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概要
背景
近年、川砂利、天然砂(海砂、川砂、山砂、陸砂)などの良質な天然骨材の枯渇、および環境保護の観点から、天然骨材に代えて砕石、砕砂、高炉スラグ骨材などの人工骨材、再生骨材が大量に使用されている。人工骨材、再生骨材は、天然骨材と比較して、粒の大きさ、形状が不均一であるため、例えば、人工骨材である砕石の実績率(57〜60%程度)は、川砂利の実積率(60〜63%)よりも低くなる。そのため、砕石を使用しながら川砂利と同等のワーカビリティを得るために、水量とセメント量を増やしてペースト体積を嵩増しし、骨材間距離を増やすことが行われている。
しかし、水量を増加させると、コンクリートが分離しやすくなるとともに、ブリーディング量が増加してしまう。また、セメント量を増加させると、必要以上の強度が発生する場合がある。
ペースト体積を嵩増しする方法として、ペースト中の空気量を増やす方法もあるが、空気量が増えると、耐久性が低下する、スランプが低下する、材料分離しやすくなる等の問題が発生しやすくなるため、JIS A5308:2019(非特許文献1)には、普通コンクリート中の空気量は、4.5±1.5%と定められている。
なお、空気量4.5%である一般的な普通コンクリート(単位水量170L、セメント量309kg、水セメント比55%)のペースト中の空気量を算出すると、以下に示す通り、16.7%になる。
単位セメント量(セメント密度=3.1) :309kg÷3.1=99.7L
ペースト体積 :170L+99.7L=269.7L
単位空気量(コンクリート1m3中の空気量):1000L×4.5%=45L
ペースト中の空気量 :45/269.7×100=16.7%
なお、ペーストとは、セメントと水とを混合したセメントペーストのほか、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の潜在水硬性粉体、石灰石微粉末などのセメントと同等ないしはそれ以上の粉末度を持つ材料と水との混合物を含むものとする。
概要
空気量が大きいにも関わらず、実用的なコンクリートを提供すること。ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数が、900個以上であるコンクリート、及び、ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であるコンクリート。
目的
JIS A5308:2019(レディーミクストコンクリート)
空気量が大きいにも関わらず、実用的なコンクリートを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
請求項1
請求項2
ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることを特徴とするコンクリート。
請求項3
空気量が8%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のコンクリート。
請求項4
請求項5
単位水量が155kg/m3 以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のコンクリート。
請求項6
細骨材率が45%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のコンクリート。
請求項7
粗骨材の最大寸法が25mmまたは20mmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のコンクリート。
請求項8
スランプが12cm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のコンクリート。
請求項9
請求項1〜8のいずれかに記載のコンクリートからなる寒冷地用コンクリート。
技術分野
背景技術
0002
近年、川砂利、天然砂(海砂、川砂、山砂、陸砂)などの良質な天然骨材の枯渇、および環境保護の観点から、天然骨材に代えて砕石、砕砂、高炉スラグ骨材などの人工骨材、再生骨材が大量に使用されている。人工骨材、再生骨材は、天然骨材と比較して、粒の大きさ、形状が不均一であるため、例えば、人工骨材である砕石の実績率(57〜60%程度)は、川砂利の実積率(60〜63%)よりも低くなる。そのため、砕石を使用しながら川砂利と同等のワーカビリティを得るために、水量とセメント量を増やしてペースト体積を嵩増しし、骨材間距離を増やすことが行われている。
しかし、水量を増加させると、コンクリートが分離しやすくなるとともに、ブリーディング量が増加してしまう。また、セメント量を増加させると、必要以上の強度が発生する場合がある。
0003
ペースト体積を嵩増しする方法として、ペースト中の空気量を増やす方法もあるが、空気量が増えると、耐久性が低下する、スランプが低下する、材料分離しやすくなる等の問題が発生しやすくなるため、JIS A5308:2019(非特許文献1)には、普通コンクリート中の空気量は、4.5±1.5%と定められている。
なお、空気量4.5%である一般的な普通コンクリート(単位水量170L、セメント量309kg、水セメント比55%)のペースト中の空気量を算出すると、以下に示す通り、16.7%になる。
単位セメント量(セメント密度=3.1) :309kg÷3.1=99.7L
ペースト体積 :170L+99.7L=269.7L
単位空気量(コンクリート1m3中の空気量):1000L×4.5%=45L
ペースト中の空気量 :45/269.7×100=16.7%
なお、ペーストとは、セメントと水とを混合したセメントペーストのほか、高炉スラグ、フライアッシュ、シリカフューム等の潜在水硬性粉体、石灰石微粉末などのセメントと同等ないしはそれ以上の粉末度を持つ材料と水との混合物を含むものとする。
先行技術
0004
JIS A5308:2019(レディーミクストコンクリート)
発明が解決しようとする課題
0005
空気量が大きいにも関わらず、実用的なコンクリートを提供することを課題とする。
課題を解決するための手段
0006
前記課題を解決するための手段は、以下のとおりである。
1.ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数が、900個以上であることを特徴とするコンクリート。
2.ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることを特徴とするコンクリート。
3.空気量が8%以上であることを特徴とする1.または2.に記載のコンクリート。
4.砕砂、砕石のいずれかまたは両方を含有することを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のコンクリート。
5.単位水量が155kg/m3以下であることを特徴とする1.〜4.のいずれかに記載のコンクリート。
6.細骨材率が45%以下であることを特徴とする1.〜5.のいずれかに記載のコンクリート。
7.粗骨材の最大寸法が25mmまたは20mmであることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載のコンクリート。
8.スランプが12cm以上であることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載のコンクリート。
9.1.〜8.のいずれかに記載のコンクリートからなる寒冷地用コンクリート。
発明の効果
0007
本発明のコンクリートは、耐凍害性に優れている。
本発明のコンクリートは、材料分離し難く、かつ実用的な強度を備えている。
コンクリート中の水分量の一部を空気に置き換えてコンクリート中の単位水量を減らすことで、コンクリート部材の軽量化(簡素化)が可能となり、ひいては、耐震設計上有利な構造を構築することができる。
単位水量を減らして軽量化された当該コンクリートをプレキャスト部材に適用すれば、運搬時や施工時の負担を軽減することが可能となる。
コンクリート中の単位水量を減らすことで、水を確保し難い場所においてコンクリートを生産する場合に、水を確保するための手間の低減化が可能となる。
コンクリート中の単位水量が少なければ、施工時の耐凍害性が向上する。
水和反応に必要な水分量を確保したまま、コンクリート中の水分量を空気に置き換えているため、必要な強度(耐久性)を確保することができる。
ペースト中の水分を空気に置き換えていることで、時間経過に伴う質量の変化を小さくすること(乾燥収縮を改善すること)が可能となった。
ペースト中の空気量を増加させることで、中性化の進行を改善させることができる。
ペースト中の空気量を増加させて、単位水量を減らした場合であっても、コンクリート部材の長さ変化及び電気泳動に対して変化は生じない。
ペースト中の空気量を増加させることで、ブリーディング率、ブリーディング量ともに低下することが確認でき、ひいては、ポンプ圧送性および圧送後の品質向上を見込むことができる。
構造部材ではない箇所のコンクリートの場合には、水とともにセメント量も減少させることもできる。こうすることで、CO2の排出量を減らすことが可能となる。
図面の簡単な説明
0008
本発明の実施形態における実施例の各試料のブリーディング率およびブリーディング量の違いを示すグラフ。
本発明の実施形態における実施例で調製した供試体の断面の顕微鏡画像。
発明の実施形態における実施例の各試料の凍結融解サイクルに対する相対動弾性係数の変化を示すグラフ。
発明の実施形態における実施例の各試料の質量変化と材齢の関係を示すグラフ。
0009
本発明の第一のコンクリートは、ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数が、900個以上であることを特徴とする。
また、本発明の第二のコンクリートは、ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数が150μm以下であることを特徴とする。
ここで、空気量4.5%である一般的な普通コンクリートは、ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数は600個程度、気泡間隔係数は200μm程度である。すなわち、従来のコンクリートと比較して、本発明の第一のコンクリートは弦長250μm以下である気泡を多く含み、本発明の第二のコンクリートは気泡間の間隔が狭い。
0010
リニアトラバース法とは、供試体を横切る平面上に一定間隔で設定された線上を走査して、各成分の区域を横切り通過した距離を積分して各成分ごとの総和を求め、固体の体積組成を決定する方法である。リニアトラバース法により、トラバース長(本明細書では2620mm)において、気泡を横切った距離(弦長)と気泡を横切った回数(気泡数)、気泡を横切った距離の総和、気泡以外の部分を横切った距離の総和を求めることができる。そして、これらの値から、気泡間隔係数を算出することができる。なお、気泡間隔係数とは、ペースト中に単一寸法の気泡が単一寸法の立方体中心に規則的に配置している状態を仮定した際の、この立方体の気泡中心から最遠点にあるセメントペーストと、この最遠点から最寄りの気泡表面までの距離で定義される。
0011
本発明の第一のコンクリートにおいて、ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数は、1000個以上であることが好ましく、1200個以上であることがより好ましく、1500個以上であることがさらに好ましい。本発明の第一のコンクリートにおいて、この気泡の数の上限は、2200個程度である。
本発明の第二のコンクリートにおいて、ASTM C457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した気泡間隔係数は130μm以下であることが好ましく、110μm以下であることがより好ましく、90μm以下であることがさらに好ましい。本発明の第二のコンクリートにおいて、気泡間隔係数の下限は、75μm程度である。
0012
本発明のコンクリートは、セメント、水、細骨材、粗骨材、AE剤等の混和剤等を混合することにより生成される。本発明のコンクリートにおいて使用するセメントは特に制限されず、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント、高炉セメント(A〜C種)、フライアッシュセメント(A〜C種)、シリカセメント(A〜C種)、エコセメント等を用いることができる。
0013
本発明のコンクリートは、単位水量が155kg/m3以下とすることができる。なお、一般的なコンクリートの単位水量は、175〜185kg/m3である。本発明のコンクリートは、単位水量が155kg/m3以下であっても水和反応に必要な水量を備えているため、従来の普通コンクリートと同等の耐久性を備えている。また、コンクリートの単位水量を155kg/m3以下とすることで、材料分離し難く、かつ、ブリーディング量を抑えたコンクリートを生成することができる。そのため、本発明のコンクリートは、水和反応の進行に時間がかかる寒中コンクリートとして好適に用いることができる。本発明において、コンクリートの単位水量は、150kg/m3以下であることが好ましく、145kg/m3以下であることがより好ましく、135kg/m3以下であることがさらに好ましい。
0014
本発明のコンクリートは、コンクリート中の空気量が8%以上であることが好ましく、10%以上であることがより好ましく、12%以上であることがさらに好ましい。また、本発明のコンクリートは、ペースト中の空気の体積が、ペースト全体の体積の30%以上であることが好ましく、40%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。なお、本発明において、コンクリート中およびペースト中の空気量、気泡の大きさ、数等は、AE剤等の添加量により、調整することができる。
0015
ここで、コンクリートにおいて、硬化前のペーストの流動性を確保するためには、骨材同士が互いに干渉することなく回転または移動することができるスペース(ペースト体積)が必要である。本発明のコンクリートは、ASTMC457に準拠してリニアトラバース法(トラバース長2620mm)で測定した弦長250μm以下の気泡の数、または、気泡間隔係数から明らかなように、多くの気泡を含む。そのため、本発明のコンクリートは、硬化前のペーストがこの空気(気泡)によって嵩増しされて十分なペースト体積を備えているため、流動性に優れている。
0016
本発明のコンクリートは、骨材として、砕石、砕砂のいずれか、または両方を含有しても流動性を確保することができる。本発明のコンクリートは、ペーストが多くの空気を含むことにより十分なペースト体積を備えている。そのため、本発明のコンクリートは、川砂利と比較して実積率が小さな砕石、天然砂と比較して形状がいびつで石粉を多く含む砕砂を配合しても、水量を増やすことなく、ペーストの流動性を維持することができる。粗骨材の最大寸法は、25mmまたは20mmであることがより好ましく、20mmであることがさらに好ましい。
0017
本発明のコンクリートにおいて、コンクリート中の全骨材量に対する細骨材量の絶対容積比を百分率で表した値である細骨材率は、45%以下であることが好ましい。本発明のコンクリートは、細骨材の一部が空気に置換されているため、細骨材率を小さくすることができる。
0018
本発明のコンクリートは、スランプを12cm以上とすることができる。本発明のコンクリートは、ブリーディングしにくいため、スランプが大きくても材料分離を抑制することができる。
0019
本発明のコンクリートは、混練直後から90分経後の空気体積保持率(混練直後のコンクリート中の空気量A1/混練後90分経過後のコンクリート中の空気量A2>90%)を、90%以上とすることができる。ここで、A1は、混練直後に測定したコンクリート中の空気量であり、A2は、混練後容器(いわゆるトロ舟)内で所定時間(90分間)静置した後、撹拌してから測定したコンクリート中の空気量である。混練後90分以上経過した後でも、90%以上のコンクリート中の空気量を保持できる配合にすることで、コンクリートの施工性および耐久性を確保することができる。
0020
本発明のコンクリートは、従来の普通コンクリートよりもペースト中に多量の空気を含有しているので、少ない水量でも流動性を確保することができる。流動性を確保するためには、骨材同士が互いに干渉することなく回転または移動することができるスペース(ペースト体積)が必要である。本発明のコンクリートは、空気によってペースト体積を嵩増しすることで粗骨材同士の潤滑性確保に必要なペースト体積を確保している。また、ペースト中の余分な水分(流動性を確保するための水分の一部であって、水和反応に必要な水分以外の水分)が空気によって置換されているため、材料分離し難いコンクリートが生成される。したがって、本発明のコンクリートによれば、普通コンクリートとして必要な強度を確保しつつ、施工に必要な流動性を確保し、なおかつ、材料分離や乾燥収縮ひび割れなどを抑制することができる。ここで、コンクリート(高流動コンクリート)のペースト中の水分には、セメントの水和反応に必要なものと、流動性を確保するためのものがあり、このうち、流動性を確保するための水分は、コンクリートの硬化過程では材料分離の基となり、硬化後は耐久性低下を招く恐れがある。また、混練後90分以上経過した後でも、90%以上のコンクリート中の空気量を保持できる配合にすることで、コンクリートの施工性および耐久性を確保している。また、コンクリート中の空気量を増加させることで、コンクリート部材の軽量化を図ることが可能となる。
0021
本発明のコンクリートの用途は特に制限されない。例えば、トンネルの覆工体、高密度配筋の壁部材や、大体積部材等に適用することができる。また、本発明のコンクリートは、弦長250μm以下の気泡を多く含む、または、気泡間距離が小さいため、耐凍害性に優れており、寒冷地用コンクリートとして好適に利用することができる。なお、寒冷地用とは、年間最低気温が−5℃以下の地域を意味する。
0022
[実施例1]
以下、本実施形態のコンクリートの性状を確認するために実施した実験結果について説明する。
本実験では、ペースト(セメントペースト)全体の体積に対して、ペースト中の空気の体積が31%(試料1)、40%(試料2)、51%(試料3)の試料を作成した。また、比較例(試料A)として、通常の配合である空気量4.5%の普通コンクリート(ペースト中の空気量16%)の試料を作成した。各試料は、スランプ12cmとなるように調製した。各試料の配合を、表1に示す。
0023
0024
各試料について、コンクリートのブリーディング試験方法(JIS A1123:2012)に従って測定を行った。結果を図1に示す。
図1に示すとおり、試料1と試料Aとを比較すると、ブリーディング率、ブリーディング量ともに大きな変化はなかった。そのため、コンクリート中(ペースト中)の空気量を増加させても、ポンプ圧送性および圧送後の品質が大幅に低下しないことが確認できた。また、試料2、3は、試料Aと比較して、ブリーディング率、ブリーディング量ともに低下することが確認できた。そのため、ペースト中の空気量を40%以上に増加させることで、ポンプ圧送性および圧送後の品質向上を見込めることが確かめられた。
0025
上記各配合から、JIS A1132:2014に準拠して、Φ10cm高さ20cm、20℃水中養生、材齢28日の供試体を作成し、この供試体を用いて、下記評価を行った。
0026
・気泡組織の測定
上記供試体の高さ方向中央部付近から厚さ50mm程度の円板状のサンプルを切り出し、このサンプルの両面を研磨した。研磨した両面について、硬化コンクリート気泡計測装置(株式会社ファースト製、HF−MAC011)を用いて、ASTMC457に準拠して、リニアトラバース法により、気泡の大きさと数、及び気泡間隔係数を測定した。測定は、サンプル両面とも略中央部分についてトラバース長が2620mm(片面あたり1310mm)となるように行った。
弦長250μm以下の気泡の数、気泡の総数、気泡間隔係数を表2に示す。また、図2に、各サンプルの顕微鏡画像を示す。
0027
0028
表2から明らかなように、試料1〜3は、普通コンクリートと比較して弦長250μm以下の気泡が多く、また、気泡間隔係数が小さかった。また、図2に示すとおり、本発明のコンクリートは、小さな独立気泡を多く含んでいた。本発明のコンクリートは、弦長250μm以下の独立気泡を多く含むため、耐凍害性に優れていることが確認できた。
0029
・凍結融解試験
各供試体について、コンクリートの凍結融解試験方法(JIS A1148:2010)に従い測定を行った。各配合の凍結融解サイクルに対する相対動弾性係数の変化を図3に示す。
空気量が増加することにより、相対動弾性係数が改善されることが確かめられた。なお、空気量が8%以上の場合、空気量の増加による相対動弾性係数の増加はそれほど大きくなかった。
0030
・長さ変化
各供試体について、材齢0〜91日の長さ変化(JIS A1129−3:2010)を測定した。結果を表3に示す。
0031
0032
一般に、空気量増加により長さ変化は大きくなるといわれているが、本発明のコンクリートは、空気量が増加しても、最終的な長さ変化はほぼ変わらなかった。空気量が多くとも、単位水量は少ない配合としたため、硬化および乾燥に伴う容積変化が小さくなったためであると推測される。
0033
・質量変化
各供試体について、質量の経時変化を測定した。結果を図4に示す。
図4に示すとおり、試料1〜3は、試料Aよりも質量変化が小さいことが確認できた。このことから、ペースト中の空気量を増加させることで、乾燥収縮が改善されることが確かめられた。
0035
0036
試料1〜3は、試料Aに比べて同等の強度を示すことが確認できた。したがって、コンクリート中(ペースト中)の空気量を増加させた場合であっても、コンクリート部材として必要な強度を確保できることが確認できた。
0037
・電気泳動
上記各配合から作成した供試体について、電気泳動によるコンクリート中の塩化物イオンの実効拡散係数試験方法(JSEC−G571−2013)に従い測定を行った。各配合の塩化物イオンの移動流束および実効拡散係数を表5に示す。
0038
0039
空気量の変化により、実効拡散係数が若干変化するものの、その差は小さい範囲に抑えられていることが確認できた。
0041