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技術 電気化学デバイス

出願人 パナソニックIPマネジメント株式会社
発明者 山内将樹山本雅夫安本栄一
出願日 2019年4月17日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-078212
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-176023
状態 未査定
技術分野 水素、水、水素化物 触媒
主要キーワード マイナス側出力端子 プラス側出力端子 ガラス皿 側入口 側出口 燃料処理器 ガス供給溝 カソード内
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

カソード電解質樹脂を透過する二酸化炭素量を少なくして、貴金属系触媒一酸化炭素による被毒を抑制する。

解決手段

電気化学デバイス電解質膜電極接合体の電解質膜20の一方の主面に配置されるカソード22は、カーボン粉末11と貴金属系触媒12と炭化水素系電解質樹脂13とで構成されている。カーボン粉末11は複数の貴金属系触媒12を担持している。カーボン粉末11に担持された貴金属系触媒12とカーボン粉末11は、炭化水素系電解質樹脂13で覆われている。炭化水素系電解質樹脂13は、ガス透過性フッ素系電解質樹脂よりも低いので、カソード22にフッ素系電解質樹脂を用いた場合よりも、貴金属系触媒12の一酸化炭素による被毒を抑制することができる。

概要

背景

この種の電気化学デバイスは、電解質膜アノードカソードとの間に配置された電解質膜−電極接合体を、アノードに水素含有ガスを供給するためのガス流路が形成されたアノード側セパレータと、カソードにおいて生成した水素を電気化学デバイスの外部に排出するためのガス流路が形成されたカソード側セパレータとで挟持した構成になっている。

このような構成を備える電気化学デバイスのアノードに、加湿された水素含有ガスを供給するとともに、アノードから電解質膜を介してカソードへと流れる方向の電流を流すことにより、アノードでは、(化1)に示す、水素が水素イオン(H+)と電子解離する酸化反応が起こり、カソードでは、(化2)に示す、水素イオン(H+)と電子が結びついて水素が生成される還元反応が起こる。

(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノードに供給された水素含有ガスから、カソードにおいて水素を生成することができる。このとき、水素含有ガス中の水素のみがアノード側からカソード側へ移動するため、高純度の水素を得ることができる。

電気化学デバイスに供給される水素含有ガスは、例えば、燃料処理器によって、都市ガスプロパンガス等の炭化水素系の原料を、水蒸気改質部分酸化改質、またはオートサーマル改質して生成され、水素の他に二酸化炭素を含んでいる。

ここで、水素含有ガス中の二酸化炭素が、アノードから電解質膜を透過してカソードに移動し、白金上で、(化3)に示す、二酸化炭素と水素が結びついて一酸化炭素と水が生成する逆シフト反応が起こることが推察されている(例えば、特許文献1参照)。

そのため、カソードには、耐一酸化炭素被毒特性に優れた貴金属系触媒である白金ルテニウムと、フッ素系電解質樹脂からなるカソードが利用され、電気化学デバイスにおける電圧を小さくしている。

電気化学デバイスにおける電圧とは、(化1)と(化2)に示す反応を進めるために必要な電圧である。この電気化学デバイスでは、白金ルテニウムとフッ素系電解質樹脂からなるカソードを用いているので、(化2)の反応が進み易くなり、反応に必要な電圧が小さくなる。

概要

カソードの電解質樹脂を透過する二酸化炭素量を少なくして、貴金属系触媒の一酸化炭素による被毒を抑制する。電気化学デバイスの電解質膜−電極接合体の電解質膜20の一方の主面に配置されるカソード22は、カーボン粉末11と貴金属系触媒12と炭化水素系電解質樹脂13とで構成されている。カーボン粉末11は複数の貴金属系触媒12を担持している。カーボン粉末11に担持された貴金属系触媒12とカーボン粉末11は、炭化水素系電解質樹脂13で覆われている。炭化水素系電解質樹脂13は、ガス透過性がフッ素系電解質樹脂よりも低いので、カソード22にフッ素系電解質樹脂を用いた場合よりも、貴金属系触媒12の一酸化炭素による被毒を抑制することができる。

目的

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電気化学デバイスにおける電解質膜−電極接合体のカソードの一酸化炭素による貴金属系触媒の被毒を抑えることで、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制する電気化学デバイスを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

電解質膜アノードカソードとの間に配置された電解質膜−電極接合体を有し、前記アノードに水素含有ガスを供給するとともに、前記アノードと前記カソードとの間に所定方向電流を流すことで、前記カソードにおいて水素を生成する電気化学デバイスであって、前記カソードが、カーボン粉末担持された貴金属系触媒炭化水素系電解質樹脂とで構成されることを特徴とする、電気化学デバイス。

請求項2

前記電解質膜が、炭化水素系電解質膜であることを特徴とする、請求項1に記載の電気化学デバイス。

技術分野

0001

本発明は、電気化学的な反応を利用して、水素含有ガスから高純度水素を生成する電気化学デバイスに関するものである。

背景技術

0002

この種の電気化学デバイスは、電解質膜アノードカソードとの間に配置された電解質膜−電極接合体を、アノードに水素含有ガスを供給するためのガス流路が形成されたアノード側セパレータと、カソードにおいて生成した水素を電気化学デバイスの外部に排出するためのガス流路が形成されたカソード側セパレータとで挟持した構成になっている。

0003

このような構成を備える電気化学デバイスのアノードに、加湿された水素含有ガスを供給するとともに、アノードから電解質膜を介してカソードへと流れる方向の電流を流すことにより、アノードでは、(化1)に示す、水素が水素イオン(H+)と電子解離する酸化反応が起こり、カソードでは、(化2)に示す、水素イオン(H+)と電子が結びついて水素が生成される還元反応が起こる。

0004

0005

(化1)と(化2)に示す電気化学反応により、アノードに供給された水素含有ガスから、カソードにおいて水素を生成することができる。このとき、水素含有ガス中の水素のみがアノード側からカソード側へ移動するため、高純度の水素を得ることができる。

0006

電気化学デバイスに供給される水素含有ガスは、例えば、燃料処理器によって、都市ガスプロパンガス等の炭化水素系の原料を、水蒸気改質部分酸化改質、またはオートサーマル改質して生成され、水素の他に二酸化炭素を含んでいる。

0007

ここで、水素含有ガス中の二酸化炭素が、アノードから電解質膜を透過してカソードに移動し、白金上で、(化3)に示す、二酸化炭素と水素が結びついて一酸化炭素と水が生成する逆シフト反応が起こることが推察されている(例えば、特許文献1参照)。

0008

そのため、カソードには、耐一酸化炭素被毒特性に優れた貴金属系触媒である白金ルテニウムと、フッ素系電解質樹脂からなるカソードが利用され、電気化学デバイスにおける電圧を小さくしている。

0009

電気化学デバイスにおける電圧とは、(化1)と(化2)に示す反応を進めるために必要な電圧である。この電気化学デバイスでは、白金ルテニウムとフッ素系電解質樹脂からなるカソードを用いているので、(化2)の反応が進み易くなり、反応に必要な電圧が小さくなる。

0010

先行技術

0011

特開2017−39636号公報

発明が解決しようとする課題

0012

しかしながら、前記従来の構成では、フッ素系電解質樹脂はガス透過性が高いため、電気化学デバイスにおける電解質膜−電極接合体のカソードにフッ素系電解質樹脂を利用した場合、二酸化炭素がフッ素系電解質樹脂を容易に透過して、白金近傍に到達し易い。

0013

そのため、白金近傍で二酸化炭素と水素から一酸化炭素が生成し易い環境にあるため、触媒に耐一酸化炭素被毒特性に優れた白金ルテニウムをカソードに用いても、白金被毒の抑制が十分ではなかった。そのため、カソードにおいて(化2)の反応を進めるための電気化学デバイスにおける電圧が経時的に大きくなった。これにより、電気化学デバイスの電力原単位が大きくなるという課題を有しており、未だ改善の余地があった。

0014

ここで、電力原単位とは、電気化学デバイスから得られる水素量に対する電気化学デバイスに投入する電気エネルギーの割合である。電気エネルギーとは、電気化学デバイスにおける電流値と電圧と時間の積である。

0015

一定の水素量を得るためには、一定の電流値を電気化学デバイスに流す必要がある。電気化学デバイスから得られる水素量に対して、電圧が大きくなると電力原単位が大きくなる。

0016

本発明は、前記従来の課題を解決するもので、電気化学デバイスにおける電解質膜−電極接合体のカソードの一酸化炭素による貴金属系触媒の被毒を抑えることで、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制する電気化学デバイスを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0017

前記従来の課題を解決するために、発明者らは、二酸化炭素を含む水素含有ガスから高純度の水素を得ることに関する構成について、鋭意検討し、以下の知見を得た。

0018

すなわち、電解質膜−電極接合体を固体高分子形燃料電池として用いた場合には、カソードにおいて、(化4)に示す、水素イオン(H+)と電子と酸素から水が発生する還元反応を起こす必要があった。

0019

そこで、電解質膜−電極接合体のカソードには、カソード内部の貴金属系触媒に外部からの酸素を効率よく供給するために、貴金属系触媒とともにカソードを構成する電解質樹脂として、電解質樹脂のなかではガス透過性が高いフッ素系電解質樹脂が、多く採用されている。

0020

また、炭化水素系電解質樹脂は、電解質樹脂のなかではガス透過性が低いため、炭化水素系電解質樹脂を固体高分子形燃料電池のカソードの電解質樹脂に用いると、反応に必要な酸素が炭化水素系電解質樹脂を透過しにくく、貴金属系触媒に酸素を十分に供給できない不都合があるために、炭化水素系電解質樹脂を固体高分子形燃料電池のカソードの電解質樹脂に用いることは稀であった。

0021

これに対して、二酸化炭素を含む水素含有ガスから高純度の水素を得る電気化学デバイスにおいては、カソードにおける還元反応が燃料電池とは異なり、(化2)に示すように酸素が不要である。

0022

ここで、発明者らは、水素を燃料として発電する燃料電池と高純度の水素を得る電気化学デバイスとの違いに着目し、電気化学デバイスにおいては、カソードに透過した二酸化炭素が白金上で生成する水素と反応して、一酸化炭素が生成し、白金被毒することに対して、簡単な構成で白金被毒を抑制する、本発明の一態様を完成させるに至った。

0023

本発明の電気化学デバイスは、電解質膜がアノードとカソードとの間に配置された電解質膜−電極接合体を有し、アノードに水素含有ガスを供給するとともに、アノードとカソードとの間に所定方向の電流を流すことで、カソードにおいて水素を生成する電気化学デバイスであって、カソードを、カーボン粉末担持された貴金属系触媒と炭化水素系電解質樹脂とで構成したものである。

0024

これによって、カソードにフッ素系電解質樹脂を用いる場合に比べて、カソードの炭化水素系電解質樹脂を透過する二酸化炭素の量を少なくでき、カソードの貴金属系触媒において(化3)の反応による一酸化炭素生成量が少なくなるので、カソードの一酸化炭素による貴金属系触媒の被毒を抑えることができる。その結果、電圧が大きくなることを防いで、電力原単位が大きくなることを抑制することができる電気化学デバイスとなる。

発明の効果

0025

本発明の電気化学デバイスは、カソードにおける一酸化炭素生成量が少ないので、フッ素系電解質樹脂をカソードに用いる場合に比べて、カソードの貴金属系触媒の一酸化炭素による被毒を抑制することができる。これにより、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制する電気化学デバイスにすることができる。また、電力原単位が大きくなることを防ぐので、経済性に優れた電気化学デバイスを提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の実施の形態1の電気化学デバイスに用いたカソードの概略構成
本発明の実施の形態1の電気化学デバイスに用いた電解質膜−電極接合体の概略構成図
本発明の実施の形態1の電気化学デバイスの概略構成図
本発明の実施の形態2の電気化学デバイスに用いた電解質膜−電極接合体の概略構成図
本発明の実施の形態2の電気化学デバイスの概略構成図

実施例

0027

第1の発明は、電解質膜がアノードとカソードの間に配置された電解質膜−電極接合体を有し、アノードに水素含有ガスを供給するとともに、アノードとカソードの間に所定方向の電流を流すことで、カソードにおいて水素を生成する電気化学デバイスであって、カソードが、カーボン粉末に担持された貴金属系触媒と炭化水素系電解質樹脂とで構成され
ることを特徴とする、電気化学デバイスである。

0028

この構成の電気化学デバイスにおいて、カソードを、カーボン粉末に担持された貴金属系触媒と炭化水素系電解質樹脂とで構成することによって、カソード内部の炭化水素系電解質樹脂を透過して、貴金属系触媒近傍に到達する二酸化炭素の量を、カソードにフッ素系電解質樹脂を用いる場合に比べて少なくできる。

0029

そして、カソード内部の炭化水素系電解質樹脂を透過して、貴金属系触媒近傍に到達する二酸化炭素の量が減少すると、(化3)の反応による一酸化炭素生成量が少なくなり、貴金属系触媒の一酸化炭素による被毒を抑制することができる。以上のことから、本発明の電気化学デバイスは、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制することができる。

0030

第2の発明は、特に、第1の発明における電解質膜が、炭化水素系電解質膜であることを特徴とするものである。

0031

第1の発明における電解質膜に、炭化水素系電解質膜を用いることにより、電解質膜を透過してアノードからカソードに移動する二酸化炭素量が少なくなるので、カソード内部の炭化水素系電解質樹脂を透過して、貴金属系触媒近傍に到達する二酸化炭素の量を、更に少なくすることができる。

0032

その結果、(化3)の反応による一酸化炭素生成量が更に少なくなり、貴金属系触媒の一酸化炭素による被毒を更に抑制することができる。以上のことから、本発明の電気化学デバイスは、電圧が大きくなることを更に防ぎ、電力原単位が大きくなることを更に抑制することができる。

0033

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

0034

(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の電気化学デバイスに用いたカソードの概略構成図である。図2は、同実施の形態の電気化学デバイスに用いた電解質膜−電極接合体の概略構成図である。図3は、同実施の形態の電気化学デバイスの概略構成図である。

0035

以下、本実施の形態の電気化学デバイス35と、それに用いた電解質膜−電極接合体23と、それに用いたカソード22について、その構成要素の材料と構造を、図1から図3を参照しながら具体的に説明する。

0036

図1に示すように、カソード22は、電解質膜20の一方の主面に接するように配置されている。また、カソード22は、カーボン粉末11と貴金属系触媒12と炭化水素系電解質樹脂13とで構成されている。カーボン粉末11は複数の貴金属系触媒12を担持している。カーボン粉末11に担持された貴金属系触媒12とカーボン粉末11は、炭化水素系電解質樹脂13で覆われている。

0037

貴金属系触媒12には、耐一酸化炭素被毒特性に優れた白金ルテニウムを用いている。炭化水素系電解質樹脂13には、スルホン化ポリスチレン骨格として、水素イオン伝導性を備えた炭化水素系の高分子材料を用いている。

0038

また、図2に示すように、電解質膜−電極接合体23は、電解質膜20をアノード21とカソード22とで挟んだ構成になっている。カソード22は電解質膜20の一方の主面
の略中央部に配置され、アノード21は電解質膜20の他方の主面の略中央部に配置される。

0039

アノード21の主面の大きさと形状は、カソード22の主面の大きさと形状と略同一である。電解質膜20の主面と、アノード21及びカソード22の主面の形状は、どちらも略矩形であって、電解質膜20の主面の縦寸法は、アノード21及びカソード22の主面の縦寸法よりも大きく、電解質膜20の主面の横寸法は、アノード21及びカソード22の主面の横寸法よりも大きい。

0040

電解質膜20には、フッ素を含む高分子を骨格とし、スルホン酸基を有し水素イオン伝導性を備えたフッ素系の高分子材料を用いている。アノード21は、カーボン粉末に担持された貴金属系触媒と電解質樹脂とからなる。アノード21の貴金属系触媒には、カソード22と同じ白金ルテニウムとを用いている。また、アノード21の電解質樹脂には、フッ素を含む高分子を骨格とし、スルホン酸基を有し水素イオン伝導性を備えたフッ素系の高分子材料を用いている。

0041

図3に示すように、電気化学デバイス35は、電解質膜−電極接合体23をアノード側セパレータ30とカソード側セパレータ31とで挟んだ構成になっている。アノード側セパレータ30とカソード側セパレータ31とは、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成されている。

0042

アノード側セパレータ30は、電解質膜20の他方の主面の略中央部に配置されたアノード21と、電解質膜20の他方の主面におけるアノード21で覆われていない部分に当接するように配置されている。カソード側セパレータ31は、電解質膜20の一方の主面の略中央部に配置されたカソード22と、電解質膜20の一方の主面におけるカソード22で覆われていない部分に当接するように配置されている。

0043

アノード側セパレータ30におけるアノード21と対向する面とは反対側の面には、水素含有ガスをアノード21に供給するためのアノード側入口32と、未利用(残余)の水素含有ガスをアノード21から排出するためのアノード側出口33とが設けられている。アノード側セパレータ30におけるアノード21と対向する面には、一端(上流端)がアノード側入口32に連通するとともに他端(下流端)がアノード側出口33に連通する溝状のガス流路が形成されている。

0044

カソード側セパレータ31におけるカソード22と対向する面とは反対側の面には、カソード22において生成する水素を外部に排出するためのカソード側出口34が設けられている。カソード側セパレータ31におけるカソード22と対向する面には、下流端がカソード側出口34に連通する溝状のガス流路が形成されている。

0045

また、電気化学デバイス35には、アノード21から電解質膜20を介してカソード22へ電流を流すための電源102が接続されている。電源102には、直流電源を用い、所定電流を流した際の電気化学デバイス35の電圧を計測する電圧計の機能も備えられている。電源102のプラス側出力端子はアノード21に電気的に接続されており、電源102のマイナス側出力端子はカソード22に電気的に接続されている。

0046

また、電気化学デバイス35の温度を調節するための温度調節器103が、電気化学デバイス35と熱交換可能に、電気化学デバイス35に取り付けられている。温度調節器103には、電源102からの電流によって発熱する電気化学デバイス35と熱交換する冷却水の流量を調節して、設定された温度を一定に保つための熱交換器を用いる。電源102と温度調節器103は、制御器104からの指令により制御される。

0047

以上のように構成された本実施の形態に係る電気化学デバイス35について、以下、その動作と作用を、図3を参照しながら具体的に説明する。

0048

まず、ガス供給手段(図示せず)から、加湿された水素と二酸化炭素とを含む水素含有ガスを、電気化学デバイス35のアノード側入口32を介してアノード21に供給する。電気化学デバイス35は、所定の温度となるように温度調節器103を制御器104で制御し、電源102により、アノード21の電位をカソード22の電位よりも高くして、電気化学デバイス35のアノード21から電解質膜20を介してカソード22に直流電流を流す。

0049

この動作により、電気化学デバイス35において電気化学反応が進行し、アノード21では、水素含有ガスに含まれる水素が水素イオンと電子に解離する酸化反応が起こり、アノード21の水素イオンが電解質膜20を透過してカソード22に移動し、アノード21の電子が電源102を経由してカソード22に移動し、カソード22において、還元反応で、水素イオンと電子が結びついて水素が生成される。

0050

以下、本実施の形態に係る電気化学デバイス35について、具体的な実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明は、以下で用いた特定の原料等の内容に必ずしも限定されるものではない。

0051

(実施例1)
カソードインクの作製)
白金ルテニウムを担持した15重量部のカーボン粉末(田中貴金属(株)製、品番:TEC66E50)、15重量部のポリスチレンスルホン酸塩溶液シグマアルドリッチ社製、製品番号:448885)を、カーボン粉末11に担持された貴金属系触媒12、炭化水素系電解質樹脂13として、容器採取した。

0052

次に、分散媒として、20重量部の純水と65重量部のエタノールを、その容器に加えて、室温で2時間混練して、カソードインクを作製した。カソードインクの混錬には、分散機((株)セイワ技研製、製品名:RS−05W)と超音波ホモジナイザー((株)日本精機製作所、製品名:US−150E)を用いた。

0053

アノードインクの作製)
白金ルテニウムを担持した15重量部のカーボン粉末(田中貴金属(株)製、品番:TEC66E50)、50重量部のナフィオン登録商標)10%分散液(シグマアルドリッチ社製、製品番号:527114)を、容器に採取した。ここで、ナフィオン(登録商標)はフッ素系電解質樹脂である。

0054

次に、分散媒として、20重量部の純水と65重量部のエタノールを、その容器に加えて、室温で2時間混練して、アノードインクを作製した。

0055

アノードインクの混錬には、分散機((株)セイワ技研製、製品名:RS−05W)と超音波ホモジナイザー((株)日本精機製作所、製品名:US−150E)とを用いた。

0056

(電解質膜−電極接合体の作製)
電解質膜20としてフッ素系のGORE−SELECT(登録商標、日本ゴア株式会社)を用意した。電解質膜20の一方の主面にはカソードインクを、他方の主面にはアノードインクを、それぞれ、スクリーン印刷機ニューロング精密工業(株)製、製品名:DP−320)を用いて、スクリーン印刷法により塗布した。

0057

次に、前述したカソードインク、アノードインクが塗布された電解質膜20を75℃の恒温器(ヤマト科学(株)製、型番:DKM300)に2時間放置し、アノードインク、カソードインクから分散媒を加熱乾燥により除去した後、室温に3時間放置した。

0058

以上の操作により、電解質膜20の両面にアノード21とカソード22とを形成し、電解質膜−電極接合体23(以下、電解質膜−電極接合体Aという。)を作製した。

0059

(電気化学デバイスの製造)
電解質膜−電極接合体Aの外周部にシリコーン樹脂からなるガスケットクレハエラストマー(株)製、品番:SB50NJP)を接合した。

0060

次に、表面にガス供給溝を形成した樹脂含浸黒鉛板から構成したアノード側セパレータ30とカソード側セパレータ31とを電解質膜−電極接合体Aの外側に配置して、電気化学デバイス35(以下、電気化学デバイスAという。)を製造した。

0061

こうして製造した電気化学デバイスAの電圧(V)と電力原単位(W・s/NL)とを評価した。試験方法を以下に示す。

0062

(試験方法)
電気化学デバイスAを温度80℃となるように温度調節器103を制御器104で制御した。

0063

次に、ガス供給手段から、ガス温度が85℃で相対湿度が80%になるように加湿された水素含有ガス(水蒸気を除く含有比率において、水素の含有比率が80%で、二酸化炭素の含有比率が20%の水素含有ガス)を、電気化学デバイスAのアノード側入口32を介してアノード21に供給した。

0064

次に、制御器104の制御によって、電源102から電気化学デバイスAに、アノード21から電解質膜20を介してカソード22の方向の100(A)の電流を流して、カソード側出口34から排出される水素の量を流量計(オムロン(株):型式D6F−A6)を用いて測定した。また、電源102により電気化学デバイスAのアノード21とカソード22との間の電圧(V)を測定した。

0065

ここで、電力原単位(W・s/NL)とは、電気化学デバイスAのカソード側出口34から排出される水素流量(NL)当たりの電気化学デバイスAに投入した電気エネルギー(W・s)の割合で表される。電気化学デバイスAの電源102に投入した電気エネルギー(W・s)は、電流値(A)と電圧(V)と時間(s)から下記の(数1)で表すことができる。

0066

また、電力原単位(W・s/NL)は、下記の(数2)で表すことができる。

0067

ここで、流量計で計測したカソード側出口34から排出される水素流量(NL)、電源102に指示した電流値(A)、電流を流した時間(s)、電源102で計測した電気化学デバイスAのアノード21とカソード22との間の電圧(V)から電力原単位(W・s/NL)を算出した。

0068

本実施例1においては、水素量(NL)は1.12(NL)、電流値(A)は100(A)、電流を流した時間は100(s)、電圧は0.085(V)であった。電気エネルギー(W・s)は(数1)より、850(W・s)である。よって、電力原単位(W・s/NL)は、(数2)より、759(W・s/NL)となる。

0069

(比較例1)
カソードの材料に、50重量部のナフィオン(登録商標)10%分散液(シグマアルドリッチ社製、製品番号:527114)を用いた。それ以外は実施例1と同じ材料を用いて、実施例1と同じ製造方法で電解質膜−電極接合体(以下、電解質膜−電極接合体Bという。)、及び電気化学デバイス(以下、電気化学デバイスBという。)を製造した。

0070

こうして製造した電気化学デバイスBの電圧(V)と電力原単位(W・s/NL)を評価した。試験方法は実施例1と同じ方法である。

0071

比較例1においては、流量計により測定したカソード側出口34から排出される水素量(NL)は1.12(NL)であった。また、100(A)の電流を100(s)流した時の電圧が0.100(V)であった。(数1)より電気エネルギー(W・s)は1000(W・s)となり、(数2)より、電力原単位は、893(W・s/NL)となった。

0072

上より、比較例1の電気化学デバイスBに比べて、実施例1の電気化学デバイスAの方が、電圧が小さく、電力原単位が小さい結果となった。

0073

これは、実施例1の電気化学デバイスAの電解質膜−電極接合体Aのカソード22を、カーボン粉末に担持された貴金属系触媒12と炭化水素系電解質樹脂13とで形成し、カソード22の炭化水素系電解質樹脂13を透過する二酸化炭素の量を少なくできたことによる。

0074

以上のように、本実施の形態の電気化学デバイス35のカソード22は、カーボン粉末11に担持された貴金属系触媒12(白金ルテニウム)と炭化水素系電解質樹脂13とで構成されている。

0075

その結果、カソード22内部の炭化水素系電解質樹脂13を透過して、貴金属系触媒12近傍に到達する二酸化炭素の量を、カソード22にフッ素系電解質樹脂を用いる場合に比べて少なくできる。

0076

そして、カソード22内部の炭化水素系電解質樹脂13を透過して、貴金属系触媒12近傍に到達する二酸化炭素の量が減少すると、(化3)の反応による一酸化炭素生成量が少なくなり、貴金属系触媒12の一酸化炭素による被毒を抑制することができる。以上のことから、本実施の形態の電気化学デバイス35は、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制することができる。

0077

なお、本実施の形態において、カソード22の炭化水素系電解質樹脂13に、スルホン化ポリスチレンを骨格とし、水素イオン伝導性を備えた炭化水素系の高分子材料を用いたが、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリベンズイミダゾールスルホン化ポリエーテルエーテルケトン等を骨格とする炭化水素系の高分子材料を用いてもよい。

0078

(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2の電気化学デバイスに用いた電解質膜−電極接合体の概略構成図である。図5は、同実施の形態の電気化学デバイスの概略構成図である。

0079

以下、本実施の形態の電気化学デバイス36と、それに用いた電解質膜−電極接合体25について、その構成要素の材料と構造を、図4図5を参照しながら具体的に説明するが、本実施の形態の電気化学デバイス36と、それに用いた電解質膜−電極接合体25において、実施の形態1の電気化学デバイス35と、それに用いた電解質膜−電極接合体23と、同一構成については、同一符号を付して、重複する説明は省略する。

0080

図4に示すように、本実施の形態の電気化学デバイス36に用いた電解質膜−電極接合体25は、炭化水素系の電解質膜24をアノード21とカソード22とで挟んだ構成になっている。カソード22は電解質膜24の一方の主面の略中央部に配置され、アノード21は電解質膜24の他方の主面の略中央部に配置される。

0081

電解質膜24には、スルホン化ポリスチレンを骨格とし、水素イオンを含む水素イオン伝導性の炭化水素系の高分子材料を用いている。

0082

図5に示すように、電気化学デバイス36は、電解質膜−電極接合体25をアノード側セパレータ30とカソード側セパレータ31とで挟んだ構成になっている。

0083

アノード側セパレータ30は、電解質膜24の他方の主面の略中央部に配置されたアノード21と、電解質膜24の他方の主面におけるアノード21で覆われていない部分に当接するように配置されている。カソード側セパレータ31は、電解質膜24の一方の主面の略中央部に配置されたカソード22と、電解質膜24の一方の主面におけるカソード22で覆われていない部分に当接するように配置されている。

0084

また、電気化学デバイス36には、アノード21から電解質膜24を介してカソード22へ電流を流すための電源102が接続されている。

0085

また、電気化学デバイス36の温度を調節するための温度調節器103が、電気化学デバイス36と熱交換可能に、電気化学デバイス36に取り付けられている。温度調節器103には、電源102からの電流によって発熱する電気化学デバイス36と熱交換する冷却水の流量を調節して、設定された温度を一定に保つための熱交換器を用いる。

0086

実施の形態2における電解質膜−電極接合体25は、実施の形態1の電解質膜−電極接合体23における電解質膜20の代わりに、炭化水素系の電解質膜24を設けたものに相当し、実施の形態2における電気化学デバイス36は、実施の形態1の電気化学デバイス35における電解質膜−電極接合体23の代わりに、電解質膜−電極接合体25を設けたものに相当する。

0087

以下、本実施の形態に係る電気化学デバイス36について、具体的な実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明は、以下で用いた特定の原料等の内容に必ずしも限定されるものではない。

0088

(実施例2)
(炭化水素系の電解質膜の作製)
電解質膜24の原料として、炭化水素系電解質樹脂である、ポリスチレンースルホン酸塩溶液(シグマアルドリッチ社製、製品番号:448885)を、300重量部、容器に採取した。

0089

この溶液を2時間、加熱濃縮して、電解質樹脂濃度が7wt%になるようにした。予め35℃に加熱したガラス皿に溶液を滴下した後、スピンコーター((株)アクティブ製、型番:ACT−220AII)を使って薄膜状に膜厚が均一になるように広げた。その後、90℃の恒温器(ヤマト科学(株)製、型番:DKM300)に2時間放置して、乾燥させた。このようにして、膜厚が30μmの電解質膜24を作製した。

0090

(電解質膜−電極接合体の作製)
上記方法で作製した電解質膜24の一方の主面に、実施例1と同じ方法で作製したカソード22を形成するとともに、電解質膜24の他方の主面に、実施例1と同じ方法で作製したアノード21を形成することによって、電解質膜−電極接合体25(以下、電解質膜−電極接合体Cという。)を作製した。

0091

(電気化学デバイスの製造)
電解質膜−電極接合体Cの外周部にシリコーン樹脂からなるガスケット(クレハエラストマー(株)製、品番:SB50NJP)を接合した。

0092

次に、表面にガス供給溝を形成した樹脂含浸黒鉛板から構成したアノード側セパレータ30とカソード側セパレータ31とを電解質膜−電極接合体Cの外側に配置して、電気化学デバイス36(以下、電気化学デバイスCという。)を製造した。

0093

こうして製造した電気化学デバイスCの水素量(NL)、電圧(V)、電力原単位(W・s/NL)を、実施例1と同様の試験方法で評価した。

0094

実施例2においては、流量計により測定したカソード側出口34から排出された水素量(NL)は1.14(NL)であった。また、100(A)の電流を100(s)流した時の電圧が0.08(V)であった。(数1)より電気エネルギー(W・s)は800(W・s)となり、(数2)より、電力原単位は、702(W・s/NL)となった。

0095

以上の結果より、実施例1の電気化学デバイスA、及び比較例1の電気化学デバイスBに比べて、実施例2の電気化学デバイスCの方が、電圧が小さく、電力原単位が小さい結果となった。

0096

これは、実施例2の電気化学デバイスCの電解質膜を炭化水素系の電解質膜24にすることによって、炭化水素系の電解質膜24を透過してアノード21からカソード22に移動する二酸化炭素量を少なくすることができたことによる。

0097

以上のように、本実施の形態の電気化学デバイス36は、電解質膜−電極接合体25に炭化水素系の電解質膜24を用いることにより、電解質膜24を透過してアノード21からカソード22に移動する二酸化炭素量が少なくなるので、カソード22内部の炭化水素系電解質樹脂13を透過して、貴金属系触媒12(白金ルテニウム)近傍に到達する二酸化炭素の量を、実施の形態1の電気化学デバイス35よりも、更に少なくすることができる。

0098

その結果、(化3)の反応による一酸化炭素生成量が更に少なくなり、貴金属系触媒12の一酸化炭素による被毒を更に抑制することができる。以上のことから、本実施の形態の電気化学デバイス36は、電圧が大きくなることを更に防ぎ、電力原単位が大きくなることを更に抑制することができる。

0099

なお、本実施の形態において、炭化水素系の電解質膜24に、スルホン化ポリスチレンを骨格とし、水素イオン伝導性を備えた炭化水素系の高分子材料を用いたが、スルホン化ポリフェニレン、スルホン化ポリベンズイミダゾール、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン等を骨格とする炭化水素系の高分子材料を用いてもよい。

0100

以上のように、本発明は、電気化学デバイスのカソードの貴金属系触媒の一酸化炭素による被毒を抑制することができ、電圧が大きくなることを防ぎ、電力原単位が大きくなることを抑制することができる。このため、電解質膜−電極接合体を有する電気化学デバイスの電気化学反応により、二酸化炭素を含む水素含有ガスから水素を生成する用途に適用することができる。

0101

11カーボン粉末
12貴金属系触媒
13炭化水素系電解質樹脂
20,24電解質膜
21アノード
22カソード
23,25 電解質膜−電極接合体
30アノード側セパレータ
31カソード側セパレータ
32 アノード側入口
33 アノード側出口
34 カソード側出口
35,36電気化学デバイス
102電源
103温度調節器
104 制御器

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