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課題
解決手段
排気浄化制御装置50は、排気管に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する選択的還元触媒と排気中のCOまたはHCを還元剤としてNOxを還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含む触媒層40と、触媒層にオゾン供給するオゾン供給装置30とを備える排気浄化システムを制御し、内燃機関から排出される排出NOx量を取得する成分量取得部52と、オゾンが供給時に触媒層に吸着されたNOx量であるオゾン供給時積算吸着量を推定する吸着量推定部54aと、排出NOx量とオゾン供給時積算吸着量とに基づいて触媒層内のNOに対するNO2の成分比を推定する成分比推定部54bと、推定された成分比に基づいて触媒層に供給するオゾン量を制御するオゾン量制御部55とを備える。
概要
背景
内燃機関の排気に含まれる窒素酸化物(NOx)の浄化に用いられる触媒として、選択的還元(Selective Catalytic Reduction:SCR)触媒、三元触媒(Three Way Catalyst:TWC)等が知られている。特許文献1に記載されているように、SCR触媒を触媒層に備えた排気浄化システムでは、触媒層の上流側において、排気中にオゾンを供給する技術が知られている。オゾンを供給して、排気中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化することにより、一酸化窒素(NO)に対する二酸化窒素(NO2)の成分比(NO2/NO)を、好ましい値に制御する。これによって、SCR触媒におけるNOxの還元反応による浄化が促進される。
概要
SCR触媒や三元触媒を触媒層に備えた排気浄化システムに適用され、窒素酸化物の還元反応を促進する排気浄化制御装置を提供する。排気浄化制御装置50は、排気管に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する選択的還元触媒と排気中のCOまたはHCを還元剤としてNOxを還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含む触媒層40と、触媒層にオゾン供給するオゾン供給装置30とを備える排気浄化システムを制御し、内燃機関から排出される排出NOx量を取得する成分量取得部52と、オゾンが供給時に触媒層に吸着されたNOx量であるオゾン供給時積算吸着量を推定する吸着量推定部54aと、排出NOx量とオゾン供給時積算吸着量とに基づいて触媒層内のNOに対するNO2の成分比を推定する成分比推定部54bと、推定された成分比に基づいて触媒層に供給するオゾン量を制御するオゾン量制御部55とを備える。
目的
本発明は、SCR触媒や三元触媒を触媒層に備えた排気浄化システムに適用され、窒素酸化物の還元反応を促進する排気浄化制御装置を提供する
効果
実績
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請求項1
内燃機関(20)の排気管(12)に配置された触媒層(40)と、前記触媒層にオゾンを供給するオゾン供給装置(30)と、を備え、前記触媒層は、前記排気中の窒素酸化物を浄化する触媒として、前記排気管に供給される還元剤により選択的に窒素酸化物を還元する選択的還元触媒と、前記排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤として窒素酸化物を還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含み、前記内燃機関からの排気中の所定成分を前記触媒層により浄化する排気浄化システム(10)を制御する排気浄化制御装置(50)であって、前記内燃機関から排出される窒素酸化物量である排出窒素酸化物量を取得する成分量取得部(52)と、前記オゾン供給装置からオゾンが供給されている状態で前記触媒層に吸着された窒素酸化物量の積算値であるオゾン供給時積算吸着量を推定する吸着量推定部(54a)と、前記排出窒素酸化物量と前記オゾン供給時積算吸着量とに基づいて、前記触媒層内の一酸化窒素に対する二酸化窒素の成分比を推定する成分比推定部(54b)と、推定された前記成分比に基づいて、前記触媒層に供給するオゾン量を制御するオゾン量制御部(55)と、を備える排気浄化制御装置。
請求項2
請求項3
前記成分比推定部は、前記オゾン供給装置からオゾンが供給されている状態で前記触媒層に吸着された窒素酸化物は、前記二酸化窒素として前記触媒層から脱離すると見なして前記成分比を推定する請求項1または2に記載の排気浄化制御装置。
請求項4
前記成分量取得部が取得する前記排出窒素酸化物量に対しての前記触媒層に供給するオゾン量の供給比を設定する供給比設定部(53)をさらに備え、前記オゾン量制御部は、前記触媒層の温度情報が、前記触媒層の温度が所定の温度閾値未満であることを示す状態である場合に、前記供給比に基づいて前記触媒層にオゾンを供給する第1モードでオゾン量を制御し、前記触媒層の温度情報が、前記触媒層の温度が前記温度閾値以上であることを示す状態である場合に、前記成分比に基づいて前記触媒層にオゾンを供給する第2モードでオゾン量を制御する請求項1〜3のいずれかに記載の排気浄化制御装置。
請求項5
前記成分比推定部は、前記第1モードの実行時に前記オゾン供給装置からオゾンが供給されている状態で前記触媒層に吸着された窒素酸化物は、前記第2モードの実行時に二酸化窒素として前記触媒層から脱離すると見なして前記成分比を推定する請求項4に記載の排気浄化制御装置。
請求項6
前記オゾン量制御部は、前記成分比に基づいて前記触媒層に供給するオゾン量を制御する際に、物質量比として算出される前記成分比が1以下となるように制御する請求項1〜5のいずれかに記載の排気浄化制御装置。
請求項7
前記オゾン量制御部は、前記成分比に基づいて前記触媒層に供給するオゾン量を制御する際に、物質量比として算出される前記成分比が1となるように制御する請求項1〜6のいずれかに記載の排気浄化制御装置。
技術分野
背景技術
0002
内燃機関の排気に含まれる窒素酸化物(NOx)の浄化に用いられる触媒として、選択的還元(Selective Catalytic Reduction:SCR)触媒、三元触媒(Three Way Catalyst:TWC)等が知られている。特許文献1に記載されているように、SCR触媒を触媒層に備えた排気浄化システムでは、触媒層の上流側において、排気中にオゾンを供給する技術が知られている。オゾンを供給して、排気中の一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO2)に酸化することにより、一酸化窒素(NO)に対する二酸化窒素(NO2)の成分比(NO2/NO)を、好ましい値に制御する。これによって、SCR触媒におけるNOxの還元反応による浄化が促進される。
先行技術
0003
特開2016−70181号公報
発明が解決しようとする課題
0004
SCR触媒等を用いてNOxを還元して浄化する場合には、理論上、NOxにおける、NOに対するNO2の成分比(NO2/NO)が、物質量比において1である場合に、NOxを速やかに効率よく浄化できる。この成分比より大き過ぎても、小さ過ぎても、NOx還元反応によりNOxの浄化効率は低下する。このため、NOxの還元反応を促進するために、成分比(NO2/NO)をより厳密に制御することが求められる。例えば、SCR触媒等に一旦吸着されたNOxが脱着することも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)を制御することが求められる。
0005
上記に鑑み、本発明は、SCR触媒や三元触媒を触媒層に備えた排気浄化システムに適用され、窒素酸化物の還元反応を促進する排気浄化制御装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0006
本発明は、内燃機関の排気管に配置された触媒層と、前記触媒層にオゾンを供給するオゾン供給装置と、を備え、前記触媒層は、前記排気中の窒素酸化物を浄化する触媒として、前記排気管に供給される還元剤により選択的に窒素酸化物を還元する選択的還元触媒と、前記排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤として窒素酸化物を還元する三元触媒との少なくともいずれか一方を含む、前記内燃機関からの排気中の所定成分を前記触媒層により浄化する排気浄化システムを制御する排気浄化制御装置を提供する。この排気浄化制御装置は、前記内燃機関から排出される窒素酸化物量である排出窒素酸化物量を取得する成分量取得部と、前記触媒層に吸着された窒素酸化物量の積算値である積算吸着量を推定する吸着量推定部と、前記排出窒素酸化物量と前記積算吸着量とに基づいて、前記触媒層内の一酸化窒素に対する二酸化窒素の成分比を推定する成分比推定部と、推定された前記成分比に基づいて、前記触媒層に供給するオゾン量を制御するオゾン量制御部と、を備える。
0007
本発明者は、鋭意研究の結果、選択的還元触媒(SCR触媒)、三元触媒(TWC)にオゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増加させられること、および、各触媒から脱着するNOxにおける成分比(NO2/NO)は、オゾン供給装置からオゾンが供給されている状態で各触媒に吸着されたNOx量に基づいて算出できること、を見出した。
0008
本発明によれば、排気浄化制御装置は、触媒層として、排気管に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する選択的還元触媒と、排気中の一酸化炭素または炭化水素を還元剤としてNOxを還元する三元触媒との少なくとも1つを含み、オゾン供給装置を備える排気浄化システムを制御する。排気浄化制御装置は、成分量取得部により排出窒素酸化物量を取得し、吸着量推定部により積算吸着量を推定する。そして、成分比推定部により、排出窒素酸化物量と積算吸着量とに基づいて、触媒層内の一酸化窒素に対する二酸化窒素の成分比(NO2/NO)を推定する。成分比(NO2/NO)の推定に際して、積算吸着量を用いることにより、触媒層から脱着するNOx成分も考慮して、成分比を推定することができる。そして、オゾン量制御部は、この成分比に基づいて、触媒層に供給するオゾン量を制御する。このため、SCR触媒等に一旦吸着されたNOxが脱着することも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)が適切な値となるように、オゾン量を制御できる。その結果、SCR触媒や三元触媒を触媒層に備えた排気浄化システムにおいて、NOxの還元反応を促進することができる。
図面の簡単な説明
0009
第1実施形態に係る排気浄化システムの概略図。
触媒名称と、その別称および具体例を示す表。
SCR触媒に吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。
DOCに吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。
アルミナに吸着されるNOx量と供給比との関係を示す図。
図6(a)はオゾン供給なしの場合のLNT触媒の表面の顕微FT−IRイメージング図。図6(b)はオゾン供給ありの場合のLNT触媒の表面の顕微FT−IRイメージング図。
SCR触媒から脱着するNOx量を成分ごとに示す図。
DOCから脱着するNOx量を成分ごとに示す図。
触媒温度とNOx浄化率との関係を示す図。
第1実施形態に係る排気浄化制御のフローチャート。
他の実施形態に係る触媒層の形態を示す概略図。
他の実施形態に係る触媒層の形態を示す概略図。
触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。
触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。
他の実施形態に係る触媒層の形態を示す概略図。
触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。
触媒層の配置と、オゾンおよび還元剤の供給位置とを例示する図。
第2実施形態に係る排気浄化制御のフローチャート。
第2実施形態の変形例に係る排気浄化制御のフローチャート。
第3実施形態に係る排気浄化制御のフローチャート。
実施例
0010
(第1実施形態)
図1に示すように、排気浄化システム10は、内燃機関20から排出される排気中の所定成分を触媒層40により浄化可能なシステムとして構成されている。排気浄化システム10は、さらに、オゾン供給装置30と、還元剤供給装置60とを備えている。
0011
内燃機関20は、ディーゼルエンジンであり、吸気管11から吸入した空気は、過給装置13によって圧縮されて内燃機関20の燃焼室内に吸入され、この燃焼室内において、燃料噴射弁から噴射された燃料とともに燃焼に供される。
0012
過給装置13は、吸気管11に配置された吸気コンプレッサ14と、排気管12に配置された排気タービン15と、吸気コンプレッサ14と排気タービン15とを連結する回転軸16とを備えている。内燃機関20からの排気により排気タービン15が回転されると、その回転に伴い吸気コンプレッサ14が回転され、吸気の過給が行われる。
0013
排気管12には、排気タービン15の出口近傍に、排出NOxセンサ22が設けられている。排出NOxセンサ22は、内燃機関20において発生したNOx量を濃度として検出する。排気管12には、排出NOxセンサ22よりも下流側に触媒層40が配置されている。内燃機関20からの排気は、排気管12を通過して触媒層40において浄化される。排気管12には、触媒層40の出口近傍に、触媒後NOxセンサ24が設けられている。触媒後NOxセンサ24は、触媒層40によって浄化された後の排気中のNOx量を濃度として検出する。
0014
触媒層40は、上流側から順に、第1触媒層41と、第2触媒層42とを備えている。第1触媒層41には、触媒層の温度を検出する触媒温度センサ23が設置されている。図2に、本明細書における触媒名称と、その別名、および具体例を示す。本明細書では、図2に示す触媒名称は、その別名で称される各触媒を含むものとして取り扱う。
0015
第1触媒層41としては、少なくとも、窒素酸化物(NOx)を浄化する触媒反応に係るNOx浄化触媒を含む触媒層が備えられる。具体的には、NOx浄化触媒としては、選択的還元触媒(SCR触媒)または三元触媒(TWC)のうちの一方または双方が含まれる。
0016
SCR触媒は、排気管12に供給される還元剤により選択的にNOxを還元する触媒である。SCR触媒において還元剤として用いられる物質の代表例としては、アンモニア(NH3)、炭化水素(HC)、水素(H2)、アルデヒド類(RCHO)を挙げることができる。SCR触媒においては、NOx(NO,NO2)は、還元剤によりN2に還元される。還元剤は、酸化されて、その種類によって、水(H2O)、二酸化炭素(CO2)、N2等が生成される。なお、アンモニアを還元剤として用いる場合には、排気管12に尿素水等として供給され、排気管12内でアンモニアが生成される。
0017
SCR触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が知られている。より具体的には、図2に示すように、還元剤としてアンモニアを用いるSCR触媒の具体例として、銅(Cu)や鉄(Fe)等をカチオン種として含むZSM5等のゼオライト触媒を例示できる。また、HC,H2、RCHOを還元剤として用いるSCR触媒の具体例として、銀(Ag)またはプラチナ(Pt)をアルミナ(Al2O3)に担持した触媒を例示できる。
0018
三元触媒は、排気中の一酸化炭素(CO)または炭化水素(HC)を還元剤としてNOxを還元する触媒である。三元触媒によれば、例えば下記式(1)〜(3)に示す触媒反応により、COは二酸化炭素(CO2)に酸化され、HCは水(H2O)またはCO2に酸化され、NOxは、窒素(N2)に還元される。
0019
2CO+2NO→2CO2+N2 … (1)
2H2+2H2+2NO→2H2+2NO→2H2O+N2 … (2)
[HC]+NO→N2+CO2+H2O … (3)
0020
三元触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属の活性種とを含む触媒が知られている。より具体的には、図2に示すように、三元触媒の具体例として、プラチナ(Pt),パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属触媒をアルミナ、セリア/ジルコニア(CeO2/ZrO2)等に担持した触媒を例示できる。三元触媒は、さらに、助触媒として、酸素貯蔵能を有するセリア(CeO2)、ジルコニア(ZrO2)、ランタニア(La2O3)等を含んでいてもよい。
0021
SCR触媒や三元触媒は、NOx吸蔵還元型ではないNOx浄化触媒であり、一般に、NOx吸着性が高くなるように調製されない。このため、一般に、LNT触媒等と称されるNOx吸蔵還元型の触媒よりも、NOxの吸着量が低い。
0022
LNT触媒は、内燃機関20の通常運転時はNOxを触媒上に吸蔵させ、時折、リッチスパイク(燃料を多めに噴射すること)により、排出ガス中の酸素(O2)を低減させ、かつ、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を増加させる。そして、吸蔵したNOxと反応させて窒素に還元する。LNT触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種と、NOx吸着種とを含む触媒が用いられている。より具体的には、図2に示すように、LNT触媒の具体例として、Pt,Pd,Rh等の貴金属種と、NOx吸着種としてのバリウム(Ba)やセリウム(Ce)を含む触媒を例示できる。
0023
LNT触媒の別称としては、NSR(NOx Strage Reduction)触媒、NAC(NOx Absorption Catalyst)、DPNR(Diesel Particulate−NOx Reduction)触媒等を挙げることができる。本明細書においては、LNT触媒という用語は、上記別称で称される各触媒を含む意味で用いる。
0024
第2触媒層42としては、第1触媒層41により浄化されなかった成分を除去するための触媒を備えた触媒層が配置される。例えば、第1触媒層41としてアンモニアを還元剤とするSCR触媒を用いる場合には、アンモニアスリップ触媒(ammonia slip catalyst;ASC)等を第2触媒層42の触媒として用いることが好ましい。ASCは、酸化触媒であり、主に、排ガス温度が低い時に(例えば、200℃未満程度)、アンモニアがSCR触媒をスリップして(すり抜けて)外気中に放出されることを抑制する目的で設置される。ASCにおいて、アンモニアは、窒素や水、NOxに変換される。
0025
また、触媒層40は、さらに、NOx浄化触媒以外の触媒を含んでいてもよい。例えば、ディーゼル酸化触媒(Diesel Oxidation Catalyst:DOC)を含む触媒層や、ディーゼル微粒子捕集フィルタ(Diesel Particulate Filter;DPF)を含んでいてもよい。
0026
DOCは、排気に含まれる粒子状物質(Particulate matter:PM)中の可溶有機成分(Soluble Organic Fraction:SOF)や、排気中のCO及びHCを酸化する触媒である。DOCとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、DOCの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をアルミナやゼオライトに担持した触媒を例示できる。排気管12に配置する場合には、ハニカム構造のアルミナ担体にPt,Pdを担持した形態で用いられることが多い。
0027
DPFは、排気中の粒子状成分を浄化する触媒を備えた粒子捕集フィルタである。DPFとしては、例えば、金属酸化物等の担体と、貴金属または卑金属の活性種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、DPFの代表例としては、Pt,Pd等の貴金属触媒をハニカム構造のアルミナに担持した触媒を例示できる。DPFは、排気中の粒子状物質(Perticulate Matter:PM)をろ過して捕集する。
0028
DPFの別称としては、DPR(Diesel Particulate active Reduction system)、DPD(Diesel Particulate Defuser)、CRT(Continuously Regenerating Trap、または、Continuously Regenerating Technology)、CSF(Catalyzed Soot Filter)等を挙げることができる。本明細書においては、DPFという用語は、上記別称で称される各触媒を含む意味で用いる。
0029
DOCまたはDPFに代えて、NOx吸着(Passive NOx Adsorption:PNA)触媒を配置してもよい。PNA触媒としては、例えば、金属酸化物等の担体と、NOx吸着種とを含む触媒が用いられている。図2に示すように、PNA触媒の具体例としては、LNT触媒に対して、還元剤であるRhを含まない構造を有する触媒を例示できる。
0030
本実施形態では、以下、第1触媒層41として、アンモニアを還元剤とするSCR触媒を用い、第2触媒層42として、ASCを用いた場合を例示して説明する。
0031
オゾン供給装置30は、エアポンプ32と、オゾン生成器33とを備えている。エアポンプ32は、例えば電動ポンプであって、外部から吸入した空気を加圧してオゾン生成器33に送風することができる。エアポンプ32の出口には、空気量センサ35が設けられており、エアポンプ32からオゾン生成器33に送風する空気の流量を検出することができる。
0032
オゾン生成器33は、オゾン供給管31を介して接続されている。オゾン供給管31は、触媒層40の上流側かつ排出NOxセンサ22の下流側となる位置において、排気管12に接続されている。オゾン供給管31の先端には、オゾン供給口37が設けられており、オゾン供給口37は、排気管12の内部に挿入されている。オゾン供給管31には、排気管12からの排気の逆流を抑制する目的で、開閉弁34が設けられている。開閉弁34は、排気管12に対するオゾン供給時には開放され、オゾン供給の停止時には閉鎖される。
0033
オゾン生成器33は、ハウジング内に複数の電極板を備えている。エアポンプ32からオゾン生成器33に供給された空気が複数の電極板の間を通過する際に、複数の電極板間に高電圧が印加されて放電が起こることにより、オゾン(O3)を生成することができる。オゾン生成器33により生成されたオゾンは、オゾン供給管31を介して、オゾン供給口37から排気管12中に供給される。オゾン供給口37は、触媒層40の上流側において排気管12に挿入されており、オゾンは触媒層40の上流側に供給される。
0034
還元剤供給装置60は、インジェクタ61と、タンク62と、還元剤供給管63と、ポンプ64とを備えている。インジェクタ61は、触媒層40およびオゾン供給管31の上流側かつ排出NOxセンサ22の下流側となる位置において、排気管12に接続されている。タンク62には、還元剤を含む液体として、尿素水(尿素水溶液)が貯留されている。還元剤供給管63は、インジェクタ61とタンク62とを接続し、ポンプ64は、還元剤供給管63に設けられている。ポンプ64を駆動することにより、タンク62に貯留された尿素水が還元剤供給管63を通過してインジェクタ61に供給され、インジェクタ61から排気管12内に尿素水を噴射することができる。
0035
インジェクタ61から噴射された尿素水の液滴は壁面に衝突して微細化、もしくは壁面に付着して蒸発した後に、下記式(4)に示す熱分解反応、下記式(5)に示す加水分解により、尿素(CO(NH2)2)からアンモニアへと変化し、第1触媒層41に供給される。
0036
CO(NH2)2→NH3+HNCO … (4)
HNCO+H2O→NH3+CO2 … (5)
0037
第1触媒層41において、SCR触媒により、下記式(6)〜(8)に示す触媒反応が起こる。これによって、NH3を還元剤としてNOxが還元され、窒素(N2)と水(H2O)に変化する。なお、下記式(6)は、Fast反応、式(7)はStandard反応、式(8)はSlow反応と呼ばれる。
0038
NO+NO2+2NH3→2N2+3H2O … (6)
4NO+4NH3+O2→4N2+6H2O … (7)
6NO2+8NH3→7N2+12H2O … (8)
0039
排出NOxセンサ22、触媒温度センサ23、触媒後NOxセンサ24、および空気量センサ35の検出値は、ECU50に出力される。ECU50は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータを主体として構成された電子制御ユニットであり、ROMに記憶された各種の制御プログラムを実行することで、前述した各種センサの検出信号に基づいて、内燃機関20および排気浄化システム10の各種制御を実行する。ECU50は、内燃機関20の燃焼制御を実行する機能を有するとともに、オゾン供給装置30からのオゾン供給量制御、および、還元剤供給装置60からの還元剤供給量制御を実行する制御装置としての機能を有する。
0040
ECU50は、温度情報取得部51と、成分量取得部52と、供給比設定部53と、推定部54と、オゾン量制御部55と、燃焼制御部56と、を備えている。
0041
温度情報取得部51は、触媒層40を構成する各触媒層の温度情報をそれぞれ取得する。温度情報取得部51によって取得された温度情報は、ECU50に記憶されてもよい。各触媒層の温度情報は、各触媒層に設置された温度センサ(例えば、触媒温度センサ23)により検出される温度の検出値であってもよいし、推定値であってもよい。
0042
温度情報取得部51は、第1触媒層41の温度に関連する他のパラメータを温度情報として取得してもよい。第1触媒層41の温度に関連する他のパラメータとしては、例えば、第1触媒層41の昇温開始時からの経過時間、内燃機関20の暖機の完了、内燃機関20の冷却戻り水の水温、内燃機関20の始動時からの燃料消費量、経過時間、走行距離等を挙げることができる。
0043
成分量取得部52は、排気中に含まれる各成分の成分量の検出値または推定値を取得する。成分量取得部52は、内燃機関20から排出される排気中の窒素酸化物量(NOx量)である排出NOx量を取得する。また、触媒層40を通過後の排気中のNOx量である触媒後NOx量を取得する。成分量取得部52は、例えば、排出NOx量および触媒後NOx量として、それぞれ、排出NOxセンサ22によりおよび触媒後NOxセンサ24により検出される排気中のNOx成分量を取得してもよい。成分量取得部52によって取得されたデータは、ECU50に記憶されてもよい。
0044
供給比設定部53は、オゾン量制御部55が第1モードでオゾンを供給する際に用いるパラメータである供給比を設定する。供給比は、成分量取得部52が取得するNOx量に対しての触媒層40に供給するオゾン量の供給比として算出される。例えば、触媒層40に供給されるNOxの物質量をNk1、オゾンの物質量をNk2とすると、物質量比として算出される供給比Kは、下記式(9)により表すことができる。
0045
K=Nk2/Nk1 … (9)
0046
第1モードにおいて、触媒層40にオゾンを供給する際には、その供給比は、物質量比で算出して等倍以上であることが好ましく、3倍以上であることが特に好ましい。すなわち、上記式(9)に示す供給比Kは、K≧1であることが好ましく、K≧3であることが特に好ましい。供給比Kは、ECU50に記憶されていてもよい。
0047
推定部54は、温度情報取得部51、成分量取得部52等により取得された各種データに基づいて、触媒層40の状態に関するパラメータの推定値を算出する。推定部54は、吸着量推定部54aと、成分比推定部54bとを備えている。
0048
吸着量推定部54aでは、排気中のNOx量と、触媒後のNOx量とに基づいて、触媒層40に吸着されたNOx量を推定する。吸着量推定部54aでは、排気浄化システム10の状態ごとに区別して、触媒層40に吸着されたNOx量を推定することができる。例えば、オゾン供給装置30からオゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxの積算値であるオゾン供給時積算吸着量を、オゾンが供給されていない状態で触媒層40に吸着されたNOxの積算吸着量と区別して、推定することができる。また、第1モードと第2モードとを区別して、それぞれNOxの積算吸着量を推定することができる。さらには、各モードにおいて、それぞれ、オゾン供給時積算吸着量を区別して算出することができる。
0049
成分比推定部54bは、成分量取得部52が取得する排出NOx量と、吸着量推定部54aが推定するオゾン供給時積算吸着量とに基づいて、触媒層40内の一酸化窒素(NO)に対する二酸化窒素(NO2)の成分比(NO2/NO)を推定する。例えば、触媒層40におけるNOの物質量をNn1、NO2の物質量をNn2とすると、物質量比として算出される成分比Sは、下記式(10)により表すことができる。
0050
S=Ns2/Ns1 … (10)
0051
触媒層40におけるNOおよびNO2の物質量は、下記式(11)(12)に示すように、触媒層40に供給される排気中に含まれるNO、NO2の物質量Ns11、Ns21と、触媒層40に吸着されたNOx由来のNO、NO2の物質量Ns12、Ns22から推算できる。
0052
Ns1=Ns11+Ns12 … (11)
Ns2=Ns21+Ns22 … (12)
0053
本発明者は、触媒層40としてSCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒が用いられている場合には、触媒層40にオゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増加させられることを新たな知見として見出した。また、オゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、NO2として触媒層40から脱離することを新たな知見として見出した。
0054
まず、オゾンを供給することにより、各触媒におけるNOxの吸着量を増加させられることについて、図3〜図6を参照して説明する。図3は、NOxの吸着/昇温脱離(TPD)試験により得られた、SCR触媒に供給されたNOxの吸着率(%)と、SCR触媒に蓄積するNOx量との関係を示す図である。なお、試料としては、基材がコージェライト、コート材がゼオライト、活性種がCu、FeであるSCR触媒を用いた。また、NOxの吸着時には、試料温度を100℃とし、成分としてNO;100ppm、H2O;3vol%、O2;10vol%、CO2;3vol%を含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)で20分間供給した。NOxの昇温脱離時には、成分としてO2を10vol%含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)を供給し、100℃から550℃まで20分間で昇温した。
0055
図3において、参照番号1は、上記式(9)においてK=1とした場合を示し、参照番号3は、上記式(9)において、K=3とした場合を示し、参照番号5は、オゾンを供給しなかった場合(すなわちK=0)である場合を示す。また、縦軸に示す吸着率Y(%)は、下記式(13)に基づいて算出した。なお、Cniは触媒上流のガス中のNOx濃度を示し、Cnoは触媒下流のガス中のNOx濃度を示す。
0056
Y=100×(Cni−Cno)/Cni … (13)
0057
参照番号5に示すように、オゾン供給を行わない場合では、NOxの吸着率は、ほぼ零であった。これに対し、参照番号1,3に示すように、オゾン供給を行った場合には、SCR触媒に供給比K=1でオゾン供給を行うことにより、SCR触媒におけるNOx吸着率を40〜50%まで向上させることができた。さらに、SCR触媒に供給比K=3でオゾン供給を行うことにより、SCR触媒におけるNOx吸着率を90%以上まで向上させることができた。すなわち、図3に示すように、オゾンを供給しない場合には、NOx浄化率が殆ど零であるSCR触媒に対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが、本発明者により新たな知見として見出された。
0058
また、図4は、試料として、基材がコージェライト、コート材がアルミナ、活性種がPt、PdであるDOCを用い、同様にNOxの吸着/昇温脱離試験を行うことにより得られた試験結果を示す図である。図3において、参照番号4は、上記式(9)において、K=3とした場合を示し、参照番号2は、オゾンを供給しなかった場合(すなわちK=0)である場合を示す。
0059
参照番号2に示すように、オゾン供給を行わない場合では、NOxの吸着率は、ほぼ零であった。これに対し、参照番号4に示すように、DOCに供給比K=3でオゾン供給を行うことにより、DOCにおけるNOx吸着率を80%以上まで向上させることができた。すなわち、図4に示すように、オゾンを供給しない場合には、NOx浄化率が殆ど零であるDOCに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが、本発明者により新たな知見として見出された。
0060
供給比K=1とした場合には、排気中のNOxの物質量の全量に対して等倍のオゾンが供給されるため、下記式(14)に示す反応により、オゾンによって排気中のNOx中の一酸化炭素(NO)を二酸化炭素(NO2)に酸化させるためには十分な供給量であると推察される。しかしながら、図3に示すように、SCR触媒においては、供給比K=1ではNOx吸着率は40〜50%であり、供給比K=3にした場合に、NOx吸着率を100%に近い値まで高くすることができることが、下記式(14)からは予測し得ない新たな知見として見出された。また、図4に示すように、DOCにおいても、供給比K=3にした場合に、NOx吸着率を80%以上に高くすることができることが、新たな知見として見出された。
0061
NO+O3→NO2+O2 … (14)
0062
図3,4に示すように、オゾン供給モードにおいて、NOx吸着率を確保するためには、触媒層40にオゾンを供給する際の供給比は、物質量比で算出して等倍以上に設定されることが好ましく、3倍以上に設定されることが特に好ましい。すなわち、NOx吸着率を確保するためには、上記式(9)に示す供給比Kを、K≧1の範囲で設定することが好ましく、K≧3の範囲で設定することが特に好ましい。また、供給比Kが、等倍〜3倍程度の範囲内では、供給比Kの増加に伴いNOx吸着率が向上していることから、供給するオゾン量に対して、効率よくNOx吸着率を向上させるためには、供給比Kは、等倍〜3倍程度の範囲内で設定されることが好ましい。すなわち、供給するオゾン量に対して効率よくNOx吸着率を向上させるためには、上記式(9)に示す供給比Kを、1≦K≦3の範囲で設定することが好ましい。供給比Kは、ECU50に記憶されていてもよい。
0063
供給比Kが等倍〜3倍程度の範囲内において、供給比Kの増加に伴いNOx吸着率が向上する理由は、下記式(15)に示す反応により三酸化窒素(NO3)が生成し、SCR触媒、DOCの担体として用いられるアルミナ等の金属酸化物に吸着されたためであると推察される。等倍を超える供給比Kでオゾンを供給することにより、下記式(15)に示す反応が促進され、NO3の生成が促進される。NO3は、NO2よりもさらに酸性度が高いため、金属酸化物に吸着され易い。このため、NO3の生成を促進することにより、NOx吸着種として用いられる塩基性が高い金属酸化物(例えば酸化バリウム;BaO)と比較して塩基性が低い金属酸化物(例えば、アルミナ)によって吸着され易くなり、NOx浄化率を向上させられることができたと推察される。
0064
NO2+O3→NO3+O2 … (15)
0065
アルミナ等の金属酸化物のNOx吸着能に対するオゾン供給の影響について、さらに実験により検証した。図5は、試料として、コート材に組成として含まれるアルミナを用い、同様にNOxの吸着/昇温脱離試験を行うことにより得られた試験結果を示す図である。図5は、上記式(9)において、K=3とした場合を示している。アルミナに供給比K=3でオゾン供給を行った場合にも、NOx吸着率を80%以上まで向上させることができた。図4の結果から、NOx浄化率が殆ど零であるアルミナに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができることが明らかとなった。
0066
図6は、基材がコージェライト、コート材がアルミナ、Pt,Pd,Rh等の貴金属種と、NOx吸着種としてのBaであるLNT触媒の表面を顕微FT−IR(フーリエ変換分光)イメージング法により分析した結果を示す図である。顕微FT−IRイメージング法とは、二次元アレイ(Focal Plane Array;FPA)検出器を用いて、2次元測定を行い、化合物に特徴的な官能基の分布などを可視化する手法である。図6(a)は、オゾンを供給しない場合を示しており、図6(b)は、オゾンを供給した場合を示している。図6においては、分かり易くするため、Baの存在領域(丸で囲われた領域)およびアルミナの存在領域を表示している。
0067
図6(a)に示すように、オゾンを供給しなかった場合には、Baの存在領域においてはNOxが吸着されている一方で、アルミナの存在領域においては、NOxが殆ど吸着されていなかった。これに対し、図6(b)に示すように、オゾンを供給した場合には、アルミナの存在領域においても、NOxが吸着されていた。図6に示す結果から、アルミナは、オゾンを供給しない場合にはNOxをあまり吸着しない一方で、オゾンを供給することにより、NOxの吸着量が増大することが明らかとなった。
0068
図5,6の実験結果から、オゾンを供給することにより、SCR触媒、DOCのNOx吸着能が向上する効果は、担体に含まれるアルミナに代表される金属酸化物のNOx吸着能が向上するためであることが明らかとなった。また、図6に示すように、NOx吸着種として用いられるBaOにおいても、オゾンを供給することにより、NOxの吸着能がより向上することが明らかとなった。この結果より、SCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において一般に担体等として用いられる金属酸化物において、上記式(14)に示す反応を促進させるために十分なオゾン量を供給することにより、排気中のNOxの浄化率を向上させる効果が得られることが明らかとなった。
0069
特に、NOx吸着種として用いられる塩基性が高い金属酸化物と比較して塩基性が低く、NO2の吸着能があまり高くない金属酸化物において、上記式(15)に示す反応を促進させるために十分なオゾン量を供給することによって、より顕著にNOxの吸着能を向上させることができることが明らかとなった。このような塩基性が比較的低い金属酸化物の具体例としては、アルミナ、チタニア、ジルコニア等を例示することができる。アルミナ、チタニア、ジルコニア等の塩基性が比較的低い金属酸化物、および、この酸化物を組成として含む複合金属酸化物やセラミックス(例えば、コージェライト、ゼオライト、セリア/ジルコニア等)を含むSCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において、上述のオゾン供給によりNOx吸着量を向上させる効果と、その結果として得られるNOx浄化率を向上させる効果とを顕著に得ることができる。
0070
次に、オゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、NO2として触媒層40から脱離することについて、図7および図8を参照して説明する。図7は、SCR触媒を試料としてNOxの吸着/昇温脱離(TPD)試験を行った結果である。各図において横軸は触媒温度であり、縦軸は、図7(a)はNOxの脱着量を示し、図7(b)はNOの脱着量を示し、図7(c)はNO2の脱着量を示している。参照番号1は、オゾンを供給しない状態でSCR触媒にNOxを吸着させた場合を示し、参照番号3は、オゾンを供給している状態でSCR触媒にNOxを吸着させた場合を示している。なお、試料としては、基材がコージェライト、コート材がゼオライト、活性種がCu、FeであるSCR触媒を用いた。また、NOxの吸着時には、試料温度を100℃とし、成分としてNO;100ppm、H2O;3vol%、O2;10vol%、CO2;3vol%を含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)で20分間供給した。NOxの昇温脱離時には、成分としてO2を10vol%含むN2バランスの供給ガスを空間速度SV;47000(1/h)を供給し、100℃から550℃まで20分間で昇温した。また、オゾン供給時の供給比Kは、K=3であった。
0071
図7(a)に示すように、オゾンを供給しない場合には、SCR触媒から脱着するNOxは殆ど零であるのに対し、オゾンを供給した場合には、SCR触媒からNOxの脱着が検出された。この結果は、オゾンを供給しない状態では、NOxを殆ど吸着しないSCR触媒であっても、オゾンを供給している状態では、NOxを吸着することができたことを示している。
0072
図7(b)(c)に示すように、オゾンの供給の有無に関わらず、SCR触媒から脱着するNOは殆ど零であるのに対し、オゾンを供給した場合には、SCR触媒からNO2が脱着することが分かった。なお、図7(a)に示すNOxの脱着量と、図7(c)に示すNO2の脱着量とは、物質量に換算してほぼ同等であった。図7に示すように、触媒層40としてSCR触媒や三元触媒が用いられている場合には、オゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、NO2として触媒層40から脱離することが新たな知見として見出された。
0073
また、図8は、試料として、基材がコージェライト、コート材がアルミナ、活性種がPt、PdであるDOCを用い、同様にNOxの吸着/昇温脱離試験を行うことにより得られた結果を示す。図7と同様に、各図において横軸は触媒温度であり、縦軸は、図8(a)はNOxの脱着量を示し、図8(b)はNOの脱着量を示し、図8(c)はNO2の脱着量を示している。参照番号2は、オゾンを供給しない状態でSCR触媒にNOxを吸着させた場合を示し、参照番号4は、オゾンを供給している状態でSCR触媒にNOxを吸着させた場合を示している。
0074
図8(a)〜(c)に示すように、DOCを試料として用いた場合にも、SCR触媒と同様の結果が得られた。すなわち、オゾンを供給しない場合には、DOCから脱着するNOxは殆ど零であるのに対し、オゾンを供給した場合には、DOCからNOxの脱着が検出された。また、オゾンの供給の有無に関わらず、DOCから脱着するNOは殆ど零であるのに対し、オゾンを供給した場合には、DOCからNO2が脱着することが分かった。さらには、図8(a)に示すNOxの脱着量と、図8(c)に示すNO2の脱着量とは、物質量に換算してほぼ同等であった。
0075
図3〜6に示すように、オゾンを供給することにより、排気中のNOxをNO3に変化させる反応が促進され、このNO3が、SCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において一般に担体として用いられる金属酸化物に吸着されることが明らかになった。そして、図7および図8に示すように、SCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒において金属酸化物に吸着されたNO3は、NO2として触媒層40から脱離することが明らかになった。すなわち、オゾンが供給されている状態でSCR触媒、三元触媒、DOC,DPF、LNT触媒、PNA触媒に吸着されたNOxは、触媒層40から脱着する際には、NO2として脱着するという新たな知見が見出された。
0076
上記に説明した知見を用いて、成分比推定部54bは、成分比(NO2/NO)の推定に際して、オゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、NO2として触媒層40から脱離すると見なすように構成されている。具体的には、例えば、上記式(11)(12)において、触媒層40に吸着されたNOx由来のNOの物質量Ns12を零と見なし、NO2の物質量Ns22を、吸着量推定部54aが推定したオゾン供給時積算吸着量を物質量に換算した値に等しいと見なして、Ns1およびNs2を算出する。これによって、SCR触媒等に一旦吸着されたNOxが脱着することも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)を算出することができる。
0077
オゾン量制御部55は、オゾン供給装置30から触媒層40に供給されるオゾン量を制御する。排気管12にオゾン供給を行う場合には、オゾン生成器33において放電板に電圧が印加され、オゾンが生成される。オゾンが生成される状態下で、エアポンプ32が駆動され、かつ開閉弁34が開放されることにより、オゾン生成器33を通過する空気と共にオゾンが排気管12内に流入する。
0078
オゾン量制御部55は、エアポンプ32が送風する空気量と、放電板に印加する電圧とを制御することにより、オゾン量を制御する。エアポンプ32が送風する空気量は、空気量センサ35の検知値に基づいて、エアポンプ32を制御することにより調整できる。また、オゾン生成器33におけるオゾンの生成を停止したり、開閉弁34を閉止したりする制御により、触媒層40へのオゾンの供給を停止することができる。
0079
オゾン量制御部55は、第1触媒層41の温度情報に基づいて、第1モードと第2モードとを切り替えて、オゾン供給装置30を制御する。オゾン量制御部55は、第1触媒層41の温度情報が、第1触媒層41の温度が所定の温度閾値未満であることを示す状態である場合に、第1モードでオゾン供給装置30を制御する。すなわち、供給比Kに基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。
0080
オゾン量制御部55は、第1触媒層41の温度情報が、第1触媒層41の温度が所定の温度閾値以上であることを示す状態である場合に、第2モードでオゾン供給装置30を制御する。すなわち、成分比Sに基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。
0081
なお、温度閾値は、例えば、触媒層40に含まれる所定の触媒の活性温度TAに設定することができる。より具体的には、第1触媒層41に配置されるSCR触媒もしくは三元触媒の活性温度TAに設定してもよい。
0082
なお、活性温度TAとは、触媒のNOx浄化能力(触媒の有する最大浄化能力を100%とする指標)が高確率(例えば90%程度)となる温度である。図9に示すように、SCR触媒や三元触媒においては、触媒温度がT1程度までの低温域では触媒活性が殆ど無い。そして、低温域から触媒温度が上昇するに際し、触媒温度T1〜T2に示す中温域において、触媒活性が著しく上昇して高確率に達する。そして、触媒温度がT2に達した後の高温域において、触媒活性は略一定となる。例えば、触媒活性の著しい上昇が完了した触媒温度T2を活性温度TAとして用いることができる。
0083
第1モードは、触媒層40のNOx浄化触媒における反応活性が低い温度範囲で実行される。具体的には、第1モードは、NOxの還元反応が殆ど起こらない、触媒温度がT1程度までの低温域と、NOxの還元反応における触媒活性が十分に高くない、触媒温度がT1〜T2程度までの中温域において実行される。このため、第1モードは、主にNOxを触媒層40のSCR触媒に吸着させることによって、NOxの浄化率を確保する。
0084
NOxを吸着して浄化するために、第1モードでは、オゾン量制御部55は、算出した供給比Kとなるように、触媒層40に供給されるNOx量やオゾン量を制御する。第1モードにおいては、触媒層40に供給されるNOxに含まれるNO,NO2の成分比を考慮することなく、NOx全体の成分量と、オゾン量との供給比を調整する。
0085
第1モードにおいては、吸着量推定部54aが推定する、触媒層40における積算吸着量が所定の吸着量閾値以下である場合に、触媒層40へのオゾンの供給を行うことを決定するようにしてもよい。具体的には、例えば、NOx吸着率の目標値Y1を設定し、NOx吸着率がY1以上となるNOx量の最大値を吸着量閾値X1として設定する。そして、積算吸着量が吸着量閾値X1以下である場合に、オゾンの供給を許可する。これによって、NOx吸着率がY1以上である範囲において、オゾンの供給を行うように制御することができる。
0086
第2モードは、触媒層40のNOx浄化触媒における反応活性が高い温度範囲で実行される。このため、第2モードは、主にNOxを触媒層40のSCR触媒により還元することによって、NOxの浄化率を確保する。
0087
NOxを還元して浄化するために、第2モードでは、オゾン量制御部55は、成分比Sに基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。具体的には、目標となる成分比Stを設定し、成分比Sが目標成分比Stとなるように、オゾンを供給する量を決定する。目標成分比Stとするための触媒層40に供給される排気中のNO,NO2の物質量である目標物質量をNst11、Nst21とすると、目標物質量Nst11、Nst21は、下記式(16)から算出できる。
0088
St=(Nst21+Ns22)/Nst11 … (16)
0089
下記式(17)に示すように、排気中に供給したオゾン量と同じ物質量だけ、NOがNO2に変化する。従って、内燃機関20から排出される排気中のNO,NO2の物質量比が、オゾンを供給することにより目標物質量比Nst21/Nst11となるように、オゾン量を制御する。
0090
NO+O3→NO2+O2 … (17)
0091
目標成分比Stは、触媒層40において目標とするNOxの浄化率に基づいて設定することができる。例えば、予め実験やシミュレーションを行う等により、触媒層40における成分比Sと、触媒層40におけるNOx浄化率との関係を調べ、目標NOx浄化率に対して目標成分比Stを設定してもよい。予め調べたNOx浄化率と目標成分比Stとの関係は、データテーブルや数式としてECU50に予め記憶されていてもよい。
0092
SCR触媒や三元触媒を用いてNOxを還元して浄化する場合には、上記式(6)に示すfast反応が主反応となるようにすることにより、NOxを速やかに効率よく浄化できる。fast反応では、NOとNO2の量論比は1であるため、目標成分比Stは、1程度となるように制御することが好ましい。
0093
または、fast反応を主反応とし、かつ、上記式(8)に示すslow反応を抑制する観点から、NO2の物質量がNOを超えないように制御してもよい。すなわち、目標成分比StをSt≦1となる条件下で、できるだけ1に近い値に制御するようにしてもよい。
0094
例えば、特許文献1のように、SCR触媒におけるNOxの還元反応を促進する目的で、上記式(6)に示すFast反応が主反応となるように、SCR触媒の上流側で排気中にオゾンを供給する技術が知られている。この技術では、SCR触媒に供給される排気中のNOx中の成分比(NO2/NO)が物質量比において1となるように、オゾンの供給量を制御する。具体的には、オゾンを供給することにより、上記式(17)に示す反応によりNOをNO2に変化させ、成分比(NO2/NO)を物質量比で1に制御する。このため、オゾン供給量は、NO2に変化させたいNOの物質量に等しくなるように制御される。例えば、排気中のNO2、NOの物質量を個別に検出または推定し、成分比(NO2/NO)が物質量比において1となるように、供給するオゾン量を算出し、制御する。
0095
また、オゾンは、SCR触媒等におけるNOxの還元反応を促進する目的で供給されるため、中温域において供給される。低温域では、触媒層40においてNOx還元反応が殆ど起こらないため、SCR触媒に供給される排気中の成分比(NO2/NO)を物質量比において1に制御しても、SCR触媒におけるNOx還元反応を促進する効果が殆ど得られない。このため、従来のように、SCR触媒等におけるNOxの還元反応を促進する目的でオゾンを供給する場合には、低温域においては、オゾンは供給されない。
0096
これに対し、本実施形態に係る第1モードでは、触媒層40におけるNOx還元反応を促進する目的ではなく、触媒層40にNOxを吸着させる目的で、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。このため、供給比設定部53は、触媒層40において吸着させたいNOxの総量に基づいて供給するオゾン量を算出するように構成されており、その内訳であるNO2、NOの個別の物質量の検出値または推定値を取得する必要がない。また、触媒層40にNOxを吸着させる目的でオゾン供給量を制御するため、供給比設定部53およびオゾン量制御部55は、従来のように中温域だけではなく、触媒活性が殆ど得られない低温域においても、触媒層40にオゾンを供給するように構成されている。
0097
また、本実施形態に係る第2モードでは、オゾンを供給することにより、上記式(17)に示す反応によりNOをNO2に変化させ、成分比(NO2/NO)を制御する点においては、特許文献1と共通している。しかしながら、本実施形態に係る第2モードでは、低温域または中温域において触媒層40に一旦吸着されたNOxが脱着することも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)が適切な値となるように、オゾン量を制御できる点において、特許文献1と相違している。本実施形態によれば、第1モードにおいて、オゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOx(より具体的にはNO3)は、第2モードにおいて、触媒層40から脱着する際には、NO2として脱着するという新たな知見に基づいて、第2モードで実行されるNOxの選択的還元反応の反応場における成分比(NO2/NO)を、より適正に制御できるという特許文献1からは予期し得ない顕著な効果を得ることができる。
0098
燃焼制御部56は、内燃機関20の燃焼状態を制御する。燃焼制御部56は、排出NOxセンサ22の検出値に基づいて、内燃機関20に供給する燃料や空気の量やタイミング等を制御することにより、排気中のNOx量を制御することができる。
0099
なお、オゾン量制御部55は、後述する燃焼制御部56に制御指令を実行して内燃機関20等を制御することにより、内燃機関20から排出される排気中のNOx量や、NOとNO2との成分比を制御可能であってもよい。すなわち、供給比や成分比を制御するために内燃機関20の運転状態が制御されてもよい。
0101
ステップS101では、内燃機関20からの排気中に含まれるNOx量を取得する。例えば、排出NOxセンサ22により検出された排気中のNOx濃度である排出NOx量CnbをNOx量として取得する。
0102
次に、ステップS102では、内燃機関20からの排気中に含まれるNOとNO2の成分比である排出NOx成分比Rbを算出する。具体的には、例えば、ECU50は、内燃機関20の温度や空燃比等の運転状態に基づいて、排出NOx成分比Rbを算出することができる。また、例えば、排出NOxセンサ22が、NO成分量とNO2成分量とをそれぞれ検出可能なセンサである場合には、検出値に基づいて、排出NOx成分比Rbを算出してもよい。
0103
次に、ステップS103では、触媒層40の触媒温度Tcatを取得する。例えば、触媒温度センサ23により検出された第1触媒層41の温度Tcat1を取得する。
0104
次に、ステップS104では、触媒温度Tcatが温度閾値として用いられる活性温度TA以上であるか否かを判定する。この場合、活性温度TAは、第1触媒層41に用いられるSCR触媒のNOx還元反応についての活性温度である。Tcat<TAである場合には、ステップS105に進み、第1モードを選択する。第1モードは、NOxを触媒層40に吸着させて浄化することを想定した吸着促進モードであり、ステップS106〜ステップS113に示す処理を実行する。他方、Tact≧TAである場合には、ステップS120に進み、第2モードを選択する。第2モードは、NOxを触媒層40において還元して浄化することを想定した還元促進モードであり、ステップS121〜S129に示す処理を実行する。
0105
第1モードでは、まず、ステップS106において、触媒層40の出口側において検出したNOx量を取得する。例えば、触媒後NOxセンサ24により検出された排気中のNOx濃度である触媒後NOx量CnaをNOx量として取得する。その後、ステップS107に進む。
0106
ステップS107では、ステップS101およびステップS106において取得した、排出NOx量Cnbおよび触媒後NOx量Cnaに基づいて、第1触媒層41に吸着されているNOx量、すなわち、積算吸着量Accを算出する。
0107
ステップS108では、積算吸着量Accが所定の吸着量閾値X1以下であるか否かを判定する。吸着量閾値X1は、触媒層40のNOx吸着率を目標値Y1以上にすることができるNOx吸着量として設定された閾値である。Acc≦X1である場合には、ステップS110に進む。Acc>X1である場合には、ステップS113に進み、オゾンを供給しないことを決定し、処理を終了する。すなわち、オゾンを供給している場合には、供給を停止し、オゾンを供給していない場合には、オゾンの供給を行わない。
0108
ステップS109では、上記式(9)によって示される、供給比Kを取得する。供給比Kは、ECU50に予め記憶されており、ステップS109においてECU50から読み出される。その後、ステップS110に進む。
0109
ステップS110では、触媒層40に供給するオゾン量の制御目標値を算出する。具体的には、ステップS109において取得した供給比Kと、排出NOx量Cnbとを上記式(9)に適用し、制御目標値として、触媒層40に供給するオゾン量Coを算出する。供給比Kが3である場合には、触媒層40に供給されるオゾンの物質量は、内燃機関20から排出され触媒層40に供給されるNOxの物質量の3倍の値に算出される。その後、ステップS112に進む。
0110
ステップS112では、触媒層40に供給するオゾン量を、ステップS110において算出した制御目標値であるオゾン量Coに制御する。例えば、オゾン供給管31から供給されるオゾン量がCoとなるように、オゾン供給装置30が制御される。触媒層40に流入する排気中のNOxの物質量の3倍に相当するオゾンを触媒層40に供給することにより、第1触媒層41においてNOxの還元反応が殆ど起こらない場合であっても、排気中のNOxの約90%以上を除去することができる。
0111
第2モードでは、まず、ステップS122において、触媒層40の出口側において検出したNOx量を取得する。例えば、触媒後NOxセンサ24により検出された排気中のNOx濃度である触媒後NOx量CnaをNOx量として取得する。その後、ステップS123に進む。
0112
ステップS123では、ステップS101およびステップS122において取得した、排出NOx量Cnbおよび触媒後NOx量Cnaに基づいて、第1触媒層41に吸着されているNOx量、すなわち、積算吸着量Accを算出する。ステップS123において算出される積算吸着量Accは、第1モードにおいてオゾンが供給されている状態で吸着されたNOxのうち、脱着されずに触媒層40に留まっているNOxである。
0113
次に、ステップS124では、NO2の脱着量Dを算出する。第1モードの実行時にオゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、第2モードの実行時にNO2として触媒層40から脱離すると見なして成分比(NO2/NO)を推定する。このため、脱着量Dは、直前の周期で算出されたAcc(直前)と、現周期のステップS123で算出されたAcc(現)との差により、算出することができる。ステップS123において算出される積算吸着量Accは、第1モードにおいてオゾンが供給されている状態で吸着されたNOx量であるため、物質量でDおよびAccを換算した場合、下記式(18)に基づいて脱着量Dを算出できる。
0114
D=Acc(直前)−Acc(現) … (18)
0115
次に、ステップS125では、ステップS101において取得した排出NOx量Cnbと、ステップS102において算出した排出NOx成分比Rbと、ステップS124において算出した脱着量Dから、上記式(10)〜(12)に基づいて、触媒層40における成分比Sを算出する。ステップS125において算出される成分比Sは、内燃機関20から排出された排気が、オゾンの供給を受けずに触媒層40に供給された場合の触媒層40におけるNOとNO2との成分比Sに相当する。
0116
次に、ステップS127では、ECU50に記憶された目標成分比Stを取得する。目標成分比Stは、触媒層40におけるNOx浄化率の目標値に対応する値として、データテーブル化されてECU50に予め記憶されている。触媒層40における成分比(NO2/NO)を目標成分比Stに制御することにより、触媒層40におけるNOx浄化率を目標値に調整することができる。
0117
次に、ステップS128では、触媒層40に供給するオゾン量の制御目標値を算出する。具体的には、ステップS125において算出した成分比Sと、ステップS127において取得した目標成分比Stと、ステップS101において取得した排出NOx量Cnbと、S102において算出した排出NOx成分比Rbとに基づいて、内燃機関20から排出された排気において、上記式(17)の反応によりNO2に変換するNOの物質量を算出する。そして、NO2に変換するNOの物質量と等しい物質量のオゾンをオゾン量Coとして算出する。これにより、成分比Sが目標成分比Stとなるように、触媒層40に供給するオゾン量Coを算出することができる。その後、ステップS129に進む。
0118
ステップS129では、触媒層40に供給するオゾン量を、ステップS128において算出した制御目標値であるオゾン量Coに制御する。例えば、オゾン供給管31から供給されるオゾン量がCoとなるように、オゾン供給装置30が制御される。これにより、触媒層40おける成分比Sを目標成分比Stに制御することができる。目標成分比Stに制御することによって、触媒層40において所望のNOx浄化率を達成することができる。
0119
上記のとおり、排気浄化システム10によれば、触媒層40の温度Tcatが、SCR触媒の活性温度TA以上である場合には、第2モードを実行できる。触媒層40の温度Tcatが活性温度TAよりも高く、触媒層40に含まれるSCR触媒または三元触媒が、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られる状態である場合には、第2モードによって、触媒層40におけるNO2とNOとの成分比Sに基づいて、供給するオゾン量が制御される。このため、触媒層40におけるNOxの還元反応を増大させ、所望のNOx浄化率を達成することができる。例えば、fast反応が主反応となるような目標成分比Stに制御することにより、NOxの還元反応を速く進行させることができ、高いNOx浄化率を確保することができる。
0120
また、排気浄化システム10によれば、触媒層40の温度Tcatが、SCR触媒の活性温度TAよりも低い場合には、第1モードを実行できる。触媒層40の温度Tcatが活性温度TAよりも低く、触媒層40に含まれるSCR触媒または三元触媒の状態が、NOx還元反応に係る触媒活性を十分に得られない場合には、第1モードによって、オゾン供給装置30から触媒層40にオゾンを供給する。さらには、供給するオゾン量は、SCR触媒におけるNOx浄化率に基づいて設定された供給比Kを用いて算出される。このため、各触媒におけるNOxの吸着量を増大させ、所望のNOx浄化率を達成することができる。その結果、触媒層40の温度Tcatが活性温度TAよりも低い場合においても、NOx量を低減する能力を確保することができる。
0121
なお、図10においては、ステップS104に示すように、触媒温度センサ23によって検出される触媒層40の温度Tcatによって第1モードと第2モードとの切替を実行したが、触媒温度に関連する他のパラメータに基づいて、第1モードと第2モードとを切り替えてもよい。具体的には、例えば、触媒層40の昇温開始からの経過時間Jが、所定の時間閾値Xj未満である場合に第1モードを選択し、経過時間Jが時間閾値Xj以上である場合に第2モードを選択するようにしてもよい。この場合、時間閾値Xjは、例えば、触媒層40が活性温度TAに到達する時間を設定することが好ましい。または、例えば、内燃機関20の暖機が完了していない場合に第1モードを選択し、暖機が完了している場合に第2モードを選択するようにしてもよい。内燃機関20の暖機が完了しているか否かの判定は、内燃機関20の温度の検出値や推算値、内燃機関20の運転開始からの経過時間等により判定してもよい。
0122
(変形例)
排気浄化システム10においては、排気管12にインジェクタ61およびオゾン供給管31を設置する位置は、図1に示す位置に限定されない。例えば、図11に示すように、図1とは逆に、インジェクタ61をオゾン供給管31よりも上流側に配置してもよい。
0123
また、例えば、触媒層40を構成する各触媒層は、複数の触媒層に分割されていてもよい。具体的には、図12に示すように、第1触媒層41は、配管12mにより分離された複数の分割触媒層41a、41bに分割されていてもよい。この場合、分割触媒層41a,41bのそれぞれに、触媒温度センサ23a,23b、その上流側に還元剤を注入するインジェクタ61a,61b、オゾンを供給するオゾン供給管31a,31bが備えられていてもよい。また、配管12mにおける排気中のNOx量を検出する中間NOxセンサ25が備えられていてもよい。中間NOxセンサ25により検出されるNOx量は、分割触媒層41aの触媒後NOx量であるとともに、分割触媒層41bに供給されるNOx量である。
0124
図13に、分割触媒層41a、41bおよび第2触媒層42に配置される触媒と、オゾンおよび還元剤の供給位置を例示する。図13(a)〜(c)では、分割触媒層41a、41bにはSCR触媒を含む触媒層が配置されており、第2触媒層42にはASCを含む触媒層が配置されている。
0125
図13(a)〜(c)に示すように、還元剤の供給は、分割触媒層41a,41bの双方において、その上流側に行われることが好ましい。分割触媒層41a、41bの双方に配置されたSCR触媒に、それぞれ還元剤を適切に供給することができる。その結果、SCR触媒における選択的還元反応を適切に進行させてNOx量を低減することができる。
0126
オゾンの供給は、図13(a)に示すように、分割触媒層41aの上流のみに供給してもよい。もしくは、図13(b)に示すように、分割触媒層41bの上流のみに供給してもよい。もしくは、図13(c)に示すように、分割触媒層41a,41bの双方において、その上流側に供給してもよい。分割触媒層41a,41bに供給するオゾン量は、分割触媒層41a,41bに配置された触媒層における触媒温度や、算出された積算吸着量Acc等に基づいて制御されることが好ましい。
0127
例えば、図13(c)に示すように、分割触媒層41a,41bのそれぞれの上流にオゾン供給管31a,31bが設けられている場合には、分割触媒層41a、41bのそれぞれの温度情報や、排出NOxセンサ22、中間NOxセンサ25、触媒後NOxセンサ24の検出値等に基づいて、オゾン供給管31aから供給するオゾン量と、オゾン供給管31bから供給するオゾン量とをそれぞれ算出することが好ましい。例えば、分割触媒層41bのように、その上流側に他の触媒層を備えた触媒層においては、排出NOxセンサ22が検出する排出NOx量、分割触媒層41aにおけるNOx浄化率等に基づいて、分割触媒層41bに供給される排気中に含まれるNO、NO2の物質量を算出し、上記式(10)〜(12),(16)に適用して、分割触媒層41bに供給するオゾン量を算出することができる。
0128
図12および図13に示す構成において第2モードを実行する場合には、オゾン供給管31aから供給されるオゾン量は、分割触媒層41aにおける成分比Sおよび目標成分比Stに基づいて制御されることが好ましい。また、オゾン供給管31bから供給されるオゾン量は、分割触媒層41bにおける成分比Sおよび目標成分比Stに基づいて制御されることが好ましい。
0129
第1触媒層41は、SCR触媒または三元触媒に加えて、LNT触媒等と称されるNOx吸蔵還元型の触媒を含んでいてもよい。例えば、図12に示す分割触媒層41aにLNT触媒を備えていてもよい。この場合、触媒層40は、例えば図14に示す構成となる。図14では、第1触媒層41として、上流側の分割触媒層41aにLNT触媒を備える触媒層が配置され、下流側の分割触媒層41bにSCR触媒を備える触媒層が配置され、第2触媒層42にASCを備える触媒層が配置されている。
0130
この場合、分割触媒層41aの下流かつ分割触媒層41bの上流にインジェクタ61およびオゾン供給管31を配置することが好ましい。分割触媒層41bの入口にSCR触媒にオゾンおよび還元剤を供給することにより、SCR触媒におけるNOx吸着量を向上させるとともに、SCR触媒における選択的還元反応を進行させてNOx量を低減することができる。図14の構成においては、さらに、分割触媒層41aの上流にもオゾンを供給可能に構成されていてもよい。
0131
(第2実施形態)
例えば、図15に示すように、第1触媒層41よりも上流側に第3触媒層43を備えており、第3触媒層43に、NOx浄化機能を有さない触媒を備えた触媒層を配置してもよい。第3触媒層43には、例えば、DOCを含む触媒層や、DPFを配置することが好ましい。
0132
DOCによれば、下記式(19)〜(21)に示す触媒反応により、排気中の炭化水素(HC)、CO、NOが酸化される。
0133
HC+O2→H2O+CO2 … (19)
2CO+O2→2CO2 … (20)
2NO+O2→2NO2 … (21)
0134
DPFによれば、下記式(22)に示す触媒反応により、排気中の炭素(C)が酸化される。さらには、DPFは、上記式(10)に示す触媒反応に活性を有する触媒が用いられることもある。上記式(21)の反応を促進させてNO2を生成することにより、下記式(22)に示す触媒反応を促進することができる。
0135
C+2NO2→CO2+2NO … (22)
0136
DOCおよびDPFは、SCR触媒や三元触媒と同様に、NOxを吸蔵する必要が無いため、必ずしもNOx吸着量が高くなるようには調製されない。このため、DOCおよびDPFは、一般に、LNT触媒等のNOx吸蔵還元型のNOx浄化触媒よりも、NOxの吸着量が低い。また、SCR触媒や三元触媒と同様に、NOx浄化率が殆ど零であるDOCやDPFに対して、オゾンを供給することによってNOx浄化率を向上させることができる。そして、また、オゾンを供給している状態でDOCやDPFに吸着されたNOxの殆どがNO2として脱着される。
0137
触媒層40が第3触媒層43を備える場合には、触媒層40は、例えば図15に示す構成となる。図15では、第3触媒層43としてDOCまたはDPFを含む触媒層が配置され、第1触媒層41としてSCR触媒を備える触媒層が配置され、第2触媒層42としてASCを備える触媒層が配置されている。オゾン供給管31は、図15(a)に示すように第3触媒層43の上流かつ排出NOxセンサ22の下流に設けられていてもよいし、図15(b)に示すように、第3触媒層43の下流かつ第1触媒層41の上流に位置する配管12mに設けられていてもよい。さらには、図15(c)に示すように第1触媒層41の上流の配管12mにオゾン供給管31が設けられており、第3触媒層43の上流にオゾン供給管31cが設けられていてもよい。
0138
図15(a)または(c)に示す触媒層40の構成においては、図16(a)に示すように、第3触媒層43の上流にオゾンを供給することができる。第3触媒層43の入口からDOCにオゾンを供給することにより、DOCにおけるNOx吸着量を向上させることができる。オゾン量が十分である場合には、その下流側の第1触媒層41にもオゾンが供給され、SCR触媒におけるNOx吸着量をも向上させることができる。さらには、図16(b)に示すように、オゾン供給管31cと、オゾン供給管31との双方からオゾンを供給してもよい。この場合、オゾン供給管31cから供給するオゾン量は、第3触媒層43の温度情報等により制御し、オゾン供給管31から供給するオゾン量は、第1触媒層41の温度情報等により制御するようにしてもよい。
0139
また、インジェクタ61は、第1触媒層41の上流に配置することが好ましい。第1触媒層41の入口からSCR触媒に還元剤を供給することにより、SCR触媒における選択的還元反応を進行させてNOx量を低減することができる。
0140
第3触媒層43にオゾンを供給する場合には、供給比設定部53は、図18に示すように、第1触媒層41の温度情報に基づいて第1モードと第2モードとを切換えてもよい。図18は、図15(c)および図16(b)に係るシステムにおける排気浄化制御処理のフローチャートである。図18では、ステップS211およびS221において、DOCを備える第3触媒層43にオゾンを供給するか否かについて判定するステップを含む点において、図10に示す処理と相違している。図18に示すステップS201〜S210,S212,S213,S220,S222〜S229の処理は、図10に示すステップS101〜S110,S112,S113,S120,S122〜S129の処理と同様であるため、説明を省略する。
0141
第1モードでは、DOCにNOxを吸着させるために、ステップS211に示すように、オゾン供給管31cから第3触媒層43にオゾンを供給する。これによって、第1触媒層41におけるNOxの還元反応の反応活性が低い場合にも、NOxを吸着することにより、触媒層40でのNOx浄化率を確保することができる。
0142
一方、第2モードでは、第1触媒層41におけるNOxの還元反応の反応活性が高く、DOCにNOxを吸着させる必要が無いため、ステップS221に示すように、第3触媒層43へのオゾン供給を停止する。ステップS223〜ステップS229に示すように、第1触媒層41における成分比Sが目標成分比Stとなるように、オゾン供給管31bから第1触媒層41に供給するオゾン量を制御することにより、触媒層40におけるNOx浄化率を所望の値に制御することができる。
0143
また、図19に示すように、第3触媒層43の温度情報に基づいて第1モードと第2モードとを切換えてもよい。図19は、図15(c)および図16(b)に係るシステムにおける排気浄化制御処理のフローチャートである。図19では、ステップS303において第3触媒層43の触媒温度Tdocを取得する点、ステップS304において触媒温度Tdocと温度閾値TBとに基づいて第1モードと第2モードとを切り替える判定を実行する点において、図18に示す処理と相違している。ステップS304では、Tdoc<TBである場合に、ステップS305に進んで第1モードを選択し、Tdoc≧TBである場合に、ステップS320に進んで第2モードを選択する。図19に示すステップS301,S302,S305〜S329の処理は、図18に示すステップS201,S202,S205〜S229の処理と同様であるため、説明を省略する。
0144
温度閾値TBは、例えば、第3触媒層43におけるNOxの吸着量の温度依存性に基づいて、設定することができる。第3触媒層43の温度Tdocが高くなると、第3触媒層43におけるNOxの吸脱着平衡が、脱着側に移行し、第3触媒層43におけるNOx吸着量が低下する。例えば、第3触媒層43におけるNOx吸着量の目標値Yを設定し、目標値Y以上を確保できる触媒温度Tdocの上限値を温度閾値TBに設定することにより、目標値Y以上のNOx吸着量を確保できる場合に第1モードを実行するようにできる。
0145
また、図17に示すように、DOCまたはDPFに代えて、第3触媒層43にPNA触媒を配置してもよい。DOCまたはDPFと比較すると、PNA触媒は、NOxを吸着する能力が高い。このため、第3触媒層43にPNA触媒を含む触媒層を配置する場合には、第3触媒層43にオゾンを供給しなくても、PNA触媒によってNOxが吸着されて、ある程度、NOxが浄化される。このため、第3触媒層43にPNA触媒を配置する場合には、第3触媒層43の上流側からオゾンを供給する必要はないが、オゾンを供給可能に構成してもよい。
0146
(第3実施形態)
上記の各実施形態においては、例えば図20に示すように、第2モードにおいて、触媒層40の温度に基づいてオゾンの供給を停止するようにしてもよい。図20では、ステップS426、S430に示す処理を含む点において、図10に示す処理と相違している。図20に示すステップS401〜S425,S427〜S429の処理は、図10に示すステップS101〜S125,S127〜S129の処理と同様であるため、説明を省略する。
0147
図20では、ステップS426において、触媒層40(例えば、第1触媒層41)の温度Tcatが所定の温度閾値TC以上であるか否かを判定する。温度閾値TCは、活性温度TAよりも高い温度に設定される(TC>TA)。Tact≧TCである場合には、ステップS430に進み、オゾン供給を停止する。Tact<TCである場合には、ステップS427〜ステップS429の処理を行い、触媒層40における成分比Sが目標成分比Stとなるように、オゾン量を制御して供給する。
0148
触媒層40の温度Tactが活性温度TAを超えて上昇すると、触媒層40におけるNOx浄化率が触媒温度に依存せず略一定の高い値を示すようになることがある。このような温度領域では、NOx還元反応の反応速度が十分に速く、オゾンを供給してfast反応を促進させなくても高いNOx浄化率を得ることができる場合がある。温度閾値TCを、触媒層40におけるNOx浄化率が触媒温度に依存せず略一定の高い値を示す温度領域の下限値に設定することにより、オゾンを供給しなくても高いNOx浄化率を得られる場合に、不要にオゾンを供給することを回避できる。
0149
上記の各実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
0150
ECU50は、内燃機関20からの排気中に含まれるNOx等を浄化する排気浄化システム10を制御する排気浄化制御装置として機能する。排気浄化システム10は、内燃機関20の排気管12に配置された触媒層40と、触媒層40にオゾンを供給するオゾン供給装置30とを備えている。触媒層40は、排気中のNOxを浄化する触媒として、SCR触媒と、三元触媒との少なくともいずれか一方を含む。
0151
ECU50は、成分量取得部52と、吸着量推定部54aと、成分比推定部54bと、オゾン量制御部55とを含む。成分量取得部52により、内燃機関20からの排出されるNOx量である排出NOx量Cnbを取得する。吸着量推定部54aにより、オゾン供給装置30からオゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOx量の積算値であるオゾン供給時の積算吸着量Accを推定する。成分比推定部54bにより、排出NOx量Cnbとオゾン供給時の積算吸着量Accとに基づいて、触媒層40内のNOに対するNO2の成分比(NO2/NO)を推定する。そして、オゾン量制御部55により、推定された成分比(NO2/NO)に基づいて、触媒層40に供給するオゾン量を制御する。上記の構成を有するため、ECU50によれば、成分比(NO2/NO)の推定に際して、積算吸着量Accから算出できる触媒層40から脱着するNOx成分も考慮して、成分比(NO2/NO)を推定することができる。そして、SCR触媒等に一旦吸着されたNOxが脱着することも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)が適切な値となるように、オゾン量を制御できる。その結果、SCR触媒や三元触媒を触媒層40に備えた排気浄化システム10において、NOxの還元反応を促進することができる。
0152
なお、触媒層40は、排気中の未燃焼成分を酸化するDOCと、排気中の粒子状成分を浄化するDPFとの少なくともいずれか一方をさらに含んでいてもよい。オゾンを供給することにより、DOCやDPFについてもNOxの吸着量を増大させることができる。そして、各触媒から脱着するNOxにおける成分比(NO2/NO)は、オゾン供給装置30からオゾンが供給されている状態で各触媒に吸着されたNOx量に基づいて算出できる。このため、DOCやDPFから脱着するNOxも考慮して、反応場における成分比(NO2/NO)が適切な値となるように、オゾン量を制御できる。
0153
ECU50は、触媒層40の温度情報が、触媒層40の温度が所定温度閾値以上であることを示す状態である場合に、成分比(NO2/NO)に基づいて触媒層40にオゾンを供給するように構成されていることがより好ましい。例えば、温度閾値を、SCR触媒や三元触媒のNOx還元反応に係る活性温度TAに設定し、触媒温度が活性温度TA以上である場合に、成分比(NO2/NO)に基づいて触媒層40にオゾンを供給するようにすることができる。触媒活性に影響する温度に関するパラメータである温度情報に基づいて、成分比推定部54bにより推定される成分比(NO2/NO)に基づいてオゾン量を制御するか否かを決定することができるため、SCR触媒や三元触媒のNOx還元反応活性に応じて適切にオゾン量を制御することができる。
0154
成分比推定部54bは、オゾン供給装置30からオゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、NO2として触媒層40から脱離すると見なして成分比(NO2/NO)を推定するように構成されることが好ましい。オゾン供給時の積算吸着量Accに基づいて、触媒層40から脱着するNO2の成分量を的確に推定できるため、反応場における成分比(NO2/NO)をより的確に算出することができる。
0155
ECU50は、さらに、成分量取得部52が取得する排出NOx量に対しての触媒層40に供給するオゾン量の供給比を制御する供給比設定部53を備えている。そして、オゾン量制御部55は、触媒層40の温度情報が、触媒層40の温度が所定の温度閾値(例えばTA,TB)未満であることを示す状態である場合に、供給比Kに基づいて触媒層40にオゾンを供給する第1モードでオゾン量を制御する。他方、触媒層40の温度情報が、触媒層40の温度が所定の温度閾値以上であることを示す状態である場合に、成分比Sに基づいて触媒層40にオゾンを供給する第2モードでオゾン量を制御する。触媒温度(例えば、Tcat)が低く、NOx還元反応の触媒活性が低い場合には、第1モードによりNOxを触媒層40に吸着させる目的でオゾン量を制御し、NOx浄化率を確保する。触媒温度が高く、NOx還元反応の触媒活性が高い場合には、第2モードにより触媒層40におけるNOxの還元反応を促進する目的でオゾン量を制御し、NOx浄化率を確保する。触媒層40の昇温時において、NOx還元反応が殆ど起こらない低温域から、NOx還元反応の活性温度以上となる高温域に亘って、NOx浄化率を確保することができる。
0156
ECU50において第1モードと第2モードとの切替が実行される場合には、成分比推定部54bは、第1モードの実行時にオゾン供給装置30からオゾンが供給されている状態で触媒層40に吸着されたNOxは、第2モードの実行時にNO2として触媒層40から脱離すると見なして成分比(NO2/NO)を推定するように構成されていてもよい。
0157
なお、オゾン量制御部55は、成分比(NO2/NO)に基づいて触媒層40に供給するオゾン量を制御する際に、物質量比として算出される成分比Sが1以下となるように制御するように構成されていてもよい。NOx還元反応におけるslow反応を抑制することにより、NOx還元反応を促進し、NOx浄化率を確保することができる。もしくは、成分比Sが1程度となるように制御するように構成されていてもよい。NOx還元反応におけるfast反応を促進することによりNOx還元反応を促進し、NOx浄化率を確保することができる。
0158
なお、上記においては、一般的な傾向として、SCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおけるNOx吸着量は、LNT触媒等のNOx吸蔵還元型のNOx吸着量よりも低いことを説明しているが、SCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおいて、NOx吸着種を導入する等により、NOx吸着量が高くなるように調製されたSCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFを排除するものではない。NOx吸着量が高くなるように調製されたSCR触媒、三元触媒、DOCおよびDPFにおいても、オゾンを供給することによりNOx吸着量は向上するため、上記の各実施形態に係る排気浄化システム10によって、例えば、触媒活性温度以下におけるNOx吸着量をより向上させ、触媒層40から排出されるNOx量を低減することができる。また、オゾンを供給している状態で吸着されたNOxの殆どがNO2として脱着される。
0159
10…排気浄化システム、12…排気管、20…内燃機関、30…オゾン供給装置、40…触媒層、50…ECU、52…成分量取得部、54a…吸着量推定部、54b…成分比推定部、55…オゾン量制御部