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課題

肝臓毒性と関連せず、好ましくは、トリグリセリド、LDL−トリグリセリドまたはVLDL−トリグリセリドの最少の増加のみを誘導する(または全く誘導しない)リポタンパク質製剤、ならびに商業規模でこれらのリポタンパク質製剤を確実に作製するのに用いることができる着実な製造方法の提供。

解決手段

それぞれ、脂質画分と、本質的にアポリポタンパク質A−I(「ApoA−I」)からなるアポリポタンパク質画分とを含むリポタンパク質複合体の集団であって、リポタンパク質複合体が、ゲル浸透クロマトグラフィーにおける単一のピークにより反映されるように、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%均一である、集団。

概要

背景

3.背景
3.1.概説
循環コレステロールは、脂質と、血液中の脂質を輸送するタンパク質組成物との複合
粒子である血漿リポタンパク質により運搬される。4つの主要なクラスのリポタンパク質
粒子が血漿中に循環し、脂肪輸送系関与する:カイロミクロン超低密度リポタンパク
質(VLDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質HDL
)。カイロミクロンは、腸脂肪吸収短命生成物である。VLDLおよび特に、LDL
は、肝臓(コレステロールが合成されるか、または食事起源から得られる)から肝臓外組
織、例えば、動脈壁へのコレステロールの送達を担う。対照的に、HDLは、逆コレステ
ロール輸送(RCT)、特に、肝臓外組織から肝臓へのコレステロール脂質の除去を媒介
し、そこで保存、異化、排除または再利用される。HDLはまた、炎症、酸化された脂質
およびインターロイキンの輸送において有益な役割を果たし、次いで血管壁における炎症
を減少させることができる。

リポタンパク質粒子は、コレステロール(通常はコレステリルエステルの形態にある)
トリグリセリドとから構成される疎水性コアを有する。このコアは、リン脂質、非エス
テル化コレステロールおよびアポリポタンパク質を含む表面外被により取り囲まれている
。アポリポタンパク質は脂質輸送を媒介し、いくらか脂質代謝に関与する酵素と相互作
用し得る。ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoA−V、ApoB、
ApoC−I、ApoC−II、ApoC−III、ApoD、ApoE、ApoJおよ
びApoHなどの、少なくとも10種のアポリポタンパク質が同定されている。LCAT
レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)、CETPコレステリルエス
テル転移タンパク質)、PLTP(リン脂質転移タンパク質)およびPONパラオキソ
ナーゼ)などの他のタンパク質も、リポタンパク質と関連して見出されている。

冠動脈性心疾患冠動脈疾患およびアテローム性動脈硬化症などの心血管疾患は、血清
コレステロールレベルの上昇と極めて関連している。例えば、アテローム性動脈硬化症は
、動脈壁内でのコレステロールの蓄積を特徴とする、ゆっくりと進行する疾患である。説
得力のある証拠が、アテローム性動脈硬化症病変沈着した脂質が主に血漿LDLに由来
するものであるという理論を支持し、かくして、LDLが「悪玉」コレステロールとして
一般的に知られるようになった。対照的に、HDL血清レベルは、冠動脈性心疾患とは逆
相関する。実際、HDLの高い血清レベルは、負の危険因子と見なされている。高レベル
の血漿HDLは冠動脈疾患に対して防御的であるだけでなく、実際にアテローム性動脈
プラーク退縮誘導し得るとの仮説が立てられている(例えば、Badimonら、1992、C
irculation 86 (Suppl. Ill): 86-94; DanskyおよびFisher、1999、Circulation 100: 17
62-63; Tangiralaら、1999、Circulation 100(17): 1816-22; Fanら、1999、Atheroscler
osis 147(l): 139-45; Deckertら、1999、Circulation 100(11): 1230-35; Boisvertら、
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ua Bing Li Xue Za Zhiとも翻訳される) 18(4):257-61; Quezadoら、1995、J. Pharmacol
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ature 314(6006): 109-11; Haら、1992、Biochim. Biophys. Acta 1125(2):223-29; Beit
zら、1992、Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids47(2): 149-52を参照された
い)。結果として、HDLは「善玉」コレステロールとして一般に知られるようになった
(例えば、Zhangら、2003 Circulation 108:661-663を参照されたい)。

HDLの「防御的」役割がいくつかの研究において確認されている(例えば、Millerら
、1977、Lancet l(8019):965-68; Whayneら、1981、Atherosclerosis 39:411-19)。これ
らの研究では、LDLレベルの上昇は心血管リスクの増加と関連すると考えられるが、高
HDLレベル心血管防御を付与すると考えられる。in vivoでの研究は、HD
Lの防御的役割をさらに実証し、ウサギへのHDL注入がコレステロール誘導性動脈病変
の発生を阻害し(Badimonら、1989、Lab. Invest. 60:455-61)および/またはその退縮を
誘導し得る(Badimonら、1990、J. Clin. Invest. 85: 1234-41)ことを示した。

3.2.逆コレステロール輸送、HDLおよびアポリポタンパク質A−I
逆コレステロール輸送(RCT)経路は、多くの肝臓外組織からコレステロールを排除
するように機能し、体内の多くの細胞の構造および機能の維持にとって重要である。RC
Tは主に3つの段階:(a)コレステロール流出、すなわち、末梢細胞の様々なプール
らのコレステロールの最初の除去;(b)細胞中への流出したコレステロールの再進入
防止する、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によ
コレステロールエステル化;および(c)加水分解のための肝臓細胞へのHDL−コレ
ステロールおよびコレステリルエステルの取込み、次いで、再利用、貯蔵胆汁中への排
出または胆汁酸への異化、からなる。

RCTにおける鍵となる酵素であるLCATは、肝臓により産生され、HDL画分と結
合して血漿中に循環する。LCATは細胞由来コレステロールをコレステリルエステルに
変換し、これらはHDL中に隔離され、除去を運命付けられる(Jonas 2000、Biochim. B
iophys. Acta 1529(l-3):245-56を参照されたい)。コレステリルエステル転移タンパク
質(CETP)およびリン脂質転移タンパク質(PLTP)は、循環するHDL集団のさ
らなる再モデリングに寄与する。CETPはLCATにより作られたコレステリルエステ
ルを、他のリポタンパク質、特に、ApoBを含むリポタンパク質、例えば、VLDLお
よびLDLに移動させる。PLTPはレシチンをHDLに供給する。HDLトリグセリ
ドは細胞外肝臓トリグリセリドリパーゼにより異化され、リポタンパク質コレステロール
はいくつかの機構を介して肝臓により除去される。

HDL粒子機能的特徴は、ApoA−IおよびApoA−IIなどのそれらの主要な
アポリポタンパク質成分によって主に決定される。少量のApoC−I、ApoC−II
、ApoC−III、ApoD、ApoA−IV、ApoEおよびApoJも、HDLと
結合することが観察されている。HDLは、代謝RCTカスケードまたは経路の間の再モ
リングの状態に応じて、様々な異なるサイズで、および上記の構成要素の異なる混合物
中に存在する。

それぞれのHDL粒子は通常、少なくとも1分子、および通常は2〜4分子のApoA
−Iを含む。HDL粒子はまた、Gerd Assmann教授により記載されたように(例えば、vo
n Eckardsteinら、1994、Curr Opin Lipidol. 5(6):404-16を参照されたい)、コレステ
ロール流出を担うことも知られる、ApoE(γ−LpE粒子)のみを含んでもよい。A
poA−Iは、肝臓および小腸によりプレプロアポリポタンパク質A−Iとして合成され
、プロアポリポタンパク質A−I(proApoA−I)として分泌され、迅速に切断さ
れて、243アミノ酸の単一のポリペプチド鎖である血漿型のApoA−Iを生成する(
Brewerら、1978、Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:623-30)。血流中に実験的に直接
注入されたプレプロApoA−Iも、血漿型のApoA−Iに切断される(Klonら、2000
、Biophys. J. 79(3): 1679-85; Segrestら、2000、Curr. Opin. Lipidol. 11(2): 105-1
5; Segrestら、1999, J. Biol. Chem. 274 (45):31755-58)。

ApoA−Iは、6〜8個の異なる22アミノ酸のα−へリックスまたはプロリンであ
ることが多いリンカー部分により間隔を空けられた機能的反復を含む。この反復単位は、
両親媒性らせんコンフォメーションで存在し(Segrestら、1974、FEBSLett. 38: 247-53
)、ApoA−Iの主要な生物活性、すなわち、脂質結合およびレシチンコレステロール
アシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性化を与える。

ApoA−Iは、脂質との3つの型の安定な複合体:プレ−β−1HDLと呼ばれる
、小さい脂質の少ない(lipid-poor)複合体;プレ−β−2 HDLと呼ばれる、極性脂質
(リン脂質およびコレステロール)を含む扁平な円盤状の粒子;ならびに球状または成熟
HDL(HDL3およびHDL2)と呼ばれる、極性脂質と非極性脂質の両方を含む球状
粒子を形成する。循環集団中の多くのHDLは、ApoA−IとApoA−IIの両方(
AI/AII−HDL画分」)を含む。しかしながら、ApoA−Iのみを含むHDL
の画分(「AI−HDL画分」)が、RCTにおいてより有効であると考えられる。特定
疫学研究は、ApoA−I−HDL画分が抗動脈硬化的であるという仮説を支持する(
Parraら、1992、Arterioscler. Thromb. 12:701-07; Decossinら、1997、Eur. J. Clin.
Invest. 27:299-307)。

HDL粒子は、異なるサイズ、脂質組成およびアポリポタンパク質組成を有する粒子の
いくつかの集団から作られている。それらは、その水和密度、アポリポタンパク質組成お
よび電荷特性などの特性に従って分離することができる。例えば、プレ−β−HDL画分
は、成熟α−HDLよりも低い表面電荷を特徴とする。この電荷の差異のため、プレ−β
−HDLおよび成熟α−HDLは、アガロースゲル中で異なる電気泳動移動度を有する(
Davidら、1994、J. Biol. Chem. 269(12):8959-8965)。

プレ−β−HDLと成熟α−HDLの代謝も異なる。プレ−β−HDLは2つの代謝運
命を有する:腎臓による血漿からの除去および異化または肝臓により優先的に分解される
中程度のサイズのHDLへの再モデリング(Leeら、2004、J. Lipid Res. 45(4):716-728
)。

細胞表面からのコレステロール転移(すなわち、コレステロール流出)の機構は未知
あるが、脂質の少ない複合体であるプレ−β−1HDLが、RCTに関与する末梢組織
から転移されたコレステロールの好ましい受容器であると考えられる(Davidsonら、1994
、J. Biol. Chem. 269:22975-82; Bielickiら、1992、J. Lipid Res. 33: 1699-1709; Ro
thblatら、1992、J. Lipid Res. 33: 1091-97; およびKawanoら、1993、Biochemistry 32
:5025-28; Kawanoら、1997、Biochemistry 36:9816-25を参照されたい)。細胞表面から
のコレステロール動員のこのプロセスの間に、プレ−β−1 HDLはプレ−β−2 H
DLに迅速に変換される。PLTPはプレ−β−2 HDLディスク形成の速度を増加さ
せることができるが、RCTにおけるPLTPの役割を示唆するデータはない。LCAT
は円盤状の小さい(プレ−β)および球状(すなわち、成熟)のHDLと優先的に反応し
、レシチンまたは他のリン脂質の2−アシル基を、コレステロールの遊離ヒドロキシル
基に転移させ、コレステリルエステル(HDL中に保持される)およびリゾレシチンを生
成する。LCAT反応には活性化因子としてApoA−Iが必要である、すなわち、Ap
oA−IはLCATの天然コファクターである。HDL中に隔離されたコレステロール
の、そのエステルへの変換は、コレステロールの細胞中への再進入を防止し、正味の結果
は、コレステロールが細胞から除去されるということである。

ApoAI−HDL画分(すなわち、ApoA−Iを含み、ApoA−IIを含まない
)中の成熟HDL粒子中のコレステリルエステルは肝臓により除去され、ApoA−Iと
ApoA−IIの両方を含むHDL(AI/AII−HDL画分)から誘導されるものよ
りも効率的に胆汁中にプロセッシングされる。これは、部分的には、肝細胞膜へのApo
AI−HDLのより効率的な結合に負うものであり得る。HDL受容体の存在が仮定され
ており、スカベンジャー受容体、クラスB、I型(SR−BI)がHDL受容体として同
定されている(Actonら、1996、Science 271 :518-20; Xuら、1997、Lipid Res. 38: 128
9-98)。SR−BIは、ステロイド産生組織(例えば、副腎)および肝臓中で最も豊富
発現される(Landschulzら、1996、J. Clin. Invest. 98:984-95; Rigottiら、1996、J.
Biol. Chem. 271 :33545-49)。HDL受容体の概説については、Broutinら、1988、Anal
. Biol. Chem. 46: 16-23を参照されたい。

ATP結合カセット輸送因子AIによる初期の脂質化は、血漿HDL形成およびコレス
テロール流出を生じさせるプレ−β−HDL粒子の能力にとって重要であると考えられる
(LeeおよびParks、2005、Curr. Opin. Lipidol. 16(1): 19-25)。これらの著者らによ
れば、この初期の脂質化は、プレ−β−HDLがコレステロール受容器としてより効率的
に機能するのを可能にし、ApoA−Iが元々存在する血漿HDL粒子と迅速に結合する
のを防止し、コレステロール流出のためのプレ−β−HDL粒子のより高い利用可能性
もたらす。

CETPは、RCTにおいても役割を果たし得る。CETP活性またはその受容器であ
るVLDLおよびLDLにおける変化は、HDL集団を「再モデリング」するのに役割を
果たす。例えば、CETPの非存在下では、HDLは拡大された粒子になり、消失しない
(RCTおよびHDLの概説については、FieldingおよびFielding、1995、J. Lipid Res
. 36:211-28; Barransら、1996、Biochem. Biophys. Acta 1300:73-85; Hiranoら、1997
、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17(6): 1053-59を参照されたい)。

HDLはまた、他の脂質および非極性分子の逆輸送において、ならびに解毒、すなわち
、異化および排出のための肝臓への細胞、器官および組織からの脂質の輸送において役割
を果たす。そのような脂質としては、スフィンゴミエリンSM)、酸化された脂質、お
よびリゾホスファチジルコリンが挙げられる。例えば、RobinsおよびFasulo(1997、J. C
lin. Invest. 99:380-84)は、HDLが肝臓による胆汁分泌物への植物ステロールの輸送
刺激することを示した。

HDLの主要な成分であるApoA−Iは、in vitroでSMと結合し得る。ウ
シ脳SM(BBSM)を用いてin vitroでApoA−Iを再構成させた場合、再
構成の最大速度は28℃で起こり、その温度はBBSMの相転移温度に近い(Swaney、19
83、J. Biol. Chem. 258(2)、1254-59)。7.5:1以下(wt/wt)のBBSM:A
poA−I比では、1個の粒子あたり3個のApoA−I分子を含み、360:1のBB
SM:ApoA−Iモル比を有する単一の再構成された均一なHDL粒子が形成される。
それは、電子顕微鏡中では、高い比率のリン脂質/タンパク質でのApoA−Iのホスフ
ァチジルコリンによる組換えにより得られたものと類似する円盤状複合体として出現する
。しかしながら、15:1(wt/wt)のBBSM:ApoA−I比では、より高いリ
ン脂質:タンパク質モル比(535:1)を有する、より大きい直径の円盤状複合体が形
成される。これらの複合体は、ホスファチジルコリンと共に形成されたApoA−I複合
体よりも有意に大きく、より安定であり、変性に対してより耐性が高い。

スフィンゴミエリン(SM)は早期コレステロール受容器(プレ−β−HDLおよびγ
移住ApoE含有リポタンパク質)中で上昇し、これはSMが、これらの粒子がコレス
テロール流出を促進する能力を増強することができることを示唆している(DassおよびJe
ssup、2000、J. Pharm. Pharmacol. 52:731-61; Huangら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 91: 1834-38; FieldingおよびFielding 1995、J. Lipid Res. 36:211-28)。

3.3.HDLおよびApoA−Iの防御機構
HDLの防御機構の研究は、HDLの主成分であるアポリポタンパク質A−I(Apo
A−I)に焦点を当ててきた。ApoA−Iの高い血漿レベルは、冠動脈病変の非存在ま
たは減少と関連する(Maciejkoら、1983、N. Engl. J. Med. 309:385-89; Sedlisら、198
6、Circulation 73:978-84)。

実験動物におけるApoA−IまたはHDLの注入は、有意な生化学的変化を示し、な
らびにアテローム性動脈硬化病変の程度および重篤度を低下させる。MaciejkoおよびMao
(1982、Arteriosclerosis 2:407a)による初期の報告の後、Badimonら(1989、Lab. Invest
. 60:455-61; 1989、J. Clin. Invest. 85: 1234-41)は、HDL(d=1.063〜1.
325g/ml)を注入することにより、コレステロール給餌ウサギにおいて、アテロー
ム性動脈硬化病変の程度(45%の減少)およびそのコレステロールエステル含量(58
.5%の減少)を有意に低下させることができることを見出した。彼らはまた、HDLの
注入が確立された病変の50%に近い退縮をもたらすことも見出した。Esperら(1987、A
rteriosclerosis 7:523a)は、HDLの注入が、初期の動脈病変を生じる遺伝性高コレス
テロール血症を有するWatanabeウサギの血漿リポタンパク質組成を顕著に変化さ
せ得ることを示した。これらのウサギにおいては、HDL注入量は、防御的HDLと動脈
硬化性LDLとの比の2倍を超えるものであってよい。

動物モデルにおける動脈疾患を防止するHDLの能力は、ApoA−Iがin vit
roで線維素溶解活性を示し得るという観察によってさらに裏付けられた(Sakuら、1985
、Thromb. Res. 39: 1-8)。Ronneberger(1987、Xth Int. Congr. Pharmacol.、Sydney
、990)は、ApoA−Iがビーグル犬およびカニクイザルにおいて線維素溶解を増加さ
せ得ることを実証した。同様の活性はヒト血漿においてもin vitroで指摘するこ
とができる。Ronnebergerは、ApoA−Iで処理された動物における脂質沈着および動
プラーク形成の減少を確認することができた。

in vitroでの研究は、ApoA−Iとレシチンとの複合体が、培養された動脈
平滑筋細胞からの遊離コレステロールの流出を促進することができることを示唆している
(Steinら、1975、Biochem. Biophys. Acta、380: 106-18)。この機構により、HDLは
これらの細胞の増殖も低下させることができる(Yoshidaら、1984、Exp. Mol Pathol. 41
:258-66)。

ApoA−IまたはApoA−I模倣ペプチドを含むHDLを用いる注入療法もまた、
ABC1輸送因子による血漿HDLレベルを調節し、心血管疾患の治療における有効性
もたらすことが示されている(例えば、Brewerら、2004、Arterioscler. Thromb. Vasc.
Biol. 24: 1755-1760を参照されたい)。

アルギニン残基システイン置換された、ApoA−Iの2つの天然のヒト多型が単
離されている。アポリポタンパク質A−IMilano(ApoA−IM)においては、
この置換は残基173で起こるが、アポリポタンパク質A−IParis(ApoA−I
P)においては、この置換は残基151で起こる(Franceschiniら、1980、J. Clin. Inv
est. 66:892-900; Weisgraberら、1983、J. Biol. Chem. 258:2508-13; Bruckertら、199
7、Atherosclerosis 128: 121-28; Daumら、1999、J. Mol. Med. 77:614-22; Klonら、20
00、Biophys. J. 79(3): 1679-85)。さらに、位置144でロイシンアルギニンで置換
された、ApoA−Iのさらなる天然のヒト多型が単離されている。この多型はアポリポ
タンパク質A−I Zaragoza(ApoA−Iz)と呼ばれており、重症低αリポ
タンパク血症および高密度リポタンパク質(HDL)逆コレステロール輸送の増強された
効果と関連する(Recaldeら、2001、Atherosclerosis 154(3):613-623; Fiddymentら、20
11、Protein Expr. Purif. 80(1): 110-116)。

ApoA−IMまたはApoA−IPのジスルフィド結合ホモ二量体を含む再構成され
たHDL粒子は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)乳濁液を消失させる
能力およびコレステロール流出を促進する能力において野生型ApoA−Iを含む再構成
されたHDL粒子と類似する(Calabresiら、1997b、Biochemistry 36: 12428-33; Franc
eschiniら、1999、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 19: 1257-62; Daumら、1999、J.
Mol. Med. 77:614-22)。両突然変異において、ヘテロ接合性個体はHDLのレベルが低
下しているが、逆説的であるが、アテローム性動脈硬化症のリスクが低い(Franceschini
ら、1980、J. Clin. Invest. 66:892-900; Weisgraberら、1983、J. Biol. Chem. 258:25
08-13; Bruckertら、1997、Atherosclerosis 128: 121-28)。いずれかの変異体を含む再
構成されたHDL粒子はLCATを活性化することができるが、野生型ApoA−Iを含
む再構成されたHDL粒子と比較した場合、その効率は低い(Calabresiら、1997、Bioch
em. Biophys. Res. Commun. 232:345-49; Daumら、1999、J. Mol. Med. 77:614-22)。

ApoA−IM突然変異は常染色体優性形質として伝達される;ファミリー内で8世代
キャリアが同定されている(Gualandriら、1984、Am. J. Hum. Genet. 37: 1083-97)
。ApoA−IMキャリア個体の状態は、HDLコレステロールレベルの顕著な低下を特
徴とする。これにもかかわらず、キャリア個体は動脈疾患のいかなる高リスク見かけ
示さない。実際、家系記録の調査により、これらの対象がアテローム性動脈硬化症から「
防御」され得ると考えられる(Sirtoriら、2001、Circulation, 103: 1949-1954; Romaら
、1993、J. Clin. Invest. 91(4): 1445-520)。

前記突然変異のキャリアにおけるApoA−IMの可能な防御効果の機構は、1個のα
−へリックスの喪失および疎水性残基の露出の増加と共に、ApoA−IM突然変異体
構造の改変と関連すると考えられる(Franceschiniら、1985、J. Biol. Chem. 260: 1632
-35)。複数のα−へリックスの緊密な構造の喪失は、通常のApoA−Iと比較して、
分子の可撓性の増加をもたらし、より容易に脂質と結合する。さらに、リポタンパク質複
合体は、変性をより受けやすく、かくして、この突然変異体の場合、脂質送達も改善され
ることを示唆している。

Bielickiら(1997、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17 (9): 1637-43)は、Ap
oA−IMが野生型ApoA−Iと比較して膜コレステロールを動員する限られた能力を
有することを実証した。さらに、ApoA−IMの膜脂質との結合により形成された新生
HDLは、野生型ApoA−Iにより形成されるより大きい9および11nmの複合体よ
もむしろ、主に7.4nmの粒子であった。これらの観察は、ApoA−I一次配列
のArg173→Cys173置換が、細胞コレステロール動員および新生HDL集合
正常なプロセスを阻害したことを示している。この突然変異は、細胞からのコレステロー
ル除去の効率の低下と見かけ上関連する。従って、その抗動脈硬化特性は、RCTと関連
しなくてもよい。

Arg173→Cys173置換に起因する最も著しい構造的変化は、ApoA−IM
二量体化である(Bielickiら、1997、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17 (9): 16
37-43)。ApoA−IMは、それ自身とホモ二量体を形成し、ApoA−IIとヘテロ
二量体を形成することができる。アポリポタンパク質の混合物を含む血液画分の研究は、
循環中の二量体および複合体の存在がアポリポタンパク質の消失半減期の増加の原因とな
り得ることを示唆している。そのような消失半減期の増加は、前記突然変異のキャリアの
臨床研究において観察された(Greggら、1988、NATOARW on Human Apolipoprotein Muta
nts: From Gene Structure to Phenotypic Expression、Limone SG)。他の研究は、Ap
oA−IM二量体(ApoA−IM/ApoA−IM)がin vitroでHDL粒子
相互変換における阻害因子として作用することを示唆している(Franceschiniら、1990
、J. Biol. Chem. 265: 12224-31)。

3.4.脂質異常症および関連障害のための現在の治療
脂質異常障害は、血清コレステロールおよびトリグリセリドレベルの上昇ならびに血清
HDL:LDL比の低下と関連する疾患であり、高脂血症、特に、高コレステロール血症
、冠動脈性心疾患、冠動脈疾患、血管および血管周囲の疾患、ならびにアテローム性動脈
硬化症などの心血管疾患が挙げられる。動脈不全により引き起こされる、一過性虚血発作
または間欠性跛行などのアテローム性動脈硬化症と関連する症候群も含まれる。脂質異常
障害と関連する上昇した血清コレステロールおよびトリグリセリドを低下させるためにい
くつかの治療が現在利用可能である。しかしながら、有効性、副作用および患者集団の適
格性の点で、それぞれはそれ自身の欠点および限界を有する。

胆汁酸結合樹脂は、腸から肝臓への胆汁酸の再利用を遮断する薬剤のクラスである;例
えば、コレスチラミン(Questran Light(登録商標)、Bristol−
Myers Squibb)、コレスチポール塩酸塩(Colestid(登録商標)、
The Upjohn Company)、およびコレセベラム塩酸塩(Welchol
(登録商標)、Daiichi−Sankyo Company)。経口摂取した場合、
これらの正に荷電した樹脂は腸において負に荷電した胆汁酸に結合する。この樹脂は腸か
ら吸収されないため、それらはそれらと共に胆汁酸を担持して排出される。しかしながら
、そのような樹脂の最良の使用でも、血清コレステロールレベルを約20%低下させるに
過ぎず、便秘および特定のビタミン欠乏などの胃腸副作用を伴う。さらに、前記樹脂は他
の薬剤に結合するため、他の経口薬剤は樹脂の摂取の少なくとも1時間前またはその4〜
6時間後に摂取しなければならない;かくして、心臓患者の薬剤レジメンを複雑にする。

スタチンは、コレステロール生合成経路に関与する鍵となる酵素であるHMGCoA還
元酵素を阻害することにより、コレステロール合成を遮断するコレステロール低下剤であ
る。スタチン、例えば、ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン
(Zocor(登録商標))、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フ
バスタチン(Lescol(登録商標))およびアトルバスタチン(Lipitor(
登録商標))は、胆汁酸結合樹脂と共に用いられることがある。スタチンは、血清コレス
テロールおよびLDL−血清レベルを有意に低下させ、冠動脈アテローム性動脈硬化症の
進行を遅延させる。しかしながら、血清HDLコレステロールレベルは中程度にのみ増加
する。LDL低下効果の機構は、VLDL濃度の低下と、LDL−受容体の細胞発現の誘
導との両方を含み、LDLの産生の低下および/またはその異化の増加を誘導し得る。肝
臓および腎臓の機能障害などの副作用は、これらの薬剤の使用と関連する(The Physicia
ns Desk Reference、第56版、2002、Medical Economics)。

ナイアシンニコチン酸)は、栄養補助食品および抗高脂血症剤として用いられる水溶
ビタミンB複合体である。ナイアシンはVLDLの産生を減少させ、LDLを低下させ
るのに有効である。いくつかの場合、それは胆汁酸結合樹脂と共に用いられる。ナイアシ
ンは、十分な用量で用いた場合にはHDLを増加させることができるが、そのような高用
量で用いた場合、重篤な副作用によってその有用性は限られる。Niaspan(登録商
標)は、純粋なナイアシンよりも副作用の少ない長期放出型のナイアシンである。ナイア
シン/ロバスタチン(Nicostatin(登録商標))は、ナイアシンとロバスタ
ンの両方を含有する製剤であり、それぞれの薬剤の利益を組み合わせたものである。

フィブラートは、高コレステロール血症とも関連し得る様々な形態の高脂血症(すなわ
ち、血清トリグリセリドの上昇)を治療するために用いられる脂質低下薬のクラスである
。フィブラートは、VLDL画分を減少させ、HDLを穏やかに増加させると考えられる
が、血清コレステロールに対するこれらの薬剤の効果は変動する。米国では、クロフィ
ラート(Atromid−S(登録商標))、フェノフィブラート(Tricot(登録
商標))およびベザフィブラート(Bezalip(登録商標))などのフィブラートが
抗高脂血症薬としての使用について認可されているが、高コレステロール血症剤として
の認可は受けていない。例えば、クロフィブラートは、VLDL画分を減少させることに
より血清トリグリセリドを低下させるように作用する(未知の機構を介する)抗高脂血症
剤である。特定の患者サブ集団中では血清コレステロールを低下させることができるが、
薬剤に対する生化学的応答は変動し、どの患者が好ましい結果を得るかを常に予測できる
わけではない。Atromid−S(登録商標)は、冠動脈心疾患の予防にとって有効で
あるとは示されていない。化学的および薬学的に関連する薬剤であるゲンフィブロジル(
Lopid(登録商標))は、血清トリグリセリドおよびVLDLコレステロールを中程
度に減少させ、HDLコレステロール−HDL2およびHDL3サブ画分ならびにApo
A−IとA−IIの両方(すなわち、AI/AMT−HDL画分)を中程度に増加させる
。しかしながら、脂質応答は、特に異なる患者集団の間では不均一である。さらに、存在
する冠動脈心疾患の履歴または症状を有さない40〜55男性患者においては、
心疾患の予防が観察されたが、これらの知見をどの程度他の患者集団(例えば、女性
より高齢者およびより若年者男性)に外挿することができるかは明らかではない。実際
、確立された冠動脈心疾患を有する患者においては、有効性が観察されなかった。悪性
瘍(特に、胃腸癌)などの毒性、胆嚢疾患および非冠動脈性死亡の発生の増加などの重篤
な副作用が、フィブラートの使用と関連する。

経口エストロゲン補充療法が、閉経後の女性における中程度の高コレステロール血症に
とって考えられる。しかしながら、HDLの増加は、トリグリセリドの増加を伴うことが
ある。エストロゲン治療は勿論、特定の患者集団(閉経後の女性)に限られ、悪性新生物
、胆嚢疾患、血栓塞栓症肝細胞腺腫血圧上昇耐糖能異常、および高カルシウム血症
の誘導などの重篤な副作用と関連する。

高脂血症の治療にとって有用な他の薬剤としては、コレステロール吸収を遮断または阻
害するエゼチミブ(Zetia(登録商標);Merck)が挙げられる。しかしながら
、エゼチミブの阻害剤は、特定の毒性を示すことが示されている。

HDL、およびリン脂質と複合体化した組換え形態のApoA−Iは、非極性または両
媒性分子、例えば、コレステロールおよび誘導体オキシステロール、酸化ステロール
、植物ステロールなど)、コレステロールエステル、リン脂質および誘導体(酸化リン
質)、トリグリセリド、酸化生成物、およびリポ多糖LPS)のためのシンク(sink)/
スカベンジャーとして役立ち得る(例えば、Casasら、1995、J. Surg. Res. Nov 59(5):5
44-52を参照されたい)。HDLはまた、TNF−αおよび他のリンホカインのためのス
ベンジャーとしても役立ち得る。HDLはまた、ヒト血清パラオキソナーゼ、例えば、
PON−1、−2、−3のための担体としても役立ち得る。パラオキソナーゼは、HDL
と結合したエステラーゼであり、酸化に対して細胞成分を保護するのに重要である。酸化
ストレスの間に起こるLDLの酸化は、アテローム性動脈硬化症の発症と直接関連する
と考えられる(Aviram, 2000、Free Radic. Res. 33 Suppl:S85-97)。パラオキソナーゼ
は、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患に対する罹患性において役割を果たすと考
えられる(Aviram、1999、Mol. Med. Today 5(9):381-86)。ヒト血清パラオキソナーゼ
(PON−1)は、高密度リポタンパク質(HDL)に結合する。その活性は、アテロー
ム性動脈硬化症逆相関する。PON−1は有機リン酸エステルを加水分解し、HDLお
よび低密度リポタンパク質(LDL)の酸化の阻害によってアテローム性動脈硬化症に対
して保護することができる(Aviram、1999、Mol. Med. Today 5(9):381-86)。実験研究
は、この保護が酸化されたリポタンパク質中の特定の脂質過酸化物を加水分解するPON
−1の能力と関連することを示唆している。PON−1活性を保存するか、または増強す
介入は、アテローム性動脈硬化症および冠動脈心疾患の開始を遅延させるのに役立ち得
る。

HDLはさらに、抗血栓剤およびフィブリノゲン低下剤として、ならびに出血性ショッ
クにおける薬剤としての役割を有する(Cockerillら、2001年3月1日に公開された
WO01/13939)。HDL、および特にApoA−Iは、敗血症によって産生され
たリポ多糖の、ApoA−Iを含む脂質粒子への交換を容易にし、リポ多糖の機能的中和
をもたらすことが示されている(Wrightら、1995年12月21日に公開されたWO9
534289; Wrightら、1999年7月27日に発行された米国特許第5,928,6
24号; Wrightら、1999年8月3日に発行された米国特許第5,932,536号)

in vitroでリポタンパク質複合体を作製するために利用可能な様々な方法が存
在する。米国特許第6,287,590号および第6,455,088号は、有機溶媒
または溶媒混合物)中でのアポリポタンパク質と脂質溶液との同時凍結乾燥および凍結
粉末の水和中の荷電リポタンパク質複合体の形成を必要とする方法を開示する。リポタ
ンパク質複合体を、洗剤透析法により形成させることもできる;例えば、脂質、リポタン
パク質およびコール酸塩などの洗剤の混合物を透析し、再構成させて複合体を形成させる
(例えば、Jonasら、1986、MethodsEnzymol. 128:553-82を参照されたい)。米国特許出
願公開第2004/0067873号の実施例1は、ミセルを形成するための条件下で脂
分散物をコール酸塩と合わせ、次いでこれらをアポリポタンパク質溶液と共にインキュ
ベートして複合体を形成させる、コール酸塩分散法を開示する。究極的には、毒性である
コール酸塩は、例えば、透析、限外濾過またはアフィニティビーズもしくは樹脂上への吸
着吸収により除去しなければならない。米国特許第6,306,433号は、タンパク質
と脂質との液体混合物高圧均一化にかけることによるリポタンパク質複合体形成を開示
する。しかしながら、高い剪断力に対して感受性が高いタンパク質は、高圧均一化に曝露
した場合、活性を喪失し得る。

かくして、現在利用可能な製造方法は、タンパク質分解物などの、出発材料廃棄物を
もたらし、および/または毒性因子の除去などの、得られる生成物の精製を必要とし、か
くして、非効率的であり、費用が高い。さらに、リポタンパク質複合体の調製物は不均一
であってよく、サイズおよび組成が変化する複合体の混合物を含有する。例えば、米国特
許第5,876,968号を参照されたい。従って、効率的であり、好ましくは高い純度
を有するより均一な複合体が得られる、リポタンパク質複合体の新しい製造方法を開発す
る必要がある。そのようなプロセスは、汚染物質に起因する副作用のリスクがより少ない
、より均一な薬学的に許容される生成物を生成しながら、大規模でのより経済的な製造を
可能にする。

さらに、しかしながら、全体の製造収率が低いこと、および組換え発現されたタンパク
質の培養物においてタンパク質分解が発生することを考慮すれば、ApoA−I、Apo
A−IM、ApoA−IPおよび他の変異体、ならびに再構成されたHDLの治療的使用
は、治療的投与にとって必要とされる大量のアポリポタンパク質により、およびタンパク
質の製造費用により現在限られている(例えば、Malloryら、1987、J. Biol. Chem. 262(
9):4241-4247; Schmidtら、1997、Protein Expression & Purification 10:226-236を参
照されたい)。心血管疾患の治療のためにはその用量範囲は注入1回あたり1.5〜4g
のタンパク質であることが初期の臨床試験によって提言されている。完全な治療にとって
必要とされる注入の回数は知られていない(例えば、Erikssonら、1999、Circulation 10
0(6):594-98; Carlson、1995、Nutr. Metab. Cardiovasc. Dis. 5:85-91; Nanjeeら、200
0、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 20(9):2148-55; Nanjeeら、1999、Arterioscler
. Thromb. Vasc. Biol. 19(4):979-89; Nanjeeら、1996、Arterioscler. Thromb. Vasc.
Biol. 16(9): 1203-14を参照されたい)。

組換えヒトApoA−Iが異種宿主中で発現されているが、成熟タンパク質収率は、
特に、収率をさらに低下させ、不純な生成物をもたらす精製方法と対にした場合、大規模
な治療適用にとっては不十分である。

Weinbergら、1988、J. Lipid Research 29:819-824は、逆相高速液体クロマトグラフィ
ーによるヒト血漿から精製されたアポリポタンパク質A−I、A−IIおよびA−IVな
らびにそのアイソフォームの分離を記載している。

WO2009/025754は、ヒト血漿からのα−1−抗トリプシンおよびApoA
−Iのタンパク質分離および精製を記載している。

Hunterら、2009、Biotechnol. Prog. 25(2):446-453は、大腸菌(E.coli)中で組換え発
現されたApoA−I Milano変異体の大規模精製を記載している。

Caparonら、2009、Biotechnol. And Bioeng. 105(2):239-249は、精製アポリポタンパ
ク質産物中の2つの宿主細胞タンパク質のレベルを低下させるためにこれらのタンパク質
欠失するように遺伝子操作された大腸菌(E.coli)宿主からのApoA−I Milan
oの発現および精製を記載している。

米国特許第6,090,921号は、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いたApo
A−Iおよびアポリポタンパク質E(ApoE)を含有するヒト血漿の画分からのApo
A−IまたはApoEの精製を記載している。

Brewerら、1986、Meth. Enzymol. 128:223-246は、クロマトグラフィー技術を用いたヒ
ト血液からのアポリポタンパク質の単離および特性評価を記載している。

Weisweilerら、1987、Clinica Chimica Acta 169:249-254は、高速タンパク質液体クロ
マトグラフィーを用いたヒトHDLからのApoA−IおよびApoA−IIの単離を記
載している。

deSilvaら、1990、J. Biol. Chem. 265(24): 14292-14297は、免疫アフィニティクロマ
トグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーによるアポリポタンパク質Jの精製
を記載している。

リポタンパク質療法の実現可能性を確立する様々なリポタンパク質に基づく薬剤を用い
る臨床研究と共に、リポタンパク質およびリポタンパク質複合体が臨床的使用のために現
在開発されている(Tardif、2010、Journal of Clinical Lipidology 4:399-404)。ある
研究は、自己脱脂質化HDLを評価した(Waksmanら、2010、J Am. Coll. Cardiol. 55:2
727-2735)。別の研究は、組換えApoA−IMとパルミトイルオレオイル−PC(P
OPC)との複合体であるETC−216を評価した(Nissenら、2003、JAMA 290:2292-
2300)。CSL−111は、大豆ホスファチジルコリン(SBPC)と複合体化した、血
漿から精製された再構成されたヒトApoA−Iである(Tardifら、2007、JAMA 297:167
5-1682)。現在の探索薬剤は、アテローム性動脈硬化プラークの減少において有効性を示
しているが、その効果は、トランスアミナーゼの増加またはApoA−I抗体の形成など
二次的効果を伴った(Nanjeeら、1999、Arterioscler. Vasc. Throm. Biol. 19:979-89
; Nissenら、2003、JAMA 290:2292-2300; Spiekerら、2002、Circulation 105: 1399-140
2; Nieuwdorpら、2004、Diabetologia 51 : 1081-4; Drewら、2009、Circulation 119、2
103-11; Shawら、2008、Circ. Res. 103: 1084-91; Tardiffら、2007、JAMA 297: 1675-1
682; Waksman, 2008、Circulation 118:S 371; Cho、2007年9月25日に発行された
米国特許第7,273,849B2号)。例えば、ERASE臨床試験(Tardiffら、200
7、JAMA 297: 1675-1682)は、2つの用量のCSL−111:40mg/kgおよび80
mg/kgのApoA−Iを用いた。80mg/kg用量群は、肝臓毒性のため停止しな
ければならなかった(重篤なトランスアミナーゼ上昇により示される)。40mg/kg
用量群においても、数人の患者はトランスアミナーゼ上昇を経験する。

概要

肝臓毒性と関連せず、好ましくは、トリグリセリド、LDL−トリグリセリドまたはVLDL−トリグリセリドの最少の増加のみを誘導する(または全く誘導しない)リポタンパク質製剤、ならびに商業規模でこれらのリポタンパク質製剤を確実に作製するのに用いることができる着実な製造方法の提供。それぞれ、脂質画分と、本質的にアポリポタンパク質A−I(「ApoA−I」)からなるアポリポタンパク質画分とを含むリポタンパク質複合体の集団であって、リポタンパク質複合体が、ゲル浸透クロマトグラフィーにおける単一のピークにより反映されるように、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%均一である、集団。なし

目的

2.技術分野
本開示は、リポタンパク質複合体、該複合体を含む医薬組成物、そのような複合体のた
めのアポリポタンパク質を製造および精製する方法、該複合体を作製する方法ならびに心
血管疾患、障害および/またはそれらと関連する状態を治療または予防するための前記複
合体の使用方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

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請求項1

それぞれ、脂質画分と、本質的にアポリポタンパク質A−I(「ApoA−I」)からなるアポリポタンパク質画分とを含むリポタンパク質複合体の集団であって、リポタンパク質複合体が、ゲル浸透クロマトグラフィーにおける単一のピークにより反映されるように、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%均一である、集団。

請求項2

下記特徴:(a)リポタンパク質複合体の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも99%が、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)または動的光散乱(「DLS」)により測定された場合、4nm〜15nmのサイズ、6nm〜15nmのサイズ、4nm〜12nmのサイズ、6nm〜12nmのサイズまたは8nm〜12nmのサイズの粒子の形態にある;(b)前記集団中のApoA−Iに関して少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%または少なくとも95重量%が成熟形態にある;(c)前記集団中のApoA−Iの25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下または5重量%以下が未熟形態にある;および(d)集団中のApoA−Iの25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下または5重量%以下がトランケートされた形態にある、のうちの1、2、3または4つをさらに特徴とする、請求項1に記載の組成物

請求項3

下記特徴:(a)前記集団中の前記ApoA−I中のメチオニン112およびメチオニン148のそれぞれの25%以下、20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、2%以下または1%以下が酸化されている;(b)前記集団中のApoA−Iのアミノ酸の15%以下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下が脱アミド化されている;(c)集団が、ApoA−I1ミリグラムあたり、1EU以下、0.5EU以下、0.3EU以下または0.1EU以下の内毒素を含有する;(d)集団が、ApoA−I1ミリグラムあたり、100ピコグラム以下、50ピコグラム以下、25ピコグラム以下、10ピコグラム以下または5ピコグラム以下の宿主細胞DNAを含有する;ならびに(e)集団が、ApoA−I1ミリグラムあたり、500ナノグラム以下、200ナノグラム以下、100ナノグラム以下、50ナノグラム以下、または20ナノグラム以下の宿主細胞タンパク質を含有する、のうちの1、2、3、4または5つをさらに特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。

請求項4

前記複合体中の脂質画分中の脂質の15重量%以下または10重量%以下、5重量%以下または2重量%以下がコレステロールである、請求項1から3のいずれか一項に記載の集団。

請求項5

前記ApoA−IがヒトApoA−Iタンパク質である、請求項1から4のいずれか一項に記載の集団。

請求項6

前記ApoA−Iが組換えApoA−Iである、請求項1から5のいずれか一項に記載の集団。

請求項7

前記脂質画分が、本質的に95〜99重量%の中性リン脂質と1〜5重量%の負に荷電したリン脂質とからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の集団。

請求項8

前記脂質画分が、本質的に96〜98重量%の中性リン脂質と2〜4重量%の負に荷電したリン脂質とからなる、請求項7に記載の集団。

請求項9

前記脂質画分が、本質的に97重量%の中性リン脂質と3重量%の負に荷電したリン脂質とからなる、請求項1から8のいずれか一項に記載の集団。

請求項10

中性脂質天然スフィンゴミエリンまたは合成スフィンゴミエリンであり、場合により、脂質が5meqO/kg未満、4meqO/kg未満、3meqO/kg未満、または2meqO/kg未満の過酸化物価を有する、請求項9に記載の集団。

請求項11

スフィンゴミエリンがスフィンゴミエリンである、請求項10に記載の集団。

請求項12

負に荷電したリン脂質がホスファチジルグリセロールを含む、請求項9から11のいずれか一項に記載の集団。

請求項13

負に荷電したリン脂質が1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール)](DPPG)の塩を含むか、またはそれからなる、請求項12に記載の集団。

請求項14

1:2〜約1:3の範囲のアポリポタンパク質画分:リン脂質画分重量比を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の集団。

請求項15

請求項1から14のいずれか一項に記載の2、3または4つの集団を含む組成物。

請求項16

組成物中に15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下のリポタンパク質を含む前記組成物が非複合体化形態にある、請求項15に記載の組成物。

請求項17

組成物中に15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下、1%以下の脂質を含む前記組成物が非複合体化形態にある、請求項15または16に記載の組成物。

請求項18

リポタンパク質複合体あたり2個のApoA−I分子またはApoA−I当量を有するリポタンパク質複合体を含む第1の集団を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の組成物。

請求項19

リポタンパク質複合体あたり3もしくは4個のApoA−I分子またはApoA−I当量を有するリポタンパク質複合体を含む第2の集団、および場合により、それぞれ、リポタンパク質複合体あたり4もしくは3個のApoA−I分子またはApoA−I当量を有するリポタンパク質複合体を含む第3の集団を含む、請求項18に記載の組成物。

請求項20

1つまたは複数の薬学的に許容される担体希釈剤および/または賦形剤をさらに含む、請求項15から19のいずれか一項に記載の組成物。

請求項21

請求項1から14のいずれか一項に記載のリポタンパク質複合体の集団と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤とを含むか、または本質的にそれからなる医薬組成物

請求項22

治療上有効量の請求項21に記載の医薬組成物を含む単位剤形

請求項23

列番号1の25〜267位に対して少なくとも95%の同一性を有するアミノ酸配列を含むApoA−Iタンパク質を発現するように遺伝子操作された哺乳動物宿主細胞

請求項24

請求項23に記載の複数の哺乳動物宿主細胞を含む哺乳動物細胞培養物

請求項25

ApoA−Iタンパク質が発現および分泌される条件下で請求項23に記載の哺乳動物宿主細胞を培養するステップを含む、成熟した生物学的に活性なApoA−Iタンパク質を製造する方法。

請求項26

リポタンパク質複合体を調製する方法であって、(a)脂質成分タンパク質成分とを含む出発懸濁液を、第1の温度範囲の温度から第2の温度範囲の温度まで冷却するステップであって、前記脂質成分が本質的に脂質の粒子からなり、前記タンパク質成分が本質的に脂質結合ペプチドおよび/または脂質結合タンパク質からなる、ステップ;(b)冷却された(a)の懸濁液を、前記第2の温度範囲の温度から前記第1の温度範囲の温度まで加熱するステップ;(c)前記の加熱された(b)の懸濁液を、前記第1の温度範囲の温度から前記第2の温度範囲の温度まで冷却するステップ;ならびに(d)ステップ(b)と(c)を少なくとも1回繰り返すステップを含み、それによってリポタンパク質複合体を形成する方法。

請求項27

医薬組成物を作製する方法であって、(a)請求項26に記載の方法に従ってリポタンパク質複合体の集団を調製するステップ;および(b)リポタンパク質複合体の前記集団と、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とを合わせるステップを含む方法。

請求項28

脂質異常障害を治療する方法であって、治療上有効量の:(a)請求項1から14のいずれか一項に記載のリポタンパク質複合体の集団;(b)請求項15から20のいずれか一項に記載の組成物;(c)請求項21に記載の医薬組成物;(d)請求項26に記載の方法により作製された治療上有効量のリポタンパク質複合体;(e)請求項22に記載の単位剤形;(f)健康なボランティアへの最大45mg/kgの単回投与後肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(g)ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(h)1mg/kg〜20mg/kgの用量でのヒト対象への単回投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(i)それぞれ1mg/kg〜20mg/kgの用量での、ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(j)健康なボランティアへの最大20mg/kgの単回投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;(k)ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;(l)1mg/kg〜20mg/kgの用量でのヒト対象への単回投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;または(m)それぞれ1mg/kg〜20mg/kgの用量での、ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体を、それを必要とする対象に投与するステップを含む、方法。

請求項29

脂質異常障害を治療するための方法であって、(a)1mg/kg〜12mg/kgの初期用量で、(i)請求項1から14のいずれか一項に記載のリポタンパク質複合体の集団;(ii)請求項15から20のいずれか一項に記載の組成物;(iii)請求項21に記載の医薬組成物;(iv)請求項26に記載の方法により作製された治療上有効量のリポタンパク質複合体;(v)請求項22に記載の単位剤形;(vi)健康なボランティアへの最大45mg/kgの単回投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(vii)ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(viii)1mg/kg〜20mg/kgの用量でのヒト対象への単回投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(ix)それぞれ1mg/kg〜20mg/kgの用量での、ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に肝臓酵素の上昇をもたらさないリポタンパク質複合体;(x)健康なボランティアへの最大20mg/kgの単回投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;(xi)ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;(xii)1mg/kg〜20mg/kgの用量でのヒト対象への単回投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体;または(xiii)それぞれ1mg/kg〜20mg/kgの用量での、ヒト対象への2、3、4、5または6回の投与後に2倍を超えるトリグリセリドの増加をもたらさないリポタンパク質複合体を対象に投与するステップ;(b)対象のトリグリセリド、VLDL−コレステロールおよび/またはVLDL−トリグリセリドが、前記投与の4、8、12、24、48、72、168、336または504時間後に2倍を超えて上昇するかどうかを決定するステップ;ならびに(c)対象のトリグリセリド、VLDL−コレステロールおよび/またはVLDL−トリグリセリドが投与前のレベルの2倍を超えて上昇する場合、前記投与を繰り返すが、より低い用量で行い、対象のトリグリセリド、VLDL−コレステロールおよび/またはVLDL−トリグリセリドが投与前のレベルの2倍を超えて上昇しない場合、同等か、もしくはそれより高い用量で前記投与を繰り返すステップを含む、方法。

技術分野

0001

1.関連出願との相互参照
本出願は、2011年2月7日に出願された米国仮特許出願第61/440,371号
、2011年3月14日に出願された米国仮特許出願第61/452,630号および2
011年5月17日に出願された米国仮特許出願第61/487,263号(これらの全
ての内容はその全体が参照により本明細書に組み入れられる)の35 U.S.C.§1
19(e)の下での利益を主張する。

0002

2.技術分野
本開示は、リポタンパク質複合体、該複合体を含む医薬組成物、そのような複合体のた
めのアポリポタンパク質を製造および精製する方法、該複合体を作製する方法ならびに心
血管疾患障害および/またはそれらと関連する状態を治療または予防するための前記複
合体使用方法を提供する。

背景技術

0003

3.背景
3.1.概説
循環コレステロールは、脂質と、血液中の脂質を輸送するタンパク質組成物との複合体
粒子である血漿リポタンパク質により運搬される。4つの主要なクラスのリポタンパク質
粒子が血漿中に循環し、脂肪輸送系関与する:カイロミクロン超低密度リポタンパク
質(VLDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質HDL
)。カイロミクロンは、腸脂肪吸収短命生成物である。VLDLおよび特に、LDL
は、肝臓(コレステロールが合成されるか、または食事起源から得られる)から肝臓外組
織、例えば、動脈壁へのコレステロールの送達を担う。対照的に、HDLは、逆コレステ
ロール輸送(RCT)、特に、肝臓外組織から肝臓へのコレステロール脂質の除去を媒介
し、そこで保存、異化、排除または再利用される。HDLはまた、炎症、酸化された脂質
およびインターロイキンの輸送において有益な役割を果たし、次いで血管壁における炎症
を減少させることができる。

0004

リポタンパク質粒子は、コレステロール(通常はコレステリルエステルの形態にある)
トリグリセリドとから構成される疎水性コアを有する。このコアは、リン脂質、非エス
テル化コレステロールおよびアポリポタンパク質を含む表面外被により取り囲まれている
。アポリポタンパク質は脂質輸送を媒介し、いくらか脂質代謝に関与する酵素と相互作
用し得る。ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoA−V、ApoB、
ApoC−I、ApoC−II、ApoC−III、ApoD、ApoE、ApoJおよ
びApoHなどの、少なくとも10種のアポリポタンパク質が同定されている。LCAT
レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ)、CETPコレステリルエス
テル転移タンパク質)、PLTP(リン脂質転移タンパク質)およびPONパラオキソ
ナーゼ)などの他のタンパク質も、リポタンパク質と関連して見出されている。

0005

冠動脈性心疾患冠動脈疾患およびアテローム性動脈硬化症などの心血管疾患は、血清
コレステロールレベルの上昇と極めて関連している。例えば、アテローム性動脈硬化症は
、動脈壁内でのコレステロールの蓄積を特徴とする、ゆっくりと進行する疾患である。説
得力のある証拠が、アテローム性動脈硬化症病変沈着した脂質が主に血漿LDLに由来
するものであるという理論を支持し、かくして、LDLが「悪玉」コレステロールとして
一般的に知られるようになった。対照的に、HDL血清レベルは、冠動脈性心疾患とは逆
相関する。実際、HDLの高い血清レベルは、負の危険因子と見なされている。高レベル
の血漿HDLは冠動脈疾患に対して防御的であるだけでなく、実際にアテローム性動脈
プラーク退縮誘導し得るとの仮説が立てられている(例えば、Badimonら、1992、C
irculation 86 (Suppl. Ill): 86-94; DanskyおよびFisher、1999、Circulation 100: 17
62-63; Tangiralaら、1999、Circulation 100(17): 1816-22; Fanら、1999、Atheroscler
osis 147(l): 139-45; Deckertら、1999、Circulation 100(11): 1230-35; Boisvertら、
1999、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. l9(3):525-30; Benoitら、1999、Circulatio
n 99(1): 105-10; Holvoetら、1998、J. Clin. Invest. 102(2):379-85; Duvergerら、19
96、Circulation 94(4):713-17; Miyazakiら、1995、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol
. 15(11): 1882-88; Mezdourら、1995、Atherosclerosis 113(2):237-46; Liuら、1994、
J. Lipid Res. 35(12):2263-67; Plumpら、1994、Proc. Nat. Acad. Sci. USA 91(20):96
07-11; Pasztyら、1994、J. Clin. Invest. 94(2):899-903; Sheら、1992、Chin. Med. J
. (Engl). 105(5):369-73; Rubinら、1991、Nature 353(6341):265-67; Sheら、1990、An
n. NY Acad. Sci. 598:339-51; Ran、1989, Chung Hua Ping Li Hsueh Tsa Chih (Zhongh
ua Bing Li Xue Za Zhiとも翻訳される) 18(4):257-61; Quezadoら、1995、J. Pharmacol
. Exp. Ther. 272(2):604-11; Duvergerら、1996、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol.
16(12): 1424-29; Kopflerら、1994、Circulation; 90(3): 1319-27; Millerら、1985、N
ature 314(6006): 109-11; Haら、1992、Biochim. Biophys. Acta 1125(2):223-29; Beit
zら、1992、Prostaglandins Leukot. Essent. Fatty Acids47(2): 149-52を参照された
い)。結果として、HDLは「善玉」コレステロールとして一般に知られるようになった
(例えば、Zhangら、2003 Circulation 108:661-663を参照されたい)。

0006

HDLの「防御的」役割がいくつかの研究において確認されている(例えば、Millerら
、1977、Lancet l(8019):965-68; Whayneら、1981、Atherosclerosis 39:411-19)。これ
らの研究では、LDLレベルの上昇は心血管リスクの増加と関連すると考えられるが、高
HDLレベル心血管防御を付与すると考えられる。in vivoでの研究は、HD
Lの防御的役割をさらに実証し、ウサギへのHDL注入がコレステロール誘導性動脈病変
の発生を阻害し(Badimonら、1989、Lab. Invest. 60:455-61)および/またはその退縮を
誘導し得る(Badimonら、1990、J. Clin. Invest. 85: 1234-41)ことを示した。

0007

3.2.逆コレステロール輸送、HDLおよびアポリポタンパク質A−I
逆コレステロール輸送(RCT)経路は、多くの肝臓外組織からコレステロールを排除
するように機能し、体内の多くの細胞の構造および機能の維持にとって重要である。RC
Tは主に3つの段階:(a)コレステロール流出、すなわち、末梢細胞の様々なプール
らのコレステロールの最初の除去;(b)細胞中への流出したコレステロールの再進入
防止する、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によ
コレステロールエステル化;および(c)加水分解のための肝臓細胞へのHDL−コレ
ステロールおよびコレステリルエステルの取込み、次いで、再利用、貯蔵胆汁中への排
出または胆汁酸への異化、からなる。

0008

RCTにおける鍵となる酵素であるLCATは、肝臓により産生され、HDL画分と結
合して血漿中に循環する。LCATは細胞由来コレステロールをコレステリルエステルに
変換し、これらはHDL中に隔離され、除去を運命付けられる(Jonas 2000、Biochim. B
iophys. Acta 1529(l-3):245-56を参照されたい)。コレステリルエステル転移タンパク
質(CETP)およびリン脂質転移タンパク質(PLTP)は、循環するHDL集団のさ
らなる再モデリングに寄与する。CETPはLCATにより作られたコレステリルエステ
ルを、他のリポタンパク質、特に、ApoBを含むリポタンパク質、例えば、VLDLお
よびLDLに移動させる。PLTPはレシチンをHDLに供給する。HDLトリグセリ
ドは細胞外肝臓トリグリセリドリパーゼにより異化され、リポタンパク質コレステロール
はいくつかの機構を介して肝臓により除去される。

0009

HDL粒子機能的特徴は、ApoA−IおよびApoA−IIなどのそれらの主要な
アポリポタンパク質成分によって主に決定される。少量のApoC−I、ApoC−II
、ApoC−III、ApoD、ApoA−IV、ApoEおよびApoJも、HDLと
結合することが観察されている。HDLは、代謝RCTカスケードまたは経路の間の再モ
リングの状態に応じて、様々な異なるサイズで、および上記の構成要素の異なる混合物
中に存在する。

0010

それぞれのHDL粒子は通常、少なくとも1分子、および通常は2〜4分子のApoA
−Iを含む。HDL粒子はまた、Gerd Assmann教授により記載されたように(例えば、vo
n Eckardsteinら、1994、Curr Opin Lipidol. 5(6):404-16を参照されたい)、コレステ
ロール流出を担うことも知られる、ApoE(γ−LpE粒子)のみを含んでもよい。A
poA−Iは、肝臓および小腸によりプレプロアポリポタンパク質A−Iとして合成され
、プロアポリポタンパク質A−I(proApoA−I)として分泌され、迅速に切断さ
れて、243アミノ酸の単一のポリペプチド鎖である血漿型のApoA−Iを生成する(
Brewerら、1978、Biochem. Biophys. Res. Commun. 80:623-30)。血流中に実験的に直接
注入されたプレプロApoA−Iも、血漿型のApoA−Iに切断される(Klonら、2000
、Biophys. J. 79(3): 1679-85; Segrestら、2000、Curr. Opin. Lipidol. 11(2): 105-1
5; Segrestら、1999, J. Biol. Chem. 274 (45):31755-58)。

0011

ApoA−Iは、6〜8個の異なる22アミノ酸のα−へリックスまたはプロリンであ
ることが多いリンカー部分により間隔を空けられた機能的反復を含む。この反復単位は、
両親媒性らせんコンフォメーションで存在し(Segrestら、1974、FEBSLett. 38: 247-53
)、ApoA−Iの主要な生物活性、すなわち、脂質結合およびレシチンコレステロール
アシルトランスフェラーゼ(LCAT)活性化を与える。

0012

ApoA−Iは、脂質との3つの型の安定な複合体:プレ−β−1HDLと呼ばれる
、小さい脂質の少ない(lipid-poor)複合体;プレ−β−2 HDLと呼ばれる、極性脂質
(リン脂質およびコレステロール)を含む扁平な円盤状の粒子;ならびに球状または成熟
HDL(HDL3およびHDL2)と呼ばれる、極性脂質と非極性脂質の両方を含む球状
粒子を形成する。循環集団中の多くのHDLは、ApoA−IとApoA−IIの両方(
AI/AII−HDL画分」)を含む。しかしながら、ApoA−Iのみを含むHDL
の画分(「AI−HDL画分」)が、RCTにおいてより有効であると考えられる。特定
疫学研究は、ApoA−I−HDL画分が抗動脈硬化的であるという仮説を支持する(
Parraら、1992、Arterioscler. Thromb. 12:701-07; Decossinら、1997、Eur. J. Clin.
Invest. 27:299-307)。

0013

HDL粒子は、異なるサイズ、脂質組成およびアポリポタンパク質組成を有する粒子の
いくつかの集団から作られている。それらは、その水和密度、アポリポタンパク質組成お
よび電荷特性などの特性に従って分離することができる。例えば、プレ−β−HDL画分
は、成熟α−HDLよりも低い表面電荷を特徴とする。この電荷の差異のため、プレ−β
−HDLおよび成熟α−HDLは、アガロースゲル中で異なる電気泳動移動度を有する(
Davidら、1994、J. Biol. Chem. 269(12):8959-8965)。

0014

プレ−β−HDLと成熟α−HDLの代謝も異なる。プレ−β−HDLは2つの代謝運
命を有する:腎臓による血漿からの除去および異化または肝臓により優先的に分解される
中程度のサイズのHDLへの再モデリング(Leeら、2004、J. Lipid Res. 45(4):716-728
)。

0015

細胞表面からのコレステロール転移(すなわち、コレステロール流出)の機構は未知
あるが、脂質の少ない複合体であるプレ−β−1HDLが、RCTに関与する末梢組織
から転移されたコレステロールの好ましい受容器であると考えられる(Davidsonら、1994
、J. Biol. Chem. 269:22975-82; Bielickiら、1992、J. Lipid Res. 33: 1699-1709; Ro
thblatら、1992、J. Lipid Res. 33: 1091-97; およびKawanoら、1993、Biochemistry 32
:5025-28; Kawanoら、1997、Biochemistry 36:9816-25を参照されたい)。細胞表面から
のコレステロール動員のこのプロセスの間に、プレ−β−1 HDLはプレ−β−2 H
DLに迅速に変換される。PLTPはプレ−β−2 HDLディスク形成の速度を増加さ
せることができるが、RCTにおけるPLTPの役割を示唆するデータはない。LCAT
は円盤状の小さい(プレ−β)および球状(すなわち、成熟)のHDLと優先的に反応し
、レシチンまたは他のリン脂質の2−アシル基を、コレステロールの遊離ヒドロキシル
基に転移させ、コレステリルエステル(HDL中に保持される)およびリゾレシチンを生
成する。LCAT反応には活性化因子としてApoA−Iが必要である、すなわち、Ap
oA−IはLCATの天然コファクターである。HDL中に隔離されたコレステロール
の、そのエステルへの変換は、コレステロールの細胞中への再進入を防止し、正味の結果
は、コレステロールが細胞から除去されるということである。

0016

ApoAI−HDL画分(すなわち、ApoA−Iを含み、ApoA−IIを含まない
)中の成熟HDL粒子中のコレステリルエステルは肝臓により除去され、ApoA−Iと
ApoA−IIの両方を含むHDL(AI/AII−HDL画分)から誘導されるものよ
りも効率的に胆汁中にプロセッシングされる。これは、部分的には、肝細胞膜へのApo
AI−HDLのより効率的な結合に負うものであり得る。HDL受容体の存在が仮定され
ており、スカベンジャー受容体、クラスB、I型(SR−BI)がHDL受容体として同
定されている(Actonら、1996、Science 271 :518-20; Xuら、1997、Lipid Res. 38: 128
9-98)。SR−BIは、ステロイド産生組織(例えば、副腎)および肝臓中で最も豊富
発現される(Landschulzら、1996、J. Clin. Invest. 98:984-95; Rigottiら、1996、J.
Biol. Chem. 271 :33545-49)。HDL受容体の概説については、Broutinら、1988、Anal
. Biol. Chem. 46: 16-23を参照されたい。

0017

ATP結合カセット輸送因子AIによる初期の脂質化は、血漿HDL形成およびコレス
テロール流出を生じさせるプレ−β−HDL粒子の能力にとって重要であると考えられる
(LeeおよびParks、2005、Curr. Opin. Lipidol. 16(1): 19-25)。これらの著者らによ
れば、この初期の脂質化は、プレ−β−HDLがコレステロール受容器としてより効率的
に機能するのを可能にし、ApoA−Iが元々存在する血漿HDL粒子と迅速に結合する
のを防止し、コレステロール流出のためのプレ−β−HDL粒子のより高い利用可能性
もたらす。

0018

CETPは、RCTにおいても役割を果たし得る。CETP活性またはその受容器であ
るVLDLおよびLDLにおける変化は、HDL集団を「再モデリング」するのに役割を
果たす。例えば、CETPの非存在下では、HDLは拡大された粒子になり、消失しない
(RCTおよびHDLの概説については、FieldingおよびFielding、1995、J. Lipid Res
. 36:211-28; Barransら、1996、Biochem. Biophys. Acta 1300:73-85; Hiranoら、1997
、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17(6): 1053-59を参照されたい)。

0019

HDLはまた、他の脂質および非極性分子の逆輸送において、ならびに解毒、すなわち
、異化および排出のための肝臓への細胞、器官および組織からの脂質の輸送において役割
を果たす。そのような脂質としては、スフィンゴミエリンSM)、酸化された脂質、お
よびリゾホスファチジルコリンが挙げられる。例えば、RobinsおよびFasulo(1997、J. C
lin. Invest. 99:380-84)は、HDLが肝臓による胆汁分泌物への植物ステロールの輸送
刺激することを示した。

0020

HDLの主要な成分であるApoA−Iは、in vitroでSMと結合し得る。ウ
シ脳SM(BBSM)を用いてin vitroでApoA−Iを再構成させた場合、再
構成の最大速度は28℃で起こり、その温度はBBSMの相転移温度に近い(Swaney、19
83、J. Biol. Chem. 258(2)、1254-59)。7.5:1以下(wt/wt)のBBSM:A
poA−I比では、1個の粒子あたり3個のApoA−I分子を含み、360:1のBB
SM:ApoA−Iモル比を有する単一の再構成された均一なHDL粒子が形成される。
それは、電子顕微鏡中では、高い比率のリン脂質/タンパク質でのApoA−Iのホスフ
ァチジルコリンによる組換えにより得られたものと類似する円盤状複合体として出現する
。しかしながら、15:1(wt/wt)のBBSM:ApoA−I比では、より高いリ
ン脂質:タンパク質モル比(535:1)を有する、より大きい直径の円盤状複合体が形
成される。これらの複合体は、ホスファチジルコリンと共に形成されたApoA−I複合
体よりも有意に大きく、より安定であり、変性に対してより耐性が高い。

0021

スフィンゴミエリン(SM)は早期コレステロール受容器(プレ−β−HDLおよびγ
移住ApoE含有リポタンパク質)中で上昇し、これはSMが、これらの粒子がコレス
テロール流出を促進する能力を増強することができることを示唆している(DassおよびJe
ssup、2000、J. Pharm. Pharmacol. 52:731-61; Huangら、1994、Proc. Natl. Acad. Sci
. USA 91: 1834-38; FieldingおよびFielding 1995、J. Lipid Res. 36:211-28)。

0022

3.3.HDLおよびApoA−Iの防御機構
HDLの防御機構の研究は、HDLの主成分であるアポリポタンパク質A−I(Apo
A−I)に焦点を当ててきた。ApoA−Iの高い血漿レベルは、冠動脈病変の非存在ま
たは減少と関連する(Maciejkoら、1983、N. Engl. J. Med. 309:385-89; Sedlisら、198
6、Circulation 73:978-84)。

0023

実験動物におけるApoA−IまたはHDLの注入は、有意な生化学的変化を示し、な
らびにアテローム性動脈硬化病変の程度および重篤度を低下させる。MaciejkoおよびMao
(1982、Arteriosclerosis 2:407a)による初期の報告の後、Badimonら(1989、Lab. Invest
. 60:455-61; 1989、J. Clin. Invest. 85: 1234-41)は、HDL(d=1.063〜1.
325g/ml)を注入することにより、コレステロール給餌ウサギにおいて、アテロー
ム性動脈硬化病変の程度(45%の減少)およびそのコレステロールエステル含量(58
.5%の減少)を有意に低下させることができることを見出した。彼らはまた、HDLの
注入が確立された病変の50%に近い退縮をもたらすことも見出した。Esperら(1987、A
rteriosclerosis 7:523a)は、HDLの注入が、初期の動脈病変を生じる遺伝性高コレス
テロール血症を有するWatanabeウサギの血漿リポタンパク質組成を顕著に変化さ
せ得ることを示した。これらのウサギにおいては、HDL注入量は、防御的HDLと動脈
硬化性LDLとの比の2倍を超えるものであってよい。

0024

動物モデルにおける動脈疾患を防止するHDLの能力は、ApoA−Iがin vit
roで線維素溶解活性を示し得るという観察によってさらに裏付けられた(Sakuら、1985
、Thromb. Res. 39: 1-8)。Ronneberger(1987、Xth Int. Congr. Pharmacol.、Sydney
、990)は、ApoA−Iがビーグル犬およびカニクイザルにおいて線維素溶解を増加さ
せ得ることを実証した。同様の活性はヒト血漿においてもin vitroで指摘するこ
とができる。Ronnebergerは、ApoA−Iで処理された動物における脂質沈着および動
プラーク形成の減少を確認することができた。

0025

in vitroでの研究は、ApoA−Iとレシチンとの複合体が、培養された動脈
平滑筋細胞からの遊離コレステロールの流出を促進することができることを示唆している
(Steinら、1975、Biochem. Biophys. Acta、380: 106-18)。この機構により、HDLは
これらの細胞の増殖も低下させることができる(Yoshidaら、1984、Exp. Mol Pathol. 41
:258-66)。

0026

ApoA−IまたはApoA−I模倣ペプチドを含むHDLを用いる注入療法もまた、
ABC1輸送因子による血漿HDLレベルを調節し、心血管疾患の治療における有効性
もたらすことが示されている(例えば、Brewerら、2004、Arterioscler. Thromb. Vasc.
Biol. 24: 1755-1760を参照されたい)。

0027

アルギニン残基システイン置換された、ApoA−Iの2つの天然のヒト多型が単
離されている。アポリポタンパク質A−IMilano(ApoA−IM)においては、
この置換は残基173で起こるが、アポリポタンパク質A−IParis(ApoA−I
P)においては、この置換は残基151で起こる(Franceschiniら、1980、J. Clin. Inv
est. 66:892-900; Weisgraberら、1983、J. Biol. Chem. 258:2508-13; Bruckertら、199
7、Atherosclerosis 128: 121-28; Daumら、1999、J. Mol. Med. 77:614-22; Klonら、20
00、Biophys. J. 79(3): 1679-85)。さらに、位置144でロイシンアルギニンで置換
された、ApoA−Iのさらなる天然のヒト多型が単離されている。この多型はアポリポ
タンパク質A−I Zaragoza(ApoA−Iz)と呼ばれており、重症低αリポ
タンパク血症および高密度リポタンパク質(HDL)逆コレステロール輸送の増強された
効果と関連する(Recaldeら、2001、Atherosclerosis 154(3):613-623; Fiddymentら、20
11、Protein Expr. Purif. 80(1): 110-116)。

0028

ApoA−IMまたはApoA−IPのジスルフィド結合ホモ二量体を含む再構成され
たHDL粒子は、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)乳濁液を消失させる
能力およびコレステロール流出を促進する能力において野生型ApoA−Iを含む再構成
されたHDL粒子と類似する(Calabresiら、1997b、Biochemistry 36: 12428-33; Franc
eschiniら、1999、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 19: 1257-62; Daumら、1999、J.
Mol. Med. 77:614-22)。両突然変異において、ヘテロ接合性個体はHDLのレベルが低
下しているが、逆説的であるが、アテローム性動脈硬化症のリスクが低い(Franceschini
ら、1980、J. Clin. Invest. 66:892-900; Weisgraberら、1983、J. Biol. Chem. 258:25
08-13; Bruckertら、1997、Atherosclerosis 128: 121-28)。いずれかの変異体を含む再
構成されたHDL粒子はLCATを活性化することができるが、野生型ApoA−Iを含
む再構成されたHDL粒子と比較した場合、その効率は低い(Calabresiら、1997、Bioch
em. Biophys. Res. Commun. 232:345-49; Daumら、1999、J. Mol. Med. 77:614-22)。

0029

ApoA−IM突然変異は常染色体優性形質として伝達される;ファミリー内で8世代
キャリアが同定されている(Gualandriら、1984、Am. J. Hum. Genet. 37: 1083-97)
。ApoA−IMキャリア個体の状態は、HDLコレステロールレベルの顕著な低下を特
徴とする。これにもかかわらず、キャリア個体は動脈疾患のいかなる高リスク見かけ
示さない。実際、家系記録の調査により、これらの対象がアテローム性動脈硬化症から「
防御」され得ると考えられる(Sirtoriら、2001、Circulation, 103: 1949-1954; Romaら
、1993、J. Clin. Invest. 91(4): 1445-520)。

0030

前記突然変異のキャリアにおけるApoA−IMの可能な防御効果の機構は、1個のα
−へリックスの喪失および疎水性残基の露出の増加と共に、ApoA−IM突然変異体
構造の改変と関連すると考えられる(Franceschiniら、1985、J. Biol. Chem. 260: 1632
-35)。複数のα−へリックスの緊密な構造の喪失は、通常のApoA−Iと比較して、
分子の可撓性の増加をもたらし、より容易に脂質と結合する。さらに、リポタンパク質複
合体は、変性をより受けやすく、かくして、この突然変異体の場合、脂質送達も改善され
ることを示唆している。

0031

Bielickiら(1997、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17 (9): 1637-43)は、Ap
oA−IMが野生型ApoA−Iと比較して膜コレステロールを動員する限られた能力を
有することを実証した。さらに、ApoA−IMの膜脂質との結合により形成された新生
HDLは、野生型ApoA−Iにより形成されるより大きい9および11nmの複合体よ
もむしろ、主に7.4nmの粒子であった。これらの観察は、ApoA−I一次配列
のArg173→Cys173置換が、細胞コレステロール動員および新生HDL集合
正常なプロセスを阻害したことを示している。この突然変異は、細胞からのコレステロー
ル除去の効率の低下と見かけ上関連する。従って、その抗動脈硬化特性は、RCTと関連
しなくてもよい。

0032

Arg173→Cys173置換に起因する最も著しい構造的変化は、ApoA−IM
二量体化である(Bielickiら、1997、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 17 (9): 16
37-43)。ApoA−IMは、それ自身とホモ二量体を形成し、ApoA−IIとヘテロ
二量体を形成することができる。アポリポタンパク質の混合物を含む血液画分の研究は、
循環中の二量体および複合体の存在がアポリポタンパク質の消失半減期の増加の原因とな
り得ることを示唆している。そのような消失半減期の増加は、前記突然変異のキャリアの
臨床研究において観察された(Greggら、1988、NATOARW on Human Apolipoprotein Muta
nts: From Gene Structure to Phenotypic Expression、Limone SG)。他の研究は、Ap
oA−IM二量体(ApoA−IM/ApoA−IM)がin vitroでHDL粒子
相互変換における阻害因子として作用することを示唆している(Franceschiniら、1990
、J. Biol. Chem. 265: 12224-31)。

0033

3.4.脂質異常症および関連障害のための現在の治療
脂質異常障害は、血清コレステロールおよびトリグリセリドレベルの上昇ならびに血清
HDL:LDL比の低下と関連する疾患であり、高脂血症、特に、高コレステロール血症
、冠動脈性心疾患、冠動脈疾患、血管および血管周囲の疾患、ならびにアテローム性動脈
硬化症などの心血管疾患が挙げられる。動脈不全により引き起こされる、一過性虚血発作
または間欠性跛行などのアテローム性動脈硬化症と関連する症候群も含まれる。脂質異常
障害と関連する上昇した血清コレステロールおよびトリグリセリドを低下させるためにい
くつかの治療が現在利用可能である。しかしながら、有効性、副作用および患者集団の適
格性の点で、それぞれはそれ自身の欠点および限界を有する。

0034

胆汁酸結合樹脂は、腸から肝臓への胆汁酸の再利用を遮断する薬剤のクラスである;例
えば、コレスチラミン(Questran Light(登録商標)、Bristol−
Myers Squibb)、コレスチポール塩酸塩(Colestid(登録商標)、
The Upjohn Company)、およびコレセベラム塩酸塩(Welchol
(登録商標)、Daiichi−Sankyo Company)。経口摂取した場合、
これらの正に荷電した樹脂は腸において負に荷電した胆汁酸に結合する。この樹脂は腸か
ら吸収されないため、それらはそれらと共に胆汁酸を担持して排出される。しかしながら
、そのような樹脂の最良の使用でも、血清コレステロールレベルを約20%低下させるに
過ぎず、便秘および特定のビタミン欠乏などの胃腸副作用を伴う。さらに、前記樹脂は他
の薬剤に結合するため、他の経口薬剤は樹脂の摂取の少なくとも1時間前またはその4〜
6時間後に摂取しなければならない;かくして、心臓患者の薬剤レジメンを複雑にする。

0035

スタチンは、コレステロール生合成経路に関与する鍵となる酵素であるHMGCoA還
元酵素を阻害することにより、コレステロール合成を遮断するコレステロール低下剤であ
る。スタチン、例えば、ロバスタチン(Mevacor(登録商標))、シンバスタチン
(Zocor(登録商標))、プラバスタチン(Pravachol(登録商標))、フ
バスタチン(Lescol(登録商標))およびアトルバスタチン(Lipitor(
登録商標))は、胆汁酸結合樹脂と共に用いられることがある。スタチンは、血清コレス
テロールおよびLDL−血清レベルを有意に低下させ、冠動脈アテローム性動脈硬化症の
進行を遅延させる。しかしながら、血清HDLコレステロールレベルは中程度にのみ増加
する。LDL低下効果の機構は、VLDL濃度の低下と、LDL−受容体の細胞発現の誘
導との両方を含み、LDLの産生の低下および/またはその異化の増加を誘導し得る。肝
臓および腎臓の機能障害などの副作用は、これらの薬剤の使用と関連する(The Physicia
ns Desk Reference、第56版、2002、Medical Economics)。

0036

ナイアシンニコチン酸)は、栄養補助食品および抗高脂血症剤として用いられる水溶
ビタミンB複合体である。ナイアシンはVLDLの産生を減少させ、LDLを低下させ
るのに有効である。いくつかの場合、それは胆汁酸結合樹脂と共に用いられる。ナイアシ
ンは、十分な用量で用いた場合にはHDLを増加させることができるが、そのような高用
量で用いた場合、重篤な副作用によってその有用性は限られる。Niaspan(登録商
標)は、純粋なナイアシンよりも副作用の少ない長期放出型のナイアシンである。ナイア
シン/ロバスタチン(Nicostatin(登録商標))は、ナイアシンとロバスタ
ンの両方を含有する製剤であり、それぞれの薬剤の利益を組み合わせたものである。

0037

フィブラートは、高コレステロール血症とも関連し得る様々な形態の高脂血症(すなわ
ち、血清トリグリセリドの上昇)を治療するために用いられる脂質低下薬のクラスである
。フィブラートは、VLDL画分を減少させ、HDLを穏やかに増加させると考えられる
が、血清コレステロールに対するこれらの薬剤の効果は変動する。米国では、クロフィ
ラート(Atromid−S(登録商標))、フェノフィブラート(Tricot(登録
商標))およびベザフィブラート(Bezalip(登録商標))などのフィブラートが
抗高脂血症薬としての使用について認可されているが、高コレステロール血症剤として
の認可は受けていない。例えば、クロフィブラートは、VLDL画分を減少させることに
より血清トリグリセリドを低下させるように作用する(未知の機構を介する)抗高脂血症
剤である。特定の患者サブ集団中では血清コレステロールを低下させることができるが、
薬剤に対する生化学的応答は変動し、どの患者が好ましい結果を得るかを常に予測できる
わけではない。Atromid−S(登録商標)は、冠動脈心疾患の予防にとって有効で
あるとは示されていない。化学的および薬学的に関連する薬剤であるゲンフィブロジル(
Lopid(登録商標))は、血清トリグリセリドおよびVLDLコレステロールを中程
度に減少させ、HDLコレステロール−HDL2およびHDL3サブ画分ならびにApo
A−IとA−IIの両方(すなわち、AI/AMT−HDL画分)を中程度に増加させる
。しかしながら、脂質応答は、特に異なる患者集団の間では不均一である。さらに、存在
する冠動脈心疾患の履歴または症状を有さない40〜55男性患者においては、
心疾患の予防が観察されたが、これらの知見をどの程度他の患者集団(例えば、女性
より高齢者およびより若年者男性)に外挿することができるかは明らかではない。実際
、確立された冠動脈心疾患を有する患者においては、有効性が観察されなかった。悪性
瘍(特に、胃腸癌)などの毒性、胆嚢疾患および非冠動脈性死亡の発生の増加などの重篤
な副作用が、フィブラートの使用と関連する。

0038

経口エストロゲン補充療法が、閉経後の女性における中程度の高コレステロール血症に
とって考えられる。しかしながら、HDLの増加は、トリグリセリドの増加を伴うことが
ある。エストロゲン治療は勿論、特定の患者集団(閉経後の女性)に限られ、悪性新生物
、胆嚢疾患、血栓塞栓症肝細胞腺腫血圧上昇耐糖能異常、および高カルシウム血症
の誘導などの重篤な副作用と関連する。

0039

高脂血症の治療にとって有用な他の薬剤としては、コレステロール吸収を遮断または阻
害するエゼチミブ(Zetia(登録商標);Merck)が挙げられる。しかしながら
、エゼチミブの阻害剤は、特定の毒性を示すことが示されている。

0040

HDL、およびリン脂質と複合体化した組換え形態のApoA−Iは、非極性または両
媒性分子、例えば、コレステロールおよび誘導体オキシステロール、酸化ステロール
、植物ステロールなど)、コレステロールエステル、リン脂質および誘導体(酸化リン
質)、トリグリセリド、酸化生成物、およびリポ多糖LPS)のためのシンク(sink)/
スカベンジャーとして役立ち得る(例えば、Casasら、1995、J. Surg. Res. Nov 59(5):5
44-52を参照されたい)。HDLはまた、TNF−αおよび他のリンホカインのためのス
ベンジャーとしても役立ち得る。HDLはまた、ヒト血清パラオキソナーゼ、例えば、
PON−1、−2、−3のための担体としても役立ち得る。パラオキソナーゼは、HDL
と結合したエステラーゼであり、酸化に対して細胞成分を保護するのに重要である。酸化
ストレスの間に起こるLDLの酸化は、アテローム性動脈硬化症の発症と直接関連する
と考えられる(Aviram, 2000、Free Radic. Res. 33 Suppl:S85-97)。パラオキソナーゼ
は、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患に対する罹患性において役割を果たすと考
えられる(Aviram、1999、Mol. Med. Today 5(9):381-86)。ヒト血清パラオキソナーゼ
(PON−1)は、高密度リポタンパク質(HDL)に結合する。その活性は、アテロー
ム性動脈硬化症逆相関する。PON−1は有機リン酸エステルを加水分解し、HDLお
よび低密度リポタンパク質(LDL)の酸化の阻害によってアテローム性動脈硬化症に対
して保護することができる(Aviram、1999、Mol. Med. Today 5(9):381-86)。実験研究
は、この保護が酸化されたリポタンパク質中の特定の脂質過酸化物を加水分解するPON
−1の能力と関連することを示唆している。PON−1活性を保存するか、または増強す
介入は、アテローム性動脈硬化症および冠動脈心疾患の開始を遅延させるのに役立ち得
る。

0041

HDLはさらに、抗血栓剤およびフィブリノゲン低下剤として、ならびに出血性ショッ
クにおける薬剤としての役割を有する(Cockerillら、2001年3月1日に公開された
WO01/13939)。HDL、および特にApoA−Iは、敗血症によって産生され
たリポ多糖の、ApoA−Iを含む脂質粒子への交換を容易にし、リポ多糖の機能的中和
をもたらすことが示されている(Wrightら、1995年12月21日に公開されたWO9
534289; Wrightら、1999年7月27日に発行された米国特許第5,928,6
24号; Wrightら、1999年8月3日に発行された米国特許第5,932,536号)

0042

in vitroでリポタンパク質複合体を作製するために利用可能な様々な方法が存
在する。米国特許第6,287,590号および第6,455,088号は、有機溶媒
または溶媒混合物)中でのアポリポタンパク質と脂質溶液との同時凍結乾燥および凍結
粉末の水和中の荷電リポタンパク質複合体の形成を必要とする方法を開示する。リポタ
ンパク質複合体を、洗剤透析法により形成させることもできる;例えば、脂質、リポタン
パク質およびコール酸塩などの洗剤の混合物を透析し、再構成させて複合体を形成させる
(例えば、Jonasら、1986、MethodsEnzymol. 128:553-82を参照されたい)。米国特許出
願公開第2004/0067873号の実施例1は、ミセルを形成するための条件下で脂
分散物をコール酸塩と合わせ、次いでこれらをアポリポタンパク質溶液と共にインキュ
ベートして複合体を形成させる、コール酸塩分散法を開示する。究極的には、毒性である
コール酸塩は、例えば、透析、限外濾過またはアフィニティビーズもしくは樹脂上への吸
着吸収により除去しなければならない。米国特許第6,306,433号は、タンパク質
と脂質との液体混合物高圧均一化にかけることによるリポタンパク質複合体形成を開示
する。しかしながら、高い剪断力に対して感受性が高いタンパク質は、高圧均一化に曝露
した場合、活性を喪失し得る。

0043

かくして、現在利用可能な製造方法は、タンパク質分解物などの、出発材料廃棄物を
もたらし、および/または毒性因子の除去などの、得られる生成物の精製を必要とし、か
くして、非効率的であり、費用が高い。さらに、リポタンパク質複合体の調製物は不均一
であってよく、サイズおよび組成が変化する複合体の混合物を含有する。例えば、米国特
許第5,876,968号を参照されたい。従って、効率的であり、好ましくは高い純度
を有するより均一な複合体が得られる、リポタンパク質複合体の新しい製造方法を開発す
る必要がある。そのようなプロセスは、汚染物質に起因する副作用のリスクがより少ない
、より均一な薬学的に許容される生成物を生成しながら、大規模でのより経済的な製造を
可能にする。

0044

さらに、しかしながら、全体の製造収率が低いこと、および組換え発現されたタンパク
質の培養物においてタンパク質分解が発生することを考慮すれば、ApoA−I、Apo
A−IM、ApoA−IPおよび他の変異体、ならびに再構成されたHDLの治療的使用
は、治療的投与にとって必要とされる大量のアポリポタンパク質により、およびタンパク
質の製造費用により現在限られている(例えば、Malloryら、1987、J. Biol. Chem. 262(
9):4241-4247; Schmidtら、1997、Protein Expression & Purification 10:226-236を参
照されたい)。心血管疾患の治療のためにはその用量範囲は注入1回あたり1.5〜4g
のタンパク質であることが初期の臨床試験によって提言されている。完全な治療にとって
必要とされる注入の回数は知られていない(例えば、Erikssonら、1999、Circulation 10
0(6):594-98; Carlson、1995、Nutr. Metab. Cardiovasc. Dis. 5:85-91; Nanjeeら、200
0、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 20(9):2148-55; Nanjeeら、1999、Arterioscler
. Thromb. Vasc. Biol. 19(4):979-89; Nanjeeら、1996、Arterioscler. Thromb. Vasc.
Biol. 16(9): 1203-14を参照されたい)。

0045

組換えヒトApoA−Iが異種宿主中で発現されているが、成熟タンパク質収率は、
特に、収率をさらに低下させ、不純な生成物をもたらす精製方法と対にした場合、大規模
な治療適用にとっては不十分である。

0046

Weinbergら、1988、J. Lipid Research 29:819-824は、逆相高速液体クロマトグラフィ
ーによるヒト血漿から精製されたアポリポタンパク質A−I、A−IIおよびA−IVな
らびにそのアイソフォームの分離を記載している。

0047

WO2009/025754は、ヒト血漿からのα−1−抗トリプシンおよびApoA
−Iのタンパク質分離および精製を記載している。

0048

Hunterら、2009、Biotechnol. Prog. 25(2):446-453は、大腸菌(E.coli)中で組換え発
現されたApoA−I Milano変異体の大規模精製を記載している。

0049

Caparonら、2009、Biotechnol. And Bioeng. 105(2):239-249は、精製アポリポタンパ
ク質産物中の2つの宿主細胞タンパク質のレベルを低下させるためにこれらのタンパク質
欠失するように遺伝子操作された大腸菌(E.coli)宿主からのApoA−I Milan
oの発現および精製を記載している。

0050

米国特許第6,090,921号は、陰イオン交換クロマトグラフィーを用いたApo
A−Iおよびアポリポタンパク質E(ApoE)を含有するヒト血漿の画分からのApo
A−IまたはApoEの精製を記載している。

0051

Brewerら、1986、Meth. Enzymol. 128:223-246は、クロマトグラフィー技術を用いたヒ
ト血液からのアポリポタンパク質の単離および特性評価を記載している。

0052

Weisweilerら、1987、Clinica Chimica Acta 169:249-254は、高速タンパク質液体クロ
マトグラフィーを用いたヒトHDLからのApoA−IおよびApoA−IIの単離を記
載している。

0053

deSilvaら、1990、J. Biol. Chem. 265(24): 14292-14297は、免疫アフィニティクロマ
トグラフィーおよび逆相高速液体クロマトグラフィーによるアポリポタンパク質Jの精製
を記載している。

0054

リポタンパク質療法の実現可能性を確立する様々なリポタンパク質に基づく薬剤を用い
る臨床研究と共に、リポタンパク質およびリポタンパク質複合体が臨床的使用のために現
在開発されている(Tardif、2010、Journal of Clinical Lipidology 4:399-404)。ある
研究は、自己脱脂質化HDLを評価した(Waksmanら、2010、J Am. Coll. Cardiol. 55:2
727-2735)。別の研究は、組換えApoA−IMとパルミトイルオレオイル−PC(P
OPC)との複合体であるETC−216を評価した(Nissenら、2003、JAMA 290:2292-
2300)。CSL−111は、大豆ホスファチジルコリン(SBPC)と複合体化した、血
漿から精製された再構成されたヒトApoA−Iである(Tardifら、2007、JAMA 297:167
5-1682)。現在の探索薬剤は、アテローム性動脈硬化プラークの減少において有効性を示
しているが、その効果は、トランスアミナーゼの増加またはApoA−I抗体の形成など
二次的効果を伴った(Nanjeeら、1999、Arterioscler. Vasc. Throm. Biol. 19:979-89
; Nissenら、2003、JAMA 290:2292-2300; Spiekerら、2002、Circulation 105: 1399-140
2; Nieuwdorpら、2004、Diabetologia 51 : 1081-4; Drewら、2009、Circulation 119、2
103-11; Shawら、2008、Circ. Res. 103: 1084-91; Tardiffら、2007、JAMA 297: 1675-1
682; Waksman, 2008、Circulation 118:S 371; Cho、2007年9月25日に発行された
米国特許第7,273,849B2号)。例えば、ERASE臨床試験(Tardiffら、200
7、JAMA 297: 1675-1682)は、2つの用量のCSL−111:40mg/kgおよび80
mg/kgのApoA−Iを用いた。80mg/kg用量群は、肝臓毒性のため停止しな
ければならなかった(重篤なトランスアミナーゼ上昇により示される)。40mg/kg
用量群においても、数人の患者はトランスアミナーゼ上昇を経験する。

発明が解決しようとする課題

0055

従って、血清コレステロールの低下、HDL血清レベルの増加、脂質異常症ならびに/
または脂質異常症と関連する疾患、状態および/もしくは障害の予防および/または治療
においてより有効であるより安全な薬剤が必要である。肝臓毒性と関連せず、好ましくは
、トリグリセリド、LDL−トリグリセリドまたはVLDL−トリグリセリドの最少の増
加のみを誘導する(または全く誘導しない)リポタンパク質製剤、ならびに商業規模でこ
れらのリポタンパク質製剤を確実に作製するのに用いることができる着実な製造方法が当
技術分野で必要である。

課題を解決するための手段

0056

4.概要
本開示は、脂質異常症ならびに脂質異常症と関連する疾患、障害および/または状態を
治療および/または予防するのに特に適した、タンパク質画分(例えば、アポリポタンパ
質画分)と脂質画分とを含むリポタンパク質複合体、およびその集団を提供する。より
高い純度および/もしくは均一性を有し、ならびに/または本明細書に記載のように特定
の比率の脂質およびタンパク質を含む複合体の集団が、副作用のリスクの低下と共に、コ
レステロールを移動させる能力が増加していることが発見された。

0057

リポタンパク質複合体は、タンパク質画分(例えば、アポリポタンパク質画分)および
脂質画分(例えば、リン脂質画分)を含む。タンパク質画分は、1つまたは複数の脂質結
合タンパク質、例えば、アポリポタンパク質、ペプチド、またはリポタンパク質複合体中
に存在する場合にコレステロールを移動させることができるアポリポタンパク質ペプチド
類似体もしくは模倣体を含む。そのようなアポリポタンパク質およびアポリポタンパク質
ペプチドの非限定例としては、プレプロアポリタンパク質(preproapoliprotein)、プレプ
ロApoA−I、プロApoA−I、ApoA−I、プレプロApoA−II、プロAp
oA−II、ApoA−II、プレプロApoA−IV、プロApoA−IV、ApoA
−IV、ApoA−V、プレプロApoE、プロApoE、ApoE、プレプロApoA
−IM、プロApoA−IM、ApoA−IM、プレプロApoA−IP、プロApoA
−IP、ApoA−IP、プレプロApoA−Iz、プロApoA−IzおよびApoA
−Izが挙げられる。アポリポタンパク質は、単量体、二量体、もしくは三量体、または
その混合物の形態にあってよい。特定の実施形態においては、アポリポタンパク質画分は
本質的に、最も好ましくは単一のアイソフォームのApoA−Iからなる。リポタンパク
質複合体中のApoA−Iは、配列番号1のアミノ酸25〜267に対応するタンパク質
に対して少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有してもよい。場合に
より、ApoA−Iは、配列番号1のアミノ酸25(および成熟タンパク質の1位)の完
全長ApoA−Iに対応する位置にアスパラギン酸をさらに含む。好ましくは、少なくと
も75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも9
5%のApoA−Iが正確にプロセッシングされた成熟タンパク質(すなわち、シグナル
およびプロペプチド配列欠く)であり、酸化、脱アミド化および/またはトランケート
されていない。

0058

本開示はまた、ApoA−Iを発現するように遺伝子操作された哺乳動物宿主細胞、A
poA−Iを含む細胞培養物、および成熟した生物学的に活性なApoA−Iを製造する
方法も提供する。未熟なApoA−I(プロApoA−I)と、プロテアーゼ分解により
生成されたトランケート型のApoA−Iとの両方を実質的に含まない大量の成熟Apo
A−Iを発現するように哺乳動物宿主細胞を遺伝子操作することができることが発見され
た。これらの結果は驚くべきことである。第1に、タンパク質プロセッシングのための宿
主細胞機構は、ApoA−Iなどの異種タンパク質過剰発現によって圧倒され、プロセ
シングされていない未熟なタンパク質の産生をもたらすと予想される。第2に、培養培
地中に分泌されたApoA−Iは、プロテアーゼによる分解を受け、さらに低レベルのト
ランケートされたApoA−Iだけが培養培地中に観察される。哺乳動物宿主細胞、細胞
培養物およびApoA−Iを製造する方法は、商業的に関連する量の、治療適用において
有用な成熟タンパク質の製造に特に適している。

0059

本明細書に提供される通り、哺乳動物宿主細胞は、好ましくは、配列番号1の25〜2
67位に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも9
8%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む(または
それからなる)タンパク質を発現するように遺伝子操作される。このタンパク質は、好ま
しくは、配列番号1の25位に対応する位置にアスパラギン酸残基を有する。哺乳動物宿
主細胞は、場合により、そのようなタンパク質をさらに分泌することができる。いくつか
の例においては、前記哺乳動物宿主細胞により発現および/または分泌されたタンパク質
は、18アミノ酸のシグナル配列(MKAAVLTLAVLFLTGSQA、配列番号2
)および/または6アミノ酸のプロペプチド配列(RHFWQQ、配列番号3)をさらに
含んでもよい。いくつかの例においては、宿主細胞は、配列番号1に対して少なくとも9
5%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、ま
たは100%の同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を発現するように遺伝子操
作される。

0060

宿主細胞は、限定されるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣(例えば、CH
O−K1もしくはCHO−S)、VERO、BHK、BHK570、HeLa、COS−
1、COS−7、MDCK、293、3T3、PC12およびW138などの任意の哺乳
動物細胞系に由来するか、またはミエローマ細胞もしくは細胞系(例えば、マウスエロ
ーマ細胞もしくは細胞系)に由来するものであってよい。

0061

哺乳動物宿主細胞は、ApoA−Iタンパク質、例えば、配列番号1の25〜267位
を含むか、またはそれからなるタンパク質をコードする複数コピー核酸をさらに含んで
もよい。例えば、哺乳動物宿主細胞は、少なくとも約5、6、7、8以上のコピー、およ
び最大で約10、11、12、13または14コピーの核酸を含んでもよい。この核酸を
さらに、哺乳動物宿主細胞中で高レベルでタンパク質を発現させることができるプロモ
ター、例えば、サルサイトメガロウイルスプロモーターまたはより具体的には、極初期サ
ルサイトメガロウイルスプモーターなどに機能し得る形で連結することができる。

0062

哺乳動物宿主細胞は、好ましくは、培養物中で少なくとも約0.5、1、2もしくは3
g/LのApoA−Iおよび/または培養物中で最大で約20g/LのApoA−I、例
えば、培養物中で最大で4、5、6、7、8、9、10、12もしくは15g/LのAp
oA−Iを産生することができる。この培養物は、約150mL〜約500L、1000
L、2000L、5000L、10,000L、25,000Lまたは50,000L以
上の範囲の任意の規模のものであってよい。様々な実施形態においては、培養容量は、1
0L〜50L、50L〜100L、100L〜150L、150L〜200L、200L
〜300L、300L〜500L、500L〜1000L、1000L〜1500L、1
500L〜2000L、2000L〜3000L、3000L〜5000L、5000L
〜7500L、7500L〜10,000L、10,000L〜20,000L、20,
000L〜40,000L、30,000L〜50,000Lの範囲であってよい。いく
つかの例においては、培養物は大規模培養物、例えば、15L、20L、25L、30L
、50L、100L、200L、300L、500L、1000L、5000L、10,
000L、15,000L、20,000L、25,000L、最大で50,000L以
上である。

0063

本開示の哺乳動物宿主細胞を、培養物中で増殖させることができる。かくして、本開示
は、上記の、または以下の第6.1.2節に記載の複数の哺乳動物宿主細胞を含む、哺乳
動物細胞培養物をさらに提供する。この細胞培養物は、1または複数の下記特徴を含んで
もよい:(a)培養物(場合により、少なくとも10リットル、少なくとも20リットル
、少なくとも30リットル、少なくとも50リットル、少なくとも100リットル、30
0L、500L、1000L、5000L、10,000L、15,000L、20,0
00L、25,000L、最大で50,000Lの大規模バッチ式培養物または少なくと
も10リットル、少なくとも20リットル、少なくとも30リットル、少なくとも50リ
トル、少なくとも100リットル、300L、500L、1000L、5000L、も
しくは最大で10,000Lの連続培養物である)が配列番号1のアミノ酸25〜267
に対応するアミノ配列(amino sequence)を含むか、またはそれからなる、少なくとも約0
.5、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0g/L以上の成熟Ap
oA−Iタンパク質を含む;(b)培養培地中の少なくとも75%、少なくとも80%、
少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少
なくとも99%のタンパク質が、シグナル配列を欠くApoA−Iタンパク質である;(
c)培養培地中の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも
90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%のタンパク質が
、シグナル配列およびプロペプチド配列を欠く成熟ApoA−Iタンパク質である;なら
びに(d)成熟ApoA−Iの少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%
、少なくとも90%、少なくとも95%がトランケート、酸化、または脱アミド化されて
いない。

0064

本開示はまた、成熟した生物学的に活性なApoA−Iを製造する方法も提供する。一
般的には、前記方法は、ApoA−Iが発現および分泌される条件下で、上記の、または
第6.1.2節に記載の哺乳動物宿主細胞のいずれかを培養することを含む。この方法は
、成熟した生物学的に活性なApoA−Iを、培養された哺乳動物宿主細胞の上清から回
収するステップ、および場合により、精製するステップをさらに含んでもよい(以下の第
6.1.3節および第6.1.4節に開示される方法によるなど)。

0065

上記の方法により得られた、または得られるApoA−Iを、脂質とさらに複合体化さ
せて、本明細書に記載のリポタンパク質複合体を形成させる、および/または治療上有効
量の医薬組成物中に組み入れることができる。医薬組成物は、好ましくは、賦形剤として
スクロースおよび/またはマンニトールを含んでもよいリン酸緩衝溶液である。

0066

クロマトグラフィーステップ濾過ステップとの新しい組合せを用いてApoA−Iを
精製することにより、タンパク質を治療的使用にとって特に好適にする、副作用のリスク
の低下および低いか、または全くない毒性などの1つまたは複数の属性を付与するのに十
分に低いレベルの宿主細胞タンパク質、宿主細胞DNA、内毒素およびトランケート型の
タンパク質を含有する大量の純粋なApoA−Iを製造することができることをさらに発
見した。好ましくは、本明細書に記載の方法により精製されたApoA−Iは、哺乳動物
細胞中で組換え産生され、増殖培地中に分泌される。従って、本開示は、(a)ApoA
−Iを含有する溶液と、陰イオン交換マトリックスとを、ApoA−Iがマトリックス
結合しない条件下で接触させるステップ;(b)ウイルスまたはウイルス粒子を除去する
のに十分な孔径を有する膜を通して、ステップ(a)で得られたApoA−I含有溶液
濾過するステップ;(c)ApoA−Iがマトリックスに結合するような条件下で、第1
逆相クロマトグラフィーカラムに、ステップ(b)で得られた濾液を通過させるステッ
プ;(d)増加する濃度勾配の有機溶媒を用いて、第1の逆相クロマトグラフィートリ
クスから、第1のApoA−I含有逆相溶出液溶出させるステップ;(e)ApoA
−Iがマトリックスに結合するような条件下で、第2の逆相クロマトグラフィーカラムに
、ステップ(d)に由来する第1のApoA−I逆相溶出液を通過させるステップ;およ
び(f)増加する濃度勾配の有機溶媒を用いて、第2の逆相クロマトグラフィーマトリッ
クスから、第2のApoA−I含有逆相溶出液を溶出させるステップを含む、ApoA−
Iを精製する方法に関する。前記ステップを実施する順序は重要ではなく、例えば、例示
的な実施形態においては、ウイルスまたはウイルス粒子を除去するために膜を通して濾過
するステップは、ステップ(a)の後よりもむしろ、ステップ(f)の後に実施される。

0067

また、ApoA−Iの濃度が少なくとも10g/Lである本明細書に記載の精製方法に
よって得られた、または得られる実質的に純粋なApoA−I生成物も本明細書に提供さ
れる。本明細書に記載の精製方法によって製造された実質的に純粋なApoA−I生成物
は、好ましくは、ApoA−I 1mgあたり約10pg未満の宿主細胞DNA、Apo
A−I 1mgあたり約100ng未満の宿主細胞タンパク質、および/またはApoA
−I 1mgあたり0.1EU未満の内毒素を含む。ApoA−I生成物は、少なくとも
95%純粋、少なくとも96%純粋、少なくとも97%純粋、少なくとも98%純粋また
は少なくとも99%純粋であってよい。

0068

さらに、実質的に純粋なApoA−I生成物を、ApoA−Iを含む本明細書に記載の
医薬組成物および/またはリポタンパク質複合体のいずれかに組み入れることができる。

0069

脂質画分は、典型的には、中性の、負に荷電したもの、正に荷電したもの、またはその
組合せであってもよい1つまたは複数のリン脂質を含む。リン脂質上の脂肪酸鎖は、好ま
しくは、12〜26個または16〜26個の炭素の長さであり、飽和からモノ不飽和まで
飽和度において異なっていてもよい。リン脂質の例としては、低分子アルキル鎖リン脂
質、ホスファチジルコリン、大豆ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジ
ルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン
1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ミ
リストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジル
コリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホス
ファチジルコリンジオレオホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジ
グリセロールホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノ
ルアミンホスファチジルイノシトールホスファチジルグリセロール、ジホスファチジ
ルグリセロール、例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイル
ホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイ
ルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホス
ファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスフ
ァチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホス
ファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、卵スフィンゴミ
リン、ミルクスフィンゴミエリン、パルミトイルスフィンゴミエリン、フィトスフィンゴ
ミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ジ
パルミトイルホスファチジルグリセロール塩、ホスファチジン酸、ガラクトセレブロシド
ガングリオシドセレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)−D−
マンノシル−(1,3)ジグリセリドアミノフェニルグリコシド、3−コレステリル−
6’−(グリコシルチオヘキシルエーテルグリコリピド、およびコレステロールならび
にその誘導体が挙げられる。SMおよびパルミトイルスフィンゴミエリンを含むリン脂質
画分は場合により、限定されるものではないが、リゾリン脂質、パルミトイルスフィンゴ
ミエリン以外のスフィンゴミエリン、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブ
シド、グリセリド、トリグリセリド、およびコレステロールならびにその誘導体などの、
少量の任意の型の脂質を含んでもよい。

0070

最も好ましくは、脂質画分は、少なくとも1つの中性リン脂質および場合により、1つ
または複数の負に荷電したリン脂質を含有する。中性リン脂質と負に荷電したリン脂質の
両方を含むリポタンパク質複合体においては、中性リン脂質および負に荷電したリン脂質
は、同じか、または異なる数の炭素および同じか、または異なる飽和度を有する脂肪酸鎖
を有してもよい。いくつかの例においては、中性リン脂質および負に荷電したリン脂質は
、同じアシル尾部、例えば、C16:0、またはパルミトイル、アシル鎖を有する。

0071

複合体の脂質成分が中性リン脂質および負に荷電したリン脂質を含むか、またはそれか
らなる場合、中性リン脂質と負に荷電したリン脂質の重量−重量(wt:wt)比は、好
ましくは、約99:1〜約90:10、より好ましくは、約99:1〜約95:5、およ
び最も好ましくは、約98:2〜約96:4の範囲のwt:wt比にある。一実施形態に
おいては、中性リン脂質および負に荷電したリン脂質は、約97:3の中性リン脂質:負
に荷電したリン脂質の重量−重量(wt:wt)比で存在する。

0072

中性リン脂質は、天然のものであるか、または合成のものであってよい。好ましくは、
リン脂質は、場合により、16〜26個の炭素原子鎖長を有する飽和またはモノ不飽和
脂肪酸を含む、スフィンゴミエリン(「SM」)、例えば、パルミトイルスフィンゴミエ
リン、フィトスフィンゴミエリン、ジフィトスフィンゴミエリン、ホスホスフィンゴ脂質
、またはスフィンゴ糖脂質である。SMは任意の供給源に由来するものであってよい。例
えば、SMは、ミルク、卵、脳から得るか、または合成的に作製することができる。特定
の実施形態においては、SMは鶏卵から得られる(「卵SM」)。別の特定の実施形態に
おいては、SMはパルミトイルスフィンゴミエリンである。

0073

生理的pHで少なくとも部分的負電荷を担持する任意のリン脂質を、負に荷電したリン
脂質として用いることができる。非限定例としては、ホスファチジルイノシトール、ホス
ファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびホスファチジン酸の負に荷電した
形態、例えば、塩が挙げられる。特定の実施形態においては、負に荷電したリン脂質は、
1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−[ホスホ−rac−(1−グリセロール
)]、またはDPPG、ホスファチジルグリセロールである。好ましい塩としては、カリ
ウム塩およびナトリウム塩が挙げられる。

0074

本開示の複合体を製造するのに用いられるリン脂質は、好ましくは少なくとも95%純
粋であり、より好ましくは少なくとも99%純粋であり、および/または4meq O/
kg以下、より好ましくは3meq O/kg以下(例えば、2meq O/kg以下)
の酸化レベルのレベル(levels of oxidation levels)を有する。酸素と脂肪酸との主要な
初期反応生成物は、ヒドロペルオキシドである。ヨード還元滴定法を用いれば、試料中の
過酸化物の存在をアッセイすることにより酸化レベルを測定することができる。

0075

本開示のリポタンパク質複合体は、好ましくは、以下の実施例に示される通り、より完
全で均一な複合体形成をもたらすアポリポタンパク質と脂質との比を有する。リポタンパ
ク質複合体は、1:80〜1:120、1:100〜1:115、または1:105〜1
:110の範囲のアポリポタンパク質画分:脂質画分のモル比を特徴とし、ここでアポリ
ポタンパク質はApoA−I当量で表される。特定の実施形態においては、アポリポタン
パク質画分:脂質画分のモル比は、1:80〜1:90(例えば、1:82、1:85ま
たは1:87)、1:90〜1:100(例えば、1:95または1:98)、1:10
0〜1:110(例えば、1:105または1:108)である。

0076

特に卵SMが中性脂質として用いられる特定の実施形態においては、アポリポタンパク
質画分:脂質画分の重量比は、約1:2.7〜約1:3(例えば、1:2.7)の範囲で
ある。

0077

本開示のリポタンパク質複合体を、疎水性、親油性または非極性活性剤を送達するため
の担体として用いることもできる。そのような適用のために、脂質画分は、限定されるも
のではないが、脂肪酸、薬剤、核酸、ビタミンおよび/または栄養素などの1つまたは複
数の疎水性、親油性または非極性活性剤をさらに含むか、またはリポタンパク質複合体に
、それらのものをロードすることができる。活性剤の特定例は、第6.2節に記載される

0078

本開示はまた、リポタンパク質複合体の集団も提供する。典型的には、
・集団は、それぞれタンパク質画分と脂質画分とを含む、複数のリポタンパク質複合体
を含有する;
・タンパク質画分は、上記の、および第6.1節または第6.5.3節に記載されるリ
ポタンパク質またはリポタンパク質類似体を含有する;最も好ましくは、タンパク質画分
は、第6.1.2節に記載の方法により得られたか、もしくは得られる、および/または
第6.1.4節に記載の方法により精製されたリポタンパク質(例えば、ApoA−Iタ
ンパク質)を含むか、または本質的にそれからなる;
・脂質画分は、上記の、および第6.2節または第6.5.2節に記載の脂質を含む;
・リポタンパク質複合体は、好ましくは第6.5.4節に記載の熱サイクリング法によ
り製造される。

0079

本出願人は、リポタンパク質複合体集団の効力および安全性プロフィールに個別に、ま
たは組合わせて寄与すると考えられるいくつかの特徴を発見した。これらの特徴は、
・多くは4nm〜15nm(例えば、5nm〜12nm、6nm〜15nm、または8
nm〜10nm)の範囲である、集団中の複合体のサイズの均一性;
・複合体を作製するのに用いられるアポリポタンパク質の純度(例えば、酸化、脱アミ
ド化、トランケートされた、および/もしくは未熟な形態のアポリポタンパク質の欠如
らびに/または内毒素の欠如ならびに/またはアポリポタンパク質以外のタンパク質(宿
主細胞タンパク質など)の欠如、ならびに/または組換え産物中に存在することが多い宿
主細胞DNA);
・集団中の複合体自体の純度(複合体を調製するのに用いられる溶媒もしくは洗剤など
の汚染物質の欠如;酸化脂質の欠如;脱アミド化、酸化もしくはトランケートされたタン
パク質の欠如;ならびに/または少量の非複合体化アポリポタンパク質および/もしくは
脂質またはそれらの欠如を特徴とする)
を含む。

0080

これらの特徴のうち、複合体の均一性および複合体中の成熟した非改変アポリポタンパ
ク質の優勢性は、効力を増加させると考えられる。アポリポタンパク質、脂質および複合
体の純度は、肝臓酵素(例えば、トランスアミナーゼ)の増加により反映される肝臓損傷
などの副作用のリスクを低下させる。さらに、本発明者らは、多くのアポリポタンパク質
の複合体中への組込みをもたらす方法によりリポタンパク質複合体の集団を作製すること
を実現可能にし、非複合体化アポリポタンパク質の量の減少も、それが異種タンパク質の
投与により引き起こされ得る被験体における免疫原性応答のリスクを低下させる点で有益
である。

0081

従って、本開示は、以下の特徴のうちの1つもしくは複数、またはさらには全部を特徴
とするリポタンパク質複合体の集団を提供する:
(a)前記集団中のリポタンパク質、典型的には、ApoA−Iの少なくとも75重量
%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、または少な
くとも95重量%が、成熟形態にある;
(b)前記集団中のリポタンパク質、典型的には、ApoA−Iの25重量%以下、2
0重量%以下、15重量%以下、10重量%以下または5重量%以下が未熟形態にある;
(c)前記集団が、リポタンパク質、典型的には、ApoA−I 1ミリグラムあたり
、100ピコグラム以下、50ピコグラム以下、25ピコグラム以下、10ピコグラム以
下または5ピコグラム以下の宿主細胞DNAを含有する;
(d)前記集団が、リポタンパク質、典型的には、ApoA−I 1ミリグラムあたり
、500ナノグラム以下、200ナノグラム以下、100ナノグラム以下、50ナノグラ
ム以下、または20ナノグラム以下の宿主細胞タンパク質を含有する;
(e)前記集団中のリポタンパク質、典型的には、ApoA−Iの25重量%以下、2
0重量%以下、15重量%以下、10重量%以下または5重量%以下がトランケートされ
た形態にある;
(f)リポタンパク質成分が成熟ApoA−Iを含むか、またはそれからなり、前記集
団中の前記ApoA−I中のメチオニン112およびメチオニン148の各々の20%以
下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、2%以下または1%以下が酸化され
ている;
(g)リポタンパク質複合体の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90
%または少なくとも95%が、ゲル浸透クロマトグラフィー(「GPC」)または動的光
散乱(「DLS」)により測定された場合、4nm〜15nmのサイズ、例えば、6nm
〜15nmのサイズ、または8〜12nmのサイズ、さらにより好ましくは、5nm〜1
2nmのサイズの粒子の形態にある;
(i)前記集団が、リポタンパク質、典型的にはApoA−I 1ミリグラムあたり、
1EU以下、0.5EU以下、0.3EU以下または0.1EU以下の内毒素を含有する

(j)前記集団中のリポタンパク質、典型的にはApoA−I中のアミノ酸の15%以
下、10%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下が脱アミド化
されている;
(k)前記複合体中の脂質画分中の脂質の15重量%以下、10重量%以下、5重量%
以下、2重量%以下または0重量%がコレステロールである;
(l)前記集団が200ppm、100ppm、50ppm以下の非水性溶媒を含有す
る;
(m)前記集団が洗剤(例えば、コール酸塩)を含有しない;
(n)前記集団が、ゲル浸透クロマトグラフィー中の単一のピークにおける集団の百分
率により測定された場合、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少
なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%均一で
あってよい;
(o)前記集団が、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なく
とも95%または少なくとも97%のタンパク質が複合体化された形態にある組成物中に
ある;
(p)前記集団中の脂質の5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下が
酸化されている;ならびに
(q)前記集団中のメチオニンおよび/またはトリプトファン残基の15%以下、10
%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下または1%以下が酸化されている。

0082

特定の実施形態においては、前記集団は、下記群から選択される特徴を有する:
I群:上記の特徴(a)、(b)および(c);
II群:上記の特徴(c)、(d)および(i);
III群:上記の特徴(f)、(j)、(e)、(p)および(q);
V群:上記の特徴(g)、(n)および(o);
V群:上記の特徴(l)および(m);ならびに
VI群:上記の特徴(k)。

0083

特定の態様においては、前記集団は、I群およびIV群の各々から独立に選択される1
または2つの特徴を特徴とする;場合により、前記集団は、I群およびIV群の各々から
独立に選択される3つの特徴を特徴とする。前記集団はさらに、II群および/またはI
II群の各々から独立に選択される1、2または3つの特徴を特徴とする。前記集団はさ
らに、V群から独立に選択される1もしくは2つの特徴および/またはVI群から独立に
選択される1つの特徴を特徴とする。

0084

特定の脂質およびタンパク質成分は、複数の異なるが均一なリポタンパク質複合体を形
成することができる。従って、本開示はまた、異なる量のアポリポタンパク質分子を含む
リポタンパク質複合体の2、3または4つの集団を含む組成物も提供する(例えば、2、
3または4つのApoA−I分子またはApoA−I当量)。例示的な実施形態において
は、組成物は2つのリポタンパク質複合体集団を含み、それぞれ、第1の集団はリポタン
パク質複合体あたり2個のApoA−I分子またはApoA−I当量を有するリポタンパ
ク質複合体を含み、第2の集団はリポタンパク質複合体あたり3または4個のApoA−
I分子またはApoA−I当量を有するリポタンパク質複合体を含み、場合により、第3
の集団はリポプロタンパク質複合体あたり4または3個のApoA−I分子またはApo
A−I当量を有するリポタンパク質複合体を含む。

0085

リポタンパク質複合体の2つ以上の集団を含む組成物は、好ましくは、低レベルの非複
合体化リポタンパク質および/または脂質を有する。従って、好ましくは、組成物中の脂
質の15%以下、12%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、
5%以下、4%以下、3%以下、2%以下もしくは1%以下が非複合体化形態にあり、お
よび/または組成物中のリポタンパク質の15%以下、12%以下、10%以下、9%以
下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下、3%以下、2%以下もしくは
1%以下が非複合体化形態にある。

0086

本開示は、リポタンパク質複合体を作製するための方法を提供する。この方法は、特に
、非複合体化脂質および脂質結合タンパク質またはペプチドを含有する懸濁液を熱サイク
リング条件にかけることにより、リポタンパク質複合体が固定温度で成分をインキュベー
トすることにより製造されるなど、他の方法と比較して有利な結果と共にリポタンパク質
複合体の形成が得られるという発見に基づくものである。

0087

本開示は、第6.5.1〜6.5.4節に記載のものなどの、リポタンパク質複合体を
調製するための熱サイクリング法を提供する。この方法は、典型的には、脂質粒子(「脂
質成分」)および脂質結合タンパク質またはペプチド(「タンパク質成分」)を含む懸濁
液を、タンパク質成分のほとんどがリポタンパク質複合体中に組み込まれるまで複数の熱
サイクルにかけることを含む。前記方法は一般に、リポタンパク質複合体が形成されるま
で、第1の高い方の温度範囲の温度と、第2の低い方の温度範囲の温度との間で懸濁液を
循環させることが必要である。熱サイクリングプロセスの高温および低温範囲は、リポタ
ンパク質複合体の脂質およびタンパク質成分の相転移温度に基づく。あるいは、不飽和脂
肪酸鎖を有するリン脂質またはリン脂質の混合物を用いる場合に起こり得るように、脂質
成分が規定の、または個別の相転移を示さない場合、熱サイクリングの高温および低温
囲は、少なくとも約20℃、最大で40℃またはさらにはそれを超える温度、異なる。例
えば、いくつかの実施形態においては、低温および高温範囲は、20℃〜30℃、20℃
〜40℃、20℃〜50℃、30℃〜40℃、30℃〜50℃、25℃〜45℃、35℃
〜55℃異なる。

0088

脂質については、相転移は、ゲル状態として知られる、緊密に固まった規則的構造から
液体状態として知られる、緩く固まった規則性の低い構造への変化を含む。リポタンパ
ク質複合体は、当技術分野では、典型的には用いられる特定の脂質または脂質の混合物の
転移温度に近い温度で脂質粒子およびアポリポタンパク質をインキュベートすることによ
り形成される。脂質成分の相転移温度(熱量測定法により決定することができる)+/−
12℃、より好ましくは+/−10℃は、本開示の方法における「低」温範囲である。特
定の実施形態においては、低温範囲は、脂質成分の相転移温度の+/−3℃、+/−5℃
、または+/−8℃である。1つの特定の実施形態においては、低温範囲は、脂質成分の
相転移温度の、下は5℃以下または10℃以下から、上は5℃までである。

0089

タンパク質については、相転移温度は、三次構造から二次構造への変化を含む。タンパ
ク質成分の相転移温度+/−12℃、より好ましくは+/−10℃は、本開示の方法にお
ける「高」温範囲である。特定の実施形態においては、高温範囲は、タンパク質成分の相
転移温度の+/−3℃、+/−5℃、または+/−8℃である。1つの特定の実施形態に
おいては、低温範囲は、タンパク質成分の相転移温度の、下は10℃から、上は5℃以下
、10℃以下、または15℃以下までである。

0090

出発懸濁液の脂質成分、すなわち、熱サイクリング法にまだかけられていない懸濁液は
、好ましくは、脂質の粒子を含み、例えば、主に脂質結合タンパク質と複合体化されてい
ない脂質から構成される。脂質成分の作出は、一般的には以下の第6.5.2節に記載さ
れる通りである。

0091

出発懸濁液のタンパク質成分は、好ましくは、脂質と複合体化されていない脂質結合ペ
プチドおよび/またはタンパク質を含有するか、または所望の複合体中でのタンパク質/
ペプチドと脂質の比よりも少なくとも5倍高い(例えば、少なくとも5倍、少なくとも1
0倍または少なくとも20倍高い)タンパク質/ペプチドと脂質の比で脂質と合わせられ
る。タンパク質成分の作出は、一般的には以下の第6.1節および第6.5.3節に記載
される通りである。タンパク質成分は、好ましくは、第6.1.2節に記載の方法に従っ
て作製され、および/または第6.1.3節または6.1.4節に記載の方法に従って精
製される。

0092

本開示の方法において、タンパク質成分と脂質成分とを含有する懸濁液は、典型的には
、リポタンパク質複合体が形成されるまで、好ましくは高温範囲の温度から出発する、高
温範囲と低温範囲との間で熱サイクリングされる。脂質およびタンパク質成分の好適な量
を用いて(例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公
開第2006−0217312A1号に記載されている)、脂質およびタンパク質成分の
実質的に完全な複合体化を、数回のサイクルの後に達成することができる。熱サイクリン
グ法にとって好適なタンパク質および脂質の化学量論のさらなる詳細は、第6.5.4節
に記載される。

0093

前記方法により製造される複合体は、典型的には、タンパク質成分が特定の化学量論範
囲で、また均一なサイズ分布で脂質成分に物理的に結合したミセル、ベシクル、球状また
は円盤状粒子として形状化された超分子集合体である。本発明の方法は、有利には、出発
懸濁液中での脂質および/またはタンパク質の実質的に完全な複合体化をもたらし、クロ
マトグラフィーなどの分離方法により観察されるように、遊離脂質および/または遊離タ
ンパク質を実質的に含まない組成物が得られる。かくして、本開示の方法は、精製ステッ
プの非存在下で実施することができる。

0094

出発懸濁液中の脂質成分は、典型的には粒子形態にある。粒子は好ましくは主に、少な
くとも45nm、少なくとも50nm、少なくとも55nmまたは少なくとも60nmの
サイズであり、最大で65nm、最大で70nm、最大で75nm、最大で80nmのサ
イズ、最大で100nm、最大で120nm、最大で150nm、最大で200nm、最
大で250nm、最大で300nm、最大で500nmであり、例えば、45nm〜10
0nmまたは45〜250nmのサイズ範囲にあり、より好ましくは、50nm〜90n
mのサイズ範囲にあり、最も好ましくは、55nm〜75nmのサイズ範囲にある。好ま
しい実施形態においては、脂質粒子は主に、卵スフィンゴミエリンから構成され、55〜
75nmのサイズである。別の好ましい実施形態においては、脂質粒子は主に、1または
複数の合成スフィンゴミエリン(例えば、パルミトイルスフィンゴミエリンまたはフィト
スフィンゴミエリン)から構成され、175nm〜250nmのサイズである。さらに別
の好ましい実施形態においては、脂質粒子は主に、1または複数の合成脂質(例えば、パ
ルミトイルスフィンゴミエリンまたはフィトスフィンゴミエリン)から構成され、250
nm〜1000nmのサイズである。さらに別の好ましい実施形態においては、脂質粒子
は主に、1または複数の合成脂質(例えば、パルミトイルスフィンゴミエリンまたはフィ
トスフィンゴミエリン)から構成され、1000nm〜4000nmのサイズである。本
明細書に記載のサイズは、動的光散乱により決定されるゼータ(Z)平均サイズである。
高圧均一化、例えば、マイクロフルイダイゼーションは、好適なサイズの脂質粒子を有利
に生成する。粒子を形成させるための他の方法は、以下の第6.5.2節に開示され、均
一化の代替方法として用いることができる。そのような方法が好ましいサイズ範囲外の粒
子を生成する場合、粒子をサイズ濾過にかけて、好適なサイズの粒子を得ることができる

0095

本明細書に記載のリポタンパク質複合体を調製する方法は、そのサイズ分布において均
一である複合体を有利に生成し、サイズ分画の必要性を回避する。さらに、本開示の方法
は、リポタンパク質粒子中への出発タンパク質の実質的に完全な組込み(例えば、少なく
とも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも
99%)をもたらす。従って、本開示は、リポタンパク質複合体を含み、例えば、ゲル
透クロマトグラフィーを用いて決定された場合、組成物中の脂質結合タンパク質の少なく
とも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも
99%が脂質と複合体化された組成物を提供する。特定の実施形態においては、本開示は
、4nm〜20nmのゼータ平均サイズ、例えば、4nm〜20nmのゼータ平均サイズ
、4nm〜15nmのゼータ平均サイズ、4nm〜12nmのゼータ平均サイズ、5nm
〜15nmのゼータ平均サイズ、5nm〜12nmのゼータ平均サイズ、5nm〜10n
mのゼータ平均サイズ、5nm〜20nmのゼータ平均サイズ、6nm〜15nmのゼー
タ平均サイズ、または8nm〜12nmのゼータ平均サイズを有し、例えば、ゲル浸透
ロマトグラフィーを用いて決定された場合、組成物中の脂質結合タンパク質の少なくとも
95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99
%が脂質と複合体化されたリポタンパク質複合体を含む組成物を提供する。本明細書に記
載の方法に従って脂質粒子をリポタンパク質と共に熱サイクリングにかけることにより、
典型的には、4nm〜15nmのサイズのリポタンパク質粒子の集団、例えば、6nm〜
15nmのサイズ、5nm〜12nmのサイズ、または8nm〜12nmのサイズのリポ
タンパク質粒子の集団が得られる。熱サイクリングにかけられる脂質粒子のサイズは、5
0nm〜250nmの範囲であってよい。好ましい実施形態においては、脂質粒子は主に
、卵スフィンゴミエリンから構成され、55〜75nmのサイズである。別の好ましい実
施形態においては、脂質粒子は主に、1つまたは複数の合成スフィンゴミエリン(例えば
、フィトスフィンゴミエリン)から構成され、175nm〜250nmのサイズである。

0096

リポタンパク質複合体を調製する方法における1つまたは複数のステップを、不活性ガ
ス下で実行することができる。そうすることにより、アポリポタンパク質および/または
脂質の酸化を低下または防止することができ、それによって肝臓損傷などの副作用のリス
クを低下させることができる。好適な不活性ガスとしては、窒素ヘリウム、およびアル
ゴンが挙げられる。

0097

上記の方法により得られたか、または得られるリポタンパク質複合体は、複合体が形成
された後にさらなる精製ステップが必要ないため、治療的使用に特に適している。

0098

本開示はまた、リポタンパク質複合体の集団、ならびに本明細書に記載のような、リポ
タンパク質複合体またはその集団を含み、場合により、1つまたは複数の薬学的に許容さ
れる担体、賦形剤および/または希釈剤を含んでもよい医薬組成物も提供する。いくつか
の実施形態においては、医薬組成物は、投与にとって好適な単位用量中に包装される。例
えば、いくつかの実施形態においては、前記組成物は、密閉されたバイアル中に包装され
た乾燥(例えば、凍結乾燥)されたリポタンパク質複合体の単位用量を含む。そのような
組成物は、水、生理的溶液生理食塩水など)またはバッファーを用いる再構成、および
注射による投与にとって好適である。そのような組成物は、場合により、荷電した複合体
の再構成を容易にするための1つもしくは複数の凝固防止剤および/または抗凝集剤、ま
たは再構成された懸濁液のpH、浸透圧および/もしくは塩分濃度を調整するように設計
された1つもしくは複数の緩衝剤等張剤(例えば、スクロースおよび/もしくはマン
トール)、糖または塩(例えば、塩化ナトリウム)を含んでもよい。リポタンパク質複合
体の集団および/または上記の医薬組成物を、酸化を最小化する条件下で製造することに
よって、酸化生成物により引き起こされる肝臓損傷などの副作用のリスクを低下させるこ
とができる。例えば、医薬組成物を、不活性ガス、例えば、窒素、ヘリウム、またはアル
ゴンの下で製造することができる。

0099

商業的適用のためには、リポタンパク質複合体および医薬組成物の大規模調製物を作製
することが有用である。従って、本開示はまた、少なくとも約3mg/mL、少なくとも
約4mg/mL、または少なくとも約5mg/mL、および最大で約10mg/mL、約
15mg/mL、または約20mg/mL、好ましくは、約8mg/mL〜約12mg/
mLの範囲、最も好ましくは、約8mg/mLの脂質結合タンパク質の濃度を達成するの
に十分な量のリポタンパク質複合体を含む少なくとも1L、2L、5Lまたは10Lおよ
び最大で15L、20L、30L、50L以上の調製物(例えば、5L〜30L、10L
〜15Lまたは30L〜50Lの調製物)も提供する。特定の実施形態においては、調製
物は15L〜25Lの容量を有し、約100g〜約250gのApoA−Iを含有する。
別の特定の実施形態においては、調製物は30L〜50Lの容量を有し、約240g〜約
780gのApoA−Iを含有する。

0100

本明細書に記載のリポタンパク質複合体は、動物、最も好ましくはヒトにおける脂質異
常障害を治療するのに有用である。そのような状態としては、限定されるものではないが
、高脂血症、および特に高コレステロール血症(ヘテロ接合性およびホモ接合性家族性
コレステロール血症)、およびアテローム性動脈硬化症などの心血管疾患(アテローム性
動脈硬化症の治療および予防を含む)および例えば、脳卒中、虚血性脳卒中一過性虚血
発作心筋梗塞急性冠動脈症候群狭心症、間欠性跛行、重症虚血肢、弁狭窄、および
心房弁硬化症などのアテローム性動脈硬化症の無数臨床徴候再狭窄(例えば、バル
血管形成術などの医学的手順の結果として生じるアテローム性動脈硬化プラークの予防
または治療);および敗血性ショックをもたらすことが多い内毒素血症などの他の障害が
挙げられる。

0101

本明細書に記載のリポタンパク質複合体および組成物は、現在までの研究において他の
リポタンパク質複合体について用いられたものよりも低用量で投与した場合、コレステロ
ール流出を行う、および/または容易にすることがわかった。例えば、15mg/kg〜
80mg/kgの範囲の用量を用いた、Spiekerら、2002、Circulation 105: 1399-1402
(80mg/kgの用量を用いる);Nissenら、2003、JAMA 290:2292-2300(15mg/
kgまたは40mg/kgの用量を用いる);Tardifら、2007 JAMA 297:1675-1682(4
0mg/kg〜80mg/kgの用量を用いる)を参照されたい。さらに、本明細書に記
載のリポタンパク質複合体は、副作用が減少していることがわかった。以下の実施例に示
されるように、本開示のリポタンパク質複合体は、2mg/kgの低い用量でコレステロ
ールを効率的に移動させ、対照的に、ヒト患者に以前に投与されたリポタンパク質複合体
は、トリグリセリド、VLDL、およびトランスアミナーゼなどの肝臓酵素のレベルを有
意に上昇させないことを発見した(Nanjeeら、1999、Arterioscler. Vasc. Throm. Biol.
19:979-89を参照されたい)。さらに、副作用の減少は、正常な肝臓および/または腎臓
機能を有する正常な対象において、最大で約15mg/kg(トリグリセリド上昇の欠如
)またはさらには45mg/kg(トランスアミノアーゼ増加の欠如)に増加させた用量
でも観察される。かくして、副作用なしに投与される本開示の複合体の能力は、好ましく
は、正常な肝機能、正常な腎機能、またはその両方を有する個体において評価される。

0102

理論によって束縛されるものではないが、本発明者らは、本開示のリポタンパク質複合
体の利益が、以前の治療と比較して複合体のより均一なサイズ分布および減少した量の損
傷されたタンパク質および/または脂質(例えば、酸化されたタンパク質、脱アミド化さ
れたタンパク質および酸化された脂質)に起因すると考える。さらに、脂質画分を含む負
に荷電したリン脂質は、本明細書に記載の複合体および組成物に、従来のリポタンパク質
複合体を超える改善された治療特性を付与すると考えられる。腎臓において分解される、
小さい円盤状のプレ−βHDL粒子と、そのコレステロールが貯蔵され、再利用され、代
謝され(胆汁酸として)、または排除される(胆汁中に)肝臓によって認識される、大き
い円盤状の、および/または球状のHDLとの鍵となる差異の1つは、粒子の電荷である
。小さい円盤状のプレ−βHDL粒子は、負に荷電した大きい円盤状の、および/または
球状のHDL粒子よりも低い負の表面電荷を有する。より高い負の電荷が、肝臓による粒
子の認識を誘発し、従って、腎臓による粒子の異化を回避する因子の1つであると考えら
れる。さらに、腎臓は荷電した粒子を容易に吸収しないことが示されている(Hackerら、
2009、Pharmacology: Principles and Practice、183を参照されたい)。かくして、一部
、荷電したリン脂質の存在のため、本明細書に記載の負に荷電したリポタンパク質複合体
および組成物は、従来のリポタンパク質複合体よりも長く循環中に留まるか、またはその
電荷は電荷依存的様式でリポタンパク質の半減期に影響すると考えられる。複合体が負の
電荷の結果として凝集し、存在するHDLと融合する速度および/または程度の低下と共
に、それらのより長い循環(滞留)時間は、コレステロール移動(コレステロールを蓄積
するより多くの時間を複合体に与えることによる)およびエステル化(LCATにエステ
ル化反応を触媒するより多くの時間を提供することによる)を容易にすると予想される。
電荷はまた、コレステロール捕捉および/または除去の速度を増加させ、それによって、
より大量のコレステロールの除去を容易にすることもできる。結果として、本明細書に記
載の負に荷電したリポタンパク質複合体および組成物は、副作用の減少と共に、投与する
のに必要な複合体および/または組成物が少なく、頻度も少ないため、従来のリポタンパ
ク質療法を超える治療的利益を提供することが期待される。

0103

従って、本明細書に提供される方法は一般に、治療上有効量のリポタンパク質複合体、
リポタンパク質複合体の集団、または本明細書に記載の医薬組成物を対象に投与して、脂
質異常障害を治療または予防することを含む。リポタンパク質複合体は、注射1回あたり
、約0.25mg/kgのApoA−I当量から約45mg/kgの範囲の用量、例えば
、約0.5mg/kg〜約30mg/kgまたは約1mg/kgのApoA−I当量から
最大で約15mg/kgのApoA−I当量の用量で投与することができる。この用量は
さらに、トリグリセリド、VLDL−コレステロールおよび/またはVLDL−トリグリ
セリドのレベルの増加を最小化する用量を選択することにより、治療される個体に合わせ
ることができる。特定の実施形態においては、用量は約3mg/kg、約6mg/kg、
または約12mg/kgである。

0104

前記方法は、5〜14日、または6〜12日の範囲の間隔、例えば、1または2週間の
間隔でリポタンパク質複合体を投与することをさらに含む。前記方法は、上記の任意の間
隔で、好ましくは1週間の間隔で、4、5、6、7、8、9、10、11、12、または
最大で52回、リポタンパク質複合体を投与することをさらに含んでもよい。例えば、一
実施形態においては、リポタンパク質複合体は、それぞれの投与の間に1週間の間隔で6
回投与される。慢性状態については、52回を超える投与を実行してもよい。場合により
、リポタンパク質複合体をより頻繁に投与する初期の誘導期により前記方法を進行させる
ことができる。

0105

複合体および/またはその医薬組成物を、非経口的に、例えば、静脈内に投与すること
ができる。静脈内投与は、約1〜約24時間、または約1〜4時間、約0.5〜2時間、
または約1時間の期間にわたる注入として行うことができる。

0106

以下の実施例は、30mg/kgと45mg/kgの用量の投与後にトリグリセリドレ
ベルの少しの増加を示し、これは高い程度のコレステロール移動の結果生じるVLDLお
よびLDLの増加により説明される。これらのパラメータは、標準的な脂質パネルを用い
病院実験室日常的に測定されるため、治療の間に制御することができる。以下の実
施例に基づいて、薬剤に対する患者の反応に応じたトリグリセリドおよびVLDL−コレ
ステロールおよびVLDL−トリグリセリドのレベルの増加を最小化するように用量の選
択を達成することができ、オーダーメイド医療が可能になる。

0107

複合体および/もしくは組成物を単独で(単剤療法として)投与するか、またはあるい
は、脂質異常症および/もしくはその関連する状態、疾患および/もしくは障害を治療お
よび/もしくは予防するのに有用な他の治療剤と共にそれらを補助的に投与することがで
きる。本明細書に記載の負に荷電したリポタンパク質複合体および組成物を補助的に投与
することができる治療剤の非限定例としては、胆汁酸結合樹脂、HMGCoA還元酵素
阻害剤(スタチン)、ナイアシン、樹脂、コレステロール吸収の阻害剤、血小板凝集阻害
剤、フィブラート、抗凝固剤CETP阻害剤(例えば、アナセトラピブおよびダルセト
ラピブ)、ならびに/またはPCSKG抗体もしくはリガンドが挙げられる。

図面の簡単な説明

0108

5.図面の簡単な説明
トプレプロアポリポタンパク質A−I(配列番号1;GenBank受託番号AAB59514.1)のアミノ酸配列を示す図である。太字で示すアミノ酸1〜18は、ApoA−Iのシグナル配列に対応し、下線付きのアミノ酸19〜24はプロペプチド配列に対応する。シグナル配列とプロペプチド両方とも、細胞中で切断されて、完全長成熟ヒトApoA−I(アミノ酸25〜267)が生成される。
ApoA−Iを発現する組換えS−CHO細胞の12日間のフェドバッチ培養におけるApoA−I力価を示す図である。世代0から世代43までの連続継代により、細胞を連続的に培養した。逆相HPLCにより、世代4、8、14、19、25、21、36および43においてApoA−I産生をモニターした。培養培地中のApoA−Iの量は、1259mg/Lから1400mg/Lまで変化した。
図3Aは、ApoA−Iを発現する組換えS−CHO細胞の200Lの13日培養における生細胞密度を示す。生細胞密度は9日目に33.20x105細胞/mLでピークに達し、92.5%の生存率であった。図3Bは、13日培養の培養培地中のApoA−Iの濃度を示す。培養培地中のApoA−Iの濃度は、12日目に約2mg/mLでピークに達した。
図3Aは、ApoA−Iを発現する組換えS−CHO細胞の200Lの13日培養における生細胞密度を示す。生細胞密度は9日目に33.20x105細胞/mLでピークに達し、92.5%の生存率であった。図3Bは、13日培養の培養培地中のApoA−Iの濃度を示す。培養培地中のApoA−Iの濃度は、12日目に約2mg/mLでピークに達した。
本明細書に記載の方法により精製されたApoA−IのSDSポリアクリルアミドゲルを示す図である。左手レーン分子量マーカーを示す。右手のレーンは、約28kDの分子量を有する精製されたApoA−Iを示す。
1:2.5(処方A;図5A)、1:2.7(処方B;図5B)、1:3.1(処方C;図5C)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM複合体、および1:2.7(処方D;図5D)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM/DPPC複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
1:2.5(処方A;図5A)、1:2.7(処方B;図5B)、1:3.1(処方C;図5C)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM複合体、および1:2.7(処方D;図5D)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM/DPPC複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
1:2.5(処方A;図5A)、1:2.7(処方B;図5B)、1:3.1(処方C;図5C)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM複合体、および1:2.7(処方D;図5D)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM/DPPC複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
1:2.5(処方A;図5A)、1:2.7(処方B;図5B)、1:3.1(処方C;図5C)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM複合体、および1:2.7(処方D;図5D)のタンパク質:脂質重量比のプロApoA−I/SM/DPPC複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および60分での処方Dのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および60分での処方Dのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および60分での処方Dのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および60分での処方Dのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および50分での処方Bのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および50分での処方Bのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および50分での処方Bのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、10、20、30および50分での処方Bのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、20、40、60および120分での処方Fのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、20、40、60および120分での処方Fのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、20、40、60および120分での処方Fのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、20、40、60および120分での処方Fのリポタンパク質複合体のHPLCクロマトグラムを示す図である。
プロApoA−IおよびSM(処方B)、48:48:4のSM:DPPC:DPPGwt:wt比を有するプロApoA−I、SM、DPPCおよびDPPG(処方F)、ならびに73:23:4のSM:DPPC:DPPG wt:wt比を有するプロApoA−I、SM、DPPCおよびDPPG(処方G)を含む、1:2.7のリポタンパク質:全リン脂質wt:wt比を有するリポタンパク質複合体の形成を例示する、時間に対するプレ−βHDL複合体形成を示す図である。
それぞれ、処方E、H、IおよびJのHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、処方E、H、IおよびJのHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、処方E、H、IおよびJのHPLCクロマトグラムを示す図である。
それぞれ、処方E、H、IおよびJのHPLCクロマトグラムを示す図である。
リポタンパク質複合体を作製するための例示的プロセスの概略図である。
非商業規模の熱サイクリング実行に用いられる例示的熱サイクリング装置を示す図である。
増加する数の熱サイクルを用いるSM/DPPG/ApoA−Iタンパク質複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。成分を、合計30分間(図13A)、60分間(図13B)、120分間(図13C)、180分間(図13D)または210分間(図13E)、それぞれの温度で5分間、57℃と37℃の間で熱サイクリングにかけた。
増加する数の熱サイクルを用いるSM/DPPG/ApoA−Iタンパク質複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。成分を、合計30分間(図13A)、60分間(図13B)、120分間(図13C)、180分間(図13D)または210分間(図13E)、それぞれの温度で5分間、57℃と37℃の間で熱サイクリングにかけた。
増加する数の熱サイクルを用いるSM/DPPG/ApoA−Iタンパク質複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。成分を、合計30分間(図13A)、60分間(図13B)、120分間(図13C)、180分間(図13D)または210分間(図13E)、それぞれの温度で5分間、57℃と37℃の間で熱サイクリングにかけた。
増加する数の熱サイクルを用いるSM/DPPG/ApoA−Iタンパク質複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。成分を、合計30分間(図13A)、60分間(図13B)、120分間(図13C)、180分間(図13D)または210分間(図13E)、それぞれの温度で5分間、57℃と37℃の間で熱サイクリングにかけた。
増加する数の熱サイクルを用いるSM/DPPG/ApoA−Iタンパク質複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。成分を、合計30分間(図13A)、60分間(図13B)、120分間(図13C)、180分間(図13D)または210分間(図13E)、それぞれの温度で5分間、57℃と37℃の間で熱サイクリングにかけた。
SM/ApoA−I複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
N−パルミトイル−4−ヒドロキシスフィンガニン−1−ホスホコリン(植物SMまたはフィトスフィンゴミエリンの一形態)/DPPG/ApoA−I複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
合成パルミトイルSM/DPPG/ApoA−I複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
フィトスフィンゴミエリン/DPPG/ApoA−I複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
SM/DPPC/DPPG/ApoA−Iペプチド複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
Malvern Instruments Zetasizer(Malvern Instruments Inc.)を用いる動的光散乱システムによる脂質粒子の特性評価を示す図である。図19Aにおいて、Z平均は84.49nmである(「84nm粒子」);図19Bにおいて、Z平均は76.76nmである(「77nm粒子」);図19Cにおいて、Z平均は66.21nmである(「66nm粒子」);および図19Dにおいて、Z平均は59.50nmである(「60nm粒子」)。
Malvern Instruments Zetasizer(Malvern Instruments Inc.)を用いる動的光散乱システムによる脂質粒子の特性評価を示す図である。図19Aにおいて、Z平均は84.49nmである(「84nm粒子」);図19Bにおいて、Z平均は76.76nmである(「77nm粒子」);図19Cにおいて、Z平均は66.21nmである(「66nm粒子」);および図19Dにおいて、Z平均は59.50nmである(「60nm粒子」)。
Malvern Instruments Zetasizer(Malvern Instruments Inc.)を用いる動的光散乱システムによる脂質粒子の特性評価を示す図である。図19Aにおいて、Z平均は84.49nmである(「84nm粒子」);図19Bにおいて、Z平均は76.76nmである(「77nm粒子」);図19Cにおいて、Z平均は66.21nmである(「66nm粒子」);および図19Dにおいて、Z平均は59.50nmである(「60nm粒子」)。
Malvern Instruments Zetasizer(Malvern Instruments Inc.)を用いる動的光散乱システムによる脂質粒子の特性評価を示す図である。図19Aにおいて、Z平均は84.49nmである(「84nm粒子」);図19Bにおいて、Z平均は76.76nmである(「77nm粒子」);図19Cにおいて、Z平均は66.21nmである(「66nm粒子」);および図19Dにおいて、Z平均は59.50nmである(「60nm粒子」)。
84nm(図20A)、77nm(図20B)、66nm(図20C)および60nm(図20D)の脂質粒子を用いる5回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
84nm(図20A)、77nm(図20B)、66nm(図20C)および60nm(図20D)の脂質粒子を用いる5回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
84nm(図20A)、77nm(図20B)、66nm(図20C)および60nm(図20D)の脂質粒子を用いる5回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
84nm(図20A)、77nm(図20B)、66nm(図20C)および60nm(図20D)の脂質粒子を用いる5回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
450nm(図21A)および40nm(図21B)の脂質粒子から出発する6回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
450nm(図21A)および40nm(図21B)の脂質粒子から出発する6回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図である。
65nmの脂質粒子から出発する6回の熱サイクル後の複合体のゲル浸透クロマトグラムを示す図であり、1回目のサイクルは37℃の「低温」で開始した。
本開示の方法により製造されたリポタンパク質複合体を商業的に有用な医薬組成物に製剤化することを含む、リポタンパク質複合体を含む医薬組成物を作製するための例示的実施形態の概略図である。
処方Bおよび処方Hに従うリポタンパク質複合体の注入後の血漿VLDL−総コレステロールレベルの増加を示す図である。処方H(■)および処方B(▼)に従うリポタンパク質複合体を、5mg/kgの用量で絶食させたウサギに注入した。3つの群に関する0.03〜0.3g/Lの範囲のベースライン値を差し引いて、血漿VLDL−総コレステロールレベルの増加を決定した。
処方Bおよび処方Hに従うリポタンパク質複合体の注入後の血漿トリグリセリドレベルの増加を示す図である。処方H(■)および処方B(▲)に従うリポタンパク質複合体を、5mg/kgの用量で絶食したウサギに注入した。3つの群に関する0.31〜0.71g/Lの範囲のベースライン値を差し引いて、血漿トリグリセリドレベルの増加を決定した。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgまたは20mg/kgの、およびウサギにおいては20mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●、▲)またはApoA−I/合成SM複合体(◆、▼)の注入後の血漿総コレステロール(図26A)、トリグリセリド(図26B)、リン脂質(図26C)およびApoA−I(図26D)の増加を示す図である。ベースライン値は、測定した様々な血漿脂質について、以下のような範囲であった:血漿コレステロールについては0.28〜0.4g/L、血漿トリグリセリドについては0.23〜0.29g/L、および血漿リン脂質については0.45〜0.61g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgまたは20mg/kgの、およびウサギにおいては20mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●、▲)またはApoA−I/合成SM複合体(◆、▼)の注入後の血漿総コレステロール(図26A)、トリグリセリド(図26B)、リン脂質(図26C)およびApoA−I(図26D)の増加を示す図である。ベースライン値は、測定した様々な血漿脂質について、以下のような範囲であった:血漿コレステロールについては0.28〜0.4g/L、血漿トリグリセリドについては0.23〜0.29g/L、および血漿リン脂質については0.45〜0.61g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgまたは20mg/kgの、およびウサギにおいては20mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●、▲)またはApoA−I/合成SM複合体(◆、▼)の注入後の血漿総コレステロール(図26A)、トリグリセリド(図26B)、リン脂質(図26C)およびApoA−I(図26D)の増加を示す図である。ベースライン値は、測定した様々な血漿脂質について、以下のような範囲であった:血漿コレステロールについては0.28〜0.4g/L、血漿トリグリセリドについては0.23〜0.29g/L、および血漿リン脂質については0.45〜0.61g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgまたは20mg/kgの、およびウサギにおいては20mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●、▲)またはApoA−I/合成SM複合体(◆、▼)の注入後の血漿総コレステロール(図26A)、トリグリセリド(図26B)、リン脂質(図26C)およびApoA−I(図26D)の増加を示す図である。ベースライン値は、測定した様々な血漿脂質について、以下のような範囲であった:血漿コレステロールについては0.28〜0.4g/L、血漿トリグリセリドについては0.23〜0.29g/L、および血漿リン脂質については0.45〜0.61g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●)およびApoA−I/合成SM複合体(◆)のウサギにおける注入後の血漿HDL−総コレステロール(図27A)、LDL−総コレステロール(図27B)、およびVLDL−総コレステロール(図27C)の増加を示す図である。ベースライン値は以下のような範囲であった:血漿HDL−総コレステロールについては0.20〜0.31g/L、血漿LDL−総コレステロールについては0.06〜0.09g/L、および血漿VLDL−総コレステロールについては0.007〜0.011g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●)およびApoA−I/合成SM複合体(◆)のウサギにおける注入後の血漿HDL−総コレステロール(図27A)、LDL−総コレステロール(図27B)、およびVLDL−総コレステロール(図27C)の増加を示す図である。ベースライン値は以下のような範囲であった:血漿HDL−総コレステロールについては0.20〜0.31g/L、血漿LDL−総コレステロールについては0.06〜0.09g/L、および血漿VLDL−総コレステロールについては0.007〜0.011g/L。
希釈剤(■)と比較した、5mg/kgのApoA−I/卵SM複合体(●)およびApoA−I/合成SM複合体(◆)のウサギにおける注入後の血漿HDL−総コレステロール(図27A)、LDL−総コレステロール(図27B)、およびVLDL−総コレステロール(図27C)の増加を示す図である。ベースライン値は以下のような範囲であった:血漿HDL−総コレステロールについては0.20〜0.31g/L、血漿LDL−総コレステロールについては0.06〜0.09g/L、および血漿VLDL−総コレステロールについては0.007〜0.011g/L。

0109

6.詳細な説明
本開示は、リポタンパク質複合体を作製する方法と共に、リポタンパク質複合体、そ
の集団を提供する。この複合体、ならびにその集団および組成物(例えば、医薬組成物)
は、特に、脂質異常症ならびに/または脂質異常症と関連する疾患、障害および/もしく
は状態の治療および/または予防にとって有用である。発明の概要の節で考察された通り
、リポタンパク質複合体は、好ましくは、規定の重量比またはモル比の2つの主要な画分
、アポリポタンパク質画分およびリン脂質画分を含み、好ましくは、特定の量の中性リン
脂質および場合により、1つまたは複数の負に荷電したリン脂質を含む。

0110

6.1.タンパク質画分
本開示は、タンパク質画分を含むリポタンパク質複合体を提供する。本開示は、リポタ
ンパク質複合体を作製する方法をさらに提供する。リポタンパク質複合体のタンパク質成
分は、本発明の方法における成功にとって重要ではない。治療的および/または予防的利
益を提供する、実質的に任意の脂質結合タンパク質、例えば、アポリポタンパク質および
/またはその誘導体もしくは類似体を、複合体中に含有させることができる。さらに、ア
ポリポタンパク質(例えば、ApoA−Iなど)がLCATを活性化するか、または脂質
と結合した場合に円盤状粒子を形成することができるという点で、その活性を「模倣」す
る任意のα−へリックスペプチドもしくはペプチド類似体、または任意の他の型の分子を
、リポタンパク質複合体中に含有させることができ、用語「脂質結合タンパク質」により
包含される。

0111

6.1.1.脂質結合タンパク質
本開示は、例えば、リポタンパク質複合体を作製するのに用いるための、組換え産生さ
れたタンパク質を精製する方法をさらに提供する。組換え産生されたタンパク質は、最も
好適にはアポリポタンパク質である。好適なタンパク質としては、好ましくは成熟形態の
、アポリポタンパク質ApoA−I、ApoA−II、ApoA−IV、ApoA−Vお
よびApoEが挙げられる。脂質結合タンパク質もまた、活性な多型、アイソフォーム、
変異体および突然変異体ならびにトランケートされた形態の前記アポリポタンパク質であ
り、最も一般的にはアポリポタンパク質A−IMilano(ApoA−IM)、アポリ
ポタンパク質A−IParis(ApoA−IP)およびアポリポタンパク質A−IZa
ragoza(ApoA−IZ)である。システイン残基を含有するアポリポタンパク質
突然変異体も公知であり、用いることもできる(例えば、米国特許出願公開第2003/
0181372号を参照されたい)。アポリポタンパク質は、単量体または二量体の形態
にあってよく、二量体はホモ二量体またはヘテロ二量体であってもよい。例えば、Apo
A−I(Duvergerら、1996、Arterioscler. Thromb. Vasc. Biol. 16(12): 1424-29)、
ApoA−IM(Franceschiniら、1985、J. Biol. Chem. 260: 1632-35)、ApoA−
IP(Daumら、1999、J. Mol. Med. 77:614-22)、ApoA−II(Shelnessら、1985、
J. Biol. Chem. 260(14):8637-46; Shelnessら、1984、J. Biol. Chem. 259(15):9929-35
)、ApoA−IV(Duvergerら、1991、Euro. J. Biochem. 201(2):373-83)、Apo
E(McLeanら、1983、J. Biol. Chem. 258(14):8993-9000)、ApoJおよびApoHの
ホモおよびヘテロ二量体(実現可能である場合)を用いることができる。アポリポタンパ
ク質は、アポリポタンパク質が複合体中に含まれた場合にいくらかの生物活性を保持する
限り、Hisタグなどのその単離を容易にするエレメント、または他の目的のために設計
された他のエレメントに対応する残基を含んでもよい。

0112

そのようなアポリポタンパク質を、動物起源(および特に、ヒト起源)から精製するか
、または当技術分野で周知であるように組換え産生することができる。例えば、Chungら
、1980、J. Lipid Res. 21(3):284-91;Cheungら、1987、J. Lipid Res. 28(8):913-29を
参照されたい。また、米国特許第5,059,528号、第5,128,318号、第6
,617,134号;米国特許出願公開第20002/0156007号、第2004/
0067873号、第2004/0077541号、および第2004/0266660
号;ならびにPCT出願公開第WO/2008/104890号および第WO/2007
/023476号も参照されたい。例えば、以下の第6.1.3節および第6.1.4節
に記載のような、他の精製方法も可能である。

0113

アポリポタンパク質に対応するペプチドおよびペプチド類似体、ならびに本明細書に記
載の複合体および組成物中のアポリポタンパク質としての使用にとって好適であるApo
A−I、ApoA−IM、ApoA−II、ApoA−IVおよびApoEの活性を模倣
するアゴニストの非限定例は、米国特許第6,004,925号、第6,037,323
号および第6,046,166号(Dasseuxらに対して発行された)、米国特許第5,8
40,688号(Tsoに対して発行された)、米国特許出願公開第2004/02666
71号、第2004/0254120号、第2003/0171277号および第200
3/0045460号(Fogelmanに対して)、米国特許出願公開第2003/00878
19号(Bielickiに対して)ならびにPCT出願公開第WO/2010/093918号
(Dasseuxらに対して)に開示されており、それらの開示はその全体が参照により本明細
書に組み込まれる。これらのペプチドおよびペプチド類似体は、L−アミノ酸またはD−
アミノ酸またはL−およびD−アミノ酸の混合物から構成されていてもよい。それらはま
た、1つまたは複数の周知のペプチド/アミドイソスターなどの、1つまたは複数の非ペ
プチドまたはアミド結合を含んでもよい。そのような「ペプチドおよび/またはペプチド
模倣性」アポリポタンパク質を、例えば、米国特許第6,004,925号、第6,03
7,323号および第6,046,166号に記載の技術などの、当技術分野で公知のペ
プチド合成のための任意の技術を用いて合成または製造することができる。

0114

複合体は、同じか、または異なる種から誘導することができる、単一の型の脂質結合タ
ンパク質、または2つ以上の異なる脂質結合タンパク質の混合物を含んでもよい。必要で
はないが、療法に対する免疫応答を誘導するのを回避するために、リポタンパク質複合体
は、好ましくは、治療される動物種から誘導されるか、またはアミノ酸配列において治療
される動物種に対応する脂質結合タンパク質を含む。かくして、ヒト患者の治療のために
は、ヒト起源の脂質結合タンパク質が、本開示の複合体中で好ましく用いられる。ペプチ
ド模倣性アポリポタンパク質の使用もまた、免疫応答を減少させるか、または回避するこ
とができる。

0115

特定の好ましい実施形態においては、脂質結合タンパク質は、成熟ヒトApoA−Iタ
ンパク質に対して少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク
質、例えば、配列番号1の25〜267位に対応するアミノ酸配列を有するタンパク質で
ある。特定の実施形態においては、成熟ヒトApoA−Iタンパク質は、配列番号1の2
5〜267位に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または
少なくとも99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態にお
いては、成熟ヒトApoA−Iタンパク質は、1位(すなわち、配列番号1の25位に対
応する位置)にアスパラギン酸を有するアミノ酸配列を有する。特定の実施形態において
は、成熟ヒトApoA−Iタンパク質は、配列番号1の25〜267位に対応するアミノ
酸配列を有する。好ましい実施形態においては、ApoA−Iタンパク質は、哺乳動物宿
主細胞、最も好ましくは、以下の小節に記載のチャイニーズハムスター卵巣(「CHO」
)細胞中で組換え産生される。

0116

6.1.2.アポリポタンパク質の組換え発現
本開示は、ApoA−Iなどの脂質結合タンパク質を製造するための組換え発現方法
および関連する核酸、哺乳動物宿主細胞、細胞培養物を提供する。得られる組換え脂質結
合タンパク質を精製し、および/または本明細書に記載のリポタンパク質複合体中に組み
込むことができる。

0117

一般に、組換え産生のためには、脂質結合タンパク質またはペプチドをコードするポリ
ヌクレオチド配列を、好適な発現ビヒクル、すなわち、挿入されるコード配列転写およ
び翻訳のための必要なエレメント、またはRNAウイルスベクターの場合、複製および翻
訳のための必要なエレメントを含有するベクター中に挿入する。発現ベクターは、アデノ
ウイルス、アデノ随伴ウイルスヘルペスウイルスレトロウイルスまたはレンチウイル
スなどのウイルスから誘導することができる。次いで、発現ビヒクルを、タンパク質また
はペプチドを発現する好適な標的細胞中にトランスフェクトする。好適な宿主細胞として
は、限定されるものではないが、細菌種バキュロウイルス系などの哺乳動物または昆虫
宿主細胞系(例えば、Luckowら、Bio/Technology、6、47 (1988)を参照されたい)、およ
び確立された細胞系、例えば、293、COS−7、C127、3T3、CHO、HeL
a、BHKなどが挙げられる。次いで、用いられる発現系に応じて、発現されるペプチド
を当技術分野でよく確立された手順により単離する。組換えタンパク質およびペプチド産
生のための方法は、当技術分野で周知である(例えば、Sambrookら、1989、Molecular Cl
oning A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.;およびAusubelら
、1989、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Publishing Associates and
Wiley Interscience、N.Y.(それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる)
を参照されたい)。

0118

ApoA−Iが脂質結合タンパク質である場合、ApoA−Iタンパク質はApoA−
Iをコードする組換えヌクレオチド配列から発現される。いくつかの実施形態においては
、ApoA−Iをコードするヌクレオチド配列はヒトである。ヒトApoA−Iヌクレオ
チド配列の非限定例は、米国特許第5,876,968号;第5,643,757号;お
よび第5,990,081号、ならびにWO96/37608に開示されており、その開
示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定の実施形態においては、ヌクレ
オチド配列は、好ましくは、宿主細胞からのApoA−Iの分泌のためのシグナル配列(
例えば、配列番号1のアミノ酸1〜18)および/またはプロタンパク質配列(例えば、
配列番号1のアミノ酸19〜25)に機能し得る形で連結された、成熟ApoA−Iタン
パク質のアミノ酸配列をコードする。ApoA−Iの分泌を指令するのに好適な他のシグ
ナル配列は、ApoA−Iにとって異種であってもよく、例えば、ヒトアルブミンシグナ
ルペプチドもしくはヒトIL−2シグナルペプチドであってもよく、またはApoA−I
と同種であってもよい。

0119

好ましくは、ヌクレオチド配列は、成熟ヒトApoA−Iポリペプチド、例えば、配列
番号1の25〜267位に対応するアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%
、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列
を有するポリペプチドをコードし、場合により、そのアミノ酸配列は25位にアスパラ
ン酸を含む。好ましい実施形態においては、ヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸
配列を有するポリペプチドをコードする。ヌクレオチド配列はまた、GenBank受託
番号NP_000030、AAB59514、P02647、CAA30377、AAA
51746またはAAH05380.1の1つに記載のヒトApoA−Iタンパク質のア
ミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98
%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしても
よく、場合により、成熟ヒトApoA−Iタンパク質の1番目のアミノ酸に対応する位置
にアスパラギン酸を含む。

0120

ApoA−Iをコードするポリヌクレオチドを、組換え宿主細胞中での発現のためにコ
ドン最適化することができる。好ましい宿主細胞は、哺乳動物宿主細胞、例えば、限定さ
れるものではないが、チャイニーズハムスター卵巣細胞(例えば、CHO−K1;ATC
C番号CCL61;CHO−S(GIBCO Life Technologies I
nc.,Rockville、MD、カタログ番号11619012))、VERO細胞
、BHK(ATCC番号CRL1632)、BHK570(ATCC番号CRL1031
4)、HeLa細胞、COS−1(ATCC番号CRL1650)、COS−7(ATC
C番号CRL1651)、MDCK細胞、293細胞(ATCC番号CRL1573;Gr
ahamら、J. Gen. Virol. 36:59-72、1977)、3T3細胞、ミエローマ細胞(特に、マウ
ス)、PC12細胞およびW138細胞である。特定の実施形態においては、CHO−S
細胞(Invitrogen(商標)、Carlsbad CA)などの哺乳動物細胞
無血清培地中での増殖のために適合させる。さらなる好適な細胞系が当技術分野で公知
であり、American Type Culture Collection、Man
assas、Vaなどの公共預託機関から入手可能である。

0121

ApoA−Iの組換え発現のために、ApoA−Iをコードするポリヌクレオチドを、
1つまたは複数の制御配列、例えば、対象の宿主細胞中でのApoA−Iの発現を調節す
るプロモーターまたはターミネーターに機能し得る形で連結する。制御配列は、ApoA
−Iをコードする配列にとって天然のものであるか、または外来のものであってもよく、
また、ApoA−Iが発現される宿主細胞にとって天然のものであるか、または外来のも
のであってよい。制御配列としては、限定されるものではないが、プロモーター、リボ
ーム結合部位リーダーポリアデニル化配列、プロペプチド配列、シグナルペプチド配
列、および転写ターミネーターが挙げられる。いくつかの実施形態においては、制御配列
は、プロモーター、リボソーム結合部位、ならびに転写および翻訳停止シグナルを含む。
また、制御配列は、制御配列と、ApoA−Iをコードするヌクレオチド配列のコード領
域とのライゲーションを容易にする特定の制限部位を導入するための1つまたは複数のリ
ンカーを含んでもよい。

0122

ApoA−Iの組換え発現を駆動するプロモーターは、構成的プロモーター、調節プロ
モーター、または誘導性プロモーターであってよい。好適なプロモーター配列を、宿主細
胞に対して内因性であるか、または異種である細胞外または細胞内ポリペプチドをコード
する遺伝子から取得することができる。様々な強度のプロモーターの単離、同定および操
作のための方法が当技術分野で利用可能であるか、または当技術分野から容易に適合させ
ることができる。例えば、Nevoigtら(2006) Appl. Environ. Microbiol. 72:5266-5273(
その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。

0123

1つまたは複数の制御配列を、ウイルス起源から誘導することができる。例えば、特定
の態様においては、プロモーターはポリオーマまたはアデノウイルス主要後期プロモータ
ーから誘導される。他の態様においては、プロモーターは、SV40のウイルス複製起点
も含有する断片として取得することができるサルウイルス40(SV40)(Fiersら、1
978、Nature、273: 113-120)、またはサイトメガロウイルスから誘導され、例えば、サ
ルサイトメガロウイルス極初期プロモーターである(米国特許第4,956,288号を
参照されたい)。他の好適なプロモーターとしては、メタロチオネイン遺伝子に由来する
ものが挙げられる(米国特許第4,579,821号および第4,601,978号を参
照されたい)。

0124

また、組換えApoA−I発現ベクターも本明細書で提供される。組換え発現ベクター
は、組換え宿主細胞中での異種ApoA−Iの発現を容易にするための組換えDNA技術
により操作することができる任意のベクター、例えば、プラスミドまたはウイルスであっ
てよい。発現ベクターは、組換え宿主細胞の染色体中に組み込むことができ、ApoA−
Iの産生にとって有用な1つまたは複数の制御配列に機能し得る形で連結された1つまた
は複数の異種遺伝子を含む。他の実施形態においては、発現ベクターは、染色体外複製D
NA分子、例えば、低コピー数(例えば、ゲノム当量あたり約1〜約10コピー)または
コピー数(例えば、ゲノム当量あたり約10コピーを超える)のいずれかで見い出され
る線状または閉環状プラスミドである。様々な実施形態において、発現ベクターは、該ベ
クターを含む組換え宿主生物に対して抗生物質耐性(例えば、アンピシリンカナマイ
ン、クロラムフェニコールまたはテトラサイクリン耐性)を付与する遺伝子などの、選択
可能なマーカーを含む。特定の態様においては、DNA構築物、ベクターおよびポリヌク
レオチドは、哺乳動物細胞中でのApoA−Iの発現にとって好適である。哺乳動物細胞
中でのApoA−Iの発現のためのベクターは、宿主細胞系と適合する複製起点、プロモ
ーターおよび任意の必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位ポリアデニル化
部位、ならびに転写ターミネーター配列を含んでもよい。いくつかの態様においては、複
製起点は宿主細胞に対して異種であり、例えば、ウイルス起源のものである(例えば、S
V40、ポリオーマ、アデノ、VSV、BPV)。他の態様においては、複製起点は、宿
主細胞染色体複製機構により提供される。

0125

哺乳動物宿主細胞に外来DNAを導入するための方法、試薬および道具は当技術分野で
公知であり、限定されるものではないが、リン酸カルシウム媒介性トランスフェクション
(Wiglerら、1978、Cell 14:725; Corsaroら、1981、Somatic Cell Genetics 7:603; Gra
hamら、1973、Virology 52:456)、エレクトロポレーション(Neumannら、1982、EMBO J.
1 : 841-5)、DEAEデキストラン媒介性トランスフェクション(Ausubelら(編)
、Short Protocols in Molecular Biology、第3版(John Wiley & Sons 1995))、および
リポソーム媒介性トランスフェクション(Hawley-Nelsonら、1993、Focus 15:73;Ciccar
oneら、1993、Focus 15:80)が挙げられる。

0126

高収率産生のためには、ApoA−Iの安定な発現が好ましい。例えば、宿主細胞に外
来DNAを導入した後、宿主細胞を富化培地中で1〜2日間増殖させた後、選択培地に切
替えることができる。ウイルス複製起点を含有する発現ベクターを用いるよりもむしろ
、宿主細胞を、好適な発現制御エレメントおよび選択可能なマーカーにより制御されるA
poA−Iコード配列を含むヌクレオチド配列を含むベクターで形質転換することができ
る。ベクター中の選択可能なマーカーは、選択に対する耐性を付与し、細胞がその染色体
中にベクターを安定に組み込み、増殖巣を形成するように増殖し、次いで、クローニング
し、細胞系中で増殖させることができる。いくつかの選択系を用いることができ、限定さ
れるものではないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wiglerら、1977、Cell 1
1 : 223)、ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Szybalska &
Szybalski、1962、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48: 2026)、およびアデニンホスホリ
シルトランスフェラーゼ(Lowyら、1980、Cell 22: 817)遺伝子を、それぞれtk−、
hgprt−またはaprt−細胞中で用いることができる。また、例えば、メトトレ
サートに対する耐性を付与するdhfr(Wiglerら、1980、Natl. Acad. Sci. USA 77: 3
567;O'Hareら、1981、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78: 1527);ミコフェノール酸に対
する耐性を付与するgpt(Mulligan & Berg、1981、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:
2072);アミノグリコシドG−418に対する耐性を付与するneo(Colberre-Garapin
ら、1981、J. Mol. Biol. 150: 1);および/またはヒグロマイシンに対する耐性を付与
するhyg(Santerreら、1984、Gene 30: 147)を用いることにより、選択の基礎として
代謝拮抗物質耐性を用いることができる。

0127

宿主細胞ゲノム中に組み込まれるレトロウイルスベクターを用いて、安定な高収率の発
現を達成することもできる(例えば、米国特許出願公開第2008/0286779号お
よび第2004/0235173号を参照されたい)。あるいは、例えば、WO1994
/012650に記載のような、選択された哺乳動物細胞のゲノムDNA中の内因性Ap
oA−I遺伝子の発現を活性化し、それを増幅することを必要とする、遺伝子活性化方法
により、ApoA−Iの安定な高収率の発現を達成することができる。ApoA−I遺伝
子(ApoA−Iコード配列および1つまたは複数の制御エレメントを含有する)のコピ
ー数の増加は、ApoA−Iの高収率発現を容易にすることができる。好ましくは、Ap
oA−Iが発現される哺乳動物宿主細胞は、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4
、または少なくとも5のApoA−I遺伝子コピー指数を有する。特定の実施形態におい
ては、ApoA−Iが発現される哺乳動物宿主細胞は、少なくとも6、少なくとも7、少
なくとも8、少なくとも9、または少なくとも10のApoA−I遺伝子コピー指数を有
する。

0128

特定の実施形態においては、哺乳動物細胞を、少なくとも0.5g/L、少なくとも1
g/L、少なくとも1.5g/L、少なくとも2g/L、少なくとも2.5g/L、少な
くとも3g/L、少なくとも3.5g/L、および場合により、最大で4g/L、最大で
4.5g/L、最大で5g/L、最大で5.5g/L、または最大で6g/Lの量のAp
oA−Iを産生するように適合させる。哺乳動物宿主細胞は、好ましくは、培養物中に少
なくとも約0.5、1、2もしくは3g/LのApoA−Iおよび/または培養物中に最
大で約20g/LのApoA−I、例えば、培養物中に最大で4、5、6、7、8、9、
10、12または15g/LのApoA−Iを産生することができる。

0129

特定の実施形態においては、哺乳動物細胞を、無血清培地中での増殖のために適合させ
る。これらの実施形態においては、ApoA−Iは細胞から分泌される。他の実施形態に
おいては、ApoA−Iは細胞から分泌されない。

0130

本明細書で提供される哺乳動物宿主細胞を用いて、ApoA−Iを産生させることがで
きる。一般に、前記方法は、ApoA−Iが発現される条件下で本明細書に記載の哺乳動
物宿主細胞を培養することを含む。さらに、前記方法は、哺乳動物細胞培養物の上清から
成熟ApoA−Iを回収し、場合により精製することを含んでもよい。

0131

培養培地、温度、pHなどの培養条件を、培養される哺乳動物宿主細胞および選択され
る培養の様式(振とうフラスコバイオリアクタローラーボトルなど)に適合させるこ
とができる。哺乳動物細胞を、大規模バッチ培養、連続または半連続培養中で増殖させる
ことができる。

0132

また、本明細書に記載の複数のApoA−Iを産生する哺乳動物宿主細胞を含む哺乳動
物細胞培養物も本明細書に提供される。いくつかの実施形態においては、哺乳動物細胞培
養物は、少なくとも0.5g/L、少なくとも1g/L、少なくとも1.5g/L、少な
くとも2g/L、少なくとも2.5g/L、少なくとも3g/L、少なくとも3.5g/
L、および場合により、最大で4g/L、最大で4.5g/L、最大で5g/L、最大で
5.5g/L、または最大で6g/LのApoA−Iを含む。培養物は、約150mL〜
約500mLの範囲、1L、10L、15L、50L、100L、200L、250L、
300L、350L、400L、500L、750L、1000L、1500L、200
0L、2500L、3000L、5000L、7500L、10000L、15000L
、20000L、25000L、50000L以上の任意の規模のものであってよい。い
くつかの例においては、培養物は、大規模培養物、例えば、15L、20L、25L、3
0L、50L、100L、200L、300L、500L、1000L、5000L、1
0000L、15000L、20000L、25000L、最大で50000L以上であ
る。

0133

6.1.3.アポリポタンパク質の精製
本開示は、本明細書に記載のリポタンパク質複合体およびその組成物を作製するのに有
用である、高度に精製されたアポリポタンパク質を取得する方法に関する。この方法は、
限定されるものではないが、ApoA−I、−II、−IIIまたは−IV;ApoB4
8およびApoB100;ApoC−I、−II、−IIIまたは−IV;ApoD;A
poE、ApoH;ApoJなどの任意のアポリポタンパク質に適用することができる。
より具体的には、本開示は、高度に精製されたApoA−Iを取得する方法に関する。い
くつかの実施形態においては、ApoA−Iは、限定されるものではないが、Genba
nk受託番号NP_000030、AAB59514、P02647、CAA30377
、AAA51746およびAAH05380.1に記載の配列から選択される配列を有す
ヒトタンパク質である。特定の実施形態においては、ApoA−Iは、第6.1.2節
で上記されたヒトタンパク質である。他の実施形態においては、本開示の方法を用いて、
非ヒト動物(例えば、米国特許出願公開第2004/0077541号)、例えば、ウシ
ウマヒツジ、サル、ヒヒヤギ、ウサギ、イヌハリネズミアナグマ、マウス、ラ
ット、ネコモルモットハムスター、アヒルニワトリサケおよびウナギ(Brouille
tteら、2001、Biochim. Biophys. Acta. 1531 :4-46;Yuら、1991、Cell Struct. Funct.
16(4):347-55;ChenおよびAlbers、1983、Biochim Biophys Acta. 753(l):40-6;Luoら
、1989、J Lipid Res. 30(11): 1735-46;Blatonら、1977、Biochemistry 16:2157-63;S
parrowら、1995、J Lipid Res. 36(3):485-95;Beaubatieら、1986、J. Lipid Res. 27:
140-49;Januzziら、1992、Genomics 14(4): 1081-8;GoulinetおよびChapman、1993、J.
Lipid Res. 34(6):943-59; Colletら、1997、J Lipid Res. 38(4):634-44;ならびにFra
nkおよびMarcel、2000、J. Lipid Res. 41(6):853-72)から得られるApoA−Iを精製
することができる。

0134

本明細書に開示される方法により精製することができるApoA−Iタンパク質の例と
しては、限定されるものではないが、プレプロアポリポタンパク質形態のApoA−I、
プロおよび成熟形態のApoA−I、および活性な多型体、アイソフォーム、変異体およ
び突然変異体ならびにトランケートされた形態、例えば、ApoA−IM、ApoA−I
Z、およびApoA−IPが挙げられる。ApoA−IMは、ApoA−IのR173C
分子変異体である(例えば、Paroliniら、2003、J Biol Chem. 278(7):4740-6;Calabres
iら、1999、Biochemistry 38: 16307-14;およびCalabresiら、1997、Biochemistry 36:
12428-33を参照されたい)。ApoA−IPは、ApoA−IのR151C分子変異体で
ある(例えば、Daumら、1999、J Mol Med. 77(8):614-22を参照されたい)。ApoA−I
Zは、ApoA−IのL144R分子変異体である(Recaldeら、2001、Atherosclerosis
154(3):613-623;Fiddymentら、2011、Protein Expr. Purif. 80(1): 110-116を参照さ
れたい)。システイン残基を含有するアポリポタンパク質A−I突然変異体も公知であり
、本明細書に記載の方法により精製することもできる(例えば、米国特許出願公開第20
03/0181372号を参照されたい)。本明細書に記載の方法における使用のための
ApoA−Iは、単量体、ホモ二量体、またはヘテロ二量体の形態にあってもよい。例え
ば、調製することができるプロおよび成熟ApoA−Iのホモおよびヘテロ二量体として
は、特に、ApoA−I(Duvergerら、1996、Arterioscler Thromb Vasc Biol. 16(12):
1424-29)、ApoA−IM(Franceschiniら、1985、J Biol Chem. 260: 1632-35)、
およびApoA−IP(Daumら、1999、J Mol Med. 77:614-22)が挙げられる。

0135

本明細書に記載の精製方法は、当業者にとって都合の良い任意の規模で実施することが
できる。

0136

いくつかの態様においては、本明細書に記載の方法により精製することができるApo
A−Iタンパク質は、配列番号1のアミノ酸25〜267と少なくとも75%同一、少な
くとも80%同一、少なくとも85%同一、少なくとも90%同一、少なくとも91%同
一、少なくとも92%同一、少なくとも93%同一、少なくとも94%同一、少なくとも
95%同一、少なくとも96%同一、少なくとも97%同一、少なくとも98%同一、少
なくとも99%同一または少なくとも100%同一であるアミノ酸配列を有する。

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