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技術 ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性化組成物

出願人 有限会社高木商店
発明者 松浦信康吉積一真高木良樹
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-065670
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-164453
状態 未査定
技術分野 化合物または医薬の治療活性 植物物質含有医薬 食用海藻 食品の着色及び栄養改善
主要キーワード 天然海藻 矢羽根 伊豆諸島 エネルギー獲得 組み合わせ食品 瀬戸内海 食用海藻 フノリ科
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (10)

課題

PPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化剤の提供。

解決手段

海藻又は海藻抽出物を有効成分とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性化組成物生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善用、並びに、インスリン抵抗性症候群アルツハイマー病炎症性疾患又は認知機能障害の予防又は改善用のPPAR活性化組成物。インスリン抵抗性症候群は、II型糖尿病高インスリン血症脂質代謝異常高血圧肥満症動脈硬化症又は心疾患である。

概要

背景

PPAR(Peroxisome Proliferators−Activated Receptor:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)は、核内受容体型の転写調節因子として機能するタンパク質である。
PPARにはペルオキシソームの増殖を通して血中トリグリセリド濃度の低下を導く作用を有するα型、脂肪組織分布して脂肪細胞分化などに関与する他、インスリン抵抗性改善標的分子であるγ型、骨格筋エネルギー消費が増大することにより抹消組織中の脂肪蓄積を抑制する作用を有するβ/δ型の3種類のサブタイプが知られている。

PPARγは2つのアイソフォームが存在し、アイソフォームにより発現部位が異なる。γ1は脂肪細胞マクロファージの他に、心臓腎臓結腸筋肉などの組織で発現しているが、γ2の発現は、脂肪細胞のみに限定されている。
PPARγは倹約遺伝子(thrifty gene)としての役割を担い脂肪細胞の分化に関わっているだけでなくリポタンパク質リパーゼLPL)やCD36などを誘導することにより、脂肪酸の取り込みを促進して中性脂肪として貯蔵する機能を有している。
従って、この活性化は脂肪細胞分化を促進すること、血中グルコース活発に取り込む脂肪細胞の数を増やして血糖値下げること、インスリン非感受性肥大化脂肪細胞過形成を抑えること、インスリンに対して高い感受性をもった小型脂肪細胞を増加させて血糖値を低下させること、アディポネクチン生成量を上昇させること、血中脂質(特に、トリグリセリド)を低下させること、エネルギー消費に関わるUCP−2の脂肪細胞における発現を亢進させること、血管構成細胞の機能を制御することなどが知られている(非特許文献1、特許文献1)。
このため、PPARγ活性化剤は、脂質代謝異常の改善、糖代謝異常の改善に有用であり、インスリン抵抗性II型糖尿病高脂血症高血圧症動脈硬化症肥満などの生活習慣病などの予防及び/又は改善剤として有効である。
また、炎症に関するTNFαの脂肪細胞におけるPPARγによる産生阻害、マクロファージにおけるPPARγのNF−κBを介したアポトーシス誘導への関与、MMP−9の活性阻止、NO産生抑制などに関与することで、その活性化剤は炎症性腸疾患などの炎症に対する予防・治療効果を有することが期待されている。
さらに最近では、PPARγがアミロイドβの代謝に関与することが報告され、その活性化剤がアルツハイマー病の予防・治療効果を有する可能性も示唆されている(非特許文献1、2)。
PPARγ活性化剤は糖尿病などの生活習慣病や各種疾患に対して予防・改善効果が期待できることから、多くの医薬品が開発され、ピオグリタゾン(Pioglitazone)やロシグリタゾン(Rosiglitazone)は、II型糖尿病の治療薬として利用されている(非特許文献3)。
また、顕著な活性を有さずとも、副作用を回避できれば長期の摂取が可能となることからPPARγの活性化作用を有する食品植物由来天然物が探索され、次のような化合物発見されている。
多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸、脂肪酸の代謝物である9−HODE、13−HODE(非特許文献2、4)、ヨモギ由来成分であるカフェ酸クロロゲン酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸及びクロゲニンメチル(特許文献2)、ウコン由来成分であるクルクミン酸(特許文献3)、モノアシルグリセロール(特許文献4)などが報告されている。

PPARβ/δは脳、小腸、骨格筋、脾臓、マクロファージや脂肪組織など、多くの組織にほぼ普遍的に発現している。PPARβ/δ(別名:PPARβ、NUC1、FAAR)は、1992年にクローニングされて以来、長らく機能が明らかにされていなかった。しかし近年、遺伝子改変動物を用いた研究やPPARβ/δ選択的な作動薬の開発などにより様々な生理機能を持つことが明らかになってきた。
PPARβ/δは骨格筋の脂肪酸取り込み輸送酸化、および脱共役タンパク質といった脂肪酸代謝を調節する因子であることがわかっている。また、PPARβ/δのアゴニスト高脂肪食負荷及び遺伝的に肥満を呈するマウスモデルにおいて、抗肥満及びインスリン抵抗性改善効果を発揮することが明らかとなっている。
従って、PPARβ/δのアゴニストは脂肪酸の取り込み・輸送、ミトコンドリア脂肪酸β酸化酵素や脱共役タンパク質など、一連の脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を誘導する。
また、PPARβ/δアゴニストはグルコース酸化律速反応を触媒するピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)のαサブユニットリン酸化することによってPDCの活性を抑制するピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4(PDK4)を誘導し、脂肪酸の酸化を優先的に促進させることが示唆されている。(非特許文献5)。
このため、PPARβ/δ活性化剤は、脂質代謝異常の改善、糖代謝異常の改善に有用であり、インスリン抵抗性、II型糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化症、肥満などの生活習慣病などの予防及び/又は改善剤として有効である。
また、PPARβ/δの選択的な作動薬であるGW501516をヒトに12週間投与すると、心疾患発症頻度引き上げ要因の一つである小型高密度LDLの血中濃度が低下することや、心血管保護作用を有するapoA2の血中濃度が上昇することが認められている。このことから、PPARβ/δの活性化は、心血管保護に有効であることが報告されている(非特許文献6)。
さらに最近では、マウスにGW501516を1週間投与することにより、海馬神経新生が促進されて空間記憶能力が改善すること(非特許文献7)、GW501516と同じくPPARβ/δの選択的アゴニストであるGW0742をパーキンソン病モデルラットに予め投与すると、神経保護作用により認知機能障害を軽減できることが報告されている(非特許文献8)。
このように、PPARβ/δの活性化剤は動脈硬化の予防又は改善剤、肥満の予防又は改善剤、インスリン抵抗性の予防又は改善剤、脂肪酸酸化活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、脂質異常症の予防又は改善剤、脂肪肝予防又は改善剤、心血管保護剤認知機能改善剤として有効であると考えられる。
PPARβ/δ活性化剤は糖尿病などの生活習慣病や各種疾患に対して予防・改善効果が期待できることから、GW501516やGW0742、L−165041などが医薬品として、鋭意研究がなされている。
また、顕著な活性を有さずとも、副作用を回避できれば長期の摂取が可能となることからPPARβ/δの活性化作用を有する食品や植物由来の天然物が探索され、次のような化合物が発見されている。
ギニアショウガ又はその抽出物(特許文献5)、醤油粕又はその抽出物(特許文献6)、腐乳(特許文献7)、甜茶行者ニンニクナツメサフランサジン、オリーブ抽出物ハチミツ(特許文献8)などが報告されている。

PPARαは肝臓、腎臓、心臓、骨格筋、褐色脂肪組織など臓器・組織に多く発現しており、主に脂質代謝に関連する種々の遺伝子の発現を正や負に制御し、ペルオキシソーム増殖惹起するフィブラート系薬剤可塑剤などの多種多様化学物質により活性化される核内受容体として最初にクローニングされたサブタイプである。
最近、このPPARαが飢餓状態でのエネルギー獲得受容体(thrifty gene:節約遺伝子)としての機能を有することが明らかとなっている。このPPARαは活性化されると脂肪酸のβ酸化を亢進することから脂質代謝異常を基盤に発症する生活習慣病に対する医薬品創製の分子ターゲットとなっており、内因性リガンド(アゴニスト)としてリノール酸リノレン酸アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)、8−hydroxyeicosatetraenoic acid(8−HETE)などのアラキドン酸由来物質ロイコトリエンB4(LTB4)などのエイコサノイドが知られており、また、外因性のアゴニストとして、フェノフィブラートベザフィブラートクロフィブラートなどのフィブラート系薬剤が既に上市されている。しかしながら、より優れたPPARαを活性化させる成分の探索が今なお精力的に行われている(特許文献9)。また、天然由来のPPARα活性化剤としてドナリエラ属(Dunaliella)の粉末(特許文献10)、モリンガエキス(特許文献11)、大豆由来醗酵物(特許文献7)、トマトナス等のナス科植物(特許文献12)、アカシア樹皮の抽出物(特許文献13)などが挙げられている。

概要

PPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化剤の提供。海藻又は海藻抽出物を有効成分とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(PPAR)活性化組成物。生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善用、並びに、インスリン抵抗性症候群、アルツハイマー病、炎症性疾患又は認知機能障害の予防又は改善用のPPAR活性化組成物。インスリン抵抗性症候群は、II型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧肥満症、動脈硬化症又は心疾患である。

目的

本発明は、PPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化剤を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

海藻又は海藻抽出物を有効成分とすることを特徴とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(以下「PPAR」という)活性化組成物

請求項2

生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善用の請求項1に記載のPPAR活性化組成物。

請求項3

インスリン抵抗性症候群アルツハイマー病炎症性疾患又は認知機能障害の予防又は改善用の請求項1に記載のPPAR活性化組成物。

請求項4

インスリン抵抗性症候群が、II型糖尿病高インスリン血症脂質代謝異常高血圧肥満症動脈硬化症又は心疾患であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載のPPAR活性化組成物を含む飲食品

請求項6

請求項1〜4のいずれかに記載のPPAR活性化組成物を含む医薬用組成物

請求項7

海藻が海藻加工物乾燥物又は粉末であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

請求項8

海藻が紅藻類ツノマタ褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリから選ばれる一種であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

請求項9

海藻が紅藻類ツノマタであり、PPARがPPARγであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

請求項10

海藻が褐藻類ワカメであり、PPARがPPARβ/δであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

請求項11

海藻が褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリのいずれかであり、PPARがPPARαであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

技術分野

背景技術

0002

PPAR(Peroxisome Proliferators−Activated Receptor:ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体)は、核内受容体型の転写調節因子として機能するタンパク質である。
PPARにはペルオキシソームの増殖を通して血中トリグリセリド濃度の低下を導く作用を有するα型、脂肪組織分布して脂肪細胞分化などに関与する他、インスリン抵抗性改善標的分子であるγ型、骨格筋エネルギー消費が増大することにより抹消組織中の脂肪蓄積を抑制する作用を有するβ/δ型の3種類のサブタイプが知られている。

0003

PPARγは2つのアイソフォームが存在し、アイソフォームにより発現部位が異なる。γ1は脂肪細胞マクロファージの他に、心臓腎臓結腸筋肉などの組織で発現しているが、γ2の発現は、脂肪細胞のみに限定されている。
PPARγは倹約遺伝子(thrifty gene)としての役割を担い脂肪細胞の分化に関わっているだけでなくリポタンパク質リパーゼLPL)やCD36などを誘導することにより、脂肪酸の取り込みを促進して中性脂肪として貯蔵する機能を有している。
従って、この活性化は脂肪細胞分化を促進すること、血中グルコース活発に取り込む脂肪細胞の数を増やして血糖値下げること、インスリン非感受性肥大化脂肪細胞過形成を抑えること、インスリンに対して高い感受性をもった小型脂肪細胞を増加させて血糖値を低下させること、アディポネクチン生成量を上昇させること、血中脂質(特に、トリグリセリド)を低下させること、エネルギー消費に関わるUCP−2の脂肪細胞における発現を亢進させること、血管構成細胞の機能を制御することなどが知られている(非特許文献1、特許文献1)。
このため、PPARγ活性化剤は、脂質代謝異常の改善、糖代謝異常の改善に有用であり、インスリン抵抗性II型糖尿病高脂血症高血圧症動脈硬化症肥満などの生活習慣病などの予防及び/又は改善剤として有効である。
また、炎症に関するTNFαの脂肪細胞におけるPPARγによる産生阻害、マクロファージにおけるPPARγのNF−κBを介したアポトーシス誘導への関与、MMP−9の活性阻止、NO産生抑制などに関与することで、その活性化剤は炎症性腸疾患などの炎症に対する予防・治療効果を有することが期待されている。
さらに最近では、PPARγがアミロイドβの代謝に関与することが報告され、その活性化剤がアルツハイマー病の予防・治療効果を有する可能性も示唆されている(非特許文献1、2)。
PPARγ活性化剤は糖尿病などの生活習慣病や各種疾患に対して予防・改善効果が期待できることから、多くの医薬品が開発され、ピオグリタゾン(Pioglitazone)やロシグリタゾン(Rosiglitazone)は、II型糖尿病の治療薬として利用されている(非特許文献3)。
また、顕著な活性を有さずとも、副作用を回避できれば長期の摂取が可能となることからPPARγの活性化作用を有する食品植物由来天然物が探索され、次のような化合物発見されている。
多価不飽和脂肪酸であるエイコサペンタエン酸、脂肪酸の代謝物である9−HODE、13−HODE(非特許文献2、4)、ヨモギ由来成分であるカフェ酸クロロゲン酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸及びクロゲニンメチル(特許文献2)、ウコン由来成分であるクルクミン酸(特許文献3)、モノアシルグリセロール(特許文献4)などが報告されている。

0004

PPARβ/δは脳、小腸、骨格筋、脾臓、マクロファージや脂肪組織など、多くの組織にほぼ普遍的に発現している。PPARβ/δ(別名:PPARβ、NUC1、FAAR)は、1992年にクローニングされて以来、長らく機能が明らかにされていなかった。しかし近年、遺伝子改変動物を用いた研究やPPARβ/δ選択的な作動薬の開発などにより様々な生理機能を持つことが明らかになってきた。
PPARβ/δは骨格筋の脂肪酸取り込み輸送酸化、および脱共役タンパク質といった脂肪酸代謝を調節する因子であることがわかっている。また、PPARβ/δのアゴニスト高脂肪食負荷及び遺伝的に肥満を呈するマウスモデルにおいて、抗肥満及びインスリン抵抗性改善効果を発揮することが明らかとなっている。
従って、PPARβ/δのアゴニストは脂肪酸の取り込み・輸送、ミトコンドリア脂肪酸β酸化酵素や脱共役タンパク質など、一連の脂肪酸代謝関連遺伝子の発現を誘導する。
また、PPARβ/δアゴニストはグルコース酸化律速反応を触媒するピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(PDC)のαサブユニットリン酸化することによってPDCの活性を抑制するピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ4(PDK4)を誘導し、脂肪酸の酸化を優先的に促進させることが示唆されている。(非特許文献5)。
このため、PPARβ/δ活性化剤は、脂質代謝異常の改善、糖代謝異常の改善に有用であり、インスリン抵抗性、II型糖尿病、高脂血症、高血圧症、動脈硬化症、肥満などの生活習慣病などの予防及び/又は改善剤として有効である。
また、PPARβ/δの選択的な作動薬であるGW501516をヒトに12週間投与すると、心疾患発症頻度引き上げ要因の一つである小型高密度LDLの血中濃度が低下することや、心血管保護作用を有するapoA2の血中濃度が上昇することが認められている。このことから、PPARβ/δの活性化は、心血管保護に有効であることが報告されている(非特許文献6)。
さらに最近では、マウスにGW501516を1週間投与することにより、海馬神経新生が促進されて空間記憶能力が改善すること(非特許文献7)、GW501516と同じくPPARβ/δの選択的アゴニストであるGW0742をパーキンソン病モデルラットに予め投与すると、神経保護作用により認知機能障害を軽減できることが報告されている(非特許文献8)。
このように、PPARβ/δの活性化剤は動脈硬化の予防又は改善剤、肥満の予防又は改善剤、インスリン抵抗性の予防又は改善剤、脂肪酸酸化活性化剤、体脂肪燃焼促進剤、脂質異常症の予防又は改善剤、脂肪肝予防又は改善剤、心血管保護剤認知機能改善剤として有効であると考えられる。
PPARβ/δ活性化剤は糖尿病などの生活習慣病や各種疾患に対して予防・改善効果が期待できることから、GW501516やGW0742、L−165041などが医薬品として、鋭意研究がなされている。
また、顕著な活性を有さずとも、副作用を回避できれば長期の摂取が可能となることからPPARβ/δの活性化作用を有する食品や植物由来の天然物が探索され、次のような化合物が発見されている。
ギニアショウガ又はその抽出物(特許文献5)、醤油粕又はその抽出物(特許文献6)、腐乳(特許文献7)、甜茶行者ニンニクナツメサフランサジン、オリーブ抽出物ハチミツ(特許文献8)などが報告されている。

0005

PPARαは肝臓、腎臓、心臓、骨格筋、褐色脂肪組織など臓器・組織に多く発現しており、主に脂質代謝に関連する種々の遺伝子の発現を正や負に制御し、ペルオキシソーム増殖惹起するフィブラート系薬剤可塑剤などの多種多様化学物質により活性化される核内受容体として最初にクローニングされたサブタイプである。
最近、このPPARαが飢餓状態でのエネルギー獲得受容体(thrifty gene:節約遺伝子)としての機能を有することが明らかとなっている。このPPARαは活性化されると脂肪酸のβ酸化を亢進することから脂質代謝異常を基盤に発症する生活習慣病に対する医薬品創製の分子ターゲットとなっており、内因性リガンド(アゴニスト)としてリノール酸リノレン酸アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)、8−hydroxyeicosatetraenoic acid(8−HETE)などのアラキドン酸由来物質ロイコトリエンB4(LTB4)などのエイコサノイドが知られており、また、外因性のアゴニストとして、フェノフィブラートベザフィブラートクロフィブラートなどのフィブラート系薬剤が既に上市されている。しかしながら、より優れたPPARαを活性化させる成分の探索が今なお精力的に行われている(特許文献9)。また、天然由来のPPARα活性化剤としてドナリエラ属(Dunaliella)の粉末(特許文献10)、モリンガエキス(特許文献11)、大豆由来醗酵物(特許文献7)、トマトナス等のナス科植物(特許文献12)、アカシア樹皮の抽出物(特許文献13)などが挙げられている。

0006

国際公開第2007/004006号
特開2003−34636号公報
特開2003−128539号公報
特開2001−354558号公報
特開2014−19648号公報
特開2009−242382号公報
特開2012−171924号公報
特開2010−106001号公報
特開2016−74618号公報
特開2018−035200号公報
特開2017−217006号公報
特開2011−184411号公報
特開2009−203209号公報

先行技術

0007

Michael Lehrke et al., Cell 123, 993−999, 2005
d’Abramo C et al., Biochem J, 391, 693−698, 2005
Steven M. Watkins et al., Journal of Lipid Research, 43, 1809−1817, 2002
Willson−TM et al., J. Med. Chem., 43, 527−550, 2000
日本薬理学会誌(Folia Pharmacol. Jpn.)、128、225−230, 2006
Arterioscler Thromb. Vasc. Biol., Vol.32, 2289−2294, 2012
Learn Mem., Vol.18, 103−107, 2011
Curr. Neurovasc Res., Vol.11, 114−124, 2014

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、PPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化剤を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

1.海藻又は海藻抽出物を有効成分とすることを特徴とするペルオキシソーム増殖剤応答性受容体(以下「PPAR」という)活性化組成物
2.生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善用の1.に記載のPPAR活性化組成物。
3.インスリン抵抗性症候群、アルツハイマー病、炎症性疾患又は認知機能障害の予防又は改善用の1.に記載のPPAR活性化組成物。
4.インスリン抵抗性症候群が、II型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧肥満症、動脈硬化症又は心疾患であることを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。
5.1.〜4.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物を含む飲食品
6.1.〜4.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物を含む医薬用組成物
7.海藻が海藻加工物乾燥物又は粉末であることを特徴とする1.〜6.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。
8.海藻が紅藻類ツノマタ褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリから選ばれる一種であることを特徴とする1.〜7.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。
9.海藻が紅藻類ツノマタであり、PPARがPPARγであることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。
10.海藻が褐藻類ワカメであり、PPARがPPARβ/δであることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。
11.海藻が褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリのいずれかであり、PPARがPPARαであることを特徴とする1.〜8.のいずれかに記載のPPAR活性化組成物。

0010

紅藻類ツノマタに着目すると、特に、PPARγ活性化に寄与することを解明し、その解決手段として次の提案をすることができる。
1.紅藻類ツノマタを含有することを特徴とするPPARγ活性化組成物。
2.生活習慣病の予防又は改善剤である上記1.に記載のPPARγ活性化組成物。
3.インスリン抵抗性症候群又はアルツハイマー病又は炎症性疾患から成る1種又は2種以上から成る予防又は改善剤である上記1.に記載のPPARγ活性化組成物。
4.インスリン抵抗性症候群がII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症又は動脈硬化症である上記2.に記載のPPARγ活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARγ活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARγ活性化組成物を含有する医薬用組成物。

0011

褐藻類のわかめに着目すると、特に、PPARβ/δ活性化に寄与することを解明し、その解決手段として次の提案をすることができる。
1.褐藻類ワカメの乾燥物又は抽出物を含有することを特徴とするPPARβ/δ活性化組成物。
2.生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
3.インスリン抵抗性症候群又はパーキンソン病又は認知機能障害から成る1種又は2種以上から成る予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
4.インスリン抵抗性症候群がII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、心疾患である、上記2.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARβ/δ活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARβ/δ活性化組成物を含有する医薬用組成物。

0012

褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリに着目すると、特に、PPARα活性化に寄与することを解明し、その解決手段として次の提案をすることができる。
1.褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリの乾燥物又は抽出物から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするPPARα活性化組成物。
2.生活習慣病の予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARα活性化組成物。
3.内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARα活性化組成物。
4.生活習慣病がインスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝である、上記2.に記載のPPARα活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARα活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARα活性化組成物を含有する医薬用組成物。

発明の効果

0013

1.海藻及び海藻抽出物を有効成分とするPPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化組成物を開発することができた。
2.特に、海藻は、紅藻類ツノマタ、褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリであり、その抽出物に優れたPPAR活性化作用があることが確認できた。
3.PPAR活性化組成物は、これらの海藻の乾燥物、抽出物、これらを含有する飲食品、医薬組成物として、安全な天然海藻由来組成物である。剤型は、粉剤顆粒剤カプセル剤錠剤液剤など多様であり、サプリメント医療食、生活習慣病用機能性飲食品動物用飼料などに適している。
4.PPAR活性化組成物を含む薬剤や飲食品、機能性飲食品は、生活習慣病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症候群、アルツハイマー病、炎症性疾患、認知機能障害や、II型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)、動脈硬化症又は心疾患としてあらわれるインスリン抵抗性症候群などの予防又は改善に寄与することができる。

0014

5.特に、紅藻類ツノマタには次の効果がある。
(1)紅藻類であるツノマタの抽出物は、特に、PPARγの活性化作用がある。
(2)紅藻類であるツノマタ抽出物由来のPPARγ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規機能性食品や動物用飼料に展開できる。
(3)天然由来であるツノマタは、従来から食経験もあることから、PPARγ活性化作用を有する安全な飲食品又は医薬用組成物を提供することができる。動物用飼料としても利用できる。
(4)ツノマタ抽出物を有効成分とするPPARγ活性化組成物は、強いPPARγ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0015

6.特に、褐藻類ワカメには次の効果がある。
(1)褐藻類であるワカメの溶媒抽出物には、特に、PPARβ/δの活性化作用を示す。
(2)褐藻類であるワカメ抽出物由来のPPARβ/δ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規な機能性食品や動物用飼料として利用することができる。
(3)天然由来であるワカメは、従来から食経験もあることから、PPARβ/δ活性化作用を有する安全な飲食品又は医薬用組成物である。動物用飼料としても利用できる。
(4)ワカメ抽出物を有効成分とするPPARβ/δ活性化組成物は、強いPPARβ/δ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0016

7.特に、褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリには次の効果がある。
(1)褐藻類であるワカメ又はヒジキ、紅藻類であるフノリ又はトサカノリの溶媒抽出物がPPARαの活性化作用を示す。
(2)褐藻類であるワカメ又はヒジキ、紅藻類であるフノリ又はトサカノリ抽出物由来のPPARα活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規な機能性飲食品として利用できる。
(3)天然由来であるワカメやヒジキ、フノリ、トサカノリは、従来から食経験もあることから、PPARα活性化作用を有する安全な飲食品又は医薬用組成物である。動物用飼料としても利用できる。
(4)ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を有効成分とするPPARα活性化組成物は、強いPPARα活性化作用を有することから、インスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝などの生活習慣病の予防又は改善、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

図面の簡単な説明

0017

各種の海藻抽出物が発揮するPPARγアゴニスト活性に関するファーストスクリーニング結果を示す図。
図1の結果を踏まえ、活性の認められた試料細胞障害が認められた試料(ツノマタ、トサカノリ(青)、トサカノリ(赤))について、さらに詳細な活性評価(×0.1、0.05、0.01及び×1、0.5、0.1)の濃度にて再試験を行った結果を示す図。
各種の海藻抽出物が発揮するPPARβ/δアゴニスト活性に関するファーストスクリーニング結果を示す図。
図3に示す結果に基づくPPARβ/δアゴニスト活性に関するセカンドスクリーニングの結果を示す図。
各種の海藻抽出物が発揮するPPARαアゴニスト活性に関するファーストスクリーニング結果を示す図。
図5に示す結果に基づくPPARαアゴニスト活性に関するセカンドスクリーニングの結果1を示す図。
図5に示す結果に基づくPPARαアゴニスト活性に関するセカンドスクリーニングの結果2を示す図。
図5に示す結果に基づくPPARαアゴニスト活性に関するセカンドスクリーニングの結果3を示す図。
ワカメ(胞子葉部)の活性試験の結果を示す図。

0018

[実施態様]
本発明は、海藻類に起因するPPARに対して優れた活性化作用を有するPPAR活性化組成物を見出したものである。
PPAR(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体:peroxisome proliferators−activated receptor)には、3つのサブタイプ(α、γ、β/δ)が同定されている。
本発明は、PPAR活性化組成物が、海藻が紅藻類ツノマタ、褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリに含まれていることを確認している。これらのPPAR活性化組成物は、3つのサブタイプにも活性作用を示す。
これらのPPAR活性化組成物は、従来より飲食されていた海藻由来であり、安全性が高い。

0019

本発明のPPAR活性化組成物は、飲食品、機能性飲食品、医薬剤に利用でき、生活習慣病、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性症候群、アルツハイマー病、炎症性疾患、認知機能障害や、II型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症、動脈硬化症又は心疾患としてあらわれるインスリン抵抗性症候群などの予防又は改善作用に寄与することができる。
飲食品、機能性飲食品、医薬剤として適用できる剤型は、粉剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、液剤など多様であり、サプリメント、医療食、生活習慣病用機能性飲食品があげられる。また、食品用機能性添加剤としても利用することができる。

0020

特に、紅藻類であるツノマタの抽出物は、強いPPARγの活性化作用が確認されたので、実施態様1として示す。
また、褐藻類であるワカメの溶媒抽出物には、強いPPARβ/δの活性化作用が確認されたので、実施態様2として示す。
さらに、褐藻類であるワカメ又はヒジキ、紅藻類であるフノリ又はトサカノリの溶媒抽出物は、強いPPARαの活性化作用が確認されたので、実施態様3として示す。

0021

[実施態様1]
本実施態様では、飲食品又は医薬用組成物として利用可能なPPARγ活性化作用を有する新たな天然物を見出すことを目的とする。

0022

[紅藻類ツノマタに着目した発明の構成]
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、紅藻類であるツノマタの抽出物が強いPPARγの活性化作用を有することを見出し、次のように活用できる態様を提案する。
すなわち、本実施態様は次の構成を主構成とする。
1.紅藻類ツノマタを含有することを特徴とするPPARγ活性化組成物。
2.生活習慣病の予防又は改善剤である上記1.に記載のPPARγ活性化組成物。
3.インスリン抵抗性症候群又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善剤である上記1.に記載のPPARγ活性化組成物。
4.インスリン抵抗性症候群がII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症又は動脈硬化症である上記2.に記載のPPARγ活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARγ活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARγ活性化組成物を含有する医薬用組成物。

0023

[本実施態様の効果]
紅藻類であるツノマタの溶媒抽出物がPPARγの活性化作用を示すことは、新規に提起する作用機序である。
紅藻類であるツノマタ抽出物由来のPPARγ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規な機能性食品である。
また、天然由来であるツノマタは、従来から食経験もあることから、安全性の高いPPARγ活性化作用を有する飲食品又は医薬用組成物を提供することができる。
本発明のツノマタ抽出物を有効成分とするPPARγ活性化組成物は、強いPPARγ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0024

[実施するための形態]
以下に、実施の形態について説明する。
本発明のツノマタ抽出物のPPARγ活性化作用は、陽性対象品であるトログリタゾン(別名:troglitazone、CAS:97322−87−7)と比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることが確認され、本発明は新規な海藻由来のPPARγ活性化組成物である。
本発明のツノマタ抽出物を有効成分とするPPARγ活性化組成物は、強いPPARγ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
このような作用機序が期待できるツノマタ抽出物を有効成分とするPPARγ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新たな機能性食品又は医薬品を提供するものである。
本実施形態のPPARγ活性化組成物は、ツノマタの乾燥物又は抽出物を有効成分として含有する。
ここで、本実施形態において「乾燥物」とは、上記海藻を天日で、あるいは熱風を利用して人工乾燥したもののことで、それらを粉砕機などで粉砕した粉末も含む。また「抽出物」には、上記海藻を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物の何れもが含まれる。

0025

[ツノマタ抽出物の製造]
本実施形態において、ツノマタ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、ツノマタ(学名:Chondrus ocellatus)である。
ツノマタ(角叉;Chondrus ocellatus)は、スギノリ目スギノリ科の紅藻である。本州から九州にかけて分布し、潮間帯下部の環境下で生育している。大きさは高さ15〜20cmで、体は厚みのある膜質幅広く、叉状に数回枝分かれして扇形になる。枝は緑が巻き込んだり、ねじれることが多い。生殖器官藻体全体にできる。色は暗紅色黄緑色など変異が多い。煮溶かしたものを冷やして固め、海藻こんにゃくにする。
明細書中で「ツノマタ」とは、スギノリ目スギノリ科のイボツノマタ(角叉;Chondrus verrucosus)、マルバツノマタ(丸葉角叉;Chondrus nipponicus)、オオバツノマタ(大葉角叉;Chondrus giganteus)、コトジツノマタ(琴柱角叉;Chondrus elatus)を含むが、ツノマタ(Chondrus ocellatus)を使用するのが、より好ましい。
また、本明細書中で「ツノマタ」とはツノマタの体全体をいい、葉片葉状部、中肋茎状部、仮根を含む。

0026

ツノマタ抽出物に含有されるPPARγ活性化作用を有する物質の詳細は不明であるが、海藻の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記海藻からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記ツノマタを乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより、上記海藻の極性溶媒による抽出処理を効率良く行うことができる。

0027

抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水井戸水鉱泉水鉱水温泉水湧水淡水海洋深層水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過イオン交換浸透圧調整緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には精製水熱水イオン交換水生理食塩水リン酸緩衝液リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノールエタノールプロピルアルコールイソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコールアセトンメチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコールプロピレングリコールグリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。

0028

2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調製することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合物を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後に濾過をして抽出残渣を除去することにより、抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得たれる。

0029

なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでもPPARγ活性化組成物の有効成分として使用することが可能であるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
また、上記海藻からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲での脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、サプリメント等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも事実上支障はない。

0030

「PPARγ活性化組成物」
以上のようにして得られるツノマタ由来成分は、優れたPPARγ活性化作用を有している。本発明のツノマタ抽出物のPPARγ活性化作用は、陽性対象品であるトログリタゾンと比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることから、この作用を利用して、PPARγ活性化組成物の有効成分として用いることができる。

0031

このようなPPARγ活性化組成物は、飲食品、医薬用組成物等に配合され得る。
ツノマタ抽出物を含むPPARγ活性化組成物は、飲食品及び医薬組成物の素材として用いられ得る。ツノマタ抽出物を含むPPARγ活性化組成物は、飲食品(例えば、経口用サプリメントのような健康食品)及び医薬用組成物(例えば、経口用の錠剤、カプセル剤)に含有することができる。これらの飲食品及び医薬用組成物は、特に、例えば、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善のために用いられ得る。

0032

飲食品は、ツノマタ抽出物を含むPPARγ活性化組成物の他、ブドウ糖果糖ショ糖マルトースマルチトールソルビトール乳糖クエン酸酒石酸リンゴ酸コハク酸乳酸カゼインゼラチンペクチン寒天アミノ酸類賦形剤増量剤結合剤増粘剤乳化剤着色料香料食品添加物調味料保存料などをさらに適宜含有し得る。このような飲食品は、用途に応じて、粉末、顆粒カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴などにも加工され得る。飲食品(例えば、経口用サプリメント)の製造は、当業者通常用いる方法によって行われ得る。飲食品へのPPARγ活性化組成物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。飲食品全量に対してPPARγ活性化組成物を、0.1〜100質量%、より好ましくは10〜80質量%(抽出物基準)で含有し得る。
PPARγ活性化組成物又は飲食品組成物は、そのまま摂取することができ、水などの溶媒に溶かす又は懸濁させるなどしても摂取することができる。PPARγ活性化組成物は、食事の前後、又は食間経口摂取することができる。PPARγ活性化組成物又は飲食品組成物を飲食品に添加して、飲食することもできる。
PPARγ活性化組成物又は飲食品組成物が添加された食品としては、例えば、在宅糖尿病食流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品ダイエット食品、又は炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0033

具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品乳製品清涼飲料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PPARγ活性化組成物又は飲食品組成物の飲食品への添加又は加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家畜又はペット用(例えば、マウス、ラットハムスターイヌネコウシブタサル等)の飼料への添加も可能である。

0034

本実施形態のPPARγ活性化組成物は、優れたPPARγ活性化作用を有するとともに安全性にも優れているため、例えば、医薬用組成物として配合するのに好適である。本発明のPPARγ活性化組成物は錠剤などの形態にして、これを医薬用組成物として利用することができる。
また、本発明の医薬用組成物は、本発明のPPARγ活性化剤以外の添加物又は薬学的に許容可能な担体を含んでも良い。このような添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤界面活性剤緩衝材溶解補助剤安定化剤等張化剤懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤湿潤剤防腐剤などが挙げられる。
本発明の医薬用組成物の形態は特に制限されるものではないが、経口剤又は非経口剤の何れであってもよい。経口剤としては顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤チンキ剤ゼリー剤などが挙げられる。非経口剤としては注射剤点滴剤軟膏剤点鼻剤坐剤などが挙げられる。

0035

本発明の医薬用組成物の投与量は、特に限定されるものではないが、例えば、本発明の医薬用組成物を経口投与する場合、成人日当たりのツノマタ抽出物の摂取量が0.5〜100mg/kg体重、好ましくは1〜50mg/kg体重の範囲となるような投与量とすることができる。また、本発明の医薬用組成物を非経口的に投与する場合が0.05mg/kg体重〜50mg/kg体重、好ましくは0.5mg/kg体重〜50mg/kg体重となるような含有量とすることができる。

0036

以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0037

[実施態様1の実施例1]
(海藻抽出物の調製)
23種類の海藻(キリンサイマフノリ、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ワカメ(茎部)、ツノマタ(黄)、モズク、トサカノリ(青)、トサカノリ(白)、ワカメ(胞子葉部)、ツノマタ(青)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、マツノリ、ホソバノトサカモドキアサクサノリ、スギノリ(赤)、フノリ、スギノリ(緑)、コンブクロメ、ウップルイノリ、オゴノリ)それぞれ3gをコーヒーミルで粉砕し、50mL容プラスチックチューブ採集した。次いで、プラスチックチューブに30mLのメタノールを加え、15分、3回、超音波抽出を行った。プラスチックチューブを15,000r.p.mで5分間遠心分離を行った後、上清減圧濃縮をおこなうことにより、各種海藻抽出物を得た。得られた各種海藻抽出物に600μLのdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解し、活性評価溶液として、以下の試験に供した。

0038

(PPARγ活性化作用試験)
〈COS−1細胞形質転換
COS−1細胞(African Green Monkeyの腎線維芽細胞)をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離し上清を除去、2mLの培地で細胞を分散して60mm培養シャーレ(Corning社製)に5×105細胞/穴の密度で播種した後、37℃、5%CO2存在下にて24時間培養した。形質転換には、Effectene Transfection Reagent(QIAGEN社製)を使用した。
1.5mL容チューブにBuffer ECを150μL、pPPARs−Gal4 0.25μg、pGal4−Luc 1μg、pSEAP−control vector 1μg、最後にEnhancer 18μLを加え、vortexミキサーで1秒間攪拌した。25℃で2分間放置した後、Effecteneを25μL加え、vortexミキサーで10秒間攪拌し、25℃で5分間放置した。この間に、60mm培養シャーレの培地を除去し、4mLの新鮮培地に交換した。その後、1.5mL容チューブに培地1mLを加え、2回のピペッティング後、60mm培養シャーレに全量を滴下し、37℃、5%CO2存在下にて16時間培養した。

0039

〈COS−1細胞への被検試料添加〉
形質転換したCOS−1細胞をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離後上清を除去し、8.5mLの培地に懸濁して96穴multi well white plate(NUNC社製)に0.8×104細胞/穴(125μL/穴)の密度で播種し、37℃、5% CO2存在下にて1〜2時間培養した。その後、被検試料(各種海藻抽出物)を1.25μL/穴添加し、穏やかに攪拌して37℃、5% CO2存在下にて24時間培養した。

0040

試薬の調製〉
Luciferase活性測定用溶液:60mM Tricine−NaOH (pH7.8)、16mM (CH3COO)2Mg、0.4mMEDTA、0.1% Surfact−Amps X−100 (Thermo社製)、0.5mM D−Luciferin potassium salt (ナカライテスク社製)、1.5mM Adenosine 5’−triphosphate(SIGMA社製)、0.5mM Coenzyme A (SIGMA社製)、0.1mM β−mercaptoethanolを超純水で調製し、10mL程度ずつ分注して使用直前まで−20℃に保存した。
・1×Dillution Buffer:使用直前に5×Dillution Bufferを、水を用いて希釈した。5×Dillution Bufferは、NaCl 4.38g、Tris 2.42gを90mLの超純水で溶解した後、12N HClを加えてpH7.2に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
・Assay buffer:L−homoarginine塩酸塩(C7H16N4O2−HCl) 0.9g、 MgCl2 0.04gを超純水158 mLに溶解し、diethanolamine 42 mLを加えた。12N HClを加えてpH9.8に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
・MUP solution:1 x Dillution Buffer 2.7 μL/穴、 Assay Buffer 7 μL/穴, 10 x MUP 0.3 μL/wellを使用直前に混合した。10 x MUPは、4−methylumbelliferyl phosphate (MUP) 2.56 mgを1 x Dillution Buffer 1000 μLで溶解し、使用直前まで−20℃にて保存した。

0041

〈Luciferase活性の測定〉
被検試料添加から24時間後、培地を25μL/穴回収し、新たな96穴multi well white plateに移した。その後、残りの100μL/穴に、37℃にて融解したluciferase活性測定用溶液を100μL/穴添加し、暗所にて35分反応させた後、発光強度を測定した。

0042

〈Secreted alkaline phosphatase (SEAP)活性の測定〉
回収した培地に、1×Dillution Buffer 25μL/穴を添加し、セロハンテープで蓋をした後、穏やかに攪拌し、65℃、30分間、インキュベーションした。その後、4℃にて5分間冷却し、Assay Buffer 90μL/穴を添加して穏やかに攪拌した。暗所にて25℃、60分間反応させた後、4−methylumebelliferoneに基づく蛍光強度(Ex=360nm、Em=460nm)を測定した。
なお、PPARγのアゴニスト活性に比例する発光強度を、SEAP活性にて補正を行うことにより、PPARγアゴニスト活性を評価した。

0043

結果を図1図2に示す。
図1
図1は、各種の海藻の抽出物を用いたPPARγアゴニスト活性に関するファーストスクリーニングの結果である。細胞障害活性試験の結果を鑑み、PPARγアゴニスト活性の評価をした。各試料それぞれ異なる濃度にて活性を評価した(図1)。コントロール物質として、Troglitazoneを用いた。
図2は、図1の結果を踏まえ、活性の認められた試料、細胞障害が認められた試料(ツノマタ、トサカノリ(青)、トサカノリ(赤))について、さらに詳細な活性評価(×0.1、0.05、0.01及び×1、0.5、0.1)の濃度にて再試験を行った結果を示す。
図1図2に示すように、本発明のツノマタ抽出物のPPARγ活性化作用は、陽性対象品であるトログリタゾンと比べて同程度又はそれ以上の作用を有している。

0044

[実施態様1の実施例2]
(錠剤の製造)
実施例1で得たツノマタ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。

ツノマタ抽出物配合錠剤
(組成) (配合:重量%)
ツノマタ抽出物 24
乳糖63
コーンスターチ12
グアーガム

0045

[実施態様1の実施例3]
ジュースの製造)
実施例1で得たツノマタ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。

ツノマタ抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁5.0
果糖ブドウ糖液糖11.0
クエン酸0.2
L−アスコルビン酸0.02
香料0.2
色素0.1
ツノマタ抽出物 0.2
水 83.28

0046

[実施態様1の効果]
本発明のツノマタ抽出物を有効成分とするPPARγ活性化組成物は、強いPPARγの活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0047

[実施態様2]
[実施態様2が解決しようとする課題]
本実施態様は、飲食品又は医薬用組成物として利用可能なPPARβ/δ活性化作用を有する新たな天然物を見出すことを目的とする。

0048

[実施態様2が提供する解決手段]
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、褐藻類であるワカメの抽出物が強いPPARβ/δの活性化作用を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、次の構成を主構成とする。
1.褐藻類ワカメの乾燥物又は抽出物を含有することを特徴とするPPARβ/δ活性化組成物。
2.生活習慣病又はメタボリックシンドロームの予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
3.インスリン抵抗性症候群又はパーキンソン病又は認知機能障害から成る1種又は2種以上から成る予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
4.インスリン抵抗性症候群がII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、心疾患である、上記2.に記載のPPARβ/δ活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARβ/δ活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARβ/δ活性化組成物を含有する医薬用組成物。

0049

[実施態様2の効果]
褐藻類であるワカメの溶媒抽出物がPPARβ/δの活性化作用を示すことは、新規に提起する作用機序である。
褐藻類であるワカメ抽出物由来のPPARβ/δ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規な機能性食品である。
また、天然由来であるワカメは、従来から食経験もあることから、安全性の高いPPARβ/δ活性化作用を有する飲食品又は医薬用組成物を提供することができる。
ワカメ抽出物を有効成分とするPPARβ/δ活性化組成物は、強いPPARβ/δ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0050

[発明を実施するための形態]
以下に、本実施態様2の実施の形態について説明する。
ワカメ抽出物のPPARβ/δ活性化作用は、陽性対象品であるGW0742(CAS:317318−84−6)と比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることが確認され、これは新規な海藻由来のPPARβ/δ活性化組成物である。
ワカメ抽出物を有効成分とするPPARβ/δ活性化組成物は、強いPPARβ/δ活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
このような作用機序が期待できるワカメ抽出物を有効成分とするPPARβ/δ活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新たな機能性食品又は医薬品を提供するものである。
本実施形態のPPARβ/δ活性化組成物は、ワカメの乾燥物又は抽出物を有効成分として含有する。

0051

ここで、本実施形態において「乾燥物」とは、上記海藻を天日で、あるいは熱風を利用して人工乾燥したもののことで、それらを粉砕機などで粉砕した粉末も含む。また「抽出物」には、上記海藻を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物の何れもが含まれる。

0052

[ワカメ抽出物の製造]
本実施形態において、ワカメ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、ワカメ(学名:Undaria pinnatifida)である。
ワカメ(Undaria pinnatifida;若布)は、コンブ目チガイソ科褐藻である。北海東部や日本の一部を除く北海道から九州にかけて広く分布しており、低潮線から潮下帯の環境下で生育する。大きさは高さ0.5〜2m、体は薄い膜質で、中肋と縁に切れ込みのある葉形になる。中肋から続くには、生長するとひだ状の胞子葉(めかぶ)ができる。地形や環境によって葉部の切れ込みや厚さなどに形態差があり、ナンブワカメ(北方型)やナルトワカメ(南方型)などの品種も認められている。色は褐色で、手触りはやや柔らかくて滑らか。日本と半島に分布し、近年はフランス、オーストラリアのタスマニア島、ニュージーランドなどに帰化し、移入種として問題になっている一方で、養殖も行われている。
本明細書中で「ワカメ」とは、コンブ目チガイソ科のアオワカメ(青若布;Undaria peterseniana)、ヒロメ(広布;Undaria undarioides)、チガイソ(千賀磯;Alaria crassifolia)、アイヌワカメ(あいぬ若布;Alaria praelonga)を含むが、ワカメ(Undaria pinnatifida)を使用するのが、より好ましい。
また、本明細書中で「ワカメ」とはワカメの体全体をいい、葉片、葉状部、中肋、茎状部、仮根を含むが、葉部を使用するのが、より好ましい。

0053

ワカメ抽出物に含有されるPPARβ/δ活性化作用を有する物質の詳細は不明であるが、海藻の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記海藻からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記ワカメを乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより、上記海藻の極性溶媒による抽出処理を効率良く行うことができる。

0054

抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海洋深層水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。

0055

抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調製することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合物を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。

0056

抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後に濾過をして抽出残渣を除去することにより、抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。

0057

なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでもPPARβ/δ活性化組成物の有効成分として使用することが可能であるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
また、上記海藻からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲での脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、サプリメント等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも事実上支障はない。

0058

「PPARβ/δ活性化組成物」
以上のようにして得られるワカメ由来成分は、優れたPPARβ/δ活性化作用を有している。図3〜4に示すように、本発明のワカメ抽出物のPPARβ/δ活性化作用は、陽性対象品であるGW0742と比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることから、この作用を利用して、PPARβ/δ活性化組成物の有効成分として用いることができる。
このようなPPARβ/δ活性化組成物は、飲食品、医薬用組成物等に配合され得る。

0059

ワカメ抽出物を含むPPARβ/δ活性化組成物は、飲食品及び医薬組成物の素材として用いられ得る。ワカメ抽出物を含むPPARβ/δ活性化組成物は、飲食品組成物(例えば、経口用サプリメントのような健康食品)及び医薬用組成物(例えば、経口用の錠剤、カプセル剤)に含有することができる。これらの飲食品組成物及び医薬用組成物は、特に、例えば、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はパーキンソン病又は認知機能障害の予防又は改善のために用いられ得る。

0060

飲食品は、ワカメ抽出物を含むPPARβ/δ活性化組成物の他、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、マルチトール、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料、保存料などをさらに適宜含有し得る。このような飲食品は、用途に応じて、粉末、顆粒、カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴などにも加工され得る。飲食品組成物(例えば、経口用サプリメント)の製造は、当業者が通常用いる方法によって行われ得る。飲食品へのPPARβ/δ活性化組成物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。飲食品は、飲食品組成物全量に対してPPARβ/δ活性化組成物を、0.1〜100質量%、より好ましくは10〜80質量%(抽出物基準)で含有し得る。

0061

PPARβ/δ活性化組成物又は飲食品組成物は、そのまま摂取することができ、水などの溶媒に溶かす又は懸濁させるなどしても摂取することができる。PPARβ/δ活性化組成物は、食事の前後、又は食間に経口摂取することができる。PPARβ/δ活性化組成物又は飲食品組成物を飲食品に添加して、飲食することもできる。
PPARβ/δ活性化組成物又は飲食品組成物が添加された食品としては、例えば、在宅用糖尿病食、流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品、ダイエット食品、又は炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品、乳製品、清涼飲料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
PPARβ/δ活性化組成物又は飲食品組成物の飲食品への添加又は加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家畜又はペット用(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)の飼料への添加も可能である。

0062

本実施形態のPPARβ/δ活性化組成物は、優れたPPARβ/δ活性化作用を有するとともに安全性にも優れているため、例えば、医薬用組成物として配合するのに好適である。本発明のPPARβ/δ活性化組成物は錠剤などの形態にして、これを医薬用組成物として利用することができる。
また、本実施形態の医薬用組成物は、本実施形態のPPARβ/δ活性化剤以外の添加物又は薬学的に許容可能な担体を含んでも良い。このような添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝材、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤、湿潤剤、防腐剤などが挙げられる。
医薬用組成物の形態は特に制限されるものではないが、経口剤又は非経口剤の何れであってもよい。経口剤としては顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、チンキ剤、ゼリー剤などが挙げられる。非経口剤としては注射剤、点滴剤、軟膏剤、点鼻剤、坐剤などが挙げられる。

0063

医薬用組成物の投与量は、特に限定されるものではないが、例えば、医薬用組成物を経口投与する場合、成人1日当たりのワカメ抽出物の摂取量が0.5〜100mg/kg体重、好ましくは1〜50mg/kg体重の範囲となるような投与量とすることができる。また、医薬用組成物を非経口的に投与する場合が0.05mg/kg体重〜50mg/kg体重、好ましくは0.5mg/kg体重〜50mg/kg体重となるような含有量とすることができる。

0064

以下、本実施形態2の実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0065

[実施形態2の実施例1]
(海藻抽出物の調製)
23種類の海藻(キリンサイ、マフノリ、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ワカメ(茎部)、ツノマタ(黄)、モズク、トサカノリ(青)、トサカノリ(白)、ワカメ(胞子葉部)、ツノマタ(青)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、マツノリ、ホソバノトサカモドキ、アサクサノリ、スギノリ(赤)、フノリ、スギノリ(緑)、コンブ、クロメ、ウップルイノリ、オゴノリ)それぞれ3gをコーヒーミルで粉砕し、50mL容プラスチックチューブに採集した。次いで、プラスチックチューブに30mLのメタノールを加え、15分、3回、超音波抽出を行った。プラスチックチューブを15,000r.p.mで5分間遠心分離を行った後、上清を減圧濃縮をおこなうことにより、各種海藻抽出物を得た。得られた各種海藻抽出物を600μLのdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解し、活性評価溶液として、以下の試験に供した。

0066

(PPARβ/δ活性化作用試験)
〈COS−1細胞の形質転換〉
COS−1細胞(African Green Monkeyの腎線維芽細胞)をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離し上清を除去、2mLの培地で細胞を分散して60mm培養シャーレ(Corning社製)に5×105細胞/穴の密度で播種した後、37℃、5%CO2存在下にて24時間培養した。形質転換には、Effectene Transfection Reagent(QIAGEN社製)を使用した。
1.5mL容チューブにBuffer ECを150μL、pPPARs−Gal4 0.25μg、pGal4−Luc 1μg、pSEAP−control vector 1μg、最後にEnhancer 18μLを加え、vortexミキサーで1秒間攪拌した。25℃で2分間放置した後、Effecteneを25μL加え、vortexミキサーで10秒間攪拌し、25℃で5分間放置した。この間に、60mm培養シャーレの培地を除去し、4mLの新鮮培地に交換した。その後、1.5mLチューブに培地1mLを加え、2回のピペッティング後、60mm培養シャーレに全量を滴下し、37℃、5%CO2存在下にて16時間培養した。

0067

〈COS−1細胞への被検試料添加〉
形質転換したCOS−1細胞をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離後上清を除去し、8.5mLの培地に懸濁して96穴multi well white plate(NUNC社製)に0.8×104細胞/穴(125μL/穴)の密度で播種し、37℃、5% CO2存在下にて1〜2時間培養した。その後、被検試料(各種海藻抽出物)を1.25μL/穴添加し、穏やかに攪拌して37℃、5% CO2存在下にて24時間培養した。

0068

〈試薬の調製〉
・Luciferase活性測定用溶液:60mM Tricine−NaOH (pH7.8)、16mM (CH3COO)2Mg、0.4mMEDTA、0.1% Surfact−Amps X−100 (Thermo社製)、0.5mM D−Luciferin potassium salt (ナカライテスク社製)、1.5mM Adenosine 5’−triphosphate(SIGMA社製)、0.5mM Coenzyme A (SIGMA社製)、0.1mM β−mercaptoethanolを超純水で調製し、10mL程度ずつ分注して使用直前まで−20℃に保存した。
・1×Dillution Buffer:使用直前に5×Dillution Bufferを、水を用いて希釈した。5×Dillution Bufferは、NaCl 4.38g、Tris 2.42gを90mLの超純水で溶解した後、12N HClを加えてpH7.2に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
・Assay buffer:L−homoarginine塩酸塩(C7H16N4O2−HCl) 0.9 g、 MgCl2 0.04 gを超純水158 mLに溶解し、diethanolamine 42 mLを加えた。12N HClを加えてpH9.8に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
・MUP solution:1 x Dillution Buffer 2.7 μL/穴、 Assay Buffer 7 μL/穴、 10 x MUP 0.3 μL/wellを使用直前に混合した。10 x MUPは、4−methylumbelliferyl phosphate (MUP) 2.56 mgを1 x Dillution Buffer 1000 μLで溶解し、使用直前まで−20℃にて保存した。

0069

〈Luciferase活性の測定〉
被検試料添加から24時間後、培地を25μL/穴回収し、新たな96穴multi well white plateに移した。その後、残りの100μL/穴に、37℃にて融解したluciferase活性測定用溶液を100μL/穴添加し、暗所にて35分反応させた後、発光強度を測定した。

0070

〈Secreted alkaline phosphatase (SEAP)活性の測定〉
回収した培地に、1×Dillution Buffer 25μL/穴を添加し、セロハンテープで蓋をした後、穏やかに攪拌し、65℃、30分間、インキュベーションした。その後、4℃にて5分間冷却し、Assay Buffer 90μL/穴を添加して穏やかに攪拌した。暗所にて25℃、60分間反応させた後、4−methylumebelliferoneに基づく蛍光強度(Ex=360nm、Em=460nm)を測定した。
なお、PPARβ/δのアゴニスト活性に比例する発光強度を、SEAP活性にて補正を行うことにより、PPARβ/δアゴニスト活性を評価した。

0071

結果を図3、4に示す。
図3はPPARβ/δアゴニスト活性に関するファーストスクリーニングの結果である。細胞障害活性試験の結果を鑑み、PPARβ/δアゴニスト活性の評価をした。各試料それぞれ異なる濃度にて活性を評価した(図3)。コントロール物質として、GW0742を用いた。
図4は、図3に示す結果に基づいて、 PPARβ/δアゴニスト活性を再試験した結果である。図3の結果を踏まえ、活性の認められた試料、細胞障害が認められた試料(キリンサイ、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ツノマタ(黄)、トサカノリ(青)、ツノマタ(青)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、ホソバノトサカモドキ)について、さらに詳細な活性評価(×0.1、0.05、0.01及び×1.0、0.5、0.1)を行った(図4)。
図3、4に示すように、本実施態様2のワカメ抽出物のPPARβ/δ活性化作用は、陽性対象品であるGW0742と比べて同程度又はそれ以上の作用を有している。また、ヒジキと比較しても、ワカメ抽出物のそれは、同程度又はそれ以上の作用を有している。

0072

[実施態様2の実施例2]
(錠剤の製造)
実施例1で得たワカメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。

ワカメ抽出物配合錠剤
(組成) (配合:重量%)
ワカメ抽出物 24
乳糖63
コーンスターチ12
グアーガム1

0073

[実施態様2の実施例3]
(ジュースの製造)
実施例1で得たワカメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。

ワカメ抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁5.0
果糖ブドウ糖液糖11.0
クエン酸0.2
L−アスコルビン酸0.02
香料0.2
色素0.1
ワカメ抽出物 0.2
水 83.28

0074

[実施態様2の効果]
本発明のワカメ抽出物を有効成分とするPPARβ/δ活性化組成物は、強いPPARβ/δの活性化作用を有することから、インスリン抵抗性症候群であるII型糖尿病、高インスリン血症、脂質代謝異常、高血圧、肥満症(特に、内臓脂肪型肥満)又は動脈硬化症、又はアルツハイマー病又は炎症性疾患の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0075

[実施態様3]
[本実施態様の課題]
本実施態様は、飲食品又は医薬用組成物として利用可能なPPARα活性化作用を有する新たな天然物を見出すことを目的とする。

0076

[課題を解決するための手段]
本発明者らは、上記の課題に対して鋭意研究を重ねた結果、褐藻類であるワカメ、ヒジキ、紅藻類であるフノリ、トサカノリの抽出物が、強いPPARαの活性化作用を有することを見出した。
すなわち、本実施態様は、次の構成を主構成とする。
1.褐藻類ワカメ、褐藻類ヒジキ、紅藻類フノリ、紅藻類トサカノリの乾燥物又は抽出物から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とするPPARα活性化組成物。
2.生活習慣病の予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARα活性化組成物。
3.内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善剤である、上記1.に記載のPPARα活性化組成物。
4.生活習慣病がインスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝である、上記2.に記載のPPARα活性化組成物。
5.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARα活性化組成物を含有する飲食品。
6.上記1.〜4.の何れか1に記載のPPARα活性化組成物を含有する医薬用組成物。

0077

[本実施態様の効果]
褐藻類であるワカメ又はヒジキ、紅藻類であるフノリ又はトサカノリの溶媒抽出物がPPARαの活性化作用を示すことは、新規に提起する作用機序である。
褐藻類であるワカメ又はヒジキ、紅藻類であるフノリ又はトサカノリ抽出物由来のPPARα活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新規な機能性食品である。
また、天然由来であるワカメやヒジキ、フノリ、トサカノリは、従来から食経験もあることから、安全性の高いPPARα活性化作用を有する飲食品又は医薬用組成物を提供することができる。
ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を有効成分とするPPARα活性化組成物は、強いPPARα活性化作用を有することから、インスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝などの生活習慣病の予防又は改善、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

0078

[発明を実施するための形態]
以下に、本実施態様の形態について説明する。
ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物のPPARα活性化作用は、陽性対象品であるWY14643(別名:Pirinixic acid、CAS:50892−23−4)と比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることが確認された。これは新規な海藻由来のPPARα活性化組成物である。
ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を有効成分とするPPARα活性化組成物は、強いPPARα活性化作用を有することから、インスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝などの生活習慣病の予防又は改善、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善に、大きく寄与し得る。
このような作用機序が期待できるワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を有効成分とするPPARα活性化組成物を含む飲食品又は医薬用組成物は、新たな機能性食品又は医薬品を提供するものである。

0079

本実施形態のPPARα活性化組成物は、ワカメの乾燥物又は抽出物、又はヒジキの乾燥物又は抽出物、フノリの乾燥物又は抽出物、トサカノリの乾燥物又は抽出物を有効成分として含有する。
ここで、本実施形態において「乾燥物」とは、上記海藻を天日で、あるいは熱風を利用して人工乾燥したもののことで、それらを粉砕機などで粉砕した粉末も含む。また「抽出物」には、上記海藻を抽出原料として得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物の何れもが含まれる。

0080

[ワカメ抽出物、ヒジキ抽出物、フノリ抽出物及びトサカノリ抽出物の製造]
本実施形態において、ワカメ抽出物、ヒジキ抽出物、フノリ抽出物及びトサカノリ抽出物を製造するために使用する抽出原料は、ワカメ(学名:Undaria pinnatifida)、ヒジキ(学名:Sargassum fusiforme)、マフノリ(学名:Gloiopeltis tenax)、トサカノリ(学名:Meristotheca papulosa)である。

0081

ワカメ(Undaria pinnatifida;若布)は、コンブ目チガイソ科の褐藻である。北海道北東部や南日本の一部を除く北海道から九州にかけて広く分布しており、低潮線から潮下帯の環境下で生育する。大きさは高さ0.5〜2m、体は薄い膜質で、中肋と縁に切れ込みのある葉形になる。中肋から続く茎には、生長するとひだ状の胞子葉(めかぶ)ができる。地球や環境によって葉部の切れ込みや厚さなどに形態差があり、ナンブワカメ(北方型)やナルトワカメ(南方型)などの品種も認められている。色は褐色で、手触りはやや柔らかくて滑らか。日本と朝鮮半島に分布し、近年はフランス、オーストラリアのタスマニア島、ニュージーランドなどに帰化し、移入種として問題になっている一方で、養殖も行われている。
本明細書中で「ワカメ」とは、コンブ目チガイソ科のアオワカメ(青若布;Undaria peterseniana)、ヒロメ(広布;Undaria undarioides)、チガイソ(千賀磯;Alaria crassifolia)、アイヌワカメ(あいぬ若布;Alaria praelonga)を含むが、ワカメ(Undaria pinnatifida)を使用するのが、より好ましい。

0082

ヒジキ(Sargassum fusiforme;鹿尾菜、海鹿毛)は、ヒバマタ目ホンダワラ科の褐藻である。日本北海道南部、本州(海岸北部を除く)から九州、南西諸島に分布しており、潮間帯下部の環境下に生息しており、コンブやワカメと並んで重要な食用海藻の1つ。大きさは高さ20〜100cmで、体は円柱状で、岩上を匍匐する繊維状の根から主枝を伸ばす。葉と小枝は同じで多肉質。主枝からは枝が段々に1か所からまとまって出ることが多い。芽生えには幅広く縁に鋸歯のある葉が出る。また太平洋側とは異なり、日本海側のものでは上部の葉も扁平で幅が広くなることがある。小枝の一部は膨らんで中空気泡状になる。早から春にかけて潮間帯下部を埋め尽くすように繁茂する。には枝の部分は消失するが、繊維状の根は数年間残って翌春にまた枝を伸ばす。色は緑褐色や黄褐色で、乾燥した黒いものしか見たことがない人は、驚くことが多い。
本明細書中で「ヒジキ」とは、ヒバマタ目ホンダワラ科のヤツマタモク(八ツ股藻;Sargassum patens)、カラクサモク(唐草藻屑;Sargassum pinnatifidum)、ヨレモク(撚れ藻屑;Sargassum siliquastrum)、ノコギリモク藻屑;Sargassum macrocarpum)、オオバノコギリモク(大葉鋸藻屑;Sargassum giganteifolium)、コブクロモク(Sargassum crispifolium)、フシスジモク(節筋藻屑;Sargassum confusum)、トゲモク(藻屑;Sardassum micracanthum)、イソモク(磯藻屑;Sargassum hemiphyllum)、ホンダワラ馬尾藻、神馬藻、本;Sargassum fulvellum)、マメタワラ(豆俵;Sargassum piluliferum)、タマハハキモク(玉箒藻屑;Sargassum muticum)、ナラサモ(Sargassum nigrifolium)、タマナシモク(玉無し藻屑;Sargassum nipponicum)、フタエモク(二重藻屑;Sargassum duplicatum)アカモク(赤藻屑;Sargassum horneri)、ヤバネモク矢羽根藻屑;Hormophysa cuneiformis)、ジョロモク(郎藻屑;Myagropsis myagroides)、ウガノモク(うがの藻屑;Cystoseira hakodatensis)、スギモク(藻屑;Coccophora langsdorfii)、ラッパモク(喇叭藻屑;Turbinaria ornata)を含むが、ヒジキ(Sargassum fusiforme)を使用するのが、より好ましい。

0083

マフノリ(真布海苔;Gloiopeltis tenax)は、スギノリ目フノリ科の紅藻である。本州太平洋中〜南部、四国、九州、瀬戸内海、本州日本海南部に分布し、潮間帯上部から下部に生息している。大きさは高さ10〜20cmで、体は円柱状かやや扁平で、叉状に枝分かれして伸び、先は細くなる。フクロフノリによく似ているが、中実分岐部はくびれない。また、フクロフノリよりもやや下側の場所に生え、分布はより南に偏る。色は暗紅紫色で、手触りはやや硬い。本種は原料とされるフノリ類の中でも、特に上質とされている。
フノリ抽出物を製造するために使用する抽出原料はマフノリだけに限ったものではなく、同じスギノリ目フノリ科の褐藻であるフクロフノリ(袋布海苔;Gloiopeltis furcata)、ハナフノリ(花布海苔;Gloiopeltis complanata)でも良い。

0084

トサカノリ(鶏冠海苔;Meristotheca papulosa)は、スギノリ目ミリン科の紅藻である。本州太平洋岸中〜南部、伊豆諸島、九州、瀬戸内海、南西諸島に分布し、低潮線下から潮下帯の環境下で生育している。大きさは高さ20〜30cmで、体はやや厚みのある膜質で、叉状に枝分かれして全体は扇状掌状になる。若い個体は全縁だが、やがて縁からは長さの異なる小枝を多数出す。名前は枝の形をニワトリの鶏冠に見立てたもの。色は鮮やかな紅色。手触りは弾力がある。よく打ち上げられる食用海藻としても知られるが、天然資源は減少しており、環境省版レッドリストの準絶滅危惧種に指定されている。
本明細書中で「トサカノリ」とは、スギノリ目ミリン科のミリン(Solieria pacifica)、トゲキリンサイ(棘麒麟菜;Eucheuma serra)を含むが、トサカノリ(Meristotheca papulosa)を使用するのが、より好ましい。

0085

本明細書中で「ワカメ」又は「ヒジキ」、「フノリ」、「トサカノリ」とはワカメ又はヒジキ、フノリ、トサカノリの体全体をいい、葉片、葉状部、中肋、茎状部、仮根を含む。

0086

ワカメ抽出物、ヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物のそれぞれに含有されるPPARα活性化作用を有する物質の詳細は不明であるが、海藻の抽出に一般に用いられている抽出方法によって、上記海藻からこの作用を有する抽出物を得ることができる。
例えば、上記海藻を乾燥した後、そのまま又は粉砕機を用いて粉砕し、抽出溶媒による抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行っても良いし、通常使用される乾燥機を用いて行っても良い。また、ヘキサン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用しても良い。脱脂等の前処理を行うことにより、上記海藻の極性溶媒による抽出処理を効率良く行うことができる。

0087

抽出溶媒としては、極性溶媒を使用するのが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒などが挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で使用することが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水、海洋深層水などのほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本実施形態において抽出溶媒として使用し得る水には精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。

0088

2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調製することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90容量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合物を使用する場合には、水10容量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40容量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10容量部に対して多価アルコール10〜90容量部を混合することが好ましい。

0089

抽出処理は、抽出原料に含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の5〜15倍量(質量比)の抽出溶媒に抽出原料を浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後に濾過をして抽出残渣を除去することにより、抽出液を得ることができる。得られた抽出液から溶媒を留去するとペースト状の濃縮物が得られ、この濃縮物をさらに乾燥すると乾燥物が得られる。

0090

なお、上述のようにして得られた抽出液はそのままでもPPARα活性化組成物の有効成分として使用することが可能であるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
また、上記海藻からの抽出物は特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲での脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、サプリメント等に配合する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも事実上支障はない。

0091

「PPARα活性化組成物」
以上のようにして得られる各海藻由来成分は、優れたPPARα活性化作用を有している。図5〜8に示すように、本発明のワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出液のPPARα活性化作用は、陽性対象品であるWY14643と比べて同程度又はそれ以上の作用を有していることから、この作用を利用して、PPARα活性化組成物の有効成分として用いることができる。
このようなPPARα活性化組成物は、飲食品、医薬用組成物等に配合され得る。

0092

ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を含むPPARα活性化組成物は、飲食品及び医薬組成物の素材として用いられ得る。ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を含むPPARα活性化組成物は、飲食品組成物(例えば、経口用サプリメントのような健康食品)及び医薬用組成物(例えば、経口用の錠剤、カプセル剤)に含有することができる。これらの飲食品組成物及び医薬用組成物は、特に、例えば、インスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝などの生活習慣病の予防又は改善、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善のために用いられ得る。

0093

飲食品は、ワカメ抽出物又はヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を含むPPARα活性化組成物の他、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、マルチトール、ソルビトール、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、アミノ酸類、賦形剤、増量剤、結合剤、増粘剤、乳化剤、着色料、香料、食品添加物、調味料、保存料などをさらに適宜含有し得る。このような飲食品は、用途に応じて、粉末、顆粒、カプセル、錠、シロップ、懸濁液などの形態に成形され得、飴などにも加工され得る。飲食品組成物(例えば、経口用サプリメント)の製造は、当業者が通常用いる方法によって行われ得る。飲食品へのPPARα活性化組成物の配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。飲食品は、飲食品組成物全量に対してPPARα活性化組成物を、0.1〜100質量%、より好ましくは10〜80質量%(抽出物基準)で含有し得る。

0094

PPARα活性化組成物又は飲食品組成物は、そのまま摂取することができ、水などの溶媒に溶かす又は懸濁させるなどしても摂取することができる。PPARα活性化組成物は、食事の前後、又は食間に経口摂取することができる。PPARα活性化組成物又は飲食品組成物を飲食品に添加して、飲食することもできる。
PPARα活性化組成物又は飲食品組成物が添加された食品としては、例えば、在宅用糖尿病食、流動食、病者用食品(糖尿病食調製用組み合わせ食品など)、特定保健用食品、ダイエット食品、又は炭水化物を主成分とする飲食品が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
具体的な食品形態としては、例えば、米飯製品、麦製品、野菜製品、乳製品、清涼飲料などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。

0095

PPARα活性化組成物又は飲食品組成物の飲食品への添加又は加工は、当業者が通常用いる方法によって行われ得、配合量、配合方法、配合時期は適宜選択することができる。人間以外の動物、例えば、家畜又はペット用(例えば、マウス、ラット、ハムスター、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル等)の飼料への添加も可能である。

0096

本実施形態のPPARα活性化組成物は、優れたPPARα活性化作用を有するとともに安全性にも優れているため、例えば、医薬用組成物として配合するのに好適である。本発明のPPARα活性化組成物は錠剤などの形態にして、これを医薬用組成物として利用することができる。

0097

また、本発明の医薬用組成物は、本発明のPPARα活性化剤以外の添加物又は薬学的に許容可能な担体を含んでも良い。このような添加物又は薬学的に許容可能な担体としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、緩衝材、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤、湿潤剤、防腐剤などが挙げられる。

0098

医薬用組成物の形態は特に制限されるものではないが、経口剤又は非経口剤の何れであってもよい。経口剤としては顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、チンキ剤、ゼリー剤などが挙げられる。非経口剤としては注射剤、点滴剤、軟膏剤、点鼻剤、坐剤などが挙げられる。
医薬用組成物の投与量は、特に限定されるものではないが、例えば、医薬用組成物を経口投与する場合、成人1日当たりのワカメ抽出物の摂取量が0.5〜100mg/kg体重、好ましくは1〜50mg/kg体重の範囲となるような投与量とすることができる。また、本発明の医薬用組成物を非経口的に投与する場合が0.05mg/kg体重〜50mg/kg体重、好ましくは0.5mg/kg体重〜50mg/kg体重となるような含有量とすることができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。

0099

[実施形態3の実施例1]
(海藻抽出物の調製)
23種類の海藻(キリンサイ、マフノリ、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ワカメ(茎部)、ツノマタ(黄)、モズク、トサカノリ(青)、トサカノリ(白)、ワカメ(胞子葉部)、ツノマタ(青)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、マツノリ、ホソバノトサカモドキ、アサクサノリ、スギノリ(赤)、フノリ、スギノリ(緑)、コンブ、クロメ、ウップルイノリ、オゴノリ)それぞれ3gをコーヒーミルで粉砕し、50mL容プラスチックチューブに採集した。次いで、プラスチックチューブに30mLのメタノールを加え、15分、3回、超音波抽出を行った。プラスチックチューブを15,000r.p.mで5分間遠心分離を行った後、上清を減圧濃縮をおこなうことにより、各種海藻抽出物を得た。得られた各種海藻抽出物を600μLのdimethylsulfoxide(DMSO)に溶解し、活性評価溶液として、以下の試験に供した。

0100

(PPARα活性化作用試験)
〈COS−1細胞の形質転換〉
COS−1細胞(African Green Monkeyの腎線維芽細胞)をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離し上清を除去、2mLの培地で細胞を分散して60mm培養シャーレ(Corning社製)に5×105細胞/穴の密度で播種した後、37℃、5%CO2存在下にて24時間培養した。形質転換には、Effectene Transfection Reagent(QIAGEN社製)を使用した。
1.5mL容チューブにBuffer ECを150μL、pPPARs−Gal4 0.25μg、pGal4−Luc 1μg、pSEAP−control vector 1μg、最後にEnhancer 18μLを加え、vortexミキサーで1秒間攪拌した。25℃で2分間放置した後、Effecteneを25μL加え、vortexミキサーで10秒間攪拌し、25℃で5分間放置した。この間に、60mm培養シャーレの培地を除去し、4mLの新鮮培地に交換した。その後、1.5mLチューブに培地1mLを加え、2回のピペッティング後、60mm培養シャーレに全量を滴下し、37℃、5%CO2存在下にて16時間培養した。

0101

〈COS−1細胞への被検試料添加〉
形質転換したCOS−1細胞をトリプシン処理により回収し、1,000r.p.m、4℃で3分間遠心分離後上清を除去し、8.5mLの培地に懸濁して96穴multi well white plate(NUNC社製)に0.8×104細胞/穴(125μL/穴)の密度で播種し、37℃、5% CO2存在下にて1〜2時間培養した。その後、被検試料(各種海藻抽出物)を1.25μL/穴添加し、穏やかに攪拌して37℃、5% CO2存在下にて24時間培養した。

0102

〈試薬の調製〉
Luciferase活性測定用溶液:60mM Tricine−NaOH (pH7.8)、16mM (CH3COO)2Mg、0.4mMEDTA、0.1% Surfact−Amps X−100 (Thermo社製)、0.5mM D−Luciferin potassium salt (ナカライテスク社製)、1.5mM Adenosine 5’−triphosphate(SIGMA社製)、0.5mM Coenzyme A (SIGMA社製)、0.1mM β−mercaptoethanolを超純水で調製し、10mL程度ずつ分注して使用直前まで−20℃に保存した。
1×Dillution Buffer:使用直前に5×Dillution Bufferを、水を用いて希釈した。5×Dillution Bufferは、NaCl 4.38g、Tris 2.42gを90mLの超純水で溶解した後、12N HClを加えてpH7.2に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
Assay buffer:L−homoarginine塩酸塩(C7H16N4O2−HCl) 0.9g、 MgCl2 0.04gを超純水158 mLに溶解し、diethanolamine 42 mLを加えた。12N HClを加えてpH9.8に調整し、使用直前まで4℃に保存した。
MUP solution:1 x Dillution Buffer 2.7 μL/穴、 Assay Buffer 7 μL/穴、 10 x MUP 0.3 μL/wellを使用直前に混合した。10 x MUPは、4−methylumbelliferyl phosphate (MUP) 2.56 mgを1 x Dillution Buffer 1000 μLで溶解し、使用直前まで−20℃にて保存した。

0103

〈Luciferase活性の測定〉
被検試料添加から24時間後、培地を25μL/穴回収し、新たな96穴multi well white plateに移した。その後、残りの100μL/穴に、37℃にて融解したluciferase活性測定用溶液を100μL/穴添加し、暗所にて35分反応させた後、発光強度を測定した。

0104

〈Secreted alkaline phosphatase (SEAP)活性の測定〉
回収した培地に、1×Dillution Buffer 25μL/穴を添加し、セロハンテープで蓋をした後、穏やかに攪拌し、65℃、30分間、インキュベーションした。その後、4℃にて5分間冷却し、Assay Buffer 90μL/穴を添加して穏やかに攪拌した。暗所にて25℃、60分間反応させた後、4−methylumebelliferoneに基づく蛍光強度(Ex=360nm、Em=460nm)を測定した。
なお、PPARαのアゴニスト活性に比例する発光強度を、SEAP活性にて補正を行うことにより、PPARαアゴニスト活性を評価した。

0105

結果を図5図9に示す。
図5はPPARαアゴニスト活性に関するファーストスクリーニングの結果を示している。
PPARαアゴニスト活性の評価(ファーストスクリーニング)は、各試料それぞれ同じ濃度にて、活性を評価した。コントロール物質として、WY14643を用いた。
図5に示すように、コントロール物質であるWY14643より高い活性(見かけ上)を示すエキスとして、ヒジキ、ワカメ(葉部)、ワカメ(茎部)、トサカノリ(白)、ツノマタ(赤)、トサカノリ(赤)、アサクサノリに認められた。しかしながら、トサカノリ(青)、メカブ(ワカメ茎部)、クロメ、オゴノリに、細胞障害活性が認められた。
そこで、ファーストスクリーニングの結果を踏まえ、活性の認められた試料、細胞障害が認められた試料について、0.1倍、0.05倍、0.01倍又は1倍、0.25倍、0.06倍の濃度にて、再度実験を行った。その結果を、図6図8に示す。

0106

図6図8に示すように、フノリ、トサカノリ(青)、ワカメ(胞子葉部)、マフノリに、強い活性が認められた。特に、ワカメ(胞子葉部)は、非常に強い活性を示した。
特に活性の強かったワカメの胞子葉部についてさらに詳細に検討したところ、図9に示すように、原液を200倍に希釈しても、比較的高い活性が存在していた。
以上、図5図9に示すように、本発明のワカメ抽出物及びヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物のPPARα活性化作用は、陽性対象品であるWY14643と比べて同程度又はそれ以上の作用を有している。

0107

[実施態様3の実施例2]
(錠剤の製造)
実施例1で得たワカメ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。

ワカメ抽出物配合錠剤
(組成) (配合:重量%)
ワカメ抽出物 24
乳糖63
コーンスターチ12
グアーガム1

0108

[実施態様3の実施例3]
実施例1で得たフノリ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。

フノリ抽出物配合錠剤
(組成) (配合:重量%)
フノリ抽出物 20
マルトース65
デキストリン14
キサンタンガム

0109

[実施態様3の実施例4]
(ジュースの製造)
実施例1で得たヒジキ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。

ヒジキ抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍濃縮温州みかん果汁5.0
果糖ブドウ糖液糖11.0
クエン酸0.2
L−アスコルビン酸0.02
香料0.2
色素0.1
ヒジキ抽出物 0.2
水 83.28

0110

[実施態様3の実施例5]
実施例1で得たトサカノリ抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。

トサカノリ抽出物含有ジュース
(組成) (配合:重量%)
冷凍ぶどう果汁67.0
果糖ブドウ糖液糖9.0
砂糖2.0
酸味料10.0
香料2.0
トサカノリ抽出物 10.0

0111

[実施態様3の効果]
本実施態様のワカメ抽出物及びヒジキ抽出物、フノリ抽出物、トサカノリ抽出物を有効成分とするPPARα活性化組成物は、強いPPARαの活性化作用を有することから、インスリン抵抗性、II型糖尿病、脂質代謝異常、高血圧、内臓脂肪型肥満又は脂肪肝などの生活習慣病の予防又は改善、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の予防又は改善に、大きく寄与し得る。

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