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課題
解決手段
概要
背景
概要
当該吸引瓶の内部での吸引物の飛沫の発生を抑制乃至解消し、以てそのような飛沫の吸引に起因した医療用吸引器本体の電動ポンプ等の汚染や故障の発生を回避する。 吸引物導入管路4が、平面視で上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304の接線方向から吸引物11を上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304に向けて導入し、吸引物11が上蓋3および瓶本体2の略円筒状の側部303の内周面304に沿って旋回乃至弧を描きつつ落下して行き、最終的に瓶本体2の内部に貯留されるように、上蓋3の略円筒状の側部303に、その接線に管軸402が沿ってほぼ水平に向くように設けられている。
目的
本発明の目的は、上述のような吸引瓶における吸引物の飛沫の発生を抑制乃至解消し、以てそのような飛沫の吸引に起因した電動ポンプの故障や汚染、またその他にも内部配管やポンプの排気口から吸引器外へも汚染が広がる虞があるという問題を解決することを可能とした、医療用吸引器の吸引瓶を提供する
効果
実績
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この技術が所属する分野
請求項1
上部が開口部となっており下部が有底部となっており側部が略円筒状である瓶本体と、前記瓶本体の前記開口部に装着された、上部が略円状の天板となっており下部が開口部となっており側部が略円筒状である上蓋と、吸引器本体の作り出す負圧によって患者から吸引チューブを介して吸引されて来た吸引物を前記瓶本体の外部から内部に導くべく前記上蓋に設けられた吸引物導入管路と、前記吸引器本体の作り出す負圧によって前記瓶本体の内部から気体を吸引して吸引器本体に導くべく前記上蓋に設けられた負圧連通管路と、を有する医療用吸引器の吸引瓶であって、前記吸引物導入管路が、平面視で前記上蓋の略円筒状の側部の内周面の接線方向から前記吸引物を導入し前記上蓋の略円筒状の側部の内周面に沿って吐出するように、前記上蓋の略円筒状の側部に設けられていることを特徴とする医療用吸引器の吸引瓶。
請求項2
請求項1記載の医療用吸引器の吸引瓶において、前記吸引物導入管路が、平面視で前記上蓋の略円筒状の側部の内周の接線方向から前記吸引物を前記上蓋の略円筒状の側部の内側へと導入し、前記吸引物が前記上蓋および前記瓶本体の略円筒状の側部の内周に沿って旋回乃至弧を描きつつ落下して行き前記瓶本体の内部に貯留されるように、前記上蓋の略円筒状の側部に前記接線に沿って略水平に設けられていることを特徴とする医療用吸引器の吸引瓶。
請求項3
請求項1または2記載の医療用吸引器の吸引瓶において、前記上蓋が、前記上蓋の略円筒状の側部よりも内周の位置であって、かつ当該位置と前記上蓋の略円筒状の側部との間に前記吸引物導入管路の出口が挟まれるような位置に、前記吸引物導入管路によって導入されて来た吸引物の流れが前記位置よりもさらに内周側に拡散することを抑制するデフレクタとして機能する、略円筒状の隔壁を有することを特徴とする医療用吸引器の吸引瓶。
請求項4
請求項1から3のいずれかに記載の医療用吸引器の吸引瓶において、前記上蓋は、その略円筒状の側部の直径が、前記天板が設けられている上方から開口部が設けられている下方に向かって大きくなって行く形状に形成されていることを特徴とする医療用吸引器の吸引瓶。
技術分野
背景技術
先行技術
0003
特開2004—49704号公報
発明が解決しようとする課題
0004
従来技術に係る典型的な構成の吸引瓶においては、上述の特許文献1に示されている如く、患者の鼻や喉等から吸引された吸引物は、吸引チューブを通って吸引瓶に導き入れられるように設定されている。
そして、その吸引瓶において、いわゆる気液分離が行われる。
その際に、気体、すなわち液体よりも軽い主に空気および呼気のみが、負圧連通管路を通って(または、場合によってはその途中にさらにPTFEフィルタ等を介して)吸引器本体に到る。
他方、上述の気体から分離された、気体よりも重い液体ないし粘性流体、すなわち鼻汁・唾液・血液・水分等は、それ自体の重力によって吸引瓶の内部に留まり、そこに貯留されることとなる。
0005
従来技術に係る吸引瓶の上蓋の上面には、吸引物導入管路がほぼ垂直に屹立するように設けられており、その吸引物導入管路に吸引チューブが接続されるように設定されている。
このような構成により、吸引器本体の電動ポンプによって発生された負圧(吸引力)によって患者の鼻・喉等から吸引された粘性流体状の吸引物は、吸引チューブを通って、吸引瓶の上蓋にほぼ垂直に屹立して設けられている吸引物導入管路に至り、その吸引物導入管路の吐出口からほぼ鉛直下向きに噴射されるようにして、吸引瓶の内部に吐出され、その吸引瓶の内部に貯留されることとなる。
0006
このようにして、空気や呼気等の気体を含んだ吸引物全体から、空気や呼気等の気体のみを分離し、それを負圧連通チューブ等を介して吸引器本体に吸引させ、それ以外の鼻汁や水分等の粘性流体状の部分は、吸引器本体に到達することのないように、吸引瓶の内部に貯留させるようにすることができるようになっている。
0007
しかしながら、上述のような従来技術に係る吸引瓶では、吸引瓶の内部に既に貯留している粘性流体状の吸引物の上面に、新たに吸引されて来た吸引物が、ほぼ垂直に噴射されるようにして吐出されるので、それに起因して、吸引物の面上に大きな跳ねの飛沫が生じることとなる。
しかも、吸引器に用いられる電動ポンプとしては一般にダイヤフラム式のような所謂脈動が発生しやすいものが用いられる傾向にある。その脈動に起因して、吸引物の吸引にも脈動が発生しやすくなり、その脈動によって断続的に吸引物が吸引瓶へ吐出されることになるので、吸引瓶内での吸引物の跳ねや飛沫の発生は、吸引物の粘性や吸引瓶の大きさ等の組み合わせによっては、ますます顕著なものとなる虞がある。
いずれにしても、そのような吸引物の跳ねの飛沫は、負圧連通チューブが接続されている上蓋の吸引口にまで到達する程の顕著で大きなものとなる場合が多いので、その吸引口から吸引されて、負圧連通チューブを介して吸引器本体の電動ポンプにまで到ることとなる、つまり電動ポンプが液体状や粘性流体状の吸引物の飛沫を吸い込んでしまうこととなる。
そして、その吸い込んでしまった液体状や粘性流体状の飛沫に起因して、電動ポンプに故障や汚染の発生する虞があり、またその他にも、内部配管や、ポンプの排気口から、吸引器外へも汚染が広がる虞があるなどの問題があった。
0008
また、上述のような飛沫の発生を抑制することを企図した技術として、吸引物導入管路の吐出口の先端を鉛直方向に向けるのではなく、鉛直に延びる管路の先端を斜め方向に向けるようにする方策なども提案された。
しかし、そのような方策を以てしてもなお、吐出された吸引物が吸引瓶の側部の内壁に当たって跳ね返るときに顕著な飛沫が生じたり、その跳ね返った吸引物が既に貯留されている吸引物の上面に叩きつけられて跳ねが生じたりするので、上述のような飛沫の問題は依然として解消されなかった。
0009
本発明の目的は、上述のような吸引瓶における吸引物の飛沫の発生を抑制乃至解消し、以てそのような飛沫の吸引に起因した電動ポンプの故障や汚染、またその他にも内部配管やポンプの排気口から吸引器外へも汚染が広がる虞があるという問題を解決することを可能とした、医療用吸引器の吸引瓶を提供することにある。
課題を解決するための手段
0010
(1) 本発明の医療用吸引器の吸引瓶は、上部が開口部となっており下部が有底部となっており側部が略円筒状である瓶本体と、前記瓶本体の前記開口部に装着された、上部が略円状の天板となっており下部が開口部となっており側部が略円筒状である上蓋と、吸引器本体の作り出す負圧によって患者から吸引チューブを介して吸引されて来た吸引物を、前記瓶本体の外部から内部に導くべく前記上蓋に設けられた吸引物導入管路と、前記吸引器本体の作り出す負圧によって前記瓶本体の内部から気体を吸引して吸引器本体に導くべく前記上蓋に設けられた負圧連通管路と、を有する医療用吸引器の吸引瓶であって、前記吸引物導入管路が、平面視で前記上蓋の略円筒状の側部の内周の接線方向から前記吸引物を導入し前記上蓋の略円筒状の側部の内側に沿って吐出するように、前記上蓋の略円筒状の側部に設けられている。
(2) 好適には、前記吸引物導入管路が、平面視で前記上蓋の略円筒状の側部の内周の接線方向から前記吸引物を前記上蓋の略円筒状の側部の内側へと導入し、前記吸引物が前記上蓋および前記瓶本体の略円筒状の側部の内周に沿って旋回乃至弧を描きつつ落下して行き前記瓶本体の内部に貯留されるように、前記上蓋の略円筒状の側部に前記接線に沿って設けられているようにするとよい。
(3) また、好適には、前記上蓋が、前記上蓋の略円筒状の側部よりも内周の位置であって、かつ当該位置と前記上蓋の略円筒状の側部との間に前記吸引物導入管路の出口がはさまれるような位置に、前記吸引物導入管路によって導入されて来た吸引物の流れが前記位置よりもさらに内周側に拡散することを抑制するデフレクタとして機能する、略円筒状の隔壁を有するものであるようにするとよい。
(4) また、好適には、前記上蓋は、その略円筒状の側部の直径が、前記天板が設けられている上方から開口部が設けられている下方に向かって大きくなって行く形状に形成されているようにするとよい。
発明の効果
0011
本発明における医療用吸引器の吸引瓶によれば、当該吸引瓶の内部での吸引物の飛沫の発生を抑制乃至解消し、以てそのような飛沫の吸引に起因した医療用吸引器本体の電動ポンプ等の汚染や故障の発生を、回避することが可能となった。
図面の簡単な説明
0012
本発明の一実施形態に係る吸引瓶の主要な構成を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る吸引瓶の内部構造を断面図として示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る吸引瓶の上蓋における、特に吸引物導入管路およびデフレクタ(隔壁)の構成を一部断面図として示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る吸引瓶を医療用吸引器に装着した状態の一例を示す説明図である。
本発明の一実施形態に係る吸引瓶の作用およびそれによって奏される効果を模式的に示した説明図である。
実施例
0014
この医療用吸引器に用いられる吸引瓶(以下、単に「吸引瓶」とも記述する)1は、瓶本体2と、上蓋3と、吸引物導入管路4と、デフレクタ(隔壁)5と、負圧連通管路6と、フロート式流入防止弁7とを、その主要な構成部位として有している。
0015
瓶本体2は、上部8が開口となっており、下部9が底面(有底部)となっており、側部10がほぼ円筒状でその直径が下方に向かって小さくなって行く、所謂コップ状の容器である。
この瓶本体2に、患者(図示省略)から吸引されて来た吸引物11が貯留される。
この瓶本体2自体は、上述のような所謂コップ状の、一般的なものであってよい。
0016
上蓋3は、瓶本体2の開口8に装着される、上部が円状の天板301となっており、下部302が開口となっており、側部303がほぼ円筒状で、その直径が下方に向かって大きくなって行く形状に形成されている。
その側部303には、吸引物導入管路4が設けられている。
その天板301には、負圧連通管路6を装着するための貫通孔304が設けられている。
そして、その天板301の貫通孔304に、負圧連通管路6が装着される。
また、天板301の内側には、デフレクタ(隔壁)5が円筒状の隔壁のような形で設けられている。
0017
図3は、本発明の一実施形態に係る吸引瓶の上蓋の構成を、特に吸引物導入管路およびデフレクタの構成に着目し、一部断面図として示す説明図である。
0018
吸引物導入管路4は、吸引器1本体に内蔵されたダイヤフラム式電動ポンプ等(図示省略)の作り出す負圧によって患者から吸引チューブ(図示省略)を介して吸引されて来た吸引物11を、瓶本体2の内部に導くべく、上蓋3に、その天板301を貫通してではなく、側部303の内周面304の描く円の接線に沿って設けられている。
すなわち、この吸引物導入管路4は、特に注目すべきは、従来の構成のような上蓋3の天板301を貫通して吸引物11を垂直(鉛直)方向に瓶内に導き入れるように設けられているのではなく、上蓋3の側部303に設けられていて、その側部303の接線方向から、吸引物11をほぼ水平方向に瓶内に導き入れるように設けられている、ということである。
0019
これをさらに詳しく説明すると、吸引物導入管路4は、平面視で上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内側(内周面)のほぼ接線方向から吸引物11を導入し、それを上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周面に沿って吐出するべく、上蓋3の側部303に設けられている。
この吸引物導入管路4の吐出口401から吐出された吸引物11は、遠心力で以て上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周面に沿って進むが、その側部303との粘性的・流体的な摩擦によって次第に減速されて遠心力が減少し、かつそれと共に重力によって下方に引き下げられて行く。
従って、その吐出された吸引物11の流れは、上蓋3の側部303の内側〜瓶本体2の側部10の内側〜瓶本体2内に既に貯留されている吸引物111の上面112の順に、瓶本体2の側部10に沿って螺旋状に降下して行き、最終的に、既に貯留されている吸引物111の上面112に斜め方向から到達し、最終的にその吸引物111と混じり合う、という経路を辿ることとなる。
よって、その吸引物11の流れの経路における最後まで、瓶本体2内に既に貯留されている吸引物111の上面112に対して跳ねや飛沫を生じさせるような衝突を生じることが回避され、またその途中で吸引物11がこの吸引瓶1内の空間に飛沫となって飛散したりすることも回避される。
0020
この吸引物導入管路4は、さらに具体的な態様として、次のようなものとするとよい。
すなわち、平面視で上蓋3の側部303の内周の接線方向に沿ってほぼ水平に、その接線よりも若干内周寄りにオフセットした位置に吸引物導入管路4の管軸402が合わさるように、この吸引物導入管路4を設ける。
そして、この吸引物導入管路4によって吸引物11を上蓋3の円筒状の側部303の内側に導入し、その吸引物11が上蓋3および瓶本体2の各円筒状の側部303、10の内周に沿って旋回乃至弧を描きつつ落下して行き、最後まで飛沫や跳ねを生じることなく、最終的に瓶本体2の内部に貯留されるようにするべく、この吸引物導入管路4の取り付け角度(水平方向に対して例えば5度程度の傾斜を敢えて付与する等)、管路の直径、吐出口401の形状、管軸402のオフセットの大きさ、デフレクタ5の配置される位置(その直径)、上蓋3の側部303の直径が上方から下方に向かって大きくなって行く度合い(つまり側部303の傾斜の度合い)等を、適切な設定にするとよい。
このようにすることにより、吸引瓶1の内部での吸引物11の跳ねや飛沫の発生を、さらに確実に抑止(回避)することが可能となる。
0021
デフレクタ5は、天板301の内側に設けられている隔壁状のものである。
より具体的には、デフレクタ5は、上蓋3のほぼ円筒状の側部303よりも内周の位置であってかつその位置と上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周面304との間に吸引物導入管路4の出口(つまり吸引物11の吐出口)401を挟むような位置に設けられた、円筒状の隔壁である。
このデフレクタ5の外周面501と、上蓋3の側部303の内周面304との間に、吸引物導入管路4の吐出口401から吐出された吸引物11の流路403が画定される。
従って、この隔壁状のデフレクタ5によれば、外部から導入され吸引物導入管路4を通ってこの吸引瓶1内に吐出された吸引物11の流れが、このデフレクタ5の設けられている位置よりも内周側に拡散することが抑制される。
そしてさらに、このデフレクタ5の整流作用によって、吸引物11の流れがこの吸引瓶1内で螺旋状または円弧を描きつつ重力によって上蓋3からその下の瓶本体2の底面9に向かって流れて行くという、その螺旋状または円弧状の流れを確実に形成することを可能にする。
0022
負圧連通管路6は、吸引器20本体の作り出す負圧によって、この吸引瓶1の内部から気体を吸引して吸引器20本体に導くべく、上蓋3に配置されたものである。
この負圧連通管路6は、上蓋3の天板301に設けられた貫通孔304に、例えば所謂オーリング(O−ring)601を用いて嵌め込まれるような形で以て装着される。
0023
フロート式流入防止弁7は、この吸引瓶1内に貯留される吸引物111の上面112が所定の高さに到ると、その吸引物111の上面112によってフロート本体701が持ち上げられて弁体702が閉じ、吸引を停止させる。フロート式流入防止弁7は、このようにして、吸引物111、11が負圧連通管路6に誤って流入してしまうことを防ぐことができるように設けられている。
このフロート式流入防止弁7自体は、一般的なものであってよい。あるいは、例えば吸引瓶1の構造を簡略化するという技術的要請に対応することが必要な場合や、他の種類の吸引停止装置(図示省略)を用いる場合などには、このフロート式流入防止弁7は省略することも可能である。
0024
図4は、本発明の一実施形態に係る吸引瓶を医療用吸引器本体に装着した状態の一例を示す説明図である。
0025
医療用吸引器20本体(以下、単に「吸引器20本体」とも記述する)には、吸引瓶1を直立した状態で保持する吸引瓶保持部21が設けられている。その吸引瓶保持部21に、この吸引瓶1が直立した状態で保持される。
そして、吸引瓶1の負圧連通管路6は、医療用吸引器20本体の負圧連通チューブ22に接続される。その負圧連通チューブ22は、医療用吸引器20本体の内部に設けられている例えばダイヤフラム式の電動ポンプ(図示省略)に接続されている。
また、図示は省略するが、吸引物導入管路4の瓶外側の先端部404には、患者からの唾液・鼻汁・痰・血液・その他の体液や各種粘性流体等を吸引する吸引チューブ(図示省略)が接続される。
吸引の圧力は、圧力計23によって表示される。また、その圧力の調節は、ユーザー(図示省略)によって調節ツマミ24を用いて調節されるように設定されている。
ここで、従来の吸引瓶では一般に、吸引物導入管路が吸引瓶の上蓋の天板上にほぼ直立した姿勢でその天板を貫通するように設けられていたので、それが障害物となって、吸引瓶の上蓋の直上にフィルタユニットを装着することができなかった。
しかし、本実施形態の吸引瓶1では、吸引物導入管路4は上蓋の側部から外へ水平方向に伸びるように設けられているので、図4に示したように、その上蓋3の天板301上に所謂「直付け」でフィルタユニットを装着することができる。この点も、本実施形態の吸引瓶1の利点の一つである。
0027
吸引瓶1の天板301には、負圧連通管路6が設けられている。その負圧連通管路6の吸入口601からの負圧による吸引によって、吸引瓶1内で吸引物11から分離された呼気や空気等の気体12が吸引されて、吸引器20本体に送られる。
他方、上述のとおり、吸引物導入管路4は、平面視で上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周の接線方向から吸引物11を導入し、それを上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内側つまり内周面304に沿って流れるように吐出するべく、上蓋3の側部303に設けられている。
また、既に図3に基づいて説明したように、デフレクタ5によって、その外周面501と上蓋3の側部303の内周面304との間に、吸引物導入管路4の吐出口401から吐出される吸引物11の流路403が画定されている。
0028
従って、この吸引物導入管路4の吐出口401から吐出された吸引物11は、その吐出時の比較的速い初速度による遠心力Frで以て、上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周面304に沿って進んで行く。
その際、デフレクタ5によって吸引物11の流れが内周方向に拡散することが規制されていると共に流路403が画定されているので、吸引物11はさらに確実に、上蓋3のほぼ円筒状の側部303の内周面304に沿って進んで行くこととなる。
0029
そして、その吸引物11は、側部303の内周面304に沿って進んで行くうちに、側部303との粘性的・流体的な摩擦によって、次第に減速されて遠心力Frが減少し、かつ、重力mgが恒常的に働いているので、徐々に下方へ向かって引き下げられて行く。
またそれと共に、上蓋3の側部303は、ほぼ円筒状であるが、その直径が下方に向かって大きくなって行く形状に形成されているので、吸引物11は、側部303の内周面304に沿って下方に降りて行くに連れて遠心力Frが漸減して行くこととなる。つまり、この形状によって、吸引物11を上蓋3の高さに滞留させることなくスムーズに螺旋状に下方へと向かわせるようにすることが促進されることとなる。
従って、吸引物導入管路4の吐出口401から吸引瓶1内に吐出された吸引物11の流れは、図5に曲線矢印Vcとしてその軌跡を模式的に示すと共に、その吸引物11自体に斜線を付して断面図として模式的に示したように、上蓋3および瓶本体2の各円筒状の側部303、10の内周面304、101に沿って、螺旋状の旋回乃至円弧を描きつつ(つまり喩えて言えばトルネードかサイクロン(渦巻き)のような螺旋状を描きつつ)、上方から下方へと漸次降下して行く。
0030
そして最終的に、瓶本体2内に既に貯留されている吸引物111の上面112に、瓶本体2の側部10の内周面101に沿って斜め方向から到達する。
従って、吸引物導入管路4の吐出口401から吸引瓶1内に吐出されて、螺旋状乃至円弧を描きつつ降下してきた吸引物11は、吸引物111の上面112に跳ねや飛沫を生じるような衝突を生じることなく、吸引物111の上面112に対して水平に近い斜め方向から到達して、スムーズに混じり合うこととなる。
このようにして、本実施形態に係る吸引瓶1によれば、その吸引瓶1内での吸引物11の流れの経路における最初から最後まで、所謂ミスト吸引のような誤吸引の要因となる吸引物11、111の跳ねや飛沫などを生じないようにすることが可能となる。
0031
以上のとおり、本発明の一実施形態に係る吸引瓶1によれば、当該吸引瓶1の内部での吸引物11、111の跳ねや飛沫の発生を抑制乃至解消し、以てそのような跳ねや飛沫の吸引に起因した医療用吸引器20本体の電動ポンプ等の汚染や故障の発生を回避することが達成される。
0032
<実施形態の構成および効果>
(1) 本実施形態に係る医療用吸引器の吸引瓶1は、上部8が開口となっており下部9が底面となっており側部10が略円筒状である瓶本体2と、その瓶本体2の開口部8に装着された、上部が略円状の天板301となっており下部302が開口となっており側部303が略円筒状である上蓋3と、吸引器20本体の作り出す負圧によって患者から吸引チューブを介して吸引されて来た吸引物11を瓶本体2の外部から内部に導くべく上蓋3に設けられた吸引物導入管路4と、吸引器20本体の作り出す負圧によって瓶本体2の内部から気体を吸引して吸引器20本体に導くべく上蓋3に設けられた負圧連通管路6と、を有する医療用吸引器20用の吸引瓶1であって、吸引物導入管路4が、平面視で上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304の接線方向から吸引物11を導入し上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304に沿って吐出するように、上蓋3の略円筒状の側部303に設けられている。
このような構成を有することから、当該吸引瓶1の内部での吸引物11、111の飛沫の発生を抑制乃至解消して、そのような飛沫の吸引に起因した医療用吸引器20本体の電動ポンプ等の汚染や故障の発生を回避することが可能となる。
0033
(2) また、吸引物導入管路4が、平面視で上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304の接線方向から吸引物11を上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304に向けて導入し、吸引物11が上蓋3および瓶本体2の略円筒状の側部の内周面304、に沿って旋回乃至弧を描きつつ落下して行き、瓶本体2の内部に貯留されるように、上蓋3の略円筒状の側部303に、その接線に沿って略水平に設けられている。
このような構成を有することから、当該吸引瓶1の内部での吸引物11、111の飛沫の発生を、さらに効果的に抑制乃至解消して、そのような飛沫の吸引に起因した医療用吸引器20本体の電動ポンプ等の汚染や故障の発生を回避することが可能となる。
0034
(3) また、上蓋3が、その上蓋3の略円筒状の側部303よりも内周寄りの位置であって、かつ当該位置と上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304との間に吸引物導入管路4の出口(吐出口)401が挟まれるような位置に、吸引物導入管路4によって導入されて来た吸引物11の流れが上述の位置よりもさらに内周側に拡散することを抑制するデフレクタ5として機能する、略円筒状の隔壁を有する。
このような構成を有することから、吸引物11の流れがさらに内周側に拡散することを抑制すると共に、その吸引物11の流れを整流して、さらに確実に上蓋3の略円筒状の側部303の内周面304に沿って、螺旋状に上方から下方へと向かわせることが可能となる。
0035
(4) また、上蓋3は、その略円筒状の側部303の直径が、天板301の設けられている上方から開口302の設けられている下方に向かって大きくなって行く形状に形成されている。
このような構成を有することから、吸引物11を上蓋3の高さに滞留させることなくスムーズに螺旋状に下方へと向かわせるようにすることを促進せしめることが可能となる。
0036
<定義等>
・上蓋および瓶本体の「略(ほぼ)円筒状の側部」の「略円筒状」とは、その直径が上方から下方に向かうに連れて漸次に小さくなって行く(瓶本体の場合)、または、大きくなって行く(上蓋の場合)形状も含む、という意味で、「略」という文言を用いた。
・「吸引物導入管路が…(中略)…略水平に設けられている」の「略水平」とは、吸引物導入管路はその管軸が基本的に水平方向に向くように設けられる、という事項が本発明の最も基調となるアイデアであるが、必ずしも完全に水平方向(つまり鉛直方向に対して厳密に90度の角度で交差する方向)のみには限定されず、例えば数度程度の範囲内でその上下方向の角度を若干水平方向からずらして設定することなども可能である、という意味で、「略」という文言を用いた。
0037
1吸引瓶
2 瓶本体
3上蓋
4吸引物導入管路
5デフレクタ
6 負圧連通管路
7フロート式流入防止装置
8 瓶本体の上部(開口)
9 瓶本体の下部(底面)
10 瓶本体の側部
11 吸引物
20吸引器(本体)
21 吸引瓶保持部
101 瓶本体の側部の内周面
301 上蓋の天板
302 上蓋の開口
303 上蓋の側部
304 上蓋の側部の内周面
401吐出口
402管軸
403 吸引物の流路