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課題

テストステロン及び/又は低末梢アンドロゲン形成による男性性腺機能低下関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法を提供すること。

解決手段

男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記予防、低減又は消失を必要とする男性患者に、治療有効量の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを、治療有効量の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと関連させて投与することを含む、方法により、上記課題を解決する。

概要

背景

65より高齢の個体の数は、1990年代と比較して10倍を超えて増加している(Shigehara及びNamiki 2011)。老化過程において、低テストステロンは、ウェルビーイン感覚の低下、うつ状態、性欲減退及び勃起不全の増加を伴うことが多い(Lunenfeld及びNieschlag 2007)。老化と関連する血清テストステロンベルの低下は、遅発性性腺機能低下症(LOH)と称されている(Wang、Nieschlagら 2009b)。男性性腺機能低下症の診断には通常、2.0未満〜3.5ng/mLと報告される低血清テストステロンに加えて、総体症状が組み合わされていた。

そのレベル未満ではアンドロゲン欠乏症の症状及び有害な健康転帰出現する、正確なテストステロン閾値レベルは、知られておらず、年齢に依存する可能性がある(Kelleher、Conwayら 2004; Zitzmann、Faberら 2006; Hall、Escheら 2008)。

3.0ng/mLのテストステロン閾値において、症状はこの値未満でより多く出現する(Kelleher、Conwayら 2004; Zitzmann、Faberら 2006; Bhasin、Cunninghamら 2010)。米国内分泌学会(US Endocrine Society)のガイドラインは、LOHを、血清テストステロン2.0ng/mL未満が古典的な性腺機能低下症の1つ又は複数の兆候及び症状と共に認められることと定義している(Bhasin、Cunninghamら 2006)。米国アンドロロジー学会(American Society of Andrology)は、症状を示す男性においては3.0ng/mL未満を推奨している(American Society of Andrology 2006)。他方、International Society for the Study of the Aging Male (ISSAM)によれば、症状を示す高齢男性は、テストステロン3.50ng/mL未満を性腺機能低下みなすべきである(Wang、Nieschlagら 2009a)。

同時に、その濃度未満ではテストステロン投与が転帰を改善するテストステロン濃度は不明であり、個体及び標的臓器により異なり得る。したがって、入手可能な証拠は、全ての患者において性腺機能低下症の診断を確定する、そのレベル未満では臨床的アンドロゲン欠乏が起こるテストステロンレベルの任意の閾値の使用を裏付けていない(Bhasin、Cunninghamら 2006)。

低い身体的活力と低い血清テストステロンとの相関は、再三にわたり低かった(Xu、Gourasら 1998; Travison、Morleyら 2006)。また、前述の通り、異なるアンドロゲン依存性標的には異なる閾値が存在する可能性がかなり高い(Bhasin、Woodhouseら 2005; Gray、Singhら 2005; Zitzmann、Faberら 2006; Shigehara及びNamiki 2011)。

本発明のベースとなる新規な成分は、低血清デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)に由来する低いアンドロゲン細胞内分泌末梢形成を、単独で又は性腺機能低下症に起因するのと同様な総体症状と組み合わせて、更に検討すべきであることである。したがって、DHEA由来のアンドロゲン代謝産物、とりわけ、アンドロステロングルクロニド(ADT-G)を、記載されたようにして測定することができる(Labrie、Belangerら 2006)。デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及びアンドロゲン代謝産物グルクロニド、即ち、ADT-G(総アンドロゲン作用推定値)並びに他のアンドロゲン及び代謝産物の正常値は、(Labrie、Cusanら 2009; Labrie 2010b; Ohlsson、Labrieら 2010; Labrie 2011; O'Connor、Leeら 2011)に見ることができる。テストステロン値が正常である場合、2.0ng/mL未満の血清DHEA値を単独で低いとみなすことができるが、血清テストステロンの濃度も考慮に入れなければならず、低アンドロゲン代謝産物に反映される低総アンドロゲンをもたらす低テストステロン及び/又は低DHEAの組合せによって、低総アンドロゲンの症状が生じる。25ng/mL未満の血清ADT-Gは、低い総アンドロゲン低下作用(hypoandrogenecity)のパラメーターと考えることができる(Labrie、Diamondら1997b)。

男性性腺機能低下症は、精子形成不全又は精巣のテストステロン分泌不全を示し得る。本発明に関与するのは、この第2の部分である[より詳細については、(Corona、Rastrelliら 2012)を参照のこと]。

典型的には、加齢男性において見られる遅発性性腺機能低下症(LOH)は、低血清テストステロンとアンドロゲン低下作用の1つ又は複数の症状を併せ持つ。しかし、総アンドロゲンの50%までがDHEAに由来するので、低DHEAは、低テストステロンと同程度に性腺機能低下症の徴候及び症状の原因となり得る。

このため、性腺機能低下症及び/又は低末梢アンドロゲン形成の徴候及び症状は、治療法にふさわしい状態であり得る。遊離テストステロンは、Vermeulenの式(www.issam.ch/freetesto.htm)に従って求めることもできるが、通常それほど得るところがない。

テストステロンに加えて、精巣は、アロマターゼの作用によって、エストロゲンであるエストロン及びエストラジオール分泌する(図1)。下垂体前葉による黄体形成ホルモン(LH)の分泌は、視床下部からのGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の拍動性分泌によって刺激されるが、テストステロンとエストラジオールはいずれも、LH分泌に関して視床下部-下垂体レベルで、全体的な阻害効果を及ぼす(Corona、Rastrelliら 2012)。LHは次に、精巣におけるライディッヒ細胞によるテストステロン分泌を刺激する(図1)。

米国内分泌学会のガイドラインは、「一貫した症状及び徴候並びに明白に低い血清テストステロンレベル」を有する男性においてのみテストステロン治療を推奨している。しかし、テストステロン補充療法を受けている男性の半分しか、男性性腺機能低下症と診断されていなかったことがわかっている。実際に、34%は疲労の、31%は勃起不全の、12%は心理的性機能障害の治療を受けていた。(Baillargeon、Urbanら 2013)。

前述の通り、男性における総アンドロゲンの50%までが、末梢組織局所的にDHEAから産生されるが、DHEAは年齢75才以上男性において加齢に伴って平均80%も減少し(Labrie、Belangerら 1997b)、したがって、低DHEAが、これまで男性性腺機能低下症に起因するとされてきた症状及び徴候を説明するために低血清テストステロンと比較して少なくとも等しい役割を有する理由となる(Labrie、Belangerら 1997a)ことを考慮しなければならない。

内分泌学会は、テストステロン療法、即ち、アンドロゲン欠乏症候群の男性におけるテストステロン療法(Testosterone Therapy in Men with Androgen Deficiency Syndrome)に対する臨床診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline)をwww.endocrine.org.に有する(2006年;2010年改訂)。これは、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)除外基準及びPSA追跡調査ガイダンスに関する改訂された推奨基準を含む。

低テストステロンは、以下の徴候又は症状の任意の1つ又は組合せを伴い得る:
-性欲(性に対する関心)喪失
-勃起困難(勃起不全)
-疲労感及びエネルギー欠如(エネルギーの喪失、エネルギー喪失)
- うつ状態
-骨量減少(骨密度の低下及び骨折リスクの増加)
-筋肉減少及び筋力低下
-体毛減少
-妊孕性の問題

更なる利益、例えば、以下の医学的問題、即ち、高コレステロール血症高脂質血症アテローム動脈硬化症高血圧症アルツハイマー病記憶喪失認知喪失認知症不眠症心血管疾患インスリン抵抗性2型糖尿病及び肥満(とりわけ、腹部肥満)の治療又はそれらを獲得する尤度若しくはリスクの低下(Comhaire 2000; Ding、Songら 2006; Khaw、Dowsettら 2007; Bassil、Alkaadeら 2009; Zitzmann 2009)もまた、本発明による治療によって提供される。

男性における低血清テストステロンは、筋肉量の減少、筋力の低下及び運動能(mobility)の低下と関連する(Roy、Blackmanら 2002; Schaap、Pluijmら 2005)。健常な老年男性におけるテストステロン補充は、筋肉量及び筋力並びに脚力を増加させ、これらは運動能の重要な因子である(Bhasin、Storerら 1996; Sih、Morleyら 1997; Snyder、Peacheyら 1999; Storer、Maglianoら 2003; Bhasin、Woodhouseら 2005; Page、Amoryら 2005)。

加齢男性におけるアンドロゲン欠乏の症状/徴候は、内分泌学会の臨床診療ガイドラインに述べられた通りであり得る(Bhasin、Cunninghamら 2006)。

加齢自体が、男性における性的機能の低下と関連する(Vermeulen 2003; Ebert、Jockenhovelら 2005)。

男性性腺機能低下症の診断には、ANDROTESTが役立ち得る(Corona、Janniniら 2006; Corona、Mannucciら 2006)。鑑別診断には、(Corona、Rastrelliら 2012)によって提供された情報が役立ち得る。LOHはまた、3.2ng/mL未満の総テストステロンレベルと関連する少なくとも3つの性的症状の存在によって定義されている(Wu、Tajarら 2010)。年齢40〜79才の男性3369名の無作為集団試料で行われたその研究において、血清テストステロンに関して、症状のない男性と症状のある男性の差は、軽微であった。上記で示した通り、考えられる1つの説明は、血清テストステロンがアンドロゲン活性唯一供給源ではなく、アンドロゲン活性は前述の通り50%までがDHEA由来アンドロゲンに由来するという説明であり得る(Labrie、Dupontら 1985; Labrie 2011)。

男性の性的行動におけるテストステロンの生理的役割は、十分に理解されていない。男性の性的行動と血清テストステロンの濃度を相関させようと企てる多くの研究は、矛盾する結果を示している。血清テストステロンレベルと勃起不全との間には幅広いずれがある(Salmimies、Kockottら 1982; Gooren 1987; Bhasin、Cunninghamら 2006; Traish、Guayら 2009)。しかし、低血清テストステロンは依然として、男性の性障害の評価において標準的な臨床診療となっている。

全体的な臨床像の臨床評価が主として重要であるが、遅発性男性性腺機能低下症の診断には、質問表が役立ち得る。使用できる手段は、これらに限定するものではないが、Androgen Deficiency in Aging Males(ADAM)(Morley、Charltonら2000)、Aging Males Symptoms(AMS)Rating Scale(Moore、Hueblerら2004)及びMassachusetts Male Ageing Study(MMAS)Questionnaire(Smith、Feldmanら2000)である。診断には、Brief Sexual Function Inventory(BSFI)が役立ち得る(O'Leary、Fowlerら 1995)。この手段は、性的衝動(2項目)、勃起(3項目)、射精(2項目)、各領域における問題の認識(3項目)及び全体的満足感(1項目)を網羅する。

男性性腺機能低下症の治療のための治療薬が新たに出現している[以下の2つ最近の総説を参照のこと:(Corona、Rastrelliら 2012; Kim、Crosnoeら 2013)]。既存の外来性テストステロン治療に加えて、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)による臨床データが入手可能である。SERMは、視床下部及び下垂体において、エストラジオールと競合してエストロゲン受容体と結合する。視床下部におけるエストラジオールの阻害作用中和すると、精巣によるテストステロン産生を増加させるLH分泌を促進するGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が増加する。クエン酸クロミフェンを用いたいくつかの研究が行われている。クエン酸クロミフェンは、テストステロンゲルの使用と同様に、血液中の血清テストステロンレベルを増加させる(Taylor及びLevine 2010)。クエン酸クロミフェンは、性腺機能低下症男性における性的機能を改善する(Guay、Jacobsonら 2003)。クエン酸クロミフェンは、性腺機能低下症男性においてテストステロン-エストラジオール比を改善する(Shabsigh、Kangら 2005)。クエン酸クロミフェンは、若い性腺機能低下症男性において、循環テストステロンを増加させ、いくつかの性腺機能低下症関連症状(性欲減退、エネルギーの欠如)を改善する(Katz、Nabulsiら 2011)。

エンクロミフェン(Androxal; Repros社)は、男性性腺機能低下症及び不妊症を対象として開発中である。特許文献もまた、SERM又は抗エストロゲン薬が男性性腺機能低下症を含む男性アンドロゲン欠乏症に(US2006/0293294、US2009/0215733、WO01/91744、WO03/072092、WO2006/024689及びWO2013/123218)、及び他の活性薬剤との併用で有用であり得ることを示している(US2007/0078091及びWO2013/130832)。他のクラスの化合物、即ち、性腺刺激ホルモン、5α-レダクターゼ阻害薬、テストステロン前駆体、芳香族化可能でないアンドロゲン、アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体βアゴニスト及び選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)が、男性性腺機能低下症を治療することが示唆されている。性腺刺激ホルモン療法は、依然として、続発性性腺機能低下症を有する男性における不妊症に対して有効な数少ない治療の1つである(Liu、Bakerら 2009; Farhat、Al-zidjaliら 2010)。ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンは、テストステロンのライディッヒ細胞産生を刺激するLH類似体であり、尿及び組換え供給源から得ることができる。

特に、治療は、性ステロイドの前駆体を細胞特異的な選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、特にアコルビフェンと組み合わせて投与することを含む。

本発明はまた、前述の組合せを実施するためのキット及び医薬組成物を提供する。

多数の疾患、状態及び望ましくない症状が、外来性性ステロイド又はその前駆体の投与に良好に応答することが知られている。例えば、エストロゲンが、骨量減少の速度を減少させると考えられているのに対し、アンドロゲンは、骨形成を刺激することによって骨量を増大することが示されている。

性腺機能低下症男性における長期のテストステロン治療は、メタボリックシンドロームの成分を改善する。これは、総コレステロール低密度リポタンパク質コレステロールトリグリセリド(tryglyceride)を低下させ、HDLコレステロールレベルを上昇させた。これはまた、血中グルコースレベルを低下させた(Traish、Haiderら 2013)。

2年間にわたるジヒドロテストステロン(DHT)による治療は、前立腺体積に対して効果がなかったが、おそらくLH分泌の阻害により、体脂肪量を減少させ、除脂肪量を増加させ、血清テストステロンを抑制し、脊椎骨密度を減少させた。多くの他の研究は、アンドロゲン補充療法が有益であり、前立腺体積又は泌尿器症状を有意に変化させないことを示している(Sih、Morleyら 1997; Kenny、Prestwoodら 2001; Marks、Mazerら 2006; Saad、Goorenら 2008; Takao、Tsujimuraら 2009)。経口テストステロンウンデカン酸エステルを用いた10年間の研究において、前立腺サイズの増加も、がんの証拠も認められなかった(Gooren 1994)。

性腺機能低下症男性において、下部尿路症状の改善さえも観察された(Pechersky、Mazurovら 2002)。総説については、(Amano、Imaoら 2010; Shigehara及びNamiki 2011)を参照のこと。40〜160mg/日の用量での8カ月間にわたる経口テストステロンウンデカン酸エステルの補充(replacement)により、前立腺サイズも変化せず、排尿症状の悪化も示されなかった(Franchi F、Luisi Mら 1978)。100mgエナント酸テストステロンを同様に3カ月にわたって毎週注射する研究では、前立腺体積も排尿後残尿量も変化しなかった(Tenover 1992)。

別の研究において、8カ月間にわたるアンドロゲン補充療法により、前立腺体積が18%増加したが、尿流測定データの変化は認められなかった(Holmang、Marinら 1993)。別の研究において、前立腺体積の差は観察されなかった(Behre、Bohmeyerら1994)。

性欲減退及び勃起不全は、男性における性腺機能低下症の最も顕著な(proeminent)症状であると考えられる(Harman、Metterら 2001; Matsumoto 2002)。Massachusetts Male Aging Studyにおいて、完全な勃起不全の有病率が、年齢40才と70才の間で5%から15%まで3倍に増加した(Morley 2003)。

他方、European Male Aging Study(EMAS)では、低血清テストステロンと不十分な起床時勃起、低い性欲及び勃起不全の症状との間に相関が認められ(テストステロン範囲2.3〜3.7ng/mL)、これが、前記3つの症状を有し且つ血清テストステロンが3.2ng/mL未満又は11ナノモル/リットル未満であるという、男性におけるLOH(遅発性性腺機能低下症)の定義につながった(Wu、Tajarら 2010)。テストステロンは、性腺刺激ホルモンの分泌、性的成熟期における男性化精子産生の誘発及び維持並びに性欲及び性的機能を制御する。

アンドロゲンに由来するエストロゲン及びアントロゲン自体はいずれも、GnRH/LH分泌に対して全体的な負の効果を及ぼす(図1)。エストラジオールは、血液中でははるかに低濃度であるが、GnRH/LH分泌の効率的な阻害薬である。

血清テストステロンレベルは、概日リズム及び概年リズム、脈状分泌及び測定変動の結果として、著しく変動する。テストステロン濃度は、疾病及び特定の治療薬(例えば、アヘン製剤及びグルココルチコイド)によって影響を受ける可能性がある。

慢性状態及び運動能の限界がある65才を超える男性において行われたTOM試験では、テストステロンゲル群ではプラセボ群と比べて、2倍の有害事象(AE)が報告された(Basaria、Covielloら 2010)。慢性疾患、即ち、高血圧症、高脂質血症、糖尿病及び肥満症の有病率が高い、血清テストステロン1.0〜3.5ng/mLの男性209名からなるその比較的小さい群(運動能力の限界がある老年男性におけるテストステロン、TOM)では、テストステロンゲル群における心血管事象発生率がより高いため、試験が中止された。テストステロン治療群では、プラセボ群と比較して、レッグプレス及びチェストプレスの強度並び荷物を運びながらの階段昇降において大きい改善が認められた(Basaria、Covielloら 2010)。心血管AEのリスクは、テストステロン治療男性の方が大きかった。

テストステロン補充療法はまた、精子数の減少及び精巣サイズの減少による副作用として不妊症と関連する。

テストステロン注射剤は、毎週、隔週又は長期の投薬レジメンに比べて、低コストという点では有利であるが、非生理的ピーク及びトラフレベルという点で不利である。

血清テストステロン3.0ng/mL未満の復員軍人援護局(Veteran Administration)患者8709名からなる群において、コロノグラフィー(coronography)の中央値531日後に、それらのうちの1223名がテストステロン療法を開始した(Vigen、O'Donnellら 2013)。その後向き観察研究において、3年目死亡率は、対照群及びテストステロン群においてそれぞれ15.4%対18.5%であった。前述の通り、「この示差的根拠は、テストステロン処方を警告する....。」(Cappola 2013)。

しかし、TOM試験以外のテストステロン療法試験のメタ分析は、有害な心血管事象を示さなかった(Calof、Singhら 2005; Haddad、Kennedyら 2007; Fernandez-Balsells、Muradら 2010)。

テストステロン補充療法は、性的機能及び気分の向上と関連していた(Seftel、Mackら 2004; Wang、Cunninghamら 2004)。

性的機能の改善(Wang、Swerdloffら 2000; Isidori、Giannettaら 2005; Bolona、Uragaら 2007)に加えて、アンドロゲン欠乏症の症状がある男性へのテストステロンの投与は、骨密度を増加させ(Snyder、Peacheyら 2000; Isidori、Giannettaら 2005)、除脂肪量を増加させ(Isidori、Caprioら 1999; Snyder、Peacheyら 2000; Isidori、Giannettaら 2005)、筋力(strength)を増加させ(Sih、Morleyら 1997)、インスリン抵抗性を改善し(Jones及びSaad 2009; Jones、Arverら 2011)、脂質プロファイルを改善する(Marin、Holmangら 1993; Jones及びSaad 2009; Jones、Arverら 2011)。

テストステロン補充療法に関する重大な問題は、それが精巣の内在性テストステロン分泌を抑制すること及び食品医薬品局承認されたラベルによって示されるように無精子症又は精子形成障害をもたらし得ることである(Kim、Crosnoeら 2013)。外来性テストステロンは、視床下部-下垂体-精巣系を阻害し、不妊症をもたらし得る。筋肉内テストステロンは、避妊薬としても研究されている(Liu、Swerdloffら 2006)。本発明においては、LH分泌の阻害に付随する低い精巣テストステロン形成は、内在性LHを阻害するのではなくLH分泌を刺激し且つ二次的にテストステロン分泌を刺激するSERM、特にアコルビフェンを使用することによって、回避する。

概要

低テストステロン及び/又は低末梢アンドロゲン形成による男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法を提供すること。男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記予防、低減又は消失を必要とする男性患者に、治療有効量の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを、治療有効量の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと関連させて投与することを含む、方法により、上記課題を解決する。

目的

本発明はまた、前述の組合せを実施するためのキット及び医薬組成物を提供する

効果

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請求項1

男性患者において男性性腺機能低下関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防するための医薬の製造における、性ステロイド前駆体の、選択的エストロゲン受容体調節薬と関連させた使用であって、前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、循環テストステロンのレベルを上昇させるLH分泌刺激し、前記性ステロイド前駆体が、デヒドロエピアンドロステロンであり、前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、アコルビフェン又はEM-800であり、前記使用を実行するために最初に選択された非症候性患者が、3.0ng/mL未満の血清テストステロンの値、及び/又は、2.0ng/mL未満の血清デヒドロエピアンドロステロンの値を有する、使用。

請求項2

前記症状又は疾患が、低テストステロン、低DHEA又は両方と関連する、請求項1に記載の使用。

請求項3

請求項4

前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、アコルビフェンであり、炭素2に絶対配置Sを有する光学活性化合物である、請求項1に記載の使用。

請求項5

前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、アコルビフェンであり、炭素2に絶対配置Sを有する光学活性化合物であり、前記性ステロイド前駆体が、デヒドロエピアンドロステロンである、請求項1に記載の使用。

請求項6

前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、乳房子宮又は子宮内膜組織におけるエストロゲン活性を有さない、請求項1に記載の使用。

請求項7

前記男性患者が乳がんを獲得するリスクを低減させる、請求項1に記載の使用。

請求項8

併用療法の一部として、治療有効量のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンが更に投与される、請求項1に記載の使用。

請求項9

前記選択的エストロゲン受容体調節薬及び/又は性ステロイド前駆体が直腸に投与される、請求項1に記載の使用。

請求項10

前記選択的エストロゲン受容体調節薬及び/又は性ステロイド前駆体が経口的に投与される、請求項1に記載の使用。

請求項11

前記選択的エストロゲン受容体調節薬及び/又は性ステロイド前駆体が経皮的に投与される、請求項1に記載の使用。

請求項12

男性患者において男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防するための医薬組成物であって、a)医薬として許容される賦形剤希釈剤又は担体と、b)性ステロイド前駆体であるデヒドロエピアンドロステロンと、c)選択的エストロゲン受容体調節薬であるアコルビフェン又はEM-800とを含み、少なくとも1つの男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の予防のための前記組成物の使用を指示する包装で提供される、医薬組成物。

請求項13

性ステロイド前駆体と選択的エストロゲン受容体調節薬との両方が、丸剤錠剤カプセル剤クリーム剤ゲル剤肛門坐剤及び注射剤を含む群から選択される医薬送達形態一緒に配合されている、請求項12に記載の医薬組成物。

請求項14

前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、アコルビフェンであり、炭素2に絶対配置Sを有する光学活性化合物であり、前記性ステロイド前駆体が、デヒドロエピアンドロステロンである、請求項12に記載の医薬組成物。

請求項15

男性患者において男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防するためのキットであって、(i)性ステロイド前駆体であるデヒドロエピアンドロステロンを内部に含む第1の容器と、(ii)選択的エストロゲン受容体調節薬であるアコルビフェン又はEM-800を内部に含む第2の容器と、(iii)少なくとも1つの男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の予防のために前記キットを使用するための説明書とを含む、キット。

請求項16

前記選択的エストロゲン受容体調節薬が、アコルビフェンであり、炭素2に絶対配置Sを有する光学活性化合物であり、前記性ステロイド前駆体が、デヒドロエピアンドロステロンである、請求項15に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、古典的に男性性機能低下症に起因するとされてきた1つ又は複数の症状を伴う低総アンドロゲン又は低テストステロン新規治療に関する。

背景技術

0002

65より高齢の個体の数は、1990年代と比較して10倍を超えて増加している(Shigehara及びNamiki 2011)。老化過程において、低テストステロンは、ウェルビーイン感覚の低下、うつ状態、性欲減退及び勃起不全の増加を伴うことが多い(Lunenfeld及びNieschlag 2007)。老化と関連する血清テストステロンベルの低下は、遅発性性腺機能低下症(LOH)と称されている(Wang、Nieschlagら 2009b)。男性性腺機能低下症の診断には通常、2.0未満〜3.5ng/mLと報告される低血清テストステロンに加えて、総体症状が組み合わされていた。

0003

そのレベル未満ではアンドロゲン欠乏症の症状及び有害な健康転帰出現する、正確なテストステロン閾値レベルは、知られておらず、年齢に依存する可能性がある(Kelleher、Conwayら 2004; Zitzmann、Faberら 2006; Hall、Escheら 2008)。

0004

3.0ng/mLのテストステロン閾値において、症状はこの値未満でより多く出現する(Kelleher、Conwayら 2004; Zitzmann、Faberら 2006; Bhasin、Cunninghamら 2010)。米国内分泌学会(US Endocrine Society)のガイドラインは、LOHを、血清テストステロン2.0ng/mL未満が古典的な性腺機能低下症の1つ又は複数の兆候及び症状と共に認められることと定義している(Bhasin、Cunninghamら 2006)。米国アンドロロジー学会(American Society of Andrology)は、症状を示す男性においては3.0ng/mL未満を推奨している(American Society of Andrology 2006)。他方、International Society for the Study of the Aging Male (ISSAM)によれば、症状を示す高齢男性は、テストステロン3.50ng/mL未満を性腺機能低下みなすべきである(Wang、Nieschlagら 2009a)。

0005

同時に、その濃度未満ではテストステロン投与が転帰を改善するテストステロン濃度は不明であり、個体及び標的臓器により異なり得る。したがって、入手可能な証拠は、全ての患者において性腺機能低下症の診断を確定する、そのレベル未満では臨床的アンドロゲン欠乏が起こるテストステロンレベルの任意の閾値の使用を裏付けていない(Bhasin、Cunninghamら 2006)。

0006

低い身体的活力と低い血清テストステロンとの相関は、再三にわたり低かった(Xu、Gourasら 1998; Travison、Morleyら 2006)。また、前述の通り、異なるアンドロゲン依存性標的には異なる閾値が存在する可能性がかなり高い(Bhasin、Woodhouseら 2005; Gray、Singhら 2005; Zitzmann、Faberら 2006; Shigehara及びNamiki 2011)。

0007

本発明のベースとなる新規な成分は、低血清デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)に由来する低いアンドロゲン細胞内分泌末梢形成を、単独で又は性腺機能低下症に起因するのと同様な総体症状と組み合わせて、更に検討すべきであることである。したがって、DHEA由来のアンドロゲン代謝産物、とりわけ、アンドロステロングルクロニド(ADT-G)を、記載されたようにして測定することができる(Labrie、Belangerら 2006)。デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)及びアンドロゲン代謝産物グルクロニド、即ち、ADT-G(総アンドロゲン作用推定値)並びに他のアンドロゲン及び代謝産物の正常値は、(Labrie、Cusanら 2009; Labrie 2010b; Ohlsson、Labrieら 2010; Labrie 2011; O'Connor、Leeら 2011)に見ることができる。テストステロン値が正常である場合、2.0ng/mL未満の血清DHEA値を単独で低いとみなすことができるが、血清テストステロンの濃度も考慮に入れなければならず、低アンドロゲン代謝産物に反映される低総アンドロゲンをもたらす低テストステロン及び/又は低DHEAの組合せによって、低総アンドロゲンの症状が生じる。25ng/mL未満の血清ADT-Gは、低い総アンドロゲン低下作用(hypoandrogenecity)のパラメーターと考えることができる(Labrie、Diamondら1997b)。

0008

男性性腺機能低下症は、精子形成不全又は精巣のテストステロン分泌不全を示し得る。本発明に関与するのは、この第2の部分である[より詳細については、(Corona、Rastrelliら 2012)を参照のこと]。

0009

典型的には、加齢男性において見られる遅発性性腺機能低下症(LOH)は、低血清テストステロンとアンドロゲン低下作用の1つ又は複数の症状を併せ持つ。しかし、総アンドロゲンの50%までがDHEAに由来するので、低DHEAは、低テストステロンと同程度に性腺機能低下症の徴候及び症状の原因となり得る。

0010

このため、性腺機能低下症及び/又は低末梢アンドロゲン形成の徴候及び症状は、治療法にふさわしい状態であり得る。遊離テストステロンは、Vermeulenの式(www.issam.ch/freetesto.htm)に従って求めることもできるが、通常それほど得るところがない。

0011

テストステロンに加えて、精巣は、アロマターゼの作用によって、エストロゲンであるエストロン及びエストラジオール分泌する(図1)。下垂体前葉による黄体形成ホルモン(LH)の分泌は、視床下部からのGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の拍動性分泌によって刺激されるが、テストステロンとエストラジオールはいずれも、LH分泌に関して視床下部-下垂体レベルで、全体的な阻害効果を及ぼす(Corona、Rastrelliら 2012)。LHは次に、精巣におけるライディッヒ細胞によるテストステロン分泌を刺激する(図1)。

0012

米国内分泌学会のガイドラインは、「一貫した症状及び徴候並びに明白に低い血清テストステロンレベル」を有する男性においてのみテストステロン治療を推奨している。しかし、テストステロン補充療法を受けている男性の半分しか、男性性腺機能低下症と診断されていなかったことがわかっている。実際に、34%は疲労の、31%は勃起不全の、12%は心理的性機能障害の治療を受けていた。(Baillargeon、Urbanら 2013)。

0013

前述の通り、男性における総アンドロゲンの50%までが、末梢組織局所的にDHEAから産生されるが、DHEAは年齢75才以上男性において加齢に伴って平均80%も減少し(Labrie、Belangerら 1997b)、したがって、低DHEAが、これまで男性性腺機能低下症に起因するとされてきた症状及び徴候を説明するために低血清テストステロンと比較して少なくとも等しい役割を有する理由となる(Labrie、Belangerら 1997a)ことを考慮しなければならない。

0014

内分泌学会は、テストステロン療法、即ち、アンドロゲン欠乏症候群の男性におけるテストステロン療法(Testosterone Therapy in Men with Androgen Deficiency Syndrome)に対する臨床診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline)をwww.endocrine.org.に有する(2006年;2010年改訂)。これは、前立腺特異抗原(Prostate Specific Antigen)除外基準及びPSA追跡調査ガイダンスに関する改訂された推奨基準を含む。

0015

低テストステロンは、以下の徴候又は症状の任意の1つ又は組合せを伴い得る:
-性欲(性に対する関心)喪失
-勃起困難(勃起不全)
-疲労感及びエネルギー欠如(エネルギーの喪失、エネルギー喪失)
- うつ状態
-骨量減少(骨密度の低下及び骨折リスクの増加)
-筋肉減少及び筋力低下
-体毛減少
-妊孕性の問題

0016

更なる利益、例えば、以下の医学的問題、即ち、高コレステロール血症高脂質血症アテローム動脈硬化症高血圧症アルツハイマー病記憶喪失認知喪失認知症不眠症心血管疾患インスリン抵抗性2型糖尿病及び肥満(とりわけ、腹部肥満)の治療又はそれらを獲得する尤度若しくはリスクの低下(Comhaire 2000; Ding、Songら 2006; Khaw、Dowsettら 2007; Bassil、Alkaadeら 2009; Zitzmann 2009)もまた、本発明による治療によって提供される。

0017

男性における低血清テストステロンは、筋肉量の減少、筋力の低下及び運動能(mobility)の低下と関連する(Roy、Blackmanら 2002; Schaap、Pluijmら 2005)。健常な老年男性におけるテストステロン補充は、筋肉量及び筋力並びに脚力を増加させ、これらは運動能の重要な因子である(Bhasin、Storerら 1996; Sih、Morleyら 1997; Snyder、Peacheyら 1999; Storer、Maglianoら 2003; Bhasin、Woodhouseら 2005; Page、Amoryら 2005)。

0018

加齢男性におけるアンドロゲン欠乏の症状/徴候は、内分泌学会の臨床診療ガイドラインに述べられた通りであり得る(Bhasin、Cunninghamら 2006)。

0019

0020

加齢自体が、男性における性的機能の低下と関連する(Vermeulen 2003; Ebert、Jockenhovelら 2005)。

0021

男性性腺機能低下症の診断には、ANDROTESTが役立ち得る(Corona、Janniniら 2006; Corona、Mannucciら 2006)。鑑別診断には、(Corona、Rastrelliら 2012)によって提供された情報が役立ち得る。LOHはまた、3.2ng/mL未満の総テストステロンレベルと関連する少なくとも3つの性的症状の存在によって定義されている(Wu、Tajarら 2010)。年齢40〜79才の男性3369名の無作為集団試料で行われたその研究において、血清テストステロンに関して、症状のない男性と症状のある男性の差は、軽微であった。上記で示した通り、考えられる1つの説明は、血清テストステロンがアンドロゲン活性唯一供給源ではなく、アンドロゲン活性は前述の通り50%までがDHEA由来アンドロゲンに由来するという説明であり得る(Labrie、Dupontら 1985; Labrie 2011)。

0022

男性の性的行動におけるテストステロンの生理的役割は、十分に理解されていない。男性の性的行動と血清テストステロンの濃度を相関させようと企てる多くの研究は、矛盾する結果を示している。血清テストステロンレベルと勃起不全との間には幅広いずれがある(Salmimies、Kockottら 1982; Gooren 1987; Bhasin、Cunninghamら 2006; Traish、Guayら 2009)。しかし、低血清テストステロンは依然として、男性の性障害の評価において標準的な臨床診療となっている。

0023

全体的な臨床像の臨床評価が主として重要であるが、遅発性男性性腺機能低下症の診断には、質問表が役立ち得る。使用できる手段は、これらに限定するものではないが、Androgen Deficiency in Aging Males(ADAM)(Morley、Charltonら2000)、Aging Males Symptoms(AMS)Rating Scale(Moore、Hueblerら2004)及びMassachusetts Male Ageing Study(MMAS)Questionnaire(Smith、Feldmanら2000)である。診断には、Brief Sexual Function Inventory(BSFI)が役立ち得る(O'Leary、Fowlerら 1995)。この手段は、性的衝動(2項目)、勃起(3項目)、射精(2項目)、各領域における問題の認識(3項目)及び全体的満足感(1項目)を網羅する。

0024

男性性腺機能低下症の治療のための治療薬が新たに出現している[以下の2つ最近の総説を参照のこと:(Corona、Rastrelliら 2012; Kim、Crosnoeら 2013)]。既存の外来性テストステロン治療に加えて、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)による臨床データが入手可能である。SERMは、視床下部及び下垂体において、エストラジオールと競合してエストロゲン受容体と結合する。視床下部におけるエストラジオールの阻害作用中和すると、精巣によるテストステロン産生を増加させるLH分泌を促進するGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の分泌が増加する。クエン酸クロミフェンを用いたいくつかの研究が行われている。クエン酸クロミフェンは、テストステロンゲルの使用と同様に、血液中の血清テストステロンレベルを増加させる(Taylor及びLevine 2010)。クエン酸クロミフェンは、性腺機能低下症男性における性的機能を改善する(Guay、Jacobsonら 2003)。クエン酸クロミフェンは、性腺機能低下症男性においてテストステロン-エストラジオール比を改善する(Shabsigh、Kangら 2005)。クエン酸クロミフェンは、若い性腺機能低下症男性において、循環テストステロンを増加させ、いくつかの性腺機能低下症関連症状(性欲減退、エネルギーの欠如)を改善する(Katz、Nabulsiら 2011)。

0025

エンクロミフェン(Androxal; Repros社)は、男性性腺機能低下症及び不妊症を対象として開発中である。特許文献もまた、SERM又は抗エストロゲン薬が男性性腺機能低下症を含む男性アンドロゲン欠乏症に(US2006/0293294、US2009/0215733、WO01/91744、WO03/072092、WO2006/024689及びWO2013/123218)、及び他の活性薬剤との併用で有用であり得ることを示している(US2007/0078091及びWO2013/130832)。他のクラスの化合物、即ち、性腺刺激ホルモン、5α-レダクターゼ阻害薬、テストステロン前駆体、芳香族化可能でないアンドロゲン、アロマターゼ阻害薬、選択的エストロゲン受容体βアゴニスト及び選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)が、男性性腺機能低下症を治療することが示唆されている。性腺刺激ホルモン療法は、依然として、続発性性腺機能低下症を有する男性における不妊症に対して有効な数少ない治療の1つである(Liu、Bakerら 2009; Farhat、Al-zidjaliら 2010)。ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンは、テストステロンのライディッヒ細胞産生を刺激するLH類似体であり、尿及び組換え供給源から得ることができる。

0026

特に、治療は、性ステロイドの前駆体を細胞特異的な選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、特にアコルビフェンと組み合わせて投与することを含む。

0027

本発明はまた、前述の組合せを実施するためのキット及び医薬組成物を提供する。

0028

多数の疾患、状態及び望ましくない症状が、外来性性ステロイド又はその前駆体の投与に良好に応答することが知られている。例えば、エストロゲンが、骨量減少の速度を減少させると考えられているのに対し、アンドロゲンは、骨形成を刺激することによって骨量を増大することが示されている。

0029

性腺機能低下症男性における長期のテストステロン治療は、メタボリックシンドロームの成分を改善する。これは、総コレステロール低密度リポタンパク質コレステロールトリグリセリド(tryglyceride)を低下させ、HDLコレステロールレベルを上昇させた。これはまた、血中グルコースレベルを低下させた(Traish、Haiderら 2013)。

0030

2年間にわたるジヒドロテストステロン(DHT)による治療は、前立腺体積に対して効果がなかったが、おそらくLH分泌の阻害により、体脂肪量を減少させ、除脂肪量を増加させ、血清テストステロンを抑制し、脊椎骨密度を減少させた。多くの他の研究は、アンドロゲン補充療法が有益であり、前立腺体積又は泌尿器症状を有意に変化させないことを示している(Sih、Morleyら 1997; Kenny、Prestwoodら 2001; Marks、Mazerら 2006; Saad、Goorenら 2008; Takao、Tsujimuraら 2009)。経口テストステロンウンデカン酸エステルを用いた10年間の研究において、前立腺サイズの増加も、がんの証拠も認められなかった(Gooren 1994)。

0031

性腺機能低下症男性において、下部尿路症状の改善さえも観察された(Pechersky、Mazurovら 2002)。総説については、(Amano、Imaoら 2010; Shigehara及びNamiki 2011)を参照のこと。40〜160mg/日の用量での8カ月間にわたる経口テストステロンウンデカン酸エステルの補充(replacement)により、前立腺サイズも変化せず、排尿症状の悪化も示されなかった(Franchi F、Luisi Mら 1978)。100mgエナント酸テストステロンを同様に3カ月にわたって毎週注射する研究では、前立腺体積も排尿後残尿量も変化しなかった(Tenover 1992)。

0032

別の研究において、8カ月間にわたるアンドロゲン補充療法により、前立腺体積が18%増加したが、尿流測定データの変化は認められなかった(Holmang、Marinら 1993)。別の研究において、前立腺体積の差は観察されなかった(Behre、Bohmeyerら1994)。

0033

性欲減退及び勃起不全は、男性における性腺機能低下症の最も顕著な(proeminent)症状であると考えられる(Harman、Metterら 2001; Matsumoto 2002)。Massachusetts Male Aging Studyにおいて、完全な勃起不全の有病率が、年齢40才と70才の間で5%から15%まで3倍に増加した(Morley 2003)。

0034

他方、European Male Aging Study(EMAS)では、低血清テストステロンと不十分な起床時勃起、低い性欲及び勃起不全の症状との間に相関が認められ(テストステロン範囲2.3〜3.7ng/mL)、これが、前記3つの症状を有し且つ血清テストステロンが3.2ng/mL未満又は11ナノモル/リットル未満であるという、男性におけるLOH(遅発性性腺機能低下症)の定義につながった(Wu、Tajarら 2010)。テストステロンは、性腺刺激ホルモンの分泌、性的成熟期における男性化精子産生の誘発及び維持並びに性欲及び性的機能を制御する。

0035

アンドロゲンに由来するエストロゲン及びアントロゲン自体はいずれも、GnRH/LH分泌に対して全体的な負の効果を及ぼす(図1)。エストラジオールは、血液中でははるかに低濃度であるが、GnRH/LH分泌の効率的な阻害薬である。

0036

血清テストステロンレベルは、概日リズム及び概年リズム、脈状分泌及び測定変動の結果として、著しく変動する。テストステロン濃度は、疾病及び特定の治療薬(例えば、アヘン製剤及びグルココルチコイド)によって影響を受ける可能性がある。

0037

慢性状態及び運動能の限界がある65才を超える男性において行われたTOM試験では、テストステロンゲル群ではプラセボ群と比べて、2倍の有害事象(AE)が報告された(Basaria、Covielloら 2010)。慢性疾患、即ち、高血圧症、高脂質血症、糖尿病及び肥満症の有病率が高い、血清テストステロン1.0〜3.5ng/mLの男性209名からなるその比較的小さい群(運動能力の限界がある老年男性におけるテストステロン、TOM)では、テストステロンゲル群における心血管事象発生率がより高いため、試験が中止された。テストステロン治療群では、プラセボ群と比較して、レッグプレス及びチェストプレスの強度並び荷物を運びながらの階段昇降において大きい改善が認められた(Basaria、Covielloら 2010)。心血管AEのリスクは、テストステロン治療男性の方が大きかった。

0038

テストステロン補充療法はまた、精子数の減少及び精巣サイズの減少による副作用として不妊症と関連する。

0039

テストステロン注射剤は、毎週、隔週又は長期の投薬レジメンに比べて、低コストという点では有利であるが、非生理的ピーク及びトラフレベルという点で不利である。

0040

血清テストステロン3.0ng/mL未満の復員軍人援護局(Veteran Administration)患者8709名からなる群において、コロノグラフィー(coronography)の中央値531日後に、それらのうちの1223名がテストステロン療法を開始した(Vigen、O'Donnellら 2013)。その後向き観察研究において、3年目死亡率は、対照群及びテストステロン群においてそれぞれ15.4%対18.5%であった。前述の通り、「この示差的根拠は、テストステロン処方を警告する....。」(Cappola 2013)。

0041

しかし、TOM試験以外のテストステロン療法試験のメタ分析は、有害な心血管事象を示さなかった(Calof、Singhら 2005; Haddad、Kennedyら 2007; Fernandez-Balsells、Muradら 2010)。

0042

テストステロン補充療法は、性的機能及び気分の向上と関連していた(Seftel、Mackら 2004; Wang、Cunninghamら 2004)。

0043

性的機能の改善(Wang、Swerdloffら 2000; Isidori、Giannettaら 2005; Bolona、Uragaら 2007)に加えて、アンドロゲン欠乏症の症状がある男性へのテストステロンの投与は、骨密度を増加させ(Snyder、Peacheyら 2000; Isidori、Giannettaら 2005)、除脂肪量を増加させ(Isidori、Caprioら 1999; Snyder、Peacheyら 2000; Isidori、Giannettaら 2005)、筋力(strength)を増加させ(Sih、Morleyら 1997)、インスリン抵抗性を改善し(Jones及びSaad 2009; Jones、Arverら 2011)、脂質プロファイルを改善する(Marin、Holmangら 1993; Jones及びSaad 2009; Jones、Arverら 2011)。

0044

テストステロン補充療法に関する重大な問題は、それが精巣の内在性テストステロン分泌を抑制すること及び食品医薬品局承認されたラベルによって示されるように無精子症又は精子形成障害をもたらし得ることである(Kim、Crosnoeら 2013)。外来性テストステロンは、視床下部-下垂体-精巣系を阻害し、不妊症をもたらし得る。筋肉内テストステロンは、避妊薬としても研究されている(Liu、Swerdloffら 2006)。本発明においては、LH分泌の阻害に付随する低い精巣テストステロン形成は、内在性LHを阻害するのではなくLH分泌を刺激し且つ二次的にテストステロン分泌を刺激するSERM、特にアコルビフェンを使用することによって、回避する。

0045

US2006/0293294
US2009/0215733
WO01/91744
WO03/072092
WO2006/024689
WO2013/123218
US2007/0078091
WO2013/130832
US6,060,503
米国特許第5,162,037号
米国特許第5,154,922号
米国特許第5,135,480号
米国特許第4,666,441号
米国特許第4,624,665号
米国特許第3,742,951号
米国特許第3,797,444号
米国特許第4,568,343号
米国特許第5,064,654号
米国特許第5,071,644号
米国特許第5,071,657号
欧州特許第0279982号
英国特許出願第2185187号
米国特許第6,710,059号
JP10036347
WO97/32837
WO97/25034
WO97/25035
WO97/25037
WO97/25038
WO97/25036
EP0802183A1
WO97/3283

先行技術

0046

www.issam.ch/freetesto.htm
www.endocrine.org
H. Bundgaard 「5. Design and Application of Prodrugs」(A textbook of Drug Design and Development、P. Krogsgaard-Larsen及びH. Bundgaard編; Harwood Academic Publishers GmbH、Chur、Switzerland、1991)
Labrie、Menopause Management 19、4-24.2010
labrieら JSBMB 113 52〜56

発明が解決しようとする課題

0047

本発明の目的は、低テストステロン及び/又は低末梢アンドロゲン形成による男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法を提供することである。

0048

別の目的は、性欲喪失、勃起不全、疲労感、エネルギーの喪失、うつ状態、骨量減少、筋肉減少、筋力低下、脂肪蓄積、記憶喪失、認知喪失、アルツハイマー病、認知症、体毛減少、妊孕性の問題、不眠症、女性化乳房症、貧血一過性熱感発汗、ウェルビーイング感覚の低下、肥満、骨粗鬆症、高コレステロール血症、高脂質血症、アテローム動脈硬化症、高血圧症、インスリン抵抗性、心血管疾患及び2型糖尿病の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法を提供することである。

0049

別の目的は、男性患者乳がんを獲得するリスクを低減させる方法を提供することである。

0050

別の目的は、前記方法への使用に好適なキット及び医薬組成物を提供することである。好ましくは、これらの製品は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させるためにその内容物を使用するための指示書と共に包装する。

0051

別の目的は、前記方法への使用に好適なキット及び医薬組成物を提供することである。好ましくは、これらの製品は、性欲喪失、勃起不全、疲労感、エネルギーの喪失、うつ状態、骨量減少、筋肉減少、筋力低下、脂肪蓄積、記憶喪失、認知喪失、アルツハイマー病、認知症、体毛減少、妊孕性の問題、不眠症、女性化乳房症、貧血、一過性熱感、発汗、ウェルビーイング感覚の低下、肥満、骨粗鬆症、高コレステロール血症、高脂質血症、アテローム動脈硬化症、高血圧症、インスリン抵抗性、心血管疾患及び2型糖尿病の発生を予防する、低減させる又は消失させるためにその内容物を使用するための指示書と共に包装する。

課題を解決するための手段

0052

一実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記予防、低減又は消失を必要とする男性患者に、治療有効量の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを、治療有効量の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと関連させて投与することを含む、方法を提供することである。

0053

性ステロイド前駆体は、デヒドロエピアンドロステロン、硫酸デヒドロエピアンドロステロンアンドロスタ-5-エン-3β,17β-ジオール、4-アンドロステン-3,17-ジオン及び前記の追加の作用剤のいずれかのプロドラッグからなる群から選択されるのが好ましい。

0054

選択的エストロゲン受容体調節薬は、タモキシフェントレミフェン、CC 8490、SERM 3471、HMR3339、HMR 3656、ラロキシフェン、LY 335124、LY 326315、アルゾキシフェン(LY 353381)、ピペンドキシフェン(ERA 923)、バゼドキシフェン(TSE 424、WAY 140424)、Oporia(ラソフォキシフェン)、EM-652、EM-800、EM-652-HCl(アコルビフェン、EM-1538)、4-ヒドロキシ-タモキシフェン、4-ヒドロキシ-トレミフェン、ドロロキシフェン、LY 335563、GW-5638、イドキシフェン、レボルメロキシフェン、イプロキシフェン(TAT-59)、オスペミフェン(FC 1271)、フィスペミフェンセントクロマン、CHF 4227、LY 2066948、LY 2120310、シビフェン(Sivifene)、SR 16234、クロミフェン、エンクロミフェン、ズクロミフェン、GW 7603、BL3040、SRI16158、SR 16157、SRI 16137、SR 16137、Rad 1901、(+)-3-(4-ヒドロキシフェニル)-2-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]-4-(トリフルオロメチル)-2H-1-ベンゾピラン-7-オール、Femarelle、ナフォキシジン及びエンドキシフェンを含む群から選択されるのが好ましい。

0055

抗エストロゲン薬は、Faslodex{ICI182780、フルベストラント、7α-[9-(4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール}、ICI 164384、CH 4893237、ZK 246965及びSH 646を含む群から選択されるのが好ましい。

0056

選択的エストロゲン受容体調節薬は、下記式

0057

0058

[式中、
R1及びR2は、独立して、水素ヒドロキシルハロゲン、C1〜C6アルキル又はインビボでヒドロキシルに変換される部分であり、
Zは、存在しないか、又は-CH2-、-O-、-S-及び-NR3-(R3は、水素又はC1〜C6アルキルである)からなる群から選択され、
R100は、4〜10個の介在原子によってLをB環から隔てる二価部分であり、
Lは、-SO-、-CON<、-N<及び-SON<の群から選択される二価又は三価部分であり、
G1は、水素、C1〜C5炭化水素、G2及びLと組み合わさって5〜7員複素環となっている二価部分、並びに前記のもののハロ又は不飽和誘導体からなる群から選択され、
G2は、存在しないか、又は水素、C1〜C5炭化水素、G1及びLと組み合わさって5〜7員複素環となっている二価部分、並びに前記のもののハロ又は不飽和誘導体からなる群から選択され、
G3は、水素、メチルエチル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される];
下記式

0059

0060

[式中、
Dは、-OCH2CH2N(R3)R4(R3及びR4はいずれも、C1〜C4アルキルからなる群から独立して選択されるか、又はR3、R4及びそれらが結合している窒素原子一緒になって、ピロリジニル、2,2-ジメチルピロリジニル、2-メチルピロリジニル、ピペリジノヘキサメチレンイミノ及びモルホリノからなる群から選択される環構造となっている)であり、
R1及びR2は、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C6アルキル及びインビボでヒドロキシルに変換される部分からなる群から独立して選択され、
G3は、水素、メチル、エチル及びトリフルオロメチルからなる群から選択される]
若しくは医薬として許容されるその塩;
下記式

0061

0062

[式中、
炭素2に絶対配置Sを有する光学活性化合物であるベンゾピラン化合物
R1及びR2は、ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C6アルキル及びインビボでヒドロキシルに変換され得る部分からなる群から独立して選択され、
R3は、飽和、不飽和若しくは置換ピロリジニル、飽和、不飽和若しくは置換ピペリジノ、飽和、不飽和若しくは置換ピペリジニル、飽和、不飽和若しくは置換モルホリノ、窒素含有環式部分、窒素含有多環式部分及びNRaRb(Ra及びRbは、独立して、水素、直鎖若しくは分岐鎖C1〜C6アルキル、直鎖若しくは分岐鎖C2〜C6アルケニル又は直鎖若しくは分岐鎖C2〜C6アルキニルである)からなる群から選択される種である]
若しくは医薬として許容されるその塩
を含む群から選択される式のうちの1つを有し、
塩が、酢酸アジピン酸ベンゼンスルホン酸安息香酸カンファースルホン酸クエン酸フマル酸ヨウ化水素酸臭化水素酸塩酸ヒドロクロロチアジド酸、ヒドロキシナフトエ酸乳酸マレイン酸メタンスルホン酸メチル硫酸、1,5-ナフタレンジスルホン酸硝酸パルミチン酸ピバル酸リン酸プロピオン酸コハク酸硫酸酒石酸テレフタル酸p-トルエンスルホン酸及び吉草酸からなる群から選択される酸の塩である
のが好ましい。

0063

別の実施形態において、本発明は、併用療法の一部として、治療有効量のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを投与することを更に含む方法を提供する。

0064

別の実施形態において、本発明は、
a)医薬として許容される賦形剤希釈剤又は担体と、
b)治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグと、
c)治療有効量の少なくとも1種のSERM、抗エストロゲン薬又はプロドラッグと
を含む医薬組成物を提供する。

発明の効果

0065

別の実施形態において、本発明は、
a)医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と、
b)治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグと、
c)治療有効量の少なくとも1種のSERM、抗エストロゲン薬又はプロドラッグと
を含む、丸剤錠剤カプセル剤ゲル剤クリーム剤、オビュール剤(ovule)、肛門坐剤及び注射剤を提供する。

0066

別の実施形態において、本発明は、治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを含む医薬製剤を収容する第1の容器を含むキットであって、併用療法の一部として治療有効量の少なくとも1種のSERM、抗エストロゲン薬又はプロドラッグを含む医薬製剤を収容する第2の容器を更に含む、キットを提供する。

0067

別の実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記発生の予防、低減又は消失を必要とする患者において、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)、硫酸デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S)、アンドロスタ-5-エン-3β,17β-ジオール(5-ジオール)及び4-アンドロステン-3,17-ジオンからなる群から選択される性ステロイド前駆体のレベルを増加させることを含み、併用療法の一部として治療有効量の少なくとも1種のSERM、抗エストロゲン薬又はプロドラッグを前記患者に投与することを更に含む、方法に関する。

0068

別の実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記発生の予防、低減又は消失を必要とする患者において、SERM又は抗エストロゲン薬の作用によって循環精巣テストステロンのレベルを増加させることを含み、併用療法の一部として治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はプロドラッグを前記患者に投与することを更に含む、方法に関する。

0069

別の実施形態において、本発明は、アンドロステロングルクロニド(ADT-G)、アンドロスタン-3α,17β-ジオール-3-グルクロニド(3α-ジオール-3G)及びアンドロスタン-3α,17β-ジオール-17-グルクロニド(3α-ジオール-17G)からなる循環アンドロゲン代謝産物のレベルを増加させることによる、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記予防、低減又は消失を必要とする男性患者に、治療有効量の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを、治療有効量の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと関連させて投与することを含む、方法を提供する。

0070

明細書中で使用する「純SERM」は、SERMが、生理的濃度又は薬理学的濃度で、乳房又は子宮組織においてエストロゲン活性を有さないことを意味する。

0071

別の実施形態において、本発明は、治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体を収容する第1の容器を含み、治療有効量の少なくとも1種のSERMを収容する第2の容器を更に含むキットを提供する。

0072

別の実施形態において、本発明は、1つの容器で、
a)医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と、
b)治療有効量の少なくとも1種の性ステロイド前駆体と、
c)治療有効量の少なくとも1種のSERMと
を含む医薬組成物を提供する。

0073

別の実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させる方法であって、前記予防、低減又は消失を必要とする男性患者に、治療有効量の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを、治療有効量の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと関連させて投与することを含み、選択的エストロゲン受容体調節薬又は抗エストロゲン薬が、循環テストステロンのレベルを上昇させるLH分泌を刺激する、方法を提供する。

0074

別の実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させるための医薬組成物であって、
a)医薬として許容される賦形剤、希釈剤又は担体と、
b)少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグと、
c)少なくとも1種の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグと
を含み、少なくとも1つの男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の予防、低減又は消失のための前記組成物の使用を指示する包装で提供される、医薬組成物を提供する。

0075

別の実施形態において、本発明は、男性性腺機能低下症関連症状及び疾患を含む男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患の発生を予防する、低減させる又は消失させるためのキットであって、(i)少なくとも1種の性ステロイド前駆体又はそのプロドラッグを内部に含む第1の容器と、(ii)少なくとも1種の選択的エストロゲン受容体調節薬若しくは抗エストロゲン薬又はいずれかのプロドラッグを内部に含む第2の容器と、(iii)少なくとも1つの男性アンドロゲン欠乏症状又は疾患のを予防、低減又は消失のために前記キットを使用するための説明書とを含む、キットを提供する。

0076

性ステロイド前駆体がデヒドロエピアンドロステロンであり且つ選択的エストロゲン受容体調節薬がアコルビフェンであるのが好ましい。

0077

本明細書中で使用する場合、他の化合物「と関連させて」患者に投与する化合物は、両化合物を時間的に近傍で投与しなくても、患者が両化合物の生理的効果を同時に得ることができる程度に十分に前記他の化合物の投与に接近して投与する。化合物を併用療法の一部として投与する場合、それらは互いに関連させて投与する。本明細書中で論じる好ましいSERM(アコルビフェン)は、好ましくは、好ましい性ステロイド前駆体、デヒドロエピアンドロステロン、硫酸デヒドロエピアンドロステロン、アンドロスタ-5-エン-3β,17β-ジオール又は4-アンドロステン-3,17-ジオン、とりわけ、デヒドロエピアンドロステロンと組み合わせて使用する。

0078

本出願人は、アコルビフェン治療への性ステロイド前駆体の追加が、テストステロンの細胞内レベルを増加させると考える[細胞内アンドロゲン、とりわけ、ジヒドロテストステロンが内在性DHEAに由来している前立腺がんを有する患者においては、十分立証されている(Labrie、Dupontら 1985; Labrie、Cusanら 2009; Labrie 2011)]。

0079

本明細書中で使用する場合、SERMは、乳房組織においてエストロゲン受容体アンタゴニスト(抗エストロゲン薬)として機能する化合物であるが、骨組織及び血清コレステロールレベルに対してエストロゲン作用又はエストロゲン様作用を示す(即ち、血清コレステロールを減少させることによって)。インビトロで又はヒト若しくはラットの乳房組織でエストロゲン受容体アンタゴニストとして機能する非ステロイド性化合物(とりわけ、化合物がヒト乳房がん細胞に対して抗エストロゲン薬として作用する場合)は、SERMとして機能する可能性が高い。これとは逆に、ステロイド性抗エストロゲン薬は、血清コレステロールに対して有益な効果を示さない傾向があるので、SERMとして機能しない傾向がある。本発明者らが試験して、SERMとして機能することが判明している非ステロイド性抗エストロゲン薬としては、EM-800、EM-652.HCl、ラロキシフェン、タモキシフェン、4-ヒドロキシ-タモキシフェン、トレミフェン、4-ヒドロキシ-トレミフェン、ドロロキシフェン、LY 353 381、LY 335 563、GW-5638、ラソフォキシフェン、バゼドキシフェン(TSE 424; WAY-TSE 424; WAY 140424; 1-[[4-[2-(ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)エトキシ]フェニル]メチル]-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-1H-インドール-5-オール)、ピペンドキシフェン{ERA 923; 2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-1-[[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]メチル]1H-インドール-5-オール)}、オスペミフェン及びイドキシフェンが挙げられるが、これらに限定するものではない。

0080

しかし、本発明者らはまた、全てのSERMは同じようには反応せず、2つのサブクラス:「純SERM」と「混合SERM」に分けられうることを見出した。例えば、EM-800及びEM-652.HCl等の一部のSERMは、乳房及び子宮内膜組織において生理的濃度又は薬理学的濃度でエストロゲン活性を有さず、ラットにおいてコレステロール低下作用及びトリグリセリド低下作用を有する。これらのSERMを、「純SERM」と称することができる。理想的なSERMは、乳腺における強力で純粋な抗エストロゲン活性のため、EM-652.HCl型の純SERMである。ラロキシフェン、タモキシフェン、ドロロキシフェン、4-ヒドロキシ-タモキシフェン[1-(4-ジメチルアミノエトキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシルフェニル)-2-フェニル-ブタ-1-エン]、トレミフェン、4-ヒドロキシ-トレミフェン、[(Z)-(2)-2-[4-(4-クロロ-1-(4-ヒドロキシフェニル)-2-フェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン、LY 353 381、LY 335 563、GW-5638、ラソフォキシフェン、イドキシフェン、バゼドキシフェン及びオスペミフェン等の他のものは、乳房及び子宮内膜において若干のエストロゲン活性を有する。この第2の系列のSERMは、「混合SERM」と称することができる。これらの「混合SERM」の望ましくないエストロゲン活性は、図2及び図3で示すようにインビトロ試験において及び図4に示すように乳がんのインビボ試験において、純粋な「SERM」の追加によって阻害され得る。ヌードマウスにおけるヒト乳癌異種移植片はヒト乳がんの最も近い入手可能なモデルであるので、したがって、本発明者らは、ヌードマウスにおけるZR-75-1乳がん異種移植片の成長に対するEM-800及びタモキシフェンの効果を、単独の場合と併用した場合で比較した。

0081

一実施形態において、本発明は、以下の分子構造

0082

0083

[式中、R1及びR2は、独立して、水素、ヒドロキシル又はインビボでヒドロキシルに変換される部分であり、n=1又は2である]
の選択的エストロゲン受容体調節薬を使用する。

0084

本出願人は、SERMはエストロゲン、特に、乳房組織の増殖を増加させる可能性がある性ステロイドの外来性前駆体から形成されるものの潜在的副作用を打ち消す必要があるので、本発明のSERMは乳房において純粋な抗エストロゲン薬として作用することが非常に重要であると考える。特に、本出願人は、2位に絶対配置2Sを有する本発明のベンゾピラン誘導体はそのラセミ混合物より好適であると考える。したがって、US6,060,503において、2S配置を有する光学活性ベンゾピラン抗エストロゲン薬を、エストロゲンによって悪化した乳がん及び子宮体がんの治療のために開示し、これらの化合物がラセミ混合物より著しく効率的であることが示している(US6,060,503の図1〜図5を参照のこと)。

0085

2S配置のエナンチオマーは純粋な状態として工業的に得るのが困難であるので、本出願人は、2Rエナンチオマーの夾雑は10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは2重量%未満が好ましいと考える。

0086

有効医薬成分のプロドラッグ形態は、当技術分野において周知である。例えば、H. Bundgaard 「5. Design and Application of Prodrugs」(A textbook of Drug Design and Development、P. Krogsgaard-Larsen及びH. Bundgaard編; Harwood Academic Publishers GmbH、Chur、Switzerland、1991)を参照されたい。この文献の内容を、参照することによって本明細書中に組み込む。特に、プロドラッグを定義している114頁を参照のこと:プロドラッグは、親薬物分子の薬理学的に不活性な誘導体であって、活性な薬物を放出するためには体内自発的な又は酵素的転換を必要とし且つ親薬物分子に比べて改善された送達特性を有するものである。本出願においては、性ステロイド前駆体のプロドラッグは、3-及び/若しくは17-ヒドロキシル基並びに/又は3-及び/若しくは17-ケトン基の誘導体であり、選択的エストロゲン受容体調節薬及び抗エストロゲン薬のプロドラッグは、ヒドロキシル基の誘導体である。ヒドロキシル基のプロドラッグ形態は、エステル、炭酸エステルリン酸エステルエーテル及びα-アシルオキシアルキルエーテルであり、ケトン基のプロドラッグ形態は、ケタールイミンエノールエステル、オキサゾリジン及びチアゾリジンであるが、これらの例によって限定されない(154頁を参照のこと)。既に引用されたSERMであるEM-800(ジエステル誘導体、ジピバレート)は、EM-652のプロドラッグである(Gauthier、Caronら 1997)。

0087

血清テストステロンは、により高く、睡眠後に最小限の濃度まで減少する(Trenell、Marshallら 2007)。血清テストステロンの適切な増加を確実にするために、血清テストステロンは、治療1カ月及び2カ月で、次いで3カ月毎にモニターすべきである(その頻度は、治療を行う医師の判断による)。同様な測定を、DHEAについても行うべきである。血清DHEAもまた、概日リズムに従い、朝に最も低い。適切な比較のために、血清テストステロン及びDHEAの測定は、種々の治療時間間隔で、即ち、1カ月目及び2カ月目、次いで3カ月毎に1日の同じ時間に行うのが好ましい。

図面の簡単な説明

0088

視床下部-下垂体-精巣系及び視床下部-下垂体-副腎系を示す略図である。GnRH、性腺刺激ホルモン放出ホルモン; CRH、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン;LH、黄体形成ホルモン;ACTH副腎皮質刺激ホルモン; DHEA、デヒドロエピアンドロステロン; E2、エストラジオール; DHT、ジヒドロテストステロン; Testo、テストステロン。
ヒト子宮内膜がんIshikawa細胞におけるアルカリホスファターゼ活性に対する、EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)、(Z)-4-OH-タモキシフェン、(Z)-4-OH-トレミフェン及びラロキシフェンの漸増濃度の効果を示すグラフである。アルカリホスファターゼ活性の測定は、1.0nM E2の存在下又は非存在下において漸増濃度の示された化合物に5日間曝露した後に行った。データは、4つのウェルの平均値±SEMとして表す。SEMが、使用した記号と重なる場合は、記号のみを示す(Simard、Sanchezら 1997)。
ヒトIshikawa(子宮内膜)癌細胞における、抗エストロゲン薬EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)による、アルカリホスファターゼ活性に対する(Z)-4-OH-タモキシフェン、(Z)-4-OH-トレミフェン、ドロロキシフェン及びラロキシフェンの刺激作用遮断を示すグラフである。アルカリホスファターゼ活性の測定は、30又は100nMのEM-800の存在下又は非存在下において3又は10nMの示された化合物に5日間曝露した後に行った。データが16個のウェルから得られた対照群を除いて、データは8個のウェルの平均値±SDとして表す(Simard、Sanchezら 1997)。
ヒト乳がんZR-75-1異種移植片の成長に対するタモキシフェンの刺激作用が、EM-652.HCl(アコルビフェン)の同時投与によって完全に遮断されることを示すグラフである。アコルビフェンは単独では、その純粋な抗エストロゲン活性と一致して、タモキシフェンの非存在下において腫瘍成長に対して影響を及ぼさない。
副腎及び細胞内分泌ステロイド産生経路を示す略図である。DHEA、デヒドロエピアンドロステロン; DHEA-S、DHEA-硫酸; DHT、ジヒドロテストステロン; HSD、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ
69〜80才の去勢男性(n=34)及び55〜65才の無傷閉経後女性(n=377)における、テストステロン(A)、総アンドロゲンプール(ADT-G、3α-ジオール-3G及び3α-ジオール-17Gの合計)(B)及びE1S(C)の血清濃度の比較を示すグラフである(Labrie、Belangerら 2006; Labrie、Cusanら 2009)。
卵巣切除ラットにおける海綿骨体積に対する、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)単独又はDHEAとフルタミド若しくはEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)との組合せによる12カ月間の処置の効果を示すグラフである。無傷動物を、追加の対照として加える。データは、平均値±SEMとして示す(** p<0.01対OVX 対照)。
卵巣切除ラットにおける骨梁数に対する、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)単独又はDHEAとフルタミド若しくはEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)との組合せによる12カ月間の処置の効果を示すグラフである。無傷動物を、追加の対照として加える。データは、平均値±SEMとして示す(** p<0.01対OVX 対照)。
無傷対照(A)、卵巣切除対照(B)、及びDHEA単独(C)又はDHEAとフルタミドの組合せ(D)若しくはDHEAとEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)との組合せ(E)で処置された卵巣切除ラットからの脛骨近位骨幹端を示す画像である。卵巣切除対照動物(B)における海綿骨量(T)の減少、及びDHEA投与(C)後に誘導された海綿骨体積(T)の有意な増加に注目されたい。DHEAにフルタミドを追加すると、海綿骨体積に対するDHEAの効果が部分的に遮断される(D)のに対して、DHEAとEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)とを組み合わせると、卵巣切除と関連した骨量減少から完全に保護された。トリクロームMasson-Goldner変法倍率×80倍。T:骨梁、GP:成長板
ラットにおける血清トリグリセリド(A)及びコレステロール(B)レベルに対する、DHEA(1日1回10mg、経皮投与)又はEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)( 1日1回75μg、経口投与)の単独又は組合せによる9カ月の処置の効果を示すグラフである。データは、平均値±SEMとして表す。**: p<0.01実験対各対照。
卵巣切除ラットにおける総血清コレステロールレベルに対する、EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)又はラロキシフェンの漸増用量(0.01、0.03、0.1、0.3及び1mg/kg)の投与による37週間の処置の効果を示すグラフである。比較は、無傷ラット及び17β-エストラジオール(E2)のインプラントを有する卵巣切除動物を用いて行った;** p<0.01、実験対OVX対照ラット
男性における性ステロイドの精巣及び副腎供給源の役割、並びにLHの分泌に対する視床下部-下垂体レベルでのエストロゲンの阻害効果を打ち消すアコルビフェンの追加の効果を示す略図である。ACTH、副腎皮質刺激ホルモン; CRH、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン; DHEA、デヒドロエピアンドロステロン; DHT、ジヒドロテストステロン; E2、17β-エストラジオール; LH、黄体形成ホルモン; GnRH、性腺刺激ホルモン放出ホルモン。
カニクイザルに、アコルビフェン2.5、10又は40mg/日を13週間にわたって経口的に投薬した。対照サルには、ビヒクル単独(0.4%メチルセルロース)を投与した。研究血清テストステロン濃度の終了は、検証されたガスクロマトグラフィー質量分析アッセイを用いて決定した。結果は、1群4匹のサルの平均値±SEMとして表す。P値(対照に対する)は、等分散を仮定して両側t検定で算出した。
雄カニクイザルに、EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)3.13、12.5又は50mg/日を52週間にわたって経口的に投薬した。対照サルには、ビヒクル単独(0.4%メチルセルロース)を投与した。研究血清テストステロン濃度の終了は、検証されたガスクロマトグラフィー質量分析アッセイを用いて決定した。結果は、1群5匹のサル(EM-800研究)の平均値±SEMとして表す。P値(対照に対する)は、等分散を仮定して両側t検定で算出した。
ZR-75-1腫瘍成長に対する抗エストロゲン薬の効果を示すグラフである。卵巣切除ヌードマウスにおけるヒトZR-75-1乳房腫瘍の成長に対する、抗エストロゲン薬タモキシフェン、EM-652.HCl(アコルビフェン)及びタモキシフェンとEM-652.HClとの組合せによる161日間の処置の効果。腫瘍サイズは、初期腫瘍面積百分率として表す(1日目=100%)。データは、平均値±SEM(腫瘍n=18〜30個/群)として表す; ##p<0.01対EM-652.HCl(アコルビフェン); **p<0.01対OVX。抗エストロゲン薬は、エストロゲン刺激の非存在下で、マウス1匹当たり200μgの用量で1日1回経口的に投与した。
エストロンの1日2回の皮下注射によって同時に処置された卵巣切除マウスに対して、9日間にわたって経口的に又は皮膚への適用によって経皮的に投与された漸増一日量の抗エストロゲン薬CS-115-1(EM-343)及びEM-762の、子宮重量に対する効果を示すグラフである。
エストロンで同時に処置された卵巣切除マウスに対して、9日間にわたって経口的に投与された漸増濃度のEM-652.HCl(アコルビフェン)、ラソフォキシフェン(遊離塩基;活性及び不活性エナンチオマー)及びラロキシフェンの、子宮重量に対する効果を示すグラフである。*p<0.05、**p<0.01 対E1処置対照。
卵巣切除マウスに対して9日間にわたって経口的に投与された1μg及び10μgのEM-652.HCl(アコルビフェン)、ラソフォキシフェン(遊離塩基;活性及び不活性エナンチオマー)及びラロキシフェンの、子宮重量に対する効果を示すグラフである。**p<0.01対OVX対照。
ZR-75-1腫瘍成長に対する抗エストロゲン薬の効果を示すグラフである。卵巣切除ヌードマウスにおけるヒトZR-75-1乳房腫瘍のエストロン誘発成長に対する、7種の抗エストロゲン薬による161日間の処置の効果。腫瘍サイズは、初期腫瘍面積の百分率として表す(1日目=100%)。データは、平均値±SEM(腫瘍n=18〜30個/群)として表す;##p<0.01対EM-652.HCl(アコルビフェン);** p<0.01対OVX。抗エストロゲン薬は、エストロン及びコレステロールを1:25の比で含有する皮下0.5cmシラスティックインプラントによって得られるエストロン刺激下で、マウス1匹当たり50μgの用量で1日1回経口的に投与した。
ZR-75-1腫瘍成長に対する抗エストロゲン薬の効果を示すグラフである。卵巣切除ヌードマウスにおけるヒトZR-75-1乳房腫瘍の成長に対する、7種の抗エストロゲン薬による171日間の処置の効果。腫瘍サイズは、初期腫瘍面積(1日目=100%)の百分率として表す。データは、平均値±SEM(腫瘍n=18〜30個/群)として表す;##p<0.01対EM-652.HCl(アコルビフェン);** p<0.01対OVX。抗エストロゲン薬は、エストロゲン刺激の非存在下で、マウス1匹当たり100μgの用量で1日1回経口的に投与した。
デヒドロエピアンドロステロンとSERMアコルビフェンの組合せの、種々のパラメーターに対する効果を示す図である。デヒドロエピアンドロステロンへのアコルビフェンの追加は、図示された、低アンドロゲンの負の効果を治療又は低減する。

0089

DHEAの有益な効果
イントラクリノロジー(intracrinology)と称される末梢標的組織におけるアンドロゲン及びエストロゲンの形成及び作用に対する理解の増大(Labrie 1991; Labrie、Simardら 1992a; Labrie、Simardら 1992b; Labrie、Simardら 1994; Labrie、Durocherら 1995; Luu-The、Dufortら 1995; Labrie、Simardら 1996b; Labrie、Belangerら 1997a; Labrie、Belangerら 1997b; Labrie、Diamondら 1997b; Labrie、Luu-Theら 1997)並びにラットにおける卵巣切除後の骨量減少の予防においてエストロゲンよりもアンドロゲンが中心的な役割を果たすことを示す本発明者らの最近の観察(Martel、Sourlaら 1998)及び閉経後女性の同様な状況の観察(Labrie、Diamondら 1997a)によって、性ステロイド補充療法及び老化の分野における時宜を得た、潜在的に非常に重要な進展への道が開かれたと、本発明者らは感じている。本発明者らの観察は、このような可能性を十分に裏付けている。

0090

したがって、本発明は、男性及び女性における性ステロイドの生理機能についての本発明者らの理解において達成された最近の進展に基づく(Labrie 1991; Labrie、Simardら 1992a; Labrie、Simardら 1992b; Labrie、Simardら 1994; Labrie、Durocherら 1995; Luu-The、Dufortら 1995; Labrie、Simardら 1996b; Labrie、Belangerら 1997a; Labrie、Belangerら 1997b; Labrie、Diamondら 1997b; Labrie、Luu-Theら 1997)。

0091

男性におけるアンドロゲンのプールは、DHEA及びDHEA-Sの血清濃度の低下と並行して、30才の年齢から次第に減少する(Labrie、Belangerら 1997b)。血清DHEAは、末梢組織に存在するアンドロゲンの50%までを占める(Labrie、Dupontら 1985; Labrie、Cusanら 2009; Labrie 2010b; Labrie 2011)ので、DHEAからのアンドロゲンの生合成の、老化によるこのような減少は、LOH(遅発性性腺機能低下症)の出現及び低アンドロゲンに関連する、既に述べた全ての問題において重要な役割を果たす可能性が高い。

0092

男性における細胞内分泌機構によって産生される末梢アンドロゲンの重要な供給源、DHEA
ヒトは一部の他の霊長類と共に、末梢組織において強力なアンドロゲン及び/又はエストロゲンに変換される不活性な前駆体ステロイドDHEA及びDHEA-Sを大量に分泌する副腎を有する点で、動物種の中で独特である。人間が、非常に精巧な内分泌系及びパラ分泌系を有することに加えて、末梢組織で性ステロイド形成に大いに資していることは注目に値する(Labrie、Dupontら 1985; Labrie、Belangerら 1988; Labrie 1991; Labrie、Belangerら 1997a)(図1、図2及び図5)。

0093

男性において、去勢によって誘発される血清テストステロンの95%(又はそれ以上)の減少及び進行性前立腺がんによるアンドロゲンのこの部分的な消失の臨床的利益(Huggins及びHodges 1941)は、去勢がアンドロゲンの95%(又はそれ以上)を消失させる及び去勢のみが前立腺がんにふさわしい治療であると誤って考えることにつながった。

0094

男性において、アンドロゲンの25〜50%が去勢後の前立腺に残されるという発見(Labrie、Dupontら 1985; Belanger、Belangerら 1989; Nishiyama、Hashimotoら 2004; Mostaghel、Pageら 2007)は、去勢に対する純粋な(非ステロイド性)抗アンドロゲン薬の追加が、アンドロゲンのより完全な遮断を達成し、前立腺がんにおいて寿命延長することが示された最初の治療である根拠を説明する(Labrie、Dupontら 1982; Labrie、Dupontら 1985; Caubet、Tostesonら 1997; Prostate Cancer Triallists' Collaborative Group 2000; Labrie、Belangerら 2005)。去勢後も依然として比較的高いレベルであるアンドロゲンもまた、がんの限局段階において治療を開始した場合には、アンドロゲン遮断の組合せ又は治療開始時における精巣由来及び副腎由来の両方のアンドロゲンの遮断によってほとんどの患者が治癒され得る根拠を説明し(Labrie、Candasら2002; Akaza 2006; Ueno、Namikiら 2006)、したがって、男性における精巣外アンドロゲン又はイントラクリノロジーの重要な役割を明白に示している。

0095

末梢標的組織におけるアンドロゲン及び/又はエストロゲンへの副腎前駆体ステロイドDHEAの転換は、これらの組織の各細胞における種々のステロイド産生酵素及び代謝酵素発現レベルに依存する。したがって、男性及び女性において副腎前駆体性ステロイドの分泌速度が速いというこの状況は、実験室において使用される全ての動物モデル(即ち、ラット、マウス、モルモット、及びサル以外の全ての他の動物)において性ステロイドの分泌が性腺のみで起こるのとは全く異なる(Labrie、Dupontら 1985; Labrie、Belangerら 1988; Belanger, Belangerら 1989; Labrie、Belangerら 1997a)。

0096

末梢組織において副腎由来のDHEAから産生されるアンドロゲン、テストステロン及びDHT並びにE2は、それらの合成が起こる同じ細胞で局所的にそれらの作用を及ぼす(図5)。この精巧な機構によって、これらの性ステロイドを必要とする特異的組織における細胞内エストロゲン及び/又はアンドロゲンの生物活性レベルの維持が可能となる一方、同じステロイドが血液中には非常に低いレベルで漏出し、したがって、生じる可能性がある負の影響が他の組織に及ばないようになっている。それらが細胞特異的に局所形成され及び局所的な細胞内作用のための即時利用可能になった後、テストステロン及びDHT(最も活性な天然アンドロゲン)及びE2は不活性化され、同じ細胞中水溶性グルクロニド又はスルフェート誘導体に転換され、次いで、腎臓による排出前全身循環に定量的に拡散することができ、それらは質量分析によって測定され得る(Labrie、Belangerら2006)。

0097

アンドロゲン及びエストロゲンの細胞内分泌形成の重要性は、非悪性疾患、例えば、ざ瘡脂漏男性型多毛症及びアンドロゲン性脱毛症並びに骨粗鬆症及び外陰腟萎縮症に及ぶことにも注目すべきである(Cusan、Dupontら 1994; Labrie、Belangerら 1997a; Labrie、Archerら 2009b; Labrie、Archerら 2009a; Labrie、Archerら 2009c)。実質的に全ての組織が、種々のレベルで、DHEAを転換できる一連のステロイド産生酵素を有する。しかし、各組織は、組織特異性が高い一組のステロイド産生酵素及びステロイド不活性化酵素を有し、これらについては、実験法を知る必要がある。

0098

テストステロンの血清レベルは69〜80才の男性において去勢後に97.4%低下する(Labrie、Cusanら 2009)が、循環において測定可能な総アンドロゲン活性の唯一の正確で有効なパラメーターである(Labrie、Belangerら 2006)アンドロゲン代謝産物の合計は58.9%しか低下せず(Labrie、Cusanら 2009)、したがって、これは、精巣アンドロゲンの完全な消失後の男性においてアンドロゲンの非常に重要な比率(41.1%)が残っていることを示している。このようなデータは、種々の研究において去勢後の前立腺中にDHTが平均で39%、即ち、45%(Labrie、Dupontら 1985)、51%(Belanger、Brochuら 1986)、25%(Nishiyama、Hashimotoら 2004)及び35%(Mostaghel、Pageら 2007)残されることを示している、前立腺内DHTの濃度と極めて一致している[(Labrie 2010b)の図4を参照のこと]。

0099

男性において副腎由来のアンドロゲンが主として重要であることがわかったので、男性に関する前記データを、無傷の閉経後女性で測定された同じステロイドの血清レベルと比較することは興味深い。図6A及び図6Bにおいてわかるように、テストステロン及び総アンドロゲン代謝産物の血清レベルは、同等の年齢の去勢男性と閉経後女性においてほぼ重ねることができる。最も興味深いことに、硫酸エストロン(E1S)の血清レベルも同程度であることもわかる(図6C)。E1及びE2の血清レベルも同程度であり、したがって、これは、同様な量の副腎由来エストロゲンが男性及び女性のいずれでも見られることを示している(Labrie、Cusanら 2009)。

0100

上記に要約したデータは、69〜80才の男性においては精巣の非不存在下でも約40%のアンドロゲンが末梢組織において産生されることを示している。血清DHEAは30才代から年齢と共に著しく減少する(Labrie、Dupontら 1985)が、精巣のアンドロゲン分泌はわずかしか減少しないので、より若い年齢では副腎由来のアンドロゲンが更に大きい相対的及び絶対的重要性を有する可能性が最も高い。

0101

前述の通り、末梢標的組織における性ステロイドの局所合成及び作用は、イントラクリノロジーと称されている(Labrie, Belangerら 1988; Labrie 1991)。この領域における最近の急速な進歩は、末梢組織で局所的にアンドロゲン及び/又はエストロゲンへのDHEA-S及びDHEAの転換に関与するステロイド産生酵素をコードするほとんどの組織特異的遺伝子の構造が解明されたことによって可能になった(Labrie、Simardら 1992a; Labrie、Sugimotoら 1992; Labrie、Durocherら 1995; Luu-The、Zhangら 1995; Labrie、Simardら 1996a; Labrie、Luu-Theら 1997)(図5)。

0102

ヒト性ステロイドの生理機能においてDHEA及びDHEA-Sが主として重要であることは、成人男性における総アンドロゲンの50%までがこれらの副腎前駆体ステロイドに由来するという推定によって説明される(Labrie、Dupontら 1985; Belanger、Brochuら 1986; Labrie、Belangerら 1993)。

0103

乳房に関しては、DHEAが、ラットにおいてジメチルベンズ(a)アントラセン乳房腫瘍の発生を予防すること(Luo、Sourlaら1997)及び成長を阻害すること(Li、Yanら1993)が知られている。加えて、DHEAは、ヌードマウスにおいてヒト乳がん異種移植片の成長を阻害する[実施例1及び(Couillard、Labrieら 1998)を参照のこと]。したがって、刺激作用を及ぼすエストロゲン及びプロゲスチンとは逆に、DHEAは、女性において乳がんの発生及び成長を共に阻害すると予想される。

0104

本発明者らの以前の研究で十分立証したように、生理的な量の外来性DHEAを補充することにより、特異的ステロイド産生酵素を含む該当する標的組織においてのみ、アンドロゲン及びエストロゲンの生合成が可能になる。このようにして合成された活性なアンドロゲン及びエストロゲンは、由来細胞中に残り、循環へ漏出はごくわずかしか起こらない。

0105

実際には、DHEA投与の最も顕著な効果は、DHTの代謝産物のグルクロニド誘導体、即ち、ADT-G及び3α-ジオール-Gの循環レベルに対するものであり、これらの代謝産物は、副腎前駆体DHEA及びDHEA-SからDHTを合成した後にDHTを不活性コンジュゲートに更に代謝する、適当なステロイド産生酵素を有する末梢細胞内分泌組織において局所的に産生される(Labrie 1991; Labrie、Simardら 1996a)。標的組織におけるアンドロゲンのこの局部的生合成及び作用が、他の組織のアンドロゲンへの曝露をなくし、したがって、望ましくない男性化効果又は他のアンドロゲン関連副作用のリスクを最小化する。本発明者らは総エストロゲン分泌の信頼性が高いパラメーター(アンドロゲンに対するグルクロニドに匹敵する)は依然として入手できないが、同じことがエストロゲンにも当てはまる

0106

DHEA、筋肉量及び除脂肪体重
60〜70才の男性におけるアンドロゲンの40〜50%は副腎DHEAから生じる(Labrie、Cusanら 2009)ので、副腎DHEAが、男性での筋肉量及び筋力の制御において精巣テストステロンに匹敵する重要性を有すると考えるのは妥当である。

0107

アンドロゲンが筋肉の成長、発達及び機能において主な役割を果たすとことは疑いない。アンドロゲンが、正常男性において筋肉量を増加させることは周知であり(Bhasin、Storerら 1996; Bhasin、Woodhouseら 2001)、この効果は、国際オリンピック委員会によるアンドロゲンの禁止に関係する。実際に、スポーツドーピングの主要な形態は、依然としてアンドロゲン/タンパク質同化ステロイド乱用である。好適な用量において、外来性アンドロゲンは、全ての男性及び女性アスリートにおいて筋肉量及び筋力を増強する(Handelsman 2006)。その結果、1970年代初頭から、外来性アンドロゲンは、スポーツにおいては男性及び女性に対して禁止されてきた。

0108

加齢女性及び男性における血清DHEAの顕著な減少は、筋肉量の減少及び筋力の低下を含む、加齢と関連する一連の変化が、加齢に伴うDHEAの減少に起因する可能性があるという示唆につながった(Labrie、Belangerら 1998; Lamberts 2003)。齧歯動物におけるDHEAの身体組成に対する有益な効果は、周知である(Tagliaferro、Davisら 1986; Han、Hansenら 1998)。男性において観察されるいくつかの加齢性変化、とりわけ、筋肉量及び骨量の減少並びに性的機能の低下及び体脂肪量の増加は、アンドロゲン欠乏症で観察されるのと同様である(Matsumoto 2002; Morley及びPerry 2003)。

0109

横断面データに基づくと、年齢70才における最大筋力は、年齢30才において見られるピーク筋力の30〜50%である(Murray及びPitt 1985; Kallman, Platoら 1990)。加齢に伴う筋力低下は、筋肉の断面積の減少と相関するように思われる(Larsson、Grimbyら 1979; Kallman、Platoら 1990)。加齢性のサルコペニアは、転倒骨折身体障害及び生命脅かす合併症のリスクを増加させる(Evans 1997; Frontera、Hughesら 2000; Melton、Khoslaら 2000; Hughes、Fronteraら 2002; Iannuzzi-Sucich、Prestwoodら 2002)。

0110

テストステロンを見かけ過度に低い用量で使用した研究(Elashoff、Jacknowら 1991)に続いて、一連の最近の研究は、筋肉サイズ及び筋力に対するアンドロゲンの用量反応性の刺激作用を明白に立証し(Bhasin、Storerら 1996; Bhasin、Storerら 1997; Bross、Casaburi ら 1998; Bhasin、Woodhouseら 2001; Storer、Maglianoら 2003; Bhasin、Woodhouseら 2005)、60〜75才及び19〜35才の男性においてアンドロゲン感受性パラメーターに対する漸増用量のテストステロンの有効性を比較した。全ての男性は、精巣アンドロゲンの内在性レベル及び可変レベルを排除するためにGnRHアゴニストで治療された。エナント酸テストステロンの週用量は、20週間にわたって25、50、125、300及び600mgであった。若年及び老年男性において観察された効果は、用量関連性であった。除脂肪量及び筋力の増加は、テストステロン用量と相関し、老年男性及び若年男性において異なっていなかった。最良忍容性は、高い正常血清テストステロンレベル、低い有害作用のレベル並びに除脂肪量及び筋力の増加を示す用量である125mgの用量で達成された(Bhasin、Woodhouseら 2005)。筋肉に対するアンドロゲンの効果は、性腺機能低下症男性(Bhasin、Storerら 1997; Snyder、Peacheyら 2000)及びグルココルチコイド療法を受けている男性(Crawford、Liuら2003)においてよく認識されている。

0111

年齢20〜95才の男性558名を対象とした研究において、年齢60〜79才の男性においては血清DHEA-Sが筋力及び筋肉量の独立予知因子であることが判明した(Valenti、Dentiら 2004)。これらの結果は、血清DHEA-Sと筋力の相関を示す別の研究を一致している(Kostka、Arsacら 2000; Bonnefoy、Patricotら 2002)。

0112

一日量50又は100mgのDHEAのそれぞれ6カ月又は12カ月の投与により、老年男性において伸展筋力が改善された(Yen、Moralesら 1995)。しかし、60〜80才の女性においては、対象数は少なかったが、DHEAの投与後に有意な効果が認められなかった。DHEA投与後の筋肉量増加は、女性においては、(Yen、Moralesら 1995; Diamond、Cusanら 1996; Morales、Haubrichら 1998; Gebre-Medhin、Husebyeら 2000; Villareal、Holloszyら 2000; Gordon、Graceら 2002; Johannsson、Burmanら 2002)によって観察されているが、他の人々は、有意な効果を見出していない(Yen、Moralesら 1995; Callies、Fassnachtら 2001; Percheron、Hogrelら 2003)。

0113

除脂肪体重は、DHEA治療によって増加することが報告されている(Diamond、Cusanら 1996; Morales、Haubrichら 1998; Gebre-Medhin、Husebyeら 2000; Villareal、Holloszyら 2000; Nair、Rizzaら 2006; Gurnell、Huntら 2008)。

0114

姿勢バランスの悪さ及び転倒は、加齢時に股関節骨折と次第に関連するようになる(Cummings及びNevitt 1989)。実際に、高齢者における骨折の80%は末梢骨粗鬆症の非存在下で起こると推定されている(Siris、Chenら 2004)。このようなデータは、高齢成人において筋肉量及び筋力を維持することによって転倒を予防することが主に重要であることを強調している(Chang、Mortonら 2004)。したがって、骨折の大部分は、筋肉量の減少及び筋力低下による転倒に起因するが、筋肉量の減少及び筋力低下は、との程度までできるかは不明であるが、適当なDHEA補充によって予防できるはずである。

0115

骨の生理機能におけるアンドロゲン及びエストロゲンの役割
骨の生理機能におけるアンドロゲンの中心的な役割は、文書で十分に裏付けられている(Labrie、Diamondら 1997b; Martel、Sourlaら 1998)。実際に、テストステロン及びDHTはいずれも、造骨細胞様の骨肉腫細胞においてα(I)プロコラーゲンmRNA転写を増加させた(Benz、Hausslerら 1991)。DHTによる処置が、精巣摘出ラットにおいて軟骨内性骨の発生を刺激することも示されている(Kapur及びReddi 1989)。更に、腰椎大腿骨転子及び全身において測定された骨密度は、エストロゲン+テストステロンインプラントより、閉経後女性における24カ月の治療期間にわたって、E2単独よりも多く増加した(Davis、McCloudら 1995)。

0116

更に、確立された骨粗鬆症において、タンパク質同化ステロイドは、骨量減少の予防を助けることが報告されている(Hennernan及びWallach 1957)。同様に、皮下E2及びテストステロンインプラントは、閉経後女性における骨粗鬆症の予防において経口エストロゲンより効率的であることが判明している(Savvas、Studdら 1988)。その研究において観察された差は、エストロゲンの投与経路が異なることに帰せられているが、差の原因は、テストステロンの作用である可能性が高い。骨形成増加の指数として、骨形成のマーカーである血清オステオカルシンの増加が、メチルテストステロン+エストロゲンを投与されている閉経後女性において、エストロゲン単独と比較して認められた(Raisz、Wiitaら 1996)。血清オステオカルシンに対する同様な刺激作用が、12カ月間にわたる経皮DHEAによる閉経後女性の治療後に観察された(Labrie、Diamondら 1997a)。更に、アンドロゲン療法は、デカン酸ナンドロロンを用いて観察した場合、閉経後女性において椎骨骨密度を増加させることが判明している(Need、Horowitzら 1989)。アンドロゲンは、閉経後女性におけるその独特な作用のため、得られる支持がますます増加しているが、男性化効果がテストステロンの使用によって観察される(Burger、Hailesら 1984; Studd、Collinsら 1977)。

0117

本発明者らは、DHEAが、雌ラット(Luo、Sourlaら 1997)及び閉経後女性(Labrie、Diamondら 1997a)のいずれにおいても骨に対して有益な効果を及ぼすことを示した。したがって、無傷の雌ラットにおいて、DHEAによる治療は、全骨格、腰椎及び大腿骨の骨密度(BMD)を増加させる(Luo、Sourlaら 1997)(図7、図8及び図9)。

0118

SERMであるラロキシフェン及びトレミフェンが骨密度を増加させることは、立証されている(Smith 2006)。クエン酸クロミフェンは、血清テストステロン及び性腺機能低下症の症状/徴候に関して正の結果を示している(Shabsigh、Kangら 2005; Whitten、Nangiaら2006)。

0119

DHEAと腹部肥満
腹部肥満は、インスリン抵抗性、2型糖尿病及びアテローム動脈硬化症のリスク増加と関連している(Shimokata、Tobinら 1989; Cefalu、Wangら 1995; Ferrannini、Nataliら 1997; Kopelman 2000)。その他の因子のうち、ホルモンの変化、とりわけ、副腎によるDHEA及びDHEA-Sの分泌の減少が関与因子と考えられている(Tchernof, Labrieら 1996)。ラット及びマウスモデルにおいて、DHEA投与は、食餌誘発性の肥満で内臓脂肪蓄積を減少させる(Yen、Allanら 1977; Cleary及びZisk 1986; Mohan、Ihnenら 1990; Hansen、Hanら 1997)。DHEAの有益な効果は、加齢に伴って起こるインスリン抵抗性の低下に対しても観察されている(Han、Hansenら 1998)。

0120

12カ月間にわたってDHEAクリーム剤を投与された閉経後女性で行った研究において、本発明者らは、インスリン抵抗性は減少したが、大腿のレベルでの皮下脂肪も減少したことを見い出した(Diamond、Cusanら 1996)。更に、65〜78才の男性及び女性において6カ月間にわたってDHEA 50mgを毎日投与することにより、腹部内臓脂肪が女性において10.2%、男性において7.4%減少した(Villareal及びHolloszy 2004)。同じ研究において、腹部皮下脂肪は、女性及び男性のいずれにおいてもで6%減少した。更に、グルコース耐容試験に対する血清インスリン応答性は13%低下したが、グルコース応答に変化は認められず、したがって、DHEA投与後のインスリン感受性指数が34%改善された。DHEA作用の改善は、高コレステロール血症を患っている中年男性でも認められた(Kawano、Yasueら 2003)。

0121

同じグループによって行われた過去の研究において、6カ月間にわたるDHEA投与により、総体脂肪量は1.4kg減少したが、除脂肪量は0.9kg増加した(Villareal、Holloszyら 2000)。

0122

36週間の男性追跡調査を含む、高齢男性1353名を登録した25件の無作為小規模臨床試験において、DHEAは、その生物活性アンドロゲン代謝産物への変換と厳密に関連する体脂肪量の減少と関連していた(Corona、Rastrelliら 2013)。脂質及び血糖代謝、骨、性的機能及びクオリティオブライフに対して有意な効果は認められなかった。

0123

DHEAと性的機能
地域ベースの研究は、8%から50%の女性における自己申告による性機能障害を示している。実際に、低性欲及び性機能障害は、女性において30才から加齢に伴って(Laumann、Paikら 1999)及び卵巣切除後に(Nathorst-Boos及びvon Schoultz 1992)増加する。心理社会的要因及び健康要因が低い性的興奮及び性欲に関与する(Dennerstein、Dudleyら 1997)が、低アンドロゲンが独立した役割を果たすと考えられている(Bachmann,、Bancroftら 2002; Miller, Rosnerら 2004)。

0124

アンドロゲンは、女性の性的興奮能力(arousability)、快感並びにオルガスムの強度及び得やすさにおいて役割を果たすことが知られている。アンドロゲンは、膨潤神経血管性平滑筋応答及び潤滑の増加にも関与する(Basson 2004)。

0125

加えて、ERT又はHRTへのアンドロゲンの追加の詳細な利益が、全般的なウェルビーイング、エネルギー、気分及び全般的なクオリティオブライフについて記載されている(Sherwin及びGelfand 1985; Sherwin 1988)。主要な精神症状及び心身症状、即ち、被刺激性神経過敏、記憶及び不眠の改善が、エストロゲン補充療法(ERT)へのアンドロゲンの追加後に観察されている(Notelovitz、Wattsら 1992)。

0126

性欲及び/又は性的満足感の喪失は、閉経後早期に一般的である。ホルモン補充療法(HRT)へのアンドロゲンの追加は、これらの問題に対して有益な効果を有することが知られている。(Shifren、Braunsteinら 2000)は、貼付剤によって投与された経皮テストステロンが、外科手術により閉経になった女性において、性交頻度、快感及び気分を改善したことを見出している。この効果は、正常上限の血清テストステロンレベルをもたらす用量であるテストステロン一日量300μgで見られた。テストステロン治療は、性欲減退を訴える非アンドロゲン欠乏女性においても研究されている(Goldstat、Brigantiら 2003)。テストステロンによるこのような治療は、性欲、性的機能及びクオリティオブライフをプラセボと比較して改善した。同様に、アンドロゲンレベルが正常な閉経女性において、エストロゲンへのメチルテストステロンの追加は、エストロゲン単独と比較して、性欲及び性交頻度を増加させた(Lobo、Rosenら 2003)。性的関心、欲求の障害のある女性のうち、アンドロゲン療法は、基準範囲の下位四分位点内の遊離血清テストステロンレベルを有する女性に提案された(Bachmann、Bancroftら 2002)。実際に、性的欲求低下障害(HSDD)を治療するためにテストステロンの使用が増加されている(Sherwin及びGelfand 1987; Davis、McCloudら 1995; Shifren、Braunsteinら 2000; Goldstat、Brigantiら 2003)。これらの無作為臨床試験は、テストステロンがHSDDを有する女性において有効であることを立証している。

0127

副腎由来のアンドロゲン欠乏症の性質の明白な例が、副腎機能不全の症例によって提供されている。(Arlt、Calliesら1999)は、副腎機能不全を患っている女性の集団において、DHEA、1日50mg及びプラセボの効果を4カ月にわたって研究した。DHEAによる治療は、正常範囲下限の血清テストステロンを上昇させた。このような治療は、性的想像、関心及び満足の頻度を増加させた。ウェルビーイング、うつ状態及び不安も改善された。DHEAが300mgの高い一日量で投与された研究において、アダルトビデオに応答して、より大きな主観的な精神状態(p<0.016)及び身体的状態(p<0.030)が、観察された(Hackbert及びHeiman 2002)。

0128

現在、血清テストステロンは総アンドロゲンプールを反映しないと理解されていることから(Labrie、Belangerら 2006)、血清レベルは総アンドロゲンのごく一部を表し、総アンドロゲンは50%までが細胞内で産生され且つ循環テストステロンレベルによって反映されないという理由で、性的機能を改善するには血清テストステロンを超生理学的レベルに増加させる必要があることは驚くことではない。

0129

アンドロゲンは女性における性機能障害に非常に不可欠であり、女性におけるアンドロゲンの実質的に100%がDHEAから生じ(Labrie 2010a; Labrie、Martelら 2011)、女性はDHEA投与により利益を得る(Labrie、Archerら 2009a)ので、低血清テストステロンの存在下又は非存在下において性欲喪失及び性機能障害の症状(又はアンドロゲン欠乏症の他の症状)を有する男性におけるDHEA投与も同様に、DHEA投与からの有益な効果を有すると考えることは妥当である。

0130

DHEAと心血管疾患
アンドロゲンが、男性の心血管疾患(CVD)に対して有益な効果を有するという確かな証拠がある(Alexandersen、Haarboら 1996; Anker、Chuaら 1997)(Beer、Jakubowiczら 1996; Anker、Clarkら 1997; Hak、Wittemanら 2002)。これは、高血清DHEAが、死亡の減少及びCVDと関連しているという観察(Alexandersen、Haarboら 1996)と一致している。

0131

臨床試験は、男性におけるテストステロン補充療法が、狭心症(English、Steedsら 2000; Malkin、Pughら 2004)、鬱血性心不全(Pugh、Jonesら 2004; Malkin、Pughら 2006)及び2型糖尿病(Kapoor、Malkinら 2005; Kapoor、Goodwinら 2006)を有するテストステロン欠乏男性に役立つことを示唆している。更に、ヒトにおいて、データは、DHEAがアテローム動脈硬化症を阻害し(Eich、Nestlerら 1993; Kurzman、Pancieraら 1998; Hayashi、Esaki ら 2000; Komesaroff 2008)、心血管リスクマーカーを低減させ(Mortola及びYen 1990; Beer、Jakubowiczら 1996)、内皮機能を改善する(Kawano、Yasueら 2003; Williams、Dawoodら 2004)ことを示している。アテローム性動脈硬化症に対するDHEAの保護的役割は、霊長類でも観察されており(Christopher-Hennings、Kurzmanら 1995)、特にウサギにおいて周知である(Gordon、Bushら 1988; Eich、Nestlerら 1993)。

0132

TOM試験は別として、一連の試験のメタ分析は、有害な心血管転帰を示さなかった(Calof、Singhら 2005; Haddad、Kennedyら 2007; Fernandez-Balsells、Muradら 2010)。Shoresら、2012は、テストステロンで治療された患者における死亡リスクの39%低下及び20%のより低い心臓疾患の発生率を観察した(Shores、Smithら 2012)。

0133

運動能力の限界がある老年男性におけるテストステロン(TOM; Testosterone in Older Men with Mobility Limitation)試験において、心血管事象を経験した男性では、経験しなかった男性よりも血清遊離テストステロンレベルの増加が大きかった(Basaria、Davdaら 2013)。

0134

低血清DHEA-Sは、心血管事象の発生率(Mitchell、Sprecherら 1994)、血管造影冠状動脈狭窄の程度(Herrington、Gordonら 1990)及び発生率(Herrington、Nanjeeら 1996)と正の関連を示すことがわかっており、したがって、これはCVDに対するDHEA-Sの保護的役割を示唆している。更に、低血清テストステロンが、男性における冠状動脈疾患リスクの増加と関連している(Turhan、Tulunayら 2007)のに対し、低DHEAレベルは、CVDによる早期死亡の原因となることが報告されている(Barrett-Connor、Khawら 1986; Tivesten、Vandenputら 2009; Ohlsson、Labrieら 2010)。

0135

DHEAと脳
閉経の従来の症状(Raven及びHinson 2007)に加えて、加齢に伴うDHEAの減少は、記憶及び認知機能の喪失と関連づけられている(Flood及びRoberts 1988; Grimley Evans、Maloufら 2006)。

0136

アルツハイマー病によって誘発される神経損傷病因及び治療におけるDHEAの役割が、提示されている(Simpkins、Greenら 1997; Weill-Engerer、Davidら 2002; Yau、Rasmusonら 2003)。海馬は、学習、認知及び記憶に関与する脳領域である。この脳領域は、加齢時に及びアルツハイマー病において顕著な変化を示す(Beck及びHanda 2004)。エストロゲン及び脳中で局所的にエストロゲンを形成できるDHEAは、記憶及び学習機能を増強することが示されている(McEwen、Gouldら 1995; Foy 2001; Vallee、Mayoら 2001)。研究により、DHEA-Sが、脳機能に影響を及ぼし、記憶、気分及びエネルギーに正の影響を及び身体活動性に間接的な影響を及ぼす可能性があることが示されている(Wolkowitz、Reusら 1999; Hunt、Gurnellら 2000; Huppert及びVan Niekerk 2001)。

0137

ヒトにおいては、長期記憶の試験がDHEA投与によって改善された(Barrett-Connor及びEdelstein 1994)。加えて、部分的アンドロゲン欠乏症を有する加齢男性における12カ月間にわたる1日当たり25mgのDHEAの経口投与は、関節痛に加えて気分及び疲労を改善した(Genazzani、Ingleseら 2004)。

0138

うつ状態、記憶喪失、認知喪失及び脳細胞活性に対するアンドロゲンの役割が、提示されている(Azad、Pitaleら 2003; Hajszan、MacLuskyら 2007; Almeida、Yeapら 2008)。脳中でDHEAからも合成され得るエストロゲンは、アルツハイマー病、記憶喪失及び認知喪失に有益な役割を有することが示されている(Rocca、Bowerら 2007)。3つのメタ分析により、閉経後にエストロゲンを使用した女性において、アルツハイマー病リスクが20〜40%低下することが示されている(Yaffe 1998; Hogervorst、Williamsら 2000; LeBlanc、Janowskyら 2001)。エストロゲンが脳におけるβ-アミロイド沈着を低減させるのに対し、プロゲステロンは逆の効果を有する(Xu、Gourasら 1998; Huang、Guanら 2004)。現在、神経保護(Rocca、Bowerら 2007)、心血管疾患(Manson、Bassukら 2006)及び全死亡率(Rocca、Grossardtら 2006)に対するエストロゲンの有益な効果には決定的な年齢時機があるという、臨床研究からの動かぬ証拠がある。

0139

エストロゲンの欠如と認知障害又は認知症との関連は、実験室データによって裏付けられている。中でも、エストロゲンは卵巣摘出ラットの海馬中の樹状突起棘上でのシナプス形成を改善する(McEwen及びAlves 1999; Monk及びBrodaty 2000)。更に、エストロゲンは、脳血流及びグルコース代謝を改善し、酸化防止剤として作用し得る(Gibbs及びAggarwal 1998; McEwen及びAlves 1999; Monk及びBrodaty 2000)。また、エストロゲンは、β-アミロイド1-42が細胞内カルシウム増加の誘発及びミトコンドリア損傷の惹起を防ぐことがわかっている(Chen、Nilsenら 2006; Morrison、Brintonら 2006)。

0140

ますます多くの証拠が、脳での神経保護における性ステロイド、即ち、エストラジオール及びテストステロンの役割を示唆している(Pike、Carrollら 2009)。細胞培養及び動物の研究からのデータは、テストステロンが神経を保護することを裏付けており(Holland、Bandelowら 2011)、同じデータが、老年男性における認知に対する有益な効果を示唆している(Tan及びPu 2003)。最近の前臨床研究において、テストステロンは、海馬細胞における神経及び血管の加齢を低減させ(Ota、Akishitaら 2012)、同時に認知機能低下を減少させた。

0141

アルツハイマー病を有する老年男性では、対照と比較して低い血清テストステロンレベルが認められた(Hogervorst、Bandelowら 2004)。

0142

寿命における低DHEA
低DHEA-Sは、短寿命に関連している(Kushnir、Blamiresら 2010; Labrie 2010b; Araujo及びWittert 2011; Traish、Kangら 2011; Maggi、Buvatら 2013)。

0143

DHEAの他の潜在的利益
加齢時の副腎によるDHEA及びDHEA-S形成が70〜95%減少すると、末梢標的組織におけるアンドロゲン及びエストロゲンの形成が劇的に減少する。これは、加齢性疾患、例えば、インスリン抵抗性(Coleman、Leiterら 1982; Schriock、Buffingtonら 1988)及び肥満(Nestler、Barlasciniら 1988; MacEwen及びKurzman 1991; Tchernof、Despresら 1995)の病態形成に関与する可能性が高い。DHEAは、一連の動物モデルにおいて抗発癌活性を及ぼすことがわかっている(Schwartz、Pashkoら 1986; Gordon、Shantzら 1987; Li、Yanら 1993)。また、DHEAは、インビトロで(Suzuki、Suzukiら 1991)並びにHIV(Henderson、Yangら 1992)を含む真菌性及びウイルス性疾患においてインビボで(Rasmussen、Arrowoodら 1992)、免疫調節効果を有することも示されている。他方、免疫系に対するDHEAの刺激作用は、閉経後女性において記載されている(Casson、Andersenら 1993)。

0144

DHEAと脂質
変動期間にわたる種々の用量のDHEAの投与後に、総コレステロール及び高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールのわずかであるが有意な減少が報告されている(Nestler、Barlasciniら 1988; Mortola及びYen 1990; Arlt、Calliesら 1999; Barnhart、Freemanら 1999; Petri、Lahitaら 2002; Petri、Measeら 2004)のに対し、他の研究では、全コレステロール及びHDLコレステロールに加えて、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールが減少した(Gebre-Medhin、Husebyeら 2000; Dhatariya、Bigelowら 2005)。DHEAが一日量50mgで(Arlt、Calliesら1999; Barnhart、Freemanら1999; Hunt、Gurnellら 2000)並びに10%DHEAクリーム剤4〜6g(Labrie、Belangerら 1997a)、1600mg(Mortola及びYen 1990)及び25mg(Casson、Santoroら 1998)で投与された以前の研究では、血清HDLコレステロールのわずかな減少が報告されているのに対し、他の研究では、50mg/日(Morales、Nolanら1994; Barnhart、Freemanら1999; Villareal、Holloszyら2000)又は25mg/日(Kawano、Yasueら 2003; Lovas、Gebre-Medhinら 2003)で有意な効果は認められなかった。

0145

DHEAは、エストロゲンとは逆に、トリグリセリドを増加させない(Diamond、Cusanら 1996)。実際に、DHEAでは、トリグリセリドの減少がしばしば認められる(Lasco、Frisinaら 2001; Chang、Lanら 2002; Dhatariya、Bigelowら 2005)。HDLコレステロールの増加及びLDLコレステロールの減少も報告されている(Lasco、Frisinaら 2001)が、総コレステロールは減少のみが報告されている(Libe、Barbettaら 2004; Williams、Dawoodら 2004)。また、閉経後女性におけるDHEA投与は、血清アポリポタンパク質Aを減少させ、HDLコレステロールを増加させることが報告されている(Casson、Santoroら 1998; Morales、Haubrichら 1998)。DHEAは、血清Lp(A)を減少させることがわかっており(Barnhart、Freemanら 1999)、この効果はCVDに有益であるはずである(Lobo 1991)。

0146

アンドロゲンの影響下でのトリグリセリド及びHDLコレステロールレベルの低下は、HDLのクリアランスを増加させる肝臓リパーゼ活性の増加に起因することが報告されている(Haffner、Kushwahaら 1983; Hazzard、Haffnerら 1984; Kantor、Bianchiniら 1985)。HDL産生の減少ではなく、コレステロール逆転送(HDLクリアランスの増加による末梢組織からのコレステロールの除去)の増加が、HDL及びトリグリセリドレベルの低下の原因となるようである(Wu及びvon Eckardstein 2003)。総コレステロール、HDLコレステロール及び場合によってはLDLコレステロールに対するDHEAの比較的小さい(存在する場合)阻害効果にはまた、肝臓のリパーゼ活性に対するDHEA由来アンドロゲンの効果が関与する可能性があり、したがって肝臓のコレステロール産生が損なわれる可能性がある(Tan、Shiuら 1998)。

0147

DHEAは脂質に対してごくわずかな効果を有するが臨床的に有意な効果は有さないというのが、統一見解である(Arlt、Justlら 1998; Morales、Haubrichら 1998; Gebre-Medhin、Husebyeら 2000; Lasco、Frisinaら 2001; Poretsky、Brillonら 2006; Gurnell、Huntら 2008; Lovas及びHusebye 2008)。しかし、本発明者らの前臨床研究は、DHEAは血清トリグリセリドに対する阻害効果を示しているが、コレステロールに対する効果を有さない(図10)が、EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)は血清トリグリセリド(図10)及びコレステロール(図10及び図11)を減少させることを示している。

0148

DHEAの利益:エストロゲン様作用とアンドロゲン作用の組合せ
本発明は、男性及び女性における性ステロイドの生理機能に関する本発明者らの理解と、閉経期の女性は卵巣によるエストロゲン分泌の停止のためエストロゲンが欠乏しているだけでなく、既に数年にわたってアンドロゲンへの曝露が徐々に減少しているという認識とについて最近達成された進展に基づく。実際に、正常女性は、男性において分泌されるアンドロゲンの約50%に相当する量のアンドロゲンを産生する(Labrie、Belangerら 1997a)。男性及び女性におけるアンドロゲンのプールは、DHEA及びDHEA-Sの血清濃度の低下と並行して、30才の年齢から次第に減少する(Labrie、Belangerら 1997b)。アコルビフェンのようなSERMの追加は、テストステロンの血清レベルを増加させ(図12)且つ骨量減少の保護及びSERM投与の他の利益に対する正の効果を増加させるはずである。図12に、GnRH/LH分泌に対するエストロゲンの負のフィードバック効果を遮断することによるDHEA及びアコルビフェンの効果の略図が提示され、雄カニクイザルにおいて得られた図13及び図14に更に図示されるように、血清テストステロンレベルの増加が観察される。

0149

アコルビフェンがヒトにおいてLH分泌を増加させたことは、進行性乳がんを有する閉経前女性においてアコルビフェン20mgの連日経口投与6カ月で血清E2レベルが222pg/mlから2030pg/mlに増加したことによって示される。

0150

アコルビフェンの有益な効果
図15から、腫瘍成長に対するタモキシフェンの約100%の刺激作用が、EM-652.HCl(アコルビフェン)との同時処置によって完全に遮断されたことがわかる。EM-652.HClは、その純粋な抗エストロゲン活性に基づき、ヌードマウスにおけるヒト乳がんZR-75-1異種移植片の成長に対して刺激作用を及ぼさなかった。

0151

本発明者らは、SERMが血清コレステロールに対して有する有益な効果と、骨に対する有益なエストロジェン又はエストロゲン様効果との相関にも注目した。SERMはまた、高血圧症、インスリン抵抗性、糖尿病及び肥満(とりわけ、腹部肥満)に対して有益な効果を有する。理論に束縛されるものではないが、SERMは、その多くが1〜2つの炭素原子によって連結された2つの芳香環を好ましくは有し、エストロゲン受容体によって最も認識される分子の前述の部分によってエストロゲン受容体と相互作用することが予想される。好ましいSERMは、他の組織では有意な拮抗性を有さずに乳房及び通常は子宮組織で拮抗性を選択的に引き起こし得る側鎖を有する。したがって、SERMは望ましくは、乳房において抗エストロゲン薬として機能し得るのに対し、驚いたことに望ましくは、骨及び血中においてはエストロゲンとして機能する(又はエストロゲン様活性を示す)(脂質及びコレステロールの濃度が好都合に影響を受ける場合)。コレステロール及び脂質に対する好都合な効果は、コレステロール及び脂質の不適切なレベルによって悪影響を受けことが知られているアテローム性動脈硬化症に対する好都合な効果につながる(図10及び図11)。

0152

心血管症状、アルツハイマー病、認知機能の喪失及び不眠症には、中枢神経系に位置するエストロゲン受容体が確実に関与する。おそらく、脳中のエストロゲン(又はアンドロゲン)レベルの低下が、少なくともある程度はこれらの状態を説明できる。外来性エストロゲン、特に、性ステロイド前駆体の投与によって形成されるもの(即ち、エストラジオール)は、脳関門を通過してエストロゲン受容体と結合し、正常なエストロジェン作用を復元し得る。他方、本発明のSERM、より特定するとアコルビフェン系のものは、実施例8に示すように、脳関門を通過できない。したがって、それらは、脳中のエストロゲンの正の効果を拮抗できないが、乳房におけるエストロゲンの負の効果を拮抗し、この組合せ(SERM+性ステロイド前駆体)が、前記状態の治療又は前記状態を獲得するリスクの低下にとって特に魅力的なものとなる。

0153

既に記載した通り、アンドロゲンの役割も、全てのこれらの症状に対して示唆した。実際に、DHEAは、生理的必要性に応じて脳中でエストロゲン及びアンドロゲンを提供し得る。

0154

性ステロイド前駆体とSERM又は抗エストロゲン薬との併用の全体な相加的利益
EM-652(アコルビフェン)は、有害作用がいずれのパラメーターに対しても認められておらず、女性化乳房症、乳がん及び骨粗鬆症の予防及び治療に対しては顕著な有益効果を及ぼすはずである。

0155

本明細書中で論じた好ましいSERM又は抗エストロゲン薬は、(1)本発明に感受性であると述べた全ての疾患、(2)治療的及び予防的適用の両方、並びに(3)好ましい医薬組成物及びキットに関連する。

0156

所与の疾患の治療又はその発症リスクの低下を必要とする患者は、このような疾患と診断されている患者又はこのような疾患を獲得し得る患者である。

0157

特に明記した場合を除き、本発明の活性化合物の好ましい投与量(投与の濃度及び方法)は、治療目的及び予防目的のいずれに対しても同一である。本明細書中で論じた各活性成分の投与量は、治療される疾患(又は発症の尤度が低減される疾患)にかかわらず同一である。

0158

特に言及した場合を除き又は文脈から明らかな場合を除き、本明細書中において、投与量は、医薬賦形剤、希釈剤、担体又は他の成分に影響を受けない活性化合物の重量を指すが、本明細書中の実施例に示されるように、このような追加成分を含めるのが望ましい。製薬業界で一般的に使用される任意の剤形(カプセル剤、丸剤、錠剤、注射剤等)が、本発明における使用に適当であり、「賦形剤」、「希釈剤」又は「担体」という用語には、この業界においてこのような剤形中に有効成分と一緒に典型的に含まれる非有効成分が含まれる。例えば、典型的なカプセル、丸剤、腸溶コーティング固体又は液体の希釈剤又は賦形剤、矯味矯臭剤保存剤等が含まれ得る。

0159

本明細書中で論じた治療法のいずれかに使用される有効成分は全て、1種又は複数の他の有効成分を更に含む医薬組成物中に配合できる。或いは、患者が最終的に高い血中レベルを有するように又はそうでなければ有効成分(又はストラテジー)の各々の利益を同時に享受するように、これらはそれぞれ、別個であるが時間的に十分に同時に投与してもよい。本発明の一部の好ましい実施形態において、例えば、1種又は複数の有効成分は、単一の医薬組成物中に配合すべきである。本発明の他の実施形態において、少なくとも2つの別個の容器を含むキットであって、少なくとも1つの容器の内容物の全部又は一部が、含まれる有効成分に関して少なくとも1つの他の容器の内容物と異なる、キットが、提供される。

0160

本明細書中で論じる併用療法はまた、治療又は予防が本発明に従って組合せの別の有効成分を含む場合に、当該疾患の治療(又はそのリスク低下)のための医薬の製造に1種の有効成分(組合せの)を使用することを含む。例えば、一実施形態において、本発明は、本併用療法が有効であると考えられる疾患のいずれかの治療においてインビボで性ステロイド前駆体と組み合わせて使用するための医薬の調製におけるSERMの使用を提供する。

0161

骨密度(BMD)測定値の限界は、周知である。一例として、BMD測定値は、ステロイド性抗エストロゲン薬ICI182780で処置されたラットにおいて変化を示さなかった(Wakeling 1993)が、阻害性の変化は、組織形態計測によって認められた(Gallagher、Chambersら 1993)。同様な差が、タモキシフェンで報告された(Jordan、Phelpsら 1987; Sibonga、Evansら 1996)。

0162

骨密度の低下が、骨強度の低下と関連する唯一の異常でないことを示すべきである。したがって、それらの作用についてより適切な知識を得るために、種々の成分及び治療によって誘発される骨代謝生化学的パラメーターの変化を分析することが重要である[Table 2(表2)]。

0163

骨代謝の重要な生化学的パラメーターに対してDHEAとアコルビフェンの組合せが、予想外の有益な効果を及ぼすことを示すことが特に重要である。実際に、DHEAは単独では、骨吸収のマーカーである尿中ヒドロキシプロリン/クレアチニン比に影響を及ぼさない。更に、カルシウム又はリンの1日尿中排泄量に対するDHEAの効果は検出できなかった(Luo、Sourlaら 1997)。EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)は、尿中ヒドロキシプロリン/クレアチニン比を48%低下させたが、DHEAと同様に、カルシウム又はリンの尿中排泄量に対するEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)の効果は認められなかった。更に、EM-800は、骨形成のマーカーである血清アルカリホスファターゼ活性に対する効果を有さなかったが、DHEAは、このパラメーターの値を約75%増加させた(Luo、Sourlaら1997)。

0164

DHEAとEM-800の組合せの予想外の効果の1つは、骨吸収のマーカーである尿中ヒドロキシプロリン/クレアチニン比に関連し、この比は、DHEAとEM-800の両方を組み合わせた場合に69%低下し、この値は、EM-800単独によって達成される48%の阻害と統計学的に差があった(p<0.01)が、DHEA単独では効果を示さなかった。したがって、EM-800へのDHEAの追加は、骨再吸収に対するEM-800の阻害効果を50%増加させる。最も重要なことに、EM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)へのDHEAの追加の別の予想外の効果は、尿中カルシウムの約84%の減少[23.17±1.55から3.71±0.75μmol/24時間/100gに(p<0.01)]及び尿中リンの55%の減少[132.7±6.08から59.06±4.76μmol/24時間/100gに(p<0.01)]であった(Luo、Sourlaら 1997)。

0165

重要なことに、12カ月間にわたって処置された卵巣切除ラットにおけるアコルビフェンとDHEAの組合せは、骨形態計測に対して有益な効果を有していた。海綿骨体積は、骨強度に及び骨折の予防に特に重要である(図7)。例えば、前記研究において、脛骨の海綿骨体積は、卵巣切除ラットにおいて、DHEA単独では4.1±0.7%から11.9±0.6%に増加したが(p<0.01)、DHEAにEM-800を追加すると、海綿骨体積は14.7±1.4%まで更に増加し、これは無傷の対照で見られるのと同様な値であった(図7)。

0166

卵巣切除ラットにおいて、骨梁数は、DHEAによる処置により、卵巣切除対照と比較して0.57±0.08/mmの値から137%増加した(図8)。したがって、DHEAの刺激作用は1.27±0.1/mmに達したが、EM-800とDHEAによる同時処置により、骨梁数は、DHEA単独で達成されるのと比較して更に28%増加した(p<0.01)(図8)。同様に、DHEA処置へのEM-800の追加により、海綿骨分離が、DHEA単独で達成されるのと比較して更に15%減少し(p<0.05)、したがって、無傷対照で見られる値と差がない値が得られた。

0167

図7及び図8に提示される数値データを補うものとして、図9は、卵巣切除された処置動物(C)において、DHEAによって誘発される脛骨近位骨幹端の海綿骨体積が、卵巣切除対照(B)と比較して増加したこと、並びにDHEA処置(D)へのフルタミドの追加後にDHEAの刺激作用が部分的に阻害されたことを示している。他方、EM-800と組み合わせてDHEAを投与すると、結果として卵巣切除によって誘発されるオステオペニアが完全に予防され(E)、海綿骨体積は、無傷の対照(A)において見られるのと同等であった。

0168

0169

0170

骨組織形態計測に対するDHEAの刺激作用のアンドロゲン成分の重要性は、骨形成及び骨吸収のマーカーに対するDHEAの効果によっても裏付けられている。骨形成のマーカーである血清アルカリホスファターゼの濃度(Lauffenburger、Olahら 1977; Meunier、Salsonら 1987)は、OVX対照における51±4IU/Lから、DHEA処置動物における201±25IU/Lまで増加した。これは、骨形成に対するDHEAの刺激作用を示唆している[Table 3(表3)]。FLUは、このパラメーターに対するDHEAの刺激作用を65%回復させたが、EM-800には有意な効果がなかった。他方、コラーゲン分解中に放出されるヒドロキシプロリンは、コラーゲン合成において再利用されないので、コラーゲン代謝又は破骨細胞性骨吸収の有用なマーカーである。本研究において、尿中ヒドロキシプロリン/クレアチニン比は、OVX対照における11.7±1.2μmol/mmolからDHEA処置ラットにおける7.3±1.0μmol/mmolまで減少した(p<0.05)[Table 3(表3)]。FLUの投与は、このパラメーターに対するDHEAの阻害効果を完全に予防したが、EM-800は、DHEAの効果に対して統計的に有意な影響をもたらさなかった。

0171

更に、血清コレステロールは、DHEA処置によって2.29±0.16mmol/lから1.78±0.16mmol/lに22%低下した(p<0.05)。これは、純粋な抗アンドロゲン薬FLUでの併用処置によって中和される効果であった。他方、純粋な抗エストロゲン薬EM-800の追加により、総血清コレステロールは更に0.63±0.09mmol/lまで減少し(p<0.01)、したがって、65%の阻害効果に達した。血清トリグリセリドレベルの統計的に有意な変化は、使用した処置のいずれによっても観察されなかった[Table 3(表3)]。

0172

血清コレステロールに対するのEM-800(アコルビフェンのプロドラッグ、遊離塩)の強い阻害効果が、DHEAによる同時処置によって予防されない(Luo、Sourlaら 1997)ことに注目することもまた、興味深い。

0173

海綿骨強度及びその結果生じる耐破壊性は、海綿骨の総量だけでなく、骨梁の微細構造によっても異なり、これは、骨梁の数、サイズ及び分布によって決定される。閉経後女性における卵巣機能の喪失は、総海綿骨体積の有意な減少を伴い(Melsen、Melsenら 1978; Kleerekoper、Villanuevaら 1985)、これは、主に数の減少、及びそれほどではないにせよ、骨梁幅の減少と関連する(Weinstein及びHutson 1987)。

0174

本明細書中で論じたあらゆる適応症に対する、本発明の併用療法の態様を容易にするために、本発明は、同時投与のために単一組成物中にSERM及び性ステロイド前駆体を含む医薬組成物を企図する。この組成物は、経口投与、皮下注射、筋肉内注射又は経皮投与を含むがこれらに限定されない任意の従来の方法での投与に好適であり得る。他の実施形態において、1種又は複数のSERM及び性ステロイド前駆体を別個の又は1つの容器中に含むキットが提供される。このキットは、経口投与に適当な材料、例えば、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等、及び経皮投与に適当な材料、例えば、軟膏剤ローション剤、ゲル剤、クリーム剤、持続放出貼付剤等を含み得る。

0175

出願人らは、SERM又は抗エストロゲン薬及び性ステロイド前駆体の投与が、前記症状のいずれかの治療及び/又はその発生率の低下において有用であると考える。本発明の有効成分(SERM、抗エストロゲン薬若しくは前駆体又はその他のいずれであっても)は、配合して、種々の方法で投与できる。本発明に従って一緒に投与する場合、有効成分は、同時に又は別個に投与し得る。

0176

経皮又は経粘膜投与のための有効成分は、好ましくは、0.01%〜5%のDHEA又は5-ジオールである。

0177

SERMを経皮的に投与できることは、アコルビフェン類似体がマウスにおいて経口又は経皮のいずれで投与されても、子宮重量に対するエストラジオールの刺激作用を拮抗するアクビフェン類似体の有効性が同等であることによって示される(図16)。

0178

軟膏剤、ローション剤、ゲル剤、クリーム剤又は坐剤等として製剤化する場合、活性化合物は、ヒト皮膚又は粘膜適合性があり且つ皮膚又は粘膜を経た化合物の経皮又は経粘膜透過を増強する、好適な担体と混合する。好適な担体は当技術分野で公知であり、例としてはKlucel HF及びGlaxal基剤が挙げられるが、これらに限定するものではない。いくつかは市販されており、例えば、Glaxal基剤が、Glaxal Canada Limited Company社から入手可能である。他の好適なビヒクルは、Koller及びBuri、S.T.P. Pharmaに見い出すことができる(Koller及びBuri 1987)。担体は、好ましくは、有効成分が、周囲温度において有効成分の使用濃度で可溶なものである。担体は、前駆体を皮膚又は粘膜の局部を経て血流中に実質的に透過させ、そこで望ましい臨床効果をもたらすのに十分な期間、流れ出すことも蒸発することもなく、組成物が適用された皮膚又は粘膜の局部に阻害薬を維持するのに十分な粘度を有するべきである。担体は、典型的には、いくつかの成分、例えば、医薬として許容される溶媒及び増粘剤の混合物である。有機溶媒無機溶媒の混合物、例えば、水とエタノール等のアルコールの混合物は、親水及び親油溶解性を補助することができる。

0179

オビュール剤又は肛門坐剤等として製剤化する場合、活性化合物は、ヒト直腸粘膜と適合性の好適な担体と混合する。好ましい担体は、ハードファット(飽和脂肪酸グリセリドの混合物)、特定するとWitepsol、特にWitepsol H-15基剤(Medisca社、Montreal、Canadaから入手可能)である。任意の他の親油性基剤、例えば、Fattibase、Wecobee、カカオバターカカオ脂、又はWitepsol基剤の他の組合せも使用し得る。

0180

好ましい性ステロイド前駆体は、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)(例えば、Proquina社、Orizaba、Veracruz、Mexicoから入手可能)である。

0181

担体はまた、軟膏剤、ローション剤及び坐剤に一般に使用されている、化粧品及び医療の技術分野において周知の種々の添加剤を含み得る。例えば、フレグランス、酸化防止剤、パーフュームゲル化剤、増粘剤、例えば、カルボキシメチルセルロース界面活性剤、安定剤、皮膚軟化剤着色剤及び他の同様な薬剤が存在し得る。

0182

本発明による治療は、無期限の継続に好適である。SERM又は抗エストロゲン性化合物及び性ステロイド前駆体は、経口経路によっても投与でき、従来の医薬賦形剤、例えば、噴霧乾燥ラクトース微結晶セルロース及びステアリン酸マグネシウムを用いて経口投与用の錠剤又はカプセル剤に製剤化できる。

0183

活性物質は、固体の粉状の担体物質、例えば、クエン酸ナトリウム炭酸カルシウム又は第二リン酸カルシウム及び結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンゼラチン又はセルロース誘導体と混合し、場合によっては滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、「Carbowax」又はポリエチレングリコールを更に添加することによって、錠剤又は糖衣錠コアの状態にすることができる。言うまでもなく、経口投与形態の場合には、呈味改善物質を添加してもよい。

0184

更なる形態として、プラグカプセル剤、例えば、硬質ゼラチンのプラグカプセル剤、及び軟化剤又は可塑剤、例えば、グリセリンを含む密閉軟ゼラチンカプセル剤も使用できる。プラグカプセル剤は、活性物質を、好ましくは粒状物の形態で、例えば、増量剤、例えば、ラクトーススクロースマンニトールバレイショデンプン若しくはアミロペクチン等のデンプン、セルロース誘導体又は高分散ケイ酸と混合して含有する。軟ゼラチンカプセル剤では、活性物質を好ましくは、好適な液体、例えば、植物油又は液体ポリエチレングリコール中に溶解又は懸濁させる。

0185

ローション剤、軟膏剤、ゲル剤又はクリーム剤は、余剰分がはっきりと見えないように皮膚に十分にすりこむべきであり、経皮透過の大部分が起こるまで、好ましくは少なくとも4時間、より好ましくは少なくとも6時間、皮膚のその領域を洗浄すべきでない。

0186

経皮貼付剤は、公知の技術に従って前駆体を送達するのに使用できる。それは典型的には、はるかに長い期間、例えば、1〜4日間適用されるが、典型的には有効成分をより小さい表面積と接触して、有効成分の緩徐で絶え間ない送達を可能にする。

0187

開発されて使用されている多くの経皮薬物送達系が、本発明の有効成分の送達に好適である。放出速度は典型的には、マトリックス拡散によって又は有効成分の制御膜通過によって制御する。

0188

経皮装置機械的態様は、当技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,162,037号、第5,154,922号、第5,135,480号、第4,666,441号、第4,624,665号、第3,742,951号、第3,797,444号、第4,568,343号、第5,064,654号、第5,071,644号、第5,071,657号で説明されており、これらの特許の開示を参照によって本明細書中に組み込む。更なるバックグラウンドが、欧州特許第0279982号及び英国特許出願第2185187号によって提供されている。

0189

装置は、粘着性マトリックス及びリザーバー経皮送達装置を含む、当技術分野で公知の一般的なタイプのいずれかであることができる。装置は、有効成分及び/又は担体を吸収する繊維を組み込んでいる薬物含有マトリックスを含み得る。リザーバー型装置では、リザーバーは、担体及び有効成分に対して不透過性高分子膜によって規定され得る。

0190

経皮装置では、装置自体が、有効成分と所望の限局した皮膚表面との接触を維持する。このような装置において、有効成分用の担体の粘度は、クリーム剤又はゲル剤の場合よりも懸念が少ない。経皮装置の溶媒系は、例えば、オレイン酸直鎖アルコールラクテート及びジプロピレングリコール、又は当技術分野において公知の他の溶媒系を含み得る。有効成分は、担体中に溶解又は懸濁させることができる。

0191

皮膚に付着させるために、経皮貼付剤は、中央に孔が開いている外科用粘着テープ上に取り付けてもよい。粘着剤は好ましくは、使用前のその保護のために剥離ライナーによって被覆する。放出に好適な典型な材料としては、ポリエチレン及びポリエチレン加工紙、好ましくは、除去を容易にするためにシリコーンコーティングされたものが挙げられる。装置を適用するには、剥離ライナーを簡単に剥ぎ取り、粘着剤を患者の皮膚に付着させる。参照によって本明細書中にその開示を組み込む米国特許第5,135,480号には、皮膚に装置を固定するための非粘着手段を有する代替的な装置が記載されている。

0192

必要なのは、SERM、抗エストロゲン薬及び性ステロイド前駆体を、それぞれの血清濃度が所望のレベルを達成できる十分な方法及び投与量で投与することだけである。本発明の併用療法によれば、性ステロイド前駆体濃度が所望のパラメーターの範囲内に維持されると同時に、SERMの濃度が所望のパラメーターの範囲内に維持される。

0193

1つの好ましい性ステロイド前駆体はDHEAであるが、DHEA-S及び以下で論じる類似体も、下記の理由からとりわけ有効である。

0194

本発明の選択的エストロゲン受容体調節薬は、以下の特徴を有する分子式を有する: a)1〜2つの介在炭素原子によって隔てられている2つの芳香環であって、未置換であるか又はヒドロキシル基若しくはインビボでヒドロキシルに変換される基で置換されている、2つの芳香環、並びにb)芳香環及び第三級アミン官能基又はその塩を有する側鎖。

0195

本発明の1つの好ましいSERMは、アコルビフェンである:

0196

0197

アコルビフェン(EM-652.HCl; EM-1538とも称する)は、強力な抗エストロゲン薬EM-652の塩酸塩である。これは、米国特許第6,710,059号に開示されている。別の好ましいSERMは、ラソフォキシフェン{Oporia; CP-336,156; (-)-cis-(5R,6S)-6-フェニル-5-[4-(2-ピロリジン-1-イルエトキシ)フェニル]-5,6,7,8-テトラヒドロナフタレン-2-オール、D-(-)-酒石酸塩}[Pfizer Inc.社(米国)から入手可能]である。

0198

別の好ましいSERMは、Wyeth Ayers社(米国)によって開発され、JP10036347(American Home Products社)に開示され、閉経後骨粗鬆症の予防のための米国で承認されているバゼドキシフェン{TSE 424; WAY-TSE 424; WAY 140424; 1-[[4-[2-(ヘキサヒドロ-1H-アゼピン-1-イル)エトキシ]フェニル]メチル]-2-(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチル-1H-インドール-5-オール、酢酸塩}、及びWO97/32837に記載されている非ステロイド性エストロゲン誘導体である。本発明の他の好ましいSERMとしては、タモキシフェン{(Z)-2-[4-(1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン}[Zeneca社(英国)から入手可能]、トレミフェン{(Z)-2-[4-(4-クロロ-1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]-N,N-ジメチルエタンアミン}[Orion社(Finland)から商標Farestonで又はSchering-Plough社から入手可能]、Eli Lilly and Co社(米国)製のドロロキシフェン{(E)-3-[1-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-フェニル-1-ブテニル]フェノール}:ラロキシフェン{[2-(4-ヒドロキシフェニル)-6-ヒドロキシベンゾ[b]チエン-3-イル][4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェニル]-メタン塩酸塩}、LY 335124、LY 326315、LY 335563{6-ヒドロキシ-3-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェノキシル]-2-(4-ヒドロキシフェニル)ベンゾ[b]チオペン塩酸塩}及びアルゾキシフェン{LY 353381、6-ヒドロキシ-3-[4-[2-(1-ピペリジニル)エトキシ]フェノキシル]-2-(4-メトキシフェニル)ベンゾ[b]チオフェン塩酸塩}が挙げられる。他の好ましいSERMは、イドキシフェン{(E)-1-[2-[4-[1-(4-ヨードフェニル)-2-フェニル-1-ブテニル]フェノキシ]エチル]ピロリジン}(SmithKline Beecham社、USA)、レボルメロキシフェン{3,4-trans-2,2-ジメチル-3-フェニル-4-[4-(2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)フェニル]-7-メトキシクロマン}(Novo Nordisk, A/S社、Denmark)(Shalmiら、WO97/25034、WO97/25035、WO97/25037、WO97/25038及びKorsgaardら、WO97/25036に開示)、GW5638(Willsonら、1997によって記載)及びインドール誘導体(MillerらによってEP 0802183A1に開示)である。また、大鵬薬品工業株式会社(日本)製のイプロキシフェン{TAT59; (E)-4-[1-[4-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]フェニル]-2-[4-(1-メチルエチル)フェニル]-1-ブテニル]フェノールリン酸二水素塩}、Orion-Farmos Pharmaceutica社(Finland)から入手可能なオスペミフェン{FC 1271; (Z)-2-[4-(4-クロロ-1,2-ジフェニル-1-ブテニル)フェノキシ]エタノール}、SERM 3471、HMR3339及びHMR 3656[Sanofi-Aventis社(France)製]、Wyeth-Ayers社によって開発されたピペンドキシフェン(ERA 923)、WO97/3283に記載されている非ステロイド性エストロゲン誘導体、QuatRx社(USA)によって開発されたフィスペミフェン並びにCelgene社(USA)によって開発されたCC 8490も挙げられる。

0199

製造業者による推奨通りに有効性のために必要に応じて使用される任意のSERMを、使用できる。適当な投与量は、当技術分野において公知である。市販されている任意の他の非ステロイド性抗エストロゲン薬を、本発明に従って使用できる。SERMと同様な活性を有する任意の化合物(例:ラロキシフェン)を使用できる。

0200

本発明に従って投与するSERMは、経口投与の場合には、1日当たり0.01〜5mg/kg体重(好ましくは0.05〜1.0mg/kg)の投与量範囲で投与するのが好ましく、平均体重を有する人間に対しては、2つの均等に分割された用量で1日当たり5mg、とりわけ1日当たり10mgが好ましく、又は非経口投与(即ち、筋肉内投与皮下投与又は経皮投与)の場合には、1日当たり0.003〜3.0mg/kg体重(好ましくは0.015〜0.3mg/mL)の投与量範囲で投与するのが好ましく、平均体重を有する人間に対しては、2つの均等に分割された用量で1日当たり1.5mg、とりわけ1日当たり3.0mgが好ましい。好ましくは、SERMは、以下に記載するような医薬として許容される希釈剤又は担体と一緒に投与する。

0201

本発明の1つの好ましい抗エストロゲン薬は、AstraZeneca Canada Inc.社(Mississauga、Ontario、Canada)から入手可能なフルベストラント{Faslodex; ICI182 780; 7α-[9-(4,4,5,5,5-ペンタフルオロペンチルスルフィニル)ノニル]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-3,17β-ジオール}であり、これは、1カ月当たり250mgの投与量で筋肉内投与される。他の好ましい抗エストロゲン薬は、ScheringAG社(Germany)製のSH 646である。

0202

本明細書中で推奨される全ての投与量に関して、担当臨床医は、個々の患者の応答をモニターし、それに応じて投与量を調整すべきである。

0203

(実施例1)
本発明の好ましい化合物の合成例。
アコルビフェン[(S)-(+)-7-ヒドロキシ-3-(4'-ヒドロキシフェニル)-4-メチル-2-(4''-(2'''-ピペリジノエトキシ)フェニル)-2H-1-ベンゾピラン塩酸塩、EM-01538、(EM-652.HCl)]の合成。

0204

0205

工程A: BF3.Et2O、トルエン; 100℃; 1時間。
工程C: 3,4-ジヒドロピラン、p-トルエンスルホン酸一水和物酢酸エチル;窒素下において25℃で16時間、次いでイソプロパノール中結晶化。
工程D、E及びF:
(1)ピペリジン、トルエン、ディーン-スターク装置、窒素下で還流
(2)1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ-7-エン、DMF、還流3時間、
(3)CH3MgCl、THF、-20〜0℃、次いで室温で24時間。
工程G、H: (1S)-(+)-10-カンファースルホン酸、アセトン、水、トルエン、室温、48時間。
工程HH: 95%エタノール、70℃、次いで室温で3日間。
工程HHR:母液及び工程HHの洗液(wash)の再循環
(S)-10-カンファースルホン酸、還流;36時間、次いで室温で16時間。
工程I:
(1)DMF水溶液、Na2CO3、酢酸エチル;
(2)エタノール、希HCl;
(3)水。

0206

2-テトラヒドロピラニルオキシ-4-ヒドロキシ-2'-(4''-テトラヒドロピラニルオキシフェニル)アセトフェノン(4)の合成。2,4-ジヒドロキシ-2'-(4''-ヒドロキシフェニル)アセトフェノン 3(97.6g、0.4モル)(Chemsyn Science Laboratories社、Lenexa、Kansasから入手可能)の3,4-ジヒドロピラン(218mL、3.39モル)及び酢酸エチル(520mL)中懸濁液を、約25℃においてp-トルエンスルホン酸一水和物(0.03g、0.158mmol)で処理した。反応混合物を、外部加熱なしで窒素下において約16時間撹拌した。次いで、混合物を、炭酸水素ナトリウム(1g)及び塩化ナトリウム(5g)の水(100mL)溶液で洗浄した。相を分離させ、有機相ブライン(20mL)で洗浄した。各洗液を、酢酸エチル50mLで逆抽出した。有機相を全て合わせ、硫酸ナトリウムを通して濾過した。溶媒(約600mL)を、大気圧において蒸留によって除去し、イソプロパノール(250mL)を添加した。更なる溶媒(約300mL)を、大気圧において蒸留し、イソプロパノール(250mL)を添加した。更なる溶媒(約275mL)を、大気圧において蒸留し、イソプロパノール(250mL)を添加した。溶液を、約25℃において撹拌しながら冷却し、約12時間後に結晶性固体を濾過し、イソプロパノールで洗浄し、乾燥させた(116.5g、70%)。

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