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技術 スケール付着防止用コーティング剤とその利用

出願人 日立化成株式会社
発明者 吉川知里松谷寛佐藤健介山浦隆利
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-067999
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-164696
状態 未査定
技術分野 塗料、除去剤 一般的な熱交換又は熱伝達装置の細部4
主要キーワード 部材表 概略寸法 マグネシウム材 タングステン材 仕込み溶液 下水道配管 B型粘度計 ニッケル鋼
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月8日)のものです。
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図面 (5)

課題

解決手段

フェノール樹脂ポリアミドイミド樹脂ポリイミド樹脂、及びフラン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、スケール付着防止用コーティング剤であり、前記樹脂がフェノール樹脂を含み、かつ硬化剤をさらに含む。また、流路を有する構造体であって、前記流路の少なくとも一部に前記スケール付着防止用コーティング剤から形成されたコーティング層を有する、構造体。

概要

背景

従来から、発電ステム及び温泉等の設備で使用される配管及び熱交換器用プレート等の部材の表面には、スケールと呼ばれる物質が付着及び堆積しやすいことが知られている。例えば、配管では、流体と接触する配管内部にスケールが付着及び堆積することによって目詰まりが起こり、流体の通過量の低下を招く。そのため、スケールを除去するために、代表的に、部材の表面を高圧水洗浄する方法、又は酸などの薬品によってスケールを溶解する方法が適用されている。

しかし、高圧水で洗浄する方法では、十分な洗浄能力を得ることが難しく、スケールを効率良く除去する方法が求められている。一方、薬品によってスケールを溶解する方法は、適用可能な設備が制限される。特に、熱交換器等で使用される金属材料からなる部材は薬品によって腐食しやすいため、薬品を使用することは困難である。

概要

優れたスケール付着防止性を有するコーティング層を形成可能なスケール付着防止用コーティング剤を提供する。フェノール樹脂ポリアミドイミド樹脂ポリイミド樹脂、及びフラン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、スケール付着防止用コーティング剤であり、前記樹脂がフェノール樹脂を含み、かつ硬化剤をさらに含む。また、流路を有する構造体であって、前記流路の少なくとも一部に前記スケール付着防止用コーティング剤から形成されたコーティング層を有する、構造体。なし

目的

したがって、本開示は、上記の事情に鑑み、優れたスケールの付着防止性を有するコーティング層を形成可能なスケール付着防止用コーティング剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

請求項2

前記樹脂がフェノール樹脂を含み、かつ硬化剤をさらに含む、請求項1に記載のスケール付着防止用コーティング剤。

請求項3

流路を有する構造体であって、前記流路の少なくとも1部に請求項1又は2に記載のスケール付着防止用コーティング剤から形成されたコーティング層を有する、構造体。

請求項4

請求項3に記載の構造体を備えた熱交換器

技術分野

0001

本開示は、スケール付着防止用コーティング剤とその利用に関する。当該スケール付着防止用コーティング剤は、配管又は熱交換器用プレートなどの流路を有する構造体コーティング層を形成するために好適に使用することができる。

背景技術

0002

従来から、発電ステム及び温泉等の設備で使用される配管及び熱交換器用プレート等の部材の表面には、スケールと呼ばれる物質が付着及び堆積しやすいことが知られている。例えば、配管では、流体と接触する配管内部にスケールが付着及び堆積することによって目詰まりが起こり、流体の通過量の低下を招く。そのため、スケールを除去するために、代表的に、部材の表面を高圧水洗浄する方法、又は酸などの薬品によってスケールを溶解する方法が適用されている。

0003

しかし、高圧水で洗浄する方法では、十分な洗浄能力を得ることが難しく、スケールを効率良く除去する方法が求められている。一方、薬品によってスケールを溶解する方法は、適用可能な設備が制限される。特に、熱交換器等で使用される金属材料からなる部材は薬品によって腐食しやすいため、薬品を使用することは困難である。

先行技術

0004

WO2015/025592号公報

発明が解決しようとする課題

0005

これに対し、部材にコーティング層を設けることによって、スケールの付着を防止する方法が検討されている。例えば、特許文献1は、部材に対して、成形型を用いて有機ケイ素化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物硬化物からなる成形物(コーティング層)を設ける方法を開示している。上記方法によれば、部材に設けた成形物によって、部材へのスケールの付着を防止することができるが、十分に満足できるものではなく、さらなる改善が求められている。

0006

したがって、本開示は、上記の事情に鑑み、優れたスケールの付着防止性を有するコーティング層を形成可能なスケール付着防止用コーティング剤を提供する。

課題を解決するための手段

0007

本発明者は、コーティング層を形成する樹脂材料について鋭意研究を行った。その結果、様々な樹脂の中でも、特定の樹脂を含むコーティング層が優れたスケール付着防止性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の実施形態は以下に関する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されず、様々な実施形態を含む。

0008

一実施形態は、フェノール樹脂ポリアミドイミド樹脂ポリイミド樹脂、及びフラン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む、スケール付着防止用コーティング剤に関する。

0009

上記実施形態において、上記樹脂はフェノール樹脂を含み、かつ硬化剤をさらに含むことが好ましい。

0010

一実施形態は、流路を有する構造体であって、上記流路の少なくとも1部に上記実施形態のスケール付着防止用コーティング剤から形成されたコーティング層を有する、構造体に関する。

0011

一実施形態は、上記実施形態の構造体を備えた熱交換器に関する。

発明の効果

0012

本開示によれば、スケールの付着防止性に優れるコーティング層を形成可能なスケール付着防止用コーティング剤を提供することができる。

図面の簡単な説明

0013

図1は、一実施形態のコーティング層を有する配管の一例を示す部分断面図である。
図2は、一実施形態のコーティング層を有する熱交換器用プレートの一例を示す部分断面図である。
図3は、実施例の耐衝撃性試験で使用した石の写真である。
図4は、実施例の折り曲げ試験の手順を説明するための概略図である。
図5は、実施例の折り曲げ試験の手順を説明するための概略図である。

0014

以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、種々な実施形態を含む。

0015

1.スケール付着防止用コーティング剤
本明細書において、スケールとは、水又は温泉水等の流体が接触する部材の表面に析出した固体沈殿物を意味する。固体沈殿物は、流体中に含まれる珪素カルシウムアルミニウムマグネシウム等を主成分とする。なかでも、本明細書において、スケールとは、好ましくは、アルカリ性の流体に起因する珪素及び/又はカルシウムを主成分とする、シリカ系スケール及びカルシウム系スケールを意味する。シリカ系スケール及びカルシウム系スケールは、珪素又はカルシウムの酸化物及び硫化物等の化合物、並びにそれらの混合物等を含んでよい。具体的には、スケールの主成分として、珪酸炭酸カルシウム珪酸アルミニウム、及び珪酸マグネシウム等が挙げられる。

0016

スケール付着防止用コーティング剤(以下、コーティング剤と記載する)は、塗膜形成成分として1種又は2種以上の樹脂を含む樹脂組成物である。一実施形態において、コーティング剤は、塗工性の観点から、室温(概ね15〜30℃の範囲)で液状又はペースト状であってよい。コーティング剤を部材表面に塗工し、次いで、塗工膜を乾燥及び硬化させることによって、部材表面にコーティング剤からなるコーティング層を形成することができる。

0017

上記樹脂は、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、及びフラン樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの樹脂を使用した場合、スケール付着防止性に優れるコーティング層を得ることができる。
一実施形態において、流体に小石などの異物混入した場合、異物によってコーティング層に衝撃が加わり、また擦れが生じることになる。そのため、コーティング層は、耐衝撃性及び耐擦傷性に優れることが好ましい。また、スケールの中でも特に対策が求められるシリカ系スケールは、アルカリ性の水又は温泉水等の流体が使用される環境下で生じる。そのため、コーティング層は耐アルカリ性に優れることが好ましい。これに対し、上記樹脂を使用した場合、優れたスケール付着防止性に加えて、優れた耐衝撃性、耐擦傷性及び耐アルカリ性を有するコーティング層を容易に得ることができる。
したがって、上記樹脂の少なくとも1種を含むコーティング剤から形成されるコーティング層を、流体と接触する部材の少なくとも一部に設けることによって、部材へのスケールの付着を防止するとともに、流体に対する部材の耐衝撃性及び耐擦傷性を高めることが可能となる。また、部材の耐アルカリ性を高めることも可能となる。

0018

一実施形態において、成膜性の観点から、使用する樹脂の粘度は、1mPa・s以上であることが好ましい。また、使用する樹脂の粘度は、塗工時の取扱い性の観点から、10,000mPa・s以下が好ましく、5,000Pa・s以下がより好ましく、3,000mPa・s以下がさらに好ましい。ここで、上記粘度は、B型粘度計を用いて、30℃で測定した値である。

0019

一実施形態において、コーティング剤は、上記樹脂に対する硬化剤及び/又は硬化促進剤をさらに含んでもよい。硬化剤及び/又は硬化促進剤を併用することによって、樹脂の硬化性が向上し、膜硬度密着性、及び耐熱性等の塗膜特性を高めることが容易となる。また、他の実施形態において、コーティング剤は、上記樹脂による塗膜特性を低下させない範囲で、さらに他の成分を含んでもよい。例えば、必要に応じて、黒鉛などの無機粒子消泡剤増粘剤分散剤、及び湿潤剤等を使用することができる。

0020

さらに他の実施形態において、コーティング剤は、必要に応じて溶剤などの非塗膜成分を含んでもよい。溶剤を使用した場合、塗工時に適切な粘度を得ることが容易となる。使用可能な溶剤は特に限定されないが、具体例として、メタノールエタノールイソプロパノール、及びブタノールなどのアルコール系溶剤アセトンメチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤トルエン、及びエチルベンゼンなどの芳香族炭化水素溶剤、N−メチルピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。一実施形態において、コーティング剤は、樹脂の合成時に使用した溶剤を含んでもよい。

0021

以下、コーティング剤の構成成分についてより具体的に説明する。
<樹脂>
(フェノール樹脂)
フェノール樹脂は、特に限定されず、当技術分野において公知のフェノール樹脂を用いることができる。フェノール樹脂を使用した場合、流体中に含まれる小石等の異物に対して耐衝撃性及び耐擦傷性に優れるコーティング層を容易に形成することができる。フェノール樹脂は、例えば、フェノール類アルデヒド類とを出発物質とする樹脂を含んでよい。具体例として、フェノール樹脂は、合成時に使用する触媒の種類によって、レゾール型フェノール樹脂と、ノボラック型フェノール樹脂とに大別されるが、いずれを使用してもよい。これらのフェノール樹脂は、単独で使用されても、又は2種以上の組合せで使用されてもよい。

0022

レゾール型フェノール樹脂としては、特に限定されず、当技術分野において公知のものを用いることができる。レゾール型フェノール樹脂は、触媒として、水酸化ナトリウム炭酸ナトリウム、及びアルカリ土類金属水酸化物、又はアンモニア、及びアミン等のアルカリ化合物を使用し、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂であってよい。上記触媒は、単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。

0023

レゾール型フェノール樹脂の合成に使用できるフェノール類の具体例として、フェノール、各種クレゾール、各種エチルフェノール、各種キシレノール、各種ブチルフェノール、各種オクチルフェノール、各種ノニルフェノール、各種フェニルフェノール、各種シクロヘキシルフェノールカテコール、レゾシノール、及びハイドロキノン等が挙げられる。また、ジフェニルメタン基本骨格とする各種ビスフェノールを使用することもできる。
ここで「各種」の用語は、フェノール化合物におけるオルト−、メタ−、及びパラ−といった位置異性体の全てを含むことを意味する。これらのフェノール類の1種を単独で使用しても、又は2種以上を組合せて使用してもよい。

0024

レゾール型フェノール樹脂の合成に使用できるアルデヒド類の具体例として、ホルムアルデヒドアセトアルデヒドパラホルムアルデヒドプロピルアルデヒド、ブチルアルデヒドバレルアルデヒドヘキシルアルデヒドベンズアルデヒドヒドロキシベンズアルデヒドジヒドロキシベンズアルデヒド、ヒドロキシメチルベンズアルデヒドグリオキザールクロトンアルデヒド、及びグルタルアルデヒド等が挙げられる。これらアルデヒド類は、単独で使用されても、又は2種以上の組合せで使用されてもよい。

0025

ノボラック型フェノール樹脂としては、特に限定されず、当技術分野において公知のものを用いることができる。ノボラック型フェノール樹脂は、触媒として、塩酸、及び硫酸等の無機酸、又は酢酸、及びシュウ酸等の有機酸を使用し、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られる樹脂であってよい。上記触媒は、単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。ノボラック型フェノール樹脂の合成に使用できるフェノール類及びアルデヒド類の具体例は、先にレゾール型フェノール樹脂の合成に使用できるフェノール類及びアルデヒド類と同様である。

0026

フェノール樹脂を使用する場合、硬化剤を併用することが好ましい。フェノール樹脂と硬化剤とを併用することによって、塗膜の耐衝撃性及び耐擦傷性をより高めることができる。一実施形態において、コーティング剤は、レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の少なくとも1つと、硬化剤とを含むことが好ましい。レゾール型フェノール樹脂及びノボラック型フェノール樹脂の中でも、フェノールノボラック型、ビスフェノールAノボラック型の樹脂が好ましい。

0027

一実施形態において、フェノール樹脂の重量平均分子量は、100〜5,000が好ましく、500〜4,000がより好ましく、1,000〜3,000がさらに好ましい。上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線により換算して算出した値である。

0028

ノボラック型フェノール樹脂と併用する硬化剤の具体例として、ヘキサメチレンテトラミン、パラホルムアルデヒド、ジメトキシメタンジオキソラントリオキサンテトラオキサントリメチロールホスフィン、S−トリアジンヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。

0029

レゾール型フェノール樹脂と併用する硬化剤の具体例として、トルエンスルホン酸類、ベンゼンスルホン酸類フェノールスルホン酸類、クレゾールスルホン酸類、トルエンスルホン酸類、キシレンスルホン酸類、ナフタレンスルホン酸類等の芳香族スルホン酸類、及びメタンスルホン酸類等の脂肪族スルホン酸類、並びに塩酸、及び硫酸等の無機酸などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、又は2種以上を組合せて使用してもよい。例えば、パラトルエンスルホン酸等の固体を使用する場合、水及び/又はエチレングリコールモノブチルエーテル等の水溶性溶剤を併用することが好ましい。

0030

フェノール樹脂に対する硬化剤の配合量は、限定されず、調整することができる。例えば、ノボラック型フェノール樹脂の場合、樹脂100質量部に対する上記硬化剤の配合量は、0.1〜70質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。レゾール型フェノール樹脂の場合、樹脂100質量部に対する上記硬化剤の配合量は、0.1〜50質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。

0031

(ポリアミドイミド樹脂)
ポリアミドイミド樹脂は、分子内にアミド結合イミド結合とを有する樹脂であり、例えば、ジイソシアネート化合物及び/又はジアミン化合物と、トリカルボン酸無水物を含む酸成分とを反応させることによって製造することができる。

0032

一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、下式(I)で表される構造単位を含むことが好ましい。

0033

式(I)中、Xは、トリカルボン酸無水物の酸無水物基カルボキシル基とを除いた残基を表す。例えば、ベンゼン環等が挙げられる。Rは、原料として使用したジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、又はジアミン化合物のアミノ基を除いた残基を表す。例えば、ジフェニルメタン等が挙げられる。

0034

原料として使用可能なジイソシアネート化合物は、特に限定されないが、具体例として、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートキシリレンジイソシアネート、3,3’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジイソシアナトビフェニルパラフェニレンジイソシアネート、及びトルエンジイソシアネート等が挙げられる。

0035

ジアミン化合物としては、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、キシリレンジアミンフェニレンジアミン等が挙げられる。

0036

その他、1,3,5−トリイソシアナト−2−メチルベンゼン等のトリイソシアネート化合物を使用することもできる。一実施形態において、ジイソシアネート化合物を使用することが好ましく、なかでも、材料コスト等の観点から、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。

0037

酸成分は、分子内に3以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物脂肪族化合物、又は脂環式化合物誘導体であってよいが、トリカルボン酸無水物が好ましい。トリカルボン酸無水物の酸ハロゲン化物(トリカルボン酸ハライド)を使用してもよい。トリカルボン酸無水物の例として、トリメリット酸無水物、及びシクロヘキサントリカルボン酸無水物が挙げられる。トリカルボン酸無水物のなかでも、コスト、反応性溶解性などの観点から、トリメリット酸無水物が好ましい。

0038

酸成分として、トリカルボン酸無水物(又はトリカルボン酸ハライド)以外の酸成分を併用してもよい。例えば、ジカルボン酸化合物、及びテトラカルボン酸二無水物等の飽和又は不飽和多塩基酸を、ポリアミドイミド樹脂の特性を損なわない範囲で使用することができる。ジカルボン酸化合物の具体例として、テレフタル酸イソフタル酸アジピン酸、及びセバシン酸が挙げられる。テトラカルボン酸二無水物の具体例として、ピロメリット酸二無水物ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。これら例示した化合物は、単独で使用しても、複数種を任意に組み合わせて使用してもよい。

0039

酸成分として、ピロメリット酸二無水物及びビフェニルテトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸二無水物、テレフタル酸及びイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、並びにアジピン酸及びセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸などを使用してもよい。

0040

一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、下式(II)で表される構造単位を含むことが好ましい。

0041

式(II)中、Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、又はジアミン化合物のアミノ基を除いた残基を表す。nは1以上の整数を表す。

0042

一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂は、下式で示されるように、無水トリメリット酸と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとを重合して得られる樹脂であることが好ましい。

0043

一実施形態において、ポリアミドイミド樹脂の数平均分子量は、成膜性及び取扱い性の観点から、5,000〜50,000が好ましく、7,000〜47,000がより好ましく、10,000〜45,000がさらに好ましい。上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法により測定し、標準ポリスチレン検量線により換算して算出した値である。

0044

一実施形態において、コーティング層の柔軟性を向上させる観点から、酸成分として、アジピン酸又はセバシン酸を使用することが好ましい。また、強度の向上の観点から、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を使用することが好ましい。一実施形態において、三塩基酸無水物三塩基酸ハライド)以外のカルボン酸成分(ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物など)は、ポリアミドイミド樹脂の特性を保つ観点から、全酸成分に対して、上記カルボン酸成分の総量が0〜30モル%の範囲で使用されることが好ましい。

0045

一実施形態において、樹脂の原料となるモノマー混合物の全量に対し、ジイソシアネート化合物とトリカルボン酸無水物又はトリカルボン酸ハライドとの合計量は、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、90モル%以上であることがさらに好ましい。上記合計量は100モル%であってもよい。

0046

ジイソシアネート化合物(及びジアミン化合物)と、酸成分との使用比率は、生成するポリアミドイミド樹脂の分子量及び架橋度の観点から、酸成分の総量1.0モルに対して、ジイソシアネート化合物(及びジアミン化合物)が0.8〜1.1モルであることが好ましく、0.95〜1.08モルであることがより好ましく、特に、1.0〜1.08モルであることがいっそう好ましい。ここで、上記酸成分とは、トリカルボン酸無水物又はトリカルボン酸ハライドと必要に応じて使用するその他のカルボン酸成分(ジカルボン酸及びテトラカルボン酸二無水物)との合計量を意味する。

0047

ポリアミドイミド樹脂の合成は当技術分野で周知の方法に従って実施することができる。一実施形態において、樹脂の合成は、N−メチル−2−ピロリドン、及びN,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶剤中で実施することが好ましい。

0048

(ポリイミド樹脂)
ポリイミド樹脂は、分子内にイミド結合を有する樹脂である。ポリイミド樹脂は、例えば、ジアミン化合物と、テトラカルボン酸二無水物等の酸無水物とを反応させてポリイミド前駆体ポリアミック酸)を製造し、次いで、アミック酸部位脱水閉環することによって得ることができる。
一実施形態において、ポリイミド樹脂は、ジアミン化合物として芳香環を有するジアミン化合物(芳香族ジアミン化合物)とシロキサン結合を有するジアミン化合物とを使用し、これらのジアミン化合物と、芳香環を有するテトラカルボン酸二無水物(芳香族テトラカルボン酸二無水物)とを反応させることによって得られる樹脂であることが好ましい。

0049

一実施形態において、ポリイミド樹脂は、下式(III)で表される構造単位を含むことが好ましい。



式(III)中、Xは、芳香族テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基を除いた残基を表す。例えば、ベンゼン環、ベンゾフェノン等が挙げられる。Rは、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基を除いた残基、又はジアミン化合物のアミノ基を除いた残基を表す。例えば、ジフェニルメタン、テトラメチルポリシロキサン等が挙げられる。nは1以上の整数を表す。

0050

原料として使用可能なテトラカルボン酸二無水物は、特に限定されないが、具体例として、ピロメリット酸二無水物(1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸2,3:3’,4’−二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−スルホニルジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニルプロパン二無水物等が挙げられる。これらの1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。なかでも、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、及び/又は1,1’−ビフェニル−2,3,3’,4’−テトラカルボン酸2,3:3’,4’−二無水物が好ましい。

0051

原料として使用可能なジアミン化合物は、特に限定されないが、具体例として、ベンジジン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジアミノビフェニル、p−キシリレンジアミン、m−キシリレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンジジン、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルメタン、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−(又は3,4’−、3,3’−、2,4’−)ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ベンゾフェノンジアミン、3,3’−ベンゾフェノンジアミン、4,4’−ビス[(4−アミノフェノキシフェニルスルホン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ビス[(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、2,2’−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、5,5’−メチレン−ビス−(アントラニル酸)、3,5−ジアミノ安息香酸、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル−6,6’−ジスルホン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)—1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサン等が挙げられる。
これらの1種を単独で使用しても、2種以上を組合せて使用してもよい。これらのジアミン化合物は、ポリアミドイミド樹脂の原料として使用することもできる。なかでも、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、2,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3,−テトラメチルジシロキサンが好ましい。

0052

一実施形態において、ポリイミド樹脂は、ピロメリット酸二無水物及び3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を含む酸成分と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−3−カルボンアミド、及び1,3−ビス(3−アミノプロピル)−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンを含むジアミン成分とを反応させて得られる樹脂であってよい。このようなポリイミド樹脂を使用した場合、より優れた耐熱性を有するコーティング層を容易に形成することができる。上記ポリイミド樹脂は、例えば、日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社製の商品名「PIX3400」として入手することができる。

0053

ポリイミド樹脂の合成は当技術分野で周知の方法に従って実施することができる。一実施形態において、樹脂の合成は、トルエン等の溶剤中で実施することもできるが、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドン等の極性溶剤中で実施することが好ましい。ジアミン化合物と、テトラカルボン酸二無水物との使用比率は、等モルであってよいが、反応性を考慮し適宜調整することができる。例えば、酸二無水物1.0モルに対するジアミン化合物の使用量は0.8〜1.1モルであってよい。ポリイミド前駆体(ポリアミック酸)からポリイミド樹脂を得るための脱水閉環は、好ましくは10〜90℃、より好ましくは15〜85℃、さらに好ましくは20〜80℃の温度条件下で実施することが好ましい。

0054

(フラン樹脂)
フラン樹脂は、分子内に、少なくともフラン環架橋性官能基とを有する重合体を含む。フラン樹脂は、上記重合体の中間生成物、及び上記重合体を構成するモノマー化合物を含んでもよい。本明細書において、上記「重合体」の用語は、重合度の高いポリマーだけでなく、二量体及び三量体などの重合度の低いオリゴマーも含む。上記架橋性官能基は、例えば、水酸基(但し、カルボキシル基に含まれる水酸基は除く)、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、及びシリル基などが挙げられる。フラン樹脂は、架橋性官能基が反応することによって硬化物を形成する。

0055

上記フラン樹脂において、少なくともフラン環と架橋性官能基とを有する重合体は、フラン環を有するフラン化合物由来する構造単位(以下、フラン環含有構造単位という)を含む。一実施形態において、フラン樹脂における上記重合体の含有量は60質量%以上であることが好ましい。一実施形態において、上記重合体におけるフラン環含有構造単位の割合(モル比)は、50モル%以上が好ましく、60モル%以上がより好ましく、70モル%以上がさらに好ましい。上記重合体におけるフラン環含有構造単位の割合(モル比)は100モル%であってもよい。

0056

一実施形態において、フラン樹脂は、上記重合体の他に、上記重合体の中間生成物及び/又は上記重合体を構成するモノマー化合物を含んでよい。この場合、上記フラン環含有構造単位の割合は、フラン樹脂全体におけるフラン環含有構造単位の割合を意味する。すなわち、上記重合体におけるフラン環含有構造単位の割合と、上記重合体の中間生成物及び/又は上記重合体を構成するモノマー化合物から誘導可能なフラン環含有構造単位の割合との合計量が上記範囲になることが好ましい。

0057

フラン樹脂において、フラン環含有構造単位の割合が50モル%以上である場合、耐アルカリ性に優れ、かつ耐熱性に優れたコーティングを形成可能な樹脂組成物を容易に得ることができる。上記フラン環含有構造単位の割合は、例えば、IR解析におけるフラン環の吸収ピーク強度、フラン樹脂を構成するモノマー化合物の仕込み量のモル比等によって特定することができる。

0058

フラン樹脂を構成するモノマー化合物は、少なくともフラン化合物を含む。一実施形態において、フラン化合物は、フルフラール及び/又はフルフリルアルコールを含むことが好ましい。フラン樹脂は、例えば、フルフラール及び/又はフルフリルアルコールを出発物質とする縮合反応で生成する重合体であってよい。例えば、少なくともフルフリルアルコールを用いて得られるフラン樹脂は、架橋性官能基として少なくとも水酸基を有する。フラン樹脂は、水酸基に限らず、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、及びシリル基等のその他の架橋性官能基を有するフラン化合物を用いて得られる重合体であってもよい。フラン樹脂は、1種又は2種以上の架橋性官能基を含んでよい。

0059

他の実施形態において、フラン樹脂は変性されていてもよい。変性フラン樹脂は、例えば、フラン化合物と、アルデヒド類、ケトン類、フェノール類、エポキシ類尿素、及びメラミン等の上記フラン化合物と反応可能な官能基を有するその他の化合物との反応を経て生成する重合体であってよい。但し、その他の化合物はフラン環を含まない。すなわち、一実施形態において、フラン樹脂は、フラン化合物に由来するフラン環含有構造単位と、その他の化合物に由来するフラン環を持たない構造単位とを含んでよく、これらの構造単位の少なくとも一部に架橋性官能基を有する。架橋性官能基は、フラン樹脂の側鎖として存在してもよいが、末端に存在することがより好ましい。

0060

フラン樹脂の具体例として、フラン化合物の単独縮合物であるフルフリルアルコール縮合型の重合体が挙げられる。また、フラン化合物の共縮合物であるフルフリルアルコール−フルフラール共縮合型の重合体が挙げられる。
変性フラン樹脂の具体例として、フルフラール及び/又はフルフリルアルコールと、これらフラン化合物と反応可能なその他の化合物との共縮合物が挙げられる。より詳細には、変性フラン樹脂として、フルフリルアルコール−アルデヒド共縮合型、フルフラール−ケトン共縮合型、フルフラール−フェノール共縮合型、フルフリルアルコール−尿素共縮合型、及びフルフリルアルコール−フェノール共縮合型等の重合体が挙げられる。

0061

一実施形態において、変性フラン樹脂は、フラン化合物とその他の化合物との反応後に、さらに架橋性官能基を導入した化合物であってよい。例えば、エポキシ変性フラン樹脂の一例として、2,5−フランジカルボン酸と、アシグリシジルエーテルとの反応によって得られるジアリルフラン化合物をさらにエポキシ化することによって得られるエステル型のエポキシ変性フラン樹脂が挙げられる。

0062

特に限定されないが、工業的に安定に供給されていることから、フルフリルアルコール単独縮合型の重合体、フルフリルアルコール−フルフラール共縮合型の重合体、及びフルフリルアルコール−ホルムアルデヒド共縮合型の重合体が好ましい。フラン樹脂として、これらの1種を単独で使用しても、又は2種以上を組合せて使用してよい。

0063

一実施形態において、フラン樹脂として、日立化成株式会社製の商品名「ヒタフランVF−303」、「ヒタフランVF−302」、「ヒタフランVF−958」、及び「ヒタフランVF−3007」等のヒタフランシリーズを使用することができる。これらは、フルフリルアルコール単独縮合型のフラン樹脂と、フラン樹脂を構成するモノマー化合物であるフルフリルアルコール及びフルフラールとの混合物である。成分中に含まれるフルフリルアルコール及びフルフラールは、加熱時にフラン樹脂を構成することができる一方で、加熱前は溶剤としても機能し得る。そのため、保存時には溶剤として機能し粘度調整に寄与するが、加熱時には共縮合反応によってフラン樹脂を構成することができる。なかでも、「ヒタフランVF−303」を好適に使用することができる。

0064

一実施形態において、フラン樹脂を使用する場合、基材に対する塗工性及び密着性を高める観点から、無機粒子を併用することが好ましい。無機粒子の中でも、黒鉛を使用することが特に好ましい。使用可能な黒鉛は特に限定されないが、具体例として、鱗状黒鉛鱗片状黒鉛、半鱗状黒鉛、及び膨張化黒鉛が挙げられる。これらの1種を単独で、又は2種以上を組合せて使用することができる。黒鉛は、濃硫酸などの酸で処理されたものであってもよい。

0065

一実施形態において、黒鉛の添加量は、フラン樹脂100質量部に対して、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上であることがさらに好ましく、20質量部以上であることが特に好ましい。一方、上記添加量は、100質量部以下であることが好ましく、90質量部以下であることがより好ましく、80質量部以下であることがさらに好ましく、50質量部以下であることが特に好ましい。

0066

黒鉛の添加量が1質量部以上である場合、耐熱性、及び部材に対するコーティング層(硬化物)の密着性を向上させることが容易である。また、黒鉛の添加量が100質量部以下である場合、フラン樹脂の硬化反応が進行し易くなる。そのため、優れた耐アルカリ性と、優れたスケール付着防止性とを得ることが容易となる。また、上記実施形態によれば、フラン樹脂及び黒鉛が耐酸性にも優れることから、耐アルカリ性だけでなく、耐酸性にも優れる塗膜を容易に形成できる傾向がある。

0067

一実施形態において、コーティング剤は、フラン樹脂及び黒鉛に加えて、さらに硬化剤を含んでもよい。硬化剤の使用によって、150℃前後の加熱温度でも十分に硬化可能なコーティング剤を提供することができる。フラン樹脂と併用可能な硬化剤は特に限定されない。例えば、硬化剤として、無機酸、有機酸、アンモニウム塩、及びアミン塩からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。硬化剤として、上記化合物の1種を単独で使用しても、又は2種以上を組合せて使用してもよい。

0068

一実施形態として、フラン樹脂を使用する場合、溶剤として、フルフリルアルコール、及びフルフラール等のフラン環含有化合物を使用してもよい。フラン環含有化合物は、フラン樹脂を構成するモノマー化合物としても機能し得る。上記溶剤は、硬化剤として使用されるアンモニウム塩及び/又はアミン塩の希釈剤として使用されてもよい。

0069

<構造体>
一実施形態は、上記実施形態のスケール付着防止用コーティング剤から形成されたコーティング層を有する構造体に関する。構造体は、流路を有し、スケール対策が必要とされる部材から形成され、流体が接触する部材の少なくとも一部に上記コーティング層を有する。

0070

(部材)
コーティング層が形成される部材(基材)の具体例として、配管、及び熱交換器用蒸発器用、及び凝縮器用のプレート等の部材、並びに船底等が挙げられる。これらの部材において、水又は温泉水などの流体と接触する箇所の少なくとも一部にコーティング層を設けることが好ましい。一実施形態において、部材は、水又は温泉水を使用する設備で使用される配管及び熱交換器用プレート等の熱交換器で用いられる部材であってよい。図1は、コーティング層を有する配管の一例を示す部分断面図である。図1において、10は配管、20はコーティング層を示す。図2は、コーティング層を有する熱交換器用プレートの一例を示す部分断面図である。図2において、12は熱交換器用プレートを示し、20はコーティング層を示し、複数のプレートの組合せによって熱交換器における流路30が形成される。

0071

水又は温泉水などの流体を使用する設備で使用される部材の表面は、流体と接触するため、スケール付着防止性に加えて、耐食性に優れることが好ましい。特に、スケールの付着防止の対策が必要とされるシリカ系スケールは、アルカリ性の水又は温泉水などの流体に起因して発生するため、部材は耐アルカリ性に優れることが好ましい。ここで、「アルカリ性の流体」とは、pH7.1以上の流体を意味する。また、温泉水のように流体が高温である場合、部材は優れた耐熱性を有することが好ましい。
これに対し、上記実施形態の構造体は、部材と、流体と接触する部材の少なくとも一部に設けられたコーティング層とを有し、上記コーティング層を上記実施形態のコーティング剤から形成することを特徴とするため、コーティング層によって部材の耐アルカリ性及び耐熱性を向上することができる。そのため、流体がアルカリ性である場合及び/又は高温である場合であっても、使用時の部材の性能低下を抑制することができる。

0072

特に限定されないが、部材は、コーティング剤を容易に塗工できる表面形状及び表面特性を有することが好ましい。一実施形態において、上記部材は、無機材料から構成される無機部材であることが好ましい。無機部材の構成材料は、例えば、鋼材銅材、鉛材、鉄材チタン材ステンレス材マグネシウム材アルミ材、及びタングステン材からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。さらに、上記鋼材は、例えば、炭素鋼銅鋼鉄鋼クロム鋼ニッケル鋼ステンレス鋼マンガン鋼、及びモリブデン鋼からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
一実施形態において、無機部材は、表面がめっき処理された部材であってもよい。めっき処理に用いる材料の具体的として、例えば、亜鉛めっき、銅めっきアルミニウムめっきクロムめっきニッケルめっき、スズめっき、及びコバルトめっきからなる群から選択される少なくとも1種が挙げられる。

0073

一実施形態において、無機部材は、配管又は熱交換器において流路を形成するプレートであってよい。配管又はプレートの材料として、ステンレス板トタン板(炭素鋼上に亜鉛めっきを有する板)、チタン板銅板、及びニッケル板を好適に使用することができる。

0074

(コーティング層)
一実施形態において、上記コーティング層は、上記部材の表面にコーティング剤(樹脂組成物)を塗工し、次いで塗工膜を加熱することによって形成することができる。部材へのコーティング剤の塗工は、当技術分野で公知の方法に従って実施することができる。また、上記コーティング剤は、加熱によって硬化物を形成できるため、塗工膜の硬化は、塗工膜を加熱することによって実施することができる。さらに、上記コーティング剤を使用して形成されるコーティング層は、折り曲げ性(可撓性)にも優れる。そのため、コーティング層を形成した後に構造体の形状加工を容易に行うこともできる。また、薄膜のコーティング層は撓み易く、使用時に曲がるリスクのあるプレートにおいてもコーティング層のクラックが発生しにくい。

0075

塗工膜の硬化時の加熱温度及び加熱時間は、コーティング剤の構成成分に応じて適宜調整することができる。一実施形態において、硬化時の加熱温度は10〜500℃が好ましく、15〜400℃がより好ましく、20〜300℃がさらに好ましい。また、硬化時の加熱時間は、0.1〜7,200分が好ましく、0.3〜4,320分がより好ましく、0.5〜1,440分がさらに好ましい。

0076

一実施形態において、上記コーティング層の膜厚は、1μm以上であることが好ましく、5μm以上であることがより好ましく、10μm以上であることがさらに好ましい。一方、上記膜厚は、1,000μm以下であることが好ましく、750μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。

0077

コーティング層の膜厚が1μm以上である場合、塗工時に巻き込んだ空気が分散し易く、界面のボイドを低減することができる。そのため、部材に対するコーティング層の密着性を容易に向上させることができる。また、コーティング層の膜厚が1,000μm以下である場合、塗工膜の硬化を均一に促進できる。そのため、耐アルカリ性に優れ、かつスケール付着防止性に優れるコーティング層を容易に提供することができる。

0078

コーティング層の膜厚は、当技術分野で公知の方法にしたがって測定することができる。例えば、JIS−H−8401で規格化された方法を用いることが好ましい。例えば、コーティング層形成前の部材自体の厚さと、コーティング層形成後の部材の厚さとの差を算出し、膜厚とすることができる。

0079

一実施形態において、配管にコーティング層を形成した場合、先ず、配管について、その厚さを10〜90°毎に等間隔で4〜36箇所で測定する。次に、コーティング層形成後の配管について、上記配管の測定箇所と同じ箇所でその膜厚を測定する。次に、上記4〜36の測定箇所におけるコーティング層形成前後での膜厚の差をそれぞれ算出し、コーティング層の膜厚とする。さらに、4〜36の測定箇所での上記コーティング層の膜厚の平均値を求め、コーティング層の膜厚とすることができる。すなわち、一実施形態において、コーティング層の膜厚は、配管に形成されたコーティング層の膜厚であってよく、上述のように4〜36の測定箇所における膜厚の平均値は上記範囲内であることが好ましい。

0080

上記実施形態の構造体は、部材とコーティング層との密着性に優れるため、長期間にわたってコーティング層による効果を維持することができる。構造体は、必要に応じて、部材とコーティング層との間にプライマー層を有してもよい。例えば、フラン樹脂を使用した場合、無機粒子を含むフェノール樹脂からなるプライマー層を設けることで、密着性をより高めることができる。

0081

以下、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではなく、種々な実施形態を含む。

0082

(実施例1〜17及び比較例1〜6)
<1>スケール付着防止用コーティング剤の調製
表1に示す配合に従って、スケール付着防止用コーティング剤(コーティングワニス)1A〜11A、及び1B〜5Bを調製した。具体的には、樹脂100質量部に対し、表1に示す添加量に従ってその他の材料を加えて混合した。さらに、材料の混合物をポリプロピレン容器に入れ、ミックスローターバリアブルMR−5R(株式会社アズワン製、商品名)を用いて3時間混合し、それぞれのコーティングワニスを得た。

0083

コーティングワニスを調製するために使用した材料は、以下のとおりである。
<樹脂>
a1:VP−30N(レゾール型フェノール樹脂、日立化成株式会社製)
a2:CKM−916(レゾール型フェノール樹脂、昭和電工株式会社製)
a3:HP−850N(ノボラック型フェノール樹脂、日立化成株式会社製)
a4:KA1165(ノボラック型フェノール樹脂、DIC株式会社製)
a5:HI−406SA−33F(ポリアミドイミド樹脂、日立化成株式会社製)
a6:HPC−3010(ポリアミドイミド樹脂、日立化成株式会社製)
a7:PIX3400(ポリイミド樹脂、日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社製)
a8:HCI−7000(ポリイミド樹脂、日立化成株式会社製)
a9:VF−303(フラン樹脂、日立化成株式会社製。樹脂の全質量を基準として、フルフリルアルコール単独縮合型のフラン樹脂を72%、フルフリルアルコールを16%、及びフルフラールを17%含む混合物である)
a10:オーデフレッシュSIiii(シリコーン樹脂日本ペイント株式会社製)、
a11:ポリベンゾオキサゾール1(後述の合成例で調製した樹脂)
a12:L♯7305(フッ化ビニリデン樹脂、株式会社クレハ製)
a13:L#9130(アクリル変性フッ化ビニリデン樹脂、株式会社クレハ製)
a14:エポン815(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、富士フィルム和光純薬株式会社製)

0084

(ポリベンゾオキサゾール1の合成例)
攪拌機温度計を備えた0.5リットルフラスコの中に、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N−メチルピロリドン90gを仕込み溶液を得た。フラスコを5℃に冷却した後、上記溶液塩化チオニル12.64gを滴下し、30分間反応させて、4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸クロリドの溶液を得た。
次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコの中に、N−メチルピロリドン87.5gを仕込み、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン18.30gを添加し、攪拌しながら溶解して溶液を得た。次いで、上記溶液にピリジン8.53gを添加し、温度を0〜5℃に保ちながら、先に調製した4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した。滴下終了後、30分間攪拌を続け、得られた溶液を3リットルの水に投入し、析出物回収した。回収した析出物を純水で3回洗浄した後、減圧乾燥することによって、ポリベンゾオキサゾール1を得た。GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法に従い、標準ポリスチレン換算によって求めた重量平均分子量は14,580であり、分散度は1.6であった。

0085

<硬化剤>
b1:A−3(物質名:70%パラトルエンスルホン酸溶液、溶媒:水、エチレングリコールモノブチルエーテル、日立化成株式会社製)
b2:塩酸(1mol/L、富士フィルム和光純薬株式会社製)
b3:ヘキサメチレンジアミン(富士フィルム和光純薬株式会社製)
b4:HN5500E(3−、又は4−メチル−ヘキサヒドロ無水フタル酸、日立化成株式会社製)

0086

<硬化促進剤>
c1:2E4MZ(2−エチルー4−メチルイミダゾール、四国化成製)
<無機粒子>
d1:X−100(物質名:鱗片状黒鉛、平均粒径:60μm、伊黒鉛株式会社製)
<溶剤>
e1:メタノール(富士フィルム和光純薬株式会社製)
e2:N−メチルピロリドン(富士フィルム和光純薬株式会社製)

0087

0088

<2>コーティング層を有する構造体の作製
先に調製したスケール付着防止用コーティング剤(コーティングワニス)を使用して、コーティング層を有する構造体を作製した。具体的には、以下に記載する手順に従い、各基材にコーティング層を形成した。
先ず、後述する基材S1〜S6を2cm角及び5cm角にそれぞれ切り出した。切出した基材に、アプリケータベーカーアプリケーターYBA−4、ヨシミツ精機株式会社製)を用いてコーティングワニスを塗工した。次いで、塗工膜を加熱することによって、基材上にコーティング層を形成した。さらに、2cm角の基材については、裏面にも同様にしてコーティングワニスを塗工し、次いで、塗工膜を加熱することによって、基材の両面にコーティング層(硬化物)を形成し、構造体を得た。
コーティング層を形成するための加熱温度(硬化温度)、及び得られたコーティング層の膜厚を、それぞれ表2及び表3に示す。膜厚の測定は、株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器を使用し、水平な装置の台に上記基材を設置し、0点補正後のプローブを定圧で基材の上に押し当てることによって実施した。測定を5回実施し、それらの平均値を求め膜厚とした。

0089

使用した基材の詳細は以下のとおりである。
(基材)
S1:ステンレス板HS0132(アズワン株式会社製、膜厚100μm)
S2:トタン板(構成:炭素鋼上に亜鉛めっき、株式会社久宝金属製作所製、膜厚250μm)
S3:チタン箔(アズワン株式会社製、膜厚500μm)
S4:銅箔(アズワン株式会社製、膜厚500μm)
S5:ニッケル箔(アズワン株式会社製、膜厚500μm)
S6:S10ルームミラー#350(PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、東レ株式会社製、膜厚350μm)

0090

<3>コーティング層の評価
実施例1〜17及び比較例1〜6で作製した構造体を試験サンプルとして使用し、以下に示す試験方法に従い、コーティング層の各種特性を評価した。それぞれの評価結果を表2及び表3に示す。

0091

(1)スケール付着試験(スケール付着防止性の評価)
珪酸ナトリウム水溶液(55%水溶液、富士フィルム和光純薬株式会社製)66.4g質量部、純水933.6質量部を加えて混合し、1.0mol/Lの珪酸ナトリウム水溶液1000質量部を得た。また、塩化マグネシウム六水和物(富士フィルム和光純薬株式会社製)21.0質量部、純水979.0質量部を加え、0.1mol/Lの塩化マグネシウム水溶液1000質量部を得た。
上述のように調製した珪酸ナトリウム水溶液100.0質量部及び塩化マグネシウム水溶液100.0質量部と、純水300.0質量部とを混合することによって、珪酸ナトリウム0.2mol/L、及び塩化マグネシウム0.02mol/Lの水溶液を得た。
この水溶液に、塩酸(1mol/L、富士フィルム和光純薬株式会社製)50.0質量部及び純水50.0質量部を加えて得た0.5mol/Lの塩酸溶液をさらに滴下し、pH紙を用いてpHを8に調整し、試験液を得た。
オートクレーブに上記試験液を80mL入れ、2cm角の基材の両面にコーティング層を設けた試験サンプルを上記試験液に浸漬して、100℃で、40時間加熱した。浸漬後のサンプルを取り出し、25℃で24時間乾燥させた。
次に、コーティング層の表面をデジタルカメラ撮影し、その画像をカラーコピー機で紙に印刷した。先ず、印刷した画像において、コーティング層(塗工膜)部分をハサミで切断し、その重量を測定した。次いで、直径5mm以上のスケール部分をハサミで切断し、その切断したスケール部分の合計重量を測定した。各測定値から以下の(式1)に従い、スケール付着率(面積比)を算出した。
(式1)
SL=S1/S0×100
式中、SLはスケール付着率(%)、S1はスケール部分の重量(g)、S0は塗工膜部分の重量(g)を示す。

0092

一方、比較サンプルとして、コーティング層を持たないトタン板(上記基材S2)を使用して、上述の方法と同様にしてスケール付着試験を行い、スケール付着率を算出した。算出した基材S2におけるスケール付着率をSRとする。以下の(式2)に従い、相対比を算出した。
(式2)
SLR=SL/SR
式中、SLRは相対比を示す。得られた相対比の値を表に示す。

0093

(2)耐食性試験(耐アルカリ性)
水酸化ナトリウム(顆粒状、富士フィルム和光純薬株式会社製)1.0質量部、純水99.0質量部を混合し、1%水酸化ナトリウム水溶液(pH14.0)を得た。この水溶液に、試験サンプルを24時間浸漬して取り出し、25℃で24時間乾燥させた。外観目視にて観察し、溶解、粉末化鱗状化、亀裂、破断ふくれ、ねばり、変色、光沢の損失等の外観の変化の有無を評価した。なお、実施例4〜7及び比較例4及び5については、基材をS1に変更したことを除き、コーティング層の膜厚、及び処理条件を同様にしてコーティング層を形成したものを別途作製し、試験サンプルとして使用した。

0094

(3)耐擦傷性試験鉛筆硬度試験
5cm角の基材にコーティング層を設けた試験サンプルの各コーティング層の鉛筆硬度を測定した。No.553鉛筆硬度試験機(安田精機製作所製)を用いた。試験機に750gの荷重を取り付け、試料に45度の角度で鉛筆を取り付けた。試料に鉛筆を当てた状態で10mm程度移動させ、試料に傷がついた場合は、鉛筆の硬度下げ、試料に傷がつかなかった場合は、鉛筆硬度を上げて傷がつくまで評価を繰り返した。傷がついた鉛筆硬度の1つ前の硬度の値を鉛筆硬度とした。

0095

(4)耐衝撃性試験
5cm角の基材にコーティング層を設けた試験サンプルを使用し、コーティング層に対して、概略寸法2cm×2.5cm×2cmの形状を有する15.0gの石(図3に示す写真を参照)を1mの高さから落とした。コーティング層の表面を目視にて観察し、以下の基準に従って耐衝撃性を評価した。評価基準が「○」以上であれば、実用において十分に満足できるレベルである。
(評価基準)
◎:クラック及び傷のいずれも確認できない。
○:クラックは確認できないが、1cm以下の傷がある。
×:クラック及び1cmを超える傷がある。

0096

(5)耐熱性試験
試験サンプルのコーティング層(硬化物)をスパチュラで削り粉末にして、大気圧下、100℃で30分間乾燥した。得られた乾燥後の粉末をデシケータ中に移し、25℃まで冷却して、サンプルとして使用した。一方、測定装置としては、DTG−60H(株式会社島津製作所製)を用いた。測定は以下の手順に従い実施した。
先ず、水分等を除去するため、白金製のパンを200℃、3時間、大気雰囲気で乾燥させた。次に、測定前にサンプルの質量を測定し、上記のように空焼きした6mmΦの白金製のパンに約10mgのサンプルを詰めた。その後、窒素雰囲気下(ガス流量:150ml/分)で、昇温速度10℃/分で30℃から500℃まで昇温し、0.5秒毎に質量を測定した。5質量%減少した時点での温度を耐熱温度とした。結果を表2及び表3に示す。
なお、質量減少率は以下の式によって算出される。質量減少率は、次の式によって算出し、百分率で表す。
mL=(m0—mB)/m0×100
式中、mLは質量減少率(%)、mBは終了温度の質量(mg)、m0は加熱前の質量(mg)を示す。

0097

(6)密着性試験
先に説明したスケール付着試験を実施した後、コーティング層の状態を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。
(評価基準)
〇:コーティング層の剥離は全く確認できない。
×:コーティング層が完全に剥離している。

0098

(7)折り曲げ試験(可撓性)
5cm角の基材にコーティング層を設けた試験サンプルを使用し、図4に示すように、直径10cmのアルミニウム製の棒に対して基材が接触する方向に試験サンプルを1分間押し当てることによって、コーティング層を湾曲させた。図4において、参照符号40はアルミニウム製の棒を示す。また、50は試験サンプル(構造体)であり、14は基材、20はコーティング層を示す。
次に、図5に示すようにして、湾曲させた試験サンプル50を60の上に置き、1kgの樹脂ブロック70(10cm×15cm×6cm)を試験サンプル50(コーティング層20)の上に乗せ、基材(14)の面と机とを接触させた。コーティング層の上に乗せた樹脂ブロックを外し、コーティング層の外観を目視にて観察し、以下の基準に従って評価した。評価基準が「○」以上であれば、実用において十分に満足できるレベルである。
(評価基準)
◎:クラック及び折り曲げ跡のいずれも確認できない。
○:クラックは確認できないが、折り曲げ跡が残っている。
×:クラックがあり、かつ折り曲げ跡が残っている。

0099

0100

実施例

0101

上記表2及び表3に示した結果から、本発明によるコーティング剤によれば、特定の樹脂を使用することによって、優れたスケール付着防止効果が得られ、かつ優れた耐衝撃性、膜硬度(耐擦傷性)及び耐アルカリ性を有するコーティング層を提供できることが分かる(実施例1〜17)。特に、フェノール樹脂を使用した実施例1〜12のコーティング剤によれば、より優れた耐衝撃性及び膜硬度が得られることが分かる。一方、比較例1〜5におけるスケール付着防止効果は、いずれも実施例よりも明らかに劣る結果となった。また、実施例1と比較例6との対比から、本発明によるコーティング剤は、無機部材に対する塗工性に優れることが分かる。さらに、本発明によるコーティング剤によれば、耐熱性、密着性、及び折り曲げ性といったコーティング層に要求されるその他の特性においても良好な結果が得られる。以上のことから、本発明によれば、スケール対策として有用なコーティング剤を提供できることが分かる。

0102

本開示のスケール付着防止用コーティング剤は、温泉地などの配管、温泉バイナリー発電用の配管、熱交換器、蒸発器及び凝縮器用の部材、並びに下水道配管等の各種部材に対して好適に使用することができ、スケール対策として有用である。

0103

10:配管
12:熱交換器用プレート
14:基材
20:コーティング層
30:流路
40:アルミニウム製の棒
50:試験サンプル(構造体)
60:机
70:樹脂ブロック

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