各坑井2が併入されている状態である。また、地熱発電プラント1が稼働している場合とは、坑井から噴気された地熱流体が地熱発電プラント1内へ流通している状態であり、例えば少なくとも圧力計16や流量計17、18によって計測が可能な状態であればよい。

0042

坑井特性推定装置20は、例えば、図示しないCPU(中央演算装置)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等から構成されている。後述の各種機能を実現するための一連の処理の過程は、プログラム形式で記録媒体等に記録されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、後述の各種機能が実現される。なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク光磁気ディスクCD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。

0043

図2は、坑井特性推定装置20が備える機能を示した機能ブロック図である。図2に示されるように、坑井特性推定装置20は、取得部21と、推定部22と、最適化部23とを備えている。

0044

取得部21は、少なくとも1つの坑井2から噴気された地熱流体を用いて発電を行う地熱発電プラント1が稼働している場合にあって、坑井2から噴気する圧力(噴気圧力)が変動した際に、該圧力に対する地熱流体の蒸気流量及び地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する。例えば特定の坑井2に対して、何等かの目的で流量調整弁4の操作が行われた場合には、噴気圧力が変動し、蒸気流量や熱水流量が変動する。取得部21は、このような噴気圧力の変動の機会に、噴気圧力の値に対する蒸気流量の値や熱水流量の値を情報として取得する。
図1に示すように、本実施形態では、例えば坑井2を3つ設けることとし、各坑井2の噴気圧力を計測する圧力計16、熱水の合計流量を計測する流量計17、及び蒸気の合計流量を計測する流量計18を設けることとしている。このため、取得部21は、坑井2における噴気圧力に係る情報として、圧力計16から各坑井2の噴気圧力を取得する。また、取得部21は、蒸気流量に係る情報として、流量計18から、各坑井2から噴気された地熱流体における蒸気の合計流量を取得し、熱水流量に係る情報として、流量計17から、各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の合計流量を取得する。取得された各種情報は推定部22へ出力される。推定部22では、回帰分析等により、坑井2ごとでの噴気圧力、蒸気流量と熱水流量を推定する。

0045

なお、取得部21において取得する地熱流体の蒸気流量に係る情報及び地熱流体の熱水流量に係る情報については、合計流量の取得に限定されず適宜変更可能である。例えば、蒸気の流量計及び熱水の流量計を坑井2ごとに設けることとしてもよい。この場合には、取得部21は、蒸気流量に係る情報として、各坑井2から噴気された地熱流体における蒸気の流量を取得し、熱水流量に係る情報として、各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の流量を取得する。なお、坑井2ごとの各流量が計測できれば、気水分離器5の上流側及び下流側のどちらでも計測器を設けることが可能である。また、気水分離器5の上流側に流量計を設ける場合には、計測対象が二相混合流体であるため、二相流量計を設けることとしてもよい。二相流量計とは、二相混合流体を計測対象として、二相混合流体における液相流体(熱水)の流量と気相流体(蒸気)の流量を計測可能な計測器である。

0046

また、例えば、複数の坑井2に対して1つの気水分離器5が設けられる場合や、1つの坑井2に対して複数の気水分離器5が設けられる場合等には、蒸気の流量計及び熱水の流量計を気水分離器5ごとに設けることとしてもよい。この場合、複数の坑井2のうちの少なくとも一部からなる一部の坑井2を対象として、取得部21では、蒸気流量に係る情報として、各坑井2から噴気された地熱流体における蒸気の一部合計流量を取得し、熱水流量に係る情報として、各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の一部合計流量を取得する。

0047

すなわち、取得部21において取得される坑井2における噴気圧力に係る情報、地熱流体の蒸気流量に係る情報、及び地熱流体の熱水流量に係る情報については、後述するように、各坑井2に対応した噴気圧力、蒸気流量、及び熱水流量を特定可能な情報であれば、上記に限られず適用することができる。

0048

推定部22は、取得部21において取得した情報に基づいて、坑井2から噴気する圧力、蒸気流量、及び熱水流量の関係を示す坑井特性を推定する。本実施形態において、推定部22は、複数の坑井2に対して最近の指定期間(過去所定期間)で、推定部22で取得した蒸気流量に係る情報及び熱水流量に係る情報を用いて、坑井特性を推定する。最近の指定期間とは、例えば最近の1ヶ月から6ヶ月や最近の1年間などである。坑井特性とは、各坑井2特有の噴気特性であって、例えば、図3に示すように、噴気圧力(坑口圧力)に対して、蒸気の流量及び熱水の流量を関係づけた特性である。実線が蒸気流量を、破線が熱水流量を示している。地熱流体を噴気する坑井2では、運用によって坑井特性が経時的に変化する場合がある。坑井2の運用にあたり、例えば竣工時に行われる噴気試験により初期の坑井特性を計測する。例えば、図3に示す坑井特性を初期特性とすると、坑井2が地熱発電プラント1に併入された後の運用に伴って図4のように坑井特性は変化する。しかしながら坑井2が地熱発電プラント1に併入された後では、坑井特性を取得するためには坑井2を地熱発電プラント1から解列等しなければならず、坑井の解列により発電電力の低下等を招く恐れがあり、特別な事情が無い限り坑井特性を取得することはないため、変化後の坑井特性を正確に把握することが困難である。

0049

一方、坑井2は、地熱蒸気の抽出流量を増加しすぎると坑井の減衰が大きくなる場合があり、地熱蒸気の抽出流量を絞って圧力を上げすぎると流量が急に低下する場合がある。このため、坑井特性が変化しているにも関わらず、過去に取得した坑井特性に基づいて坑井管理を行った場合には、正しい坑井管理ができず坑井2の減衰(短寿命化)の促進を招く恐れがあった。そこで、推定部22は、坑井2が地熱発電プラント1に併入された状態であっても取得可能な情報に基づいて、最近の指定期間での(運用に伴う変化後の)坑井特性を推定する。

0050

推定部22で取得する噴気圧力に対する蒸気流量に係る情報、熱水流量に係る情報は、次のような場合に取得される。例えば特定の坑井2に対する流量調整弁4の操作が行われた場合、噴気圧力や、蒸気流量、熱水流量は変動する。このため、取得部21は、何等かの目的で坑井2に対する流量調整弁4の操作が行われた場合に、各計測器から計測値を取得し、推定部22へ出力する。本実施形態では、各坑井2に設けた圧力計16、蒸気の合計流量を計測する流量計18、熱水の合計流量を計測する流量計17を設けているため、推定部22には、流量調整弁4の操作によって変化した各坑井2の噴気圧力、蒸気の合計流量、及び熱水の合計流量がセットとして入力される。なお、該セットには、取得した日時や、操作された流量調整弁4に対応する坑井2の識別情報も合わせて入力されることが好ましい。また、推定部22には、流量調整弁4の操作による変化前と変化後の各坑井2の噴気圧力、蒸気の合計流量、及び熱水の合計流量がセットとして入力されることとしてもよい。

0051

そして、推定部22では、蒸気の合計流量及び熱水の合計流量に基づいて、回帰分析等により、坑井2ごとでの各坑井2における噴気圧力、蒸気流量及び熱水流量を推定する。具体的には、操作された流量調整弁4に対応する坑井2の識別情報に基づくことで、どの流量調整弁4(坑井2)の影響によって合計流量が変動したかを把握することができる。このため、変化した合計流量に対して回帰分析等を行うことにより各坑井2に対する蒸気の流量と熱水の流量を推定することができる。

0052

このように、推定部22では、特定の坑井2に対する流量調整弁4の操作が行われるなどで噴気圧力に変化を生じた場合に、各坑井2の噴気圧力と、蒸気流量と、熱水流量とをセットで収集して蓄積する。そして、推定部22では、最近の指定期間(例えば1ヶ月から6ヶ月、1年間など)において収集して蓄積した情報(各坑井2の噴気圧力と、蒸気流量と、熱水流量との関係に係る情報)に基づいて、各坑井2の坑井特性を推定する。推定部22は、最近の指定期間において、各坑井2の噴気圧力と蒸気流量と熱水流量との関係に係る情報を複数取得し、各坑井2の坑井特性を推定する。

0053

任意の坑井2に対して、最近の指定期間において取得した噴気圧力と、蒸気流量と、熱水流量との関係(実測)をプロットした図を図5に示す。図5に示すように、最近の指定期間における各坑井2の噴気圧力と、蒸気流量と、熱水流量との関係(実測)を用いることによって、任意の坑井2における最近の指定期間での坑井特性の傾向を得ることができる。このため、推定部22は、最近の指定期間内において取得した噴気圧力と蒸気流量と熱水流量との関係に対して解析統計分析等)を行うことによって、各坑井2の最近の指定期間での坑井特性を推定する。なお、解析については、最小二乗法最尤推定法等のフィッティング手法を用いることとしてもよいし、機械学習を行った学習済みモデルを用いて各坑井2の最近の指定期間での坑井特性を推定することも可能である。解析に用いる複数の情報は、取得した噴気圧力と蒸気流量と熱水流量との関係に加えて、例えば竣工時に行われる噴気試験による初期の特性で得られた特性の特徴(例えば上が凸状の二次曲線等)を考慮してもよい。

0054

推定部22では、上記のような処理を行うことで各坑井2の坑井特性を推定する。推定された各坑井2の坑井特性は、坑井管理のために最適化部23で使用される。

0055

最適化部23は、推定した各坑井2の坑井特性を用いて、各坑井2の運用状態の最適化を行う。具体的には、最適化部23は、推定した各坑井2の坑井特性を用いて、各坑井2から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲内で最小値に近づくように各坑井2の噴気圧力の組合せを決定する。噴気された蒸気の合計流量を一定とすることで、地熱発電プラント1の発電量は一定に維持され、噴気された熱水の合計流量を少なくすることで、坑井2の減衰を抑制して坑井2を長寿命化できる効果がある。一方、熱水の合計流量が小さくするために噴気圧力を大きくしすぎると坑井2の噴気が停止する場合があるので、熱水の合計流量の最小値は合計流量が小さすぎる範囲を含まないものである。
最適化部23は、各坑井2の坑井特性を参照することによって、各坑井2における噴気圧力と蒸気流量と熱水流量との関係を把握することができる。このため、最適化部23は、各坑井2の坑井特性に基づいて、最適条件(各坑井2から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲以内となる状態)となる各坑井2の噴気圧力の組合せを推定する。なお、最小値を含む所定の範囲以内とは、下限値が熱水流量の低下による坑井噴気の停止を含まない値であり、所定の範囲は、上限値が坑井2の減衰が大きくなり坑井2が短寿命化するものを含まない範囲で、両条件を満たし最小値に近くとなるように設定される。

0056

そして、推定された各坑井2の噴気圧力の組合せに基づいて各坑井2の流量調整弁4を制御することによって、地熱発電プラント1の各坑井2の運用状態の組合せを最適化することが可能となる。すなわち、各坑井2から噴気された蒸気の合計流量を一定として地熱発電プラント1の発電量は一定に維持される場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値となるように坑井管理が行われることで、必要な蒸気流量を保ちつつ、熱水流量過多による坑井2の減衰を抑制して坑井2を長寿命化することが可能となる。

0057

ここで、この各坑井2の噴気圧力の組合せの適正化のために、最適化部23は、各坑井2の熱水の流量に対して得点付けを行うことで、選択を容易にする。坑井2から噴気される熱水の流量は、少なすぎると圧力が急低下して噴気が停止してしまう可能性があり、一方で、多すぎると坑井2の減衰が促進されてしまう可能性がある(不適理由)。このため、該不適理由を考慮し、各坑井2に対応して図6に示すような得点重み関数を設定する。図6に示す得点重み関数は、縦軸を重み(得点)、横軸を熱水流量の最大値に対する熱水流量の比(熱水流量比)として、不適理由を考慮して上に凸の関数となっている。すなわち、熱水流量が少なすぎる領域及び熱水流量が多すぎる領域では、重み(得点)が低く設定される。なお、坑井2の運用において、熱水の流量が過度に少なすぎると噴気が停止する可能性があるものの、坑井2の減衰を抑制して長期運用を図るためにはなるべく熱水流量を抑える方が好ましい。このため、得点重み関数は、上に凸となっているものの、熱水流量がより少ない領域に極大値が設定されることが好ましい。最適化部23では、得点重み関数によって各坑井2の熱水流量を得点化する。

0058

なお、各坑井2では特性が異なるため、図6のような得点重み関数は坑井2ごとに設定され、坑井2ごとに評価されることが好ましいが、各坑井2に対して統一的に得点重み関数を設定することとしてもよい。

0059

そして、最適化部23は、発電要求に応じて、複数の坑井2を構成する各坑井2から噴気された蒸気の合計流量(蒸気タービン8に供給される蒸気の流量)を設定し、設定した蒸気の合計流量を一定とした場合に、重み得点の合計が最も高くなる各坑井2の噴気圧力の組合せを特定する。具体的には、最適化部23は、複数の坑井2に対して、蒸気の合計流量が一定の条件のもとで各坑井2に対して蒸気流量を割り当てる。そして、各坑井2では、推定した坑井特性に基づいて、割り当てられた蒸気流量に対応する噴気圧力及び熱水流量を特定し、特定した熱水流量を得点化する。そして、各坑井2の噴気圧力の組合せ条件に対して、各坑井2において評価した得点を合計する。

0060

このように、最適化部23は、各坑井2に対する蒸気流量の割り当てパターン複数通り設定し、同様に熱水流量を得点化して合計を算出して、各坑井2の噴気圧力の組合せ条件での得点の合計値とする。上記の演算から、各坑井2の噴気圧力の組合せ条件の複数のパターンにおいて得点の合計値が算出されるため、算出した合計得点の最も高いパターンを特定し、特定したパターンにおける各坑井2の噴気圧力の組合せを特定する。このようにすることで、最適条件(各坑井2から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲以内となる状態)となる各坑井2の噴気圧力の組合せを推定することが可能となる。

0061

推定した各坑井2の噴気圧力の組合せとなるように各坑井2の流量調整弁4が制御され、各坑井2の運用状態が最適化される。なお、各坑井2の流量調整弁4の制御は、自動的に実行されてもよいし、運転員等によって手動で実行されてもよい。

0062

次に、上述の坑井特性推定装置20による処理について図7を参照して説明する。図7に示すフローは、坑井特性の推定開始指示が例えば地熱発電プラント1の運転員等によって指示された場合に実行される。なお、坑井特性の推定開始指示は、地熱発電プラント1に組み込まれたシステムより自動的に指示されてもよい。

0063

まず、坑井2における噴気圧力、地熱流体の蒸気流量、及び地熱流体の熱水流量に係る情報を取得する(S101)。具体的には、各坑井2の噴気圧力、各坑井2から噴気された地熱流体における蒸気の合計流量、各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の合計流量を取得する。

0064

そして、取得した各坑井2から噴気された地熱流体における噴気圧力、蒸気の合計流量、及び各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の合計流量に基づいて、各坑井2における噴気圧力、蒸気流量及び熱水流量を推定する(S102)。なお、S102は、各坑井2における蒸気流量及び熱水流量を計測器により計測する場合には省略することが可能である。

0065

そして、各坑井2の噴気圧力、蒸気流量、及び熱水流量に基づいて、各坑井2の坑井特性を推定する(S103)。

0066

そして、推定した各坑井特性に基づいて、最適条件(各坑井2から噴気された蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲以内となる状態)となる各坑井2の噴気圧力の組合せを推定する(S104)。

0067

なお、推定された各坑井2の噴気圧力の組合せを用いて自動的に各坑井2の流量調整弁4を制御することしてもよいし、各坑井2の噴気圧力の組合せを運転員等に通知して人為的に各坑井2の流量調整弁4を調整することとしてもよい。

0068

以上説明したように、本実施形態に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントによれば、坑井特性は、従来は坑井2の運用に従って経時的に変化するものの地熱発電プラント1の稼働中は取得することが困難であったが、本実施形態の坑井特性推定装置20の推定部22により坑井特性を容易に推定することが可能となる。すなわち、坑井2の坑井特性をより正確に把握して、坑井2から噴気する地熱流体の流量を適正にすることができ、より効率的に坑井管理を行うことが可能となる。より正確に坑井管理を行うことによって、坑井2の長寿命化等を図ることが可能となる。また、地熱発電プラント1が稼働中に取得可能な坑井2における噴気圧力、地熱流体の蒸気流量、及び地熱流体の熱水流量に係る複数の情報に基づいて坑井特性を推定するため、例えば、坑井2を地熱発電プラント1に併入したままであっても坑井特性を把握することが可能となる。

0069

また、坑井特性を推定するための情報として、各坑井2から噴気された地熱流体における蒸気の合計流量及び各坑井2から噴気された地熱流体における熱水の合計流量を取得して、回帰分析等により、坑井2ごとでの噴気圧力、蒸気流量と熱水流量を推定することとしたため、流量計等の計測器を最小限に抑制しつつ、坑井特性を推定することが可能となる。

0070

また、坑井特性を用いることで各坑井2の特性を正確に把握することが可能となるため、蒸気の合計流量を一定とした場合に、各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲内で最小値に近づくような各坑井2の噴気圧力の組合せ、もしくは熱水の流量値の組合せを推定することが可能となる。各坑井2から噴気された熱水の合計流量が最小値を含む所定の範囲内で最小値に近づくように各坑井2の熱水の流量値を設定することで、坑井2の短寿命化を抑制することが可能となる。

0071

〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントについて説明する。
上述した第1実施形態において、取得部21は何等かの目的で坑井2に対する流量調整弁4の操作が行われた場合に各計測器から計測値を取得していたが、本実施形態では、意図的に流量調整弁4を制御して各計測器から計測値を取得する場合について説明する。以下、本実施形態に係る地熱発電プラント1の坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラント1について、第1実施形態と異なる点について主に説明する。

0072

本実施形態における坑井特性推定装置20では、図8に示すように、弁制御部24を備える。

0073

弁制御部24は、特定の坑井2に対して設けられた地熱流体の流量調整弁4の開度を所定量だけ調整すると共に、該調整による発電量変動分を抑制するように他の坑井2に対して設けられた地熱流体の流量調整弁4を制御する。すなわち、弁制御部24は、意図的に特定の坑井2の流量調整弁4を制御して噴気圧力等を変動させ、積極的に取得部21による情報取得を実行させるものである。

0074

このために、弁制御部24は、まず、流量調整弁4を制御する坑井2を決定する。なお、坑井2の決定については、特に坑井特性を取得したい坑井2としてもよいし、全ての坑井2に対して例えば地熱流体流量の大きく流量調整弁4の開度の変化可能量が大きいものから順番に行うなど、適宜決定した順番に処理を行うこととしてもよい。そして、弁制御部24は、特定の坑井2の流量調整弁4の開度を所定量分調整する。所定量については、流量調整弁4の調整によって噴気圧力等の変化が十分に確認できる開度変動量に設定される。また、地熱発電プラント1の運転員等によって所定量が設定されてもよい。

0075

特定の流量調整弁4を制御することにより、蒸気量が大きく変動し地熱発電プラント1の発電量が変動してしまう可能性があるため、弁制御部24は、特定の坑井2の流量調整弁4を調整する場合に、該調整によって発生する発電量変動分を抑制するように、他の坑井2の流量調整弁4の制御量を決定する。例えば、弁制御部24は、特定の坑井2の流量調整弁4を調整した場合に発生した蒸気流量の変動量を打ち消すように、他の坑井2で必要な蒸気流量の変動量を坑井特性を用いて算出し、これらの他の坑井2の流量調整弁4の制御量を決定する。

0076

このようにすることで、特定の坑井2の流量調整弁4を調整したとしても、他の坑井2の流量調整弁4の制御によって発電量変動量を抑制することができるため、地熱発電プラント1の発電量をほとんど変動させることなく、特定の坑井2の流量調整弁4の調整に伴う噴気圧力や蒸気流量、熱水流量を取得することが可能となる。また、他の坑井2の流量調整弁4の制御によって発電量変動を抑制するため、特定の坑井2については大きく開度を調整することが可能となり、特定の坑井2の流量調整弁4の調整に伴う噴気圧力や蒸気流量、熱水流量をより幅広く取得することが可能となる。すなわち、実運用における動作点から離れた動作条件の位置での坑井特性に関する情報を取得することが可能となる。

0077

そして、取得部21は、弁制御部24によって各流量調整弁4の制御が実行された後に情報を取得する。すなわち、取得部21では、弁制御部24による流量調整弁4の制御後の噴気圧力や蒸気流量、熱水流量を取得して蓄積する。

0078

以上説明したように、本実施形態に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントによれば、特定の坑井2の流量調整弁4を所定量だけ変化させた場合に、他の坑井2の流量調整弁4を制御して発電量変動を抑制することとしたため、地熱発電プラント1の発電量をほとんど変動させることなく、特定の坑井2の流量調整弁4の調整に伴う噴気圧力や蒸気流量、熱水流量の変動した情報を取得することが可能となる。すなわち、地熱発電プラント1の発電量をほとんど変動させることなく、取得した情報に基づいて坑井特性を推定することが可能となる。

0079

〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントについて説明する。
各坑井2は、地下の貯留層において互いに関係しており、特性が独立していない場合がある。このため、本実施形態では、各坑井2の相関関係を演算する。以下、本実施形態に係る地熱発電プラント1の坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラント1について、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明する。

0080

本実施形態における坑井特性推定装置20では、図9に示すように、相関演算部25を備える。なお、坑井特性推定装置20は、上記の弁制御部24を備えることとしてもよい。

0081

相関演算部25は、過去所定期間において推定された各坑井2の坑井特性に基づいて、各坑井2の相関関係を演算する。地下貯留層において、同じ地層水源としている場合には、例えば一方の坑井2の噴気量を上げると他方の坑井2の噴気量が下がるような相関関係のある現象が発生する場合がある。上述の坑井特性推定装置20では、各坑井2を地熱発電プラント1に併入した状態(例えば、各坑井2で噴気が行われている状態)における各坑井2の特性を取得可能なため、各坑井2の相関関係に係る情報が推定した坑井特性に含まれている可能性がある。

0082

そこで、相関演算部25では、過去所定期間(例えば、1年間、2年間など)において推定された各坑井2の坑井特性を互いに比較することによって、坑井2間における相関関係を演算する。

0083

具体的には、相関演算部25は、坑井特性の経時変化(変化の傾向)が似ている坑井2を特定する。坑井特性は、地下貯留層の状態に依存するため、坑井特性の経時変化が似ている坑井2同士は、互いに関連している可能性が高い。このため、発見した相関関係に基づいて地下貯留層の構造を解析することも可能となる。

0084

例えば発見した相関関係を用いて地熱流体の貯留層モデル等を修正することで、地熱流体の地下での貯留層の状態をより正確に把握して、各坑井2の相関関係を考慮しながら、各坑井2から噴気する地熱流体の流量を適正にすることも可能となる。

0085

以上説明したように、本実施形態に係る地熱発電プラントの坑井特性推定システム、及びその坑井特性推定方法並びに坑井特性推定プログラム、地熱発電プラントによれば、各坑井2は、地熱流体の地下貯留層において他の坑井2と導通している場合など独立でないことがあり、各坑井2の相関関係を発見することは困難であったが、過去所定期間において推定した各坑井2の坑井特性を参照することによって各坑井2の相関関係を発見することが期待できる。例えば、発見した相関関係を用いて地熱流体の貯留層モデル等を修正することで、地熱流体の地下での貯留層の状態をより正確に把握して、各坑井2の相関関係を考慮しながら、各坑井2から噴気する地熱流体の流量を適正にすることも可能となる。このため、坑井管理の精度の向上が期待できる。

0086

本発明は、上述の実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々変形実施が可能である。なお、各実施形態を組み合わせることも可能である。

0087

1 :地熱発電プラント
2 :坑井
3 :地熱流体輸送管
4 :流量調整弁
5 :気水分離器
6 :熱水管
7 :蒸気管
8 :蒸気タービン
9 :発電機
10 :復水器
11 :冷却塔
12 :ポンプ
13 :開閉弁
14 :ポンプ
15 :流量調整弁
16 :圧力計
17 :流量計
18 :流量計
19 :還元井
20 :坑井特性推定装置
21 :取得部
22 :推定部
23 :最適化部
24 :弁制御部
25 :相関演算部

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