図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
電力会社の発電所の出力(供給)と電力の消費(需要)とのバランス(需給バランス)が崩れて、周波数が変動すると、産業用機器等の仕様に不具合が生じるため、電力会社は、周波数が一定になるように、需要の変動に応じて、発電機の出力を調整している。
しかしながら、災害等の突発的な事故で、発電機が脱落したりすると、需給バランスが急激に崩れ、周波数が大幅に低下する。これにより、運転中の発電機が安定的に運転できない状況となり、発電機は連続的に脱落し、その結果、大規模停電(ブラックアウト)に至る虞がある。
大規模停電の発生を回避するために、電力会社は、供給を増やすために、他の電力会社から電力の融通を受けたり、あるいは、需要を抑えるために、一部地区を強制的に停電(負荷遮断)させたりするような対策を図っている。
例えば、特許文献1には、供給電力が不足したとき、定常の供給電圧よりも15%ないし55%低い非常用供給電圧で、特定地域の配電線に供給する技術が開示されている。
概要
系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたときに、大規模停電の回避に寄与する電力供給システムを提供する。自然エネルギーを利用して発電した発電電力を負荷機器13に供給するとともに、発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置10と、系統から供給される系統電力の周波数を検知する検知部11と、発電装置で発電された発電電力の供給先を制御する制御部12とを備え、制御部は、検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、発電装置を、系統から切り離して、発電電力を負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える。
目的
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたときに、大規模停電の回避に寄与するとともに、必要最低限の電力供給を確保するための電力供給システムを提供する
効果
実績
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請求項1
自然エネルギーを利用して発電した発電電力を負荷機器に供給するとともに、前記発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置と、前記系統から供給される系統電力の周波数を検知する検知部と、前記発電装置で発電された発電電力の供給先を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、電力供給システム。
請求項2
前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数変化率が2Hz/秒以上になり、かつ、系統電力の周波数が、定格周波数に対して、0.4Hzから1.2Hzの範囲内に低下したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、請求項1に記載の電力供給システム。
請求項3
技術分野
背景技術
0002
電力会社の発電所の出力(供給)と電力の消費(需要)とのバランス(需給バランス)が崩れて、周波数が変動すると、産業用機器等の仕様に不具合が生じるため、電力会社は、周波数が一定になるように、需要の変動に応じて、発電機の出力を調整している。
0003
しかしながら、災害等の突発的な事故で、発電機が脱落したりすると、需給バランスが急激に崩れ、周波数が大幅に低下する。これにより、運転中の発電機が安定的に運転できない状況となり、発電機は連続的に脱落し、その結果、大規模停電(ブラックアウト)に至る虞がある。
0004
大規模停電の発生を回避するために、電力会社は、供給を増やすために、他の電力会社から電力の融通を受けたり、あるいは、需要を抑えるために、一部地区を強制的に停電(負荷遮断)させたりするような対策を図っている。
先行技術
0006
特開2005−168258号公報
発明が解決しようとする課題
0007
しかしながら、電力の需給バランスが大幅に崩れた場合、上記のような種々の対策を取っても、需給バランスの改善ができず、結果的に、大規模停電に至ってしまうことも考えられる。
0008
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、その主な目的は、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたときに、大規模停電の回避に寄与するとともに、必要最低限の電力供給を確保するための電力供給システムを提供することにある。
課題を解決するための手段
0009
(1)本発明の第1は、自然エネルギーを利用して発電した発電電力を負荷機器に供給するとともに、前記発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置と、前記系統から供給される系統電力の周波数を検知する検知部と、前記発電装置で発電された発電電力の供給先を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、電力供給システム、である。
0010
(2)本発明の第2は、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数変化率が2Hz/秒以上になり、かつ、系統電力の周波数が、定格周波数に対して、0.4Hzから1.2Hzの範囲内に低下したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、前記(1)に記載の電力供給システム、である。
0011
(3)本発明の第3は、前記発電装置で発電された発電電力を蓄電する蓄電装置をさらに備え、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力または蓄電電力の少なくとも一方の電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、前記(1)または(2)に記載の電力供給システム、である。
0012
本発明は、発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置を備えた電力供給システムにおいて、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたとき、系統電力の周波数変動が規定値を超えたことを検知することによって、大規模停電が発生する前に、発電装置および需要家の負荷機器を系統から切り離して、発電装置を負荷機器に供給する自立運転モードに、自動的に切り替えるものである。
0013
すなわち、本発明に係る電力供給システムは、自然エネルギーを利用して発電した発電電力を負荷機器に供給するとともに、発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置と、系統から供給される系統電力の周波数を検知する検知部と、発電装置で発電された発電電力の供給先を制御する制御部とを備え、制御部は、検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、発電装置を系統から切り離して、発電電力を負荷機器に供給する自立運転モードに切り替えることを特徴とする。
発明の効果
0014
本発明によれば、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたとき、大規模停電の回避に寄与することができる。
図面の簡単な説明
0015
本発明の一実施形態における電力供給システムの構成を示したブロック図である。
本発明の他の実施形態における電力供給システムの構成を示したブロック図である。
実施例
0016
(1)本発明の第1は、自然エネルギーを利用して発電した発電電力を負荷機器に供給するとともに、前記発電電力を系統に逆潮流する機能を有する発電装置と、前記系統から供給される系統電力の周波数を検知する検知部と、前記発電装置で発電された発電電力の供給先を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、電力供給システム、である。
0017
(2)本発明の第2は、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数変化率が2Hz/秒以上になり、かつ、系統電力の周波数が、定格周波数に対して、0.4Hzから1.2Hzの範囲内に低下したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、前記(1)に記載の電力供給システム、である。
0018
(3)本発明の第3は、前記発電装置で発電された発電電力を蓄電する蓄電装置をさらに備え、前記制御部は、前記検知部で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に変動したとき、前記発電装置を、前記系統から切り離して、前記発電電力または蓄電電力の少なくとも一方の電力を前記負荷機器に供給する自立運転モードに切り替える、前記(1)または(2)に記載の電力供給システム、である。
0019
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。また、本発明の効果を奏する範囲を逸脱しない範囲で、適宜変更は可能である。
0020
図1は、本発明の一実施形態における電力供給システムの構成を示したブロック図である。
0021
図1に示すように、本実施形態における電力供給システム1は、自然エネルギーを利用して発電する発電装置10と、商用電力系統20から供給される系統電力の周波数を検知する検知部11と、発電装置10で発電された発電電力の供給先を制御する制御部12とを備えている。
0022
発電装置10は、自然エネルギーを利用して発電する装置で、例えば、太陽光発電装置や風力発電装置等を用いることができる。発電装置10によって発電された直流電力は、発電装置用パワーコンディショナー(不図示)によって交流電力に変換されて、商用電力系統20と連系し負荷機器13に供給される。
0023
また、発電装置用パワーコンディショナーは、発電装置10の発電電力を電力系統に逆潮流(売電)する機能を有し、余剰電力が発生した場合は、電力会社の配電線に逆潮流(売電)することができる。ここで、負荷機器13は、電力ラインを介して供給された電力を消費する機器(例えば、家電機器等)であれば、その種類は問わず、複数の機器であってもよい。
0024
制御部12は、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたとき、検知部11で、系統電力の周波数変動が規定値を超えて低下したことを検知することによって、発電装置10を商用電力系統20から切り離して、発電電力を負荷機器13に供給する自立運転モードに、自動的に切り替える。
0025
具体的には、検知部11で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に低下したとき、発電装置10を、商用電力系統20から切り離して、自立運転モードに切り替える。これにより、大規模停電が発生する前に、その徴候を事前に検知して、自動的に自立運転モードに切り替わるため、電力の需要を意図的に抑制することができる。その結果、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れるような状況になっても、需要者の側から、電力の需要を意図的に抑制することによって、大規模停電の回避に寄与することができる。
0026
ここで、緊急電力融通機能とは、一方のエリアの電力会社の電源が脱落し、緊急的な電力供給不足が生じたときに、他方のエリアの電力会社から電力を融通する機能をいう。この機能は、故障側の電力の周波数が、予め設定した値(動作周波数)を下回った場合に動作するように設定されている。なお、緊急電力融通機能の動作周波数は、電力会社間で定められており、具体的には、定格周波数(50Hzまたは60Hz)から、0.4Hz以上低下したとき、緊急電力融通機能が動作するように定められている。また、系統電力の周波数変化率が2Hz/秒以上になったとき、発電装置10を、商用電力系統20から切り離して、自立運転モードに切り替えることが好ましい。
0027
この動作周波数は、大規模停電が発生する徴候を示す目安になるもので、系統電力の周波数が、動作周波数よりも大きく低下したときに、自立運転モードに切り替えることによって、電力の需要を意図的に抑制し、これにより、大規模停電の回避に寄与することができる。
0028
なお、系統電力の周波数が、連続運転可能限界周波数を下回ると、発電機の連鎖的解列が生じ、大規模停電が発生する可能性が高まる。従って、系統電力の周波数が、連続運転可能限界周波数を下回る前に、自立運転モードに切り替えることが好ましい。これにより、電力の需要を意図的に抑制することによって、大規模停電の回避に寄与することができる。ここで、連続運転が可能な周波数は、各電力会社によって定められており、具体的には、例えば、関西電力株式会社の系統連系技術要件(平成28年4月1日実施)には、定格周波数から1.2Hz低下した値が定められている。
0029
図2は、本発明の他の実施形態における電力供給システムの構成を示したブロック図である。
0030
図2に示すように、本実施形態における電力供給システム1は、図1に示した電力供給システム1において、発電装置10で発電された発電電力を蓄電する蓄電装置14をさらに備えている。ここで、蓄電装置14は、例えば、リチウムイオン電池等で構成された蓄電池を用いることができる。なお、蓄電装置14以外の構成は、図1に示した構成と同じであるため、説明は省略する。
0031
蓄電装置14から放電された直流電力は、蓄電装置用パワーコンディショナー(不図示)によって交流電力に変換されて、負荷機器13に供給される。また、商用電力系統20から供給される交流電力は、蓄電装置用パワーコンディショナーによって直流電力に変換されて、蓄電装置14に充電される。
0032
制御部12は、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れたとき、検知部11で、系統電力の周波数変動が規定値を超えたことを検知することによって、発電装置10を商用電力系統20から切り離して、発電電力または蓄電電力の少なくとも一方の電力を負荷機器13に供給する自立運転モードに、自動的に切り替える。
0033
具体的には、検知部11で検知された系統電力の周波数が、緊急電力融通機能の動作周波数を下回り、連続運転可能限界周波数を割り込まない範囲内に低下したとき、発電装置10を、商用電力系統20から切り離して、自立運転モードに切り替える。これにより、大規模停電が発生する前に、その徴候を事前に検知して、自動的に自立運転モードに切り替わるため、電力の需要を意図的に抑制することができる。その結果、系統電力の供給量が低下して、電力の需給バランスが大幅に崩れるような状況になっても、需要者の側から、電力の需要を意図的に抑制することによって、大規模停電の回避に寄与することができる。
0034
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、もちろん、種々の改変が可能である。例えば、上記の実施形態では、系統電力の周波数変動が規定値を超えて低下したときに、発電装置10を商用電力系統20から切り離して自立運転モードに切り替えるようにしたが、電力の供給に対して、電力の需要が急激に増加すると、系統電力の周波数が大幅に上昇して、大規模停電が発生することも想定される。そのため、系統電力の周波数変動が規定値を超えて上昇したときにも、発電装置10を商用電力系統20から切り離して自立運転モードに切り替えるようにすることが好ましい。
0036
また、上記の実施形態では、発電装置10を備えた電力供給システム1において、系統電力の周波数を検知する検知部11を設けたが、複数の電力供給システム1において、それぞれ、系統電力の周波数を検知する検知部11を設け、各検知部11で検知した周波数に基づいて、自立運転モードの切り替えを行うようにしてよい。例えば、地域によって、系統電力の周波数変動が異なる場合、最も大きい周波数変動を検知した検知部11からの情報によって、自動運転モードに切り替えてもよい。なお、各検知部11で検知した周波数は、例えば、通信ネットワークを介して、その情報を共有化することができる。
0037
本発明は、大規模停電が発生する前に、その徴候を事前に検知して、自動的に自立運転モードに切り替えることによって、電力の需要を抑制し、これにより、需要者側から、大規模停電の回避に寄与するものであるが、需要者側における発電装置や蓄電装置の総電力量が増加すれば、本発明の効果がより期待できる。
0038
1電力供給システム
10発電装置
11 検知部
12 制御部
13負荷機器
14蓄電装置
20 商用電力系統