図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (5)

課題

動脈硬化性疾患を予防するための組成物を提供することを課題とする。また、血小板凝集を抑制する組成物を提供することを課題とする。さらには、血栓の形成を抑制するための組成物を提供することを課題とする。また、別の課題として動脈硬化性疾患を予防するための候補物質スクリーニングするための実験動物、又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするための実験動物を提供する。

解決手段

ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNA生体内発現可能なポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物を提供する。

概要

背景

ファビンは、coiled-coil domain containing 3 (Ccdc3)ともよばれ、大動脈及び脂肪組織に強く発現する分泌タンパク質である。ファビンの遺伝子発現は、肥満を伴うマウス、及び糖尿病を有するマウスの脂肪組織において、正常の脂肪組織と比較して上昇することが知られている(非特許文献1)。

また、ファビン遺伝子を過剰発現した脂肪細胞では、細胞内への脂質の蓄積が増加することが報告されている(非特許文献2)。さらに、ファビン遺伝子を欠失させたマウス(以下、「FavineKOマウス」)の脂肪細胞では、脂肪の蓄積が抑制され、加齢に伴う肝臓への脂肪の蓄積も抑制されることが報告されている(非特許文献2)。

ヒトにおいても、被検者内臓脂肪組織におけるファビンの発現量は、前記被検者の腹囲及びボディマス指数(BMI)と相関することが報告されている(非特許文献3)。
これらの実験データから、ファビンは脂質蓄積因子であると考えられている(非特許文献2)。

概要

動脈硬化性疾患を予防するための組成物を提供することを課題とする。また、血小板凝集を抑制する組成物を提供することを課題とする。さらには、血栓の形成を抑制するための組成物を提供することを課題とする。また、別の課題として動脈硬化性疾患を予防するための候補物質スクリーニングするための実験動物、又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするための実験動物を提供する。ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNA生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む組成物を提供する。アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物を提供する。なし

目的

本発明は、動脈硬化性疾患を予防するための組成物を提供することを課題とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNA生体内発現可能なポリヌクレオチドを含む、動脈硬化性疾患を予防するための組成物

請求項2

動脈硬化性疾患が、動脈硬化症虚血性心疾患虚血性脳疾患、又は虚血性腸疾患である、請求項1に記載の組成物。

請求項3

ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNAを生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む、血小板凝集を抑制するための組成物。

請求項4

ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNAを生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む、血栓形成を予防するための組成物。

請求項5

動脈硬化性疾患を予防するための候補物質、及び/又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするための、アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物

請求項6

アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物を、動脈硬化性疾患を予防するための候補物質、及び/又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするために使用する、方法。

技術分野

背景技術

0002

ファビンは、coiled-coil domain containing 3 (Ccdc3)ともよばれ、大動脈及び脂肪組織に強く発現する分泌タンパク質である。ファビンの遺伝子発現は、肥満を伴うマウス、及び糖尿病を有するマウスの脂肪組織において、正常の脂肪組織と比較して上昇することが知られている(非特許文献1)。

0003

また、ファビン遺伝子を過剰発現した脂肪細胞では、細胞内への脂質の蓄積が増加することが報告されている(非特許文献2)。さらに、ファビン遺伝子を欠失させたマウス(以下、「FavineKOマウス」)の脂肪細胞では、脂肪の蓄積が抑制され、加齢に伴う肝臓への脂肪の蓄積も抑制されることが報告されている(非特許文献2)。

0004

ヒトにおいても、被検者内臓脂肪組織におけるファビンの発現量は、前記被検者の腹囲及びボディマス指数(BMI)と相関することが報告されている(非特許文献3)。
これらの実験データから、ファビンは脂質蓄積因子であると考えられている(非特許文献2)。

先行技術

0005

S. Kobayashi et al. ; Biochemical and Biophysical Research Communications Vol. 392, p. 29-35,2010
S. Kobayashi et al. ; The Journal of Biological Chemistry Vol. 290, No. 12, p. 7443-7451, 2015
S. Ugi et al. ; Obesity Vol 22, No. 4, p.1070-1077, 2014

発明が解決しようとする課題

0006

肥満や糖尿病では、動脈硬化を伴うことが多い。動脈硬化は心筋梗塞脳梗塞等の虚血性疾患の原因となる。虚血性疾患は、動脈内に形成された粥腫部位に血栓が形成されることに起因して発症することが多い。このため、動脈硬化の発症、又は進行を抑制するか、血栓の形成を抑制することが虚血性疾患の予防に貢献する。

0007

本発明は、動脈硬化性疾患を予防するための組成物を提供することを課題とする。また、血小板凝集を抑制する組成物を提供することを課題とする。さらには、血栓の形成を抑制するための組成物を提供することを課題とする。また、別の課題として動脈硬化性疾患を予防するための候補物質スクリーニングするための実験動物、又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするための実験動物を提供することを含む。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、ファビンに動脈硬化の進行を抑制する作用があることを見出した。また、ファビンに血小板凝集を抑制する作用があることを見出した。
本発明は、当該知見に基づいて完成されたものであり、以下の態様を含む。

0009

項1.ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNA生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む、動脈硬化性疾患を予防するための組成物。
項2.動脈硬化性疾患が、動脈硬化症虚血性心疾患虚血性脳疾患、又は虚血性腸疾患である、項1に記載の組成物。
項3.ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNAを生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む、血小板凝集を抑制するための組成物。
項4.ファビンタンパク質を含む、又はファビンタンパク質をコードするcDNAを生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む、血栓形成を予防するための組成物。
項5.動脈硬化性疾患を予防するための候補物質、及び/又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするための、アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物。
項6.アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物を、動脈硬化性疾患を予防するための候補物質、及び/又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするために使用する、方法。
項7.アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物に被験物質投与する工程;及び前記被験物質を投与した実験動物における動脈硬化の程度を、被験物質を投与していない対照の動脈硬化の程度と比較し、被験物質の効果を評価する工程を含む、動脈硬化性疾患を予防するための候補物質をスクリーニングする方法。
項8.アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物に被験物質を投与する工程;及び前記被験物質を投与した実験動物における血栓形成の程度を、被験物質を投与していない対照における血栓形成の程度と比較し、被験物質の効果を評価する工程を含む、血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングする方法。

発明の効果

0010

本発明によれば、動脈硬化性疾患を予防することができる。また、血小板凝集を抑制することができる。さらに血栓形成を予防することができる。

図面の簡単な説明

0011

Mus musculus(配列番号1)、Rattus norvegicus(配列番号2)、Homo sapiens(配列番号3)、Danio rerio(配列番号4)及びXenopus tropicalis(配列番号5)のファビンタンパク質のアラインメントを示す。図中下線は、小胞体移行シグナル配列を示す。枠で囲まれた部分は、コイルド−コイルドメインを示す。
図2Aは、ApoEKOマウスのオイルレッドO染色像を示す。図2Bは、ApoE/Favine DKOマウスのオイルレッドO染色像を示す。
図3Aは、ApoE KOマウスの心臓肉眼的所見を示す。図3Bは、ApoE/Favine DKOマウスの心臓の肉眼的所見を示す。
図4Aはmock mediumを添加した時の血小板凝集率を示す。図4Bはconditioned mediumを添加した時の血小板凝集率を示す。縦軸は血小板凝集率を、横軸モニタリング時間(分)を示す。
図5Aは溶出バッファーを添加した時の血小板凝集率を示す。図5Bは精製リコンビナントマウスファビンを添加した時の血小板凝集率を示す。縦軸は血小板凝集率を、横軸はモニタリング時間(分)を示す。

0012

1.用語の説明
はじめに本明細書において汎用される用語について説明する。
本明細書において使用されるアミノ酸記号は、下記表1に示すアミノ酸を意図する。

0013

0014

本明細書においてファビンは、coiled-coil domain containing 3 (Ccdc3)と同義である。ファビンタンパク質は、単量体であってもよいが二量体であってもよい。好ましくは二量体である。図1にマウス(配列番号1;NCBI Reference Sequence NP_083080.1)、ラット(配列番号2;NCBI Reference Sequence XP_574081.4)、ヒト(配列番号3;NCBI Reference Sequence NP_113643.1)、ゼブラフィッシュ(配列番号4;NCBI Reference Sequence NP_001020681.1)及びアフリカツメガエル(配列番号5;NCBI Reference Sequence NP_001017103.2)の、単量体のファビンタンパク質のアミノ酸配列を示す。ファビンタンパク質は、図1に示すように動物種を超えて高い相同性を有するため、動物種は制限されない。本明細書において、ファビンタンパク質は、上記いずれかのファビンタンパク質と、アミノ酸配列において少なくとも、80%以上、85%以上、90%以上、94%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上の同一性を有し、ファビンタンパク質としての機能を有していればよい。ファビンタンパク質としての機能とは、少なくとも血小板凝集を抑制する機能である。
ファビンタンパク質として、好ましくは、下記配列番号6で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる:
MPXPLLLAAL CLAXSPAPAR ACQLPSEWRP LSEGCRAELA ETIVYAKVLA
LHPEXPGLYN YLPWQYQAGE GGLFYSAEVEMLCDQAWGSMLEVPAGSRLN
LTGLGYFSCH SHTVVQDYSYFFFXRMDENYNLLPHGVNFQ DAIFPDTQEN
RRMFSSLFQF XNCSQGQQLT TFSSDWEVQE DNRLMCSSVQ KALFEEEDHV
KKLQQKVATL EKRNRQLRERVKKVKRSLRQ ARKNXRHLEL XNQKLNEKLX
XXXAQQHINA XGXXPVRXPY XHG(配列番号6)。
より好ましくは、配列番号6の22番目のアミノ酸から末尾のアミノ酸までを有するタンパク質である。

0015

配列番号6において、3番目、14番目、55番目、124番目、161番目、235番目、241番目、250番目、251番目、252番目、253番目、261番目、263番目、264番目、268番目、271番目のX(配列表ではXaa)は任意のアミノ酸を示す。一般式(I)において、3番目、14番目、55番目、124番目、161番目、235番目、241番目、250番目、251番目、252番目、253番目、261番目、263番目、264番目、268番目、271番目のアミノ酸は、欠失していてもよい。特に252番目、263番目、264番目のアミノ酸は、欠失していてもよい。

0016

配列番号6において、3番目、261番目のアミノ酸は、非極性アミノ酸であるか塩基性アミノ酸であることが好ましい。14番目、55番目、124番目、241番目、250番目、251番目、268番目のアミノ酸は、非極性アミノ酸であることが好ましい。161番目、235番目、252番目、253番目、271番目のアミノ酸は、非極性アミノ酸であるか、極性アミノ酸であることが好ましい。263番目のアミノ酸は塩基性アミノ酸であることが好ましい。264番目のアミノ酸は酸性アミノ酸であることが好ましい。

0017

ここで、アミノ酸が非極性であるか、極性であるか、酸性であるか、塩基性であるかは、pHが7の場合の物性、すなわち、pHが7の水溶液中におけるアミノ酸の極性の有無、又はアミノ酸が酸性を示すか塩基性を示すかを意図する。
さらに好ましいファビンタンパク質として、下記配列番号7で表されるアミノ酸配列を有するタンパク質を挙げることができる。

0018

MPXPLLLAAL CLAXSPAPAR ACQLPSEWRP LSEGCRAELA ETIVYAKVLA
LHPEXPGLYN YLPWQYQAGE GGLFYSAEVEMLCDQAWGSMLEVPAGSRLN
LTGLGYFSCH SHTVVQDYSYFFFXRMDENYNLLPHGVNFQ DAIFPDTQEN
RRMFSSLFQF XNCSQGQQLT TFSSDWEVQE DNRLMCSSVQ KALFEEEDHV
KKLQQKVATL EKRNRQLRERVKKVKRSLRQ ARKNXRHLEL XNQKLNEKLX
XXXAQQHINA XGXXPVRXPY XHG(配列番号7)であって、
3番目のXは、ロイシン又はアルギニンであり、
14番目のXは、アラニンバリン又はグリシンであり、
55番目のXは、バリン又はアラニンであり、
124番目のXは、バリン又はロイシンであり、
161番目のXは、アラニン又はセリンであり、
235番目のXは、セリン又はグリシンであり、
241番目のXは、バリン又はアラニンであり、
250番目のXは、グリシン又はアラニンであり、
251番目のXは、グリシン又はアラニンであり、
252番目のXは、セリン又プロリンであるか、アミノ酸の欠失を意味し、
253番目のXは、セリン又はグリシンであり、
261番目のXは、ロイシン又はアルギニンであり、
263番目のXは、アルギニンであるか、アミノ酸の欠失を意味し、
264番目のXは、グルタミン酸であるか、アミノ酸の欠失を意味し、
268番目のXは、アラニン又はプロリンであり、
271番目のXは、ロイシン又はアルギニンである。

0019

上記ファビンタンパク質は、N末端側及び/又はC末端側にタグペプチドを付加してもよい。タグとしては、ヘマグルチニンHA)タグ、c-Mycタグ、FLAGタグ(商標)、ヒスチジン(His)タグ、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)タグ、V5タグ、Haloタグ(商標)、マルトース結合タンパク質(MBP)タグ、GFP、IgG-Fc領域等を例示することができる。

0020

ファビンタンパク質は、公知の方法により製造することができる。例えば後述するファビンタンパク質をコードするcDNAを発現可能なポリヌクレオチドを哺乳類鳥類昆虫、細菌、酵母等に由来する宿主細胞に発現させ、精製することにより調製することができる。ファビンタンパク質にタグペプチドが付加されている場合には、タグペプチドを使用してファビンタンパク質を精製することができる。タグペプチドは、精製後にファビンタンパク質から切り離してもよいが、切り離さなくてもよい。

0021

ファビンタンパク質をコードするcDNAは、上述したファビンタンパク質をコードするcDNAである限り制限されない。ここで、マウスファビンcDNA配列はNCBI Reference Sequence: NM_028804.1として、ラットファビンcDNA配列はNCBI Reference Sequence: XM_574081.7として、ヒトファビンcDNA配列はNCBI Reference Sequence: NM_031455.4として、ゼブラフィッシュファビンcDNA配列はNCBI Reference Sequence: NM_001025510.1として、アフリカツメガエルファビンcDNAはNCBI Reference Sequence: NM_001017103.3として登録されているため、これらのcDNAを用いてもよい。cDNAは、cDNA発現させる細胞の生物種に応じて、コドンを最適化してもよい。

0022

ファビンタンパク質をコードするcDNAを発現可能なポリヌクレオチドは、上述したファビンタンパク質をコードするcDNAと、これを生体内で発現するための転写調節領域を含む限り制限されない。転写調節領域はファビンタンパク質をコードするcDNAを発現させる生物種に応じて選択することができる。ヒトの体内でファビンタンパク質をコードするcDNAを発現する場合には、転写調節領域として、例えばサイトサイトメガロウイルスの転写調節領域、ニワトリβアクチンの転写調節領域を例示することができる。

0023

ファビンタンパク質をコードするcDNAを発現可能なポリヌクレオチドは、ファビンタンパク質をコードするcDNAの上流コザック配列を含んでいることが好ましい。また、ファビンタンパク質をコードするcDNAの下流にポリ付加シグナルを含んでいてもよい。

0024

またファビンタンパク質にタグペプチドを付加する場合には、タグペプチドをコードするDNA配列を含んでいてもよい。ファビンタンパク質のN末端側にタグペプチドを付加する場合には、翻訳開始の第1メチオニンは、タグペプチドの上流に位置し、ファビンタンパク質の第1メチオニンは欠失していることが好ましい。ファビンタンパク質のC末端側にタグペプチドを付加する場合には、終止コドンは、タグペプチドの下流に位置し、ファビンタンパク質の終止コドンは欠失していることが好ましい。この場合、終止コドンの下流にポリA付加シグナルが位置する。タグペプチドをコードするDNA配列とファビンタンパク質をコードするcDNAのコドンのフレームは、公知の方法により合わせることができる。

0025

ファビンタンパク質をコードするcDNAを発現可能なポリヌクレオチドは、ファビンタンパク質をコードするcDNAを発現ベクターに挿入することにより構築してもよい。発現ベクターとしては、pCDNA3シリーズ、pCAGGS等のプラスミドベクターレトロウイルスベクターアデノウイルスベクターレンチウイルスベクター等のウイルスベクターを例示することができる。ファビンタンパク質をコードするcDNAを挿入したプラスミドベクターは、直鎖化することが好ましい。

0026

本明細書において、「動脈硬化性疾患」は、動脈硬化症そのもの、及び動脈硬化に起因する疾患を意図する。動脈硬化性疾患には、動脈硬化症;狭心症及び心筋梗塞等の虚血性心疾患;脳梗塞等の虚血性脳疾患;腸間膜虚血症、虚血性大腸炎等の虚血性腸疾患を含む。虚血性心疾患及び虚血性脳疾患には、血管、特に動脈内に形成された血栓に起因する血栓症及び血栓塞栓症を含み得る。

0027

動脈硬化性疾患の予防には、動脈硬化性疾患の発症を抑制すること、低減すること、遅延することが含まれる。抑制、低減、遅延は、動脈硬化の程度を評価することにより判定することができる。

0028

動脈硬化の程度の評価は、動脈を摘出可能な場合には、動脈を摘出して、血管壁への脂肪沈着、血管壁の石灰化等を検出することにより評価することができる。血管壁への脂肪沈着の評価は、肉眼による観察の他、例えばオイルレッドO染色、スダンブラックB染色、ナイルブルー染色等を行うことにより染色の強さから評価することができる。染色が強いほど多くの脂肪が沈着していると評価することができる。また血管壁の石灰化の検出は、肉眼による観察の他、コッサ染色、アリザリンレッドS染色等を行うことにより染色の強さから評価することができる。染色が強いほど多くのカルシウムが沈着していると評価することができる。

0029

動脈の摘出が不可能な場合には、血管造影検査MRI検査、CT検査、血圧脈波検査、頸動脈超音波検査等により血管壁への脂肪沈着の程度、及び/又は血管壁の石灰化の程度を評価することができる。

0030

血小板凝集が抑制されているか否かは、被検体から血小板採取し、in vitroで血小板凝集計を使用して血小板凝集に伴う光透過度の変化をモニタリングすることで血小板凝集能を測定することにより評価することができる。血小板凝集に伴う光透過度の変化は、血小板凝集計のキュベット内に血小板を含むサンプルを添加し、例えばエピフィリン、例えば、Protease activated receptor 1-activating peptide、Protease activated receptor 4-activating peptide等の血小板凝集誘導剤をキュベット内に添加してから所定時間キュベット内の光透過度を測定することでモニタリングすることができる。血小板凝集能は、血小板凝集率で表すことができる。血小板凝集率は、血小板が凝集していない状態の光透過度を0%とし、血小板が完全に凝集した状態、或いは血小板を含まないサンプルの光透過度を100%として算出することができる。血小板凝集率が低ければ血小板凝集が抑制されていると評価することができる。また、血小板凝集率が高ければ血小板凝集が抑制されていないと評価することができる。

0031

血栓形成の予防には、血栓形成を抑制すること、低減すること、遅延することが含まれる。抑制、低減、遅延は、血栓形成の程度を評価することにより判定することができる。

0032

血栓形成の程度の評価は、動脈を摘出可能な場合には、動脈を摘出して、血管壁の脂肪沈着部位又は血管壁の石灰化部位等において血液凝固塊の程度を測定することにより行うことができる。血液凝固塊の程度は、肉眼による観察の他、ワイゲルトの繊維素染色、フィブリンの免疫染色等を行うことにより染色の強さから評価することができる。染色が強いほど多くのフィブリンが沈着していると評価することができ、フィブリンの沈着は血栓形成が強いことを意味する。
動脈の摘出が不可能な場合には、血管造影検査、MRI検査、CT検査、超音波血流検査等で血栓の存在、大きさを確認することで評価することができる。

0033

2.組成物
本明細書に開示されるある実施形態は、動脈硬化性疾患を予防するため、血小板凝集を抑制するため、及び/又は血栓形成を予防するための用途に使用される組成物に関する。組成物には、医薬組成物又は飲食品組成物を含み得る。

0034

組成物は、有効成分としてファビンタンパク質を含む。或いは、組成物は、有効成分としてファビンタンパク質をコードするcDNAを生体内で発現可能なポリヌクレオチドを含む。

0035

医薬組成物は、上記有効成分と適当な担体または添加剤を組み合わせて調製することができる。当該医薬組成物の調製に用いられる担体や添加剤としては、医薬組成物の剤形に応じて通常の薬剤に汎用される各種のもの、例えば賦形剤結合剤崩壊剤滑沢剤着色剤矯味剤矯臭剤界面活性剤等を例示できる。
また、有効成分がポリヌクレオチドの場合には、上記担体としてポリマー、脂質、磁気等を含むトランスフェクション試薬を使用してもよい。

0036

上記医薬組成物が経口投与されるものである場合の剤形は、特に制限されないが、錠剤散剤顆粒剤カプセル剤硬質カプセル剤及び軟質カプセル剤を含む)、液剤丸剤懸濁剤、及び乳剤等を例示できる。また上記医薬組成物が、非経口投与されるものである場合には、注射剤点滴剤坐剤点鼻剤、及び経肺投与剤等を例示できる。

0037

上記医薬組成物が、錠剤、散剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤等の経口用固形組成物である場合の調製に際しては、担体として例えば乳糖白糖塩化ナトリウムブドウ糖尿素デンプン炭酸カルシウムカオリン結晶セルロースケイ酸メチルセルロースグリセリンアルギン酸ナトリウムアラビアゴム等の賦形剤;単シロップ、プドウ糖液デンプン液ゼラチン溶液ポリビニルアルコールポリビニルエーテルポリビニルピロリドンカルボキシメチルセルロースセラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノールリン酸カリウム等の結合剤;乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類ラウリル硫酸ナトリウムステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖等の崩壊剤;白糖、ステアリン酸、カカオバター水素添加油等の崩壊抑制剤;ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤;グリセリン、デンプン等の保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイトコロイド状ケイ酸等の吸着剤;精製タルクステアリン酸塩ホウ酸末、ポリエチレングリコール等の滑沢剤等を使用できる。更に錠剤は必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フイルムコーティング錠、二重錠、多層錠等とすることができる。

0038

上記医薬組成物が、丸剤の経口用固形組成物である場合の調製に際しては、担体として、例えばブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオ脂硬化植物油、カオリン、タルク等の賦形剤;アラビアゴム末トラガント末、ゼラチン等の結合剤;ラミナラン、カンテン等の崩壊剤等を使用できる。

0039

上記医薬組成物が、カプセル剤の経口用固形組成物である場合の調製に際しては、カプセル剤は有効成分を上記で例示した各種の担体と混合し、硬質カプセル、または軟質カプセル等に充填して調製される。
上記製剤が液剤の場合には、水性又は油性の懸濁液、溶液シロップエリキシル剤であってもよく、通常の添加剤を用いて常法に従い、調製される。

0040

上記医薬組成物が注射剤の場合の調製に際しては、担体として例えば水、エチルアルコールマクロゴールプロピレングリコールエトキシ化イソステアリルアルコールポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等の希釈剤クエン酸ナトリウム酢酸ナトリウムリン酸ナトリウム等のpH調整剤リン酸二カリウムリン酸三ナトリウムリン酸水素ナトリウム、クエン酸ナトリウム等の緩衝剤ピロ亜硫酸ナトリウムEDTAチオグリコール酸チオ乳酸等の安定化剤凍結乾燥した際の成形剤として例えばマンニトールイノシトールマルトースシュクロースラクトース等の糖類を使用できる。なお、この場合等張性の溶液を調整するに十分な量のブドウ糖或いはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、また通常の溶解補助剤無痛化剤局所麻酔剤等を添加しても良い。これらの担体を添加して、常法により皮下、筋肉内、静脈内用注射剤を製造することができる。
上記製剤が点滴剤の場合には、投与化合物生理食塩水リンゲル液等を基本とした等張電解輸液製剤に溶解して調製することができる。

0041

本発明の医薬組成物の投与量としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、剤型患者年齢性別病状の程度等によって適宜設定され得るが、例えば、上記有効成分がタンパク質の場合には、有効成分の量に換算して成人(15以上)(体重約60kgとして計算する)1日量あたり0.1〜1,000mg/kg程度、好ましくは0.5〜500mg/kg程度である。

0042

上記有効成分がポリヌクレオチドでありウイルスベクターを使用してポリヌクレオチドを全身投与する場合には、成人体重1kgあたり1010〜1018vg/日となるように投与することができる。上記有効成分がポリヌクレオチドでありプラスミドベクターを使用してポリヌクレオチドを全身投与する場合には、成人体重1kgあたり0.1〜1,000mg/日となるように投与することができる。

0043

上記有効成分がポリヌクレオチドでありウイルスベクターを使用してポリヌクレオチドを局所投与する場合には、局所投与の場合、標的組織1cm2あたり、109〜1016vg/日となるように投与することができる。上記有効成分がポリヌクレオチドでありプラスミドベクターを使用してポリヌクレオチドを局所投与する場合には、標的組織1cm2あたり、0.01〜100mg/日となるように投与することができる。

0044

飲食品組成物には、一般食品保健機能食品(機能性表示食品、栄養機能食品特定保健用食品)が含まれる。保健機能食品の定義および分類は、日本の健康増進法、および食品衛生法に定めるところによる。

0045

また、本発明の第2の態様である飲食品組成物には、ペットイヌネコハムスターウサギトリなど)に対する飲食品ペットフード)、および家畜家禽類)に対する飲食品(飼料組成物)も含まれる。

0046

本態様の飲食品組成物としては、特に制限されることはないが、例えば飲料(例:乳飲料乳酸菌飲料果汁入り清涼飲料炭酸飲料果汁飲料野菜飲料野菜果実飲料アルコール飲料スポーツ飲料粉末飲料茶飲料など)、冷菓(例:ゼリー、ババロアプリンなど)、氷菓(例:アイスクリームアイスミルクラクトアイスシャーベット)、菓子類(例:クッキービスケット、おかき、飴類チョコレート類ガム類)、パン類麺類(例:中華麺パスタ、うどん、蕎麦素麺)、スープ類粉末または固形スープを含む)、調味料(例:ドレッシング、ジュレ、ソースマヨネーズ様ソース、たれ)などを挙げることができる。

0047

また本発明の飲食品組成物は、上記形態を有する飲食品の他に、サプリメント形態の飲食品組成物、および病者用食品(要介護者用食品、および嚥下困難者用食品を含む)を含む。このようなサプリメント形態の飲食品組成物や病者用食品として調製する場合、継続的な摂取が容易にできるように、例えば、液剤(ドリンク剤)、シロップ剤ドライシロップ剤ゼリー製剤用時調製用のものを含む。以下同じ)、顆粒剤、散剤、丸剤、錠剤、カプセル剤(硬カプセル剤軟カプセル剤)、トローチ剤チュアブル剤等の製剤形態に調製することが好ましい。好ましくは、液剤(ドリンク剤)、ゼリー製剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤(硬カプセル剤、軟カプセル剤)であり、より好ましくは液剤(ドリンク剤)、ゼリー製剤である。かかる製剤形態の調製は、各製剤の形態に応じて、後述する医薬品組成物の欄で説明するように、薬学的に許容される担体または添加剤を用いて、製剤製造の常法に従って行うことができる。

0048

なお、各国の国内法において、飲食品組成物に疾患との関係を表示することが禁じられている場合には、上記疾患との関係を国内法に抵触しない表示形式に変更することができる。例えば、血管を良好な状態(健康な状態)に保つため等の表現を上記飲食品組成物の用途として表示しても良い。

0049

飲食品組成物における有効成分の摂取量としては、効果が奏される限り特に限定されず、剤型、摂取者の年齢、性別、病状の程度等によって適宜設定され得るが、例えば、上記有効成分がファビンタンパク質である場合、有効成分の量に換算して成人(15才以上)(体重約60kgとして計算する)1日量あたり0.1〜1,000mg/kg程度、好ましくは0.5〜500mg/kg程度である。

0050

上記有効成分がポリヌクレオチドでありウイルスベクターを使用したポリヌクレオチドを使用する場合には、成人体重1kgあたり1010〜1018vg/日となるように摂取することができる。上記有効成分がポリヌクレオチドでありプラスミドベクターを使用してポリヌクレオチドを使用する場合には、成人体重1kgあたり0.1〜1,000mg/日となるように摂取することができる。

0051

3.実験動物
本明細書に開示されるある実施形態は、実験動物と実験動物の使用方法に関する。
実験動物は、アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損している限り制限されない。動物種は、ヒト以外の動物である限り制限されない。例えばマウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ等を挙げることができる。好ましくは、マウス、又はラットであり、より好ましくは、マウスである。

0052

アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物は、アポリポタンパク質E遺伝子を欠損した実験動物と、ファビン遺伝子を欠損した実験動物とを交配することで、作製することができる。交配は、子孫が得られる限り制限されず、アポリポタンパク質E遺伝子の欠損実験動物の雄を使用する場合には、ファビン遺伝子の欠損実験動物を雌としてもよい。また、この逆であってもよい。

0053

動物における特定の遺伝子の欠損方法は公知である。例えば、ジーンターゲッティング法、CompoZr Zinc Finger Nuclease(ZFN)システム、TAL effector nuclease (TALEN)システム、およびClustered regularly interspaced short palindromic repeats/CRISPR associated protein 9(CRISPR/Cas9)システム等のゲノム編集法により作製することができる。
遺伝子欠損とは、目的遺伝子の全てが欠損している必要はなく、少なくとも目的遺伝子から発現されるタンパク質の機能が欠損していればよい。

0054

動物種がマウスである場合、アポリポタンパク質E遺伝子欠損マウスは、Jackson Laboratory (Bar Harbor, Me)より購入可能である。

0055

アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物は、動脈硬化性疾患を予防するための候補物質、及び/又は血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングするために使用することができる。

0056

4.スクリーニング方法
4−1.動脈硬化性疾患を予防するための候補物質のスクリーニング
本明細書に開示されるある実施形態は、動脈硬化性疾患を予防するための候補物質をスクリーニングする方法に関する。

0057

本スクリーニング方法は、上記3で説明した、アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物に被験物質を投与する工程と、前記被験物質を投与した実験動物における動脈硬化の程度を、被験物質を投与していない対照の動脈硬化の程度と比較し、被験物質の効果を評価する工程を含み得る。

0058

被験物質は、効果を評価する物質である限り制限されない。また投与方法は、被験物質の物性、希望する投与経路に応じて適宜選択することができる。例えば、経口投与、皮下注射腹腔内投与、血管内投与を挙げることができる。投与量、投与期間も被験物質に応じて決定することができる。

0059

被験物質を投与していない対照とは、被験動物を投与した実験動物(以下、スクリーニング方法の項において「被験物質投与動物」と称する)と同種のアポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物であって、被験物質を投与されていない実験動物(以下、スクリーニング方法の項において「対照動物」と称する)である限り、制限されない。好ましくは、被験物質投与動物と対照動物は、同じ性別であり、同程度の週齢月齢、又は年齢であり得る。

0060

実験動物における動脈硬化の程度は、上記1に記載した方法により評価することができる。被験物質投与動物と対照動物の動脈硬化の程度を比較し、被験物質投与動物において、対照動物よりも動脈硬化の程度が軽かった場合、投与した被験物質が動脈硬化性疾患を予防するための候補物質であると評価することができる。

0061

動脈硬化の程度が軽いとは、対照動物と比較して、被験物質投与動物における動脈硬化が軽度である限り制限されない。例えば、被験物質投与動物の動脈硬化を起こしている血管壁の面積が対照動物の動脈硬化を起こしている血管壁の面積の、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下のときに、対照動物と比較して、被験物質投与動物における動脈硬化が軽度であると判定することができる。
4−2.血栓形成を予防するための候補物質のスクリーニング
本明細書に開示されるある実施形態は、血栓形成を予防するための候補物質をスクリーニングする方法に関する。

0062

本スクリーニング方法は、上記3で説明した、アポリポタンパク質E遺伝子及びファビン遺伝子を欠損した実験動物被験物質を投与する工程と、前記前記被験物質を投与した実験動物における血栓形成の程度を、被験物質を投与していない対照における血栓形成の程度と比較し、被験物質の効果を評価する工程を含み得る。

0063

被験物質、被験物質の投与方法、投与量、投与期間の説明は、上記4−1の記載をここに援用する。また、被験物質投与動物、対照動物に関する説明も、上記4−1の記載をここに援用する。

0064

実験動物における血栓形成の程度は、上記1に記載した方法により評価することができる。被験物質投与動物と対照動物の血栓形成の程度を比較し、被験物質投与動物において、対照動物よりも血栓形成の程度が軽かった場合、投与した被験物質が血栓形成を予防するための候補物質であると評価することができる。

0065

血栓形成の程度が軽いとは、対照動物と比較して、被験物質投与動物における血栓形成が軽度である限り制限されない。例えば、被験物質投与動物の血栓形成を起こしている血管壁の面積が対照動物の血栓形成を起こしている血管壁の面積の、90%以下、80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、40%以下、30%以下、20%以下、10%以下のときに、対照動物と比較して、被験物質投与動物における血栓形成が軽度であると判定することができる。

0066

以下に実施例を示して、本明細書に開示される発明についてより詳細に説明するが、本明細書に開示される発明は、実施例に限定して解釈されるものではない。

0067

また、本実施例に開示される動物実験は、大阪大学動物実験倫理委員会承認を得て行った。

0068

遺伝子組換えマウス飼育
アポリポタンパク質E遺伝子欠損マウス(以下、「ApoEKOマウス」と称する)は、Y. Okamotoら(Circulation Vol. 106, p. 2767-2770, 2002)において報告されているマウスをJackson Laboratory, Bar Harbor, Meから購入した。

0069

ファビン遺伝子欠損マウス(以下、「FavineKOマウス」と称する)の作製はユニテック株式会社に依頼し、Favine遺伝子のtarget disruptionにより作製した。作成方法の詳細は、S. Kobayashiら(The Journal of Biological Chemistry Vol. 290, No. 12, p. 7443-7451, 2015)において報告されている。

0070

アポリポタンパク質E遺伝子とファビン遺伝子の両方を欠損したマウス(以下、「ApoE/Favine DKOマウス」と称する)は、ApoE KOマウスとFavine KOマウスを交配させることにより作製した。

0071

ApoEKOマウス、Favine KOマウス及びApoE/Favine DKOマウスを、温度制御下、12時間毎明暗周期動物飼育室で飼育した。

0072

<実施例1:動脈硬化の誘導とその評価>
上記遺伝子欠損マウスに高脂肪食を付加し、動脈硬化を誘導し、各種遺伝子欠損マウスにおける病態を観察した。

0073

(1)方法
6週齢のApoEKOマウス、Favine KOマウス及びApoE/Favine DKOマウスに、高脂肪食としてウエスタン飼料(F2WTD; 0.15% cholesterol, 20% fat,オリエンタル酵母, 吹田, 日本) を16週間摂取させ、動脈硬化を誘導した。

0074

動脈硬化の誘導後、マウスを安楽死させ、直ちに大動脈を摘出し、PBS洗浄した後に4%中性緩衝ホルマリンで固定した。固定後の組織をオイルレッドOで染色し、脂肪の蓄積を観察することで、動脈硬化の程度を評価した。また、安楽死させたマウスから心臓を摘出し、肉眼的所見を観察した。

0075

(2)結果
図2に、大動脈のオイルレッドO染色後の組織を示す。図2Aは、ApoEKOマウスのオイルレッドO染色像を示す。図2Bは、ApoE/Favine DKOマウスのオイルレッドO染色像を示す。ApoE/Favine DKOマウスは、ApoE KOマウスと比較してより脂肪の沈着面積が強かった。図示しないが、Favine KOマウスの大動脈では脂肪沈着は認めなかった。このことから、ApoE/Favine DKOマウスでは、動脈硬化の進行が促進されることが明らかとなった。

0076

図3に心臓の肉眼的所見を示す。図3Aは、ApoEKOマウスの心臓の肉眼的所見を示す。図3Bは、ApoE/Favine DKOマウスの心臓の肉眼的所見を示す。ApoE/Favine DKOマウスでは、矢印で示される部位に、大きな血栓の形成が認められた。ApoE KOマウスでは、このような所見は認められなかった。また、図示しないが、Favine KOマウスの心臓においても血栓は認められなかった。

0077

以上の結果から、ApoE/Favine DKOマウスでは動脈硬化の進行が促進されるだけでなく、血栓が引き起こされることが明らかとなった。また、これらの結果は、ファビンの欠損が血栓形成に関わっていることを示していると考えられた。

0078

<実施例2:Favineによる血小板凝集抑制効果の評価1>
Favineの血小板凝集に対する効果を評価するため、リコンビナントFavineペプチドを使用し、血小板凝集に対する効果を評価した。

0079

(1)方法
リコンビナントマウスファビンは、マウスファビンの一過性発現株を作製し、その培養上清回収し、conditioned mediumとして調製した。マウスファビンの発現ベクターは、マウスファビン(CCDC3, NM_028804.1)のコーディングリージョン全長cDNAの下流にFLAGタグを付加したポリヌクレオチド(mouse Favine-FLAG)をpcDNA3.1(+) vectorに挿入し構築した。以下、このコンストラクトをpcDNA3.1 mouse Favine-FLAGと呼ぶ。

0080

pcDNA3.1 mouse Favine-FLAGをHEK293細胞にLipofectamine 3000(Thermo Fisher Scientific)を使用してトランスフェクションし、10%ウシ胎児血清DMEM培地で一晩培養した。次に培地を0.5%ウシ血清アルブミン加DMEM培地に交換し、2日間培養した。培養上清を回収し、0.45μmフィルター濾過し、濾液をマウスファビンのconditioned mediumとして使用した。また、mock mediumを調製するため、pcDNA3.1の空ベクターをpcDNA3.1 mouse Favine-FLAGと同様にHEK293細胞にトランスフェクションし、pcDNA3.1 mouse Favine-FLAGを導入した細胞と同様の培養工程を経て、培養上清を回収した。

0081

多血小板血漿(Platelet Rich Plasma:PRP)を調製するため、クエン酸ナトリウムを抗凝固剤として使用し、成人男性より静脈血採血した。採血した血液を250gで10分間、室温で遠心し、上清を回収し、PRPとした。

0082

血小板凝集計用のガラスキュベットにPRP100μlを添加し、そこにconditioned medium又はmock mediumを35μlずつ加え、37℃で20分前処理した。続いて、キュベットに200μM、100μM、50μM、25μM、及び12.5μMに調製したPAR1-AP(Protease activated receptor 1-activating peptide)溶液をそれぞれ15μlずつ添加し、血小板凝集計で光透過度をPAR1-AP添加時を0分として5分間モニタリングした。血小板凝集率は、血小板が凝集していない状態の光透過度を0%とし、血小板を含まない乏血小板血漿(Platelet Poor Plasma: PPP)を100%として算出した。PPPは、クエン酸ナトリウム採血をした血液を3,000 gで10分間、室温で遠心し、上清を回収することにより調製した。

0083

(2)結果
図4に血小板凝集率を示す。図4Aはmock mediumを添加した時の血小板凝集率を示す。図4Bはconditioned mediumを添加した時の血小板凝集率を示す。図4において、符号a及びa’はPAR1-APを200μM添加したときの血小板凝集率を、符号b及びb’はPAR1-APを100μM添加したときの血小板凝集率を、符号c及びc’はPAR1-APを50μM添加したときの血小板凝集率を、符号d及びd’はPAR1-APを25μM添加したときの血小板凝集率を、符号e及びe’はPAR1-APを12.5μM添加したときの血小板凝集率を示す。

0084

conditioned mediumを添加した場合、PAR1-APを50μM、又は25μM添加した際に、mock mediumを添加した場合と比較して、血小板凝集の抑制が認められた(符号c→c’、 d→d’)。PAR1-APを200μM、又は100μM添加した際には、血小板凝集抑制効果は認められなかったが、これはPAR1-APの添加量が多すぎるためであると考えられた。

0085

これらの結果は、ファビンには、血小板凝集を抑制する効果があることを示していると考えられた。

0086

<実施例3:Favineによる血小板凝集抑制効果の評価2>
実施例2で示された結果が、マウスファビンによる効果であることをさらに検証するため、精製リコンビナントマウスファビンを使用して血小板凝集に対するファビンの効果を検討した。

0087

(1)方法
カイコに産生させFLAG tag affinity精製したリコンビナントファビンをシスメックス株式会社より購入した。また、FLAG tag affinity精製に使用した溶出バッファーも購入した。
PRPは、実施例2と同様に調製した。

0088

血小板凝集計用のガラスキュベットにPRP120μlを添加し、そこに50μg/mlに調製した精製リコンビナントマウスファビン溶液又は溶出バッファーを15μlずつ加え、37℃で20分前処理した。続いて、キュベットに150μM、100μM、75μM、及び50μMに調製したPAR4-AP(Protease activated receptor 4-activating peptide)溶液をそれぞれ15μlずつ添加し、血小板凝集計で光透過度をPAR4-AP添加時を0分として5分間モニタリングした。血小板凝集率は実施例2と同様に算出した。

0089

(2)結果
図5に血小板凝集率を示す。図5Aは溶出バッファーを添加した時の血小板凝集率を示す。図5Bは精製リコンビナントマウスファビンを添加した時の血小板凝集率を示す。図4において、符号a及びa’はPAR4-APを150μM添加したときの血小板凝集率を、符号b及びb’はPAR4-APを100μM添加したときの血小板凝集率を、符号c及びc’はPAR4-APを75μM添加したときの血小板凝集率を、符号d及びd’はPAR4-APを50μM添加したときの血小板凝集率を示す。

0090

精製リコンビナントマウスファビンを添加した場合、PAR4-APを75μM添加した際に、溶出バッファーを添加した場合と比較して、血小板凝集の抑制が認められた(符号c→c’)。PAR4-APを150μM、又は100μM添加した際には、血小板凝集抑制効果は認められなかったが、これはPAR4-APの添加量が多すぎるためであると考えられた。

0091

これらの結果は、ファビンには、血小板凝集を抑制する効果があることを示していると考えられた。

0092

以上の結果から、ApoE/Favine DKOマウスでは動脈硬化の進行が促進されることから、ファビンには動脈硬化の進行を抑制、又は遅延させる効果があると考えられた。さらに、ファビンには血小板凝集を抑制する効果があるため、血栓の生成を抑制する、又は遅延させる効果があると考えられた。

実施例

0093

さらに、ApoE/Favine DKOマウスでは動脈硬化の進行が促進されるだけでなく、血栓が引き起こされることから、ApoE/Favine DKOマウスは生体内で血栓の生成を抑制する可能性のある候補物質のスクリーニングに使用できると考えられた。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 国立大学法人東北大学の「 相同組換え修復活性の定量法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】細胞における相同組換え修復活性の測定方法は、部位特異的ヌクレアーゼにより、細胞内の標的ゲノムDNA領域の二本鎖を特定部位で切断すること、細胞にタグ配列を含むドナーベクターを導入し、相... 詳細

  • 長瀬産業株式会社の「 エルゴチオネインの製造方法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】安価かつ大量にエルゴチオネインを製造する方法および該方法に使用する細菌を提供する。エルゴチオネインもしくはその関連物質、またはこれらの混合物の製造方法であって、エルゴチオネイン生産能... 詳細

  • 神戸天然物化学株式会社の「 形質転換植物、およびその利用」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明の目的は、活性型VD3の前駆体である7−デヒドロコレステロールの産生量が増加した形質転換植物およびその利用技術を提供することである。異なる2種類の第1および第2の7−デヒドロコ... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ