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課題
解決手段
概要
背景
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O2−)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)〕等がある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
しかし、前記活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されている。しかし、スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の一つであると考えられている。
これらの中でも、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けることから、スーパーオキサイドが生成し易い器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解、変性、又は架橋したり、また油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成して、皮膚のしわを形成したり、皮膚の弾力性低下等の老化、炎症、肌の色素沈着を引き起こすという問題がある(非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善できるものと考えられる。
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質等を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、アブラナ科ブラシカ属植物の抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物の抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウの抽出物(特許文献3参照)、スイオウの抽出物(特許文献4参照)、などに有効性が確認されている。
また、炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種皮膚疾患等の原因及び発症機構は、多種多様である。その原因として、主にヒアルロニダーゼの活性の亢進によるものが知られている。
ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の加水分解酵素である。体組織への親和性を保つヒアルロン酸塩は、含水系の中では紫外線、酸素等によって分解され、分子量の低下に伴って保水効果も減少する。また、ヒアルロン酸は、生体内において細胞間組織として存在し、血管透過性にも関与している。さらに、ヒアルロニダーゼは、肥満細胞中に存在するが、その活性化により起こる脱顆粒により遊離され、炎症系ケミカルメディエーターとして作用する。したがって、ヒアルロニダーゼの活性を阻害することで、保湿の強化及び炎症の予防・軽減が期待される。
このようなヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有するものとして、例えば、オスベッキア属植物の抽出物(特許文献5参照)、藤茶抽出物(特許文献6参照)等が知られている。
また、皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般にメラニンは、色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものとされている。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善するためには、メラニンの産生に関与するチロシナーゼの活性を阻害すること、又はメラニンの産生を抑制することが考えられる。
従来、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等の予防、治療又は改善には、ハイドロキノン等の化学合成品を有効成分とする美白剤を外用する処置が行われてきた。しかしながら、ハイドロキノン等の化学合成品は、皮膚刺激、アレルギー等の副作用のおそれがある。
そこで、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれており、チロシナーゼ活性阻害作用を有するものとしては、例えば、藤茶抽出物(特許文献7参照)、ヤナギタデ抽出物(特許文献8参照)等が知られている。また、メラニン産生抑制作用を有するものとしては、例えば、トウゴマ根部からの抽出物(特許文献9参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(特許文献10参照)等が知られている。
また、皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線(UV−A、UV−B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等のある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると共に架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、様々な要因が挙げられているが、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等の細胞外マトリックス成分の減少及び変性が関与している。したがって、コラーゲンやヒアルロン酸等の産生を促進することにより、皮膚の老化を防止及び改善することができると考えられる。
そこで、コラーゲン産生促進作用を有する物質を安全性の点で有利な天然物から取得しようという試みがなされている。コラーゲン産生促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツ葉抽出物(特許文献11参照)、クスノハガシワ抽出物(特許文献12参照)などが確認されている。
また、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors)の主成分であるアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒に由来するフィラグリンが角質層内で分解されて産生される。このフィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する表皮ケラチノサイトでプロフィラグリンとして発現する。その後、直ちにリン酸化し、ケラトヒアリン顆粒に蓄積され、脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンへと分解され、角質層に移行して、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部構築に関与することが報告されている(非特許文献2参照)。
近年、このフィラグリンが皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、及び乾燥などの条件によってフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが報告されている(非特許文献3参照)。
したがって、表皮ケラチノサイトにおいてプロフィラグリンmRNAの発現促進を通じて、フィラグリンの合成を促進することによって角質層内のアミノ酸量を増大させ、角質層の水分環境を本質的に改善できることが期待される。
天然物由来のフィラグリン合成促進剤として、例えば、カンゾウ抽出物(特許文献13参照)、天然植物中に含まれるフラバノン配糖体として知られるリクイリチン(特許文献14参照)、又、天然物由来のプロフィラグリン及びフィラグリン蛋白産生促進剤の少なくともいずれかとして、Citrus属に属する植物エキス又は酵母エキス(特許文献15参照)などが提案されている。
表皮は、角化細胞の分裂とその後の分化により、常に新しい角質細胞を作り出すことで、外界からの種々の刺激から皮膚を守る防御機能を有する。特に、角化細胞の分化過程において、有棘層から顆粒層にかけてインボルクリン等のタンパク質が発現し、酵素トランスグルタミナーゼ−1の作用によって架橋され、角化細胞を包み込む不溶性の細胞膜様構造体であるコーニファイドエンベロープ(以下「CE」と略記する)を形成し、角質細胞の細胞骨格及び構造の安定性に寄与する。
しかし、様々な要因で表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生量が減少すると、CE形成が不完全な状態となり、角化が正常に行われなくなる。その結果、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚症状を呈するようになると考えられる。
このようなことから、角化細胞の表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生を高め、CEの形成を促進して角化を正常化することにより、乾燥や紫外線等の外部刺激に伴う皮膚バリア機能の低下を抑制し、肌の乾燥や肌荒れなど、様々な皮膚症状を予防・改善することができると考えられる。
天然物由来のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤として、ノニ抽出物(特許文献16参照)、ローヤルゼリー抽出物(特許文献17参照)などが提案されている。
また、皮膚細胞では、水チャンネルとして知られるアクアポリンが、細胞膜上に発現して、細胞間隙の水をはじめとする低分子物質を細胞内へ取り込む役割を担っていることが知られている。ヒトでは、13種類のアクアポリン(AQP0〜AQP12)の存在が知られている。表皮細胞においては、主としてアクアポリン3(Aquaporin 3;AQP3)が存在しており、水に加えて、水分保持作用に関与するグリセロールや尿素等の低分子化合物をも取り込む役割を担っていると考えられている。
しかしながら、AQP3は加齢とともに減少し、このことが水分保持機能の低下の一因であることが示唆されているため、AQP3の発現を促進することにより、加齢による水分保持機能やバリア機能等を制御することが可能であると考えられる(非特許文献4参照)。AQP3発現促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツの葉部からの抽出物(特許文献18参照)等が知られている。
従来は、皮膚のバリア機能は角層のみが担っていると考えられていたが、表皮顆粒層に存在するタイトジャンクション(以下「TJ」と略記する。)の構成タンパク質を遺伝子レベルで欠損させると皮膚のバリア機能が崩壊することから、近年、TJも皮膚のバリア機能に重要な役割を担うと考えられている(非特許文献5参照)。TJは、隣接する細胞同士を密着させるだけでなく、細胞と細胞の隙間をシールすることで物質の透過を制御する結合装置である。TJを構成しているのは、細胞膜タンパク質のクローディンやオクルディンであり、これらのタンパク質はTJストランドの骨格を構成し、TJのバリア機能を制御すると考えられている(非特許文献6参照)。以上のことから、クローディンやオクルディンの発現が何らかの原因で減少した場合、TJの構造的な破壊が起こり、物質の透過バリアとして機能しなくなることによって、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の原因となると予想される。
したがって、表皮においてクローディンやオクルディンの産生を促進することにより表皮角化細胞のTJ形成を促すことで、皮膚のバリア機能及び水分保持機能を高め、前記皮膚症状を予防又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、TJ形成促進作用を介して皮膚バリア機能を向上させるものとして、天然物由来のオウレン抽出物(特許文献19参照)、トウヒ抽出物(特許文献20参照)などが提案されている。
また近年、皮膚の老化に伴う変化を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs;Matrix metalloproteinases)の関与が指摘されている。このMMPsの中でも、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)は、皮膚の真皮細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンを分解する酵素として知られているが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、コラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成、弾力性の低下等の大きな要因となると考えられている。したがって、MMP−1の活性を阻害することは、皮膚の老化症状を予防・改善する上で重要である。
このようなMMP−1阻害作用を有するものとしては、例えば、ヒマラヤザクラからの抽出物(特許文献21参照)、ショウガ科ジンギバーカッサムナー又はクワ科フィカスネリフォリアからの抽出物(特許文献22参照)等が知られている。
一方、ヨモギ属植物を麹菌で発酵させた発酵液(特許文献23参照)や、タチジャコウソウを麹菌で発酵させた発酵液(特許文献24参照)は知られているものの、これらの植物発酵液が、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用などの作用を有することは知られていない。
概要
優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用からなる群から選択される少なくともいずれかの作用を有し、かつ安全性の高い、抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤、並びに、優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有し、かつ安全性の高い化粧料を提供すること。ヨモギ属植物発酵液、タチジャコウソウ発酵液、コウスイハッカ発酵液、及びヤグルマギク発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有する抗老化剤、ヨモギ属植物発酵液、タチジャコウソウ発酵液、コウスイハッカ発酵液、及びヤグルマギク発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有する抗酸化剤、ヨモギ属植物発酵液、及びコウスイハッカ発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有する抗炎症剤、ヨモギ属植物発酵液、コウスイハッカ発酵液、及びヤグルマギク発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有する美白剤、並びに、化粧料である。なし
目的
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
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請求項1
ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、タチジャコウソウの麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤。
請求項2
ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、タチジャコウソウの麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤。
請求項3
ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、及びコウスイハッカの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗炎症剤。
請求項4
ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする美白剤。
請求項5
請求項1に記載の抗老化剤、請求項2の記載の抗酸化剤、請求項3に記載の抗炎症剤、及び請求項4に記載の美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする化粧料。
技術分野
0001
本発明は、植物の麹菌による発酵液を有効成分として含有する抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤、並びに、前記抗炎症剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤の少なくともいずれかを含有する化粧料に関する。
背景技術
0002
近年、生体成分を酸化させる要因として、活性酸素が注目されており、その生体への悪影響が問題となっている。活性酸素は、生体細胞内のエネルギー代謝過程で生じるものであり、スーパーオキサイド〔即ち、酸素分子の一電子還元で生じるスーパーオキシドアニオン(・O2−)、過酸化水素(H2O2)、一重項酸素(1O2)、ヒドロキシラジカル(・OH)〕等がある。このような活性酸素は食細胞の殺菌機構にとって必須であり、ウイルスや癌細胞の除去に重要な働きを果たしている。
0003
しかし、前記活性酸素の過剰な生成は、生体内の膜及び組織を構成する生体内分子を攻撃し、各種疾患を誘発する。生体内で生産され、他の活性酸素の出発物質ともなっているスーパーオキサイドは、通常、細胞内に含まれているスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD)の触媒作用により逐次消去されている。しかし、スーパーオキサイドの産生が過剰な場合、あるいはSODの作用が低下している場合には、スーパーオキサイドの消去が不十分になってスーパーオキサイド濃度が高くなる。このことが、関節リウマチ、ベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、シミ、ソバカス、しわ、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性、皮膚の老化などを起こす原因の一つであると考えられている。
0004
これらの中でも、皮膚は、紫外線等の環境因子の刺激を直接受けることから、スーパーオキサイドが生成し易い器官であるため、スーパーオキサイド濃度の上昇により、例えば、コラーゲン等の生体組織を分解、変性、又は架橋したり、また油脂類を酸化して細胞に障害を与える過酸化脂質を生成して、皮膚のしわを形成したり、皮膚の弾力性低下等の老化、炎症、肌の色素沈着を引き起こすという問題がある(非特許文献1参照)。したがって、活性酸素や生体内ラジカルの生成を阻害・抑制することにより、しわ形成や弾力低下等の皮膚の老化や、関節リウマチやベーチェット病等の組織障害、心筋梗塞、脳卒中、白内障、糖尿病、動脈硬化、肩凝り、冷え性等の活性酸素が関与する各種障害を予防、治療又は改善できるものと考えられる。
0005
そこで、活性酸素消去物質、ラジカル消去物質、過酸化水素消去物質等を安全性の点で有利な天然物から得る試みがなされており、アブラナ科ブラシカ属植物の抽出物(特許文献1参照)、ベンケイソウ科リュウキュウベンケイ属植物の抽出物(特許文献2参照)、タマコチョウの抽出物(特許文献3参照)、スイオウの抽出物(特許文献4参照)、などに有効性が確認されている。
0006
また、炎症性疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、その他肌荒れを伴う各種皮膚疾患等の原因及び発症機構は、多種多様である。その原因として、主にヒアルロニダーゼの活性の亢進によるものが知られている。
0007
ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸の加水分解酵素である。体組織への親和性を保つヒアルロン酸塩は、含水系の中では紫外線、酸素等によって分解され、分子量の低下に伴って保水効果も減少する。また、ヒアルロン酸は、生体内において細胞間組織として存在し、血管透過性にも関与している。さらに、ヒアルロニダーゼは、肥満細胞中に存在するが、その活性化により起こる脱顆粒により遊離され、炎症系ケミカルメディエーターとして作用する。したがって、ヒアルロニダーゼの活性を阻害することで、保湿の強化及び炎症の予防・軽減が期待される。
このようなヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有するものとして、例えば、オスベッキア属植物の抽出物(特許文献5参照)、藤茶抽出物(特許文献6参照)等が知られている。
0008
また、皮膚においてメラニンは、紫外線から生体を保護する役目も果たしているが、過剰生成や不均一な蓄積は、皮膚の黒化やシミの原因となる。一般にメラニンは、色素細胞の中で生合成される酵素チロシナーゼの働きによって、チロシンからドーパ、ドーパからドーパキノンに変化し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経て形成されるものとされている。したがって、皮膚の色黒(皮膚色素沈着症)、シミ、ソバカス等を予防、治療又は改善するためには、メラニンの産生に関与するチロシナーゼの活性を阻害すること、又はメラニンの産生を抑制することが考えられる。
0009
従来、皮膚色素沈着症、シミ、ソバカス等の予防、治療又は改善には、ハイドロキノン等の化学合成品を有効成分とする美白剤を外用する処置が行われてきた。しかしながら、ハイドロキノン等の化学合成品は、皮膚刺激、アレルギー等の副作用のおそれがある。
そこで、安全性の高い天然原料を有効成分とする美白剤の開発が望まれており、チロシナーゼ活性阻害作用を有するものとしては、例えば、藤茶抽出物(特許文献7参照)、ヤナギタデ抽出物(特許文献8参照)等が知られている。また、メラニン産生抑制作用を有するものとしては、例えば、トウゴマ根部からの抽出物(特許文献9参照)、サウスウレア(Saussurea)属に属する植物からの抽出物(特許文献10参照)等が知られている。
0010
また、皮膚の表皮及び真皮は、表皮細胞、線維芽細胞及びこれらの細胞の外にあって皮膚構造を支持するコラーゲン等の細胞外マトリックスにより構成されている。若い皮膚においては、これら皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
ところが、紫外線(UV−A、UV−B)の照射、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等のある種の外的因子の影響があったり、加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンの産生量が減少すると共に架橋による弾力低下を起こす。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるため、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。
このように皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、様々な要因が挙げられているが、コラーゲン、ヒアルロン酸、エラスチン等の細胞外マトリックス成分の減少及び変性が関与している。したがって、コラーゲンやヒアルロン酸等の産生を促進することにより、皮膚の老化を防止及び改善することができると考えられる。
0011
そこで、コラーゲン産生促進作用を有する物質を安全性の点で有利な天然物から取得しようという試みがなされている。コラーゲン産生促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツ葉抽出物(特許文献11参照)、クスノハガシワ抽出物(特許文献12参照)などが確認されている。
0012
また、天然保湿因子(Natural Moisturizing Factors)の主成分であるアミノ酸は、ケラトヒアリン顆粒に由来するフィラグリンが角質層内で分解されて産生される。このフィラグリンは、角質層直下の顆粒層に存在する表皮ケラチノサイトでプロフィラグリンとして発現する。その後、直ちにリン酸化し、ケラトヒアリン顆粒に蓄積され、脱リン酸、加水分解を経てフィラグリンへと分解され、角質層に移行して、ケラチンフィラメントの凝集効率を高め、角質細胞の内部構築に関与することが報告されている(非特許文献2参照)。
近年、このフィラグリンが皮膚の水分保持に非常に重要かつ必要不可欠であること、及び乾燥などの条件によってフィラグリンの合成力が低下し、角質層におけるアミノ酸量が低下することが報告されている(非特許文献3参照)。
したがって、表皮ケラチノサイトにおいてプロフィラグリンmRNAの発現促進を通じて、フィラグリンの合成を促進することによって角質層内のアミノ酸量を増大させ、角質層の水分環境を本質的に改善できることが期待される。
0013
天然物由来のフィラグリン合成促進剤として、例えば、カンゾウ抽出物(特許文献13参照)、天然植物中に含まれるフラバノン配糖体として知られるリクイリチン(特許文献14参照)、又、天然物由来のプロフィラグリン及びフィラグリン蛋白産生促進剤の少なくともいずれかとして、Citrus属に属する植物エキス又は酵母エキス(特許文献15参照)などが提案されている。
0014
表皮は、角化細胞の分裂とその後の分化により、常に新しい角質細胞を作り出すことで、外界からの種々の刺激から皮膚を守る防御機能を有する。特に、角化細胞の分化過程において、有棘層から顆粒層にかけてインボルクリン等のタンパク質が発現し、酵素トランスグルタミナーゼ−1の作用によって架橋され、角化細胞を包み込む不溶性の細胞膜様構造体であるコーニファイドエンベロープ(以下「CE」と略記する)を形成し、角質細胞の細胞骨格及び構造の安定性に寄与する。
しかし、様々な要因で表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生量が減少すると、CE形成が不完全な状態となり、角化が正常に行われなくなる。その結果、角質バリア機能及び皮膚の保湿機能が低下し、肌荒れや乾燥肌等の皮膚症状を呈するようになると考えられる。
このようなことから、角化細胞の表皮におけるトランスグルタミナーゼ−1の産生を高め、CEの形成を促進して角化を正常化することにより、乾燥や紫外線等の外部刺激に伴う皮膚バリア機能の低下を抑制し、肌の乾燥や肌荒れなど、様々な皮膚症状を予防・改善することができると考えられる。
0015
天然物由来のトランスグルタミナーゼ−1産生促進剤として、ノニ抽出物(特許文献16参照)、ローヤルゼリー抽出物(特許文献17参照)などが提案されている。
0016
また、皮膚細胞では、水チャンネルとして知られるアクアポリンが、細胞膜上に発現して、細胞間隙の水をはじめとする低分子物質を細胞内へ取り込む役割を担っていることが知られている。ヒトでは、13種類のアクアポリン(AQP0〜AQP12)の存在が知られている。表皮細胞においては、主としてアクアポリン3(Aquaporin 3;AQP3)が存在しており、水に加えて、水分保持作用に関与するグリセロールや尿素等の低分子化合物をも取り込む役割を担っていると考えられている。
0017
しかしながら、AQP3は加齢とともに減少し、このことが水分保持機能の低下の一因であることが示唆されているため、AQP3の発現を促進することにより、加齢による水分保持機能やバリア機能等を制御することが可能であると考えられる(非特許文献4参照)。AQP3発現促進作用を有するものとして、例えば、スターフルーツの葉部からの抽出物(特許文献18参照)等が知られている。
0018
従来は、皮膚のバリア機能は角層のみが担っていると考えられていたが、表皮顆粒層に存在するタイトジャンクション(以下「TJ」と略記する。)の構成タンパク質を遺伝子レベルで欠損させると皮膚のバリア機能が崩壊することから、近年、TJも皮膚のバリア機能に重要な役割を担うと考えられている(非特許文献5参照)。TJは、隣接する細胞同士を密着させるだけでなく、細胞と細胞の隙間をシールすることで物質の透過を制御する結合装置である。TJを構成しているのは、細胞膜タンパク質のクローディンやオクルディンであり、これらのタンパク質はTJストランドの骨格を構成し、TJのバリア機能を制御すると考えられている(非特許文献6参照)。以上のことから、クローディンやオクルディンの発現が何らかの原因で減少した場合、TJの構造的な破壊が起こり、物質の透過バリアとして機能しなくなることによって、乾燥肌、荒れ肌、アトピー性皮膚炎や各種感染症などの皮膚症状の原因となると予想される。
0019
したがって、表皮においてクローディンやオクルディンの産生を促進することにより表皮角化細胞のTJ形成を促すことで、皮膚のバリア機能及び水分保持機能を高め、前記皮膚症状を予防又は改善することができると考えられる。このような考えに基づき、TJ形成促進作用を介して皮膚バリア機能を向上させるものとして、天然物由来のオウレン抽出物(特許文献19参照)、トウヒ抽出物(特許文献20参照)などが提案されている。
0020
また近年、皮膚の老化に伴う変化を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs;Matrix metalloproteinases)の関与が指摘されている。このMMPsの中でも、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)は、皮膚の真皮細胞外マトリックスの主要構成成分であるコラーゲンを分解する酵素として知られているが、その発現は紫外線の照射により大きく増加し、コラーゲンの減少・変性の一因となり、皮膚のシワの形成、弾力性の低下等の大きな要因となると考えられている。したがって、MMP−1の活性を阻害することは、皮膚の老化症状を予防・改善する上で重要である。
0021
このようなMMP−1阻害作用を有するものとしては、例えば、ヒマラヤザクラからの抽出物(特許文献21参照)、ショウガ科ジンギバーカッサムナー又はクワ科フィカスネリフォリアからの抽出物(特許文献22参照)等が知られている。
0022
一方、ヨモギ属植物を麹菌で発酵させた発酵液(特許文献23参照)や、タチジャコウソウを麹菌で発酵させた発酵液(特許文献24参照)は知られているものの、これらの植物発酵液が、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、美白作用などの作用を有することは知られていない。
0023
特開2003−81848号公報
特開2005−29483号公報
特開2006−321730号公報
特開2007−8902号公報
特開2003−55242号公報
特開2003−12532号公報
特開2002−370962号公報
特開2004−83488号公報
特開2001−213757号公報
特開2002−201122号公報
特開2002−226323号公報
特開2003−146837号公報
特開2002−363054号公報
特開2003−146886号公報
特開2001−261568号公報
特開2010−090093号公報
特開2009−184955号公報
特開2009−191039号公報
特開2007−176830号公報
特開2007−176835号公報
特開2003−176232号公報
特開2003−176230号公報
特開2011−140453号公報
特開2011−130689号公報
先行技術
0024
「フレグランスジャーナル」臨時増刊No.14、p156、1995年
フレグランスジャーナル臨時増刊,vol.17,pp.14−19(2000)
Arch.Dermatol.Res.,vol.288,pp.442−446(1996)
「フレグランスジャーナル」,2006年,Vol.34,No.10,p.19−23
J.Cell Biol.,vol.156,pp.1099−1111(2002)
日本香粧品科学会誌,vol.31,pp.296−301(2007)
発明が解決しようとする課題
0025
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、及び優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有し、かつ安全性の高い化粧料を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0026
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1>ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、タチジャコウソウの麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗老化剤である。
<2> ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、タチジャコウソウの麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗酸化剤である。
<3> ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、及びコウスイハッカの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<4> ヨモギ属植物の麹菌による発酵液、コウスイハッカの麹菌による発酵液、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有することを特徴とする美白剤である。
<5> 前記<1>に記載の抗老化剤、前記<2>の記載の抗酸化剤、前記<3>に記載の抗炎症剤、及び前記<4>に記載の美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする化粧料である。
発明の効果
0027
本発明によると、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、優れた抗老化作用を有し、かつ安全性の高い抗老化剤、優れた抗酸化作用を有し、かつ安全性の高い抗酸化剤、優れた抗炎症作用を有し、かつ安全性の高い抗炎症剤、及び優れた美白作用を有し、かつ安全性の高い美白剤を提供することができる。
また、本発明は、優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有し、かつ安全性の高い化粧料を提供することができる。
図面の簡単な説明
0028
図1Aは、製造例1のヤマヨモギ発酵液1の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図1Bは、製造例2のヤマヨモギ発酵液2の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図1Cは、比較製造例1のヤマヨモギ抽出液の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図2Aは、製造例3のカワラヨモギ発酵液1の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図2Bは、製造例4のカワラヨモギ発酵液2の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図2Cは、比較製造例2のカワラヨモギ抽出液の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図3Aは、製造例5のタチジャコウソウ発酵液1の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図3Bは、製造例6のタチジャコウソウ発酵液2の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図3Cは、比較製造例3のタチジャコウソウ抽出液の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図4Aは、製造例7のコウスイハッカ発酵液1の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図4Bは、製造例8のコウスイハッカ発酵液2の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図4Cは、比較製造例4のコウスイハッカ抽出液の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図5Aは、製造例9のヤグルマギク発酵液1の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図5Bは、製造例10のヤグルマギク発酵液2の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
図5Cは、比較製造例5のヤグルマギク抽出液の接触角の測定時の液滴の一例を示す写真である。
0029
(抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤)
<抗老化剤>
本発明の抗老化剤は、ヨモギ属植物の麹菌による発酵液(以下、「ヨモギ属植物発酵液」と称することがある)、タチジャコウソウの麹菌による発酵液(以下、「タチジャコウソウ発酵液」と称することがある)、コウスイハッカの麹菌による発酵液(以下、「コウスイハッカ発酵液」と称することがある)、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液(以下、「ヤグルマギク発酵液」と称することがある)の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
0030
前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液は、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(matrix metalloproteinase−1;MMP−1)活性阻害作用、ヒアルロン酸合成酵素3(hyaluronan synthase 3;HAS3)mRNA発現促進作用、I型コラーゲン産生促進作用、クローディン−1 mRNA発現促進作用、クローディン−4 mRNA発現促進作用、オクルディンmRNA発現促進作用、トランスグルタミナーゼ−1(transglutaminase−1;TGM−1)mRNA発現促進作用、アクアポリン3(Aquaporin 3;AQP3)mRNA発現促進作用、及びフィラグリンmRNA発現促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有しており、これらの作用を利用して、抗老化剤の有効成分として使用することができる。
0031
したがって、前記抗老化剤は、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸合成酵素3mRNA発現促進作用、I型コラーゲン産生促進作用、クローディン−1 mRNA発現促進作用、クローディン−4 mRNA発現促進作用、オクルディンmRNA発現促進作用、トランスグルタミナーゼ−1 mRNA発現促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、及びフィラグリンmRNA発現促進作用からなる群から選択される少なくとも1種の作用を有するものである。
0032
前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液が有する、MMP−1活性阻害作用、ヒアルロン酸合成酵素3mRNA発現促進作用、I型コラーゲン産生促進作用、クローディン−1 mRNA発現促進作用、クローディン−4 mRNA発現促進作用、オクルディンmRNA発現促進作用、トランスグルタミナーゼ−1 mRNA発現促進作用、アクアポリン3 mRNA発現促進作用、及びフィラグリンmRNA発現促進作用の少なくともいずれかを発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液がこのような優れた作用を有し、抗老化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
0033
<抗酸化剤>
本発明の抗酸化剤は、ヨモギ属植物の麹菌による発酵液(ヨモギ属植物発酵液)、タチジャコウソウの麹菌による発酵液(タチジャコウソウ発酵液)、コウスイハッカの麹菌による発酵液(コウスイハッカ発酵液)、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液(ヤグルマギク発酵液)の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
0034
前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液は、ジフェニル−p−ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル消去作用を有しており、この作用を利用して、抗酸化剤の有効成分として使用することができる。
したがって、前記抗酸化剤は、DPPHラジカル消去作用を有するものである。
0035
前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液が有する、DPPHラジカル消去作用を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ヨモギ属植物発酵液、前記タチジャコウソウ発酵液、前記コウスイハッカ発酵液、及前記ヤグルマギク発酵液がこのような優れた作用を有し、抗酸化剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
0036
<抗炎症剤>
本発明の抗炎症剤は、ヨモギ属植物の麹菌による発酵液(ヨモギ属植物発酵液)、及びコウスイハッカの麹菌による発酵液(コウスイハッカ発酵液)の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
0037
前記ヨモギ属植物発酵液及び前記コウスイハッカ発酵液は、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有しており、この作用を利用して、抗炎症剤の有効成分として使用することができる。
したがって、前記抗炎症剤は、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を有するものである。
0038
前記ヨモギ属植物発酵液及び前記コウスイハッカ発酵液が有するヒアルロニダーゼ活性阻害作用を発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ヨモギ属植物発酵液及び前記コウスイハッカ発酵液がこのような優れた作用を有し、抗炎症剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
0039
<美白剤>
本発明の美白剤は、ヨモギ属植物の麹菌による発酵液(ヨモギ属植物発酵液)、コウスイハッカの麹菌による発酵液(コウスイハッカ発酵液)、及びヤグルマギクの麹菌による発酵液(ヤグルマギク発酵液)の少なくともいずれかの発酵液を有効成分として含有し、更に必要に応じて、その他の成分を含有してなる。
0040
前記ヨモギ属植物発酵液、コウスイハッカ発酵液、及び前記ヤグルマギク発酵液は、チロシナーゼ活性阻害作用及びメラニン産生抑制作用の少なくとも1種の作用を有しており、この作用を利用して、美白剤の有効成分として使用することができる。
したがって、前記美白剤は、チロシナーゼ活性阻害作用及びメラニン産生抑制作用の少なくとも1種の作用を有するものである。
0041
前記ヨモギ属植物発酵液、コウスイハッカ発酵液、及び前記ヤグルマギク発酵液が有するチロシナーゼ活性阻害作用及びメラニン産生抑制作用の少なくともいずれかを発揮する物質の詳細については不明であるが、前記ヨモギ属植物発酵液及び前記ヤグルマギク発酵液がこのような優れた作用を有し、美白剤として有用であることは、従来は全く知られておらず、本発明者らによる新たな知見である。
0042
<<ヨモギ属植物発酵液>>
前記ヨモギ属植物発酵液は、ヨモギ属に属する植物(以下、「ヨモギ属植物」と称することがある)の麹菌による発酵液である。
0043
−ヨモギ属植物−
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物は、キク科(Compositae)ヨモギ属(Artemisia)に属する多年生草本であり、古代より食品や薬用の原料として利用されている。北海道、本州、四国、九州等の日本国内で広く自生又は栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
0044
前記ヨモギ属植物の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、Artemisia montana(Nakai) Pamp.、Artemisia capillaris Thunbergii、Artemisia princeps Pampan.、Artemisia japonica Thunb.、Artemisia absinthium L.、Artemisia lactiflora Wall.、Artemisia maritima L.、Artemisia scoparia Waldst.et kit.などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記ヨモギ属植物の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
0045
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物の使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ヨモギ属植物の使用部位としては、地上部が好ましい。
0046
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物の大きさとしては、前記麹菌の培養が可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
0047
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物の状態としては、前記麹菌の培養が可能な状態であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態などが挙げられる。これらの中でも、前記麹菌が作用しやすい点で、採取したそのままの状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態が好ましく、採取したそのままの状態、粉砕した状態がより好ましい。
0049
前記ヨモギ属植物を前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
0050
前記ヨモギ属植物を前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
0051
前記ヨモギ属植物を前記抽出物の状態にする方法としては、特に制限はなく、植物の抽出に一般に用いられる方法を、目的に応じて適宜選択することができる。
0052
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物は、前記麹菌の接種前に滅菌されることが好ましい。前記ヨモギ属植物を滅菌する手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
0053
−麹菌−
前記ヨモギ属植物を発酵させる前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)等の黄麹菌;アスペルギルス ルチュエンシス(Aspergillus luchuensis)等の黒麹菌;アスペルギルスカワウチ(Aspergillus kawauchii)等の白麹菌;これらの変異株などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記麹菌としては、アスペルギルス オリゼー(Aspergillus oryzae)が、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で好ましい。
前記麹菌の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。また、前記麹菌として、米などを原料とした種麹を使用してもよく、後述するヨモギ属植物種麹を使用してもよく、培地(寒天培地、液体培地など)で培養した麹菌を使用してもよい。これらの中でも、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で、前記ヨモギ属植物種麹を用いることが好ましい。
0054
前記発酵原料として使用する前記ヨモギ属植物への、前記麹菌の接種量としては、前記ヨモギ属植物を発酵することができる量である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発酵原料が液体の状態である場合には、1×103個/mL〜1×108個/mLが好ましく、前記発酵原料が固体の状態である場合には、1×103個/g〜1×108個/gが好ましい。
0055
前記ヨモギ属植物に前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヨモギ属植物100質量部に対して、500質量部〜5,000質量部添加することが好ましく、1,000質量部〜4,000質量部添加することがより好ましく、1,500質量部〜3,000質量部添加することが特に好ましい。
0056
前記発酵(培養)の温度としては、前記麹菌による発酵ができる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記発酵の温度が、20℃未満であると、前記ヨモギ属植物を十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。なお、50℃を超えると、前記麹菌が増殖できないことがある。
0057
前記発酵(培養)の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10時間〜40時間が好ましく、20時間〜30時間がより好ましい。前記発酵の時間が、10時間未満であると、前記ヨモギ属植物を十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0058
前記発酵(培養)を停止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱する方法などが挙げられる。
前記発酵を停止するための加熱温度としては、前記麹菌が生育できない温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃〜130℃が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、130℃を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
前記発酵を停止するための加熱時間としては、前記麹菌が生育できない状態にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間以上が好ましく、10分間〜20分間がより好ましい。前記加熱時間が、5分間未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、20分間を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0059
なお、前記発酵を停止した後の前記ヨモギ属植物発酵液は、冷却されることが好ましい。冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温、冷蔵庫などに静置する方法などが挙げられる。
0060
前記ヨモギ属植物の前記麹菌による発酵の回数としては、前記発酵を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。
0061
前記発酵を複数回行う場合、前記麹菌は、初回のみ接種してもよく、数回のみ接種してもよく、全ての回で接種してもよいが、初回のみに接種することが好ましい。
前記発酵を複数回行う場合、発酵温度及び発酵時間は、それぞれ異なっていてもよく、同じであってもよい。
0062
−−ヨモギ属植物種麹−−
前記ヨモギ属植物種麹は、前記ヨモギ属植物を種麹原料として使用し、該種麹原料に麹菌を接種して、該ヨモギ属植物に十分な量の胞子を着生させたものである。これを前記発酵において使用することで、肌なじみに優れたヨモギ属植物発酵液をより効率よく容易に得ることができる点で有利である。
0063
前記種麹原料として使用する前記ヨモギ属植物は、前記−ヨモギ属植物−において記載したものと同様のものを使用することができ、前記ヨモギ属植物の使用部位、大きさ、状態などの態様についても同様である。
0064
前記ヨモギ属植物種麹の作製において使用する前記麹菌としては、前記−麹菌−において記載したものと同様のものを使用することができる。
0065
前記種麹原料として使用する前記ヨモギ属植物への、前記麹菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヨモギ属植物100質量部に対して、滅菌水に懸濁した麹菌(1×103個/mL〜1×108個/mL)を5質量部〜100質量部接種することが好ましく、10質量部〜50質量部接種することがより好ましく、20質量部〜30質量部接種することが特に好ましい。前記ヨモギ属植物100質量部に対する前記麹菌の接種量が、5質量部未満であると、前記ヨモギ属植物に十分な量の胞子を着生できないことがあり、100質量部を超えると、水分過多で異常繁殖することがある。
0066
前記種麹原料として使用する前記ヨモギ属植物に前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヨモギ属植物100質量部に対して、10質量部〜250質量部添加することが好ましく、20質量部〜200質量部添加することがより好ましく、30質量部〜150質量部添加することが特に好ましい。前記ヨモギ属植物100質量部に対する前記水の添加量が、10質量部未満であると、前記ヨモギ属植物に十分な量の胞子を着生できないことがある。
0067
前記培養の温度としては、前記麹菌が生育できる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記培養の温度が、20℃未満であると、前記ヨモギ属植物に十分な量の胞子を着生できないことがある。なお、50℃を超えると、前記麹菌が増殖できないことがある。
0068
前記培養の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80時間〜210時間が好ましく、100時間〜190時間がより好ましく、120時間〜170時間が特に好ましい。前記培養の時間が、80時間未満であると、前記ヨモギ属植物に十分な量の胞子を着生できないことがあり、210時間を超えると、胞子の発芽率が落ちることがある。
0069
前記ヨモギ属植物発酵液は、前記麹菌の菌体を含有したものであってもよく、前記麹菌の菌体を除去したものであってもよいが、前記麹菌の菌体を除去したものであることが好ましい。
0070
前記ヨモギ属植物発酵液の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ヨモギ属植物発酵液そのものであってもよく、前記ヨモギ属植物発酵液の精製物、前記ヨモギ属植物発酵液の濃縮物、前記ヨモギ属植物発酵液の希釈物などであってもよい。また、前記ヨモギ属植物発酵液は、該ヨモギ属植物発酵液の乾燥物を再度、水や親水性溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
0071
前記ヨモギ属植物発酵液の精製物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ヨモギ属植物発酵液中の固形分(例えば、前記ヨモギ属植物の植物体、麹菌の菌体、オリなど)が除去された物などが挙げられる。
前記除去の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ過などが挙げられる。
前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
0072
前記ヨモギ属植物発酵液の希釈物及び前記ヨモギ属植物発酵液の濃縮物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨモギ属植物発酵液が所望の濃度に調製された物などが挙げられる。
前記希釈の手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記濃縮の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧濃縮などが挙げられる。
0073
前記ヨモギ属植物発酵液の乾燥物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヨモギ属植物発酵液が乾燥された物などが挙げられる。
前記乾燥の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥などが挙げられる。
0074
前記ヨモギ属植物発酵液は、ヨモギ属植物の麹菌による発酵液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、肌なじみがよい点で、接触角が81°以下であるヨモギ属植物発酵液が好ましく、接触角が78°以下であるヨモギ属植物発酵液がより好ましい。
0075
本明細書において、接触角とは、動的接触角・表面張力測定装置(FTA1000 Falcon、First Ten Angstroms社製)を用いて、前記装置のサンプルステージに測定試料を3μL滴下し、温度22℃、相対湿度20%の条件下で、液滴法にて測定を行い、1,000msの接触角θ(°)をθ/2法で求めた値を表す。
前記接触角は、「濡れ」を表す指標として使用されており、「静止液体の自由表面が固体壁に接する場所で液面と固体面とのなす角(液の内部にある角をとる)をいう」(理化学辞典第4版、株式会社岩波書店参照)と定義されている。前記接触角は、液体分子間の凝集力と固体壁間の付着力の大小関係によってきまり、液体が固体を濡らす(付着力が大きい)場合には鋭角、濡らさないときには鈍角である。したがって、接触角が小さい程、濡れやすい、即ち、肌なじみがよいことを示すため、前記ヨモギ属植物発酵液の接触角の下限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
0076
<<タチジャコウソウ発酵液>>
前記タチジャコウソウ発酵液は、タチジャコウソウの麹菌による発酵液である。
0077
−タチジャコウソウ−
前記発酵原料として使用するタチジャコウソウ(Thymus vulgaris Linne)は、シソ科(Labiatae)イブキジャコウソウ(Thymus)属に属する多年生木本であり、ハーブの一種であり、古代より食用や薬用の原料として利用されている。別名として、コモンタイムなどがある。原産地は地中海沿岸であるが、日本国内においても自生又は栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
前記タチジャコウソウの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
0078
前記発酵原料として使用する前記タチジャコウソウの使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、樹皮、幹、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記タチジャコウソウの使用部位としては、地上部が好ましい。
0079
前記発酵原料として使用する前記タチジャコウソウの大きさとしては、前記麹菌の培養が可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
0080
前記発酵原料として使用する前記タチジャコウソウの状態としては、前記麹菌の培養が可能な状態であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態などが挙げられる。これらの中でも、前記麹菌が作用しやすい点で、採取したそのままの状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態が好ましく、採取したそのままの状態、粉砕した状態がより好ましい。
0081
前記タチジャコウソウを乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
0082
前記タチジャコウソウを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
0083
前記タチジャコウソウを前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
0084
前記タチジャコウソウを前記抽出物の状態にする方法としては、特に制限はなく、植物の抽出に一般に用いられる方法を、目的に応じて適宜選択することができる。
0085
前記発酵原料として使用する前記タチジャコウソウは、前記麹菌の接種前に滅菌されることが好ましい。前記タチジャコウソウを滅菌する手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
0086
−麹菌−
前記タチジャコウソウを発酵させる前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記<<ヨモギ属植物発酵液>>で記載したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記麹菌としては、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)が、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で好ましい。
前記麹菌の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。また、前記麹菌として、米などを原料とした種麹を使用してもよく、後述するタチジャコウソウ種麹を使用してもよく、培地(寒天培地、液体培地など)で培養した麹菌を使用してもよい。これらの中でも、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で、前記タチジャコウソウ種麹を用いることが好ましい。
0087
前記発酵原料として使用する前記タチジャコウソウへの、前記麹菌の接種量としては、前記タチジャコウソウを発酵することができる量である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発酵原料が液体の状態である場合には、1×103個/mL〜1×108個/mLが好ましく、前記発酵原料が固体の状態である場合には、1×103個/g〜1×108個/gが好ましい。
0088
前記タチジャコウソウに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記タチジャコウソウ100質量部に対して、500質量部〜5,000質量部添加することが好ましく、1,000質量部〜4,000質量部添加することがより好ましく、1,500質量部〜3,000質量部添加することが特に好ましい。
0089
前記発酵(培養)の温度としては、前記麹菌による発酵ができる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記発酵の温度が、20℃未満であると、前記タチジャコウソウを十分に発酵させることができず、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0090
前記発酵(培養)の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10時間〜40時間が好ましく、20時間〜30時間がより好ましい。前記発酵の時間が、10時間未満であると、前記タチジャコウソウを十分に発酵させることができず、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0091
前記発酵(培養)を停止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱する方法などが挙げられる。
前記発酵を停止するための加熱温度としては、前記麹菌が生育できない温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃〜130℃が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、130℃を超えると、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
前記発酵を停止するための加熱時間としては、前記麹菌が生育できない状態にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間以上が好ましく、10分間〜20分間がより好ましい。前記加熱時間が、5分間未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、20分間を超えると、抗老化作用及び抗酸化作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0092
なお、前記発酵を停止した後の前記タチジャコウソウ発酵液は、冷却されることが好ましい。冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温、冷蔵庫などに静置する方法などが挙げられる。
0093
前記タチジャコウソウの前記麹菌による発酵の回数としては、前記発酵を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。
0094
前記発酵を複数回行う場合、前記麹菌は、初回のみ接種してもよく、数回のみ接種してもよく、全ての回で接種してもよいが、初回のみに接種することが好ましい。
前記発酵を複数回行う場合、発酵温度及び発酵時間は、それぞれ異なっていてもよく、同じであってもよい。
0095
−−タチジャコウソウ種麹−−
前記タチジャコウソウ種麹は、前記タチジャコウソウを種麹原料として使用し、該種麹原料に麹菌を接種して、該タチジャコウソウに十分な量の胞子を着生させたものである。これを前記発酵において使用することで、肌なじみに優れたタチジャコウソウ発酵液をより効率よく容易に得ることができる点で有利である。
0096
前記種麹原料として使用する前記タチジャコウソウは、前記−タチジャコウソウ−において記載したものと同様のものを使用することができ、前記タチジャコウソウの使用部位、大きさ、状態などの態様についても同様である。
0097
前記タチジャコウソウ種麹の作製において使用する前記麹菌としては、前記−麹菌−において記載したものと同様のものを使用することができる。
0098
前記種麹原料として使用する前記タチジャコウソウへの、前記麹菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記タチジャコウソウ100質量部に対して、滅菌水に懸濁した麹菌(1×103個/mL〜1×108個/mL)を5質量部〜100質量部接種することが好ましく、10質量部〜50質量部接種することがより好ましく、20質量部〜30質量部接種することが特に好ましい。前記タチジャコウソウ100質量部に対する前記麹菌の接種量が、5質量部未満であると、前記タチジャコウソウに十分な量の胞子を着生できないことがあり、100質量部を超えると、水分過多で異常繁殖することがある。
0099
前記種麹原料として使用する前記タチジャコウソウに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記タチジャコウソウ100質量部に対して10質量部〜250質量部添加することが好ましく、20質量部〜200質量部添加することがより好ましく、30質量部〜150質量部添加することが特に好ましい。前記タチジャコウソウ100質量部に対する前記水の添加量が、10質量部未満であると、前記タチジャコウソウに十分な量の胞子を着生できないことがある。
0100
前記培養の温度としては、前記麹菌が生育できる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記培養の温度が、20℃未満であると、前記タチジャコウソウに十分な量の胞子を着生できないことがある。なお、50℃を超えると、前記麹菌が増殖できないことがある。
0101
前記培養の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80時間〜210時間が好ましく、100時間〜190時間がより好ましく、120時間〜170時間が特に好ましい。前記培養の時間が、80時間未満であると、前記タチジャコウソウに十分な量の胞子を着生できないことがあり、210時間を超えると、胞子の発芽率が落ちることがある。
0102
前記タチジャコウソウ発酵液は、前記麹菌の菌体を含有したものであってもよく、前記麹菌の菌体を除去したものであってもよいが、前記麹菌の菌体を除去したものであることが好ましい。
0103
前記タチジャコウソウ発酵液の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記タチジャコウソウ発酵液そのものであってもよく、前記タチジャコウソウ発酵液の精製物、前記タチジャコウソウ発酵液の濃縮物、前記タチジャコウソウ発酵液の希釈物などであってもよい。また、前記タチジャコウソウ発酵液は、該タチジャコウソウ発酵液の乾燥物を再度、水や親水性溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
0104
前記タチジャコウソウ発酵液の精製物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記タチジャコウソウ発酵液中の固形分(例えば、前記タチジャコウソウの植物体、麹菌の菌体、オリなど)が除去された物などが挙げられる。
前記除去の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ過などが挙げられる。
前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
0105
前記タチジャコウソウ発酵液の希釈物及び前記タチジャコウソウ発酵液の濃縮物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タチジャコウソウ発酵液が所望の濃度に調製された物などが挙げられる。
前記希釈の手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記濃縮の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧濃縮などが挙げられる。
0106
前記タチジャコウソウ発酵液の乾燥物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、タチジャコウソウ発酵液が乾燥された物などが挙げられる。
前記乾燥の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥などが挙げられる。
0107
前記タチジャコウソウ発酵液は、タチジャコウソウの麹菌による発酵液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、肌なじみがよい点で、接触角が87°以下であるタチジャコウソウ発酵液が好ましく、接触角が81°以下であるタチジャコウソウ発酵液がより好ましい。
0108
<<コウスイハッカ発酵液>>
前記コウスイハッカ発酵液は、コウスイハッカの麹菌による発酵液である。
0109
−コウスイハッカ−
前記発酵原料として使用するコウスイハッカ(Melissa officinalis Linne)は、シソ科(Labiatae)コウスイハッカ(Melissa)属に属する多年生草本である。ハーブの一種であり、古代より食用や薬用の原料として利用されている。別名として、レモンバーム、セイヨウヤマハッカなどがある。原産地は、南ヨーロッパであるが、日本国内においても自生又は栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
前記コウスイハッカの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
0110
前記発酵原料として使用する前記コウスイハッカの使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記コウスイハッカの使用部位としては、地上部が好ましい。
0111
前記発酵原料として使用する前記コウスイハッカの大きさとしては、前記麹菌の培養が可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
0112
前記発酵原料として使用する前記コウスイハッカの状態としては、前記麹菌の培養が可能な状態であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態などが挙げられる。これらの中でも、前記麹菌が作用しやすい点で、採取したそのままの状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態が好ましく、採取したそのままの状態、粉砕した状態がより好ましい。
0113
前記コウスイハッカを乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
0114
前記コウスイハッカを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
0115
前記コウスイハッカを前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
0116
前記コウスイハッカを前記抽出物の状態にする方法としては、特に制限はなく、植物の抽出に一般に用いられる方法を、目的に応じて適宜選択することができる。
0117
前記発酵原料として使用する前記コウスイハッカは、前記麹菌の接種前に滅菌されることが好ましい。前記コウスイハッカを滅菌する手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
0118
−麹菌−
前記コウスイハッカを発酵させる前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記<<ヨモギ属植物発酵液>>で記載したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記麹菌としては、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)が、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で好ましい。
前記麹菌の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。また、前記麹菌として、米などを原料とした種麹を使用してもよく、後述するコウスイハッカ種麹を使用してもよく、培地(寒天培地、液体培地など)で培養した麹菌を使用してもよい。これらの中でも、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で、前記コウスイハッカ種麹を用いることが好ましい。
0119
前記発酵原料として使用する前記コウスイハッカへの、前記麹菌の接種量としては、前記コウスイハッカを発酵することができる量である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発酵原料が液体の状態である場合には、1×103個/mL〜1×108個/mLが好ましく、前記発酵原料が固体の状態である場合には、1×103個/g〜1×108個/gが好ましい。
0120
前記コウスイハッカに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コウスイハッカ100質量部に対して、500質量部〜5,000質量部添加することが好ましく、1,000質量部〜4,000質量部添加することがより好ましく、1,500質量部〜3,000質量部添加することが特に好ましい。
0121
前記発酵(培養)の温度としては、前記麹菌による発酵ができる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記発酵の温度が、20℃未満であると、前記コウスイハッカを十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0122
前記発酵(培養)の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10時間〜40時間が好ましく、20時間〜30時間がより好ましい。前記発酵の時間が、10時間未満であると、前記コウスイハッカを十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0123
前記発酵(培養)を停止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱する方法などが挙げられる。
前記発酵を停止するための加熱温度としては、前記麹菌が生育できない温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃〜130℃が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、130℃を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
前記発酵を停止するための加熱時間としては、前記麹菌が生育できない状態にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間以上が好ましく、10分間〜20分間がより好ましい。前記加熱時間が、5分間未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、20分間を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0124
なお、前記発酵を停止した後の前記コウスイハッカ発酵液は、冷却されることが好ましい。冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温、冷蔵庫などに静置する方法などが挙げられる。
0125
前記コウスイハッカの前記麹菌による発酵の回数としては、前記発酵を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。
0126
前記発酵を複数回行う場合、前記麹菌は、初回のみ接種してもよく、数回のみ接種してもよく、全ての回で接種してもよいが、初回のみに接種することが好ましい。
前記発酵を複数回行う場合、発酵温度及び発酵時間は、それぞれ異なっていてもよく、同じであってもよい。
0127
−−コウスイハッカ種麹−−
前記コウスイハッカ種麹は、前記コウスイハッカを種麹原料として使用し、該種麹原料に麹菌を接種して、該コウスイハッカに十分な量の胞子を着生させたものである。これを前記発酵において使用することで、肌なじみに優れたコウスイハッカ発酵液をより効率よく容易に得ることができる点で有利である。
0128
前記種麹原料として使用する前記コウスイハッカは、前記−コウスイハッカ−において記載したものと同様のものを使用することができ、前記コウスイハッカの使用部位、大きさ、状態などの態様についても同様である。
0129
前記コウスイハッカ種麹の作製において使用する前記麹菌としては、前記−麹菌−において記載したものと同様のものを使用することができる。
0130
前記種麹原料として使用する前記コウスイハッカへの、前記麹菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コウスイハッカ100質量部に対して、滅菌水に懸濁した麹菌(1×103個/mL〜1×108個/mL)を5質量部〜100質量部接種することが好ましく、10質量部〜50質量部接種することがより好ましく、20質量部〜30質量部接種することが特に好ましい。前記コウスイハッカ100質量部に対する前記麹菌の接種量が、5質量部未満であると、前記コウスイハッカに十分な量の胞子を着生できないことがあり、100質量部を超えると、水分過多で異常繁殖することがある。
0131
前記種麹原料として使用する前記コウスイハッカに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記コウスイハッカ100質量部に対して、10質量部〜250質量部添加することが好ましく、20質量部〜200質量部添加することがより好ましく、30質量部〜150質量部添加することが特に好ましい。前記コウスイハッカ100質量部に対する前記水の添加量が、10質量部未満であると、前記コウスイハッカに十分な量の胞子を着生できないことがある。
0132
前記培養の温度としては、前記麹菌が生育できる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記培養の温度が、20℃未満であると、前記コウスイハッカに十分な量の胞子を着生できないことがある。なお、50℃を超えると、前記麹菌が増殖できないことがある。
0133
前記培養の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80時間〜210時間が好ましく、100時間〜190時間がより好ましく、120時間〜170時間が特に好ましい。前記培養の時間が、80時間未満であると、前記コウスイハッカに十分な量の胞子を着生できないことがあり、210時間を超えると、胞子の発芽率が落ちることがある。
0134
前記コウスイハッカ発酵液は、前記麹菌の菌体を含有したものであってもよく、前記麹菌の菌体を除去したものであってもよいが、前記麹菌の菌体を除去したものであることが好ましい。
0135
前記コウスイハッカ発酵液の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コウスイハッカ発酵液そのものであってもよく、前記コウスイハッカ発酵液の精製物、前記コウスイハッカ発酵液の濃縮物、前記コウスイハッカ発酵液の希釈物などであってもよい。また、前記コウスイハッカ発酵液は、該コウスイハッカ発酵液の乾燥物を再度、水や親水性溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
0136
前記コウスイハッカ発酵液の精製物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記コウスイハッカ発酵液中の固形分(例えば、前記コウスイハッカの植物体、麹菌の菌体、オリなど)が除去された物などが挙げられる。
前記除去の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ過などが挙げられる。
前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
0137
前記コウスイハッカ発酵液の希釈物及び前記コウスイハッカ発酵液の濃縮物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コウスイハッカ発酵液が所望の濃度に調製された物などが挙げられる。
前記希釈の手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記濃縮の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧濃縮などが挙げられる。
0138
前記コウスイハッカ発酵液の乾燥物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コウスイハッカ発酵液が乾燥された物などが挙げられる。
前記乾燥の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥などが挙げられる。
0139
前記コウスイハッカ発酵液は、コウスイハッカの麹菌による発酵液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、肌なじみがよい点で、接触角が85°以下であるコウスイハッカ発酵液が好ましく、接触角が79°以下であるコウスイハッカ発酵液がより好ましい。
0140
<<ヤグルマギク発酵液>>
前記ヤグルマギク発酵液は、ヤグルマギクの麹菌による発酵液である。
0141
−ヤグルマギク−
前記発酵原料として使用するヤグルマギク(Centaurea cyanus Linne)は、キク科(Compositae)ヤグルマギク属(Centaurea)に属する一年生草本であり、古代より食用や薬用の原料として利用されている。別名として、ヤグルマソウ、ケンタウレア、セントーレアなどがある。原産地はヨーロッパであるが、日本国内においても自生又は栽培されており、これらの地域から容易に入手可能である。
前記ヤグルマギクの入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。
0142
前記発酵原料として使用する前記ヤグルマギクの使用部位としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、花、蕾、果実、果皮、種子、種皮、茎、葉、枝、枝葉等の地上部;根、根茎等の地下部などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記ヤグルマギクの使用部位としては、地上部が好ましい。
0143
前記発酵原料として使用する前記ヤグルマギクの大きさとしては、前記麹菌の培養が可能な大きさであれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの大きさ、切断した所望の大きさ、微粉(パウダー)化された大きさなどが挙げられる。
0144
前記発酵原料として使用する前記ヤグルマギクの状態としては、前記麹菌の培養が可能な状態であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、採取したそのままの状態、乾燥した状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態などが挙げられる。これらの中でも、前記麹菌が作用しやすい点で、採取したそのままの状態、粉砕した状態、搾汁の状態、抽出物の状態が好ましく、採取したそのままの状態、粉砕した状態がより好ましい。
0145
前記ヤグルマギクを乾燥した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天日で乾燥する方法、通常使用される乾燥機を用いて乾燥する方法などが挙げられる。
0146
前記ヤグルマギクを前記粉砕した状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ミキサー、シュガーミル、パワーミル、ジェットミル、衝撃式粉砕機等により粉砕する方法などが挙げられる。
0147
前記ヤグルマギクを前記搾汁の状態にする方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、圧搾などが挙げられる。
0148
前記ヤグルマギクを前記抽出物の状態にする方法としては、特に制限はなく、植物の抽出に一般に用いられる方法を、目的に応じて適宜選択することができる。
0149
前記発酵原料として使用する前記ヤグルマギクは、前記麹菌の接種前に滅菌されることが好ましい。前記ヤグルマギクを滅菌する手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。
0150
−麹菌−
前記ヤグルマギクを発酵させる前記麹菌としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記<<ヨモギ属植物発酵液>>で記載したものなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記麹菌としては、アスペルギルスオリゼー(Aspergillus oryzae)が、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で好ましい。
前記麹菌の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、自然界から採取してもよいし、市販品を用いてもよい。また、前記麹菌として、米などを原料とした種麹を使用してもよく、後述するヤグルマギク種麹を使用してもよく、培地(寒天培地、液体培地など)で培養した麹菌を使用してもよい。これらの中でも、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用に優れる点で、前記ヤグルマギク種麹を用いることが好ましい。
0151
前記発酵原料として使用する前記ヤグルマギクへの、前記麹菌の接種量としては、前記ヤグルマギクを発酵することができる量である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記発酵原料が液体の状態である場合には、1×103個/mL〜1×108個/mLが好ましく、前記発酵原料が固体の状態である場合には、1×103個/g〜1×108個/gが好ましい。
0152
前記ヤグルマギクに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヤグルマギク100質量部に対して、500質量部〜5,000質量部添加することが好ましく、1,000質量部〜4,000質量部添加することがより好ましく、1,500質量部〜3,000質量部添加することが特に好ましい。
0153
前記発酵(培養)の温度としては、前記麹菌による発酵ができる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記発酵の温度が、20℃未満であると、前記ヤグルマギクを十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0154
前記発酵(培養)の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10時間〜40時間が好ましく、20時間〜30時間がより好ましい。前記発酵の時間が、10時間未満であると、前記ヤグルマギクを十分に発酵させることができず、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0155
前記発酵(培養)を停止する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、加熱する方法などが挙げられる。
前記発酵を停止するための加熱温度としては、前記麹菌が生育できない温度であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃以上が好ましく、70℃以上がより好ましく、100℃〜130℃が特に好ましい。前記加熱温度が、50℃未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、130℃を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
前記発酵を停止するための加熱時間としては、前記麹菌が生育できない状態にすることができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5分間以上が好ましく、10分間〜20分間がより好ましい。前記加熱時間が、5分間未満であると、前記発酵を停止できないことがあり、20分間を超えると、抗老化作用、抗酸化作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。
0156
なお、前記発酵を停止した後の前記ヤグルマギク発酵液は、冷却されることが好ましい。冷却する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、常温、冷蔵庫などに静置する方法などが挙げられる。
0157
前記ヤグルマギクの前記麹菌による発酵の回数としては、前記発酵を行う回数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1回であってもよく、複数回であってもよい。
0158
前記発酵を複数回行う場合、前記麹菌は、初回のみ接種してもよく、数回のみ接種してもよく、全ての回で接種してもよいが、初回のみに接種することが好ましい。
前記発酵を複数回行う場合、発酵温度及び発酵時間は、それぞれ異なっていてもよく、同じであってもよい。
0159
−−ヤグルマギク種麹−−
前記ヤグルマギク種麹は、前記ヤグルマギクを種麹原料として使用し、該種麹原料に麹菌を接種して、該ヤグルマギクに十分な量の胞子を着生させたものである。これを前記発酵において使用することで、肌なじみに優れたヤグルマギク発酵液をより効率よく容易に得ることができる点で有利である。
0160
前記種麹原料として使用する前記ヤグルマギクは、前記−ヤグルマギク−において記載したものと同様のものを使用することができ、前記ヤグルマギクの使用部位、大きさ、状態などの態様についても同様である。
0161
前記ヤグルマギク種麹の作製において使用する前記麹菌としては、前記−麹菌−において記載したものと同様のものを使用することができる。
0162
前記種麹原料として使用する前記ヤグルマギクへの、前記麹菌の接種量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヤグルマギク100質量部に対して、滅菌水に懸濁した麹菌(1×103個/mL〜1×108個/mL)を5質量部〜100質量部接種することが好ましく、10質量部〜50質量部接種することがより好ましく、20質量部〜30質量部接種することが特に好ましい。前記ヤグルマギク100質量部に対する前記麹菌の接種量が、5質量部未満であると、前記ヤグルマギクに十分な量の胞子を着生できないことがあり、100質量部を超えると、水分過多で異常繁殖することがある。
0163
前記種麹原料として使用する前記ヤグルマギクに前記麹菌を接種する際、水を添加することが好ましい。前記水の添加量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記ヤグルマギク100質量部に対して、10質量部〜250質量部添加することが好ましく、20質量部〜200質量部添加することがより好ましく、30質量部〜150質量部添加することが特に好ましい。前記ヤグルマギク100質量部に対する前記水の添加量が、10質量部未満であると、前記ヤグルマギクに十分な量の胞子を着生できないことがある。
0164
前記培養の温度としては、前記麹菌が生育できる温度の範囲内であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20℃〜40℃が好ましく、25℃〜35℃がより好ましい。前記培養の温度が、20℃未満であると、前記ヤグルマギクに十分な量の胞子を着生できないことがある。なお、50℃を超えると、前記麹菌が増殖できないことがある。
0165
前記培養の時間としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、80時間〜210時間が好ましく、100時間〜190時間がより好ましく、120時間〜170時間が特に好ましい。前記培養の時間が、80時間未満であると、前記ヤグルマギクに十分な量の胞子を着生できないことがあり、210時間を超えると、胞子の発芽率が落ちることがある。
0166
前記ヤグルマギク発酵液は、前記麹菌の菌体を含有したものであってもよく、前記麹菌の菌体を除去したものであってもよいが、前記麹菌の菌体を除去したものであることが好ましい。
0167
前記ヤグルマギク発酵液の状態としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ヤグルマギク発酵液そのものであってもよく、前記ヤグルマギク発酵液の精製物、前記ヤグルマギク発酵液の濃縮物、前記ヤグルマギク発酵液の希釈物などであってもよい。また、前記ヤグルマギク発酵液は、該ヤグルマギク発酵液の乾燥物を再度、水や親水性溶媒等の溶媒に混合又は溶解させたものであってもよい。
0168
前記ヤグルマギク発酵液の精製物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記ヤグルマギク発酵液中の固形分(例えば、前記ヤグルマギクの植物体、麹菌の菌体、オリなど)が除去された物などが挙げられる。
前記除去の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ろ過などが挙げられる。
前記ろ過の方法としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
0169
前記ヤグルマギク発酵液の希釈物及び前記ヤグルマギク発酵液の濃縮物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤグルマギク発酵液が所望の濃度に調製された物などが挙げられる。
前記希釈の手段としては、特に制限はなく、公知の方法の中から、目的に応じて適宜選択することができる。
前記濃縮の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、減圧濃縮などが挙げられる。
0170
前記ヤグルマギク発酵液の乾燥物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヤグルマギク発酵液が乾燥された物などが挙げられる。
前記乾燥の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、凍結乾燥などが挙げられる。
0171
前記ヤグルマギク発酵液は、ヤグルマギクの麹菌による発酵液である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、肌なじみがよい点で、接触角が85°以下であるヤグルマギク発酵液が好ましく、接触角が79°以下であるヤグルマギク発酵液がより好ましい。
0172
<<その他の成分>>
前記抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤における前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料、美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、皮膚栄養剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
0173
−用途−
本発明の抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤は、優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用を有するため、例えば、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品などとして好適に用いることができ、その配合量、用法、及び剤型としては、その使用目的に応じて適宜選択することができる。
0174
前記配合量としては、前記発酵液の生理活性等によって適宜調整することができる。また、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤は、前記発酵液そのものであってもよい。
0176
前記剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、及びシロップ剤等の経口投与剤;注射剤、点滴剤、及び坐剤等の非経口投与剤;化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディシャンプー、アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス等の外用剤などが挙げられる。
0178
本発明の抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
0179
(化粧料)
本発明の化粧料は、本発明の抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、及び美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
0180
<抗老化剤、抗酸化剤、抗炎症剤、美白剤>
前記化粧料における前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記化粧料の全体量に対して、5体積%以上が好ましく、20体積%以上がより好ましい。前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種の含有量が、5体積%未満であると、抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用が不十分となることがある。なお、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種の含有量は多い程好ましく、その上限としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、前記化粧料は、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種そのものであってもよい。
0181
<その他の成分>
前記化粧料は、更に必要に応じて本発明の目的及び作用効果を損なわない範囲で、化粧料の製造に通常使用される各種主剤、助剤、その他の成分を添加することができる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、収斂剤、殺菌剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、細胞賦活剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの成分は、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種と併用した場合、相乗的に作用して、通常期待される以上の優れた作用効果をもたらすことがある。
前記化粧料における前記その他の成分の含有量としては、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
0182
<用途>
前記化粧料の用途としては、特に制限はなく、一般的な化粧料の中から適宜選択することができ、例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、美容液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、ファンデーション、入浴剤、石鹸、ボディシャンプー等の皮膚化粧料;アストリンゼント、ヘアトニック、ヘアクリーム、ヘアリキッド、ポマード、シャンプー、リンス等の頭皮頭髪化粧料などが挙げられる。
0183
前記化粧料は、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を、その活性を妨げないように任意の化粧料に配合したものであってもよいし、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を主成分とした化粧料であってもよい。また、前記化粧料は、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種そのものであってもよい。
0184
本発明の化粧料は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サルなど)に対して適用することもできる。
0185
本発明の化粧料は、前記抗老化剤、前記抗酸化剤、前記抗炎症剤、及び前記美白剤からなる群から選択される少なくとも1種を含有するため、皮膚に使用した場合、優れた抗老化作用、抗酸化作用、抗炎症作用、及び美白作用の少なくともいずれかの作用を発揮する点で有用である。
0186
以下に製造例及び試験例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの試験例に何ら限定されるものではない。
0187
<製造例1:ヤマヨモギ発酵液1の調製>
−種麹調製工程−
麹菌(Aspergillus oryzae、菌株名:AOK1714、株式会社秋田今野商店製)を白金耳で取り、滅菌水50mLに懸濁して麹菌溶液を作製した。前記麹菌溶液の菌数を、トーマ血球計算盤(EKDS製)を用いて算定したところ、1.0×105個/mLであった。
次いで、0.5cm〜5cmに切断したヤマヨモギ(株式会社アルビオン製)10gを三角フラスコに入れ、加圧滅菌し、ここに前記麹菌溶液を2mL接種し、30℃で168時間静置培養した。培養終了後、45℃で24時間乾燥し、「ヤマヨモギ種麹」を得た。
0188
−発酵工程−
粉砕機(シュガーミル)を用いてヤマヨモギ(株式会社アルビオン製)を粉砕し、2mmのメッシュスクリーンを通過させ、ヤマヨモギ粉砕物を得た。このヤマヨモギ粉砕物50gに水を1,000mL添加し、混合した後、前記調製例1で得たヤマヨモギ種麹(菌数:約1.0×106個/mL)を20mL接種した。次いで、25℃にて22時間前培養した。得られた発酵液を、珪藻土を用いてろ過し、「ヤマヨモギ発酵液1」を得た。
0189
<製造例2:ヤマヨモギ発酵液2の調製>
前記製造例1において、ヤマヨモギ種麹を、米を原料とした種麹(Aspergillus oryzae、白麹しらかみ、株式会社秋田今野商店製)(以下、「米種麹」と称することがある)に変更したこと以外は、前記製造例1と同様の方法で「ヤマヨモギ発酵液2」を得た。
0190
<比較製造例1:ヤマヨモギ抽出液の調製>
粉砕機(シュガーミル)を用いてヤマヨモギ(株式会社アルビオン製)を粉砕し、2mmのメッシュスクリーンを通過させ、ヤマヨモギ粉砕物を得た。このヤマヨモギ粉砕物50gに水を1,000mL添加し、混合した後、25℃にて22時間撹拌した。次いで、得られた撹拌物を、珪藻土を用いてろ過し、「ヤマヨモギ抽出液」を得た。
0191
(試験例A−1:接触角の測定)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を試験試料として、以下の方法で接触角を測定した。
具体的には、動的接触角・表面張力測定装置(FTA1000 Falcon、First Ten Angstroms社製)を用いて、前記装置のサンプルステージ(アルミ製)に各試験試料をそれぞれ3μL滴下し、温度22℃、相対湿度20%の条件下で、液滴法にて測定を行った。1,000msの接触角θ(°)をθ/2法で求めた。接触角の測定は3回行い、その平均値を求めた。結果を下記表1に示す。また、各試験試料の接触角の測定時の液滴の一例を図1A〜図1Cに示す。
0192
0193
比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液に対して、製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1及び製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2は、いずれも接触角が小さく、81°以下であり、肌なじみに優れるものであった。更に、製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1は、接触角が78°以下であり、より肌なじみに優れるものであった。
0194
(試験例1−1:マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用試験)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を被験試料として用い、Wunsch and Heidrich法を一部改変した下記の試験方法により、マトリックスメタロプロテアーゼ−1(MMP−1)活性阻害作用を試験した。
0195
蓋付試験管にて、各被験試料を20mmol/L塩化カルシウム含有0.1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.1)に溶解した。次いで、前記被験試料の溶解液50μLと、MMP−1(COLLAGENASEType IV from Clostridium histolyticum、Sigma社製)溶液50μLと、Pz−peptide(Pz−Pro−Leu−Gly−Pro−D−Arg−OH、BACHEM FeinchemikalienAG社製)溶液400μLとを混合し、3℃にて30分間反応させた後、25mmol/Lクエン酸溶液1mLを加え反応を停止した。なお、この際の前記被験試料の終濃度は、下記表2に示す濃度であった。次いで、酢酸エチル5mLを加え、激しく振とうした。これを1,600×gで10分間遠心分離し、酢酸エチル層の波長320nmにおける吸光度を測定した。
0197
更に、コントロールとして、被験試料の溶解液を、被験試料を含まない20mmol/L塩化カルシウム含有0.1mol/L Tris−HCl緩衝液(pH7.1)に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0198
得られた吸光度の測定値より、下記式1に基づきMMP−1活性阻害率を算出した。結果を下記表2に示す。
<式1>
MMP−1活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
前記式1において、A〜Dは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料無添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
B:被験試料無添加、酵素無添加での波長320nmにおける吸光度
C:被験試料添加、酵素添加での波長320nmにおける吸光度
D:被験試料添加、酵素無添加での320nmにおける吸光度
0199
0200
(試験例1−2:ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用試験)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用を試験した。
0201
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に、終濃度が下記表3に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(Normal Human Epidermal Keratinocytes;NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培地を前記被験試料添加培地2mLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0202
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0203
前記各総RNAを鋳型とし、ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA及び内部標準であるグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler DIce(登録商標) Real Time System III、タカラバイオ株式会社製)、及びSYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標)RT−PCRKit(Perfect Real Time(カタログ番号:RR063A)、タカラバイオ株式会社製)を用いた2ステップRT−PCR反応により行った。
被験試料無添加及び被験試料添加のHAS3 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正した。この補正値より、下記式2に基づきHAS3mRNA発現促進率を算出した。結果を下記表3に示す。
<式2>
HAS3 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
前記式2において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
0204
0205
(試験例1−3:DPPHラジカル消去作用試験)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、DPPHラジカル消去作用を試験した。
0206
エタノール溶液(富士フィルム和光純薬株式会社製)に、各被験試料を溶解し、被験試料溶液を調製した。
150μmol/LDPPH(diphenyl−p−picrylhydrazyl)エタノール溶液3mLに、前記被験試料溶液3mLを加え、直ちに容器を密栓して振り混ぜ、30分間静置した後、波長520nmの吸光度を測定した。なお、この際の前記被験試料の終濃度は、下記表4に示す濃度であった。
0207
また、ブランクとして、DPPHエタノール溶液を、DPPHを含まないエタノール溶液に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0208
更に、コントロールとして、被験試料溶液を、被験試料を含まないエタノール溶液(富士フィルム和光純薬株式会社製)に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0209
得られた吸光度の測定値より、下記式3に基づきDPPHラジカル消去率を算出した。結果を下記表4に示す。
<式3>
DPPHラジカル消去率(%)={A−(B−C)}/A×100
前記式3において、A〜Cは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料無添加、DPPH添加での波長520nmにおける吸光度
B:被験試料添加、DPPH添加での波長520nmにおける吸光度
C:被験試料無添加、DPPH無添加の波長520nmにおける吸光度
0210
0211
(試験例1−4:ヒアルロニダーゼ活性阻害作用試験)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、ヒアルロニダーゼ活性阻害作用を試験した。
0212
各被験試料を0.1mol/L酢酸緩衝液(pH 3.5)に溶解し、被験試料溶液を調製した。
前記被験試料溶液0.2mLに、ヒアルロニダーゼ溶液(Type IV−S(from bovine testis)、400 NF units/mL、SIGMA社製)0.1mLを加え、37℃で20分間反応した。次いで、活性化剤として2.5mmol/L塩化カルシウム0.2mLを加え、更に37℃で20分間反応した。これに0.8mg/mLヒアルロン酸ナトリウム溶液(from rooster comb)(富士フィルム和光純薬株式会社製)0.5mLを加え、37℃で40分間反応した。なお、この際の前記被験試料の終濃度は、下記表5に示す濃度であった。次いで、0.4mol/L水酸化ナトリウム0.2mLを加えて反応を停止し、冷却した後、各反応溶液にホウ酸溶液0.2mLを加え、3分間煮沸した。氷冷後、p−DABA試薬(p−ジメチルアミノベンズアルデヒド10gを10N塩酸12.5mLと酢酸87.5mLの混合液に溶解し、酢酸で10倍に希釈したもの)6mLを加え、37℃で20分間反応した。次いで、波長585nmにおける吸光度を測定した。
0213
また、ブランクとして、ヒアルロニダーゼ溶液(酵素溶液)を、0.1mol/L酢酸緩衝液(pH 3.5)に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0214
更に、コントロールとして、被験試料溶液を、被験試料を含まない0.1mol/L酢酸緩衝液(pH3.5)に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0215
得られた吸光度の測定値より、下記式4に基づきヒアルロニダーゼ活性阻害率を算出した。結果を下記表5に示す。
<式4>
ヒアルロニダーゼ活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
前記式4において、A〜Dは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料無添加、酵素添加での波長585nmにおける吸光度
B:被験試料無添加、酵素無添加での波長585nmにおける吸光度
C:被験試料添加、酵素添加での585nmにおける吸光度
D:被験試料添加、酵素無添加での波長585nmにおける吸光度
0216
0217
(試験例1−5:チロシナーゼ活性阻害作用試験)
製造例1で得られたヤマヨモギ発酵液1、製造例2で得られたヤマヨモギ発酵液2、及び比較製造例1で得られたヤマヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、チロシナーゼ活性阻害作用を試験した。
0218
各被験試料を25%DMSO溶液に溶解し、被験試料溶液を調製した。
48wellプレートに、Mcllvaine緩衝液(pH6.8)0.2mLと、0.3mg/mLチロシン溶液0.06mLと、前記被験試料溶液0.18mLとを加え、37℃で10分間静置した。これに、800ユニット/mLチロシナーゼ溶液(SIGMA社製)0.02mLを加え、更に37℃で15分間反応させた。反応終了後、波長475nmにおける吸光度を測定した。なお、この際の前記被験試料の終濃度は、下記表6に示す濃度であった。
0219
また、ブランクとして、チロシナーゼ溶液(酵素溶液)を、Mcllvaine緩衝液(pH6.8)に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0220
更に、コントロールとして、被験試料溶液を、被験試料を含まない25%DMSO溶液に変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行った。
0221
得られた吸光度の測定値より、下記式5に基づきチロシナーゼ活性阻害率を算出した。結果を下記表6に示す。
<式5>
チロシナーゼ活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
前記式5において、A〜Dは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料無添加、酵素添加での波長475nmにおける吸光度
B:被験試料無添加、酵素無添加での波長475nmにおける吸光度
C:被験試料添加、酵素添加での475nmにおける吸光度
D:被験試料添加、酵素無添加での波長475nmにおける吸光度
0222
0223
<製造例3:カワラヨモギ発酵液1の調製>
前記製造例1の種麹調製工程において、ヤマヨモギを、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunbergii)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記製造例1の種麹調製工程と同様の方法で「カワラヨモギ種麹」を調製した。
また、前記製造例1の発酵工程において、ヤマヨモギを、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunbergii)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記製造例1の発酵工程と同様の方法で「カワラヨモギ発酵液1」を得た。
0224
<製造例4:カワラヨモギ発酵液2の調製>
前記製造例3において、カワラヨモギ種麹を、米種麹(Aspergillus oryzae、白麹しらかみ、株式会社秋田今野商店製)に変更したこと以外は、前記製造例3と同様の方法で「カワラヨモギ発酵液2」を得た。
0225
<比較製造例2:カワラヨモギ抽出液の調製>
前記比較製造例1において、ヤマヨモギを、カワラヨモギ(Artemisia capillaris Thunbergii)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記比較製造例1と同様の方法で「カワラヨモギ抽出液」を得た。
0226
(試験例A−2:接触角の測定)
前記試験例A−1において、試験試料を、製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例2で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液に変更したこと以外は、前記試験例A−1と同様の方法で接触角を測定した。結果を下記表7に示す。また、各試験試料の接触角の測定時の液滴の一例を図2A〜図2Cに示す。
0227
0228
比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液に対して、製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1及び製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2は、いずれも接触角が小さく、81°以下であり、肌なじみに優れるものであった。更に、製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1は、接触角が78°以下であり、より肌なじみに優れるものであった。
0229
(試験例2−1:ヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用試験)
試験例1−2において、被験試料を、製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液に変更し、被験試料の終濃度を下記表8に示す濃度に変更したこと以外は、試験例1−2と同様の方法でヒアルロン酸合成酵素3(HAS3)mRNA発現促進作用を試験した。結果を下記表8に示す。
0230
0231
(試験例2−2:I型コラーゲン産生促進作用試験)
製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、I型コラーゲン産生促進作用を試験した。
0232
0.25%ウシ胎児血清(Fetal bovine serum;FBS、biosera社製)含有ダルベッコMEM、日水製薬株式会社製)に、終濃度が下記表9に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト線維芽細胞(NB1RGB、RIKEN BRCより購入)を、10%FBS含有DMEMを用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを10%FBS含有DMEMにより1.6×105細胞/mLに調整した。
次いで、96wellマイクロプレートに前記NB1RGB(1.6×105細胞/mL)を、1well当たり100μLずつ播種し、37℃、5%CO2の条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を被験試料添加培地100μLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で3日間培養した。培養終了後、各wellの培地中のI型コラーゲン量をELISA法により測定した。
0233
具体的には、培養上清90μLをELISAプレートに移し換え、4℃、一晩でプレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05% Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行った。その後、1%FBSを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05% Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、抗ヒトコラーゲンタイプI抗体(ウサギIgG、ケミコン社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、HRP標識抗ウサギIgG抗体と反応させた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。
I型コラーゲン産生促進率は、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、算出した。
0234
また、コントロールとして、被験試料溶液を、被験試料を含まない0.25%FBS含有DMEMに変更したこと以外は、上記同様の操作及びELISA法による測定を行った。
0235
得られた測定値より、下記式6に基づきI型コラーゲン産生促進率を算出した。結果を下記表9に示す。
<式6>
I型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
前記式6において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時のI型コラーゲン量
B:被験試料無添加時のI型コラーゲン量
0236
0237
(試験例2−3:クローディン−1mRNA発現促進作用試験)
製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、クローディン−1 mRNA発現促進作用を試験した。
0238
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に、終濃度が下記表10に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培地を前記被験試料添加培地2mLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0239
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0240
前記各総RNAを鋳型とし、クローディン−1mRNA及び内部標準であるGAPDH mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler DIce(登録商標) Real Time System III、タカラバイオ株式会社製)、及びSYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標)RT−PCRKit(Perfect Real Time(カタログ番号:RR063A)、タカラバイオ株式会社製)を用いた2ステップリアルタイムPCR反応により行った。
被験試料無添加及び被験試料添加クローディン−1 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正した。この補正値より、下記式7に基づきクローディン−1mRNA発現促進率を算出した。結果を下記表10に示す。
<式7>
クローディン−1 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
前記式7において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
0241
0242
(試験例2−4:クローディン−4mRNA発現促進作用試験)
製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、クローディン−4 mRNA発現促進作用を試験した。
0243
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に終濃度が下記表11に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培地を前記被験試料添加培地2mLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0244
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0245
前記各総RNAを鋳型とし、クローディン−4mRNA及び内部標準であるGAPDH mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler DIce(登録商標) Real Time System III、タカラバイオ株式会社製)、及びSYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標)RT−PCRKit(Perfect Real Time(カタログ番号:RR063A)、タカラバイオ株式会社製)を用いた2ステップリアルタイムPCR反応により行った。
被験試料無添加及び被験試料添加クローディン−4 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正した。この補正値より、下記式8に基づきクローディン−4mRNA発現促進率を算出した。結果を下記表11に示す。
<式8>
クローディン−4 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
前記式8において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
0246
0247
(試験例2−5:オクルディンmRNA発現促進作用試験)
製造例3で得られたカワラヨモギ発酵液1、製造例4で得られたカワラヨモギ発酵液2、及び比較製造例2で得られたカワラヨモギ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、オクルディンmRNA発現促進作用を試験した。
0248
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に終濃度が下記表12に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0249
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0250
前記各総RNAを鋳型とし、オクルディンmRNA及び内部標準であるGAPDH mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler DIce(登録商標) Real Time System III、タカラバイオ株式会社製)、及びSYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標)RT−PCRKit(Perfect Real Time(カタログ番号:RR063A)、タカラバイオ株式会社製)を用いた2ステップリアルタイムPCR反応により行った。
被験試料無添加及び被験試料添加オクルディンmRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正した。この補正値より、下記式9に基づきオクルディンmRNA発現促進率を算出した。結果を下記表12に示す。
<式9>
オクルディンmRNA発現促進率(%)=A/B×100
前記式9において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
0251
0252
<製造例5:タチジャコウソウ発酵液1の調製>
前記製造例1の種麹調製工程において、ヤマヨモギを、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris Linne)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記製造例1の種麹調製工程と同様の方法で「タチジャコウソウ種麹」を調製した。
また、前記製造例1の発酵工程において、ヤマヨモギを、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris Linne)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記製造例1の発酵工程と同様の方法で「タチジャコウソウ発酵液1」を得た。
0253
<製造例6:タチジャコウソウ発酵液2の調製>
前記製造例5において、タチジャコウソウ種麹を、米種麹(Aspergillus oryzae、白麹しらかみ、株式会社秋田今野商店製)に変更したこと以外は、前記製造例5と同様の方法で「タチジャコウソウ発酵液2」を得た。
0254
<比較製造例3:タチジャコウソウ抽出液の調製>
前記比較製造例1において、ヤマヨモギを、タチジャコウソウ(Thymus vulgaris Linne)(株式会社アルビオン製)に変更したこと以外は、前記比較製造例1と同様の方法で「タチジャコウソウ抽出液」を得た。
0255
(試験例A−3:接触角の測定)
前記試験例A−1において、試験試料を、製造例5で得られたタチジャコウソウ発酵液1、製造例6で得られたタチジャコウソウ発酵液2、及び比較製造例3で得られたタチジャコウソウ抽出液に変更したこと以外は、前記試験例A−1と同様の方法で接触角を測定した。結果を下記表13に示す。また、各試験試料の接触角の測定時の液滴の一例を図3A〜図3Cに示す。
0256
0257
比較製造例3で得られたタチジャコウソウ抽出液に対して、製造例5で得られたタチジャコウソウ発酵液1及び製造例6で得られたタチジャコウソウ発酵液2は、いずれも接触角が小さく、87°以下であり、肌なじみに優れるものであった。更に、製造例5で得られたタチジャコウソウ発酵液1は、接触角が81°以下であり、より肌なじみに優れるものであった。
0258
(試験例3−1:トランスグルタミナーゼ−1(TGM−1)mRNA発現促進作用試験)
製造例5で得られたタチジャコウソウ発酵液1、製造例6で得られたタチジャコウソウ発酵液2、及び比較製造例3で得られたタチジャコウソウ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、トランスグルタミナーゼ−1(TGM−1)mRNA発現促進作用を試験した。
0259
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に終濃度が下記表14に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培地を前記被験試料添加培地2mLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0260
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0261
前記各総RNAを鋳型とし、トランスグルタミナーゼ−1(TGM−1)mRNA及び内部標準であるGAPDH mRNAの発現量を測定した。mRNAの検出は、リアルタイムPCR装置(Thermal Cycler DIce(登録商標) Real Time System III、タカラバイオ株式会社製)、及びSYBR(登録商標) PrimeScript(登録商標)RT−PCRKit(Perfect Real Time(カタログ番号:RR063A)、タカラバイオ株式会社製)を用いた2ステップリアルタイムPCR反応により行った。
被験試料無添加及び被験試料添加のTGM−1 mRNAの発現量は、GAPDH mRNAの発現量で補正した。この補正値より、下記式10に基づきTGM−1mRNA発現促進率を算出した。結果を下記表14に示す。
<式10>
TGM−1 mRNA発現促進率(%)=A/B×100
前記式10において、A及びBは、それぞれ以下を表す。
A:被験試料添加時の補正値
B:被験試料無添加時の補正値
0262
0263
(試験例3−2:アクアポリン3(AQP3)mRNA発現促進作用試験)
製造例5で得られたタチジャコウソウ発酵液1、製造例6で得られたタチジャコウソウ発酵液2、及び比較製造例3で得られたタチジャコウソウ抽出液を被験試料として用い、下記の試験方法により、アクアポリン3(AQP3)mRNA発現促進作用を試験した。
0264
正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2、倉敷紡績株式会社製)に終濃度が下記表15に示す濃度となるように、各被験試料を溶解し、被験試料添加培地を調製した。
正常ヒト新生児表皮角化細胞(NHEK、倉敷紡績株式会社製)を、正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2、倉敷紡績株式会社製)を用いて37℃、5%CO2の条件下でコンフルエントになるまで培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。これを正常ヒト表皮角化細胞増殖用培地(HuMedia−KG2)により1.5×105細胞/mLに調整した。
次いで、35mmシャーレに前記NHEK(1.5×105細胞/mL)を2mL播種し、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。培養終了後、培地を正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2)に交換し、更に24時間した。培養終了後、培地を前記被験試料添加培地2mLに交換し、37℃、5%CO2の条件下で24時間培養した。培養終了後、培養液を除去し、RNA抽出用試薬(ISOGEN II(カタログ番号:311−07361)、株式会社ニッポンジーン製)にて総RNAを抽出し、それぞれのRNA量を分光光度計にて測定し、精製水を用いて200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
0265
また、コントロールとして、前記被験試料添加培地2mLを、被験試料を含まない正常ヒト表皮角化細胞基礎培地(HuMedia−KB2) 2mLに変更したこと以外は、上記同様の操作及び吸光度の測定を行い、上記同様の方法で200ng/μLとなるように総RNAを調製した。
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