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課題
解決手段
概要
背景
粉末香料は取り扱いやすく種々の製品、例えば、飲食品、化粧品、芳香剤、医薬品、医薬部外品、忌避剤・日用品などに利用されており、特に、粉末スープや粉末清涼飲料などの粉末飲食品、ラムネなどの錠菓、ガムなど粉末形状や固形状の飲食品に広く使用されている。このような粉末香料は、従来、粉末基剤に香料を吸着させる方法(吸着法)、あるいは特許文献1に記載のように香料を含む乳化物を噴霧乾燥に供する方法(噴霧乾燥法)によって得られる。
吸着法によって得られる粉末香料は、粉末基剤の表面に香料成分を付着させているだけである。そのため、香気が放たれやすく短期間で香気を損なう、あるいは香料成分が酸素と接触しやすく劣化しやすいという問題がある。さらに、吸着法によって得られる粉末香料は、原料として油溶性香料しか使用することができず、油溶性香料に由来する油分が滲み出ることがある。
一方、噴霧乾燥法によって得られる粉末香料は、吸着法によって得られる粉末香料と異なり、香料成分を乳化させている。そのため、香料成分が酸素と接触しにくくなっている。しかし、噴霧乾燥法は高温条件下で行われるため、熱による香料成分の劣化が避けられない。さらに、噴霧乾燥法による粉末香料の製造は、大規模な装置を用いて行われる。そのため、香気の異なる種々の粉末香料をそれぞれ少量(少量多品種)必要とする場合、噴霧乾燥法による製造は不向きである。
概要
粉末香料を煩雑な工程を経ずに製造することができ、製品のデットストックを無くして廃棄物を減らすことができ、消防法に定められた設備や施設を有していなくても取り扱うことができ、かつ香料成分の劣化が抑制された乳化香料粉末の製造方法を提供する。本発明に係る乳化香料粉末の製造方法は、香料が乳化された乳化香料を得る工程と、乳化香料と粉末基剤とを混合して、粉末基剤に乳化香料を吸着させる工程とを含む。なし
目的
本発明の課題は、粉末香料を煩雑な工程を経ずに製造することができ、製品のデットストックを無くして廃棄物を減らすことができ、消防法に定められた設備や施設を有していなくても取り扱うことができ、かつ香料成分の劣化が抑制された乳化香料粉末の製造方法を提供することにある。
効果
実績
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この技術が所属する分野
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技術分野
背景技術
0002
粉末香料は取り扱いやすく種々の製品、例えば、飲食品、化粧品、芳香剤、医薬品、医薬部外品、忌避剤・日用品などに利用されており、特に、粉末スープや粉末清涼飲料などの粉末飲食品、ラムネなどの錠菓、ガムなど粉末形状や固形状の飲食品に広く使用されている。このような粉末香料は、従来、粉末基剤に香料を吸着させる方法(吸着法)、あるいは特許文献1に記載のように香料を含む乳化物を噴霧乾燥に供する方法(噴霧乾燥法)によって得られる。
0003
吸着法によって得られる粉末香料は、粉末基剤の表面に香料成分を付着させているだけである。そのため、香気が放たれやすく短期間で香気を損なう、あるいは香料成分が酸素と接触しやすく劣化しやすいという問題がある。さらに、吸着法によって得られる粉末香料は、原料として油溶性香料しか使用することができず、油溶性香料に由来する油分が滲み出ることがある。
0004
一方、噴霧乾燥法によって得られる粉末香料は、吸着法によって得られる粉末香料と異なり、香料成分を乳化させている。そのため、香料成分が酸素と接触しにくくなっている。しかし、噴霧乾燥法は高温条件下で行われるため、熱による香料成分の劣化が避けられない。さらに、噴霧乾燥法による粉末香料の製造は、大規模な装置を用いて行われる。そのため、香気の異なる種々の粉末香料をそれぞれ少量(少量多品種)必要とする場合、噴霧乾燥法による製造は不向きである。
先行技術
0005
特開2011−74306号公報
発明が解決しようとする課題
0006
本発明の課題は、粉末香料を煩雑な工程を経ずに製造することができ、製品のデットストックを無くして廃棄物を減らすことができ、消防法に定められた設備や施設を有していなくても取り扱うことができ、かつ香料成分の劣化が抑制された乳化香料粉末の製造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0007
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
(1)香料が乳化された乳化香料を得る工程と、乳化香料と粉末基剤とを混合して、粉末基剤に乳化香料を吸着させる工程とを含む乳化香料粉末の製造方法。
(2)乳化香料が、粉末基剤100質量部に対して0.1〜120質量部の割合で添加される上記(1)に記載の製造方法。
(3)乳化香料に含まれる乳化粒子が、0.01〜50μmの平均粒子径を有する上記(1)または(2)に記載の製造方法。
発明の効果
0008
本発明に係る乳化香料粉末の製造方法によれば、乳化香料粉末を煩雑な工程を経ずに製造することができ、得られた乳化香料粉末は香料成分の劣化が抑制されている。本発明に係る乳化香料粉末の製造方法によれば、少量製造できることで製品のデットストックを無くし廃棄物を減らすことができる。さらに、本発明に係る乳化香料粉末の製造方法によれば、引火性液体などを使用した香料を粉末化することにより消防法に定められた設備や施設を有していなくても取り扱うことができる。
0009
本発明に係る乳化香料粉末の製造方法は、下記の工程(i)および(ii)を含む。以下、本発明に係る乳化香料粉末の製造方法の一実施形態について説明する。
(i)香料が乳化された乳化香料を得る工程。
(ii)乳化香料と粉末基剤とを混合して、粉末基剤に乳化香料を吸着させる工程。
0010
一実施形態に係る乳化香料粉末の製造方法において、工程(i)は、香料が乳化された乳化香料を得る工程である。香料としては、乳化され得る香料であれば限定されず、天然香料であってもよく、合成香料であってもよい。さらに、香料としては、油溶性香料を使用してもよく、水溶性香料を使用してもよい。乳化香料に含まれる乳化粒子の平均粒子径は特に限定されず、より安定な乳化状態を保持させることができる点で、好ましくは0.01〜50μm程度であり、より好ましくは0.5〜3μm程度である。
0011
このような香料としては、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、ウンシュウミカン、夏みかん、いよかん、ポンカン、キンカン、ライム、すだち、かぼす、柚子、シークワーサーなど柑橘類の香料や精油;ペパーミント、スペアミント、ニホンハッカ、シナモン、ショウガなどハーブ・スパイス類の香料や精油;ジャスミン、ローズなどの花の香料や精油;ストロベリー、ブルーベリー、クランベリー、ラズベリー、リンゴ、梨、ブドウ(巨峰、マスカットなど)、アンズ、ウメ、サクランボ、カシス、柿、プルーン、スイカ、マンゴー、ライチ、キウイフルーツ、グァバ、パッションフルーツ、アセロラ、パイナップル、バナナなど果実類の香料や精油;チョコレート、ココア、ミルク、バニラ、チーズ、バター、ヨーグルト、紅茶、緑茶、コーヒー、酒類、コーラー、サイダー、キャラメル、プリン、ココナッツ、アーモンド、クリ、ゴマ、ハチミツ、黒糖、カラメル、メープルシロップ、サツマイモ、かぼちゃ、あずき、きな粉など飲食品の香料や精油;コーンスープ、コンソメスープ、カレー、ビーフシチュー、味噌汁、ハンバーグ、ステーキ、ラーメンなど加工調理食品の香料;ムスク、マリンなど化粧品系の香料などが挙げられる。
0012
香料を乳化する方法は限定されない。油溶性香料を使用する場合、香料と連続相である水とを混合して撹拌すればよい。水溶性香料を使用する場合、香料と連続相である油(例えば、MCTオイル(中鎖脂肪酸オイル)、食用油脂、大豆油・菜種油・パーム油・米油などの植物油脂、牛脂・鶏油などの動物油脂)、さらにプロピレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコールなどの多価アルコールなどを混合して撹拌すればよい。撹拌装置としては、例えば、ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル、プラネタリーミキサーなどが挙げられる。乳化は、例えば常温(20〜30℃)程度で行われ、加温する場合でも高くても60℃程度である。香料の添加量は、香料の種類、所望の香気の強さなどを考慮して適宜設定され、得られる乳化香料中に、好ましくは0.001〜50質量%の割合で添加されている。
0013
香料を乳化する際に、乳化剤や乳化安定剤を用いてもよい。乳化剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、オクテニルコハク酸デンプンナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンタウリンナトリウム、ココイルグルタミン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアルトリモニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、コカミドプロピルベタイン、水添レシチン、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの界面活性剤などが挙げられる。乳化安定剤としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、加工デンプン、グアーガムなどが挙げられる。これらの乳化剤や乳化安定剤は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。乳化剤や乳化安定剤の添加量は、香料の種類、香料の添加量などを考慮して適宜設定され、得られる乳化香料中に、好ましくは0.01〜50質量%の割合で添加されている。
0014
一実施形態に係る製造方法において、工程(ii)は、乳化香料と粉末基剤とを混合して、粉末基剤に乳化香料を吸着させる工程である。粉末基剤としては、乳化香料を吸着し得る粉末基材であれば特に限定されず、例えば、マルチトール、コーンスターチ、微結晶セルロース、微小繊維状セルロース、麦芽糖、乳糖、デキストリン、シクロデキストリン、ショ糖、ブドウ糖(含水結晶ブドウ糖および無水結晶ブドウ糖)、果糖、グアーガム、キサンタンガム、ソルビトール、パラチニット、エリスリトール、ラクチトール、キシリトール、マンニトール、加工デンプン、難消化性デキストリン、プルラン、ペクチン、ローカストビーンガム、マンナン、ゼラチン、アルギン酸、アルギン酸塩、カラギーナン、カラヤガム、スクレロガム、トラガントガム、タマリンド種子多糖類、ファーセレランなどが挙げられる。
0015
粉末基剤に乳化香料を吸着させる方法は特に限定されない。例えば、乳化香料と粉末基剤とを混合し、十分に撹拌して粉末基剤と乳化香料とを接触させればよい。乳化香料と粉末基剤との撹拌には、例えば、万能撹拌機、擂潰機、パワーニーダー、タンブラーなどが挙げられる。
0016
乳化香料と粉末基剤との混合割合は、粉末基剤に乳化香料が十分に吸着し得る割合であれば、特に限定されない。粉末基剤100質量部に対して、乳化香料は好ましくは0.1〜120質量部、より好ましくは8〜100質量部の割合で添加される。
0017
粉末基剤の種類、乳化香料の割合、乳化香料に含まれる水分量などによって、乳化香料を粉末基剤に吸着させた後の状態が、粉末形状の場合なら乾燥、粉砕工程は必要ない。しかし、粘土状、ペースト状または塊状の場合には必要に応じて乾燥、粉砕などの工程を経て乳化香料粉末としてもよい。
0018
吸着後の状態が粉末形状を有する場合は、そのままの状態で乳化香料粉末としてもよく、例えば粉砕してさらに微細な粉末に加工してもよい。吸着後の状態が粘土状または塊状を有する場合は、粉砕機を用いて所望の大きさの粉末となるように粉砕すればよい。粉砕前に、必要に応じて乾燥してもよい。乾燥によって香料が飛びやすくなるため、比較的低温(例えば−10〜80℃程度)で乾燥するのがよい。さらに、吸着後の状態がペースト状を有する場合は、乾燥後、必要に応じて粉砕され乳化香料粉末に加工される。
0019
乾燥する場合、使用することができる乾燥機は特に限定されず、例えば、棚型乾燥機、真空乾燥機、凍結乾燥機、熱風乾燥機、ドラム乾燥機などが挙げられる。粉砕する場合、使用することができる粉砕機は特に限定されず、例えば、ハンマーミル、ジェットミル、スタンプミル、ピンミル、パワーミル、コロイドミル、カッターミルなどが挙げられる。
0021
一実施形態に係る製造方法によって乳化香料粉末は、好ましくは0.1〜1000μm、より好ましくは2〜400μmの平均粒子径を有する。一実施形態に係る製造方法は、乳化香料粉末を煩雑な工程を経ることなく、大規模な装置も必要とせずに行うことができる。その結果、種々の香気を有する乳化香料粉末を簡便な工程で製造することが可能、すなわち少量多品種の乳化香料粉末を製造することが可能となる。さらに、一実施形態に係る製造方法によれば、高温条件下で乾燥するなど過酷な環境に曝されることがない。そのため、比較的劣化しやすいことが知られているレモン香料などを用いても、得られる乳化香料は十分な賦香作用を有する。
0022
このようにして得られる乳化香料粉末は、取り扱いやすく種々の製品に添加することができる。このような製品としては、例えば、飲食品、化粧品(例えば、乳液、ファンデーション、ベビーパウダー、口紅など)、芳香剤(例えば、アロマ用品、消臭剤、脱臭剤、防臭剤など)、医薬品(例えば、処方医薬品、一般用医薬品)、医薬部外品(例えば、指定医薬部外品、防除用医薬部外品、医薬部外品)、忌避剤(例えば、防虫剤、防鳥・防獣用品など)、日用品(例えば、洗剤、トイレタリー用品、文房具など)などが挙げられる。特に飲食品としては、例えば、ガム、キャンディー、ソフトキャンディー、グミ、錠菓、スナック菓子、チョコレート、クッキー、ビスケット、クラッカー、おかき、せんべいなどの菓子;饅頭、団子、どら焼き、羊かんなどの和菓子;ケーキ、ババロア、ムース、プリン、ゼリーなどの洋菓子;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓類;果実飲料、野菜飲料、炭酸飲料、コーヒー飲料、茶系飲料、スポーツ飲料、ココア飲料などの清涼飲料水;粉末清涼飲料;各種冷凍食品;食パン、フランスパンなどのパン;サンドイッチ、ホットドック、ハンバーガーなどの調理パン;ヨーグルト、乳飲料、プロセスチーズなどの乳製品;インスタントラーメン、レトルトカレー、インスタントみそ汁、インスタントスープなどのインスタント食品;カレールー、シチュールーなどの加工食品;かまぼこ、ちくわ、さつま揚げ、ハム、ソーセージ、干物などの水産・畜肉加工製品;みそ、醤油、麺つゆ、天つゆ、焼肉のタレ、ソース、ドレッシング、マヨネーズ、トマトケチャップ、ふりかけなどの調味料;介護食、離乳食、非常食、栄養補助食品などが挙げられる。
0023
一実施形態に係る製造方法によって得られる乳化香料粉末は、飲食品中に好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜5質量%の割合となるように添加される。
0024
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
0025
(実施例1)
粉末基剤として45gの微結晶セルロースと5gのマルチトールとの混合物を使用した。この混合物に50gのレモン乳化香料を添加して撹拌し、混合物にレモン乳化香料を吸着させた。レモン乳化香料は、水を連続相とするO/W型の乳化香料であり、レモンオイル、グリセリン、アラビアガムおよびイオン交換水を用いて、一般的な製法によって得られたものである。レモン乳化香料を吸着させた粉末基剤を、ステンレス製のバットにできるだけ均一になるように敷き詰めた。次いで、ステンレス製のバットを棚式熱風乾燥機に入れて、レモン乳化香料を吸着させた粉末基剤を、約60℃で90分間乾燥させた。次いで、乾燥物をサニタリークラッシャー(三庄インダストリー(株)製)で粉砕し、16メッシュ(開口約1mm)のふるいに通して、約49gの乳化香料粉末を得た。
0026
(実施例2)
レモン乳化香料の代わりにローズ乳化香料を使用した以外は、実施例1と同様の手順で約49gの乳化香料粉末を得た。ローズ乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0027
(実施例3)
レモン乳化香料の代わりにコーン乳化香料を使用した以外は、実施例1と同様の手順で約49gの乳化香料粉末を得た。コーン乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0028
(実施例4)
レモン乳化香料の代わりにシナモン乳化香料を使用した以外は、実施例1と同様の手順で約49gの乳化香料粉末を得た。シナモン乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0029
(実施例5)
粉末基剤として無水結晶ブドウ糖を使用した。99gの無水結晶ブドウ糖と1gのレモン乳化香料とを混合して撹拌し、無水結晶ブドウ糖にレモン乳化香料を吸着させた。レモン乳化香料は、実施例1で用いたレモン乳化香料と同じである。次いで、レモン乳化香料を吸着させた粉末基剤(無水結晶ブドウ糖)を16メッシュのふるいに通して、約95gの乳化香料粉末を得た。
0030
(実施例6)
レモン乳化香料の代わりにローズ乳化香料を使用した以外は、実施例5と同様の手順で約95gの乳化香料粉末を得た。ローズ乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0031
(実施例7)
レモン乳化香料の代わりにコーン乳化香料を使用した以外は、実施例5と同様の手順で約95gの乳化香料粉末を得た。コーン乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0032
(実施例8)
レモン乳化香料の代わりにシナモン乳化香料を使用した以外は、実施例5と同様の手順で約95gの乳化香料粉末を得た。シナモン乳化香料も、レモン乳化香料と同様、一般的な製法によって得られたものである。
0033
(実施例9)
粉末基剤としてマルトースを使用した。80gのマルトースと20gのカカオ乳化香料とを混合して撹拌し、マルトースにカカオ乳化香料を吸着させた。カカオ乳化香料は、油を連続相とするW/O型の乳化香料であり、カカオ香料、グリセリン脂肪酸エステル、および食用油脂を用いて、一般的な製法によって得られたものである。次いで、カカオ乳化香料を吸着させた粉末基剤(マルトース)を16メッシュのふるいに通して、約95gの乳化香料粉末を得た。
0034
次に、O/W型の乳化香料を原料として使用した実施例1〜8の乳化香料粉末のうち、実施例1の乳化香料粉末を代表して官能評価を行った。具体的には、下記のようにして官能評価を行った。実施例1で得られた乳化香料粉末を用いてレモン風味の錠菓を製造してから30日間、約35℃の温度条件下で保管した。約35℃で30日間の保管は、常温で約90日間保管した場合に相当する。長期保管および夏季のように高温条件下で保管した後であっても、香料としての効果が発揮されることを示すためである。
0035
得られたレモン風味の錠菓を、十分な経験を持つ訓練された男女各6名のパネラーに試食してもらい、(1)トップの強さ(口に入れた直後の風味の強さ)、(2)ミドルからラストにかけての風味(口に入れて暫くしてからの風味)、(3)劣化臭、(4)後味、および(5)総合的な美味しさについて、評価してもらった。
0036
(1)については、口に入れた直後に強く風味を感じた場合に5点、ほとんど風味を感じない場合に1点とし、風味の強さに応じて5点〜1点の5段階で評価してもらった。(2)については、口に入れて暫くしてからの風味を感じた場合に5点、ほとんど風味を感じない場合に1点とし、風味の強さに応じて5点〜1点の5段階で評価してもらった。(3)については、高温環境下で保管中に生じた劣化臭を感じない場合に5点、劣化臭を強く感じる場合に1点とし、劣化臭の強さに応じて5点〜1点の5段階で評価してもらった。(4)については、後味が良好な場合に5点、後味が乏しい場合に1点とし、後味の優劣に応じて5点〜1点の5段階で評価してもらった。(5)については、総合的に判断して良好な味と感じた場合に5点、不味いと感じた場合に1点とし、総合的な味を5点〜1点の5段階で評価してもらった。それぞれの評価項目について、パネラー12名の平均点を表1に示す。
0037
実施例1で得られた乳化香料粉末の代わりに、レモン香料を原料とするスプレードライ香料粉末(従来の香料粉末)を用いて、同様に、従来のレモン風味の錠菓を製造した。スプレードライ香料粉末を用いて従来の錠菓を製造してから30日間、約35℃の温度条件下で保管した。実施例1で得られた乳化香料粉末を用いたレモン風味の錠菓も、従来のスプレードライ香料粉末を用いた従来のレモン風味の錠菓も、1錠あたりの質量をほぼ同じとし、香料粉末も出発原料であるレモン香料に換算して同量となるように添加した。上記12名のパネラーに、得られた従来のレモン風味の錠菓を試食してもらい、上記の(1)〜(5)について評価してもらった。パネラー12名の平均点を表1に示す。
0038
実施例1で得られた乳化香料粉末の代わりに、W/O型の乳化香料を原料として使用した実施例9の乳化香料粉末を用いて、同様に、チョコレート風味の錠菓を製造した。実施例9の乳化香料粉末を用いてチョコレート風味の錠菓を製造してから30日間、約35℃の温度条件下で保管した。上記12名のパネラーに、得られたチョコレート風味の錠菓を試食してもらい、上記の(1)〜(5)について評価してもらった。パネラー12名の平均点を表1に示す。
0039
実施例9で得られた乳化香料粉末の代わりに、カカオ香料を原料とするスプレードライ香料粉末(従来の香料粉末)を用いて、同様に、従来のチョコレート風味の錠菓を製造した。スプレードライ香料粉末を用いて従来の錠菓を製造してから30日間、約35℃の温度条件下で保管した。実施例9で得られた乳化香料粉末を用いたチョコレート風味の錠菓も、従来のスプレードライ香料粉末を用いた従来のチョコレート風味の錠菓も、1錠あたりの質量をほぼ同じとし、香料粉末も出発原料であるカカオ香料に換算して同量となるように添加した。上記12名のパネラーに、得られた従来のチョコレート風味の錠菓を試食してもらい、上記の(1)〜(5)について評価してもらった。パネラー12名の平均点を表1に示す。
0040
実施例
0041
表1に示すように、本発明の製造方法によって得られた乳化香料粉末は、従来のスプレードライ香料粉末と風味および美味しさを比較しても、ほぼ同等かそれ以上で遜色の無い効果を発揮していることがわかる。さらに、本発明の製造方法によって得られた乳化香料粉末は、従来のスプレードライ香料粉末と比較して、劣化臭が抑制されている。したがって、本発明の製造方法によって得られた乳化香料粉末は、長期保管および夏季など比較的高温条件下で保管していても、劣化しにくいことがわかる。
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