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技術 油圧装置用作動油及びその油圧装置用作動油を用いた油圧装置

出願人 日立オートモティブシステムズ株式会社
発明者 杉本一等芦沢竜壮小野寺拓酒井佳恵橘弘晃
出願日 2019年4月19日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-080229
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-176224
状態 未査定
技術分野 流体減衰装置 潤滑剤
主要キーワード 緩衝機 試験工具 ピストンロッド間 動作振幅 摩擦係数比 使用開始当初 加速劣化試験後 印加荷重
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

各成分が長期にわたって安定に存在し、長期使用に伴う摩擦係数の変動が小さい自動車用緩衝器等の油圧装置作動油の提供。

解決手段

基油と、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、一級アミン化合物と、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物と、を含み、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、基油並びに亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.1質量%超であり、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する、一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下である油圧装置用作動油。

概要

背景

ピストンロッドオイルシール、及び作動油を備える油圧装置において、オイルシールはピストンロッドに常に接触するように配置され、油圧装置の内部から作動油が外部に流出することを防ぐ役割を担う。

オイルシールはゴム系の材料により構成されるため、金属により構成されるピストンロッド表面に対する接触面は大きな摩擦係数を持つ。そのため、油圧装置でピストンロッドが往復動する際には、オイルシールとピストンロッドとの間に大きな摩擦力が発生する。

オイルシールとピストンロッドとの間に発生する摩擦力が大き過ぎる場合、ピストンロッドが滑らかに動きにくくなる。特に自動車用緩衝器ショックアブソーバ)においては、旋回加減速といった車体の運動に伴い、ピストンロッドの往復動方向に対して垂直な方向からオイルシールに対して力がかかるため、大きな摩擦力が生じやすい環境にある。そのため、オイルシールとピストンロッドとの間の摩擦係数が大きい自動車用緩衝器を適用した自動車では、路面の凹凸に起因する振動が十分に減衰されないまま搭乗者伝わり乗り心地が悪くなるという問題がある。

乗り心地を改善するために、自動車用緩衝器の作動油に添加物を配合して、オイルシールとピストンロッドとの間の摩擦力を適宜低減させる試みがなされている。

例えば、特許文献1には、基油に、特定の硫黄含有化合物及び特定の極性基含有化合物を配合することにより、摩擦低減効果発現する潤滑油組成物が開示されている。極性基含有化合物としては、アミノ基、アミド基及び水酸基から選ばれる少なくとも一種極性基並びに炭素数3〜24のアルキル基を有する化合物が開示されている。また、特許文献1には、耐摩耗剤又は極圧剤として、リン酸エステル化合物亜リン酸エステル化合物を含む物質を添加できることが開示されている。

概要

各成分が長期にわたって安定に存在し、長期使用に伴う摩擦係数の変動が小さい自動車用緩衝器等の油圧装置用作動油の提供。基油と、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、一級アミン化合物と、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物と、を含み、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、基油並びに亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.1質量%超であり、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する、一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下である油圧装置用作動油。

目的

そのため、特に自動車用緩衝器のような油圧装置では、長期使用に伴うオイルシールとピストンロッドとの間の摩擦係数の変動を小さくすることが望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

基油と、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、一級アミン化合物と、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物と、を含み、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、前記基油並びに前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.1質量%超であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下である、油圧装置作動油

請求項2

前記亜リン酸エステル化合物が、式(1)(式(1)中、R1及びR2は、一方が水素又は炭素数3以上30以下の飽和もしくは不飽和炭化水素基であり、他方が炭素数3以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。)で表され、前記リン酸エステル化合物が、式(2)(式(2)中、R3及びR4は、一方が水素又は炭素数3以上30以下の飽和もしくは不飽和炭化水素基であり、他方が炭素数3以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。)で表される、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項3

前記一級アミン化合物が、式(3)(式(3)中、R5は、炭素数12以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。)で表される、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項4

前記グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物が、式(4)(式(4)中、R6は、炭素数3以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。)で表される、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項5

前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、前記基油並びに前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.3質量%以上5.0質量%以下である、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項6

式(5)(式(5)中、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数8以上24以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。)で表される二級アミド化合物をさらに含む、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項7

前記二級アミド化合物の含有量が、前記基油、並びに前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種、並びに前記二級アミド化合物の合計に対して0.01質量%以上2.0質量%以下である、請求項6に記載の油圧装置用作動油。

請求項8

前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種が、ジオレイルハイドロジェンホスファイトである、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項9

前記一級アミン化合物が、オレイルアミンである、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項10

前記グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物が、オクチグリシジルエーテルである、請求項1に記載の油圧装置用作動油。

請求項11

請求項1に記載の油圧装置用作動油を備える油圧装置。

請求項12

シリンダと、前記シリンダに対して相対的に移動可能なピストンロッドと、前記シリンダに固定され前記ピストンロッドと摺動するオイルシールと、前記シリンダの内部に注入された請求項1に記載の油圧装置用作動油と、を備える、請求項11に記載の油圧装置。

請求項13

前記ピストンロッドの表面の少なくとも一部にクロムめっきが施されている、請求項12に記載の油圧装置。

請求項14

自動車用緩衝器である、請求項12に記載の油圧装置。

技術分野

0001

本発明は、油圧装置作動油及びその油圧装置用作動油を用いた油圧装置に関する。

背景技術

0002

ピストンロッドオイルシール、及び作動油を備える油圧装置において、オイルシールはピストンロッドに常に接触するように配置され、油圧装置の内部から作動油が外部に流出することを防ぐ役割を担う。

0003

オイルシールはゴム系の材料により構成されるため、金属により構成されるピストンロッド表面に対する接触面は大きな摩擦係数を持つ。そのため、油圧装置でピストンロッドが往復動する際には、オイルシールとピストンロッドとの間に大きな摩擦力が発生する。

0004

オイルシールとピストンロッドとの間に発生する摩擦力が大き過ぎる場合、ピストンロッドが滑らかに動きにくくなる。特に自動車用緩衝器ショックアブソーバ)においては、旋回加減速といった車体の運動に伴い、ピストンロッドの往復動方向に対して垂直な方向からオイルシールに対して力がかかるため、大きな摩擦力が生じやすい環境にある。そのため、オイルシールとピストンロッドとの間の摩擦係数が大きい自動車用緩衝器を適用した自動車では、路面の凹凸に起因する振動が十分に減衰されないまま搭乗者伝わり乗り心地が悪くなるという問題がある。

0005

乗り心地を改善するために、自動車用緩衝器の作動油に添加物を配合して、オイルシールとピストンロッドとの間の摩擦力を適宜低減させる試みがなされている。

0006

例えば、特許文献1には、基油に、特定の硫黄含有化合物及び特定の極性基含有化合物を配合することにより、摩擦低減効果発現する潤滑油組成物が開示されている。極性基含有化合物としては、アミノ基、アミド基及び水酸基から選ばれる少なくとも一種極性基並びに炭素数3〜24のアルキル基を有する化合物が開示されている。また、特許文献1には、耐摩耗剤又は極圧剤として、リン酸エステル化合物亜リン酸エステル化合物を含む物質を添加できることが開示されている。

先行技術

0007

国際公開第2011/068137号

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1に記載のように、自動車用緩衝機の作動油に配合されたリン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物によってオイルシールとピストンロッドとの間の摩擦係数を任意に低減し、乗り心地を調整することができる。前述の摩擦係数は、例えば操舵性重視する場合はやや高めに、乗り心地を重視する場合には低めに調整される。しかし、リン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物は、摩擦係数の調整能力に優れるものの、経年劣化により失活しやすい。一般的に、自動車用緩衝器に含まれる作動油は、自動車製造時から自動車廃棄時まで一度も交換されることなく使用され続ける。自動車の平均車齢は年々伸びており、自動車検査登録情報協会の調査によれば、2017年時点でおよそ14年に達している。したがって、リン酸エステル化合物又は亜リン酸エステル化合物を配合した従来の緩衝機用作動油を自動車用緩衝器に用いた場合、このような長期間の使用による経年劣化でリン酸エステル化合物又は亜リン酸エステル化合物が失活する結果、摩擦係数が使用開始当初と比較して上昇し、乗り心地が悪化する。そのため、特に自動車用緩衝器のような油圧装置では、長期使用に伴うオイルシールとピストンロッドとの間の摩擦係数の変動を小さくすることが望まれている。

0009

上記従来の状況に鑑み、本発明は、各成分が長期にわたって安定に存在し、長期使用に伴う摩擦係数の変動が小さい自動車用緩衝器等の油圧装置用作動油、及びその作動油を用いた油圧装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

上記課題を解決するため、本発明の油圧装置用作動油は、基油と、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、一級アミン化合物と、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物と、を含み、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、前記基油並びに前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.1質量%超であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下であることを特徴とする。

0011

また、本発明は、上記の油圧装置用作動油を備える油圧装置である。

発明の効果

0012

本発明により、各成分が長期にわたり安定に存在し、オイルシール及びピストンロッド間で発生する摩擦係数を長期間にわたって維持可能な油圧装置用作動油、及び該油圧装置用作動油を用いた油圧装置を提供することができる。
前記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の一実施形態に係る自動車用緩衝器の断面図である。
オイルシールとピストンロッドとの間の摩擦力を推定するために用いた往復動摩擦試験機の概略図である。

0014

以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
本発明の一実施形態に係る油圧装置用作動油は、(A)基油と、(B)亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種と、(C)一級アミン化合物と、(D)グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物と、を含み、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の含有量が、前記基油並びに前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種の合計に対して0.1質量%超であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下であり、前記亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種に対する前記グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下である。

0015

上記(A)の基油としては、油圧装置用作動油として従来使用されている鉱油系及び/又は合成油系の基油から任意の材料を選択可能である。鉱油系の基油としては、例えば、パラフィン系鉱油ナフテン系鉱油等が挙げられる。

0017

これらの基油の中で、本実施形態における基油としてはパラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油、ポリαオレフィン、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、合成ナフテン、シリコーン、ポリアルキレングリコール等が好ましい。これらの基油は、いずれか一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。

0018

基油の好ましい動粘度は、油圧装置用作動油が適用される油圧装置により異なるが、例えば油圧装置が自動車用緩衝器である場合、低温状態における流動性の観点から、40℃における動粘度(ISO3448:1992に基づく試験)が、8mm2/s(cSt)以上、17mm2/s(cSt)以下の範囲であることが好ましい。

0019

上記(B)の材料としては、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種を用いる。リン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物のいずれも、ピストンロッド表面に露出した金属の触媒作用によりリン酸基及び/又は亜リン酸基プロトンを放出してピストンロッドの表面に吸着され、安定した吸着膜を形成する。形成された吸着膜の厚さはリン酸エステル化合物及び亜リン酸エステル化合物のアルキル基の長さに依存する。アルキル基の長さを変更することによって吸着膜の厚さを制御し、ピストンロッド及びオイルシール間で発生する摩擦係数を任意に調節することが可能である。

0020

上記(B)の材料として用いる亜リン酸エステル化合物は、下記式(1)に示す構造を有することが好ましい。式(1)において、R1及びR2は、一方が水素又は炭素数3以上30以下の炭化水素基であり、他方が炭素数3以上30以下の炭化水素基である。溶解性の観点から、上記の炭素数は3以上18以下であればより好ましい。これらの炭化水素基は、飽和炭化水素基であるアルキル基であってもよいし、あるいはアルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。一方が飽和炭化水素基であり、他方が不飽和炭化水素基であってもよい。

0021

また、上記(B)の材料として用いられるリン酸エステル化合物は、下記式(2)に示す構造を有することが好ましい。式(2)において、R3及びR4は、一方が水素又は炭素数3以上30以下の炭化水素基であり、他方が炭素数3以上30以下の炭化水素基である。上記の炭素数は3以上18以下であればより好ましい。これらの炭化水素基は、飽和炭化水素基であるアルキル基であってもよいし、あるいはアルケニル基等の不飽和炭化水素基であってもよい。一方が飽和炭化水素基であり、他方が不飽和炭化水素基であってもよい。

0022

上記の亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物における飽和炭化水素基の例としては、ジエチルヘキシル基、ラウリル基ミリスチル基、セチル基ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。また、不飽和炭化水素基の例としては、オレイル基等が挙げられる。R1、R2、R3及びR4は、全て同一の炭化水素基であってもよいし、異なる炭化水素基であってもよい。あるいは、R1、R2、R3及びR4のうち、一部が同一の炭化水素基であり、それ以外は異なる炭化水素基により構成されていてもよい。(B)の材料として用いられる亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物は、いずれか一種を単独で用いてもよいし、複数種の亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物を混合して用いてもよい。

0023

(B)の材料として用いる亜リン酸エステル化合物の具体例としては、ジエチルヘキシルハイドロジェンホスファイト、ジラウリルハイドロジェンホスファイト、ジステアリルハイドロジェンホスファイト、ジオレイルハイドロジェンホスファイト等が挙げられる。特に、ジオレイルハイドロジェンホスファイトが好ましく用いられる。また、(B)の材料として用いるリン酸エステル化合物としては、エチルヘキシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート等が挙げられる。

0024

(B)の材料の配合量は、(A)の基油及び(B)の材料の合計に対して0.3質量%以上5.0質量%以下であることがより好ましい。なお、(B)の材料は、0.1質量%を超える配合量であれば効果を発揮し、0.3質量%以上配合されることで十分な効果を発揮する。また、配合量が5.0質量%を超えても同様の効果を発揮するが、基油への溶解性を良好に維持する観点から、配合量は5.0質量%以下であることが好ましい。

0025

(C)の材料である一級アミン化合物としては、アンモニア水素原子の一つを炭化水素基又は芳香族基によって置換した化合物であれば適用可能である。好ましくは、一級アミン化合物として下記式(3)で表される化合物を用いる。式(3)において、R5は、炭素数12以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。ただし、基油への良好な溶解性を確保する観点から、これらの炭化水素基の炭素数は12以上22以下であることがより好ましい。このような飽和炭化水素基の例として、ドデシル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。また、不飽和炭化水素基として、オレイル基、エルシル基等のアルケニル基等が挙げられる。

0026

上記(B)の材料である亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物は、長期使用に伴う劣化により酸性リン酸エステル化合物を生じる。このような酸性リン酸エステル化合物は反応性が高く、上記(B)の亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物を攻撃するため、連鎖的に(B)の材料の劣化が進行する。上記(C)の一級アミン化合物は、酸性リン酸エステル化合物を捕捉することで(B)の材料の連鎖的な劣化反応を防ぎ、オイルシールとピストンロッド間の摩擦係数を長期間にわたって保つことを可能にする。

0027

上記(C)の材料の具体例としては、ドデシルアミンパルミチルアミンパルミトレイルアミン、オレイルアミン等が挙げられる。オレイルアミンは特に好ましく用いられる。

0028

(C)の材料である一級アミン化合物の配合量については、(B)の材料に対する一級アミン化合物のモル比率が30%以上500%以下であり、好ましくは50%以上300%以下である。なお、(C)の一級アミン化合物のモル比率が30%以上であれば効果を発揮し、50%以上300%以下の範囲で配合されることで十分な効果を発揮する。モル比率が300%を超えても同様の効果を発揮するが、過剰に配合した一級アミン化合物は十分に基油へ溶解せず、亜リン酸エステル化合物の表面吸着阻害する悪影響を持つ。そのため、モル比率は300%以下であることがより好ましい。

0029

(D)の材料であるグリシジル基又はエポキシ基を有する化合物としては、任意の化合物を採用することができるが、特に、下記式(4)で表されるグリシジルエーテルが好ましく用いられる。式(4)において、R6は、炭素数3以上30以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。ただし、基油への良好な溶解性を確保する観点から、これらの炭化水素基の炭素数は8以上22以下であることがより好ましい。このような炭化水素基の例として、ラウリル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。また、不飽和炭化水素基として、オレイル基、エルシル基等のアルケニル基が挙げられる。

0030

上記(D)の材料の具体例としては、ブチルグリシジルエーテルオクチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル等が挙げられる。特に好ましくは、オクチルグリシジルエーテルである。

0031

上述のように、(C)の材料である一級アミン化合物は、酸性リン酸エステル化合物を捕捉することで(B)の亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物の連鎖的な劣化反応を防ぎ、(B)がオイルシールとピストンロッド間における摩擦調節機能を長期間にわたって保つことを可能にする。しかし同時に、(C)の一級アミン化合物は、(B)の亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物に対する攻撃性を持つ。したがって、(A)基油に対し、(B)亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物、及び(C)一級アミン化合物のみが配合された油圧装置用作動油では、長期間の使用により(C)一級アミン化合物による攻撃で(B)亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物の効果が失活し、摩擦力が上昇する。ここで、油圧装置用作動油に対し前述の(D)の材料であるグリシジル基又はエポキシ基を有する化合物を配合することで、上記(B)亜リン酸エステル化合物やリン酸エステル化合物の分解反応を抑制することができる。これによって、(B)亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物の劣化により生じる酸性リン酸エステル化合物を(C)の一級アミン化合物で捕捉することで連鎖的な劣化反応を抑制しつつ、(C)一級アミン化合物の攻撃による(B)亜リン酸エステル化合物及び/又はリン酸エステル化合物の分解をも同時に抑制し、オイルシール及びピストンロッド間で発生する摩擦係数を長期間にわたって変動なく保つことができる。

0032

(D)の材料であるグリシジル基又はエポキシ基を有する化合物の配合量については、(B)の材料に対するグリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上500%以下であり、好ましくは50%以上300%以下である。なお、(D)のグリシジル基又はエポキシ基を有する化合物のモル比率が10%以上であれば効果を発揮し、50%以上配合されることで十分な効果を発揮する。また、モル比率が300%を超えても同様の効果を発揮するが、基油への溶解性を良好に維持する観点から、モル比率は300%以下であることが好ましい。

0033

また、本実施形態に係る油圧装置用作動油は、必要に応じて、下記式(5)で表される二級アミド化合物をさらに配合することができる。式(5)において、R7及びR8は、それぞれ独立して炭素数8以上24以下の飽和又は不飽和炭化水素基である。ただし、基油への良好な溶解性を確保する観点から、これらの炭化水素基の炭素数は12以上22以下であることがより好ましい。このような飽和炭化水素基の例として、ドデシル基、ミリスチル基、セチル基、ステアリル基等のアルキル基が挙げられる。また、不飽和炭化水素基として、オレイル基、エルシル基等のアルケニル基等が挙げられる。

0034

上記二級アミド化合物の具体例としては、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエルシリン酸アミド、N−セチルオレイン酸アミド、N−セチルエルシリン酸アミド、N−ミリスチルオレイン酸アミド、N−ミリスチルエルシリン酸アミド、N−ドデシルオレイン酸アミド、N−ドデシルエルシリン酸アミド等が挙げられる。

0035

二級アミド化合物の配合量については、(A)の基油、(B)の亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステルからなる群から選択される少なくとも一種、及び二級アミド化合物の合計に対して、0.01質量%以上2.0質量%以下の範囲とすることが好ましい。

0036

本実施形態に係る油圧装置用作動油には、その効果を阻害しない範囲で添加剤を適宜配合してもよい。具体的な添加剤としては、摩耗防止剤油性向上剤酸化防止剤無灰系分散剤、金属系分散剤粘度指数向上剤流動点降下剤金属不活性化剤防錆剤、及び消泡剤等が挙げられる。

0037

これらの中で、本実施形態に係る油圧装置用作動油は、酸化防止剤、無灰系分散剤、金属系分散剤、粘度指数向上剤、防錆剤、及び消泡剤からなる群から選択される少なくとも一種の添加剤を含むことが好ましい。

0038

摩耗防止剤としては、例えば、ジチオリン酸亜鉛及びその誘導体硫黄化合物及びその誘導体、二硫化モリブデン及びその誘導体等が挙げられる。

0039

油性向上剤としては、例えば、脂肪族アルコール及びその誘導体、脂肪酸エステル及びその誘導体、脂肪酸及びその誘導体、アミン化合物及びその誘導体等が挙げられる。

0040

酸化防止剤としては、例えば、アミン系酸化防止剤及びその誘導体、フェノール系酸化防止剤及びその誘導体、硫黄系酸化防止剤及びその誘導体、カーバメイト系酸化防止剤及びその誘導体等が挙げられる。

0041

無灰系分散剤としては、例えば、こはくイミド及びその誘導体、ベンジルアミン及びその誘導体、エステル及びその誘導体等が挙げられる。

0042

金属系分散剤としては、カルシウムサリシレート及びその誘導体、カルシウムフェネート及びその誘導体、カルシウムスルホネート及びその誘導体、ホウ酸カリウム及びその誘導体等が挙げられる。

0043

粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレート及びその誘導体、ポリイソブチレン及びその誘導体、オレフィンコポリマー及びその誘導体等が挙げられる。

0044

流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレート及びその誘導体、ポリブテン及びその誘導体、ポリアルキルスチレン及びその誘導体等が挙げられる。

0045

金属不活性化剤としては、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体等が挙げられる。

0046

防錆剤としては、イミダゾール及びその誘導体、ベンゾトリアゾール及びその誘導体、チアジアゾール及びその誘導体等が挙げられる。

0047

消泡剤としては、例えば、シリコーン系消泡剤及びその誘導体、ポリアクリレート系消泡剤及びその誘導体等が挙げられる。

0048

これら各種添加剤の配合量は、合計して、油圧装置用作動油全体の30質量%未満とすることが好ましい。

0049

次に、本実施形態に係る油圧装置用作動油を用いた油圧装置の構成について、図面を参照して説明する。ここでは油圧装置として、複筒式の自動車用緩衝器を例に挙げて説明する。

0050

図1は、本発明の一実施形態に係る自動車用緩衝器100の断面図である。自動車用緩衝器100は複筒式であって、底部を有する筒状の外筒11、及び外筒11の内部に外筒11と同軸に設けられた内筒12から構成されるシリンダ1と、シリンダ1に対して相対的に移動可能なピストンロッド2とを備える。内筒12の内部及び内筒12と外筒11との間のスペースには、油圧装置用作動油3が注入されている。

0051

ピストンロッド2について、内筒12に挿入されたその一端側にはピストン4が固定され、他端はシリンダ1から突出するように配置される。ピストン4の外周部は内筒12の内面に接触する。内筒12の下端にはボトムバルブ5が固定され、内筒12の上端にはブッシュ6が固定される。ブッシュ6の中央には貫通穴が設けられ、この貫通穴にピストンロッド2が挿入される。外筒11の上部にはオイルシール7が固定され、オイルシール7を介して外筒11の内部は密封される。ピストンロッド2はオイルシール7と摺動可能とされ、これにより、オイルシール7は、ピストンロッド2とブッシュ6との隙間を通って油圧装置用作動油3がシリンダ1の外部に漏れるのを防ぐ。なお、ピストンロッド2の表面の少なくとも一部には、必要に応じて、クロムめっきを施すことができる。クロムめっきを備えることにより、摩耗を防止してシール性能の安定性を高めることができる。

0052

図1に示すとおり、自動車用緩衝器100においては、ピストン4は、内筒12の内部を油室Aと油室Bとに隔てている。また、ボトムバルブ5は、内筒12と外筒11との間のスペースと油室Aとを隔てている。ピストン4にはバルブを備えた減衰力発生機構8が設けられている。減衰力発生機構8は、ピストンロッド2が伸長側に移動(ピストンロッド2が図1において上方に移動)する際に、バルブが開いて油室Aと油室Bとの間に断面積の小さな流路を形成し、油圧装置用作動油3の流動を制限することで、所定の減衰力を発生させる。ボトムバルブ5には減衰力発生機構9が設けられている。減衰力発生機構9は、ボトムバルブ5に形成された小断面積の流路により構成される。ピストンロッド2の縮小側に移動(ピストンロッド2が図1において下方に移動)する際に、油室A内の油圧装置用作動油3が小断面積の流路を通ってリザーバ室Cに流動することで減衰力が発生する。

0053

次に、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。

0054

(1)加速劣化試験
経年使用に伴う油圧装置用作動油の劣化を再現するために、加速劣化試験を実施した。後述の実施例又は比較例に示す種々の配合組成の油圧装置用作動油を圧力容器中密閉し、120℃に維持した恒温槽で120時間の加速劣化試験を実施した。一般的に、外気温が10℃上昇すると、材料の劣化は2倍の速度で進行することが知られている。したがって、120℃における120時間の加速劣化試験により、20℃における約14年の劣化状態を再現できる。加速劣化試験後の油圧装置用作動油を後述する往復動摩擦試験に供し、劣化試験前後の摩擦係数を比較した。

0055

(2)往復動摩擦試験
油圧装置において、オイルシールとピストンロッドとの間に発生する摩擦力を推定するために、往復動摩擦試験機を用いて種々の配合組成の油圧装置用作動油について試験を行った。往復動摩擦試験機としては新東科学株式会社のバウデン試験機HEDON−14D型を使用した。図2に、この往復動摩擦試験機を用いた試験方法の概略を示す。往復動摩擦試験機200は、往復運動するテーブル21と、テーブル21の上に載置された第1試験工具22と、第1試験工具22の上で第1試験工具22に対して相対的に移動可能に配置された第2試験工具23と、第2試験工具23を介して第1試験工具22に荷重印加する荷重印加部24とを有する。テーブル21には第1試験工具22が固定され、荷重印加部24には第2試験工具23が固定される。

0056

第1試験工具22はピストンロッドと同じ材料であるクロムめっき炭素鋼板を材料として作製し、第2試験工具23はオイルシールと同じ材料であるニトリルブタジエンゴムを材料として作製した。第1試験工具22と第2試験工具23との間には油圧装置用作動油30を介在させ、この状態でテーブル21を往復運動させて、第1試験工具22と第2試験工具23との間の動摩擦を測定した。油圧装置用作動油30としては、表1及び表2に示す種々の配合組成のものを順次用いて、各々の油圧装置用作動油を用いた場合における、第1試験工具22と第2試験工具23との間の動摩擦係数を測定した。なお、表1及び表2においては、亜リン酸エステル化合物及びリン酸エステル化合物からなる群から選択される少なくとも一種を「リン酸エステル化合物」と表記し、グリシジル基又はエポキシ基を有する化合物を「エポキシ系化合物」と表記している。表1及び表2中、「リン酸エステル化合物(1)」は式(1)においてジオレイルハイドロジェンホスファイトの構造を有する亜リン酸エステル化合物であり、「リン酸エステル化合物(2)」は、ジラウリルハイドロジェンホスファイトである。上記の試験結果を、ピストンロッドとオイルシールとの間の摩擦力に相当するものとして、上記の種々の配合組成の油圧装置用作動油を評価した。

0057

往復動摩擦試験の条件は下記の通りである。
使用試験機名:バウデン試験機HEIDON−14D型
第1試験工具の材料:クロムめっき炭素鋼板
第2試験工具の材料:ニトリルブタジエンゴム
試験条件
試験温度:60℃
荷重印加部の印加荷重:20N
テーブルの動作振幅:10mm
テーブルの速度:2mm/sec

0058

表1及び表2に、種々の組成の油圧装置用作動油に関して、加速劣化試験前後の摩擦係数を試験温度60℃で測定した結果を示す。表1及び表2に示した実施例1〜13についての試験結果から明らかなように、いずれの油圧装置用作動油についても、往復動摩擦試験により測定した加速劣化試験後の摩擦係数の変動は、加速劣化試験前の摩擦係数と比較して0.03程度に収まっている。また、加速劣化試験後の摩擦係数を加速劣化試験前の摩擦係数で除した値(摩擦係数比率)は、いずれの実施例についても1に近い値(0.89から1.28の範囲)であった。すなわち、加速劣化試験による摩擦係数の変動は極めて小さい。これらの結果から、実施例1〜13の油圧装置用作動油を用いた自動車用緩衝器は、乗用車の平均的な使用期間であるおよそ14年間にわたってピストンロッドとオイルシールとの間の摩擦係数をほぼ一定に維持可能であることが示唆された。

0059

これに対し、比較例1の油圧装置用作動油は、基油のみの組成であり、リン酸エステル化合物、一級アミン化合物及びエポキシ系化合物はいずれも配合されていない。比較例1についての試験結果は、加速劣化試験前の摩擦係数が0.729、加速劣化試験後の摩擦係数が0.723であり、加速劣化試験前後の摩擦係数比率こそ0.99と小さかったが、一方でピストンロッドとオイルシールとの間の摩擦係数は高い。したがって、比較例1の油圧装置用作動油を自動車用緩衝器に使用した場合、ピストンロッドがスムーズに動かないためゴツゴツとした感触乗り手に伝わり、乗り心地に劣ることが示唆された。

0060

比較例2の油圧装置用作動油は、基油に、亜リン酸エステル化合物は配合されているものの、配合量が基油及び亜リン酸エステル化合物の合計に対して0.1質量%と少量である。そのため、加速劣化試験前の摩擦係数が0.164であるのに対し、加速劣化試験後の摩擦係数は0.493と大きく上昇した。したがって、比較例2の油圧装置用作動油を自動車用緩衝器に使用した場合には、乗用車の平均的な使用期間であるおよそ14年間の使用後は乗り心地が悪化することが示唆された。

0061

比較例3の油圧装置用作動油は、基油に、亜リン酸エステル化合物及びエポキシ系化合物を配合しているが、一級アミン化合物の配合量(モル比率)が亜リン酸エステル化合物に対して20%と少量である。比較例3についての試験結果は、加速劣化試験前の摩擦係数が0.111、加速劣化試験後の摩擦係数が0.412であり、また、加速劣化試験前後の摩擦係数比率は3.71となり、加速劣化試験後に摩擦係数が大きく上昇した。これは、一級アミン化合物の配合量が不十分であるため、亜リン酸エステル化合物の分解生成物により連鎖的に劣化が進行したからである。したがって、比較例3の油圧装置用作動油を自動車用緩衝器に使用した場合には、乗用車の平均的な使用期間であるおよそ14年間の使用後は乗り心地が悪化することが示唆された。

0062

比較例4の油圧装置用作動油は、基油に、亜リン酸エステル化合物、及び一級アミン化合物を配合し、さらに、エポキシ系化合物を亜リン酸エステル化合物に対するモル比率で5%配合している。比較例4についての試験結果は、加速劣化試験前の動摩擦係数が0.107、加速劣化試験後の動摩擦係数が0.298であり、また、加速劣化試験前後の摩擦係数比率は2.79となり、加速劣化試験後に摩擦係数が大きく上昇した。これは、エポキシ系化合物の配合量が不十分であるために、一級アミン化合物による亜リン酸エステルの分解反応を十分抑制することができなかったからである。したがって、比較例4の油圧装置用作動油を自動車用緩衝器に使用した場合には、乗用車の平均的な使用期間であるおよそ14年間の使用後は乗り心地が悪化することが示唆された。

0063

以上説明したように、本発明の実施例に係る油圧装置用作動油を油圧装置に用いた場合には、オイルシールとピストンロッドとの間で発生する動摩擦係数を適宜低減するとともに、乗用車の平均的な使用期間であるおよそ14年間にわたって摩擦係数をほぼ一定に保つことができる。

0064

0065

(2)自動車用緩衝器を搭載した自動車による官能試験
実施例1及び比較例1に係る2種類の配合組成の油圧装置用作動油に対して、120℃で120時間の加速劣化試験を実施し、試験前後の作動油を封入した自動車用緩衝器を作製した。この自動車用緩衝器を実際に搭載した自動車を動かし、その乗り心地についての官能試験を行った。具体的には、官能試験を行う2名の試験者が、加速劣化試験実施前後の油圧装置用作動油を封入した自動車用緩衝器を搭載する自動車に搭乗し、路面の凹凸に起因する振動が伝わる度合いについて5点満点で評価した。評価点は高いほど(数値が大きいほど)乗り心地が優れていることを示す。2名の試験者による評価点の平均点を最終的な評価点とした。その結果を表3に示す。

0066

0067

表3に示すように、実施例1の油圧装置用作動油を封入した自動車用緩衝器を搭載した自動車は、比較例1に示した油圧装置用作動油を封入した自動車用緩衝器を搭載した自動車に比べて、加速劣化試験後も乗り心地が優れていることが分かった。この結果は、実施例1では加速劣化試験後も摩擦係数が低く保たれているためと推測される。

0068

なお、実施例1以外の実施例の油圧装置用作動油を用いた自動車用緩衝器を搭載した自動車においても、実施例1の油圧装置用作動油を用いた場合と同様に、加速劣化試験前後の乗り心地の変動が小さいという結果が得られる。また、比較例1以外の比較例の油圧装置用作動油を用いた自動車用緩衝器を搭載した自動車においても、比較例1の油圧装置用作動油を用いた場合と同様に、加速劣化試験前後で乗り心地の変動が大きいという結果が得られる。

0069

以上説明したとおり、本発明により、オイルシールとピストンロッドとの摩擦係数を長期間にわたって低減し、且つ摩擦係数の変動が小さい油圧装置用作動油を提供することができる。さらに、その油圧装置用作動油を用いた油圧装置を提供することができる。本発明に係る作動油を用いた自動車用緩衝器を搭載した自動車は、路面の凹凸に起因する振動が搭乗者に伝わる度合いを長期にわたって低減し、よい乗り心地を維持することができる。

実施例

0070

なお、本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明の要旨を変更しない範囲で、具体的な構成材料部品等を変更してもよい。また、本発明の構成要素を含んでいれば、公知の技術を追加し、あるいは公知の技術で置き換えることも可能である。

0071

1シリンダ
2ピストンロッド
3油圧装置用作動油
4ピストン
5ボトムバルブ
6ブッシュ
7オイルシール
8、9減衰力発生機構
11外筒
12内筒
21 テーブル
22 第1試験工具
23 第2試験工具
24荷重印加部
30 油圧装置用作動油
100自動車用緩衝器
200往復動摩擦試験機

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