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この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
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図面 (3)

課題

剥離が生じにくいコンクリート、特に覆工コンクリートおよび寒中コンクリートを提供する。

解決手段

単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であるコンクリートであり、好ましくはペースト中の空気の体積が、前記ペースト全体の体積の30%以上であり、ASTMC457に準拠したリニアトラバース法で測定した気泡間隔係数が150μm以下である、材料分離し難く、耐凍害性に優れるコンクートとする。

概要

背景

トンネル形成技術として、NATM(New Austrian Tunneling Method)工法矢板工法があり、現在はNATM工法が多く採用されている。NATMトンネルは、一般的に、吹付けコンクリートと、吹付けコンクリートの表面に貼設された防水シートと、防水シートの内空側に打設された覆工コンクリートとを備える。

NATM工法は、覆工コンクリートを構築するため、フォームの内側にガントリーを備えたセントルを使用する。セントルは、フォームと掘削孔との隙間に覆工コンクリートを打設できるようになっている。セントルは、打設された覆工コンクリートが所定の強度を発現するまで支持する。特許文献1には、覆工コンクリートに所定の強度発現を早めることを目的としてフォームを加熱して覆工コンクリートの養生温度を高める養生方法が提案されている。

NATM工法では、施工の迅速化のために、覆工コンクリートに型枠を取り外せるだけの最低限の硬度が発現した段階でセントルが取り外される。この際、セントル表面にコンクリートが付着する「剥離」が起こる場合がある。

概要

剥離が生じにくいコンクリート、特に覆工コンクリートおよび寒中コンクリートを提供する。単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であるコンクリートであり、好ましくはペースト中の空気の体積が、前記ペースト全体の体積の30%以上であり、ASTMC457に準拠したリニアトラバース法で測定した気泡間隔係数が150μm以下である、材料分離し難く、耐凍害性に優れるコンクートとする。

目的

特開2015−212498号公報






剥離が生じにくいコンクリートを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であることを特徴とするコンクリート

請求項2

ペースト中の空気の体積が、前記ペースト全体の体積の30%以上であることを特徴とする請求項1に記載のコンクリート。

請求項3

ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート。

請求項4

砕砂砕石のいずれかまたは両方を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリート。

請求項5

スランプが12cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート。

請求項6

請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリートからなる覆工コンクリート。

請求項7

請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリートからなる寒中コンクリート

技術分野

0001

本発明は、コンクリート、特に覆工コンクリートと寒中コンクリートに関する。

背景技術

0002

トンネル形成技術として、NATM(New Austrian Tunneling Method)工法矢板工法があり、現在はNATM工法が多く採用されている。NATMトンネルは、一般的に、吹付けコンクリートと、吹付けコンクリートの表面に貼設された防水シートと、防水シートの内空側に打設された覆工コンクリートとを備える。

0003

NATM工法は、覆工コンクリートを構築するため、フォームの内側にガントリーを備えたセントルを使用する。セントルは、フォームと掘削孔との隙間に覆工コンクリートを打設できるようになっている。セントルは、打設された覆工コンクリートが所定の強度を発現するまで支持する。特許文献1には、覆工コンクリートに所定の強度発現を早めることを目的としてフォームを加熱して覆工コンクリートの養生温度を高める養生方法が提案されている。

0004

NATM工法では、施工の迅速化のために、覆工コンクリートに型枠を取り外せるだけの最低限の硬度が発現した段階でセントルが取り外される。この際、セントル表面にコンクリートが付着する「剥離」が起こる場合がある。

先行技術

0005

特開2015−212498号公報

発明が解決しようとする課題

0006

剥離が生じにくいコンクリートを提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0007

本発明者らが、覆工コンクリートでの剥離の有無を調査したところ、剥離は、施工時の温度が低い現場で起こりやすく、剥離箇所が、打ち継ぎ面上方に集中していることが確認できた。さらなる調査の結果、この剥離は、2層目の打込み時に型枠に沿って上昇した1層目のレイタンス由来することが判明した。
本発明者らは、この下層のレイタンスに由来する打ち継ぎ面上方での剥離を抑制するコンクリートの鋭意研究を行い、下記手段を見出すに至った。

0008

すなわち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
1.単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であることを特徴とするコンクリート。
2.ペースト中の空気の体積が、前記ペースト全体の体積の30%以上であることを特徴とする1.に記載のコンクリート。
3.ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることを特徴とする1.または2.に記載のコンクリート。
4.砕砂砕石のいずれかまたは両方を含有することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のコンクリート。
5.スランプが12cm以上であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のコンクリート。
6.1.〜5.のいずれかに記載のコンクリートからなる覆工コンクリート。
7.1.〜5.のいずれかに記載のコンクリートからなる寒中コンクリート。

発明の効果

0009

本発明のコンクリートは、材料分離し難いため、レイタンスが生じにくい。本発明のコンクリートは、打ち継ぎ時に下層のレイタンスが型枠に沿って上昇することを防ぐことができるため、打ち継ぎ面上方での剥離を抑制することができる。本発明のコンクリートは、剥離が起こりやすい覆工コンクリート、寒中コンクリートに好適に用いることができる。
本発明のコンクリートは、水和反応に必要な水分量を確保したまま、コンクリート中の水分量を空気に置き換えているため、必要な強度(耐久性)を確保することができる。
本発明のコンクリートは、ペースト中の空気量を増加させることで、ブリーディング率ブリーディング量ともに低下することが確認でき、ひいては、ポンプ圧送性および圧送後の品質向上を見込むことができる。
ペースト中の水分を空気に置き換えていることで、時間経過に伴う質量の変化を小さくすること(乾燥収縮を改善すること)が可能となった。
ペースト中の空気量を増加させて、単位水量を減らした場合であっても、コンクリート部材の長さ変化及び電気泳動に対して変化は生じない。

図面の簡単な説明

0010

ブリーディング試験における経時でブリーディングした水の累計水量を示すグラフ
ブリーディング試験におけるブリーディング量を示すグラフ。

0011

本発明のコンクリートは、単位水量が155kg/m3以下、かつ、空気量が8%以上であることを特徴とする。
本発明のコンクリートは、セメント、水、細骨材粗骨材AE減水剤等の混和剤等とを混合することにより生成される。本発明のコンクリートにおいて使用するセメントは特に制限されず、例えば、普通ポルトランドセメント早強ポルトランドセメント中庸熱ポルトランドセメント低熱ポルトランドセメント高炉セメント(A〜C種)、フライアッシュセメント(A〜C種)、シリカセメント(A〜C種)、エコセメント等を用いることができる。

0012

本発明のコンクリートは、単位水量が155kg/m3以下、かつ、コンクリート中の空気量が8%以上である。なお、一般的なコンクリートの単位水量は、175〜185kg/m3、空気量は4.5±1.5%である。ここで、コンクリートのペースト中の水分には、セメントの水和反応に必要なものと、流動性を確保するためのものがあり、このうち、流動性を確保するための水分は、コンクリートの硬化過程では材料分離の原因となり、硬化後は耐久性低下を招く恐れがある。本発明のコンクリートは、単位水量が155kg/m3以下と少ないため、材料分離が起こりにくい。本発明のコンクリートは、ブリーディング量が少ないため、レイタンスの発生を抑えることができ、打ち継ぎ時に型枠に沿って上昇した下層のレイタンスに由来する剥離を抑えることができる。

0013

本発明のコンクリートは、空気量が8%以上と多くとも、単位水量が155kg/m3以下と少なく、かつ、水和反応に必要な水量を備えているため、従来の普通コンクリートと同等の耐久性を備えている。本発明のコンクリートは、単位水量が150kg/m3以下であることが好ましく、145kg/m3以下であることがより好ましく、135kg/m3以下であることがさらに好ましい。また、本発明のコンクリートは、空気量が10%以上であることがより好ましく、12%以上であることがさらに好ましい。

0014

本発明のコンクリートは、ペースト中の空気の体積が、ペースト全体の体積の30%以上(ペースト中の空気の体積を前記ペースト全体の体積で除した値が0.3以上)であることが好ましい。ここで、ペーストとは、セメントと水とを混合したセメントペーストのほか、高炉スラグフライアッシュシリカフューム等の潜在水硬性粉体石灰石微粉末などのセメントと同等ないしはそれ以上の粉末度を持つ材料と水との混合物を含むものである。本発明のコンクリートは、ペースト体積が空気により嵩増しされているため、単位水量が155kg/m3以下でありながら、従来の普通コンクリートと同等の流動性を備えている。ペースト中の空気の体積は、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。なお、本発明において、コンクリート中およびペースト中の空気量、気泡の大きさ、数等は、AE剤等の添加量により、調整することができる。

0015

本発明のコンクリートは、ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることが好ましい。なお、空気量4.5%である一般的な普通コンクリートは、この気泡間隔係数が200μm程度である。この気泡間隔係数が150μm以下であるコンクリートは、直径250μm以下の気泡(エントレインド・エア)を多く含んでいるため、ペーストの流動性、耐凍害性に優れている。本発明のコンクリートは、この気泡間隔係数が130μm以下であることが好ましく、110μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。なお、本発明のコンクリートにおいて、この気泡間隔係数の下限は、75μm程度である。

0016

リニアトラバース法とは、供試体を横切る平面上に一定間隔で設定された線上を走査して、各成分の区域横切り通過した距離を積分して各成分ごとの総和を求め、固体の体積組成を決定する方法である。リニアトラバース法により、トラバース長(本明細書では2620mm)において、気泡を横切った距離(弦長)と気泡を横切った回数気泡数)、気泡を横切った距離の総和、気泡以外の部分を横切った距離の総和を求めることができる。そして、これらの値から、気泡間隔係数を算出することができる。なお、気泡間隔係数とは、ペースト中に単一寸法の気泡が単一寸法の立方体中心に規則的に配置している状態を仮定した際の、この立方体の気泡中心から最遠点にあるセメントペーストと、この最遠点から最寄り気泡表面までの距離で定義される。

0017

本発明のコンクリートは、骨材として、砕石、砕砂のいずれか、または両方を含有しても流動性を確保することができる。本発明のコンクリートは、ペーストが多くの空気を含むことにより十分なペースト体積を備えている。そのため、本発明のコンクリートは、川砂利と比較して実積率が小さな砕石、天然砂と比較して形状がいびつで石粉を多く含む砕砂を配合しても、水量を増やすことなく、ペーストの流動性を維持することができる。

0018

本発明のコンクリートは、スランプを12cm以上とすることができる。本発明のコンクリートは、ブリーディングしにくいため、スランプが大きくても材料分離を抑制することができる。

0019

本発明のコンクリートは、混練直後から90分経後の空気体積保持率(混練直後のコンクリート中の空気量A1/混練後90分経過後のコンクリート中の空気量A2>90%)を、90%以上とすることができる。ここで、A1は、混練直後に測定したコンクリート中の空気量であり、A2は、混練後容器(いわゆるトロ)内で所定時間(90分間)静置した後、撹拌してから測定したコンクリート中の空気量である。混練後90分以上経過した後でも、90%以上のコンクリート中の空気量を保持できる配合にすることで、コンクリートの施工性および耐久性を確保することができる。

0020

本発明のコンクリートは、ペースト中の余分な水分(流動性を確保するための水分の一部であって、水和反応に必要な水分以外の水分)が空気によって置換されているため、材料分離し難い。本発明のコンクリートは、従来の普通コンクリートよりもペースト中に多量の空気を含有しているので、少ない水量でも流動性を確保することができる。流動性を確保するためには、骨材同士が互いに干渉することなく回転または移動することができるスペース(ペースト体積)が必要である。本発明のコンクリートは、空気によってペースト体積を嵩増しすることで粗骨材同士の潤滑性確保に必要なペースト体積を確保している。したがって、本発明のコンクリートによれば、普通コンクリートとして必要な強度を確保しつつ、施工に必要な流動性を確保し、なおかつ、材料分離や乾燥収縮ひび割れなどを抑制することができる。また、混練後90分以上経過した後でも、90%以上のコンクリート中の空気量を保持できる配合にすることで、コンクリートの施工性および耐久性を確保している。また、コンクリート中の空気量を増加させることで、コンクリート部材の軽量化を図ることが可能となる。

0021

本発明のコンクリートの用途は特に制限されないが、剥離が起こりやすい覆工コンクリート、寒中コンクリートとして好適に用いることができる。また、気泡間隔係数が150μm以下である本発明のコンクリートは、耐凍害性に優れているため、寒冷地用コンクリートとして好適に利用することができる。なお、寒冷地用とは、年間最低気温が−5℃以下の地域を意味する。

0022

[実施例1]
以下、本実施形態のコンクリートの性状を確認するために実施した実験結果について説明する。
本実験では、ペースト(セメントペースト)全体の体積に対して、ペースト中の空気の体積が51%(試料1)の試料を作成した。また、比較例(試料A)として、通常の配合である普通コンクリート(ペースト中の空気量16%)の試料を作成した。各試料の配合を、表1に示す。なお、試料1、Aは、ともにスランプ16cmである。

0023

0024

・ブリーディング試験
試料1、Aについて、打込み時の試料の温度と養生温度を変化させて、コンクリートのブリーディング試験方法(JIS A1123:2012)に従って、ブリーディングした水の累計水量(cm3)と、ブリーディング量(cm3/cm2)の測定を行った。結果を図1、2に示す。

0025

普通コンクリートである試料Aは、低温となるほどブリーディングが多くなった。
本発明である試料1は、打込み温度10℃養生温度10℃と低温で硬化したにもかかわらず、ブリーディングが生じなかった。これは、本発明のコンクリートが単位水量155kg/m3以下と少ない(試料1は128kg/m3)ためである。

0026

剥離試験
試料1、Aについて、油脂系剥離剤(岐阜工業株式会社製JET−COAT G−MAX)を塗布したスチール製型枠(600mm×600mm×600mm)に、1層目として高さ400mmまで打込み、60分締固めたのち、2層目を高さ600mmまで打ち継ぎ、15時間後に脱型した。打込み温度と養生温度は、上記ブリーディング試験と同様にした。脱型した型枠に付着したコンクリートを目視で確認し、下記基準で剥離性を評価した。
○:型枠にコンクリートが付着していない。
△:型枠に、コンクリートが付着しているが、その大きさは小さく、量は少ない。
×:型枠に大きな、または多くのコンクリートが付着している。

0027

気泡組織の測定
上記配合1、Aから、JIS A1132:2014に準拠して、Φ10cm高さ20cm、20℃水中養生材齢28日の供試体を作成した。
上記供試体の高さ方向中央部付近から厚さ50mm程度の円板状のサンプルを切り出し、このサンプルの両面を研磨した。研磨した両面について、硬化コンクリート気泡計測装置(株式会社ファースト製、HF−MAC011)を用いて、ASTMC457に準拠して、リニアトラバース法により、気泡の大きさと数、及び気泡間隔係数を測定した。測定は、サンプル両面とも略中央部分についてトラバース長が2620mm(片面あたり1310mm)となるように行った。
弦長250μm以下の気泡の数、気泡の総数、気泡間隔係数を表3に示す。

実施例

0028

試料1は、普通コンクリートと比較して弦長250μm以下の気泡が多く、また、気泡間隔係数が小さかった。本発明のコンクリートは、弦長250μm以下の独立気泡を多く含むため、耐凍害性に優れていることが確認できた。

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