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技術 高強度溶融めっき金属鋼帯の製造方法および高強度溶融アルミニウムめっき金属鋼帯

出願人 日本製鉄株式会社
発明者 三尾野忠昭鴨志田真一古賀慎一服部保徳
出願日 2019年3月28日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-064373
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-164892
状態 未査定
技術分野 溶融金属による被覆
主要キーワード ポートフランジ 基本特許 アコースティックエミッションセンサ 微小硬さ試験機 加熱無し 測定周波数帯域 音響スペクトル 導波棒
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

高強度溶融めっき鋼帯を製造するために、冷間圧延後の鋼帯に対して、鋼帯の再結晶焼鈍未満の加熱処理であっても、良好なめっき性が得られる溶融めっき方法を提供する。なお、本発明の「良好なめっき性」は、「鋼帯に対する溶融金属との間のめっきぬれ性」を扱う。

解決手段

熱延鋼帯または焼鈍鋼帯に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、溶融金属であるめっき浴中に冷間圧延鋼帯進入させて溶融金属を被覆させるめっき工程を含む溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、冷間圧延鋼帯は、冷間圧延工程のあと再結晶温度未満に維持されてめっき浴中に進入され、めっき工程は、溶融金属に冷間圧延鋼帯が接触している間にめっき浴中に振動を付与しつつ溶融金属を被覆させることを特徴とする。

概要

背景

従来、高強度を要求される例えば建造物の分野では、ASTMA653グレード80(旧呼称:ASTM A446 グレードE)の規格適合する溶融めっき鋼帯が用いられることがある。この規格に適合する溶融めっき鋼帯は、例えば、C(炭素)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)等を添加した鋼材を用い、これに通常の条件により熱間圧延冷間圧延を行ってめっき原板を製造し、そののち、鋼材が軟化することを防ぐため連続焼鈍温度を再結晶温度未満として回復焼鈍のみを行って鋼材の強度を確保するようにし、言い換えると冷間圧延後に再結晶焼鈍を行わずに、溶融亜鉛めっきを行うことにより製造されていた。鋼材の再結晶温度は、鋼材の組成や冷間圧延により鋼材に導入された歪み量の大小にも依存するが、通常は550℃前後と考えてよい。

ところで、鋼帯に対し連続的に溶融金属をめっきする場合に用いられる一般的な連続式溶融めっき設備は、通常、前処理設備加熱還元炉溶融めっき部(溶融金属ポット)、および後処理設備を含む。前処理設備では鋼帯に付着している圧延油および汚れを除去する処理が行われる。還元加熱炉では、H2を含む雰囲気中にて鋼帯を加熱することにより、鋼帯の表面に存在するFe酸化物還元処理が行われる。溶融めっき部では、還元加熱炉にて処理された鋼帯を、還元雰囲気内または鋼帯表面の再酸化を防止する雰囲気内に保持したまま溶融金属めっき浴中に浸漬または通過させることにより、鋼帯に溶融めっきを施す。後処理設備は、溶融めっきされた鋼帯に対して、用途の応じて様々な処理を行う。

連続式溶融めっき設備の還元加熱炉では、鋼帯の材料自体焼鈍処理および鋼帯の表面に存在するFe酸化膜の還元処理が行われる。この焼鈍処理は、鋼帯の引張強さや伸び等の機械的性質が所望のものとなるように鋼帯の金属組織を調整するためのものであり、一般には、鋼帯の再結晶温度以上の温度に加熱することによって再結晶させることによって行われる。また、この還元処理は、例えば窒素ガスおよび水素ガス混合雰囲気下で鋼帯を加熱処理することにより行われる。この加熱処理は、めっき製品の使用目的に応じて加熱温度が設定され、鋼帯の表面に存在するFe酸化膜を還元して鋼帯と溶融めっき浴との反応性を良好にするために、少なくとも溶融めっき浴の温度以上の温度に鋼帯が加熱される。

上記のように、一般的な連続式溶融めっき設備の加熱還元炉における加熱処理によって、鋼帯の機械的性質の調整と鋼帯表面の酸化膜が除去されるため、製造された溶融めっき鋼帯は機械的性質が調整され、また鋼帯と溶融めっき浴との反応性が良好であるため、不めっきピンホール等のめっき欠陥が発生せずに、安定して溶融めっき鋼帯を製造することができる。

しかしながら、前記したように、高強度を要求される溶融金属めっき鋼帯を製造する場合には、還元加熱炉の温度を鋼材の再結晶温度未満としなければならない。この場合、鋼帯表面の酸化膜の除去が十分に行われず、十分に良好な鋼材と溶融めっき浴との反応性が得られないことが懸念される。

そのような場合の対策として、いくつかの先行技術が存在する。特許文献1は、未再結晶Zn−Al溶融めっき鋼板とその製造方法の発明であって、低炭素鋼にTi(チタン),Nb(ニオブ),B(ボロン)のうちの1種または2種以上を含有させることにより、鋼帯の再結晶温度を100℃以上上昇させている。これにより、600℃を超えるような焼鈍温度焼鈍を行っても不めっきの発生がなく、50kg/mm2以上の引張強さが得られる未再結晶Zn−Al溶融めっき鋼板が製造される。

特許文献2は、連続式溶融亜鉛めっきラインにおける未再結晶溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法の発明である。通常の一般材を製造する連続式溶融亜鉛めっきラインにはめっき槽の前に、加熱帯均熱帯および冷却帯がこの順で配置されており、このめっきラインを用いて、加熱帯の温度を下げて未再結晶溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することは可能であるが、加熱帯の温度を下げた場合には均熱帯を出た鋼板は冷却帯で過冷却になってしまい、めっき槽に進入する鋼板温度は一般材よりもかなり低下してしまう。そのため、めっき後の鋼板表面に、ドロス引き、湯ジワ等のめっき欠陥が生じやすいこと、また浴中ロールにドロスが付着して、浴中ロールの寿命が著しく短くなること、また、500℃前後の低温熱処理されるため、鋼板表面の清浄化が必ずしも十分でなく、めっき密着性不良が起こりやすいという問題がある、とされている。その問題に対して、この特許文献2の発明は、めっき槽に侵入する鋼板の温度を測定し、その測定値に基づいて冷却帯の後部に設けた誘導加熱装置により鋼板の再加熱を行って、めっき槽に侵入する鋼板温度を目標温度になるように制御することにより解決している。
なお、ここで一般材とは、鋼板に再結晶温度以上の温度に加熱して、軟化焼鈍と鋼板表面の清浄化を行ったあとに、所定の溶融めっきを施した溶融めっき鋼板を指している。

概要

高強度溶融めっき鋼帯を製造するために、冷間圧延後の鋼帯に対して、鋼帯の再結晶焼鈍未満の加熱処理であっても、良好なめっき性が得られる溶融めっき方法を提供する。なお、本発明の「良好なめっき性」は、「鋼帯に対する溶融金属との間のめっきぬれ性」を扱う。熱延鋼帯または焼鈍鋼帯に冷間圧延を施す冷間圧延工程と、溶融金属であるめっき浴中に冷間圧延鋼帯を進入させて溶融金属を被覆させるめっき工程を含む溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、冷間圧延鋼帯は、冷間圧延工程のあと再結晶温度未満に維持されてめっき浴中に進入され、めっき工程は、溶融金属に冷間圧延鋼帯が接触している間にめっき浴中に振動を付与しつつ溶融金属を被覆させることを特徴とする。

目的

本発明は、高強度溶融めっき鋼帯を製造するために、冷間圧延後の鋼帯に対して、めっき前の加熱処理が再結晶焼鈍未満の加熱処理であっても、良好なめっき性が得られる溶融めっき方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

熱延鋼帯または焼鈍鋼帯冷間圧延を施して冷間圧延を得る冷間圧延工程と、溶融金属であるめっき浴中に冷間圧延鋼帯進入させて前記冷間圧延鋼帯に前記溶融金属を被覆させるめっき工程を含む溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、前記冷間圧延鋼帯は、前記冷間圧延工程のあと、その温度が前記冷間圧延鋼帯の再結晶温度未満に維持されてめっき浴中に進入され、前記めっき工程は、前記溶融金属に前記冷間圧延鋼帯が接触している間に前記めっき浴中に振動を付与しつつ前記冷間圧延鋼帯に前記溶融金属を被覆させることを特徴とする、高強度溶融金属めっき鋼帯の製造方法。

請求項2

前記めっき工程において前記振動は、前記めっき浴に付与する上記振動の周波数基本周波数として、前記めっき浴中にて測定される音響スペクトルが下記式(1)の関係を満たすように、上記振動を付与することを特徴とする請求項1に記載の高強度溶融金属めっき鋼帯の製造方法。(IB−NB)/(IA−NA)>0.2・・・(1)(ここで、IA:測定周波数帯域全体における音圧平均値IB:(i)上記基本周波数における音圧のピークと2倍音周波数における音圧のピークとの間、並びに、(ii)複数の倍音周波数における音圧のピークのうち隣り合うピーク間、の特定周波数帯域における音圧の平均値NA:上記測定周波数帯域全体における、上記振動を付与していない場合の音圧の平均値NB:上記IBに関して規定される上記特定周波数帯域における、上記振動を付与していない場合の音圧の平均値である)

請求項3

前記めっき浴は、Al(アルミニウム)を主たる成分とすることを特徴とする、請求項2に記載の高強度溶融アルミニウムめっき鋼帯の製造方法。

請求項4

焼鈍組織である金属組織を有する鋼帯の表面に、Alを主たる成分とする溶融めっき層が形成されている高強度溶融アルミニウムめっき鋼帯。

請求項5

前記非焼鈍組織は冷間圧延組織であることを特徴とする、請求項4に記載の高強度溶融アルミニウムめっき鋼帯。

技術分野

0001

本発明は、金属材料溶融めっき方法に関し、特に鋼帯に対する溶融めっき方法に関する。

背景技術

0002

従来、高強度を要求される例えば建造物の分野では、ASTMA653グレード80(旧呼称:ASTM A446 グレードE)の規格適合する溶融めっき鋼帯が用いられることがある。この規格に適合する溶融めっき鋼帯は、例えば、C(炭素)、Si(シリコン)、Mn(マンガン)等を添加した鋼材を用い、これに通常の条件により熱間圧延冷間圧延を行ってめっき原板を製造し、そののち、鋼材が軟化することを防ぐため連続焼鈍温度を再結晶温度未満として回復焼鈍のみを行って鋼材の強度を確保するようにし、言い換えると冷間圧延後に再結晶焼鈍を行わずに、溶融亜鉛めっきを行うことにより製造されていた。鋼材の再結晶温度は、鋼材の組成や冷間圧延により鋼材に導入された歪み量の大小にも依存するが、通常は550℃前後と考えてよい。

0003

ところで、鋼帯に対し連続的に溶融金属をめっきする場合に用いられる一般的な連続式溶融めっき設備は、通常、前処理設備加熱還元炉溶融めっき部(溶融金属ポット)、および後処理設備を含む。前処理設備では鋼帯に付着している圧延油および汚れを除去する処理が行われる。還元加熱炉では、H2を含む雰囲気中にて鋼帯を加熱することにより、鋼帯の表面に存在するFe酸化物還元処理が行われる。溶融めっき部では、還元加熱炉にて処理された鋼帯を、還元雰囲気内または鋼帯表面の再酸化を防止する雰囲気内に保持したまま溶融金属めっき浴中に浸漬または通過させることにより、鋼帯に溶融めっきを施す。後処理設備は、溶融めっきされた鋼帯に対して、用途の応じて様々な処理を行う。

0004

連続式溶融めっき設備の還元加熱炉では、鋼帯の材料自体焼鈍処理および鋼帯の表面に存在するFe酸化膜の還元処理が行われる。この焼鈍処理は、鋼帯の引張強さや伸び等の機械的性質が所望のものとなるように鋼帯の金属組織を調整するためのものであり、一般には、鋼帯の再結晶温度以上の温度に加熱することによって再結晶させることによって行われる。また、この還元処理は、例えば窒素ガスおよび水素ガス混合雰囲気下で鋼帯を加熱処理することにより行われる。この加熱処理は、めっき製品の使用目的に応じて加熱温度が設定され、鋼帯の表面に存在するFe酸化膜を還元して鋼帯と溶融めっき浴との反応性を良好にするために、少なくとも溶融めっき浴の温度以上の温度に鋼帯が加熱される。

0005

上記のように、一般的な連続式溶融めっき設備の加熱還元炉における加熱処理によって、鋼帯の機械的性質の調整と鋼帯表面の酸化膜が除去されるため、製造された溶融めっき鋼帯は機械的性質が調整され、また鋼帯と溶融めっき浴との反応性が良好であるため、不めっきピンホール等のめっき欠陥が発生せずに、安定して溶融めっき鋼帯を製造することができる。

0006

しかしながら、前記したように、高強度を要求される溶融金属めっき鋼帯を製造する場合には、還元加熱炉の温度を鋼材の再結晶温度未満としなければならない。この場合、鋼帯表面の酸化膜の除去が十分に行われず、十分に良好な鋼材と溶融めっき浴との反応性が得られないことが懸念される。

0007

そのような場合の対策として、いくつかの先行技術が存在する。特許文献1は、未再結晶Zn−Al溶融めっき鋼板とその製造方法の発明であって、低炭素鋼にTi(チタン),Nb(ニオブ),B(ボロン)のうちの1種または2種以上を含有させることにより、鋼帯の再結晶温度を100℃以上上昇させている。これにより、600℃を超えるような焼鈍温度焼鈍を行っても不めっきの発生がなく、50kg/mm2以上の引張強さが得られる未再結晶Zn−Al溶融めっき鋼板が製造される。

0008

特許文献2は、連続式溶融亜鉛めっきラインにおける未再結晶溶融亜鉛系めっき鋼板の製造方法の発明である。通常の一般材を製造する連続式溶融亜鉛めっきラインにはめっき槽の前に、加熱帯均熱帯および冷却帯がこの順で配置されており、このめっきラインを用いて、加熱帯の温度を下げて未再結晶溶融亜鉛系めっき鋼板を製造することは可能であるが、加熱帯の温度を下げた場合には均熱帯を出た鋼板は冷却帯で過冷却になってしまい、めっき槽に進入する鋼板温度は一般材よりもかなり低下してしまう。そのため、めっき後の鋼板表面に、ドロス引き、湯ジワ等のめっき欠陥が生じやすいこと、また浴中ロールにドロスが付着して、浴中ロールの寿命が著しく短くなること、また、500℃前後の低温熱処理されるため、鋼板表面の清浄化が必ずしも十分でなく、めっき密着性不良が起こりやすいという問題がある、とされている。その問題に対して、この特許文献2の発明は、めっき槽に侵入する鋼板の温度を測定し、その測定値に基づいて冷却帯の後部に設けた誘導加熱装置により鋼板の再加熱を行って、めっき槽に侵入する鋼板温度を目標温度になるように制御することにより解決している。
なお、ここで一般材とは、鋼板に再結晶温度以上の温度に加熱して、軟化焼鈍と鋼板表面の清浄化を行ったあとに、所定の溶融めっきを施した溶融めっき鋼板を指している。

先行技術

0009

特開平2−149655号公報
特開平10−176253号公報(特許文献3)特開平4−41620号公報

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、高強度溶融めっき鋼帯を製造するために、冷間圧延後の鋼帯に対して、めっき前の加熱処理が再結晶焼鈍未満の加熱処理であっても、良好なめっき性が得られる溶融めっき方法を提供することを目的とする。なお、本発明の「良好なめっき性」は、「鋼帯に対する溶融金属の間のめっきぬれ性」を扱う。

課題を解決するための手段

0011

上記の課題を解決するために、本発明の高強度溶融めっき鋼帯の製造方法は、熱延鋼帯または焼鈍鋼帯に冷間圧延を施して冷間圧延を得る冷間圧延工程と、溶融金属であるめっき浴中に冷間圧延鋼帯を進入させて前記冷間圧延鋼帯に前記溶融金属を被覆させるめっき工程を含む溶融金属めっき鋼帯の製造方法であって、前記冷間圧延鋼帯は、前記冷間圧延工程のあと、その温度が前記冷間圧延鋼帯の再結晶温度未満に維持されてめっき浴中に進入され、前記めっき工程は、前記溶融金属に前記冷間圧延鋼帯が接触している間に前記めっき浴中に振動を付与しつつ前記冷間圧延鋼帯に前記溶融金属を被覆させることを特徴とする高強度溶融金属めっき鋼帯の製造方法である。

発明の効果

0012

本発明においては、めっき工程が、冷間圧延鋼帯が溶融金属に接触している間にめっき浴中に振動を付与しつつ冷間圧延鋼帯に溶融金属を被覆させるめっき工程であることによって鋼帯に対する溶融金属の間のめっきぬれ性を確保できるため、冷間圧延鋼帯の温度が冷間圧延鋼帯の再結晶温度未満に維持されてめっき浴中に進入する場合であっても、冷間圧延鋼帯に対する溶融金属の間のめっきぬれ性を確保できるだけでなく、冷間圧延鋼帯が再結晶焼鈍により軟化することなく溶融金属めっきが可能となる。そのため、冷間圧延鋼帯に導入されていた塑性加工歪みが溶融金属めっきの後にも維持されるので、高強度な溶融金属めっき鋼帯を得ることができる。

図面の簡単な説明

0013

(a)は大気雰囲気下にて鋼板をめっき浴に進入させる様子を示す模式図であり、(b)は(a)に示した図の領域(A1)について拡大して模式的に示した部分拡大図である。(基本出願の図10と同じ)
380Wの出力の超音波振動子を用いてめっき浴に振動を付与した場合に観察される音響スペクトルである。(基本出願の図11と同じ)
めっき装置の構成を示す模式図である。(基本出願の図9と同じ)
めっき後の供試材の様子について示す側面図である。(基本出願の図6と同じ)

0014

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の記載は発明の趣旨をよりよく理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものでは無い。また、本出願において、「A〜B」とは、A以上B以下であることを示している。本出願における各図面に記載した構成の形状および寸法は、実際の形状および寸法を必ずしも反映させたものではなく、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更している。

0015

(用語の定義)
本明細書において、溶融めっき浴を構成する各種の溶融された金属(溶融金属)を「溶融めっき浴金属」と称することがある。また、本明細書において、溶融めっき浴を用いて溶融めっきを施される対象としての鋼材の材質および形状は、格別の記載が無い限り特に限定されない。また、「鋼板」は、不都合の無い限り「鋼帯」と読み替えてもよい。

0016

<発明の知見の概略的な説明> (図1は、基本出願の図10と同じ)
一般に、(i)還元処理を行っていない鋼板(鋼帯)を溶融めっき浴に進入させる、または(ii)スナウトを用いずに大気酸素濃度の高い)雰囲気下にて鋼板を溶融めっき浴に進入させると、鋼板と溶融めっき浴金属との反応が阻害され良好なめっき性が得られない。この理由について、図1を用いて詳細に説明すれば、以下のとおりである。図1の(a)は、大気雰囲気下にて鋼板を溶融めっき浴に進入させる様子を示す模式図である。図1の(b)は、(a)に示した図の領域(A1)について拡大して模式的に示した部分拡大図である。

0017

図1の(a)に示すように、大気雰囲気下にて、還元処理を行っていない鋼板100を溶融めっき浴110に進入させる。鋼板100の表面には酸化皮膜が形成されている。また、溶融めっき浴110には、めっき浴内部の溶融めっき浴金属111とめっき浴外部(大気)との境界浴面酸化物112が存在する。

0018

図1の(b)に示すように、鋼板100は、(i)浴面酸化物112を巻き込むとともに、(ii)溶融めっき浴110表面の雰囲気ガス(空気)により形成される空気巻き込み層120を巻き込むようにして、溶融めっき浴110に進入する。その結果、溶融めっき浴110の内部において、溶融めっき浴金属111と鋼板100の酸化皮膜101との間に反応阻害部130が形成される。この反応阻害部130は、浴面酸化物112および空気巻き込み層120により複合的に形成される。酸化皮膜101および反応阻害部130によって鋼板100と溶融めっき浴金属111との反応が阻害されることにより、溶融めっき浴110から引き上げた後のめっき品の表面にはめっき欠陥(ピンホールまたは不めっき等)が容易に生じる。

0019

それゆえ、従来技術における溶融めっき方法では、前述のように、加熱炉を用いて鋼板表面の酸化皮膜を還元した鋼板を、還元雰囲気に保持されたスナウト内を通じてめっき浴に進入させている(例えば、特許文献1、2を参照)。この場合、めっき浴に鋼板が進入すると、鋼板と溶融めっき浴金属との反応が迅速に進行する。

0020

しかしながら、この従来の溶融めっき方法では、鋼板表面の酸化皮膜が還元されることによって鋼板と溶融めっき浴金属との反応性が得られる半面、鋼板自体の材料温度が上昇するために鋼板の金属組織の再結晶が進むことが避けられない。むしろ、従来技術における溶融めっき方法では、加熱炉に鋼板を通過させることによって鋼板表面の酸化皮膜が還元されるだけでなく、鋼板の金属組織の再結晶が進む、すなわち焼鈍処理が行えることを利用して、加熱炉を通過した鋼板の金属組織が所定の機械的特性(例えば降伏強度、引張強さなど)を備えるように加熱炉の温度や加熱炉内における鋼板の滞在時間などを制御することが一般的となっている。

0021

しかし、高強度を要求される用途に用いられる溶融亜鉛めっき鋼帯を製造したい場合は、前述したように、鋼帯自体の再結晶が進まないように、焼鈍温度を再結晶温度未満に制限して、言い換えると、冷間圧延の鋼帯に対して再結晶焼鈍を行わずに溶融亜鉛めっきを行うことにより製造する必要があった。しかし、その場合でも、例えば、加熱炉の温度を再結晶温度未満に制限するために、鋼帯の成分によっては、鋼板表面の酸化皮膜の還元を十分に行うことができず良好なめっき性が得られないために高強度な溶融亜鉛めっき鋼帯を製造できないケースがあった。

0022

また、溶融めっきがAl(アルミニウム)を主成分とするめっき、例えば、55質量%Al−Zn(亜鉛)系めっきや、Al−9質量%Si(シリコン)系めっきの場合は、めっき浴温が660℃前後となる。従来技術における溶融めっき方法により、冷間圧延鋼帯の温度をこの温度に調整してめっき浴に進入させようとすると、この温度は冷間圧延鋼帯の再結晶温度を上回ってしまうので、高強度な溶融アルミニウムめっき鋼帯を製造することは不可能であった。

0023

本発明者らは、上記のような従来技術とは異なる新たな方法によって、高強度な溶融めっき鋼帯が得られる溶融めっき方法について鋭意検討を行った。その結果、鋼帯を溶融めっき浴に進入させる際に、該溶融めっき浴に特定条件の振動を付与することにより生じる振動活性化効果によって、鋼帯と溶融めっき浴金属との反応性を高めることができるという新規な知見を見出した。この知見によれば、常温の鋼帯を大気雰囲気下で溶融めっき浴に進入させた場合であっても、鋼帯のめっき性を高めることができる。この特定条件の振動を付与することにより生じる振動活性化効果を利用することによって、加熱炉の温度を再結晶温度未満に制限しても鋼帯と溶融めっき金属との間の良好なめっき性が得られるので、鋼帯の成分に関わらずに高強度な溶融亜鉛めっき鋼帯を製造できることになった。

0024

また、溶融めっきがAl(アルミニウム)を主成分とするめっきである場合でも、この特定条件の振動を付与することにより生じる振動活性化効果を利用することによって、冷間圧延鋼帯の温度をめっき浴温よりもはるかに低く、かつ再結晶温度未満の温度に調整して溶融めっき浴に進入させても良好なめっき性が得られるので、高強度な溶融アルミニウムめっき鋼帯の製造も可能となった。

0025

本発明者らが見出した知見と従来技術との相違点について、より詳しく説明すれば以下のとおりである。すなわち、従来、大出力(例えば数百W級)の超音波振動子を用いて高い音圧の振動をめっき浴に付与する技術が提案されており、この場合、例えば図2に示すような音響スペクトル(特徴的なピークがほとんど見られないホワイトノイズ様のスペクトル)が観察される。図2は、380Wの出力の超音波振動子を用いてめっき浴に振動を付与した場合に観察される音響スペクトルである。この種の技術では、めっき浴への大出力の超音波照射によるキャビテーション効果を利用して、鋼板表面に存在する酸化膜(または還元処理後の鋼板表面に残存する酸化膜)を物理的に破壊することにより、鋼板のめっき性を向上させていた。

0026

これに対して、本発明者らは、小出力の超音波振動子を用いた場合であっても、本発明の振動活性化効果が認められ、鋼板のめっき性が効果的に向上することを見出した。この場合、具体的には後述するが、音響スペクトルに特徴的なピークが観測される。本発明者らは、従来技術とは異なる、低い音圧においても発現する上記振動活性化効果について、以下のように考えている。

0027

具体的には、まだ明らかではないが、溶融めっき浴に低い音圧を付与する場合においても、溶融状態にある溶融めっき金属が音波により圧力振動し、この振動に起因してめっき浴中に気泡が発生する。そして、発生した気泡が圧力振動に伴って圧壊するときに気泡の周囲に向かって衝撃波が発生すると考えられる。また、圧力振動が原因となって、気泡が膨張収縮を繰返すと考えられ、この膨張収縮によって、気泡の周囲に溶融めっき金属の局所流れが発生することも考えられる。音響エネルギーに基づく上記衝撃波および上記局所流れ等の作用によって、鋼材とめっき浴との界面において物質移動が促進され、境界層の厚みが小さくなる、または物質移動速度が大きくなる等の効果をもたらす。これにより、鋼材とめっき浴との間の濡れ性が確保されるという機構が考えられる。

0028

なお、従来技術(高い音圧の振動をめっき浴に付与する場合)においても、鋼材とめっき浴との界面における物質移動の促進という現象は生じると考えられる。しかし、本発明の知見によれば、高い音圧の振動をめっき浴に付与する必要はなく、振動のエネルギーは鋼材とめっき浴との間の濡れ性を確保できる振動活性化効果が生じる程度であればよいことがわかった。また、高い音圧の振動をめっき浴に付与するという従来技術には、以下のような点から不利益がある。

0029

すなわち、高い音圧の振動をめっき浴に付与する場合には、衝撃波および局所流れと同時に起こるキャビテーション効果により、鋼材がめっき浴中に迅速に溶解してしまい、いわゆるエロージョンと呼ばれる腐食現象が起こりやすくなるという不都合が発生する。これは、鋼材が鋼板である場合、溶融めっき後における鋼板の板厚が溶融めっき浴に進入させる前よりも小さくなることを意味し、溶融めっき鋼板の製品板厚保証することが難しくなるという懸念がある。また、鋼材がめっき浴中に溶解する反応は、めっき浴中における鉄(Fe)をはじめとする鋼材の成分の濃度が上昇することであり、その結果、ドロスの発生につながりやすくなるという懸念もある。さらに、高い音圧の振動をめっき浴に付与するために浴中へ浸漬される部材等のエロージョンも起こりやすくなり、それら部材の維持管理が煩雑になる。

0030

本発明者らが見出した知見に基づく溶融めっき方法について、概略的に説明すれば以下のとおりである。すなわち、例えば振動板を用いて溶融めっき浴中超音波振動を与えることにより、溶融めっき浴中に低い音圧の振動を付与する。そして、溶融めっき浴中に浸漬した音響測定器を用いて音響スペクトルを測定する。本溶融めっき方法では、該音響スペクトルが所定の条件を満たすように、上記超音波振動を溶融めっき浴に付与する。鋼材または振動板に対して付与した超音波振動によって溶融めっき浴中には振動活性化効果が生じる。上記所定の条件は、一定以上の振動活性化効果が生じるように、振動活性化効果の強さの程度を溶融めっき浴内の音響スペクトルを用いて間接的に特定するために規定される。

0031

本発明の高強度溶融めっき鋼帯の製造方法の一態様における溶融めっき方法は、溶融金属であるめっき浴中に鋼材を進入させて、上記溶融金属に上記鋼材が接触している間に上記めっき浴中に振動を付与しつつ上記鋼材に上記溶融金属を被覆させるめっき工程を含む。上記めっき浴に付与する上記振動の周波数基本周波数とする。上記めっき工程では、上記めっき浴中にて測定される音響スペクトルが下記式(1)の関係を満たすように、上記振動を付与する。

0032

(IB−NB)/(IA−NA)>0.2 ・・・(1)
(ここで、
IA:測定周波数帯域全体における音圧の平均値
IB:(i)上記基本周波数における音圧のピークと2倍音周波数における音圧のピークとの間、並びに(ii)複数の倍音周波数における音圧のピークのうち隣り合うピーク間、の特定周波数帯域における音圧の平均値
NA:上記測定周波数帯域全体における、上記振動を付与していない場合の音圧の平均値
NB:上記IBに関して規定される上記特定周波数帯域における、上記振動を付与していない場合の音圧の平均値である)

0033

(有利な効果)
以上のように、本発明の高強度溶融めっき鋼帯の製造方法の一態様における溶融めっき方法によれば、鋼板2とめっき浴が接触している間に、所定条件となるような振動を鋼板2に付与する。これにより、めっき浴内に巻き込んだ浴面酸化物22および大気が浴中で分散される。すなわち、反応阻害部が浴中で分散される。また、鋼材とめっき浴の界面において物質移動が促進され、境界層の厚みが小さくなる、または物質移動速度が大きくなる等の効果をもたらす。これにより、鋼材とめっき浴の間の濡れ性が確保される。そのため、溶融めっき浴金属21と鋼板2と反応とがスムーズに反応する。その結果、予め加熱処理(還元処理)を行っていない鋼板2を用いた場合であっても、鋼板2のめっき性を良好なものとすることができる。あるいは、鋼板2に予め鋼板の再結晶温度未満の温度に加熱する加熱処理を行っても構わない。鋼板2とめっき浴が接触している間に、所定条件となるような振動を鋼板2に付与することにより、溶融めっき浴金属21と鋼板2との濡れ性が良好であるとともに、鋼板に再結晶焼鈍を行うことなく溶融金属めっきが施された高強度溶融金属めっき鋼帯の製造方法を提供することができる。

0034

基本特許の図9、段落0098〜0104、段落0070〜0073)
溶融めっき装置
本実施形態における溶融めっき方法を実施する溶融めっき装置60について、図3を用いて説明する。なお、溶融めっき装置60は一例であって、本溶融めっき方法を実施する装置は、特に限定されるものではない。図9は、本実施の形態における溶融めっき方法を実施する溶融めっき装置60を示す概略図である。

0035

図3に示すように、溶融めっき装置60は、ガス還元加熱帯61と、溶融めっき部62と、超音波ホーン10と、音響スペクトルを測定する測定装置50と、を備えている。ガス還元加熱帯61は、雰囲気ガス導入部61aおよび加熱部61bを備え、鋼板2に対して所望の雰囲気にて加熱処理を行うことが可能となっている。

0036

(溶融めっき部の構成)
図3に示すように、溶融めっき装置60の溶融めっき部62は、ルツボ炉41の内部にカーボンルツボ42が収容されており、加熱帯43に抵抗加熱を生じさせることによって、カーボンルツボ42を加熱する。カーボンルツボ42内には溶融めっき浴金属21が貯留されており、溶融めっき浴金属21の表面に浴面酸化物22が生成していても構わない。

0037

(音響スペクトルを測定する測定装置)
また、溶融めっき部62は、音響スペクトルを測定する測定装置50として、導波棒51、アコースティックエミッションセンサ(以下、AEセンサと称することがある)52、および計測部53を備えている。計測部53は、スペクトルアナライザおよびアンプを含む。溶融めっき浴金属21中に導波棒51の一端が浸漬し、他端がAEセンサ52に接続している。

0038

本実施例における溶融めっき装置60の計測部53に用いた各種機器は、具体的には以下のとおりである。
・導波棒51:SUS430製、φ6mm×300mm
・AEセンサ52:(株)エヌエフ回路設計ブロック、AE−900M
・アンプ:(株)エヌエフ回路設計ブロック、AE9922
スペクトラムアナライザアジレント、E4408B。

0039

(ガス還元加熱帯)
ガス還元加熱帯61と溶融めっき部62との間にはゲートバルブ63が設けられている。ガス還元加熱帯61にて処理された鋼板2は、ゲートバルブ63を開いて、大気に晒されることなく溶融めっき部62に移送される。鋼板2はゲートバルブ63よりも上のガス還元加熱帯61において、雰囲気制御や加熱の前処理を受けたのちに、溶融めっき浴金属21の中に進入する。

0040

溶融めっき部62では、ルツボ炉41の上方の空間が、ポートフランジ64およびOリング65によって大気から遮断されている。また、ポートフランジ64の一部には雰囲気ガス導入部66が設けられており、溶融めっき部62における雰囲気を制御することができるようになっている。

0041

(振動板)
また、本実施形態の溶融めっき装置60では、超音波ホーン10の先端に振動板70が固定されており、この振動板70が溶融めっき浴金属21に振動を付与する。これにより、鋼板2に振動を与える。すなわち、溶融めっき装置60は、鋼板2に間接的に振動を付与するようになっている。なお、振動板70としては、上記の材質に限定されない。振動板70は、溶融めっき浴中に浸漬された場合に耐侵食性が強く、溶融めっき浴に対する濡れ性が良くないものが好ましく、例えばセラミックスを用いることができる。

0042

振動周波数
超音波ホーン10は、例えば、1kHz〜150kHzの周波数の振動を振動板70に付与すればよい。具体的な振動周波数の例示として、20kHとすることができる。超音波ホーン10によって振動板70に付与する振動の強度(超音波振動子11の出力)は、上記の条件を満たすように設定されればよい。例えば、超音波振動子11がどの程度の出力であれば、上記の条件を満たすかを、鋼板2および溶融めっき浴21等の各種の条件毎に予め調べておけばよい。

0043

(溶融めっき浴)
溶融めっき浴21としては、公知の各種溶融めっき浴を用いることができる。溶融めっき浴としては、例えば、亜鉛(Zn)系めっき浴、Zn−アルミニウム(Al)系めっき浴、Zn−Al−マグネシウム(Mg)系めっき浴、Zn−Al−Mg−シリコン(Si)系めっき浴、Al系めっき浴、Al−Si系めっき浴、Zn−Al−Si系めっき浴、Zn−Al−Si−Mg系めっき浴、錫(Sn)−Zn系めっき浴、等が挙げられる。

0044

上記のような溶融めっき装置60は、連続式溶融めっき方法へと適用することが可能である。つまり、連続式溶融めっき方法では、鋼板に直接的に振動を付与することは難しいが、上記のような溶融めっき装置60のように鋼板2に間接的に振動を付与することができる。よって、上記のような溶融めっき装置60を用いて実証された結果は、連続式溶融めっき方法に適用することができる。

0045

(めっき母材
次の表1に示すめっき母材A、Bと、表2に示すめっき母材Gを用いた。

0046

0047

0048

(冷間圧延)
めっき母材A、B、Gの焼鈍材に冷間圧延を行って、それぞれ、めっき母材Aは板厚0.8mm、めっき母材Bは板厚1.4mm、めっき母材Cは板厚1.0mmに仕上げて、めっき原板とした。
なお、前述したように、通常、鋼帯に対し連続的に溶融金属をめっきする場合に用いられる一般的な連続式溶融めっき設備は、前処理設備、加熱還元炉、溶融めっき部(溶融金属ポット)、および後処理等の設備から構成される。このような設備を用いて加熱還元炉を通す場合の鋼帯の再結晶温度は、めっき原板Aとめっき原板Bでは約550℃、めっき原板Gでは約630℃と考えられる。

0049

(めっき原板の硬度評価)
めっき原板から、その一部を切り出して樹脂包埋した。そして、樹脂を切断して表面を研磨し、めっき母材の断面に対して微小硬さ試験機によりめっき原板の硬度を測定した。試験力は0.2gfとした。
所定の板厚に仕上げためっき原板の硬度は、それぞれ次のとおりであった。
・めっき原板A:257
・めっき原板B:273
・めっき原板C:287

0050

(前処理)
めっき原板は、溶融めっき装置60のガス還元加熱帯61に装入する直前に、前処理としてアルカリ電解脱脂を行った。

0051

(めっき浴、めっき浴温)
本実施例では、溶融めっき部62のめっき浴とめっき浴温を、次の2とおりとした。
・Zn−6質量%Al−3質量%Mgめっき浴、460℃
・Al−9質量%Siめっき浴、580℃

0052

本実施例では、ガス還元加熱帯61におけるめっき原板の加熱処理温度を3種類、加熱雰囲気を4種類とした。
(めっき原板の加熱雰囲気)
・大気
・N2
・3体積%H2−N2
・30体積%H2−N2

0053

(めっき原板の加熱処理)
加熱無し(常温)
・400℃
・600℃
なお、上記の400℃と600℃は、ガス還元加熱帯61の加熱部61bによる到達温度であり、加熱開始から到達温度までの所要時間は約10秒である。

0054

(振動板、振動付与条件、音響スペクトル)
溶融めっき部62における振動板70として、材質が普通鋼(表1の鋼板Aと同じ鋼種)であって、長さ150mm×幅50mm×厚さ0.8mmの板を用いた。超音波ホーンの振動周波数は15kHz、出力は30Wとした。また、鋼板2がめっき浴21中に浸漬されたときの鋼板2と振動板70の間隔は5mmとし、そのときに音響スペクトル測定装置50により、音波強度(IA−NA)、正数倍音間の平均強度(IB−NB)、正数倍音間の平均強度と音響強度の比(IB−NB)/(IA−NA)を測定した。

0055

(溶融めっき)
ガス還元加熱帯61において加熱処理を行わない場合、溶融めっき浴21への鋼板の浸漬時間は12秒、そのうち最後の2秒間は超音波ホーン10による振動の付与を行い、そのあと鋼板21を溶融めっき浴から引き上げた。
ガス還元加熱帯61において400℃または600℃の加熱処理を行う場合は、まず、溶融めっき浴21へ超音波ホーン10による振動を開始してから鋼板21を溶融めっき浴21へ浸漬し、2秒後に鋼板21を溶融めっき浴21から引き上げた。

0056

(めっきぬれ性の評価)
溶融めっきを施した後の試料を供試材として、めっき性の評価を以下のように行った。図4は、めっき後の供試材3の様子について示す側面図である。図4に示すように、めっき後の供試材3には、溶融めっきが施されためっき領域3aが形成される。また、めっき領域3aの一部には、溶融めっきが施されていない不めっき部4が存在し得る。

0057

例えば、供試材3のうち、溶融めっき浴に浸漬した部分の深さをL11とし、供試材3の幅の長さをL12とする。この場合、図6に示す板面において、L11×L12が理想的なめっき領域の面積αとなる。また、公知の面積測定手段を用いて、不めっき部4の面積βを測定する。そして、(β/α)×100を計算することにより不めっき率を算出した。以下の基準で供試材3のめっき性を評価した。

0058

◎:不めっき率が0%
○:不めっき率が0%より大きく1%未満
△:不めっき率が1%以上10%未満
×:不めっき率が10%以上80%未満
××:不めっき率が80%以上。

0059

(溶融めっき後の硬度評価)
不めっき率の評価を行った供試材3について、その一部を切り出して樹脂に包埋した。そして、樹脂を切断して表面を研磨し、溶融めっき後の断面に対して微小硬さ試験機によりめっき鋼板の硬度を測定した。この場合も、試験力は0.2gfとした。
溶融めっき後の硬度が溶融めっき前の原板に対する溶融めっき後の硬度を評価して、その割合により次のように評価した。評価が○のものを合格とした。
○:溶融めっき後の硬度が溶融めっき前に比べて90%以上
×:溶融めっき後の硬度が溶融めっき前に比べて90%未満

0060

総合評価
○:ぬれ性の評価が△評価以上であり、かつ、溶融めっき後の硬度評価も○であるもの
×:ぬれ性の評価が×評価以下であるか、溶融めっき後の硬度評価が×であるもの

0061

(Zn−6質量%Al−3質量%Mgめっきの結果)
表3に、溶融めっき浴がZn−6質量%Al−3質量%Mgめっき浴である場合の評価結果をまとめて示す。No.101〜112は、めっき原板の加熱を行わなかったが、溶融めっき浴中に本発明の範囲内の音響スペクトルが計測されるような条件にて溶融めっき浴中に振動を付与することにより、めっき品の不めっき率は0%であり、かつ、めっき品の硬度低下も認められなかった。

0062

0063

No.201〜212は、めっき原板に400℃の加熱を行った。加熱の雰囲気は、大気、窒素、3体積%水素−窒素、30体積%水素−窒素に変化させた。このうち大気中で加熱しためっき品(No.201〜203)は不めっき率が10%未満となった。窒素、3体積%水素−窒素、30体積%水素−窒素の各雰囲気で加熱しためっき品(No.204〜212)は、不めっき率0%であった。また、いずれのめっき品も、めっき品の硬度低下は認められなかった。これは、加熱温度400℃は、めっき原板A、B、Gのいずれにとっても再結晶温度以下であるため、軟化を起こさなかったためであると考えられる。

0064

No.301〜312は、めっき原板に600℃の加熱を行った。このうち、めっき原板Aを用いたNo.301と310は、大きく軟化していた。これは、600℃の加熱によって再結晶が進んだためと考えられる。一方、No.303と312はめっき品の硬度低下が認められなかった。これは、めっき原板Gを用いて再結晶温度が630℃と考えられるめっき原板Gを用いていたために、600℃の加熱では再結晶が進まなかったためと考えられる。

0065

(Al−9質量%Siめっきの結果)
表4に、溶融めっき浴がAl−9質量%Siめっき浴である場合の評価結果をまとめて示す。No.401〜412は、めっき原板の加熱を行わなかったが、溶融めっき浴中に本発明の範囲内の音響スペクトルが計測されるような条件にて溶融めっき浴中に振動を付与することにより、めっき品の不めっき率は0%であり、かつ、めっき品の硬度低下も認められなかった。

0066

0067

No.501〜512は、めっき原板に400℃の加熱を行った。加熱の雰囲気は、大気、窒素、3体積%水素−窒素、30体積%水素−窒素に変化させた。このうち大気中で加熱しためっき品(No.501〜503)は不めっき率が10%未満となった。窒素、3体積%水素−窒素、30体積%水素−窒素の各雰囲気で加熱しためっき品(No.504〜512)は、不めっき率0%であった。また、いずれのめっき品も、めっき品の硬度低下は認められなかった。これは、加熱温度400℃は、めっき原板A、B、Gのいずれにとっても再結晶温度以下であるため、軟化を起こさなかったためであると考えられる。

0068

No.601〜612は、めっき原板に600℃の加熱を行った。このうち、めっき原板Aを用いたNo.601、604、607、610と、めっき原板Bを用いたNo.602、605、608、611は大きく軟化していた。これは、600℃の加熱によって再結晶が進んだためと考えられる。一方、No.603、606、609と612はめっき品の硬度低下が認められなかった。これは、めっき原板Gを用いて再結晶温度が630℃と考えられるめっき原板Gを用いていたために、600℃の加熱では再結晶が進まなかったためと考えられる。

0069

このように、鋼帯を溶融めっき浴に進入させる際に、該溶融めっき浴に特定条件の振動を付与することにより生じる振動活性化効果によって、鋼帯と溶融めっき浴金属との反応性を高めることができることを利用して、加熱炉の温度を再結晶温度未満に制限しても鋼帯と溶融めっき金属との間の良好なめっき性が得られるので、鋼帯の成分に関わらずに高強度な溶融亜鉛めっき鋼帯を製造できることになった。

実施例

0070

また、溶融めっきがAl(アルミニウム)を主成分とするめっきである場合でも、この特定条件の振動を付与することにより生じる振動活性化効果を利用することによって、鋼帯の温度をめっき浴温よりもはるかに低く、かつ再結晶温度未満の温度に調整して溶融めっき浴に進入させても良好なめっき性が得られるので、高強度な溶融アルミニウムめっき鋼帯の製造も可能となった。

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