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図面 (20)

課題

新規抗体の提供。

解決手段

本発明は、概して、(a)TGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片と、(b)プログラム死リガンド1(PD−L1)などの免疫チェックポイントタンパク質に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含む二機能性分子、かかる分子の(例えば癌を治療するための)使用、及びかかる分子の作製方法に関する。

概要

背景

背景
癌治療では、長年、化学療法が高い毒性を伴い、抵抗性癌細胞変異体出現つながり得ることが認識されてきた。腫瘍生存及び成長に重要な過剰発現し又は活性化したオンコプロテインに対する標的療法であっても、癌細胞は常に変異し、余剰経路を利用するなどして標的化された経路への依存を減らすように適合する。癌免疫療法は、癌細胞を標的化することに代えて、免疫系の活性化に重点を置く癌治療の新しいパラダイムである。その原理は、宿主免疫応答、特に適応細胞応答を備え直すことにより、癌細胞、詳細には他の形態の治療を逃れた最小の残存疾患を死滅させるための免疫監視機構を提供し、ひいては持続性防御免疫を実現するというものである。

2011年の黒色腫の治療に対する抗CTLA−4抗体イピリムマブFDA承認は、癌免疫療法の新時代の先駆けとなった。臨床試験において抗PD−1又は抗PD−L1療法が黒色腫、腎癌、及び肺癌持続的な応答誘導したことが実証され、その時代の到来をさらに知らしめている(Pardoll, D.M., Nat Immunol. 2012; 13:1129-32)。しかしながら、イピリムマブ療法はその毒性プロファイル制約となり、この毒性は恐らく、主要T細胞阻害チェックポイントを妨害することによるものである抗CTLA−4治療が、新規自己反応性T細胞の生成につながり得ることが理由である。PD−L1/PD−1相互作用を阻害すると、ほとんどが本質的に抗ウイルス性又は抗癌である枯渇したT細胞における既存の慢性免疫応答の脱阻害がもたらされるが(Wherry, E.J., Nat Immunol. 2011; 12:492-9)、それにも関わらず、抗PD−1療法は時に致死的となる可能性のある関連の自己免疫性有害事象をもたらし得る。これまでの抗PD1及び抗PD−L1の有望な臨床活性にも関わらず、治療活性の増加又は毒性の低下のいずれか、又はその両方による治療指数の増加は、依然として免疫療法薬開発の中心的な目標である。

概要

新規抗体の提供。本発明は、概して、(a)TGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片と、(b)プログラム死リガンド1(PD−L1)などの免疫チェックポイントタンパク質に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含む二機能性分子、かかる分子の(例えば癌を治療するための)使用、及びかかる分子の作製方法に関する。なし

目的

本発明の他の実施形態及び詳細を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

a)ヒトTGFΒRII、又はTGFβ結合能を有するその断片と;b)ヒトタンパク質プログラム死リガンド1(PD−L1)に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含むタンパク質

請求項2

a)少なくとも、ヒトタンパク質プログラム死リガンド1(PD−L1)に結合する抗体の重鎖可変ドメインと;b)ヒトTGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片とを含むポリペプチド

請求項3

前記可変ドメインのC末端を前記ヒトTGFβRII又はその断片のN末端に連結するアミノ酸リンカーをさらに含む、請求項2に記載のポリペプチド。

請求項4

列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項3に記載のポリペプチド。

請求項5

請求項2〜4のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸

請求項6

前記ポリペプチドと組み合わされると、PD−L1に結合する抗原結合部位を形成する抗体の軽鎖の可変ドメインを少なくともコードする第2のヌクレオチド配列をさらに含む、請求項5に記載の核酸。

請求項7

前記第2のヌクレオチド配列が配列番号1(分泌抗PD−L1λ軽鎖)のアミノ酸配列をコードする、請求項6に記載の核酸。

請求項8

請求項5に記載の核酸と、前記ポリペプチドと組み合わされると、PD−L1に結合する抗原結合部位を形成する抗体の軽鎖の可変ドメインを少なくともコードする第2の核酸とを含む細胞

請求項9

前記第2の核酸が配列番号1のアミノ酸配列をコードする、請求項8に記載の細胞。

請求項10

請求項6又は7に記載の核酸を含む細胞。

請求項11

a)TGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片と、b)ヒトタンパク質プログラム死リガンド1(PD−L1)に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含むタンパク質を作製する方法であって、前記タンパク質の発現許容する条件下で、請求項8〜10のいずれか一項に記載の細胞を維持するステップを含む方法。

請求項12

前記タンパク質を回収するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。

請求項13

請求項2〜4のいずれか一項に記載のポリペプチドと;少なくとも、前記ポリペプチドと組み合わされると、PD−L1に結合する抗原結合部位を形成する抗体の軽鎖の可変ドメインとを含むタンパク質。

請求項14

2つのポリペプチドであって、各々が配列番号3のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する、2つのポリペプチドと、2つの追加的なポリペプチドであって、各々が配列番号1のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する、2つの追加的なポリペプチドとを含む、請求項13に記載のタンパク質。

請求項15

療法に使用される、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項16

前記療法が放射線投与を含む、請求項15に記載のタンパク質。

請求項17

前記療法が化学療法薬の投与を含む、請求項15又は16に記載のタンパク質。

請求項18

腫瘍におけるTGFβの局所枯渇の促進に使用される、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項19

細胞におけるSMAD3リン酸化阻害において使用される、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項20

前記細胞が腫瘍細胞である、請求項19に記載のタンパク質。

請求項21

癌の治療に使用される、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項22

腫瘍成長の阻害に使用される、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項23

前記癌又は腫瘍が、結腸直腸乳房卵巣膵臓前立腺腎臓子宮頸部の癌又は腫瘍、骨髄腫リンパ腫白血病甲状腺子宮内膜子宮膀胱神経内分泌、頭頸部肝臓上咽頭精巣の癌又は腫瘍、小細胞肺癌非小細胞肺癌黒色腫基底細胞皮膚癌扁平上皮細胞皮膚癌、隆起性皮膚線維肉腫メルケル細胞癌膠芽腫神経膠腫肉腫中皮腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項21又は22に記載のタンパク質。

請求項24

前記使用が放射線の投与を含む、請求項21〜23のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項25

前記使用が化学療法薬の投与を含む、請求項21〜24のいずれか一項に記載のタンパク質。

請求項26

TGFβの局所的枯渇を促進する方法であって、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質を投与するステップを含み、前記タンパク質が溶液中のTGFβと結合し、細胞表面上のPD−L1と結合し、及び前記結合したTGFβを前記細胞に運び込む、方法。

請求項27

細胞におけるSMAD3リン酸化を阻害する方法であって、前記細胞を請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質に曝露するステップを含む方法。

請求項28

前記細胞が癌細胞である、請求項26又は27に記載の方法。

請求項29

腫瘍成長を阻害する方法であって、腫瘍を請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質に曝露するステップを含む方法。

請求項30

前記腫瘍を放射線に曝露するステップをさらに含む、請求項29に記載の方法。

請求項31

前記腫瘍を化学療法薬に曝露するステップをさらに含む、請求項29又は30に記載の方法。

請求項32

癌を治療する方法であって、請求項1、13、又は14のいずれか一項に記載のタンパク質を癌患者に投与するステップを含む方法。

請求項33

前記癌患者を放射線に曝露するステップをさらに含む、請求項32に記載の方法。

請求項34

化学療法薬を投与するステップをさらに含む、請求項32又は33に記載の方法。

請求項35

前記腫瘍又は癌が、結腸直腸、乳房、卵巣、膵臓、胃、前立腺、腎臓、子宮頸部の癌又は腫瘍、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺、子宮内膜、子宮、膀胱、神経内分泌、頭頸部、肝臓、上咽頭、精巣の癌又は腫瘍、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、膠芽腫、神経膠腫、肉腫、中皮腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される、請求項29〜34のいずれか一項に記載の方法。

技術分野

0001

発明の分野
本発明は、概して、(a)TGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片と、(b)プログラム死リガンド1(PD−L1)などの免疫チェックポイントタンパク質に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含む二機能性分子、かかる分子の(例えば癌を治療するための)使用、及びかかる分子の作製方法に関する。

背景技術

0002

背景
癌治療では、長年、化学療法が高い毒性を伴い、抵抗性癌細胞変異体出現つながり得ることが認識されてきた。腫瘍生存及び成長に重要な過剰発現し又は活性化したオンコプロテインに対する標的療法であっても、癌細胞は常に変異し、余剰経路を利用するなどして標的化された経路への依存を減らすように適合する。癌免疫療法は、癌細胞を標的化することに代えて、免疫系の活性化に重点を置く癌治療の新しいパラダイムである。その原理は、宿主免疫応答、特に適応細胞応答を備え直すことにより、癌細胞、詳細には他の形態の治療を逃れた最小の残存疾患を死滅させるための免疫監視機構を提供し、ひいては持続性防御免疫を実現するというものである。

0003

2011年の黒色腫の治療に対する抗CTLA−4抗体イピリムマブFDA承認は、癌免疫療法の新時代の先駆けとなった。臨床試験において抗PD−1又は抗PD−L1療法が黒色腫、腎癌、及び肺癌持続的な応答誘導したことが実証され、その時代の到来をさらに知らしめている(Pardoll, D.M., Nat Immunol. 2012; 13:1129-32)。しかしながら、イピリムマブ療法はその毒性プロファイル制約となり、この毒性は恐らく、主要T細胞阻害チェックポイントを妨害することによるものである抗CTLA−4治療が、新規自己反応性T細胞の生成につながり得ることが理由である。PD−L1/PD−1相互作用を阻害すると、ほとんどが本質的に抗ウイルス性又は抗癌である枯渇したT細胞における既存の慢性免疫応答の脱阻害がもたらされるが(Wherry, E.J., Nat Immunol. 2011; 12:492-9)、それにも関わらず、抗PD−1療法は時に致死的となる可能性のある関連の自己免疫性有害事象をもたらし得る。これまでの抗PD1及び抗PD−L1の有望な臨床活性にも関わらず、治療活性の増加又は毒性の低下のいずれか、又はその両方による治療指数の増加は、依然として免疫療法薬開発の中心的な目標である。

課題を解決するための手段

0004

発明の概要
本発明は、TGFβ結合能を有するTGFβ受容体II(TGFβRII)の少なくとも一部分とヒトタンパク質プログラム死リガンド1(PD−L1)などの免疫チェックポイントタンパク質に結合する抗体又は抗原結合断片とを含有する二機能性タンパク質が、有効な抗腫瘍及び抗癌治療薬であり得るという発見に基づく。このタンパク質は、これらの2つの薬剤を別々に投与する効果と比較したとき、癌治療において相乗効果を呈し得る。

0005

従って、第1の態様において、本発明は、(a)ヒトTGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその断片(例えば、可溶性断片)と;(b)PD−L1に結合する抗体、又はその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載される抗体又は抗体断片のいずれか)とを含むタンパク質を特徴とする。

0006

関連する態様において、本発明は、(a)少なくとも、PD−L1に結合する抗体の重鎖可変ドメイン(例えば、配列番号2のアミノ酸1〜120)と;(b)ヒトTGFβRII、又はTGFβ結合能を有するその可溶性断片(例えば、ヒトTGFβRII細胞ドメイン(ECD)、配列番号9のアミノ酸24〜159、又は本明細書に記載されるもののいずれか)とを含むポリペプチドを特徴とする。本ポリペプチドは、可変ドメインのC末端をヒトTGFβRII又はTGFβ結合能を有するその可溶性断片のN末端に連結するアミノ酸リンカーをさらに含み得る。本ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列又は配列番号3と実質的に同一のアミノ酸配列を含み得る。抗体断片は、scFv、Fab、F(ab’)2、又はFv断片であり得る。

0007

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、任意選択で、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgGヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0008

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、任意選択で、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0009

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0010

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜120を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0011

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜120を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0012

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2のアミノ酸1〜120を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0013

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0014

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0015

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号2に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0016

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0017

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0018

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0019

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0020

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0021

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号12に存在する超可変領域を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0022

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号14を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRIIとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0023

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号14を含む抗体又はその抗原結合断片とTGFβ結合能を有するヒトTGFβRIIの断片(例えば、可溶性断片)とを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0024

特定の実施形態において、本タンパク質又はポリペプチドは、配列番号14を含む抗体又はその抗原結合断片とヒトTGFβRII ECDとを含む。抗体は、修飾定常領域(例えば、C末端Lys→Ala置換、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)配列からAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)への突然変異、又はIgG1ヒンジ領域とIgG2 CH2ドメインとを含むハイブリッド定常領域を含めた、本明細書に記載されるいずれか)を含み得る。

0025

本発明はまた、上記に記載されるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸も特徴とする。特定の実施形態において、この核酸は、ポリペプチドと組み合わされると、PD−L1に結合する抗原結合部位を形成する抗体の軽鎖の可変ドメイン(例えば、配列番号1のアミノ酸1〜110を含む)を少なくともコードする第2のヌクレオチド配列をさらに含む。第2のヌクレオチド配列は、配列番号1(分泌抗PD−L1λ軽鎖)のアミノ酸配列又は配列番号1と実質的に同一のアミノ酸配列をコードし得る。本発明はまた、上記に記載される核酸のいずれかを含む細胞も特徴とする。

0026

本発明はまた、(a)ヒトTGFβRIIの細胞外ドメイン、又はTGFβ結合能を有するその断片(例えば、可溶性断片)と、(b)ヒトPD−L1に結合する抗体、又はその抗原結合断片とを含むタンパク質を作製する方法も特徴とする。この方法は、タンパク質の発現許容する条件下で、記載の細胞を維持するステップを含む。この方法は、タンパク質を回収するステップをさらに含み得る。

0027

本発明はまた、上記に記載されるポリペプチドと、少なくとも、ポリペプチドと組み合わされると、PD−L1に結合する抗原結合部位を形成する抗体の軽鎖の可変ドメインとを含むタンパク質も特徴とする。このタンパク質は、(a)2つのポリペプチドであって、各々が配列番号3のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する、2つのポリペプチドと、(b)2つの追加的なポリペプチドであって、各々が配列番号1のアミノ酸配列からなるアミノ酸配列を有する、2つの追加的なポリペプチドとを含み得る。

0028

本発明はまた、療法に使用される上記に記載されるタンパク質も特徴とする。療法には、放射線の投与又は化学療法薬生物学的製剤、若しくはワクチンの投与が含まれ得る。

0029

本発明はまた、腫瘍におけるTGFβの局所的枯渇の促進に使用される、上記に記載されるタンパク質も特徴とする。

0030

本発明はまた、細胞(例えば、腫瘍細胞又は免疫細胞)におけるSMAD3リン酸化の阻害に使用される、上記に記載されるタンパク質も特徴とする。

0031

本発明はまた、癌の治療に使用されるか又は腫瘍成長の阻害に使用される、上記に記載されるタンパク質も特徴とする。癌又は腫瘍は、結腸直腸乳房卵巣膵臓前立腺腎臓子宮頸部の癌又は腫瘍、骨髄腫リンパ腫白血病甲状腺子宮内膜子宮膀胱神経内分泌、頭頸部肝臓上咽頭精巣の癌又は腫瘍、小細胞肺癌非小細胞肺癌、黒色腫、基底細胞皮膚癌扁平上皮細胞皮膚癌、隆起性皮膚線維肉腫メルケル細胞癌膠芽腫神経膠腫肉腫中皮腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択され得る。この使用は、放射線の投与又は化学療法薬、生物学的製剤、若しくはワクチンの投与をさらに含み得る。

0032

本発明はまた、TGFβの局所的枯渇を促進する方法も特徴とする。この方法は、上記に記載されるタンパク質を投与するステップを含み、このタンパク質は、溶液中のTGFβに結合し、細胞表面上のPD−L1に結合し、及び結合したTGFβを細胞(例えば、癌細胞)に運び込む。

0033

本発明はまた、細胞(例えば、癌細胞又は免疫細胞)におけるSMAD3リン酸化を阻害する方法も特徴とし、この方法は、腫瘍微小環境中の細胞を上記に記載されるタンパク質に曝露するステップを含む。

0034

本発明はまた、腫瘍成長を阻害するか又は癌を治療する方法も特徴とする。この方法は、腫瘍を上記に記載されるタンパク質に曝露するステップを含む。この方法は、腫瘍を放射線又は化学療法薬、生物学的製剤、若しくはワクチンに曝露するステップをさらに含み得る。特定の実施形態において、腫瘍又は癌は、結腸直腸、乳房、卵巣、膵臓、胃、前立腺、腎臓、子宮頸部の腫瘍又は癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺、子宮内膜、子宮、膀胱、神経内分泌、頭頸部、肝臓、上咽頭、精巣の腫瘍又は癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、膠芽腫、神経膠腫、肉腫、中皮腫、及び骨髄異形成症候群からなる群から選択される。

0035

「TGFβRII」又は「TGFβ受容体II」とは、野生型ヒトTGFβ受容体2型アイソフォームA配列(例えば、NCBI参照配列(RefSeq)受託番号NP_001020018(配列番号8)のアミノ酸配列)を有するポリペプチド、又は野生型ヒトTGFβ受容体2型アイソフォームB配列(例えば、NCBI RefSeq受託番号NP_003233(配列番号9)のアミノ酸配列)を有するポリペプチド又は配列番号8若しくは配列番号9のアミノ酸配列と実質的に同一の配列を有するポリペプチドが意味される。TGFβRIIは、野生型配列のTGFβ結合活性の少なくとも0.1%、0.5%、1%、5%、10%、25%、35%、50%、75%、90%、95%、又は99%を保持し得る。発現したTGFβRIIのポリペプチドはシグナル配列を欠いている。

0036

「TGFβ結合能を有するTGFβRIIの断片」とは、NCBI RefSeq受託番号NP_001020018(配列番号8)又はNCBI RefSeq受託番号NP_003233(配列番号9)、又は配列番号8若しくは配列番号9と実質的に同一の配列の任意の一部分であって、野生型受容体又は対応する野生型断片のTGFβ結合活性の少なくとも一部(例えば、少なくとも0.1%、0.5%、1%、5%、10%、25%、35%、50%、75%、90%、95%、又は99%)を保持する少なくとも20(例えば、少なくとも30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、175、又は200)アミノ酸長の一部分が意味される。典型的にはかかる断片は可溶性断片である。例示的なかかる断片は、配列番号10の配列を有するTGFβRII細胞外ドメインである。

0037

「実質的に同一」とは、参照アミノ酸配列と少なくとも50%、望ましくは60%、70%、75%、又は80%、より望ましくは85%、90%、又は95%、及びより望ましくは99%のアミノ酸配列同一性を呈するポリペプチドが意味される。比較配列の長さは、概して、少なくとも10アミノ酸、望ましくは少なくとも15連続アミノ酸、より望ましくは少なくとも20、25、50、75、90、100、150、200、250、300、又は350連続アミノ酸、及びより望ましくは完全長アミノ酸配列であり得る。

0038

患者」とは、ヒト或いは非ヒト動物(例えば、哺乳動物)のいずれもが意味される。

0039

患者における疾患、障害、又は病態(例えば、癌)を「治療する」とは、患者に治療剤を投与することによって疾患、障害、又は病態の少なくとも1つの症状を軽減することが意味される。

0040

「癌」とは、異常な状態で増殖する細胞群が意味される。

0041

本明細書において、以下に本発明の他の実施形態及び詳細を提供する。

図面の簡単な説明

0042

1つの抗PD−L1抗体が(Gly4Ser)4Glyリンカーを介してTGFβ受容体IIの2つの細胞外ドメイン(ECD)に融合したものを含む抗PD−L1/TGFβ Trap分子の概略図である。
非還元条件下及び還元条件下での抗PD−L1/TGFβ Trapのドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)分析写真である。
様々な集団倍化数のクローン02B15が発現する抗PD−L1/TGFβ Trapのクリッピングの程度の分析を示すSDS−PAGEゲルの写真である。1回のプロテインAクロマトグラフィーステップ後のクローン02B15由来抗PD−L1/TGFβ Trapを還元条件下のSDS−PAGEによって分析した。レーン1及び10、See Blue Plus 2分子量標準;レーン2、精製抗PD−L1/TGFβ Trap参照;レーン3、PDL0のクローン02B15;レーン4、PDL30のクローン02B15;レーン5、PDL60のクローン02B15;及びレーン6、PDL90のクローン02B15(PDL、集団倍化数)。
ヒトPD−L1を発現するようにトランスフェクトしたHEK細胞に結合する抗PD−L1/TGFβ TrapのFACS分析を示すグラフである。
pSMAD3−ルシフェラーゼレポーター細胞株を使用した、抗PD−L1/TGFβ TrapがTGFβ誘導性SMAD3リン酸化を阻害する能力を示すグラフである(黒色丸:抗PD−L1;×:抗PD−L1(mut);黒色四角:抗PD−L1/TGFβ Trap;黒色三角:抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap;+:抗TGFβ抗体1D11;アスタリスク:TGFβRII−Fc)。
マウスにおける静脈内投与した抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の薬物動態を示すグラフである。
マウスにおける静脈内投与した抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の薬物動態を示すグラフである。
抗PD−L1/TGFβ TrapのPD−L1標的介在性エンドサイトーシスを示すグラフである。
抗PD−L1のPD−L1標的介在性エンドサイトーシスを示すグラフである。
HEK/PD−L1細胞に結合した抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1のインターナリゼーション率を示すグラフである。
EMT−6乳癌皮下モデルにおける抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例7)。種々の治療群における生存マウスの平均腫瘍容積の腫瘍成長曲線を示す(アスタリスク:群1:黒色丸:群2;黒色三角:群3;黒色四角:群4;白色四角:群5;黒色四角/破線:群6;黒色四角/点線:群7)。
EMT−6乳癌皮下モデルにおける抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例7)。種々の治療群における個々の腫瘍容積の腫瘍成長曲線を示す(記号図7Aに同じ)。
EMT−6乳癌皮下モデルにおける抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例7)。種々の治療群における生存率カプラン・マイヤープロットである(記号は図7Aに同じ)。
MC38結腸直腸癌皮下腫瘍モデルにおける抗PD−L1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例8;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色丸/破線:群3;黒色三角:群4;黒色三角/破線:群5;黒色四角:群6;黒色四角/破線:群7)。
同所性EMT−6乳癌モデルにおける抗PDL1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例9;アスタリスク:群1;黒色丸/破線:群2;黒色三角:群3;黒色三角/破線:群4;黒色菱形:群5)。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける抗PDL1/TGFβ Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例10;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色丸/破線:群3:黒色菱形/破線:群4;黒色四角:群5;黒色四角/破線:群6;黒色菱形:群7)。
同所性EMT−6乳房腫瘍モデルにおける抗PD−L1/TGF−β Trap及び均等な生体内曝露を与えるように投与された抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例11;アスタリスク:群1;黒色四角:群2;白色四角:群3;黒色菱形:群4;白色菱形:群5)。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける抗PD−L1/TGF−β Trap及び均等な生体内曝露を与えるように投与された抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例12)。中用量及び低用量のタンパク質の両方で治療したマウスの腫瘍成長曲線を示す(アスタリスク:群1;黒色四角:群2;白色四角:群3;黒色菱形:群4;白色菱形 群5)。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける抗PD−L1/TGF−β Trap及び均等な生体内曝露を与えるように投与された抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例12)。図12B(アスタリスク:群1;黒色四角:群2;黒色菱形:群4;*:p<0.0001対群1;**:p<0.0001対群2)は、中用量及び低用量のタンパク質で治療したマウスの腫瘍成長曲線の統計的分析を示す。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける抗PD−L1/TGF−β Trap及び均等な生体内曝露を与えるように投与された抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例12)。図12C(アスタリスク:群1;黒色四角:群3;黒色菱形:群5;*:p<0.0001対群1;**:p<0.0001対群3)は、中用量及び低用量のタンパク質で治療したマウスの腫瘍成長曲線の統計的分析を示す。
同所性EMT−6乳房腫瘍モデルにおける抗PD−L1(YW)/TGF−β Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例13;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色三角:群3;黒色四角:群4;黒色菱形:群5)。種々の治療群におけるマウスの腫瘍成長曲線を示す。
同所性EMT−6乳房腫瘍モデルにおける抗PD−L1(YW)/TGF−β Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例13;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色三角:群3;黒色四角:群4;黒色菱形:群5)。種々の治療群における生存率のカプラン・マイヤープロットである。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける腫瘍容積に基づく抗PD−L1(YW)/TGF−β Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例14;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色三角:群3;黒色四角:群4;黒色菱形:群5)。
筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおける腫瘍重量に基づく抗PD−L1(YW)/TGF−β Trap及び関連タンパク質の抗腫瘍効力を示すグラフである(実施例14;アスタリスク:群1;黒色丸:群2;黒色三角:群3;黒色四角:群4;黒色菱形:群5)。
同所性EMT−6乳房腫瘍モデルにおけるTGFβ Trap対照を伴う及び伴わない抗PD−1抗体治療の抗腫瘍効力を比較するグラフである(実施例15;アスタリスク:群1;黒色四角:群2;黒色逆三角:群3;白色逆三角:群4)。
筋肉内MC38結腸直腸腫瘍モデルにおけるTGFβ Trap対照を伴う及び伴わない抗PD−1抗体治療の抗腫瘍効力を比較するグラフである(実施例16;アスタリスク:群1;黒色四角:群2;黒色逆三角:群3;白色逆三角:群4)。
同所性EMT−6乳房腫瘍モデルにおけるTGFβ Trap対照を伴う及び伴わない抗LAG3又は抗TIM3抗体治療の抗腫瘍効力を比較するグラフである(実施例17;アスタリスク:群1;黒色四角:群2;黒色三角:群3;黒色逆三角:群4;白色三角:群5;白色逆三角:群6)。
筋肉内MC38結腸直腸腫瘍モデルにおけるTGFβ Trap対照を伴う及び伴わない抗LAG3又は抗TIM3抗体治療の抗腫瘍効力を比較するグラフである(実施例18;アスタリスク:群1;黒色四角:群2;黒色三角:群3;黒色逆三角:群4;白色三角:群5;白色逆三角:群6)。

0043

詳細な説明
本発明は、特定の腫瘍細胞又は免疫細胞の外表面上に存在する細胞性免疫チェックポイント受容体を標的化する抗体部分係留された可溶性サイトカイン受容体(TGFβRII)を使用してTGFβを捕捉することにより、腫瘍微小環境におけるTGFβの局所的な低減を可能にする。免疫チェックポイントタンパク質に対する本発明の抗体部分の例は、抗PD−L1である。この二機能性分子(本明細書では「抗体−サイトカイントラップ」と称されることもある)は、抗受容体抗体とサイトカイントラップとが物理的に結び付いているため正確に有効となる。この得られる利点(例えば抗体と受容体とを別個の分子として投与するのと比べたときの)は、一部には、サイトカインがオートクリン及びパラクリン機能によって主に局所環境で機能することが理由である。抗体部分がサイトカイントラップを腫瘍微小環境に仕向け、そこでサイトカイントラップは局所的免疫抑制オートクリン又はパラクリン効果を中和することによって最も有効となり得る。さらに、抗体の標的が抗体結合時にインターナライズされる場合には、サイトカイン/サイトカイン受容体複合体の有効なクリアランス機構がもたらされる。PD−L1について、抗体介在性の標的インターナリゼーションが示されている。これは、抗TGFβ抗体の使用と比べて特徴的な利点であり、なぜなら、第一に、抗TGFβ抗体は完全には中和しない可能性があり;及び第二に、この抗体はサイトカインの半減期延長させる担体として機能することもあり、且つ多くの場合に抗体/サイトカイン複合体は、蓄積して最終的に解離することによりサイトカインを循環中に放出して戻す循環シンクとして機能するためである(Montero-Julian et al., Blood. 1995; 85:917-24)。サイトカイントラップを使用したリガンドの中和はまた、CSF−1の場合のような、抗体による受容体の遮断と比べても優れた戦略であり得る。CSF−1は受容体介在性エンドサイトーシスによって循環から取り除かれるため、抗CSF−1受容体抗体の遮断は循環CSF−1濃度の大幅な上昇を引き起こした(Hume et al., Blood. 2012;119:1810-20)。

0044

実際、以下に記載するとおり、抗PD−L1/TGFβ Trapによる治療は、同時に腫瘍細胞上のPD−L1と免疫細胞上のPD−1との間の相互作用を遮断し、且つ腫瘍微小環境にあるTGFβを中和するため、相乗抗腫瘍効果を生じる。以下の例で実証するとおり、抗PDL1/TGFβ Trapは単剤の抗PD−L1又はTGFβ Trap対照より優れた効力を有する。理論によって拘束されるものではないが、これは、恐らくは、単一の分子実体による2つの主要な免疫エスケープ機構同時遮断と、加えて腫瘍微小環境内の標的化したTGFβ枯渇とによって得られる相乗効果に起因するものと思われる。この枯渇は、(1)抗PD−L1による腫瘍細胞の標的化;(2)TGFβ Trapによる腫瘍微小環境におけるTGFβオートクリン/パラクリンの結合;及び(3)PD−L1受容体介在性エンドサイトーシスによる結合したTGFβの破壊によって実現する。前述の作用機構は、2つの単剤の抗PD−L1とTGFβ trapとの併用療法によっては実現できない。さらに、Fc(IgGの結晶化断片)のC末端に融合したTGFβRIIは、TGFβRIIをFcのN末端に置いたTGFβRII−Fcと比べて数倍強力であった(実施例3を参照)。抗PDL1/TGFβ Trapで得られる卓越した効力はまた、TGFβRIIがTGFβ2を捕捉しないというある種の懸念も緩和する。Yang et al., TrendsImmunol. 2010; 31:220-227が指摘するとおり、ある種の腫瘍型は確かに最初はTGFβ2を分泌するが、腫瘍が進行するにつれ、腫瘍微小環境内のTGFβは主に骨髄由来サプレッサー細胞によって分泌され、この細胞はTGFβ1を分泌する。有効な免疫腫瘍治療薬として非常に有望視されることに加え、可溶性TGFβRIIによる治療は、TGFβ標的化療法、特にTGFβRIキナーゼ阻害薬心毒性の懸念を潜在的に低減し得る。これは、心臓胚発生並びに虚血再灌流傷害後の心筋損傷の修復においてはTGFβ2が重要な役割を果たすためである(Roberts et al., J Clin Invest. 1992; 90:2056-62)。

0045

癌標的としてのTGFβ
TGFβは、二重人格的な癌分子としてのその逆説的な役割に起因して、癌免疫療法における幾らか問題のある標的であった(Bierie et al., Nat Rev Cancer. 2006; 6:506-20)。他の幾つかのサイトカインと同様に、TGFβ活性は開発段階であり、コンテクスト依存的である。実際、TGFβは、腫瘍プロモーター又は腫瘍サプレッサーのいずれとしても機能することができ、腫瘍発生、進行及び転移に影響を及ぼし得る。このTGFβの二重の役割の根底にある機構は依然として不明のままである(Yang et al., TrendsImmunol. 2010; 31:220-227)。Smad依存的シグナル伝達がTGFβシグナル伝達の成長阻害を媒介する一方、Smad非依存的経路がその腫瘍促進効果に寄与することが仮定されているが、Smad依存的経路が腫瘍進行に関わることを示すデータもある(Yang et al., Cancer Res. 2008; 68:9107-11)。

0046

TGFβリガンド及び受容体の両方が、治療標的として精力的に研究されている。3つのリガンドアイソフォーム、TGFβ1、2及び3があり、その全てがホモ二量体として存在する。また、TGFβ受容体(TGFβR)も3つあり、それらはTGFβRI型II型及びIII型と呼ばれる(Lopez-Casillas et al., J Cell Biol. 1994; 124:557-68)。TGFβRIはシグナル伝達鎖であり、リガンドと結合することはできない。TGFβRIIは高親和性でリガンドTGFβ1及び3と結合するが、TGFβ2とは結合しない。TGFβRII/TGFβ複合体はTGFβRIを動員してシグナル伝達複合体を形成する(Won et al., Cancer Res. 1999; 59:1273-7)。TGFβRIIIは、そのシグナル伝達受容体に対するTGFβ結合の正の調節因子であり、3つ全てのTGFβアイソフォームと高親和性で結合する。細胞表面上で、TGFβ/TGFβRIII複合体はTGFβRIIと結合し、次にTGFβRIを動員して、TGFβRIがTGFβRIIIに取って代わることによりシグナル伝達複合体を形成する。

0047

3つの異なるTGFβアイソフォームは全て、同じ受容体を介してシグナルを伝達するが、それらはインビボ差次的発現パターン及び非重複機能を有することが知られている。3つの異なるTGF−βアイソフォームノックアウトマウスは個別的な表現型を有し、多数の非代償性の機能が指摘される(Bujak et al., Cardiovasc Res. 2007; 74:184-95)。TGFβ1ヌルマウス造血及び血管形成欠損を有し、及びTGFβ3ヌルマウスは肺発生及び口蓋形成不全を示し、TGFβ2ヌルマウスは様々な発生異常を示し、最も顕著なものは心多重奇形である(Bartram et al.,Circulation. 2001; 103:2745-52; Yamagishi et al., AnatRec. 2012; 295:257-67)。さらに、TGFβは、虚血再灌流傷害後の心筋損傷の修復において重要な役割を果たすことが示唆されている。成人の心臓では、心筋細胞はTGFβを分泌し、これがオートクリンとして機能することで自発拍動数が維持される。重要なことに、心筋細胞によって分泌されるTGFβの70〜85%がTGFβ2である(Roberts et al., J Clin Invest. 1992; 90:2056-62)。要約すれば、それぞれ腫瘍微小環境及び心臓生理学におけるTGFβ1及びTGFβ2の主な役割を考えると、TGFβ1は中和するがTGFβ2は中和しない治療剤であれば、抗腫瘍活性を損なうことなく心毒性を最小限に抑えることにより、最適な治療指数をもたらし得る。これは、サルにおいて抗PD−L1/TGFβ Trapに心毒性を含め毒性がないことを観察した本発明者らの知見と整合する。

0048

TGFβを中和する治療手法は、TGFβ受容体の細胞外ドメインを可溶性受容体トラップ及び中和抗体として使用することを含む。受容体トラップ手法のなかでは、可溶性TGFβRIIIが、3つ全てのTGFβリガンドと結合するため当然の選択であるように思われ得る。しかしながら、762アミノ酸残基の細胞外ドメインを含む280〜330kDグルコサミノグリカン(GAG)糖タンパク質として天然に存在するTGFβRIIIは、生物学的療法薬の開発には極めて複雑なタンパク質である。GAGを欠いている可溶性TGFβRIIIを昆虫細胞で作製することができ、強力なTGFβ中和剤であることが示されている(Vilchis-Landeros et al, Biochem J 355:215, 2001)。TGFβRIIIの2つの別個の結合ドメインエンドグリン関連及びウロモジュリン関連)は独立に発現し得るが、しかしこれらは可溶性TGFβRIIIの20〜100分の1の低さの親和性及びはるかに低い中和活性を有することが示された(Mendoza et al., Biochemistry. 2009; 48:11755-65)。他方で、TGFβRIIの細胞外ドメインは僅か136アミノ酸残基長であり、25〜35kDのグリコシル化タンパク質として作製することができる。さらに、組換え可溶性TGFβRIIは、200pMのKD(これは細胞上の完全長TGFβRIIの50pMのKDとほぼ同程度である)でTGFβ1と結合することが示された(Lin et al., J Biol Chem. 1995; 270:2747-54)。可溶性TGFβRII−Fcが抗癌剤として試験されており、腫瘍モデルにおいて樹立マウス悪性中皮腫成長を阻害することが示された(Suzuki et al., Clin Cancer Res. 2004; 10:5907-18)。TGFβRIIはTGFβ2と結合せず、且つTGFβRIIIはTGFβRIIより低い親和性でTGFβ1及び3と結合するため、TGFβRIIIのエンドグリンドメインとTGFβRIIの細胞外ドメインとの融合タンパク質が細菌で作製されており、細胞ベースアッセイにおいてTGFβRII又はRIIIのいずれよりも有効にTGFβ1及び2のシグナル伝達を阻害することが示された(Verona et al., Protein Eng Des Sel. 2008; 21:463-73)。腫瘍モデルにおけるある種の有望な抗腫瘍活性にも関わらず、本発明者らの知る限り、TGFβ受容体トラップ組換えタンパク質が臨床で試験されたことはない。

0049

TGFβリガンドの3つ全てのアイソフォームを中和するなおも別の手法は、汎中和抗TGFβ抗体、又は受容体がTGFβ1、2及び3に結合することを阻止する抗受容体抗体に関してスクリーニングすることである。進行悪性黒色腫又は腎細胞癌患者における第I/II相試験において、TGFβの全てのアイソフォームに特異的なヒト抗体であるGC1008があった(Morris et al., J Clin Oncol 2008; 26:9028 (Meeting abstract))。この治療は安全で良好に忍容されることが分かったが、限られた臨床的効力しか観察されず、従って免疫学的効果をさらに特徴付けることなしには、抗TGFβ療法の重要性解釈することは困難であった(Flavell et al., Nat Rev Immunol. 2010; 10:554-67)。また、臨床で試験されたTGFβアイソフォーム特異的抗体もあった。第2相臨床試験において、緑内障手術過度の術後瘢痕を防止するための治療として、TGFβ1に特異的な抗体であるメテリムマブが試験された;及びTGFβ2に特異的な抗体であるレルデリムマブが、第3相試験において、安全であるものの眼手術後の瘢痕の改善には効果がないことが分かった(Khaw et al., Ophthalmology 2007; 114:1822-1830)。受容体が3つ全てのTGFβアイソフォームに結合することを阻止する抗TGFβRII抗体、例えば抗ヒトTGFβRII抗体TR1及び抗マウスTGFβRII抗体MT1もまた、マウスモデルにおいて原発腫瘍の増殖及び転移に対する幾らかの治療効力を示している(Zhong et al., Clin Cancer Res. 2010; 16:1191-205)。現在までに、TGFβを標的化した抗癌治療に関する試験の大多数は、多くの場合に極めて毒性が高いTGFβシグナル伝達の小分子阻害薬を含め、ほとんど前臨床ステージであり、得られる抗腫瘍効力は限られたものとなっている(Calone et al., Exp Oncol. 2012; 34:9-16; Connolly et al., Int J Biol Sci. 2012; 8:964-78)。

0050

本発明の抗体−TGFβ trapは、TGFβ結合能を有するヒトTGFβ受容体II(TGFβRII)の少なくとも一部分を含む二機能性タンパク質である。一実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは、TGFβ結合能を有するヒトTGFβ受容体2型アイソフォームA(配列番号8)の可溶性部分である。さらなる実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは配列番号8のアミノ酸73〜184を少なくとも含む。さらに別の実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは配列番号8のアミノ酸24〜184を含む。別の実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは、TGFβ結合能を有するヒトTGFβ受容体2型アイソフォームB(配列番号9)の可溶性部分である。さらなる実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは配列番号9のアミノ酸48〜159を少なくとも含む。さらに別の実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは配列番号9のアミノ酸24〜159を含む。さらに別の実施形態において、TGFβ trapポリペプチドは配列番号9のアミノ酸24〜105を含む。

0051

免疫チェックポイント脱阻害
治療用抗体によって脱阻害するためT細胞阻害チェックポイントを標的化する手法は、精力的に研究されている領域である(レビューについては、Pardoll, Nat Rev Cancer. 2012; 12:253-264を参照)。1つの手法では、抗体部分又はその抗原結合断片がT細胞上のT細胞阻害チェックポイント受容体タンパク質、例えば:CTLA−4、PD−1、BTLA、LAG−3、TIM−3、及びLAIR1などを標的化する。別の手法では、抗体部分が抗原提示細胞及び腫瘍細胞上の対抗受容体(これらの細胞は自身の免疫回避のためこれらの対抗受容体の幾つかを取り入れる)、例えば:PD−L1(B7−H1)、B7−DC、HVEM、TIM−4、B7−H3、又はB7−H4などを標的化する。

0052

本発明は、脱阻害のためその抗体部分又はその抗原結合断片を介してT細胞阻害チェックポイントを標的化する抗体TGFβ trapを企図する。そのため、本発明者らは、TGFβ trapと様々なT細胞阻害チェックポイント受容体タンパク質を標的化する抗体、例えば抗PD−1、抗PD−L1、抗TIM−3及び抗LAG3との組み合わせの抗腫瘍効力を試験した。この実験結果は実施例7〜18にさらに詳述する。本発明者らは、TGFβ trapを抗PD−L1抗体と組み合わせると、単剤療法で観察されたものを超える顕著な抗腫瘍活性が示されることを見出した。対照的に、上記に列挙する標的に対する抗体との他の組み合わせのなかには、優れた効力を示すものはなかった。詳細には、PD−1/PD−L1は互いに結合して免疫チェックポイント阻害を達成するコグネイト受容体であるため、TGFβ trapと抗PD−1抗体との併用治療が抗PD−L1で観察されるものと同程度の活性を実証することを予想し得た。しかしながら、これは本発明者らが見出したことではない。

0053

抗PD−L1抗体
本発明は、当該技術分野において記載される任意の抗PD−L1抗体、又はその抗原結合断片を含み得る。抗PD−L1抗体は、例えば29E2A3抗体(Biolegend、カタログ番号329701)など、市販されている。抗体は、モノクローナル抗体キメラ抗体ヒト化抗体、又はヒト抗体であり得る。抗体断片には、Fab、F(ab’)2、scFv及びFv断片が含まれ、これらについては以下にさらに詳細に記載する。

0054

例示的抗体が国際公開第2013/079174号に記載される。これらの抗体は、HVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3配列を含む重鎖可変領域ポリペプチドを含むことができ、ここで:
(a)HVR−HI配列はX1YX2MX3であり;
(b)HVR−H2配列はSIYPSGGX4TFYADX5VKGであり;
(c)HVR−H3配列はIKLGTVTTVX6Yであり;
さらに、式中:X1はK、R、T、Q、G、A、W、M、I、又はSであり;X2はV、R、K、L、M、又はIであり;X3はH、T、N、Q、A、V、Y、W、F、又はMであり;X4はF又はIであり;X5はS又はTであり;X6はE又はDである。

0055

一実施形態において、X1はM、I、又はSであり;X2はR、K、L、M、又はIであり;X3はF又はMであり;X4はF又はIであり;X5はS又はTであり;X6はE又はDである。

0056

別の実施形態において、X1はM、I、又はSであり;X2はL、M、又はIであり;X3はF又はMであり;X4はIであり;X5はS又はTであり;X6はDである。

0057

さらに別の実施形態において、X1はSであり;X2はIであり;X3はMであり;X4はIであり;X5はTであり;X6はDである。

0058

別の態様において、ポリペプチドは、式:(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)に係るHVR間に並ぶ可変領域重鎖フレームワーク配列をさらに含む。

0059

なおも別の態様において、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列又はヒト生殖細胞系列フレームワーク配列に由来する。

0060

さらに別の態様において、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下である:
HC−FR1はEVLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSであり;
HC−FR2はWVRQAPGKGLEWVSであり;
HC−FR3はRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARであり;
HC−FR4はWGQGTLVTVSSである。

0061

さらに別の態様において、重鎖ポリペプチドが、HVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3を含む可変領域軽鎖とさらに組み合わされ、ここで:
(a)HVR−L1配列はTGTX7X8DVGX9YNYVSであり;
(b)HVR−L2配列はX10VX11X12RPSであり;
(c)HVR−L3配列はSSX13TX14X15X16X17RVであり;
さらに、式中:X7はN又はSであり;X8はT、R、又はSであり;X9はA又はGであり;X10はE又はDであり;X11はI、N又はSであり;X12はD、H又はNであり;X13はF又はYであり;X14はN又はSであり;X15はR、T又はSであり;X16はG又はSであり;X17はI又はTである。

0062

別の実施形態において、X7はN又はSであり;X8はT、R、又はSであり;X9はA又はGであり;X10はE又はDであり;X11はN又はSであり;X12はNであり;X13はF又はYであり;X14はSであり;X15はSであり;X16はG又はSであり;X17はTである。

0063

さらに別の実施形態において、X7はSであり;X8はSであり;X9はGであり;X10はDであり;X11はSであり;X12はNであり;X13はYであり;X14はSであり;X15はSであり;X16はSであり;X17はTである。

0064

さらに別の態様において、軽鎖は、式:(LC−FR1MHVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)に係るHVR間に並ぶ可変領域軽鎖フレームワーク配列をさらに含む。

0065

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列又はヒト生殖細胞系列フレームワーク配列に由来する。

0066

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列はλ軽鎖配列である。

0067

さらに別の態様において、フレームワーク配列の少なくとも1つは以下である:
LC−FR1はQSALTPASVSGSPGQSITISCであり;
LC−FR2はWYQQHPGKAPKLMIYであり;
LC−FR3はGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCであり;
LC−FR4はFGTGTKVTVLである。

0068

別の実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体又は抗原結合断片を提供し、ここで:
(a)重鎖は、HVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3を含み、ここでさらに:(i)HVR−H1配列はX1YX2MX3であり;(ii)HVR−H2配列はSIYPSGGX4TFYADX5VKGであり;(iii)HVR−H3配列はIKLGTVTTVX6Yであり、及び;
(b)軽鎖は、HVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3を含み、ここでさらに:(iv)HVR−L1配列はTGTX7X8DVGX9YNYVSであり;(v)HVR−L2配列はX10VX11X12RPSであり;(vi)HVR−L3配列はSSX13TX14X15X16X17RVであり;式中:X1はK、R、T、Q、G、A、W、M、I、又はSであり;X2はV、R、K、L、M、又はIであり;X3はH、T、N、Q、A、V、Y、W、F、又はMであり;X4はF又はIであり;X5はS又はTであり;X6はE又はDであり;X7はN又はSであり;X8はT、R、又はSであり;X9はA又はGであり;X10はE又はDであり;X11はI、N、又はSであり;X12はD、H、又はNであり;X13はF又はYであり;X14はN又はSであり;X15はR、T、又はSであり;X16はG又はSであり;X17はI又はTである。

0069

一実施形態において、X1はM、I、又はSであり;X2はR、K、L、M、又はIであり;X3はF又はMであり;X4はF又はIであり;X5はS又はTであり;X6はE又はDであり;X7はN又はSであり;X8はT、R、又はSであり;X9はA又はGであり;X10はE又はDであり;X11はN又はSであり;X12はNであり;X13はF又はYであり;X14はSであり;X15はSであり;X16はG又はSであり;X17はTである。

0070

別の実施形態において、X1はM、I、又はSであり;X2はL、M、又はIであり;X3はF又はMであり;X4はIであり;X5はS又はTであり;X6はDであり;X7はN又はSであり;X8はT、R、又はSであり;X9はA又はGであり;X10はE又はDであり;X11はN又はSであり;X12はNであり;X13はF又はYであり;X14はSであり;X15はSであり;X16はG又はSであり;X17はTである。

0071

さらに別の実施形態において、X1はSであり;X2はIであり;X3はMであり;X4はIであり;X5はTであり;X6はDであり;X7はSであり;X8はSであり;X9はGであり;X10はDであり;X11はSであり;X12はNであり;X13はYであり;X14はSであり;X15はSであり;X16はSであり;X17はTである。

0072

さらなる態様において、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のとおりHVR間に並ぶ1つ以上のフレームワーク配列を含み、及び軽鎖可変領域は、(LC−FR1MHVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のとおりHVR間に並ぶ1つ以上のフレームワーク配列を含む。

0073

さらに別の態様において、フレームワーク配列はヒトコンセンサスフレームワーク配列又はヒト生殖細胞系列配列に由来する。

0074

さらに別の態様において、重鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下である:
HC−FR1はEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSであり;
HC−FR2はWVRQAPGKGLEWVSであり;
HC−FR3はRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARであり;
HC−FR4はWGQGTLVTVSSである。

0075

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列はλ軽鎖配列である。

0076

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下である:
LC−FR1はQSALTQPASVSGSPGQSITISCであり;
LC−FR2はWYQQHPGKAPKLMIYであり;
LC−FR3はGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCであり;
LC−FR4はFGTGTKVTVLである。

0077

さらに別の態様において、重鎖可変領域ポリペプチド、抗体、又は抗体断片は、少なくともCH1ドメインをさらに含む。

0078

より具体的な態様において、重鎖可変領域ポリペプチド、抗体、又は抗体断片は、CH1、CH2、及びCH3ドメインをさらに含む。

0079

さらに別の態様において、可変領域軽鎖、抗体、又は抗体断片は、CLドメインをさらに含む。

0080

さらに別の態様において、抗体は、CH1、CH2、CH3、及びCLドメインをさらに含む。

0081

さらに別の具体的な態様において、抗体は、ヒト又はマウス定常領域をさらに含む。

0082

さらに別の態様において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。

0083

さらに別の具体的な態様において、ヒト又はマウス定常領域はIgG1である。

0084

さらに別の実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体を特徴とし、ここで:
(a)重鎖は、それぞれSYIMM、SIYPSGGITFYADTVKG、及びIKLGTVTTVDYと少なくとも80%の全体的な配列同一性を有するHVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3を含み、及び
(b)軽鎖は、それぞれTGTSSDVGGYNYVS、DVSNRPS、及びSSYTSSSTRVと少なくとも80%の全体的な配列同一性を有するHVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3を含む。

0085

ある具体的な態様において、配列同一性は、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。

0086

さらに別の実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体を特徴とし、ここで:
(a)重鎖は、それぞれMYMMM、SIYPSGGITFYADSVKG、及びIKLGTVTTVDYと少なくとも80%の全体的な配列同一性を有するHVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3を含み、及び
(b)軽鎖は、それぞれTGTSSDVGAYNYVS、DVSNRPS、及びSSYTSSSTRVと少なくとも80%の全体的な配列同一性を有するHVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3を含む。

0087

ある具体的な態様において、配列同一性は、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。

0088

さらに別の態様において、本発明に係る抗体又は抗体断片においては、HVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3の配列と比較したとき、少なくとも以下のとおり下線によって強調表示されるアミノ酸は変わらないままであり:
(a)HVR−H1において



(b)HVR−H2において



(c)HVR−H3において



さらにここで、HVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3の配列と比較したとき、少なくとも以下のとおり下線によって強調表示されるアミノ酸は変わらないままである。
(a)HVR−L1TGTSSDVGGYNYVS
(b)HVR−L2



(c)HVR−L3

0089

別の態様において、重鎖可変領域は、(HC−FR1)−(HVR−H1)−(HC−FR2)−(HVR−H2)−(HC−FR3)−(HVR−H3)−(HC−FR4)のとおりHVR間に並ぶ1つ以上のフレームワーク配列を含み、及び軽鎖可変領域は、(LC−FR1)−(HVR−L1)−(LC−FR2)−(HVR−L2)−(LC−FR3)−(HVR−L3)−(LC−FR4)のとおりHVR間に並ぶ1つ以上のフレームワーク配列を含む。

0090

なおも別の態様において、フレームワーク配列はヒト生殖細胞系列配列に由来する。

0091

さらに別の態様において、重鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下である:
HC−FR1はEVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFSであり;
HC−FR2はWVRQAPGKGLEWVSであり;
HC−FR3はRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARであり;
HC−FR4はWGQGTLVTVSSである。

0092

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列はλ軽鎖配列に由来する。

0093

さらに別の態様において、軽鎖フレームワーク配列の1つ以上は以下である:
LC−FR1はQSALTQPASVSGSPGQSITISCであり;
LC−FR2はWYQQHPGKAPKLMIYであり;
LC−FR3はGVSNRFSGSKSGNTASLTISGLQAEDEADYYCであり;
LC−FR4はFGTGTKVTVLである。

0094

さらに別の具体的な態様において、抗体はヒト又はマウス定常領域をさらに含む。

0095

さらに別の態様において、ヒト定常領域は、IgG1、IgG2、IgG2、IgG3、IgG4からなる群から選択される。

0096

さらに別の実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体を特徴とし、ここで:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有し、及び
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有する。

0097

ある具体的な態様において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。

0098

さらに別の実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体を提供し、ここで:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有し、及び
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有する。

0099

ある具体的な態様において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%である。

0100

別の実施形態において、抗体は、ヒト、マウス、又はカニクイザルPD−L1に結合する。ある具体的な態様において、抗体は、ヒト、マウス、又はカニクイザルPD−L1とそれぞれのヒト、マウス、又はカニクイザルPD−1受容体との間の相互作用を遮断する能力を有する。

0101

別の実施形態において、抗体は、5×10-9M以下のKD、好ましくは2×10-9M以下のKD、及びさらにより好ましくは1×10-9M以下のKDでヒトPD−L1に結合する。

0102

さらに別の実施形態において、本発明は、ヒトPD−L1の残基Y56及びD61を含めた機能性エピトープに結合する抗PD−L1抗体又はその抗原結合断片に関する。

0103

ある具体的な態様において、機能性エピトープは、ヒトPD−L1のE58、E60、Q66、R113、及びM115をさらに含む。

0104

より具体的な態様において、抗体は、ヒトPD−L1の残基54〜66及び112〜122を含めた立体エピトープに結合する。

0105

さらなる実施形態において、本発明は、PD−L1に対する結合に関して本明細書に記載されるとおりの本発明に係る抗体と交差競合する抗PD−L1抗体、又はその抗原結合断片に関する。

0106

さらに別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの薬学的に許容可能な担体と組み合わせた上述の抗PD−L1抗体のいずれかを含むタンパク質及びポリペプチドを特徴とする。

0107

さらに別の実施形態において、本発明は、本明細書に記載されるとおりのポリペプチド、又は抗PD−L1抗体の軽鎖若しくは重鎖可変領域配列、又はその抗原結合断片をコードする単離核酸を特徴とする。さらに別の実施形態において、本発明は、抗PD−L1抗体の軽鎖又は重鎖可変領域配列をコードする単離核酸を提供し、ここで:
(a)重鎖は、それぞれSYIMM、SIYPSGGITFYADTVKG、及びIKLGTVTTVDYと少なくとも80%の配列同一性を有するHVR−H1、HVR−H2、及びHVR−H3配列を含み、又は
(b)軽鎖は、それぞれTGTSSDVGGYNYVS、DVSNRPS、及びSSYTSSSTRVと少なくとも80%の配列同一性を有するHVR−L1、HVR−L2、及びHVR−L3配列を含む。

0108

ある具体的な態様において、配列同一性は、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%である。

0109

さらなる態様において、重鎖の核酸配列は、



であり、及び軽鎖の核酸配列は、



である。

0110

抗PD−L1/TGFβ Trapに使用し得るさらなる例示的抗PD−L1抗体が、米国特許出願公開第2010/0203056号に記載されている。本発明の一実施形態において、抗体部分はYW243.55S70である。本発明の別の実施形態において、抗体部分はMPDL3280Aである。

0111

さらなる実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体部分を特徴とし、ここで:
(a)重鎖配列は、重鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有し、及び
(b)軽鎖配列は、軽鎖配列:



と少なくとも85%の配列同一性を有する。

0112

ある具体的な態様において、配列同一性は、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%である。

0113

さらなる実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体部分を特徴とし、ここで:
(a)重鎖可変領域配列は、



であり、及び
(b)軽鎖可変領域配列は、



である。

0114

さらなる実施形態において、本発明は、重鎖及び軽鎖可変領域配列を含む抗PD−L1抗体部分を特徴とし、ここで:
(a)重鎖可変領域配列は、



であり、及び
(b)軽鎖可変領域配列は、



である。

0115

抗PD−L1/TGFβ Trapに使用し得るさらに別の例示的抗PD−L1抗体が、米国特許第7,943,743号に記載されている。

0116

本発明の一実施形態において、抗PD−L1抗体はMDX−1105である。

0117

さらに別のある実施形態において、抗PD−L1抗体はMEDI−4736である。

0118

定常領域
本発明のタンパク質及びペプチドは、免疫グロブリンの定常領域又は定常領域の断片、類似体、変異体、突然変異体、若しくは誘導体を含み得る。好ましい実施形態において、定常領域はヒト免疫グロブリン重鎖、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又は他のクラスに由来する。一実施形態において、定常領域はCH2ドメインを含む。別の実施形態において、定常領域はCH2及びCH3ドメインを含み、又はヒンジ−CH2−CH3を含む。或いは、定常領域は、ヒンジ領域、CH2ドメイン及び/又はCH3ドメインの全て又は一部分を含み得る。

0119

一実施形態において、定常領域は、Fc受容体に対する親和性を低下させるか又はFcエフェクター機能を低下させる突然変異を含む。例えば、定常領域は、IgG重鎖の定常領域内のグリコシル化部位を除去する突然変異を含み得る。一部の実施形態では、定常領域は、IgG1のLeu234、Leu235、Gly236、Gly237、Asn297、又はPro331(アミノ酸はEU命名法に従い付番される)に対応するアミノ酸位置に突然変異、欠失、又は挿入を含む。詳細な実施形態において、定常領域は、IgG1のAsn297に対応するアミノ酸位置に突然変異を含む。代替的実施形態において、定常領域は、IgG1のLeu281、Leu282、Gly283、Gly284、Asn344、又はPro378に対応するアミノ酸位置に突然変異、欠失、又は挿入を含む。

0120

一部の実施形態では、定常領域は、ヒトIgG2又はIgG4重鎖に由来するCH2ドメインを含む。好ましくは、CH2ドメインは、CH2ドメイン内のグリコシル化部位を除去する突然変異を含む。一実施形態では、この突然変異は、IgG2又はIgG4重鎖のCH2ドメイン内のGln−Phe−Asn−Ser(配列番号15)アミノ酸配列内におけるアスパラギン改変する。好ましくは、この突然変異はアスパラギンをグルタミンに変える。或いは、この突然変異は、Gln−Phe−Asn−Ser(配列番号15)アミノ酸配列内におけるフェニルアラニン及びアスパラギンの両方を改変する。一実施形態では、Gln−Phe−Asn−Ser(配列番号15)アミノ酸配列がGln−Ala−Gln−Ser(配列番号16)アミノ酸配列に置換される。Gln−Phe−Asn−Ser(配列番号15)アミノ酸配列内におけるアスパラギンはIgG1のAsn297に対応する。

0121

別の実施形態において、定常領域はCH2ドメインとヒンジ領域の少なくとも一部分とを含む。ヒンジ領域は免疫グロブリン重鎖、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又は他のクラスに由来し得る。好ましくは、ヒンジ領域はヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又は他の好適なクラスに由来する。より好ましくは、ヒンジ領域はヒトIgG1重鎖に由来する。一実施形態では、IgG1ヒンジ領域のPro−Lys−Ser−Cys−Asp−Lys(配列番号17)アミノ酸配列におけるシステインが改変される。好ましい実施形態では、Pro−Lys−Ser−Cys−Asp−Lys(配列番号17)アミノ酸配列がPro−Lys−Ser−Ser−Asp−Lys(配列番号18)アミノ酸配列に置換される。一実施形態では、定常領域は第1の抗体アイソタイプに由来するCH2ドメインと、第2の抗体アイソタイプに由来するヒンジ領域とを含む。具体的な実施形態では、CH2ドメインがヒトIgG2又はIgG4重鎖に由来し、一方、ヒンジ領域が、改変されたヒトIgG1重鎖に由来する。

0122

Fc部分と非Fc部分との接合部近傍でアミノ酸を改変すると、Fc融合タンパク質血清中半減期が劇的に増加し得る(国際公開第01/58957号(その開示は本明細書によって参照により援用される))。従って、本発明のタンパク質又はポリペプチドの接合領域は、免疫グロブリン重鎖及びエリスロポエチンの天然に存在する配列と比べて好ましくは接合点の約10アミノ酸の範囲内にある改変を含み得る。これらのアミノ酸変化疎水性の増加を引き起こし得る。一実施形態において、定常領域は、C末端リジン残基が置換されているIgG配列に由来する。好ましくは、IgG配列のC末端リジンは非リジンアミノ酸、例えばアラニン又はロイシンに置換され、それにより血清中半減期がさらに増加する。別の実施形態において、定常領域は、潜在的な接合部T細胞エピトープが除去されるように定常領域のC末端近傍のLeu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)アミノ酸配列が改変されているIgG配列に由来する。例えば、一実施形態では、Leu−Ser−Leu−Serアミノ酸配列がAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)アミノ酸配列に置換される。他の実施形態では、Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)セグメント内のアミノ酸がグリシン又はプロリンなどの他のアミノ酸に置換される。IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又は他の免疫グロブリンクラス分子のC末端近傍におけるLeu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)セグメントアミノ酸置換を生成する詳細な方法は、米国特許出願公開第2003/0166877号(その開示は本明細書によって参照により援用される)に記載されている。

0123

本発明の好適なヒンジ領域は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、及び他の免疫グロブリンクラスに由来し得る。IgG1ヒンジ領域は3つのシステインを有し、そのうち2つは免疫グロブリンの2つの重鎖間のジスルフィド結合関与する。これらの同じシステインが、Fc部分間の効率的で且つ一貫したジスルフィド結合形成を可能にする。従って、本発明の好ましいヒンジ領域はIgG1、より好ましくはヒトIgG1に由来する。一部の実施形態では、ヒトIgG1ヒンジ領域内の第1のシステインが別のアミノ酸、好ましくはセリンに突然変異している。IgG2アイソタイプヒンジ領域は、組換え系において分泌中にオリゴマー形成及び恐らくは正しくないジスルフィド結合を促進する傾のある4つのジスルフィド結合を有する。好適なヒンジ領域はIgG2ヒンジに由来し得る;第1の2つのシステインが、各々、好ましくは別のアミノ酸に突然変異している。IgG4のヒンジ領域は、鎖間ジスルフィド結合の形成が非効率であることが知られている。しかしながら、本発明に好適なヒンジ領域は、好ましくは重鎖由来の部分間におけるジスルフィド結合の正しい形成を増進する突然変異を含んだIgG4ヒンジ領域に由来し得る(Angal S, et al. (1993) Mol. Immunol., 30:105-8)。

0124

本発明において、定常領域は、異なる抗体アイソタイプに由来するCH2及び/又はCH3ドメインとヒンジ領域、即ちハイブリッド定常領域を含み得る。例えば、一実施形態において、定常領域は、IgG2又はIgG4に由来するCH2及び/又はCH3ドメインとIgG1に由来する突然変異ヒンジ領域とを含む。或いは、別のIgGサブクラス由来の突然変異ヒンジ領域がハイブリッド定常領域に使用される。例えば、2つの重鎖間の効率的なジスルフィド結合を可能にする突然変異形態のIgG4ヒンジを使用することができる。突然変異ヒンジはまた、最初の2つのシステインが各々別のアミノ酸に突然変異しているIgG2ヒンジに由来してもよい。かかるハイブリッド定常領域のアセンブルは、米国特許出願公開第2003/0044423号(その開示は本明細書によって参照により援用される)に記載されている。

0125

本発明において、定常領域は、本明細書に記載される1つ以上の突然変異を含み得る。Fc部分における突然変異の組み合わせは、二機能性分子の血清中半減期の延長及びインビボ有効性の増加に対して相加効果又は相乗効果を有し得る。従って、一例示的実施形態において、定常領域は、(i)Leu−Ser−Leu−Ser(配列番号19)アミノ酸配列がAla−Thr−Ala−Thr(配列番号20)アミノ酸配列に置換されているIgG配列に由来する領域;(ii)リジンに代わるC末端アラニン残基;(iii)例えばIgG2 CH2ドメインと改変IgG1ヒンジ領域など、異なる抗体アイソタイプに由来するCH2ドメインとヒンジ領域;及び(iv)IgG2由来のCH2ドメイン内のグリコシル化部位を除去する突然変異、例えば、IgG2由来CH2ドメイン内のGln−Phe−Asn−Ser(配列番号15)アミノ酸配列に代わるGln−Ala−Gln−Ser(配列番号16)アミノ酸配列を含み得る。

0126

抗体断片
本発明のタンパク質及びポリペプチドはまた、抗体の抗原結合断片も含み得る。例示的抗体断片には、scFv、Fv、Fab、F(ab’)2、及びラクダ科動物起源のものなど単一ドメインVHH断片が含まれる。

0127

一本鎖抗体(scFv)としても知られる一本鎖抗体断片は、典型的には抗原又は受容体と結合する組換えポリペプチドである;これらの断片は、1つ以上の相互接続リンカーを伴い又は伴わず抗体可変軽鎖配列(VL)の少なくとも1つの断片に係留した抗体可変重鎖アミノ酸配列(VH)の少なくとも1つの断片を含む。かかるリンカーは、一本鎖抗体断片の由来である全抗体の標的分子結合特異性を維持するため連結後にVL及びVHドメインの適切な三次元折り畳みが起こることを確実にするように選択される短鎖可動性ペプチドであってもよい。概して、VL又はVH配列カルボキシル末端がかかるペプチドリンカーによって相補的なVL及びVH配列のアミノ酸末端共有結合的に連結される。一本鎖抗体断片は、分子クローニング、抗体ファージディスプレイライブラリ又は同様の技法によって作成することができる。これらのタンパク質は、真核細胞でも、或いは細菌を含めた原核細胞でも作製することができる。

0128

一本鎖抗体断片は、本明細書に記載される全抗体の可変領域又はCDRの少なくとも1つを有するアミノ酸配列を含むが、そうした抗体の定常ドメインの一部又は全てを欠いている。これらの定常ドメインは抗原結合に不要であるが、全抗体の構造の主要な部分を成す。従って一本鎖抗体断片は、定常ドメインの一部又は全てを含む抗体の使用に伴う一部の問題を解消し得る。例えば、一本鎖抗体断片は、生体分子重鎖定常領域との間の好ましくない相互作用、又は他の望ましくない生物学的活性を有しない傾向がある。加えて、一本鎖抗体断片は全抗体と比べて大幅に小さく、従って全抗体と比べて高い毛細血管透過性を有し得るため、一本鎖抗体断片は標的抗原結合部位に一層効率的に局在化及び結合することが可能である。また、抗体断片は原核細胞において比較的大規模に作製することができ、従ってその作製が容易である。さらに、一本鎖抗体断片はサイズが比較的小さいため、全抗体と比べてレシピエントにおいて免疫応答を誘発する可能性が低い。

0129

全抗体と同じ又は同等な結合特性を有する抗体の断片もまた存在し得る。かかる断片は、Fab断片又はF(ab’)2断片の一方又は両方を含み得る。これらの抗体断片は全抗体の6つ全てのCDRを含むことができ、しかしかかる領域の全数未満、例えば3つ、4つ又は5つのCDRを含む断片もまた機能する。

0130

タンパク質作製
抗体−サイトカイントラップタンパク質は、概して、そのタンパク質を発現するように操作された核酸を含む哺乳類細胞を使用して組換えで作製される。好適な細胞株及びタンパク質作製方法の一例を実施例1及び2に記載しているが、多種多様な好適なベクター、細胞株及びタンパク質作製方法を用いて抗体ベースバイオ医薬品が作製されており、これらの抗体−サイトカイントラップタンパク質の合成に使用することができる。

0131

治療適応
本願に記載される抗PD−L1/TGFβ Trapタンパク質は、患者における癌の治療又は腫瘍成長の低減に使用することができる。例示的癌としては、結腸直腸、乳房、卵巣、膵臓、胃、前立腺、腎臓、子宮頸部の癌、骨髄腫、リンパ腫、白血病、甲状腺、子宮内膜、子宮、膀胱、神経内分泌、頭頸部、肝臓、上咽頭、精巣の癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、黒色腫、基底細胞皮膚癌、扁平上皮細胞皮膚癌、隆起性皮膚線維肉腫、メルケル細胞癌、膠芽腫、神経膠腫、肉腫、中皮腫、及び骨髄異形成症候群が挙げられる。

0132

抗PD−L1/TGFβ Trapで治療する癌又は腫瘍は、腫瘍におけるPD−L1及びTGFβの発現又は発現上昇、それらの発現レベルと予後又は疾患の進行との相関、並びにPD−L1及びTGFβを標的化する治療に対する腫瘍の感受性に関する前臨床及び臨床経験に基づき選択し得る。かかる癌又は腫瘍としては、限定はされないが、結腸直腸、乳房、卵巣、膵臓、胃、前立腺、腎臓、子宮頸部、膀胱、頭頸部、肝臓の癌又は腫瘍、非小細胞肺癌、黒色腫、メルケル細胞癌、及び中皮腫が挙げられる。

0133

医薬組成物
本発明はまた、本明細書に記載されるタンパク質の治療有効量を含有する医薬組成物も特徴とする。本組成物は、種々の薬物送達システムにおける使用向けに製剤化することができる。本組成物には、適切な製剤化のため1つ以上の生理学的に許容可能な賦形剤又は担体もまた含まれ得る。本発明における使用に好適な製剤化は、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Philadelphia, Pa., 17th ed., 1985に掲載されている。薬物送達方法の簡単なレビューについては、例えば、Langer (Science 249:1527-1533, 1990)を参照のこと。

0134

本医薬組成物は、治療処置のため、非経口鼻腔内、局所、経口、又は局所投与、例えば経皮的な手段によることが意図される。本医薬組成物は、非経口的に(例えば、静脈内、筋肉内、又は皮下注射によって)、又は経口摂取によって、又は血管病態若しくは癌病態が発症した範囲における局所適用若しくは関節内注射によって投与することができる。さらなる投与経路としては、血管内、動脈内、腫瘍内、腹腔内、脳室内硬膜外内、並びに内、眼内、強膜内、眼窩内直腸、局所、又はエアロゾル吸入投与が挙げられる。従って、本発明は、許容可能な担体、好ましくは水性担体、例えば、水、緩衝用水、生理食塩水PBSなどに溶解又は懸濁された上述の薬剤を含む非経口投与用の組成物を提供する。本組成物は、pH調整剤及び緩衝剤等張化剤湿潤剤デタージェントなど、生理的条件近似する必要に応じて薬学的に許容可能な補助物質を含有し得る。本発明はまた、経口送達用の組成物も提供し、これは、錠剤カプセルなどを製剤化するための結合剤又は充填剤などの不活性成分を含有し得る。さらに、本発明は局所投与用の組成物を提供し、これは、クリーム軟膏などを製剤化するための溶媒又は乳化剤などの不活性成分を含有し得る。

0135

これらの組成物は従来の滅菌技法によって滅菌されてもよく、又は滅菌ろ過されてもよい。得られる水溶液はそのまま使用するため包装されてもよく、又は凍結乾燥されてもよく、凍結乾燥製剤投与前滅菌水性担体と合わされる。製剤のpHは、典型的には3〜11、より好ましくは5〜9又は6〜8、及び最も好ましくは7〜8、例えば7〜7.5であり得る。得られた固体形態の組成物は、錠剤又はカプセルのシールパッケージなど、各々が上述の1つ又は複数の薬剤の一定量を含有する複数の単一用量単位で包装されてもよい。固体形態の組成物はまた、局所適用可能なクリーム又は軟膏用に設計されたスクイーズチューブなど、分量の変動を許容する容器に包装することもできる。

0136

サイトカイントラップは大過剰で使用されるため、抗体−TGFβ trapの最適用量は、最大治療効果を実現するための抗体部分によるパーセント受容体占有率に基づく。例えば、細胞受容体を標的化するモノクローナル抗体の治療用量は、トラフ濃度が約10〜100μg/ml、即ち60〜600nMとなる(6nMの解離定数(KD)の抗体について、このトラフ濃度であれば、細胞上の標的受容体の90〜99%が抗体によって占有されることが確実となる)ように決定される。これは大過剰のサイトカインであり、サイトカインは典型的には循環中にpg〜ng/mlで存在する。

0137

本発明の抗体−TGFβ trapポリペプチドの最適用量は、治療下の疾患、疾患の重症度、及び副作用の存在に依存する。最適用量はルーチンの実験によって決定することができる。非経口投与については、0.1mg/kg〜100mg/kg、或いは0.5mg/kg〜50mg/kg、或いは1mg/kg〜25mg/kg、或いは2mg/kg〜10mg/kg、或いは5mg/kg〜10mg/kgの用量が投与され、例えば、治療周期につき週1回、隔週、3週間に1回、又は月1回で与えられ得る。

0138

実施例
本発明は、ここで概略的に説明されているが、以下の例を参照することによりさらに容易に理解されるであろう。以下の例は単に本発明の特定の態様及び実施形態を例示するために含まれるものであり、いかなる方法であれ本発明の範囲を限定することは意図されない。

0139

実施例1 − DNA構築及びタンパク質発現
抗PD−L1/TGFβ Trapは、抗PD−L1抗体−TGFβ受容体II融合タンパク質である。この分子の軽鎖は抗PD−L1抗体の軽鎖(配列番号1)と同一である。この分子の重鎖(配列番号3)は、可動性(Gly4Ser)4Glyリンカー(配列番号11)を介して可溶性TGFβ受容体II(配列番号10)のN末端に遺伝子融合した抗PD−L1抗体の重鎖(配列番号2)を含む融合タンパク質である。融合接合部において、抗体重鎖のC末端リジン残基をアラニンに突然変異させて、タンパク質分解切断を低減した。抗PD−L1/TGFβ Trapの発現のため、同じ発現ベクター又は別個の発現ベクターのいずれかにおける抗PD−L1軽鎖をコードするDNA(配列番号4)及び抗PD−L1/TGFβ受容体IIをコードするDNA(配列番号5)を使用して、一過性の又は安定的なトランスフェクション標準プロトコルを用いて哺乳類細胞をトランスフェクトした。馴化培養培地を回収し、抗PD−L1/TGFβ Trap融合タンパク質を標準プロテインAセファロースクロマトグラフィーによって精製した。1つの抗PD−L1抗体と2つの可溶性TGFβ受容体II分子とを含むこの精製タンパク質図1A)は、サイズ排除クロマトグラフィー及び非還元条件下におけるSDS−ポリアクリルアミド電気泳動で約190キロダルトン推定分子量(MW)を有する。還元条件下では、軽鎖及び重鎖はそれぞれ28及び75キロダルトンの見かけのMWを有する(図1B)。

0140

類似重鎖融合ポリペプチド(配列番号7)と可変領域にPD−L1に対する結合を無効にする突然変異A31G、D52E、R99Yを有する軽鎖(配列番号6)とを含む抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap融合タンパク質を同様に調製した。これは続く実験でTGFβ Trap対照として使用した。

0141

実施例2 −生物学的療法薬としての抗PD−L1/TGFβ Trapの作製
ヒト胎児腎臓293(HEK)細胞の一過性のトランスフェクションによって作製した抗PD−L1/TGFβ Trapは、様々な程度のクリッピング種を含有することが分かり、これらの種は還元条件下のSDS−PAGEで見かけのMWが約60kDの薄いバンドとして現れた(図1B)。このバンドは、融合接合部に近いTGFβRIIのN末端部分内のある部位で切断された抗PD−L1/TGFβ Trapの重鎖であると確認された。

0142

浮遊培養無血清培地中での成長に予め適合させたCHO−S宿主細胞株において、抗PD−L1/TGFβ Trapを発現する安定クローンを作成した。細胞に、抗PD−L1−TGFβRIIタンパク質をコードする遺伝子及びグルタミンシンテターゼ選択マーカーを含む発現ベクターをトランスフェクトした。続く安定した組込み体の選択はL−メチオニンスルホキシミン(MSX)を用いて行った。ミニプール手法を用いて抗PD−L1/TGFβ Trap発現細胞株を作成し、続いてBeckton-Dickinson蛍光活性化セルソーター(FACSAria II)を使用して384ウェルプレート単一細胞堆積させた。成長、産生率、及びタンパク質品質汎用プラットフォームフェドバッチアセイで評価した。これらの分析に基づき、さらなる試験のリード候補として14個のクローンを選択した。クローンのスケールアップ中に樹立したリサーチセルバンクから、これらのクローンによる安定性試験を約90PDL(集団倍化数)まで行った。ミニプール開発の終わりに、一過性発現で見られたとおり、重鎖−リンカー−TGFβRIIサブユニットがクリッピングを起こしたことが発見された。この安定性試験の全てのクローンがクリッピング種を生じ、しかしプロテインA精製材料では、インタクトなサブユニットに対するクリッピング種のパーセントはクローン毎に異なることが示された。加えて、プロテインAクロマトグラフィーと、続く強陽イオン交換からなる改良した精製プロセスを開発して、クリッピング種の共精製を低減した。この改良したプロセスであっても、低クリッピングレベルを生じるクローンを使用して<5%の要求される最終クリッピング種レベルを有する精製材料を得ることができたに過ぎなかった。これらの複合的な分析に基づき、クローン02B15を最終的な候補クローンとして選択した。このクローンが0PDL、30PDL、60PDL及び90PDLで発現する抗PD−L1/TGFβ Trapの分析が示すところによれば、集団倍化数に伴うクリッピング率の増加はなかった(図2)。

0143

実施例3 −細胞上のヒトPD−L1に対する抗PD−L1/TGFβ Trap及び対照の結合に関する蛍光活性細胞選別(FACS)分析
ヒトPD−L1を発現するように安定にトランスフェクトしたHEK細胞に対する抗PD−L1抗体及び融合タンパク質の結合を、以下の手順を用いて試験した。

0144

以下の例示的手順を用いてPD−L1結合をFACSによって決定した:
a.試験試料の50μlの段階希釈液FACS緩衝液セットアップした。
b.ヒトPD−L1を発現するように安定にトランスフェクトした50μlのHEK細胞を5×106細胞/mlで試験試料が入ったウェル分注し、混合した。
c.1つ又は複数のプレート暗所において上で1時間インキュベートした。
d.細胞を300×gで5分間ペレット化した。
e.上清デカントし、細胞を300μlのFACS緩衝液に再懸濁し、再び300×gで5間ペレット化した。
f.試料リンスを繰り返した。
g.細胞を、DyLight 488コンジュゲート全IgGヤギ抗ヒトIgG、Fcγ(1:300希釈)を含有する100μlのFACS緩衝液に再懸濁した。
h.1つ又は複数のプレートを暗所において氷上で45分間インキュベートした。
i.細胞を300×gで5間ペレット化した。
j.上清をデカントし、細胞を300μlのFACS緩衝液に再懸濁し、再び300×gで5分間ペレット化した。
k.試料のリンスを繰り返し、細胞を最終的に200μlのFACS緩衝液に再懸濁した。
l.FACS Caliberでデータを取得し、Microsoft Excelを使用して分析した。Graphpad Prism5で非線形回帰シグモイド用量反応)を使用してEC50を計算した。

0145

図3に示すとおり、FACS分析から、抗PD−L1/TGFβ Trap融合タンパク質が、ヒトPD−L1を発現するように安定にトランスフェクトしたHEK細胞(HEK/PD−L1細胞)に対して陽性対照抗PD−L1抗体と同程度の結合親和性を保持していることが示された。抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1のEC50は、それぞれ0.116μg/ml(0.64nM)及び0.061μg/ml(0.41nM)である。トランスフェクトしなかった親HEK細胞でMFI(蛍光強度平均値)は観察されなかったため、観察されたMFIはヒトPD−L1に対する結合に特異的であった。抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap陰性対照は、ヒトPD−L1を発現するように安定にトランスフェクトしたHEK細胞に対する結合を示さなかった。

0146

実施例4 − 抗PD−L1/TGFβ TrapがTGFβ誘導性SMAD3リン酸化を阻害する能力の決定
抗PD−L1/TGFβ TrapがTGFβを中和する能力を、SMAD3−ルシフェラーゼレポーターを有する4T1細胞を使用して決定した。以下に詳述するこのアッセイでは、SMAD3プロモーターの制御下にあるルシフェラーゼレポーターを使用してTGFβ誘導性SMAD3リン酸化の阻害を計測した。

0147

TGFβ誘導性レポーター活性の阻害に対する有効性を評価する例示的アッセイを以下のとおり実施した。
1.試験前日、SMAD3−ルシフェラーゼレポーターを有する4T1細胞を供給した。
2.0日目、Biocoatの96ウェルプレートに100μlの新鮮培地中5×104細胞/ウェルの濃度で細胞をプレーティングし、37℃及び5%CO2で一晩インキュベートした。
3.1日目:
i.指示濃度の抗PD−L1/TGFβトラップ被験試料又はその対照が入った50μlの新鮮完全培地をウェルに加え、1時間インキュベートした。試料は全て、トリプリケートで試験した。
ii.20ng/mlヒトTGFβが入った50μlの新鮮完全培地を各ウェルに加え、試料を一晩インキュベートした(ウェルの最終濃度は5ng/mlである)。
4.2日目:
i.100μ1の培養上清を取り出し、150μg/ml D−ルシフェリンを含有する100μlの新鮮完全培地を加え、試料を少なくとも5分間インキュベートした。
ii.Envision 2104プレートリーダーを使用してCPMを記録することにより、ルミネセンスを計測した。
5.MS Excel又はGraphpad prism 5を使用してデータを分析した。ルシフェラーゼ活性はCPMとして記録した。阻害活性(%)を、以下の式を用いて計算した:
阻害(%)=(1−試料のCPM/抗PD−L1処理試料のCPM最大値)×100
6.Graphpad prism 5のシグモイド用量反応(傾き可変)を使用して非線形回帰フィッティングを行った。IC50値を計算した。

0148

図4は、抗PD−L1/TGFβ TrapがTGFβ誘導性pSMAD3レポーター活性を用量依存的に阻害することを示す。抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap対照が同等の有効性及びIC50(最大活性の50%を阻害するのに必要な濃度)を有したことと、加えて、抗PD−L1抗体が効果を有しなかったことから、このシグナル伝達阻害が抗PD−L1活性と独立していることが示された。意外にも、抗PD−L1/TGFβ Trapは、融合タンパク質のC末端ではなくN末端にTGFβRIIが置かれるTGFβRII−Fc(R&D Systems)よりも数倍強力であった。また、抗PD−L1/TGFβ Trapが、進行悪性黒色腫又は腎細胞癌患者で試験された抗TGFβ抗体の1D11(GC1008)(Morris et al., J Clin Oncol 2008; 26:9028 (Meeting abstract))よりも有意に強力であることも注目に値する。このアッセイでは、1D11及びTGFβRII−Fcは同程度の活性を示した。

0149

実施例5 −マウスにおける薬物動態(PK)分析
18匹の雄C57BL/6マウス、5〜6週齢を3群(N=6匹/群)に無作為割り当て、各群に3つのタンパク質(抗PD−L1/TGFβ Trap、抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap、及び抗PD−L1)のうちの1つを投与した。投与前にマウス体重を記録した。加熱灯の下で短時間温めた後、各マウスに、その体重に関わらず200μl中120μgのタンパク質を尾静脈から静脈内(IV)投与した。同じタンパク質を投与した各群を2つのサブ群(n=3匹)にさらに分割した。血液試料を2つのサブ群の各々から交互に採取し、即ち1時間、24時間、72時間、及び168時間の時点で血液試料のため1つのサブ群を抜き取り、一方、7時間、48時間、120時間、及び240時間の時点で血液試料のためもう1つのサブ群を抜き取った。各時点につき、ヘパリン処理マイクロガラス毛細管(容量100μl)を使用して各マウスの尾静脈から約50μlの血液試料を採取した。次にヘパリンLiでプレコーティングされたチューブに血液試料を移し、4℃で保管した。採取から10分以内に血液試料を14,000rpmで10分間スピンした。新しい一組の予め表示を付したチューブに少なくとも20μlの血漿試料を移し、分析日まで−20℃で保存した。

0150

全ヒトIgGを計測するためのELISAでは、ヤギ抗ヒトIgG(H+L)(重鎖及び軽鎖)(Jackson ImmunoResearch Laboratories)でコーティングしたウェルを捕捉に使用し、及びペルオキシダーゼ−AffiniPureマウス抗ヒトIgG、F(ab’)2(Jackson ImmunoResearch Laboratories)を検出に使用した。完全に機能性の抗PD−L1抗体及び/又は融合タンパク質を計測するためのELISAでは、PD−L1−Fc(Fcに融合したヒトPD−L1の細胞外ドメイン)でコーティングしたウェル(1.25μg/mlでコーティングした)を捕捉に使用し、及びペルオキシダーゼ−AffiniPureマウス抗ヒトIgG、F(ab’)2を検出に使用した。完全に機能性の抗PD−L1及びインタクトなTGFβRIIを計測するためのELISAでは、PD−L1−Fcでコーティングしたウェルを捕捉に使用し、及びビオチン化抗ヒトTGFβRII(R&D Systems)を検出に使用した。

0151

図5Aは、抗PD−L1/TGFβ Trap融合タンパク質が抗PD−L1抗体と極めて類似したPKプロファイルを有したことを示している。例えば、全ヒトIgGELISAによって計測するとき、抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1の168時間の時点における血清濃度はそれぞれ16.8及び16.2μg/mlであり、0〜168時間の曲線下面積(AUC)はそれぞれ4102及び3841hr−μg/mlであった。同様に、全機能性抗PD−L1 ELISAによって血清濃度を計測したとき、抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1の168時間の時点における血清濃度はそれぞれ9.5及び11.1μg/mlであり、0〜168時間のAUCはそれぞれ3562及び3086hr−μg/mlであった。インタクトな抗PD−L1/TGFβ Trap融合タンパク質の血清濃度をELISA(完全に機能性の抗PD−L1及び融合したTGFβRIIを検出する)によって決定した。この場合、抗PD−L1/TGFβ Trapの血清濃度は168時間の時点で5.9μg/mlであり、AUC(0〜168時間)は2656hr−μg/mlであり、これは、恐らくは受容体介在性エンドサイトーシス後のTGFβRII部分の分解に起因して、完全に機能性の抗PD−L1 ELISAよりもやや低かった。PD−L1に対する抗体結合はPD−L1介在性エンドサイトーシスをもたらすことが示されており、及び抗体−X融合タンパク質は、受容体介在性エンドサイトーシス後にX部分の分解を起こすことが知られている(Gillies et al., Clin Cancer Res. 2002; 8:210-6)。これは、抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap対照のように抗体部分がPD−L1に結合しないとき曝露が約3倍高く、168時間の時点における血清濃度が53μg/mlであり、及びAUC(0〜168時間)が9585hr−μg/mlであるという図5の知見によって裏付けられ、クリアランスの少なくとも一部が受容体介在性であることが示唆される。

0152

抗PD−L1/TGFβ Trapと抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの間の約3倍の曝露の差を確認するため、薬物動態実験を繰り返し、血清試料中のインタクトな融合タンパク質の濃度を決定した。マウス(B6.129S2雌マウス、8週齢、Jackson Lab)に抗PD−L1/TGFβ Trap又は抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap(164μg/マウス)を注射した。これらの2つの融合タンパク質の血清濃度を、抗ヒトIgGFab(Jackson Immunoresearch、West Grove、PA)を捕捉に使用し、及びビオチン化抗ヒトTGFβRII(R&D Systems、Minneapolis、MN)及びペルオキシダーゼコンジュゲートストレプトアビジン(Zymed/ThermoFisher Scientific、Grand Island、NY)をインタクトな抗PD−L1/TGFβ Trapタンパク質の検出に使用するELISAによって計測した。種々の時点におけるインタクトな融合タンパク質の血清濃度を以下の表に示し、図5Bにプロットした。336時間までの総曲線下面積(AUC)は抗PD−L1/TGFβ Trapについて11781hr−μg/ml及び抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapについて35575hr−μg/mlであり(表1)、従ってTrap対照分子の3倍高い曝露が確認される。

0153

0154

実施例6 − 抗PD−L1/TGFβ TrapのPD−L1標的介在性エンドサイトーシス
受容体介在性エンドサイトーシスについて、Alexa Fluor 488クエンチ技法を用いて製造者プロトコル(Life Technologies、Carlsbad、CA)に従い試験した。簡潔に言えば、PD−L1を発現するHEK細胞(HEK/PD−L1細胞)を10μg/mlのAlexa Fluor 488コンジュゲート抗PD−L1/TGFβ Trapと共に氷上で約1時間インキュベートし、冷培地で4回洗浄した。次に洗浄した細胞を37℃で0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3及び4時間パルスしてインターナライズさせた。次に各時点の細胞試料を2つの部分に分割した。一方の部分は氷上でインキュベートし、細胞表面に結合し及びインターナライズしたAlexa Fluor 488コンジュゲート抗PD−L1/TGFβ Trapからの全蛍光を計測した;他方の部分は抗Alexa Fluor 488と共に4℃で約1時間インキュベートし、インターナライズしたAlexa Fluor 488コンジュゲート抗PD−L1/TGFβ Trapからのクエンチ不可能な蛍光を計測した。37℃における抗PD−L1/TGFβ Trapのクエンチ不可能な蛍光強度平均値(MFI)及び全MFIの時間経過を示すグラフを図6Aに示す。受容体介在性インターナリゼーション動態は抗PD−L1抗体(図6Bに示す)と極めて類似している。抗Alexa Fluor 488によるクエンチが100%でないことを説明する以下の式を使用した、37℃で種々の時点におけるHEK/PD−L1細胞に対する抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1の受容体介在性インターナリゼーション率を図6Cに示す。
インターナライズされた蛍光=全MFI−(全MFI−クエンチ不可能なMFI)/クエンチ効率

0155

実施例7 − 抗PD−L1/TGFβ Trapは、EMT−6(乳癌)皮下モデルにおいて抗PD−L1及びTGFβ Trap活性が相乗作用する優れた抗腫瘍効果を実証した
8〜12週齢の雌Jh(Igh−Jtm1Dhu)Balb/Cマウス(Taconic Farms、Hudson、NY)の右側腹部に0.1mlPBS中の0.5×106個のEMT6生細胞を皮下接種した。約5日後、腫瘍が20〜30mm3の平均サイズに達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始した(0日目)。群1には400μgのアイソタイプ抗体対照を週3回(又は「eod」(隔日)投与し;群2には400μgの抗PD−L1抗体を週3回投与し;群3には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを週3回投与し;群4には492μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを週3回投与し;群5には492μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを週2回投与し(400μgの抗PD−L1抗体と等モル);群6には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを週3回投与し;及び群7には55μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを週3回投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0156

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を、生存マウスの平均腫瘍容積を示した図7A、及び生存マウスの個々の腫瘍容積を示した図7Bに示す(腫瘍が2500mm3を超えるマウスは安楽死させる必要があったことに留意されたい)。抗PD−L1/TGFβ Trapは強力な抗腫瘍効力を実証し、28日目に高用量群(492μg、群4)、中用量群(164μg、群6)、及び低用量群(55μg、群7)について、それぞれ0.30、0.40、及び0.44のT/C比を達成した)。抗PD−L1抗体(群2、16日目(全てのマウスの平均腫瘍容積が利用可能であった最後の日、即ち、腫瘍が2500mm3を超えるマウスを安楽死させる前)のT/C=0.87、p>0.05)又はTGFβ Trap対照(群2、16日目のT/C=0.97、p>0.05)単独は、このモデルでは僅かな効力であったが、これらの2つの薬剤を単一の分子に組み合わせると、相乗的な抗腫瘍効果がもたらされた。これは、492μg用量(週3回投与及び週2回投与についてそれぞれ58日及び80日超)及び164μg用量(35日)の融合タンパク質について観察された生存期間中央値から明らかである(ログランク検定:p<0.0001)(図7C)。重要なことに、生存期間中央値が35日であった164μgの中用量の抗PD−L1/TGFβ Trap(群6)が、同じ用量の抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap(群3)又は均等用量の3倍の抗PD−L1(群2)(これらは両方ともにそれぞれ22日の生存期間中央値を生じた)と比べてはるかに有効性が高かった(ログランク検定:p<0.0001)。164μg用量のPD−L1(mut)/TGFβ TrapのTGFβ Trap部分の曝露は164μg用量のPD−L1/TGFβ Trapと比べて、後者の受容体介在性クリアランスに起因して約3倍高いはずであるため(実施例5及び6を参照)、この相乗的な抗腫瘍活性は特に目を引く。高用量の抗PD−L1/TGFβ Trapの投与を受けたマウスの腫瘍が18日目に投与を中止した後も退縮し続けたことは注目すべきであり(群4の10匹中3匹及び群5の10匹中6匹が78日目に完全退縮を得た)、2つの免疫抑制機構を同時に標的化することの持続的な免疫性抗腫瘍効果を実証している(図7C)。また、群4の効力が群5の効力より良いわけではなかったことも注目に値し、週2回投与の492μgの用量がほぼ飽和用量であったか、又は週3回投与の492μgより最適な投与レジメンであったことが示唆される。

0157

腫瘍が完全に退縮したマウスを25,000個のEMT6生細胞の皮下注射によって攻撃したとき、抗PD−L1/TGFβ Trap治療によって誘発された抗腫瘍免疫保護作用が明らかであった。対照群の10匹全ての未治療マウスでは攻撃後18日目までに726mm3の平均腫瘍容積になるまで腫瘍が発達したが、事前にPD−L1/TGFβ Trapで治療した11匹のマウス(群4の3匹、群5の6匹、並びに群6及び群7の各1匹)は、いずれも腫瘍成長の徴候を示さなかった。

0158

実施例8 − 抗PD−L1/TGF−β TrapはMC38(結腸直腸癌)皮下腫瘍モデルにおいて強い相乗的抗腫瘍活性を示した。
8〜12週齢の雌B6.129S2−Ighmtm1Cgn/Jマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)の右側腹部に0.1mlPBS中0.5×106個のMC38腫瘍生細胞を皮下注射した。約8日後、平均腫瘍サイズが約80〜100mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始した(0日目)。群1には400μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には400μgの抗PD−L1抗体を投与し;群3には133μgの抗PD−L1抗体を投与し;群4には492μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群5には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群6には492μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;及び群7には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与した。治療は週3回、2週間にわたり投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0159

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を図8に示す。試験19日目、抗PD−L1/TGFβ Trapは強力な用量依存的抗腫瘍効力を実証し、高用量群(492μg、群6)及び低用量群(164μg、群7)について、それぞれ0.18(p<0.001)及び0.38(p<0.001)のT/C比を達成した。他方で、抗PD−L1又は抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapのいずれも、抗腫瘍活性は全く示さなかった。従って、抗PD−L1抗体及びTGFβ Trap部分を1つの分子に組み合わせてこれらの2つの免疫抑制機構を同時に標的化するとき、強い相乗的抗腫瘍活性が得られた。

0160

実施例9 − 抗PDL1/TGFβ Trapは転移性乳癌のEMT−6同所性モデルにおいて有効であった。
8〜12週齢の雌Jh(Igh−Jtm1Dhu)Balb/Cマウス(Taconic Farms、Hudson、NY)の右乳房脂肪体に0.1mlPBS中0.25×106個のEMT6生細胞を接種した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約50mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始した(0日目)。群1には133μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には133μgの抗PD−L1抗体を投与し;群3には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群4には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;及び群5には133μgの抗PD−L1と164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与した。治療を0、2、4、7、9、11日目に繰り返した(即ち2週間にわたり週3回)。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0161

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を図9に示す。抗PD−L1/TGFβ Trapは強力な抗腫瘍効力を実証し、21日目に0.03(p<0.001)のT/C比を達成した。他方で、等モル用量の抗PD−L1又は抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapは有効性が低く、それぞれ0.31(p<0.001対群1;p<0.001対群4)及び0.68(p<0.001対群1;p<0.001対群4)のT/C比となった。等モル用量の抗PD−L1と抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの併用療法では、融合タンパク質とほぼ等しい抗腫瘍効力が達成されたが、融合タンパク質(群4)のTGFβ Trapの曝露は、薬物動態分析に基づけば、併用(群5)における抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapの約3分の1の低さであると推定された(実施例5を参照)。また、群4及び群5の腫瘍が最終投与日の後に退縮し続けたことも注目すべきであり、例えば、抗PD−L1/TGFβ Trap治療について平均腫瘍サイズは最終投与日である11日目の212mm3から24日目の26mm3まで減少し、2つの免疫抑制機構を同時に標的化することの持続的な免疫性抗腫瘍効果が実証された。

0162

実施例10 − 抗PD−L1/TGFβ Trapは筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおいて抗PD−L1とTGFβ Trapとの併用よりも優れた抗腫瘍効力を有する。
8〜12週齢の雌B6.129S2−Ighmtm1Cgn/Jマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)の右大腿に0.1mlPBS中0.5×106個のMC38腫瘍生細胞を筋肉内注射した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約50mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=8匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始し(0日目)、2日後(2日目)に再び繰り返した。群1には400μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には400μgの抗PD−L1抗体を投与し;群3には133μgの抗PD−L1抗体を投与し;群4には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群5には492μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;群6には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;及び群7には133μgの抗PD−L1と164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0163

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を図10に示す。抗PD−L1/TGFβ Trapは極めて強力な抗腫瘍効力を実証し、15日目に高用量群(492μg、群5)及び低用量群(164μg、群6)について、それぞれ0.024(p<0.001)及び0.052(p<0.001)のT/C比を達成した。他方で、等モル用量の抗PD−L1は有効性が低く、高用量群(400μg、群2)及び低用量群(133μg、群3)について、それぞれ0.59(p<0.001)及び0.45(p<0.001)のT/C比となった。164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap(群4)は全く有効性がなく、この用量は低用量抗PD−L1/TGFβ Trap群(群6)と等モルであるものの、薬物動態の違いに起因してTGFβ Trapの曝露は高用量抗PD−L1/TGFβ Trap群(群5)と非常に類似しているはず(実施例5を参照)であることが指摘されなければならない。従って、このデータからは、抗PD−L1/TGFβ Trapがこのモデルにおいて強力な相乗的抗腫瘍活性を有したことが実証された。特に、抗PD−L1/TGFβ Trapが、等モル用量の抗PD−L1と抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの併用療法(約3倍高いTGFβ Trap曝露にも関わらず(実施例5を参照)0.16のT/C比を有した(p<0.001対群1及びp>0.05対群6))よりも有効性が高かったことは注目に値する。加えて、抗PD−L1/TGFβ Trap治療により10匹中4匹のマウスが完全な腫瘍退縮を有したが、一方、抗PD−L1とTrap対照との併用で完全な腫瘍退縮が生じたのは10匹中2匹のマウスに過ぎなかった(データは示さず)。また、抗PD−L1/TGFβ Trapによって治療したマウスの腫瘍が2日目の最終投与日の後も退縮し続け、以降(少なくとも102日目まで)完全に退縮したままであったことも注目すべきであり、この融合タンパク質の強い持続的な免疫性抗腫瘍効果を実証している。理論によって拘束されるものではないが、これらのデータは、抗PD−L1/TGFβ Trap融合タンパク質が2つの主要な免疫エスケープ経路を遮断する相乗効果を生かすのみならず、単一分子実体によって腫瘍微小環境を標的化するため併用療法より優れた機構であることを裏付けている。腫瘍細胞又は覆された(subverted)免疫細胞(例えば腫瘍関連マクロファージ、骨髄由来サプレッサー細胞)によって分泌される多くの免疫抑制サイトカインはオートクリン又はパラクリン機能を有する。従って、抗PD−L1/TGFβ Trapは、PD−L1+腫瘍細胞に対する結合を介してTGFβ Trapを腫瘍微小環境に送達する能力を有し、そこでTrapが、局所的に分泌されるTGFβを中和する。加えて、単に結合したTGFβが循環中に蓄積するシンクのように作用するのでなく、抗PD−L1/TGFβ Trap結合TGFβはPD−L1受容体介在性エンドサイトーシスによって有効に破壊され得る(実施例5及び6)。

0164

実施例11 −転移性乳癌のEMT−6同所性モデルにおける均等な曝露の抗PDL1/TGFβ Trap又は抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用による治療
等モル用量で、抗PDL1/TGFβ Trapは同所性EMT−6乳癌モデルにおいて抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用と同程度の効力を有した(実施例9)。以下の試験では、均等な曝露となるように投与した抗PDL1/TGFβ Trap又は抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用の効力を調べた。

0165

8〜12週齢の雌Jh(Igh−Jtm1Dhu)Balb/Cマウス(Taconic Farms、Hudson、NY)の右乳房脂肪体に0.1mlPBS中0.25×106個のEMT6生細胞を接種した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約80mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=12匹)に分類し、0日目に静脈内注射による治療を開始し、7日後に繰り返した。群1には133μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;群3には55μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;群4には133μgの抗PD−L1と55μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与し;及び群5には44.3μgの抗PD−L1と18.3μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告し、ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である。

0166

治療は全て良好に忍容された。抗PD−L1/TGFβ Trap及び併用療法は試験した両方の用量レベルで強力な抗腫瘍効力を実証した。

0167

実施例12 − 抗PD−L1/TGFβ Trapは筋肉内MC38結腸直腸癌モデルにおいて均等な曝露を提供するように投与した抗PD−L1とTGFβ Trapとの併用よりも優れた抗腫瘍効力を有する。
実施例10の結果から、抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap対照の生体内曝露が抗PD−L1/TGFβ Trapの生体内曝露の約3倍であるにも関わらず(実施例5)、抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用と比べて等モル用量の抗PD−L1/TGF−β Trapがより優れた抗腫瘍効力を有することが示唆された。フォローアップ試験において、等しい曝露に基づく抗PD−L1/TGFβ Trap及び抗PD−L1と抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの併用の抗腫瘍効力を比較した。実施例10より低い用量を投与して近飽和レベルの投与を回避した。

0168

8〜12週齢の雌B6.129S2−Ighmtm1Cgn/Jマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)の右大腿に0.1mlPBS中0.5×106個のMC38腫瘍生細胞を筋肉内注射した。1週間後、平均腫瘍サイズが約200mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=12匹)に分類した。静脈内注射による治療を開始し(0日目)、4日目に再び繰り返した。群1には133μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には164μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;群3には55μgの抗PD−L1/TGFβ Trapを投与し;群4には133μgの抗PD−L1と55μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与し;及び群5には44.3μgの抗PD−L1と18.3μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式:腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告し、ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である。

0169

治療は全て良好に忍容された。抗PD−L1/TGFβ Trapは極めて強力な抗腫瘍効力を実証し、9日目に中用量群(164μg、群2、実施例10で飽和しているように見えた492μgの高用量に対して中用量と称する)及び低用量群(55μg、群3)について、それぞれ0.13(p<0.001)及び0.19(p<0.001)のT/C比を達成した。他方で、抗PD−L1と抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの併用は有効性が低く、中用量群(群4)及び低用量群(群5)について、それぞれ0.34(p<0.001)及び0.37(p<0.001)のT/C比となった(図12A又は表)。特に、抗PD−L1抗体及びTGFβ Trap成分の均等な生体内曝露を提供するように投与したとき、抗PD−L1/TGFβ Trapが両方の用量レベルで抗PD−L1と抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの併用療法と比べて有意に効力が高かったことは注目に値する(中用量では、抗PD−L1/TGFβ Trapについて0.13、対して併用について0.34のT/C p<0.0001(図12B);低用量では、抗PD−L1/TGFβ Trapについて0.19、対して併用について0.37のT/C p<0.0001(図12C))。

0170

実施例13 − 抗PD−L1(YW)/TGFβ TrapはEMT−6(乳癌)同所性モデルにおいて抗PD−L1及びTGFβ Trap活性が相乗作用する優れた抗腫瘍効果を有する。
YW243.55S70は、ヒト及びマウスの両方のPD−L1を認識するヒト抗体である(米国特許出願公開第2010/0203056 Al号)。標準的な分子生物学的技法によってその重鎖の可変領域配列(VH)及び軽鎖の可変領域配列(VL)(それぞれ配列番号14及び配列番号13として提供される)を使用して実施例1に記載する抗PD−L1/TGFβ Trapの対応する可変領域配列を置換し、抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapを得た。抗PD−L1(YW)/TGFβ TrapをコードするDNAの構築後、この抗体融合タンパク質を実施例1に記載するとおり発現させた。マウス腫瘍モデルにおける効力の比較のため、抗PD−L1抗体YW243.55S70も同様に発現させる。

0171

8〜12週齢の雌Jh(Igh−Jtm1Dhu)Balb/Cマウス(Taconic Farms、Hudson、NY)の右乳房脂肪体に0.1mlPBS中0.25×106個のEMT6生細胞を接種した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約50〜100mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始した(0日目)。群1には133μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には133μgの抗PD−L1(YW)抗体を投与し;群3には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群4には164μgの抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapを投与し;及び群5には133μgの抗PD−L1(YW)と164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapとの組み合わせを投与した。治療を4及び7日目に繰り返した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式、腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告し、ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である。

0172

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を図13Aに示し、この図には、17日目(全てのマウスの平均腫瘍容積が利用可能であった最後の日、即ち腫瘍が2500mm3を超えるマウスを安楽死させる前)のマウスの平均腫瘍容積を示した。抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapは強力な抗腫瘍効力を実証し、群5の併用治療(T/C=0.31、p<0.0001)よりやや良好な、しかし群2の抗PD−L1(YW)抗体(T/C=0.57、p<0.0001)及び群3のTGFβ Trap対照(T/C=0.66、p<0.0001)より優れた0.25(p<0.0001)のT/C比を達成した。抗体融合タンパク質の相乗的な抗腫瘍効果はまた、図13Bに示すとおり、治療マウスの生存の延長ももたらした。抗PD−L1/TGFβ Trap治療群は65日の生存期間中央値を有し、これは抗PD−L1(YW)抗体治療群(24日)又はTGFβ Trap対照治療群(21日)と比べて有意に良好であった。また、これは併用治療群の53.5日の生存期間中央値と比べても遜色がない。7日目以降は投与を中止したにも関わらず、抗PD−L1(YW)/TGFβ Trap治療マウスでは引き続き腫瘍成長が阻害され、生存が延長したことから、2つの主要な免疫抑制経路の二重遮断によって生じる持続的な免疫性抗腫瘍効果が実証される。

0173

実施例14 − 抗PD−L1(YW)/TGF−β Trapは、MC38(結腸直腸癌)筋肉内腫瘍モデルにおいて抗PD−L1及びTGFβ Trap活性が相乗作用する優れた抗腫瘍効果を有する
8〜12週齢の雌B6.129S2−Ighmtm1Cgn/Jマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME)の右大腿に0.1mlPBS中0.5×106個のMC38腫瘍生細胞を筋肉内注射した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約150〜200mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始し(0日目)、4日後(4日目)に再び繰り返した。群1には133μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には133μgの抗PD−L1(YW)抗体を投与し;群3には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trapを投与し;群4には164μgの抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapを投与し;及び群5には133μgの抗PD−L1(YW)と164μgの抗PD−L1(mut)/TGF−β Trapとの組み合わせを投与した。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式、腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0174

治療は全て良好に忍容された。種々の治療による腫瘍成長阻害を図14Aに示し、この図には、全てのマウスの平均腫瘍容積が利用可能であった最後の日である10日目のマウスの平均腫瘍容積を示した。抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapは極めて強力な抗腫瘍効力を実証し、群5の併用治療(T/C=0.19、p<0.0001)よりやや良好な、しかし群2の抗PD−L1(YW)抗体(T/C=0.34、p<0.0001)及び群3のTGFβ Trap対照(T/C=0.99、p<0.0001)(このモデルでは活性を有しなかった)より優れた0.14(p<0.0001)のT/C比を達成した。抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapの抗腫瘍効力は、11日目に取った腫瘍重量計測値によってさらに確認された。この時点までに、アイソタイプ対照群は腫瘍が2500mm3を超えるまで成長していたため安楽死させなければならなかった。従って、実験を終了し、全ての群を安楽死させ、腫瘍重量を測定した。個々の腫瘍重量は図14Bに示す。腫瘍重量の分析から、抗PD−L1(YW)/TGFβ Trap療法はMC38腫瘍成長を有意に阻害した(T/C=0.13;p<0.0001)ことが確認された。抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapの効力は、抗PD−L1(T/C=0.37;p=0.003)又はTGFβ Trap対照(T/C=1.0、p<0.0001)で観察されたものと比べて有意に良好であった。抗PD−L1(YW)/TGFβ Trapの抗腫瘍効力は、腫瘍重量分析に基づけば、抗PD−L1とTGFβ Trap対照との併用で治療したマウス(T/C=0.17;p=0.96)と比べて統計的に良好でなかった。

0175

実施例15 − 抗PD−1とTGFβ Trapとの併用治療はEMT−6(乳癌)同所性モデルにおいて相加的抗腫瘍効果をもたらさない
この試験では、本発明者らは、抗PD−1とTGFβ Trapとの併用治療がEMT−6同所性モデルにおいて何らかの相加的抗腫瘍効果をもたらすかどうかを調べた。ピジルズマブ(pidiluzumab)としても知られるCT−011は、血液悪性腫瘍の治療に関して臨床で試験されたヒト化抗ヒトPD1抗体である(Berger et al, Clin Cancer Res. 2008; 14:3044-3051)。これは海洋生物PD−1も認識し、同系腫瘍モデルにおいてシクロホスファミド及びワクチン治療と相乗作用する抗腫瘍活性を示している(Mkrtichyan et al., Eur J Immunol. 2011; 41:2977-86)。CT−011のVH及びVL配列を使用して、標準的な分子生物学的技法によりヒトIgG1/κ定常領域を含む組換え抗体を作製した。

0176

8〜12週齢の雌Jh(Igh−Jtm1Dhu)Balb/Cマウス(Taconic Farms、Hudson、NY)の右乳房脂肪体に0.1mlPBS中0.25×106個のEMT6生細胞を接種した。約1週間後、平均腫瘍サイズが約100mm3に達したとき、全ての群の平均腫瘍サイズが同程度になるようにマウスを群(N=10匹)に分類し、静脈内注射による治療を開始した(0日目)。群1には364μgのアイソタイプ抗体対照を投与し;群2には164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap(これはTGFβ Trap対照としての役割を果たした)を投与し;群3には200μgの抗PD−1(CT−011)を投与し;及び群4には200μgの抗PD−1(CT−011)と164μgの抗PD−L1(mut)/TGFβ Trap対照との組み合わせを投与した。治療は2、4、7、9、及び11日目に繰り返し、即ち2週間にわたり週3回とした。体重を週2回計測して毒性をモニタした。種々の時点で式、腫瘍容積(mm3)=長さ×幅×高さ×0.5236を使用して腫瘍容積を決定した。腫瘍が2500mm3を超えるマウスは全て、施設の動物の健康に関するプロトコルに従い犠牲にした。抗腫瘍効力はT/C比として報告した(ここでT及びCは、それぞれ、抗体又は融合タンパク質で治療した群、及びアイソタイプ対照で治療した群の平均腫瘍容積である)。

0177

治療は全て良好に忍容された。抗PD−1(CT−011)は、このモデルでは極めて低い抗腫瘍効力を示し(T/C=0.87、p>0.05)、一方、TGFβ Trap対照とのその併用はTGFβ Trap対照単独と同じ効力であった(図15)。

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