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図面 (3)

課題

MRE11−RAD50−NBS1(MRN)複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供する。

解決手段

特定のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、前記特定のアミノ酸配列において1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチド、を有効成分とする、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤

概要

背景

二本鎖DNA切断(Double strand break、DSB)の修復機構には、主に、相同組換え修復(homologous recombination:HR)及び非相同末端再結合(non−homologous end−joining:NHEJ)が存在する。これらのうち、塩基配列エラーが起こりにくいのがHRであり、主にS期及びG2期姉妹染色分体鋳型としてDSBが修復される。また、G1期では主にNHEJによりDSBが修復される。

HRによるDSB修復機構では、まずDSBにMR複合体及びAtaxia−Telangiectasia−Mutated(ATMタンパク質リクルートされる。続いてMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性により、5’末端を有するDNA鎖ニックが導入される。続いて、MRN複合体により、切断されたDNA鎖がDSBに向かって分解される。その結果、3’末端が突出したDNA末端が形成される。

例えば、特許文献1には、MRN複合体形成調節因子スクリーニングするための方法が記載されている。

概要

MRE11−RAD50−NBS1(MRN)複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供する。特定のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、前記特定のアミノ酸配列において1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチド、を有効成分とする、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤。なし

目的

本発明は、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRE11−RAD50−NBS1(MRN)複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチド、を有効成分とする、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤

請求項2

前記ペプチドのアミノ酸配列が、FWXXXF(配列番号2、ここで、Fはフェニルアラニンを表し、Wはトリプトファンを表し、Xは任意のアミノ酸を表す。)のアミノ酸配列を含む、請求項1に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤。

請求項3

細胞に、請求項1又は2に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を導入する工程を含む、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇方法

請求項4

請求項1又は2に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を有効成分とする、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤

請求項5

MRN複合体の機能不全に起因する前記疾患が、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、毛細血管拡張性運動失調症様疾患(ATLD)又はナイミーヘン症候群である、請求項4に記載の予防又は治療剤。

請求項6

被験物質の存在下で、CTP1遺伝子に変異を有する細胞のDNA損傷感受性を測定する工程と、前記DNA損傷感受性が前記被験物質の非存在下と比較して低下した場合に、前記被験物質はMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤であると判断する工程と、を含み、前記CTP1遺伝子の変異が、(i)分裂酵母のCtp1タンパク質C末端の15残基を欠失する変異に相当する変異、又は、(ii)分裂酵母のCtp1タンパク質の第287番目のフェニルアラニン、第288番目のトリプトファン又は第292番目のフェニルアラニンをそれぞれ異なるアミノ酸に置換する変異に相当する変異である、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のスクリーニング方法

請求項7

前記MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤が、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤である、請求項6に記載のスクリーニング方法。

技術分野

0001

本発明は、MRE11−RAD50−NBS1(MRN)複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤及びその使用に関する。より詳細には、本発明は、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤、及び、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のスクリーニング方法に関する。

背景技術

0002

二本鎖DNA切断(Double strand break、DSB)の修復機構には、主に、相同組換え修復(homologous recombination:HR)及び非相同末端再結合(non−homologous end−joining:NHEJ)が存在する。これらのうち、塩基配列エラーが起こりにくいのがHRであり、主にS期及びG2期姉妹染色分体鋳型としてDSBが修復される。また、G1期では主にNHEJによりDSBが修復される。

0003

HRによるDSB修復機構では、まずDSBにMRN複合体及びAtaxia−Telangiectasia−Mutated(ATMタンパク質リクルートされる。続いてMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性により、5’末端を有するDNA鎖ニックが導入される。続いて、MRN複合体により、切断されたDNA鎖がDSBに向かって分解される。その結果、3’末端が突出したDNA末端が形成される。

0004

例えば、特許文献1には、MRN複合体形成調節因子スクリーニングするための方法が記載されている。

先行技術

0005

特表2007−525162号公報

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明は以下の態様を含む。
[1]配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個アミノ酸欠失置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRE11−RAD50−NBS1(MRN)複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチド、を有効成分とする、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤。
[2]前記ペプチドのアミノ酸配列が、FWXXXF(配列番号2、ここで、Fはフェニルアラニンを表し、Wはトリプトファンを表し、Xは任意のアミノ酸を表す。)のアミノ酸配列を含む、[1]に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤。
[3]細胞に、[1]又は[2]に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を導入する工程を含む、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇方法
[4][1]又は[2]に記載のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を有効成分とする、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤。
[5]MRN複合体の機能不全に起因する前記疾患が、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、毛細血管拡張性運動失調症様疾患(ATLD)又はナイミーヘン症候群である、[4]に記載の予防又は治療剤。
[6]被験物質の存在下で、CTP1遺伝子に変異を有する細胞のDNA損傷感受性を測定する工程と、前記DNA損傷感受性が前記被験物質の非存在下と比較して低下した場合に、前記被験物質はMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤であると判断する工程と、を含み、前記CTP1遺伝子の変異が、(i)分裂酵母のCtp1タンパク質のC末端の15残基を欠失する変異に相当する変異、又は、(ii)分裂酵母のCtp1タンパク質の第287番目のフェニルアラニン、第288番目のトリプトファン又は第292番目のフェニルアラニンをそれぞれ異なるアミノ酸に置換する変異に相当する変異である、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のスクリーニング方法。
[7]前記MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤が、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤である、[6]に記載のスクリーニング方法。

発明の効果

0008

本発明によれば、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供することができる。

図面の簡単な説明

0009

実験例1で使用した二本鎖DNA断片の構造を示す図である。
実験例1におけるポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。
(a)〜(c)は、実験例2の結果を示す写真である。

0010

[遺伝子名及びタンパク質名の表記
本明細書において、ヒト遺伝子及びヒトタンパク質は、大文字アルファベットで表すものとする。また、マウス遺伝子は、先頭文字を大文字のアルファベットで、それ以降を小文字のアルファベットで表すものとする。また、マウスタンパク質は大文字のアルファベットで表すものとする。また、酵母遺伝子は大文字のアルファベットで表し、酵母タンパク質は先頭文字を大文字のアルファベットで、それ以降を小文字のアルファベットで表すものとする。しかしながら、場合により、ヒト遺伝子、マウス遺伝子、その他の種の遺伝子を厳密に区別せずに大文字のアルファベットで表す場合がある。また、ヒトタンパク質、マウスタンパク質、その他の種のタンパク質を厳密に区別せずに大文字のアルファベットで表す場合がある。

0011

[MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤]
1実施形態において、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とする、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を提供する。本明細書において、「有効成分とする」とは、主要な活性成分として含むことを意味する。

0012

実施例において後述するように、発明者らは、本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤をMRN複合体に作用させることにより、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させることができることを明らかにした。

0013

配列番号1に記載のアミノ酸配列は、分裂酵母のCtp1タンパク質のC末端から15残基のアミノ酸配列に対応する。分裂酵母のCtp1タンパク質のアミノ酸配列を配列番号3に示す。Ctp1タンパク質のC末端から15残基のアミノ酸配列は、酵母からヒトに至るまでよく保存されている。

0014

ヒトMRE11タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_005581.2、NP_005582.1、NP_001317276.1等である。マウスMRE11タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_061206.1等である。出芽酵母MRE11タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_013951.1等である。分裂酵母MRE11タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_592935.1等である。

0015

ヒトRAD50タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_005723.2等である。マウスRAD50タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_033038.2等である。出芽酵母RAD50タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_014149.1等である。分裂酵母MRE11タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_001342968.1等である。

0016

ヒトNBS1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_002476.2、NP_001019859.1等である。マウスNBS1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_038780.3等である。出芽酵母NBS1タンパク質(Xrs2と呼ばれている。)のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_010657.3等である。分裂酵母NBS1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_001018823.1等である。

0017

ヒトCTP1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_002885.1、NP_976036.1、NP_976037.1等である。マウスCTP1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_001074692.1等である。出芽酵母CTP1タンパク質(SAE2と呼ばれている。)のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_009850.1等である。分裂酵母CTP1タンパク質のアミノ酸配列のNCBIアクセッション番号は、NP_588159.2等である。

0018

本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤において、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有している限り変異を有していてもよい。すなわち、本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤は、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分とするものであってもよい。ここで、1若しくは数個とは、例えば1〜5個であってもよく、1〜4個であってもよく、1〜3個であってもよく、1〜2個であってもよい。

0019

また、実施例において後述するように、発明者らは、Ctp1タンパク質のC末端に存在するFWXXXF(配列番号2、ここで、Fはフェニルアラニンを表し、Wはトリプトファンを表し、Xは任意のアミノ酸を表す。)のアミノ酸配列が、Ctp1タンパク質の機能に重要であることを明らかにした。

0020

したがって、本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤において、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して変異を有するペプチドは、FWXXXF(配列番号2)のアミノ酸配列を含むことが好ましい。

0021

本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤において、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して変異を有するペプチドは、架橋性基を有していてもよい。

0022

本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤が架橋性基を有している場合、MRN複合体と接触させた後、MRN複合体と架橋することが可能になる。この結果、本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を、MRN複合体の立体構造上の適切な位置に固定することが可能になり、より少ないエンドヌクレアーゼ活性上昇剤で、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させることが可能になる。

0023

架橋性基としては、例えば紫外線照射により架橋可能な基が挙げられる。より具体的には、非天然型アミノ酸である、パラベンイルフェニルアラニン(pBpa)、トリフルオロメチル・ジアジリル・フェニルアラニン(tmdPhe)、アジド基を有するアジドフェニルアラニン等が挙げられる。pBpaは約365nmの光照射によりラジカルを発生し、近隣炭素原子共有結合を形成する。tmdPheのジアリジン基も約365nmの光照射によりカルベンを発生して共有結合を形成する。また、アジド基も約365nmの波長で架橋することができる。

0024

すなわち、本実施形態のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤において、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して変異を有するペプチドは、上記の非天然型アミノ酸を含んでいてもよい。架橋性基を有するアミノ酸残基の位置は、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有している限り特に限定されず、例えば、5’末端であってもよいし、3’末端であってもよいし、5’末端又は3’末端以外の位置であってもよい。配列番号4に、架橋性基を有するエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のアミノ酸配列の例を示す。配列番号4に記載のアミノ酸配列からなるペプチドは、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチドの5’末端にパラベンゾイルフェニルアラニン残基を付加したものである。

0025

[MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇方法]
1実施形態において、本発明は、細胞に、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を導入する工程を含む、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇方法を提供する。

0026

上述したように、エンドヌクレアーゼ活性上昇剤を細胞に導入することにより、細胞のDNA損傷修復能を向上させることができる。したがって、本実施形態の方法は、細胞のDNA損傷修復能の向上方法であるということもできる。

0027

ところで、近年、CRISPR/Casタンパク質を用いたゲノム編集が盛んに行われている。ゲノム編集は、Casタンパク質により形成されたDSBを修復する過程を利用して行われる。そこで、細胞のDNA損傷修復能を向上させることにより、ゲノム編集効率を向上させることができる。

0028

したがって、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤は、ゲノム編集効率の向上剤であるということもできる。また、本実施形態の方法は、ゲノム編集効率の向上方法であるということもできる。

0029

より具体的には、本発明は、細胞に、gRNA又はgRNAの発現ベクター;Casタンパク質、Casタンパク質の発現ベクター又はCasタンパク質のmRNA;上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤;任意選択標的部位相同な塩基配列を有するDNA断片、を導入する工程を含む、ゲノム編集方法を提供する。本実施形態のゲノム編集方法によれば、高効率でゲノム編集を行うことができる。

0030

Casタンパク質としては、Cas9、Cas3等が挙げられるがこれらに限定されない。

0031

[MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤]
1実施形態において、本発明は、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を有効成分とする、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤を提供する。

0032

実施例において後述するように、発明者らは、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤をMRN複合体に作用させることにより、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させることができることを明らかにした。

0033

したがって、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤は、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤として用いることができる。すなわち、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤を、機能不全に陥ったMRN複合体に作用させることにより、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させ、MRN複合体の機能を改善させることができる。

0034

MRN複合体の機能不全に起因する疾患としては、毛細血管拡張性運動失調症(AT)、毛細血管拡張性運動失調症様疾患(ATLD)、ナイミーヘン症候群等が挙げられる。

0035

ATは、Ataxia−Telangiectasia−Mutated(ATM)遺伝子の変異による疾患であり、眼球運動の異常、皮膚の毛細血管拡張症免疫不全早期老化を伴う進行性神経変性疾患である。ATMタンパク質はMRN複合体と物理的に相互作用することが知られている。

0036

ATLDは、MRE11遺伝子の変異による疾患であり、症状はATによく似ている。しかし、ATとは異なり、毛細血管拡張や免疫不全は見られない。

0037

ナイミーヘン症候群は、NBS1遺伝子の変異による疾患であり、小頭症成長遅滞、免疫不全、放射線感受性癌性質を特徴とする常染色体劣性遺伝疾患である。

0038

これらの疾患は、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させることにより予防又は治療できる可能性がある。

0039

本実施形態に係る予防又は治療剤において、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列に対して変異を有するペプチドは、フリー体であってもよいし、薬理学的に許容される塩であってもよいし、溶媒和物であってもよいし、薬理学的に許容される塩の溶媒和物であってもよい。

0041

また、溶媒和物としては、薬学的に許容される溶媒和物であれば特に制限されず、例えば、水和物、有機溶媒和物等が挙げられる。

0042

本実施形態の予防又は治療剤において、上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤は、薬学的に許容される担体と混合された医薬組成物として製剤化されていることが好ましい。医薬組成物は、経口的に使用される剤型であってもよく、非経口的に使用される剤型であってもよい。経口的に使用される剤型としては、例えば錠剤カプセル剤エリキシル剤マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては、例えば注射剤吸入剤坐剤貼付剤等が挙げられる。

0044

医薬組成物は添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、ショ糖乳糖サッカリン等の甘味剤ペパーミントl−メントール等の香料安息香酸サリチル酸チメロサールフェノール等の防腐剤等が挙げられる。

0045

医薬組成物は、上記の担体及び添加剤を適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態混和することによって製剤化することができる。

0046

患者への投与は、例えば、動脈内注射静脈内注射皮下注射等のほか、鼻腔内的、経気管支的、筋内的、経皮的、又は経口的に当業者に公知の方法により行いうる。投与量は、患者の体重や年齢、患者の症状、投与方法等により変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。

0047

上述したエンドヌクレアーゼ活性上昇剤の投与量は、ペプチドの種類、患者の症状等により変動するが、経口投与の場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1〜500mg、例えば約1.0〜250mg、例えば約1.0〜100mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。

0048

非経口的に投与する場合、その投与量は、ペプチドの種類、患者の症状、投与方法等により変動するが、全身投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.1〜500mg、例えば約1.0〜250mg、例えば約1.0〜100mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。局所投与を行う場合は、一般的に成人(体重60kgとして)においては、1日あたり約0.001〜10mg、例えば約0.01〜5mg、例えば約0.02〜2mg程度を、1日1回、又は数回に分けて投与することが適切であると考えられる。

0049

[MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のスクリーニング方法]
1実施形態において、本発明は、被験物質の存在下で、CTP1遺伝子に変異を有する細胞のDNA損傷感受性を測定する工程と、前記DNA損傷感受性が前記被験物質の非存在下と比較して低下した場合に、前記被験物質はMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤であると判断する工程と、を含み、前記CTP1遺伝子の変異が、(i)分裂酵母のCtp1タンパク質のC末端の15残基を欠失する変異に相当する変異、又は、(ii)分裂酵母のCtp1タンパク質の第287番目のフェニルアラニン、第288番目のトリプトファン又は第292番目のフェニルアラニンをそれぞれ異なるアミノ酸に置換する変異に相当する変異である、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤のスクリーニング方法を提供する。

0050

本実施形態のスクリーニング方法において、被験物質としては特に制限されず、例えば、天然化合物ライブラリ合成化合物ライブラリ、既存薬ライブラリ、代謝物ライブラリ、ペプチドライブラリ等が挙げられる。

0051

細胞としては、DNA損傷修復過程においてMRN複合体が機能する種の細胞であれば特に制限されず、酵母細胞、マウス細胞、ヒト細胞等が挙げられる。CTP1遺伝子に変異を有する細胞としては、これらの細胞においてCTP1遺伝子に変異を導入した細胞を用いることができる。

0052

ここで、実施例において後述するように、(i)分裂酵母のCtp1タンパク質のC末端の15残基を欠失する変異に相当する変異、及び、(ii)分裂酵母のCtp1タンパク質の第287番目のフェニルアラニン、第288番目のトリプトファン又は第292番目のフェニルアラニンをそれぞれ異なるアミノ酸に置換する変異に相当する変異は、CTP1タンパク質が機能しなくなる変異、すなわち、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を低下又は欠失させる変異である。

0053

上記(ii)の変異としては、例えば、F287A、W288A、F292A等が挙げられる。これらの変異はいずれか1種の変異であってもよいし、2種以上の変異の組み合わせであってもよい。

0054

また、「相当する変異」とは、上記細胞が分裂酵母以外の種の細胞である場合であっても、分裂酵母の上記アミノ酸に対応する位置のアミノ酸に変異が導入されることを意味する。異なる種のCTPタンパク質のアミノ酸配列において、どのアミノ酸が互いに相当するかは、例えばClustalW等のプログラムを用いて特定することができる。

0055

被験物質の存在下で、CTP1遺伝子に変異を有する細胞のDNA損傷感受性を測定する工程は、特に限定されず、例えば、細胞にDNA損傷刺激を与えてその生存率を測定すること等により行うことができる。DNA損傷刺激としては、例えば、紫外線照射、抗癌剤の添加等が挙げられる。

0056

被験物質の存在下における細胞のDNA損傷感受性(生存率)は、例えば下記式(1)により算出することができる。
被験物質の存在下における生存率(%)=(被験物質の存在下、DNA損傷刺激の存在下における生細胞数)/(被験物質の存在下、DNA損傷刺激の非存在下における生細胞数)×100 …(1)

0057

また、被験物質の非存在下における細胞のDNA損傷感受性(生存率)は、例えば下記式(2)により算出することができる。
被験物質の非存在下における生存率(%)=(被験物質の非存在下、DNA損傷刺激の存在下における生細胞数)/(被験物質の非存在下、DNA損傷刺激の非存在下における生細胞数)×100 …(2)

0058

その結果、被験物質の存在下における細胞のDNA損傷感受性が、被験物質の非存在下における細胞のDNA損傷感受性と比較して低下した場合に、被験物質はMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤であると判断することができる。

0059

例えば、被験物質の非存在下における生存率と比較して、被験物質の存在下における生存率が上昇した場合、被験物質の存在下では、被験物質の非存在下と比較して細胞のDNA損傷感受性が低下したと判断することができる。

0060

被験物質の非存在下における細胞のDNA損傷感受性は、被験物質の存在下における細胞のDNA損傷感受性と同時に測定して比較してもよいし、別々に測定して比較してもよい。あるいは、被験物質の存在下における細胞のDNA損傷感受性を、予め測定された、被験物質の非存在下における細胞のDNA損傷感受性と比較してもよい。

0061

上述したように、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性上昇剤は、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤として使用することができる。

0062

したがって、本実施形態のスクリーニング方法は、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤のスクリーニング方法であるということもできる。

0063

[その他の実施形態]
1実施形態において、本発明は、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチドの有効量を、治療を必要とする患者に投与することを含む、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療方法を提供する。

0064

1実施形態において、本発明は、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療のための、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチドを提供する。

0065

1実施形態において、本発明は、MRN複合体の機能不全に起因する疾患の予防又は治療剤を製造するための、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、又は、配列番号1に記載のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる活性を有するペプチドの使用を提供する。

0066

上記各実施形態において、MRN複合体の機能不全に起因する疾患、配列番号1に記載のアミノ酸配列からなるペプチド、1若しくは数個等については、上述したものと同様である。

0067

以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。

0068

[実験例1]
(MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性の測定)
まず、MRN複合体の基質となる二本鎖DNA断片を調製した。具体的には、配列番号5及び6に示すDNA断片同士をアニーリングして、図1に示す二本鎖DNA断片を調製し、MRN複合体の基質に用いた。図1中、「b」はビオチン標識されていることを表し、「TAM」はTAMRA標識されていることを表す。ビオチン標識は、エキソヌクレアーゼ活性によるDNAの分解を阻害し、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性のみを検出するために行った。また、TMARA標識は、切断されたDNA断片を検出するために行った。

0069

続いて、表1に示す組成反応液を調製し、図1に示す二本鎖DNA断片に、配列番号1に示すアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「CT15」という。)、又は、配列番号7に示すアミノ酸配列からなるペプチド(以下、「CT15−5A」という。)を様々な濃度でMRN複合体に作用させた。表1に示すように、反応液にMRE11−RAD50複合体及びFLG標識したNbs1(Nbs1−FLAG)を添加することにより、反応液内でMRN複合体を形成させた。

0070

続いて、30℃で60分間インキュベートして反応させた後、EDTA、SDS、proteinase Kを含む溶液を加え、除タンパク質反応(50℃、30分)を行った。続いて、各サンプルに対して、ホルムアミド最終濃度80%となるように加えて98℃で加熱することによりDNAを1本鎖にし、8M尿素及び10%ホルムアミドを含むポリアクリルアミドゲルを用いた電気泳動(PAGE)で分離した。続いて、TyphoonFLA9500(GEヘルスケア社)を用いて、PAGE後のゲルのTMARAの蛍光を検出した。

0071

0072

下記表2に、CT15ペプチド及びCT15−5Aペプチドのアミノ酸配列を示す。CT15−5Aペプチドは、CT15ペプチドのN末端側から、5、8、9、10、13番目のアミノ酸をそれぞれアラニンに置換したペプチドである。

0073

0074

図2は、ポリアクリルアミドゲル電気泳動の結果を示す写真である。図2中、「MRN」はMRN複合体を表し、「−」は添加しなかったことを表し、「+」は添加したことを表す。

0075

その結果、MRN複合体にCT15ペプチドを添加すると、CT15ペプチドの添加量が増加するにしたがって、消化されたDNA断片の増加が検出された。一方、MRN複合体にCT15−5Aペプチドを添加しても、消化されたDNA断片は検出されなかった。

0076

この結果から、CT15ペプチドの添加により、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性が上昇することが明らかとなった。また、CT15ペプチドによるMRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性の上昇には、CT15ペプチドのN末端側から5、8、9、10、13番目のアミノ酸のいずれかが重要であることが明らかとなった。

0077

[実験例2]
(CTP1遺伝子変異株の作製)
まず、Ura3+遺伝子をマーカーとした遺伝子破壊を行い、分裂酵母972株由来のCTP1遺伝子破壊株遺伝子型:ctp1delta::ura4+ h− smt0 ade6−704 leu1−32 ura4−D18 his−D1 arg−D1)を作製した。続いて、作製したCTP1遺伝子破壊株に、下記表3に示すCTP1遺伝子の発現ベクターをそれぞれ導入し、CTP1遺伝子変異株を作製した。発現ベクターとしては、pREP81を使用した。表3中、「wt」は野生型であることを示し、「empty」はプラスミドDNAのみを導入したことを示す。

0078

0079

続いて、各CTP1遺伝子変異株を液体完全培地で一晩培養し、10倍毎の希釈系列を作製した。続いて、通常の寒天培地終濃度1μMのカンプトテシンを含む寒天培地、及び、終濃度5μMのカンプトテシンを含む寒天培地に、各CTP1遺伝子変異株の希釈系列をスポットした。続いて、30℃で4〜5日間培養し、スポットを観察した。

0080

ここで、カンプトテシンは抗癌剤の一種である。カンプトテシンはトポイソメラーゼI−DNA複合体と結合して安定化する。その結果、DNA複製が阻害され、カンプトテシン−トポイソメラーゼI−DNA複合体が除去されないと、細胞死に至る。これに対し、MRN−Ctp1複合体が機能すれば、カンプトテシン−トポイソメラーゼI−DNA複合体を除去することができ、菌はコロニーを形成することができる。一方、MRN−Ctp1複合体が機能しないと、菌はコロニーを形成することができない。

0081

図3(a)〜(c)は、実験結果を示す写真である。図3(a)は通常の寒天培地(カンプトテシンを含まない寒天培地)の結果であり、図3(b)は終濃度1μMのカンプトテシンを含む寒天培地の結果であり、図3(c)は終濃度5μMのカンプトテシンを含む寒天培地の結果である。図3(a)〜(c)中、「Cpt」はカンプトテシンを表す。

0082

その結果、Ctp1(FWE−5A)変異株、Ctp1(FWE−3A)変異株、Ctp1(W288A)変異株、Ctp1(F287A)変異株は、終濃度5μMのカンプトテシンの存在下でコロニーを形成することができないことが明らかとなった。また、Ctp1(F292A)変異株は、終濃度5μMのカンプトテシンの存在下において、コロニー形成量が顕著に減少したことが明らかとなった。

実施例

0083

以上の結果から、Ctp1タンパク質のF287、W288、F292の各アミノ酸残基がCtp1タンパク質の機能に特に重要であることが明らかとなった。すなわち、Ctp1タンパク質のC末端の近傍に、FWXXXF(配列番号2、ここで、Fはフェニルアラニンを表し、Wはトリプトファンを表し、Xは任意のアミノ酸を表す。)のアミノ酸配列が存在することが、Ctp1タンパク質の機能に重要であることが明らかとなった。

0084

本発明によれば、MRN複合体のエンドヌクレアーゼ活性を上昇させる技術を提供することができる。

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