図面 (/)
※この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります
図面 (0)
図面はありません
課題
解決手段
概要
背景
一般に、百貨店やホームセンター、公共施設や駅舎など多くの場所に設置されているエスカレータや動く歩道等の手すりベルト表層部の素材は、ウレタンゴムまたはCSM(クロロスルホン化ポリエチレン)ゴム製となっている。
この手すりベルトには、多くの場合、ベルト基材の劣化を防止するとともに美観や清潔感を出すためコーティング剤が塗布され、手すりベルトの表面に保護膜が形成されている。
エスカレータ、動く歩道等の手すりベルトは、送りローラに狭圧され、さらに屈曲しながら駆動されるため、送りローラの摩擦や手すりベルト自体の屈曲により保護膜が手すりベルトから剥離するおそれがあるため、手すりベルトとの高い密着性が要求される。
従来、手すりベルトと保護膜との密着性を高める方法として、粒度#150〜#400の研磨材により手すりベルトの表面を研磨し、ベルト表面に2〜3μmの山谷を形成した後、粒度#500〜#600の研磨材により手すりベルトの表面を研磨して、2〜3μmの山谷の斜面に更に0.3〜0.5μmの山谷を形成することによりアンカー効果による保護膜との密着性を図った手すりベルトのコーティング方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、手すりベルトの表面を研磨することにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性が得られるが、光沢が悪化してしまうことになり、光沢を出そうとするとコーティング剤の塗布回数を多くしなければならないといった問題があった。
かかる問題を解決するものとして、ウレタン樹脂製基材からなるハンドレール(手すりベルト)の表面を洗浄し、洗浄後のハンドレールの表面を耐水ペーパーを用いて400番、600番、800番の順で粗研磨し、粗研磨した表面を1500番以上の耐水ペーパーで磨きあげ、磨き上げた表面にシランカップリング剤を塗布し、シランカップリング剤を塗布した表面に水系ウレタン樹脂を塗布し、水系ウレタン樹脂を塗布した後に発熱灯を照射して乾燥させるようにしたハンドレールのコーティング方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
概要
手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保しつつ、高い光沢度を得ることができ、更には作業時間を短縮することができる手すりベルトのコーティング方法を得る。 手すりベルトのコーティング方法にあって、手すりベルトの表面を洗浄した後、手すりベルトの表面にイソシアネートをプライマー塗布する工程と、プライマー塗布後、プライマー塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布する工程を含むものとした。なし
目的
本発明の目的とするところは、手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保しつつ、高い光沢度を得ることができ、更には作業時間を短縮することができる手すりベルトのコーティング方法を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布する工程を含むことを特徴とする手すりベルトのコーティング方法。
請求項2
手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むことを特徴とする手すりベルトのコーティング方法。
請求項3
手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むことを特徴とする手すりベルトのコーティング方法。
請求項4
前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加する前記イソシアネートの添加量は、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤が100重量部に対し前記イソシアネートが0.1〜50重量部であることを特徴とする請求項2又は3に記載の手すりベルトのコーティング方法。
技術分野
背景技術
0002
一般に、百貨店やホームセンター、公共施設や駅舎など多くの場所に設置されているエスカレータや動く歩道等の手すりベルト表層部の素材は、ウレタンゴムまたはCSM(クロロスルホン化ポリエチレン)ゴム製となっている。
この手すりベルトには、多くの場合、ベルト基材の劣化を防止するとともに美観や清潔感を出すためコーティング剤が塗布され、手すりベルトの表面に保護膜が形成されている。
エスカレータ、動く歩道等の手すりベルトは、送りローラに狭圧され、さらに屈曲しながら駆動されるため、送りローラの摩擦や手すりベルト自体の屈曲により保護膜が手すりベルトから剥離するおそれがあるため、手すりベルトとの高い密着性が要求される。
0003
従来、手すりベルトと保護膜との密着性を高める方法として、粒度#150〜#400の研磨材により手すりベルトの表面を研磨し、ベルト表面に2〜3μmの山谷を形成した後、粒度#500〜#600の研磨材により手すりベルトの表面を研磨して、2〜3μmの山谷の斜面に更に0.3〜0.5μmの山谷を形成することによりアンカー効果による保護膜との密着性を図った手すりベルトのコーティング方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
0004
しかし、手すりベルトの表面を研磨することにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性が得られるが、光沢が悪化してしまうことになり、光沢を出そうとするとコーティング剤の塗布回数を多くしなければならないといった問題があった。
0005
かかる問題を解決するものとして、ウレタン樹脂製基材からなるハンドレール(手すりベルト)の表面を洗浄し、洗浄後のハンドレールの表面を耐水ペーパーを用いて400番、600番、800番の順で粗研磨し、粗研磨した表面を1500番以上の耐水ペーパーで磨きあげ、磨き上げた表面にシランカップリング剤を塗布し、シランカップリング剤を塗布した表面に水系ウレタン樹脂を塗布し、水系ウレタン樹脂を塗布した後に発熱灯を照射して乾燥させるようにしたハンドレールのコーティング方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
先行技術
0006
特開平3−79689号公報
特開2018−58685号公報
発明が解決しようとする課題
0007
しかしながら、特許文献2に記載のコーティング方法によれば、ハンドレールの粗研磨した表面を1500番以上の耐水ペーパーで磨きあげることによるアンカー効果不足による水系ウレタン樹脂膜との密着性の低下を補うためにシランカップリング剤をプライマーとして塗布しているが、アンカー効果不足による水系ウレタン樹脂膜との密着性の低下を補う程度であり、密着性は不十分であった。
また、ハンドレールの粗研磨した表面を1500番以上の耐水ペーパーで磨きあげてもハンドレールの表面には研磨痕が残り、光沢への影響は解消されない。
0008
本発明者等は、手すりベルトと保護膜の密着性と光沢性を両立させる手すりベルトのコーティング方法について試験を重ねた結果、イソシアネートを含むプライマーを塗布する、若しくは水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布することを見出し、本発明を完成するに至った。
0009
本発明の目的とするところは、手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保しつつ、高い光沢度を得ることができ、更には作業時間を短縮することができる手すりベルトのコーティング方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0010
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布する工程を含むことを特徴とする。
0011
請求項1に記載の発明によれば、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布し、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布するので、イソシアネートにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保することができる。
また、この密着性は手すりベルトの表面を研磨しない素面でも充分に得られるので、ベルトの表面の研磨工程を省略して、その分作業時間を短縮することができ、また、研磨による研磨粉が発生せず、作業環境の向上が図れる。
また、手すりベルトの表面を研磨しなければ、手すりベルトの表面に研磨による光沢を阻害する要因は無く、素面の状態からある程度の光沢があるので、コーティング剤の少ない塗布回数で高い光沢を得ることができ、これによってもコーティング作業時間の短縮が図れる。
0012
請求項2に記載の発明は、手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むことを特徴とする。
0013
請求項2に記載の発明によれば、手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布するので、コーティング剤に添加されているイソシアネートにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保することができる。
また、この密着性は手すりベルトの表面を研磨しない素面でも充分に得られるので、ベルトの表面の研磨工程を省略して、その分作業時間を短縮することができ、また、研磨による研磨粉が発生せず、作業環境の向上が図れる。
また、手すりベルトの表面を研磨しなければ、手すりベルトの表面に研磨による光沢を阻害する要因は無く、素面の状態からある程度の光沢があるので、コーティング剤の少ない塗布回数で高い光沢を得ることができ、これによっても作業時間を短縮できる。
さらには、手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布するので、プライマーを塗布する工程が無くなり、その分作業を短縮できる。
0014
請求項3に記載の発明は、手すりベルトのコーティング方法であって、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むことを特徴とする。
0015
請求項3に記載の発明によれば、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布するので、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加するイソシアネートのコーティング剤に対する比率が小さくてもベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保することができる。
また、この密着性は手すりベルトの表面を研磨しない素面でも充分に得られるので、ベルトの表面の研磨工程を省略して、その分作業時間を短縮することができ、また、研磨による研磨粉が発生せず、作業環境の向上が図れる。
また、手すりベルトの表面を研磨しなければ、手すりベルトの表面に研磨による光沢を阻害する要因は無く、素面の状態からある程度の光沢があるので、コーティング剤の少ない塗布回数で高い光沢を得ることができ、これによっても作業時間を短縮できる。
0016
請求項4に記載の発明は、請求項2又は3に記載の、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加する前記イソシアネートの添加量は、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤が100重量部に対し前記イソシアネートが0.1〜50重量部であることを特徴とする。
0017
請求項4に記載の発明によれば、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加する前記イソシアネートの添加量は、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤が100重量部に対し前記イソシアネートが0.1〜50重量部であるので、前記水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加されている前記イソシアネートにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保することができる。
発明の効果
0018
以上のように、本発明に係る手すりベルトのコーティング方法によれば、手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保しつつ、高い光沢度を得ることができ、更には作業時間を短縮することができる。
0019
以下、本発明に係る手すりベルトのコーティング方法を実施するための形態の一例を説明する。
0020
先ず、本発明に係る手すりベルトのコーティング方法の実施の形態の第1例を説明する。
第1例の手すりベルトのコーティング方法は、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布する工程を含むものであり、以下に詳細に説明する。
0021
第1例では、プライマーを塗布する前に、手すりベルトの表面の洗浄を行う。手すりベルトは、その表層部の素材がウレタンゴムまたはCSM(クロロスルホン化ポリエチレン)ゴムとなっており、第1例ではウレタンゴム製となっている。手すりベルトの表面の洗浄にあっては、本例では、手すりベルトの表面に洗浄液を塗布し汚れを除去した後、汚れた洗浄液を布、スポンジ等で拭き取り、水を含浸させた布で表面を水拭きする。この洗浄に用いられる洗浄液は特に限定されるものではなく、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤等の界面活性剤、有機溶剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤等を含有するものを挙げることができる。
なお、プライマーを塗布する前の手すりベルトの表面の洗浄は必須の工程ではなく、例えば、新しく交換された手すりベルトにコーティングを行う場合は手すりベルトの表面の洗浄を省略することができる。
また、第1例では、プライマーの塗布前の手すりベルトの表面に粗面を形成するための研磨工程を行わないが、本願発明は必要に応じて、プライマーの塗布前に手すりベルト表面の研磨を行うことができる。
0022
手すりベルトの表面の洗浄の完了後、イソシアネートを含むプライマーを手すりベルトの表面に塗布する。ここで、本願のイソシアネートを含むプライマーとは、イソシアネートと他の成分からなるプライマーだけではなく、イソシアネートのみからなるプライマーも含む。他の成分としては水、有機溶剤があり、イソシアネートを希釈している。
プライマーに使用するイソシアネートとしては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されない。使用するイソシアネート中のイソシアネート基は、保護基を有するイソシアネート基であってもよく、例えばブロック剤処理等により一時的にイソシアネート基が保護された態様のイソシアネート再生型官能基を形成するものであってもよい。使用するイソシアネートの例としては、トリレンジイソシアネートやキシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネートの内から1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。より、詳細には、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート;ジクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製、商品名「コロネートL」)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(東ソー株式会社製、商品名「コロネートHL」)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシヌレート体(東ソー株式会社製、商品名「コロネートHX」)等のイソシアネート付加物;ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート等のポリイソシアネート;これらポリイソシアネートとポリオールとの付加物;および、これらポリイソシアネートを、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等により多官能化したポリイソシアネート;等を使用することができる。
イソシアネートは水に溶解または分散可能なイソシアネートが好ましく、水分散性または自己乳化型のイソシアネートが好適に用いられる。
0023
プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に保護膜形成用の水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布し乾燥させる。
水系ウレタン樹脂は、通常、乳化剤の存在の下に予めジオールとジイソシアネートさらに必要に応じてジメチロールアルカン酸等を反応させて得られるウレタンプレポリマーを水中に分散させながら、強制乳化または自己乳化することにより得られるディスパージョンである。
0024
第1例では、コーティング剤として、特開2002−338898号公報に開示されている、配合物の成膜時の破断強度が20N/mm2 以上であり且つ破断伸びが100%以上であるウレタン系の水系樹脂を主成分とし、可塑剤、造膜助剤、ぬれ剤等が適宜添加されたコーティング剤が使用されている。
0025
手すりベルトの表面へのコーティング剤の塗布にあっては特に限定されず、一般的な刷毛、ローラ、スプレー等を用いた公知の塗布手段によって行われる。また、乾燥の手段にあっても、自然乾燥など公知の乾燥手段が用いられるが、乾燥空気を吹き付けることにより乾燥させる場合には、短時間で乾燥して保護膜を形成することができるため、コーティング作業における作業時間の短縮が可能となる。また、重ね塗りの回数は特に限定されるものではないが、作業時間と光沢度との兼ね合いから2、3回程度が好ましい。
0026
上記した第1例の手すりベルトのコーティング方法によれば、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布し、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布するので、イソシアネートにより手すりベルトの表面と保護膜との高い密着性を確保することができる。
0027
また、この密着性は手すりベルトの表面を研磨しない素面でも充分に得られるので、ベルトの表面の研磨工程を省略して、その分作業時間を短縮することができ、また、研磨による研磨粉が発生せず、作業環境の向上が図れる。
0028
また、手すりベルトの表面を研磨しなければ、手すりベルトの表面に研磨による光沢を阻害する要因は無く、素面の状態からある程度の光沢があるので、コーティング剤の少ない塗布回数で高い光沢を得ることができ、これによってもコーティング作業時間の短縮が図れる。
0029
本発明に係る手すりベルトのコーティング方法の実施の形態の第2例を説明する。
第2例の手すりベルトのコーティング方法は、手すりベルトの表面を洗浄する工程と、手すりベルトの表面を洗浄した後、手すりベルトの表面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むものであり、以下に詳細に説明する。
0030
第2例と第1例との違いは、第1例では手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマー塗布した後、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤を塗布するのに対し、第2例では手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する点だけである。
0031
水系ウレタン樹脂に添加するイソシアネートの添加量は、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤が100重量部に対しイソシアネートが0.1〜50重量部、好ましくは3〜30重量部である。
イソシアネートが0.1重量部未満であると手すりベルトの表面と保護膜とに良好な密着性が得られず、また50重量部を超えると保護膜が硬くなり曲がりに追随できなくなる。
0032
手すりベルトの表層部の素材、 手すりベルトの表面の洗浄、イソシアネート、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にあっては、第1例と同様であるので、第1例の説明を援用し説明を省略する。
0033
本発明に係る手すりベルトのコーティング方法の実施の形態の第3例を説明する。
第3例の手すりベルトのコーティング方法は、手すりベルトの表面を洗浄する工程と、手すりベルトの表面を洗浄した後、手すりベルトの表面にイソシアネートを含むプライマーを塗布する工程と、プライマーの塗布後、プライマーの塗布面に水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にイソシアネートを添加したものを塗布する工程を含むものである。
0034
手すりベルトの表層部の素材、 手すりベルトの表面の洗浄、イソシアネートを含むプライマー、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤にあっては、第1例と同様であるので、第1例の説明を援用し説明を省略する。
水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤に添加するイソシアネートの添加量にあっては第2例と同様であるので、第2例の説明を援用し説明を省略する。
0035
本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明に係る手すりベルトのコーティング方法の特徴について例証する。但し、本発明はこれらの実施例及び比較例によって何ら制限されるものではない。
0036
[実施例1]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面を、水で10倍に希釈したアルカリ洗剤(グリスト1100/(株)リンレイ製)を含ませた白パッド(スコッチ・ブライトパッドNo.7445白/スリーエムジャパン(株)製)で洗浄し、表面を水拭きして乾燥させた後、基材表面の光沢を光沢計(micro−TRI−gloss/BYK−Gardener製)で測定した。
0037
この洗浄後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布した。乾燥後、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
0038
ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜の密着性試験として、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に形成した保護膜に、JIS−K5600−5−6で規定された2mm間隔の25マスのクロスカットを入れ、エスカレータの従動ローラを想定したゴム部材を1kgの荷重で擦りつけ、クロスカット3マス相当部分の塗膜が剥がれ落ちるまでの擦り回数を測定した。
0039
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布から高い光沢値となり、3回の塗布で極めて高い光沢値となった。また、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間に、極めて高い密着性が得られた。
0040
[実施例2]
素地調整として、ウレタンゴム製手すりベルトの表面を、水で10倍に希釈したアルカリ洗剤(グリスト1100/(株)リンレイ製)を含ませた研磨パッド(ケンマロン320番/三共理化学(株)製)で洗浄し、さらに同様のアルカリ洗剤をスプレーしながら400番、800番、1500番の研磨剤でこの順に研磨し、表面を水拭きして乾燥させた後、基材表面の光沢を光沢計で測定した。
0041
この素地調整後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布した。乾燥後、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0042
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布では、実施例1より低いが、それでも高い光沢値となり、3回の塗布で極めて高い光沢値となった。また、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間には、実施例1より高い密着性が得られた。
0043
[実施例3]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例1と同様の洗浄を実施した。この洗浄後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)100重量部に対し、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)をイソシアネート含有量で0.1、1、3、6、10、30、50重量部添加したコーティング液を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0044
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布から高い光沢値となり、3回の塗布で極めて高い光沢値となった。同様な洗浄条件でイソシアネートを添加していない比較例1に比べ、0.1〜50重量部のイソシアネート添加量で密着性向上の効果が得られた。また、3〜30重量部のイソシアネート添加量で、研磨による素地調整を行った比較例2に比べて高い密着性が得られた。
0045
[実施例4]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例2と同様の素地調整を実施した。この素地調整後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)100重量部に対し、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)をイソシアネート含有量で0.1、1、3、6、10、30、50重量部添加したコーティング液を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0046
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布では実施例1より低いが、3回の塗布で極めて高い光沢値となった。同様な洗浄条件でイソシアネートを添加していない比較例2に比べ、0.1〜50重量部のイソシアネート添加量で密着性向上の効果が得られた。また、1〜30重量部のイソシアネート添加量で、研磨による素地の調整を行った比較例2に比べて高い密着性が得られた。
0047
[実施例5]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例1と同様の洗浄を実施した。この洗浄後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布した。乾燥後、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)100重量部に対し、水分散性イソシアネート(EBCプライマー/(株)リンレイ製)をイソシアネート含有量で6重量部添加したコーティング液を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0048
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布から高い光沢値となり、3回の塗布で極めて高い光沢値となった。また、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間に、極めて高い密着性が得られた。
0049
[比較例1]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例1と同様の洗浄を実施した。この洗浄後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0050
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布から高い光沢値となり、3回の塗布で極めて高い光沢値となったが、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間の密着性は、実施例1、2、3、4、5に比べ遙かに低いものであった。
0051
[比較例2]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例2と同様の素地調整を実施した。この素地調整後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液/(株)リンレイ製)を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
0052
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布では、実施例1、3、5に比べ遙かに低い光沢値となり、3回の塗布でも実施例1、3、5の光沢値に届かなかった。また、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間の密着性も、実施例1、2、4、5、および実施例3のイソシアネート添加量3〜30重量部に比べ遙かに低いものであった。
0053
[比較例3]
ウレタンゴム製手すりベルトの表面に対し、実施例2と同様の素地調整を実施した。この素地調整後のウレタンゴム製手すりベルトの表面に、エポキシ系シランカップリング剤(KBM−403/信越化学工業(株)製)を専用布で1回塗布した。乾燥後、水系ウレタン樹脂を主成分とするコーティング剤(EBC−500とEBC助剤の混合液を専用布で1回塗布し乾燥させ、光沢を光沢計で測定した。この作業を計3回繰り返して、ウレタンゴム製手すりベルトの表面に保護膜を形成した。
保護膜形成後、実施例1と同様の密着性試験を実施した。
実施例
0054
試験の結果を表1に示す。表1より明らかなように、1回の塗布では、実施例1、3、5に比べ遙かに低い光沢値となり、3回の塗布でも実施例1、3、5の光沢値に届かなかった。また、ウレタンゴム製手すりベルトの表面と保護膜との間の密着性も、実施例1、2、4、5、および実施例3のイソシアネート添加量3〜30重量部に比べ遙かに低いものであった。
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成