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技術 パルスレーダ装置

出願人 三菱電機株式会社
発明者 森田晋一
出願日 2019年4月3日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-071518
公開日 2020年10月15日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-169896
状態 未査定
技術分野 レーダ方式及びその細部
主要キーワード 結果行列 信号処理単位 パルス形 特定系列 パルスレ 周波数要素 反射パルス信号 距離検出処理
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (11)

課題

SN比が低い場合であっても目標との間の距離を検出できるパルスレーダ装置を得ること。

解決手段

目標99との間の距離を測定するパルスレーダ装置1Aにおいて、第1の受信信号受信信号系列から特定系列長を持つブロックを構築し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めることによって第2の受信信号を生成し、第2の受信信号と送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間で相関演算を行う相関演算部と、相関演算の処理結果であるマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する検出部13と、を備え、相関演算部は、第1の受信信号に対するブロックの位置をずらして第2の受信信号を生成する処理と、第2の受信信号毎に相関演算を行う処理と、を実行し、検出部13は、第2の受信信号毎のマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する。

概要

背景

パルスレーダ装置は、生成したパルスレプリカ信号(パルス信号コピー)を送信し、送信したパルスレプリカ信号と、目標反射して返ってくる受信パルス信号との間でパルス圧縮処理を行う。このパルスレーダ装置は、パルス圧縮処理によって得られる信号の距離次元ピークに基づいて、パルスレーダ装置と目標との間の距離を測定している。

特許文献1のパルスレーダ装置は、送信するパルス信号を位相変調し、受信した反射パルス信号(受信パルス信号)を符号変調することで、パルス圧縮処理後の信号の距離次元のピークを先鋭化し、距離検出の精度を向上させている。

概要

SN比が低い場合であっても目標との間の距離を検出できるパルスレーダ装置を得ること。目標99との間の距離を測定するパルスレーダ装置1Aにおいて、第1の受信信号受信信号系列から特定系列長を持つブロックを構築し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めることによって第2の受信信号を生成し、第2の受信信号と送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間で相関演算を行う相関演算部と、相関演算の処理結果であるマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する検出部13と、を備え、相関演算部は、第1の受信信号に対するブロックの位置をずらして第2の受信信号を生成する処理と、第2の受信信号毎に相関演算を行う処理と、を実行し、検出部13は、第2の受信信号毎のマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する。

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、SN比が低い場合であっても目標との間の距離を検出できるパルスレーダ装置を得ることを目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

目標との間の距離を測定するパルスレーダ装置において、送信信号を送信する送信アンテナと、前記目標で反射された前記送信信号を第1の受信信号として受信する受信アンテナと、前記第1の受信信号の受信信号系列から特定系列長を持つブロックを構築し、前記受信信号系列の中から構築したブロックに対する受信信号系列を抜き出し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めることによって第2の受信信号を生成し、前記第2の受信信号と前記送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間で相関演算を行う相関演算部と、前記相演算の処理結果であるマッチドフィルタ出力に基づいて、前記目標までの距離を検出する検出部と、を備え、前記相関演算部は、前記第1の受信信号に対する前記ブロックの位置をずらして前記第2の受信信号を生成する処理と、前記第2の受信信号毎に前記相関演算を行う処理と、を実行し、前記検出部は、前記第2の受信信号毎のマッチドフィルタ出力に基づいて、前記目標までの距離を検出する、ことを特徴とするパルスレーダ装置。

請求項2

前記相関演算部は、前記第1の受信信号から前記第2の受信信号を生成するブロック構築部と、前記ブロック構築部が生成した前記第2の受信信号と、前記送信信号に対応するパルスレプリカ信号と、の間でパルス圧縮処理を行うことによって前記相関演算を行うパルス圧縮部と、を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載のパルスレーダ装置。

請求項3

前記相関演算部は、前記第1の受信信号から前記第2の受信信号を生成する処理と、前記第2の受信信号と前記送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間の前記相関演算とを、位相補償コヒーレント積分行列を用いて行うコヒーレント積分部を含んでいる、ことを特徴とする請求項1に記載のパルスレーダ装置。

請求項4

前記コヒーレント積分部は、前記第1の受信信号に対する前記ブロックの位置をずらして前記第2の受信信号を生成する処理を1回の演算で実行する対角行列を用いて前記相関演算を行う、ことを特徴とする請求項3に記載のパルスレーダ装置。

技術分野

0001

本発明は、目標との間の距離を測定するパルスレーダ装置に関する。

背景技術

0002

パルスレーダ装置は、生成したパルスレプリカ信号(パルス信号コピー)を送信し、送信したパルスレプリカ信号と、目標で反射して返ってくる受信パルス信号との間でパルス圧縮処理を行う。このパルスレーダ装置は、パルス圧縮処理によって得られる信号の距離次元ピークに基づいて、パルスレーダ装置と目標との間の距離を測定している。

0003

特許文献1のパルスレーダ装置は、送信するパルス信号を位相変調し、受信した反射パルス信号(受信パルス信号)を符号変調することで、パルス圧縮処理後の信号の距離次元のピークを先鋭化し、距離検出の精度を向上させている。

先行技術

0004

特開平4−363686号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上記特許文献1の技術では、著しくSN(Signal-to-Noise)比が低い受信パルス信号に対しては、受信パルス信号がノイズ信号に埋もれるので、パルス圧縮処理を行っても距離次元のピークを検出できず、目標との間の距離を検出できないという問題があった。

0006

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、SN比が低い場合であっても目標との間の距離を検出できるパルスレーダ装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、目標との間の距離を測定するパルスレーダ装置において、送信信号を送信する送信アンテナと、目標で反射された送信信号を第1の受信信号として受信する受信アンテナと、を備える。また、パルスレーダ装置は、第1の受信信号の受信信号系列から特定系列長を持つブロックを構築し、受信信号系列の中から構築したブロックに対する受信信号系列を抜き出し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めることによって第2の受信信号を生成し、第2の受信信号と送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間で相関演算を行う相関演算部と、相関演算の処理結果であるマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する検出部と、を備える。相関演算部は、第1の受信信号に対するブロックの位置をずらして第2の受信信号を生成する処理と、第2の受信信号毎に相関演算を行う処理と、を実行し、検出部は、第2の受信信号毎のマッチドフィルタ出力に基づいて、目標までの距離を検出する。

発明の効果

0008

本発明によれば、SN比が低い場合であっても目標との間の距離を検出できるという効果を奏する。

図面の簡単な説明

0009

実施の形態1にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図
比較例のパルスレーダ装置の構成を示す図
比較例のパルスレーダ装置が実行するパルス圧縮処理を説明するための図
比較例のパルスレーダ装置が実行するパルス圧縮処理を説明するための図
実施の形態1にかかるパルスレーダ装置によるブロックの構築処理を説明するための図
実施の形態1にかかるパルスレーダ装置によるパルス圧縮処理を説明するための図
実施の形態2にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図
実施の形態3にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図
実施の形態1にかかる信号処理部の第1のハードウェア構成例を示す図
実施の形態1にかかる信号処理部の第2のハードウェア構成例を示す図

実施例

0010

以下に、本発明にかかるパルスレーダ装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、これらの実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

0011

実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図である。パルスレーダ装置1Aは、パルス状の電波であるパルスレプリカ信号を送信した時間を基準時間とし、目標99で反射して返ってくる信号(受信パルス信号)を受信するまでの基準時間からの遅延を測ることで、パルスレーダ装置1Aと目標99との間の相対距離を測定する。

0012

パルスレーダ装置1Aは、パルスレプリカ信号と、目標99で反射されて返ってくる受信信号との間でパルス圧縮処理を行い、パルス圧縮処理で得られた信号に基づいて、パルスレーダ装置1Aと目標99との間の距離を測定する。なお、パルス圧縮は、レンジ圧縮とも呼ばれる。

0013

本実施の形態のパルスレーダ装置1Aは、受信信号の受信信号系列から任意の系列長(特定系列長)を持つブロックを構成し、ブロックに対応する受信信号系列を抜き出し、このブロック以外の受信信号系列に0を埋めて、パルスレプリカ信号と受信信号とのマッチドフィルタ出力を計測する。パルスレーダ装置1Aは、各ブロックに対して、マッチドフィルタ出力を計測し、マッチドフィルタ出力を得られる受信信号に基づいて、目標99までの距離を測定する。

0014

パルスレーダ装置1Aは、送信部2と、送信アンテナ3と、受信アンテナ4と、受信部5と、信号処理部10Aとを備えている。信号処理部10Aは、パルスレプリカ記憶部11と、送信変調部12と、パルス圧縮部21と、ブロック構築部22と、検出部13と、表示部14とを有している。

0015

パルスレプリカ記憶部11は、パルスレプリカ信号を記憶しておくメモリなどである。送信変調部12は、パルスレプリカ記憶部11からパルスレプリカ信号を読み出して、パルスレプリカ信号に位相変調、符号変調などの変調を行う。送信変調部12は、変調したパルスレプリカ信号を送信部2に送る。

0016

送信部2は、パルスレプリカ信号を受け付けると、パルスレプリカ信号に周波数変換増幅などを行って、送信アンテナ3に送る。送信アンテナ3は、送信部2から送られてきたパルスレプリカ信号を送信信号として出力する。これにより、電波である送信信号が、空間に放射される。

0017

送信アンテナ3が出力した送信信号は、測距対象とする目標99で反射される。受信アンテナ4は、目標99で反射されて返ってきた信号を受信し、受信信号として受信部5に送る。受信部5は、受信信号の周波数変換などを行い、周波数変換などを行なった受信信号をブロック構築部22に送る。

0018

ブロック構築部22は、1PRI(Pulse Repetition Interval)に対する受信信号系列から、特定長のレンジセル(測定できる距離の最小単位レンジ分解能)で規定された受信信号を抜き出してブロックを構築し、構築したブロック以外のレンジセルに対する受信信号を強制的に0にする。ブロック構築部22は、受信信号に対して種々の時間のブロックを順番に構築する。すなわち、ブロック構築部22は、受信信号を複数の時間帯に分割し、時間帯毎のブロックを構築する。ブロック構築部22は、構築した各ブロックをパルス圧縮部21に送る。

0019

パルス圧縮部21は、ブロック構築部22からブロックが設定された受信信号を受け付ける。また、パルス圧縮部21は、パルスレプリカ記憶部11からパルスレプリカ信号を読み出す。パルス圧縮部21は、パルスレプリカ信号と受信信号の双方に対してパルス圧縮処理を行い、パルス圧縮処理の処理結果であるマッチドフィルタ出力を検出部13に送る。パルス圧縮部21は、1PRI内を、1レンジセルごとにパルスレプリカ信号と受信信号とをスライディング相関演算することによってパルス圧縮処理を行う。スライディング相関演算の演算結果が、マッチドフィルタ出力である。すなわち、マッチドフィルタ出力は、パルスレプリカ信号と受信信号との間の相関度合いに対応している。

0020

このように、パルスレーダ装置1Aでは、ブロック構築部22およびパルス圧縮部21が、パルスレプリカ信号と受信信号との間で相関演算を行う相関演算部の機能を有している。すなわち、相関演算部は、受信アンテナ4が受信した第1の受信信号の受信信号系列から特定系列長を持つブロックを抽出して構築し、受信信号系列の中から構築したブロックに対する受信信号系列を抜き出し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めた第2の受信信号を生成し、第2の受信信号と送信信号に対応するパルスレプリカ信号との間で相関演算を行う。検出部13は、マッチドフィルタ出力で信号を検出できるレンジセルに基づいて、目標99との間の距離を検出し、検出した距離を表示部14に表示させる。

0021

なお、送信アンテナ3と受信アンテナ4とを1つのアンテナで構成し、送信時と受信時とで共用してもよい。また、送信部2と受信部5とを同一装置の中の別構成としてもよい。

0022

本実施の形態のパルスレーダ装置1Aは、信号対雑音比であるSN比が低い場合であっても目標99との間の距離を検出できる。ここで、SN比が高い場合に、比較例のパルスレーダ装置が、目標99との間の距離を検出する処理について説明する。

0023

図2は、比較例のパルスレーダ装置の構成を示す図である。図2の各構成要素のうち図1に示すパルスレーダ装置1Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。

0024

比較例のパルスレーダ装置1Xは、パルスレーダ装置1Aと比較して、信号処理部10Aの代わりに信号処理部10Xを備えている。また、信号処理部10Xは、信号処理部10Aと比較して、パルス圧縮部21およびブロック構築部22の代わりに、パルス圧縮部29を有している。パルス圧縮部29は、受信部5、パルスレプリカ記憶部11、および検出部13に接続されている。

0025

SN比が高い場合、パルスレーダ装置1Xは、パルス状の信号である受信パルス信号を受信することができる。パルス圧縮部29は、パルスレプリカ記憶部11からパルスレプリカ信号を読み出す。パルス圧縮部29は、パルスレプリカ信号と受信パルス信号との双方に対しパルス圧縮処理を行う。このとき、パルス圧縮部29は、1PRI内を、1レンジセルごとにスライディング相関演算する。パルス圧縮部29は、演算結果であるマッチドフィルタ出力を検出部13に送る。

0026

検出部13は、スライディング相関演算の結果であるパルス圧縮後の出力(パルス圧縮後信号)をレンジセルに対して並べ、パルス圧縮後信号の距離次元のピークの位置に基づいて、目標99までの距離を検出する。検出部13は、ピークに対応する距離を、表示部14に表示させる。

0027

図3は、比較例のパルスレーダ装置が実行するパルス圧縮処理を説明するための図である。図3では、1段目(A1)にパルスレプリカ信号を示し、2段目(A2)に受信信号を示し、3段目(A3)にパルス圧縮後信号を示している。

0028

パルス圧縮処理に用いられるパルスレプリカ信号は、パルスレーダ装置1Xが送信する送信パルス信号リファレンスであり、ノイズおよび他の混入信号の要素を含まない理想的な信号としてパルスレプリカ記憶部11で記憶されている。

0029

パルスレーダ装置1Xは、1PRI内の特定タイミングにおいて、パルス幅Twのパルスレプリカ信号に対応する送信信号を送信する。パルスレーダ装置1Xは、PRI毎に送信信号を送信し、目標99で反射されて返ってくる受信信号(目標99からの反射信号)を受信する。この受信信号は、パルスレプリカ信号の特徴を概ね保存しているが、受信信号ノイズ101の影響を受けているので、完全に特徴を保存しているわけではない。

0030

パルスレーダ装置1Xは、パルス圧縮処理の際に、1PRI内を、1レンジセルごとにスライディング相関演算を実行する。各レンジセルに対するスライディング相関演算による結果において、パルスレプリカ信号と受信パルス信号との間の信号の一致度が高いほど、レンジセルに対する相関演算値は大きくなる。一致度が低い他のレンジセルでは相関演算値は小さくなる。スライディング相関演算の結果であるパルス圧縮後の出力(パルス圧縮後信号)をレンジセルに対して並べると、パルス幅Twの単峰性の形状が得られる。この単峰性の形状は、相関演算値に対応している。

0031

単峰性の形状のうち、ピーク以外のパルス圧縮後信号は、パルスレプリカ信号と異なる時刻における目標99からの反射信号の複素積103を示している。また、パルス圧縮後信号のうち、単峰性の形状以外の領域は、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とで異なる時刻間におけるノイズの複素積102を示している。単峰性の形状がピークとなっている位置、すなわちパルス圧縮後信号でピークが発生する位置が、目標99までの距離に対応している。

0032

図4は、比較例のパルスレーダ装置が実行するパルス圧縮処理を説明するための図である。図4では、1段目(B1)にパルスレプリカ信号を示し、2段目(B2)に受信信号を示し、3段目(B3)にマッチドフィルタの状態を示し、4段目(B4)にマッチドフィルタ出力を示している。

0033

パルス圧縮部29は、スライディング相関演算処理(パルス圧縮処理)の際に、パルスレプリカ信号を1レンジセル単位で移動させて、受信パルス信号との相関を演算する。すなわち、パルス圧縮部29は、パルスレプリカ信号の左端をレンジセルNo.1、レンジセルNo.2、レンジセルNo.3の順に右側に移動させる。

0034

パルスレプリカ信号は、特定のレンジセルに移動した場合に、受信パルス信号に重なる。ここでは、スライディング相関演算処理を分かりやすくするために、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とが完全に重なった状態を示している。パルス圧縮部29は、スライディング相関演算処理の際に、同一レンジセルのパルスレプリカ信号と受信パルス信号との一致度をマッチドフィルタによって計測する。ここでのマッチドフィルタは、矢印の向きによって位相表現している。マッチドフィルタの上段の矢印がパルスレプリカ信号の位相を示し、マッチドフィルタの下段の矢印が受信パルス信号の位相を示している。マッチドフィルタの上段と下段とで同じ矢印のレンジセルは、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とで位相が同じである。マッチドフィルタは、パルスレプリカ信号および受信パルス信号の双方の複素数内積を計算する処理である。複素数内積の出力が最大となるのは振幅実数成分)と位相(虚数成分)が一致するときである。

0035

図4において、パルスレプリカ信号の先端(右端)がレンジセルNo.12にスライドしたとき、レンジセルNo.5〜No.12までのマッチドフィルタ出力が最大になるので、レンジセルNo.8の位置にピークが現れる。以下、パルスレプリカが1レンジセル移動する毎に、受信パルスとの位相成分にずれが生ずるので、マッチドフィルタ出力は減少していき、各マッチドフィルタ出力は、レンジセルNo.8におけるマッチドフィルタ出力よりも低い高さとなる。このようにして、検出部13は、マッチドフィルタ出力が最大となるレンジセルNo.8に対応する距離をモニタすることで、パルスレーダ装置1Xと目標99との間の距離を計測する。

0036

ところが、レンジセルNo.5およびレンジセルNo.12においても、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とが一部重なっている。レンジセルNo.5およびレンジセルNo.12では、マッチドフィルタ出力があるにもかかわらず、マッチドフィルタ出力がノイズに埋もれてしまっている。これは別の視点で考えると、著しく低いSN比の状況下では、マッチドフィルタ出力が最大となるレンジセルNo.8においても、マッチドフィルタ出力の高さが低くなり、マッチドフィルタ出力の全体がノイズに埋もれる場合があるということである。この場合、パルスレーダ装置1Xでは、パルスレーダ測距機能が働かないという問題が生ずる。

0037

このため、本実施の形態のパルスレーダ装置1Aは、SN比が低い場合であっても、目標99までの距離を測定することができる処理を実行する。パルスレーダ装置1Aは、受信パルス信号の存在するレンジセルにノイズ信号が残り、受信パルス信号の存在しないレンジセルにはノイズ信号が残らないようパルス圧縮処理を行う。すなわち、パルスレーダ装置1Aは、受信信号の受信信号系列から特定系列長を持つブロックを構築し、受信信号系列の中から構築したブロックに対する受信信号系列を抜き出し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋める。パルスレーダ装置1Aは、構築したブロック以外の受信信号系列に0が埋められた受信信号と、パルスレプリカ信号とを用いてパルス圧縮処理を行い、処理結果に基づいて、目標99までの距離を検出する。これにより、パルスレーダ装置1Aは、SN比が著しく低い場合であっても、目標99までの距離を検出することができる。以下、パルスレーダ装置1Aによる、目標99までの距離検出処理について具体的に説明する。なお、パルスレーダ装置1Aが実行する処理のうち、比較例のパルスレーダ装置1Xが実行する処理と同様の処理については、その説明を省略する場合がある。

0038

図5は、実施の形態1にかかるパルスレーダ装置によるブロックの構築処理を説明するための図である。パルスレーダ装置1Aは、パルスレーダ装置1Xと同様のパルスレプリカ信号を用いる。すなわち、パルスレーダ装置1Aは、1PRI内の特定タイミングにおいて、パルス幅Twのパルスレプリカ信号に対応する送信信号を送信する。パルスレーダ装置1Aは、PRI毎に送信信号を送信し、目標99で反射されて返ってくる受信信号(目標99からの反射信号)を受信する。図5では本実施の形態の効果を分かりやすくするために、SN比が著しい低SN比の状態であり、受信パルスがノイズ信号に埋もれて検出できない状態の受信信号を表している。

0039

図5の上段(X1)には、1PRIの受信信号(単純に受信部5の出力)を距離次元に変換して並べなおした信号(全N要素の受信信号ベクトル31)を図示している。一番左側のレンジセル0がパルスレーダ装置1Aからの距離が0、すなわち、パルスレーダ装置1Aの位置である。τn(nは自然数)はレンジセル番号でありnが大きくなるにしたがって、パルスレーダ装置1Aからの距離が遠くなることを示している。このため、一番右側のレンジセルτNが1PRIの受信信号において観測できる最大距離となる。この最大距離は、1PRI×光速に対応している。

0040

ブロック構築部22は、1PRIのN要素からなる受信信号系列から、特定長の受信信号をレンジセル単位で抜き出した第mブロック32を構築し、同時に構築した第mブロック32以外のレンジセル33,34に対する受信信号を強制的に0にする。すなわち、ブロック構築部22は、抜き出した第mブロック32以外の構成要素は、元の内容に関わらず、信号処理上で強制的にデータの0で埋める。この第mブロック32を構築した状態を図5の下段(X2)に示している。図5の下段(X2)では、ブロックの長さがk(kは自然数)レンジセルであり、ブロック構築部22が、全N要素の受信信号ベクトル31から要素数をkとする第mブロック32を構築した場合の受信信号ベクトル35を示している。

0041

ブロックを構築するkレンジセル以外の部分には0が埋められるので、受信信号の全要素数(全レンジセル数)Nに変更はない。ブロック構築部22は、kレンジセルの受信信号で構築したブロックを、レンジセル単位ではなくブロック単位BUで移動させ、同じくkレンジセルの受信信号で次のブロックを構築する。ブロック構築部22は、次のブロック以外のブロックに対してもレンジセルに対する受信信号を強制的に0にする。ブロック構築部22は、この操作をレンジセル0からレンジセルNまで行う。すなわち、ブロック構築部22は、受信信号に対するブロックの位置をkレンジセルずつずらしてブロックを構築する処理と、ブロック以外のレンジセルの受信信号を0に設定する処理とを繰り返す。

0042

これにより、ブロック構築部22は、1PRIの受信信号に対し、N/k個のブロックを構築する。パルス圧縮部21は、ブロック構築部22によって構築された各ブロックのそれぞれに対してパルス圧縮処理を行う。すなわち、パルス圧縮部21は、構築されたブロックを含んだ受信信号とパルスレプリカ信号とを用いたパルス圧縮処理を、構築されたブロックを含んだ受信信号毎に実行する。

0043

図6は、実施の形態1にかかるパルスレーダ装置によるパルス圧縮処理を説明するための図である。図6では、1段目(Y1)にパルスレプリカ信号を示し、2段目(Y2)に受信信号を示し、3段目(Y3)にマッチドフィルタの状態を示し、4段目(Y4)にマッチドフィルタ出力を示している。

0044

ここでは、前述した比較例のパルスレーダ装置1Xと比較しながらパルス圧縮処理を説明する。図6では、本実施の形態の効果を分かりやすくするために、図示したブロックの中に受信パルス信号が完全に含まれ、またブロック長k=パルス幅Twと仮定した。

0045

パルス圧縮部21は、パルスレーダ装置1Xが備えるパルス圧縮部29と同様のパルス圧縮処理を行う。図4に示した比較例のパルスレーダ装置1Xでは、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とが重なる部分に対し、マッチドフィルタ出力が得られる。図6では、著しい低SN比であり、受信パルス信号の全体がノイズフロアに埋もれている状態を考える。

0046

構築されたブロックに含まれる受信信号は、レンジセルNo.5〜No.12に対するものであり、その他のレンジセルに対しては強制的に0に設定されている。すなわち、レンジセルNo.5〜No.12は、受信パルスが存在し、マッチドフィルタ出力が得られる部分であるが、低SN比であるために、受信パルス信号がノイズに埋もれている。

0047

この状態で、パルス圧縮部21によるパルスレプリカ信号と受信信号とのパルス圧縮処理を考える。レンジセルNo.1〜No.4では、パルスレプリカ信号と受信パルス信号との重なりが一切ないので、マッチドフィルタ出力は0である。さらに、レンジセルNo.1〜No.4では、マッチドフィルタ出力が強制的に0に設定されているので、マッチドフィルタ出力と受信信号との積は0である。レンジセルNo.13〜No.16でも、同様に、マッチドフィルタ出力と受信信号との積は0である。

0048

レンジセルNo.5〜No.12では、パルスレプリカ信号と受信パルス信号とに重なりがあるので、マッチドフィルタ出力が得られる。さらに、レンジセルNo.5〜No.12は、構築されたブロック内にあるので、受信信号が強制的に0にされておらず、ノイズ成分を含んだ受信信号そのものが維持されている。このため、ノイズがガウス分布を持っており、且つ完全に0にならなければ、マッチドフィルタ出力とノイズ成分とはともに存在するので、マッチドフィルタ出力と受信信号との積は0ではない。このように、仮に受信パルスがノイズに完全に埋もれている状態であっても、パルス幅Twの区間には微小な信号が現れる。

0049

また、パルスレプリカ信号がレンジセルNo.1〜No.4である場合、すなわち、受信パルスが存在していない1つ前のブロックでは、パルスレプリカ信号の位相と受信パルス信号の位相とは大きく異なる。このため、受信パルスが存在していない1つ前のブロックでは、マッチドフィルタ出力にサイドローブが発生し、この結果、マッチドフィルタ出力は0に近いものとなる。レンジセルNo.13〜No.16についても、マッチドフィルタ出力は0に近いものとなる。

0050

パルスレーダ装置1Aの検出部13は、パルス形状の、例えばパルスの先頭、中心、後端を基準として目標99までの距離を測定することができるので、マッチドフィルタ出力が完全に0ではなく微小な信号が残余する部分を検出することで、測距機能を回復できる。すなわち、検出部13は、低いSN比の状況下であっても、パルス圧縮処理で得られる出力をノイズ成分に埋もれさせることなく、目標99の測距性能を維持して、測距処理高精度化することができる。一方、比較例のパルスレーダ装置1Xは、SN比が低い場合、全てのレンジセルでマッチドフィルタ出力の高さが低くなり、マッチドフィルタ出力の全体がノイズに埋もれる。このため、比較例のパルスレーダ装置1Xでは、SN比を回復することはできず、ピーク検出性能を回復することもできない。

0051

また、本実施の形態では、全Nレンジセルの受信信号からkレンジセルのブロックを構築しているが、ブロック以外の受信信号系列には要素0を埋めており、切り捨てているわけではない。受信信号を切り捨てて系列長を減らすということは、受信信号に対して帯域制限を行っていることと等価である。帯域制限とは、受信信号が持つ帯域成分を部分的に切り捨てることであり、受信信号の特徴を変化させてしまう。本実施の形態では、受信信号系列に要素0を埋めているので、受信信号に対して帯域制限を行っているわけではない。このため、受信信号が持つ本来の特徴を維持できるという効果がある。

0052

このように実施の形態1によれば、受信信号からブロックを構築し、構築したブロック以外の受信信号系列に0を埋めた受信信号と、パルスレプリカ信号との間で相関演算を行うので、SN比が低い場合であっても目標99との間の距離を検出することができる。

0053

実施の形態2.
つぎに、図7を用いてこの発明の実施の形態2について説明する。実施の形態2では、位相補償コヒーレント積分行列を用いて、kレンジセルからなるブロックを構築する処理と、構築するブロックに対する位相補償型コヒーレント積分処理(相関演算)と、を同時に実行する。

0054

図7は、実施の形態2にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図である。図7の各構成要素のうち図1に示す実施の形態1のパルスレーダ装置1Aと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。

0055

パルスレーダ装置1Bは、送信部2と、送信アンテナ3と、受信アンテナ4と、受信部5と、信号処理部10Bとを備えている。信号処理部10Bは、パルスレプリカ記憶部11と、送信変調部12と、コヒーレント積分部23と、検出部13と、表示部14とを有している。コヒーレント積分部23は、受信部5と、パルスレプリカ記憶部11と、検出部13とに接続されている。

0056

コヒーレント積分部23は、位相補償型コヒーレント積分行列を用いてkレンジセルからなるブロックを構築する処理と、構築するブロックに対する位相補償型コヒーレント積分処理と、を実行する。コヒーレント積分部23は、後述する式(8)および式(9)を記憶しており、式(8)および式(9)を用いて、ブロックを構築する処理および位相補償型コヒーレント積分処理を実行する。実施の形態2では、コヒーレント積分部23が相関演算部の処理を実行する。すなわち、実施の形態1では、相関演算部が、ブロック構築部22およびパルス圧縮部21を含んでいたが、実施の形態2では、相関演算部が、コヒーレント積分部23を含んでいる。位相補償型コヒーレント積分行列については後述する。

0057

次に、パルスレーダ装置1Bの動作について説明する。実施の形態1では受信パルスが存在する部分を検出(測距機能を回復)したが、検出されているのは単峰性のマッチドフィルタ出力ではなくノイズ成分および受信パルス信号であった。実施の形態2では、このノイズ成分に埋もれた信号の中から受信パルス信号のみを回復する。以下の説明では、受信パルス信号を、所望信号という場合がある。受信信号は、所望信号(受信パルス信号)にノイズが付加されたものである。

0058

パルス圧縮処理は、ある時刻1回の観測で得た受信信号と、パルスレプリカ信号との相関演算である。本実施の形態では、このパルス圧縮処理を、複数の観測時刻の受信信号に対する位相補償型コヒーレント積分処理に置き換える。すなわち、パルスレーダ装置1Bは、位相補償型コヒーレント積分処理によって、受信信号とパルスレプリカ信号との相関演算を行う。

0059

コヒーレント積分部23によるコヒーレント積分では、例えば1PRI(ヒット)を信号処理単位とし、複数ヒットの処理結果を積み上げていく。これにより、パルスレーダ装置1Bは、ガウス分布のノイズを低減させることができる。また、パルスレーダ装置1Bは、時刻が異なることによって変動する所望信号の位相成分を補償することで複数ヒットの積み上がり効果を向上させることができる。

0060

ここで、式(1)から式(7)を用いて、比較例の位相補償型コヒーレント積分処理について説明する。以下の式(1)に示す行列Aは、位相補償型コヒーレント積分行列でありN×N要素である。

0061

0062

式(1)に示す行列Aの成分は、以下の式(2)によって表される。式(1)に示す行列Aの成分は、距離による位相変動周波数による位相変動と、の双方を補償する因子である。

0063

0064

第P(Pは自然数)ヒットの所望信号と第(P+1)ヒットの所望信号との位相変動を補償するために、τは距離方向の位相変動を、fは周波数方向の位相変動をそれぞれ修正する効果を持つ。τj(jは自然数)は、レンジセルNo.jに移動した場合の位相変動の修正を行い、fi(iは自然数)は、周波数iに移動した場合の位相変動の修正を行う。

0065

以下の式(3)に示すmは、実施の形態1で示したブロック番号であり、m=1,2,・・・,N/kである。

0066

0067

式(1)の行列Aは、実施の形態1で説明したブロック構築を行わずに、1PRIの全ての所望信号に対して位相補償することを目的としたものであり、N×Nの全要素に対して特定の成分を持っている。この行列Aを用いた位相補償型コヒーレント積分の一連の流れについて説明する。

0068

以下の式(4)に示す受信信号ベクトルx(t)は、1PRIに対する所望信号のベクトルであり、N×1要素である。

0069

0070

また、以下の式(5)に示すベクトルn(t)は、ノイズ信号ベクトルであり、N×1要素である。

0071

0072

そして、以下の式(6)に示すように、受信信号y(t)は、所望信号のベクトルである受信信号ベクトルx(t)に行列Aを寄与させたものと、ノイズ信号ベクトルであるベクトルn(t)との和である。

0073

0074

行列Aは、N×Nの全要素に特定の値があるフルランクの行列である。以下、位相補償型コヒーレント積分処理については公知の技術であるため、詳細な説明は省略する。以下の式(7)は、位相補償型コヒーレント積分処理の流れを示している。

0075

0076

式(7)によって最終的に得られる行列が受信信号共分散行列Rであり、1PRIの全レンジセル(距離)、および周波数要素に対する位相補償を行ったN×N行列である。Sは、所望信号行列、σ2は受信信号に含まれるノイズ電力であり、Hは複素共役転置であり、コヒーレント積分回数をD(Dヒット)とすると、ガウス分布のノイズ電力は1/(D1/2)に減少する。

0077

実施の形態1では、ブロック構築部22が、Nレンジセルの受信信号から図5の下段(X2)のようにkレンジセルのブロックを構築し、kレンジセル以外のレンジセルに対しては強制的に0を埋める操作を行なった。実施の形態2では、コヒーレント積分部23が、後述する行列Aハットを用いて、上記のブロック構築を行う。コヒーレント積分部23による処理は、行列Aハットのみによって、kレンジセルからなるブロックを構築する処理と、構築するブロックに対する位相補償型コヒーレント積分処理と、を同時に実行することに1つの特徴がある。以下、パルスレーダ装置1Bによる、目標99までの距離検出処理について説明する。なお、パルスレーダ装置1Bが実行する処理のうち、比較例の位相補償型コヒーレント積分処理と同様の処理については、その説明を省略する場合がある。

0078

実施の形態2のパルスレーダ装置1Bが備えるコヒーレント積分部23は、式(4)、および以下の式(8)から式(13)を用いて位相補償型コヒーレント積分処理を行う。以下の式(8)に示す行列Aハットは、行列Aと同じ位相補償型コヒーレント積分行列でありN×N要素である。

0079

0080

行列Aハットは、N×N要素でありながら、選択したブロックの部分のみに有効な要素を持ち、選択したブロックの部分以外の部分は0である。

0081

式(8)の四角で囲まれた要素が、図5の下段(X2)に示したブロック(選択されたブロック)に対応している。四角で囲まれた要素はk×kであり、これら以外の要素は全て0である。このように、コヒーレント積分部23は、式(8)の行列Aハットを式(4)の受信信号ベクトルx(t)に寄与させることによって、図5の下段(X2)に示したブロック部分のみに位相補償型コヒーレント積分を実行することができる。

0082

以下の式(9)は、行列Aハットを用いた位相補償型コヒーレント積分処理の流れを示している。

0083

0084

式(9)によって最終的に得られる行列が、受信信号共分散行列Rハットであり、所望信号行列Sおよびノイズ電力σ2は、フルランクの行列Aに対する受信信号共分散行列Rと同一である。これの意味するところは、位相補償型コヒーレント積分行列は、フルランクの行列A、およびランクkの行列Aハットの如何によらず、所望信号行列Sの特徴を保存し、同時にノイズ電力を1/(D1/2)に減少させる効果に変わりはないということである。さらに、演算量を比較すると、式(7)では行列AがフルランクであるからN2+N≒N2であり、一方、式(9)では、k2+k≒k2であり、その比はN2/k2である。ここで、N=1000000、k=1000である(つまりN/k=1000であり1000ブロック構築可能)、と仮定すると、演算量は1/1000000に削減できる。これにより、信号処理部10B(プロセッサ)の演算負荷を減少させることができ、プロセッサの小型化、軽量化、処理速度の向上、消費電力の減少につながる。

0085

このように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、著しい低SN比の状態であり、パルス圧縮処理では受信パルス信号がノイズに埋もれて検出できない状態においても、ブロック構築によって受信パルス信号の存在レンジを検出できる。さらに、ブロック構築機能を、位相補償型コヒーレント積分処理を行う行列Aハットに組み入れることで、受信パルス信号の検出精度が向上し、演算量を削減することができる。

0086

実施の形態3.
つぎに、図8を用いてこの発明の実施の形態3について説明する。実施の形態3では、kレンジセルで構築したブロックをブロック単位で信号処理するという繰り返しステップを、1回の演算でまとめて実行する。

0087

図8は、実施の形態3にかかるパルスレーダ装置の構成を示す図である。図8の各構成要素のうち図7に示す実施の形態2のパルスレーダ装置1Bと同一機能を達成する構成要素については同一符号を付しており、重複する説明は省略する。

0088

パルスレーダ装置1Cは、送信部2と、送信アンテナ3と、受信アンテナ4と、受信部5と、信号処理部10Cとを備えている。信号処理部10Cは、パルスレプリカ記憶部11と、送信変調部12と、コヒーレント積分部24と、検出部13と、表示部14とを有している。すなわち、信号処理部10Cは、信号処理部10Bと比較して、コヒーレント積分部23の代わりにコヒーレント積分部24を有している。コヒーレント積分部24は、受信部5と、パルスレプリカ記憶部11と、検出部13とに接続されている。

0089

実施の形態3では、コヒーレント積分部24が相関演算部の処理を実行する。すなわち、実施の形態2では、相関演算部が、コヒーレント積分部23を含んでいたが、実施の形態3では、相関演算部が、コヒーレント積分部24を含んでいる。コヒーレント積分部24は、後述する式(10)から式(13)を記憶しており、式(10)から式(13)を用いて、ブロックを構築する処理および位相補償型コヒーレント積分処理を実行する。

0090

コヒーレント積分部24は、第m番目のブロックに対する位相補償型コヒーレント積分演算子を要素とした行列をm=1,2,・・・,Nとして対角項に並べた行列を、受信信号ベクトルx(t)に作用させる。

0091

実施の形態1では、kレンジセルで構築したブロックをブロック単位で信号処理した後、このブロックをkレンジセルだけ移動させたうえでkレンジセルでブロックを構築する、という処理を繰り返すステッピング処理を行っている。すなわち、パルスレーダ装置1Aは、N/k回の繰返し処理を行っている。

0092

実施の形態3のパルスレーダ装置1Cは、N/k回の繰返し処理を1度の処理で実行する。以下の式(10)に示す行列amは、k×k行列であり、行列amの要素は第m番目のブロックに対する位相補償型コヒーレント積分演算子である。

0093

0094

コヒーレント積分部24は、この行列amをm=1,2,・・・,Nとして対角項に並べて、以下の式(11)に示す行列Aチルダを用いる。

0095

0096

行列Aチルダは、対角行列であり、受信信号に対するブロックの位置をkレンジセルずつずらしてブロックを構築する処理と、ブロック以外のレンジセルの受信信号を0に設定する処理とを1回の演算で実行する行列である。行列AチルダはN×N行列である。この行列Aチルダを以下の式(12)のようにN×1の受信信号ベクトルx(t)に作用させた結果得られる行列(以下、結果行列という)について説明する。

0097

0098

結果行列の第1列は、受信信号ベクトルx(t)からk×1要素の第1ブロックを抜き出し残りの部分には0を埋めたベクトルであり、第2列は、受信信号ベクトルx(t)からk×1要素の第2ブロックを抜き出し残りの部分には0を埋めたベクトルである。結果行列では、このようなベクトルが順次第(N/k)ブロックまで続く。すなわち、実施の形態2で実行されたステッピング処理が、1つの行列Aチルダの中に埋め込まれている。

0099

以下の式(13)は、行列Aチルダを用いた位相補償型コヒーレント積分処理の流れを示している。

0100

0101

式(13)によって最終的に得られる行列が、受信信号共分散行列Rチルダであり、所望信号行列Sおよびノイズ電力σ2は、フルランクの行列Aに対する受信信号共分散行列Rと同一である。

0102

このように、実施の形態3によれば、全Nレンジセルの受信信号をkブロックに分割し、合計N/k回のステッピング処理を一度の行列演算で実行するので、演算時間を短縮できる。すなわち、パルスレーダによる目標検出に要する時間を短縮化し、さらに目標検出後の動作アクションが鈍ることを防止できる。

0103

ここで、信号処理部10A,10B,10C,10Xのハードウェア構成について説明する。なお、信号処理部10A,10B,10C,10Xは、同様のハードウェア構成を有しているので、ここでは信号処理部10Aのハードウェア構成について説明する。

0104

図9は、実施の形態1にかかる信号処理部の第1のハードウェア構成例を示す図である。信号処理部10Aを構成する構成要素の一部又は全部の機能は、プロセッサ301、メモリ302、インタフェース304、および表示装置303により実現することができる。

0105

プロセッサ301の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置処理装置演算装置マイクロプロセッサマイクロコンピュータ、プロセッサ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ302の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)である。

0106

信号処理部10Aの一部の機能は、プロセッサ301が、メモリ302で記憶されている、信号処理部10Aの動作を実行するためのプログラムを読み出して実行することにより実現される。また、このプログラムは、信号処理部10Aの手順または方法をコンピュータに実行させるものであるともいえる。メモリ302は、プロセッサ301が各種処理を実行する際の一時メモリにも使用される。

0107

信号処理部10Aのうちのパルス圧縮部21、送信変調部12、および検出部13は、プロセッサ301およびメモリ302によって実現され、ブロック構築部22は、プロセッサ301、メモリ302、およびインタフェース304によって実現される。表示部14は、表示装置303によって実現され、パルスレプリカ記憶部11は、メモリ302によって実現される。

0108

図10は、実施の形態1にかかる信号処理部の第2のハードウェア構成例を示す図である。信号処理部10Aを構成する構成要素の一部又は全部の機能は、処理回路305、インタフェース304、および表示装置303により実現することができる。すなわち、信号処理部10Aは、プロセッサ301およびメモリ302の代わりに処理回路305を用いて実現されてもよい。

0109

処理回路305は、専用のハードウェアである。処理回路305は、例えば、単一回路複合回路プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific IntegratedCircuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。

0110

なお、信号処理部10Aの機能について、一部を専用のハードウェアで実現し、一部をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。すなわち、信号処理部10Aの一部の機能を図9に示したプロセッサ301、メモリ302、インタフェース304、および表示装置303で実現し、残りの機能を図10に示した専用の処理回路305、インタフェース304、および表示装置303で実現するようにしてもよい。

0111

以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。

0112

1A〜1C,1Xパルスレーダ装置、2 送信部、3送信アンテナ、4受信アンテナ、5 受信部、10A〜10C,10X信号処理部、11パルスレプリカ記憶部、12送信変調部、13 検出部、14 表示部、21,29パルス圧縮部、22ブロック構築部、23,24コヒーレント積分部、99目標、301プロセッサ、302メモリ、303表示装置、304インタフェース、305処理回路。

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