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技術 ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において発生する貧液の中和処理方法

出願人 住友金属鉱山株式会社
発明者 村瀬大地佐藤勝輝
出願日 2019年4月18日 (1年9ヶ月経過) 出願番号 2019-079174
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-175329
状態 未査定
技術分野 特定物質の除去 金属の製造または精製
主要キーワード 円筒内壁面 筒状胴体 pH計 消費コスト 鉱石スラリー 設定条件下 亜鉛硫化物 熱加水分解反応
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

ニッケル酸化鉱石湿式製錬において発生する貧液の量が多くなっても中和剤消費量を抑えつつ該貧液を効率よく中和処理する方法を提供する。

解決手段

鉄、マグネシウム、及びマンガンのうちのいずれか1つ以上の不純物金属イオンを含有する硫酸水溶液に対して弱アルカリ性の第1の中和剤を添加してpH5.0以上6.0以下の範囲内を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、該第1の中和処理工程で得た溶液撹拌機及び邪魔板を有する縦型円筒形状の反応槽装入し、該第1の中和剤よりも塩基性度の高い第2の中和剤を添加して中和処理を施す第2の中和処理工程とを有する中和処理方法であって、該反応槽における該第2の中和剤の添加位置を、該反応槽の周方向に関して該邪魔板よりも2〜6度撹拌方向の上流側に設ける。

概要

背景

原料ニッケル酸化鉱石に対して、高温高圧下硫酸を用いて浸出処理を行う高圧酸浸出法(HPAL:High Pressure Acid Leachingプロセス)を含んだ湿式製錬法が知られている。この湿式製錬法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬法である乾式製錬法とは異なり、還元工程や乾燥工程を経ることなく一貫した湿式工程により処理を行うので、エネルギー的及びコスト的に有利であるうえ、低品位のニッケル酸化鉱石からニッケル品位を50質量%程度まで高めたニッケルを含む硫化物(以下、ニッケル硫化物とも称する)を製造できるという利点を有している。

上記の湿式製錬法では、原料のニッケル酸化鉱石を浸出処理することで得られるニッケル等の有価金属不純物金属元素とを含む硫酸水溶液からなる浸出液を浄液した後、硫化処理を施すことによって沈殿物としてニッケル硫化物を生成している。この硫化処理としては、上記のニッケルを主として含有する硫酸水溶液からなる浸出液に対して、硫化剤として例えば硫化水素ガスを吹き込むことが行われており、これにより硫化反応を生じさせてニッケル等の有価金属を含む硫化物を生成させ、これを固液分離により回収することで、ニッケル濃度低水準で安定させた貧液が該固液分離の液相側に排出される。

上記の固液分離による硫化物の回収時に排出されるpH値の低い酸性溶液からなる貧液には、上記硫化処理において硫化されずに残留する鉄、マグネシウムマンガン等の残留金属イオン不純物として含まれている。従って、この貧液を系外に放水できるようにするため、pH値を中性にすると共に、上記残留金属イオンを除去する中和処理を施すことが必要となる。

従来、この貧液の中和処理法として、1種類の中和剤を用いて中和処理することが主に行われていた。この方法では、目標とするpH値まで中和するため、強アルカリ性の中和剤を用いることが必要であった。このような強アルカリ性の中和剤としては、一般的には苛性ソーダ炭酸ナトリウム等を挙げることができるが、工業的にはこれらの中和剤よりもコスト面で有利な消石灰スラリーが用いられることが多い。

近年、上記硫化処理によって生じる貧液の量が多くなる傾向にあり、その結果、中和剤を添加して中和処理を行う反応槽内での滞留時間が減少し、反応効率が低下することがあった。この反応効率の低下を補うため、多量の中和剤を添加することが行われており、コスト面で比較的有利な消石灰スラリーを用いても製品コストが高くなることが問題になることがあった。

そこで、例えば特許文献1には、上記したようなニッケル酸化鉱石の湿式処理において排出される金属イオンの不純物を含んだ貧液の中和処理において、中和剤として使用する炭酸ナトリウム溶液等の一部を安価な炭酸カルシウムスラリー代替する技術が開示されている。具体的には、上記貧液に対して先ず第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用いて所定のpHまで中和処理した後、第2の中和剤として炭酸ナトリウム溶液を用いて中和処理している。このように、2種類の中和剤を用いて段階的に中和処理を行うことによって、中和剤の消費コストが低減できると記載されている。

概要

ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において発生する貧液の量が多くなっても中和剤の消費量を抑えつつ該貧液を効率よく中和処理する方法を提供する。 鉄、マグネシウム、及びマンガンのうちのいずれか1つ以上の不純物金属イオンを含有する硫酸水溶液に対して弱アルカリ性の第1の中和剤を添加してpH5.0以上6.0以下の範囲内を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、該第1の中和処理工程で得た溶液撹拌機及び邪魔板を有する縦型円筒形状の反応槽に装入し、該第1の中和剤よりも塩基性度の高い第2の中和剤を添加して中和処理を施す第2の中和処理工程とを有する中和処理方法であって、該反応槽における該第2の中和剤の添加位置を、該反応槽の周方向に関して該邪魔板よりも2〜6度撹拌方向の上流側に設ける。

目的

本発明は、上記した従来の中和処理方法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において発生する貧液の量が多くなっても中和剤の消費量を抑えつつ該貧液を効率よく中和処理する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

鉄、マグネシウム、及びマンガンのうちのいずれか1つ以上の不純物金属イオンを含有する硫酸水溶液に対して弱アルカリ性の第1の中和剤を添加してpH5.0以上6.0以下の範囲内を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、該第1の中和処理工程で得た溶液撹拌機及び邪魔板を有する縦型円筒形状の反応槽装入し、該第1の中和剤よりも塩基性度の高い第2の中和剤を添加して中和処理を施す第2の中和処理工程とを有する中和処理方法であって、該反応槽における該第2の中和剤の添加位置を、該反応槽の周方向に関して該邪魔板よりも2〜6度撹拌方向の上流側に設けることを特徴とする中和処理方法。

請求項2

前記硫酸水溶液が、ニッケル酸化鉱石硫酸を添加して高温高圧浸出処理することで得たニッケル及びコバルトを含有する浸出液に対して、硫化水素ガスを吹き込んで該ニッケル及びコバルトから硫化物を生成し、該硫化物を固液分離により回収する際に液相側に排出される貧液であることを特徴とする、請求項1に記載の中和処理方法。

請求項3

前記第2の中和処理工程は、pH8.5以上9.0以下の範囲内を終点として中和処理を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の中和処理方法。

請求項4

前記第2の中和剤が、固形分濃度15質量%以上25質量%以下の消石灰スラリーであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の中和処理方法。

技術分野

0001

本発明は、ニッケル酸化鉱石湿式製錬において発生する貧液中和処理方法に関し、より詳しくは、原料のニッケル酸化鉱石を浸出処理して得たニッケル等の有価金属を含む浸出液に対して、硫化処理を施すことで該有価金属を硫化物の形態で回収する際に排出される貧液中の残留金属イオン中和により除去する中和処理方法に関する。

背景技術

0002

原料のニッケル酸化鉱石に対して、高温高圧下硫酸を用いて浸出処理を行う高圧酸浸出法(HPAL:High Pressure Acid Leachingプロセス)を含んだ湿式製錬法が知られている。この湿式製錬法は、従来の一般的なニッケル酸化鉱石の製錬法である乾式製錬法とは異なり、還元工程や乾燥工程を経ることなく一貫した湿式工程により処理を行うので、エネルギー的及びコスト的に有利であるうえ、低品位のニッケル酸化鉱石からニッケル品位を50質量%程度まで高めたニッケルを含む硫化物(以下、ニッケル硫化物とも称する)を製造できるという利点を有している。

0003

上記の湿式製錬法では、原料のニッケル酸化鉱石を浸出処理することで得られるニッケル等の有価金属と不純物金属元素とを含む硫酸水溶液からなる浸出液を浄液した後、硫化処理を施すことによって沈殿物としてニッケル硫化物を生成している。この硫化処理としては、上記のニッケルを主として含有する硫酸水溶液からなる浸出液に対して、硫化剤として例えば硫化水素ガスを吹き込むことが行われており、これにより硫化反応を生じさせてニッケル等の有価金属を含む硫化物を生成させ、これを固液分離により回収することで、ニッケル濃度低水準で安定させた貧液が該固液分離の液相側に排出される。

0004

上記の固液分離による硫化物の回収時に排出されるpH値の低い酸性溶液からなる貧液には、上記硫化処理において硫化されずに残留する鉄、マグネシウムマンガン等の残留金属イオンが不純物として含まれている。従って、この貧液を系外に放水できるようにするため、pH値を中性にすると共に、上記残留金属イオンを除去する中和処理を施すことが必要となる。

0005

従来、この貧液の中和処理法として、1種類の中和剤を用いて中和処理することが主に行われていた。この方法では、目標とするpH値まで中和するため、強アルカリ性の中和剤を用いることが必要であった。このような強アルカリ性の中和剤としては、一般的には苛性ソーダ炭酸ナトリウム等を挙げることができるが、工業的にはこれらの中和剤よりもコスト面で有利な消石灰スラリーが用いられることが多い。

0006

近年、上記硫化処理によって生じる貧液の量が多くなる傾向にあり、その結果、中和剤を添加して中和処理を行う反応槽内での滞留時間が減少し、反応効率が低下することがあった。この反応効率の低下を補うため、多量の中和剤を添加することが行われており、コスト面で比較的有利な消石灰スラリーを用いても製品コストが高くなることが問題になることがあった。

0007

そこで、例えば特許文献1には、上記したようなニッケル酸化鉱石の湿式処理において排出される金属イオンの不純物を含んだ貧液の中和処理において、中和剤として使用する炭酸ナトリウム溶液等の一部を安価な炭酸カルシウムスラリー代替する技術が開示されている。具体的には、上記貧液に対して先ず第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを用いて所定のpHまで中和処理した後、第2の中和剤として炭酸ナトリウム溶液を用いて中和処理している。このように、2種類の中和剤を用いて段階的に中和処理を行うことによって、中和剤の消費コストが低減できると記載されている。

先行技術

0008

特開2015−105396号公報

発明が解決しようとする課題

0009

上記の特許文献1に記載されているように、2種類の中和剤を用いることである程度中和剤の消費コストを抑えることが可能になるものの、さらに大きなコスト削減が求められる場合に対応できないことがあった。本発明は、上記した従来の中和処理方法が抱える問題点に鑑みてなされたものであり、ニッケル酸化鉱石の湿式製錬において発生する貧液の量が多くなっても中和剤の消費量を抑えつつ該貧液を効率よく中和処理する方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0010

上記目的を達成するため、本発明に係る中和処理方法は、鉄、マグネシウム、及びマンガンのうちのいずれか1つ以上の不純物金属イオンを含有する硫酸水溶液に対して弱アルカリ性の第1の中和剤を添加してpH5.0以上6.0以下の範囲内を終点として中和処理を施す第1の中和処理工程と、該第1の中和処理工程で得た溶液撹拌機及び邪魔板を有する縦型円筒形状の反応槽に装入し、該第1の中和剤よりも塩基性度の高い第2の中和剤を添加して中和処理を施す第2の中和処理工程とを有する中和処理方法であって、該反応槽における該第2の中和剤の添加位置を、該反応槽の周方向に関して該邪魔板よりも2〜6度撹拌方向の上流側に設けることを特徴とする。

発明の効果

0011

本発明によれば、中和剤の消費量を抑えつつ貧液を効率よく中和処理することが可能になる。

図面の簡単な説明

0012

本発明の実施形態の中和処理方法が好適に適用されるニッケル酸化鉱石の高温加圧酸浸出法による湿式製錬方法の工程フロー図である。
本発明の実施形態に係る中和処理方法の工程フロー図である。
本発明の実施形態に係る中和処理方法で使用する反応槽の模式的な平面図である。
本発明の実施例及び比較例で用いた反応槽のフロー図である。
本発明の実施例及び比較例の中和処理方法で得た中和終液のpHと中和剤の反応効率との関係をプロットしたグラフである。

0013

先ず、本発明の実施形態に係る貧液の中和処理方法が好適に適用される、HPALプロセスによるニッケル酸化鉱石の湿式製錬方法について図1を参照しながら説明する。この図1に示す湿式製錬方法は、所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施す浸出工程S1と、該浸出工程S1で得た浸出液及び浸出残渣からなる浸出スラリーを好適には直列に接続された複数基のシックナーで固液分離することで、ニッケル及びコバルトのほか不純物イオンとして鉄、マグネシウム、マンガン等を含む浸出液を浸出残渣から分離する固液分離工程S2と、該浸出液にpH調整剤を添加することで鉄を含む殿物を生成し、これを殿物スラリーの形態で分離除去してニッケル回収用の母液を得る脱鉄工程S3と、該母液に硫化剤を添加することでニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成した後、固液分離により該混合硫化物を回収する硫化工程S4と、該混合硫化物の固液分離時に液相側に排出される貧液を中和処理する中和処理工程S5とを有している。以下、これら工程の各々について説明する。

0014

(1)浸出工程S1
浸出工程S1では、先ず原料のニッケル酸化鉱石を粉砕機及びスクリーンに装入して粉粒体にした後、水を加えて湿式で分級することで所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーを篩下側に回収する。この鉱石スラリーをオートクレーブと称する圧力容器に硫酸と共に装入し、圧力3〜4.5MPaG程度、温度220〜280℃程度の高温高圧条件下で撹拌しながら浸出処理を施す。これにより、浸出反応及び高温熱加水分解反応が生じ、ニッケル、コバルト等の硫酸塩としての浸出と、浸出された硫酸鉄ヘマタイトとしての固定化が行われ、浸出液と浸出残渣とからなる浸出スラリーが生成される。

0015

上記の原料に用いるニッケル酸化鉱石としては、主としてリモナイト鉱及びサプロライト鉱等のいわゆるラテライト鉱である。ラテライト鉱のニッケル含有量は一般に0.8〜2.5質量%であり、水酸化物又はケイ苦土ケイ酸マグネシウム鉱物として含まれている。このニッケル酸化鉱石は、鉄の含有量が10〜50質量%であり、これは主として3価の水酸化物(ゲーサイト)の形態を有しており、一部2価の鉄がケイ苦土鉱物に含まれている。浸出工程S1の原料には、上記のラテライト鉱のほか、ニッケル、コバルト、マンガン、銅等の有価金属を含有する例えば深海底に賦存するマンガン等の酸化鉱石が用いられることがある。

0016

上記オートクレーブに装入する硫酸の添加量には特に限定はないが、上記ニッケル酸化鉱石中の鉄が良好に浸出されるように過剰に添加するのが好ましい。なお、浸出工程S1では、生成したヘマタイトを含む浸出残渣によって後工程の固液分離工程S2における分離性が低下することがないように、浸出液のpHを0.1〜1.0に調整することが好ましい。また、この浸出工程S1で得た浸出スラリーは、該固液分離工程S2で固液分離する前に、予備中和処理を行ってフリー硫酸(浸出反応に関与しなかった余剰の硫酸であり、遊離硫酸とも称する)を中和処理してもよい。

0017

(2)固液分離工程S2
上記浸出工程S1で得た浸出スラリーは、次に固液分離工程S2においてCCD法(Counter Current Decantation)とも称する向流洗浄法により浸出残渣が除去され、ニッケル及びコバルトのほか不純物イオンとして鉄、マグネシウム、マンガン等を含む浸出液が得られる。具体的には、この向流洗浄法では、直列に連結した複数基のシックナーに、上記浸出スラリーと洗浄液とが互いに向流になるように連続的に導入される。これにより、最上流のシックナーに凝集剤と共に導入された浸出スラリーは、最下流のシックナーに向けて順次シックナーを移送されることで多段洗浄されながら重力沈降による固液分離が行われ、浸出残渣が分離除去された浸出液が得られる。

0018

このように、CCD法で固液分離することにより、より少ない量の洗浄液で効率よく浸出液を回収することが可能になる。なお、上記洗浄液にはpH1.0〜3.0程度の水溶液を用いることが好ましく、後述する中和処理工程S5から排出される中和終液はこの条件を満たすので、該中和終液を上記洗浄液として用いるのが好ましい。

0019

(3)脱鉄工程S3
上記固液分離工程S2で得た浸出液は、次に脱鉄工程S3において炭酸カルシウム等のpH調整剤が添加されてpH調整が行われ、これにより浸出液に含まれる不純物イオンのうち主に鉄から含鉄殿物が生成される。この脱鉄工程S3では、処理液のpHが2.0以上4.0以下、好ましくは3.0〜3.5、より好ましくは3.1〜3.2になるように上記pH調整を行うのが好ましく、これにより浸出液に含まれる主に3価の鉄イオンアルミニウムイオンから効率よく含鉄殿物を生成することができる。

0020

上記の含鉄殿物を含むスラリーは、好適にはシックナーで固液分離することでシックナー底部から該含鉄殿物が濃縮スラリーの形態で除去され、一方、シックナーの上端部からはオーバーフローにより有価金属としてのニッケル及びコバルトを含むニッケル回収用の母液が排出される。上記のシックナー底部から抜き出される含鉄殿物スラリーは、必要に応じて一部が抜き取られて固液分離工程S2に繰り返され、残りは無害化処理等を経て系外に排出される。

0021

(4)硫化工程S4
上記脱鉄工程S3で得たニッケル回収用の母液は、次に硫化工程S4において加圧下の硫化反応槽に装入され、ここに硫化水素ガス等の硫化剤を添加することにより、硫化反応を生じさせてニッケル及びコバルトを含む混合硫化物を生成させる。この混合硫化物はフィルタープレスなどの固液分離装置により回収され、その際、液相側に貧液が排出される。

0022

なお、上記のニッケル回収用の母液には、不純物としてFe、Mg、Mn等の金属イオンが各々数g/L程度含まれる場合があるが、これら金属イオンはニッケル及びコバルトに比べて硫化物としての安定性が低く、よって上記混合硫化物側にはほとんど分配されない。また、上記の母液に亜鉛が含まれている場合は、上記加圧された硫化反応槽に装入する前に微加圧された脱亜鉛反応槽に導入し、その気相中に硫化水素ガスを吹き込むことでニッケル及びコバルトに対して亜鉛を選択的に硫化し、これにより生成される亜鉛硫化物を分離除去するのが好ましい。

0023

(5)中和処理工程S5
上記硫化処理S4で得た硫酸水溶液からなる貧液は、次に中和処理工程S5において2段階で中和処理され、これにより該貧液中に不純物金属イオンとして含まれる鉄、マグネシウム、及びマンガンのうちのいずれか1つ以上からなる残留金属イオンから中和殿物が生成され、この中和殿物を固液分離で除去することにより無害化された中和終液が得られる。

0024

具体的には、図2の工程フロー図に示すように、先ず第1の中和処理工程S51として、第1反応槽に装入した上記貧液に対して、比較的塩基性度の低い炭酸カルシウムスラリーなどの弱アルカリ性の第1の中和剤を添加し、pH5.0以上6.0以下の範囲内を終点として中和処理を行う。次に第2の中和処理工程S52として、上記第1の中和処理工程S51で処理された溶液を上記第1反応槽から第2反応槽に移送し、この第2反応槽内の溶液に対して、上記第1の中和剤よりも塩基性度の高い例えば消石灰などの第2の中和剤を添加して中和処理を施す。これにより、上記貧液中に含まれる残留金属イオンから中和殿物を生成させる。この中和殿物をフィルタープレスなどの固液分離装置で除去することで、上記の残留金属イオンがほぼ除去された中和終液が得られる。

0025

このように、2段階の中和処理工程のうち第1の中和処理工程S51で添加する中和剤に、第2の中和処理工程S52で添加する強アルカリ性の中和剤よりも塩基性度の低い炭酸カルシウムスラリーなどの中和剤を用いることで、強アルカリ性の中和剤の使用量を削減することができる。よって、硫化工程S4から排出される貧液の量が増加しても、高アルカリ性の中和剤の消費コストを抑えながら効率的に中和処理を行うことができる。

0026

なお、上記した第1の中和処理工程S51における終点のpHが5.0未満では、この第1の中和処理工程S51における中和処理が不十分となって後述する第2の中和処理工程S52における中和処理の負荷が増大し、結果として第2の中和剤の使用量が増加することになる。逆に、第1の中和処理工程S51における終点のpHが6.0を超えると、この第1の中和処理工程S51における中和処理の負荷が増大し、第1の中和剤の使用量が増加することになる。また、このように終点pHが6.0を超えるように調整して第1の中和処理工程S51における中和処理の負荷を増大させた場合でも、第2の中和処理工程S52における中和剤の使用量は殆ど変わらないため、中和処理工程S5全体としての中和剤の使用量が増加して不経済になる。

0027

また、上記の第2の中和処理工程S52における中和処理では、その終点のpHを8.5以上9.0以下の範囲内に調整することが好ましい。この終点のpHが8.5未満では、貧液中に含まれる鉄、マグネシウム、マンガンその他の不純物からなる残留金属イオンの中和殿物の生成が不十分になり、これら残留金属イオンが中和終液中に残留してしまう可能性がある。逆に、終点のpHが9.0を超えると、第2の中和剤の添加量が増加してもこれに比例して該残留金属イオンの生成が促進されることはない。よって、該第2の中和剤の消費量が増加して不経済になる。

0028

前述したように、第2の中和処理工程S52に使用する中和剤は消石灰が好ましい。消石灰は炭酸ナトリウムに比べ塩基性度が高いため、より効果的に中和処理を行うことができるからである。この第2の中和処理工程S52において使用する消石灰は、固形分濃度が15質量%以上25質量%以下のスラリーの形態を有していることが望ましい。この固形分濃度が15質量%未満では、中和処理に必要な消石灰スラリーの体積が多くなりすぎ、所定の有効容積の上記第2反応槽における滞留時間が低下して中和処理が不十分になるおそれがある。逆に、固形分濃度が25質量%を超えると、該第2反応槽内での消石灰スラリーの拡散性が低下し、上記の目標とするpHまで中和するために過剰の中和剤が必要になって処理コストが増加するおそれがある。

0029

本発明の実施形態の中和処理方法においては、この第2の中和処理工程S52で中和処理を行う第2反応槽に撹拌機付きの縦型円柱形状の容器を使用する。更に、該撹拌機の撹拌翼による第2反応槽内での周方向の流れを阻害して撹拌効果を向上させるため、該第2反応槽内にはその円筒胴部から中心軸に向かって突出する少なくとも1枚の邪魔板を、該円筒胴部の上端部から下端部まで鉛直方向に延在するように設置する。

0030

そして、図3に示すように、第2反応槽1の撹拌機2の回転方向が白矢印に示すように時計回りのとき、この第2反応槽1内の溶液に添加する第2の中和剤がより効率よく該溶液に混合されるように、この第2の中和剤の添加位置4Aを第2反応槽1内の流れ方向に関して、邪魔板3の手前側に隣接して設置する。具体的には、第2の中和剤の添加位置4Aを、該第2反応槽1の周方向に関して邪魔板3よりも2〜6度撹拌方向の上流側に、好ましくは3度撹拌方向の上流側に設ける。この第2の中和剤の添加位置4Aの該第2反応槽1における半径方向の位置は、第2反応槽1の円筒胴部の内壁面から該邪魔板3の幅W以下の距離で離間するのであれば特に限定はないが、該邪魔板3における第2反応槽1の中心軸側端部3aに近ければ近いほど好ましい。

0031

なお、上記の第2の中和剤の添加位置4Aが、該第2反応槽1の周方向に関して邪魔板3よりも撹拌方向の上流側に2度未満の角度範囲内に位置する場合は、該第2の中和剤の添加位置4Aと邪魔板3とが近すぎるので、第2の中和剤と第2反応槽1内の溶液とが効率よく混合されなくなる。逆に、上記の第2の中和剤の添加位置4Aが、該第2反応槽1の周方向に関して邪魔板3よりも撹拌方向の上流側に6度を超える角度範囲内に位置する場合は、添加位置4Aから導入される第2の中和剤が、該邪魔板3を回避して第2反応槽1内を回転する溶液に混入する割合が高くなるので、この場合も第2の中和剤と第2反応槽1内の溶液とが効率よく混合されなくなる。

0032

なお、図3に示す第2反応槽1には、3枚の邪魔板3が第2反応槽1の周方向に均等な間隔をあけて、すなわち120度ごとに、各々第2反応槽1の中心軸に向かって突出するように該第2反応槽1の筒状胴体部1aに設けられているが、邪魔板3の形状や枚数はこれに限定されるものではなく、例えば邪魔板3の枚数は1〜2枚でもよいし、4枚以上でもよい。次に、本発明についての実施例を説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。

0033

[実施例]
図1に示す湿式製錬方法の工程フロー図に沿って、原料としてのニッケル酸化鉱石から混合硫化物を生成する際に排出される貧液に対して、図2に示す貧液中和処理方法の工程フロー図に沿って中和処理を行った。具体的には、浸出工程S1において所定の粒度を有するニッケル酸化鉱石を含んだ鉱石スラリーに硫酸を添加して高温高圧下で浸出処理を施し、得られた浸出スラリーを固液分離工程S2において直列に接続された複数基のシックナーに装入して浸出残渣を沈降分離し、得られた浸出液に対して脱鉄工程S3においてpH調整剤を添加して殿物を生成し、これを殿物スラリーの形態で分離除去して、有価金属のニッケル及びコバルトのほか、不純物金属イオンとして鉄、マグネシウム、及びマンガンを含む硫酸水溶液からなるニッケル回収用の母液(貴液)を得た。

0034

上記の母液に対して、硫化工程S4として硫化水素ガスを吹き込んでニッケル及びコバルトを含む硫化物を生成させた。この硫化物をフィルタープレスで固液分離することで回収し、その際、液相側として排出された貧液に対して、第1の中和処理工程S51及び第2の中和処理工程S52からなる2段階の中和処理を施すことで該貧液中に含まれる上記不純物金属イオンを中和除去して中和終液を得た。

0035

これら第1の中和処理工程S51及び第2の中和処理工程S52には、図4に示すように、各々直列に接続する2基の反応槽からなる合計4基の反応槽を用いて連続的に処理を行った。各反応槽内で処理された処理液はオーバーフローにより排出されるようにし、隣接する後流側の反応槽にはロンダー()を介して処理液を移送させた。そして、各々、後段の反応槽の処理液が流れるロンダー(樋)内にpH計を設け、このpH計で測定したpH値に基づいて前段の反応槽に供給する中和剤の供給配管に設けた流量調整弁開度を調整した。

0036

すなわち、第1の中和処理工程S51では、第1前段反応槽11に供給する第1の中和剤の供給量を、第1後段反応槽12からオーバーフローする処理液のpH値に基づいて調整し、第2の中和処理工程S52では、第2前段反応槽21に供給する第2の中和剤の供給量を、第2後段反応槽22からオーバーフローする処理液のpH値に基づいて調整した。なお、第2後段反応槽22からオーバーフローにより抜き出された処理液はポンプを介して後段の固液分離装置に供給した。

0037

各反応槽には、直径がφ8680mm、高さが13300mmの縦型円筒形の容器を用い、その中心軸部分で回転軸が回転するように撹拌機を備えた。この撹拌機の回転軸の先端部には、直径がφ3251mm、パドル幅が1422mmの4枚プロペラからなる撹拌翼を設けた。また、各反応槽の円筒内壁面には、3枚の幅Wが1000mmの邪魔板3を該反応槽の周方向に沿って120度ごとに設けた。更に、第2前段反応槽21においては、第2の中和剤の添加位置4Aを、図3に示すように、該第2前段反応槽21の周方向に関して邪魔板3の先端部3aよりも3度撹拌方向の上流側に設けた。なお、第1前段反応槽11の第1の中和剤の添加位置は図3の4Bの位置にした。

0038

そして、pH1.7の貧液を第1前段反応槽11に供給して順次後段の反応槽に移送させた。その際、各反応槽において底面から液面までの高さが10100mmとなるようにオーバーフローの液位を調整すると共に、撹拌翼の回転数を1800rpmの設定条件下で中和処理を行った。更に、第1後段反応槽12における終点pHが5.1〜5.4となるように、第1前段反応槽11には第1の中和剤として3mol/Lの炭酸カルシウムスラリーを添加して第1の中和処理を行った。また、第2後段反応槽22における終点pHが8.5〜9.0となるように、第2前段反応槽21には、第2の中和剤として固形分濃度15〜25質量%の消石灰スラリーを添加して第2の中和処理を行った。その際、各反応槽における滞留時間は19〜22分の範囲内となった。

0039

上記の第2の中和処理において、下記式1で定義される消石灰の反応効率を算出した。ここで、理論消石灰使用量とは、第1後段反応槽12から排出される第1の中和処理後の処理液中に残留する不純物を中和するのに要する化学量論量から計算した不純物中和当量である。従って、第2前段反応槽21で実際に添加した第2中和剤の添加量(実消石灰使用量)で該理論消石灰使用量を除することで得られる下記式1の反応効率の値が大きいほど、反応効率が良好な望ましい状態であることになる。
[式1]
反応効率(%)=理論消石灰使用量(mol)/実消石灰使用量(mol)×100

0040

[比較例]
第2前段反応槽21における第2の中和剤の添加位置4Aを、図3に示すように、該第2前段反応槽21の周方向に関して邪魔板3の先端部3aよりも3度撹拌方向の下流側に設けた以外は上記実施例と同様にして中和処理を行った。

実施例

0041

上記の実施例及び比較例における最終pH値に対する上記式1の中和剤の反応効率の関係をプロットしたグラフを図4に示す。この図4の結果から、実施例では比較例に比べて消石灰の反応効率が約10%向上した。このように、貧液に対して、第1の中和剤として炭酸カルシウムスラリーを添加してpH5.0〜6.0の範囲を終点として一次中和処理を施した後、得られた処理液に、第2の中和剤として消石灰スラリーを添加して二次中和処理を施す際、該消石灰スラリーの添加位置を反応槽の周方向に関して邪魔板の先端部よりも3度撹拌方向の下流側に設けることで、消石灰の反応効率が向上することが分かる。

0042

S1浸出工程
S2固液分離工程
S3 脱鉄工程
S4硫化工程
S5中和処理工程
1反応槽
2撹拌機回転軸
3邪魔板
4A中和剤添加装置(実施例)
4B 中和剤添加装置(比較例)

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