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技術 医療用器材処理剤およびそれを用いてなる医療用器材

出願人 東洋インキSCホールディングス株式会社
発明者 荻原直人高橋洸洋
出願日 2019年4月19日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-079776
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-174937
状態 未査定
技術分野 医療用材料 ポリウレタン,ポリ尿素
主要キーワード 別プレート メディカルデバイス タンパク質含有液 多官能脂肪族エポキシ シリコーンフィルム 体液接触 リン脂質極性基 タンパク質吸着性
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

本発明は、細胞毒性が低く、かつ優れたタンパク質細胞接着防止効果を有し、且つ優れた塗工性及び耐水性を発揮する医療用器材処理剤、該細医療用器材処理剤からなる塗膜を有する医療用器材を提供することを目的とする。

解決手段

上記課題は、アミンオキシド基を有し、かつ、質量平均分子量が10,000以上であるウレタン系ポリマー(a)を含む医療用器材処理剤によって解決される。さらに、ウレタン系ポリマー(a)が、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む医療用器材処理剤によって解決される。

概要

背景

従来、血液バッグ人工心肺用の体外循環回路など多くの医療用具に用いられている高分子材料血液適合性を有していないため、医療用具の使用に際しては抗凝固剤の併用が不可欠であった。また、高分子材料表面血球タンパクなどの生体成分吸着変性すると、血液凝固を引き起こし、血栓形成炎症反応などの通常では認められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、材料の劣化にもつながり医療用材料において解決しなければならない重要な課題の一つとされている。このように、医療技術の進歩に伴って、高分子材料が生体組織や血液と材料が接触する機会はますます増加しており、高分子材料自体の血液適合性が大きな問題になってきている。

また、創薬研究や再生医療研究のツールの1つである細胞培養用部材の開発においては、一般的にはコラーゲンポリスチレンおよびポリメチルメタクリレートが良好であることが知られており、中でもポリスチレンが細胞毒性の低さと経済性加工性優位性があり、現行組織培養においてはポリスチレンを親水化処理したものが使用されている。しかし、このような培養部材では細胞進展、増殖は認められるものの、細胞の機能維持に有利とされている3次元的な細胞構造を形成させることができないため、細胞凝集塊を形成させるような高分子材料が求められている。

こうした問題点を背景に、優れた生体適合性高分子材料の実現を目指して、数多くの表面設計方法が研究されてきた。

生体適合性高分子の表面としては、ミクロ相分離表面、親水性表面、両性イオン型分子を含む細胞膜に類似した表面構造などの有効性報告されている。例えば、ホスホベタイン型であるリン脂質極性基を持つ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンMPC)を一成分として有するポリマーは、基材表面に処理すると超親水性の表面が得られ、該表面にはリンパ球などの細胞が全く接着しないため、人工心肺、ステントコンタクトレンズ細胞培養基材など様々な医療製品表面処理剤として利用されている。また、2-メトキシエチルアクリレートシンプル化学構造であるものの、MPCポリマーと同様に生体適合性を示す高分子材料であることから、人工心肺をはじめとする多くの医療機器の表面処理剤として製品化されている。

例えば、特許文献1では、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを共重合して得られるホスホベタイン基含有両性樹脂が開示されている。また、特許文献2では、カルボキシベタイン基含有両性樹脂、特許文献3ではスルホベタイン基含有両性樹脂が開示されている。しかしながら、これらは生体適合性に優れる一方、アクリル樹脂系であるため、他のエチレン性不飽和単量体と共重合しても基材によっては密着性に劣る欠点を有しており、耐久性に課題を有する。アクリル樹脂以外の樹脂系として、特許文献4ではホスホリルコリン基含有ジオール化合物とそれらを付加縮合させてなる両性ウレタン樹脂が開示されている。しかしながら、この樹脂についても構造が強直で一部の基材への密着性、追従性が悪い。またジオールの合成工程が煩雑であり、溶剤への溶解性にも劣るため、ハンドリングコスト面で課題を抱えている。

概要

本発明は、細胞毒性が低く、かつ優れたタンパク質や細胞の接着防止効果を有し、且つ優れた塗工性及び耐水性を発揮する医療用器材処理剤、該細医療用器材処理剤からなる塗膜を有する医療用器材を提供することを目的とする。上記課題は、アミンオキシド基を有し、かつ、質量平均分子量が10,000以上であるウレタン系ポリマー(a)を含む医療用器材処理剤によって解決される。さらに、ウレタン系ポリマー(a)が、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む医療用器材処理剤によって解決される。なし

目的

本発明は、タンパク質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮する医療用器材処理剤及び該処理剤からなる塗膜を有する、医療用器材を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000〜10,000,000であるウレタン系ポリマー(a)を含むことを特徴とする、医療用器材処理剤

請求項2

ウレタン系ポリマー(a)が、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む請求項1に記載の医療用器材処理剤。

請求項3

ウレタン系ポリマー(a)が、3級アミノ基を有するウレタン系ポリマーと酸化剤との反応生成物であるか、又は、アミンオキシド基を有するジオール化合物ポリイソシアネートとを重合してなるポリマーである、請求項1または2に記載の医療用器材処理剤。

請求項4

ウレタン系ポリマー(a)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの構造を有する請求項1〜3いずれか1項に記載の医療用器材処理剤。(式中、R1、R3、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、R2、R4、R5、R7、R8はアルキル基アリール基アラルキル基ピリジル基を、YはOまたはNHを表し、**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)

請求項5

さらに架橋剤を含む請求項1〜4いずれか1項に記載の医療用器材処理剤。

請求項6

基材上に、請求項1〜5いずれか1項に記載の医療用器材処理剤からなる塗膜を有する、医療用器材。

技術分野

0001

本発明は、医療用器材処理剤およびそれを用いてなる医療用器材に関する。

背景技術

0002

従来、血液バッグ人工心肺用の体外循環回路など多くの医療用具に用いられている高分子材料血液適合性を有していないため、医療用具の使用に際しては抗凝固剤の併用が不可欠であった。また、高分子材料表面血球タンパクなどの生体成分吸着変性すると、血液凝固を引き起こし、血栓形成炎症反応などの通常では認められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、材料の劣化にもつながり医療用材料において解決しなければならない重要な課題の一つとされている。このように、医療技術の進歩に伴って、高分子材料が生体組織や血液と材料が接触する機会はますます増加しており、高分子材料自体の血液適合性が大きな問題になってきている。

0003

また、創薬研究や再生医療研究のツールの1つである細胞培養用部材の開発においては、一般的にはコラーゲンポリスチレンおよびポリメチルメタクリレートが良好であることが知られており、中でもポリスチレンが細胞毒性の低さと経済性加工性優位性があり、現行組織培養においてはポリスチレンを親水化処理したものが使用されている。しかし、このような培養部材では細胞進展、増殖は認められるものの、細胞の機能維持に有利とされている3次元的な細胞構造を形成させることができないため、細胞凝集塊を形成させるような高分子材料が求められている。

0004

こうした問題点を背景に、優れた生体適合性高分子材料の実現を目指して、数多くの表面設計方法が研究されてきた。

0005

生体適合性高分子の表面としては、ミクロ相分離表面、親水性表面、両性イオン型分子を含む細胞膜に類似した表面構造などの有効性報告されている。例えば、ホスホベタイン型であるリン脂質極性基を持つ2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンMPC)を一成分として有するポリマーは、基材表面に処理すると超親水性の表面が得られ、該表面にはリンパ球などの細胞が全く接着しないため、人工心肺、ステントコンタクトレンズ細胞培養基材など様々な医療製品表面処理剤として利用されている。また、2-メトキシエチルアクリレートシンプル化学構造であるものの、MPCポリマーと同様に生体適合性を示す高分子材料であることから、人工心肺をはじめとする多くの医療機器の表面処理剤として製品化されている。

0006

例えば、特許文献1では、2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリンを共重合して得られるホスホベタイン基含有両性樹脂が開示されている。また、特許文献2では、カルボキシベタイン基含有両性樹脂、特許文献3ではスルホベタイン基含有両性樹脂が開示されている。しかしながら、これらは生体適合性に優れる一方、アクリル樹脂系であるため、他のエチレン性不飽和単量体と共重合しても基材によっては密着性に劣る欠点を有しており、耐久性に課題を有する。アクリル樹脂以外の樹脂系として、特許文献4ではホスホリルコリン基含有ジオール化合物とそれらを付加縮合させてなる両性ウレタン樹脂が開示されている。しかしながら、この樹脂についても構造が強直で一部の基材への密着性、追従性が悪い。またジオールの合成工程が煩雑であり、溶剤への溶解性にも劣るため、ハンドリングコスト面で課題を抱えている。

先行技術

0007

特開平09−003132号公報
特開平09−095474号公報
特開平10−287687号公報
特開2011−162522号公報

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、タンパク質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を発揮する医療用器材処理剤及び該処理剤からなる塗膜を有する、医療用器材を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

本発明者らは、鋭意検討した結果、アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000以上であるウレタン系ポリマー(a)を含む生体適合性重合体が、細胞毒性が低く、かつ優れたタンパク質や細胞の接着防止効果を奏することを見出し、本発明を完成した。

0010

即ち、本発明は、アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000〜10,000,000であるウレタン系ポリマー(a)を含むことを特徴とする、医療用器材処理剤に関する。

0011

また、本発明は、ウレタン系ポリマー(a)が、アミンオキシド基を0.25〜5mmol/g含む前記医療用器材処理剤に関する。

0012

また、本発明は、ウレタン系ポリマー(a)が、3級アミノ基を有するウレタン系ポリマーと酸化剤との反応生成物であるか、又は、アミンオキシド基を有するジオール化合物とポリイソシアネートとを重合してなるポリマーである、前記医療用器材処理剤に関する。

0013

また、本発明は、ウレタン系ポリマー(a)が、下記一般式1〜3で表される少なくともいずれかの構造を有する前記医療用器材処理剤に関する。










(式中、
R1、R3、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
R2、R4、R5、R7、R8はアルキル基アリール基アラルキル基ピリジル基を、
YはOまたはNHを表し、**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)

0014

また、本発明は、さらに架橋剤を含む前記医療用器材処理剤に関する。

0015

また、本発明は、基材上に、前記医療用器材処理剤からなる塗膜を有する、医療用器材に関する。

発明の効果

0016

本発明により、細胞毒性が低く、かつ優れたタンパク質や細胞の接着防止効果を有し塗工性及び耐水性に優れた医療用器材処理剤を提供すること、また、該処理剤からなる塗膜を有する、医療用器材を提供することができる。

0017

本発明の医療用器材処理剤は、アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000〜10,000,000であるウレタン系ポリマー(a)を含むことを特徴とする。アミンオキシド基を含むポリマーであることにより、細胞毒性が低く、塗工性及び耐水性だけでなく、優れたタンパク質や細胞の接着防止効果の維持を可能とする。

0018

<ウレタン系ポリマー(a)>
本発明のウレタン系ポリマー(a)は、アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000〜10,000,000であればよく、従来公知のポリマーを用いることができ、2種以上を併用してもよい。具体的には、下記一般式(1)(2)(3)で表される構造を含むことが好ましい。

0019

(式中、
R1、R3、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6のアルキレン基を、
R2、R4、R5、R7、R8はアルキル基、アリール基、アラルキル基、ピリジル基を、
YはOまたはNHを表し、
**はウレタン系ポリマーの主鎖との結合位置を表す。)

0020

本発明におけるウレタン系ポリマー(a)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとを必須成分とし、必要に応じて用いられるポリアミン成分単官能水酸基成分や単官能のアミン成分との反応生成物である。アミンオキシド基の導入源となるモノマーとは、アミンオキシド基を有するモノマー、または、その前駆体となる3級アミノ基を有するモノマーが挙げられる。

0021

また、本発明におけるウレタン系ポリマー(a)は、以下のような2つの方法で得ることができる。即ち、アミンオキシド基を有するジオール化合物とポリイソシアネートとを重合して、アミンオキシド基を有するウレタン系ポリマー(a)を得ることができる。
あるいは、3級アミノ基を有するウレタン系ポリマーを得た後、前記3級アミノ基に酸化剤を反応させ、ポリマーにアミンオキシド基を導入することができる。副反応を生じ難いという点で後者の方法が好ましい。なお、3級アミノ基に酸化剤を反応させることを、
以下「オキシド化」ともいう。

0022

[3級アミノ基含有モノマー
オキシド化前の前駆体としての3級アミノ基含有モノマーとしては、炭素数1〜20の3級アミノ基含有ジオールが挙げられる。例えば、N−アルキルジアルカノールアミン、N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンが挙げられる。
N−アルキルジアルカノールアミンとしては、例えば、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン及びN−メチルプロパノールアミンが挙げられる。
N,N−ジアルキルモノアルカノールアミンとしては、例えば、N,N−ジメチルエタノールアミンが挙げられる。
その他、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルベンジルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキシルアミン、ジエタノールp−トルイジンジイソプロパノール−p−トルイジン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−クロロアニリン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−4−ピリジンカルボアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−α−アミノピリジン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、3−ジエチルアミノプロパン−1,2−ジオール、3−ジメチルアミノプロパン−1,2−ジオール等が、3級アミノ基含有モノマーとして挙げられる。

0024

カルボキシル基を有するポリオール成分]
架橋剤と反応する官能基を有するポリオールとしては、カルボキシル基含有ポリオールが挙げられる。例えば、ジメチロールブタン酸ジメチロールプロピオン酸、およびこれらの誘導体(カクロラクトン付加物エチレンオキサイド付加物プロピレンオキサイド付加物など)、3−ヒドロキシサリチル酸、4−ヒドロキシサリチル酸、5−ヒドロキシサリチル酸、2−カルボキシー1,4−シクロヘキサンジメタノールなどが挙げられる。なかでも、ジメチロールブタン酸、ジメチロールプロピオン酸は、樹脂中のカルボキシル基濃度を増加させることができるという点において本発明では好ましい。

0025

[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分としては、芳香族ポリイソシアネート脂肪族ポリイソシアネート芳香脂肪族ポリイソシアネート脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。

0026

芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼンジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。

0027

脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。

0028

芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼンω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。

0029

脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス
(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス( イソシアネートメチル)シ
クロヘキサン等を挙げることができる。

0030

また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3官能アルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート成分として使用することができる。

0031

ウレタン系ポリマーを得る際に用いられるポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソ
シアネート)等が好ましい。

0032

[ポリアミン成分]
ウレタン系ポリマーを得る際には、必要に応じてポリアミン成分を用いることが出来る。ポリアミン成分としては、例えば、エチレンジアミンイソホロンジアミンフェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミントリレンジアミンヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミンプロピレンジアミンジシクロヘキシルメタン−4,4−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
ポリアミン成分を用いることにより、ウレタン結合よりも凝集力の高いウレア結合が形成されるので、凝集力の大きな粘着剤を得ることができる。

0033

[単官能の水酸基成分]
ウレタン系ポリマーを得る際に末端停止剤の1つとして用いられる単官能の水酸基成分としては特に限定はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール2−プロパノール、1−ブタノール2−ブタノール1−ヘキサノール、1−オクタノール2−ジエチルアミノエタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができる。なかでも、2−ジエチルアミノエタノールは末端に3級アミノ基を導入できる
という点で好ましい。

0034

[単官能のアミン成分]
単官能の水酸基成分と同様に末端停止剤の1つとして用いられる単官能のアミン成分としては特に限定はなく、ヘキシルアミンオクチルアミンジエチルアミンドデシルアミンヘキサデシルアミンオクタデシルアミンステアリルアミンオレイルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミンモノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
これら単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を末端封止剤として用いることで、ウレタン系ポリマーの経時安定性を向上させることが出来る。

0035

本発明においてウレタン系ポリマーの調製は、必須成分であるポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとを、必要に応じて用いられるポリアミン成分や単官能の水酸基成分や単官能のアミン成分の全ての成分を同時に反応させてもよいし(ワンショット法)、逐次的に反応させてもよい。所望のウレタン系ポリマーを主たる生成物として確実に生成させるために、少なくともこれらの成分のいずれかを逐次的に反応させる逐次反応が好ましい。逐次反応によってウレタン系ポリマーを調製する場合、例えば、次の方法を適用することが出来る。

0036

ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとをポリイソシアネート成分過剰の条件下に反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程、次いで上記ウレタンプレポリマーとポリアミン成分とを反応させて、末端がイソシアネート基であるポリウレタンポリウレアを得る工程、最後に、残るイソシアネート基と単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を反応させる工程を含む方法。

0037

なお、逐次反応の進め方は、先に例示した方法に限定されるものではない。

0038

本発明のウレタン系ポリマーは、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。
有機溶剤としては、アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノン等のケトン系化合物酢酸メチル酢酸エチル酢酸ブチル乳酸エチル酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物ジエチルエーテルエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物塩化メチレンクロロベンゼンクロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物などの各種溶剤を使用することができる。

0039

また、ウレタン系ポリマーの合成時には、必要に応じて触媒を添加することができ、たとえばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレートジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート金属系触媒;1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、上記ポリオール成分とポリイソシアネート成分とアミンオキシド基の導入源となるモノマーとを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃ 以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃ で1〜20時間反応させることがより好ましい。110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
イソシアネート基とポリアミン成分との反応は、有機溶剤中で60℃以下で行うことが
好ましい。それより高温だと反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタン系ポリマーが得にくくなる。

0040

[オキシド化]
3級アミノ基含有モノマー、または、3級アミノ基を有するウレタンポリマーを含む溶液に、オキシド化剤を加えて20℃〜100℃の範囲で0.1〜100時間、好ましくは1〜50時間反応させることによって、3級アミノ基をオキシド化することができる。

0041

オキシド化剤としては、過酸化物又はオゾン等の酸化剤が用いられる。
過酸化物としては、過酸化水素過硫酸アンモニウム過硫酸ソーダ過酢酸メタクロロ過安息香酸ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキシド等が挙げられ、過酸化水素が好ましく、通常は水溶液の形で用いられる。程度の違いはあるが、過酸化物にはラジカル発生剤としての機能もあるので、3級アミノ基含有不飽和モノマー(a1)を必須の原料とするビニル系ポリマーの場合には、重合後にオキシド化することが好ましい。また、後述するウレタン系ポリマーの場合にも副反応が生じないように、重合後にオキシド化することが好ましい。
一般的にはオキシド化剤の使用量は、オキシド化可能な官能基、即ち、3級アミノ基に対して、0.2〜3倍モル当量の割合で使用し、更に0.5〜2倍モル当量使用するのがより好ましい。

0042

得られたポリマー溶液は、残存した過酸化物を公知の方法で処理した後、使用することもできる。具体的には還元剤添加処理、イオン交換処理活性炭処理金属触媒による処理等があげられる。
得られたポリマー溶液はそのまま使用することもできるが、必要に応じて再沈殿溶媒留去等の公知の方法でアミンオキシド基含有ポリマーを単離して使用することも出来る。また、単離したアミンオキシド基含有ポリマーは、必要ならば再沈殿や、溶剤洗浄膜分離吸着処理等によってさらに精製できる。

0043

<アミンオキシド基含有量
ウレタン系ポリマー(a)中のアミンオキシド基含有量は、好ましくは0.25〜5mmol/gであり、より好ましくは0.5〜2mmol/gである。0.25〜5mmol/gであることにより、タンパク質吸着性が抑えられ、且つ優れた細胞接着防止効果を奏することができる。
ウレタン系ポリマー(a)中のアミンオキシド基含有量は、アミンオキシド基を有するモノマーを重合してウレタン系ポリマー(a)を得る場合には、重合に用いたアミンオキシド基を有するモノマーの量から求めることができる。一方、3級アミノ基含有モノマーを必須とするモノマーを重合した後に得られたポリマーをオキシド化する場合には、下記数式1によって算出できる。

0044

0045

<質量平均分子量(Mw)>
ウレタン系ポリマー(a)の質量平均分子量は、10,000〜10,000,000であり、好ましくは10,000〜6,000,000であり、より好ましくは10,000〜600,000であり、特に好ましくは10,000〜100,000である。
分子量が10,000以上であることにより、凝集力を付与でき、塗工基材からの剥離を抑制でき、長期間のタンパク質および細胞の接着防止効果を発揮することができる。また、10,000,000以下であることにより、適正な粘度になることから、塗工適性が向上する。そのため、ウレタン系ポリマー(a)の質量平均分子量を、上記特定範囲内に限定する。

0046

<架橋剤>
本発明の医療用器材処理剤は、架橋剤を含むことができる。架橋剤を含むことにより、前述のウレタン系ポリマー(a)が架橋性基を有する場合、塗膜に架橋を形成して耐水性を向上させることができる。
本発明で用いることのできる架橋剤としては、前述のウレタン系ポリマー(a)中に任意に含まれるカルボキシル基と反応するものが好ましく、例えば、エポキシ基、イソシアネート基、及びアジリジニル基から選ばれる少なくとも一種の官能基を有するものの他、金属キレート化合物カルボジイミド基含有化合物等が挙げられる。これらの架橋剤は、塗膜の弾性率や耐性を上げる目的で使用したり、接着力を調製したりするために用いることができる。

0047

[エポキシ基を有する架橋剤]
本発明で用いられるエポキシ基を有する架橋剤としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればよく、特に限定されるものではない。
官能エポキシ基を有する架橋剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテルポリエチレンオキサイドジグリシジルエーテルプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジル
テルポリブタジエンジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物ビスフェノールA型エポキシ樹脂ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゾフェノンジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテルヒドロキノンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシアントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、N,N−ジグリシジルアニリン等の芳香族エポキシ化合物、上記記載の芳香族エポキシ化合物の水素添加物ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等の脂環式エポキシ化合物などが挙げられる。
エポキシ基を3つ以上有する架橋剤としては、例えば、トリグリシジルイソシアヌレートトリスフェノール型エポキシ化合物テトラキスフェノール型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物等が挙げられる。

0048

[イソシアネート基を有する架橋剤]
本発明で用いられるイソシアネート基を有する架橋剤としては、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有した化合物であればよく、特に限定されるものではない。
官能イソシアネート化合物としては、例えば、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等を挙げることができる。
3官能イソシアネート化合物としては、上記で説明したジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体が挙げられる。
また、イソシアネート基を有する架橋剤中のイソシアネート基は、ブロック化されていても良いし、ブロック化されていなくても良い。
本発明で用いられるブロック化イソシアネート架橋剤としては、前記イソシアネート化合物中のイソシアネート基がε−カプロラクタム、MEKオキシムシクロヘキサノンオキシムピラゾール、フェノール等でブロックされたブロック化イソシアネート化合物であればよく、特に限定されるものではない。

0049

[アジリジニル基を有する架橋剤]
本発明で用いられるアジリジン化合物としては、1分子中に2個以上のアジリジン基を有した化合物であればよく、特に限定されるものではない。アジリジン化合物としては、例えば、2,2’−ビスヒドロキシメチルブタノールトリス[3−(1−アジリジニルプロピオネート]、4,4−ビス(エチレンイミノカルボニルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。

0050

[カルボジイミド基含有化合物]
本発明で用いられるカルボジイミド基含有化合物としては、日清紡績株式会社のカルボジライトシリーズを用いることができ、V−02、V−04、V−06、V−10などの水性タイプ、V−01、V−03、V−05、V—07、V—09などの油性タイプ等が挙げられる。

0051

[β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物
本発明では、β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物も架橋剤として用いることができる。
β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物としては、分子内にβ−ヒドロキシアルキルアミド基を含有する化合物であればよく、特に限定されるものではない。β−ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物としては、N,N,N’,N’−テトラキス(ヒドロキシエチル)アジパミド(エムスケミー社製PrimidXL−552)をはじめとする種々の化合物を挙げることができる。

0052

本発明において、架橋剤は、一種のみを単独で用いてもよいし、複数を併用しても良い。架橋剤の使用量は、ウレタン系ポリマー(a)中に含まれる官能基の種類やモル数を考慮して決定すればよく、特に限定されるものではないが、通常はウレタン系ポリマー(a)100質量部に対して0.1質量部〜100質量部の範囲で用いられる。ウレタン系ポリマー(a)中に含まれる官能基のモル数よりも少ない範囲で配合することで、未反応の架橋剤が遊離する懸念をなくすことができる。この範囲であれば、目的とする長期間のタンパク質および細胞の接着防止効果に、特に優れた性能が発現される。

0053

<医療用器材処理剤の調製>
本発明の医療用器材処理剤は、医療用器材処理剤100質量%中、前記ポリマー(a)を50質量以下%含むことが好ましく、0.5〜10質量%含むことがより好ましい。ポリマー(a)含有量を0.5質量%以上とすることで、アミンオキシド基による効果を発揮することができる。また、本発明の医療用器材処理剤は、ウレタン系ポリマー(a)以外の成分を含んでも良い。

0054

<溶媒>
本発明の医療用器材処理剤は、ウレタン系ポリマー(a)以外の成分として溶媒を含有してもよく、2種以上を併用して含んでもよい。溶媒は、アミンオキシド量に依存するウレタン系ポリマー(a)の溶解性や製膜条件等を考慮し、従来公知の溶媒から適宜選択することができる。
例えば、ウレタン系ポリマー(a)中のアミンオキシド量が多い場合、水、メタノールやエタノール等のアルコール類、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン類テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類ジメチルスルホキシドアセトニトリルギ酸や酢酸等の有機酸、N,N−ジメチルホルムアミド等の有機塩基を選択することができる。一方、ウレタン系ポリマー(a)中のアミンオキシド量がの少ない場合、アセトンやエチルメチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフランやジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸メチルや酢酸エチル等のエステル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルに加え、ジクロロメタントリクロロメタン等のハロゲン溶媒を選択することができる。

0055

<その他添加剤等>
本発明の医療用器材処理剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加剤を含有してもよく、界面活性剤等張化剤キレート化剤pH調整剤緩衝剤増粘剤安定化剤タンパク質分解酵素薬理活性成分生理活性成分や、医薬品添加物辞典に記載された各種添加剤等を、本発明の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。これらは1種を単独で含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。

0056

例えば、イオンバランスを調製するために、pH調整剤を含有してもよい。pH調整剤としては、酸性又は塩基性の化合物が挙げられる。酸性pH調整剤の例としては、カルボン酸無機酸及びスルホン酸が挙げられ、塩基性pH調整剤の例としては、水酸化物アルコキシド第一級及び第二級アミン以外の窒素含有化合物塩基性炭酸塩、並びに塩基性リン酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。医療用器材処理剤のpH値は、4.0〜9.0程度、好ましくは6.0〜8.0程度、であり、7.0付近になるように調整して用いることが好ましい。

0058

<医療用器材>
ウレタン系ポリマー(a)は、血漿に含まれるタンパク質の吸着性が低いため、体液接触用のメディカルデバイスに好適に使用することができる。例えば、真空採血管、血液バッグ、体外循環回路など、抗凝固剤との併用により使用されている全てのディスポーザブル型医療用具や、人工心肺、ステントなどの医療用具、人工臓器等、血液と接触する医療用具、さらには、体液と接触する検査用チップ等が挙げられる。
また、ウレタン系ポリマー(a)を含む医療用器材処理剤は、塗工性に優れる。そこで、体液接触用のメディカルデバイスの表面にコーティング剤を塗工し、次いで乾燥ないし硬化し、体液接触用塗膜を形成し、メディカルデバイスを提供することができる。

0059

また、ウレタン系ポリマー(a)は、細胞毒性が低く、細胞接着性が低いため、細胞培養器材に好適に使用することができ、細胞培養器材の基材表面にコーティング剤を塗工し、次いで乾燥ないし硬化し、細胞培養用塗膜を形成し、創薬研究や再生医療研究のための研究資材の1つである細胞培養器材を提供することができる。細胞培養用塗膜は、培養対象の細胞のための培地ではないが、細胞の速やかな成育・増殖を支え、促すものである。

0060

メディカルデバイスや細胞培養器材への塗布方法としては、刷毛、浸漬、ローラスプレー注入塗工機など種々の塗布方法により基材に溶液を塗布し、乾燥することにより行われる。一方、フィルムに対する塗布方法としては、ディップコートコンマコート、グラビアコートカーテンコート、ダイコートリップコートマイクログラビアコート、スロットダイコート、リバースコートキスコート等が挙げられる。塗布後、溶媒を除去し後の塗膜の膜厚は限定されないが、好ましくは1mm以下である。
なお、溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン(以下、MEKという)等の有機溶媒等が挙げられる。

0062

メディカルデバイスや細胞培養器材の形態は、立体的成型体の他、シート状、糸状であってもよい。
シート状のものとしては、フィルム、不織布、紙等が挙げられる。
フィルムとしては、シリコーン、PET、セルロースエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの各種プラスチックフィルムなどを挙げることができる。細胞培養器材としては、酸素透過性の観点から、シリコーンフィルムや不織布を用いるのが好ましい。

0063

本発明の医療用器材処理剤は、上記の基材、成型体、フィルムに対して塗布することで、血液、生体組織、タンパクおよび細胞と接触する界面において安定的に存在することができ、共重合体溶出する危険性が極めて少ない。該共重合体を界面に保持させた結果としてタンパク質や細胞の接着抑制の効果が発揮される。

0064

さらに本発明の医療用器材処理剤は、メディカルデバイスや細胞培養器材に塗布して用いるだけでなく、医療用器材処理剤をシート状や糸状の形態にすることもできる。例えば、本発明の医療用器材処理剤から、透析用や人工心肺用の中空糸などの構造材を得ることも可能である。

0065

以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」及び「%」は、「質量部」及び「質量%」を表す。

0066

<質量平均分子量(Mw)の測定方法
ウレタン系ポリマー(a)の質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算計測した値を採用した。測定装置及び測定条件としては、下記条件1によることを基本とし、試料の溶解性等により条件2とした。ただし、重合体種によっては、さらに適宜適切なキャリア溶離液)及びそれに適合したカラム選定した。その他の事項については、JISK7252−1〜4:2008に基づいた。なお、難溶の高分子化合物については下記条件の下、溶解可能な濃度で測定した。
また、ウレタン系ポリマー(a)の分子量測定が困難な場合は、アミンオキシド前駆体
ポリマーの質量平均分子量をウレタン系ポリマー(a)の質量平均分子量とした。アミンオキシド前駆体ポリマーの質量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって標準ポリスチレン換算で計測した値を採用し、測定装置及び測定条件としては、下記条件3によった。
(条件1)
カラム:TOSOHTSKgelSuperHZM−H、
TOSOHTSKgelSuperHZ4000 及び
TOSOHTSKgelSuperHZ10,000を連結したもの。
キャリア:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器RI屈折率)検出器
注入量:0.1mL
(条件2)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAWM−Hを2本連結したもの。
キャリア:10mMLiBr/N−メチルピロリドン
測定温度:40℃
キャリア流量:1.0mL/min
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI(屈折率)検出器
注入量:0.1mL
(条件3)
カラム:TOSOHTSKgelSuperAW4000、
TOSOHTSKgelSuperAW3000 及び
TOSOHTSKgelSuperAW2500を連結したもの。
キャリア:N,N−ジメチルホルムアミド(1L)、トリエチルアミン(3.04g)、
LiBr(0.87g)の混合液
測定温度:40℃
キャリア流量:0.6mL/min

0067

酸価の測定方法>
酸価は、樹脂1g中に含有する酸基中和するのに必要とする水酸化カリウムのmmolで、測定方法は既知の方法でよく、一般的にはJISK0070に準じて行われる。その手法を以下に示した。
試料を0.5〜2g精する(固形分量:Sg)。精秤した試料に中性エタノール10mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.1mol/lエタノール性水酸化カリウム溶液力価:F)で電位差滴定を行なう。電位差曲線極大となった点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式2)により酸価を求めた。
(式2) 酸価(mmol/g)=(A×F×0.1)/S

0068

アミン価の測定方法>
アミン価は、樹脂1g中に含有するアミノ基を中和するのに必要とする塩酸の当量と同量の水酸化カリウムのmmolである。アミン価の測定方法については、以下の方法により行った。
試料を0.5〜2g精秤する(固形分量:Sg)。精秤した試料に中性エタノール10mLを加え溶解させる。得られた溶液を0.1mol/lエタノール性塩酸溶液(力価:f)で電位差滴定を行なう。電位差曲線が極大となった点を終点とし、この時の滴定量(AmL)を用い次の(式3)によりアミン価を求めた。
(式3) アミン価(mmol/g)=(A×f×0.1)/S

0069

<アミンオキシド基含有ウレタン系ポリマー(a)の合成>
(製造例1)
撹拌機還流冷却管窒素導入管導入管温度計を備えた4口フラスコに、3級アミノ基含有ジオールとしてN−メチルジエタノールアミンを4.75部、ポリオール成分としてP2011(クラレポリオールP2011(ポリエステルポリオール、株式会社クラレ製、
水酸基価56.1)を130.10部、ポリイソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネートを19.6部仕込み窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.002部を投入し、110℃で3時間反応させた。
その後、温度を40℃に低下し、ポリアミン成分としてイソホロンジアミン0.60部を滴下し、鎖延長反応を行った。さらに末端停止剤としてジエチルエタノールアミンを1.65部加え、40℃で30分反応させることで、アミンオキシド前駆体ポリマー、即ち3級アミノ基を有するポリマーの溶液を得た、
次に、得られた3級アミノ基を有するポリマーの溶液に、オキシド化剤として35%過酸化水素水を3.91部(3級アミノ基と等モル量)加え、70℃で16時間反応させることでアミノ基のオキシド化を行った。アミンオキシド変換率が98%を超えたことを確認後、冷却して取り出し、その後、オーブンで溶媒を完全に揮発させ、ウレタン系ポリマー(a)を得た。
得られたポリマーのアミンオキシド基含有量は、0.26mmol/gであった。
また、得られたウレタン系ポリマー(a)の質量平均分子量は15200であった。

0070

(製造例2〜6)(比較製造例1〜2)
製造例1と同様の方法で、表1の組成及び仕込み質量部に従って合成を行い、ポリマー(製造例2〜6)(比較製造例1〜2)を合成した。

0071

得られたウレタン系ポリマーについて、特性値を表1に示す。

0072

0073

以下に、表1中の略称を示す。
MDEA:N-メチルジエタノールアミン
DMAP:3-ジメチルアミノプロパン-1,2-ジオール
DMBA:ジメチロールブタン酸
P2011:クラレポリオールP2011(ポリエステルポリオール、株式会社クラレ製、水酸基価56.1)
PEG♯2000:PEG♯2000(ポリエチレングリコール、日油株式会社製、分子量2,000)D2000:ユニオールD2000(ポリプロピレングリコール、日油株式会社製、分子量2,000)
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDI:イソホロンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
DEEA:ジエチルエタノールアミン
HPO:35%過酸化水素水

0074

<医療用器材処理剤の調整>
[実施例1]
(細胞培養器材処理剤1)
得られたアミンオキシド基含有ポリマー(製造例1)10.0部をエタノール90.0部で希釈塗液を調製し、医療用器材処理剤であるコート剤を得た。

0075

[実施例2〜10、比較例1〜2]
(医療用器材処理剤2〜12)
実施例1と同様にして、表2の組成及び仕込み質量部にて医療用器材処理剤であるコート剤2〜12を調整した。

0076

0077

以下に、表2中の略称を示す。
ALCH:川研ファインケミカル株式会社製、アルミキレート化合物
PZ33:日本触媒株式会社製、多官能アジリジン化合物
V02:日清紡株式会社製、水性カルボジイミド基含有化合物
EX321L:ナガセケムテックス株式会社製、多官能脂肪族エポキシ化合物
XL552:エムスケミー株式会社製、ヒドロキシアルキルアミド基含有化合物
EtOH:エタノール
EtOAc:酢酸エチル

0078

<評価>
(1)水への溶解性
実施例及び比較例で調製したコーティング剤を、精密秤量した浅型金属容器に約5gずつ添加し、150℃で10分乾燥した。オーブンから取出し、浅型金属容器ごと精密秤量した後、浅型金属容器にイオン交換水5gを加え一晩静置した。浅型金属容器からイオン交換水を吸引排出した後、再度150℃で10分乾燥し、浅型金属容器を精密秤量した。下記式で水への溶解度を算出し、水への溶解性を3段階の評価基準に基づいて評価した。水への溶解度=100−[(z−x)/(y−x)]×100
x:浅型金属容器の質量
y:イオン交換水で処理する前の質量
z:イオン交換水で処理した後の質量
a:水への溶解度≦5%
b:5%<水への溶解度≦50%
c:50%<水への溶解度

0079

(2)タンパク吸着性
実施例及び比較例で調整したコーティング剤を、ポリスチレン製試験管(φ12×75mm)に約5mLを注入し静置した後、吸引排出し、50℃で3時間乾燥し、コーティング剤で内面被覆された試験管を得た。
リン酸緩衝液PBS)にウシ血清アルブミンを濃度0.5重量%となるように加えたタンパク質含有液:4.0mLを前記試験管に入れ、24時間インキュベートした後、試験管内の液を棄て、PBS:約4.0mLにて洗浄し、前記洗浄液を棄てた。その後、PBSに1重量%のドデシル硫酸ナトリウムを添加したタンパク質溶出用溶液:4.0mLを添加することにより、試験管内壁に吸着したタンパク質を溶出させ、前記タンパク質溶出用溶液中のタンパク質の濃度をMicroBCAProteinAssayKit(タカラバイオ社製)により測定し、塗膜に吸着していたタンパク質の量を求めた。
a:タンパク吸着量≦0.60μg
b:0.60μg<タンパク吸着量≦2.00μg
c:2.00μg<タンパク吸着量

0080

(3)溶血性試験
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、実施例及び比較例で調製したコーティング剤を、乾燥後の膜厚が2〜3μmになるように塗工し、100℃で2分乾燥後、50℃で3時間エージングした。
60cm2に切り出した試験片生理食塩水10mLを加え、37℃で72時間かけて
抽出し、試験液10mLを得た。
この試験液に0.2mLのウサギ脱繊維血を加え、37℃で1、2および4時間インキュベートした。インキュベート後の試験液を約750×gで5分間遠心分離した後の上澄み液について、576nmにおける吸光度を測定した。陰性対照として生理食塩水10mL、陽性対照として蒸留水10mLにそれぞれ0.2mLのウサギ脱繊維血を加えたものを使用し、同様に吸光度を測定した。下記式で溶血率を算出し、溶血性溶血毒性)を評価した。
溶血率(%)=(検体の吸光度−陰性対照の吸光度)/(陽性対照の吸光度−陰性対照の吸光度)×100
a:溶血率≦2
b:2<溶血率≦20
c:20<溶血率

0081

(4)細胞毒性
U字底96ウェルプレートに、実施例及び比較例で調製したコーティング剤を各ウェルに約0.5mlずつ注入した。これを吸引排出した後、50℃で3時間乾燥させることにより、コーティング剤で内面が被覆されたプレートを調製した。
これをエチレンオキサイドガス滅菌した後、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)にウシ胎児血清(FBS)を10%添加したものを培地とし、マウス線維芽細胞細胞株(NIH/3T3細胞)を1ウェルあたり1×10 4 個播種し、5%CO 2 /37℃のインキュベーターで5日目まで培養した。
細胞毒性は、1,2,5日後にATPアッセイを行うことによって評価した。具体的には、培養後のウェルに100μlのATP試薬(『塊』のATP測定試薬:東洋ビーネット社製)を添加、5回ピペッティングし、5分間室温で静置した後、100mlの試薬・細胞溶解液別プレート分取し1分間撹拌した。これをMithrasLB940(Berthold社製)を用いて発光量を測定した。
細胞毒性=(培養5日後の発光量)/(培養1日後の発光量)×100
a:80%≦細胞毒性
b:20%≦細胞毒性<80%
c:細胞毒性<20%

0082

(5)スフェロイド形成
スフェロイド形成性は、上記(2)と同様の方法で調整したウェルプレートを用い、5日後の細胞培養状態を透過式光学顕微鏡40倍で写真撮影し、細胞の形態を観察することによって評価した。
a:1つのスフェロイドを形成
b:複数個のスフェロイドを形成
c:スフェロイドを形成しない

0083

(6)塗膜の加工性
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに、実施例及び比較例で調製したコーティング剤を乾燥後の膜厚が20〜30μmになるように塗工し、100℃で2分乾燥後、50℃で3時間エージングした。この塗膜を裁断する際に、塗膜が刃に付着するかどうかによって加工性を評価した。塗膜の加工性に関しては、下記の3段階の評価基準に基づいて評価した。
a:全く塗膜が刃に付着しない
b:わずかに塗膜が刃に付着する
c:塗膜がひどく刃に付着し、実用上問題がある

0084

0085

表3から、比較例1で用いたポリマーは、アミンオキシド基を有さないため、タンパク非吸着性やスフェロイド形成性が乏しかった。比較例2で用いたポリマーは、分子量が小さかったため、水への溶解性や溶血性試験、細胞毒性、塗膜の加工性が乏しかった。

実施例

0086

一方、アミンオキシド基を含み、かつ、質量平均分子量が10,000〜10,000,000であるウレタン系ポリマー(a)を含む細胞培養器材処理剤は、タンパク質や細胞の非接着性に優れ、且つ優れた塗工性及び耐水性、低細胞毒性性を示すことが確認された。
特に、ウレタン系ポリマー(a)中のアミンオキシド基含有量が、0.25〜5mmol/gであると、より優れた効果を奏する。また、カルボキシル基を有するポリオール成分を用いた場合に、水への溶解性及びタンパク質や細胞の非接着性に優れることが示された。

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