図面 (/)
課題
解決手段
請求項1
投入された紙葉類を搬送路に繰出す繰出部に配置され、磁界を発生する複数のコイルと、前記複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値から、前記繰出部に混入する異物の有無を判定する制御部と、を有する紙葉類処理装置。
請求項2
前記複数のコイルのそれぞれにおいてリファレンス値が予め設定されており、前記制御部は、前記複数のコイルのそれぞれにおける前記信号と、前記複数のコイルのそれぞれにおけるリファレンス値との第1の差分値を算出し、前記複数のコイルのそれぞれにおける前記第1の差分値の互いの第2の差分値を算出し、前記第2の差分値から、前記繰出部の異物の有無を判定する、請求項1に記載の紙葉類処理装置。
請求項3
前記リファレンス値は、前記繰出部に異物がないときに前記複数のコイルのそれぞれから出力される信号の信号値である、請求項2に記載の紙葉類処理装置。
請求項4
前記リファレンス値は、所定のタイミングで測定された値である、請求項3に記載の紙葉類処理装置。
請求項5
請求項6
前記複数のコイルのそれぞれは、前記繰出部の、前記紙葉類を収容する収容空間から等距離となるように配置される、請求項1から5のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項7
請求項8
前記複数のコイルの隣り合うコイルは、一部がオーバラップする、請求項1から7のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項9
前記複数のコイルのそれぞれから発生する前記磁界は、1つずつ順番に発生する、請求項1から8のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項10
前記複数のコイルの隣り合うコイルは、それぞれ逆向きの磁界を発生する、請求項1から9のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項11
前記複数のコイルのそれぞれから発生する磁界の大きさは同じである、請求項1から10のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項12
前記複数のコイルのそれぞれは、同じ形状および同じ巻き数を有している、請求項1から11のいずれか一項に記載の紙葉類処理装置。
請求項13
投入された紙葉類を搬送路に繰出す繰出部に配置された複数のコイルから磁界を発生し、前記複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値を算出し、前記差分値から前記繰出部に混入する異物の有無を判定する、異物混入判定方法。
技術分野
背景技術
0002
従来、紙幣載置板にコイルを設け、混入された金属を検知する装置が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。また、従来、紙幣を立てた状態で集積する装置にコイルを設け、混入された金属を検知する装置が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
先行技術
0003
特開平1−230190号公報
特開平8−335288号公報
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら上記特許文献1,2では、環境の影響により、コイルから出力される信号が変動し、金属の正確な検知ができない場合がある。環境の影響は、例えば、周囲の温度の影響である。また、周囲の温度の影響を補正するため、温度センサまたはリファレンスコイル等を設ける技術が存在するが、部品点数が増加する。
課題を解決するための手段
0006
本発明の紙葉類処理装置は、投入された紙葉類を搬送路に繰出す繰出部に配置され、磁界を発生する複数のコイルと、前記複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値から、前記繰出部に混入する異物の有無を判定する制御部と、を有する。
0007
本発明の異物混入判定方法は、投入された紙葉類を搬送路に繰出す繰出部に配置された複数のコイルから磁界を発生し、前記複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値を算出し、前記差分値から前記繰出部に混入する異物の有無を判定する。
発明の効果
0008
本発明によれば、部品点数の増加を抑制し、異物の混入の検知精度を向上できる。
図面の簡単な説明
0009
本発明の実施の形態に係る紙葉類処理装置の構成例を示した図である
入金部に配置された繰出部の構成例を示した図である。
繰出部を上方から見たときの各ローラの配置例を示した図である。
基板の構成例を示した図である。
コイルの構成例を示した図である。
図2の繰出部を矢印A11方向から見た図である。
異物検知制御システムの構成例を示した図である。
図7の異物検知制御システムの動作例を説明するタイミングチャートである。
リファレンス値の例を説明する図である。
CPUが取得する受信信号の振幅の一例を説明する図である。
CPUの異物の判定例を説明する図である。
CPUにおける受信信号の振幅の取得動作例を示したフローチャートである。
CPUにおける異物の判定処理例を示したフローチャートである。
紙幣が縦置きされる紙葉類処理装置の構成例を示した図である。
実施例
0010
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、紙葉類の一例として紙幣を用いて紙葉類処理装置の説明を行う。しかし、紙葉類は、紙幣に限定されるものではなく、手形、小切手などの有価証券であってもよい。また、紙葉類は、紙を素材とするものに限定されるものではなく、紙以外の素材をシート状に成型したものや、紙以外の素材と紙を貼り合わせてシート状に成型したものであってもよい。紙以外の素材は、例えば、樹脂である。また、図面は、理解しやすくするためにそれぞれの構成要素を模式的に示している。また、本明細書では、図面に示す矢印の方向をそれぞれ、便宜的に、上、下、前、後として説明する。
0012
上側筐体10は、上部に、入金される紙幣が載置される入金部12、および、出金される紙幣が載置される出金部13を有する。また、上側筐体10は、内部に、紙幣を搬送する搬送部15と、紙幣を識別する識別部16と、紙葉類処理装置1の各部を制御する制御部18と、紙幣を一時的に保留する一時保留部19とを有する。また、必要に応じて、第2出金部14を出金部13の隣に設けてもよい。第2出金部14は、出金部13と同様の構成であってもよいし、異なる構成であってもよい。
0013
入金部12には、所定の周期で紙幣を1枚ずつ搬送部15に向けて繰り出す繰出部(例えば、図2を参照)が配置されている。また、出金部13には、搬送されてきた紙幣を積み重ねる集積部(図示せず)が配置されている。
0014
搬送部15は、紙幣を所定の搬送速度で搬送する搬送装置である。搬送部15は、紙幣を搬送するベルト機構やローラ機構によって構成されている。搬送部15は、紙幣をループ状に搬送するループ状搬送路15aと、このループ状搬送路15aから分岐する第1分岐路15b、第2分岐路15c、第3分岐路15d、第4分岐路15eおよび第5分岐路15fを有する。第1分岐路15b〜第5分岐路15fは、ループ状搬送路15aの一部と捉えてもよい。
0015
第1分岐路15b〜第5分岐路15fは、それぞれ、ループ状搬送路15aと入金部12、出金部13、一時保留部19、後述する第1収納庫21および第2収納庫30、ならびに、後述する着脱式収納部4とを接続する。第1分岐路15b〜第5分岐路15fとループ状搬送路15aとの接続部分には、紙幣を振り分ける分岐爪(図示せず)が配置されている。また、第2出金部14を設ける場合は、ループ状搬送路15aと第2出金部14を接続する別の分岐路を設けてもよい。
0016
識別部16は、紙幣の情報を読み取り、紙幣の識別を行う識別装置である。識別部16は、画像センサ、光学センサ、磁気センサなどのセンサを備えており、搬送部15で搬送される紙幣の真偽、金種、正損、および、記番号などの紙幣情報を識別する。
0018
一時保留部19は、紙幣を一時的に保留する収納装置である。一時保留部19は、紙幣を1枚ずつ取り込んで収納し、収納している紙幣を1枚ずつ繰り出すことができる。
0019
一時保留部19は、例えば、複数の紙幣が回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納部で構成されている。また一時保留部19は、複数の紙幣が積層状態で収納される積層式の収納部で構成されていてもよい。
0020
制御部18は、CPUなどの処理部とメモリなどの記憶部を有する制御装置である。制御部18は、搬送部15を介して、入金部12、出金部13、一時保留部19、後述する第1収納庫21および第2収納庫30、ならびに、後述する着脱式収納部4の間で紙幣が搬送されるように、紙葉類処理装置1を構成する各部および着脱式収納部4を制御する。
0021
下側筐体20は、第1収納庫21と、第1収納庫21の下方に配置される第2収納庫30とを有する。
0023
第1収納庫21には、前方から順に、第1収納部23、第2収納部24および第2収納部24の上側に配置されている第3収納部25、第4収納部26、第5収納部27、ならびに、第6収納部28が配置されている。また、第1収納部23と、第2収納部24および第3収納部25との間には、ループ状搬送路15aから第2収納庫30に向かって延びる第4分岐路15eが配置されている。
0024
第1収納部23、第3収納部25〜第6収納部28には、ループ状搬送路15aから分岐する第4分岐路15eが接続されている。また、第2収納部24には、ループ状搬送路15aから第2収納庫30に向かって延びる第4分岐路15eから分岐する第6分岐路15gが接続されている。
0025
第1収納部23〜第6収納部28は、複数の紙幣が積層状態で収納される積層式の収納部である。また、第1収納部23〜第6収納部28は、複数の紙幣が回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納部であってもよい。第1収納部23〜第6収納部28には、それぞれ、識別部16での識別結果に応じて分類された紙幣が収納される。
0026
第1収納部23〜第6収納部28の入口には、紙幣が通過したことを検知するセンサ(図示せず)が配置される。センサは、例えば、赤外線などの光を放射する投光部と、投光部からの光を受ける受光部とを有する光学式センサである。なお、センサは、紙幣が各収納部に収納されたことを検知することができるセンサであれば、どのような種類のセンサであってもよい。
0027
第2収納庫30は、例えば、金庫で構成される。また、第2収納庫30は、内部に回収部33を有する。回収部33は内部に収納領域を有し、この収納領域内には、入金部12から入金された紙幣や第1収納庫21内に収納された紙幣のうち、回収されるべき紙幣が収納される。回収部33は、ループ状搬送路15aから分岐する第4分岐路15eに接続されている。
0028
回収されるべき紙幣が回収部33に収納された後、回収作業者によって回収部33から紙幣が回収される。もしくは、回収されるべき紙幣が回収部33に収納された後、回収部33は回収作業者によって紙葉類処理装置1から取り外され、紙幣とともに回収される。
0029
下側筐体20は、第1収納庫21の前面側の外面に、着脱式収納部4を取り付けるための取付部5を有する。なお、第1収納庫21の外面とは、施錠された収納庫扉22を解錠することなくアクセスできる第1収納庫21の外面であり、具体的には、下側筐体20の外面または収納庫扉22の外面である。
0032
着脱式収納部4が取付部5に取り付けられると、着脱式収納部4の端子と取付部5の端子が直接的または間接的に接続される。また、着脱式収納部4が取付部5に取り付けられると、着脱式収納部4の内部の収納領域は第5分岐路15fに接続される。
0033
着脱式収納部4は、複数の紙幣が積層状態で収納される積層式の収納部である。また、着脱式収納部4は、複数の紙幣が回転体に巻き取られた状態で収納される巻き取り式の収納部であってもよい。
0034
着脱式収納部4は、内部に紙幣を収納し、外部に紙幣を排出するためのモータなどからなる駆動機構(図示せず)を有している。あるいは、着脱式収納部4が駆動機構を有さない場合、紙葉類処理装置1が駆動機構を備え、取付部5に取り付けられた着脱式収納部4に駆動力を伝達する。
0035
図2は、入金部12に配置された繰出部40の構成例を示した図である。図2において、図1と同じものには同じ符号が付してある。図2に示すように、繰出部40は、ステージ41と、キッカローラ42と、フィードローラ43と、ゲートローラ44と、搬送ローラ45と、基板46と、紙幣ガイド47と、を有している。
0036
ステージ41は、第1分岐路15bの入り口に接続されるように配置されている。ステージ41は、例えば、平らな板状の部材であり、紙幣P1が集積して載置される。ステージ41に集積して載置された紙幣P1は、最下部の紙面がステージ41の平面に接触するように載置される。ステージ41に載置された紙幣P1は、例えば、ユーザの入金操作等に応じて、最下部の紙幣から、1枚ずつ第1分岐路15bに送り込まれる。
0037
キッカローラ42は、外周面の一部がステージ41および基板46から突出するように、ステージ41および基板46の下部に設けられている。ステージ41および基板46には、キッカローラ42の外周面の一部が突出するための開口が形成されている。
0038
キッカローラ42は、図中時計回りに回転する。キッカローラ42は、ステージ41に載置された紙幣P1のうち最下部の紙幣を、第1分岐路15bに向け蹴り出す。
0039
フィードローラ43は、第1分岐路15bの入り口付近(第1分岐路15bの入り口から、第1分岐路15bに少し入った部分)に設けられている。フィードローラ43は、外周面の一部が第1分岐路15bおよび基板46から突出するように、第1分岐路15bおよび基板46の下部に設けられている。第1分岐路15bおよび基板46には、フィードローラ43の外周面の一部が突出するための開口が形成されている。
0040
フィードローラ43は、図中時計回りに回転する。フィードローラ43は、キッカローラ42によって蹴り出された最下部の紙幣を第1分岐路15bへと送り出す。
0041
ゲートローラ44は、フィードローラ43の上方において、フィードローラ43と対向するように設けられている。ゲートローラ44は、ゲートローラ44の外周面がフィードローラ43の外周面に接触するように設けられている。ゲートローラ44は、例えば、ワンウェイクラッチ(図示せず)を備え、図中時計回りに回転可能となっている。これにより、フィードローラ43とゲートローラ44との間を通過する紙幣は、1枚ずつ第1分岐路15bに送り出される。
0042
搬送ローラ45は、第1分岐路15bに設けられている。搬送ローラ45は、フィードローラ43から送り出された紙幣を、ループ状搬送路15aへと送り出す。
0043
基板46は、ステージ41の下部および第1分岐路15bの入り口付近の下部に配置されている。基板46には、金属等の異物を検知するコイルが設けられている。基板46は、ステージ41上または第1分岐路15bの入り口付近に混入した異物を、コイルで効率よく検知できるように、ステージ41に接して、またはステージ41に近づいてステージ41の下部に配置されている。また、基板46は、基板面がステージ41の面と平行となるように配置されている。
0044
図3は、繰出部40を上方から見たときの各ローラの配置例を示した図である。図3において、図2と同じものには同じ符号が付してある。図3に示すように、繰出部40は、3つのキッカローラ42と、6つのフィードローラ43と、を有している。なお、キッカローラ42の数は、3つに限られない。また、フィードローラ43の数は、6つに限られない。
0049
コイル52,53もコイル51と同様の形状を有し、平面内において渦巻き状に巻かれている。また、コイル51〜53の巻き数は、同じ巻き数である。図5では、コイル51の巻き数は、「4」となっているがこれに限られない。
0050
図4の説明に戻る。コイル51〜53は、上記したように、制御部18の制御(電流または電圧の供給)に応じて磁界を発生する。コイル51〜53は、基板46の平面内において、四角形状で渦巻き状に巻かれており、コイル51の中心における磁界は、基板46を垂直に貫くように発生する。コイル52,53のそれぞれの中心における磁界も、基板46を垂直に貫くように発生する。
0051
基板46は、図2に示したように、ステージ41に接するように、またはステージ41に近くなるようにステージ41の下部に配置される。また、基板46は、基板面がステージ41の面と平行となるように配置される。従って、基板46内に形成されたコイル51〜53は、コイル面が、紙幣が載置されるステージ41の面と平行となるように配置される。または、基板46内に形成されたコイル51〜53は、コイル面がステージ41に載置される紙幣P1の紙面と平行となるように配置される。これにより、コイル51〜53の磁界は、ステージ41の上方および第1分岐路15bの入り口付近に発生し、紙幣P1が集積される空間(紙幣P1が投入される入金部12の空間)に発生する。つまり、コイル51〜53の磁界は、異物の混入の可能性のあるステージ41上および第1分岐路15bの入り口付近の空間に発生する。
0052
コイル51〜53は、隣り合うコイル51〜53が一部オーバラップするように並べられる。コイル51〜53は、繰出部40に集積された状態の紙幣P1の紙面、または、紙幣が載置されるステージ41の面に平行な方向であって、紙幣の繰出方向(図4に示す「前」から「後」に向かう方向)と垂直な方向に並んで配置される。例えば、隣り合うコイル51,52は、領域A1において一部オーバラップしている。隣り合うコイル51,52は、領域A2において一部オーバラップしている。
0053
コイル51〜53のそれぞれは、キッカローラ42の配置に対応して基板46に設けられている。例えば、コイル51は、図3に示した左端のキッカローラ42に対応する。また、コイル52は、図3に示した中央のキッカローラ42に対応する。また、コイル53は、図3に示した右端のキッカローラ42に対応する。
0054
ステージ41に垂直な方向、即ち、コイル面に垂直な方向から見た場合に、コイル51〜53のそれぞれのコイル面は、対応するキッカローラ42にオーバラップしてもよい。また、コイル51〜53のそれぞれは、対応するキッカローラ42を囲むように設けられてもよい。また、コイル51〜53のそれぞれは、対応するキッカローラ42が、コイルの中心に位置するように基板46に設けられてもよい。また、コイル51〜53のうち、隣り合う2つのコイルは、共通のフィードローラ43に対応してもよい。例えば、コイル51とコイル52は、図3に示した左から2番目のフィードローラ43に対応する。また、コイル52とコイル53は、図3に示した右から2番目のフィードローラ43に対応する。ステージ41に垂直な方向、即ち、コイル面に垂直な方向から見た場合に、隣り合う2つのコイルは、1つのフィードローラ43にオーバラップしてもよい。また、隣り合う2つのコイルは、1つのフィードローラ43を囲むように設けられてもよい。
0055
開口54a〜54cは、図3に示した3つのキッカローラ42の外周面の一部が突出するための開口である。開口55a〜55fは、図3に示した6つのフィードローラ43の外周面の一部が突出するための開口である。基板46は、開口54a〜54c,55a〜55fを有することにより、ステージ41に接するように、またはステージ41に近くなるようにステージ41の下部に配置されることができる。
0056
なお、基板46に設けられるコイル51〜53の数は、3つに限られない。コイルの数は、2つでもよいし、4以上であってもよい。
0058
図6に示すように、コイル51〜53のコイル面は、ステージ41の面と平行になっている。また、コイル51〜53は、紙幣P1を収容する収容空間から等距離(略等距離を含む)となるように配置される。収容空間は、繰出部40により規定される空間で、投入された紙幣P1が集積される空間である。また、コイル51〜53は、ステージ41の紙幣P1を載置する面から実質的に等距離となるように配置される。例えば、コイル51と、紙幣P1の最下部の紙幣との距離は、コイル52と、紙幣P1の最下部の紙幣との距離と同じである。また、コイル52と、紙幣P1の最下部の紙幣との距離は、コイル53と、紙幣P1の最下部の紙幣との距離と同じである。
0059
なお、図6では、コイル51〜53を区別しやすいように、コイル51〜53の厚さを表現しているが、実際は、基板46の表面または層内に形成され、非常に薄く形成される。例えば、コイル51〜52は、基板46の配線パターンによって形成されてもよい。この場合は、コイル51〜52が形成された基板46は、紙幣が集積されるステージ41の面と平行になっている。また、コイル51〜52が形成された基板46は、ステージ41に集積された紙幣と平行になっている。
0060
図7は、異物検知制御システムの構成例を示した図である。図7には、図1に示した制御部18と、図4に示した基板46と、が示してある。図7に示す基板46は、図4に示した基板46に対し、一部形状等を変更して図示している。図7に示すように、異物検知制御システムは、制御部18と、検知制御部70と、基板46と、を有している。
0061
制御部18は、CPU(Central Processing Unit)61と、FPGA(Field Programmable Gate Array)62と、メモリ63と、を有している。CPU61は、紙葉類処理装置1全体を制御する。また、CPU61は、検知制御部70から出力される信号(データ)に基づいて、繰出部40への異物の有無(混入)を判定する。
0062
FPGA62は、CPU61と検知制御部70との間のデータのやり取りを制御する。また、FPGA62は、CPU61が実行する基板46の制御の一部を分担してもよい。例えば、切替え回路72のオン・オフのタイミング制御を、CPU61ではなくFPGA62が実行するようにしてもよい。メモリ63には、CPU61が動作するためのプログラムが記憶される。また、メモリ63には、CPU61が計算処理を行うためのデータまたは各部を制御するためのデータが記憶される。
0063
検知制御部70は、検知制御IC71と、切替え回路72と、を有している。検知制御IC71は、駆動変換部71a〜71cを有している。駆動変換部71a〜71cは、CPU61の制御(指示)に応じて、コイル51〜53を励磁するための電流または電圧を、切替え回路72に出力する。
0064
コイル51〜53を励磁する電流または電圧は、交流の電流または電圧である。例えば、コイル51〜53を励磁する電流または電圧は、正弦波の電流または電圧である。コイル51〜53を励磁する電流または電圧の振幅および周波数は、コイル51〜53のそれぞれにおいて同じ(略同じを含む)である。図5で説明したように、コイル51〜53の巻き数は同じなので、コイル51〜53のそれぞれから発生する磁界の大きさは同じとなる。
0065
駆動変換部71a〜71cのそれぞれは、コイル51〜53のそれぞれの端子(例えば、図5に示した端子51a,51b)に流れる電流または端子間の電圧をモニタしている。駆動変換部71a〜71cは、モニタしている電流または電圧の振幅(または振幅の絶対値)を、FPGA62を介してCPU61に出力する。例えば、駆動変換部71a〜71cは、モニタしている電流または電圧の振幅のアナログ値をデジタル値に変換し、FPGA62を介してCPU61に出力する。以下では、コイル51〜53を励磁するための電流または電圧を励磁信号と呼ぶことがある。また、コイル51〜53の端子に流れる電流または端子間の電圧を受信信号と呼ぶことがある。
0066
切替え回路72は、スイッチ72a〜72cを有している。スイッチ72a〜72cは、FPGA62を介したCPU61の制御に応じて、駆動変換部71a〜71cとコイル51〜53との間の接続をオンおよびオフする。例えば、スイッチ72a〜72cがオンすると、駆動変換部71a〜71cとコイル51〜53とが接続される。スイッチ72a〜72cがオフすると、駆動変換部71a〜71cとコイル51〜53との接続が切断される。
0067
コイル51〜53には、駆動変換部71a〜71cから出力される励磁信号が入力される。コイル51〜53は、入力された励磁信号によって磁界を発生する。コイル51〜53の付近に金属等の異物が位置し、コイル51〜53の磁界の様子が変わると、受信信号の振幅は、コイル51〜53の付近に異物がないときに対して値が変わる。
0068
上記したように、駆動変換部71a〜71cは、コイル51〜53の受信信号をモニタし、受信信号の振幅を、FPGA62を介してCPU61に出力する。CPU61は、受信信号の振幅に基づいて、繰出部40への異物の混入を検知する。受信信号は、コイル51〜53から出力される異物の検知信号と捉えることができる。
0069
図8は、図7の異物検知制御システムの動作例を説明するタイミングチャートである。図8に示す「T1」は、ステージ41上に集積された紙幣P1が、1枚ずつ第1分岐路15bに繰出されるタイミングを示している。1枚の紙幣が第1分岐路15bに繰出される時間は、図8に示すように「t1」である。言い換えれば、ステージ41上に集積された紙幣P1は、時間「t1」ごとに1枚ずつ第1分岐路15bに繰出される。
0071
図8に示すコイル51〜53の「D1〜D3」は、コイル51〜53に励磁信号が入力され、駆動変換部71aが受信信号の振幅をCPU61に出力するタイミングを示している。
0072
CPU61は、例えば、紙葉類処理装置1の電源が投入されると、駆動変換部71a〜71cを制御し、駆動変換部71a〜71cから励磁信号を出力する。これにより、スイッチ72a〜72cには、励磁信号が入力される。
0073
CPU61は、駆動変換部71a〜71cに対し、励磁信号の出力を指示すると、時間t1の間に、スイッチ72a〜72cを1つずつオンおよびオフさせていく。例えば、CPU61は、図8の矢印A31aに示すように、スイッチ72aを一定期間オンし、スイッチ72aをオフする。CPU61は、スイッチ72aをオフすると、矢印A31bに示すように、スイッチ72bを一定期間オンし、スイッチ72bをオフする。CPU61は、スイッチ72bをオフすると、矢印A31cに示すように、スイッチ72cを一定期間オンし、スイッチ72cをオフする。これにより、コイル51〜53には、時間t1の間に励磁信号が交番して入力される。そして、コイル51〜53からは、時間t1の間に磁界が1つずつ順番に発生する。上述したように、スイッチ72a〜72cを1つずつオンおよびオフさせていくタイミング制御は、FPGA62が実行してもよい。
0074
駆動変換部71a〜71cは、スイッチ72a〜72cがオンしている間において、コイル51〜53の受信信号をモニタし、受信信号の振幅を、FPGA62を介してCPU61に出力する。例えば、駆動変換部71aは、図8の矢印A32aに示すD1において、コイル51の受信信号をモニタし、受信信号の振幅を、FPGA62を介してCPU61に出力する。また、駆動変換部71bは、図8の矢印A32bに示すD2において、コイル52の受信信号をモニタし、受信信号の振幅を、FPGA62を介してCPU61に出力する。また、駆動変換部71cは、図8の矢印A32cに示すD3において、コイル53の受信信号をモニタし、受信信号の振幅を、FPGA62を介してCPU61に出力する。
0075
CPU61は、駆動変換部71a〜71cから受信信号の振幅を受信すると、受信した受信信号の振幅に基づいて、繰出部40への異物の混入を判定する。例えば、CPU61は、図8の矢印A31a〜A31cに示すD1〜D3において、コイル51〜53の受信信号の振幅を取得すると、矢印A33に示す時間t1の間に、図8の矢印A31a〜A31cに示すD1〜D3において受信した受信信号の振幅に基づいて、繰出部40への異物の混入を判定する。すなわち、CPU61は、全てのコイル51〜53の受信信号の振幅を受信すると、次の紙幣を1枚繰出す時間t1において、繰出部40への異物の混入を判定する。
0076
ここで、図6を用いて、異物の位置と、コイル51〜53の受信信号の振幅の変化量との関係について説明する。コイル51〜53の線材(導線)の真上部分に存在する金属等の異物による受信信号の変化量は、コイル51〜53の線材で囲まれる領域内に存在する異物による受信信号の変化量より小さくなる。
0078
しかし、コイル51とコイル52は、上記したように一部がオーバラップしている。そのため、点線A21上に存在する異物は、コイル52の線材の真上に存在しているが、コイル51の線材で囲まれる領域内にも存在している。従って、点線A21上に存在する異物による受信信号の変化は、コイル51で大きく捉えられる。
0079
また、例えば、図6の点線A22は、コイル51の線材の真上部分を示している。点線A22上に金属等の異物が存在した場合、コイル51における受信信号の振幅の変化量は通常小さい。
0080
しかし、コイル51とコイル52は、上記したように一部がオーバラップしている。そのため、点線A22上に存在する異物は、コイル51の線材の真上に存在しているが、コイル52の線材で囲まれる領域内にも存在している。従って、点線A22上に存在する異物による受信信号の変化は、コイル52で大きく捉えられる。
0081
同様に、図6の点線A23は、コイル53の線材の真上部分を示している。点線A23上に存在する異物による受信信号の変化は、コイル52で大きく捉えられる。また、図6の点線A24は、コイル52の線材の真上部分を示している。点線A24上に存在する異物による受信信号の変化は、コイル53で大きく捉えられる。
0082
このように、コイル51〜53は、隣り合うコイル51〜53が一部オーバラップするように基板46に設けられる。CPU61は、スイッチ72a〜72cを制御し、コイル51〜53を1つずつ励磁させる。これにより、異物がコイル51〜53の線材の真上に存在する場合でも、コイル51〜53のいずれからは、大きく変化した受信信号が出力される。
0083
CPU61の異物判定における動作例について説明する。CPU61の異物判定における動作は、大きく2つの動作に分けられる。例えば、CPU61の動作は、リファレンス値を取得する動作と、取得したリファレンス値を用いて異物の判定処理を行う動作とに分けられる。
0084
1.リファレンス値の取得
CPU61は、繰出部40に紙幣および異物が無い状態(何もない状態)における、コイル51〜53の受信信号の振幅(リファレンス値)を取得する。例えば、CPU61は、紙葉類処理装置1の電源が投入されたときに、繰出部40に紙幣および異物が無い状態における、コイル51〜53のリファレンス値を取得する。
0085
例えば、CPU61は、紙葉類処理装置1の電源が投入されると、図8のD1〜D3に示すように、コイル51〜53に励磁信号を出力する。CPU61は、駆動変換部71a〜71cから出力される受信信号の振幅(リファレンス値)を、FPGA62を介して受信し、メモリ63に記憶する。
0086
図9は、リファレンス値の例を説明する図である。図9に示す「r1」は、コイル51のリファレンス値を示している。「r2」は、コイル52のリファレンス値を示している。「r3」は、コイル53のリファレンス値を示している。すなわち、図9に示す「r1〜r3」は、繰出部40に紙幣および異物が無いときの、コイル51〜53の受信信号の振幅を示している。リファレンス値「r1〜r3」は、メモリ63に記憶されている。
0087
本発明の内容を分かりやすく説明するため、コイル51〜53から出力されるリファレンス値(受信信号の振幅)には、周囲の環境に依存する信号成分と、環境に依存しない信号成分とが含まれるものとしてモデル化して説明する。例えば、図9に示す「C1〜C3」は、コイル51〜53の環境に依存しない信号成分を示している。図9に示す「Nr」は、コイル51〜53の環境に依存する信号成分を示している。「Nr」は、コイル51〜53の周囲の環境によって変わる。
0088
ここで、それぞれのコイル51〜53の環境に依存する信号成分が、互いに実質的に等しくなるようにコイル51〜53が構成されている。例えば、コイル51〜53は、同じ線材、同じ形状、同じ巻き数のコイルとすることで、環境に依存する信号成分を実質的に等しくすることができる。
0089
コイル51〜53は、線材、形状、および巻き数の少なくとも1つが異なるが、環境に依存する信号成分が実質的に等しいようなコイルであってもよい。周囲の環境は、例えば、コイル51〜53の周囲の温度である。コイル51〜53は、少なくとも温度に依存する信号成分が互いに実質的に等しいようなコイルであってもよい。以下の説明では、周囲の環境の例としての温度が、コイル51〜53に影響を及ぼす場合について説明する。
0090
2.異物の判定処理
異物の判定処理では、CPU61は、例えば、入金処理の際に、取得したリファレンス値を用いて、異物の判定処理を行う。
0091
異物の判定処理に伴うCPU61の動作は、さらに3つの動作に分けられる。例えば、CPU61の動作は、コイル51〜53の受信信号の振幅を取得する第1の動作と、第1の動作で取得した受信信号の振幅から、予め取得したリファレンス値を減算する第2の動作と、第2の動作で取得した減算値から異物を判定する第3の動作とに分けられる。
0092
・第1の動作(受信信号の振幅の取得)
CPU61は、例えば、図8のD1〜D3に示すように、時間t1ごとにおいて、励磁信号をコイル51〜53に1回ずつ出力する。言い換えると、1枚の紙幣Pが繰り出される間に、コイル51〜53が順に1回ずつ励磁される。そして、CPU61は、コイル51〜53の受信信号の振幅を、図8のD1〜D3に示すタイミングで受信(取得)する。
0094
図10に示す「d1」は、コイル51の受信信号の振幅を示している。「d2」は、コイル52の受信信号の振幅を示している。「d3」は、コイル53の受信信号の振幅を示している。
0096
図10に示す「Nd」は、コイル51〜53の温度に依存する信号成分を示している。CPU61が受信信号の振幅「d1〜d3」を取得したときの周囲温度と、図9のリファレンス値「r1〜r3」を取得したときの周囲温度とは異なっており、「Nd≠Nr」となっている。
0097
図10に示す「E1」は、異物によって変化したコイル51の信号成分を示している。「E2」は、異物によって変化したコイル52の信号成分を示している。「E3」は、異物によって変化したコイル53の信号成分を示している。異物は、図6の領域A25に示すように、コイル51から離れているため、「E1=0」となっている。また、異物は、コイル52のコイル53とオーバラップした位置であって、かつコイル53の巻線の内側に位置しているため、「E2<E3」となっている。図10においても、それぞれのコイル51〜53の信号成分は、温度に依存しない信号成分と、温度に依存する信号成分と、異物によって変化した信号成分とを含むものとしてモデル化されている。
0098
・第2の動作(リファレンス値の減算)
CPU61は、コイル51〜53の受信信号の振幅を取得すると、取得したコイル51〜53のそれぞれの受信信号の振幅から、コイル51〜53のそれぞれのリファレンス値を減算する。
0099
例えば、CPU61は、コイル51の受信信号の振幅から、コイル51のリファレンス値を減算する。CPU61は、コイル52の受信信号の振幅から、コイル52のリファレンス値を減算する。CPU61は、コイル53の受信信号の振幅から、コイル53のリファレンス値を減算する。
0101
Δ1=d1−r1=Nd+E1−Nr (1)
Δ2=d2−r2=Nd+E2−Nr (2)
Δ3=d3−r3=Nd+E3−Nr (3)
0102
・第3の動作(異物の判定処理)
CPU61は、コイル51〜53の受信信号の振幅からリファレンス値を減算した減算値(以下、第1の差分値と呼ぶことがある)を算出すると、算出した第1の差分値の互いの減算値(以下、第2の差分値と呼ぶことがある)の絶対値を算出する。そして、CPU61は、算出した第2の差分値の絶対値から、繰出部40に異物が混入しているか否かを判定する。例えば、CPU61は、算出した第2の差分値の絶対値のうち、少なくとも1つの第2の差分値の絶対値が所定の閾値を超えると、繰出部40に異物が混入したと判定する。
0103
上記(1)〜(3)に示す減算値(第1の差分値)の例の場合、第1の差分値の互いの差分値(第2の差分値)の絶対値は、下記の式(4)〜(6)のようになる。
0104
Δ12=|Δ1−Δ2|=|E1−E2| (4)
Δ23=|Δ2−Δ3|=|E2−E3| (5)
Δ31=|Δ3−Δ1|=|E3−E1| (6)
0105
CPU61は、式(4)〜(6)に示す第2の差分値の絶対値のうち、少なくとも1つの第2の差分値の絶対値が所定の閾値を超えると、繰出部40に異物が混入したと判定する。
0106
図11は、CPU61の異物の判定例を説明する図である。図11には、式(4)〜(6)に示した第2の差分値の絶対値が示してある。CPU61は、第2の差分値の絶対値のうち、少なくとも1つの第2の差分値の絶対値が所定の閾値を超えると、繰出部40に異物が混入したと判定する。図11の例の場合、Δ31が閾値を超えており、CPU61は、繰出部40に異物が混入したと判定する。
0107
式(4)〜(6)では、温度に依存する信号成分(Nr,Nd)がキャンセルされている。従って、CPU61は、コイル51〜53の周囲の温度変化の影響によらず、異物の混入の判定を精度よく行うことができる。
0108
なお、異物がコイル51の面積より小さければ、コイル51〜53の少なくとも1つは、異物による影響が「0」に等しくなる(略等しいを含む)。従って、Δ12,Δ23,Δ31の少なくとも1つは、異物により変化した受信信号の振幅に等しくなる。
0109
図12は、CPU61における受信信号の振幅の取得動作例を示したフローチャートである。CPU61は、例えば、ステージ41に集積されている紙幣P1が、第1分岐路15bに1枚繰出されるたびに(時間t1ごとに)、図12に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。以下では、CPU61は、リファレンス値を取得し、メモリ63に記憶しているとする。また、CPU61は、駆動変換部71a〜71cを制御し、スイッチ72a〜72cに励磁信号を出力しているとする。
0110
CPU61は、スイッチ72aをオンする(ステップS1)。これにより、駆動変換部71aから出力される励磁信号が、コイル51に入力される。なお、駆動変換部71aは、コイル51の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、CPU61に出力する。
0111
CPU61は、コイル51の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、駆動変換部71aから受信する(ステップS2)。CPU61は、受信したコイル51の受信信号の振幅を、例えば、メモリ63に記憶する。
0112
CPU61は、スイッチ72aをオフし、スイッチ72bをオンする(ステップS3)。これにより、駆動変換部71bから出力される励磁信号が、コイル52に入力される。なお、駆動変換部71bは、コイル52の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、CPU61に出力する。
0113
CPU61は、コイル52の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、駆動変換部71bから受信する(ステップS4)。CPU61は、受信したコイル52の受信信号の振幅を、例えば、メモリ63に記憶する。
0114
CPU61は、スイッチ72bをオフし、スイッチ72cをオンする(ステップS5)。これにより、駆動変換部71cから出力される励磁信号が、コイル53に入力される。なお、駆動変換部71cは、コイル53の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、CPU61に出力する。
0115
CPU61は、コイル53の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、駆動変換部71cから受信する(ステップS6)。CPU61は、受信したコイル53の受信信号の振幅を、例えば、メモリ63に記憶する。
0116
CPU61は、スイッチ72cをオフし(ステップS7)、当該フローチャートの処理を終了する。
0117
CPU61は、時間t1の間に、全てのコイル51〜53の受信信号の振幅を受信すると(メモリ63に記憶すると)、次の時間t1において、メモリ63に記憶した受信信号の振幅に基づいて、異物が繰出部40に混入しているか否かを判定する。
0118
図13は、CPU61における異物の判定処理例を示したフローチャートである。CPU61は、例えば、ステージ41に集積されている紙幣P1が、第1分岐路15bに1枚繰出されるたびに(時間t1ごとに)、図13に示すフローチャートの処理を繰り返し実行する。
0119
CPU61は、メモリ63に記憶した受信信号の振幅から、メモリ63に記憶したリファレンス値を減算した第1の差分値を算出する(ステップS11)。例えば、CPU61は、メモリ63に記憶したコイル51の受信信号の振幅から、メモリ63に記憶したコイル51のリファレンス値を減算する(減算した値をコイル51の差分値Δ1とする)。また、CPU61は、メモリ63に記憶したコイル52の受信信号の振幅から、メモリ63に記憶したコイル52のリファレンス値を減算する(減算した値をコイル52の差分値Δ2とする)。また、CPU61は、メモリ63に記憶したコイル53の受信信号の振幅から、メモリ63に記憶したコイル53のリファレンス値を減算する(減算した値をコイル53の差分値Δ3とする)。
0120
CPU61は、第1の差分値を互いに減算した第2の差分値(絶対値)を算出する(ステップS12)。例えば、CPU61は、コイル51の差分値Δ1から、コイル52の差分値Δ2を減算した絶対値を算出する(減算した絶対値をΔ12とする)。CPU61は、コイル52の差分値Δ2から、コイル53の差分値Δ3を減算した絶対値を算出する(減算した絶対値をΔ23とする)。CPU61は、コイル53の差分値Δ3から、コイル51の差分値Δ1を減算した絶対値を算出する(減算した絶対値をΔ31とする)。
0121
CPU61は、少なくとも1つの第2の差分値が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS13)。例えば、CPU61は、Δ12,Δ23,Δ31のうちの少なくとも1つが閾値を超えたか否かを判定する。CPU61は、Δ12,Δ23,Δ31のうちの少なくとも1つが閾値を超えたと判定しない場合(S13の「No」)、当該フローチャートの処理を終了する。一方、CPU61は、Δ12,Δ23,Δ31のうちの少なくとも1つが閾値を超えたと判定した場合(S13の「Yes」)、キッカローラ42の回転を停止する(ステップS14)。これにより、異物が第1分岐路15bに進入するのを防止できる。
0122
CPU61は、例えば、入金処理を開始する前に、少なくとも1回、図12および図13に示したフローチャートの処理を実行してもよい。すなわち、入金部12に投入された紙幣P1が第1分岐路15bに繰出される前に、少なくとも1回、図12および図13に示したフローチャートの処理を実行してもよい。これにより、異物が第1分岐路15bに進入するのを防止できる。
0123
また、CPU61は、紙幣P1が第1分岐路15bに繰出される間も、図12および図13に示したフローチャートの処理を繰り返し実行してもよい。これにより、紙幣P1が第1分岐路15bに繰出される間、異物が繰出部40に混入しても、異物が第1分岐路15bに進入するのを防止できる。
0124
以上説明したように、紙葉類処理装置1は、投入された紙幣を搬送路に繰出す繰出部40に配置され、磁界を発生するコイル51〜53と、コイル51〜53のそれぞれから出力される受信信号の互いの差分値から、繰出部40に混入する異物の有無を判定するCPU61と、を有する。コイルのそれぞれは、異物が接近したときと接近しないときとで異なる信号を出力する異物検知コイルである。これにより、紙葉類処理装置1は、部品点数の増加を抑制し、異物の混入の検知精度を向上できる。例えば、紙葉類処理装置1は、温度センサまたはリファレンスコイル等を設けなくても、周囲の温度変化の影響によらず、異物の混入の判定を精度よく行うことができる。
0125
紙葉類処理装置1は、本発明が実施される装置の一例に過ぎない。本願発明は、上記で説明した紙葉類処理装置1に限られることはなく、投入された紙幣を搬送路に繰出す繰出部40を有する紙葉類処理装置に広く適用される。また、本願発明が適用される繰出部は、上記で説明した繰出部40に限定されることはなく、投入された紙幣を1枚ずつ搬送路に繰出す機能を有するものであればよい。
0126
(変形例1)
CPU61は、紙葉類処理装置1の電源の投入の際にリファレンス値を取得するとしたがこれに限られない。CPU61は、ユーザが指示したタイミングで、リファレンス値を取得してもよい。また、リファレンス値は、予めメモリ63に記憶した値であってもよい。
0127
(変形例2)
上記では、駆動変換部71a〜71cは、コイル51〜53の受信信号の振幅を、FPGA62を介して、CPU61に出力したが、コイル51〜53の受信信号の周波数を、FPGA62を介して、CPU61に出力してもよい。
0128
この場合、CPU61は、リファレンス値として、コイル51〜53の受信信号の周波数をメモリ63に記憶する。CPU61は、駆動変換部71a〜71cから出力されるコイル51〜53の受信信号の周波数から、コイル51〜53の周波数のリファレンス値を減算する(第1の差分値を算出する)。CPU61は、第1の差分値の互いの差分値を算出し、算出した差分値(第2の差分値)から、繰出部40への異物の混入を判定する。
0129
また、駆動変換部71a〜71cは、コイル51〜53の受信信号の振幅と周波数とを、FPGA62を介して、CPU61に出力してもよい。
0130
この場合、CPU61は、リファレンス値として、コイル51〜53の受信信号の振幅と周波数とをメモリ63に記憶する。CPU61は、駆動変換部71a〜71cから出力されるコイル51〜53の受信信号の振幅から、コイル51〜53の振幅のリファレンス値を減算する(振幅の第1の差分値を算出する)。CPU61は、駆動変換部71a〜71cから出力されるコイル51〜53の受信信号の周波数から、コイル51〜53の周波数のリファレンス値を減算する(周波数の第1の差分値を算出する)。
0131
CPU61は、振幅の第1の差分値の互いの差分値(振幅の第2の差分値)を算出する。CPU61は、周波数の第1の差分値の互いの差分値(周波数の第2の差分値)を算出する。CPU61は、算出した振幅の第2の差分値のうちの少なくとも1つが閾値を超え、かつ、算出した周波数の第2の差分値のうちの少なくとも1つが閾値を超えた場合に、繰出部40への異物の混入を判定する。
0133
また、上記では、紙幣を横置きする紙葉類処理装置1の例について説明したが、紙幣を縦置きする紙葉類処理装置にも本件は適用できる。
0134
図14は、紙幣が縦置きされる紙葉類処理装置100の構成例を示した図である。図14に示すように、紙葉類処理装置100は、キッカローラ101と、フィードローラ102と、ゲートローラ103と、搬送路104と、ステージ105と、固定ガイド106と、可動ガイド107と、を有している。図14には、縦置きされた紙幣P101が示してある。可動ガイド107は、縦置きされた紙幣P101を、例えば、ばね等の付勢部材(図示せず)によって、固定ガイド106へ押す。
0135
基板46(図示せず)は、例えば、ステージ105の下(図14の点線で示す領域A101)に配置されてもよい。基板46は、例えば、固定ガイド106の裏側(図14の点線で示す領域A102)に配置されてもよい。基板46は、例えば、可動ガイド107の裏側(図14の点線で示す領域A103)に配置されてもよい。なお、紙葉類処理装置100は、図7に示した制御部18および検知制御部70(図示せず)も備えている。
0136
このように、異物検知制御システムは、紙幣が縦置きされる紙葉類処理装置100にも適用される。
0137
(変形例4)
異物検知制御システムの構成例は、図7の例に限られない。FPGA62、検知制御IC71、および切替え回路72を1つのチップで実現してもよい。また、CPU61が、FPGA62、検知制御IC71、および切替え回路72の機能を有してもよい。また、検知制御部70は、基板46に実装されてもよい。
0138
(変形例5)
駆動変換部71a〜71cのそれぞれは、隣り合うコイル51〜53において、それぞれ逆向きの磁界を発生するように、励磁信号を出力してもよい。例えば、駆動変換部71a〜71cは、図4において、コイル51からは、中心の磁界が紙面の表側を向くように磁界を発生し、コイル52からは、中心の磁界が紙面の裏側を向くように磁界を発生し、コイル53からは、中心の磁界が紙面の表側を向くように磁界を発生するように、励磁信号を出力してもよい。
0139
これにより、隣り合うコイル51〜53を1つずつ順番に励磁する場合に、直前に励磁されていたコイルの磁界の影響を受けにくくすることができる。また、隣り合うコイル51〜53の巻き方向を互いに異なる方向とすれば、隣り合うコイル51〜53に同じ相の励磁信号を入力しても、隣り合うコイル51〜53に逆向きの磁界を発生することができる。
0140
(変形例6)
第1の差分値を算出する処理を省略し、第2の差分値を、コイル51〜53の受信信号の振幅の互いの減算値としてもよい。その場合は、第2の差分値の絶対値は、下記の式(7)〜(9)のようになる。
0141
Δ12=|d1−d2|=|C1−C2+(E1−E2)| (7)
Δ23=|d2−d3|=|C2−C3+(E2−E3)| (8)
Δ31=|d3−d1|=|C3−C1+(E3−E1)| (9)
0142
ここで、C1〜C3は、コイル51〜53の温度に依存しない信号成分であり、それぞれのコイル51〜53に特有の値である。よって、C1〜C3を予め測定しておけば、C1−C2、C2−C3およびC3−C1を特定することができる。
0143
図11に示す異物の判定処理において、コイル51,52の差分値に対する閾値をC1−C2を考慮した値とし、コイル52,53の差分値に対する閾値をC2−C3を考慮した値とし、コイル53,51の差分値に対する閾値をC3−C1を考慮した値とする。そして、制御部18は、各閾値(C1−C2を考慮した閾値、C2−C3を考慮した閾値、およびC3−C1を考慮した閾値)と、式(7)〜(9)に示した絶対値と比較し、異物の判定を行うことができる。このように、複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値から、繰出部に混入する異物の有無を判定することができる。
0144
(変形例7)
本発明が適用される紙葉類処理装置は、投入された紙幣を搬送路に繰出す繰出部に配置され、磁界を発生する複数のコイルと、複数のコイルのそれぞれから出力される信号の互いの差分値から、繰出部に混入する異物の有無を判定する制御部とを備える。制御部は、複数のコイルのそれぞれから発生する磁界が、1つずつ順番に発生するようにし、磁界が発生しているときに、コイルから出力される信号を検出する。
0145
上記の実施形態では、繰出部が1枚の紙幣を繰り出す時間t1の間に、それぞれのコイルが1回ずつ励磁されるが、本発明はそのような形態に限定されない。繰出部が1枚の紙幣を繰り出す間に、それぞれのコイルが複数回ずつ励磁されても良い。
0146
例えば、制御部は、それぞれのコイルを1つずつ順番に励磁し、コイルに磁界が発生しているときに、コイルから出力される信号を検出する処理を1セットとし、繰出部が1枚の紙幣を繰り出す間に、複数回のセットの処理を行う。または、制御部は、1つのコイルを複数回に分けて連続して励磁し、コイルに磁界が発生しているときに、コイルから出力される信号を検出する処理を1セットとし、繰出部が1枚の紙幣を繰り出す間に、それぞれのコイルに対して1セットの処理を行う。
0147
制御部は、複数回のセットの処理で検出した信号を用いて、総合的に異物の有無を判定する。例えば、検出したそれぞれの信号を用いて上述の異物の判定処理を行い、異物が混入したと判定された信号が所定の数より多い場合に、最終的に異物が混入したと判定する。また、複数回のセットの処理において、異物が混入したと判定された信号が所定回数以上、連続して現れた場合に、最終的に異物が混入したと判定してもよい。これにより、コイルが一時的に誤動作した場合であっても、異物の混入を正確に判定することができる。例えば、瞬間的な静電気の発生により、コイルから異常な信号が出力される場合があるが、静電気発生の前後の信号も検出することで、異常な信号のみによる誤った判定を回避することができる。
0148
1紙葉類処理装置
12入金部
15aループ状搬送路
15b 第1分岐路
18 制御部
40繰出部
41ステージ
42キッカローラ
43フィードローラ
44ゲートローラ
45搬送ローラ
46基板
47紙幣ガイド
51〜53コイル
54a〜54c,55a〜55f 開口
61 CPU
62FPGA
71検知制御IC
71a〜71c 駆動変換部
72切替え回路
72a〜72c スイッチ