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技術 ロータの製造方法および磁性体

出願人 トヨタ紡織株式会社
発明者 神尾佳希
出願日 2019年4月10日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-074839
公開日 2020年10月22日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-174456
状態 未査定
技術分野 同期機の永久磁石界磁 電動機、発電機の製造
主要キーワード 各固定軸 断面円弧 合成ゴム材料 各分割片 テーパ形 断面円弧形状 断面楔形状 強化樹脂材料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月22日)のものです。
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図面 (12)

課題

分割構造磁性体部を容易に組み付けることのできるロータの製造方法、およびロータの製造に用いる磁性体を提供する。

解決手段

ロータは断面円弧状をなす磁性体部40を複数有する。それら磁性体部40はシャフト30の外周面を覆う筒状をなすように同シャフト30の周囲方向に並ぶ態様で設けられる。ロータの製造に際しては、先ず、シャフト30の径方向および軸線L方向に延びるスリット63を有する結合磁性体60が、シャフト30の外周面を覆う筒状をなすように配置される(図6(a))。その後、筒状のスリーブが、同スリーブの内周面によって結合磁性体60の外周面を支持する態様で配設される。このときスリーブの内周面によって支持された状態の結合磁性体60がスリット63の形成位置において割られる(図6(b))。

概要

背景

回転電機ロータとして永久磁石一体型のものが知られている(例えば特許文献1参照)。このロータは、回転軸としてのシャフトと、磁性材料によって形成されて断面円弧状をなす複数の磁性体部とを有している。複数の磁性体部は、シャフトの外周において円筒状をなす態様で、磁化容易方向が逆方向のものが周囲方向において交互に並ぶように固定されている。上記ロータでは、樹脂モールドによって、シャフトと各磁性体部とが一体になっている。

概要

分割構造の磁性体部を容易に組み付けることのできるロータの製造方法、およびロータの製造に用いる磁性体を提供する。ロータは断面円弧状をなす磁性体部40を複数有する。それら磁性体部40はシャフト30の外周面を覆う筒状をなすように同シャフト30の周囲方向に並ぶ態様で設けられる。ロータの製造に際しては、先ず、シャフト30の径方向および軸線L方向に延びるスリット63を有する結合磁性体60が、シャフト30の外周面を覆う筒状をなすように配置される((a))。その後、筒状のスリーブが、同スリーブの内周面によって結合磁性体60の外周面を支持する態様で配設される。このときスリーブの内周面によって支持された状態の結合磁性体60がスリット63の形成位置において割られる((b))。

目的

本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分割構造の磁性体部を容易に組み付けることのできるロータの製造方法、およびロータの製造に用いる磁性体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

磁性材料からなるとともに断面円弧状をなす磁性体部を複数有して、それら前記磁性体部が回転軸としてのシャフト外周面を覆う筒状をなすように同シャフトの周囲方向に並ぶ態様で設けられてなるロータの製造方法において、磁性材料からなるとともに前記シャフトの径方向および軸線方向に延びるスリットを有する結合磁性体を、前記シャフトの外周面を覆う筒状をなすように配置する配置工程と、前記配置工程の後に、筒状のスリーブを、同スリーブの内周面によって前記結合磁性体の外周面を支持する態様で配設する配設工程と、前記スリーブの内周面によって支持された状態の前記結合磁性体を前記スリットの形成位置において割る分割工程とを含むことを特徴とするロータの製造方法。

請求項2

前記配置工程は、複数の前記結合磁性体を、弾性材料からなる弾性部材を間に挟んだ状態で、前記シャフトの外周面を覆う筒状をなすように前記周囲方向に並ぶ態様で配置する工程である請求項1に記載のロータの製造方法。

請求項3

前記分割工程は、前記配設工程において前記スリーブの内周面によって前記結合磁性体の外周面を内方締め付ける態様で前記スリーブを前記シャフトに設ける工程である請求項1または2に記載のロータの製造方法。

請求項4

前記配設工程は、長尺スリーブ部材を前記結合磁性体の外周に巻き付けて前記スリーブにする工程であり、前記分割工程は、前記配設工程における前記スリーブ部材の巻き付けを、前記結合磁性体の外周面を内方に締め付けつつ行う工程である請求項1または2に記載のロータの製造方法。

請求項5

前記スリットは前記結合磁性体の内周面に形成されており、前記結合磁性体は、前記分割工程において割る前の前記結合磁性体の内周面を前記シャフトの外周面に押し付けた場合に、前記内周面における前記スリットの形成部分が前記シャフトの外周面に接触しない形状であって、且つ、前記内周面における前記形成部分を間に挟む一対の部分が共に前記シャフトの外周面に接触する形状をなしている請求項3または4に記載のロータの製造方法。

請求項6

前記スリットは前記結合磁性体の外周面に形成されており、前記結合磁性体は、前記分割工程において割る前の前記結合磁性体の内周面を前記シャフトの外周面に押し付けた場合に、前記スリットの形成部分の内周面が前記シャフトの外周面に接触する形状であって、且つ、前記形成部分を間に挟む一対の部分の少なくとも一方の内周面が前記シャフトの外周面に接触しない形状をなしている請求項3または4に記載のロータの製造方法。

請求項7

磁性材料からなるとともに断面円弧状をなす磁性体部を複数有して、それら前記磁性体部が回転軸としてのシャフトの外周面を覆う筒状をなすように同シャフトの周囲方向に並ぶ態様で設けられてなるロータの製造に用いる磁性体であって、断面円弧状で延びる円弧部を複数有するとともに、それら前記円弧部における前記断面円弧状の端部同士が一体に結合された形状をなし、隣り合う前記円弧部の境界には同円弧部の延設方向において延びるスリットが設けられている磁性体。

技術分野

0001

本発明は、回転電機ロータの製造方法、およびロータの製造に用いる磁性体に関するものである。

背景技術

0002

回転電機のロータとして永久磁石一体型のものが知られている(例えば特許文献1参照)。このロータは、回転軸としてのシャフトと、磁性材料によって形成されて断面円弧状をなす複数の磁性体部とを有している。複数の磁性体部は、シャフトの外周において円筒状をなす態様で、磁化容易方向が逆方向のものが周囲方向において交互に並ぶように固定されている。上記ロータでは、樹脂モールドによって、シャフトと各磁性体部とが一体になっている。

先行技術

0003

特開2012−257413号公報

発明が解決しようとする課題

0004

上記ロータの磁性体部は断面円弧状をなしているため、ロータの回転に際して作用する遠心力によって、磁性体部に引っ張り応力が発生することが避けられない。この点、上記磁性体部は周囲方向において分割された構造であるため、分割によって周囲方向長さが短くなる分だけ、各磁性体に発生する引っ張り応力は小さくなる。ただし、単に磁性体部を分割構造にすると、磁性体部の数や種類が多くなってしまうため、その管理が煩雑になったり、誤組み付けの可能性が高くなったりしてしまう。

0005

本発明は、そうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、分割構造の磁性体部を容易に組み付けることのできるロータの製造方法、およびロータの製造に用いる磁性体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

上記課題を解決するためのロータの製造方法は、磁性材料からなるとともに断面円弧状をなす磁性体部を複数有して、それら前記磁性体部が回転軸としてのシャフトの外周面を覆う筒状をなすように同シャフトの周囲方向に並ぶ態様で設けられてなるロータの製造方法において、磁性材料からなるとともに前記シャフトの径方向および軸線方向に延びるスリットを有する結合磁性体を、前記シャフトの外周面を覆う筒状をなすように配置する配置工程と、前記配置工程の後に、筒状のスリーブを、同スリーブの内周面によって前記結合磁性体の外周面を支持する態様で配設する配設工程と、前記スリーブの内周面によって支持された状態の前記結合磁性体を前記スリットの形成位置において割る分割工程とを含む。

0007

前記課題を解決するための磁性体は、磁性材料からなるとともに断面円弧状をなす磁性体部を複数有して、それら前記磁性体部が回転軸としてのシャフトの外周面を覆う筒状をなすように同シャフトの周囲方向に並ぶ態様で設けられてなるロータの製造に用いる磁性体であって、断面円弧状で延びる円弧部を複数有するとともに、それら前記円弧部における前記断面円弧状の端部同士が一体に結合された形状をなし、隣り合う前記円弧部の境界には同円弧部の延設方向において延びるスリットが設けられている。

0008

上記製造方法および上記磁性体によれば、シャフトの外周に結合磁性体を配置したうえで、同結合磁性体をスリットの形成部分において割ることにより、各分割片をそれぞれ磁性体部にすることができる。これにより、ロータの製造に際してシャフトの周囲に配置する結合磁性体として、複数の磁性体部を一体化したものを用いることができるようになる。そのため、複数の磁性体部を各別にシャフトに取り付ける場合と比較して、ロータの製造に用いる部品点数を少なくすることができる。したがって、部品管理が容易になるとともに、組み付け作業回数が少なくなる分だけ誤組み付けの可能性を低くすることができる。しかも、部品点数が少なくなるとはいえ、所定数に分割された分割構造の磁性体部を配設することができるため、各磁性体部に発生する引っ張り応力を小さくする機能を得ることができる。このように上記製造方法によれば、分割構造の磁性体を容易に組み付けることができるようになる。

発明の効果

0009

本発明によれば、分割構造の磁性体部を容易に組み付けることができる。

図面の簡単な説明

0010

一実施形態のロータの製造方法および磁性体が適用されるロータの断面図。
同ロータの図1の2−2線に沿った断面図。
同ロータの分解斜視図。
同ロータの製造に用いる結合磁性体の斜視図。
同結合磁性体の断面図。
シャフトの周囲に配置された結合磁性体の(a)は割れる前の状態を示す断面図であり、(b)は割れた後の状態を示す断面図。
ロータを製造する際の各工程を示すフローチャート
第2工程におけるスリーブの形成過程を示す略図。
変形例の結合磁性体の(a)は断面図であり、(b)は(a)の9b矢印図。
他の変形例の結合磁性体の(a)は断面図であり、(b)は(a)の10b矢印図。
その他の変形例の結合磁性体の断面図。

実施例

0011

以下、ロータの製造方法および磁性体の一実施形態について説明する。
ここでは先ず、本実施形態のロータの製造方法および磁性体が適用される磁極数2極電動機のロータの構造について説明する。

0012

図1図3に示すように、ロータ20は、回転軸としてのシャフト30や、永久磁石である複数(本実施形態では、8つ)の磁性体部40、各磁性体部40の周囲を覆う筒状のスリーブ21、シャフト30の軸線L方向における両端に固定された軸受け部50A,50Bを有している。

0013

シャフト30は、円柱状の本体部31と、同本体部31の軸線L方向の両端に円柱状で突設された固定軸部32とを有している。各固定軸部32の外周面には雄ねじが形成されている。

0014

複数の磁性体部40は断面円弧状で軸線L方向に延びる形状をなしている。各磁性体部40は磁性材料(本実施形態では、ネオジウム磁石合金)によって形成されている。それら磁性体部40は、シャフト30の外周面を覆う筒状をなすように、同シャフト30の周囲方向に並ぶ態様で設けられている。本実施形態のロータ20では、シャフト30の一側面(図2の上面)において並ぶ4つの磁性体部40がN極として機能し、同シャフト30の他側面(図2の下面)において並ぶ4つの磁性体部40がS極として機能する。

0015

図2および図3に示すように、隣り合う磁性体部40の間にあたる8箇所の部分のうち、上記シャフト30の周囲方向において1つ置きの4箇所の部分には、弾性材料(本実施形態では、フッ素樹脂)によって形成されたシート状の弾性部材41が介設されている。図1および図3に示すように、各磁性体部40の軸線L方向における両端面43は、厚さが先細りの形状になっている。これにより、複数の磁性体部40を筒状に配置した場合には、各磁性体部40の端面43が同磁性体部40の先端に向かうほど縮径するテーパ形状になる。

0016

図1図3に示すように、スリーブ21は、筒状に配置された複数の磁性体部40の外周面を全周にわたって覆う筒状をなしている。スリーブ21は炭素繊維強化樹脂によって形成される。

0017

図1および図3に示すように、各軸受け部50A,50Bは円柱状をなしている。各軸受け部50A,50Bの軸線L方向における一方の端部には断面円形状で軸線L方向に延びる固定凹部51が設けられている。この固定凹部51は、開口側の大径部52と底側の小径部53とからなる段付き形状をなしている。小径部53の内面には雌ねじが形成されている。そして、各軸受け部50A,50Bの小径部53にシャフト30の固定軸部32が螺合されることにより、それら固定凹部51の大径部52にシャフト30の本体部31の端部が各別に嵌まった状態で、各軸受け部50A,50Bがシャフト30に締結固定されている。

0018

各軸受け部50A,50Bにおける固定凹部51の開口縁部54は、開口端に向かうほど開口断面積が大きくなるテーパ形状になっている。本実施形態のロータ20では、各磁性体部40の内周側の面がシャフト30の外周面によって支持されている。また、各磁性体部40の軸線L方向における両端面43は、各軸受け部50A,50Bの固定凹部51の開口縁部54によって挟持されている。そして本実施形態では、各磁性体部40の両端面43と各軸受け部50A,50Bの固定凹部51の開口縁部54とがいずれもテーパ形状になっており、各軸受け部50A,50Bの開口縁部54に各磁性体部40の両端面43が引っ掛かる構造になっている。こうした構造を採用することにより、ロータ20からの各磁性体部40の脱落が抑えられている。

0019

各軸受け部50A,50Bの外周面における上記固定凹部51側の端部は、部分的に縮径された段差形状係合凹部55を有している。本実施形態のロータ20は、シャフト30、複数の磁性体部40、および一対の軸受け部50A,50Bを一体に組みつけた状態において、各軸受け部50A,50Bの固定凹部51の底面と各磁性体部40の外周面とが略同一面をなす構造になっている。本実施形態のロータ20では、前記スリーブ21が、各軸受け部50A,50Bの係合凹部55の内面と各磁性体部40の外周面とによって構成される円筒状の凹部を埋める態様で設けられている。

0020

一対の軸受け部50A,50Bの一方(軸受け部50A)には、軸線L方向における固定凹部51と反対側の端部に、円柱状の出力軸56が突設されている。この出力軸56は、中心線が軸線Lと一致する態様で軸線L方向に延びている。

0021

本実施形態では、ロータ20が次のような手順を経て製造される。すなわち、2つの磁性体部40を一体に結合させた結合磁性体が4つ用意される。そして、それら結合磁性体がシャフト30に取り付けられるとともに、その状態で各結合磁性体が2つに割られる。これにより、各分割片が磁性体部40として配置される。

0022

以下、ロータ20の製造に用いる上記結合磁性体の具体構造について説明する。
図4および図5に示すように、結合磁性体60は、断面円弧状で延びる円弧部61を2つ有するとともに、それら円弧部61(詳しくは、円弧部61A,61B)における断面円弧状の端部同士が一体に結合された形状になっている。各円弧部61は、磁性体部40(図3参照)と同一形状になっている。これら円弧部61は、境界部分が各円弧部61の外周側に向けて凸となるように曲がった状態で結合されている。結合磁性体60における上記円弧部61の内周側にあたる面(内周面62)には、各円弧部61の境界において円弧部61の延設方向(図4の上下方向)に延びるスリット63が設けられている。このスリット63は、底部に向かうほど先細断面楔形状をなしている。

0023

このように本実施形態の結合磁性体60は、隣り合う2つの磁性体部40を一体に結合した形状になっている。結合磁性体60は磁性材料(ネオジウム磁石合金)によって形成されている。結合磁性体60の各部の磁化容易方向は同一の方向(図5中に矢印M1で示す方向)になっている。なお本実施形態では、同一構造の4つの結合磁性体60がロータ20の製造に用いられる。

0024

以下、シャフト30の周囲に配置された4つの結合磁性体60が割れる前の状態と割れた後の状態とについて、図6を参照しつつ説明する。なお、図6では、結合磁性体60が割れる前後の状態の違いの理解を容易にするために、結合磁性体60の各部形状の特徴を誇張して示している。実際には、割れる前の結合磁性体60の内周面とシャフト30の外周面との隙間(図5参照)は図6(a)に示す隙間よりも小さく、結合磁性体60が割れる際の各円弧部61A,61Bの実際の移動量は図6(a)および図6(b)に示す移動量よりも小さい。

0025

先ず、シャフト30の周囲に配置された4つの結合磁性体60が割れる前の状態について、図6(a)を参照しつつ説明する。
図6(a)に示すように、各結合磁性体60は、2つの円弧部61A,61Bが外周側に向けて凸となるように曲がった状態で結合された形状になっている。そのため、割れる前において結合磁性体60の内周面62をシャフト30の外周面に押し付けた場合には、結合磁性体60の内周面62における断面円弧形状の中間部分がシャフト30の外周面に接触しない状態であって、結合磁性体60の内周面62における断面円弧形状の両端部64がシャフト30の外周面に接触した状態になる。本実施形態では、結合磁性体60の内周面62における断面円弧形状の中間部分が上記スリット63が形成された形成部分であり、結合磁性体60の内周面における断面円弧形状の両端部64が上記スリット63の形成部分を間に挟む一対の部分である。

0026

そして、図6(a)に示す状態で、結合磁性体60の外周面を締め付けるように外方から押圧することにより、各結合磁性体60の内周面62における両端部64が上記シャフト30の外周面に接触して支点になるとともに、各結合磁性体60の内周面62における中間部分(詳しくは、スリット63)を押し開くように各結合磁性体60が変形する。これにより、結合磁性体60をスリット63の形成部分において割ることができる。

0027

次に、シャフト30の周囲に配置された4つの結合磁性体60が割れた後の状態について、図6(b)を参照しつつ説明する。
図6(b)に示すように、各結合磁性体60がシャフト30に組み付けられた状態で割れると、その分割片である円弧部61がそれぞれ磁性体部40になる。本実施形態では、各円弧部61の内周側の面の形状とシャフト30の外周面の形状とが略同一になっている。そのため、結合磁性体60が割れた後においては、各円弧部61がシャフト30の外周面に押し付けられることにより、それら円弧部61の内周面とシャフト30の外周面との隙間を小さくすることができる。このようにして、8つの円弧部61がシャフト30の周囲で筒状をなすように配置されるようになる。しかも、筒状になる8つの円弧部61の内周面はシャフト30の外周面と略同一形状になる。

0028

以下、上記結合磁性体60を用いてロータ20を製造する際の各工程について、図7に示すフローチャートを参照しつつ説明する。
(第1工程)
図7に示すように、ロータ20を製造する際には先ず、第1工程が実行される。本実施形態では、第1工程が配置工程に相当する。

0029

第1工程では、シャフト30に4つの結合磁性体60と2つの軸受け部50A,50Bとが組みつけられる。具体的には、図1および図3に示すように、軸受け部50Aの固定凹部51の大径部52にシャフト30の本体部31の端部を嵌めつつ、同固定凹部51の小径部53にシャフト30の固定軸部32を螺合することにより、シャフト30に軸受け部50Aが締結固定される。

0030

その後、図8に示すように、4つの結合磁性体60が、隣り合う結合磁性体60の間に前記弾性部材41を挟んだ状態で、シャフト30の外周面を覆う筒状をなすように同シャフト30の周囲方向に並ぶ態様で配置される。これら結合磁性体60を配置する作業は、結合磁性体60の内周側の面をシャフト30の外周面に押し当てた状態で、各結合磁性体60の端部64(図4)を軸受け部50Aの開口縁部54(図3)に嵌めるといったように行われる。また、この作業では、4つの結合磁性体60の磁化容易方向(図5の矢印M1参照)が一致するように、各結合磁性体60の向きを定めつつ、それら結合磁性体60が周囲方向に並べられる。

0031

その後、軸受け部50Bの固定凹部51の大径部52にシャフト30の本体部31の端部を嵌めつつ、同固定凹部51の小径部53にシャフト30の固定軸部32を螺合することにより、シャフト30に軸受け部50Bが締結固定される。このとき各結合磁性体60の端部64が軸受け部50Bの開口縁部54に嵌まった状態になる。

0032

(第2工程)
図7に示すように、こうした第1工程の後には、第2工程が実行される。本実施形態では、この第2工程が配設工程および分割工程に相当する。

0033

この第2工程では、筒状に配置される4つの結合磁性体60の外周面を覆うように筒状のスリーブ21が設けられる。本実施形態では、図8に示すように、長尺スリーブ部材21A、詳しくは連続炭素繊維合成樹脂材料含浸させたものを巻き付け硬化させる形成方法(いわゆるフィラメントワインディング法)によって上記スリーブ21が形成される。

0034

第2工程においては、筒状のスリーブ21を形成するべくスリーブ部材21Aを4つの結合磁性体60に巻き付ける際に、各結合磁性体60の外周面が締め付けられるようになる。この締め付け力によって、前述した態様で各結合磁性体60の内周面における上記スリット63の形成部分を押し開くように、各結合磁性体60が変形するようになる。このとき結合磁性体60のスリット63の先端において応力集中が生じるため、スリット63の先端を起点に同スリット63が開くように結合磁性体60が割れるようになる。第2工程では、このようにして4つの結合磁性体60を割って8つの磁性体部40にすることができる。

0035

また第2工程においてスリット63を開くように結合磁性体60が変形する際には、隣り合う結合磁性体60の間に設けられた弾性部材41の圧縮変形を通じて、結合磁性体60の変形や各円弧部61の移動が許容されるようになる。本実施形態では、こうした弾性部材41が配設されているため、結合磁性体60が割れ易い構造になっている。

0036

ここで、結合磁性体60の外周面の各部にかかる力が同一になるように結合磁性体60を締め付けた場合には、4つの結合磁性体60が互いにバランスよく支え合う状態になってしまい、それら結合磁性体60が割れ難くなるおそれがある。この点、本実施形態では、図8に示すように、スリーブ21の形成に際して長尺のスリーブ部材21Aが結合磁性体60の周囲に巻き付けられる。そのため、スリーブ部材21Aが結合磁性体60の外周面を押圧する力はシャフト30の周囲方向において均一にならず、同力の大きくなる部位(図6中に黒塗りの矢印で示す部分)はシャフト30の周囲方向において時間経過とともに変化するようになる。したがって、4つの結合磁性体60が互いにバランスよく支え合う状態にはならず、それら結合磁性体60を好適に割ることができる。

0037

(第3工程)
図7に示すように、第2工程の後には、第3工程が実行される。
この第3工程では、8つの磁性体部40がそれぞれ着磁される。具体的には、各磁性体部40の着磁容易方向(図5の矢印M1参照)に合わせて、磁極数が2極となるように着磁を行う。これにより、シャフト30の一側面において並ぶ4つの磁性体部40がN極(図2の上側)、残りの4つの磁性体部40がS極(図2の下側)として機能する。

0038

このように本実施形態では、結合磁性体60を用いて、分割構造の磁性体部40を有するロータ20が製造される。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下に記載する効果が得られる。

0039

(1)シャフト30の外周に4つの結合磁性体60を配置したうえで、それら結合磁性体60をスリット63の形成部分において割ることにより、各分割片をそれぞれ磁性体部40にすることができる。これにより、ロータ20の製造に際してシャフト30の周囲に配置する各結合磁性体60として、2つの磁性体部40を一体化したものを用いることができるようになる。そのため、8つの磁性体部40を各別にシャフト30に取り付ける場合と比較して、ロータ20の製造に用いる部品の点数を少なくすることができる。したがって、部品管理が容易になるとともに、組み付け作業の回数が少なくなる分だけ誤組み付けの可能性を低くすることができる。しかも、部品点数が少なくなるとはいえ、所定数(本実施形態では8つ)に分割された分割構造の磁性体部40を配設することができるため、各磁性体部40に発生する引っ張り応力を小さくする機能を得ることができる。このように本実施形態によれば、分割構造の磁性体部40を容易に組み付けることができるようになる。

0040

(2)4つの結合磁性体60が、弾性部材41を間に挟んだ状態で、シャフト30の外周面を覆う筒状をなすように同シャフト30の周囲方向に並ぶ態様で配置される。そのため、スリット63の形成部位において結合磁性体60を割るべく同スリット63が開くように結合磁性体60を変形させる際に、隣り合う結合磁性体60の間に設けられた弾性部材41の圧縮変形を通じて、結合磁性体60の変形が許容されるようになる。これにより、結合磁性体60を割り易くすることができる。

0041

(3)長尺のスリーブ部材21Aを結合磁性体60の外周に巻き付けてスリーブ21にする際に、同スリーブ部材21Aの巻き付けを、結合磁性体60の外周面を内方に締め付けつつ行うようにした。そのため、スリーブ部材21Aによって結合磁性体60を締め付けて同結合磁性体60のスリット63周辺に応力を生じさせることにより、結合磁性体60を割ることができる。

0042

(4)スリット63を結合磁性体60の内周面62に形成した。また、結合磁性体60の形状を、第2工程において割る前の結合磁性体60の内周面62をシャフト30の外周面に押し付けた場合に、同内周面62における断面円弧形状の中間部分がシャフト30の外周面に接触しない形状であって、且つ、上記内周面62における断面円弧形状の両端部64が共にシャフト30の外周面に接触する形状にした。そのため、スリーブ21の内周面によって結合磁性体60の外周面が締め付けられたときには、結合磁性体60の内周面62における上記両端部64がシャフト30の外周面に接触して支点になるとともに、同内周面62における上記中間部分(詳しくは、スリット63)を押し開くように結合磁性体60が変形するようになる。これにより、結合磁性体60を好適に割ることができる。

0043

(5)同一構造の4つの結合磁性体60を用いて8つの磁性体部40が配設される。これにより、結合磁性体60を取り違えることがなくなるため、同結合磁性体60の誤組み付けを抑えることができ、分割構造の磁性体部40を容易に組みつけることができるようになる。

0044

<変更例>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・弾性部材41は、フッ素樹脂材料以外の材料(例えば合成ゴム材料)によって形成することができる。

0045

・結合磁性体60の形状は任意に変更することができる。そうした結合磁性体の一例を図9(a)および図9(b)に示す。図9(a)および図9(b)に示すように、結合磁性体70は、隣り合う2つの磁性体部71を一体に結合した形状になっている。この結合磁性体70は全体が断面円弧状で延びている。結合磁性体70の内周面における2つの磁性体部71の境界にあたる位置にはスリット73が設けられている。結合磁性体70の内周面には、断面円弧状における中間部分であって且つスリット73の形成部分を含む部分に、同結合磁性体70の延設方向(図9(b)の左右方向)に延びる凹部75が設けられている。

0046

こうした結合磁性体70を用いてロータを製造することにより、次のような作用効果が得られる。すなわち、結合磁性体70の外周面が内方に締め付けられたときには、結合磁性体70の内周面における凹部75を間に挟む両端部74がシャフト30の外周面に接触して支点になるとともに、同凹部75(詳しくは、上記スリット73)を押し開くように結合磁性体70が変形するようになる。これにより、結合磁性体70を好適に割ることができる。

0047

上記結合磁性体の他の例を図10(a)および図10(b)に示す。図10(a)および図10(b)に示すように、結合磁性体80は、断面円弧状で延びる円弧部81を2つ有するとともに、それら円弧部81が一体に結合された形状になっている。それら円弧部81は、境界部分が各円弧部81の内周側に向けて凸となるように曲がった状態で結合されている。結合磁性体80における上記円弧部81の外周側にあたる面(外周面82)には、各円弧部81の境界において同円弧部81の延設方向(図10(b)の左右方向)に延びるスリット83が設けられている。

0048

こうした結合磁性体80を用いてロータを製造することにより、次のような作用効果が得られる。割れていない状態の上記結合磁性体80の内周面をシャフト30の外周面に押し付けた場合には、結合磁性体80におけるスリット83の形成部分の内周面がシャフト30の外周面に接触した状態になるとともに、スリット83の形成部分を間に挟む一対の部分の少なくとも一方の内周面がシャフト30の外周面に接触しない状態になる。そのため、結合磁性体80の外周面が内方に締め付けられたときには、結合磁性体80におけるスリット83の形成部分の内周面がシャフト30の外周面に接触して支点になる。そして、このとき上記スリット83の形成部分を間に挟む一対の部分を共にシャフト30側に押圧する態様で結合磁性体60を内周側に折り曲げるように変形させることができる。これにより、結合磁性体80におけるスリット83の形成部分を押し開くように結合磁性体80を変形させることができるため、結合磁性体80を好適に割ることができる。

0049

なお、結合磁性体の外周面にスリットが設けられる構成においては、同結合磁性体におけるスリットの形成部分の内周面に凸部を設けるようにしてもよい。この場合には、結合磁性体の外周面が内方に締め付けられたときに、上記凸部の突端がシャフトの外周面に接触して支点になるとともに、結合磁性体の内周面における上記凸部を間に挟む一対の部分を共にシャフト側に押圧する態様で結合磁性体を内周側に折り曲げるように変形させることができる。

0050

・4つの結合磁性体60を用いてロータ20を製造することに限らず、任意の数の結合磁性体を用いてロータを製造することができる。例えば、4つの磁性体部40が一体に結合された構造の結合磁性体を2つ用いて、ロータ20を製造するようにしてもよい。また、3つの磁性体部40が一体に結合された構造の結合磁性体と5つの磁性体部40が一体に結合された構造の結合磁性体とを用いて、ロータ20を製造することが可能である。その他、円筒状をなす1つの結合磁性体を用いて、ロータ20を製造すること等も可能である。そうした接合磁性体の一例を図11に示す。図11に示すように、結合磁性体90は、8つの磁性体部91を一体に結合した円筒状をなしている。結合磁性体90の内周面における各磁性体部91の境界にあたる位置にはそれぞれスリット93が設けられている。

0051

・第2工程において、シート状のプリプレグ半硬化状態強化樹脂材料)を巻き付けて硬化させるといった形成方法(いわゆるシートワインディング法)によって、筒状のスリーブを形成して配設するようにしてもよい。

0052

・結合磁性体を割る分割工程は、任意に変更することができる。以下、そうした分割工程の例を示す。(例1)筒状に配置される結合磁性体の外周面がテーパ形状になるように各結合磁性体の形状を定めるとともに、内周面がテーパ形状をなす筒状のスリーブを用意する。そして、このスリーブにシャフトを挿設するようにしてもよい。この分割工程では、スリーブにシャフトを挿設する際に、スリーブの内周面によって結合磁性体の外周面を締め付けることができるため、同結合磁性体をスリットの形成位置において割ることができる。(例2)シャフトに結合磁性体を組みつけた後に、同結合磁性体の外周面を専用の押圧治具によって押圧することによって、結合磁性体を割るようにしてもよい。(例3)シャフトに結合磁性体とスリーブとを組みつけた後に、同シャフトを回転させることによって、結合磁性体を割るようにしてもよい。この分割工程では、シャフトの回転に伴って結合磁性体に作用する遠心力によって同結合磁性体に応力を発生させることにより、同結合磁性体を割ることができる。

0053

・スリーブの形成材料としては、ガラス繊維強化樹脂など、炭素繊維強化樹脂以外の材料を採用することができる。
・上記実施形態のロータの製造方法や結合磁性体は、磁極数が2極(極対数が1個)のロータに限らず、4極以上の任意の磁極数(4極、6極、8極、10極など)のロータに適用することができる。

0054

20…ロータ、21…スリーブ、30…シャフト、31…本体部、32…固定軸部、40,71,91…磁性体部、41…弾性部材、43…端面、50A,50B…軸受け部、51…固定凹部、52…大径部、53…小径部、54…開口縁部、55…係合凹部、56…出力軸、60,70,80,90…結合磁性体、61,61A,61B,81…円弧部、62,82…内周面、63,73,83,93…スリット、64,74…端部、75…凹部。

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