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技術 インドール乳酸化合物の製造方法

出願人 森永乳業株式会社
発明者 桜井琢磨山田明男小田巻俊孝
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-068994
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-164492
状態 未査定
技術分野 インドール系化合物 微生物による化合物の製造 食品の着色及び栄養改善
主要キーワード 乾熱滅菌法 乳酸化合物 嫌気ガス 蒸気消毒 調乳液 酸化エチレンガス 製造用組成物 高圧蒸気滅菌法
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供すること。

解決手段

インドール乳酸化合物生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いることによってインドール乳酸化合物を製造することを含む、インドール乳酸化合物の製造方法;インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。

概要

背景

トリプトファンは、タンパクを構成するアミノ酸の1つであり、ヒトの必須アミノ酸の1つである。このトリプトファンは体内で様々な代謝を受け、ホルモンの前駆体として生体恒常性の維持に役立っている。
例えば、特許文献1には、トリプトファン代謝経路病理学的特徴を持つ疾患(例えば、当該疾患は癌、アルツハイマー病自己免疫疾患うつ病、不安症、白内障精神障害及びエイズ等)を治療するための、イミダゾイソインドール誘導体有機合成による製造方法が記載されている。

概要

インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供すること。インドール乳酸化合物生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いることによってインドール乳酸化合物を製造することを含む、インドール乳酸化合物の製造方法;インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。なし

目的

すなわち、本技術は、インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

インドール乳酸化合物生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いることによって、インドール乳酸化合物を製造することを含む、インドール乳酸化合物の製造方法。

請求項2

前記ビフィドバクテリウム属細菌を、乳タンパク質、及び糖類からなる群から選択される1種以上を含む培地で培養し、発酵させることによる、請求項1記載のインドール乳酸化合物の製造方法。

請求項3

前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウムロンガムサブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、請求項1又は2記載のインドール乳酸化合物の製造方法。

請求項4

前記ビフィドバクテリウム属細菌が、(1)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707、(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCC BAA-999;BB536)、(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC 15697、(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63);(5)ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC 15700、(6)ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175、(7)ビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V);(8)ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC 29521、(9)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02429、(10)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02431、(11)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02433、(12)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02432、からなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、請求項1〜3のいずれか1項記載のインドール乳酸化合物の製造方法。

請求項5

前記インドール乳酸化合物が、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、インドール−3−乳酸ILA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である、請求項1〜4のいずれか1項記載のインドール乳酸化合物の製造方法。

請求項6

インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。

請求項7

前記組成物が飲食品組成物である、請求項6記載の組成物の製造方法。

請求項8

前記飲食品組成物が発酵飲食品である、請求項7記載の組成物の製造方法。

請求項9

前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、請求項6〜8のいずれか1項記載の組成物の製造方法。

請求項10

前記インドール乳酸化合物が、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、インドール−3−乳酸(ILA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールデハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である、請求項6〜9のいずれか1項記載の組成物の製造方法。

技術分野

0001

本技術は、インドール乳酸化合物の製造方法に関する。

背景技術

0002

トリプトファンは、タンパクを構成するアミノ酸の1つであり、ヒトの必須アミノ酸の1つである。このトリプトファンは体内で様々な代謝を受け、ホルモンの前駆体として生体恒常性の維持に役立っている。
例えば、特許文献1には、トリプトファン代謝経路病理学的特徴を持つ疾患(例えば、当該疾患は癌、アルツハイマー病自己免疫疾患うつ病、不安症、白内障精神障害及びエイズ等)を治療するための、イミダゾイソインドール誘導体有機合成による製造方法が記載されている。

先行技術

0003

特表2018−513145号公報

発明が解決しようとする課題

0004

そして、トリプトファン代謝経路のうちのインドール−3−乳酸及びその誘導体が、抗炎症作用免疫抑制作用抗酸化作用等を有しているとの報告がなされるようになってきている。しかし、インドール−3−乳酸及びその誘導体の作用に関連する知見は依然少ない。これらの知見は少なく、その製造方法についても知見が少ない。このようなことから、本発明者は、インドール−3−乳酸及び/又はその誘導体(以下、「インドール乳酸化合物」ともいう)をより安全に製造する技術を探求した。
すなわち、本技術は、インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供することを主な目的とする。

課題を解決するための手段

0005

特許文献1にはイミダゾイソインドール誘導体の有機合成方法が記載されていたが、本発明者は、より安全性の高いインドール乳酸化合物の製造方法について鋭意検討を行った。

0006

本発明者は、インドール乳酸化合物とビフィドバクテリウム属細菌との関係については知られていなかったが、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌が存在することを新たに見出した。そして、ビフィドバクテリウム属細菌は一般的に経口摂取可能な細菌であるので、この細菌を用いる本技術のインドール乳酸化合物の製造方法も安全性が高く、また、菌体を含む生産物組成物として提供しても安全性が高いと考えられる。

0007

さらに、本発明者は、ビフィドバクテリウムロンガム、ビフィドバクテリウム・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上が、インドール乳酸化合物の生産能力が高いことも新たに見出した。これらビフィドバクテリウム属細菌は、乳幼児常在腸内細菌叢に多くみられることから、この細菌を用いる本技術のインドール乳酸化合物の提供は安全性がより高いと考えられる。

0008

このようなことから、本発明者は、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いることで、インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供できることを新たに見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち、本発明は以下の[1]〜[10]のとおりである。
[1]
インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いることによって、インドール乳酸化合物を製造することを含む、インドール乳酸化合物の製造方法。
[2]
前記ビフィドバクテリウム属細菌を、乳タンパク質、及び糖類からなる群から選択される1種以上を含む培地で培養し、発酵させることによる、前記[1]記載のインドール乳酸化合物の製造方法。
[3]
前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、前記[1]又は[2]記載のインドール乳酸化合物の製造方法。
[4]
前記ビフィドバクテリウム属細菌が、
(1)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707、
(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCC BAA-999;BB536)、
(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC 15697、
(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63);
(5)ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC 15700、
(6)ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175、
(7)ビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V);
(8)ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC 29521、
(9)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02429、
(10)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02431、
(11)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02433、
(12)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02432、
からなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、前記[1]〜[3]のいずれか記載のインドール乳酸化合物の製造方法。
[5]
前記インドール乳酸化合物が、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、インドール−3−乳酸(ILA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である、前記[1]〜[4]のいずれか記載のインドール乳酸化合物の製造方法。
[6]
インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。
[7]
前記組成物が飲食品組成物である、前記[6]記載の組成物の製造方法。
[8]
前記飲食品組成物が発酵飲食品である、前記[7]記載の組成物の製造方法。
[9]
前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上の細菌である、前記[6]〜[8]のいずれか記載の組成物の製造方法。
[10]
前記インドール乳酸化合物が、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、インドール−3−乳酸(ILA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールデハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である、前記[6]〜[9]のいずれか記載の組成物の製造方法。

発明の効果

0010

本技術によれば、インドール−3−乳酸又はその誘導体をより安全に提供することができる。なお、ここに記載された効果は、必ずしも限定されるものではなく、本技術中に記載されたいずれかの効果であってもよい。

0011

以下、本技術を実施するための好適な実施形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本技術の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。

0012

<1.本技術のインドール乳酸化合物の製造方法>
本技術は、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌(以下、「本技術のビフィドバクテリウム属細菌」ともいう)を用いることによってインドール乳酸化合物を製造することを含む、インドール乳酸化合物の製造方法を提供する。

0013

本技術におけるインドール乳酸化合物の製造方法において、より好適には、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を培地で培養することによってインドール乳酸化合物を効率よく製造することができる。
本技術におけるインドール乳酸化合物の製造方法において、より好適には、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を、乳タンパク質、及び糖類からなる群から選択される1種以上を含む培地で培養し、発酵させることによって、インドール乳酸化合物を製造することである。これによりインドール乳酸化合物を含む発酵飲食品を効率よく得ることができ、より好適にはインドール乳酸化合物を含む発酵乳を得ることができる。

0014

<1−1.インドール乳酸化合物>
一般的にトリプトファン代謝系によって様々なトリプトファン代謝物がもたらされることが知られている。当該トリプトファン代謝物には、インドール骨格を少なくとも有する化合物と、そうでない化合物(例えば、キヌレニン経路における主要な代謝中間体であるキヌレニンなど)が挙げられる。
本技術の製造方法で得られる「インドール乳酸化合物」は、トリプトファン代謝物のうち、「インドール骨格を少なくとも有する化合物」と一般的に呼ばれる化合物である。
本技術のインドール乳酸化合物として、インドール−3−乳酸及び/又はインドール−3−乳酸の誘導体がより好適である。
前記インドール−3−乳酸の誘導体として、例えば、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールデハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。インドール−3−乳酸及びインドール−3−乳酸の誘導体からなる群から選択される1種又は2種以上の化合物が好適である。

0015

本技術のインドール乳酸化合物は、好ましくは、インドール−3−乳酸、インドール−3−ピルビン酸、3−インドールアクリル酸、インドール−3−プロピオン酸、インドール−3−アセタールデハイド、インドール−3−酢酸、及びインドール−3−アルデヒドからなる群から選択される1種又は2種以上の化合物である。
本技術の製造方法において、インドール−3−乳酸を製造する場合、インドール−3−乳酸の生産能力の高いビフィドバクテリウム属細菌を用いることが、より好ましい。

0016

本技術のインドール乳酸化合物及びこの作用機序に関しては、<2.インドール乳酸化合物の用途>で後述するが、当該インドール乳酸化合物は、ビフィドバクテリウム属細菌内の酵素やトリプトファン代謝系によって、下記式(1)のような範囲内で変化することも可能と考える。

0017

0018

<1−2.本技術のインドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌>
本技術のインドール乳酸化合物の製造するために使用されるビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)属細菌は、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌(以下、本技術のビフィドバクテリウム属細菌」ともいう)であれば特に限定されない。
本技術のビフィドバクテリウム属細菌は経口から安全に摂取可能であるため、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を用いることで、インドール乳酸化合物をより安全に提供することができる。

0019

また、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を経口摂取することで、消化管内等の体内でインドール乳酸化合物を生産させることが可能である。生産されたインドール乳酸化合物は血中移行しやすいことから、容易に体内に取り込むことも可能である。

0020

本技術において、インドール乳酸化合物の生産能力が高いビフィドバクテリウム属細菌を用いることが好ましく、培地中にインドール乳酸化合物を、好ましくは1μg/mL以上、より好ましくは2μg/mL以上、さらに好ましくは3μg/mL以上で生産することができる、ビフィドバクテリウム属細菌を用いることが、好適である。
また、本技術において、インドール−3−乳酸を製造する場合、培地中にインドール−3−乳酸を、好ましくは1μg/mL以上、より好ましくは2μg/mL以上、さらに好ましくは3μg/mL以上で生産することができる、ビフィドバクテリウム属細菌を用いることが、好適である。

0021

なお、インドール乳酸化合物の測定は、後記実施例に示す〔インドール−3−乳酸(ILA)の測定方法〕(例えば、液体クロマトグラフィー質量分析(LC/MS))を参考にして行うことが可能である。

0022

本技術のビフィドバクテリウム属細菌は、乳幼児の腸内に多くみられる細菌であり、ヒト乳幼児常在細菌叢由来の細菌が好適であるが、本技術において、ヒト乳幼児常在細菌叢由来の細菌に限定されるものではない。
一方で、後記実施例に示すように、成人の常在腸内細菌叢及び非ヒトの腸内細菌叢に多くみられるビフィドバクテリウム属細菌は、インドール乳酸化合物の生産性が非常に低く、これらはインドール乳酸化合物生産能力を有しない或いはほとんど有しないビフィドバクテリウム属細菌と考えられる。

0023

本技術のビフィドバクテリウム属細菌のうち、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム(Bifidobacterium longum subsp. longum);ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス(Bifidobacterium longum subsp. infantis);ビフィドバクテリウム・ブレーベ(Bifidobacterium breve);ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)等が、安全性及びインドール乳酸化合物の生産性の観点から非常に優れている。
本技術において、これら細菌からなる群から1種又は2種以上選択された細菌を用いて、インドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物含む組成物の製造に用いることが好ましい。

0024

ビフィドバクテリウム・ロンガムとして、例えば、(1)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707、(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCC BAA-999;BB536)等が挙げられる。

0025

ビフィドバクテリウム・インファンティスとして、例えば、(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC15697、
(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITEBP-02623(LMG 23728;M-63)等が挙げられる。

0026

ビフィドバクテリウム・ブレーベとして、例えば、(5)ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC15700、(6)ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175、(7)ビフィドバクテリウム・ブレーベNITEBP-02622(M-16V)等が挙げられる。

0027

ビフィドバクテリウム・ビフィダムとして、例えば、(8)ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC29521、(9)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITEBP-02429、(10)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02431、(11)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02433、(12)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02432等が挙げられる。

0028

中でも下記からなる群から選択される1種又は2種以上のビフィドバクテリウム属細菌を使用することができ、適宜単独で又は複数組み合わせて使用することができる。

0029

(1)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707は、米国の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)(米国、20110バージニア州マナサスユニバーシティ・ブルバード10801)に、ATCC 15707の受託番号で寄託されている(ATCC 2015 [08/17])。

0030

(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ足2−5−8 122号室)に、2018年1月26日にNITE BP−02621の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。ビフィドバクテリウム・ロンガムNITE BP-02621は、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999と同一細菌であり、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-999は、米国の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)(米国、20110バージニア州マナサスユニバーシティ・ブルバード10801)に、ATCC BAA−999の受託番号で寄託されている。また、当該菌株は、森永乳業株式会社から市販品(BB536)として入手可能である。

0031

(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC15697は、米国の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)(米国、20110バージニア州マナサスユニバーシティ・ブルバード10801)に、ATCC 15697の受託番号で寄託されている(ATCC 2018 [07/20])。

0032

(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITEBP-02623(LMG 23728;M-63)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2018年1月26日にNITE BP−02623の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623とビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスLMG 23728は同一細菌であり、ビフィドバクテリウム・インファンティスLMG 23728は、ベルギーの保存機関であるBelgian Coordinated Collections of Microorganisms(BCCM)(ベルギー、B−1000ブリュッセルシアンス通り(ウェテンスカップ通り)8)に、BCCM LMG23728の受託番号で寄託されている。また、当該菌株は、森永乳業株式会社から市販品(M-63)として入手可能である。

0033

(5)ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC15700は、米国の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)(米国、20110バージニア州マナサスユニバーシティ・ブルバード10801)に、ATCC 15700の受託番号で寄託されている(ATCC 2018 [02/01])。

0034

(6)ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(現 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)特許生物寄託センター(IPOD)(NITE−IPOD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8)に、2009年8月25日に、FERM BP-11175の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたさものである。

0035

(7)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITEBP-02622(M-16V)は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2018年1月26日にNITE BP−02622の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。また、当該菌株は、森永乳業株式会社から市販品(M-16V)として入手可能である。

0036

(8)ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC29521は、米国の保存機関であるAmerican Type Culture Collection(ATCC)(米国、20110バージニア州マナサスユニバーシティ・ブルバード10801)に、ATCC 29521の受託番号で寄託されている(ATCC 2017 [04/12])。

0037

(9)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITEBP-02429は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2017年2月21日にNITE BP-02429の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。

0038

(10)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITEBP-02431は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2017年2月21日にNITE BP-02431の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。

0039

(11)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITEBP-02433は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2017年2月21日にNITE BP-02433の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。

0040

(12)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITEBP-02432は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(NPMD)(住所:〒292−0818 日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8 122号室)に、2017年2月21日にNITE BP-02432の受託番号で、ブダペスト条約に基づく国際寄託がなされたものである。

0041

なお、上記例示した菌株名で特定される菌株には、当該菌株名で所定の機関に寄託や登録がなされている株そのもの(以下、説明の便宜上、「寄託株」ともいう)に限られず、それと実質的に同等な株(「派生株」または「誘導株」ともいう)も包含される。すなわち、例えば、上記(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)にはNITE BP-02621の受託番号で、(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)にはNITE BP-02623の受託番号で、及び、(7)ビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)にはNITE BP-02622の受託番号で、上記寄託機関に寄託されている株そのものに限られず、それと実質的に同等な株も包含され、また、各菌株もこの定義と同様である。
菌株について、「上記寄託株と実質的に同等の株」とは、上記寄託株と同一の種に属し、本件寄託株と同等以上の本技術で用いるインドール−3−乳酸化合物を得られる株を意味する。上記寄託株と実質的に同等の株は、例えば、当該寄託株を親株とする派生株であってよい。派生株としては、寄託株から育種された株や寄託株から自然に生じた株が挙げられる。

0042

実質的に同一の菌株、派生株は下記のような株が挙げられる。
(1)RAPD法(Randomly Amplified Polymorphic DNA)、PFGE法(Pulsed-field gel electrophoresis)により同一の菌株と判定される菌株(Probiotics in food/Health and nutritional properties and guidelines for evaluation 85 Page43に記載)
(2)当該寄託株由来の遺伝子のみ保有し、外来由来の遺伝子を持たず、DNAの同一性が95%以上(好適には98%以上)である菌株
(3)当該菌株から育種された株(遺伝子工学的改変突然変異自然突然変異を含む)、同一の形質を有する株

0043

<1−3.インドール乳酸化合物の製造に用いられる培地>
本技術の製造方法に用いられる培地として、ビフィドバクテリウム属細菌が培養可能な培地であれば特に限定されず、通常用いられる培地を用いてもよく、必要により培地組成を適宜修正して用いてもよい。例えば、乳原料及びプレバイオティクス(より好適には糖類)からなる群から選択される1種以上を含む培地を使用してもよく、任意の原料を培地に含ませることにより、効率よくインドール乳酸化合物を製造することができる。当該乳原料は、後述する乳成分(より好適には乳タンパク質)を使用することができ、当該プレバイオティクスは、後述する糖類(より好適にはオリゴ糖)等を使用することができる。

0044

培地成分としては、特に限定されないが、窒素成分及び炭素成分を培地に含むことが好ましく、当該窒素成分及び炭素成分として、例えば、炭素源窒素源及び有機成分等が培地に含まれていることが好ましい。
供給源として、例えば、タンパク質分解物動物、植物、微生物(酵母、細菌)等由来)、アミノ酸(例えば、L−システイン等)を用いることが、生産性の観点から好適である。当該タンパク質分解物として、微生物の培養に使用可能なものが好ましく、例えば、ペプトン牛肉エキス酵母エキス脱脂大豆等が挙げられる。当該分解は、一般的なタンパク質分解手段を用いることができ、例えば、タンパク質分解酵素(例えばペプシン等)、酸、アルカリ等の群から選択された単独又は組み合わせによる加水分解が挙げられる。
例えば、供給源は、培地中に好適には1〜60質量%(より好適には30〜50質量%)含有させることがより好適である。

0045

また、本技術の培地成分における、炭素源としては、例えば、ガラクトースグルコースフルクトースマンノースセロビオースマルトースラクトーススクローストレハロースデンプンデンプン加水分解物廃糖蜜等の糖類を資化性に応じて使用できる。
また、窒素源としては、例えば、アンモニア硫酸アンモニウム塩化アンモニウム硝酸アンモニウム等のアンモニウム塩類や硝酸塩類を使用できる。
また、無機塩類としては、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウム硫酸カリウム硫酸マグネシウム塩化カルシウム硝酸カルシウム塩化マンガン硫酸第一鉄等を用いることができる。
また、当該培地には、還元剤(例えば、L−システイン等)を用いてもよく、当該培地中に還元剤を0.01〜0.1質量%含有させてもよい。

0046

また、本技術に用いられる具体的な公知培地として、例えば、MRS(de Man,Rogosa Sharpe)培地、ABCM(anaerobic bacterial culture medium)培地、RCA(Reinforced clostridial agar)培地、BL(Blood Liver)培地、TOSプロピオン酸培地、GAM(Gifu Anaerobic Medium)培地、EG(Eggerth-Gagnon)培地等が挙げられる。本技術のインドール乳酸化合物を得る際に、これら公知培地を好適に用いることができ、また、これら公知培地は市販品を入手して使用してもよく、適宜液体培養として用いてもよい。

0047

<1−4.培養方法及び培養工程>
本技術における培養方法及び培養工程は、特に限定されず、ビフィドバクテリウム属細菌の培養に通常用いられる方法及び工程を必要により適宜修正して用いることができる。

0048

本技術の培養方法は、一般的にビフィドバクテリウム属細菌を増殖させる一般的な培養条件を用いることが可能である。
本技術の培養方法において、本技術のビフィドバクテリウム属細菌の使用量は、特に限定されないが、培地中に、好ましくは1×103〜1×1012CFU/g(又はcells(個)/g)、より好ましくは1×105〜1×1011CFU/g(又はcells(個)/g)、さらに好ましくは1×107〜1×1010CFU/g(又はcells(個)/g)になるように調整することが好適である。なお、CFUはColony forming unitを示す。
また、本技術の培養方法において、例えば、培養温度は25〜50℃でよく、30〜40℃であることが好ましい。培養は、嫌気条件下で行うことが好ましく、例えば、炭酸ガス窒素ガス等の嫌気ガス通気しながら培養することができる。

0049

本技術の生産物を得る際の培養時間は、特に限定されず、通常の培養時間(例えば12〜72時間程度)で行った後に生産物を回収してもよく、また公知の菌末製造等のための菌体を得るための培養時間と同じであってもよい。

0050

上述のような培養方法により培養した培養後の培地には、本技術のビフィドバクテリウム属細菌が生産したインドール乳酸化合物が含まれる。当該培養後の培地には、生菌及び/又は死菌の菌体が通常含まれる。
本技術の製造方法は、本技術の培養後の培地中のインドール乳酸化合物の含有量を、好ましくは3g/L以上、より好ましくは4g/L以上、さらに好ましくは5g/L以上にすることができる。

0051

本技術において、前記培養方法及び培養工程を、本技術のインドール乳酸化合物の生産方法及び生産工程として使用することも可能であり、また培養物を本技術の生産物として使用することも可能である。当該生産物として、例えば、培地、飲食品組成物、発酵飲食品、発酵乳等が挙げられるが、これに限定されない。

0052

また、本技術の培養方法及び培養工程は、例えば、連続方式及びバッチ方式が挙げられる。例えば、連続方式を採用する培養槽に連続的に培地を流入させ、生産されたインドール乳酸化合物を含む培地を流出させることによる連続方式でインドール乳酸化合物を製造することができる。また、バッチ方式を採用する培養槽で培地中にインドール乳酸化合物を製造することもできる。また、培養工程において、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を固定化(例えば、担体結合法等)してもよい。

0053

また、本技術のインドール乳酸化合物は、ビフィドバクテリウム属細菌内の酵素やトリプトファン代謝系によって上記式(1)のような範囲内で変化させることも可能と考える。このため、本技術の製造方法において、目的の化合物に変化させる酵素又は微生物を単数又は複数用いることも可能である。この変化工程は、培養工程中又は培養工程後のいずれでもよく、また生産物中からインドール乳酸化合物を分離精製した後であってもよい。
また、菌体内に存在するインドール乳酸化合物を回収する場合、菌体を破壊する手段、例えば、破砕や超音波等の物理的手段;酸、アルカリ、酵素等の化学的手段からなる群から選択される1種又は2種以上を使用することができる。

0054

また、培養後の培地から菌体を分離し、生産されたインドール乳酸化合物を含む培養後の培地を得ることも可能である。
培養後の培地から細菌を分離する工程としては、細菌を除くことができる公知の分離手段を採用することができる。これにより、菌体成分上清を分離することができる。
当該分離手段として、例えば、膜及び/又はろ過助剤によるろ過、遠心分離等が挙げられる。ろ過助剤は、珪藻土活性白土等が挙げられる。膜は、除菌可能な膜であれば特に限定されず、例えば、平膜メンブランフィルタガラス繊維フィルタ等)及び中空糸膜ホローファイバー)のいずれでもよい。
さらに分離した上清を濃縮し、イオン交換電気透析ゲルろ過等電点晶析することにより、濃縮されたインドール乳酸化合物又は分離精製されたインドール乳酸化合物を製造することもできる。

0055

<1−5.インドール乳酸化合物の用途>
本技術で製造されるインドール乳酸化合物は、後述するような、例えば、芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用、核内受容体PXRに対するリガンド作用、炎症抑制作用アミロイドβ凝集阻害作用、神経細胞保護作用等が知られている。このため、本技術で製造された、インドール乳酸化合物又は当該インドール乳酸化合物を含む組成物を使用することで、斯様な効能を期待することができる。
さらに、本発明の生菌のビフィドバクテリウム属細菌は安全性が高いので菌体を含んだままの生産物を経口摂取することが可能であり、これにより体内に有益なプロバイオティクス一緒に摂取することができる。

0056

腸内細菌の産生するトリプトファン代謝物が宿主の健康に様々な影響を与えていることが知られている(参考文献1;Cell Host Microbe. 2018 Jun 13;23(6):716-724.,参考文献2;Front Cell Infect Microbiol. 2018 Feb 6;8:13.)が、本技術のようなインドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌の報告はなかった。しかし、本発明者により、ビフィドバクテリウム属細菌のなかにインドール乳酸化合物が生産可能な細菌が存在することを見出したことから、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を用いることで、インドール乳酸化合物を高い安全性のもとで製造することができる。そして、当該インドール乳酸化合物が有する種々の作用を提供することも可能である。

0057

本技術のインドール乳酸化合物は、以下のような種々の作用を有する。
トリプトファン代謝物は、芳香族炭化水素受容体(AhR)を介して宿主の腸管免疫に影響を与えていることが知られている(参考文献3;Eur J Immunol. 2014 Nov;44(11):3192-200.,参考文献4;Mucosal Immunol. 2018 Jul;11(4):1024-1038.)。例えば、Lactobacillus reuteri D8が産生するトリプトファン代謝物の一つであるindole−3−aldehyde(IAld)は、AhRを介して腸管粘膜固有層リンパ球からのIL−2の産生を刺激し、STAT3のリン酸化を誘導して腸上皮の増殖を促進し、腸管粘膜の損傷を回復させることが報告されている(参考文献5;Cell Death Differ. 2018 Feb 19. doi: 10.1038/s41418-018-0070-2. [Epub ahead of print])。

0058

また、腸内に共生するClostridium sporogenesが産生するトリプトファン代謝物の一つであるIPA(Indole 3-propionic acid)は、核内受容体PXR(pregnane X receptor)を介して腸のバリア機能亢進し、炎症反応を抑制することが報告されている(参考文献6;Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 10;106(10):3698-703.,参考文献7;Immunity. 2014 Aug 21;41(2):296-310.)。
さらにIPAは、アミロイドβの凝集阻害する作用や神経細胞保護作用などが報告されている(参考文献8;FEBSJ. 2007 Dec;274(24):6415-25.,参考文献9;J Biol Chem. 1999 Jul 30;274(31):21937-42.)。

0059

また、腸内細菌によって産生されるトリプトファン代謝物の一つであるトリプタミン(Tryptamine)は、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)である5−HT4受容体(5−HT4R)を介して腸内分泌を促進することが報告されている(参考文献10;Bhattarai et al., 2018, Cell Host & Microbe 23, 775-785
June 13, 2018)。

0060

腸内細菌によって産生されるトリプトファン代謝物の一つであるIAA(Indole-3-acetate)は脂肪肝疾患において、炎症反応を減弱させる役割を担っていることが報告されている(参考文献11;Cell Host Microbe. 2018 Jun 13;23(6):775-785.e5)。
また、Peptostreptococcus種によって産生されるトリプトファン代謝物の一つであるIA(3-Indoleacrylic acid)が、腸上皮バリア機能を促進し、炎症反応を緩和することが報告されている(参考文献12;Cell Host Microbe. 2017 Jul 12;22(1):25-37.e6.)。

0061

このように、腸内から吸収されるトリプトファン代謝物が様々な作用機序を有しており、トリプトファン代謝物が宿主の健康の維持に重要な役割を果たしていることが明らかになりつつある。

0062

また、トリプトファン代謝物の一つとしてインドール−3−乳酸(ILA)があり、上述したトリプトファン代謝物のインドール−3−乳酸の誘導体はインドール−3−乳酸を経由して合成されることが報告されている(参考文献1,参考文献13;Immunity. 2013 Aug 22;39(2):372-85.,参考文献14;Nature. 2017 Nov 30;551(7682):648-652.)。このため、本技術のインドール乳酸化合物は、ビフィドバクテリウム属細菌内の酵素やトリプトファン代謝系によって、上記式(1)のような範囲内で変化することも可能と考える。

0063

さらに、インドール乳酸化合物の存在量が多いと、トリプトファンと同様に、下流のトリプトファン代謝物の産生に影響を与えるものと考えられる。このため、本技術のインドール乳酸化合物を腸内に供給することで、腸内細菌によるトリプトファンの代謝物の産生も補助することができると考えられる。

0064

本技術のインドール乳酸化合物を用いれば、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の目的のために用いる、組成物やインドール乳酸化合物又はその使用を提供することができる。また、本技術のインドール乳酸化合物は、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の有効成分として使用することができる。
また、本技術のインドール乳酸化合物は、上述した作用を有する又は使用目的の各種製剤又は各種組成物等の製造のために使用することができる。
また、本技術で得られるインドール乳酸化合物は、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等に使用することが可能である。

0065

なお、本技術は、適用対象であるヒト若しくはヒト以外の動物に使用してもよく、また治療目的使用であっても、非治療目的であってもよい。
「非治療目的」とは、医療行為、すなわち、治療による人体への処置行為を含まない概念である。
「改善」とは、疾患、症状又は状態の好転;悪化の防止又は遅延;進行の逆転、防止又は遅延をいう。
「予防」とは、適用対象における疾患若しくは症状の発症の防止や遅延、又は適用対象の疾患若しくは症状の発症の危険性の低下をいう。

0066

<2.インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法>
本技術は、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法を提供することができる。
本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法(以下、「本技術の組成物の製造方法」ともいう)において、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を用いてインドール乳酸化合物を生産させることで、インドール乳酸化合物を含む組成物を得ることができる。

0067

本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法(以下、「本技術の組成物の製造方法」ともいう)により、インドール乳酸化合物を含む組成物(好適には飲食品組成物)を効率よく安全に製造することができる。
本技術の組成物の製造方法において、上述した<1.本技術のインドール乳酸化合物の製造方法>と重複する構成の説明については適宜省略する。
本技術の組成物の製造方法において、上述した培養方法及び培養工程を用いることが好適である。
本技術の組成物の製造方法にて得られる、インドール乳酸化合物を含む組成物は、例えば、医薬組成物、飲食品組成物、発酵飲食品等に使用することができるが、これらに限定されない。

0068

また、本技術の組成物の製造方法は、インドール乳酸化合物の含有量を高める製造工程を含むことが好ましい。また、本技術において製造されたインドール乳酸化合物を、組成物(飲食品組成物等)の製造工程のいずれかで添加してもよい。これにより、一般的な組成物(飲食品組成物等)のインドール乳酸化合物の含有量よりも、より高い含有量の本技術の組成物を得ることができる。
本技術の組成物中のインドール乳酸化合物を高い含有量にすることで、インドール乳酸化合物の回収率やインドール乳酸化合物の摂取量を向上させることができる。

0069

本技術の組成物の製造方法において、インドール乳酸化合物を、本技術の組成物中に、0.01〜5.0質量%になるように含有させることが好適であり、より好ましくは0.1〜3.0質量%であり、さらに好ましくは、0.2〜1質量%である。
本技術の組成物の製造方法において、本技術の組成物(g)中に、インドール乳酸化合物を、好ましくは1μg/g以上、より好ましくは2μg/g以上、さらに好ましくは5μg/g以上になるように含有させることが好適である。なお、組成物が液体の場合には、組成物(mL)中でもよい。

0070

本技術の組成物中に、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を含ませる場合、当該細菌の含有量は特に限定されず、本技術の組成物中に、好ましくは生菌として0.1〜10質量%、より好ましくは1〜10質量%になるように含有させてもよい。
また、前記組成物中、本技術のビフィドバクテリウム属細菌(生菌又は死菌)を含ませる場合、その含有量は、特に限定されないが、好ましくは1×103〜1×1012CFU/g(又はcells(個)/g)、より好ましくは1×105〜1×1011CFU/g(又はcells(個)/g)、さらに好ましくは1×107〜1×1010CFU/g(又はcells(個)/g)になるように含有させてもよい。

0071

本技術の組成物の製造方法において、本技術の組成物には、本技術の効果を損なわない範囲内で、適宜、任意成分を含有させることができる。当該任意成分として、例えば、糖類、糖アルコール類多糖類pH調整剤脂肪酸エステル類矯味矯臭剤香料賦形剤等が挙げられる。このとき、本技術の組成物の形態は、固体、液体、半固体粉体等特に限定されない。

0072

当該インドール乳酸化合物を含む組成物として、例えば、生産物自体又はこれら生産物を含む組成物等が挙げられるが、これに限定されない。
当該生産物として、例えば、菌体を含む生産物、培養後の培地から細菌を除いた培養上清物、培養後の培地から分離精製されたインドール乳酸化合物等が挙げられるが、このうち、菌体を除いた生産物が好適である。当該生産物は、本技術の効果を損なわない限り、加熱、凍結乾燥、他成分の混合等の種々の追加操作を行ってもよい。

0073

本技術の組成物の製造方法として、上述で得られたインドール乳酸化合物を含む生産物と、プレバイオティクスとを混合する工程を含んでもよい。さらに、前記混合工程において、さらに乳成分を混合することが好適である。
本技術の製造工程において、プレバイオティクス及び/又は乳成分を混合する場合、当該製造工程のいずれの工程であってもよい。例えば、前記乳成分を配合する場合、前記混合工程と同時期に、又はこの前工程若しくはこの後工程のいずれでもよい。乳成分は粉体が好適である。本技術において、粉体状の組成物を製造する場合には、生産効率の観点から、粉体同士の材料を混合して粉体状の組成物を得ることが好適であるが、本技術は、これに限定されず、これら材料を混合後に公知の乾燥を行って粉体状の組成物を得ることも可能である。

0074

また、本技術の組成物の製造方法において、飲食品組成物を製造することが好適である。本技術のビフィドバクテリウム属細菌は、摂取可能で安全性が高いので、製造段階での取扱も容易であり、また、細菌の培養技術(好適には発酵乳技術)を適用しやすく、また、要望に応じて乳成分又は植物系等のプレバイオティクスなどを適宜使用できるので、飲食品組成物の製造に有利である。また、本技術の製造方法では、インドール乳酸化合物に起因するような健康を意識した飲食品組成物を提供することも可能である。

0075

なお、本技術の発酵飲食品を製造する場合、本技術の製造方法の製造工程において、ビフィドバクテリウム属細菌を用いた発酵工程を含んでもよいし、別のラインで製造された発酵物を混合する工程を含んでもよい。

0076

また、本技術の組成物の形態(例えば、タブレットカプセル剤錠剤等)に応じて、本技術の製造方法に、当該形態を形成するための工程を含んでもよく、これにより、本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物を種々の形態にすることができる。この形成工程において、インドール乳酸化合物を含む組成物と賦形剤等とを混合して混合物を得ることができ、例えば、タブレットの場合、当該混合物を打錠すること;ドリンクの場合、当該混合物を容器充填すること;カプセル剤の場合、当該混合物をカプセルに充填すること;が挙げられる。

0077

本技術の組成物の製造方法について、第一の実施形態及び第二の実施形態として、説明するが、当該組成物の用途は限定されるものではない。

0078

本技術は、第一の実施形態の製造方法として、下記(a)工程又は下記(b)工程の少なくともいずれかを含む、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法:
(a)インドール乳酸化合物を含む生産物、及びプレバイオティクスを混合する工程;、又は、(b)インドール乳酸化合物を含む生産物、及び乳成分を混合する工程;を提供することができる。当該(a)混合工程及び(b)混合工程における生産物は、菌体が除かれた生産物が好適である。さらに、前記(a)混合工程において、さらに乳成分を混合することが好適である。

0079

本技術の第一の実施形態の製造方法によって、コストや作業性等の生産効率がよい、インドール−3−乳酸化合物を含む組成物を得ることができる。

0080

また、本技術は、第二の実施形態の製造方法として、下記工程(A)及び(B)を含む、インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法:
(A)培地で本技術のビフィドバクテリウム属細菌を培養し、生産物を得る工程;
(B)前記生産物を乾燥に供し、乾燥物を得る工程;
を提供することができる。当該乾燥は、噴霧乾燥又は凍結乾燥が好適である。
前記(A)工程において、培養後に、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を除去することが、インドール乳酸化合物の純度を高めることができるので好適である。また、本技術のビフィドバクテリウム属細菌を除去する前に、破砕等を行い、これにより菌体内のインドール乳酸化合物を生産物中に含ませることができる。菌体の破砕等は、生産物からのインドール乳酸化合物の回収率を高めることができるので好適である。

0081

本技術の第二の実施形態の製造方法によって、生産効率よく、本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物を得ることができる。

0082

前記乳成分として、特に限定されないが、例えば、牛乳水牛乳、乳、山羊乳馬乳脱脂乳脱脂濃縮乳脱脂粉乳濃縮乳全脂粉乳クリームバターバターミルク練乳及び乳タンパク質等を挙げることができ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用することができる。また、乳タンパク質として、特に限定されないが、例えば、ホエイカゼイン、及びこれらの加水分解物等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。当該加水分解は、一般的なタンパク質分解手段を用いればよい。乳成分のうち、牛乳由来の乳成分が好適である。

0084

また、本技術の組成物には、本技術の効果を損なわない限り、公知の又は将来的に見出されるプロバイオティクス効果を有する成分又はプロバイオティクス効果を補助する成分を使用することができる。ここで、一般的に、プロバイオティクスとは、腸内で有益な働きをする細菌をいう。また、一般的に、腸内で有益な働きをする細菌の選択的な栄養源となり、それらの増殖を促進する物質をプレバイオティクスという。
本技術の組成物にプレバイオティクスを含ませる場合、この細菌の増殖を促進させるために、プレバイオティクスを使用又は含有させることが好適であり、このとき、プレバイオティクス100質量部に対して、本技術のビフィドバクテリウム属細菌は1〜1,000,000質量部が好ましく、10〜10,000質量部がより好ましい。

0085

前記プレバイオティクスとして、例えば、ホエイタンパク質、カゼインタンパク質大豆タンパク質、若しくはエンドウ豆タンパク質(ピープロテイン)等の各種タンパク質若しくはその混合物、分解物ロイシンバリンイソロイシン若しくはグルタミン等のアミノ酸;ビタミンB6若しくはビタミンC等のビタミン類クレアチンクエン酸フィッシュオイル;又は、イソマルトオリゴ糖ガラクトオリゴ糖キシロオリゴ糖大豆オリゴ糖フラクトオリゴ糖ラクチュロースヒトミルクオリゴ糖(HMO)等のオリゴ糖等の成分等が挙げられ、これらからなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用してもよい。
また、本技術の組成物は、当該プレバイオティクス成分と、本技術のビフィドバクテリウム属細菌又はその生産物とを配合して製造することができる。

0086

また、本技術で使用できる「ヒトミルクオリゴ糖」としては、2’−フコシルラクトース、3−フコシルラクトース、2’,3−ジフコシルラクトース、ラクト−N−トリオースII、ラクト−N−テトラオース、ラクト−N−ネオテトラオース、ラクト−N−フコペンタオースI、ラクト−N−ネオフコペンタオース、ラクト−N−フコペンタオースII、ラクト−N−フコペンタオースIII、ラクト−N−フコペンタオースV、ラクト−N−ネオフコペンタオースV、ラクト−N−ジフコヘキサオースI、ラクト−N−ジフコヘキサオースII、6’−ガラクトシルラクトース、3’−ガラクトシルラクトース、ラクト−N−ヘキサオース及びラクト−N−ネオヘキサオース等の中性ヒトミルクオリゴ糖、3’−シアリルラクトース、6’−シアリルラクトース、3−フコシル−3’−シアリルラクトース、ジシアリル−ラクト−N−テトラオースなどの酸性ヒトミルクオリゴ糖が使用でき、これらからなる群より選択される1種又は2種以上を使用してもよい。

0087

本技術の製造方法で得られたインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物は、コーティング包装やカプセル充填等の加工を行ってもよく、また、形態として例えば、固体(例えば、菌粉末、錠剤等)、半固体(包装等)又は液体(例えば、カプセル剤等)等のいずれでもよく、使用時に水に分散しやすい形態が好ましい。

0088

<2−1.本技術の組成物の製造方法の一例(発酵飲食品組成物)>
本技術の組成物の製造方法の一例として、発酵飲食品組成物の製造方法を例に挙げ、以下に説明するが、本技術はこれに限定されるものではない。

0089

本技術のインドール乳酸化合物を含む発酵飲食品組成物(より好適には発酵乳)の製造方法は、発酵飲食品組成物に、上述したインドール乳酸化合物又は本技術の生産物を添加してもよい。
本技術の発酵飲食品組成物の製造方法は、発酵飲食品組成物の製造工程における工程のいずれかにおいて、上述したインドール乳酸化合物又は本技術の生産物を添加してもよい。
前記発酵飲食品の製造工程(製造方法)は、乳原料を含む殺菌調乳液に、発酵菌スターター)を添加してpH5.0以下になるまで発酵させることが、生産効率の観点から、好適である。当該製造工程において発酵工程の前及び/又は後で、上述したインドール乳酸化合物又は本技術の生産物が添加されてもよい。

0090

また、本技術のビフィドバクテリウム属細菌が乳発酵能を有する場合には、発酵菌(スターター)として使用してもよい。
本技術の発酵飲食品の製造方法は、乳原料を含む殺菌調乳液に、本技術のビフィドバクテリウム属細菌、及び/又は発酵菌を添加して発酵させることが、生産効率の観点から、好適である。

0091

乳原料に、本技術のビフィドバクテリウム属細菌及び/又は他の発酵菌を加えて発酵を行ってもよい。
本技術のビフィドバクテリウム属細菌、及び/又は他の発酵菌を、乳原料に接種する順序は特に問わず、全てを同時に投与してもよい。また、これらの細菌のうち任意の細菌を、複数回接種してもよい。
当該発酵菌として、本技術のビフィドバクテリウム属細菌以外のビフィドバクテリウム属細菌及び/又は乳酸菌が挙げられる。

0092

本技術の乳原料に接種する「発酵菌」は、単一の菌株であってもよく、複数の菌株の組み合わせであってもよい。本技術の乳原料に接種する発酵菌は、一般的に乳発酵に使用可能な細菌を使用すればよい。

0093

本技術における「乳酸菌のスターター」としては、飲食品の製造に用いられるものであれば特に制限されない。当該「乳酸菌のスターター」としては、例えば、ラクトバチルスブルガリカス、ラクトバチルス・デルブリュッキー・サブスピーシーズ・ブルガリクスストレプトコッカスサーモフィルス等が挙げられ、これらからなる群から選択される1種又は2種以上の乳酸菌を使用することができる。

0094

本技術のビフィドバクテリウム属細菌及びこれ以外のビフィドバクテリウム属細菌の乳原料への接種量は特に制限されず、例えば上述のとおりである。

0095

本技術に使用する乳原料(milk raw material)としては、乳由来の原料であって、発酵菌を用いて発酵させることにより、発酵飲食品を製造してもよい。
乳原料として、特に制限されず、上述した乳成分を使用することができる。
乳原料は、必要に応じて、蔗糖等の甘味料ペクチン果実フルーツジュース寒天ゼラチン、油脂、香料、着色料、安定剤、還元剤等の任意成分を配合してもよい。乳原料は、発酵前に、常法に従って殺菌、均質化、冷却等を施してもよい。
当該乳原料からなる群から選択される1種又は2種以上を使用してもよい。

0096

本技術の発酵飲食品の製造工程(製造方法)における、培養温度、培養時間等の発酵条件は、通常の乳原料からの発酵飲食品の製造と同様の条件を採用することができる。例えば、培養温度は30℃〜42℃が好ましく、36℃〜40℃がより好ましい。培養時間は、製造する発酵飲食品の種類によって適宜設定することができるが、通常、4〜18時間が好ましい。

0097

本技術の発酵飲食品の製造方法は、一般的な発酵飲食品を製造する工程(乳原料から発酵飲食品までの工程)を採用して、本技術の発酵飲食品に適宜加工することができる。例えば、発酵後の発酵飲食品をそのまま飲食品としてもよいし、均質化して液状に加工してもよい。さらに、得られた本技術の発酵飲食品に、蔗糖等の甘味料、ペクチン、果実、フルーツジュース、寒天、ゼラチン、油脂、香料、着色料、安定剤、還元剤等を添加してもよい。また、得られた本技術の発酵飲食品を、適宜、容器に充填してもよい。

0098

<2−2.本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物>
本技術のインドール乳酸化合物を含む組成物(以下、「本技術の組成物」ともいう)は、上述したインドール乳酸化合物の効能を有する。
本技術の組成物の投与方法は、特に限定されないが、例えば、経口摂取、経鼻投与舌下投与点眼投与吸入投与直腸投与、注射(静脈内投与筋肉投与、皮下投与)、経皮投与等が挙げられ、このうち、経口摂取が、簡便で安全性が高いのでより好ましい。
また、本技術の組成物の投与間隔は、特に限定されず、1日1回でもよく、複数回に分けて行ってもよいが、好ましくは1日1回が簡便かつ効能が得られるので好ましい。

0099

<医薬組成物>
本技術の組成物を医薬組成物に利用する場合、該医薬組成物は、経口投与及び非経口投与のいずれでもよいが、経口投与及び粘膜に作用する投与が好ましい。非経口投与としては、例えば、注射(血液、皮膚、筋肉等)、直腸投与、吸入等が挙げられる。経口投与の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、トローチ剤シロップ剤顆粒剤散剤軟膏等が挙げられる。

0100

また、製剤化に際しては、インドール乳酸化合物の他に、通常製剤化に用いられている賦形剤、pH調整剤、着色剤矯味剤等の成分を用いることができる。さらに、公知の又は将来的に見出される疾患の予防又は治療の効果を有する成分を、目的に応じて併用することも可能である。

0101

さらに、投与方法に応じて、適宜所望の剤形に製剤化することができる。例えば、経口投与の場合、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等の固形製剤溶液剤、シロップ剤、懸濁剤乳剤等の液剤等に製剤化することができる。また、非経口投与の場合、座剤、噴霧剤軟膏剤貼付剤注射剤等に製剤化することができる。

0102

加えて、製剤化は剤形に応じて適宜公知の方法により実施できる。製剤化に際しては、本技術の生産物のみ又は各分離・各精製画分のみを製剤化してもよく、適宜、製剤担体を配合する等して製剤化してもよい。

0103

また、前記製剤担体としては、剤形に応じて、各種有機又は無機担体を用いることができる。固形製剤の場合の担体としては、例えば、賦形剤、結合剤崩壊剤滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。

0105

結合剤としては、例えば、上記賦形剤の他、ゼラチン;ポリビニルピロリドンマクロゴール等が挙げられる。

0106

崩壊剤としては、例えば、上記賦形剤の他、クロスカルメロースナトリウムカルボキシメチルスターチナトリウム架橋ポリビニルピロリドン等の化学修飾されたデンプン又はセルロース誘導体等が挙げられる。

0109

矯味矯臭剤としては、例えば、甘味料、酸味料、香料等が挙げられる。
なお、経口投与用の液剤の場合に使用する担体としては、水等の溶剤、矯味矯臭剤等が挙げられる。

0110

<飲食品組成物>
本技術の組成物をヒト若しくは動物用の飲食品組成物に利用する場合、公知の飲食品に添加して調製することもできるし、飲食品組成物の原料中に混合して新たな飲食品を製造することもできる。

0111

前記飲食品組成物は、液状、ペースト状、固体、粉末等の形態を問わず、錠菓流動食飼料ペット用を含む)等のほか、例えば、小麦粉製品即席食品、農産加工品水産加工品畜産加工品、乳・乳製品油脂類基礎調味料複合調味料食品類冷凍食品菓子類、飲料、これら以外の市販品等が挙げられる。

0112

小麦粉製品としては、例えば、パンマカロニスパゲッティ、めん類、ケーキミックス、から揚げ粉、パン粉等が挙げられる。
即席食品類としては、例えば、即席めんカップめんレトルト調理食品調理缶詰め、電子レンジ食品即席スープシチュー即席みそ・吸い物、スープ缶詰め、フリーズドライ食品、その他の即席食品等が挙げられる。
農産加工品としては、例えば、農産缶詰め、果実缶詰め、ジャムマーマレード類、漬物煮豆類、農産乾物類、シリアル穀物加工品)等が挙げられる。
水産加工品としては、例えば、水産缶詰め、魚肉ハムソーセージ水産練り製品、水産珍味類、つくだ煮類等が挙げられる。
畜産加工品としては、例えば、畜産缶詰め・ペースト類畜肉ハム・ソーセージ等が挙げられる。
乳・乳製品としては、例えば、発酵乳(ヨーグルト類)、加工乳乳飲料乳酸菌飲料類チーズアイスクリーム類調製粉乳類、クリーム、その他の乳製品等が挙げられる。
油脂類としては、例えば、バター、マーガリン類植物油等が挙げられる。
基礎調味料としては、例えば、しょうゆ、みそ、ソース類トマト加工調味料、みりん類、食酢類等が挙げられ、前記複合調味料・食品類として、調理ミックス、カレーの素類、たれ類、ドレッシング類、めんつゆ類、スパイス類、その他の複合調味料等が挙げられる。
冷凍食品としては、例えば、素材冷凍食品、半調理冷凍食品、調理済冷凍食品等が挙げられる。
菓子類としては、例えば、キャラメルキャンディーチューインガムチョコレートクッキービスケット、ケーキ、パイスナッククラッカー和菓子米菓子、豆菓子デザート菓子、その他の菓子等が挙げられる。

0113

飲料類としては、例えば、炭酸飲料天然果汁果汁飲料果汁入り清涼飲料果肉飲料、果粒入り果実飲料野菜系飲料、豆乳豆乳飲料コーヒー飲料、お茶飲料粉末飲料濃縮飲料スポーツ飲料、栄養飲料、アルコール飲料、その他の嗜好飲料等が挙げられる。
上記以外の市販食品としては、例えば、ベビーフード、ふりかけ、お漬けのり等が挙げられる。

0114

また、本技術で定義される飲食品は、保健用途が表示された飲食品として提供・販売されることも可能である。
「表示」行為には、需要者に対して前記用途を知らしめるための全ての行為が含まれ、前記用途を想起類推させうるような表現であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物媒体等の如何に拘わらず、全て本技術の「表示」行為に該当する。

0115

また、「表示」は、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により行われることが好ましい。具体的には、飲食品に係る商品又は商品の包装に前記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引き渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為等が挙げられる。

0116

一方、表示内容としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示等)であることが好ましい。また、そのような表示内容を、包装、容器、カタログパンフレットPOP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等へ付することが好ましい。

0117

また、「表示」には、健康食品、機能性食品経腸栄養食品、特別用途食品、保健機能食品特定保健用食品栄養機能食品、機能性表示食品、医薬用部外品等としての表示も挙げられる。この中でも特に、消費者によって認可される表示、例えば、特定保健用食品制度、これに類似する制度にて認可される表示等が挙げられる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク減少表示等を挙げることができる。より具体的には、健康増進施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)及びこれに類する表示が典型的な例である。

0118

<3.インドール乳酸化合物製造用の組成物>
本技術において、上述した本技術のビフィドバクテリウム属細菌は、インドール乳酸化合物を製造するためにインドール乳酸化合物製造用として使用することができる。
また、本技術のビフィドバクテリウム属細菌は、有効成分としてインドール乳酸化合物を製造するための組成物に含有させることができ、またインドール乳酸化合物製造用の組成物を製造するために使用することもできる。当該インドール乳酸化合物製造用の組成物を、インドール乳酸化合物製造用製剤にしてもよい。

0119

本技術の製造用組成物を経口摂取することで、体内でインドール乳酸化合物を効率よく良好に製造することができる。また、本技術の製造用組成物を生産工程で用いることで、インドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物を効率よく良好に製造することができる。

0120

本技術のインドール乳酸化合物製造用の組成物及びその使用において、上述した<1.本技術のインドール乳酸化合物の製造方法>及び<2.インドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法>と重複する構成の説明については適宜省略する。

0121

前記インドール乳酸化合物製造用の組成物には、本技術のビフィドバクテリウム属細菌のみを含んでいてもよいし、ビフィドバクテリウム属細菌以外のビフィドバクテリウム属細菌又は乳酸菌等の細菌を本技術の生産性を損なわない範囲内で含んでいてもよい。
前記インドール乳酸化合物製造用の組成物には、本技術の効果を損なわない範囲内で、本技術のビフィドバクテリウム属細菌以外に任意成分を含んでもよい。当該任意成分として、例えば、後述する培地組成、プロバイオティクス、プレバイオティクス、pH調整剤、生育促進物質、炭素源(例えばグルコース等)、窒素源(例えばペプトン等)、ミネラル、還元剤(例えばL−システイン等)、乳原料(例えば、脱脂粉乳、粉乳等)等が挙げられる。当該任意成分からなる群から選択される1種又は2種以上を用いることが可能であり、また当該任意成分は本技術の製造工程において適宜使用してもよい。

0122

このように、本技術は、飲食品、飲食品組成物(好適には発酵乳)、機能性食品、医薬組成物等の幅広い分野に使用することができる。

0123

また、本技術は、以下の構成を採用することも可能である。
〔1〕
インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を用いる、インドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。当該細菌を培養し、インドール乳酸化合物を製造することを含むことが好適である。
〔2〕
前記ビフィドバクテリウム属細菌を培地で培養する、前記〔1〕記載のインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。当該培地は、乳原料及びオリゴ糖からなる群から選択される1種以上を含む培地が好適である。これにより、得られる生産物中にインドール乳酸化合物を製造することができる。
〔3〕
前記ビフィドバクテリウム属細菌が、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、及びビフィドバクテリウム・ビフィダムからなる群から選択される1種又は2種以上を含むものである、前記〔1〕又は〔2〕記載のインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。
〔4〕
前記ビフィドバクテリウム属細菌が、
(1)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムATCC15707、
(2)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCC BAA-999;BB536)
(3)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスATCC 15697、
(4)ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63);
(5)ビフィドバクテリウム・ブレーベATCC 15700、
(6)ビフィドバクテリウム・ブレーベFERM BP-11175、
(7)ビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V);
(8)ビフィドバクテリウム・ビフィダムATCC 29521、
(9)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02429、
(10)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02431、
(11)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02433、
(12)ビフィドバクテリウム・ビフィダムNITE BP-02432、
からなる群から選択される1種又は2種以上である、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか記載のインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。

0124

〔5〕
前記インドール乳酸化合物が、インドール−3−ピルビン酸(IPYA)、インドール−3−乳酸(ILA)、3−インドールアクリル酸(IA)、インドール−3−プロピオン酸(IPA)、インドール−3−アセタールデハイド(IAAId)、インドール−3−酢酸(IAA)、及びインドール−3−アルデヒド(IAId)から選択される1種又は2種以上の化合物である、前記〔1〕〜〔4〕のいずれか記載のインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。
前記インドール乳酸化合物のなかで、インドール−3−乳酸(ILA)が90質量%以上(より好適には95質量%以上)であってもよい。
〔6〕
さらに生産物から菌体を除去してインドール乳酸化合物を回収することを含む、前記〔1〕〜〔5〕のいずれか記載のインドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物の製造方法。
〔7〕
前記〔1〕〜〔6〕の製造方法により得られた、インドール乳酸化合物又はインドール乳酸化合物を含む組成物。
当該インドール乳酸化合物又は当該インドール乳酸化合物を含む組成物は、抗炎症等のために用いることができ、この製剤を製造するために用いてもよい。
当該インドール乳酸化合物又は当該インドール乳酸化合物を含む組成物は、医薬用、飲食品用として用いてもよい。より好適には、前記組成物が、飲食品組成物、発酵飲食品組成物、及び発酵乳からなる群から選択される1種又は2種以上の組成物である。
〔8〕
インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌を含む、インドール乳酸化合物の製造用の組成物。
〔9〕
インドール乳酸化合物の製造のための、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌の使用。
〔10〕
インドール乳酸化合物の製造用の組成物を製造するための、インドール乳酸化合物の生産能力を有するビフィドバクテリウム属細菌又はその使用。
〔11〕
前記〔8〕〜〔10〕のビフィドバクテリウム属細菌は、前記〔3〕又は〔4〕のいずれかの細菌が好適である。

0125

以下、実施例等に基づいて本技術をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例等は、本技術の代表的な実施例等の一例を示したものであり、これにより本技術の範囲が狭く解釈されることはない。

0126

〔各菌株の培養方法及び培養上清物の調製方法
各菌株はMRS broth(Becton Dickinson社製)に0.05% L−cysteine(関東化学社製)を添加した培地で、炭酸ガスを通気しながら嫌気的にAnaero Pack(三菱ガス化学社製)を用いて、16時間、37℃で継代・培養したものを用いた。

0127

使用した各菌株は、表1及び3に示す。

0128

培養後の各菌体懸濁液を遠心(5000g,30分,4℃)し、上清を捨てた後、菌体をPBS−C(0.05% L−cysteineを添加したPBS)に再懸濁した。最終的にOD600の値を0.2になるようにPBS−Cで希釈して揃えた菌液を調製した。
この調製菌液を、新たなMRS培地液に対して0.3%になるように接種した。各菌株を接種したMRS培地液を、それぞれ、24時間、37℃で嫌気的に培養した後、菌液を遠心(5000g,5min)して上清菌液を回収した。得られた上清菌液をフィルタ(φ=0.22μm、ミリポア社製)処理をした後、ILAの測定をするまで、−20℃で保存した

0129

〔インドール−3−乳酸(ILA)の測定方法〕
凍結保存した上清菌液を溶解し、上清菌液1容量に対して9倍容量メタノールを添加し混合した後4℃で10分間静置する。その後、メタノール添加上清菌液を遠心(15000g,10min)して、上清を回収し、蒸発させて残渣を得た。当該残渣を水1mLに溶解してフィルタ(φ=0.22μm、ミリポア社製)処理をした後、LC−MSによる分析を行った。
ILAの分析は、Accucore RP−MSカラム100x2.1mm(Thermo社製)をHPLCステムProminence(島津製作所社製)に繋げ、TSQ Quantum Discovery MAX(Thermo社製)によるタンデム質量分析で行った。
移動相は、0.2%ギ酸和光純薬社製)を含む超純水(和光純薬社製)とアセトニトリル(和光純薬社製)を用いて、アセトニトリルの含有量をサンプル注入後15分間に2%から50%まで上昇させた。
サンプル注入後12分前後に溶出するILAを、前駆イオンm/z=206.02、プロダクロイオンm/z=130.07、衝突エネルギー19eVで測定し、インドール−3−乳酸の同定及び定量を行った。なお、インドール−3−乳酸の誘導体の同定及び測定については、各標品を用いてLC/MSにて行うことが可能である。

0130

各菌株のインドール−3−乳酸の生産量について、表1及び2に示す。表1については、菌株ごとに、上述の培養を3回行って3サンプルを作製し、3サンプルの各インドール−3−乳酸値を測定し、これらのインドール−3−乳酸の平均値を、「平均ILA」として示す。表3については、上述の培養を1回行い、そのサンプルのインドール−3−乳酸の測定値を示す。
表1に示すこれらのビフィドバクテリウム属細菌について、No.1〜10を乳幼児の常在ビフィドバクテリウム属細菌グループ、No.11〜14を成人の常在ビフィドバクテリウム属細菌グループ、No.15〜19を非ヒトの常在ビフィドバクテリウム属細菌グループに分類し、各グループにおけるインドール−3−乳酸の生産量を平均値化し、この平均値を表2に示した。

0131

0132

0133

0134

成人の常在腸内細菌叢でよく知られている、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(Bifidobacterium adolescentis)、ビフィドバクテリウム・アングラタム(Bifidobacterium angulatum)、ビフィドバクテリウム・デンティウム(Bifidobacterium dentium)、ビフィドバクテリウム・シュードカテナラタム(Bifidobacterium pseudocatenulatum);及び、非ヒトの腸内細菌叢でよく知られている、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・ラクティス(Bifidobacterium animalis subsp. lactis)、ビフィドバクテリウム・アニマリス・サブスピーシーズ・アニマリス(Bifidobacterium animalis subsp. animalis)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・グロボスム(Bifidobacterium pseudolongum subsp. globosum)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム・サブスピーシーズ・シュードロンガム(Bifidobacterium pseudolongum subsp. pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・サーモフィラム(Bifidobacterium thermophilum)は、インドール−3−乳酸をほとんど生産することができなかった。

0135

一方で、本発明者は、ビフィドバクテリウム属細菌のなかでも、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガム、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティス、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダムが、インドール−3−乳酸を非常に良好に生産できる新たな知見を得ることができた。これら細菌は、少なくとも2μg/mL以上のインドール−3−乳酸の生産能を有していた。さらに、これらビフィドバクテリウム属細菌は、乳幼児の常在腸内細菌叢に多くみられることから、経口摂取が可能でありかつ安全性が高い。また、インドール−3−乳酸及びその誘導体は、トリプトファン代謝系においてインドール−3−乳酸〜インドール−3−乳酸の誘導体に適宜変化していることが知られている。このため、これら細菌を利用すれば、安全性の高く、かつ高い生産能力でインドール乳酸化合物を製造することができると考える。

0136

本技術のインドール乳酸化合物又は当該インドール乳酸化合物を含む組成物は、上述のような効能を発揮することができる。そして、本技術のインドール乳酸化合物又は当該インドール乳酸化合物を含む組成物は、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等を目的として、医薬用、飲食品用等といった幅広い用途にも使用でき、また、症状又は疾病に対する予防、改善又は治療等に有効に使用することができる。

0137

[処方例1]
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)及びビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌をMRS液体培地3mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養し、培養液を濃縮し、凍結乾燥を行い、インドール乳酸化合物及び前記細菌を含む凍結乾燥粉末(菌末)を得る。当該菌末と、牛乳又は脱脂乳とを均一に混合しつつ、(A)乳タンパク質3.5質量%以上、(B)乳脂肪3.5質量%以下、(C)炭水化物5.0質量%以上、及び(D)カルシウム0.15質量%以上を含むように調整する。これにより、前記細菌の菌体を含むインドール乳酸化合物の高含有組成物(乳飲料)(インドール乳酸化合物500μg/200mL)を得る。菌の摂取量1×108〜1×1010CFU/kg体重/日で、1〜4週間以上、毎日200mLを摂取する。
これは、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等を目的とする飲食品として摂取可能であり、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の効果が期待できる。

0138

[処方例2]
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)及びビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)の群から選ばれる1種又は2種以上の細菌をMRS液体培地3mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養し、培養液を濃縮し、凍結乾燥を行い、インドール乳酸化合物及び前記細菌を含む凍結乾燥粉末(菌末)を得る。
当該菌末と発酵乳とを混合してインドール乳酸化合物及び前記細菌を含む発酵乳を得る。又は、当該菌末及び一般的なスターターを、還元脱脂粉乳の濃度3%(W/W)以上の乳原料を含む培地200mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養する。
これにより、前記細菌の菌体を含むインドール乳酸化合物の高含有組成物(発酵乳)(インドール乳酸化合物500μg/200mL)を得る。菌の摂取量1×108〜1×1010CFU/kg体重/日で、1〜4週間以上、毎日200mLを摂取する。
これは、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等を目的とする飲食品として摂取可能であり、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の効果が期待できる。

0139

[処方例3]
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)及びビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)からなる群から選ばれる1種又は2種以上の細菌をMRS液体培地200mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養し、培養液を濃縮し、凍結乾燥を行い、該細菌の顆粒状(菌末)を、前記細菌の菌体を含むインドール乳酸化合物の高含有組成物(顆粒状又はタブレット状)(インドール乳酸化合物250μg/g)として得る。当該顆粒状の菌末を、1週間毎日摂取する。
これは、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等を目的とする飲食品として摂取可能であり、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の効果が期待できる。

0140

[処方例4]
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)及びビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)の群から選ばれる1種又は2種以上の細菌をMRS液体培地300mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養し、培養液から細菌をろ過にて除去し、上清を用いてインドール乳酸化合物の高含有組成物(清涼飲料)(インドール乳酸化合物500μg/200mL)を得る。当該清涼飲料を1週間以上毎日摂取する。
これは、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等を目的とする飲食品として摂取可能であり、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の効果が期待できる。

実施例

0141

[処方例5]
ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・ロンガムNITEBP-02621(ATCCBAA-999;BB536)、ビフィドバクテリウム・ロンガム・サブスピーシーズ・インファンティスNITE BP-02623(LMG 23728;M-63)及びビフィドバクテリウム・ブレーベNITE BP-02622(M-16V)の群から選ばれる1種又は2種以上の細菌をMRS液体培地300mLに添加し、37℃で16時間嫌気培養し、培養液から細菌をろ過にて除去し、さらに乾燥させて、細菌を除去したインドール乳酸化合物の高含有組成物(粉末)(インドール乳酸化合物500μg/200mL)を得る。
当該菌体除去のインドール乳酸化合物高含有組成物の粉末を、そのまま又は他の飲食品に添加して、1週間以上毎日摂取する。
これは、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等目的の飲食品として摂取可能であり、上述した芳香族炭化水素受容体(AhR)に対するリガンド作用及び炎症抑制作用等の効果が期待できる。

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