図面 (/)

技術 プロテオグリカンの測定方法、評価方法および測定用キット

出願人 国立大学法人弘前大学株式会社YoKa食品科学研究所
発明者 柿崎育子加藤陽治
出願日 2019年7月30日 (1年6ヶ月経過) 出願番号 2019-140327
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-165937
状態 未査定
技術分野 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 保持状況 アルカリ化処理 品質評価法 植物由来物 水棲動物 測定標準 切り株 ロット管理
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月8日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (13)

課題

プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態等を簡便に測定することのできる方法を提供する。

解決手段

プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンの測定方法であって、プロテオグリカン含有組成物からタンパク質を分離し、プロテオグリカンのG1ドメイングリコサミノグリカン結合ドメイン、およびプロテオグリカンのEGF様モジュール免疫学的に測定することを特徴とするプロテオグリカンの測定方法。さらに、本発明によれば、プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンを測定するためのキットも提供される。

概要

背景

プロテオグリカンは、コラーゲンヒアルロン酸などとともに結合組織細胞外マトリックスを構成する主要な分子である。軟骨型プロテオグリカンアグリカン)は、コアとなるタンパク質糖鎖(主としてコンドロイチン硫酸鎖)が複数本共有結合した高分子量で複雑な構造の複合糖質であり、コアタンパク上に複数の機能ドメインを有する。かかる機能ドメインは種間で保存されており、例えば、魚類であるサケのアグリカンは、哺乳動物のアグリカンと同様に全ての機能ドメインを有する(非特許文献1参照)。

プロテオグリカンは、哺乳動物(特に)の軟骨のほか、水棲動物組織からも得ることができ、例えば、本発明者らは、魚類軟骨からプロテオグリカンを抽出する手法を開発している(例えば、特許文献1〜2参照)。また、プロテオグリカンを含む魚類軟骨抽出物は、有用な作用が多数報告されていることから、当該抽出物の新たな作用及びその用途に関する研究が現在もさかんに行われている。例えば、本発明者らは、プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物脂質代謝改善作用を有すること(特許文献3参照)、サケ軟骨プロテオグリカンやその酵素分解産物が血管新生阻害作用等を有すること(特許文献4参照)などを報告している。このような種々の生理作用を有するプロテオグリカンは、機能性食品素材化粧品素材として期待が寄せられている(総説として、非特許文献2参照)。

このような中、飲食品化粧料をはじめとするプロテオグリカン含有組成物においてプロテオグリカンを検出または定量する方法も提案されている。例えば、プロテオグリカン含有組成物を水等に抽出し、分子量分画膜を有する中空状容器にて前処理を行った後、サイズ排除クロマトグラフィーを利用してプロテオグリカンと他の成分とを分離し、得られたプロテオグリカン画分を検出する方法が提案されている(特許文献5参照)。また、プロテオグリカンのG2ドメインに対する特異的な結合親和性を有する免疫結合パートナーを用いたイムノアッセイ法も提案されている(特許文献6参照)。

概要

プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態等を簡便に測定することのできる方法を提供する。 プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンの測定方法であって、プロテオグリカン含有組成物からタンパク質を分離し、プロテオグリカンのG1ドメイングリコサミノグリカン結合ドメイン、およびプロテオグリカンのEGF様モジュール免疫学的に測定することを特徴とするプロテオグリカンの測定方法。さらに、本発明によれば、プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンを測定するためのキットも提供される。

目的

本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態等を簡便に測定することのできる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンの測定方法であって、前記プロテオグリカン含有組成物からタンパク質を分離し、前記プロテオグリカンのG1ドメイングリコサミノグリカン結合ドメイン、および前記プロテオグリカンのEGF様モジュール免疫学的に測定することを特徴とするプロテオグリカンの測定方法。

請求項2

前記プロテオグリカン含有組成物を水性溶媒で抽出し、タンパク質を分離する、請求項1に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項3

前記プロテオグリカン含有組成物、または請求項2の方法で得られたプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物に、還元アルキル化処理を行わない、請求項1または2に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項4

前記プロテオグリカン含有組成物が飲食品または化粧料である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項5

前記免疫学的測定において、前記プロテオグリカンのG3ドメイン(前記EGF様モジュールを除く)を免疫学的に測定する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項6

前記免疫学的測定に加え、ヒアルロン酸を用い、前記プロテオグリカンのG1ドメインを測定することを特徴とする請求項1〜5に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項7

前記タンパク質の分離において、前記プロテオグリカン含有組成物、または請求項2の方法で得られたプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物を、タンパク質固定用膜にスポットする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロテオグリカンの測定方法。

請求項8

請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法により得られた測定値指標とすることを特徴とする、前記プロテオグリカン含有組成物におけるプロテオグリカンの評価方法

請求項9

プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンを測定するためのキットであって、前記プロテオグリカンのG1ドメインを免疫学的に認識するプローブと、前記プロテオグリカンのグリコサミノグリカン結合ドメインを免疫学的に認識するプローブと、前記プロテオグリカンのEGF様モジュールを免疫学的に認識するプローブとを備えることを特徴とするプロテオグリカンの測定用キット

請求項10

前記プロテオグリカンのG3ドメイン(前記EGF様モジュールを除く)を免疫学的に認識するプローブを備える、請求項9に記載のプロテオグリカンの測定用キット。

請求項11

ヒアルロン酸を備える、請求項9または10に記載のプロテオグリカンの測定用キット。

技術分野

0001

本発明は、プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンの測定方法評価方法および測定用キットに関するものである。

背景技術

0002

プロテオグリカンは、コラーゲンヒアルロン酸などとともに結合組織細胞外マトリックスを構成する主要な分子である。軟骨型プロテオグリカンアグリカン)は、コアとなるタンパク質糖鎖(主としてコンドロイチン硫酸鎖)が複数本共有結合した高分子量で複雑な構造の複合糖質であり、コアタンパク上に複数の機能ドメインを有する。かかる機能ドメインは種間で保存されており、例えば、魚類であるサケのアグリカンは、哺乳動物のアグリカンと同様に全ての機能ドメインを有する(非特許文献1参照)。

0003

プロテオグリカンは、哺乳動物(特に)の軟骨のほか、水棲動物組織からも得ることができ、例えば、本発明者らは、魚類軟骨からプロテオグリカンを抽出する手法を開発している(例えば、特許文献1〜2参照)。また、プロテオグリカンを含む魚類軟骨抽出物は、有用な作用が多数報告されていることから、当該抽出物の新たな作用及びその用途に関する研究が現在もさかんに行われている。例えば、本発明者らは、プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物脂質代謝改善作用を有すること(特許文献3参照)、サケ軟骨プロテオグリカンやその酵素分解産物が血管新生阻害作用等を有すること(特許文献4参照)などを報告している。このような種々の生理作用を有するプロテオグリカンは、機能性食品素材化粧品素材として期待が寄せられている(総説として、非特許文献2参照)。

0004

このような中、飲食品化粧料をはじめとするプロテオグリカン含有組成物においてプロテオグリカンを検出または定量する方法も提案されている。例えば、プロテオグリカン含有組成物を水等に抽出し、分子量分画膜を有する中空状容器にて前処理を行った後、サイズ排除クロマトグラフィーを利用してプロテオグリカンと他の成分とを分離し、得られたプロテオグリカン画分を検出する方法が提案されている(特許文献5参照)。また、プロテオグリカンのG2ドメインに対する特異的な結合親和性を有する免疫結合パートナーを用いたイムノアッセイ法も提案されている(特許文献6参照)。

0005

特開2009−173702号公報
国際公開第2012/099216号
特開2017−066097号公報
特開2017−081851号公報
特開2018−151206号公報
特表2009−512844号公報

先行技術

0006

Kakizaki et al., Arch. Biochem. Biophys., 506 (1), 58-65 (2011)
陽治,崎育子「サケ鼻軟骨由来のプロテオグリカン」,マリンバイオテクノロジーの新潮流シーエムシー出版,2011年11月,pp.129-140

発明が解決しようとする課題

0007

飲食品や化粧料等の製品に含まれるプロテオグリカンは、抽出法の違いにより構造が大きく異なることに加え、飲食品や化粧料への配合条件、配合後の保存状態によって、特にタンパク質部分の構造が影響を受ける可能性がある。高分子のプロテオグリカンに効果がある場合や、低分子化していてもプロテオグリカンの特定の機能ドメインに活性があることを利用した製品の場合には、製品中でプロテオグリカンが低分子化していたり、必要なドメイン欠落してしまっていては本来の効果が期待できない。そのため、プロテオグリカンの作用や機能性を重視した製品では、配合したプロテオグリカンが摂取または投与されるときまで機能性を維持した構造で配合した量から減ることなく存在していることが好ましい。

0008

特許文献5の方法では、分子量分画したプロテオグリカンを比色定量法により検出するとされており、主にプロテオグリカンの糖鎖を検出するものといえる。そのため、かかる方法では特定の機能ドメインを有しているか否かを判断することができない。
また、特許文献6の方法では、コアタンパクのG2ドメインを検出するとされているところ、G2ドメインはコアタンパクの中程に位置しており(図1参照)、そのN末側(例えばG1ドメイン等)やC末側(グリコサミノグリカン結合ドメインやEGF様モジュール、G3ドメイン等)が維持されているか否かを検出することはできない。
そのため、最終的な飲食品や化粧料等の製品中に、目的の機能性を維持したプロテオグリカンが、配合時の状態(量や構造等)を保って存在するかについて、簡便に測定することのできる方法が求められている。

0009

本発明は、このような背景に鑑みなされたものであり、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態等を簡便に測定することのできる方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題を解決すべく研究を行った結果、プロテオグリカンが備える複数のドメインまたはモジュールを免疫学的に測定することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。具体的には、本発明は以下のとおりである。

0011

〔1〕プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンの測定方法であって、
前記プロテオグリカン含有組成物からタンパク質を分離し、
前記プロテオグリカンのG1ドメイン、グリコサミノグリカン結合ドメイン、および前記プロテオグリカンのEGF様モジュールを免疫学的に測定する
ことを特徴とするプロテオグリカンの測定方法。
〔2〕 前記プロテオグリカン含有組成物を水性溶媒で抽出し、タンパク質を分離する、〔1〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔3〕 前記プロテオグリカン含有組成物、または〔2〕の方法で得られたプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物に、還元アルキル化処理を行わない、〔1〕または〔2〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔4〕 前記プロテオグリカン含有組成物が飲食品または化粧料である、〔1〕〜〔3〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔5〕 前記免疫学的測定において、前記プロテオグリカンのG3ドメイン(前記EGF様モジュールを除く)を免疫学的に測定する、〔1〕〜〔4〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔6〕 前記免疫学的測定に加え、ヒアルロン酸を用い、前記プロテオグリカンのG1ドメインを測定することを特徴とする〔1〕〜〔5〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔7〕 前記タンパク質の分離において、前記プロテオグリカン含有組成物、または〔2〕の方法で得られたプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物を、タンパク質固定用膜にスポットする、〔1〕〜〔6〕に記載のプロテオグリカンの測定方法。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕に記載の方法により得られた測定値指標とすることを特徴とする、前記プロテオグリカン含有組成物におけるプロテオグリカンの評価方法。
〔9〕 プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンを測定するためのキットであって、
前記プロテオグリカンのG1ドメインを免疫学的に認識するプローブと、前記プロテオグリカンのグリコサミノグリカン結合ドメインを免疫学的に認識するプローブと、前記プロテオグリカンのEGF様モジュールを免疫学的に認識するプローブとを備えることを特徴とするプロテオグリカンの測定用キット。
〔10〕 前記プロテオグリカンのG3ドメイン(前記EGF様モジュールを除く)を免疫学的に認識するプローブを備える、〔9〕に記載のプロテオグリカンの測定用キット。
〔11〕 ヒアルロン酸を備える、〔9〕または〔10〕に記載のプロテオグリカンの測定用キット。

発明の効果

0012

本発明の測定方法によれば、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンを簡便に測定することができる。また、本発明の評価方法によれば、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態等を簡便に評価することができる。
さらに、本発明の測定用キットは、上記測定方法または評価方法に好適に利用することができる。

図面の簡単な説明

0013

サケ軟骨プロテオグリカンの構造模式図である。
抗EGF様モジュール抗体No.3を用いて検量線を作成した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。表中(+)(-)はそれぞれ還元アルキル化処理の有無を、BSAはウシ血清アルブミンを、(p)は精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μgを、それぞれ表し、表中の数値はプロテオグリカン含有熱水抽出物のスポット量(タンパク量,Bradford法による)を表す。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。
抗EGF様モジュール抗体No.3を用いて食品サンプル中のプロテオグリカンを定量(還元アルキル化処理なし)した結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。上一列は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量)をスポットし、下一列には表中に示すように食品サンプルをスポットした。(1) 水で溶解した食品サンプル;(2) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(3) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(4) 水で溶解した食品サンプルのプロテオグリカン(PG)非添加のコントロール;(5) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(6) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(p) 精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μg;である。
抗G1ドメイン抗体を用いて検量線を作成した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。表中(+)(-)はそれぞれ還元アルキル化処理の有無を、BSAはウシ血清アルブミンを、(p)は精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μgを、それぞれ表し、表中の数値はプロテオグリカン含有熱水抽出物のスポット量(タンパク量,Bradford法による)を表す。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。
抗G1ドメイン抗体を用いて食品サンプル中のプロテオグリカン含有熱水抽出物を定量(還元アルキル化処理なし)した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。上一列は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量,Bradford法による)をスポットし、中一列には各種組成物にプロテオグリカン含有熱水抽出物を添加した直後のサンプルをスポットした。下一列には、中一列と同様に調製した後4℃1週間保存したサンプルをスポットした。プロテオグリカン含有熱水抽出物5μg(タンパク量,Bradford法による)を添加した組成物は以下のとおり。(a)超純水(control);(b)アルカリイオン水(pH8.3);(c)緑茶静置後の上清);(d)サイダー(静置後の上清);(e)乳酸菌飲料振り混ぜた後分注);(f) 100%リンゴジュース(振り混ぜた後分注し、静置後の上清);(g)美容ドリンク(振り混ぜた後分注);(h)スポーツドリンク(振り混ぜた後分注);(i)プロテイン入りドリンク(静置後の上清)。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。C:Aの結果に基づき、調製直後および4℃1週間保存後の結果を比較したグラフである。
ヒアルロン酸(分子量100万〜140万)を用いて食品サンプル中のプロテオグリカン含有熱水抽出物を定量(還元アルキル化処理なし)した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。一列目は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量,Bradford法による)をスポットし、二列目には各種組成物にプロテオグリカン含有熱水抽出物を添加した直後のサンプルをスポットした。三列目には、二列目と同様に調製した後4℃1週間保存したサンプルをスポットした。四列目には、プロテオグリカン含有熱水抽出物を添加しないサンプルをスポットした。0.2μg(タンパク量,Bradford法による)のプロテオグリカン含有熱水抽出物を添加した組成物は以下のとおり。(a) 超純水(control);(b) アルカリイオン水(pH8.3);(c) 緑茶(静置後の上清);(d) サイダー(静置後の上清);(e) 乳酸菌飲料(振り混ぜた後分注);(f) 100%リンゴジュース(振り混ぜた後分注し、静置後の上清);(g) 美容ドリンク(振り混ぜた後分注);(h) スポーツドリンク(振り混ぜた後分注);(i) プロテイン入りドリンク(静置後の上清)。HABPは、陽性対照として用いたヒアルロン酸結合タンパク質生化学バイオビジネス社)である。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。C:Aの結果に基づき、調製直後および4℃1週間保存後の結果を比較したグラフである。
GAG結合ドメインを認識する抗体(CS−56)を用いて検量線を作成した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。表中(+)(-)はそれぞれ還元アルキル化処理の有無を、BSAはウシ血清アルブミンを、それぞれ表し、表中の数値はプロテオグリカン含有熱水抽出物のスポット量(タンパク量,Bradford法による)を表す。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。
GAG結合ドメインを認識する抗体(CS−56)を用いて食品サンプル中のプロテオグリカンを定量(還元アルキル化処理なし)した結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。上一列は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量,Bradford法による)をスポットし、下一列には表中に示すように食品サンプルをスポットした。(1) 水で溶解した食品サンプル;(2) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(3) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(4) 水で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(5) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(6) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(p) 精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μg;である。
GAG結合ドメインを認識する抗体(3−B−3)を用いて検量線を作成した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。表中(+)(-)はそれぞれ還元アルキル化処理の有無を、ABCはコンドロイチナーゼABCを、(p)は精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μgを、それぞれ表し、表中の数値はプロテオグリカン含有熱水抽出物のスポット量(タンパク量,Bradford法による)を表す。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。
GAG結合ドメインを認識する抗体(3−B−3)を用いて食品サンプル中のプロテオグリカンを定量した結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。上一列は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量,Bradford法による)をスポットし、下一列には表中に示すように食品サンプルをスポットした。(1) 水で溶解した食品サンプル;(2) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(3) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(4) 水で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(5) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(6) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(p) 精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μg;である。
抗G3ドメイン抗体を用いて検量線を作成した結果を表す図である。A:ドットブロットの結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。表中(+)(-)はそれぞれ還元アルキル化処理の有無を、BSAはウシ血清アルブミンを、(p)は精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μgを、それぞれ表し、表中の数値はプロテオグリカン含有熱水抽出物のスポット量(タンパク量,Bradford法による)を表す。B:Aの結果に基づき検量線を作成したグラフである。
抗G3ドメイン抗体を用いて食品サンプル中のプロテオグリカンを定量した結果を表す図である。上段の図はドットブロットの結果を、下段の表は試料のスポット順を表す。上一列は検量線を作成するためにプロテオグリカン熱水抽出物(表中の数値はタンパク量,Bradford法による)をスポットし、下一列には表中に示すように食品サンプルをスポットした。(1) 水で溶解した食品サンプル;(2) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(3) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプル;(4) 水で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(5) 水(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(6) 4Mグアニジン塩酸(プロテアーゼ阻害剤あり)で溶解した食品サンプルのPG非添加のコントロール;(p) 精製プロテオグリカン(高分子量画分)0.2μg;である。

0014

以下、本発明の実施の形態について説明する。
〔プロテオグリカンの測定方法,測定用キット〕
本発明の一実施形態に係るプロテオグリカンの測定方法は、プロテオグリカンの複数のドメインまたはモジュール(以下「ドメイン等」と総称することがある。)を免疫学的に測定するものである。また、本発明の他の一実施形態に係るプロテオグリカンの測定用キットは、上記複数のドメイン等を免疫学的に認識するプローブを備えるものである。

0015

1.プロテオグリカン
プロテオグリカンは、コアタンパクにコンドロイチン硫酸等のグリコサミノグリカン(以下「GAG」と略することがある)が複数本共有結合した複合糖質である。
本実施形態に係る測定方法の対象としては、プロテオグリカンの中でもヒアレクタン(hyalectan)であることが好ましい。ヒアレクタンは、アグリカン(aggrecan)、バーシカン(versican)、ニューロカン(neurocan)およびブレビカン(brevican)を含むスーパーファミリーであり、いずれもヒアルロン酸に結合するN末端球状ドメイン(G1ドメイン)と、GAG結合ドメインと、レクチン様モジュールおよびEGF様モジュールを有するC末端側球状ドメインとを有する点において共通する。さらに、本実施形態で測定されるプロテオグリカンは、上記の中でもアグリカン(軟骨型プロテオグリカン)であることが好ましい。
図1には、プロテオグリカンの例としてサケアグリカン(GenBankAccession No.: BAJ61837.1)の構造模式図を示している。
図1に示すように、サケアグリカンのコアタンパクは、大まかに3つの球状ドメイン(globular domain)(G1からG3)とグリコサミノグリカン(GAG)結合ドメインとを有し、N末端から順に、G1ドメイン(1〜350アミノ酸)、IGD(interglobular domain)(351〜451アミノ酸)、G2ドメイン(452〜648アミノ酸)、GAG結合ドメイン(649〜1067アミノ酸)、およびG3ドメイン(1068〜1324アミノ酸)を有している。このうち、G1ドメインはヒアルロン酸との結合能を持つことが知られている。また、G3ドメインは、EGF(上皮成長因子)様モジュール(1068〜1104アミノ酸)、レクチン様モジュール(1105〜1236アミノ酸)、および補体制御タンパク様構造(CRP)(1239〜1297アミノ酸)を有する。一方、GAG結合ドメインにおいては、グリコサミノグリカン(軟骨型プロテオグリカンであるアグリカンの場合は主にコンドロイチン硫酸)がセリン残基に共有結合している。

0016

本実施形態においては、プロテオグリカンの複数のドメイン等を免疫学的に測定する。
飲食品や化粧料等のプロテオグリカン含有組成物においては、その製造工程等において酸や熱などが課せられる場合があり、またプロテアーゼ等が混入してしまう場合もある。これらの条件においてはプロテオグリカンの糖鎖(グリコサミノグリカン)よりもコアタンパクの方が感受性である。糖鎖はプロテアーゼからコアタンパクを保護している。そのため、プロテオグリカンの品質評価においては、その糖鎖(グリコサミノグリカン)よりもコアタンパクの測定が重要となる。
また、免疫学的に測定するため、プロテオグリカンの機能ドメインに特異的である。そのため、プロテオグリカン含有組成物中にヒアルロン酸などの多糖類糖質はもちろんのこと、他のタンパク質が共存していても影響を受けにくく、混合物のまま分析することができる。さらに、プロテオグリカン含有組成物が果実エキス等に由来する濃い色素を含む場合であっても、比色法等と異なり免疫学的方法によれば、用いる抗体等と反応しない限り、検出の邪魔にならない。

0017

免疫学的測定の対象となるプロテオグリカンのドメイン等として、G1ドメイン、GAG結合ドメイン、およびEGF様モジュールを含めることが好ましい。
これらのうち、G1ドメインはプロテオグリカンのN末側に位置し、一方EGF様モジュールはC末側に位置する。そのため、両者を免疫学的に測定することで、プロテオグリカンのN末端領域およびC末端領域の両方が保持されているか否かを評価することができ、プロテオグリカン含有組成物中に含まれるプロテオグリカンの全体構造総合的に評価することができる。
さらに、プロテオグリカンの生理作用として細胞増殖促進作用ヒアルロン酸産生促進作用等が報告されているが、これらの作用はEGF様モジュールによるものと推定されている。そのため、これらの作用を期待して組成物中にプロテオグリカンを配合させる場合には、当該組成物中のプロテオグリカンにおいてEGF様モジュールが保持されているか否かを評価することは、特に重要である。
また、GAG結合ドメインに関し、プロテオグリカンはコアタンパクとグリコサミノグリカン(GAG)との複合体であり、プロテオグリカン分子全体に占める割合の多いGAGはプロテオグリカンの機能に大きく寄与していることから、GAG結合ドメインが保持されているか否かを評価することで、プロテオグリカンの品質をより総合的に評価することが可能となる。

0018

本実施形態においては、免疫学的測定の対象となるプロテオグリカンのドメイン等として、さらにG3ドメイン(EGF様モジュールを除く)を含むことが好ましい。これらのドメイン等を免疫学的に測定することで、プロテオグリカン含有組成物中に含まれるプロテオグリカンの全体構造をさらに総合的に評価することができる。

0019

2.プローブ
本実施形態においては、プロテオグリカンのドメイン等を測定するにあたり、対象となるドメイン等に特異的に結合するプローブを用いる。対象ドメイン等に特異的に結合するプローブとしては、例えば、対象ドメイン等を免疫学的に認識するプローブ(免疫学的プローブ)を好適に例示することができる。免疫学的プローブとしては、例えば、ポリクローナル抗体モノクローナル抗体等の抗体を好適に使用することができる。また、免疫学的プローブとして、前述した抗体のみならず、組換え抗体を使用してもよく、Fab、F(ab’)2、Fab’、Fv等の抗体断片を使用してもよい。
また、本実施形態においては、対象ドメイン等に特異的に結合するものであれば、前述した免疫学的プローブ以外のプローブ(以下「非免疫学的プローブ」ということがある)を用いてもよい。かかるプローブとしては、例えば、プロテオグリカン中の特定のドメイン等に結合する分子(糖鎖、タンパク質、脂質など)を例示することができる。非免疫学的プローブの具体例としては、G1ドメインに結合するヒアルロン酸、G3ドメインに結合する細胞外マトリックス分子(テネイシン(tenascin)、ファイブリン(fibulin))や硫酸化糖脂質などを例示することができる。

0020

ここで、プロテオグリカンのドメイン等としてG1ドメインに特異的に結合するプローブとしては、例えば、ラット軟骨肉腫のプロテオグリカンを抗原として得られた抗体等の免疫学的プローブを例示することができる。このような免疫学的プローブとしては、例えば、12/21/1−C−6としてDevelopmental Studies Hybridoma Bank, the University of Iowa, USAより入手可能なマウスモノクローナル抗体等が挙げられる。
この他、G1ドメインに特異的に結合する非免疫学的プローブとして、ヒアルロン酸を用いてもよい。G1ドメインは、ヒアルロン酸と特異的に結合することが知られており、ヒアルロン酸により測定されるG1ドメインは、ヒアルロン酸との結合機能を保持しているということができる。

0021

GAG結合ドメインに特異的に結合するプローブとしては、例えば、当該ドメインに共有結合しているグリコサミノグリカン(GAG)を免疫学的に認識するプローブが挙げられる。
後述するように、プロテオグリカン含有組成物(またはプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物)からタンパク質を分離する場合には、コアタンパクに結合していない遊離の糖鎖(GAG等)は除去される。このようなタンパク質分離物に含まれるGAGは、すなわちプロテオグリカン(のGAG結合ドメイン)に結合しているGAGということができるため、タンパク質分離物に含まれるGAGを介して、当該分離物におけるプロテオグリカンのコアタンパク(のGAG結合ドメイン)を検出することができる。
このような免疫学的プローブとしては、例えば、コンドロイチン硫酸A鎖およびC鎖を認識するプローブを例示することができ、そのようなプローブとしては、例えば、CS−56としてSigma-Aldrich社等より入手可能なマウスモノクローナル抗体が挙げられる。
また、コンドロイチン硫酸が結合していたプロテオグリカンをコンドロイチンABCリアーゼにより消化し、得られた消化産物を免疫学的に認識するプローブも、好適に例示することができる。得られた消化産物の非還元末端ヘキスロン酸は、4位と5位の間に二重結合をもつ不飽和ヘキスロン酸(Δ4HexUA)である。上記免疫学的プローブは、コンドロイチン硫酸のうち、コンドロイチンABCリアーゼにより消化されてコアタンパク側に残った分解断片の非還元末端の不飽和二糖構造(切り株(stub))を認識する。このようなプローブとしては、例えば、1−B−5、2−B−6および3−B−3等のマウスモノクローナル抗体が挙げられる。ここで、1−B−5はコンドロイチンの切り株の二糖構造(Δ4GlcUAβ1−3GalNAc,ΔDi0S)を認識し、2−B−6はコンドロイチン硫酸Aの切り株の二糖構造(Δ4GlcUAβ1−3GalNAc(4S),ΔDi4S)を認識し、3−B−3はコンドロイチン硫酸Cの切り株の二糖構造(Δ4GlcUAβ1−3GalNAc(6S),ΔDi6S)を認識する。なお、後述する実施例においては、生化学バイオビジネス社より入手した3−B−3を使用したが、これら3種の抗体はAmsbio社やコスモ・バイオ社等からも入手可能である。
GAGを認識するこれらの免疫学的プローブを用いることで、GAGが保持されているか否か、またGAGの種類など、プロテオグリカンに結合しているGAGについて測定することができる。すなわち、本実施形態に係る測定方法によれば、コアタンパクを分析する方法でありながら、糖鎖分析を行わずに、プロテオグリカンの糖鎖(すなわちGAG)についても評価を行うことができる。

0022

また、EGF様モジュールに特異的に結合するプローブとしては、例えば、EGF様モジュール(サケ軟骨プロテオグリカン)中のアミノ酸配列1069RDLCEPNQCGTGTCSVQDGI1088(配列番号1)を免疫学的に認識するプローブを好適に例示することができる。かかるプローブとしては、例えば、常法に従い、上記アミノ酸配列を有するペプチドウサギ等に免疫して得られるポリクローナル抗体を例示することができる。

0023

G3ドメイン(EGF様モジュールを除く)に特異的に結合するプローブは、例えば、免疫学的プローブとして、JSCCDGとしてAffinity BioReagents, Golden, CO, USAより入手可能なウサギポリクローナル抗体、D−4としてSanta Cruz Biotechnology, Inc.より入手可能(カタログ番号sc-166951)なマウスモノクローナル抗体などを例示することができる。このうち、JSCCDGは、G3ドメイン(ヒトアグリカン)中のアミノ酸配列2277DGHPMQFENWRPNQPDN2293(配列番号2)を認識する抗体であり、サケ軟骨プロテオグリカンにおいては対応するアミノ酸配列1182DGSPLGFENWRPNQPDN1198(配列番号3)を認識するものと認められる。

0024

これらの各機能ドメイン等に特異的に結合するプローブは、本発明の一実施形態に係るプロテオグリカンの測定用キットを構成するものとすることができる。当該実施形態に係るプロテオグリカンの測定用キットは、G1ドメインを免疫学的に認識するプローブと、GAG結合ドメインを免疫学的に認識するプローブと、EGF様モジュールを免疫学的に認識するプローブとを備えることが好ましい。
上記測定用キットは、G3ドメイン(EGF様モジュールを除く)を免疫学的に認識するプローブをさらに備えることが特に好ましい。また、上記測定用キットは、非免疫学的プローブとしてのヒアルロン酸(G1ドメインが特異的に結合する)をさらに備えることも好ましい。

0025

3.プロテオグリカン含有組成物
本実施形態に係る測定方法の対象となる組成物は、プロテオグリカンを含有するものであれば特に制限されないが、例えば、経口での摂取が可能なものとして、一般食品、健康食品、保健機能食品特定保健用食品栄養機能食品,機能性表示食品)などの飲食品;医薬部外品医薬品;などが挙げられる。また、本実施形態に係る測定方法の対象となる組成物はこれらに限定されず、例えば、化粧料等の経皮組成物マスク歯ブラシ紙おむつ等の衛生・介護用品に用いる組成物;再生医療人工臓器等の医療系材料研究試薬;などであっても良い。
本実施形態の対象となるプロテオグリカン含有組成物は、プロテオグリカンの作用や機能性が重視される組成物であることが好ましく、また、当該組成物またはその包装に、プロテオグリカンを含有していることが表示される組成物であることがより好ましく、プロテオグリカン含有組成物は、プロテオグリカンが有する好ましい作用を表示可能であることが特に好ましい。かかる観点からは、本実施形態の対象となる特に好適な組成物として、飲食品や化粧料を挙げることができ、保健機能食品(特定保健用食品,機能性表示食品、栄養機能食品)、化粧料であることが好ましく、保健機能食品であることが特に好ましい。

0026

さらに、本実施形態の測定方法は、例えば、サケ軟骨等の原料からの抽出物(プロテオグリカン含有抽出物)を対象としても良い。例えば、当該抽出物から精製されたプロテオグリカンを測定標準とし、精製前のプロテオグリカン含有抽出物を測定することで、当該抽出物に含まれるプロテオグリカンの割合等を算出することができる。かかる方法は、製造ロットの異なる抽出物どうしにおけるロット管理や、長期間保管した後の抽出物に含まれるプロテオグリカン量の管理などに有用である。
かかる方法において測定標準とするための精製プロテオグリカンは、例えば、イオン交換クロマトグラフィー、さらにはイオン交換クロマトグラフィーに続けてゲルろ過クロマトグラフィーを行うことにより得られる画分であって、ウロン酸カルバゾール法等により定量可能)およびタンパク質(280nmの吸光度、Bradford法等により定量可能)の両者が検出される画分として得ることができる。

0027

4.抽出・前処理
上記プロテオグリカン含有組成物は、当該組成物が水溶液(例えば、飲料;化粧水乳液等)である場合は、基本的には、そのまま免疫学的測定に供することができる。ただし、当該プロテオグリカン含有組成物が、茶系飲料果汁飲料のように不溶物を含む水溶液である場合には、フィルター等により不溶物を除去してもよい。この場合、さらにフィルターを通す前の試料と通した後の試料とで本実施形態の測定を行うこともまた好ましい。
一方、プロテオグリカン含有組成物が固形あるいはゲル状の組成物である場合は、当該組成物を水性溶媒にて抽出することが好ましい。なお、本実施形態における「抽出」は、組成物が水性溶媒等に完全に溶解する態様も包含し、類義語も同様である。
ただし、植物由来物高濃度に含有する組成物は、植物に由来する成分(ポリフェノール等)が一般的な免疫学的測定に対し阻害的に寄与する場合がある。植物由来物を高濃度に含有する組成物としては、例えば、果汁野菜汁入り飲料、茶系飲料、コーヒー飲料果実酒などが例示される。これらについて本実施形態の測定対象とする場合は、ポリビニルポリピロリドン等により前処理してから測定を行うことも好ましい。
水性溶媒としては、水、生理食塩水緩衝液等を適宜用いることができる。緩衝液としては、トリス緩衝液リン酸緩衝液を用いればよく、さらに、NaClやBSA等の血清アルブミンを含んでいてもよい。水性溶媒の中では水を用いることが特に好ましい。
抽出操作は、例えば、必要に応じてブレンダーホモジナイザーフードカッター等を用いてプロテオグリカン含有組成物をホモジナイズし、水性溶媒を添加し、4℃、10分〜24時間程度、静置または振盪することにより行なうことができる。また、プロテアーゼインヒビター存在下、4℃、72時間程度かけて抽出しても問題ない。なお、油脂を含む組成物の場合、液体はそのまま、クリーム状のものや固形のものは上記水性溶媒にて抽出(可溶化)した後、油相水相に分離して、水相について分析を実施してもよい。

0028

プロテオグリカンは、高度に水溶性であるため、特別な可溶化剤を用いなくても水性溶媒に効率よく抽出される。なお、可溶化剤を用いた場合、却って核酸などの別の成分も抽出されて粘度が増したり、検出結果が複雑になる場合もある。得られた水性溶媒抽出物は、そのままの状態、すなわち特段の精製を行わず混合物のままであっても、後述する免疫学的測定に供することができる。そのため、本実施形態によれば、プロテオグリカンを非常に簡便に測定することができる。
ただし、測定の対象となるプロテオグリカン含有組成物によっては、効率的な抽出のために、グアニジン塩酸塩尿素等の変性剤ドデシル硫酸ナトリウム(Sodium dodecyl sulfate,SDS)、Tween20等の界面活性剤;などを、抽出のための上記水性溶媒に加えても良く、残渣がある場合はこれを除くために0.45nmメッシュのフィルターを使用してもよい。また、必要に応じてさらなる精製を行っても良い。

0029

なお、プロテオグリカンのC末端/N末端側の球状ドメインの免疫学的測定においては、従来は還元・アルキル化処理が必要であると考えられていた。還元・アルキル化処理とは、タンパク質のジスルフィド結合を還元し、さらにアルキル化処理することにより、ジスルフィド結合を不可逆的に解離させる処理をいう。
しかし、本実施形態においては、還元・アルキル化処理を行わなくてもよい。本実施形態によれば、還元・アルキル化処理を行わなくとも免疫学的測定を行うことができるため、還元・アルキル化処理を省略することで、より一層簡便に測定を行うことができる。また、例えば、還元・アルキル化処理を行った場合、一部のタンパク質が不溶化することがある。このように、還元・アルキル化をはじめとする前処理においては、試料のロスあるいは変質が起こる場合もあり、前処理のステップは少ない方が結果の精度、信頼度が高く、望ましい。
なお、還元・アルキル化処理を行わない場合において、還元処理またはアルキル化処理の一方のみ(例えば、還元処理のみ)を行う態様を排除するものではないが、簡便性を向上させる観点から、どちらも行わないことがより一層好ましい。

0030

なお、免疫学的測定において、コンドロイチンABCリアーゼの消化産物を認識するプローブを用いる場合には、プロテオグリカン含有組成物(またはプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物)を、コンドロイチンABCリアーゼで処理することを要する。ただし、コンドロイチンABCリアーゼによる酵素処理は、還元・アルキル化処理と比べると簡便である。

0031

5.タンパク質の分離
本実施形態においては、上記のようにして得られたプロテオグリカン含有組成物(またはプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物)から、タンパク質を分離することが好ましい。プロテオグリカンをはじめとするタンパク質を分離することで、組成物に含まれる色素などの他の成分が、後述する免疫学的測定において結果に悪影響を及ぼす可能性を低減することができる。
さらに、GAGに結合するプローブを用いてGAG結合ドメインを検出する場合には、コアタンパク(のGAG結合ドメイン)から遊離した糖鎖(GAG等)と分離することで、GAG結合ドメインのより正確な検出および定量が可能となる。

0032

タンパク質を分離する方法は特に限定されず、例えば、タンパク質を固定可能な担体(膜、マイクロプレート等)を用いて糖鎖等と分離する方法、各種クロマトグラフィーに付す方法等を例示することができるが、簡便性の観点から、タンパク質を固定可能な担体を用いる方法が好ましく、担体としては膜を用いることが特に好ましい。
これらの中でも、上記プロテオグリカン含有組成物(またはプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物)を、タンパク質固定用膜にスポットする、いわゆるドットブロット法は特に好適な方法である。タンパク質固定用膜としては、ポリフッ化ビニリデンPVDF)膜、ニトロセルロース膜等を用いることができるが、洗浄メタノールを用いることができ、固定用膜に吸着したタンパク質以外の成分を洗浄できる点から、PVDF膜を用いることがより望ましい。また、プロテオグリカン含有組成物等を、スロットブロッターを接続したアスピレーター等により吸引しながらスポットしてもよく、この場合スポットした試料の面積を一定に保つことができ結果の信頼度が高まるため、より好ましい。このように構成することで、プロテオグリカンをはじめとするタンパク質が膜に吸着・固定される一方、糖鎖(さらには、コンドロイチンABCリアーゼ処理を行っている場合は、コアタンパクをもたない糖鎖側の分解産物等)のほか、組成物に含まれる色素などの成分は膜に吸着しないため、これらを簡便に除去することができ、タンパク質を簡便に分離することができる。

0033

6.免疫学的測定
以上のようにして得られたタンパク質分離物は、免疫学的測定に供することで、プロテオグリカンの各機能ドメイン等を測定することができる。免疫学的検出法としては、例えば、ELISA法等の酵素免疫測定法EIA)、放射性免疫測定法RIA)、化学発光免疫測定法CIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、免疫比濁法(TIA)、ラテックス凝集法、イムノクロマト法等が挙げられ、いずれを採用しても良い。ここで、上記タンパク質の分離において、膜やマイクロプレート等の担体を用いる場合には、担体に固定されたタンパク質をそのまま検出可能であり、簡便であることから、ELISA法等の酵素免疫測定法(EIA)、放射性免疫測定法(RIA)、化学発光免疫測定法(CIA)、蛍光免疫測定法(FIA)などを特に好ましく採用できる。

0034

タンパク質を膜やマイクロプレート等の担体に固定させたのちは、常法に従ってブロッキング、プローブ(抗体)処理等を経て、プロテオグリカンを検出し、測定値を数値として得ることができる。なお、プロテオグリカンに結合したプローブを検出するにあたり、プローブを特異的に認識し、かつ標識された二次抗体等を用いてもよく、また、プロテオグリカンに結合するプローブそのものが標識されている場合には二次抗体等は不要となる。

0035

7.非免疫学的測定
本実施形態においては、上記免疫学的測定に加え、非免疫学的プローブを用いてプロテオグリカンの各機能ドメイン等を測定することも好ましい。
好ましい非免疫学的プローブとして、ヒアルロン酸を例示することができる。プロテオグリカンのG1ドメインはヒアルロン酸と特異的に結合するため、ヒアルロン酸を用いて測定することにより、測定対象組成物中のプロテオグリカン(のG1ドメイン)が、ヒアルロン酸との結合機能を保持しているか否かを評価することができる。プロテオグリカンに結合したヒアルロン酸は、例えば、標識したヒアルロン酸結合タンパク質(HABP)等を介して検出することができる。
非免疫学的測定は、免疫学的測定と同様に、プロテオグリカン含有組成物(またはプロテオグリカン含有組成物の水性溶媒抽出物)から、タンパク質を分離したタンパク質分離物に対して行うことが好ましく、タンパク質の分離は、簡便性の観点から、タンパク質を固定可能な担体(膜、マイクロプレート等)を用いることが特に好ましい。

0036

以上述べた実施形態に係るプロテオグリカンの測定方法によれば、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンを簡便に測定することができる。

0037

〔プロテオグリカンの評価方法〕
本実施形態に係るプロテオグリカンの評価方法は、プロテオグリカン含有組成物に含まれるプロテオグリカンを評価するものであって、前述した実施形態に係る測定方法にて得られた測定値を指標とするものである。

0038

本実施形態の評価方法によれば、プロテオグリカン含有組成物中におけるプロテオグリカンの状態(量や構造等)等を簡便に評価することができる。
すなわち、前述した測定方法により、プロテオグリカン含有組成物において、プロテオグリカンの複数のドメイン等の測定値が得られている。かかる測定値を指標とすることにより、当該組成物においてそれぞれの機能ドメイン等が保持されているか否か、さらには各機能ドメインの割合などを総合的に評価することができる。例えば、G1ドメイン、GAG結合ドメイン、およびEGF様モジュールを全て測定することで、さらにはG3ドメイン(EGF様モジュールを除く)についても併せて測定することで、各機能ドメインの保持状況や割合などを総合的に評価することができる。

0039

例えば、プロテオグリカンの全体構造が保持されていることで当該プロテオグリカンの作用または機能性が発揮される場合には、プロテオグリカン含有組成物においてそれぞれの機能ドメイン等が保持されているか否かを評価することにより、当該組成物におけるプロテオグリカンの品質を評価することができる。
一方、プロテオグリカンを断片化させる等により特定の機能ドメイン等を欠失させることで、当該プロテオグリカンの作用または機能性が発揮される場合には、プロテオグリカン含有組成物において特定の機能ドメイン等が欠失しているか否かを評価することにより、当該組成物におけるプロテオグリカンの品質を評価することも可能である。

0040

また、プロテオグリカン含有組成物(例えば、飲食品や化粧料等)は、製造工程等において酸や熱などが課せられたりプロテアーゼ等が混入してしまったり、長期間保管されたりする場合がある。このような製造工程等や保管期間等において、その前後でプロテオグリカン量が維持されているか否か、プロテオグリカンの各機能ドメインが保持されているか否か、あるいは特定の機能ドメイン等が欠失しているか否かを評価することにより、製造工程等や保管期間等の前後でプロテオグリカンの品質が保持されているかを評価することもできる。例えば、G1ドメインは配合時のまま製造工程等や保管期間等を経ても保持されているが、G3ドメインは配合時よりも減っているなど、製造工程等や保管期間等の前後における各機能ドメインの保持状況と割合などの変化を総合的に評価することができる。
さらに、本実施形態によれば、原料としてのプロテオグリカンが、処方設計のとおり確かに配合されているか否かのチェックなどにも使用することができる。

0041

以上述べた、本発明の実施形態に係るプロテオグリカン測定方法、プロテオグリカン測定用キット、およびプロテオグリカン評価方法によれば、以下の利点が得られる。

0042

(1)プロテオグリカンが高い水溶性を有すること、また免疫学的測定によりプロテオグリカン特異的に測定できることにより、プロテオグリカン含有組成物について、精製などの煩雑な工程を経ることなく水溶性の混合物のままでも簡便に測定することができる。水溶液である組成物はそのまま、固形あるいはゲル状等の組成物は水性溶媒にて抽出することにより、水溶性のタンパク質成分を試料として分析することができる。油分を含む組成物の場合には、油分を分離した後に得られる水溶性のタンパク質含有画分を試料として分析することができる。
超遠心やクロマトグラフィー等の煩雑な操作や、超遠心機HPLC質量分析計電子顕微鏡原子間力顕微鏡等の特別の装置を必要とすることなく、さらにはプロテオグリカンの取り扱いに関するノウハウ等も特段必要とせず、非常に簡便に測定・評価することができるため、プロテオグリカンの取り扱いに慣れていない製造業種の開発部門成分分析部門においても広く利用可能であり、第一段階の簡便な測定方法・品質評価法として期待される。

0043

(2)飲食品や化粧料等の、プロテオグリカン含有組成物には、糖質・糖鎖、タンパク質、油分・脂質、色素、香料保存料など、プロテオグリカン以外の様々な成分が共存する場合が多い。従来のプロテオグリカン定量の試みにおいては、糖鎖に着目した分析(主として比色分析)や、濁度に依存する方法が用いられており、プロテオグリカン含有組成物に含まれ得るペクチン多糖)やグルコース単糖)等が分析に影響し、測定結果に多大な影響を及ぼし得るため、真の定量結果と言い難い場合があった。
これに対し、本実施形態によれば、免疫学的測定によりプロテオグリカン特異的に測定あるいは評価することができ、糖質・糖鎖、色素等が含まれ得る組成物であっても、プロテオグリカンを特異的に測定・評価することができる。

0044

(3)従来の糖鎖に着目した分析等では、プロテオグリカンのコアタンパクの状態までは情報を得ることができないものであった。
これに対し、本実施形態によれば、プロテオグリカンのコアタンパクにおける複数の機能ドメイン等に着目して測定・評価するため、プロテオグリカンの品質を簡便に評価することができる。本実施形態における測定や品質評価の対象は、全体構造が保持されたプロテオグリカンを使用した組成物であってもよく、断片化プロテオグリカンを使用した組成物であっても良い。

0045

以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等方法をも含む趣旨である。

0046

以下、試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の各例に何ら制限されるものではない。

0047

〔免疫学的プローブ〕
プロテオグリカンの各機能ドメイン等を免疫学的に認識するプローブとして、それぞれに示す抗体を用いた。
EGF様モジュール
サケ軟骨プロテオグリカン(アグリカン)(GenBankAccession No.: BAJ61837.1)のEGF様モジュール中のアミノ酸配列のペプチド(1069RDLCEPNQCGTGTCSVQDGI1088(配列番号3))を合成し、そのN末端側にウシチオグロブリンを連結して、ウサギに免疫し、ポリクローナル抗体を得た(Carbohydr. Polym. 103, 538-49 (2014)参照)。なお、ポリクローナル抗体は3種得られており(No.1〜3)、以下の試験においてはかかる3種のウサギポリクローナル抗体を用いた。
G1ドメイン
12/21/1−C−6(Developmental Studies Hybridoma Bank, the University of Iowa, USAより入手したマウスモノクローナル抗体)を用いた。
GAG結合ドメイン
CS−56(マウスモノクローナル抗体,Sigma-Aldrich社より入手)、および3−B−3(マウスモノクローナル抗体,生化学バイオビジネス社より入手)を用いた。
G3ドメイン(EGF様モジュール以外の領域)
JSCCDG(ウサギポリクローナル抗体,Affinity BioReagents, Golden, CO, USAより入手)を用いた。

0048

また、二次抗体としては、マウスモノクローナル抗体(12/21/1−C−6:G1ドメイン,CS−56および3−B−3:GAG結合ドメイン)に対しては抗マウスIgG抗体ウサギ由来ペルオキシダーゼ標識)を用い、ウサギポリクローナル抗体(抗サケ鼻軟骨プロテオグリカンEGF様モジュール抗体No.1〜3,JSCCDG:G3ドメイン)に対しては抗ウサギIgGヤギ由来,ペルオキシダーゼ標識)を用いた。

0049

〔非免疫学的プローブ〕
ヒアルロン酸結合試験においては、非免疫学的プローブとしてヒアルロン酸(分子量100万〜140万,フードケミファ社製)を用いた。
また、プロテオグリカンに結合したヒアルロン酸の検出には、ビオチン化したヒアルロン酸結合タンパク質(HABP)(ビオチン化HABP,生化学バイオビジネス社製,製品番号:400763)、およびペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジン(DAKO社製)を用いた。
なお、ヒアルロン酸結合試験の陽性対照として、ビオチン化されていないHABP(生化学バイオビジネス社,製品番号:400762)を用いた。

0050

〔免疫学的測定〕
還元アルキル化処理あるいは非処理の試料(プロテオグリカン含有熱水抽出物)をPVDF膜にスポットし、ドットブロット法によりプロテオグリカンのコアタンパクの各種ドメインを認識する抗体との反応性について検量線を作成した。この検量線を用いて、被検試料(食品サンプル)中に含まれる抗体と反応するプロテオグリカンの定量を行った。
なお、還元アルキル化処理は、4Mグアニジン塩酸−100mMジチオスレイトールにて、窒素ガス存在下、42℃2時間の還元処理を行った後、150mMヨードアセトアミドにて室温(20−25℃)3時間のアルキル化処理を行った。

0051

また、GAG結合ドメインを認識する抗体として3−B−3を用いる試験においては、あらかじめコンドロイチンABCリアーゼ消化を行ったものを被験試料とした。具体的には、プロテアーゼインヒビターの存在下、5 mU/100μgタンパク質のコンドロイチナーゼABC(商品名,Sigma-Aldlich社製,製品番号:C2905,Proteus vulgaris由来)で、50mM Tris-HCl(pH8.0)−60mM sodium acetate中、37℃・2h処理した。得られたコンドロイチンABCリアーゼ消化産物は、コンドロイチン硫酸鎖のうち非還元末端のグルクロン酸の4位と5位の間に二重結合をもつ不飽和オリゴ糖コアタンパク質側に残り、かかるオリゴ糖の非還元末端の不飽和二糖構造を上記3−B−3が認識する。なお、コンドロイチンABCリアーゼ消化産物をPVDF膜にスポットすると、プロテオグリカンのコアタンパクを含むタンパク質がPVDF膜に吸着される一方、消化された糖鎖は吸着せず除去されるため、タンパク質を分離することができる。すなわち、本試験系で検出された不飽和二糖構造はコアタンパクと共有結合している糖鎖の非還元末端に位置する。

0052

タンパク質のドットブロットは、被験試料をPVDF膜にスポットした後、5%スキムミルク-TBSにてブロッキング(室温(20−25℃),1h)、3%スキムミルク-TBSにて希釈した上記免疫学的プローブ(一次抗体)にて抗体反応(室温,一晩)、3%スキムミルク-TBSにて希釈した上記二次抗体にて抗体反応(室温,1h)を順次行い、最終的な検出はECL発光)システムによった。プロテオグリカン含有熱水抽出物のタンパク量と抗体との反応を示すシグナル強度との関係をプロットした検量線に基づき、被験試料のシグナル強度から、抗体と反応するもののタンパク量を算出した。

0053

食品サンプルとして、市販の美容食品錠剤)を使用した。1錠(重量0.85g)を、1)水、2)プロテアーゼインヒビターを含む水、3)プロテアーゼインヒビターを含む4Mグアニジン塩酸のいずれかに溶解し、一定量を分析した。プロテオグリカン含有熱水抽出物以外の全ての成分を含む粉末0.85g(重量)について、プロテオグリカン非添加のコントロールとして用いて同時に分析した。
吸光度280nmの測定に基づく1錠の溶解液総タンパク量は、1)35.244mg、2)26.344mg、3)36.846mgであった。

0054

検量線は、プロテオグリカン含有熱水抽出物(J. Appl. Glycosci., 64 (4), 83-90, (2017)に沿って調製)を標準として用い、図中に示すタンパク量(例えば、0.02〜2μg,Bradford法により定量)の範囲でスポットし、抗体との反応性(シグナル強度)をプロットすることにより作成した。
被験試料と同様の処理を施したプロテオグリカン非添加のコントロール粉末の溶解液は、比較する錠剤の溶解液と同じ容量を分析に供した。

0055

さらに、陽性コントロールとしての精製プロテオグリカン(詳細はJ. Appl. Glycosci., 64 (4), 83-90, (2017)を参照)として、上記プロテオグリカン含有熱水抽出物よりDEAE−Sephacel陰イオン交換カラムクロマトグラフィーに続くSepharose CL-4Bカラムクロマトグラフィー(プロテアーゼ阻害剤を含む4Mグアニジン塩酸−50mM酢酸緩衝液(pH6.0)にて溶出)で分画した。各フラクションのウロン酸量をカルバゾール硫酸法により、タンパク量を吸光度280nmの測定により算出し、ウロン酸とタンパク質の両者が検出される画分をプロテオグリカンとした。
精製前(熱水抽出物)のタンパク量とCL-4B精製後のタンパク量(ウロン酸およびタンパク質の両者が検出される画分におけるタンパク量の合計)との対比により、熱水抽出物中に含まれるプロテオグリカンの割合は3.78%と算出された。また、精製前のウロン酸量とCL-4B精製後のウロン酸量との対比により、熱水抽出物中からのプロテオグリカンの回収率は86.1%と算出された。後述する試験例においてはプロテオグリカン画分のうち高分子量の画分を陽性対照として用いた。

0056

〔非免疫学的測定(ヒアルロン酸結合試験)〕
各0.2μg(Bradford法により定量)のプロテオグリカン含有熱水抽出物を含む食品試料をPVDF膜にスポットし、5%スキムミルク-TBSにてブロッキング(室温(20−25℃),1h)、1%BSA-TBSにて希釈したヒアルロン酸(最終濃度は0.067%(分子量100万〜140万))とインキュベート(室温,一晩)、1%BSA-TBSにて希釈した0.1μg/mLビオチン化HABPにてインキュベート(室温,遮光,一晩)、1%BSA-TBSにて1/1000希釈したペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンにてインキュベート(室温,1h)を順次行い、最終的な検出はECL(発光)システムによった。

0057

〔結果〕
EGF様モジュールについて
サケ軟骨プロテオグリカン(GenBankAccession No.: BAJ61837.1)のEGF様モジュールをウサギに免疫して得られた3種のポリクローナル抗体(No.1〜3)を用いてドットブロット法によりプロテオグリカンを検出した。
還元アルキル化処理あり(+)、なし(-)のプロテオグリカン含有熱水抽出物をPVDF膜にブロットし、抗EGF様モジュール抗体No.1〜3を用いて検出した。抗体No.3を用いて検出した結果を図2Aに、得られた測定値に基づき検量線を作成した結果を図2Bに、それぞれ示す。なお、抗体No.3の結果のみを示しているが、抗体No.1および抗体No.2についても同様の結果が得られている。
抗EGF様モジュール抗体No.3(ならびにNo.1および2)を用いた場合、還元アルカリ化処理を省いても良好な検量線を作成することができ、プロテオグリカンを簡便に検出できることが明らかとなった。

0058

また、プロテオグリカン含有食品試料について、還元アルキル化処理を行わず、ドットブロット法にてプロテオグリカン含有量を定量した。対照として、プロテオグリカンを含有せずその他の成分が同じである試料についても同様に分析した。抗体No.3を用いた結果を図3および表1に示す。
なお、プロテオグリカン量は、プロテオグリカン含有サンプルの各々のシグナル強度からプロテオグリカン非添加のコントロールのシグナル強度を差し引いた値より計算した。プロテオグリカン熱水抽出物の検量線より抽出物換算量を算出し、当該抽出物に含まれるプロテオグリカンの割合(3.78%)より、各サンプルにおけるプロテオグリカン量を算出した。

0059

0060

G1ドメインについて
(12/21/1−C−6)
G1ドメインについても、抗G1ドメイン抗体(12/21/1−C−6)を用い、前述した抗EGF様モジュール抗体と同様に、ドットブロット法にて検出した。他の抗体と同様にプロテオグリカン含有熱水抽出物0.02〜2μgを検出した結果を図4Aに、得られた結果に基づき検量線を作成した結果を図4Bに、それぞれ示す。
抗G1抗体を用いて評価する場合、還元アルキル化処理を行う場合は低用量でも充分に検出可能であるが、還元アルキル化処理を行わない場合、このタンパク量の範囲(0.02〜2μg)では検出は難しく、より多くの試料を要すると考えられた。

0061

そこで、プロテオグリカン含有食品試料について、還元アルキル化処理を行わず、スポットするタンパク量を増やし、ドットブロット法にてプロテオグリカン含有熱水抽出物の量を定量した。プロテオグリカン含有組成物としては、(a)超純水(control);(b)アルカリイオン水(pH8.3);(c)緑茶(静置後の上清);(d)サイダー(静置後の上清);(e)乳酸菌飲料(振り混ぜた後分注);(f) 100%リンゴジュース(振り混ぜた後分注し、静置後の上清);(g)美容ドリンク(振り混ぜた後分注);(h)スポーツドリンク(振り混ぜた後分注);(i)プロテイン入りドリンク(静置後の上清);の合計9種について、それぞれ遠心(5,000r.p.m.,10分)後の上清についてプロテオグリカン含有熱水抽出物を5μg添加した直後のサンプルと、あらかじめ調製後4℃1週間保存したサンプルとをスポットした。検出した結果を図5Aに、得られた結果に基づき検量線を作成した結果を図5Bに、得られた検量線に基づきサンプル中のプロテオグリカン含有熱水抽出物のタンパク量を算出した結果を図5Cに、それぞれ示す。
図5AおよびBに示すように、抗G1ドメイン抗体を用いて還元アルキル化処理を行わないサンプルを検出する場合であっても、スポットするタンパク量を増やすことで、良好に検出することができた。そして、図5Cに示すように、保存前後のサンプルを対比することで、保存工程においてプロテオグリカンのG1ドメインが保持されているか否かを評価できることが確認された。

0062

(ヒアルロン酸)
G1ドメインについて、ヒアルロン酸を用い、ドットブロット法にて検出した。ヒアルロン酸は、分子量100万〜140万のものを用いた。なお、還元アルキル化処理は行わずに試験を実施した。
プロテオグリカン含有熱水抽出物(還元アルキル化処理なし)0.02〜2μgをスポットし検出して検量線を作成するとともに、抗G1ドメイン抗体(12/21/1−C−6)での試験と同じ組成物(a)〜(i)の9種についても、それぞれ遠心(5,000r.p.m.,10分)後の上清を0.45μmフィルターに通し、得られた各組成物について、プロテオグリカン含有熱水抽出物を0.2μg添加した直後のサンプルと、あらかじめ調製後4℃1週間保存したサンプルと、プロテオグリカン含有熱水抽出物を添加しないサンプルとを、PVDF膜にスポットした。
結果を図6に示す。検出した結果を図6Aに、得られた結果に基づき検量線を作成した結果を図6Bに、得られた検量線に基づきサンプル中のプロテオグリカン含有熱水抽出物のタンパク量を算出した結果を図6Cに、それぞれ示す。
G1ドメインは、ヒアルロン酸と特異的に結合することから、本試験で検出されるG1ドメインは、ヒアルロン酸との結合機能を保持しているということができる。

0063

得られた結果より、ヒアルロン酸によりG1ドメインを検出できることが示された。なお、ヒアルロン酸として分子量5万〜11万のものを用いた場合でも同様の結果が得られており、プローブとして用いるヒアルロン酸の分子量は特に制限されないものと認められる。
図6Cに示すように、保存前後のサンプルを対比することで、保存工程においてプロテオグリカンのG1ドメインの機能(ヒアルロン酸との結合能/結合活性)が保持されているか否かを評価できることが確認された。

0064

GAG結合ドメインについて
(CS−56)
GAG結合ドメインについて、さらに、当該ドメインに結合した糖鎖を認識する抗体(CS−56)を用い、ドットブロット法にて検出した。検出した結果を図7に示す。
CS−56を用いて評価する場合、還元アルキル化処理を行う方が感度に優れているが、還元アルキル化処理を省略しても充分な検量線を作成できると認められた。

0065

また、プロテオグリカン含有食品試料について、還元アルキル化処理を行わず、ドットブロット法にてプロテオグリカン含有量を定量した。対照として、プロテオグリカンを含有せずその他の成分が同じである試料についても同様に分析した。結果を図8および表2に示す。

0066

0067

(3−B−3)
GAG結合ドメインについて、さらに、当該ドメインに結合した糖鎖の切り株を認識する抗体(3−B−3)を用い、ドットブロット法にて検出した。なお、本抗体の試験においては、あらかじめコンドロイチンABCリアーゼにて消化したサンプルを用いた。コンドロイチンABCリアーゼ消化産物は、コンドロイチン硫酸鎖のうち非還元末端のグルクロン酸の4位と5位の間に二重結合をもつ不飽和オリゴ糖構造がコアタンパク側に残り、かかる末端の不飽和二糖構造(切り株)を上記3−B−3が認識する。
本試験により検出した結果を図9Aに、得られた結果に基づき検量線を作成した結果を図9Bに、それぞれ示す。
3−B−3を用いて評価する場合、還元アルキル化処理を省略することでむしろ良好に検出することができると認められた。なお、コンドロイチンABCリアーゼ処理の手間は生じるが、還元アルキル化処理と比較すると簡便である。

0068

また、プロテオグリカン含有食品試料について、還元アルキル化処理を行わず、ドットブロット法にてプロテオグリカン含有量を定量した。対照として、プロテオグリカンを含有せずその他の成分が同じである試料についても同様に分析した。結果を図10および表3に示す。

0069

0070

G3ドメインについて
G3ドメイン(EGF様モジュール以外)についても、抗G3ドメイン抗体(JSCCDG)を用い、ドットブロット法にて検出した。検出した結果を図11Aに、得られた結果に基づき検量線を作成した結果を図11Bに、それぞれ示す。
抗G3抗体を用いて評価する場合、還元アルカリ化処理を省いても良好な検量線を作成することができ、プロテオグリカンを簡便に検出できることが明らかとなった。

0071

また、プロテオグリカン含有食品試料について、還元アルキル化処理を行わず、ドットブロット法にてプロテオグリカン含有量を定量した。対照として、プロテオグリカンを含有せずその他の成分が同じである試料についても同様に分析した。結果を図12および表4に示す。

実施例

0072

0073

本発明によれば、プロテオグリカン含有組成物について、精製などの煩雑な工程を経ることなく水溶性の混合物のままでも簡便に測定することができる。また、免疫学的測定であるためプロテオグリカン特異的に測定あるいは評価することができる。また、糖鎖ではなくコアタンパクにおける複数の機能ドメイン等に着目して測定・評価するため、プロテオグリカンの品質(プロテオグリカンの構造や量等)を簡便に評価することができる。さらに好ましくは、本発明はコアタンパクを分析する方法であるにもかかわらず、糖鎖分析を行わずに、GAGが保持されているか否か、またGAGの種類などといった、プロテオグリカンに結合しているプロテオグリカンの糖鎖(すなわちGAG)についても評価を行うことができる。
煩雑な操作や特別の装置を必要とすることなく、さらにはプロテオグリカンの取り扱いに関するノウハウ等も特段必要とせず、非常に簡便に測定・評価することができるため、プロテオグリカンの取り扱いに慣れていない製造業種の開発部門や成分分析部門においても広く利用可能であり、第一段階の簡便な測定方法・品質評価法として期待される。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ