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技術 上皮性卵巣がんおよびその他のがんに対する免疫療法において使用するための新規ペプチドおよびペプチドの組み合わせ

出願人 イマティクスバイオテクノロジーズゲーエムベーハー
発明者 シュスター,ハイコペペル,ヤネットワグナー,フィーリプランメンゼー,ハンス-ゲオルク
出願日 2020年4月13日 (10ヶ月経過) 出願番号 2020-071602
公開日 2020年10月22日 (3ヶ月経過) 公開番号 2020-171283
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 医薬品製剤 動物,微生物物質含有医薬 ペプチド又は蛋白質 化合物または医薬の治療活性 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬
主要キーワード 最大保持時間 数珠玉 サンプル強度 有効形 伸長形態 中心傾向 提示頻度 悪性物質
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月22日)のものです。
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図面 (8)

課題

がん免疫療法において使用するためのペプチドまたは誘導体、該ペプチドを用いて製造した活性化T細胞、該ペプチドを認識する抗体、可溶性T細胞受容体、およびそれらの使用方法の提供。

解決手段

主要組織適合性複合体分子と結合するとCD4および/またはCD8T細胞に認識されるペプチドまたはその誘導体、該ペプチドを抗原としてインビトロで製造した活性化T細胞、および該ペプチドを認識する抗体と、該ペプチド、該ペプチドまたはその変異体エンコードする核酸、該核酸の発現ベクター、該発現ベクターを含む細胞、該活性Tリンパ球または該抗体の、がんの診断および/または治療において、またはがんに対する薬剤の製造における使用方法。

概要

背景

上皮性卵巣がん(EOC)は、依然として婦人科悪性病変に起因する主要な死因、および西欧諸国でのがん関連死の第5位の主要原因であり、2014年には米国で2万2千件の新たな診断と、1万4千人の死亡を引き起こした(1)。唯一利用可能な根治的治療選択肢は、初期の非転移期における完全な外科腫瘍除去である。しかし、ほとんどの患者(>70%)はIIIまたはIV期で診断され、これは特定の初期症状欠如によって引き起こされる。化学療法レジメンの進歩、および第一選択治療のためのベバシズマブの最近の認可にもかかわらず、大部分の患者は最初の治療後数ヶ月または数年以内に再発する(2,3)。

概要

がん免疫療法において使用するためのペプチドまたは誘導体、該ペプチドを用いて製造した活性化T細胞、該ペプチドを認識する抗体、可溶性T細胞受容体、およびそれらの使用方法の提供。主要組織適合性複合体分子と結合するとCD4および/またはCD8T細胞に認識されるペプチドまたはその誘導体、該ペプチドを抗原としてインビトロで製造した活性化T細胞、および該ペプチドを認識する抗体と、該ペプチド、該ペプチドまたはその変異体エンコードする核酸、該核酸の発現ベクター、該発現ベクターを含む細胞、該活性Tリンパ球または該抗体の、がんの診断および/または治療において、またはがんに対する薬剤の製造における使用方法。なし

目的

プライマー」という用語は、短い核酸配列を意味し、それはDNAの1本鎖と対合し得て、DNAポリメラーゼがそこでデオキシリボヌクレオチド鎖合成を開始する、遊離3’−OH末端を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

列番号1〜配列番号549、および配列番号1〜配列番号xxx(SEQIDNo.xxx)と少なくとも88%相同的なその変異配列の群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドおよびその薬学的に許容可能な塩であって;前記変異体が、主要組織適合性複合体MHC分子と結合し、および/またはT細胞を前記変異体ペプチド交差反応させ;前記ペプチドが完全長ポリペプチドでない、ペプチド。

請求項2

MHCクラスIまたはII分子に結合する能力を有し、前記MHCに結合すると、CD4および/またはCD8T細胞によって認識されることができるようになる、請求項1に記載のペプチド。

請求項3

そのアミノ酸配列が、配列番号1〜配列番号549のいずれか1つに記載のアミノ酸、特に配列番号1〜配列番号319のいずれか1つに記載のアミノ酸の連続したストレッチを含む、請求項1または2に記載のペプチドまたはその変異体。

請求項4

前記ペプチドまたはその変異体が、8〜100、好ましくは8〜30、より好ましくは8〜16のアミノ酸の全長を有し、最も好ましくは前記ペプチドが、配列番号1〜配列番号549のいずれかに記載のアミノ酸配列、特に配列番号1〜配列番号319のいずれか1つに記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体。

請求項5

前記ペプチドが、修飾され、および/または非ペプチド結合を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体。

請求項6

前記ペプチドが、特にHLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸を含んでなる融合タンパク質の一部である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体。

請求項7

請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体をエンコードする核酸であって、任意選択的に異種プロモーター配列と結合する、核酸。

請求項8

請求項7に記載の核酸を発現する、発現ベクター

請求項9

請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド、請求項7に記載の核酸または請求項8に記載の発現ベクターを含んでなり、好ましくは樹状細胞などの抗原提示細胞である、組換え宿主細胞

請求項10

医療において使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体、請求項7に記載の核酸、請求項8に記載の発現ベクター、または請求項9に記載の宿主細胞

請求項11

請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドを提示する、または請求項7に記載の核酸を発現する、または請求項8に記載の発現ベクターを有する、請求項9に記載の宿主細胞を培養するステップと、前記ペプチドまたはその変異体を前記宿主細胞またはその培養液から単離するステップとを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体を製造する方法。

請求項12

T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に、または抗原提示細胞を模倣する人工コンストラクトの表面に発現される抗原負荷ヒトクラスIまたはIIMHC分子に、前記T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなり、前記抗原が、請求項1〜4のいずれか一項に記載のペプチドである、活性化Tリンパ球を製造するインビトロ法

請求項13

請求項1〜4のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを提示する細胞を選択的に認識する、請求項12に記載の方法によって製造される活性化Tリンパ球。

請求項14

請求項13で定義される活性T細胞の有効数を患者投与するステップを含んでなる、その標的細胞が、請求項1〜4のいずれか一項に記載のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを提示する患者において、標的細胞を死滅させる方法。

請求項15

MHC分子と結合すると、好ましくは請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体を特異的に認識する、特に可溶性または膜結合抗体である、抗体。

請求項16

がん診断および/または治療において、またはがんに対する薬剤の製造において使用するための、請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド、請求項7に記載の核酸、請求項8に記載の発現ベクター、請求項9に記載の細胞、請求項13に記載の活性化Tリンパ球または請求項15に記載の抗体の使用。

請求項17

がんが、ペプチド配列番号1〜配列番号549がそれに由来するタンパク質過剰発現を示す、卵巣がん非小細胞肺がん小細胞肺がん腎臓がん、脳がん、結腸または直腸がん、胃がん肝臓がん膵臓がん前立腺がん白血病乳がんメルケル細胞がん黒色腫食道がん膀胱がん子宮がん胆嚢がん胆管がん、およびその他の腫瘍の群から選択される、請求項16に記載の使用。

請求項18

(a)請求項1〜6のいずれか一項に記載のペプチド変異体、請求項7に記載の核酸、請求項8に記載の発現ベクター、請求項10に記載の細胞、請求項13に記載の活性化Tリンパ球、または請求項15に記載の抗体を含有する医薬組成物溶液または凍結乾燥形態で含んでなる容器;(b)任意選択的に、前記凍結乾燥製剤のための希釈剤または再構成溶液を含有する第2の容器;(c)任意選択的に、配列番号1〜配列番号549からなる群から選択される少なくとももう1つのペプチド、および(d)任意選択的に、(i)前記溶液の使用、または(ii)前記凍結乾燥製剤の再構成および/または使用のための取扱説明書を含んでなるキット

請求項19

(iii)緩衝液、(iv)希釈剤、(V)フィルター、(vi)針、または(V)シリンジの1つまたは複数をさらに含んでなる、請求項18に記載のキット。

請求項20

前記ペプチドが、配列番号1〜配列番号549からなる群から選択される、請求項18または19に記載のキット。

請求項21

a)前記個々の患者からの腫瘍サンプルによって提示される、腫瘍関連ペプチド(TUMAP)を同定するステップと;b)a)で同定された前記ペプチドを、正常組織との比較で腫瘍における免疫原性および/または過剰提示について予備選別されたペプチド貯蔵庫と比較するステップと;c)少なくとも1つのペプチドを、前記患者において同定されたTUMAPと一致する前記貯蔵庫から選択するステップと;d)ステップc)に基づいて、前記(sid)個別化ワクチンを製造および/または処方するステップとを含んでなる、個々の患者のための化合物ベースのおよび/または細胞療法のための個別化抗がんワクチンを製造する方法。

請求項22

前記TUMAPが、a1)前記腫瘍サンプルからの発現データを前記腫瘍サンプルの組織型に対応する正常組織サンプルからの発現データと比較して、前記腫瘍サンプルにおいて過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質を同定するステップと;a2)発現データを腫瘍サンプル中のMHCクラスIおよび/またはクラスII分子と結合しているMHCリガンドの配列と相関させて、腫瘍によって過剰発現されまたは異常に発現されるタンパク質に由来するMHCリガンドを同定するステップとを含んでなる方法によって同定される、請求項21に記載の方法。

請求項23

結合ペプチドを前記腫瘍サンプルから単離されたMHC分子から溶出させて、前記溶出したリガンド配列決定することで、MHCリガンドの配列が同定される、請求項21または22に記載の方法。

請求項24

前記腫瘍サンプルの組織型に対応する前記正常組織が、前記同一患者から得られる、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。

請求項25

前記貯蔵庫に包含される前記ペプチドが、aa.正常組織または組織群と比較して悪性組織で過剰発現される遺伝子を同定するステップを含んでなる、マイクロアレイまたは配列決定ベース発現プロファイリングなどの高度並列法によって、ゲノム規模メッセンジャーリボ核酸mRNA発現解析を実施するステップと;ab.ステップaaで検出された、選択的に発現されまたは過剰発現される遺伝子によってコードされる、ペプチドを選択するステップと;ac.健常ドナーまたは前記患者からのヒトT細胞を使用した生体外免疫原性アッセイを含んでなる、前記選択されたペプチドによる生体内細胞応答誘導を判定するステップ;またはba.HLAリガンドを前記腫瘍サンプルから質量分析を使用して同定するステップと;bb.正常組織または組織群と比較して悪性組織で過剰発現される遺伝子を同定するステップを含んでなる、マイクロアレイまたは配列決定ベース発現プロファイリングなどの高度並列法によって、ゲノム規模メッセンジャーリボ核酸(mRNA)発現解析を実施するステップと;bc.前記同定されたHLAリガンドを前記遺伝子発現データと比較するステップと;bd.ステップbcで検出された、選択的に発現されまたは過剰発現される遺伝子によってコードされる、ペプチドを選択するステップと;be.ステップbdから選択されたTUMAPを腫瘍組織上で再検出し、健常組織上の検出欠如または希な検出が、mRNAレベルにおける過剰発現の関連性を裏付けるステップと;bf.健常ドナーまたは前記患者からのヒトT細胞を使用した生体外免疫原性アッセイを含んでなる、前記選択されたペプチドによる生体内T細胞応答の誘導を判定するステップとに基づいて同定される、請求項21〜24のいずれか一項に記載の方法。

請求項26

前記貯蔵庫に包含される前記ペプチドの免疫原性が、生体外免疫原性アッセイ、個々のHLA結合についての患者免疫モニタリング、MHC多量体染色、ELISPOTアッセイおよび/または細胞内サイトカイン染色を含んでなる方法によって判定される、請求項21〜25のいずれか一項に記載の方法。

請求項27

前記貯蔵庫が、配列番号1〜配列番号549からなる群から選択される複数のペプチドを含んでなる、請求項21〜26のいずれか一項に記載の方法。

請求項28

前記個々の患者からの正常な対応する組織と比較して前記腫瘍サンプルに特有の少なくとも1つの変異を同定するステップと、前記ワクチンに包含するために、または細胞療法を作成するために、前記変異に関連があるペプチドを選択するステップとをさらに含んでなる、請求項21〜27のいずれか一項に記載の方法。

請求項29

前記少なくとも1つの変異が、全ゲノム配列決定によって同定される、請求項28に記載の方法。

請求項30

HLAリガンドと反応性である、好ましくは組換え可溶性または膜結合T細胞受容体であるT細胞受容体であって、前記リガンドが、配列番号1〜配列番号549からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも75%の同一性を有する、T細胞受容体。

請求項31

前記アミノ酸配列が、配列番号1〜配列番号549と少なくとも88%同一である、請求項30に記載のT細胞受容体。

請求項32

前記アミノ酸配列が、配列番号1〜配列番号549のいずれかからなる、請求項30または31に記載のT細胞受容体。

請求項33

前記T細胞受容体が可溶性分子として提供され、任意選択的に、免疫刺激ドメインまたは毒素などのさらなるエフェクター機能を保有する、請求項30〜32のいずれか一項に記載のT細胞受容体。

請求項34

請求項30〜33のいずれか一項に記載のTCRをエンコードする核酸であって、任意選択的に異種プロモーター配列と結合する、核酸。

請求項35

請求項34に記載の核酸を発現できる、発現ベクター。

請求項36

請求項34に記載の核酸、または請求項15に記載の抗体をコードする核酸、または請求項35に記載の発現ベクターを含んでなる、好ましくはT細胞またはNK細胞である、宿主細胞。

請求項37

請求項36に記載の宿主細胞を培養するステップと、前記T細胞受容体を前記宿主細胞および/またはその培養液から単離するステップとを含んでなる、請求項30〜33のいずれか一項に記載のT細胞受容体を製造する方法。

請求項38

a)配列番号1〜配列番号549からなる群から選択されるペプチド;b)a)に記載のペプチドおよび/またはペプチドMHC複合体と反応性のT細胞受容体;c)a)に記載のペプチドと、HLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端のアミノ酸1〜80とを含んでなる融合タンパク質;d)a)〜c)のいずれかをコードする核酸、または前記核酸を含んでなる発現ベクター;e)d)の発現ベクターを含んでなる宿主細胞;f)T細胞を、抗原特異的様式でT細胞を活性化するのに十分な時間にわたり、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるa)に記載のペプチドと生体外で接触させるステップを含んでなる方法、ならびにこれらの活性化T細胞自己または他の患者に移入する方法によって得られる、活性化Tリンパ球;g)a)に記載のペプチドおよび/またはペプチド−MHC複合体および/またはa)に記載のペプチドを提示する細胞と反応性であり、例えば、免疫活性化ドメインまたは毒素との融合によって潜在的に修飾される、抗体、または可溶性T細胞受容体;h)配列番号1〜配列番号549からなる群から選択されるペプチドを認識し、および/または配列番号1〜配列番号549からなる群から選択されるペプチドとMHC分子との複合体を認識する、アプタマー;i)a)〜h)のいずれかに記載のコンジュゲートされまたは標識されたペプチドまたはスキャフォールドからなる群から選択される、少なくとも1つの活性成分と、薬学的に許容可能な担体、および任意選択的に、薬学的に許容可能な賦形剤および/または安定剤を含んでなる医薬組成物。

請求項39

請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体、好ましくはMHC分子と結合している請求項1〜5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその変異体を特異的に認識する、アプタマー。

技術分野

0001

本発明は、免疫療法において使用するためのペプチドタンパク質核酸、および細胞に関する。特に、本発明はがんの免疫療法に関する。本発明は、単独のまたはその他の腫瘍関連ペプチドと組み合わされた、腫瘍関連T細胞ペプチドエピトープにさらに関し、それは、例えば、抗腫瘍免疫応答刺激し、または生体外でT細胞を刺激して患者移入する、ワクチン組成物活性医薬品成分の役割を果たし得る。主要組織適合性複合体MHC)の分子と結合しているペプチド、またはペプチドそれ自体もまた、抗体、可溶性T細胞受容体、およびその他の結合分子の標的になり得る。

0002

本発明は、ヒト腫瘍細胞HLAクラスIならびにHLAクラスII分子に由来する、いくつかの新規ペプチド配列およびそれらの変異型に関し、それらは抗腫瘍免疫応答を引き起こすためのワクチン組成物中で、または薬学的/免疫学的活性化合物および細胞の開発のための標的として、使用され得る。

背景技術

0003

上皮性卵巣がん(EOC)は、依然として婦人科悪性病変に起因する主要な死因、および西欧諸国でのがん関連死の第5位の主要原因であり、2014年には米国で2万2千件の新たな診断と、1万4千人の死亡を引き起こした(1)。唯一利用可能な根治的治療選択肢は、初期の非転移期における完全な外科腫瘍除去である。しかし、ほとんどの患者(>70%)はIIIまたはIV期で診断され、これは特定の初期症状欠如によって引き起こされる。化学療法レジメンの進歩、および第一選択治療のためのベバシズマブの最近の認可にもかかわらず、大部分の患者は最初の治療後数ヶ月または数年以内に再発する(2,3)。

発明が解決しようとする課題

0004

がんの治療に伴う重度副作用および費用を考慮すると、がん全般、そして特に卵巣がんの治療に使用し得る要素を同定する必要がある。がんのより良い診断、予後の評価、および治療成功予測につながる、がん全般、特に卵巣がんのためのバイオマーカーに相当する要素を同定する必要性もまたある。

0005

がんの免疫療法は、がん細胞を特異的に標的化しながら副作用を最小化する選択肢に相当する。がん免疫療法は、腫瘍関連抗原の存在を利用する。腫瘍関連抗原(TAA)の現行分類は、次の主要群を含んでなる:
a)がん精巣抗原:T細胞によって認識され得る初めて同定されたTAAはこのクラスに属し、元々はがん精巣(CT)抗原と称されたが、それは、そのメンバー組織学的に異なるヒト腫瘍において発現し、正常組織では精巣の精母細胞精原細胞のみに存在し、時として胎盤に存在するためであった。精巣の細胞はクラスIおよびIIHLA分子を発現しないので、これらの抗原は正常組織のT細胞によって認識され得ず、したがって免疫学的に腫瘍特異的と見なされる。CT抗原の周知の例は、MAGEファミリーメンバーおよびNY−ESO−1である。
b)分化抗原:これらのTAAは、腫瘍と、それから腫瘍が生じる正常組織との間で共有される。既知の分化抗原のほとんどは、黒色腫および正常メラノサイトに見いだされる。これらのメラノサイト系関連タンパク質の多くは、メラニン生合成関与し、したがって腫瘍特異的でないが、それでもなおがん免疫療法のために広く利用されている。例としては、黒色腫に対するチロシナーゼとMelan−A/MART−1、または前立腺がんに対するPSAが挙げられるが、これに限定されるものではない。
c)過剰発現TAA:広範に発現されるTAAをエンコードする遺伝子は、組織学的に異なる型の腫瘍において検出され、多数の正常組織においても概してより低い発現レベルで検出されている。正常組織によってプロセスされて潜在的に提示され得るエピトープの多くは、T細胞認識閾値レベル未満であり得る一方で、腫瘍細胞におけるそれらの過剰発現は、以前確立された免疫寛容破壊することにより、抗がん応答を始動し得る。このクラスのTAAの顕著な例は、Her−2/neu、サバイビンテロメラーゼまたはWT1である。
d)腫瘍特異的抗原:これらのユニークなTAAは、正常な遺伝子(β−カテニン、CDK4など)の変異から生じる。これらの分子変化のいくつかは、腫瘍性形質転換および/または進行に関連している。腫瘍特異的抗原は、通常、正常組織に対する自己免疫反応リスクなしに、強力な免疫応答誘導できる。他方、これらのTAAは、ほとんどの場合、その上でそれらが同定されたまさにその腫瘍のみと関係があり、通常は、多くの個々の腫瘍間で共有されない。腫瘍特異的(関連)イソ型を有するタンパク質では、ペプチドの腫瘍特異性(または関連性)はまた、ペプチドが腫瘍(関連)エクソンに由来する場合に生じてもよい。
e)異常な翻訳後修飾から生じるTAA:このようなTAAは、特異的でなく腫瘍において過剰発現もされないタンパク質から生じてもよいが、それでもなお、腫瘍において主に活性である翻訳後プロセスによって腫瘍関連になる。このクラスの例は、腫瘍にMUC1のような新規エピトープをもたらす改変グリコシル化パターン、または腫瘍特異的であってもなくてもよい分解中のタンパク質スプライシングのような事象から生じる。
f)オンコウイルスタンパク質:これらのTAAはウイルスタンパク質であり、それらは発がん過程において重要な役割を果たしてもよく、外来性である(ヒト由来でない)ため、それらはT細胞応答誘起し得る。このようなタンパク質の例は、子宮頸がんにおいて発現されるヒト乳頭腫16型ウイルスタンパク質E6およびE7である。

0006

過去20年間に、EOCは、多様な臨床所見に基づいて高度に免疫原性の腫瘍として認識されてきた。頻繁な免疫細胞浸潤を示すEOCは、T細胞浸潤と臨床予後の決定的な関連が確立された最初のがんの1つであった。これらの浸潤性細胞集団内では、腫瘍反応性および抗原特異的T細胞が同定されている。対照的に、腫瘍常在調節性T細胞(Treg)は、臨床転帰と負の相関がある。さらに、免疫刺激性サイトカインは、個々の患者において説得力のある腫瘍応答を誘導することが示されている。

0007

がん治療のための免疫療法アプローチの有効性は、黒色腫治療において示される免疫チェックポイント阻害剤の最近の開発および認可によって例示されている。さらに、抗原特異的ペプチドワクチン接種および養子T細胞移入は、黒色腫、および例えば腎細胞がんなどのその他の免疫原性腫瘍において、成功を示し始めた。個別化免疫療法には治癒的可能性さえもあり、素晴らしい結果が個々の患者で提示された。

0008

細胞ベースの免疫療法は、主要組織適合性複合体(MHC)の分子によって提示される、腫瘍関連または腫瘍特異的タンパク質由来ペプチドエピトープを標的とする。腫瘍特異的Tリンパ球によって認識される抗原、すなわちそれらのエピトープは、酵素受容体転写因子などの全てのタンパク質クラスに由来する分子であり得て、それはそれぞれの腫瘍細胞において発現されて、同一起源の非改変細胞と比較して、通常、上方制御される。

0009

MHC分子には、MHCクラスIおよびMHCクラスIIの2つのクラスがある。MHCクラスI分子はα重鎖およびβ2ミクログロブリンから構成され、MHCクラスII分子はαおよびβ鎖から構成される。それらの三次元立体構造は、ペプチドとの非共有結合相互作用のために使用される、結合溝をもたらす。

0010

MHCクラスI分子は、ほとんどの有核細胞上に見いだされる。それらは、主に内因性タンパク質欠陥リボソーム産物(DRIP)、およびより大型のペプチドのタンパク質切断から得られる、ペプチドを提示する。しかし、エンドソームコンパートメントまたは外因性起源に由来するペプチドもまた、MHCクラスI分子上に頻繁に見いだされる。この非古典的様式のクラスI提示は、文献中で交差提示と称される(Brossart and Bevan,1997;Rock et al.,1990)。MHCクラスII分子は、大部分はプロフェショナル抗原提示細胞APC)に見いだされ、例えば、エンドサイトーシス中にAPCに取り込まれて引き続きプロセシングされる、外因性または膜貫通タンパク質のペプチドを主に提示する。

0011

ペプチドとMHCクラスIの複合体が、適切なT細胞受容体(TCR)を有するCD8陽性T細胞によって認識される一方で、ペプチドとMHCクラスII分子の複合体は、適切なTCRを有するCD4陽性ヘルパーT細胞によって認識される。その結果、TCR、ペプチド、およびMHCは、化学量論的に1:1:1の量で存在することが良く知られている。

0012

CD4陽性ヘルパーT細胞は、CD8陽性細胞傷害性T細胞による、効果的な応答の誘導と維持において重要な役割を果たす。腫瘍関連抗原(TAA)に由来するCD4陽性T細胞エピトープの同定は、抗腫瘍免疫応答を始動させる医薬品の開発に非常に重要である(Gnjatic et al.,2003)。腫瘍部位では、Tヘルパー細胞が、細胞毒性T細胞(CTL)親和的サイトカイン環境を維持して(Mortara et al.,2006)、例えば、CTL、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、および顆粒球などのエフェクター細胞を引きつける(Hwang et al.,2007)。

0013

炎症不在下では、MHCクラスII分子の発現は、免疫系細胞、特に、例えば、単球、単球由来細胞、マクロファージ、樹状細胞などのプロフェショナル抗原提示細胞(APC)に主に限定される。がん患者においては、腫瘍細胞がMHCクラスII分子を発現することが判明している(Dengjel et al.,2006)。

0014

伸長された(より長い)本発明のペプチドは、MHCクラスII活性エピトープとして作用し得る。

0015

MHCクラスIIエピトープによって活性化されたTヘルパー細胞は、抗腫瘍免疫におけるCTLのエフェクター機能統合するのに重要な役割を果たす。TH1型のTヘルパー細胞応答を始動するTヘルパー細胞エピトープは、それらの細胞表面に腫瘍関連ペプチド/MHC複合体を提示する腫瘍細胞に向けられた細胞傷害機能をはじめとする、CD8陽性キラーT細胞のエフェクター機能を支持する。このようにして腫瘍関連Tヘルパー細胞ペプチドエピトープは、単独で、またはその他の腫瘍関連ペプチドとの組み合わせで、抗腫瘍免疫応答を刺激するワクチン組成物の活性医薬品成分の役割を果たし得る。

0016

例えば、マウスなどの哺乳類動物モデルにおいて、CD8陽性Tリンパ球の不在下であっても、インターフェロンγ(IFNγ)の分泌による血管新生阻害を通じて腫瘍発現を阻害するには、CD4陽性T細胞で十分であることが示された(Beatty and Paterson,2001;Mumberg et al.,1999)。CD4 T細胞が、直接抗腫瘍エフェクターであるという証拠がある(Braumuller et al.,2013;Tran et al.,2014)。

0017

HLAクラスII分子の構成的発現は、通常、免疫細胞に限定されるので、原発性腫瘍からクラスIIペプチドを直接単離する可能性があり得るとは、これまで考えられなかった。しかし、Dengjel et al.は、いくつかのMHCクラスIIエピトープを腫瘍から直接成功裏に同定した(国際公開第2007/028574号パンフレット、欧州特許第1760088B1号明細書)。

0018

CD8およびCD4依存性の双方のタイプの応答は、抗腫瘍効果共同して相乗的に寄与するので、CD8+T細胞(リガンド:MHCクラスI分子+ペプチドエピトープ)、またはCD4陽性Tヘルパー細胞(リガンド:MHCクラスII分子+ペプチドエピトープ)のどちらかによって認識される、腫瘍関連抗原の同定および特性解析は、腫瘍ワクチンの開発にとって重要である。

0019

MHCクラスIペプチドが、細胞性免疫応答を始動(惹起)するためには、それはまた、MHC分子に結合しなくてはならない。この過程は、MHC分子の対立遺伝子と、ペプチドのアミノ酸配列の特定の多型性とに依存する。MHCクラスI結合ペプチドは、通常は8〜12アミノ酸残基長であり、通常は、MHC分子の対応する結合溝と相互作用するそれらの配列中に、2つの保存残基(「アンカー」)を含有する。このようにして、各MHC対立遺伝子は、どのペプチドが結合溝と特異的に結合し得るかを決定する、「結合モチーフ」を有する。

0020

MHCクラスI依存免疫反応においては、ペプチドは腫瘍細胞によって発現される特定のMHCクラスI分子に結合できるだけでなく、それらはまた、引き続いて特異的T細胞受容体(TCR)を有するT細胞によって認識されなくてはならない。

0021

タンパク質が、Tリンパ球によって腫瘍特異的または腫瘍関連抗原として認識され、治療で利用されるためには、特定の必要条件が満たされなくてはならない。抗原は、主に腫瘍細胞によって発現され、健常組織によって発現されず、または比較的少量発現されるべきである。好ましい実施形態では、ペプチドは、腫瘍細胞によって、健常組織と比較して過剰提示されるべきである。それぞれの抗原は、ある種の腫瘍に存在するだけでなく、高い濃度(すなわち、それぞれのペプチド細胞あたりのコピー数)で存在することもさらに望ましい。腫瘍特異的および腫瘍関連抗原は、例えば、細胞周期調節またはアポトーシス抑制における機能のために、正常細胞から腫瘍細胞への形質転換に直接関与するタンパク質に由来することが多い。さらに、形質転換の直接原因となるタンパク質の下流標的が、上方制御されてもよく、(und)したがって間接的に腫瘍関連であってもよい。このような間接的腫瘍関連抗原もまた、ワクチン接種アプローチの標的であってもよい(Singh−Jasuja et al.,2004)。このようなペプチド(「免疫原性ペプチド」)が、腫瘍関連抗原に由来して、生体外または生体内T細胞応答をもたらすことを確実にするためには、抗原のアミノ酸配列内にエピトープが存在することが必須である。

0022

基本的に、MHC分子に結合できるあらゆるペプチドが、T細胞エピトープとして機能してもよい。生体外または生体内T細胞応答誘導のための必要条件は、対応するTCRを有するT細胞の存在、およびこの特定のエピトープに対する免疫寛容の不在である。

0023

したがって、TAAは、腫瘍ワクチンをはじめとするが、これに限定されるものではない、T細胞ベースの治療法開発の出発点である。TAAを同定し特性決定する方法は、通常は、患者または健常人から単離され得るT細胞の使用に基づき、またはそれらは、腫瘍と正常組織との間の示差的転写プロファイル、または示差的ペプチド発現パターンの生成に基づく。しかし、腫瘍組織またはヒト腫瘍細胞株において過剰発現され、またはこのような組織または細胞株において選択的に発現される遺伝子の同定は、免疫療法においてこれらの遺伝子から転写される抗原の使用に関する、正確な情報を提供しない。これは、これらの抗原のエピトープの個々の亜集団のみが、このような用途に適するためであり、その理由は、対応するTCRを有するT細胞が存在しなくてはならず、この特定のエピトープに対する免疫寛容が不在または最小でなくてはならないからである。したがって本発明の非常に好ましい実施形態では、それに対する機能性および/または増殖性T細胞が見いだされる、過剰にまたは選択的に提示されるペプチドのみを選択することが、重要である。このような機能性T細胞は、特異的抗原による刺激時にクローン増殖され得て、エフェクター機能を果たすことができるT細胞(「エフェクターT細胞」)と定義される。

0024

本発明による特異的TCR(例えば、可溶性TCR)および抗体またはその他の結合分子(スキャフォールド)によってペプチドMHCを標的化する場合、基礎となるペプチドの免疫原性は二次的である。これらの場合には、提示が決定要因である。

課題を解決するための手段

0025

本発明の第1の態様では、本発明は、配列番号1〜配列番号549、または配列番号1〜配列番号549と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは、少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異配列からなる群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるペプチドに関し、その中で前記変異体は、MHCと結合し、および/またはT細胞と前記ペプチドまたはその薬学的に許容可能な塩との交差反応を誘導し、その中で前記ペプチドは、基礎となる完全長ポリペプチドでない。

0026

本発明は、配列番号1〜配列番号549、または配列番号1〜配列番号549と少なくとも77%、好ましくは少なくとも88%相同的な(好ましくは少なくとも77%または少なくとも88%同一の)その変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、本発明のペプチドにさらに関し、前記ペプチドまたはその変異型は、8〜100、好ましくは8〜30、最も好ましくは8〜14アミノ酸全長を有する。

0027

続く表は、本発明によるペプチド、それらの各配列番号、およびそれらのペプチドの予測される起源(基礎)遺伝子を示す。表1および表2の全てのペプチドは、HLA−A*02に結合する。表2のペプチドは、誤り率が高い、またはアルゴリズムを使用して計算された、ハイスループットスクリーニングの結果としての大きなリスト中で以前開示されているが、これまでがんとは全く関連付けられていなかった。表3のペプチドは、本発明のその他のペプチドとの組み合わせで有用であってもよい、追加的なペプチドである。表4のペプチドは、それぞれの基礎ポリペプチドの過剰発現または過剰提示を伴う、様々なその他の悪性腫瘍の診断および/または治療においてさらに有用である。

0028

表1: 本発明によるペプチド; X = S、RまたはG

0029

表2: 本発明による追加的ペプチド; X = S、RまたはG

0030

表3:がん治療に有用な追加的ペプチド、X = S、RまたはG

0031

表4:がん治療に有用な追加的ペプチド、X = S、RまたはG

0032

本発明は、さらに、例えば、ペプチド配列番号1〜配列番号319がそれに由来するタンパク質の過剰発現を示す、卵巣がん、非小細胞肺がん小細胞肺がん腎臓がん、脳がん、結腸または直腸がん、胃がん肝臓がん膵臓がん、前立腺がん、白血病乳がんメルケル細胞がん、黒色腫、食道がん膀胱がん子宮がん胆嚢がん胆管がん、およびその他の腫瘍などの増殖性疾患の治療において使用するための本発明によるペプチドに一般に関する。

0033

特に好ましいのは、配列番号1〜配列番号549からなる群から選択される、本発明による単独のまたは組み合わされたペプチドである。より好ましいのは、配列番号1〜配列番号319(表1および2を参照されたい)からなる群から選択される単独のまたは組み合わせのペプチドと、卵巣がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腎臓がん、脳がん、結腸または直腸がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん、黒色腫、食道がん、膀胱がん、子宮がん、胆嚢がん、および胆管がん、および好ましくは卵巣がんの免疫療法におけるそれらの使用である。

0034

したがって、本発明の別の態様は、好ましくは、卵巣がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腎臓がん、脳がん、結腸または直腸がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん、黒色腫、食道がん、膀胱がん、子宮がん、胆嚢がん、および胆管がんの群から選択される増殖性疾患の併用治療のための、本発明によるペプチドの使用に関する。

0035

本発明は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIの分子に結合する能力を有し、または長さ変異体などの伸長形態では、MHCクラスIIに結合する能力を有する、本発明によるペプチドにさらに関する。

0036

本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは(それぞれ)配列番号1〜配列番号549に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。

0037

本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、修飾され、および/または非ペプチド結合を含む。

0038

本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、特にHLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸に融合した、または例えば樹状細胞に対して特異的な抗体などの抗体(またはその配列中)に融合した、融合タンパク質の一部である。

0039

本発明は、本発明によるペプチドをエンコードする核酸にさらに関する。本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNA、またはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。

0040

本発明は、本発明による核酸を発現でき、および/または発現する、発現ベクターにさらに関する。

0041

本発明は、疾患治療および医療において、特にがんの治療において使用するための本発明によるペプチド、本発明による核酸または本発明による発現ベクターにさらに関する。

0042

本発明は、本発明によるペプチドに対して、または前記本発明によるペプチドとMHCの複合体に対して特異的な対抗と、それらを製造する方法とにさらに関する。

0043

本発明は、T細胞受容体(TCR)、特に、自己由来または同種異系T細胞に組み込まれた可溶性TCR(sTCR)およびクローン化TCR;これらを製造する方法;ならびに前記TCRを有するまたは前記TCRと交差反応する、NK細胞またはその他の細胞を製造する方法にさらに関する。

0044

抗体およびTCRは、本発明によるペプチドの免疫療法用途の追加的な実施形態である。

0045

本発明は、前述のような本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。本発明は、抗原提示細胞であり、好ましくは樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。

0046

本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。

0047

本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはIIMHC分子上に抗原が負荷される、本発明による方法にさらに関する。

0048

本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1〜配列番号549を含有する、好ましくは配列番号1〜配列番号319または変異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現できまたは発現する、発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。

0049

本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、前記T細胞は、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを発現する細胞を選択的に認識する。

0050

本発明は、本発明によって製造されるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞死滅させる方法にさらに関する。

0051

本発明は、薬剤としてのまたは薬剤の製造における、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、本発明による活性化Tリンパ球、T細胞受容体または抗体またはその他のペプチド−および/またはペプチド−MHC−結合分子の使用にさらに関する。好ましくは、薬剤は、がんに対して有効である。

0052

好ましくは、前記薬剤は、細胞療法、可溶性TCRまたは抗体に基づくワクチンまたはタンパク質のためのものである。

0053

本発明は、本発明による使用にさらに関し、前記がん細胞は、卵巣がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、腎臓がん、脳がん、結腸または直腸がん、胃がん、肝臓がん、膵臓がん、前立腺がん、白血病、乳がん、メルケル細胞がん、黒色腫、食道がん、膀胱がん、子宮がん、胆嚢がん、および胆管がん、および好ましくは卵巣がん細胞である。

0054

本発明は、がん、好ましくは卵巣がんの診断において使用され得る、本明細書で「標的」と称される、本発明によるペプチドをベースとするバイオマーカーにさらに関する。マーカーは、ペプチドそれ自体の過剰提示、または対応遺伝子の過剰発現であり得る。マーカーはまた、好ましくは免疫療法、最も好ましくはバイオマーカーによって同定されるのと同じ標的を標的とする免疫療法である、治療の成功確率を予測するのに使用されてもよい。例えば、抗体または可溶性TCRを使用して腫瘍切片が染色され、MHCと複合体形成する目的ペプチドの存在が検出され得る。

0055

任意選択的に、抗体は、免疫刺激ドメインまたは毒素などのさらなるエフェクター機能を保有する。

0056

本発明はまた、がん治療の文脈におけるこれらの新規標的の使用に関する。

0057

追加的ながん性疾患に対する治療的および診断的使用の双方が、本発明によるペプチドの基本的発現産物(ポリペプチド)に関する、以下のより詳細な説明で開示される。

実施例

0058

免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識される抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、宿主の免疫系を用いて腫瘍成長介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探求されている。

0059

細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊できる。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からのT細胞の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する、通常は8〜10アミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)保有ペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。

0060

本発明は、以下に記載されるような修飾されたおよび/または非ペプチド結合を含む、本発明によるペプチドにさらに関する。

0061

本発明は、本発明によるペプチドにさらに関し、前記ペプチドは、特にHLA−DR抗原関連不変鎖(Ii)のN末端アミノ酸に融合した、または例えば樹状細胞に対して特異的な、すなわち、樹状細胞に結合する抗体などの抗体に(またはその配列中に)融合した、融合タンパク質の一部である。

0062

本発明は、本発明によるペプチドをコードする核酸にさらに関する。本発明は、DNA、cDNA、PNA、RNA、またはそれらの組み合わせである、本発明による核酸にさらに関する。

0063

本発明は、本発明による核酸を発現、発現、および/または提示できる、発現ベクターにさらに関する。

0064

本発明は、医療で使用するための、本発明によるペプチド、本発明による核酸、または本発明による発現ベクターにさらに関する。

0065

本発明は、下でさらに詳しく説明される抗体と、それらを製造する方法とにさらに関する。好ましいのは、本発明のペプチドに対して、および/またはそれらのMHCとの結合時の本発明のペプチドに対して、特異的な抗体である。好ましい抗体は、モノクローナルであり得る。

0066

本発明は、T細胞受容体(TCR)、特に、本発明によるペプチドを標的化する可溶性TCR(sTCR)および/またはそれらのペプチド−MHC複合体、およびそれらを製造する方法にさらに関する。

0067

本発明は、本発明によるペプチドおよび/またはそれらのペプチドMHC複合体を標的とする、抗体またはその他の結合分子と、それらを製造する方法とにさらに関する。

0068

本発明は、前述のような本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる、宿主細胞にさらに関する。本発明は、抗原提示細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。本発明は、抗原提示細胞が樹状細胞である、本発明による宿主細胞にさらに関する。

0069

本発明は、本発明による宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞および/またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、本発明によるペプチドを製造する方法にさらに関する。

0070

本発明は、T細胞を、適切な抗原提示細胞の表面に発現される抗原負荷ヒトクラスIまたはIIMHC分子に、前記T細胞を抗原特異的様式で活性化するのに十分な時間にわたり、生体外で接触させるステップを含んでなる、活性化Tリンパ細胞を製造するインビトロ法にさらに関し、前記抗原は本発明による少なくとも1つのペプチドである。

0071

本発明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、抗原が、適切な抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはIIMHC分子上に負荷される方法にさらに関する。

0072

本発明は、抗原提示細胞が、配列番号1〜配列番号549、または変異アミノ酸配列を含有する、前記ペプチドを発現できる発現ベクターを含んでなる、本発明による方法にさらに関する。

0073

本発明は、本発明による方法によって製造される活性化T細胞にさらに関し、それは、本発明によるアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する細胞を選択的に認識する。

0074

本発明は、本発明によるT細胞の有効数を患者に投与するステップを含んでなる、患者において、本発明による任意のアミノ酸配列を含んでなるポリペプチドを異常に発現する標的細胞を死滅させる方法にさらに関する。

0075

本発明は、記載される任意のペプチド、本発明による核酸、本発明による発現ベクター、本発明による細胞、または本発明による活性化T細胞の、薬剤としてのまたは薬剤の製造における使用にさらに関する。

0076

本発明は、前記薬剤が、ワクチン、細胞、例えば、細胞株、sTCR、およびモノクローナル抗体などの細胞集団である、本発明による使用にさらに関する。

0077

本発明は、薬剤ががんに対して有効である、本発明による使用にさらに関する。

0078

本発明は、前記がん細胞が卵巣がんの細胞である、本発明による使用にさらに関する。

0079

本発明は、卵巣がんの診断および/または予後診断で使用され得る、本発明によるペプチドベースの特定の標識タンパク質およびバイオマーカーにさらに関する。

0080

さらに本発明は、がん治療のためのこれらの新規標的の使用に関する。

0081

さらに、本発明は、プレスクリーニング腫瘍関連ペプチドのデータベース(本明細書で「貯蔵庫」とも称される)を使用して、個々の患者のための個別化抗がんワクチンを製造する方法に関する。

0082

免疫応答の刺激は、宿主免疫系によって外来性として認識された抗原の存在に依存する。腫瘍関連抗原の存在の発見は、宿主の免疫系を用いて腫瘍成長に介入する可能性を高めた。免疫系の体液性および細胞性アームの双方を活用する様々な機構が、がん免疫療法のために目下探求されている。

0083

細胞性免疫応答の特定の要素は、腫瘍細胞を特異的に認識して破壊できる。腫瘍浸潤性細胞集団からの、または末梢血からのT細胞の単離は、がんに対する自然免疫防御において、このような細胞が重要な役割を果たすことを示唆する。特に、細胞質ゾル内に位置するタンパク質または欠陥リボソーム産物(DRIPS)に由来する、通常は8〜10アミノ酸残基の主要組織適合性複合体(MHC)保有ペプチドのクラスI分子を認識するCD8陽性T細胞が、この応答において重要な役割を果たす。ヒトのMHC分子はまた、ヒト白血球抗原(HLA)とも称される。

0084

過去数年間における、がん免疫療法の分野における大きな進歩は、標準的な化学療法アプローチに対する、潜在的に治癒的な追加のまたはその代替としての、広範な高い評価をもたらした。いくつかの論文は、HLAが、重要な腫瘍拒絶抗原として変異および野生型腫瘍関連抗原を提示することの重要性を実証する。したがって、HLAが提示するがん特異的腫瘍抗原の大規模同定は、免疫系が腫瘍細胞をどのように特定し、認識するかを理解する上でのもう一つの重要な要素を追加する。

0085

本発明では、本発明者らは、EOCの免疫ペプチドームを包括的に特徴付け、HLA提示抗原を臨床用途での有用性について評価する目的で、上皮性卵巣がん(EOC)に焦点を合わせた。これまでのところ、EOCに関して同定されたHLA提示抗原はごくわずかであり、大部分の臨床試験は、必ずしもEOCによって頻繁に提示されるわけではない、予測されたまたは確立されたがん精巣抗原に依存しており、この事実は我々の分析によって確認され得た。

0086

本発明者らは、以前公表されたデータに一致して、卵巣腫瘍細胞上のHLAクラスI分子の一貫した高度発現発現を実証する。さらに、本発明者らは、EOCが、強力なHLA−DR分子の発現もまた示すことを単一細胞ベルで示す。この強力な発現は、卵巣腫瘍からならびに高度濃縮腫瘍細胞画分から発せられる大量のMHCクラスIIリガンドを発明者らが同定したことで、さらに強調された。

0087

85個を超える異なる起源の良性起源と比較した、34個の卵巣腫瘍の免疫ペプチドームのプロファイリングから、数百のEOC関連抗原が明らかにされた。本発明者らの良性データセットのいずれの組織上でも提示されない、TOP100HLAクラスI EOC抗原の中でも、MUC16は明らかに最も例外的であった。同定されたHLAリガンドの数(>80)と患者コホートにおける提示頻度(約80%)の双方に関して、これは、本発明者らがこれまでに研究してきたいかなるその他の腫瘍抗原および腫瘍実体においても先例がない。さらに、本発明者らは、MUC16に由来するHLAリガンドの70%超が免疫原性であり、健常人においてT細胞を刺激でき、ムチン16をEOC免疫療法のための比類のない最上の抗原にすることを確立し得た。免疫ペプチドームプロファイリングはさらに、EOCへの明らかな機構的洞察のためのショーケースを提供し、それはHLAクラスIおよびクラスIIリガンドの双方のHLAリガンドに反映される。重要なキナーゼホスファターゼDDR1、EYA2)、転写因子(SOX9、SOX17)、免疫抑制に関連するタンパク質(IDO1、ガレクチン1)、ならびにEOC(MUC1、KLK10、FOLR1)の確立されたおよび疑われる分子マーカーに由来するHLAリガンドは、ほんの数例である。注目すべきことに、HLAクラスIIについては、MUC16の確立されたリガンドであるメソテリンが、TOP1腫瘍関連抗原として同定されている。いくつかの研究は、EOC、ならびに膵臓がんまたは中皮腫などのその他の腫瘍における細胞浸潤および転移に対するMUC16/MSLN軸の中心的役割を実証しており、これらの抗原のT細胞エピトープが、その他の悪性病変においてさらに試験されるべきであることが示唆される。本発明者らは、MSLN染色がMUC16染色と直接相関し、高いMSLN発現がEOCにおいて負の予後因子を形成することを示し得た。

0088

この種の選択的免疫ペプチドームプロファイリングのために、いくつかの異なる良性組織および細胞型(PBMC骨髄肝臓、腎臓、結腸、卵巣)が初めて使用されている。調査に利用できる異なる組織数に制限があるために、本発明者らは、個々の抗原がその臓器のHLA分子によってもまた提示されるかもしれないことを完全に排除し得ない。しかし、EOCに対するこれらの抗原の確立された機能的関連性、そして特に、健常人における各ペプチドの免疫原性のために、その他の組織におけるこれらの抗原の提示はありそうにない。

0089

「T細胞応答」という用語は、生体外または生体内でペプチドによって誘導される、エフェクター機能の特異的増殖および活性化を意味する。MHCクラスI拘束性細胞毒性T細胞では、エフェクター機能は、ペプチドパルスされた、ペプチド前駆体パルスされた、または天然の、ペプチド提示標的細胞の溶解;好ましくはペプチドによって誘導されたインターフェロン−γ、TNF−α、またはIL−2であるサイトカインの分泌;好ましくはペプチドによって誘導されたグランザイムまたはパーフォリンであるエフェクター分子の分泌;または脱顆粒であってもよい。

0090

「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。ペプチドは、好ましくは9アミノ酸長であるが、8アミノ酸長程度に短くあり得て、10、11、または12程度に長くあり得て、MHCクラスIIペプチド(本発明のペプチドの伸長された変種)の場合、それらは15、16、17、18、19または20アミノ酸長程度に長くあり得る。

0091

さらに「ペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基の塩を含むものとする。好ましくは、塩は、例えば、塩化物塩または酢酸塩トリフルオロ酢酸塩)などの、ペプチドの薬学的に許容可能な塩である。ペプチドは生体内においては塩ではないので、本発明によるペプチドの塩は、それらの生体内の状態が、ペプチドと実質的に異なることに留意すべきである。

0092

「ペプチド」という用語は、「オリゴペプチド」もまた含むものとする。「オリゴペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を命名するために、本明細書で使用される。オリゴペプチドの長さは、その中で正しいエピトープまたはエピトープが保持されれば、本発明には重要でない。オリゴペプチドは、典型的に、約30アミノ酸残基長未満であり、約15アミノ酸長を超える。

0093

「本発明のペプチド」という用語は、上で定義される、配列番号1〜配列番号549に記載のペプチドからなる、またはそれを含んでなる、ペプチドを含むものとする。

0094

「ポリペプチド」という用語は、典型的に、隣接するアミノ酸のα−アミノ基とカルボニル基との間のペプチド結合によって互いに連結する、一連のアミノ酸残基を指す。正しいエピトープが保持されれば、ポリペプチドの長さは本発明にとって重要でない。ペプチドまたはオリゴペプチドという用語とは対照的に、ポリペプチドという用語は、約30を超えるアミノ酸残基を含有する分子を指すことが意図される。

0095

ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質またはこのような分子をコードするポリヌクレオチドは、免疫応答を誘導できれば「免疫原性」である(したがって本発明における「免疫原」である)。本発明では、免疫原性は、より具体的には、T細胞応答を誘導する能力と定義される。したがって「免疫原」は、免疫応答を誘導できる分子であり、本発明では、T細胞応答を誘導できる分子である。別の態様では、免疫原は、それに対する特異的抗体またはTCRを生じさせるのに使用される、ペプチド、ペプチドとMHCの複合体、オリゴペプチド、および/またはタンパク質であり得る。

0096

クラスI T細胞「エピトープ」は、クラスIMHC受容体に結合している短いペプチドを必要とし、三成分複合体(MHCクラスIα鎖、β−2−ミクログロブリン、およびペプチド)を形成し、それは、適切な親和性でMHC/ペプチド複合体に結合する適合T細胞受容体を保有するT細胞によって、認識され得る。MHCクラスI分子に結合するペプチドは、典型的に8〜14アミノ酸長であり、最も典型的には9アミノ酸長である。

0097

ヒトにおいては、MHCクラスI分子(ヒト白血球抗原(HLA)ともまた称されるヒトのMHC分子)をコードする、3つの異なる遺伝子座、HLA−A、HLA−B、およびHLA−Cがある。HLA−A*01、HLA−A*02、およびHLA−B*07は、これらの遺伝子座から発現され得る、異なるMHCクラスI対立遺伝子の例である。

0098

表5:HLA-A*5およびHLA-A*24の発現頻度F、および最も高頻度のHLA-DR血清型頻度は、ハーディワインベルグ式、F=1-(1-Gf)2を用いて、Mori et al. (Morietal., 1997)から適応された、米国人母集団内のハプロタイプ頻度Gfから推定される。連鎖不均衡のために、A*02またはA*24と特定のHLA-DR対立遺伝子との組み合わせは、それらの単一頻度から予測されるよりも、豊富でありまたは低頻度であるかもしれない。詳細については、Chanock et al. (Chanock et al., 2004)を参照されたい。

0099

本発明のペプチドは、好ましくは、本明細書に記載される本発明のワクチンに包含される場合、異なるHLA型に結合する。ワクチンはまた、汎結合MHCクラスIIペプチドと、その他の対立遺伝子に結合するペプチドとを含んでもよく、それは個別化された医薬品にとって役立つであろう。したがって、本発明のワクチンを使用して、A*02陽性の患者においてがんを治療し得る一方で、これらのペプチドの汎結合特性のために、MHCクラスIIアロタイプを選択する必要はない。

0100

好ましい実施形態では、「ヌクレオチド配列」という用語は、デオキシリボヌクレオチドヘテロ重合体を指す。

0101

特定のペプチド、オリゴペプチド、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、天然であってもよく、またはそれらは合成的に構築されてもよい。一般に、本発明のペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質をエンコードするDNA断片は、cDNAフラグメントと短いオリゴヌクレオチドリンカーから構築され、またはひと続きのオリゴヌクレオチドから構築されて、微生物またはウイルスオペロンに由来する調節因子を含んでなる、組換え転写単位で発現できる合成遺伝子が提供される。

0102

本明細書の用法では「ペプチドをコーディング(またはコード)するヌクレオチド」という用語は、配列が、例えば、TCRの製造に有用な樹状細胞または別の細胞株によって発現される生体系適合性である、人工人造)開始および停止コドンを含むペプチドをコードする、ヌクレオチド配列を指す。

0103

本明細書の用法では、核酸配列への言及は、一本鎖および二本鎖の核酸の双方を含む。したがって、例えば、特異的配列は、文脈上明らかに別の意味が示唆されない限り、このような配列の一本鎖DNA、このような配列とその補体との二本鎖(二本鎖DNA)、およびこのような配列の補体を指す。

0104

「コード領域」という用語は、その天然ゲノム環境内で、遺伝子の発現産物を天然にまたは正常にコードする遺伝子の部分、すなわち、遺伝子の天然発現産物を生体内でコードする領域を指す。

0105

コード領域は、非変異(「正常」)、変異または改変遺伝子に由来し得て、またはDNA合成技術の当業者に周知の方法を使用して実験室で完全に合成された、DNA配列または遺伝子にさえ由来し得る。

0106

「発現産物」という用語は、遺伝子の、そして遺伝コード縮重に起因する同等物をコードし、したがって同一アミノ酸をコードする任意の核酸配列の天然翻訳産物である、ポリペプチドまたはタンパク質を意味する。

0107

コード配列に言及する場合、「フラグメント」という用語は、その発現産物が、完全コード領域の発現産物と本質的に同一の生物学的機能または活性を保つ、完全未満のコード領域を含んでなるDNAの部分を意味する。

0108

「DNA断片」という用語は、別々のフラグメントの形態の、またはより大型のDNAコンストラクトの構成要素としての、DNAポリマーを指し、それは、実質的に純粋な、すなわち、混入内因性物質を含まない形態で、例えばクローニングベクターを使用した標準生化学的方法によって、断片およびその構成ヌクレオチド配列が同定、操作、および回収できる量または濃度で、少なくとも1回単離されたDNAに由来する。このような断片は、典型的に真核生物遺伝子内に存在する内部非翻訳配列またはイントロンによって中断されていない、読み取り枠の形態で提供される。非翻訳DNA配列は、それがコード領域の操作または発現を妨げない、読み取り枠下流に存在してもよい。

0109

プライマー」という用語は、短い核酸配列を意味し、それはDNAの1本鎖と対合し得て、DNAポリメラーゼがそこでデオキシリボヌクレオチド鎖合成を開始する、遊離3’−OH末端を提供する。

0110

プロモーター」という用語は、転写を開始するためのRNAポリメラーゼ結合に関与する、DNAの領域を意味する。

0111

「単離」という用語は、物質が、その元の環境(例えば、それが天然であれば天然環境)から取り出されていることを意味する。例えば、生きている動物に存在する天然ポリヌクレオチドまたはポリペプチドは単離されていないが、天然システムで共存する物質の一部または全部から分離された同じポリヌクレオチドまたはポリペプチドは、単離されている。このようなポリヌクレオチドはベクターの一部であり得て、および/またはこのようなポリヌクレオチドまたはポリペプチドは組成物の一部であり得るが、このようなベクターまたは組成物がその天然環境の一部でないと言う意味では、なおも単離されている。

0112

本発明によって開示されるポリヌクレオチド、および組換えまたは免疫原性ポリペプチドは、「精製」形態であってもよい。「精製」という用語は、完全に純粋である必要はなく;むしろ、それは相対的定義であることが意図されて、これらの用語が当業者によって理解されるように、高度に精製された調製物、または部分的にのみ精製された調製物を含み得る。例えば、cDNAライブラリーから単離された個々のクローンは、電気泳動的に均一に、従来法で精製されている。少なくとも1桁、好ましくは2または3桁、より好ましくは4または5桁までの、出発原料または天然物質の精製が明示的に検討される。さらに、重量基準で、好ましくは99.999%、または少なくとも99.99%または99.9%;さらに望ましくは99%以上の純度を有する、特許請求されるポリペプチドが明示的に開示される。

0113

本発明によって開示される核酸およびポリペプチド発現産物、ならびにこのような核酸および/またはこのようなポリペプチドを含有する発現ベクターは、「濃縮形態」であってもよい。本明細書の用法では、「濃縮」という用語は、物質濃度が、(例えば)その天然濃度の少なくとも約2、5、10、100、または1000倍であることを意味し、有利には重量基準で0.01%、好ましくは重量基準で少なくとも約0.1%である。重量基準で約0.5%、1%、5%、10%、および20%の濃縮調製物もまた、検討される。本発明を構成する、配列、コンストラクト、ベクター、クローン、およびその他の物質は、有利には濃縮または単離形態であり得る。

0114

本明細書の用法では、ポリペプチドとの関連で使用される場合、「部分」、「断片」、および「フラグメント」という用語は、アミノ酸残基などの連続する残基の配列を指し、その配列はより大型の配列の部分集合を形成する。例えば、ポリペプチドがトリプシンまたはキモトリプシンなどの一般的エンドペプチダーゼのいずれかによって処理されれば、このような処理から得られるオリゴペプチドは、出発ポリペプチドの部分、断片またはフラグメントに相当するであろう。ポリヌクレオチドに関して使用される場合、これらの用語は、いずれかのエンドヌクレアーゼによる前記ポリヌクレオチドの処理によって生じる生成物を指す。

0115

本発明によると、配列に言及する場合、「同一性百分率」または「パーセント同一」という用語は、比較される配列(「比較配列」)と、記載されまたは特許請求される配列(「参照配列」)とのアライメント後に、配列が、特許請求されまたは記載される配列と比較されることを意味する。次に同一性百分率は、次式に従って判定される:
同一性百分率=100[1−(C/R)]
式中、Cは、参照配列と比較される配列との間のアライメント長にわたる、参照配列と比較配列の間の差異の数であり、
(i)比較配列中に対応する整列塩基またはアミノ酸を有しない、参照配列中の各塩基またはアミノ酸、および
(ii)参照配列中の各ギャップ、および
(iii)比較配列中の整列塩基またはアミノ酸と異なる、参照配列中の各整列塩基またはアミノ酸が差異を構成して、
(iiii)アライメントは、整合配列の1位から開始しなくてはならず;
Rは、比較配列とのアライメント長にわたる参照配列中の塩基またはアミノ酸の数であり、参照配列中に生じる任意のギャップもまた、塩基またはアミノ酸として数えられる。

0116

比較配列と、それに対して同一性百分率が上のように計算される参照配列との間に、特定の最小同一性百分率とほぼ同じまたはそれを上回るアライメントが存在すれば、その中に、上記のように計算された同一性百分率が特定の同一性百分率未満であるアライメントが存在したとしても、比較配列は、参照配列との特定の最小同一性百分率を有する。

0117

したがって上述したように、本発明は、配列番号1〜配列番号549、または配列番号1〜配列番号549と88%相同的であるその変異体、またはT細胞を前記ペプチドと交差反応させるその変異体からなる群から選択される配列を含んでなる、ペプチドを提供する。本発明のペプチドは、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスI分子または前記ペプチドの伸長バージョンをクラスIIに結合する能力を有する。

0118

本発明では、「相同的」という用語は、2つのアミノ酸配列、すなわちペプチドまたはポリペプチド配列の配列間の同一性の程度を指す(上の同一性百分率を参照されたい)。前述の「相同性」は、比較される配列にわたり、最適条件下でアライメントされた2つの配列を比較することで判定される。このような配列相同性は、例えばClustalWアルゴリズムを使用してアライメントを作成することで、計算され得る。一般に利用できる配列解析ソフトウェア、より具体的には、VectorNTI、GENETYXまたはその他のツールが、公共データベースによって提供される。

0119

当業者は、特定のペプチドの変異体によって誘導されるT細胞が、ペプチドそれ自体と交差反応できるかどうかを評価できるであろう(Appay et al.,2006;Colombetti et al.,2006;Fong et al.,2001;Zaremba et al.,1997)。

0120

所与のアミノ酸配列の「変異型」によって、本発明者らは、ペプチドが、配列番号1〜配列番号549からなる所与のアミノ酸配列からなるペプチドと実質的に同様に、HLA分子となおも結合できるように、(例えば、それらを別の天然アミノ酸残基の側鎖で、またはその他の側鎖で置換することにより)例えば、アミノ酸の1つまたは2つの残基の側鎖が変化することを意味する。例えば、ペプチドは、それがHLA−A*02または−DRなどの適切なMHC分子の結合溝と相互作用して結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持するように修飾されてもよく、このようにしてそれは、活性化CTLのTCRに結合する能力を改善せずとも、少なくとも維持する。

0121

これらのT細胞は、引き続いて細胞と交差反応して、本発明の態様で定義される同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞を殺滅し得る。学術文献およびデータベース(Rammensee et al.,1999;Godkin et al.,1997)から演繹され得るように、HLA結合ペプチドの特定の位置は、典型的に、アンカー残基であり、結合溝を構成するポリペプチド鎖極性電気物理的、疎水性、および空間特性によって画定されるHLA受容体の結合モチーフと適合する、コア配列を形成する。したがって、当業者は、既知のアンカー残基を保つことで、配列番号1〜配列番号549に記載されるアミノ酸配列を修飾でき、このような変異型がMHCクラスIまたはII分子に結合する能力を維持するかどうかを判定できるであろう。本発明の変異型は、活性化T細胞のTCRに結合する能力を維持し、それは引き続いて、本発明の態様で定義されるような同族ペプチドの天然アミノ酸配列を含有するポリペプチドを発現する細胞と交差反応して、それを殺滅し得る。

0122

本明細書で開示される元の(未修飾)ペプチドは、特に明記されない場合は、ペプチド鎖内の異なる、おそらくは選択的な部位における、1つまたは複数の残基の置換によって修飾され得る。好ましくはこれらの置換は、アミノ酸鎖の末端に位置する。このような置換は、保存的性質であってもよく、例えば、疎水性アミノ酸が別の疎水性アミノ酸によって置換されるなど、構造および特徴の類似したアミノ酸によってアミノ酸が置換される。さらにより保存的な置換は、ロイシンイソロイシンによる置換などの、同一または類似サイズおよび化学的性質のアミノ酸の置換である。天然相同タンパク質ファミリーの配列多様性の研究では、特定のアミノ酸置換は、他よりも耐容されることが多く、これらは、元のアミノ酸とその置換物との間のサイズ、電荷、極性、および疎水性の類似性との相関を示すことが多く、これが「保存的置換」の定義の基礎である。

0123

保存的置換は、本明細書では、以下の5つのグループの1つの中の交換として定義される:グループ1−小型脂肪族非極性またはわずかに極性の残基(Ala、Ser、Thr、Pro、Gly);グループ2−極性の負に帯電した残基およびそれらのアミド(Asp、Asn、Glu、Gln);グループ3−極性の正に帯電した残基(His、Arg、Lys);グループ4−大型脂肪族非極性残基(Met、Leu、Ile、Val、Cys);およびグループ5−大型芳香族残基(Phe、Tyr、Trp)。

0124

より保存的でない置換は、アラニンイソロイシン残基による置換などの、類似した特徴を有するがサイズがいくらか異なる別のアミノ酸による置換を伴うかもしれない。高度に非保存的な置換は、極性アミノ酸の、または塩基性アミノ酸酸性アミノ酸による置換を伴うかもしれない。しかし化学効果は完全に予測可能でなく、「過激な」置換は単純な化学的原理からは予測できない偶然の効果を生じさせる可能性があるので、このような過激な置換は、潜在的に無効であるとして却下し得ない。

0125

もちろんこのような置換には、通常のL−アミノ酸以外の構造が関与してもよい。したがってD−アミノ酸が、本発明の抗原性ペプチドに通常見いだされるL−アミノ酸を置換するかもしれず、依然として本明細書の開示に包含される。さらに、非標準アミノ酸(すなわち、一般的な天然タンパク質新生アミノ酸以外)もまた置換目的で使用して、本発明による免疫原および免疫原性ポリペプチドが製造されてもよい。

0126

2つ以上の位置における置換が、以下に定義されるように実質的に同等のまたはそれを超える抗原活性のあるペプチドをもたらすことが判明した場合、これらの置換の組み合わせを試験して、置換の組み合わせが、ペプチドの抗原性相加または相乗効果をもたらすかどうかが判定される。最大でも、ペプチド内の4つ以上の位置を超えて同時に置換されることはない。

0127

本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドは、非修飾ペプチドと比較すると、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が、実質的に変化したり悪影響を受けたりすることなく交換される、1つまたは2つの非アンカーアミノ酸を有し得る(アンカーモチーフについては下記を参照されたい)。別の実施形態では、本明細書で示されるようなアミノ酸配列から本質的になるペプチドにおいては、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはII分子に結合する能力が非修飾ペプチドと比較して実質的に変化したり悪影響を受けることなく、1つまたは2つのアミノ酸が、それらの保存的交換パートナー(以下を参照されたい)で交換され得る。

0128

T細胞受容体との相互作用に実質的に寄与しないアミノ酸残基は、その組み込みが、T細胞反応性に実質的に影響を及ぼさず、関連MHCとの結合を排除しない、その他のアミノ酸での置換によって修飾され得る。したがって与えられた但し書きを除いて、本発明のペプチドは、与えられたようなアミノ酸配列またはそれらの部分または変異体を含む、任意のペプチド(本発明者らは、その用語にオリゴペプチドまたはポリペプチドを含める)であってもよい。

0129

より長い(伸長された)ペプチドもまた、適切であってもよい。MHCクラスIエピトープは、通常は8〜11アミノ酸長であるが、実際のエピトープを含むより長いペプチドまたはタンパク質から、ペプチドプロセッシングによって生成することが可能である。実際のエピトープ側面に位置する残基は、プロセッシング中に実際のエピトープを曝露させるのに必要なタンパク質分解切断に、実質的に影響を及ぼさない残基であることが好ましい。

0130

本発明のペプチドは、最大4個のアミノ酸によって伸長させ得て、すなわち4:0〜0:4の間のあらゆる組み合わせで、どちらかの末端に1、2、3または4個のアミノ酸が付加され得る。本発明による伸長の組み合わせは、表6にある。

0131

表6: 本発明のペプチドの伸長の組み合わせ

0132

伸長/延長のためのアミノ酸は、元のタンパク質配列のペプチドまたは任意のその他のアミノ酸であり得る。伸長を利用して、ペプチドの安定性または溶解度を高め得る。

0133

したがって本発明のエピトープは、天然腫瘍関連または腫瘍特異的エピトープと同一であってもよく、またはそれらが実質的に同一の抗原活性を有しさえすれば、4つ以下の残基が参照ペプチドと異なるエピトープを含んでもよい。

0134

代案の実施形態では、ペプチドは、4つを超えるアミノ酸で、好ましくは30アミノ酸の全長まで、片側または両側で伸長される。これは、MHCクラスII結合ペプチドをもたらしてもよい。MHCクラスIIへの結合は、当該技術分野で公知の方法によって試験される得る。

0135

したがって、本発明は、MHCクラスIエピトープのペプチドおよび変異型を提供し、ペプチドまたは変異型は、8〜100、好ましくは8〜30、最も好ましくは8〜14、すなわち8、9、10、11、12、13、14アミノ酸の全長を有し、伸長されたクラスII結合ペプチドの場合、長さはまた、15、16、17、18、19、20、21または22アミノ酸であり得る。

0136

もちろん、本発明によるペプチドまたは変異型は、ヒト主要組織適合性複合体(MHC)クラスIまたはIIの分子に結合する能力を有する。ペプチドまたは変異体のMHC複合体への結合は、当該技術分野で既知の方法によって試験されてもよい。

0137

好ましくは、本発明によるペプチドに特異的なT細胞を置換ペプチドについて試験する場合、置換ペプチドが背景に対して最大溶解増加の半分を達成するペプチド濃度は、約1mM以下、好ましくは約1μM以下、より好ましくは約1nM以下、さらにより好ましくは約100pM以下、最も好ましくは約10pM以下である。置換ペプチドが、2人以上、少なくとも2人、より好ましくは3人の個人からのT細胞によって認識されることもまた好ましい。

0138

本発明の特に好ましい実施形態では、ペプチドは、配列番号に1〜配列番号549に記載のアミノ酸配列からなり、またはそれから本質的になる。

0139

「から本質的になる」は、本発明によるペプチドが、配列番号1〜配列番号549のいずれかに記載の配列またはその変異体に加えて、MHC分子エピトープのエピトープとして機能するペプチドの一部を必ずしも構成しない、追加的なNおよび/またはC末端に位置するアミノ酸の一連の配列を含有することを意味するものとする。

0140

それでもなお、これらの一連の配列は、本発明によるペプチドの細胞への効率的な導入を提供するのに重要であり得る。本発明の一実施形態では、ペプチドは、例えば、NCBI、GenBank受入番号X00497に由来する、HLA−DR抗原関連不変鎖(p33、以下の「Ii」)の80個のN末端アミノ酸を含んでなる、融合タンパク質の一部である。その他の融合物においては、本発明のペプチドは、本明細書に記載されるような抗体、またはその機能的部分に、特に抗体の配列に、前記抗体によって特異的に標的化されるように融合し得て、または例えば、本明細書に記載されるような樹状細胞に対して特異的な抗体に、またはその中に融合し得る。

0141

さらにペプチドまたは変異型は、より強力な免疫応答を引き起こすために、安定性および/またはMHC分子への結合を改善するようにさらに修飾されてもよい。ペプチド配列のこのような最適化方法は当該技術分野で周知であり、例えば、逆ペプチド結合または非ペプチド結合の導入が挙げられる。

0142

逆ペプチド結合においては、アミノ酸残基はペプチド(−CO−NH−)結合によって連結せず、ペプチド結合が逆転する。このようなレトロインベルソペプチド模倣剤は、例えば、参照により本明細書に援用される、Meziere et al(1997)(Meziere et al.,1997)に記載されるものなどの当該技術分野で既知の方法を使用して製造されてもよい。このアプローチは、側鎖の方向でなく主鎖に関与する変化を含有する、擬ペプチドの生成を伴う。Meziere et al.(Meziere et al.,1997)は、MHC結合およびTヘルパー細胞応答のために、これらの擬ペプチドが有用であることを示す。CO−NHペプチド結合の代わりにNH−CO結合を含有するレトロインバースペプチドは、タンパク質分解に対してはるかにより高い耐性がある。

0143

非ペプチド結合は、例えば、−CH2−NH、−CH2S−、−CH2CH2−、−CH=CH−、−COCH2−、−CH(OH)CH2−、および−CH2SO−である。米国特許第4,897,445号明細書は、標準手順によって合成されるポリペプチド、およびNaCNBH3の存在下でアミノアルデヒドとアミノ酸を反応させることで合成される非ペプチド結合が関与する、ポリペプチド鎖中の非ペプチド結合(−CH2−NH)を固相合成する方法を提供する。

0144

上述の配列を含んでなるペプチドは、それらのアミノおよび/またはカルボキシ末端に存在する追加的な化学基と共に合成して、ペプチドの安定性、生物学的利用能、および/または親和性を高めてもよい。例えば、カルボベンゾキシル、ダンシル、またはt−ブチルオキシカルボニル基などの疎水性基が、ペプチドのアミノ末端に付加されてもよい。同様に、アセチル基または9−フルオレニルメトキシ−カルボニル基が、ペプチドのアミノ末端に配置されてもよい。さらに、疎水性基、t−ブチルオキシカルボニル、またはアミド基が、ペプチドのカルボキシ末端に付加されてもよい。

0145

さらに、本発明のペプチドは、それらの立体配置を改変するように合成されてもよい。例えば、通常のL異性体でなく、ペプチドの1つまたは複数のアミノ酸残基のD異性体が使用されてもよい。なおもさらに、本発明のペプチドのアミノ酸残基の少なくとも1つは、周知の非天然アミノ酸残基の1つで置換されてもよい。これらのような変化は、本発明のペプチドの安定性、生物学的利用能および/または結合作用の増加に役立ってもよい。

0146

同様に、本発明のペプチドまたは変異体は、ペプチド合成の前または後のどちらかに、特定のアミノ酸を反応させることで化学的に修飾されてもよい。このような修飾の例は、当該技術分野で周知であり、例えば、参照により本明細書に援用される、R.Lundblad,Chemical Reagents for Protein Modification,3rd ed.CRCPress,2004(Lundblad,2004)に要約される。アミノ酸の化学修飾としては、これに限定されるものではないが(although without limitation thereto)、アシル化アミジン化リジンピリドキシル化、還元アルキル化、2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)によるアミノ基のトリニトロベンジル化システインシステイン酸への過ギ酸酸化によるカルボキシル基のアミド修飾およびスルフヒドリル修飾、水銀誘導体形成、その他のチオール化合物との混合ジスルフィド形成、マレイミドとの反応、ヨード酢酸またはヨードアセトアミドによるカルボキシメチル化、およびアルカリ性pHでのシアネートによるカルバモイル化による修飾が挙げられるが、これに限定されるものではない(is not limited to)。この点において、当業者は、タンパク質の化学修飾に関するより詳細な手順について、Current Protocols In Protein Science,Eds.Coligan et al.(John Wiley and Sons NY 1995−2000)(Coligan et al.,1995)の第15章を参照されたい。

0147

簡単に述べると、例えばタンパク質中のアルギニル残基の修飾は、付加体を形成するためのフェニルグリオキサール、2,3−ブタンジオン、および1,2−シクロヘキサンジオンなどの隣接するジカルボニル化合物の反応に基づくことが多い。別の例は、メチルグリオキサールアルギニン残基の反応である。システインは、リジンおよびヒスチジンなどのその他の求核性部位の同時の修飾なしに修飾され得る。その結果、システイン修飾のために多数の試薬が利用可能である。Sigma−Aldrichなどの会社のウェブサイト(http://www.sigma−aldrich.com)が、特定の試薬に関する情報を提供する。

0148

タンパク質中のジスルフィド結合の選択的還元もまた、一般的である。ジスルフィド結合は、生物医薬品加熱処理中に形成されて酸化され得る。ウッドワード試薬Kを使用して、特定のグルタミン酸残基が修飾されてもよい。N−(3−(ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドを利用して、リジン残基とグルタミン酸残基との間に分子内架橋が形成され得る。例えば、ジエチルピロ炭酸は、タンパク質中のヒスチジル残基修飾のための試薬である。ヒスチジンはまた、4−ヒドロキシ−2−ノネナールを使用して修飾され得る。リジン残基およびその他のα−アミノ基の反応物は、例えば、ペプチドの表面への結合またはタンパク質/ペプチド架橋で有用である。リジンはポリエチレングリコール付着部位であり、タンパク質のグリコシル化の主要な修飾部位である。タンパク質中のメチオニン残基は、例えば、ヨードアセトアミド、ブロモエチルアミン、およびクロラミンTによって修飾され得る。

0149

テトラニトロメタンおよびN−アセチルイミダゾールを使用して、チロシル残基が修飾され得る。ジチロシンの形成を通じた架橋は、過酸化水素銅イオンによって達成され得る。

0150

トリプトファンの修飾に関する最近の研究では、N−ブロモサクシニミド、臭化2−ヒドロキシ−5−ニトロベンジルまたは3−ブロモ−3−メチル−2−(2−ニトロフェニルメルカプト)−3H−インドール(BPNS−スカトール)が使用されている。

0151

PEGによる治療用タンパク質およびペプチドの成功裏の修飾が、循環半減期の延長に関連することが多い一方で、タンパク質と、グルタルアルデヒドポリエチレングリコールジアクリレート、およびホルムアルデヒドとの架橋は、ハイドロゲル調製のために使用される。免疫療法のためのアレルゲンの化学修飾は、カリウムシアネートでのカルバミル化によって達成されることが多い。

0152

ペプチドが修飾されまたは非ペプチド結合を含む、ペプチドまたは変異体は、本発明の好ましい実施形態である。一般に、ペプチドおよび変異体(少なくともアミノ酸残基間にペプチド結合を含有するもの)は、Lukas et al.(Lukas et al.,1981)によって、そしてその中で引用される参考文献によって開示される、Fmoc−ポリアミド様式の固相ペプチド合成によって合成されてもよい。一時的なN−アミノ基保護は、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基によってもたらされる。この高度に塩基不安定性保護基反復性切断は、N,N−ジメチルホルムアミド中の20%ピペリジンを使用して実施される。側鎖官能基は、それらのブチルエーテルセリンスレオニン、およびチロシンの場合)、ブチルエステルグルタミン酸およびアスパラギン酸の場合)、ブチルオキシカルボニル誘導体(リジンおよびヒスチジンの場合)、トリチル誘導体(システインの場合)、および4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル誘導体(アルギニンの場合)として保護されてもよい。グルタミンまたはアスパラギンがC末端残基である場合、側鎖アミ官能基を保護するために、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル基が活用される。固相担体は、ジメチルアクリルアミド(主鎖単量体)、ビスアクリロイルエチレンジアミン(架橋剤)、およびアクリロイルサルコシンメチルエステル機能化因子)の3つの単量体から構成される、ポリジメチルアクリルアミドポリマーをベースとする。使用されるペプチド−対−樹脂の切断可能な結合因子は、酸不安定性4−ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸誘導体である。逆転N,N−ジシクロヘキシル−カルボジイミド/1ヒドロキシベンゾトリアゾール媒介共役手順を使用して付加されるアスパラギンおよびグルタミンを除いて、全てのアミノ酸誘導体は、それらのあらかじめ形成された対称的な無水物誘導体として付加される。全ての共役および脱保護反応は、ニンヒドリン、トリニトロベンゼンスルホン酸またはイサチン(isotin)試験手順を使用してモニターされる。合成完了時に、ペプチドは樹脂担体から切断され、同時に、50%スカベンジャー合物を含有する95%トリフルオロ酢酸での処理によって、側鎖保護基が除去される。一般に使用されるスカベンジャーとしては、エタンジチオールフェノールアニソール、および水が挙げられ、正確な選択は、合成されるペプチドの構成アミノ酸に左右される。ペプチドの合成のための固相法溶液相法の組み合わせもまた、可能である(例えば、(Bruckdorfer et al.,2004)、およびその中で引用される参考文献を参照されたい)。

0153

トリフルオロ酢酸は、真空蒸発によって除去され、引き続くジエチルエーテルを用いた磨砕は、粗製ペプチドをもたらす。存在する任意のスカベンジャーは、単純な抽出手順によって除去され、それは水相凍結乾燥時に、スカベンジャーを含まない粗製ペプチドを与える。ペプチド合成のための試薬は、通常、例えば、Calbiochem−Novabiochem(Nottingham,UK)から入手できる。

0154

精製は、再結晶化サイズ排除クロマトグラフィーイオン交換クロマトグラフィー疎水性相互作用クロマトグラフィー、および(通常は)例えば、アセトニトリル水勾配分離を使用した逆相高速液体クロマトグラフィーなどの技術の任意の1つまたは組み合わせによって実施されてもよい。

0155

ペプチドの分析は、薄層クロマトグラフィー電気泳動法、特にキャピラリー電気泳動法、固相抽出(CSPE)、逆相高速液体クロマトグラフィー、酸加水分解後のアミノ酸分析を使用して、高速原子衝撃FAB)質量分光分析によって、ならびにMALDIおよびESI−Q−TOF質量分光分析によって、実施されてもよい。

0156

過剰提示ペプチドを選択するために、中央値サンプル提示ならびに反復試験変動を示す、提示プロファイルが計算される。プロファイルは、目的腫瘍実体のサンプルを正常なサンプル組織ベースライン並置させる。次に、線形混合効果モデルのp値を計算し(Pinheiro et al.,2015)、発見率によって複数試験について補正することで(Benjamini and Hochberg,1995)、これらの各プロファイルが過剰提示スコアに統合され得る。

0157

質量分析によるHLAリガンドの同定と相対的定量化のために、衝撃凍結組織サンプルからのHLA分子が精製されて、HLA関連ペプチドが単離された。単離ペプチドを分離して、オンラインナノエレクトロスプレーイオン化(nanoESI)液体クロマトグラフィー質量分析(LC−MS)実験によって配列を同定した。得られたペプチド配列は、卵巣がんサンプルから記録された天然TUMAPフラグメンテーションパターンを、同一配列の対応する合成参照ペプチドのフラグメンテーションパターンと比較することで確認された。ペプチドは、原発性腫瘍のHLA分子のリガンドとして直接、同定されたので、これらの結果は、卵巣がん患者から入手された原発性がん組織上における、同定されたペプチドの天然プロセッシングおよび提示の直接的証拠を提供する。

0158

発見パイプラインXPRESIDENT(登録商標)v2.1(例えば、その内容全体が参照により本明細書に援用される、米国特許第2013−0096016号明細書を参照されたい)は、いくつかの異なる非がん性組織および臓器と比較した、がん組織上のHLA拘束性ペプチドレベルの直接相対定量化に基づく、妥当な過剰提示ペプチドワクチン候補の同定と選択ができるようにする。これは、独自仕様データ解析パイプラインで処理された獲得LC−MSデータを使用して、配列同定のためのアルゴリズム、スペクトルクラスタリングイオン計数、滞留時間アライメント、電荷状態デコンボリューション、および正規化を組み合わせる、非標識示差定量法の開発によって達成された。

0159

各ペプチドおよびサンプルの誤差推定値を含む、提示レベルが確立された。腫瘍組織上で排他的に提示されるペプチド、および腫瘍において過剰提示されるペプチドが、非がん性の組織および臓器との比較で同定されている。

0160

卵巣がん組織サンプルからのHLAペプチド複合体は精製されてHLA結合ペプチドが単離され、LC−MSによって分析された(実施例を参照されたい)。本出願に含まれる全てのTUMAPは、この原発性卵巣がんサンプルに対するアプローチを用いて同定され、それらの原発性卵巣がん上の提示が確認された。

0161

複数の卵巣がんおよび正常組織上で同定されたTUMAPは、非標識LC−MSデータのイオン計数を使用して定量化された。方法は、ペプチドのLC−MSシグナル面積が、サンプル中のその存在量と相関すると仮定する。様々なLC−MS実験におけるペプチドの全ての定量的シグナルは、中心傾向に基づいて正規化され、サンプルあたりで平均化されて、提示プロファイルと称される棒グラフマージされた。提示プロファイルは、タンパク質データベース検索、スペクトルクラスタリング、電荷状態デコンボリューション(除電)、および滞留時間アライメントおよび正規化のような、異なる解析法を統合する。

0162

本発明は、本発明のペプチドを過剰にまたは排他的に提示する、好ましくは卵巣がんである、がん/腫瘍を治療するのに有用なペプチドを提供するこれらのペプチドは、原発性ヒト卵巣がんサンプル上で、HLA分子によって天然に提示されることが、質量分析法によって示された。

0163

それにペプチドが由来する起源遺伝子/タンパク質(「完全長タンパク質」または「基礎タンパク質」とも称される)の多くは、正常組織と比較してがんにおいて高度に過剰発現されることが示されて、起源遺伝子の高度な腫瘍関連性が実証され、「正常組織」は、本発明との関連で、健康な卵巣組織細胞またはその他の正常組織細胞のどちらかを意味するものとする。さらに、ペプチド自体は、腫瘍組織上では強く過剰提示されるが、正常組織上では過剰提示されず、「腫瘍組織」は、本発明との関連で、卵巣がんに罹患している患者に由来するサンプルを意味するものとする。

0164

HLA結合ペプチドは、免疫系、特にTリンパ球によって認識され得る。T細胞は、例えば誘導ペプチドを提示する卵巣がん細胞などの、認識されたHLA/ペプチド複合体を提示する細胞を破壊し得る。

0165

本発明のペプチドは、T細胞応答を刺激でき、および/または過剰提示されることが示されおり、したがって本発明に従って、抗体および/または可溶性TCRなどのTCRの製造のために使用され得る。さらに、ペプチドは、それぞれのMHCと複合体化した場合に、本発明による抗体および/またはTCR、特にTCR製造のためにも使用され得る。それぞれの方法は、当業者に良く知られており、それぞれの参考文献にもまた見られる。したがって本発明のペプチドは、それによって腫瘍細胞が破壊され得る、患者における免疫応答を生じさせるのに有用である。患者における免疫応答は、理想的には免疫原性を増強する薬剤(すなわちアジュバント)との組み合わせで、記載されるペプチド、または適切な前駆体(例えば伸長ペプチド、タンパク質、またはこれらのペプチドをコードする核酸)を患者に直接投与することで、誘導され得る。本発明の標的ペプチドは、正常組織上では同等のコピー数で提示されないので、このような治療的ワクチン接種から生じる免疫応答は、腫瘍細胞に対して高度に特異的であることが予測され得て、患者の正常細胞に対する望まれない自己免疫反応のリスクを防止する。

0166

本明細書は、鎖およびaβ鎖(「α/βTCR」)を含んでなるT細胞受容体(TCR)にさらに関する。MHC分子によって提示された際に、TCRおよび抗体に結合できるHAVCR1−001ペプチドもまた提供される。本明細書はまた、本明細書のTCRおよびペプチドを発現するための核酸、ベクター、および宿主細胞;そしてそれを使用する方法にも関する。

0167

「T細胞受容体」(TCRと略記される)という用語は、αポリペプチド鎖(α鎖)およびβポリペプチド鎖(β鎖)を含んでなるヘテロ二量体分子を指し、ヘテロ二量体受容体は、HLA分子によって提示されるペプチド抗原と結合できる。本用語は、いわゆるγ/δTCRもまた含む。

0168

一実施形態では、本明細書は、本明細書に記載されるようなTCRを製造する方法を提供し、方法は、TCRの発現を促進するのに適した条件下でTCRを発現できる、宿主細胞を培養するステップを含んでなる。

0169

別の態様における説明は、十分な量の抗原を抗原提示細胞に接触させることで、適切な抗原提示細胞または人工抗原提示細胞の表面に発現されるクラスIまたはIIMHC分子上に抗原が負荷され、または抗原/クラスIまたはIIMHC複合体モノマー四量体化することで、クラスIまたはIIMHC四量体上に抗原が負荷される、本明細書に記載の方法に関する。

0170

α/βTCRのαおよびβ鎖、そしてγ/δTCRのγおよびδ鎖は、一般にそれぞれ2つの「領域」、すなわち可変および定常領域を有すると見なされる。可変領域は、可変領域(V)の連結と、連結領域(J)とからなる。可変領域はまた、リーダー領域(L)を含んでもよい。βおよびδ鎖はまた、多様性領域(D)を含んでもよい。αおよびβ定常領域はまた、αおよびβ鎖を細胞膜に固着させるC末端膜貫通(TM)領域を含んでもよい。

0171

γ/δTCRに関して、「TCRγ可変領域」という用語は、本明細書の用法ではリーダー領域(L)のないTCRγV(TRGV)領域とTCRγJ(TRGJ)領域との連結を指し、TCRγ定常領域という用語は、細胞外TRGC領域を指し、またはC末端切断型TRGC配列を指す同様に「TCRδ可変領域」という用語は、リーダー領域(L)のないTCRδV(TRDV)領域とTCRδD/J(TRDD/TRDJ)領域との連結を指し、「TCRδ定常領域」という用語は、細胞外TRDC領域を指し、またはC末端切断型TRDC配列を指す。

0172

本明細書のTCRは、好ましくは、約1μM以下、約001μM以下、約25μM以下、または約10μM以下の結合親和性(KD)で、発明のペプチド−HLA分子複合体に結合する。より好ましいのは、約1μM以下、約100nM以下、約50nM以下、約25nM以下の結合親和性を有する、高親和性TCRである。本発明のTCRの好ましい結合親和性範囲の非限定的例としては、約1nM〜約10nM;約10nM〜約20nM;約20nM〜約30nM;約30nM〜約40nM;約40nM〜約50nM;約50nM〜約60nM;約60nM〜約70nM;約70nM〜約80nM;約80nM〜約90nM;および約90nM〜約100nMが挙げられる。

0173

本明細書の用法では、本明細書のTCRとの関連で、「特異的結合」およびそれらの文法的変種は、HAVCR1−001ペプチド−HLA分子複合体に対して、1μM以下の結合親和性(KD)を有するTCRを意味するために使用される。

0174

本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、それらの定常領域の間に導入された、ジスルフィド結合を有してもよい。このタイプの好ましいTCRとしては、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有するものが挙げられるが、ただし、TRACのThr48およびTRBC1またはTRBC2のSer57は、システイン残基によって置換されており、前記システインは、TCRのTRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列との間に、ジスルフィド結合を形成する。

0175

上述の導入された鎖間結合の存在下または不在下で、本明細書のα/βヘテロ二量体TCRは、TRAC定常領域配列とTRBC1またはTRBC2定常領域配列とを有してもよく、TCRのTRAC定常領域配列と、TRBC1またはTRBC2定常領域配列とが、TRACのエクソン2のCys4と、TRBC1またはTRBC2のエクソン2のCys2との間の天然ジスルフィド結合によって連結されてもよい。

0176

本明細書のTCRは、放射性核種フルオロフォア、およびビオチンからなる群から選択される、検出可能な標識を含んでなってもよい。本明細書のTCRは、放射性核種、化学療法剤、または毒素などの治療的活性薬剤コンジュゲートされてもよい。

0177

一実施形態では、α鎖に少なくとも1つの変異を有し、および/またはβ鎖に少なくとも1つの変異を有する本明細書のTCRは、非変異TCRと比較して修飾されたグリコシル化を有する。

0178

一実施形態では、TCRα鎖および/またはTCRβ鎖に少なくとも1つの変異を含んでなるTCRは、発明のペプチド−HLA分子複合体に対して、非変異TCRα鎖および/または非変異TCRβ鎖を含んでなるTCRの少なくとも2倍の結合親和性および/または結合半減期を有する。腫瘍特異的TCRの親和性増強とその利用は、最適TCR親和性のウィンドウの存在に依存する。このようなウィンドウの存在は、HLA−A2拘束性病原体に対して特異的なTCRが、HLA−A2拘束性腫瘍関連自己抗原に対して特異的なTCRと比較して、一般に約10分の1のKD値を有するという観察に基づく。腫瘍抗原は免疫原性である可能性を有するが、腫瘍は個人自身の細胞から生じるので、改変された翻訳プロセッシングのある変異型タンパク質またはタンパク質のみが、免疫系によって異質と見なされることが今や知られている。上方制御されまたは過剰発現される抗原(いわゆる自己抗原)は、腫瘍に対する機能性免疫応答を必ずしも誘導しない。これらの抗原に対して高度に反応性のTCRを発現するT細胞は、中枢性免疫寛容として知られている過程、すなわち自己抗原に対する低親和性TCRを有するT細胞のみが残留する過程によって、胸腺において負選択される。したがって、発明のペプチドに対する本明細書のTCRまたは変異体の親和性は、当技術分野で周知の方法によって高め得る。

0179

本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定し単離する方法にさらに関し、前記方法は、HLA−A*02陰性健常ドナーからのPBMCをA2/発明のペプチドモノマーと共にインキュベートするステップと、PBMCを四量体フィコエリトリン(PE)と共にインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性細胞選別FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。

0180

本明細書は、本明細書に従ってTCRを同定して単離する方法にさらに関し、前記方法は、そのT細胞がマウスTCR欠損補償する多様なヒトTCRレパートリーを発現する、全ヒトTCRαβ遺伝子遺伝子座(1.1および0.7Mb)を有する遺伝子組換えマウスを得るステップと、マウスを発明のペプチドによって免疫化するステップと、四量体フィコエリトリン(PE)を有する遺伝子組換えマウスから得られたPBMCをインキュベートするステップと、高結合活性T細胞を蛍光活性化細胞選別(FACS)Calibur分析によって単離するステップとを含んでなる。

0181

一態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、本明細書のTCR−αおよび/またはTCR−β鎖をコードする核酸が、γレトロウイルスまたはレンチウイルスなどの発現ベクターにクローン化される。組換えウイルスが生成され、次に、抗原特異性および機能性結合活性などの機能について試験される。次に、最終生成物アリコートを使用して、標的T細胞集団(一般に患者のPBMCから精製される)が形質導入され、それは患者への輸液前に増殖される。

0182

別の態様では、本明細書のTCRを発現するT細胞を得るために、例えば、生体外転写システム(sys−tems)などの当該技術分野で公知の技術によって、TCR RNAが合成される。次に生体外で合成されたTCR RNAは、健常ドナーから得られた原発性CD8+T細胞内に電気穿孔によって導入され、腫瘍特異的TCR−αおよび/またはTCR−β鎖が再発現される。

0183

発現を増加させるために、本明細書のTCRをコードする核酸は、レトロウイルス長末端反復LTR)、サイトメガロウイルス(CMV)、マウス幹細胞ウイルス(MSCV)U3、ホスホグリセリン酸キナーゼPGK)、β−アクチンユビキチン、およびシミアンウイルス40SV40)/CD43複合プロモーター伸長因子(EF)−1a、および脾臓フォーカス形成ウイルス(SFFV)プロモーターなどの強力なプロモーターと作動可能に連結されてもよい。好ましい実施形態では、プロモーターは、発現される核酸に対して異種である。

0184

強力なプロモーターに加えて、本明細書のTCR発現カセットは、レンチウイルスコンストラクトの核転座を促進する、中央ポリプリントラクト(cPPT)(Follenzi et al.,2000)、およびRNA安定性を増加させることで導入遺伝子発現のレベルを増加させる、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節因子(wPRE)(Zufferey et al.,1999)をはじめとする導入遺伝子発現を高め得る追加的な要素を含有してもよい。

0185

本発明のTCRのαおよびβ鎖は、別々のベクターにある核酸によってコードされてもよく、または同一ベクターにあるポリヌクレオチドによってコードされてもよい。

0186

高レベルのTCR表面発現の達成には、導入されたTCRのTCR−αおよびTCR−β鎖の双方が、高レベルで転写される必要がある。これを行うために、本明細書のTCR−αおよびTCR−β鎖は、この障害を克服できることが示されている、単一ベクター内のバイシストニックコンストラクトにクローン化されてもよい。TCR−αおよびTCR−β鎖は、翻訳中に2つのタンパク質に分かれて等モル比のTCR−αおよびTCR−β鎖の生成を確実にする単一転写物から生成されるので、TCR−α鎖とTCR−β鎖との間のウイルス配列リボソーム進入部位の使用は、双方の鎖の協調発現をもたらす(Schmitt et al.2009)。

0187

本明細書のTCRをコードする核酸はコドン最適化されて、宿主細胞からの発現が増加されてもよい。遺伝コードの重複は、いくつかのアミノ酸が2つ以上のコドンによってコードされるようにするが、特定のコドンは、適合tRNAの相対可用性ならびにその他の要因のために、他のものよりも「最適」でない(Gustafsson et al.,2004)。各アミノ酸が、哺乳類遺伝子発現のための最適コドンによってコードされるように、TCR−αおよびTCR−β遺伝子配列を修飾すること、ならびにmRNA不安定モチーフまたは潜在的スプライス部位を除去することは、TCR−αおよびTCR−β遺伝子発現を有意に高めることが示されている(Scholten et al.,2006)。

0188

さらに、導入TCR鎖と内因性TCR鎖との間の誤対合は、重大な自己免疫リスクをもたらす特異性の獲得を引き起こすこともある。例えば、混合TCR二量体の形成は、適切に対合するTCR複合体を形成するために利用できるCD3分子の数を減少させてもよく、ひいては導入TCRを発現する細胞の機能性結合活性を有意に低下させ得る(Kuball et al.,2007).

0189

誤対合を減少させるために、本明細書の導入TCR鎖のC末端領域は、鎖間親和性を高める一方で、導入鎖が内因性TCRと対形成する能力を低下させる(de−creasing)ために修飾されてもよい。これらのストラテジーは、ヒトTCR−αおよびTCR−βのC末端領域をそれらのマウス対応物(マウス化C末端領域)で置換する;導入TCRのTCR−αおよびTCR−β鎖の双方に第2のシステイン残基を導入することで、C末端領域に第2の鎖間ジスルフィド結合を生成する(システイン修飾);TCR−αおよびTCR−β鎖C末端領域内の相互作用残基を交換する(「ノブインホール」);そしてTCR−αおよびTCR−β鎖の可変領域をCD3ζに直接融合させる(CD3ζ融合)ことを含んでもよい。(Schmitt et al.2009)。

0190

一実施形態では、宿主細胞は、本細書のTCRを発現するように遺伝子操作される。好ましい実施形態では、宿主細胞は、ヒトT細胞またはT細胞前駆細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、がん患者から得られる。その他の実施形態では、T細胞またはT細胞前駆細胞は、健常ドナーから得られる。本明細書の宿主細胞は、治療される患者に関して、同種異系または自己由来であり得る。一実施形態では、宿主は、α/βTCRを発現するように形質転換されたγ/δT細胞である。

0191

医薬組成物」は、医学的状況においてヒトへの投与に適する組成物である。好ましくは、医薬組成物は無菌であり、GMPガイドライン準拠して製造される。

0192

医薬組成物は、遊離形態または薬学的に許容可能な塩の形態のどちらかのペプチドを含んでなる(上記もまた参照されたい)。本明細書の用法では、「薬学的に許容可能な塩」は、開示されたペプチドの誘導体を指し、ペプチドは、薬剤の酸性または塩基性塩を生成することで修飾される。例えば、酸性塩は、適切な酸との反応を伴って、遊離塩基から調製される(典型的に、薬剤の中性形態が中性NH2基を有する)。酸性塩を調製するための適切な酸としては、例えば、酢酸プロピオン酸グリコール酸ピルビン酸シュウ酸リンゴ酸マロン酸コハク酸マレイン酸フマル酸酒石酸クエン酸安息香酸ケイ皮酸マンデル酸メタンスルホン酸エタンスルホン酸p−トルエンスルホン酸サリチル酸などの有機酸、ならびに例えば、塩酸臭化水素酸硫酸硝酸リン酸などの無機酸の双方が挙げられる。逆に、ペプチド上に存在してもよい酸部分の塩基性塩の調製物は、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化アンモニウム水酸化カルシウムトリメチルアミンなどの薬学的に許容可能な塩基を使用して調製される。

0193

特に好ましい一実施形態では、医薬組成物は、酢酸(酢酸塩)、トリフルオロ酢酸または塩酸(塩化物)の塩としてのペプチドを含んでなる。

0194

好ましくは、本発明の薬剤はワクチンなどの免疫療法剤である。それは、患者に直接、罹患臓器に、または全身的に、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.投与され、または生体外で患者またはヒト細胞株に由来する細胞に適用されて、それが引き続いて患者に投与され、または生体外で使用されて患者に由来する免疫細胞の亜集団が選択され、次にそれが患者に再投与されてもよい。核酸が、生体外で細胞に投与される場合、インターロイキン2などの免疫刺激サイトカインを同時発現させるように、細胞を形質移入することが有用であってもよい。ペプチドは、実質的に純粋であり、または免疫刺激アジュバント(下記参照)と組み合わされ、または免疫賦活性サイトカインと組み合わされて使用され、または例えば、リポソームなどの適切な送達系によって投与されてもよい。ペプチドはまた、キーホールリンペットヘモシニアン(KLH)またはマンナンなどの適切な担体に共役されてもよい(国際公開第95/18145号パンフレットおよび(Longenecker et al.,1993)を参照されたい)。ペプチドはまた、標識されてもよく、融合タンパク質であってもよく、またはハイブリッド分子であってもよい。その配列が本発明に記載されるペプチドは、CD4またはCD8 T細胞を刺激することが予測される。しかし、CD8 T細胞の刺激は、CD4 Tヘルパー細胞によって提供される援助の存在下で、より効率的である。したがって、CD8 T細胞を刺激するMHCクラスIエピトープでは、ハイブリッド分子の融合パートナーまたはセクションは、適切にはCD4陽性T細胞を刺激するエピトープを提供する。CD4およびCD8刺激エピトープは、当該技術分野で周知であり、本発明で同定されたものが挙げられる。

0195

一態様では、ワクチンは、配列番号1〜配列番号549に記載されるアミノ酸配列を有する少なくとも1つのペプチドと、少なくとも1つの追加的なペプチド、好ましくは2〜50、より好ましくは2〜25、なおもより好ましくは2〜20、最も好ましくは2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17または18個のペプチドとを含んでなる。ペプチドは、1つまたは複数の特異的TAAから誘導されてもよく、MHCクラスI分子に結合してもよい。

0196

本発明のさらなる態様は、本発明のペプチドまたはペプチド変異体をエンコードする核酸(例えばポリヌクレオチド)を提供する。ポリヌクレオチドは、それがペプチドをコードしさえすれば、例えば、単鎖および/または二本鎖のいずれかのDNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよく、または例えばホスホロチオエート主鎖を有するポリヌクレオチドなどのポリヌクレオチドの未変性または安定化形態であってもよく、それはイントロンを含有してもまたはしなくてもよい。もちろん、天然ペプチド結合によって連結する天然アミノ酸残基を含有するペプチドのみが、ポリヌクレオチドによってエンコードされ得る。本発明のなおもさらなる態様は、本発明によるポリペプチドを発現できる発現ベクターを提供する。

0197

例えば相補的付着端を通じて、ポリヌクレオチド、特にDNAをベクターに連結する、多様な方法が開発されている。例えば、ベクターDNAに挿入されるDNA断片に、相補的ホモポリマー配列が付加され得る。次に、相補的ホモポリマー尾部間の水素結合によって、ベクターおよびDNA断片が連結されて組換えDNA分子が形成する。

0198

1つまたは複数の制限酵素認識部位を含有する合成リンカーは、DNA断片をベクターに連結する代替え方法を提供する。多様な制限エンドヌクレアーゼ部位を含有する合成リンカーは、International Biotechnologies Inc.New Haven,CN,USAをはじめとするいくつかの供給元から商業的に入手できる。

0199

本発明のポリペプチドをコードするDNAを修飾する望ましい方法は、Saiki RK,et al.(Saiki et al.,1988)で開示されるようなポリメラーゼ連鎖反応を用いる。この方法は、例えば、適切な制限酵素認識部位を改変することで、DNAを適切なベクターに導入するために使用されてもよく、またはそれは、当該技術分野で既知のその他の有用な様式でDNAを修飾するために使用されてもよい。ウイルスベクターを使用するのであれば、ポックスウイルスまたはアデノウイルスベクターが好ましい。

0200

次にDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)を適切な宿主において発現させ、本発明のペプチドまたは変異体を含んでなるポリペプチドが製造されてもよい。このようにして、本明細書に含まれる教示を考慮して適切に修正された既知の技術に従って、本発明のペプチドまたは変異体をコードするDNAを使用して、発現ベクターが構築されてもよく、次にそれを使用して、本発明のポリペプチドの発現および製造のために、適切な宿主細胞が形質転換される。このような技術としては、例えば、米国特許第4,440,859号明細書、米国特許第4,530,901号明細書、米国特許第4,582,800号明細書、米国特許第4,677,063号明細書、米国特許第4,678,751号明細書、米国特許第4,704,362号明細書、米国特許第4,710,463号明細書、米国特許第4,757,006号明細書、米国特許第4,766,075号明細書、および米国特許第4,810,648号明細書で開示されるものが挙げられる。

0201

本発明の化合物を構成するポリペプチドをエンコードするDNA(またはレトロウイルスベクターの場合はRNA)は、適切な宿主への導入のために、多種多様なその他のDNA配列に連結されてもよい。コンパニオンDNAは、宿主の性質、DNAの宿主への導入様式、およびエピソームの維持または組み込みが所望されるかどうかに左右される。

0202

一般に、DNAは、発現のための適切な方向および正しい読み枠で、プラスミドなどの発現ベクターに挿入される。必要ならば、DNAは、所望の宿主によって認識される適切な転写および翻訳調節制御ヌクレオチド配列に連結されてもよいが、このような制御は、一般に発現ベクター中で利用できる。次に、標準的な技術を通じて、ベクターが宿主に導入される。一般に、全ての宿主がベクターによって形質転換されるわけではない。したがって、形質転換された宿主細胞を選択することが必要になる。一選択技術は、抗生物質耐性などの形質転換細胞内で選択可能な形質をコードする、任意の必要な制御因子を有するDNA配列を発現ベクター内に組み込むことを伴う。

0203

代案としては、このような選択可能な形質の遺伝子は、所望の宿主細胞を同時形質転換するのに使用される、別のベクター上にあり得る。

0204

次に、本明細書で開示される教示を考慮して、当業者に知られている適切な条件下で十分な時間にわたり、本発明の組換えDNAによって形質転換された宿主細胞が培養されてポリペプチドが発現され、次にそれが回収され得る。

0205

細菌(例えば大腸菌(E.coli)およびバチルスサブチリス(Bacillus subtilis))、酵母(例えばサッカロミセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、糸状菌(例えばアスペルギルス属(Aspergillus))、植物細胞動物細胞、および昆虫細胞をはじめとする多数の発現系が知られている。好ましくは、発現系は、ATCCCell Biology Collectionから入手できるCHO細胞などの哺乳類細胞であり得る。

0206

構成的発現のための典型的な哺乳類細胞ベクタープラスミドは、適切なポリA尾部と、ネオマイシンなどの耐性マーカーとを有する、CMVまたはSV40プロモーターを含んでなる。一例は、Pharmacia,Piscataway,NJ,USAから入手できるpSVLである。誘導性哺乳類発現ベクターの一例であるpMSGもまた、Pharmaciaから入手できる。有用な酵母プラスミドベクターは、pRS403−406およびpRS413−416であり、通常、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから入手できる。プラスミドpRS403、pRS404、pRS405、およびpRS406は、酵母組み込みプラスミド(YIps)であり、酵母の選択可能なマーカーHIS3、TRP1、LEU2、およびURA3が組み込まれている。プラスミドpRS413−416は、酵母セントロメアプラスミド(Ycps)である。CMVプロモーターベースのベクター(例えばSigma−Aldrich製)は、一過性または安定性発現、細胞質内発現または分泌、およびFRAG、3xFLAG、c−mycまたはMATの様々な組み合わせでのN末端またはC末端標識付けを提供する。これらの融合タンパク質は、組換えタンパク質を検出、精製、および分析できるようにする。二重標識融合物は、検出に融通性を与える。

0207

強力なヒトサイトメガロウイルス(CMV)プロモーター調節領域は、COS細胞において、構成タンパク質発現レベルを1mg/L程度の高さに駆動する。効力がより低い細胞株では、タンパク質レベルは典型的に、約0.1mg/Lである。SV40複製起点の存在は、SV40複製許容COS細胞における高レベルのDNA複製をもたらす。CMVベクターは、例えば、細菌細胞におけるpMB1(pBR322の誘導体)複製起点、細菌におけるアンピシリン耐性選択のためのb−ラクタマーゼ遺伝子、hGHポリA、およびf1起点を含有し得る。プレプロトリプシンリーダー(PPT)配列を含有するベクターは、抗FRAG抗体、樹脂、およびプレートを使用した精製のために、培養液中へのFRAG融合タンパク質分泌を誘導し得る。多様な宿主細胞において使用するためのその他のベクターおよび発現系が、当該技術分野で周知である。

0208

別の実施形態では、本発明の2つ以上のペプチドまたはペプチド変異型がコードされ、したがって順次発現される(「数珠玉構造」コンストラクトに類似する)。その際に、ペプチドまたはペプチド変異型は、例えばLLLLLLなどの一続きのリンカーアミノ酸によって、共に連結または融合されてもよく、またはそれらの間のいかなる追加的なペプチドもなしに連結されてもよい。これらのコンストラクトはまた、がん療法のために使用され得て、MHCIとMHC IIの双方が関与する免疫応答を誘導してもよい。

0209

本発明はまた、本発明のポリヌクレオチドベクターコンストラクトで形質転換された宿主細胞にも関する。宿主細胞は、原核または真核生物のどちらかであり得る。細菌細胞は、いくつかの状況では、好ましい原核宿主細胞であってもよく、典型的には、例えば、Bethesda Research Laboratories Inc.,Bethesda,MD,USAから入手できる大腸菌(E.coli)DH5株、および米国微生物系統保存機関(ATCC)Rockville,MD,USAから入手できるRR1(ATCC番号31343)などの大腸菌(E.coli)株である。好ましい真核宿主細胞としては、酵母、昆虫、および哺乳類細胞、好ましくはマウス、ラットサルまたはヒト線維および結腸細胞株に由来するものなどの脊椎動物細胞が挙げられる。酵母宿主細胞としては、Stratagene Cloning Systems,La Jolla,CA 92037,USAから一般に入手できる、YPH499、YPH500、およびYPH501が挙げられる。好ましい哺乳類宿主細胞としては、ATCCからCCL61として入手できるチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ATCCからCRL1658として入手できるNIH Swissマウス胚細胞NIH/3T3、ATCCからCRL1650として入手できるサル腎臓由来COS−1細胞、およびヒト胎児由来腎細胞である293細胞が挙げられる。好ましい昆虫細胞は、バキュロウイルス発現ベクターで形質移入され得るSf9細胞である。発現のための適切な宿主細胞の選択に関する概説は、例えば、Paulina BalbasおよびArgelia Lorenceの教科書”Methodsin Molecular Biology Recombinant Gene Expression,Reviews and Protocols,”Part One,Second Edition,ISBN 978−1−58829−262−9、および当業者に知られているその他の文献にある。

0210

本発明のDNAコンストラクトによる適切な細胞宿主の形質転換は、典型的に使用されるベクターのタイプに左右される周知の方法によって達成される。原核宿主細胞の形質転換に関しては、例えば、Cohen et al.(Cohen et al.,1972)および(Green and Sambrook,2012)を参照されたい。酵母細胞の形質転換は、Sherman et al.(Sherman et al.,1986)に記載される。Beggs(Beggs,1978)の方法もまた有用である。脊椎動物細胞に関しては、このような細胞を形質移入するのに有用な、例えば、リン酸カルシウムおよびDEAEデキストランまたはリポソーム製剤などの試薬が、Stratagene Cloning Systems,or Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD 20877,USAから入手できる。電気穿孔もまた、細胞を形質転換および/または形質移入するのに有用であり、酵母細胞、細菌細胞、昆虫細胞、および脊椎動物細胞を形質転換する技術分野で周知である。

0211

成功裏に形質転換された細胞、すなわち本発明のDNAコンストラクトを含有する細胞は、PCRなどの周知の技術によって同定され得る。代案としては、抗体を使用して、上清中のタンパク質の存在が検出され得る。

0212

例えば、細菌、酵母、および昆虫細胞などの本発明の特定の宿主細胞は、本発明のペプチドの調製において有用であることが理解されるであろう。しかしその他の宿主細胞が、特定の治療法において有用であってもよい。例えば、樹状細胞などの抗原提示細胞は、それらが適切なMHC分子中に負荷されてもよいように、本発明のペプチドを発現するために有用に使用されてもよい。したがって、本発明は、本発明による核酸または発現ベクターを含んでなる宿主細胞を提供する。

0213

好ましい実施形態では、宿主細胞は、抗原提示細胞、特に樹状細胞または抗原提示細胞である。前立腺酸性ホスファターゼPAP)を含有する組換え融合タンパク質が負荷されたAPCは、無症候性または微小症候性転移性HRPCを治療するために、米国食品医薬品局FDA)によって2010年4月20日に認可された(シプロイセルT)(Rini et al.,2006;Small et al.,2006)。

0214

本発明のさらなる態様は、宿主細胞を培養するステップと、宿主細胞またはその培養液からペプチドを単離するステップとを含んでなる、ペプチドまたはその変異型を製造する方法を提供する。

0215

別の実施形態では、本発明のペプチド、核酸または発現ベクターは、医療において使用される。例えば、ペプチドまたはその変異体は、静脈内(i.v.)注射、皮下(s.c.)注射、皮内(i.d.)注射、腹腔内(i.p.)注射、筋肉内(i.m.)注射のために調合されてもよい。ペプチド注射の好ましい方法としては、s.c.、i.d.、i.p.、i.m.、およびi.v.が挙げられる。DNA注射の好ましい方法としては、i.d.、i.m.、s.c.、i.p.、およびi.v.が挙げられる。例えば、50μg〜1.5mg、好ましくは125μg〜500μgのペプチドまたはDNAの用量が投与されてもよく、それぞれのペプチドまたはDNAに左右される。この範囲の用量は、以前の治験で成功裏に使用された(Walter et al.,2012)。

0216

活性ワクチン接種のために使用されるポリヌクレオチドは、実質的に純粋であってもよく、または適切なベクターまたは送達系に含有されてもよい。核酸は、DNA、cDNA、PNA、RNAまたはそれらの組み合わせであってもよい。このような核酸をデザインして導入する方法は、当該技術分野で周知である。概説は、例えば、Teufel et al.(Teufel et al.,2005)によって提供される。ポリヌクレオチドワクチンは調製が容易であるが、免疫応答誘導におけるこれらのベクターの作用機序は、完全には分かっていない。適切なベクターおよび送達系としては、アデノウイルスワクシニアウイルス、レトロウイルス、ヘルペスウイルスアデノ随伴ウイルス、または2つ以上のウイルスの構成要素を含有するハイブリッドベースのシステムなどのウイルスDNAおよび/またはRNAが挙げられる。非ウイルス送達系としては、カチオン性脂質およびカチオン性ポリマーが挙げられ、DNA送達技術分野において周知である。「遺伝子銃」などを介する物理的送達もまた、使用されてもよい。核酸によってコードされるペプチド(単数)またはペプチド(複数)は、例えば、上述のように、それぞれの逆CDRのT細胞を刺激するエピトープとの融合タンパク質であってもよい。

0217

本発明の薬剤は、1つまたは複数のアジュバントもまた含んでもよい。アジュバントは、免疫応答(例えば、CD8陽性T細胞およびヘルパーT(TH)細胞によって媒介される抗原に対する免疫応答を非特異的に促進または増強する物質であり、したがって本発明の薬剤中で有用であると見なされる。適切なアジュバントとしては、1018 ISSアルミニウム塩AMPLIVAX(登録商標)、AS15、BCG、CP−870,893、CpG7909、CyaA、dSLIMフラジェリンまたはフラジェリン由来TLR5リガンド、FLT3リガンド、GMCSF、IC30、IC31、イミキモド(ALDARA(登録商標))、レシキモド、ImuFact IMP321、IL−2やL−13やIL−21などのインターロイキン、インターフェロン−αまたは−βまたはそれらのPEG化誘導体、ISパッチ、ISS、ISCOATRIX、ISCOM、JuvImmune(登録商標)、LipoVac、MALP2、MF59、モノホスホリルリピドA、モンタニドIMS1312、モンタニドISA206、モンタニドISA50V、モンタニドISA−51、油中水型および水中油型エマルション、OK−432、OM−174、OM−197−MP−EC、ONTAK、OspA、PepTel(登録商標)ベクター系、ポリ(ラクチドコグリコリド)[PLG]ベースおよびデキストラン微粒子タラクトフェリンSRL172、ビロソームおよびその他のウイルス様粒子、YF−17D、VEGFトラップ、R848、β−グルカン、Pam3Cys、サポニンに由来するAquila’s QS21 stimulon、マイコバクテリア抽出物および合成細菌細胞壁模倣体、およびRibi’s DetoxまたはQuilまたはSuperfosなどのその他の独自仕様の補助剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。フロイントまたはGM−CSFなどのアジュバントが好ましい。樹状細胞およびそれらの調製物に対して特異的な、いくつかの免疫学的アジュバント(例えばMF59)が、以前記載されている(Allison and Krummel、1995)。サイトカインもまた使用されてもよい。数種のサイトカインは、樹状細胞のリンパ組織(例えばTNF−)への移動に影響を与えること、Tリンパ球(例えば、GM−CSF、IL−1、およびIL−4)のための効率的な抗原提示細胞への樹状細胞の成熟加速すること(その内容全体が参照により本明細書に具体的に援用される、米国特許第5,849,589号明細書)、および免疫増強剤(例えば、IL−12、IL−15、IL−23、IL−7、IFN−α、IFN−β)として作用することと、直接関連付けられている(Gabrilovich et al.,1996)。

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