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技術 フィルタ触媒、排ガス浄化装置、及びフィルタ触媒の製造方法

出願人 トヨタ自動車株式会社株式会社キャタラー
発明者 三好直人西岡寛真杉浦幸司佐藤あけみ池部雅俊中島諒太野村泰隆小里浩隆
出願日 2019年4月4日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-071930
公開日 2020年10月15日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-168613
状態 未査定
技術分野 触媒 排気の後処理
主要キーワード 吹き溜まり 多角筒形 楕円筒形 多孔質構造内 セル入口 セル出口 フロー構造 PM成分
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月15日)のものです。
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図面 (8)

課題

本開示の目的は、ウォールフロー構造を有するフィルタ触媒であって、優れた浄化性能を有するフィルタ触媒を提供することである。

解決手段

本実施形態は、排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切隔壁と、を有するウォールフロー型基材を備えるフィルタ触媒であって、前記多孔質構造内に分散して配置された酸素吸蔵部及び触媒部を含み、前記酸素吸蔵部は、前記多孔質構造の壁面上に配置され、前記触媒部は、前記酸素吸蔵部の上に配置され、前記触媒部の表面が、連通孔を含む排ガスが流れる空間に露出している、フィルタ触媒である。

概要

背景

一般に、内燃機関から排出される排ガスには、炭素を主成分とする粒子状物質(PM:Particulate Matter)、不燃成分からなるアッシュ等が含まれ、大気汚染の原因となることが知られている。そのため、粒子状物質の排出量については、排ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の成分とともに年々規制強化されている。そこで、これらの粒子状物質を排ガスから捕集して除去するための技術が提案されている。

粒子状物質を捕集する技術の一つとして、パティキュレートフィルタが挙げられる。このパティキュレートフィルタは、内燃機関の排気通路内に設けられる。例えば、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンよりは少ないものの、一定量の粒子状物質を排ガスとともに排出するため、ガソリンパティキュレートフィルタ(Gasoline Particulate Filter:GPF)が排気通路内に装着される。かかるパティキュレートフィルタとしては、基材多孔質からなる多数のセルから構成され、多数のセルの入口と出口を交互に閉塞した、ウォールフロー型と呼ばれる構造のものが知られている。ウォールフロー型パティキュレートフィルタでは、セル入口から流入した排ガスは、仕切られた多孔質のセル隔壁を通過し、セル出口へと排出される。そして、排ガスが多孔質のセル隔壁を通過する間に、粒子状物質が隔壁内に捕集される。

近年では、さらなる浄化性能向上のために、上記パティキュレートフィルタに貴金属触媒担持させることが検討されている。

例えば、特許文献1では、内燃機関の排気通路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置であって、排ガス流入側の端部のみが開口した入側セルと、該入側セルに隣接し排ガス流出側の端部のみが開口した出側セルと、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る多孔質の隔壁とを有するウォールフロー構造の基材と、前記隔壁の内部細孔のうち相対的に細孔径が小さい小細孔に形成された第1触媒部と、前記隔壁の内部細孔のうち相対的に細孔径が大きい大細孔に形成された第2触媒部とを備え、前記第1触媒部は、担体と、該担体に担持されたPt、Pd及びRhのうちのいずれか1種又は2種の貴金属とを含有し、前記第2触媒部は、担体と、該担体に担持されたPt、Pd及びRhのうちのいずれか1種又は2種の貴金属であって少なくとも前記第1触媒部に含まれる貴金属以外の貴金属とを含有する、排ガス浄化装置が提案されている。特許文献1には、当該技術により、圧損の低減を図りつつ、排ガスの浄化性能を向上させることができる排ガス浄化装置を提供することができると記載されている。

概要

本開示の目的は、ウォールフロー構造を有するフィルタ触媒であって、優れた浄化性能を有するフィルタ触媒を提供することである。本実施形態は、排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る隔壁と、を有するウォールフロー型の基材を備えるフィルタ触媒であって、前記多孔質構造内に分散して配置された酸素吸蔵部及び触媒部を含み、前記酸素吸蔵部は、前記多孔質構造の壁面上に配置され、前記触媒部は、前記酸素吸蔵部の上に配置され、前記触媒部の表面が、連通孔を含む排ガスが流れる空間に露出している、フィルタ触媒である。

目的

特許文献1には、当該技術により、圧損の低減を図りつつ、排ガスの浄化性能を向上させることができる排ガス浄化装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切隔壁と、を有するウォールフロー型基材を備えるフィルタ触媒であって、前記多孔質構造内に分散して配置された酸素吸蔵部及び触媒部を含み、前記酸素吸蔵部は、前記多孔質構造の壁面上に配置され、前記触媒部は、前記酸素吸蔵部の上に配置され、前記触媒部の表面が、連通孔を含む排ガスが流れる空間に露出している、フィルタ触媒。

請求項2

前記酸素吸蔵部及び前記触媒部は、それぞれ、前記多孔質構造全体に亘って分散している、請求項1に記載のフィルタ触媒。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載のフィルタ触媒を備える、排ガス浄化装置

請求項4

請求項1又は請求項2に記載のフィルタ触媒の製造方法であって、酸素吸蔵材及び溶媒を含む酸素吸蔵部用スラリーを前記隔壁内に分散させて配置する工程と、触媒金属触媒担体及び溶媒を含む触媒部用スラリーを、前記酸素吸蔵部用スラリーが配置された前記多孔質構造内であって前記酸素吸蔵部用スラリーの上に配置する工程と、前記酸素吸蔵部用スラリー及び前記触媒部用スラリーを含む前記基材を焼成する工程と、を含む、フィルタ触媒の製造方法。

請求項5

前記触媒部用スラリーを前記多孔質構造内に配置する前に、前記酸素吸蔵部用スラリーを乾燥させる工程を含む、請求項4に記載のフィルタ触媒の製造方法。

請求項6

排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る隔壁と、を有するウォールフロー型の基材を用意する工程と、酸素吸蔵材及び溶媒を含む第一のスラリーを前記隔壁内に分散させて配置する工程と、触媒金属、触媒担体及び溶媒を含む第二のスラリーを、前記第一のスラリーが配置された前記多孔質構造内であって前記第一のスラリーの上に配置する工程と、前記第一のスラリー及び前記第二のスラリーを含む前記基材を焼成する工程と、を含む、フィルタ触媒の製造方法。

請求項7

前記第二のスラリーの粘度が前記第一のスラリーの粘度よりも大きい、請求項6に記載のフィルタ触媒の製造方法。

技術分野

0001

本開示は、フィルタ触媒に関する。また、本開示は、フィルタ触媒を備える排ガス浄化装置に関する。また、本開示は、フィルタ触媒の製造方法に関する。

背景技術

0002

一般に、内燃機関から排出される排ガスには、炭素を主成分とする粒子状物質(PM:Particulate Matter)、不燃成分からなるアッシュ等が含まれ、大気汚染の原因となることが知られている。そのため、粒子状物質の排出量については、排ガスに含まれる炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の成分とともに年々規制強化されている。そこで、これらの粒子状物質を排ガスから捕集して除去するための技術が提案されている。

0003

粒子状物質を捕集する技術の一つとして、パティキュレートフィルタが挙げられる。このパティキュレートフィルタは、内燃機関の排気通路内に設けられる。例えば、ガソリンエンジンは、ディーゼルエンジンよりは少ないものの、一定量の粒子状物質を排ガスとともに排出するため、ガソリンパティキュレートフィルタ(Gasoline Particulate Filter:GPF)が排気通路内に装着される。かかるパティキュレートフィルタとしては、基材多孔質からなる多数のセルから構成され、多数のセルの入口と出口を交互に閉塞した、ウォールフロー型と呼ばれる構造のものが知られている。ウォールフロー型パティキュレートフィルタでは、セル入口から流入した排ガスは、仕切られた多孔質のセル隔壁を通過し、セル出口へと排出される。そして、排ガスが多孔質のセル隔壁を通過する間に、粒子状物質が隔壁内に捕集される。

0004

近年では、さらなる浄化性能向上のために、上記パティキュレートフィルタに貴金属触媒担持させることが検討されている。

0005

例えば、特許文献1では、内燃機関の排気通路に配置され、該内燃機関から排出される排ガスを浄化する排ガス浄化装置であって、排ガス流入側の端部のみが開口した入側セルと、該入側セルに隣接し排ガス流出側の端部のみが開口した出側セルと、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る多孔質の隔壁とを有するウォールフロー構造の基材と、前記隔壁の内部細孔のうち相対的に細孔径が小さい小細孔に形成された第1触媒部と、前記隔壁の内部細孔のうち相対的に細孔径が大きい大細孔に形成された第2触媒部とを備え、前記第1触媒部は、担体と、該担体に担持されたPt、Pd及びRhのうちのいずれか1種又は2種の貴金属とを含有し、前記第2触媒部は、担体と、該担体に担持されたPt、Pd及びRhのうちのいずれか1種又は2種の貴金属であって少なくとも前記第1触媒部に含まれる貴金属以外の貴金属とを含有する、排ガス浄化装置が提案されている。特許文献1には、当該技術により、圧損の低減を図りつつ、排ガスの浄化性能を向上させることができる排ガス浄化装置を提供することができると記載されている。

先行技術

0006

特開2016−77980号公報

発明が解決しようとする課題

0007

特許文献1には、小細孔の壁表面に触媒部が形成されることが記載されている。しかし、小細孔の奥までは排ガスが拡散し難い。そのため、触媒の性能が十分に発揮できない懸念がある。そこで、浄化性能のさらなる改善が求められていた。

0008

本開示の目的は、ウォールフロー構造を有するフィルタ触媒であって、優れた浄化性能を有するフィルタ触媒を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

そこで、本実施形態の態様例は、以下の通りである。

0010

(1)排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る隔壁と、を有するウォールフロー型の基材を備えるフィルタ触媒であって、
前記多孔質構造内に分散して配置された酸素吸蔵部及び触媒部を含み、
前記酸素吸蔵部は、前記多孔質構造の壁面上に配置され、
前記触媒部は、前記酸素吸蔵部の上に配置され、前記触媒部の表面が、連通孔を含む排ガスが流れる空間に露出している、フィルタ触媒。
(2)前記酸素吸蔵部及び前記触媒部は、それぞれ、前記多孔質構造全体に亘って分散している、(1)に記載のフィルタ触媒。
(3)(1)又は(2)に記載のフィルタ触媒を備える、排ガス浄化装置。
(4)(1)又は(2)に記載のフィルタ触媒の製造方法であって、
酸素吸蔵材及び溶媒を含む酸素吸蔵部用スラリーを前記隔壁内に分散させて配置する工程と、
触媒金属触媒担体及び溶媒を含む触媒部用スラリーを、前記酸素吸蔵部用スラリーが配置された前記多孔質構造内であって前記酸素吸蔵部用スラリーの上に配置する工程と、
前記酸素吸蔵部用スラリー及び前記触媒部用スラリーを含む前記基材を焼成する工程と、
を含む、フィルタ触媒の製造方法。
(5)前記触媒部用スラリーを前記多孔質構造内に配置する前に、前記酸素吸蔵部用スラリーを乾燥させる工程を含む、(4)に記載のフィルタ触媒の製造方法。
(6)排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る隔壁と、を有するウォールフロー型の基材を用意する工程と、
酸素吸蔵材及び溶媒を含む第一のスラリーを前記隔壁内に分散させて配置する工程と、
触媒金属、触媒担体及び溶媒を含む第二のスラリーを、前記第一のスラリーが配置された前記多孔質構造内であって前記第一のスラリーの上に配置する工程と、
前記第一のスラリー及び前記第二のスラリーを含む前記基材を焼成する工程と、
を含む、フィルタ触媒の製造方法。
(7)前記第二のスラリーの粘度が前記第一のスラリーの粘度よりも大きい、(6)に記載のフィルタ触媒の製造方法。

発明の効果

0011

本開示により、ウォールフロー構造を有するフィルタ触媒であって、優れた浄化性能を有するフィルタ触媒を提供することができる。

図面の簡単な説明

0012

図1は、本実施形態に係るフィルタ触媒の構造を示す模式的斜視図である。
図2は、本実施形態に係るフィルタ触媒の断面を示す模式的断面図である。
図3は、図2のIVの領域に相当する部分の模式的断面図である。
図4は、本実施形態に係る排ガス浄化装置を模式的に示す図である。
図5に、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて、フィルタ触媒E1の断面におけるコート材料分散状態を観察して得られた画像を示す。
図6は、実施例及び比較例で得られたフィルタ触媒E1〜E2及びC1〜C2の50%浄化温度を示すグラフである。
図7は、実施例及び比較例で得られたフィルタ触媒E1〜E2及びC1〜C2の酸素吸蔵量を示すグラフである。

0013

本実施形態は、排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セルと、前記入側セルに隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セルと、多孔質構造を有し、前記入側セルと前記出側セルとを仕切る隔壁と、を有するウォールフロー型の基材を備えるフィルタ触媒であって、前記多孔質構造内に分散して配置された酸素吸蔵部及び触媒部を含み、前記酸素吸蔵部は、前記多孔質構造の壁面上に配置され、前記触媒部は、前記酸素吸蔵部の上に配置され、前記触媒部の表面が、連通孔を含む排ガスが流れる空間に露出している、フィルタ触媒である。

0014

本実施形態に係るフィルタ触媒では、隔壁の多孔質構造内に、酸素吸蔵部及び触媒部が分散して配置されている。酸素吸蔵部は、多孔質構造の壁面上に配置されており、触媒部は、酸素吸蔵部の上に配置されている。このような構成とすることにより、触媒部が排ガスの流れに近付けられ、触媒部を効率的に排ガスの流れに接触させることができる。また、酸素吸蔵部は、多孔質構造の壁面上に配置されており、その上に触媒部が形成されているため、排ガスの流れには直接接触し難い部分に配置されている。しかし、酸素吸蔵部は、そのような奥側に配置されていても酸素吸蔵能を発揮できるため、安定した触媒性能を発揮することができる。さらに、本実施形態に係るフィルタ触媒では、触媒部が排ガスの流れに沿って分散した状態で配置されているため、排ガスが触媒部に効率よく接触する。これらの結果、優れた浄化性能を得ることができる。したがって、本実施形態によれば、優れた排ガスの浄化性能を有するフィルタ触媒を提供することができる。

0015

以下、本実施形態を図面を参照して説明する。

0016

図1は、フィルタ触媒100の構造を示す模式的斜視図である。図2は、フィルタ触媒100を軸方向に平行な面で切断した断面の一部を拡大した模式的断面図である。図3は、図2のIVの領域に相当する部分の模式的断面図であり、隔壁内の連通孔の構造を示す模式的断面図である。図1〜3に示すように、フィルタ触媒100は、ウォールフロー構造を有する基材10、酸素吸蔵部20、及び触媒部30を含む。基材10は、排ガス流入側の端部が開口し、排ガス流出側の端部が閉塞した入側セル12と、該入側セル12に隣接し、排ガス流出側の端部が開口し、排ガス流入側の端部が閉塞した出側セル14と、入側セル12と出側セル14とを仕切る多孔質の隔壁16とを有している。図2に示されるように、入側セル12の排ガス流入側の端部は開口しており、排ガス流出側の端部は封止部12aで封止されている。出側セル14は入側セル12に隣接しており、出側セル14の排ガス流出側の端部は開口し、排ガス流入側の端部は封止部14aで封止されている。

0017

隔壁16は、多孔質構造を有し、入側セル12と出側セル14に空間的に連通している。隔壁16は、複数の細孔によって複雑に入り組んだ経路が形成されている。この複雑に入り組んだ経路によって、排ガスが流れ易い部分と流れ難い部分が形成される。

0018

例えば、隔壁16は、多数の細孔の繋がりによって形成され、隔壁の表面16aと裏面16bとに連通するように構成されている連通孔を有する。なお、本明細書において、隔壁のうち入側セル12に面する壁面を表面(16a)と称し、出側セル14に面する壁面を裏面(16b)と称す。一般的に、このような連通孔は、排ガスが流れ易い部分である。

0019

また、例えば、隔壁16は、連通孔又は隔壁の表面若しくは裏面に繋がる非連通孔を有し得る。この非連通孔は、連通孔として機能しない孔部分を指す。一般的に、このような非連通孔は、排ガスが流れ難い部分である。また、上述の通り、連通孔は、多数の細孔の繋がりによって形成されているため、連通孔であってもその形状によっては排ガスが流れ難い部分が存在し得る。例えば、吹き溜まりのような奥まった部分等は、排ガスが流れ難い部分である。本実施形態では、このような排ガスが流れ難い部分に酸素吸蔵部が形成される。

0020

図3は、上述の通り、隔壁内の連通孔の構造を示す模式的断面図であり、連通孔17に複数の非連通孔18が形成されている構造の例を模式的に示している。なお、図3は、本実施形態の構造を容易に説明するために簡略的に描かれた概念図であり、本実施形態を制限するものではない。図3では、連通孔17に開口する3つの非連通孔18が描かれている。このような非連通孔18は、隔壁の表面若しくは裏面にも存在し得る。連通孔17は、非連通孔18に対して相対的に大きい細孔径を有し、非連通孔18は、連通孔17に対して相対的に小さい細孔径を有する。非連通孔18には、酸素吸蔵部20及び触媒部30が形成されている。酸素吸蔵部20は、非連通孔18の奥側(底側)に配置され、該酸素吸蔵部20の上(開口側)に触媒部30が配置されている。触媒部30の表面は、連通孔17に露出しており、排ガスの流れに接触し易い。なお、図3では、非連通孔18に、酸素吸蔵部20及び触媒部30が配置された形態が示されているが、本実施形態はこの形態に限定されるものではない。

0021

このような構成を有するフィルタ触媒100では、内燃機関から排出された排ガスが、排ガス流入側の端部から入側セル12内へ流入する。そして、排ガスは、多孔質構造を有する隔壁16の連通孔を通過して、隣接する出側セル14に入り、排ガス流出側の端部からフィルタ触媒の外へ流出する。フィルタ触媒100では、主に排ガスが隔壁16を通過する間に触媒部20と接触し、これによって排ガス中の有害成分が浄化(無害化)される。上述の通り、触媒部20は、排ガスの流れには直接接触し難い部分(例えば非連通孔18の開口付近)に配置されるため、排ガスに効率的に接触することができる。また、酸素吸蔵部30は、排ガスが比較的接触し難い部分(例えば非連通孔18の底側)に配置することで、酸素吸蔵能を確保するとともに、触媒部20を排ガスの流れに近付けさせることができる。そのため、本実施形態に係るフィルタ触媒100は、優れた排ガスの浄化性能を有することができる。

0022

なお、例えば、排ガスに含まれるHC成分やCO成分は触媒部の触媒機能によって酸化され、水(H2O)や二酸化炭素(CO2)等に変換(浄化)される。また、NOx成分は触媒部の触媒機能によって還元され、窒素(N2)に変換(浄化)される。また、PM成分は隔壁16の連通孔17を通り難いため、一般に、入側セル14内の隔壁16上に堆積する。該堆積したPMは、隔壁の表面上に存在し得る触媒部の触媒機能によって、或いは所定の温度(例えば500〜700℃程度)で燃焼されることによって、分解される。

0023

以下、基材、酸素吸蔵部、触媒部について説明する。

0024

<基材>
基材としては、従来のこの種の用途に用いられる種々の素材及び形態のものが使用可能である。例えば、コージェライト若しくは炭化ケイ素(SiC)等のセラミックス又は合金ステンレス等)から形成された基材を用いることができる。基材の形状は、例えば、円筒形状、楕円筒形、又は多角筒形が挙げられ、好ましくは円筒形状である。

0025

入側セル及び出側セルは、フィルタ触媒に供給される排ガスの流量や成分を考慮して適当な形状及び大きさに設定するとよい。入側セル及び出側セルの形状は、特に制限されるものではなく、例えば、正方形平行四辺形長方形台形等の矩形三角形、その他の多角形(例えば、六角形八角形)、円形等の幾何学形状が挙げられる。

0026

隣接する入側セルと出側セルとの間には、隔壁が形成されており、この隔壁によって入側セルと出側セルとが仕切られている。隔壁は、排ガスが通過可能な多孔質構造を有し、入側セル及び出側セルは、多孔質構造により空間的に連通している。

0027

隔壁の気孔率は、特に制限されるものではないが、例えば、概ね40%〜70%であり、好ましくは50%〜65%である。隔壁の気孔率が小さすぎると、圧力損失が増大してしまう場合があり、一方、隔壁16の気孔率が大きすぎると、フィルタ触媒の機械的強度が低下する。隔壁の厚みは、特に制限されるものではないが、例えば、概ね200μm〜400μmである。隔壁の厚みをこのような範囲に設定することで、PMの捕集効率を損なうことなく圧損の上昇を抑制することができる。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0028

上述のような連通孔は隔壁を厚み方向に連通しているため、連通孔では排ガスが円滑に通過する。連通孔の細孔径は、非連通孔の細孔径よりも大きい。なお、コート前は隔壁内に多数の連通孔が存在するが、材料をコートすることにより塞がれる細孔が生じるため、新たに非連通孔が生じる場合がある。連通孔は、X線CTによって作成した3次元構造モデル解析より判別することができる。

0029

<酸素吸蔵部>
酸素吸蔵部は、酸素吸蔵能を有する酸素吸蔵材(OSC(Oxygen Storage Capacity)材)を含む。酸素吸蔵材は、排ガスの空燃比リーンであるとき(即ち酸素過剰側の雰囲気)には排ガス中の酸素を吸蔵し、排ガスの空燃比がリッチであるとき(即ち燃料過剰側の雰囲気)には吸蔵されている酸素を放出する。酸素吸蔵材は、特に制限されるものではないが、例えば、酸化セリウムセリア:CeO2)、又はセリアを含む複合酸化物(例えば、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2複合酸化物)等が挙げられる。これらの中でもCeO2−ZrO2複合酸化物は高い酸素吸蔵能を有しており、酸素吸蔵材として好ましく用いられる。酸素吸蔵材の含有量は、例えば、酸素吸蔵部の全質量に対して40質量%以上であり、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは80質量%以上であり、特に好ましくは90質量%以上である。本実施形態に係るフィルタ触媒では、酸素吸蔵材が隔壁内に排ガスの流れに沿って分散した状態で配置されるため、隔壁を通過する排ガス中の酸素を効率的に吸収及び放出することができる。なお、酸素吸蔵部は、排ガスが流れ難い部分(例えば非連通孔の奥側)に配置されても酸素吸蔵能を発揮できる。そのため、より安定した触媒性能が得られ、触媒の浄化性能が向上する。

0030

酸素吸蔵部は、多孔質構造内に分散して配置され、また、多孔質構造の壁面上に配置される。酸素吸蔵部は、多孔質構造内の中排ガスが流れ難い部分に配置されることが好ましい。酸素吸蔵部を排ガスが流れ難い部分に配置することにより、排ガスが流れ難い部分を、酸素を吸蔵し得るスペースとして有効に利用できるとともに、酸素吸蔵部の上に設ける触媒部を排ガスの流れに近付けることができる。

0031

例えば、本実施形態の一態様において、酸素吸蔵部は、上記非連通孔内に配置される。酸素吸蔵部を非連通孔内に配置することにより、排ガスが流れ難い非連通孔を酸素を吸蔵するスペースとして有効に利用できるとともに、酸素吸蔵部の上に設ける触媒部を排ガスの流れに近付けることができ、その結果、浄化性能を向上させることができる。

0032

酸素吸蔵部は、触媒金属を実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、酸素吸蔵部の触媒金属の含有量が、酸素吸蔵部の全質量に対して、例えば0.5質量%以下であることを意味し、好ましくは0.1質量%以下であることを意味し、より好ましくは0.01質量%以下であることを意味し、さらに好ましくは触媒金属が検出されないことを意味する。

0033

酸素吸蔵部は、酸素吸蔵材以外にも他の成分を含んでもよい。例えば、酸素吸蔵部は、金属酸化物(非酸素吸蔵材)を含んでもよい。金属酸化物としては、例えば、アルミナ(具体的には安定化アルミナ)、ジルコニアゼオライトが挙げられる。金属酸化物の含有量は、例えば、酸素吸蔵部の全質量に対して、0〜50質量%であり、好ましくは、0.1〜30質量%である。また、他の成分としては、例えば、バインダー由来する成分が挙げられる。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0034

<触媒部>
触媒部は、触媒金属が担持された触媒担体から構成され、多孔質構造内に分散して配置される。また、触媒部は、酸素吸蔵部の上に配置され、触媒部の表面が、連通孔を代表とする排ガスが流れる空間に露出している。触媒部は、酸素吸蔵部の上に配置されることにより、排ガスの流れにより近付けられる。そのため、本実施形態において、触媒部は、排ガスの流れに効率的に接触することができる。

0035

本実施形態の一態様において、触媒部は、上記非連通孔内に配置されている酸素吸蔵部の上に配置されている。酸素吸蔵部を非連通孔に充填し、その上に触媒部を形成することによって、必然的に触媒部が排ガスが流れる連通孔に近付けられる。そのため、触媒部の排ガスへの接触が促進され、触媒性能が向上する。より具体的には、本実施形態の一態様において、触媒部は、非連通孔内に配置されている酸素吸蔵部の上であって開口側に配置されている。すなわち、本実施形態の一態様において、酸素吸蔵部は非連通孔内の底側に配置され、触媒部は非連通孔内の開口側に配置されている。

0036

触媒部は、触媒金属を含む。触媒金属は、特に制限されるものではなく、酸化触媒還元触媒として機能し得る金属を用いることができる。触媒金属としては、典型的には、白金族であるロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)等の貴金属が挙げられる。また、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)若しくはコバルト(Co)、又は上記貴金属とこれら金属との合金が挙げられる。触媒金属は、1種を単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。

0037

触媒金属は、排ガスとの接触面積を高める観点から、十分に小さい粒径微粒子として使用されることが好ましい。触媒金属粒子平均粒径TEM観察により求められる粒径の平均値)は、例えば、1〜15nmであり、好ましくは10nm以下、7nm以下又は5nm以下である。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0038

触媒金属の担持量は、特に制限されるものではない。基材の体積1L当たりの触媒部における触媒金属の含有量は、例えば、0.1g〜5gであり、好ましくは0.3g〜2gである。触媒金属の含有量が少なすぎると、触媒活性が不十分となり、他方、触媒金属の含有量が多すぎると、触媒金属が粒成長を起こし易くなると同時にコスト面でも不利である。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0039

触媒金属の含有量は、触媒部の全質量に対して、例えば0.1〜5質量%であり、好ましくは0.3〜2質量%である。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0040

触媒金属を担持するための触媒担体は、特に制限されるものではない。触媒担体(典型的には粒子状)としては、例えば、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、セリア(CeO2)、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO)、酸化チタンチタニア:TiO2)等の金属酸化物、若しくはこれらの固溶体(例えばセリア−ジルコニア(CeO2−ZrO2)複合酸化物)が挙げられる。触媒担体としては、1種を単独で用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、上記触媒担体には、副成分として他の材料(典型的には無機酸化物)が添加されていてもよい。触媒担体に添加し得る物質としては、ランタン(La)、イットリウム(Y)等の希土類元素カルシウム等のアルカリ土類元素、その他遷移金属元素等が用いられ得る。上記の中でも、ランタン、イットリウム等の希土類元素は、触媒機能を阻害せずに高温における比表面積を向上できるため、安定化剤として好適に用いられる。

0041

触媒担体の比表面積は、耐熱性構造安定性の観点から、例えば、10〜500m2/gであり、好ましくは20〜200m2/gである。また、触媒担体の平均粒径は、例えば、0.1〜50μm、好ましくは0.3〜10μmである。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0042

触媒担体に触媒金属を担持させる方法は、特に制限されるものではない。例えば、金属塩(例えばPt塩(例えば硝酸塩))又は金属錯体(例えばPt錯体(例えば、ジニトロジアンミン錯体))を含有する水溶液に上記触媒担体を含浸させた後、乾燥させ、焼成することにより、触媒金属を担持する触媒担体から構成される触媒担持担体を調製することができる。

0043

触媒部は、触媒金属を担持していない金属酸化物(非酸素吸蔵材)を含んでもよい。金属酸化物としては、例えば、アルミナ(例えば安定化アルミナ)が挙げられる。金属酸化物の含有率は、例えば、20質量%〜50質量%であり、好ましくは30質量%〜40質量%である。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0044

触媒部は、酸素吸蔵材を含んでもよい。酸素吸蔵材の含有量は、触媒部の全質量に対して、例えば、10〜50質量%であり、好ましくは20〜45質量%であり、より好ましくは30〜40質量%である。触媒部に酸素吸蔵材が含まれていると、触媒活性や耐久性が向上する場合がある。なお、いずれの下限値もいずれの上限値と組み合わせることができ、また、下限値同士又は上限値同士を組み合わせて所定の範囲を規定することができる。

0045

<酸素吸蔵部及び触媒部の形成方法
酸素吸蔵部及び触媒部は、スラリーを用いて形成することができる。具体的には、酸素吸蔵部を形成するための酸素吸蔵部用スラリー(第一のスラリーとも称す)と、触媒部を形成するための触媒部用スラリー(第二のスラリーとも称す)を用意する。

0046

酸素吸蔵部用スラリーは、酸素吸蔵材、バインダー及び溶媒を含むことができる。溶媒は、例えば水である。バインダーを含有することにより、酸素吸蔵部用スラリーを多孔質構造の壁面に適当に密着させることができる。バインダーとしては、例えば、アルミナゾル又はシリカゾル等が挙げられる。

0047

酸素吸蔵部用スラリーは、排ガスが流れ難い部分(例えば非連通孔や細孔径が小さく非連通孔になりやすい細孔)に流入する程度に、粘度、固形分率及び酸素吸蔵材の粒子径等が適宜調整されていることが望ましい。例えば、酸素吸蔵部用スラリーの粘度(又は表面張力)は、非連通孔や小細孔内に流入し易いように、低く設定される。隔壁の多孔質構造内には無数の細孔が存在するが、このような非連通孔や小細孔内に酸素吸蔵部用スラリーが流入する程度に酸素吸蔵部用スラリーの粘度を低く設定することにより、非連通孔を含む排ガスが流れ難い部分に酸素吸蔵部用スラリーを効率的に流入させることができる。

0048

触媒部用スラリーは、触媒金属を担持する触媒担体(触媒担持担体)、バインダー及び溶媒を含むことができる。溶媒は、例えば水である。バインダーを含有することにより、触媒部用スラリーを多孔質構造の壁面又は酸素吸蔵部等に適当に密着させることができる。バインダーとしては、例えば、アルミナゾル又はシリカゾル等が挙げられる。

0049

上述の通り、スラリーの粘度は、スラリーの組成や含まれる成分の粒子径等により変化する。また、スラリーの粘度は、製造条件によっても調整可能である。例えば、各成分を分散させた分散液に湿式粉砕処理を施すと、粘度が増加する。そのため、この粉砕条件を適宜調整することによっても、スラリーの粘度を調整することができる。

0050

多孔質構造中に酸素吸蔵部及び触媒部を分散させた状態で配置する工程について以下に具体的に説明する。まず、酸素吸蔵部用スラリーを隔壁の内部に充填する。なお、上述の通り、酸素吸蔵部用スラリーは、非連通孔内に流入する程度に、粘度、固形分率及び酸素吸蔵材の粒子径等が適宜調整されていることが望ましい。酸素吸蔵部用スラリーを隔壁の内部に充填する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、基材を酸素吸蔵部用スラリーに浸漬させる方法や、酸素吸蔵部用スラリーを減圧により吸引して基材内に引き込む方法が挙げられる。酸素吸蔵部用スラリーを隔壁の内部に充填した後、加圧ガスを吹き付けることにより、または吸引することにより、余分なスラリーを取り除く。スラリーを部分的に取り除く際、排ガスが流れ易い部分にあるスラリーは取り除かれ易く、一方で、排ガスが流れ難い部分にあるスラリーは取り除かれ難い。そのため、排ガスが流れ難い部分に酸素吸蔵部用スラリーを留めることができる。酸素吸蔵部用スラリーを充填した後、乾燥することができる。これにより、多孔質構造内に酸素吸蔵部スラリーを分散させた状態で配置することができる。なお、乾燥後、焼成してもよい。

0051

また、非連通孔は、比較的小さい細孔径を有するため、毛管現象によって低粘度のスラリーが流入し易い部分である。そのため、低粘度のスラリーを隔壁の内部に充填すると、非連通孔内にスラリーが流入する。また、非連通孔からは、毛管現象のため、スラリーが流出し難い。そのため、酸素吸蔵部用スラリーを充填した基材に加圧ガスを吹き付けると、または吸引すると、連通孔からは酸素吸蔵部用スラリーが取り除かれ易く、非連通孔内には酸素吸蔵部用スラリーが残り易い。そのため、酸素吸蔵部用スラリーを非連通孔に優先的に配置することができる。なお、当該段落では、非連通孔への酸素吸蔵部用スラリーの充填について説明したが、スラリーは排ガスが流れ難い部分に配置され易く、そのような部分としては、非連通孔以外にも、例えば、細孔径の小さい細孔や吹き溜まりのような奥まった部分等も挙げられる。

0052

次いで、触媒部用スラリーを隔壁の内部に充填する。なお、上述の通り、触媒部用スラリーは、隔壁の内部の細孔内に流入する程度に、粘度、固形分率及び酸素吸蔵材の粒子径等が適宜調整されていることが望ましい。触媒部用スラリーを隔壁の内部に充填する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、基材を触媒部用スラリーに浸漬させる方法や、触媒部用スラリーを減圧により吸引して基材内に引き込む方法が挙げられる。触媒部用スラリーを隔壁の内部に充填した後、加圧ガスを吹き付けることにより、または吸引することにより、余分なスラリーを取り除く。上述の通り、排ガスが流れ易い部分にあるスラリーは取り除かれ易く、排ガスが流れ難い部分にあるスラリーは取り除かれ難い。そのため、排ガスが流れ難い部分に酸素吸蔵部用スラリーを留めることができる。触媒部用スラリーを配置した後、乾燥し、焼成することができる。これにより、多孔質構造内であって酸素吸蔵部の上に触媒部を形成することができる。

0053

また、上述の通り、非連通孔や小細孔は、毛管現象によって低粘度のスラリーが流入し易い部分である。非連通孔や小細孔には、すでに酸素吸蔵部スラリー(乾燥後)又は酸素吸蔵部(焼成後)が配置されているため、触媒部用スラリーは酸素吸蔵部スラリー又は酸素吸蔵部の上に配置される。特に、酸素吸蔵部用のスラリーに比べ高い粘度のスラリーを用いると細孔の表面に触媒部を形成しやすい。

0054

酸素吸蔵部用スラリーは、排ガス流入側の端部又は排ガス流出側の端部或いはその両方から基材内に供給してもよい。1種の酸素吸蔵部用スラリーを基材内に供給してもよく、2種以上の酸素吸蔵部用スラリーを基材内に供給してもよい。また、触媒部用スラリーは、排ガス流入側の端部又は排ガス流出側の端部或いはその両方から基材内に供給してもよい。1種の触媒部用スラリーを基材内に供給してもよく、2種以上の触媒部用スラリーを基材内に供給してもよい。

0055

本実施形態の一態様において、隔壁の表面及び裏面の上に、触媒層が形成されていない。隔壁の表面及び裏面に触媒層が形成されていないことにより、圧損の増加を抑制することができる。また、本実施形態の一態様において、隔壁の表面及び/又は裏面の上に、触媒層が形成されていてもよい。隔壁の表面及び/又は裏面上に触媒層を設けることにより浄化性能をより向上することができる。

0056

<排ガス浄化装置>
本実施形態に係る排ガス浄化装置の構成について図4を参照して説明する。図4は、本実施形態に係る排ガス浄化装置の構成例を説明するための模式的概略図である。図4において、排ガス浄化装置1は、該内燃機関2の排気系に設けられている。

0057

内燃機関(エンジン)には、酸素と燃料ガスとを含む混合気が供給される。内燃機関は、この混合気を燃焼させ、燃焼エネルギー力学的エネルギーに変換する。このときに燃焼された混合気は排ガスとなって排気系に排出される。図4に示す構成の内燃機関2は、自動車のガソリンエンジンを主体として構成されている。

0058

上記エンジン2の排気系について説明する。上記エンジン2を排気系に連通させる排気ポート(図示せず)には、エキゾーストマニホールド3が接続されている。エキゾーストマニホールド3は、排ガスが流通する排気管4に接続されている。エキゾーストマニホールド3と排気管4とにより排気通路が形成されている。図中の矢印は排ガス流通方向を示している。

0059

排ガス浄化装置1は、触媒部材5とフィルタ部材(フィルタ触媒)6とECU7を備え、上記排出される排ガスに含まれる有害成分(例えば、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、窒素酸化物(NOx))を浄化するとともに、排ガスに含まれる粒子状物質(PM)を捕集する。

0060

触媒部材5は、排気ガス中に含まれる三元成分(NOx、HC、CO)を浄化可能なものとして構成されており、上記エンジン2に連通する排気管4に設けられている。具体的には図4に示すように、排気管4の下流側に設けられている。触媒部材5の種類は特に制限されるものではない。触媒部材5は、例えば、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を触媒として含み得る。なお、フィルタ部材6の下流側の排気管4に下流側触媒部材をさらに配置してもよい。かかる触媒部材5の具体的な構成は本開示を特徴付けるものではないため、ここでは詳細な説明は省略する。

0061

フィルタ部材6は、本実施形態に係るフィルタ触媒であり、触媒部材5の下流側に設けられている。フィルタ部材6は、排ガス中に含まれる粒子状物質(以下、単に「PM」と称する)を捕集可能であり、かつ触媒能を有する。

0062

排ガス浄化装置は、図4に示す構成のものに限定されるものではなく、本実施形態に係るフィルタ触媒を備えるものであればよい。例えば、排ガス浄化装置1の各部材、部位の形状や構造についても変更してもよい。図4に示した例では、フィルタ触媒6の上流側に触媒部材5を設けているが、触媒部材は省略しても構わない。この排ガス浄化装置1は、例えば、ガソリンエンジンなど、排気温度が比較的高い排ガス中の有害成分を浄化する装置として特に好適である。ただし、本実施形態に係る排ガス浄化装置は、ガソリンエンジンの排ガス中の有害成分を浄化する用途に限らず、他のエンジン(例えばディーゼルエンジン)から排出された排ガス中の有害成分を浄化する種々の用途にて用いることができる。

0063

以下、本実施形態について試験例を挙げて説明する。なお、本開示は、以下の試験例により制限されるものではない。

0064

[実施例1]
(基材)
基材として、コージェライト製のウォールフロー型基材全長80mm、隔壁の厚さ:200μm、セル密度:300セル/inch2)を用意した。

0065

(酸素吸蔵部用スラリーの調製)
酸素吸蔵材としてのセリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2複合酸化物、CeO2含量:20質量%)32質量部及びアルミナ粉末(γ−Al2O3)8質量部に、アルミナバインダー1質量部及びイオン交換水を加えて十分に撹拌し、湿式粉砕した。これにより、酸素吸蔵部用スラリー(1)を調製した。酸素吸蔵部用スラリー(1)の粘度は、100mPa・sであった。

0066

(触媒部用スラリーの調製)
アルミナ粉末(γ−Al2O3)に、貴金属触媒溶液として硝酸Rh溶液を含浸させた後、乾燥及び焼成し、Rhを1.2質量%で担持したRh担持粉末を調製した。このRh担持粉末18質量部に、アルミナバインダー1質量部及びイオン交換水を加えて十分に撹拌し、湿式粉砕した。これにより、触媒部用スラリー(1)を調製した。触媒部用スラリー(1)の粘度は、2500mPa・sであった。触媒部用スラリー(1)は、その粘度が酸素吸蔵部用スラリー(1)の粘度よりも高くなるように調製した。

0067

また、アルミナ粉末(γ−Al2O3)7質量部、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2−ZrO2複合酸化物)12質量部に、硝酸Pd溶液及びイオン交換水を含浸させた後、乾燥及び焼成し、Pdを2質量%で担持したPd担持粉末を調製した。このPd担持粉末19質量部に、硫酸バリウム1.8質量部、アルミナバインダー1質量部及びイオン交換水を加えて十分に撹拌し、湿式粉砕した。これにより、触媒部用スラリー(2)を調製した。触媒部用スラリー(2)の粘度は、2500mPa・sであった。触媒部用スラリー(2)は、その粘度が酸素吸蔵部用スラリー(1)の粘度よりも高くなるように調製した。

0068

(酸素吸蔵部及び触媒部の形成)
酸素吸蔵部用スラリー(1)を入側端部からウォールフロー型基材内に供給した後、余分なスラリーを供給した側とは反対側の端部から吸引により除去した。その後、スラリーを乾燥させた。

0069

次に、触媒部用スラリー(1)を入側端部からウォールフロー型基材内に供給した後、余分なスラリーを吸引により除去した。その後、スラリーを乾燥させた。次に、触媒部用スラリー(2)を出側端部からウォールフロー型基材内に供給した後、余分なスラリーを吸引により除去した。その後、スラリーを乾燥させ、基材を焼成した。

0070

基材の体積1L当たりの触媒金属(Rh)の質量は0.15gであり、触媒金属(Pd)の質量は0.4gであり、酸素吸蔵材の質量は47gであった。

0071

このようにして、隔壁内に酸素吸蔵部及び触媒部が形成されたフィルタ触媒E1を作製した。

0072

(実施例2)
セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:20質量%)の代わりに、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:40質量%)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、フィルタ触媒E2を作製した。

0073

[比較例1]
セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:20質量%)、Rh/アルミナ担体粉末(1)及びアルミナバインダーを、純粋に加えて十分に撹拌し、湿式粉砕した。これにより、スラリーC1を調製した。

0074

また、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:20質量%)、上記Pd担持粉末及びアルミナバインダーを、純粋に加えて十分に撹拌し、湿式粉砕した。これにより、スラリーC2を調製した。

0075

これらのスラリーの調製において、実施例1においてコートされる量と同じ量の各材料がコートされるように、各材料の量を調整した。

0076

次いで、スラリー(C1)を入側端部から基材内に供給した後、余分なスラリーを吸引により除去し、乾燥させた。次に、スラリー(C2)を出側端部から基材内に供給した後、余分なスラリーを吸引により除去し、乾燥させた。その後、基材を焼成した。

0077

このようにして、隔壁内に触媒金属及び酸素吸蔵材を混合状態で含む触媒・酸素吸蔵部が形成されたフィルタ触媒C1を作製した。

0078

[比較例2]
セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:20質量%)の代わりに、セリア−ジルコニア複合酸化物(CeO2含量:40質量%)を用いたこと以外は、比較例1と同様にして、フィルタ触媒C2を作製した。

0079

[評価]
SEM画像
図5に、電子線マイクロアナライザー(EPMA)を用いて測定したコート成分分布状態の画像を示す。図5白黒画像であるが、セリウム、アルミナの成分分析画像よりそれぞれの濃淡部位の構成部材を判別した。図5において、一点鎖線で囲まれる明るい部分は、酸素吸蔵部20である。また、破線で囲まれる比較的暗い部分は触媒部30である。また、最も暗い部分は細孔である。その他の部分は、多孔質構造の壁部分である。図5に示されるように、多孔質構造の壁面上に酸素吸蔵部が配置され、該酸素吸蔵部の上に触媒部が形成されていた。また、触媒部の表面は、排ガスが流れる空間に露出していた。

0080

(50%浄化温度)
得られたフィルタ触媒E1〜E2及びC1〜C2について、浄化性能(50%浄化温度)を評価した。

0081

100℃〜600℃(昇温速度20℃/分)の昇温時におけるHCガスCOガス又はNOxガス浄化率を連続的に測定し、それぞれのガスにおける50%浄化温度を測定した。ここで50%浄化温度とは、各ガスの浄化率が50%に達したときの触媒入口ガス温度である。結果を図6に示す。図6は、実施例及び比較例で得られたフィルタ触媒E1〜E2及びC1〜C2の50%浄化温度を示すグラフである。

0082

図6に示されるように、実施例のフィルタ触媒E1及びE2は、比較例のフィルタ触媒C1及びC2よりも浄化性能が優れていることが確認された。

0083

(酸素吸蔵量)
得られたフィルタ触媒E1〜E2及びC1〜C2について、酸素吸蔵能(酸素吸蔵量)を評価した。

0084

得られたフィルタ触媒から、円柱状のサンプル(直径30φ、長さ80mm)を切り出した。このサンプルに、O2を1%含むN2ガスと、COを2%含むN2ガスとを2分間隔で交互に切り替えながら流量20L/分、温度600℃で流し、モデルガス中の酸素濃度を測定した。これにより、酸素吸蔵量を測定した。これを5回繰り返し、2〜4回目の酸素吸蔵量の平均値を計測値として採用した。図7に示す。

0085

図7に示されるように、実施例のフィルタ触媒E1及びE2は、それぞれ対応する比較例のフィルタ触媒C1及びC2とほぼ同じ酸素吸蔵量を有していた。これにより、酸素吸蔵材を触媒部の下側に配置しても、特に酸素吸蔵能は低下しないことが確認された。

実施例

0086

業者であれば本開示を最大限に利用するために上記の説明を用いることができる。本明細書に開示した特許請求の範囲及び実施形態は、単に説明的及び例示的なものであり、いかなる意味でも本開示の範囲を限定しないと解釈すべきである。本開示の助けを借りて、本開示の基本原理から逸脱することなく上記の実施形態の詳細に変更を加えることができる。換言すれば、上記の明細書に具体的に開示した実施形態の種々の改変及び改善は、本開示の範囲内である。

0087

1排ガス浄化装置
2内燃機関(エンジン)
3エキゾーストマニホールド
4排気管
5触媒部材
6フィルタ触媒

10基材
12 入側セル
12a
14 出側セル
14a
16隔壁
16a 隔壁の表面(入側セル12に面する壁面)
16b 隔壁の裏面(出側セル14に面する壁面)
17連通孔
18 非連通孔
20酸素吸蔵部
30触媒部
100 フィルタ触媒

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