図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
近年、建設技能労働者は減少が著しく、建設業界では恒常的な人材不足が生じている。また、建設技能労働者は、所定の技能を身につけるためには、一定の訓練と実際の作業を経験することが必要になる。このため、新規入職者を確保できたとしても、実際の現場において作業を一人で行うことができるようになるためには、一定の時間を要する。
一方、新規入職者に対する作業の教育は、通常、現場において熟練技能者から教わったり熟練労働者の作業を見て学んだりすることが一般的である。しかし、従来のように、熟練労働者の作業を見て学ぶという方法では、新規入職者がその技能を身に付けるまでに非常に長時間を要する。また、熟練労働者が教育する場合でも、熟練労働者は自分の作業を実施しながらその合間で教育することになるため、十分な教育時間を取ることができない。とくに、近年のように、熟練技能者が少なくなり熟練技能者が不足する状況では、熟練技能者が新規入職者に対して十分な教育を実施することは難しい。
最近では、新規入職者に対して、実際の現場における作業を行う前に、予め作業を教育する機関等も創設されているが、その機関における教官も熟練技能者が務めるため人材の確保が難しい。
ところで、最近では、仮想対象物を含む仮想作業空間を、視覚的、および触覚的または力覚的に作業者に提供する仮想空間提供手段が構成されたシミュレータが開発されている(特許文献1参照)。この技術では、料理や金型加工などの作業を実施させ、理想的な作業との公差を測定して、適切な作業が実施されているか否かを判断することができる旨の記載がある。
概要
VR空間内において作業を実施でき、しかも、適切な作業を実施した状態を体感させることができる作業動作教育システムを提供する。建設現場の作業を教育するシステムであって、教育を受ける作業者が装着し作業者に視認させるVR画像を表示するVR画像表示装置2と、作業者が保持する鏝モデル5と、作業者が装着する、作業者の体に力を加える駆動部10と、鏝モデル5の動きに合せて、VR画像表示装置2に表示させるVR画像および駆動部10が発生する力を制御する制御部20と、を備えており、制御部20は、鏝モデル5の動きに応じて、鏝モデル5とVR画像に含まれる構造物との干渉状態を算出し、算出した干渉状態に応じた力が作業者に加わるように駆動部10の作動を制御する。
目的
ところで、最近では、仮想対象物を含む仮想作業空間を、視覚的、および触覚的または力覚的に作業者に提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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- 牽制数
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この技術が所属する分野
請求項1
建設現場の作業を教育するシステムであって、教育を受ける作業者が装着し該作業者に視認させるVR画像を表示するVR画像表示装置と、前記作業者が保持する疑似作業具と、前記作業者が装着する、該作業者の体に力を加える駆動部と、前記疑似作業具の動きに合せて、前記VR画像表示装置に表示させるVR画像および前記駆動部が発生する力を制御する制御部と、を備えており、該制御部は、前記疑似作業具の動きに応じて、該疑似作業具と前記VR画像に含まれる構造物との干渉状態を算出し、算出した干渉状態に応じた力が作業者に加わるように前記駆動部の作動を制御することを特徴とする作業動作教育システム。
請求項2
前記制御部は、見本となる作業具を操作する見本動作を記憶した記憶部を備えており、前記見本動作と前記作業具の動きとの間にズレが有る場合に、該ズレを修正するように前記駆動部を作動させることを特徴とする請求項1記載の作業動作教育システム。
請求項3
前記見本動作は、疑似作業具を使用して熟練作業者が作業を実施した際に、熟練作業者の所定の部位に装着したセンサから得られる値と、モーションキャプチャ装置によって撮影した動作情報と、から構成されていることを特徴とする請求項2記載の作業動作教育システム。
請求項4
前記疑似作業具を使用した際の作業者の動きを記録するモーションキャプチャ装置を備えており、前記制御部は、該モーションキャプチャ装置が記憶した作業者の動作と前記見本動作と、を同時にVR画像表示装置に表示させる比較表示機能を備えていることを特徴とする請求項2または3記載の作業動作教育システム。
請求項5
請求項6
前記駆動部が、作業者の肘部に取り付けられる第一駆動部材と、作業者の手首に取り付けられる第二駆動部材と、作業者の肩部に取り付けられる第三駆動部材と、を備えていることを特徴とする請求項5記載の作業動作教育システム。
請求項7
前記VR画像が、BIMシステムによって形成された画像であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の作業動作教育システム。
技術分野
背景技術
0002
近年、建設技能労働者は減少が著しく、建設業界では恒常的な人材不足が生じている。また、建設技能労働者は、所定の技能を身につけるためには、一定の訓練と実際の作業を経験することが必要になる。このため、新規入職者を確保できたとしても、実際の現場において作業を一人で行うことができるようになるためには、一定の時間を要する。
0003
一方、新規入職者に対する作業の教育は、通常、現場において熟練技能者から教わったり熟練労働者の作業を見て学んだりすることが一般的である。しかし、従来のように、熟練労働者の作業を見て学ぶという方法では、新規入職者がその技能を身に付けるまでに非常に長時間を要する。また、熟練労働者が教育する場合でも、熟練労働者は自分の作業を実施しながらその合間で教育することになるため、十分な教育時間を取ることができない。とくに、近年のように、熟練技能者が少なくなり熟練技能者が不足する状況では、熟練技能者が新規入職者に対して十分な教育を実施することは難しい。
0005
ところで、最近では、仮想対象物を含む仮想作業空間を、視覚的、および触覚的または力覚的に作業者に提供する仮想空間提供手段が構成されたシミュレータが開発されている(特許文献1参照)。この技術では、料理や金型加工などの作業を実施させ、理想的な作業との公差を測定して、適切な作業が実施されているか否かを判断することができる旨の記載がある。
先行技術
0006
特願2002−333823号公報
発明が解決しようとする課題
0007
しかるに、特許文献1の技術は、入出力デバイスからの情報で、理想的な作業との公差を測定することによって適切な作業が実施されているか否かを判断することまではできても、実際に正確な作業を実施した場合の体の動きを体感させることはできない。
課題を解決するための手段
0009
第1発明の作業動作教育システムは、建設現場の作業を教育するシステムであって、教育を受ける作業者が装着し該作業者に視認させるVR画像を表示するVR画像表示装置と、前記作業者が保持する疑似作業具と、前記作業者が装着する、該作業者の体に力を加える駆動部と、前記疑似作業具の動きに合せて、前記VR画像表示装置に表示させるVR画像および前記駆動部が発生する力を制御する制御部と、を備えており、該制御部は、前記疑似作業具の動きに応じて、該疑似作業具と前記VR画像に含まれる構造物との干渉状態を算出し、算出した干渉状態に応じた力が作業者に加わるように前記駆動部の作動を制御することを特徴とする。
発明の効果
図面の簡単な説明
0011
本実施形態の作業動作教育システム1の概略ブロック図である。
本実施形態の作業動作教育システム1の処理フロー図である。
本実施形態の作業動作教育システム1において見本動作との比較作業を実施する処理フロー図である。
本実施形態の作業動作教育システム1の疑似作業具である鏝モデル5と、駆動部10を装着している状態の概略説明図である。
本実施形態の作業動作教育システム1の疑似作業具である鏝モデル5と、駆動部10を装着している状態の概略説明図である。
VR画像の一例である。
実施例
0012
本実施形態の作業動作教育システムは、VR画像を視認しながら擬似作業を体感させることができるシステムであって、作業者に実際に作業に近い感覚で作業を実施させることができるようにしたことに特徴を有している。
0013
本明細書における「作業」はとくに限定されず、対象となる建造物に対して作業者が反力を受けるような作業であれば採用することができる。例えば、作業者が壁に壁材を塗工する作業や、クロス貼り、左官作業、ボード貼り、軽鉄工事等の作業をあげることができる。
0014
以下では、作業者が壁に壁材を塗工する作業を実施する場合を代表として説明する。
0015
<本実施形態の作業動作教育システム1>
図1に示すように、本実施形態の作業動作教育システム1は、教育を受ける作業者が装着するVR画像表示装置2と、作業者が保持する疑似作業具である鏝モデル5と、作業者が装着する駆動部10と、VR画像表示装置2や駆動部10の作動を制御する制御部20と、を備えている。
0016
<VR画像表示装置2>
VR画像表示装置2は、作業者にVR画像を視認させる装置である。このVR画像表示装置2は、作業者にVR画像を視認させることができる表示装置であればよく、とくに限定されない。例えば、一般的なLEDディスプレイや有機EL等のディスプレイ装置を使用することができる。とくに、VR画像表示装置2としてヘッドマウンディスプレイを使用すれば、作業者がVR画像で表示される空間内で実際に作業している状況をより現実に近い状態で体感できるので望ましい。
0017
<鏝モデル5>
図6に示すように、鏝モデル5は、作業者が壁に壁材を塗工する作業に使用する鏝に近い形状や重量に形成されたモデルである。この鏝モデル5には、その移動状態や位置や姿勢などを検出するセンサが設けられており、このセンサが検出した情報が制御部20に供給されるようになっている。鏝モデル5に設けられるセンサは、鏝モデル5の移動状態(加速度や移動方向等)や姿勢(鏝の塗工面の傾きなど)を検出することができるものであればよく、とくに限定されない。例えば、加速度センサやジャイロセンサ、傾きセンサ等を採用することができる。また、鏝モデル5の位置は、初期状態からの移動量で算出してもよいし、モーションキャプチャシステム等を使用して検出してもよい。
0018
なお、鏝モデル5は、無線等によって制御部20に情報を提供するようになっていてもよいし、有線で制御部20と鏝モデル5とを接続し有線で制御部20に情報を提供するようになっていてもよい。無線で情報を提供するようにすれば、実際の作業に近い状態で作業者が鏝モデル5を動かすことができるという利点が得られる。
0020
<第一駆動部材11>
図4および図5に示すように、第一駆動部材11は、作業者の肘部に取り付けられるものである。この第一駆動部材11は、作業者の前腕部に取り付けられる前部部材11aと、作業者の二の腕に取り付けられる後部部材11bと、を有している。そして、前部部材11aと後部部材11bとを連結する連結部材11cを有している。連結部材11cは、作業者の腕の曲げ伸ばしやひねりに追従して変形できるようになっている。また、連結部材11cには、腕を強制的に曲げ伸ばしするように前部部材11aと後部部材11bとの間に力を加える駆動機構を有している。この駆動機構は、とくに限定されないが、以下に示すような構成を採用することができる。
0021
例えば、後部部材11bの内側と外側にワイヤーが巻き付けられた、モータで駆動し得るリールr1,r2をそれぞれ設ける。そして、内側のリールr1のワイヤーw1の一端を前部部材11aの内側に連結し、外側のリールr2のワイヤーw2の一端を前部部材11aの外側に連結する。すると、モータを駆動させて内側のリールr1のワイヤーw1を巻き取れば、腕を曲げる方向に力を発生させることができる。一方、モータを駆動させて外側のリールr2のワイヤーw2を巻き取れば、腕を伸ばす方向に力を発生させることができる。
0022
なお、内側のリールr1および外側のリールr2をそれぞれ2つずつ設ければ、4つのリールの巻取状態を調整することで、腕のひねりを調整することもできる。
0023
また、各リールr1,r2は、モータを駆動していない状態では、腕の動きに合わせてワイヤーw1,w2が繰り出し巻取されるようになっているものが使用される。
0024
<第二駆動部材12>
図4および図5に示すように、第二駆動部材12は、作業者の手首に取り付けられるものである。この第二駆動部材12は、手袋上の手袋部12aと、作業者の前腕部に取り付けられる腕部12bと、を有している。そして、手袋部12aと腕部12bとを連結する連結部材12cを有している。連結部材12cは、作業者の手首の屈曲やひねりに追従して変形できるようになっている。また、連結部材11cには、手首を強制的に曲げ伸ばしするように手袋部12aと腕部12bとの間に力を加える駆動機構を有している。この駆動機構は、とくに限定されないが、以下に示すような構成を採用することができる。
0025
例えば、腕部12bの内側と外側にワイヤーが巻き付けられた、モータで駆動し得るリールr3,r4をそれぞれ設ける。そして、内側のリールr3のワイヤーw3の一端を手袋部12aの手のひら側に連結し、外側のリールr4のワイヤーw4の一端を手袋部12aの手の甲側に連結する。すると、モータを駆動させて内側のリールr3のワイヤーw3を巻き取れば、手首を曲げる方向に力を発生させることができる。一方、モータを駆動させて外側のリールr4のワイヤーw4を巻き取れば、腕を伸ばす方向に力を発生させることができる。
0026
なお、内側のリールr3および外側のリールr4をそれぞれ2つずつ設ければ、4つのリールの巻取状態を調整することで、手首の横方向への動きや手首のひねりを調整することもできる。例えば、親指側に設けた内側のリールr3および外側のリールr4を同時に巻取る駆動と、小指側に設けた内側のリールr3および外側のリールr4を同時に巻取る駆動と、を交互に繰り返せば、手首を横方向に往復移動させることができる。
0027
また、各リールr3,r4は、モータを駆動していない状態では、腕の動きに合わせてワイヤーw3,w4が繰り出し巻取されるようになっているものが使用される。
0028
<第三駆動部材13>
図4および図5に示すように、第三駆動部材13は、作業者の肩部に取り付けられるものである。この第三駆動部材13は、人の肩に取り付けられる肩部13aと、作業者の二の腕に取り付けられる腕部13bと、を有している。そして、肩部13aと腕部13bとを連結する連結部材13cを有している。連結部材13cは、作業者の腕の動きに追従して変形できるようになっている。また、連結部材13cには、腕を強制的に動かすように肩部13aと腕部13bとの間に力を加える駆動機構を有している。この駆動機構は、とくに限定されないが、以下に示すような構成を採用することができる。
0029
例えば、肩部13aの胸側と背中側にワイヤーが巻き付けられた、モータで駆動し得るリールr5,r6をそれぞれ設ける。そして、内側のリールr5のワイヤーw5の一端を腕部13bの内側に連結し、外側のリールr6のワイヤーw6の一端を腕部13bの外側に連結する。すると、モータを駆動させて内側のリールr5のワイヤーw5を巻き取れば、腕を内方(胴体に向かう方向)に動かすように力を発生させることができる。一方、モータを駆動させて外側のリールr6のワイヤーw6を巻き取れば、腕を外方(胴体から離れる方向)に動かすように力を発生させることができる。例えば、内側のリールr5と外側のリールr6とを交互に巻取れば、腕を横方向に往復移動させることができる。
0030
なお、内側のリールr5および外側のリールr6をそれぞれ2つずつ設ければ、4つのリールの巻取状態を調整することで、腕を上下方向に動かすこともできる。
0031
また、各リールr3,r4は、モータを駆動していない状態では、腕の動きに合わせてワイヤーw3,w4が繰り出し巻取されるようになっているものが使用される。
0032
なお、駆動部10は、第一〜第三駆動部材11〜13の全てを備えていなくてもよく、いずれか一つだけでもよいし、3つのうち2つだけでもよい。壁材を塗工する作業の場合であれば、第一、第二駆動部材11、12だけでも現場作業における反力をある程度の精度で実現することができる。
また、加圧10は、上述した第一〜第三駆動部材11〜13以外の駆動部材を有していてもよい。例えば、膝や腰などに装着する駆動部材を設けてもよい。この場合には、塗工する高さや横方向への移動なども体感できるので、より現実の作業に近い状態を体感することができる。
0033
<センサ>
なお、図示しないが、各第一〜第三駆動部材11〜13の各部材に、各部材の動きや位置や姿勢などを検出するセンサが設けられており、このセンサが検出した情報が制御部20に供給されるようになっている。言い換えれば、各部材が設けられている作業者の体の各部位の動きや位置や姿勢などを検出するセンサが設けられており、このセンサが検出した情報が制御部20に供給されるようになっている。各部材に設けられるセンサは、各部材の移動状態(加速度や移動方向等)や姿勢(各部材の傾きなど)を検出することができるものであればよく、とくに限定されない。例えば、加速度センサやジャイロセンサ、傾きセンサ等を採用することができる。また、各部材の位置や作業者の体の各部位の動きや位置や姿勢は、初期状態からの移動量で算出してもよいし、モーションキャプチャシステム等を使用して検出してもよい。
0034
この場合、センサからの情報は、無線等によって制御部20に情報を提供するようになっていてもよいし、有線で制御部20と各部材とを接続し有線で制御部20に情報を提供するようになっていてもよい。無線で情報を提供するようにすれば、実際の作業に近い状態で作業者が作業を実施できるという利点が得られる。
0035
<制御部20>
図1に示すように、制御部20は、鏝モデル5から入力を解析し駆動部10の作動を制御する解析部21と、VR画像表示装置2に表示する画像を制御する画像制御部22と、と、画像制御部22で表示する画像に関する情報を記憶した記憶部25と、備えている。
0036
<記憶部25>
記憶部25には、作業現場等の画像や、画像に表示させる鏝モデル5の画像、鏝モデル5を保持する作業者の腕などの画像が記憶されている。これらの画像は、予め作成されており、後述する解析部21で解析された鏝モデル5の動きなどに応じて、画像制御部22によってVR画像表示装置2に表示される。
0037
<作業現場等の画像>
作業現場等のVR画像は、種々の画像作成システムやソフトによって想定される作業現場等を再現させて形成されたものである。壁に壁材を塗る作業では、壁やその周辺に存在する建造物や物体等を含めた画像がVR画像になる。ここで作業現場等のVR画像(以下現場VR画像という)を作成する画像作成システムやソフトはとくに限定されないが、建築物モデルを設計するBIMシステムを使用して現場VR画像を作成することが望ましい。BIMシステムを使用して作成した場合、画像中の各物体の種々の情報(素材や物性等)を含めた情報を現場VR画像に含めることができる。すると、後述する解析部21において、鏝モデル5を操作した際に、鏝モデル5が現場VR画像中の壁材や壁材を塗る壁などから受ける反力を算出することができる。したがって、実際の現場において壁材を壁に塗っている状況を、壁などから受ける反力を体感しながら練習できるようになる。
0039
<解析部21>
解析部21は、鏝モデル5に設けられている各センサからの入力に基づいて、鏝モデル5の動きを解析する機能を有している。例えば、鏝モデル5に設けられている加速度センサや移動方向を検出するセンサの入力に基づいて、どの方向に向かってどのような加速度や速度で鏝モデル5が移動しているかを解析する。また、解析部21では、鏝モデル5と、上述した現場VR画像に表示される壁との距離を算出する機能を有している。そして、鏝モデル5が壁に接触していない状態では、鏝モデル5に設けられているセンサからの情報に基づいて、解析部21は鏝モデル5の姿勢や位置を算出する。
0040
一方、壁に鏝モデル5が干渉する状態となった場合には、壁との干渉状態を算出し、その干渉状態の姿勢となるように第一〜第三駆動部材11〜13を作動させる。例えば、平坦な壁に鏝モデル5が接触する場合を考える。この場合、最初に鏝モデル5の鏝板の裏面が壁に接触すると、鏝モデル5は移動できなくなる。すると、鏝モデル5をさらに壁方向に移動させるように作業者が鏝モデル5を移動させようとすると、作業者に壁から鏝モデル5に加わる反力に相当する力が作業者に加わるように、解析部21は第一〜第三駆動部材11〜13を作動させる。例えば、鏝モデル5をさらに壁方向に移動させるように作業者が腕などを動かそうとすると、解析部21は鏝モデル5の位置を維持するように、腕などの移動をさせないように第一〜第三駆動部材11〜13を作動させる。具体的には、腕などを伸ばそうとする力と反対方向、つまり、腕などが曲げる方向に力が発生するように、第一〜第三駆動部材11〜13を作動させる。
0041
なお、本実施形態の作業動作教育システム1において、現場VR画像をBIMシステムによって形成すれば、現場VR画像の情報に壁などの素材や物性等を含めた情報が含まれている。すると、解析部21は、単に、鏝モデル5と壁との相対的な位置だけでなく、壁の素材に応じた力が発生するように第一〜第三駆動部材11〜13を作動させることも可能になる。例えば、壁が硬くほとんど変形しないものであれば、鏝モデル5が壁に接触したのち、鏝モデル5が移動しないように第一〜第三駆動部材11〜13の作動を制御する。一方、壁が弾性を有するものや、泥のように可塑性や脆いものなどの場合には、鏝モデル5は壁に接触してからもある程度は移動するが、移動速度が遅くなるように第一〜第三駆動部材11〜13の作動を制御させることができる。そして、壁材の物性が記憶部25に記憶されていれば、その壁材の物性を考慮して第一〜第三駆動部材11〜13の作動を制御させることができる。つまり、実際の壁に鏝によって壁材を塗工しているときの感覚に近い反力を作業者に感じさせることができる。
0042
また、解析部21は、後述するようなモーションキャプチャ装置30からの入力が無い場合には、基本姿勢の位置を基準位置として記憶し、その基準位置からの移動量や移動方向によって鏝モデル5や第一〜第三駆動部材11〜13の位置を算出するようになっていることが望ましい。基本姿勢とは、例えば、両手を下方に下した状態や、壁を塗工する際の基準となる姿勢をすることができる。
0043
<画像制御部22>
画像制御部22は、VR画像表示装置2に表示するVR画像(図6参照)を制御する機能を有するものである。画像制御部22は、VR画像表示装置2にVR画像を表示させる一般的なVRシステムに採用されている制御システムを利用することができる。
0044
画像制御部22は、記憶部25に記憶されている現場VR画像の情報と、作業者の視線に関する情報と、に基づいて、VR画像表示装置2に表示する現場VR画像を制御する機能を有している。例えば、VR画像表示装置2がヘッドマウントディスプレイであれば、作業者の顔の動きに応じてVR画像表示装置2に表示させる現場VR画像を調整する機能を有している。また、液晶ディスプレイであれば、入力装置によって作業者が視認したい方向を変更すると、その入力情報に基づいてVR画像表示装置2に表示させる現場VR画像を調整する機能を有している。
0045
また、画像制御部22は、鏝の画像を現場VR画像に重ねて表示する機能も有している。この機能も、VRデバイスをVR画像に重ねて表示する一般的なVRシステムに採用されている制御システムを利用することができる。つまり、鏝モデル5の移動や姿勢、位置に関する情報が解析部21から供給されると、その情報に基づいて現場VR画像中に鏝の画像を表示させる機能を有している。
0046
<本実施形態の作業動作教育システム1による訓練>
本実施形態の作業動作教育システム1が以上のような構成であるので、以下のように作業者に壁材の塗工作業を体験させることができる。なお、以下では、VR画像表示装置2がヘッドマウントディスプレイである場合を説明する。
0047
図2に示す様に、まず、VR画像表示装置2を作業者の顔に装着し、作業者が鏝モデル5を保持すると、本実施形態の作業動作教育システム1を作動させる。
0048
ついで、作業者に基準姿勢を取らせる。すると、制御部20の解析部21は、そのときの鏝モデル5の位置を基準位置に調整する。そして、基準位置が調整されると、作業者が塗工作業の訓練を開始する。つまり、鏝モデル5を操作して、現場VR画像中の壁に壁材を塗工する作業を行う。
0049
この作業中には、鏝モデル5が現場VR画像中の壁に接触すると、解析部21が駆動部10の第一〜第三駆動部材11〜13を作動させて、壁からの反力に相当する力が作業者に加わるようにする。すると、作業者は、実際に鏝によって壁材を壁に塗工しているときと同じ感覚を受ける。そして、自分の作業の結果を現場VR画像で確認できるので、自分の作業が適切であったか否かを判断できる。
0050
以上のように、本実施形態の作業動作教育システム1であれば、作業者が実際の塗工作業をしているときと近似した感覚を受けるので、作業の経験を積むことができる。
0051
<ズレを修正機能>
記憶部25には、作業者が実施する作業の見本となる見本動作の情報が記憶されていてもよい。つまり、本実施形態の作業動作教育システム1を用いで熟練作業者が塗工作業を実施した際の情報を、見本動作として記憶部25に記憶していてもよい。この場合、解析部21は、見本動作の情報に含まれている情報と、実際に作業者が操作して得られた情報を比較し、その相違に基づいて駆動部10の動作を制御してもよい。つまり、作業者の動きを熟練作業者の動きに合わせるように駆動部10の動作を制御してもよい(図3参照)。すると、作業者を熟練作業者が実際に手に取って動きを教えているような状態にすることができるので、作業者の作業に対する習熟度を高めやすくなる。
0052
この場合、作業者の動きを熟練作業者の動きに合わせるように駆動部10を動作させる基準はとくに限定されない。作業者の動きが熟練作業者の動きに対して一定以上のズレが生じると、ズレが許容範囲内になるように駆動部10を作動させるなどの方法を採用することができる(図3参照)。例えば、作業者が鏝モデル5を動かす速度が速すぎる場合には、駆動部10の第三駆動部材13の作動を制御すれば、腕の横方向への動きを遅くすることができる。また、鏝モデル5の角度が適切でない場合には、駆動部10の第一駆動部材11(必要であれば第二駆動部材12)の作動を制御すれば、鏝モデル5の角度を調整することができる。壁への押しつけ量が適切でない場合には、駆動部10の第一から第三駆動部材11〜13の作動を制御すれば、押しつけ量を調整することができる。
0053
なお、見本動作の情報が記憶されている場合には、見本動作を実施している状況をVR画像表示装置2に表示する機能を画像制御部22が有していてもよい。すると、鏝モデル5を操作して作業訓練を実施する前に作業者が見本動作を画像で確認できるので、作業者が熟練作業者の作業、つまり、適切な作業をイメージしやすくなる。すると、本実施形態の作業動作教育システム1を使用して作業を実施した際に、駆動部10から修正力が加わると、その修正力の意味を把握しやすくなるので、作業に対する習熟度を高めやすくなる。
0054
また、制御部25は、鏝モデル5を作業者が操作して訓練したときのデータの情報が記憶されている場合には、画像制御部22は、作業者の作業の状況を示す作業画像をVR画像表示装置2に表示する機能を有していてもよい。すると、作業者が自分の作業を後から確認できるので、問題点や改善点を把握しやすくなる。とくに、作業画像に見本動作を重ねて表示する比較表示機能を有していれば、自己の作業の問題点をより一層把握しやすくなる。この場合、駆動部10から加わる修正力の情報も併せて作業画像に表示するようにすれば、自己の作業の問題点をさらに把握しやすくなる。例えば、矢印などによって修正力が加わった方向と大きさを作業画像に重ねて表示する方法などを挙げることができる。
0055
<作業者の動き検出方法>
作業者の動きは、上述したように、鏝モデル5に設けられたセンサから演算部21が算出するようにしてもよい。また、モーションキャプチャ装置30を別途設けて、モーションキャプチャ装置30によって作業者の動きを検出してもよい。この場合、使用するモーションキャプチャ装置30はとくに限定されない。例えば、光学式のモーションキャプチャ装置や、慣性センサ式のモーションキャプチャ装置、機械式のモーションキャプチャ装置、磁気式のモーションキャプチャ装置、ビデオ式のモーションキャプチャ装置等を採用することができる。光学式やビデオ式のモーションキャプチャ装置30を採用する場合には撮影用のカメラや部材を設ける必要があり、磁気式のモーションキャプチャ装置を採用する場合には磁場を発生させる送信器や磁場を受信する受信器が必要なる。一方、慣性センサ式や機械式のモーションキャプチャ装置の場合、上述した鏝モデル5や駆動部10の各駆動部材11〜13に設けられたセンサの情報を使用して作業者の動きを検出することもできる。
0056
なお、上述した熟練作業者の見本動作や作業者の作業状況をモーションキャプチャ装置30によって取得するようにすれば、その見本動作と作業動作教育システム1が取得した作業者の動きをより精度よく比較できるという利点が得られる。
0058
1作業動作教育システム
2VR画像表示装置
5 鏝モデル
10 駆動部
11 第一駆動部材
12 第二駆動部材
13 第三駆動部材
20 制御部
21解析部
22画像制御部
25 記憶部