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技術 複合体の製造方法

出願人 日本製紙株式会社
発明者 蜷川幸司中村知弘重見淳之中谷徹工藤まどか渕瀬萌
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-068622
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-165058
状態 未査定
技術分野 紙(4) 繊維製品の化学的、物理的処理
主要キーワード 各添加材 重油ボイラー オリフィス管 マイクロポリマ イオン供給量 流体噴流 キャビテーション数 X線回折法
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (3)

課題

本発明の課題は、無機物と繊維との複合体を製造する技術を提供することである。

解決手段

[工程1]繊維を溶媒に分散させる工程、[工程2]工程1で得られた繊維の分散液に薬品を添加し無機物と繊維の複合体を生成反応させる工程、[工程3]工程2で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を精選処理する工程を含む方法によって、効率的に無機物と繊維の複合体を製造する。

概要

背景

繊維は、その表面の官能基などに基づいて種々の特性を発揮するが、用途によっては表面を改質する必要が生じる場合もあり、これまで、繊維を表面改質する技術が開発されてきている。

例えば、セルロース繊維などの繊維上に無機粒子析出させる技術について、特許文献1には、結晶質炭酸カルシウムが繊維上に機械的に結合した複合体が記載されている。また、特許文献2には、パルプ懸濁液中炭酸ガス法により炭酸カルシウムを析出させることによって、パルプと炭酸カルシウムの複合体を製造する技術が記載されている。特許文献3には、紙と板紙用として多量の填料を繊維に加えて古紙繊維白色度清浄度を向上させる方法であって、古紙パルプスラリー気体液体接触装置に送って、流れに逆らってアルカリ塩のスラリーを流れの方向にパルプを接解領域において接解させると共に適当な反応性ガス送り沈降性填料と混ぜることによって繊維表面に填料を付着させる技術が記載されている。

また、特許文献4、5には、繊維ウェブ湿紙)を形成させる工程において炭酸カルシウムを析出させることによって、炭酸カルシウムが効率的に取り込まれた繊維ウェブを製造する技術が開示されている。

概要

本発明の課題は、無機物と繊維との複合体を製造する技術を提供することである。 [工程1]繊維を溶媒に分散させる工程、[工程2]工程1で得られた繊維の分散液に薬品を添加し無機物と繊維の複合体を生成反応させる工程、[工程3]工程2で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を精選処理する工程を含む方法によって、効率的に無機物と繊維の複合体を製造する。 なし

目的

そこで、本発明は、無機物によって繊維表面が被覆されている無機物と繊維の複合体の大規模生産に対して、効率的な製造方法を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記工程1〜3を含む無機物と繊維の複合体の製造方法。[工程1]繊維を溶媒に分散させる工程[工程2]工程1で得られた繊維の分散液に薬品を添加し無機物と繊維の複合体を生成反応させる工程[工程3]工程2で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を精選処理する工程

請求項2

[工程3]において、無機物と繊維の複合体の懸濁液をJISP8207のパルプふるい分け試験方法に従って測定した140メッシュパス微細繊維及び/または無機粒子が50%以下になるように精選処理することを含む、請求項1記載の複合体の製造方法。

請求項3

[工程2]において、工程1で得られた繊維の分散液に酸及び/又はアルカリを添加して所望のpHに調整することを特徴とする、請求項1ないし2記載の複合体の製造方法。

請求項4

工程3で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を成形することを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項5

繊維が合成繊維再生繊維、または天然繊維のいずれか1種または2種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項6

溶媒が水または有機溶媒のいずれか1つまたは2つ以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項7

無機物の少なくとも一部がカルシウムケイ酸マグネシウム亜鉛バリウムアルミニウム金属塩、あるいはチタン、銅、マグネシウム、亜鉛を含む金属粒子である、請求項1〜6のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項8

請求項9

前記工程2の前に、繊維を叩解する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項10

前記工程2において、撹拌機を用いて繊維および薬品を混合する、請求項1〜9のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項11

前記工程2において、ポンプによる循環回流もしくは噴流を用いて繊維および薬品を混合する、請求項1〜10のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項12

前記工程2が回分式もしくは連続式である請求項1〜11のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項13

前記工程3において、ろ過式分離、沈降濃縮蒸発濃縮加圧脱水のいずれかを用いて無機物と繊維の複合体の懸濁液を濃縮する、請求項1〜12のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項14

繊維表面の5%以上が無機物によって被覆されている複合体である請求項1〜13のいずれかに記載の複合体の製造方法。

請求項15

繊維に無機物が自己定着している複合体である請求項1〜14のいずれかに記載の複合体の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、無機物によって繊維表面が被覆されている無機物と繊維の複合体の製造方法に関する。特に本発明は、繊維表面の5%以上が無機物によって被覆されている無機物と繊維の複合体の製造方法に関する。

背景技術

0002

繊維は、その表面の官能基などに基づいて種々の特性を発揮するが、用途によっては表面を改質する必要が生じる場合もあり、これまで、繊維を表面改質する技術が開発されてきている。

0003

例えば、セルロース繊維などの繊維上に無機粒子析出させる技術について、特許文献1には、結晶質炭酸カルシウムが繊維上に機械的に結合した複合体が記載されている。また、特許文献2には、パルプ懸濁液中炭酸ガス法により炭酸カルシウムを析出させることによって、パルプと炭酸カルシウムの複合体を製造する技術が記載されている。特許文献3には、紙と板紙用として多量の填料を繊維に加えて古紙繊維白色度清浄度を向上させる方法であって、古紙パルプスラリー気体液体接触装置に送って、流れに逆らってアルカリ塩のスラリーを流れの方向にパルプを接解領域において接解させると共に適当な反応性ガス送り沈降性填料と混ぜることによって繊維表面に填料を付着させる技術が記載されている。

0004

また、特許文献4、5には、繊維ウェブ湿紙)を形成させる工程において炭酸カルシウムを析出させることによって、炭酸カルシウムが効率的に取り込まれた繊維ウェブを製造する技術が開示されている。

先行技術

0005

特開平06−158585号公報
米国特許第5679220号公報
米国特許第5665205号公報
特表2013−521417号公報
米国特許公開第2011/0000633号公報

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、これらに記載されている製造方法を含め、様々な複合体の製造方法は、実験室レベルにおける製造方法が開示されているに過ぎず、大規模生産においては、効率的な製造方法が開示されていないのが現状である。

0007

そこで、本発明は、無機物によって繊維表面が被覆されている無機物と繊維の複合体の大規模の生産に対して、効率的な製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、これに制限されるものでないが、以下の発明を包含する。
(1) 下記工程1〜3を含む無機物と繊維の複合体の製造方法。
[工程1] 繊維を溶媒に分散させる工程
[工程2] 工程1で得られた繊維の分散液に薬品を添加し無機物と繊維の複合体を生成反応させる工程
[工程3] 工程2で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を精選処理する工程
(2) [工程3]において、無機物と繊維の複合体の懸濁液をJIS P 8207のパルプのふるい分け試験方法に従って測定した140メッシュパス微細繊維及び/または無機粒子が50%以下になるように精選処理することを含む、(1)記載の複合体の製造方法。
(3) [工程2]において、工程1で得られた繊維の分散液に酸及び/又はアルカリを添加して所望のpHに調整することを特徴とする、(1)ないし(2)記載の複合体の製造方法。
(4) 工程3で得られた無機物と繊維の複合体の懸濁液より無機物と繊維の複合体を成形することを含む、(1)〜(3)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(5) 繊維が合成繊維再生繊維、または天然繊維のいずれか1種または2種以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(6) 溶媒が水または有機溶媒のいずれか1つまたは2つ以上である、(1)〜(5)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(7) 無機物の少なくとも一部がカルシウムケイ酸マグネシウム亜鉛バリウムアルミニウム金属塩、あるいはチタン、銅、マグネシウム、亜鉛を含む金属粒子である、(1)〜(6)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(8) 請求項1記載の薬品として、水酸化ナトリウム炭酸ナトリウム酸化チタン硫酸硫酸アルミニウム硫酸マグネシウム水酸化カルシウム水酸化バリウム水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム塩化マグネシウムケイ酸ナトリウム硫酸亜鉛塩化亜鉛硫酸銅塩化銅、炭酸ガスのいずれかを1つ以上含む、(1)〜(7)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(9) 前記工程2の前に、繊維を叩解する工程を含むことを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(10) 前記工程2において、撹拌機を用いて繊維および薬品を混合する、(1)〜(10)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(11) 前記工程2において、ポンプによる循環回流もしくは噴流を用いて繊維および薬品を混合する、(1)〜(10)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(12) 前記工程2が回分式もしくは連続式である請求項1〜11のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(13) 前記工程3において、ろ過式分離、沈降濃縮蒸発濃縮加圧脱水のいずれかを用いて無機物と繊維の複合体の懸濁液を濃縮する、(1)〜(12)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(14) 繊維表面の5%以上が無機物によって被覆されている複合体である(1)〜(13)のいずれかに記載の複合体の製造方法。
(15) 繊維に無機物が自己定着している複合体である(1)〜(14)のいずれかに記載の複合体の製造方法。

発明の効果

0009

本発明によれば、無機物によって繊維表面が被覆されている無機物と繊維の複合体の大規模な生産に対して、効率的な製造方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

図1は、本発明の実施例1で用いた反応装置の概略図である。
図2は、図2は、実験1で用いたウルトラファインバブル発生装置を示す模式図である。
図3は、本発明の実施例1で用いた反応装置の概略図である(キャビテーション装置)。

0011

本発明は、無機物によってその表面が被覆された繊維に関する。特に本発明は、繊維表面の5%以上が無機物によって被覆されている繊維・無機物複合体およびその製造方法に関する。

0012

また、本発明によって得られる繊維と無機物の複合体は、単に繊維と無機物が混在しているのではなく、水素結合等によってある程度繊維と無機物が自己定着しているので、離解処理によっても無機物が脱落することが少ない。複合体における繊維と無機物の結着の強さは、例えば、灰分歩留(%)、すなわち、(シートの灰分÷離解前の複合体の灰分)×100といった数値によって評価することができる。具体的には、複合体を水に分散させて固形分濃度0.2%に調整してJIS P 8220−1:2012に規定される標準離解機で5分間離解後、JIS P 8222:1998に従って150メッシュワイヤーを用いてシート化した際の灰分歩留を評価に用いることができ、好ましい態様において灰分歩留は20質量%以上であり、より好ましい態様において灰分歩留は50質量%以上である。

0013

1.製造フロー全体
本発明は、繊維を溶媒に分散させる工程、薬品を添加し反応させる工程、濃縮する工程を有する無機物と繊維の複合体の製造方法に関する。

0014

2.繊維
本発明において、繊維とは、例えば、天然のセルロース繊維はもちろん、レーヨンリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)や合成繊維などを制限なく使用することができる。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維(晒又は未晒木材パルプや精製リンタージュートマニラ麻ケナフ等の草本由来のパルプ、または非木材パルプ)、セルロースナノファイバー酢酸菌等の微生物によって生産されるバクテリアセルロースホヤなどの動物由来セルロース藻類など、及び上記セルロース原料加水分解アルカリ加水分解酵素分解爆砕処理振動ボールミル等の機械的処理等をすることによってセルロースを解重合した微細セルロースなどが例示される。木材パルプは、木材原料パルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツクロマツ、トドマツエゾマツ、ベニマツカラマツモミツガスギヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒヒバダグラスファーヘムロックホワイトファースプルースバルサムファー、シーダパイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材ブナカバハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバハコヤナギポプラタモ、ドロヤナギユーカリマングローブラワンアカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。

0015

木材原料(木質原料)などの天然材料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法サルファイト法ソーダ法ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプリファイナーグラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。

0016

非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、バガス、ケナフ、サトウキビトウモロコシ稲わらこうぞ)、みつまた等が例示される。

0017

パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、複合体シートの物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、シート強度の向上並びに無機物の定着促進が期待できる。

0018

また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロース酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロースMFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNFなど)として使用することもできる。本発明で用いる粉末セルロースとしては、例えば、精選パルプを酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉砕い分けするといった方法により製造される棒軸状である一定の粒径分布を有する結晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフロック(日本製紙製)、セオラス旭化成ケミカルズ製)、アビセルFMC社製)などの市販品を用いてもよい。粉末セルロースにおけるセルロースの重合度は好ましくは100〜1500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は好ましくは70〜90%であり、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は好ましくは1μm以上100μm以下である。本発明で用いる酸化セルロースは、例えばN−オキシル化合物、及び、臭化物ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することで得ることができる。

0019

セルロースナノファイバーとしては、上記セルロース原料を解繊する方法が用いられる。解繊方法としては、例えばセルロースや酸化セルロース等の化学変性セルロースの水懸濁液等を、リファイナー、高圧ホモジナイザー超高圧ホモジナイザー、グラインダー、一軸または多軸混練機ビーズミル等による機械的な磨砕、ないし叩解することにより解繊する方法を使用することができる。上記方法を1種または複数種類組み合わせてセルロースナノファイバーを製造してもよい。製造したセルロースナノファイバーの繊維径電子顕微鏡観察などで確認することができ、例えば5nm〜1000nm、好ましくは5nm〜500nm、より好ましくは5nm〜300nmの範囲にある。

0020

このセルロースナノファイバーを製造する際、セルロースを解繊及び/又は微細化する前及び/又は後に、任意の化合物をさらに添加してセルロースナノファイバーと反応させ、水酸基が修飾されたものにすることもできる。修飾する官能基としては、アセチル基エステル基エーテル基ケトン基ホルミル基ベンゾイル基アセタールヘミアセタールオキシムイソニトリルアレンチオール基ウレア基シアノ基ニトロ基アゾ基アリール基アラルキル基アミノ基、アミド基イミド基アクリロイル基メタクリロイル基プロピオニル基プロピオロイル基ブチリル基、2−ブチリル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、ヘプタノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ウンデカノイル基、ドデカノイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ナフトイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、フロイル基、シンナモイル基等のアシル基、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアノイル基等のイソシアネート基メチル基エチル基プロピル基、2−プロピル基、ブチル基、2−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基ヘキシル基、ヘプチル基オクチル基、ノニル基、デシル基ウンデシル基、ドデシル基ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基等のアルキル基オキシラン基オキセタン基オキシル基チイラン基チエタン基等が挙げられる。これらの置換基の中の水素が水酸基、カルボキシ基等の官能基で置換されても構わない。また、アルキル基の一部が不飽和結合になっていても構わない。これらの官能基を導入するために使用する化合物としては特に限定されず、例えば、リン酸由来の基を有する化合物、カルボン酸由来の基を有する化合物、硫酸由来の基を有する化合物、スルホン酸由来の基を有する化合物、アルキル基を有する化合物、アミン由来の基を有する化合物等が挙げられる。

0021

リン酸基を有する化合物としては特に限定されないが、リン酸、リン酸のリチウム塩であるリン酸二水素リチウムリン酸水素リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、ポリリン酸リチウムが挙げられる。更にリン酸のナトリウム塩であるリン酸二水素ナトリウムリン酸水素二ナトリウムリン酸三ナトリウムピロリン酸ナトリウムポリリン酸ナトリウムが挙げられる。更にリン酸のカリウム塩であるリン酸二水素カリウムリン酸水素二カリウムリン酸三カリウムピロリン酸カリウム、ポリリン酸カリウムが挙げられる。更にリン酸のアンモニウム塩であるリン酸二水素アンモニウムリン酸水素二アンモニウムリン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウムポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。これらのうち、リン酸基導入の効率が高く、工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましく、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムがより好ましいが、特に限定されない。カルボキシル基を有する化合物としては特に限定されないが、マレイン酸コハク酸フタル酸フマル酸グルタル酸アジピン酸イタコン酸等のジカルボン酸化合物クエン酸アコニット酸などトリカルボン酸化合物が挙げられる。

0022

カルボキシル基を有する化合物の酸無水物としては特に限定されないが、無水マレイン酸無水コハク酸無水フタル酸無水グルタル酸、無水アジピン酸、無水イタコン酸等のジカルボン酸化合物の酸無水物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の誘導体としては特に限定されないが、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物のイミド化物としては特に限定されないが、マレイミドコハク酸イミド、フタル酸イミド等のジカルボン酸化合物のイミド化物が挙げられる。カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の誘導体としては特に限定されない。例えば、ジメチルマレイン酸無水物ジエチルマレイン酸無水物、ジフェニルマレイン酸無水物等の、カルボキシル基を有する化合物の酸無水物の少なくとも一部の水素原子が置換基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されたものが挙げられる。上記カルボン酸由来の基を有する化合物のうち、工業的に適用しやすく、ガス化しやすいことから、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸が好ましいが、特に限定されない。また、化学的に結合させなくても、修飾する化合物がセルロースナノファイバーに物理的に吸着する形でセルロースナノファイバーを修飾してもよい。

0023

物理的に吸着する化合物としては界面活性剤等が挙げられ、アニオン性カチオン性ノニオン性いずれを用いてもよい。セルロースを解繊及び/又は粉砕する前に上記の修飾を行った場合、解繊及び/又は粉砕後にこれらの官能基を脱離させ、元の水酸基に戻すこともできる。以上のような修飾を施すことで、セルロースナノファイバーの解繊を促進したり、セルロースナノファイバーを使用する際に種々の物質と混合しやすくしたりすることができる。

0024

合成繊維や合成繊維とセルロース繊維との複合繊維も本発明において使用することができ、例えば、ポリエステル繊維ポリアミド繊維アクリル繊維ポリオレフィン繊維ポリビニルアルコール系繊維ポリウレタン繊維ガラス繊維炭素繊維、各種金属繊維なども単独、あるいは2種類以上を使用することもできるし、1種類または2種類以上とセルロース繊維との複合繊維も使用することができる。

0025

以上に示した繊維は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。中でも、木材パルプを含むか、若しくは、木材パルプと非木材パルプ及び/又は合成繊維との組み合わせを含むことが好ましく、木材パルプのみであることがより好ましい。

0026

好ましい態様において、本発明の複合体を構成する繊維はパルプ繊維である。また、例えば、製紙工場の排水から回収された繊維状物質を本発明の炭酸化反応に供給してもよい。このような物質を反応槽に供給することにより、種々の複合粒子を合成することができ、また、形状的にも繊維状粒子などを合成することができる。

0027

本発明においては、繊維の他にも、生成物である無機物に取り込まれて複合体を生成するような物質を用いることができる。本発明にいては、パルプ繊維を始めとする繊維を使用するが、それ以外にも無機物、有機物ポリマーなどを含む溶液中で無機物を合成することによって、さらにこれらの物質が取り込まれた複合体を製造することが可能である。

0028

複合化する繊維の繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm〜15mm程度とすることができ、1μm〜12mm、100μm〜10mm、500μm〜8mmなどとしてもよい。

0029

複合化する繊維は、繊維表面の5%以上が無機物で被覆されるような量で使用することが好ましいが、例えば、繊維と無機物の重量比を、5/95〜95/5とすることができ、10/90〜90/10、20/80〜80/20、30/70〜70/30、40/60〜60/40としてもよい。

0030

本発明により製造される複合体は、繊維表面の5%以上が無機物で被覆されており、このような面積率で繊維表面が被覆されていると無機物に起因する特徴が大きく生じるようになる一方、繊維表面に起因する特徴が小さくなる。

0031

3.無機物
本発明において、繊維と複合化する無機物は特に制限されないが、溶媒に不溶性または難溶性の無機物であることが好ましい。無機物の合成を水系で行う場合があり、また、複合体を水系で使用することもあるため、無機物が水に不溶性または難溶性であると好ましい。

0032

ここで言う無機物とは、金属もしくは金属化合物のことを言う。また、金属化合物とは、金属の陽イオン(例えばNa+、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+など)と陰イオン(例えば、O2−、OH−、CO32−、PO43−、SO42−、NO3−、Si2O32−、SiO32−、Cl−、F−、S2−など)がイオンによって結合してできた、一般に無機塩と呼ばれるものを言う。これら無機物の合成法気液法と液液法のいずれでもよい。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば、水酸化マグネシウムと炭酸ガスを反応させることで、炭酸マグネシウム合成することができる。液液法の例としては、酸(塩酸、硫酸など)と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは延期を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸を反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムを反応させることで水酸化アルミニウムを得たり、炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムを反応させることで、カルシウムとアルミニウムが複合化した無機物を得ることができる。また、このようにして無機物を合成する際、反応液中に任意の金属や金属化合物を共存させることもでき、この場合はそれらの金属もしくは金属化合物が無機物中に効率よく取り込まれ、複合化できる。例えば、炭酸カルシウムにリン酸を添加してリン酸カルシウムを合成する際に、二酸化チタンと反応液中に共存させることで、リン酸カルシウムとチタンの複合粒子を得ることができる。

0033

本発明の複合体は、一つの好ましい態様において、セルロース繊維の存在下で無機物を合成することによって得ることができる。セルロース繊維表面が、無機物の析出における好適な場となるため、無機物とセルロース繊維との複合体を合成しやすいためである。

0034

一つの好ましい態様として、本発明の複合体における無機物を、例えば、平均一次粒子径が1μm以下の無機粒子とすることができるが、平均一次粒子径が500nm以下の無機粒子や平均一次粒子径が200nm以下の無機粒子、さらには平均一次粒子径が100nm以下の無機粒子、平均一次粒子径が50nm以下の無機粒子を用いることができる。また、無機粒子の平均一次粒子径は10nm以上とすることも可能である。なお、平均一次粒子径は電子顕微鏡写真から算出することができる。

0035

また、本発明の複合体における無機粒子は、微細な一次粒子凝集した二次粒子の形態を取ることもあり、熟成工程によって用途に応じた二次粒子を生成させることができるし、粉砕によって凝集塊を細かくすることもできる。粉砕の方法としては、ボールミルサンドグラインダーミルインパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カングラインダアトライタ石臼型ミル、振動ミルカッターミルジェットミル、離解機、叩解機短軸押出機、2軸押出機超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。

0036

本発明の複合体を構成する無機粒子の平均粒子径や形状等は、電子顕微鏡による観察により確認することができる。さらに、無機物を合成する際の条件を調整することによって、種々の大きさや形状を有する無機物を繊維と複合体化することができる。

0037

以下に、各工程の好ましい態様について説明するが、本発明の複合体を製造するにあたっては必ずしもこの限りではない。各工程の間に、撹拌設備や加温、冷却設備、及び投入、排出を目的としたポンプ等を備えたタンクストレージを包含してよく、さらに、薬品や溶媒、蒸気注入するホッパーノズル等の設備が備えられていてもよい。また、薬品の溶解や濃度調整を目的とした送液設備付帯のタンク、ストレージを別途設置されていてもよい。

0038

4.工程1:調成工程
本発明において、使用する繊維の形状は特に限定されないが、例えば、スラリー(液)状、シート状、綿状マッシュ状ペレット状、クランブル状、粉状、フレーク状、顆粒状等の1つまたは2つ以上の混合体繊維原料を使用することができる。

0039

繊維を分散させる溶媒は、特に限定するものではない。例えば、水、メタノールエタノールイソプロピルアルコール2−ブタノール、1−ペンタノールオクチルアルコールデシルアルコールラウリルアルコールミリスチルアルコールステアリルアルコールグリセリンエチレングリコールプロピレングリコールエチレングリコールモノメチルエーテルジエチレングリコールモノメチルエーテルプロピレングリコールモノメチルエーテルジプロピレングリコールモノメチルエーテル2-メチル−1−プロパノールグリセリン等のアルコール類酢酸プロピオン酸カプリル酸カプリン酸ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸オレイン酸ステアリン、オレイン酸、リノレン酸乳酸安息香酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボン酸類ヘキサンヘプタンオクタンデカン流動パラフィン等の炭化水素類トルエンキシレンエチルベンゼンナフタレン等の芳香族炭化水素類ジメチルスルホキシドジメチルホルムアミドジメチルアセトアミドアセトアニリド等のアミド類アセトンメチルエチルケトンジエチルケトンメチルイソブチルケトンシクロヘキサノンベンゾフェノン等のケトン類塩化メチレンクロロホルム四塩化炭素トリクロロエチレンテトラクロロエチレン等のハロゲン類エチレンカーボネートプロピレンカーボネートジメチルカーボネートジエチルカーボネート等のカーボネート類酢酸メチル酢酸エチル酢酸プロピル酢酸ブチル酪酸メチルアジピン酸ジ2-エチルヘキシルアジピン酸ジイソノニルアジピン酸ジイソデシルセバシン酸ジ2-エチルヘキシル、アゼライン酸ジ2-エチルヘキシル、4-シクロヘキセン-1, 2-ジカルボン酸ビス(2-エチルヘキシル)、リン酸トリクレジルソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステルグリセリン脂肪酸エステルポリオキシエチレン脂肪酸エステル等のエステル類ポリエチレングリコールポリテトラメチレンオキシドポリオキシエチレンアルキルエーテル等のポリエーテル類ポリジメチルシロキサン等のシリコーンオイル類、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルプロピオニトリルエステル油軽油灯油原油サラダ油大豆油ヒマシ油トリグリセライドポリイソプレンフッ素変性油等があげられる。これらは単独でもしくは二種以上併せて用いられる。また、有機溶剤の代わりに、反応性の官能基を含む有機性媒体でもよい。例えば、アクリル酸メチルメタクリル酸メチルアクリル酸エチルメタクリル酸エチルアクリル酸ブチルメタクリル酸ブチル、アクリル酸n—へキシル、メタクリル酸n—へキシル、アクリル酸2−エチルヘキシルメタアクリル酸2−エチルヘキシル、ノナンジオールジアクリレートフェノキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレートフェニルグリシジルエーテルアクリレート、ヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、フェニルグリシジルエーテルアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、エチレングリコールジグリシジルエーテルジエチレングリコールジグリシジルエーテルトリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルポリエチレングリコールジグリシジルエーテルクロロスチレンメトキシスチレンブトキシスチレンビニル安息香酸等が挙げられる。特に水が好ましい。

0040

本発明において、溶媒等に水を使用する場合、この水としては、通常の水道水工業用水地下水井戸水などを用いることができる他、イオン交換水蒸留水超純水工業廃水、濃縮工程で複合体の懸濁液から分離する際に得られる水を好適に用いることできる。

0041

繊維を溶媒に分散する際に使用される装置は特に限定されるものではないが、例えばパルパー等の離解機を使用することができる。なお、離解機は撹拌機とも言い換えることができる。パルパーの種類としては、低濃度パルパー、高濃度パルパー、ファイバーフロードラム水平回転や地球窯のような蒸煮などが挙げられる。また、ニーダーディスパーザートップファイナー、ハイドロラフレーカーのような分散機を併用することも可能である。

0042

繊維を溶媒に分散する際のスラリー濃度は、0.01質量%〜20質量%とすることができ、好ましくは0.1質量%〜15質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜6質量%とすることができる。

0043

繊維を溶媒に分散する際のスラリー温度は、0〜100℃とすることができ、好ましくは5〜90℃、より好ましくは10〜80℃、さらに好ましくは15〜70℃とすることができる。

0044

繊維を溶媒に分散するための時間は、1分〜24時間とすることができ、好ましくは5分〜12時間、より好ましくは10分〜6時間、さらに好ましくは20分〜3時間とすることができる。

0046

なお本工程において、繊維を叩解することも可能である。叩解の方法は特に限定されず、例えば、ビータードラム型リファイナー、ジョルダンコニカルリファイナーシングルディスクリファイナー、ダブルディスクリファイナー等の叩解機を用いて行うことができる。

0047

また、本工程において異物未離解片を除去するために除塵を行うこともできる。なおこの除塵は、パルプの分散(離解)後であればどのタイミングで行ってもよい。除塵の方法は特に限定されず、例えば、スクリーンクリーナーを使用することができる。スクリーンとしては開放型密閉型のいずれも好適に用いることができる。また、プレート丸穴スリットのいずれを用いることもでき、目孔のサイズは目的に応じて適宜調整できる。クリーナーとしては重量クリーナーと軽量クリーナーのいずれを用いることもできる。

0048

5.工程2:反応工程
本発明に係る複合体の製造方法は、繊維を含む溶液において無機物を合成することを必須とするものである。例えば、繊維と無機物の前駆体を含む溶液を開放型の反応槽中で撹拌、混合して複合体を合成しても良いし、繊維と無機物の前駆体を含む水性懸濁液反応容器内に噴射することによって合成してもよい。後述するが、無機物の前駆体の水性懸濁液を反応容器内に噴射する際に、キャビテーション気泡を発生させ、その存在下で無機物を合成してもよい。

0049

無機物の前駆体の一方がアルカリ性の場合、あらかじめ繊維をアルカリ性前駆体の溶液に分散させておくと繊維を膨潤させることができるため、効率よく無機物と繊維の複合体を得ることができる。混合後15分以上撹拌することで繊維の膨潤を促進してから反応を開始することもできるが、混合後すぐに反応を開始してもよい。また、硫酸アルミニウム(硫酸バンドポリ塩化アルミニウム等)のようにセルロースと相互作用しやすい物質を無機物の前駆体の一部として用いる場合には、硫酸アルミニウム側をあらかじめ繊維と混合しておくことで、無機粒子が繊維に定着する割合を向上させられることもある。

0050

本発明においては、反応容器内にキャビテーション気泡を生じさせるような条件で液体を噴射してもよいし、キャビテーション気泡を生じさせないような条件で噴射してもよい。また、反応容器はいずれの場合においても圧力容器であることが好ましい。なお、本発明における圧力容器とは0.005MPa以上の圧力をかけることのできる容器のことである。キャビテーション気泡を生じさせないような条件の場合、圧力容器内の圧力は、静圧で0.005MPa以上0.9MPa以下であることが好ましい。

0051

(キャビテーション気泡)
本発明に係る複合体を合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で無機粒子を析出させることができる。本発明においてキャビテーションとは、流体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象であり、空洞現象とも言われる。キャビテーションによって生じる気泡(キャビテーション気泡)は、流体の中で圧力がごく短時間だけ飽和蒸気圧より低くなったとき、液体中に存在する100ミクロン以下のごく微小な「気泡核」を核として生じる。

0052

本発明においてキャビテーション気泡は、公知の方法によって反応容器内に発生させることができる。例えば、流体を高圧で噴射することによってキャビテーション気泡を発生させること、流体内で高速攪拌することによってキャビテーションを発生させること、流体内で爆発を生じさせることによってキャビテーションを発生させること、超音波振動子によってキャビテーションを発生させること(バイブトラリー・キャビテーション)などが考えられる。

0053

特に本発明においては、キャビテーション気泡の発生と制御が容易なため、流体を高圧で噴射することによってキャビテーション気泡を発生させることが好ましい。この態様では、ポンプなどを用いて噴射液体圧縮し高速でノズルなどを介して噴射することによって、ノズル近傍での極めて高いせん断力と急激な減圧による液体自体の膨張と同時にキャビテーション気泡が発生する。流体噴流による方法は、キャビテーション気泡の発生効率が高く、より強力な崩壊衝撃力を持つキャビテーション気泡を発生させることができる。本発明においては、無機物を合成する際に制御されたキャビテーション気泡を存在させるものであって、流体機械自然発生的に生じる制御不能の害悪をもたらすキャビテーション気泡と明らかに異なる。

0054

本発明においては、原料などの反応溶液をそのまま噴射液体として用いてキャビテーションを発生させることもできるし、反応容器内に何らかの流体を噴射してキャビテーション気泡を発生させることもできる。液体噴流が噴流をなす流体は、流動状態であれば液体、気体、粉体やパルプ等の固体の何れでもよく、またそれらの混合物であってもよい。更に必要であれば上記の流体に、新たな流体として、炭酸ガスなど、別の流体を加えることができる。上記流体と新たな流体は、均一に混合して噴射してもよいが、別個に噴射してもよい。

0055

液体噴流とは、液体または液体の中に固体粒子や気体が分散あるいは混在する流体の噴流であり、パルプや無機粒子の原料スラリーや気泡を含む液体噴流のことをいう。ここで云う気体は、キャビテーションによる気泡を含んでいてもよい。

0056

キャビテーションは液体が加速され、局所的な圧力がその液体の蒸気圧より低くなったときに発生するため、流速及び圧力が特に重要となる。このことから、キャビテーション状態を表わす基本的な無次元数キャビテーション数(Cavitation Number)σは次の数式1のように定義される(加洋治編「新版キャビテーション・基礎と最近の進歩」、槇書店、1999年)。

0057

0058

ここで、キャビテーション数が大きいということは、その流れ場がキャビテーションを発生し難い状態にあるということを示す。特にキャビテーション噴流のようなノズルあるいはオリフィス管を通してキャビテーションを発生させる場合は、ノズル上流側圧力p1、ノズル下側圧力p2、試料水の飽和蒸気圧pvから、キャビテーション数σは下記式(2)のように書きかえることができ、キャビテーション噴流では、p1、p2、pv間の圧力差が大きく、p1≫p2≫pvとなることから、キャビテーション数σはさらに以下の数式2のように近似することができる(H. Soyama, J. Soc. Mat. Sci. Japan, 47(4), 381, 1998)。

0059

0060

本発明におけるキャビテーションの条件は、上述したキャビテーション数σが0.001以上0.5以下であることが望ましく、0.003以上0.2以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることが特に好ましい。キャビテーション数σが0.001未満である場合、キャビテーション気泡が崩壊する時の周囲との圧力差が低いため効果が小さくなり、0.5より大である場合は、流れの圧力差が低くキャビテーションが発生し難くなる。

0061

また、ノズルまたはオリフィス管を通じて噴射液を噴射してキャビテーションを発生させる際には、噴射液の圧力(上流側圧力)は0.01MPa以上30MPa以下であることが望ましく、0.7MPa以上20MPa以下であることが好ましく、2MPa以上15MPa以下がより好ましい。上流側圧力が0.01MPa未満では下流側圧力との間で圧力差を生じ難く作用効果は小さい。また、30MPaより高い場合、特殊なポンプ及び圧力容器を必要とし、消費エネルギーが大きくなることからコスト的に不利である。一方、容器内の圧力(下流側圧力)は静圧で0.005MPa以上0.9MPa以下が好ましい。また、容器内の圧力と噴射液の圧力との比は0.001〜0.5の範囲が好ましい。

0062

本発明において、キャビテーション気泡が発生しないような条件で噴射液を噴射して無機粒子を合成することもできる。具体的には、噴射液の圧力(上流側圧力)を2MPa以下、好ましくは1MPa以下とし、噴射液の圧力(下流側圧力)を開放し、0.05MPa以下とすることがより好ましい。

0063

噴射液の噴流の速度は1m/秒以上200m/秒以下の範囲であることが望ましく、20m/秒以上100m/秒以下の範囲であることが好ましい。噴流の速度が1m/秒未満である場合、圧力低下が低く、キャビテーションが発生し難いため、その効果は弱い。一方、200m/秒より大きい場合、高圧を要し特別な装置が必要であり、コスト的に不利である。

0064

本発明におけるキャビテーション発生場所は、無機粒子を合成する反応容器内に発生させればよい。また、ワンパスで処理することも可能であるが、必要回数だけ循環することもできる。さらに複数の発生手段を用いて並列で、あるいは順列で処理することができる。

0065

キャビテーションを発生させるための液体の噴射は、大気開放の容器の中でなされても良いが、キャビテーションをコントロールするために圧力容器の中でなされるのが好ましい。

0066

液体噴射によってキャビテーションを発生させる場合、反応溶液の固形分濃度は30重量%以下であることが好ましく、20重量%以下がより好ましい。このような濃度であると、キャビテーション気泡を反応系に均一に作用させやすくなるためである。また、反応溶液である消石灰の水性懸濁液は、反応効率の点から、固形分濃度が0.1重量%以上であることが好ましい。

0067

本発明において例えば炭酸カルシウムとセルロース繊維との複合体を合成する場合、反応液のpHは、反応開始時は塩基性側であるが炭酸化反応が進行するにしたがって中性に変化する。したがって、反応液のpHをモニターすることによって反応を制御することができる。

0068

本発明では、液体の噴射圧力を高めることで、噴射液の流速が増大し、これに伴って圧力が低下し、より強力なキャビテーションが発生させることができる。また、反応容器内の圧力を加圧することで、キャビテーション気泡が崩壊する領域の圧力が高くなり、気泡と周囲の圧力差が大きくなるため気泡は激しく崩壊し衝撃力を大きくすることができる。更には導入する炭酸ガスの溶解と分散を促進することができる。反応温度は0℃以上90
℃以下であることが好ましく、特に10℃以上60℃以下であることが好ましい。一般には、融点沸点中間点で衝撃力が最大となると考えられることから、水性溶液の場合、50℃前後が好適であるが、それ以下の温度であっても、蒸気圧の影響を受けないため、上記の範囲であれば高い効果が得られる。

0069

本発明においては、界面活性剤を添加することでキャビテーションを発生させるために必要なエネルギーを低減することができる。使用する界面活性剤としては、公知または新規の界面活性剤、例えば、脂肪酸塩、高級アルキル硫酸塩アルキルベンゼンスルホン酸塩高級アルコールアルキルフェノール脂肪酸などのアルキレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤陰イオン界面活性剤陽イオン界面活性剤両性界面活性剤などが挙げられる。これらの単一成分からなるものでも、2種以上の成分の混合物でも良い。添加量は噴射液及び/または被噴射液表面張力を低下させるために必要な量であればよい。

0070

本発明の一つの態様において、セルロース繊維を含む溶液中で無機物を合成することによって複合体を合成することができるが、無機物の合成方法は、公知の方法によることができる。炭酸カルシウムを合成する場合であれば、例えば、炭酸ガス法、可溶性塩反応法、石灰・ソーダ法、ソーダ法などによって炭酸カルシウムを合成することができ、好ましい態様において、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する。

0071

一般に、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを製造する場合、カルシウム源として石灰(ライム)が使用され、生石灰CaOに水を加えて消石灰Ca(OH)2を得る消和工程と、消石灰に炭酸ガスCO2を吹き込んで炭酸カルシウムCaCO3を得る炭酸化工程とによって炭酸カルシウムが合成される。この際、生石灰に水を加えて調製した消石灰の懸濁液をスクリーンに通して、懸濁液中に含まれる低溶解性の石灰粒を除去してもよい。また、消石灰を直接カルシウム源としてもよい。本発明において炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で炭酸化反応を行えばよい。

0072

一般に、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを製造する際の反応容器(炭酸化反応機:カーボネーター)として、ガス吹き込み型カーボネーターと機械攪拌型カーボネーターが知られている。ガス吹き込み型カーボネーターでは、消石灰懸濁液(石灰乳)を入れた炭酸化反応槽に炭酸ガスを吹き込み、消石灰と炭酸ガスとを反応させるが、単純に炭酸ガスを吹き込むだけでは気泡の大きさを均一かつ微細に制御することが難しく、反応効率の点からは制限がある。一方、機械攪拌型カーボネーターでは、カーボネーター内部に攪拌機を設け、その攪拌機の近くに炭酸ガスを導入することによって、炭酸ガスを細かな気泡とし、消石灰と炭酸ガスとの反応効率を向上させている(『セメントセッコウ・石灰ハンドブック』技報堂出版、1995年、495頁)。

0073

炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する場合、消石灰の水性懸濁液の固形分濃度は、好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.5〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%程度である。固形分濃度が低いと反応効率が低く、製造コストが高くなり、固形分濃度が高すぎると流動性が悪くなり、反応効率が落ちる。本発明においては、キャビテーション気泡の存在下で炭酸カルシウムを合成するため、固形分濃度の高い懸濁液(スラリー)を用いても、反応液と炭酸ガスを好適に混合することができる。

0074

消石灰を含む水性懸濁液としては、炭酸カルシウム合成に一般に用いられるものを使用でき、例えば、消石灰を水に混合して調製したり、生石灰(酸化カルシウム)を水で消和(消化)して調製することができる。消和する際の条件は特に制限されないが、例えば、CaOの濃度は0.1重量%以上、好ましくは1重量%以上、温度は20〜100℃、好ましくは30〜100℃とすることができる。また、消和反応槽スレーカー)での平均滞留時間も特に制限されないが、例えば、5分〜5時間とすることができ、2時間以内とすることが好ましい。当然であるが、スレーカーはバッチ式であっても連続式であってもよい。なお、本発明においては炭酸化反応槽(カーボネーター)と消和反応槽(スレーカー)とを別々にしてもよく、また、1つの反応槽を炭酸化反応槽および消和反応槽として用いてもよい。

0075

また本発明においては、反応槽の反応液を循環させて使用することができる。このように反応液を循環させて、反応液と炭酸ガスとの接触を増やすことにより、反応効率を上げ、所望の無機物を得ることが容易になる。

0076

本発明においては、二酸化炭素(炭酸ガス)などのガスが反応容器に吹き込まれ、反応液と混合することができる。本発明によれば、ファンブロワなどの気体供給装置がなくとも炭酸ガスを反応液に供給することができ、しかも、キャビテーション気泡によって炭酸ガスが微細化されるため反応を効率よく行うことができる。

0077

本発明において、二酸化炭素を含む気体の二酸化炭素濃度に特に制限はないが、二酸化炭素濃度が高い方が好ましい。また、インジェクターに導入する炭酸ガスの量に制限はなく適宜選択することができるが、例えば、消石灰1kgあたり100〜10000L/時の流量の炭酸ガスを用いると好ましい。

0078

本発明の二酸化炭素を含む気体は、実質的に純粋な二酸化炭素ガスでもよく、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、二酸化炭素ガスの他に、空気、窒素などの不活性ガスを含む気体を、二酸化炭素を含む気体として用いることができる。また、二酸化炭素を含む気体としては、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)の他、製紙工場の焼却炉石炭ボイラー重油ボイラーなどから排出される排ガス二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。

0079

本発明の複合体を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。例えば、キレート剤を添加することができ、具体的には、クエン酸、リンゴ酸酒石酸などのポリヒドロキシカルボン酸シュウ酸などのジカルボン酸グルコン酸などの糖酸イミノ二酢酸エチレンジアミン四酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのアルカリ金属塩ヘキサメタリン酸トリポリリン酸などのポリリン酸のアルカリ金属塩、グルタミン酸アスパラギン酸などのアミノ酸およびこれらのアルカリ金属塩、アセチルアセトンアセト酢酸メチルアセト酢酸アリルなどのケトン類、ショ糖などの糖類、ソルビトールなどのポリオールが挙げられる。また、表面処理剤としてパルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸脂環族カルボン酸アビエチン酸等の樹脂酸、それらの塩やエステルおよびエーテルアルコール活性剤ソルビタン脂肪酸エステル類アミド系やアミン系界面活性剤ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルアルファオレフィンスルホン酸ナトリウム長鎖アルキルアミノ酸、アミンオキサイドアルキルアミン第四級アンモニウム塩アミノカルボン酸ホスホン酸多価カルボン酸縮合リン酸などを添加することができる。また、必要に応じ分散剤を用いることもできる。この分散剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、アクリル酸−マレイン酸共重合体アンモニウム塩、メタクリル酸−ナフトキシポリエチレングリコールアクリレート共重合体、メタクリル酸−ポリエチレングリコールモノメタクリレート共重合体アンモニウム塩、ポリエチレングリコールモノアクリレートなどがある。これらを単独または複数組み合わせて使用することができる。また、添加のタイミングは合成反応の前でも後でも良い。このような添加剤は、無機粒子に対して、好ましくは0.001〜20%、より好ましくは0.1〜10%の量で添加することができる。

0080

本発明において複合体を合成する場合、反応条件は特に制限されず、用途に応じて適宜設定することができる。例えば、合成反応の温度は0〜90℃とすることができ、10〜70℃とすることが好ましい。反応温度は、反応液の温度を温度調節装置によって制御することができ、温度が低いと反応効率が低下しコストが高くなる一方、90℃を超えると粗大な無機物が多くなる傾向がある。

0081

また、本発明において反応はバッチ反応とすることもでき、連続反応とすることもできる。一般に、反応後の残存物を排出する便利さから、バッチ反応工程を行うことが好ましい。反応のスケールは特に制限されないが、100L以下のスケールで反応させてもよいし、100L超のスケールで反応させてもよい。反応容器の大きさは、例えば、10L〜100L程度とすることもできるし、100L〜1000L程度としてもよい。

0082

さらに、反応は、例えば、反応液のpHをモニターすることにより制御することができ、反応液のpHプロファイルに応じて、炭酸カルシウムの炭酸化反応であれば、例えばpH9未満、好ましくはpH8未満、より好ましくはpH7のあたりに到達するまで反応を行うことができる。

0083

一方、反応液の電導度をモニターすることにより反応を制御することも出来る。炭酸カルシウムの炭酸化反応であれば、例えば電導度が1mS/cm以下に低下するまで炭酸化反応を行うことが好ましい。

0084

さらに、単純に反応時間によって反応を制御することができ、具体的には、反応物が反応槽に滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌したり、反応を多段反応とすることによって反応を制御することもできる。

0085

本発明において反応工程に使用する装置としては以下に限定されるものではないが、例えばマシンチェストミキシングチェスト)、カーボネーター、加圧式フローテータ、撹拌機付きタンク、キャビテーション発生装置(特許第4291819号)等の噴流型反応装置を使用することができる。また、特に撹拌機などを有さないタンク、バケツなどに撹拌機や各種ポンプを設置して反応液を撹拌・循環させることで複合体を製造することもできる。撹拌機としては例えば、フルゾーン(神鋼環境ソリューション社)やスーパーミックス(佐竹化学機械工業)のようなものを使用することも可能である。ポンプとしては、水中ポンプ渦巻きポンプタービンポンプカスケードポンプピストンポンププランジャーポンプダイヤフラムポンプウイングポンプ、噴射ポンプなどを使用することが可能である。さらには、バッチ式の撹拌装置に限らず連続式の混合器を用いることもできる。これらの反応器には必要に応じてジャケットのような温調設備を付けることも可能である。また、これらの装置は金属製、樹脂製、セラミック製、コンクリート製、タイル張りなどいずれの材質でも好適に用いることができる。

0086

反応時のスラリー濃度は適宜決めることが可能であるが、例えば、0.1〜30%、0.3〜20%、0.5〜10%、1〜6%などとすることができる。

0087

(無機物)
本発明において、繊維と複合化する無機物は特に制限されないが、水に不溶性または難溶性の無機物であることが好ましい。無機物の合成を水系で行う場合があり、また、繊維複合体を水系で使用することもあるため、無機物が水に不溶性または難溶性であると好ましい。

0088

ここで言う無機物とは、金属元素もしくは非金属元素の化合物のことを言う。金属元素の化合物とは、金属の陽イオン(例えば、Na+、Ca2+、Mg2+、Al3+、Ba2+など)と陰イオン(例えば、O2−、OH−、CO32−、PO43−、SO42−、NO3−、Si2O32−、SiO32−、Cl−、F−、S2−など)がイオン結合によって結合してできた、一般に無機塩と呼ばれるものを言う。非金属元素の化合物とは、ケイ酸(SiO2)などである。本発明において、無機物の少なくとも一部が、カルシウム、マグネシウムまたはバリウムの金属塩、または、無機物の少なくとも一部が、ケイ酸、またはアルミニウムの金属塩、あるいはチタン、銅、銀、鉄、マンガンセリウムまたは亜鉛を含む金属粒子であることが好ましい。

0089

これら無機物の合成法は公知の方法によることができ、気液法と液液法のいずれでも良い。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば水酸化マグネシウムと炭酸ガスを反応させることで、炭酸マグネシウムを合成することができる。液液法の例としては、酸(塩酸、硫酸など)と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸を反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムを反応させることで水酸化アルミニウムを得たり、炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムを反応させることでカルシウムとアルミニウムが複合化した無機物を得ることができる。また、このようにして無機物を合成する際、反応液中に任意の金属や非金属化合物を共存させることもでき、この場合はそれらの金属もしくは非金属化合物が無機物中に効率よく取り込まれ、複合化できる。例えば、炭酸カルシウムにリン酸を添加してリン酸カルシウムを合成する際に、二酸化チタンを反応液中に共存させることで、リン酸カルシウムとチタンの複合粒子を得ることができる。

0090

一つの好ましい態様として、本発明の複合体における無機物の平均一次粒子径を、例えば、1.5μm以下とすることができるが、平均一次粒子径を1200nm以下や900nm以下にすることもでき、さらには平均一次粒子径が200nm以下や150nm以下にすることもできる。また、無機物の平均一次粒子径は10nm以上とすることも可能である。なお、平均一次粒子径は電子顕微鏡写真で測定することができる。

0091

(炭酸カルシウム)
炭酸カルシウムを合成する場合であれば、例えば、炭酸ガス法、可溶性塩反応法、石灰・ソーダ法、ソーダ法などによって炭酸カルシウムを合成することができ、好ましい態様において、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する。

0092

一般に、炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを製造する場合、カルシウム源として石灰(ライム)が使用され、生石灰CaOに水を加えて消石灰Ca(OH)2を得る消和工程と、消石灰に炭酸ガスCO2を吹き込んで炭酸カルシウムCaCO3を得る炭酸化工程とによって炭酸カルシウムが合成される。この際、生石灰に水を加えて調製した消石灰の懸濁液をスクリーンに通して、懸濁液中に含まれる低溶解性の石灰粒を除去してもよい。また、消石灰を直接カルシウム源としてもよい。本発明において炭酸ガス法によって炭酸カルシウムを合成する場合、キャビテーション気泡の存在下で炭酸化反応を行うこともできる。

0093

炭酸カルシウムの合成では、反応液中の原料(Caイオン、CO3イオン)が高濃度であるほど、また、低温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、複合繊維を製造する場合、このような条件下では、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。したがって、炭酸カルシウムが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが重要となる。具体的には、Caイオンおよびパルプ濃度の適正化と、CO2の時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のCaイオン濃度は、0.01mol/L以上0.40mol/L未満が好ましい。0.01mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.40mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合体を得ることができない。CO2の時間当たりの供給量は、反応溶液中のCaイオンの濃度との兼ね合いで決まり、反応溶液中のCaイオン濃度(M;mol/L)と反応液1Lに対する1分あたりの炭酸イオン供給量(mol/min・L)の比が5:1以上であることが望ましい。5:1よりも炭酸イオン供給量が高くなると、核形成が進行しやすくなり、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすいためである。

0094

(炭酸マグネシウム)
炭酸マグネシウムを合成する場合、炭酸マグネシウムの合成方法は、公知の方法によることができる。例えば、水酸化マグネシウムと炭酸ガスから重炭酸マグネシウムを合成し、重炭酸マグネシウムから正炭酸マグネシウムを経て塩基性炭酸マグネシウムを合成することができる。炭酸マグネシウムは合成方法によって重炭酸マグネシウム、正炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウムなどを得ることができるが、本発明の繊維複合体に係る炭酸マグネシウムは、塩基性炭酸マグシムにすることが特に好ましい。なぜならば、重炭酸マグネシウムは安定性が比較的低く、柱状(針状)結晶である正炭酸マグネシウムは繊維へ定着しにくい場合があるためである。一方、繊維の存在下で塩基性炭酸マグネシウムにまで化学反応させることで、繊維表面をうろこ状などに被覆した炭酸マグネシウムと繊維の繊維複合体を得ることができる。

0095

また本発明においては、反応槽の反応液を循環させて使用することができる。このように反応液を循環させて、反応液と炭酸ガスとの接触を増やすことにより、反応効率を上げ、所望の無機粒子を得ることが容易になる。

0096

本発明においては、二酸化炭素(炭酸ガス)などのガスが反応容器に吹き込まれ、反応液と混合することができる。本発明によれば、ファン、ブロワなどの気体供給装置がなくとも炭酸ガスを反応液に供給することができ、しかも、キャビテーション気泡によって炭酸ガスが微細化されるため反応を効率よく行うことができる。

0097

本発明において、二酸化炭素を含む気体の二酸化炭素濃度に特に制限はないが、二酸化炭素濃度が高い方が好ましい。また、インジェクターに導入する炭酸ガスの量に制限はなく適宜選択することができる。

0098

本発明の二酸化炭素を含む気体は、実質的に純粋な二酸化炭素ガスでもよく、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、二酸化炭素ガスの他に、空気、窒素などの不活性ガスを含む気体を、二酸化炭素を含む気体として用いることができる。また、二酸化炭素を含む気体としては、二酸化炭素ガス(炭酸ガス)の他、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。

0099

炭酸マグネシウムの合成では、反応液中の原料(Mgイオン、CO3イオン)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、複合繊維を製造する場合、このような条件下では、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、炭酸マグネシウムが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、Mgイオンおよびパルプ濃度の適正化と、CO2の時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のMgイオン濃度は、0.0001mol/L以上0.50mol/L未満が好ましい。0.0001mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.50mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合体を得ることができない。CO2の時間当たりの供給量は、反応溶液中のMgイオンの濃度との兼ね合いで決まり、反応溶液中のMgイオン濃度(M;mol/L)と反応液1Lに対する1分あたりの炭酸イオン供給量(mol/min・L)の比が20:1以上であることが望ましい。20:1よりも炭酸イオン供給量が高くなると、核形成が進行しやすくなり、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすいためである。

0100

(硫酸バリウム)
硫酸バリウムを合成する場合、硫酸バリウム(BaSO4)で表されるバリウムイオン硫酸イオンからなるイオン結晶性の化合物であり、板状あるいは柱状の形態であることが多く、水には難溶性である。純粋な硫酸バリウムは無色の結晶であるが、鉄、マンガン、ストロンチウム、カルシウムなどの不純物を含むと黄褐色または黒灰色を呈し、半透明となる。天然の鉱物としても得られるが、化学反応によって合成することもできる。特に、化学反応による合成品医薬用X線造影剤)に用いられるほか、化学的に安定な性質を応用して塗料プラスチック蓄電池等に広く使用されている。

0101

本発明においては、繊維の存在下で、溶液中で硫酸バリウムを合成することによって、硫酸バリウムと繊維の複合体を製造することができる。例えば、酸(硫酸など)と塩基を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸もしくは硫酸アルミニウムを反応させることで硫酸バリウムを得たり、硫酸塩の含まれる水溶液中に塩化バリウムを加えて硫酸バリウムを沈殿させたりすることができる。

0102

硫酸バリウムの合成では、溶液中の原料(Baイオン、SO4イオン)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、複合繊維を製造する場合、このような条件下では、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、硫酸バリウムが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、Baイオンおよびパルプ濃度の適正化と、SO4イオンの時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のBaイオン濃度は、0.01mol/L以上0.20mol/L未満が好ましい。0.01mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.20mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合体を得ることができない。SO4イオンの時間当たりの供給量は、反応溶液中のBaイオンの濃度との兼ね合いで決まり、反応溶液中のBaイオン濃度(M;mol/L)と反応液1Lに対する1分あたりのSO4イオン供給量(mol/min・L)の比が25:1以上であることが望ましい。25:1よりも炭酸イオン供給量が高くなると、核形成が進行しやすくなり、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすいためである。

0103

ハイドロタルサイト
ハイドロタルサイトを合成する場合、ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液アルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)に繊維を浸漬し、次いで、酸溶液基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pHなどを制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。また、反応容器内において、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)に繊維を浸漬し、次いで、中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ溶液(水酸化ナトリウム等)を滴下し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成することもできる。常圧での反応が一般的ではるが、それ以外にも、オートクレーブなどを使用しての水熱反応により得る方法もある(特開昭60−6619号公報)。

0104

本発明においては、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、鉄、銅、コバルトニッケル、マンガンの各種塩化物硫化物硝酸化物硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロムガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。

0105

本発明においては、層間陰イオンとして陰イオンとして炭酸イオン、硝酸イオン塩化物イオン、硫酸イオン、リン酸イオンなどを用いることができる。炭酸イオンを層間陰イオンとする場合、炭酸ナトリウムが供給源として使用される。ただし炭酸ナトリウムは、二酸化炭素(炭酸ガス)を含む気体で代替可能で、実質的に純粋な二酸化炭素ガスや、他のガスとの混合物であってもよい。例えば、製紙工場の焼却炉、石炭ボイラー、重油ボイラーなどから排出される排ガスを二酸化炭素含有気体として好適に用いることができる。その他にも、石灰焼成工程から発生する二酸化炭素を用いて炭酸化反応を行うこともできる。

0106

ハイドロタルサイトの合成では、溶液中の原料(基本層を構成する金属イオン、CO3イオン等)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、このような条件下では、複合繊維を製造する場合、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、ハイドロタルサイトが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、CO3イオンおよびパルプ濃度の適正化と、金属イオンの時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、反応容器中のCO3イオン濃度は、0.01mol/L以上0.80mol/L未満が好ましい。0.01mol/L未満だと反応が進行しにくく、0.80mol/L以上では懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合体を得ることができない。金属イオン(カチオン)の時間当たりの供給量は、反応溶液中のアニオンの濃度との兼ね合いで決まり、金属の種類にもよるが、例えばCO3イオンとOHイオンに対してMgイオンとAlイオンを供給のする場合、反応溶液中のCO3イオンとOHイオンの合計濃度(M;mol/L)と反応液1Lに対する1分あたりのMgイオンとAlイオンの合計供給量(mol/min・L)の比が320:1以上であることが望ましい。320:1よりも炭酸イオン供給量が高くなると、核形成が進行しやすくなり、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすいためである。

0107

アルミナシリカ
アルミナおよび/またはシリカを合成する場合、アルミナおよび/またはシリカの合成方法は公知の方法によることができる。反応の出発物質として無機酸もしくはアルミニウム塩のいずれか1つ以上を用いた場合、珪酸アルカリ塩を添加して合成する。出発物質として珪酸アルカリ塩を用い、無機酸もしくはアルミニウム塩のいずれか1つ以上を添加して合成することもできるが、無機酸および/もしくはアルミニウム塩を出発物質として用いた場合の方が、生成物の繊維への定着は良好である。無機酸としては特に限定されるものではなく、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等を用いることができる。これらの中でもコストおよびハンドリングの点から硫酸が特に好ましい。アルミニウム塩としては、硫酸バンド、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、ミョウバンカリミョウバン等が挙げられ、中でも硫酸バンドを好適に用いることができる。珪酸アルカリ塩としては、珪酸ナトリウムもしくは珪酸カリウムなどが挙げられるが、入手しやすいため珪酸ナトリウムが好適である。珪酸とアルカリのモル比はいずれでも良いが、一般に3号珪酸として流通しているものはSiO2:Na2O=3〜3.4:1程度のモル比のものであり、これを好適に用いることができる。

0108

本発明においては、シリカおよび/またはアルミナが繊維表面に付着した複合繊維を製造するにあたって、繊維を含む反応液のpHを4.6以下に維持しながら繊維上にシリカおよび/またはアルミナを合成することが好ましい。これによって、繊維表面がよく被覆された複合繊維が得られる理由の詳細は完全には明らかになっていないが、pHを低く維持することによって3価のアルミニウムイオンへの電離率が高くなるため、被覆率定着率が高い複合繊維が得られると考えられる。

0109

シリカおよび/またはアルミナ合成では、反応液中の原料(珪酸イオン、アルミニウムイオン)が高濃度であるほど、また、高温条件であるほど、核形成反応が進みやすいが、複合繊維を製造する場合、このような条件下では、セルロース繊維に核が定着されにくく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすい。従って、シリカおよび/またはアルミナが強固に結着した複合繊維を製造するには、核形成反応を適切に制御することが必要となる。具体的には、パルプ濃度の適正化と、添加する珪酸イオン、アルミニウムイオンの時間当たりの供給量を緩やかにすることで、これを達成できる。例えば、パルプ濃度は、0.5%以上4.0%未満が好ましい。0.5%未満では繊維に原料が衝突する頻度が減るため、反応が進行しにくく、4.0%以上では攪拌不良から均一な複合体を得ることができない。添加する珪酸イオンとアルミニウムイオンの時間当たりの供給量は、1:1が好ましい。ただしこの時、pH=4.6以下を維持するようにあらかじめAlイオンを過剰に添加しておく必要がある。pH=4.6を上回るようにケイ酸イオンを過剰な速さで供給すると、シリカおよび/またはアルミナから構成される無機粒子がパルプ表面に定着しづらく、懸濁液中で遊離した無機粒子が合成されやすいためである。

0110

(酸化チタン)
酸化チタン複合繊維は、繊維と酸化チタンとを含むスラリー中で、無機バインダを合成することによって製造することができる。

0111

繊維と酸化チタンとを含むスラリー中で無機バインダを合成することによって、繊維に固形状の無機バインダが固着すると共に、酸化チタンが無機バインダに固着する。この製造方法により、繊維に酸化チタンが効率よく固着した酸化チタン複合繊維を得ることができる。

0112

例えば、無機バインダがハイドロタルサイトである場合、繊維と酸化チタンとを含む溶液中でハイドロタルサイトを合成することによって、ハイドロタルサイトと酸化チタンと繊維との複合繊維を製造することができる。

0113

ハイドロタルサイトの合成方法は公知の方法によることができる。例えば、まず、反応容器内に中間層を構成する炭酸イオンを含む炭酸塩水溶液とアルカリ性水溶液(水酸化ナトリウム等)に繊維を浸漬し、懸濁してスラリーを形成する。次いで、得られたアルカリ性スラリー中に酸化チタンを添加し、分散させる。次いで、酸化チタンが添加されたアルカリ性スラリーに、酸溶液(基本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンを含む金属塩水溶液)を添加し、温度、pH等を制御して共沈反応により、ハイドロタルサイトを合成する。そして、繊維表面上にハイドロタルサイトが形成されるときに、スラリー中に分散する酸化チタンがハイドロタルサイトに取り込まれたり、密着したりする。その結果、スラリー中に存在する酸化チタンを、高い比率で効率よく、且つ、均一に、繊維に固着させることができる。

0114

繊維を浸漬し、懸濁して得られるスラリーは、pHが11〜14の範囲となるように、より好ましくは12〜13の範囲となるように調整することが好ましい。スラリーのpHがこの範囲であることにより、次いで添加される酸化チタンが、スラリー中に均一に分散することができる。

0115

また、基本層を構成する二価金属イオンの供給源として、マグネシウム、亜鉛、バリウム、カルシウム、鉄、銅、銀、コバルト、ニッケル、マンガンの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。また、基本層を構成する三価金属イオンの供給源として、アルミニウム、鉄、クロム、ガリウムの各種塩化物、硫化物、硝酸化物、硫酸化物を用いることができる。

0116

また、例えば、無機バインダが他の金属化合物である場合、同様に、繊維及び酸化チタンを含む溶液中で金属化合物を合成することによって、金属化合物と酸化チタンと繊維との複合繊維を製造することができる。

0117

金属化合物の合成法は特に限定されず、公知の方法により合成することができ、気液法及び液液法のいずれでもよい。気液法の一例としては炭酸ガス法があり、例えば水酸化マグネシウムと炭酸ガスとを反応させることで、炭酸マグネシウムを合成することができる。また、水酸化カルシウムと炭酸ガスとを反応させる炭酸ガス法により、炭酸カルシウムを合成することができる。例えば、炭酸カルシウムは、可溶性塩反応法、石灰・ソーダ法、ソーダ法により合成してもよい。液液法の例としては、酸(塩酸、硫酸等)と塩基(水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等)を中和によって反応させたり、無機塩と酸もしくは塩基を反応させたり、無機塩同士を反応させたりする方法が挙げられる。例えば、水酸化バリウムと硫酸とを反応させることで硫酸バリウムを得ることができる。塩化アルミニウムまたは硫酸アルミニウムと水酸化ナトリウムとを反応させることで、水酸化アルミニウムを得ることができる。炭酸カルシウムと硫酸アルミニウムとを反応させることでカルシウムとアルミニウムとが複合化した無機バインダを得ることができる。

0118

また、このようにして無機バインダを合成する際に、反応液中に、酸化チタンとは異なるさらなる任意の金属や金属化合物を共存させることもでき、この場合はこれらの金属もしくは金属化合物も、無機バインダ中に効率よく取り込まれ、複合化できる。

0119

また、2種類以上の無機バインダを繊維に複合化させる場合には、繊維と酸化チタンの存在下で1種類の無機バインダを合成する工程を行なった後、別の種類の無機バインダを合成する工程を行なってもよく、互いの合成反応を邪魔しなかったり、一つの合成反応で目的の無機バインダが複数種類合成されたりする場合には、2種類以上の無機バインダを同時に合成してもよい。

0120

複合繊維を製造する際には、さらに公知の各種助剤を添加することができる。このような添加剤は、無機バインダに対して、好ましくは0.001質量%以上20質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下の量で添加することができる。

0121

無機バインダの合成反応の温度は、例えば、30℃以上100℃以下とすることができるが、40℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上70℃以下がより好ましく、60℃程度とすると特に好ましい。温度が高すぎたり低すぎたりすると、反応効率が低下しコストが高くなる傾向がある。

0122

さらにまた、合成反応は、反応時間によって制御することができ、具体的には、反応物が反応槽に滞留する時間を調整して制御することができる。その他、本発明においては、反応槽の反応液を攪拌する事や、中和反応を多段反応とすることによって反応を制御することもできる。

0123

(繊維)
本発明で使用する複合体は、セルロース繊維と無機粒子とを複合化したものが好ましい。複合体を構成するセルロース繊維としては例えば、天然のセルロース繊維はもちろん、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)や合成繊維などを制限なく使用することができる。セルロース繊維の原料としては、パルプ繊維(木材パルプや非木材パルプ)、セルロースナノファイバー、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類などが例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。

0124

木材原料(木質原料)などの天然材料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。

0125

非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。

0126

パルプ繊維は、未叩解及び叩解のいずれでもよく、複合体シートの物性に応じて選択すればよいが、叩解を行う方が好ましい。これにより、シート強度の向上並びに無機粒子の定着促進が期待できる。

0127

また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロース、酸化セルロースなどの化学変性セルロース、および微細セルロース:セルロースナノファイバー(CNF、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNFなど)、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)として使用することもできる。

0128

本発明で用いる粉末セルロースとしては、例えば、精選パルプを酸加水分解した後に得られる未分解残渣を精製・乾燥し、粉砕・篩い分けするといった方法により製造される棒軸状である一定の粒径分布を有する結晶性セルロース粉末を用いてもよいし、KCフロック(日本製紙製)、セオラス(旭化成ケミカルズ製)、アビセル(FMC社製)などの市販品を用いてもよい。粉末セルロースにおけるセルロースの重合度は好ましくは100〜1500程度であり、X線回折法による粉末セルロースの結晶化度は好ましくは70〜90%であり、レーザー回折式粒度分布測定装置による体積平均粒子径は好ましくは1μm以上100μm以下である。本発明で用いる酸化セルロースは、例えばN−オキシル化合物、及び、臭化物、ヨウ化物若しくはこれらの混合物からなる群から選択される化合物の存在下で酸化剤を用いて水中で酸化することで得ることができる。

0129

微細セルロースとは、パルプ等のセルロース系原料を解繊して得られる繊維である。本発明において、平均繊維径とは長さ加重平均繊維径であり、平均繊維長とは長さ加重平均繊維長であり、これらは例えばバルメット株式会社製フラクショネーター等で測定できる。

0130

微細セルロースは500nm未満の平均繊維径を有するセルロースナノファイバー(以下「CNF」ともいう)、及び、ミクロフィブリルセルロースファイバー(以下「MFC」ともいう)を含む。

0131

(1)CNF/MFC
CNF/MFCはセルロースのシングルミクロフィブリルであり、その平均繊維径は2nm以上100nm以下が好ましく、2nm以上30nm以下がより好ましい。その平均繊維長は1μm以上5μm以下程度が好ましい。本発明では、濃度1%(w/v)の水分散液(すなわち、100mLの水中に1gのCNF/MFC(乾燥重量)を含む水分散液)としたときに100mPa・s以上10000mPa・s以下であるB型粘度(60rpm、20℃)を与えるCNF/MFCを用いることが好ましい。CNFの平均繊維径および平均繊維長は、原子間力顕微鏡AFM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いても測定できる。

0132

CNF/MFCの水分散液のB型粘度は、公知の手法により測定することができる。例えば、東機産業社のVISCOMETERTV−10粘度計を用いて測定することができる。測定時の温度は20℃であり、ロータ回転数は60rpmである。一般にCNF/MFCの水分散液は、チキソトロピー性を有し、撹拌しせん断応力を与えることで粘度が低下し、静置状態では粘度が上昇しゲル化するという特性を持つため、十分に撹拌した状態でB型粘度を測定することが好ましい。

0133

CNF/MFCの平均アスペクト比は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、1000以下が好ましく、100以下がより好ましく、80以下がさらに好ましい。平均アスペクト比は、下記の式により算出できる。
平均アスペクト比=平均繊維長/平均繊維径
CNF/MFCは、パルプを化学変性した後に機械的に解繊処理を施して得られる機械解繊化学変性CNF/MFCであることが好ましい。上記のとおり、CNF/MFCはセルロース系原料とは解繊の度合いが異なる。解繊の度合いを定量化することは一般に容易ではないが、本発明においては、CNF/MFCの機械解繊前後の濾水度保水度の変化量で解繊度合を定量化することが可能であることを見出した。本発明の機械解繊化学変性セルロース繊維は、解繊前の化学変性パルプの濾水度(F0)が10ml以上低下する程度に機械解繊または叩解して得たものであることが好ましい。すなわち、処理後の濾水度をFとすると、濾水度の差ΔF=F0−Fは10ml以上であることが好ましく、20ml以上であることがより好ましく、30ml以上であることがさらに好ましい。化学変性パルプの濾水度は変性の度合いによって異なるが、原料とする化学変性パルプの濾水度を基準とするため、このように定義することで化学変性の度合いに因らず解繊度合いを特定できる。前述の通り、F0は化学変性パルプの変性の度合いによって異なるため、ΔFの上限を一義に定めることは困難であるが、処理後の濾水度Fは0mlより大きいことが好ましい。Fが0mlのCNF/MFCとするためには、強力な機械解繊を要するため、このように得られたMFCは平均繊維径が500nm未満(セルロースナノファイバー)となる可能性がある。また、濾水度が0mlのCNF/MFCを抄紙工程に多量に添加した場合、抄紙に供するパルプスラリー水切れが悪化する恐れがある。バルメット株式会社製フラクショネーターによって求めたMFCのフィブリル化率は3.5%以上が好ましく、4%以上であることがより好ましい。

0134

(2)添加量
微細セルロースの添加量は、抄紙後の紙において原料パルプに対して所望の量となるように調整される。原料パルプに対する当該量は原料パルプに対して20重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましく、5重量%以下がさらに好ましい。添加量が上限値を超えると保水性が高すぎることから、抄紙時の水切れが悪化する恐れがあるとともに経済性が低下する。微細セルロースの添加量の下限は本発明の効果が得られる範囲であれば限定されないが、前述のとおりに調整される。原料パルプに対する当該下限量は1ppm重量以上程度が好ましく、3ppm重量以上がより好ましい。

0135

(3)微細セルロースの製造
(3−1)セルロース系原料
微細セルロースは、セルロース系原料を必要に応じて化学変性し、その後解繊または叩解することにより製造できる。セルロース系原料は、特に限定されないが、例えば、植物、動物(例えばホヤ類)、藻類、微生物(例えば酢酸菌(アセトバクター))、微生物産生物に由来するものが挙げられる。植物由来のものとしては、例えば、木材、竹、、ジュート、ケナフ、農地廃物、布、パルプ(針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、再生パルプ、古紙等)が挙げられる。本発明で用いるセルロース原料は、これらのいずれかまたは組合せであってもよいが、好ましくは植物または微生物由来のセルロース繊維であり、より好ましくは植物由来のセルロース繊維である。

0136

(3−2)化学変性
化学変性とはセルロース系原料に官能基を導入することをいい、本発明においてはアニオン性基を導入することが好ましい。アニオン性基としてはカルボキシル基、カルボキシル基含有基、リン酸基、リン酸基含有基等の酸基が挙げられる。カルボキシル基含有基としては、−COOH基、−R−COOH(Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基)、−O−R−COOH(Rは炭素数が1以上3以下のアルキレン基)が挙げられる。リン酸基含有基としては、ポリリン酸基、亜リン酸基ホスホン酸基ポリホスホン酸基等が挙げられる。これらの酸基は反応条件によっては、塩の形態(例えばカルボキシレート基(−COOM、Mは金属原子))で導入されることもある。本発明において化学変性は、酸化またはエーテル化が好ましい。

0137

酸化は公知のとおりに実施できる。例えばN−オキシル化合物と、臭化物、ヨウ化物およびこれらの混合物からなる群より選択される物質との存在下で、酸化剤を用いて水中でセルロース原料を酸化する方法が挙げられる。この方法によれば、セルロース表面のグルコピラノース環のC6位の一級水酸基が選択的に酸化され、アルデヒド基、カルボキシル基、およびカルボキシレート基からなる群より選ばれる基が生じる。あるいは、オゾン酸化方法が挙げられる。この酸化反応によればセルロースを構成するグルコピラノース環の少なくとも2位および6位の水酸基が酸化されると共に、セルロース鎖の分解が起こる。

0138

カルボキシル基量測定方法の一例を以下に説明する。酸化セルロースの0.5重量%スラリー(水分散液)60mLを調製し、0.1M塩酸水溶液を加えてpH2.5とした後、0.05Nの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHが11になるまで電気伝導度を測定する。電気伝導度の変化が緩やかな弱酸中和段階において消費された水酸化ナトリウム量(a)から、下式を用いて算出することができる。
カルボキシル基量〔mmol/g酸化セルロース〕=a〔mL〕×0.05/酸化セルロース重量〔g〕

0139

このようにして測定した酸化セルロース中のカルボキシル基の量は、絶乾重量に対して、好ましくは0.1mmol/g以上、より好ましくは0.5mmol/g以上、さらに好ましくは0.8mmol/g以上である。当該量の上限は、好ましくは3.0mmol/g以下、より好ましくは2.5mmol/g以下、さらに好ましくは2.0mmol/g以下である。従って、当該量は0.1mmol/g以上3.0mmol/g以下が好ましく、0.5mmol/g以上2.5mmol/g以下がより好ましく、0.8mmol/g以上2.0mmol/g以下がさらに好ましい。

0140

エーテル化としては、カルボキシメチル(エーテル)化、メチル(エーテル)化、エチル(エーテル)化、シアノエチル(エーテル)化、ヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピル(エーテル)化、エチルヒドロキシエチル(エーテル)化、ヒドロキシプロピルメチル(エーテル)化などが挙げられる。この中でもカルボキシメチル化が好ましい。カルボキシメチル化は、例えば、発底原料としてのセルロース原料をマーセル化し、その後エーテル化する方法により実施できる。

0141

カルボキシメチル化セルロースグルコース単位当たりカルボキシメチル置換度の測定は例えば、次の方法による。すなわち、1)カルボキシメチル化セルロース(絶乾)約2.0gを精して、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。2)硝酸メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液100mLを加え、3時間振とうして、カルボキシメチルセルロース塩(カルボキシメチル化セルロース)を水素型カルボキシメチル化セルロースにする。3)水素型カルボキシメチル化セルロース(絶乾)を1.5g以上2.0g以下程度精秤し、300mL容共栓付き三角フラスコに入れる。4)80%メタノール15mLで水素型カルボキシメチル化セルロースを湿潤し、0.1NのNaOHを100mL加え、室温で3時間振とうする。5)指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1NのH2SO4で過剰のNaOHを逆滴定する。6)カルボキシメチル置換度(DS)を、次式によって算出する:
A=[(100×F’−(0.1NのH2SO4)(mL)×F)×0.1]/(水素型カルボキシメチル化セルロースの絶乾質量(g))
DS=0.162×A/(1−0.058×A)
A:水素型カルボキシメチル化セルロースの1gの中和に要する1NのNaOH量(mL)
F:0.1NのH2SO4のファクター
F’:0.1NのNaOHのファクター

0142

カルボキシメチル化セルロース中の無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度は、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.10以上がさらに好ましい。当該置換度の上限は、0.50以下が好ましく、0.40以下がより好ましく、0.35以下がさらに好ましい。従って、カルボキシメチル基置換度は、0.01以上0.50以下が好ましく、0.05以上0.40以下がより好ましく、0.10以上0.30以下がさらに好ましい。

0143

(3−3)解繊または叩解
セルロースを機械的に解繊または叩解することで微細セルロースを、化学変性セルロースを機械的に解繊または叩解することで化学変性微細セルロースを製造できる。解繊または叩解処理は1回行ってもよいし、これらを単独でまたは組合せて複数回行ってもよい。複数回の場合それぞれの解繊または叩解の時期はいつでもよく、使用する装置は同一でも異なってもよい。

0144

解繊または叩解処理に用いる装置は特に限定されないが、例えば、高速回転式コロイドミル式、高圧式、ロールミル式、超音波式などのタイプの装置が挙げられ、高圧または超高圧ホモジナイザー、リファイナー、ビーター、PFIミル、ニーダー、ディスパーザーなど回転軸を中心として金属または刃物とパルプ繊維を作用させるもの、あるいはパルプ繊維同士の摩擦によるものを使用することができる。

0145

以上に示した繊維は単独で用いても良いし、複数を混合しても良い。例えば、製紙工場の排水から回収された繊維状物質を本発明の炭酸化反応に供給してもよい。このような物質を反応槽に供給することにより、種々の複合粒子を合成することができ、また、形状的にも繊維状粒子などを合成することができる。

0146

本発明においては、繊維の他にも、生成物である無機粒子に取り込まれて複合粒子を生成するような物質を用いることができる。本発明にいては、パルプ繊維を始めとする繊維を使用するが、それ以外にも無機粒子、有機粒子、ポリマーなどを含む溶液中で無機粒子を合成することによって、さらにこれらの物質が取り込まれた複合粒子を製造することが可能である。

0147

複合化する繊維の繊維長は特に制限されないが、例えば、平均繊維長が0.1μm〜15mm程度とすることができ、10μm〜12mm、50μm〜10mm、200μm〜8mmなどとしてもよい。このうち、本発明においては、平均繊維長が50μmより長いことが脱水やシート化が容易なため好ましい。平均繊維長が200μmより長いことが通常の抄紙工程で使用する脱水およびもしくは抄紙用のワイヤー(フィルター)のメッシュを使用して脱水やシート化が可能なためさらに好ましい。
複合化する繊維の繊維径は特に制限されないが、例えば、平均繊維径が1nm〜100μm程度とすることができ、10nm〜100μm、0.15μm〜100μm、1μm〜90μm、3〜50μm、5〜30μmなどとしてもよい。このうち、本発明においては、平均繊維径が500nmより高いことが水やシート化が容易なため好ましい。平均繊維径が1μmより高いことが通常の抄紙工程で使用する脱水およびもしくは抄紙用のワイヤー(フィルター)のメッシュを使用して脱水やシート化が可能なためさらに好ましい。

0148

6.工程3:精選工程
この工程は、繊維と複合化しなかった無機粒子や不純物を取り除き、純度の高い複合体を得るために必須の工程である。これらは公知の工程によることができ、用途やエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。濾過機脱水機を用いる場合についてもその種類に特に制限はなく、一般的なものを使用することができるが、例えば濃縮・脱溶媒処理は、ろ過式脱水である遠心脱水機遠心分離機)や真空脱水機、加圧式の脱水機、沈降濃縮式の脱水機などを用いて行われる。具体的には、遠心分離式タナウィルテック社製遠心分離機、コクサン社製遠心分離機、デカンタースクリューデカンターなど、真空脱水式:ドラム型真空脱水機、シスクシックナー、月島機械社製水平ベルトフィルターオリバーフィルターなど、加圧脱水式:フィルタープレスロールプレスチューブプレススクリュープレスベルトプレス水平ベルトフィルター、ポリディスクフィルター、スクリーン、ペレタイザーなどを挙げることができる。また、これらの複数を組み合わせて使用することもできる。

0149

精選工程を設けることで複合体の見かけ容積や重量でき、運搬やハンドリングが容易になる。またろ過式のようにフィルターがろ液を分離する精選法を施した場合、無機塩に代表される合成時の副生成物を除去することが可能である。

0150

精選工程において、無機物と繊維の複合体の懸濁液をJIS P 8207のパルプのふるい分け試験方法に従って測定した140メッシュパスの微細繊維及び/または無機粒子が50%以下になるように精選処理することが好ましい。

0151

また、精選工程において、複合体の固形分濃度を向上させる、すなわち濃縮を行ってもよい。濃縮する場合、濃縮される前の複合体スラリーの濃度が0.1〜20%であるのに対し、複合体の濃縮濃度は用途に応じて決めればよいが、例えば、0.5〜40%、1〜35%、2〜30%、3〜25%などとすることができる。

0152

本発明においては、必要に応じて、貯蔵タンクへの貯蔵や、粉砕、分級、熟成、分散などの処理を行うことができる。これらは公知の工程によることができ、用途やエネルギー効率などを考慮して適宜決定すればよい。例えば、粉砕の方法としては、ボールミル、サンドグラインダーミル、インパクトミル、高圧ホモジナイザー、低圧ホモジナイザー、ダイノーミル、超音波ミル、カンダグラインダ、アトライタ、石臼型ミル、振動ミル、カッターミル、ジェットミル、離解機、叩解機、短軸押出機、2軸押出機、超音波攪拌機、家庭用ジューサーミキサー等が挙げられる。分級の方法としては、メッシュ等の篩、アウトワード型若しくはインワード型のスリット、アウトワード型若しくはインワード型の丸穴スクリーン、振動スクリーン重量異物クリーナー、軽量異物クリーナー、リバースクリーナー、篩分け試験機等が挙げられる。分散の方法としては、高速ディスパーザー、低速ニーダーなどが挙げられる。

0153

また、本発明においては、反応生成物である複合体が懸濁液として得られるため、必要に応じて、貯蔵タンクに貯蔵したり、濃縮、脱溶媒、粉砕、分級、熟成、分散などの処理を行うことができる。

0154

本発明によって得られた複合体は、完全に脱溶媒せずに懸濁液の状態で填料や顔料に配合することもできるが、乾燥して粉体とすることもできる。この場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機バンド乾燥機噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。

0155

本発明によって得られる複合体は、公知の方法によって改質することが可能である。例えば、ある態様においては、その表面を疎水化し、樹脂などとの混和性を高めたりすることが可能である。

0156

7.複合体
本発明によって得られた複合体は、種々の用途に用いることができ、例えば、紙、繊維、セルロース系複合材料フィルター材料、塗料、プラスチックやその他の樹脂、ゴムエラストマー、セラミック、ガラス、タイヤ建築材料アスファルトアスベスト、セメント、ボード、コンクリート、れんがタイル合板繊維板天井材壁材床材屋根材ななど)、家具自動車部材、各種担体触媒担体医薬担体農薬担体、微生物担体など)、吸着剤不純物除去、消臭、除湿など)、しわ防止剤粘土研磨材摩擦材改質剤補修材断熱材、耐熱材放熱材防湿材撥水材、耐水材遮光材シーラントシールド材防虫剤接着剤、インキ、化粧料医用材料ペースト材料変色防止剤食品添加剤錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤濾過助材精油材、油処理剤、油改質剤、電波吸収材絶縁材、遮音材防振材半導体封止材放射線遮断材化粧品肥料飼料香料、塗料・接着剤用添加剤難燃材料衛生用品使い捨ておむつ、生理用ナプキン失禁者パッド母乳パッドなど)等のあらゆる用途に広く使用することができる。また、前記用途における各種充填剤コーティング剤などに用いることができる。

0157

本発明によって得られた複合体は、製紙用途に適用してもよく、例えば、印刷用紙、新聞紙インクジェット用紙PPC用紙クラフト紙、上質紙、コート紙、微塗工紙包装紙、薄葉紙色上質紙キャストコート紙ノンカーボン紙ラベル用紙感熱紙、各種ファンシーペーパー水溶紙剥離紙、工程紙壁紙用原紙不燃紙難燃紙積層板原紙プリンテッドエレクトロニクス用紙、バッテリー用セパレータクッション紙トレーシングペーパー含浸紙ODP用紙、建材用紙、化粧材用紙、封筒用紙テープ用紙、熱交換用紙、化繊紙減菌紙、耐水紙耐油紙耐熱紙、光触媒紙化粧紙脂取り紙など)、各種衛生紙トイレットペーパーティッシュペーパーワイパー、おむつ、生理用品等)、たばこ用紙、板紙(ライナー中芯原紙白板紙など)、紙皿原紙、カップ原紙ベーキング用紙、研磨紙、合成紙などが挙げられる。すなわち、本発明によれば、一次粒子径が小さくかつ粒度分布の狭い無機物と繊維との複合体を得ることができるため、2μm超の粒子径を有していた従来の無機填料とは異なった特性を発揮させることができる。更には、単に無機物を繊維に単に配合した場合と異なり、無機物を繊維と複合体化しておくと、無機物がシートに歩留易いだけでなく、凝集せずに均一に分散したシートを得ることができる。本発明における無機物は、好ましい態様において、繊維の外表面・ルーメンの内側に定着するだけでなく、ミクロフィブリルの内側にも生成することが電子顕微鏡観察の結果から明らかとなっている。

0158

また、本発明によって得られる複合体を使用する際には、一般に無機填料及び有機填料と呼ばれる粒子や、各種繊維を併用することができる。例えば、無機填料として、炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム重質炭酸カルシウム)、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛クレーカオリン焼成カオリンデラミカオリン)、タルク酸化亜鉛ステアリン酸亜鉛、二酸化チタン、ケイ酸ナトリウムと鉱酸から製造されるシリカ(ホワイトカーボン、シリカ/炭酸カルシウム複合体、シリカ/二酸化チタン複合体)、白土ベントナイト珪藻土硫酸カルシウムゼオライト脱墨工程から得られる灰分を再生して利用する無機填料および再生する過程でシリカや炭酸カルシウムと複合体を形成した無機填料などが挙げられる。炭酸カルシウム−シリカ複合物としては、炭酸カルシウムおよび/または軽質炭酸カルシウム−シリカ複合物以外に、ホワイトカーボンのような非晶質シリカを併用しても良い。有機填料としては、尿素ホルマリン樹脂ポリスチレン樹脂フェノール樹脂微小中空粒子アクリルアミド複合体、木材由来の物質(微細繊維、ミクロフィブリル繊維、粉体ケナフ)、変性不溶化デンプン、未糊化デンプンなどが挙げられる。繊維としては、セルロースなどの天然繊維はもちろん、石油などの原料から人工的に合成される合成繊維、さらには、レーヨンやリヨセルなどの再生繊維(半合成繊維)、さらには無機繊維などを制限なく使用することができる。天然繊維としては上記の他にウール絹糸コラーゲン繊維等の蛋白系繊維、キチンキトサン繊維アルギン酸繊維等の複合糖鎖系繊維等が挙げられる。セルロース系の原料としては、パルプ繊維(木材パルプや非木材パルプ)、バクテリアセルロース、ホヤなどの動物由来セルロース、藻類などが例示され、木材パルプは、木材原料をパルプ化して製造すればよい。木材原料としては、アカマツ、クロマツ、トドマツ、エゾマツ、ベニマツ、カラマツ、モミ、ツガ、スギ、ヒノキ、カラマツ、シラベ、トウヒ、ヒバ、ダグラスファー、ヘムロック、ホワイトファー、スプルース、バルサムファー、シーダ、パイン、メルクシマツ、ラジアータパイン等の針葉樹、及びこれらの混合材、ブナ、カバ、ハンノキ、ナラ、タブ、シイ、シラカバ、ハコヤナギ、ポプラ、タモ、ドロヤナギ、ユーカリ、マングローブ、ラワン、アカシア等の広葉樹及びこれらの混合材が例示される。木材原料をパルプ化する方法は、特に限定されず、製紙業界で一般に用いられるパルプ化法が例示される。木材パルプはパルプ化法により分類でき、例えば、クラフト法、サルファイト法、ソーダ法、ポリサルファイド法等の方法により蒸解した化学パルプ;リファイナー、グラインダー等の機械力によってパルプ化して得られる機械パルプ;薬品による前処理の後、機械力によるパルプ化を行って得られるセミケミカルパルプ;古紙パルプ;脱墨パルプ等が挙げられる。木材パルプは、未晒(漂白前)の状態であってもよいし、晒(漂白後)の状態であってもよい。非木材由来のパルプとしては、綿、ヘンプ、サイザル麻、マニラ麻、亜麻、藁、竹、バガス、ケナフ、サトウキビ、トウモロコシ、稲わら、楮(こうぞ)、みつまた等が例示される。木材パルプ及び非木材パルプは、未叩解及び叩解のいずれでもよい。また、これらセルロース原料はさらに処理を施すことで粉末セルロース、酸化セルロースなどの化学変性セルロース、およびセルロースナノファイバー:CNF(ミクロフィブリル化セルロース:MFC、TEMPO酸化CNF、リン酸エステル化CNF、カルボキシメチル化CNF、機械粉砕CNF)として使用することもできる。合成繊維としてはポリエステルポリアミドポリオレフィン、アクリル繊維、半合繊維としてはレーヨン、アセテートなどが挙げられ、無機繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、各種金属繊維などが挙げられる。以上について、これらは単独でも2種類以上の組み合わせで用いても構わない。

0159

本発明によって得られた複合体は、種々の成形物(体)に加工することも可能である。例えば、粉体、ペレット、モールド、水性懸濁液、ペースト、シート、その他の形状に加工することができる。また、複合体を主成分として他の材料と共にモールドや粒子・ペレットなどの成形体にすることもできる。乾燥して紛体にする場合の乾燥機についても特に制限はないが、例えば、気流乾燥機、バンド乾燥機、噴霧乾燥機などを好適に使用することができる。

0160

例えば、本発明によって得られた複合体をシート化すると、高灰分のシートを容易に得ることができる。また、得られたシートを貼り合せて多層シートとすることもできる。シート製造に用いる抄紙機抄造機)としては、例えば長網抄紙機丸網抄紙機ギャップフォーマハイブリッドフォーマ多層抄紙機、これらの機器の抄紙方式を組合せた公知の抄造機などが挙げられる。抄紙機におけるプレス線圧後段カレンダー処理を行う場合のカレンダー線圧は、いずれも操業性や複合体シートの性能に支障を来さない範囲内で定めることができる。また、形成されたシートに対して含浸や塗布により澱粉や各種ポリマー、顔料およびそれらの混合物を付与しても良い。

0161

シート化の際には湿潤および/または乾燥紙力剤紙力増強剤)を添加することができる。これにより、複合体シートの強度を向上させることができる。紙力剤としては例えば、尿素ホルムアルデヒド樹脂メラミンホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド、ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂植物性ガムラテックスポリエチレンイミングリオキサール、ガム、マンガラクタンポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド樹脂ポリビニルアミンポリビニルアルコール等の樹脂;上記樹脂から選ばれる2種以上からなる複合ポリマー又は共重合ポリマー;澱粉及び加工澱粉カルボキシメチルセルロースグアーガム尿素樹脂等が挙げられる。紙力剤の添加量は特に限定されない。

0162

また、填料の繊維への定着を促したり、填料や繊維の歩留を向上させるために、高分子ポリマーや無機物を添加することもできる。例えば凝結剤として、ポリエチレンイミンおよび第三級および/または四級アンモニウム基を含む改質ポリエチレンイミンポリアルキレンイミンジシアンジアミドポリマー、ポリアミン、ポリアミン/エピクロドリ重合体、並びにジアルキルジアリル第四級アンモニウムモノマージアルキルアミノアルキルアクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミド及びジアルキルアミノアルキルメタクリルアミドとアクリルアミドの重合体、モノアミン類エピハロヒドリンからなる重合体、ポリビニルアミン及びビニルアミン部を持つ重合体やこれらの混合物などのカチオン性のポリマーに加え、前記ポリマーの分子内にカルボキシル基やスルホン基などのアニオン基を共重合したカチオンリッチ両イオン性ポリマー、カチオン性ポリマーとアニオン性または両イオン性ポリマーとの混合物などを用いることができる。また歩留剤として、カチオン性またはアニオン性、両性ポリアクリルアミド系物質を用いることができる。また、これらに加えて少なくとも一種以上のカチオンやアニオン性のポリマーを併用する、いわゆるデュアルポリマーと呼ばれる歩留りステムを適用することもでき、少なくとも一種類以上のアニオン性のベントナイトやコロイダルシリカポリ珪酸、ポリ珪酸もしくはポリ珪酸塩ミクロゲルおよびこれらのアルミニウム改質物などの無機微粒子や、アクリルアミドが架橋重合したいわゆるマイクロポリマーといわれる粒径100μm以下の有機系の微粒子を一種以上併用する多成分歩留りシステムであってもよい。特に単独または組合せで使用するポリアクリルアミド系物質が、極限粘度法による重量平均分子量が200万ダルトン以上である場合、良好な歩留りを得ることができ、好ましくは、500万ダルトン以上であり、更に好ましくは1000万ダルトン以上3000万ダルトン未満の上記アクリルアミド系物質である場合に非常に高い歩留りを得ることが出来る。このポリアクリルアミド系物質の形態はエマルジョン型でも溶液型であっても構わない。この具体的な組成としては、該物質中にアクリルアミドモノマーユニット構造単位として含むものであれば特に限定はないが、例えば、アクリル酸エステルの4級アンモニウム塩とアクリルアミドとの共重合物、あるいはアクリルアミドとアクリル酸エステルを共重合させた後、4級化したアンモニウム塩が挙げられる。該カチオン性ポリアクリルアミド系物質カチオン電荷密度は特には限定されない。

0163

その他、目的に応じて、濾水性向上剤内添サイズ剤、pH調整剤、消泡剤、ピッチコントロール剤、スライムコントロール剤、嵩高剤、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、シリカなどの無機粒子(いわゆる填料)等が挙げられる。各添加材の使用量は特に限定されない。

0164

シート化以外の成形法を用いることも可能であり、例えば、パルプモールドと呼ばれるように鋳型に原料を流し込んで吸引脱水・乾燥させる方法や、樹脂や金属などの成形物の表面に塗り広げて乾燥後、基材から剥離する方法などによって、種々の形状を有する成形物を得ることができる。また、樹脂を混ぜてプラスチック様に成形することもできるし、シリカやアルミナ等の鉱物を添加し、焼成することでセラミック様に成形することもできる。以上に示した配合・乾燥・成形において、1種類の複合体のみを用いることもできるし、2種類以上の複合体を混合して用いることもできる。2種類以上の複合体を用いる場合は、予めそれらを混合したものを用いることもできるし、それぞれを配合・乾燥・成形したものを後から混合することもできる。

0165

また、複合体の成形物に後からポリマーなどの各種有機物や顔料などの各種無機物を付与しても良い。

0166

以下、調成工程、反応工程、濃縮工程、成形工程を備えた複合体の製造方法について下記実施例を用いて説明する。

0167

[実施例1]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、日本製紙株式会社製)シートをパルパー(IHI voite社製)にて水に濃度5%で離解し、パルプ分散液を調製した。これをダブルディスクリファイナー(DDR、相川鉄工社製)にて濾水度が500mlになるまで叩解した。得られたパルプ分散液をスクリーン(相川鉄工社製)に通して異物を除去した後、10m3を反応器(住友重機プロセス機器社製)に投じ、温度50℃で撹拌しながら水酸化ナトリウムと炭酸ナトリウムをパルプ重量当たり75.3%および12.5%添加し、pH13とした。その後、9.7%硫酸亜鉛と3.4%硫酸アルミニウムの混合溶液を60分間かけて滴下し、pH7になるまで反応させた。得られた複合体の懸濁液を脱水機(富国工業社製)で濃度30%まで脱水し、複合体の脱水ケーキを得た。これを濃度0.5%に再分散し、長網抄紙機で抄速200m/分でシート化し、複合体シートを得た。

0168

[実施例2]
NBKPシートをパルパー(富士製作所社製)にて水に濃度5%に離解し、パルプ分散液を調製した。これをシングルディスクリファイナー(SDR、熊谷理機社製)にて濾水度が500mlになるまで叩解した。得られたパルプ分散液を高濃度クリーナー(相川鉄工社製)に通して異物を除去した後、図1に示すような反応装置を用いて、消石灰(水酸化カルシウム:Ca(OH)2、奥多摩)の1%水性懸濁液2m3に対し、ウルトラファインバブル発生装置(せん断式、エンバイビジョン社YJ−9、図2)を用いてポンプ流量80L/minで反応液を循環させた(ノズルからの噴射速度:125L/min・cm2)。ウルトラファインバブル発生装置の給気口から炭酸ガスを吹き込むことによって、炭酸ガスを含む大量のウルトラファインバブルを反応液中に発生させ、炭酸カルシウム粒子を炭酸ガス法によって合成した。反応温度は15℃、炭酸ガスの吹き込み量は16L/minとして365分間反応を行い、反応液のpHが7.5になった段階で反応を停止し、サンプルを得た(反応前のpHは12.8)。また、ウルトラファインバブルの平均粒子径は約137nm、ウルトラファインバブルを発生させてからウルトラファインバブルが消失するまでの平均時間(気泡の存在時間ともいう)は60分間以上だった。得られた複合体の懸濁液を脱水機(月島マシンセールス社製)で濃度25%まで脱水し、複合体の脱水ケーキを得た。これを濃度0.5%に再分散し、長網抄紙機で抄速20m/分でシート化し、複合体シートを得た。

0169

[実施例3]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP、400g、濃度2%)をナイアガラビーター(熊谷理機社製)でカナダ標準濾水度CSF:215mLになるまで調整した。そのうちの300gを水酸化カルシウム(消石灰:Ca(OH)2、300g、和光純薬)を含む水性懸濁液30Lに投入した。この水性懸濁液を、40L容のキャビテーション装置(図3)に入れ、反応容器中に炭酸ガスを吹き込んでキャビテーションを発生させ、炭酸ガス法によって炭酸カルシウム微粒子と繊維との複合繊維を合成し、サンプルを得た。反応温度は約25℃、炭酸ガスは市販の液化ガスを供給源とし、炭酸ガスの吹き込み量は40L/minであり、反応液のpHが約7になった段階で反応を停止した(反応前のpHは約12.8)。得られた複合体の懸濁液を大型遠心脱水機(熊谷理機社製)で濃度15%まで脱水し、複合体の脱水ケーキを得た。

実施例

0170

[実施例4]
ポリプロピレン繊維6.5g(ナイアガラビーターによってCSFを824mLに調整済、原料のポリプロピレン繊維はトーア紡マテリアル製、繊維長6mm)を含む水性懸濁液1060mLを2L容の樹脂製容器に入れ、45℃に加温しながらラボミキサーで撹拌した(500rpm)。この水性懸濁液に硫酸アルミニウム水溶液工業用硫酸バンドアルミナ換算で約2.7%)をpH=3.7になるまで約2分間滴下した後、硫酸アルミニウム水溶液(工業用硫酸バンド、アルミナ換算で約2.7%、40g)とケイ酸ナトリウム水溶液(和光純薬、濃度5%、122g)をpH=4を維持するよう同時に約80分間滴下した。滴下にはペリスターポンプを使用し、反応温度は約45℃であった。以上によってシリカ/アルミナ微粒子とポリプロピレン繊維との複合体を合成した。得られた複合体の懸濁液を大型遠心脱水機(熊谷理機社製)で濃度20%まで脱水し、複合体の脱水ケーキを得た。

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