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技術 ダイズの収量予測方法

出願人 花王株式会社
発明者 藤松輝久遠藤圭二
出願日 2020年4月16日 (10ヶ月経過) 出願番号 2020-073359
公開日 2020年10月29日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-174668
状態 未査定
技術分野 その他の電気的手段による材料の調査、分析 植物の栽培
主要キーワード 単相関係数 当ピーク ビーズ粉砕機 収量予測 予測時期 選抜候補 アラインメント処理 選抜試験
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月29日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

ダイズの収量を早期に精度よく予測する方法を提供する。

解決手段

ダイズから採取された葉サンプルから1以上の成分の分析データを取得し、当該データとダイズ収量との相関性を利用してダイズの収量を予測する、ダイズの収量予測方法

概要

背景

ダイズは、重要な穀物であり、日本を始め世界中で広く食されている。また他の代表的な穀物である米、麦、トウモロコシと異なり、タンパク質及び脂質の割合が高く栄養価豊富である。そのため飼料油脂原料としても重要であり、収量を増加させる技術の開発が行われている。
ダイズの生育期間は、品種栽培条件によって若干異なるが、通常、播種から収穫まで4−5か月という長期間を要する。よって、ダイズの収量を増加させる技術の開発において、収量評価を行うには栽培に多くの時間を必要とする。更に、日本のような季節気候条件では、収穫まで4−5か月を要するダイズの栽培は年に1回が一般的である。屋外栽培での収量評価が年に1度しかできず収量増加技術の開発の障害となっていることから、早期に収量を予測する方法が求められてきた。また、実際の生産場面において、早期に収量を予測することができれば、生産者は安定した収量確保のために費用コストのかかる追加技術を投入すべきかどうかの判断を容易に下すことができる。

これまでにも生育中の植物体発育状態と収量との相関性を利用した早期に収量性を評価する方法が種々検討されている。例えば、非特許文献1ではダイズの播種後40日程度に測定した主茎長と収量との相関(r=0.51)を利用する方法、非特許文献2では、播種後60−70日程度に測定した地上部乾燥重量と収量との相関(r=0.66)を利用する方法が開示されている。また、非特許文献3及び4では、画像診断技術を用いて、圃場においてNDVI正規化植生指標)やLAI葉面積指数)及び群落分光反射率を測定し、生育や収量性を評価する試みが開示されている。

しかしながら、非特許文献1の方法は、比較的早期に収量を予測できる可能性がある一方で相関性が十分でなく、また非特許文献2の方法では相関性は向上するものの予測時期が栽培開始から2か月以上であり生育期間の半分が経過すること、及び地上部乾燥重を測定するため侵襲的であり、個体毎の予測因子と収量とを対応させたい場合の評価には向いていない。非特許文献3及び4の方法は非破壊簡易的な測定であるといえるが、予測時期が開花期、すなわち播種後50日前後以降になること、また精度の面でも十分とは言えない。

このほかイネにおいて、播種後15日程度の地上部から抽出される代謝物GC−MSにより網羅的に測定し、それらのデータを用いてハイブリッドライス収量予測モデルを作成したことが報告されているが(非特許文献5)、この報告では、通常の予測モデル構築の際に行われるクロスバリデーションというモデルの予測性評価が行われておらず、検証が十分とは云えない。また、侵襲的であり、個体毎の予測因子と収量とを対応させたい場合の評価には向いていない。

概要

ダイズの収量を早期に精度よく予測する方法を提供する。 ダイズから採取された葉サンプルから1以上の成分の分析データを取得し、当該データとダイズ収量との相関性を利用してダイズの収量を予測する、ダイズの収量予測方法。なし

目的

本発明は、ダイズの収量を早期に精度よく予測する方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ダイズから採取された葉サンプルから1以上の成分の分析データを取得し、当該データとダイズ収量との相関性を利用してダイズの収量を予測する、ダイズの収量予測方法

請求項2

前記1以上の成分の分析データをpooledQC法により補正する、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記1以上の成分の分析データを内部標準物質により補正する、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記成分が、質量分析により提供される精密質量(m/z)が139〜1156である成分から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項5

前記成分が、質量分析により提供される精密質量(m/z)で規定された、下記表1a〜1cに記載の成分から選ばれる1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。

請求項6

成分が、表1a〜1cに記載の成分No.13、14、17、20、21、22、23、28、35、36、37、39、41、42、44、47、48、51、52、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、91、96、98、99、100、107、108、110、122、125、131、134、135、137、139、142、149、150、153、157、159、160、161、171、174、176、179、181、182、188、202、208、209、214、215、217、218、228、230、235、244、245、246、247、249、251、252、253、261、264、268、275、278、279、280、282、283、284、288、294、296、298、299、305、308、310、313、317、325、327、329、330、341、347、353、355、356、363、367、369、370、384、389、395、421、422、423、428及び431から選ばれる1種以上である請求項5に記載の方法。

請求項7

成分が、表1a〜1cに記載の成分No.14、22、23、36、37、41、42、51、52、68、90、122、139、149、159、214、228、230、235、247、249、252、253、268、275、278、284、288、298、305、308、313、317、329、347、363、395、421、422及び428から選ばれる1種以上である請求項5に記載の方法。

請求項8

成分が、表1a〜1cに記載の成分No.14、23、36、37、41、51、68、90、122、149、214、230、235、247、249、252、275、284、298、305、308、313、317、347、363、421、422及び428から選ばれる1種以上である請求項5に記載の方法。

請求項9

成分が、ソヤサポニンBb;組成式がC21H22O11で示され、アグリコンの組成式がC15H12O6のデヒドロフラボノールグルコースが結合したモノグルコシド体;組成式がC33H40O19で示され、アグリコンの組成式がC15H10O6のフラボノールにグルコース1個とラムノース2個が結合したトリグリコシド体;及び組成式がC21H22O12で示され、アグリコンの組成式がC15H12O7であるデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体から選ばれる1種以上を含む、請求項5に記載の方法。

請求項10

葉サンプルが、初生葉展開期から子実肥大期のダイズから採取される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。

請求項11

葉サンプルが、初生葉展開期から開花期までのダイズから採取される、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。

請求項12

分析データが、質量分析データである請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。

請求項13

葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表1a〜1cに記載の成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、請求項5〜12のいずれか1項に記載の方法。

請求項14

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位10個の中から少なくとも2個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項15

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位22個の中から少なくとも2個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項16

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位63個の中から少なくとも3個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項17

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位94個の中から少なくとも4個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項18

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位95個の中から少なくとも5個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項19

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位126個の中から少なくとも6個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項20

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位137個の中から少なくとも7個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項21

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位138個の中から少なくとも8個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項22

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位139個の中から少なくとも9個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項23

収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位160個の中から少なくとも10個を用いる、請求項13に記載の方法。

請求項24

VIP値が、前記表1a〜1cに記載の成分全ての成分情報を用いて構築された収量予測モデルによって算出される、請求項14〜23のいずれか1項に記載の方法。

請求項25

葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表1a〜1cに記載の成分から選抜された下記表6a〜6dに記載の成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、請求項5に記載の方法。

請求項26

葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表1a〜1cに記載の成分から選抜された下記の100成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、請求項3に記載の方法、成分No.7、15、17、20、21、22、23、35、37、39、42、44、51、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、93、95、108、116、122、131、139、149、153、157、158、160、161、165、171、176、179、187、208、214、223、227、233、237、245、252、253、261、278、279、282、283、284、294、298、299、300、304、305、308、309、310、313、316、317、318、320、325、327、328、329、330、331、352、353、355、356、357、358、359、362、363、367、380、381、385、388、389、390、392、395、396、399、421、422、428、431。

請求項27

収量予測モデルが、OPLS法を用いて構築されたモデルである請求項13〜26のいずれか1項に記載の方法。

請求項28

収量予測モデルが、機械学習回帰分析手法を用いて構築されたモデルである請求項13〜26のいずれか1項に記載の方法。

技術分野

0001

本発明はダイズの収量を早期に予測する方法に関する。

背景技術

0002

ダイズは、重要な穀物であり、日本を始め世界中で広く食されている。また他の代表的な穀物である米、麦、トウモロコシと異なり、タンパク質及び脂質の割合が高く栄養価豊富である。そのため飼料油脂原料としても重要であり、収量を増加させる技術の開発が行われている。
ダイズの生育期間は、品種栽培条件によって若干異なるが、通常、播種から収穫まで4−5か月という長期間を要する。よって、ダイズの収量を増加させる技術の開発において、収量評価を行うには栽培に多くの時間を必要とする。更に、日本のような季節気候条件では、収穫まで4−5か月を要するダイズの栽培は年に1回が一般的である。屋外栽培での収量評価が年に1度しかできず収量増加技術の開発の障害となっていることから、早期に収量を予測する方法が求められてきた。また、実際の生産場面において、早期に収量を予測することができれば、生産者は安定した収量確保のために費用コストのかかる追加技術を投入すべきかどうかの判断を容易に下すことができる。

0003

これまでにも生育中の植物体発育状態と収量との相関性を利用した早期に収量性を評価する方法が種々検討されている。例えば、非特許文献1ではダイズの播種後40日程度に測定した主茎長と収量との相関(r=0.51)を利用する方法、非特許文献2では、播種後60−70日程度に測定した地上部乾燥重量と収量との相関(r=0.66)を利用する方法が開示されている。また、非特許文献3及び4では、画像診断技術を用いて、圃場においてNDVI正規化植生指標)やLAI葉面積指数)及び群落分光反射率を測定し、生育や収量性を評価する試みが開示されている。

0004

しかしながら、非特許文献1の方法は、比較的早期に収量を予測できる可能性がある一方で相関性が十分でなく、また非特許文献2の方法では相関性は向上するものの予測時期が栽培開始から2か月以上であり生育期間の半分が経過すること、及び地上部乾燥重を測定するため侵襲的であり、個体毎の予測因子と収量とを対応させたい場合の評価には向いていない。非特許文献3及び4の方法は非破壊簡易的な測定であるといえるが、予測時期が開花期、すなわち播種後50日前後以降になること、また精度の面でも十分とは言えない。

0005

このほかイネにおいて、播種後15日程度の地上部から抽出される代謝物GC−MSにより網羅的に測定し、それらのデータを用いてハイブリッドライス収量予測モデルを作成したことが報告されているが(非特許文献5)、この報告では、通常の予測モデル構築の際に行われるクロスバリデーションというモデルの予測性評価が行われておらず、検証が十分とは云えない。また、侵襲的であり、個体毎の予測因子と収量とを対応させたい場合の評価には向いていない。

先行技術

0006

田与一ら、平成21年度「関東東海農業」研究成果情報、「重粘度地帯におけるダイズ「エンレイ」の多収事例に基づく収量構成要素生育指標」、http://www.naro.affrc.go.jp/org/narc/seika/kanto21/12/21_12_04.html
井上健一、高橋正樹、第229回日本作物学講演会要旨集、2010、p50、「物質生産窒素蓄積から見たダイズの多収生育相
友也ら、第245回日本作物学会講演会要旨集、2018、p83、「ダイズの簡易的な開花生育診断技術」
渡邊智也ら、第245回日本作物学会講演会要旨集、2018、p84、「非破壊計測と畳み込みニューラルネットワークを利用したダイズの収量評価」
Dan,Z.et al., Scientific Reports,2016,6,21732

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、ダイズの収量を早期に精度よく予測する方法を提供することに関する。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、ダイズの収量性評価について種々検討した結果、葉中に含まれる代謝物にはその存在量が収量と相関する成分があること、そして、播種後1か月程度という早期に展開葉を1枚採取し、葉中に含まれる成分を分析し、解析することで最終的な収量を個体レベルで評価できることを見出した。

0009

すなわち、本発明は、ダイズから採取された葉サンプルから1以上の成分の分析データを取得し、当該データとダイズ収量との相関性を利用してダイズの収量を予測する、ダイズの収量予測方法、を提供する。

発明の効果

0010

本発明の方法によれば、ダイズの収量を早期に予測できる。これにより、例えば、収量確保のための追加技術投入の判断が容易となるほか、収量増加技術の開発の大幅な効率化を図ることができる。

図面の簡単な説明

0011

全125データを用いて構築されたOPLSモデルによる収量の予測値実測値との関係を示す図。
全125データを用いて構築された機械学習モデルによる収量の予測値と実測値との関係を示す図。
学習用データ及び検証用データ各々の予測値と実測値との関係を示す図。全125個のデータマトリックスランダムに2群(学習用検証用)に分割し、一方の63個のマトリクスデータを学習用、残り62個のマトリクスデータを検証用として用いた。
図1のモデルにおけるVIP値11位以下全ての成分の分析データ、21位以下全ての成分の分析データ、31位以下全ての成分の分析データ・・・及び351位以下全ての成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位から10位までの成分の分析データの内、任意の2個の組み合わせ(45通り)についてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位と2位、11位と12位、21位と22位、・・・及び201位と202位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位と2位と3位、11位と12位と13位、21位と22位と23位、・・・及び221位と222位と223位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々モデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位と2位と3位と4位、11位と12位と13位と14位、21位と22位と23位と24位、・・・及び221位と222位と223位と224位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜5位、11位〜15位、21位〜25位、・・・及び251位〜255位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜6位、11位〜16位、21位〜26位、・・・及び281位〜286位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜7位、11位〜17位、21位〜27位、・・・及び281位〜287位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜8位、11位〜18位、21位〜28位、・・・及び281位〜288位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜9位、11位〜19位、21位〜29位、・・・及び281位〜289位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
図1のモデルにおけるVIP値上位1位〜10位、11位〜20位、21位〜30位、・・・及び281位〜290位の成分の分析データを用いてOPLS法により構築した各々のモデルのR2(図中ではR2Yと表示)値及びQ2(図中ではQ2と表示)値を示す図。
1データ当り100個の成分の分析データを用いて構築されたOPLSモデル(モデルA)による収量の予測値と実測値との関係を示す図。
試験区1〜10のモデルAを用いた収量予測の結果(試験区1との差)を示す図。
MI堆肥施用区におけるモデルAを用いた圃場予測収量を示す図。
MIX堆肥施用における圃場収量を示す図。
播種後2週間及び8週間でのモデルAを用いた予測収量と実測収量の比較を示す図。
圃場データ(1データ当り431個の成分の分析データ)を用いて構築されたOPLSモデルによる収量の予測値と実測値との関係を示す図。

0012

本発明において、ダイズとは、マメ科一年草である大豆(学名 Glycine max)を意味する。その品種はフクユタカ、エンレイ、里のほほえみ、湯上がり、リュウホウ、スズユタカ等、多岐にわたるが、本発明においてはそれに限定されるものではない。

0013

ダイズの出芽から落葉までの生育ステージは、VC初生葉展開期(播種後7日前後)、R1−2:開花期(播種後50日前後)、R3−4:着期(播種後70日前後)、R5−6:子実肥大期(播種後90日前後)に分けられる(Fehr, W.R., Caviness, C.E., 1977. Stages of soybean development. Cooperative Extension Service, Agriculture and Home Economics Experiment Station, Iowa State University, Ames, Iowa)。本発明において、サンプルとして使用されるダイズの葉の採取時期は、葉が採取可能な初生葉展開期(VC)から子実肥大期(R5−6)までの間に行われればよく、好ましくは初生葉展開期〜R3−4期、より好ましくは播種後14日〜R3−4期、より好ましくは播種後21日〜R1−2期、更に好ましくは播種後28日〜R1−2期のダイズが挙げられる。尚、上記各生育ステージにおける前後の日数幅は10日間以内が好適である。
或いは、ダイズの葉の採取時期は、播種後7日以上、好ましくは14日目以上、より好ましくは21日目以上、更に好ましくは28日以上で、且つ好ましくは播種後50日より前、より好ましくは播種後40日より前、更に好ましくは35日目より前であり得る。また、播種後7〜50日目、好ましくは14〜40日目、より好ましくは28〜35日目であり得る。例えば、播種後30日±3〜5日目のダイズから葉を採取するのが好適である。

0014

葉の採取部位は、特に限定されないが、例えば、最上位に展開する本葉の1又は2葉齢分古い本葉を構成する複葉3枚の内、中央の複葉を採取することが挙げられる。

0015

本発明において、取得される成分の分析データとしては、高速液体クロマトグラフィーHPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、イオンクロマトグラフィー質量分析(MS)、近赤外分光分析(NIR)、フーリエ変換赤外分光分析(FT−IR)、核磁気共鳴分析(NMR)、フーリエ変換核磁気共鳴分析(FT−NMR)、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)、液体クロマトグラフと質量分析とを組合せたLC/MS等の機器分析手段を用いて分析・測定されたデータが挙げられるが、好ましくは質量分析データであり、より好ましくはLC/MSによる質量分析データである。
質量分析データとしては、精密質量(「m/z値」)、イオン強度、保持時間等が挙げられるが、好ましくは精密質量の情報である。

0016

葉サンプルを、上記機器分析手段に適用するためには、分析手段に応じて適宜前処理されるが、通常、採取した葉はアルミホイル包み直ちに液体窒素中で凍結して代謝反応を停止させ、凍結乾燥にかけて乾燥した後、抽出操作に供される。
抽出は、凍結乾燥した葉サンプルを、ビーズ粉砕機等を用いて粉砕した後、抽出溶媒を添加して撹拌することにより行われる。ここで用いられる抽出溶媒としては、メタノールエタノールブタノールアセトニトリルクロロホルム酢酸エチルヘキサンアセトンイソプロパノール、水等及びそれらを混合したものが挙げられる。分析手段としてLC/MSを用いる場合には、内部標準物質を添加した80v/v%メタノール水溶液等が好適に使用される。

0017

本発明において、分析される葉中の成分としては、LC/MSによって分離検出されるダイズの代謝物質が挙げられる。好ましくは、質量分析により提供される精密質量(m/z)が139〜1156である成分が挙げられる。より好ましくは、質量分析により提供される精密質量(m/z値)で規定された、下記表1a〜1cに記載された431成分が挙げられる。尚、LC/MSによる分離検出の過程において、代謝物質から部分分解物及びアダクト(M+H、M+Na等)の異なる分子イオンピークが生じる場合、検出される部分分解物は、元の代謝物質とは別の成分とする。

0018

0019

0020

0021

当該431成分はダイズの代謝物質から選択抽出されたものであり、その選択方法は詳細には実施例に示すとおりであるが、概略すると、1)2015年〜2017年にかけて、土壌、品種、肥料を変えたダイズ125株を栽培し、2)それぞれ播種後1ヶ月前後に葉を1枚採取し、3)80v/v%メタノール水溶液を用いて成分抽出を行った後、4)LC/MS分析を行って分子イオン情報(精密質量, m/z)とフラグメント由来する構造情報を取得し、5)成分由来ピークを抽出し、次いで各ピークを各サンプル間で整列化させるアラインメント処理同位体ピークの除去、サンプル間のピーク強度補正ノイズの除去、を行って431成分の分析データを取得する、というものである。尚、サンプル間のピーク強度補正の方法は特に限定されないが、pooledQC法や内部標準物質を用いた補正が挙げられる。pooled QC法は、同一バッチ内の全てのサンプルから一定量を混合したpooled QCと呼ばれるサンプルを作製し、各サンプルの合間に一定の頻度(5〜9回に1回程度)でpooled QCの分析を実施することにより、「各サンプルを分析していた際にQCサンプルを分析していたと仮定するとそれぞれのピーク強度はどうなるか」という推定値を計算し、その値で補正するという処理を行って各サンプル間の感度の補正を行うものである。内部標準物質を用いた補正は、各サンプルに同量添加した内部標準物質(リドカイン、10-カンファースルホン酸など)のピーク面積の値で補正するという処理を行って各サンプル間の感度の補正を行うものである。なお、データの補正方法が収量との相関性及び予測モデルの性能に大きく影響することはない。

0022

また、取得した125個の葉中431成分の分析データと対応する収量データとの相関解析を行った結果(各成分の分析データのピーク面積と収量との単相関係数r及び無相関の検定によりp値を算出)、一定の成分は収量と有意に相関することが示された(後記表3a〜3f参照)。

0023

したがって、431成分のうち、本発明における分析対象成分としては、収量との相関が有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.51である成分、すなわち成分No.13、14、17、20、21、22、23、28、35、36、37、39、41、42、44、47、48、51、52、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、91、96、98、99、100、107、108、110、122、125、131、134、135、137、139、142、149、150、153、157、159、160、161、171、174、176、179、181、182、188、202、208、209、214、215、217、218、228、230、235、244、245、246、247、249、251、252、253、261、264、268、275、278、279、280、282、283、284、288、294、296、298、299、305、308、310、313、317、325、327、329、330、341、347、353、355、356、363、367、369、370、384、389、395、421、422、423、428及び431から選ばれる1種以上を含むのが好ましい。なお、上記成分は、後述のVIP値が全て1.16以上であり、1.30以上であれば、相関係数の絶対値|r|>0.51であった。

0024

更に431成分のうち、本発明における分析対象成分としては、収量との相関が有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.63である成分、すなわち成分No.14、22、23、36、37、41、42、51、52、68、90、122、139、149、159、214、228、230、235、247、249、252、253、268、275、278、284、288、298、305、308、313、317、329、347、363、395、421、422及び428から選ばれる1種以上を含むのがより好ましい。なお、上記成分は、後述のVIP値が全て1.522以上であり、1.62以上であれば、相関係数の絶対値|r|>0.63であった。

0025

更に431成分のうち、本発明における分析対象成分としては、収量との相関が有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.66である成分、すなわち成分No.14、23、36、37、41、51、68、90、122、149、214、230、235、247、249、252、275、284、298、305、308、313、317、347、363、421、422及び428から選ばれる1種以上を含むのがより好ましい。なお、上記成分は、後述のVIP値が全て1.59以上であり、1.652以上であれば、相関係数の絶対値|r|>0.66であった。

0026

表1a〜1cでは、431の成分を質量分析により得られる精密質量で規定しているが、これらの精密質量データから化合物組成式推定することができる。また、分析時に同時に取得しているMS/MSデータからは、化合物の部分構造情報が得られる。よって、組成式と部分構造情報から、対象の成分を推定することができ、更に試薬との比較が可能なものについては同定することができる。

0027

例えば、431成分のうち、解析の結果同定されたものとしては以下が挙げられる。成分No.10は4−クマル酸、成分No.68、90、122及び308は同一成分であり、その組成式がC21H22O11で示され、アグリコンの組成式がC15H12O6のデヒドロフラボノールグルコースが結合したモノグルコシド体、成分No.92はプルニンナリンゲニン7−O−グルコシド)、成分No.119は組成式C15H10O6であるフラボノイド、成分No.139はその組成式がC21H22O12で示され、アグリコンの組成式がC15H12O7であるデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体、成分No.277はその組成式がC26H30O10で示される組成式C15H10O5のフラボノイドのプレニル化体、成分No.295は組成式C15H10O6のフラボノールにグルコースとラムノースが結合したジグリコシド体、成分No.296及び成分No.395は同一成分であり、その組成式がC33H40O19で示され、アグリコンの組成式がC15H10O6のフラボノールにグルコース1個とラムノース2個が結合したトリグリコシド体、成分No.302は組成式C21H36O10で示されゲラニオールにグルコースとアラビノースが結合したジグリコシド体、成分No.429はソヤサポニンβgと推定した。また試薬との一致から、成分No.76はダイゼイン、成分No.89はゲニステイン、成分No.276はゲニスチン、成分No.399はマロニルゲニスチン、そして成分No.421及び成分No.422は同一成分でソヤサポニンBbであると同定された。

0028

このうち、本発明における分析対象成分として、好ましくは収量との相関が有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.51である成分、例えばソヤサポニンBb;組成式がC21H22O11で示され、アグリコンの組成式がC15H12O6のデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体;組成式がC33H40O19で示され、アグリコンの組成式がC15H10O6のフラボノールにグルコース1個とラムノース2個が結合したトリグリコシド体;組成式がC21H22O12で示され、アグリコンの組成式がC15H12O7であるデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体等が挙げられる。

0029

ダイズの収量の予測手段は、上記431の成分、好ましくは収量との相関が有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.51である成分、より好ましくは有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.63である成分、更に好ましくは有意(p<0.05)かつ相関係数の絶対値|r|>0.66である成分の存在量、例えば相関係数が−0.777である精密質量m/z473.1087のピーク面積を予測したいサンプルについても測定し、既知の収量とピーク面積との相関関係から収量値を推定することができる。

0030

また、上記431成分の分析データから複数を使用し、多変量解析手法を用いて構築された収量予測モデルと照合することにより、収量を予測することができる。
すなわち、播種から所定期間経過後のダイズの葉を採取し、分析サンプルを得、該分析サンプルを機器分析に供して機器分析データを得、該機器分析データを、収量予測モデルと照合することにより、当該ダイズの収量を予測することができる。

0031

収量予測モデルは、説明変数に各精密質量をもった補正済みの成分の分析データのピーク面積値を、また目的変数に収量値を用いた回帰分析を行うことにより構築できる。回帰分析法としては、例えば主成分回帰分析、PLS(Partial least squares projection to latent structures)回帰分析、OPLS(Orthogonal projections to latent structures)回帰分析、一般化線形回帰分析の他、バギングサポートベクターマシンランダムフォレスト、ニューラルネットワーク回帰分析等の機械学習・回帰分析手法等の多変量回帰分析手法が挙げられる。このうち、PLS法、PLS法の改良版であるOPLS法、或いは機械学習・回帰分析手法を用いるのが好ましい。OPLS法は、PLS法に比べ予測性は同じだが、解釈のための視覚化がより容易になる点が今回のような目的においては優れている。PLS法及びOPLS法は、共に高次元のデータから情報を集約少数潜在変数に置き換え、その潜在変数を用いて目的変数を表現する方法である。潜在変数の数を適切に選ぶことが重要であり、潜在変数の数を決めるのによく利用されるのがクロスバリデーション(交差検証)である。すなわち、モデル構築用データをいくつかのグループに分割し、あるグループをモデル検証に、その他のグループをモデル構築に用いて予測誤差見積り、この作業を、グループを入れ替えながら繰り返して、予測誤差の合計が最小となる潜在変数の数が選ばれる。

0032

予測モデルの評価は、主に2つの指標で判断される。1つは予測精度を表すR2、もう1つは予測性を表すQ2である。R2は予測モデル構築に使用したデータの実測値とモデルで計算した予測値との相関係数の2乗であり、1に近いほど予測精度が高いことを示している。一方、Q2は、上記クロスバリデーションの結果であり、実測値と、繰り返し実施したモデル検証の結果である予測値との相関係数の2乗を表している。本発明のダイズ収量予測モデルにおいては、Q2>0.50をモデル評価の基準とするのがこの好ましい。なお、常にR2>Q2となるため、Q2>0.50は同時にR2>0.50を満たすこととなる。
以下に、上記431成分の全て又はその一部の分析データのピーク面積値と、子実収量を用いた種々のダイズ収量予測モデルを作成しその精度を検証した結果を示す。このうちOPLSモデルについてはQ2>0.50となるモデルは好ましく使用できる。

0033

(1)431個の全ての成分情報を用いた収量予測モデルの構築
1データ当り431個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持つ全125個のデータマトリックスからOPLSモデル(図1)を構築した。なお、構築の際は、各成分の分析データのピーク面積値及び収量データはオートスケーリングにより平均0、分散1に変換した。R2=0.87、Q2=0.78であり、高い予測性能を持つモデルといえる。
上記モデルではVIP(Variable Importance in the Projection,投影における変数重要性)値とよばれる各成分に与えられるモデル性能への寄与度が算出される。
VIP値は、下記式1により求められる。

0034

0035

VIP値はその値が大きいほどモデルへの寄与度が大きく、相関係数の絶対値とも相関する。VIP値のリストを後記表4a〜4fに示す。

0036

(2)(1)のモデルから算出されたVIP値の上位97個の成分の分析データを用いて構築された機械学習モデル
解析ツールとして、Visual Mining Studio(以降、VMSと表記、(株)NTデータ数理システム)を使用した。
(2−1)1データ当たりVIP値上位97個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスを学習データとしてVMSにとりこみモデル(ランダムフォレスト)(図2)を構築した。R2は0.92であった。

0037

(2−2)1データ当たりVIP値上位97個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスをランダムに2群(学習用と検証用)に分割し、一方の63個のマトリクスデータを学習用として用いてVMSでモデル(ニューラルネットワーク)(図3)を構築した。R2は0.83であった。なお、検証用データにおけるR2は0.58であり、良好な予測性能を持つモデルといえる。

0038

(3)(1)のモデルから算出されたVIP値を指標としたモデル構築(2個以上の成分の分析データを用いたモデル)
(3−1)VIP値が下位の成分の分析データを用いたモデル
VIP値11位以下全ての成分の分析データ、21位以下全ての成分の分析データ、31位以下全ての成分の分析データ・・・及び351位以下全ての成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図4)を構築した。
Q2>0.50を満たすのは11位以下全ての成分の分析データ〜251位以下全ての成分の分析データを用いたモデルである。VIP値261位以下の成分の分析データ全てを用いてもQ2>0.50とはならない。

0039

(3−2)VIP値上位10位までの成分の分析データを2個用いたモデル
VIP値上位1位から10位までの成分の分析データの内、任意の2個の組み合わせ(45通り)についてOPLS法によりモデル(図5)を構築した。
いずれのモデルにおいてもQ2>0.50となる。

0040

(3−3)VIP値を基に連続する2個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位、11位と12位、21位と22位、・・・及び201位と202位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図6)を構築した。
VIP値30位以上の中から選ばれる任意の2個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0041

(3−4)VIP値を基に連続する3個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位と3位、11位と12位と13位、21位と22位と23位、・・・及び221位と222位と223位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図7)を構築した。
VIP値70位以上の中から選ばれる任意の3個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0042

(3−5)VIP値を基に連続する4個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位と3位と4位、11位と12位と13位と14位、21位と22位と23位と24位、・・・及び221位と222位と223位と224位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図8)を構築した。
VIP値100位以上の中から選ばれる任意の4個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0043

(3−6)VIP値を基に連続する5個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜5位、11位〜15位、21位〜25位、・・・及び251位〜255位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図9)を構築した。
VIP値100位以上の中から選ばれる任意の5個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0044

(3−7)VIP値を基に連続する6個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜6位、11位〜16位、21位〜26位、・・・及び281位〜286位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図10)を構築した。
VIP値130位以上の中から選ばれる任意の6個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0045

(3−8)VIP値を基に連続する7個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜7位、11位〜17位、21位〜27位、・・・及び281位〜287位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図11)を構築した。
VIP値140位以上の中から選ばれる任意の7個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0046

(3−9)VIP値を基に連続する8個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜8位、11位〜18位、21位〜28位、・・・及び281位〜288位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図12)を構築した。
VIP値140位以上の中から選ばれる任意の8個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0047

(3−10)VIP値を基に連続する9個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜9位、11位〜19位、21位〜29位、・・・及び281位〜289位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデル(図13)を構築した。
VIP値140位以上の中から選ばれる任意の9個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0048

(3−11)VIP値を基に連続する10個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜10位、11位〜20位、21位〜30位、・・・及び281位〜290位の成分の分析データを用いてOPLS法によりモデルを構築(図14)した。
VIP値160位以上の中から選ばれる任意の10個の成分の分析データを用いて作成したモデルであれば、Q2の値がQ2>0.50となるモデルが多い。

0049

予測に用いる成分数は、簡便に予測を行う場合には、成分数が少ない方が好適であり、例えば、10個以下であり、好ましくは5個以下、より好ましくは3個以下、最も好ましくは1個である。また、精度を高めたい場合には、成分数が多い方が好適であり、例えば、11個以上、好ましくは20個以上、より好ましくは50個以上、より好ましくは90個以上、最も好ましくは97個である。少ない成分数にて予測する場合は、VIP値上位の成分又は相関係数のより高い成分を予測に用いることが好ましい。

0050

(4)431個から選抜された一部の成分情報を用いた収量予測モデルの構築
表3a〜fの全431個の成分ピークを用いる他に、その中から選抜された成分ピークを用いることによっても精度の高い予測モデルを構築することができる。
例えば、表3a〜fの全431個の成分ピークの内、ピークの形状やサンプル間の平均的な検出強度等を考慮した301個の成分のピークデータを選抜し、この成分ピークを適宜補正して同様にOPLSモデルを構築し、更に構築されたモデルのVIP値を算出して(後記表6a〜6d)、その上位100成分(下記)の分析データを用いて予測モデルを構築すると、予測精度を示すR2=0.82、予測性を示すQ2=0.78である精度の高いモデルが構築できる(後記実施例では予測モデルAと称する、図15)。
<予測モデルAにおけるVIP値の上位100位の成分番号
7、15、17、20、21、22、23、35、37、39、42、44、51、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、93、95、108、116、122、131、139、149、153、157、158、160、161、165、171、176、179、187、208、214、223、227、233、237、245、252、253、261、278、279、282、283、284、294、298、299、300、304、305、308、309、310、313、316、317、318、320、325、327、328、329、330、331、352、353、355、356、357、358、359、362、363、367、380、381、385、388、389、390、392、395、396、399、421、422、428、431。

0051

本発明の態様及び好ましい実施態様を以下に示す。
<1>ダイズから採取された葉サンプルから1以上の成分の分析データを取得し、当該データとダイズ収量との相関性を利用してダイズの収量を予測する、ダイズの収量予測方法。
<2>前記1以上の成分の分析データをpooledQC法により補正する、<1>に記載の方法。
<3>前記1以上の成分の分析データを内部標準物質により補正する、<1>に記載の方法。
<4>前記成分が、質量分析により提供される精密質量(m/z)が139〜1156である成分から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の方法。
<5>前記成分が、質量分析により提供される精密質量(m/z)で規定された、前記表1a〜1cに記載の成分から選ばれる1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載の方法。
<6>成分が、前記表1a〜1cに記載の成分No.13、14、17、20、21、22、23、28、35、36、37、39、41、42、44、47、48、51、52、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、91、96、98、99、100、107、108、110、122、125、131、134、135、137、139、142、149、150、153、157、159、160、161、171、174、176、179、181、182、188、202、208、209、214、215、217、218、228、230、235、244、245、246、247、249、251、252、253、261、264、268、275、278、279、280、282、283、284、288、294、296、298、299、305、308、310、313、317、325、327、329、330、341、347、353、355、356、363、367、369、370、384、389、395、421、422、423、428及び431から選ばれる1種以上である<5>に記載の方法。
<7>成分が、前記表1a〜1cに記載の成分No.14、22、23、36、37、41、42、51、52、68、90、122、139、149、159、214、228、230、235、247、249、252、253、268、275、278、284、288、298、305、308、313、317、329、347、363、395、421、422及び428から選ばれる1種以上である<5>に記載の方法。
<8>成分が、前記表1a〜1cに記載の成分No.14、23、36、37、41、51、68、90、122、149、214、230、235、247、249、252、275、284、298、305、308、313、317、347、363、421、422及び428から選ばれる1種以上である<5>に記載の方法。
<9>成分が、ソヤサポニンBb;組成式がC21H22O11で示され、アグリコンの組成式がC15H12O6のデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体;組成式がC33H40O19で示され、アグリコンの組成式がC15H10O6のフラボノールにグルコース1個とラムノース2個が結合したトリグリコシド体;及び組成式がC21H22O12で示され、アグリコンの組成式がC15H12O7であるデヒドロフラボノールにグルコースが結合したモノグルコシド体から選ばれる1種以上を含む、<5>に記載の方法。
<10>葉サンプルが、初生葉展開期から子実肥大期のダイズから採取される、<1>〜<9>のいずれかに記載の方法。
<11>葉サンプルが、初生葉展開期から開花期までのダイズから採取される、<1>〜<9>のいずれかに記載の方法。
<12>分析データが、質量分析データである<1>〜<11>のいずれかに記載の方法。
<13>葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表1a〜1cに記載の成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、<5>〜<12>のいずれかに記載の方法。
<14>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位10個の中から少なくとも2個を用いる、<13>に記載の方法。
<15>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位22個の中から少なくとも2個を用いる、<13>に記載の方法。
<16>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位63個の中から少なくとも3個を用いる、<13>に記載の方法。
<17>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位94個の中から少なくとも4個を用いる、<13>に記載の方法。
<18>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位95個の中から少なくとも5個を用いる、<13>に記載の方法。
<19>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位126個の中から少なくとも6個を用いる、<13>に記載の方法。
<20>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位137個の中から少なくとも7個を用いる、<13>に記載の方法。
<21>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位138個の中から少なくとも8個を用いる、<13>に記載の方法。
<22>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位139個の中から少なくとも9個を用いる、<13>に記載の方法。
<23>収量予測モデルが、前記表1a〜1cに記載の成分情報を用いて構築された収量予測モデルから算出されたVIP値の上位160個の中から少なくとも10個を用いる、<13>に記載の方法。
<24>VIP値が、前記表1a〜1cに記載の成分全ての成分情報を用いて構築された収量予測モデルによって算出される、<14>〜<23>のいずれかに記載の方法。
<25>葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表A1a〜1cに記載の成分から選抜された後記表A6a〜A6dに記載の成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、<5>に記載の方法。
<26>葉サンプルから取得された成分の分析データを、前記表A1a〜1cに記載の成分から選抜された下記の100成分の分析データを用いて構築された収量予測モデルと照合する工程を含む、<5>に記載の方法、
成分No.7、15、17、20、21、22、23、35、37、39、42、44、51、54、57、58、68、71、73、80、85、86、90、93、95、108、116、122、131、139、149、153、157、158、160、161、165、171、176、179、187、208、214、223、227、233、237、245、252、253、261、278、279、282、283、284、294、298、299、300、304、305、308、309、310、313、316、317、318、320、325、327、328、329、330、331、352、353、355、356、357、358、359、362、363、367、380、381、385、388、389、390、392、395、396、399、421、422、428、431。
<27>葉サンプルが、初生葉展開期から子実肥大期のダイズから採取される、<25>又は<26>に記載の方法。
<28>葉サンプルが、初生葉展開期から開花期までのダイズから採取される、<25>又は<26>に記載の方法。
<29>分析データが、質量分析データである<25>〜<28>のいずれかに記載の方法。
<30>収量予測モデルが、OPLS法を用いて構築されたモデルである<13>〜<29>のいずれかに記載の方法。
<31>収量予測モデルが、機械学習・回帰分析手法を用いて構築されたモデルである<13>〜<29>のいずれかに記載の方法。
<32>精密質量が小数点以下4桁以上の精度にて測定されたものである<4>〜<31>のいずれかに記載の方法。

0052

1.各栽培試験
2015年から2017年に実施した屋外ポット栽培試験データについて詳述する。試験は全部で4試験実施した。
1)2015年ポット試験(1):
木県内にてポット栽培を実施した。土壌は国内の圃場土を用い、窒素:リン酸カリウム=3:6:6(Kg/10a)となるように施肥を行い、土壌を耕耘機耕耘した。土壌はこの耕耘後の土壌を用いた。ポットには1/2000aワグネルポットを用い、上記土壌を1ポットあたり約8L詰め、15ポットを準備した。2015年6月25日に3粒播きで各ポット内2カ所に播種した(1ポットあたり6粒使用)。なお、品種は、「里のほほえみ」を用いた。初生葉展開期に1ヵ所につき1本に間引きし、各ポット2株立てとした。収穫は11月9日に実施した(播種後137日)。なお、収量予測用には5ポット10株を用いた。

0053

2)2015年ポット試験(2):
山県内にてポット栽培を実施した。土壌は国内内の圃場土を用い、窒素:リン酸:カリウム=1:6:6、3:6:6及び10:6:6(Kg/10a)となるように施肥を行い、耕耘後の土壌を用いた(窒素量のみ異なる3種の施肥条件を設定した)。ポットには1/2000aワグネルポットを用い、上記土壌を1ポットあたり約8L詰め、各施肥条件でそれぞれ15ポット計45ポットを準備した。2015年7月1日に3粒播きで各ポット内2カ所に播種した(各ポット6粒使用)。なお、品種は、「フクユタカ」を用いた。初生葉展開期に1ヵ所につき1本に間引きし、各ポット2株立てとした。収穫は、11月11日に実施した(播種後133日)。なお、収量予測用には各5ポット10株を用いる計画だったが、1株が欠株したため、計29株を用いた。

0054

3)2016年ポット試験:
栃木県内にてポット栽培を実施した。土壌は国内の圃場土を用い、試験を実施した。ポットには1/2000aワグネルポットを用い、上記土壌を1ポットあたり約8L詰めとし、75ポットを準備した。数日間静置後、2015年同様に播種を行った。播種は、2016年7月1日に行い、11月15日に収穫を行った。なお、品種は「里のほほえみ」を用いた。また、収量予測用には23ポット46株を用いた。

0055

4)2017年ポット試験:
栃木県内にてポット栽培を実施した。土壌は、国内圃場の土を用い、そこへ肥料として苦土石灰協和)を125g/m2及びリン酸入り油かす(大栄物産)を100g/m2添加した土壌(1×)及び肥料を添加した土壌と未添加土壌を半量ずつ混和した土壌(0.5×)の2種類を用いた。また品種は、「里のほほえみ」、「フクユタカ」、「エンレイ」及び「湯上がり娘」の4品種を用いた。ポットには1/2000aワグネルポットを用い、上記土壌を1ポットあたり約8L詰め、各土壌で5ポットずつ、4品種で計40ポットを準備した。数日間静置後、品種ごとに4粒播きで各ポット内2カ所に播種した(各ポット8粒使用)。初生葉展開期に1ヵ所につき1本に間引きし、各ポット2株立てとした。播種は、2017年7月4日に行い、収穫は10月以降、成熟期に達し収穫適期と判断した株から順次収穫を行った。

0056

2.葉のサンプリング
葉のサンプリングは、それぞれの栽培試験において播種後28〜32日となる日の日中に実施した(おおむね10時—15時)。この際のダイズ生育ステージは年度、栽培条件、品種により若干異なるが概ね葉齢5−7程度であった。ここでいう葉齢は、初生葉を1とした際に最上位に展開した本葉が下から数えて何枚目かを数えた際の値とした。葉のサンプリングは、最上位に展開する本葉の1又は2葉齢古い本葉を構成する複葉3枚の内、中央の複葉を採取した。しかしながら、中央の複葉が虫害等著しく損傷を受けている場合は、別の複葉を採取した。採取した葉はアルミホイルで包み直ちに液体窒素中で凍結し、代謝反応を停止させた。凍結サンプルは凍結状態を維持したまま実験室持ち帰り、凍結乾燥にかけて乾燥させた。この乾燥したサンプルを後述の抽出操作に供試した。なお、2015年及び2016年のポット栽培試験では1個体ごとに採取し、収量データは対応する個体のものを用いた。一方、2017年ポット栽培試験では1ポット毎、すなわち2個体毎にまとめてサンプリングを実施し、収量データは2個体の平均値を用いた。
また、葉をサンプリングした際の播種からの日数は以下のとおりである。
*2015年ポット試験(1):2015年7月25日(播種後30日)
*2015年ポット試験(2):2015年7月29日(播種後28日)
*2016年ポット試験:2016年8月2日(播種後32日)
*2017年ポット試験:2017年8月3日(播種後30日)

0057

3.最終的な子実収量の測定
栽培試験後の各個体から全子実を回収し、80℃にて2−3日間乾燥させた。収量データはこの乾燥重量(gDW/個体)を用いた。2−2で既述したように2017年の試験における2個体(1ポット毎)の平均データは1つとしてカウントし、2015−17年のポット試験データは計125個となった。収量データは表2a〜2cに示すように最小で0.9gDW/個体、最大で42.5gDW/個体であった。

0058

0059

0060

0061

4.採取した葉の成分の抽出
凍結乾燥した葉サンプルは、スパーテルを用いて手作業にて可能な限り粉砕を行った。粉砕後、2mLのチューブセーフロックチューブ,エッペンドルフ)に10mgを量し、直径5mmのジルコニア製ボール1つをチューブに加えて、ビーズ粉砕機(MM400,Retsch)にて25Hzで1分間粉砕した。抽出溶媒は、内部標準としてリドカイン(和光純薬工業,♯120−02671)を500ng/mLとなるように加えた80v/v%メタノール水溶液を用いた。粉砕後のチューブに調製した抽出溶媒を1mL添加し、同ビーズ粉砕機にて、20Hzで5分間ホモジナイズ抽出を行った。抽出終了後、2,000×g程度の卓上遠心機(チビタン)にて、30秒程度遠心し、0.45μmの親水性PTFフィルター(DISMIC−13HP 0.45μm syringe filter , ADVANTEC)でろ過し、分析サンプルを得た。

0062

5.LC/MSによる葉サンプルの分析
抽出サンプルの分析は、Agilent社製HPLCシステム(Infinity1260シリーズ)をフロントとし、AB SCIEX社製Q−TOFMS装置(TripleTOF4600)を検出器として用いてLC/MS分析を行った。HPLCにおける分離カラムには、(株)資生堂社製のコアシェルカラムCapcell core C18(2.1mm I.D.x100mm,粒子計2.7μm)及びガードカラム(2.1mm I.D.x5mm, 粒子計2.7μm)を使用し、カラム温度は40℃に設定した。オートサンプラー分析中5℃を保持した。分析サンプルは5μLを注入した。溶離液にはA:0.1v/v%ギ酸水溶液及びB:0.1v/v%ギ酸アセトニトリル溶液を用いた。グラジエント溶出条件は、0分〜0.1分は1v/v%B(99v/v%A)で保持し、0.1分〜13分の間に1v/v%Bから99.5v/v%Bまで溶離液Bの比率を上昇させ、13.01分〜16分まで99.5v/v%Bで保持した。流速は0.5mL/minとした。

0063

質量分析装置条件は、イオン化モードポジティブモードとし、イオン化法ESIを用いた。本分析系では、溶出してくるイオンをTOFMSにより0.1秒間スキャンし、その中の強度の大きいイオンを10個選択し、それぞれを0.05秒間MS/MSにかけるというサイクルを繰り返しながら、TOFMSスキャンによる分子イオン情報(精密質量, m/z)とMS/MSスキャンにより生じるフラグメントに由来する構造情報を取得した。質量測定範囲はTOFMSがm/z 100−1,250、MS/MSがm/z 50−1,250に設定した。各スキャンのパラメータはTOFMSスキャンについては、GS1=50、GS2=50、CUR=25、TEM=450、ISVF=5500、DP=80及びCE=10に設定し、MS/MSスキャンについては、GS1=50、GS2=50、CUR=25、TEM=450、ISVF=5500、DP=80、CE=30、CES=15、IRD=30及びIRW=15に設定した。

0064

6.データ行列の作成
データ処理は下記の通り行った。まず、MarkerViewTM Software(AB SCIEX)を用いてピークの抽出を行った。ピーク抽出条件(「peak finding option」)は、保持時間0.5分〜16分に該当するピークとし、「Enhance Peak Finding」の項目におけるSubtraction offsetを20スキャン、Minimum spectral peak widthを5ppm、Subtraction multi. Factorを1.2、MinimumRTpeak widthを10スキャン、Noise thresholdを5に設定し、「More」の項目におけるAssign charge stateにチェックを入れた。その結果、12,444のピーク情報を得た。

0065

次に、検出したピークを分析した各サンプル間で整列化させるアラインメント処理を行った。アラインメント処理条件(「Alighmment & Filtering」)は、「Alignment」の項目におけるRetention time toleranceを0.20分及びMass toleranceを10.0ppmに設定した。また「Filtering」の項目におけるIntensity thresholdを10、Retention time filteringにチェックを入れ、Remove peaks in<3サンプルとし、Maximum number of peaksを50,000に設定した。「Internal standards」の項目においてリドカインのピークを用いて保持時間の補正を行った。

0066

次に同位体ピークの除去を行った。同位体ピークはピーク抽出の時点でソフトウェアが自動で認識し、ピークリスト上で「isotopic」のラベルが付けられているため、「isotopic」でソートして該当ピークを削除した。その結果、ピークは10,112ピークに減少した。

0067

次に、サンプル間のピーク強度補正を行った。今回の分析では、サンプルの他に、全てのサンプルから一定量を混合したpooledQCと呼ばれるサンプルを作製し、9回に1回の頻度でpooled QCの分析を実施した。これらの全QC分析結果から、「各サンプルを分析していた際にQCサンプルを分析していたと仮定するとそれぞれのピーク強度はどうなるか」という推定値を計算し、その値で補正するという処理を実施し、同一バッチ内における各サンプル間の感度の補正を行った。なお、本処理は、理研が提供しているフリーソフト(LOWESS−Normalization−Tool)を用いた。最後に、測定した30個のQC分析データを用いて10,112ピークの相対標準偏差(RSD)を計算し、RSD>30%となるばらつきの大きいピークを除去し、最終的に431のピークデータ、すなわち431成分の分析データを得た。得られた分析データを表3a〜3fに示す。これらのデータを用いて、以降の解析を行った。

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7.相関解析
取得した125個の葉中431成分の分析データと対応する収量データ、すなわち125×432のマトリックスデータを用いて相関解析を行った。各成分の分析データと収量データとの単相関係数r及び無相関の検定によりp値を算出した。結果を表4a〜4fに示す。なお、表中の「成分No.」は431個の成分を質量順に並べた際に質量数が小さい方から番号を付けた便宜的なものである。また、分析結果には質量情報とともに保持時間の情報も含まれるが、特開2016−57219号公報によれば、少数点以下4桁以上の精密質量数を用いれば、保持時間によらず複数の質量分析用試料間で質量分析データの比較及び解析が可能であることが示されている。よって、保持時間の情報は除去し、精密質量情報のみを記載した。

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相関解析で得られた結果により、一定の相関係数を持つ成分は収量と有意に相関することが示された。相関係数の絶対値|r|>0.51となる成分は118個、|r|>0.66となる成分は28個であることがわかった。

0082

8.モデル構築・評価
2つ以上の複数の成分の分析データを用いた収量予測モデルの構築には多変量解析手法を用い、解析ツールとしてSIMCA ver.14(Umetrics)を用いた。予測モデルは、説明変数に各精密質量をもった補正済みの成分の分析データのピーク面積値を、また目的変数に収量値を用いた回帰分析を行った。回帰分析はPLS法の改良版であるOPLS法で行った。

0083

予測モデルの評価方法は、主に2つの指標で判断される。1つは予測精度を表すR2、もう1つは予測性を表すQ2である。R2は予測モデル構築に使用したデータの実測値とモデルで計算した予測値との相関係数の2乗であり、1に近いほど予測精度が高いことを示している。一方、Q2は、上記クロスバリデーションの結果であり、実測値と繰り返し実施したモデル検証の結果である予測値との相関係数の2乗を表している。予測の観点から、少なくともQ2>0.50であれば、そのモデルは良好な予測性を持つとされていることから(Triba, M. N. et al., Mol. BioSyst. 2015, 11, 13-19.)、Q2>0.50をモデル評価の基準とした。なお、常にR2>Q2となるため、Q2>0.50は同時にR2>0.50を満たすこととなる。

0084

8−1.431個の成分の全データを用いたモデルの構築・評価
1データ当り431個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスから、収量を予測するOPLSモデルを構築した。構築の際、各成分の分析データのピーク面積値及び収量データはオートスケーリングにより平均0、分散1に変換した。モデル構築の結果、予測精度を示すR2=0.87、予測性を示すQ2=0.78であった。結果を図1に示す。この予測モデルにより、栽培1カ月程度の葉に含まれる成分組成を用いることで、高い予測性能を持つモデルが構築でき、早期収量予測が可能であることが示された。

0085

8−2.VIP値の算出
8−1で構築したモデルではVIP(Variable Importance in the Projection,投影における変数重要性)値とよばれる各成分に与えられるモデル性能への寄与度が与えられる。VIP値はその値が大きいほどモデルへの寄与度が大きく、相関係数の絶対値とも相関する。VIP値のリストを表5a〜5fに示す。

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0092

8−3.機械学習モデル
予測モデル構築には、OPLS法に限らず、様々な手法にて構築することができる。別の例として、機械学習を用いた予測モデル構築をおこなった。機械学習は人工知能、すなわちAIにおける研究課題の1つで、現在、様々な分野での応用が進んでいる。
ここでは、前述の8−1で構築した全データを用いたモデルから算出されたVIP値の上位97個の成分の分析データを用いて、機械学習によりモデル構築をおこなった。解析ツールには、Visual Mining Studio(以降、VMSと表記、(株)NTTデータ数理システム)を用いた。

0093

8−3−1.全125データを用いたモデル構築
1データ当たりVIP値上位97個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスをVMSにとりこみ学習データとした。モデル構築にはModel Optimizer機能によりディシジョンツリー、ランダムフォレスト、ニューラルネットワーク及びサポートベクターマシーンの4種から最適なモデルを探索した。モデルの計算では各モデルのパラメータを最適化し、また交差検証も実施され、過学習を起こさないモデルが構築される。その結果、モデルには、ランダムフォレストが選抜された。実測値と予測値の相関の2乗(R2)は0.92と精度の高いモデルが構築された。結果を図2に示す。

0094

8−3−2.半数のデータを用いたモデル構築と残り半数での予測検証
1データ当たりVIP値上位97個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスをランダムに2群に分割し、一方の63個のマトリクスデータを用いてVMSでモデルを構築し、残りの62個のデータで予測検証をおこなった。8−3−1と同様にModel Optimizerでモデル構築を行ったところ、モデルにはニューラルネットワークが選抜された。モデルに用いた63個のデータにおける実測値と予測値の相関の2乗は0.83であり、モデルに用いなかった62個のデータにおける実測値と予測値の相関の2乗は0.58であった。検証データでの予測値は学習データよりも精度が低下したが、一定の予測が可能であることが示された。結果を図3に示す。

0095

8−4.VIP値を指標としたモデル構築(2個以上の成分の分析データを用いたモデル)
8−1で構築したモデルへの各成分の寄与度であるVIP値のランキング(表4a〜4f)を基に複数の成分でモデルを構築した。特に限定されるわけではないが、モデル性能の基準を便宜上Q2>0.50とした。

0096

8−4−1.VIP値が下位の成分の分析データを用いたモデル
VIP値11位以下全ての成分の分析データ、21位以下全ての成分の分析データ、31位以下全ての成分の分析データ・・・及び351位以下全ての成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、Q2>0.5を満たすのは11位以下全ての成分の分析データ〜251位以下全ての成分の分析データを用いたモデルであり、VIP値261位以下の成分の分析データ全てを用いてもQ2>0.50とはならないことがわかった(図4)。

0097

8−4−2.VIP値上位10位までの成分の分析データを2個用いたモデル
VIP値上位1位から10位までの成分の分析データの内、任意の2個の組み合わせ(45通り)についてOPLSモデルの構築を行った。その結果、いずれのモデルにおいてもQ2>0.50を満たすことがわかった。このことからVIP値上位10位までの代謝物を2個含んでいれば、一定の予測性を持つモデルが構築できることが示された(図5)。

0098

8−4−3.VIP値を基に連続する2個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位、11位と12位、21位と22位、・・・及び201位と202位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、31位と32位の2個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値30位程度以上であればその中から任意の2個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値30位程度以下の成分の分析データ2個のみでは基準を満たさないことが示された(図6)。

0099

8−4−4.VIP値を基に連続する3個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位と3位、11位と12位と13位、21位と22位と23位、・・・及び221位と222位と223位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、71位と72位と73位の3個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値70位程度以上であればその中から任意の3個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値70位程度以下の成分の分析データ3個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図7)。

0100

8−4−5.VIP値を基に連続する4個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位と2位と3位と4位、11位と12位と13位と14位、21位と22位と23位と24位、・・・及び221位と222位と223位と224位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、101位と102位と103位と104位の4個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値100位程度以上であればその中から任意の4個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値100位程度以下の成分の分析データ4個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図8)。

0101

8−4−6.VIP値を基に連続する5個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜5位、11位〜15位、21位〜25位、・・・及び251位〜255位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、101位〜105位の5個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値100位程度以上であればその中から任意の5個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値100位程度以下の成分の分析データ5個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図9)。

0102

8−4−7.VIP値を基に連続する6個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜6位、11位〜16位、21位〜26位、・・・及び281位〜286位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、131位〜136位の6個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値130位程度以上であればその中から任意の6個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値130位程度以下の成分の分析データ6個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図10)。

0103

8−4−8.VIP値を基に連続する7個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜7位、11位〜17位、21位〜27位、・・・及び281位〜287位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、141位〜147位の7個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値140位程度以上であればその中から任意の7個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値140位程度以下の成分の分析データ7個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図11)。

0104

8−4−9.VIP値を基に連続する8個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜8位、11位〜18位、21位〜28位、・・・及び281位〜288位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、141位〜148位の8個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値140位程度以上であればその中から任意の8個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値140位程度以下の成分の分析データ8個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図12)。

0105

8−4−10.VIP値を基に連続する9個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜9位、11位〜19位、21位〜29位、・・・及び281位〜289位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、141位〜149位の9個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値140位程度以上であればその中から9個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値140位程度以下の成分の分析データ9個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図13)。

0106

8−4−11.VIP値を基に連続する10個の成分の分析データを用いたモデル
VIP値上位1位〜10位、11位〜20位、21位〜30位、・・・及び281位〜290位の成分の分析データを用いてそれぞれOPLSモデルの構築を行った。その結果、161位〜170位の10個の成分の分析データを用いた際のモデルで初めてQ2>0.50を満たさなかった。それ以降Q2は低下する傾向であった。このことから、VIP値160位程度以上であればその中から任意の10個の成分の分析データを用いることでQ2の基準を概ね満たすが、VIP値140位程度以下の成分の分析データ9個のみでは基準を満たさないことが示唆された(図14)。

0107

8−5.100成分の分析データを用いた予測モデル構築・評価
前記表3a〜fの全431個の成分ピークの内、ピークの形状やサンプル間の平均的な検出強度等を考慮し、301個のピークデータを選抜した。この301個の成分ピークに対して、前述のpooledQCによるピーク強度の補正に代えて、内部標準として添加したリドカインのピーク面積に対する各ピーク面積相対値を算出して補正した。補正データを用いて、前述した解析ツールSIMCAを用いて、前述の8−1に記載の方法と同様にモデル構築を行った。すなわち1データ当り301個の成分の分析データのピーク面積値と収量値を持ち、全125個のデータマトリックスから、収量を予測するOPLSモデルを構築した。構築したモデルのVIP値を算出し(VIP値のリストを表6a〜6dに示す。)、上位100成分の分析データを用いて更にモデルを構築したところ、予測精度を示すR2=0.82、予測性を示すQ2=0.78である精度の高いモデルが構築できた(以降、「予測モデルA」と呼ぶ)。結果を図15に示す。

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0110

0111

0112

9.各圃場に最適な施肥や資材の選抜
9−1.資材の選抜方法
2019年3月8日に評価対象とするダイズ生産予定圃場(水田転換水稲大麦−大豆の2年3作)から土壌を採取した。同3月18日に採取した圃場土10Lに共通の元肥としてベストマッチ(湯上がり娘専用600,カネコ種苗株式会社)1gを添加した(混和された土壌の深さ20cmとして20kg/10a相当,圃場への施用量と同量)。そこへ、選抜候補となる下記6種類の資材単体又はそれらの組合せを含めて異なる試験区1〜10を設定し、各資材の推奨量を添加し良く混和したのち、1Lずつ8個のポリポット充填した。各ポリポットに大豆種子(品種:里のほほえみ,山形県産平成30年品、種子サイズ8.5mm以上)を播種し、1つのバットにポットを2個ずつ配置した上で、室内の栽培棚蛍光灯下)にて栽培を開始した。なお、適宜全てのバットに同条件で給水を行った。
播種後4週間後の4月17日に前述の2に記載の方法と同様に葉のサンプリングを実施した。各バット2個体からサンプリングした葉を混合し1つのサンプルとし、前述の4及び5に記載の抽出・分析を行い各サンプルの成分データを取得した。なお、選抜する資材の候補には以下を用いた。また試験区の詳細については表7に示した。

0113

・MIX堆肥(川口肥料株式会社)
天然サポニン粕(埼玉農工幾科販売株式会社)
大豆油かす(日清オイリオグループ株式会社)
砂状ようりん(赤物産株式会社)
微量要素8(アミノー化学研究所)
硫安あか園芸

0114

0115

取得した成分データを前述のモデルAに取り込み、収量予測を行った結果を図16に示す。なお、図16には各試験区n=4のデータを用いて、対照区である試験区1との予測収量差を平均値±標準偏差で示している。MIX堆肥を施用した試験区2(単独施用)及び9(MIX堆肥を含む他剤との混和)において、対照区に対して収量が高く予測された。よって、試験区2と試験区9で共通するMIX堆肥を圃場栽培において使用する資材として選抜した。

0116

9−2.圃場試験での予測値確認及び実測収量結果
選抜した資材(MIX堆肥)の圃場での収量評価試験を、評価対象であるダイズ生産予定圃場にて同年に実施した。播種日である6月25日の播種前に圃場内3ヵ所(3反復)に資材を施用した。また比較対照となる未施用区も3反復設定した。なお、1ヵ所あたりの試験区面積は2m2とし、面積に合わせて室内栽培試験と同量の資材を施用した。播種後1カ月後に当たる7月26日には葉のサンプリングを行い、選抜試験と同様に収量予測を実施し、圃場試験での収量予測性が室内と同様であるか検討した。なお、葉のサンプリングは各反復内の5個体分を混合したサンプルを2点、3反復で計6点のサンプルを取得した。その結果を図17に示す。なお、図17には未施用区及びMIX堆肥区のn=6のデータを用いた予測収量の平均値±標準偏差を示している。
圃場試験での予測収量はMIX堆肥施用区で未施用に比べて有意(p<0.05、スチューデントt検定)に高くなり、選抜試験と同様の結果が確認された。

0117

葉のサンプリング以降も栽培を継続し、11月12日に収穫を行った。前述の3に記載の方法で収量データを取得した。未施用区及びMIX堆肥区の収量値は、各反復内から10個体ずつを収穫した全30株の中から、収量の最も大きい2株及び最も小さい2株を除いた26株の値から算出した。
その結果を図18に示す。なお、図18には未施用区及びMIX堆肥区のn=26のデータを用いた実測収量の平均値±標準偏差を示している。
未施用区では18.7gDW/株であったのに対し、MIX堆肥区では20.7gDW/株となり、10.7%の増収傾向が観測された。
以上の結果から、本収量予測モデルを用いることにより圃場栽培前の短期間にその年のその圃場に合った資材を選抜し、その資材の施用により圃場栽培での増収が可能であることが示された。

0118

10.播種後2週及び8週での収量予測可否の検討
上記では播種後1カ月程度で収量予測を実施した。より早期(播種後2週間)又は遅い時期(播種後8週間)での収量予測性について以下検討した。
本試験は2019年3月から神奈川県内のガラスハウス内でポット栽培にて実施した。ポットは1/5000aワグネルポットを30個用い、土壌は国内の圃場土を用いて各ポットに4Lを充填した。全30ポットを施肥量の異なる3試験区A、B及びCの10ポットずつ3群に分け、栽培を実施した。なお、肥料にはマグァンプK(ハイポネックス)を用い、試験区Aでは10g/ポット、試験区Bでは5g/ポット及び試験区Cでは20g/ポットを播種前に施用した。大豆種子はエンレイを用い、3月14日に播種を行った。なお、1ポットに2つの種子を播種し、初生葉展開期に1株/ポットとなるように間引きした。播種の2週間後である4月1日及び8週間後である5月9日に前述の2に記載の方法と同様に葉のサンプリングを実施し、前述の4及び5に記載の抽出・分析を行い各サンプルの成分データを取得した。最終的な収穫は、6月27日に行い、前述の3に記載の方法で株毎の収量データを取得した。なお、播種後から収穫まで適宜潅水を行った。

0119

播種後2週間及び8週間時にサンプリングした葉からモデルAを用いて算出した各試験区の予測収量と収穫時に測定した実測収量を比較した。結果を図19に示す。なお、図19には試験区A〜Cのn=10のデータを用いて、予測収量及び実測収量の平均値±標準偏差を示している。
播種後2週間時の予測収量は各試験区間の実測収量の差を反映しており、播種後2週間においても収量性を評価できることが示された。一方で、播種後8週間においては収穫期により近いにも関わらず、各試験区間の実測収量の差を反映していなかった。
これらの結果より、播種後2〜4週などの生育初期においてより高い精度の予測が可能であることが本収量予測方法の特徴であることが示された。

0120

11.圃場データを用いた収量予測モデル構築
11−1.各圃場試験の概要
11−1−1.2015年圃場試験
栃木県内の生産者圃場(水田転換畑、水稲−大麦−大豆の2年3作)にて栽培を実施した。播種前の施肥は、窒素:リン酸:カリウム=2.4:8:8(Kg/10a)となるように実施し、更に珪酸石灰肥料を10aあたり40kg加えた。品種は、里のほほえみを用いた。2015年6月15日に播種した。後述の通り葉のサンプリングを行い、収穫は11月1日に実施した(播種後138日)。なお、収量予測用に圃場内3地点から9個体又は10個体ずつ計29個体の採取を行った。

0121

11−1−2.2016年圃場試験(1)
城県にて栽培を実施した。播種前の施肥は、窒素:リン酸:カリウム=1.5:1.5:1.5(Kg/10a)となるように実施した。品種は、エンレイを用いた。2016年6月10日に播種した。後述の通り葉のサンプリングを行い、収穫は11月中旬に実施した。なお、土壌の外観から圃場をA及びBの2区画に分け、収量予測用に区画A及び区画Bより、それぞれ12個体ずつ計24個体の採取を行った。

0122

11−1−2.2016年圃場試験(2)
栃木県内の生産者圃場(水田転換畑、水稲−大麦−大豆の2年3作、ただし2015年圃場試験とは異なる圃場)にて栽培を実施した。播種前の施肥は、2015年と同様に行った。品種は、里のほほえみを用いた。2016年6月7日に播種した。後述の通り葉のサンプリングを行い、収穫は11月下旬に実施した(播種後約160−170日)。なお、収量予測用に圃場内3地点から10個体ずつ計30個体の採取を行う予定であったが、2016年圃場では、青立ちが多数発生し、収量予測用に収穫できたのが8個体(30個体中)であった。

0123

11−1−4.2017年圃場試験
栃木県内の生産者の3つの圃場(T、YS、YM)にて栽培を実施した。播種前の施肥は、例年通り実施した。品種は、里のほほえみを用いた。播種は、圃場Tでは2017年6月27日に、圃場YMでは6月29日に、そして圃場YSでは7月7日に実施した。後述の通り葉のサンプリングを行い、収穫は、圃場Tでは11月28日に、圃場YMでは11月2日に、そして圃場YSでは11月2日に実施した。なお、収量予測用に圃場内5地点から5個体ずつ採取し、5個体分をまとめて1サンプルとした。即ち、各圃場5サンプル(25個体分)の計15サンプル(75個体分)の採取を行った。なお、各圃場の作付け体系は、圃場Tが水稲−麦−大豆の2年3作、圃場YMでは水稲−水稲−麦−大豆の3年4作、また圃場YSでは10年以上水稲の単作であった。

0124

11−2.葉のサンプリング
前述の2に記載の方法と同様に葉のサンプリングを行った。各圃場試験におけるサンプリングした際の播種からの日数及び日程は以下のとおりである。
*2015年圃場試験:2015年7月15日(播種後30日)
*2016年圃場試験(1):2016年7月21日(播種後41日)
*2016年圃場試験(2):2016年7月6日(播種後29日)
*2017年圃場試験_圃場T:2017年7月28日(播種後31日)
*2017年圃場試験_圃場YM:2017年7月31日(播種後32日)
*2017年圃場試験_圃場YS:2017年8月7日(播種後31日)

0125

11−3.予測モデル構築
2015−2017年に実施した圃場試験で得られた計76個の葉サンプルについて前述の4及び5に記載の抽出・分析を行い各サンプルの分析データを取得した。これらのデータは前述の6に記載の解析を行い、ポット試験データと同様に各サンプルに対して431成分の分析データを得た。予測モデル構築に用いる実測収量値は各圃場毎(ただし、2016年圃場試験(1)は区画A及び区画Bに分割)の平均値を用いた。各圃場の平均収量値は表8に示すように最小で10.27gDW/個体、最大で27.66gDW/個体であった。

0126

実施例

0127

これらの結果から、各圃場毎の収量を予測するOPLSモデルを前述の解析ツールSIMCAを用いて構築した。モデル構築の結果、予測精度を示すR2=0.86、予測性を示すQ2=0.76であった。結果を図20に示す。
この予測モデルにより、栽培1カ月程度の葉に含まれる成分組成を用いることで、圃場で採取したサンプルにおいても高い予測性能を持つモデルが構築でき、早期収量予測が可能であることが示された。

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