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課題
解決手段
一対のビード部4にそれぞれ配置されたビードコア5の間を跨るように配置されたカーカスコードの層からなるカーカス6を含む空気入りバイアスタイヤ1である。カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して傾斜して配列された複数枚のカーカスプライ10を含んでいる。複数枚のカーカスプライ10は、カーカスコードが互いに交差する向きでタイヤ半径方向に重ねられている。複数枚のカーカスプライ10は、両端部13がビードコア5でタイヤ軸方向内側から外側に折り返された複数の第1プライ11と、両端部14がビードコア5で折り返されることなく終端し、かつ、第1プライ11のタイヤ半径方向外側に配された複数の第2プライ12とを含んでいる。第1プライ11のカーカスコードのタイヤ周方向に対する角度は、第2プライ12のカーカスコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さい。
概要
背景
概要
カーカスプライの耐久性を損ねずに、トレッド部のセンター摩耗を抑制する。 一対のビード部4にそれぞれ配置されたビードコア5の間を跨るように配置されたカーカスコードの層からなるカーカス6を含む空気入りバイアスタイヤ1である。カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して傾斜して配列された複数枚のカーカスプライ10を含んでいる。複数枚のカーカスプライ10は、カーカスコードが互いに交差する向きでタイヤ半径方向に重ねられている。複数枚のカーカスプライ10は、両端部13がビードコア5でタイヤ軸方向内側から外側に折り返された複数の第1プライ11と、両端部14がビードコア5で折り返されることなく終端し、かつ、第1プライ11のタイヤ半径方向外側に配された複数の第2プライ12とを含んでいる。第1プライ11のカーカスコードのタイヤ周方向に対する角度は、第2プライ12のカーカスコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さい。
目的
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、カーカスプライの耐久性を損ねずに、トレッド部のセンター摩耗を抑制することができる空気入りバイアスタイヤを提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
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この技術が所属する分野
請求項1
空気入りバイアスタイヤであって、一対のビード部にそれぞれ配置されたビードコアの間を跨るように配置されたカーカスコードの層からなるカーカスを含み、前記カーカスは、前記カーカスコードをタイヤ周方向に対して傾斜して配列された複数枚のカーカスプライを含み、前記複数枚のカーカスプライは、前記カーカスコードが互いに交差する向きでタイヤ半径方向に重ねられており、前記複数枚のカーカスプライは、両端部が前記ビードコアでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された複数の第1プライと、両端部が前記ビードコアで折り返されることなく終端し、かつ、前記第1プライのタイヤ半径方向外側に配された複数の第2プライとを含み、前記第1プライの前記カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度は、前記第2プライの前記カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さい、空気入りバイアスタイヤ。
請求項2
前記第1プライの前記角度は、前記第2プライの前記角度の70%〜85%である、請求項1記載の空気入りバイアスタイヤ。
請求項3
前記カーカスプライの単位プライ幅当たりの前記カーカスコードの打ち込み本数であるエンズについて、前記第2プライの前記エンズは、前記第1プライの前記エンズよりも大きい、請求項1又は2記載の空気入りバイアスタイヤ。
請求項4
前記第2プライの前記エンズは、前記第1プライの前記エンズの105%〜130%である、請求項3記載の空気入りバイアスタイヤ。
請求項5
前記カーカスコードは、複数本のストランドが撚り合わされて形成されており、前記第1プライの前記カーカスコードの撚り数は、前記第2プライの前記カーカスコードの撚り数よりも大きい、請求項1ないし4のいずれかに記載の空気入りバイアスタイヤ。
請求項6
前記第1プライの前記撚り数は、前記第2プライの前記撚り数の110%〜130%である、請求項5記載の空気入りバイアスタイヤ。
請求項7
技術分野
0001
本発明は、空気入りバイアスタイヤに関する。
背景技術
0002
従来、複数枚のカーカスプライを有するカーカスを具えたバイアスタイヤが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。各カーカスプライは、タイヤ周方向に対して例えば30〜45度の角度で配列されたカーカスコードを有している。これらのカーカスコードは、互いに交差する向きに重ねられている。関連する文献としては次のものがある。
先行技術
0003
特開平08−230414号公報
発明が解決しようとする課題
0005
一方、トレッド部のセンター摩耗を抑制するために、カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度を小さくすることで、内圧充填時のトレッドセンター部のせり出しを抑制し、接地圧をトレッド全域に分散させることが考えられる。しかしながら、カーカスコードの角度を小さくすると、走行時に作用する歪等により、カーカスプライの耐久性が低下するという問題があった。
0006
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、カーカスプライの耐久性を損ねずに、トレッド部のセンター摩耗を抑制することができる空気入りバイアスタイヤを提供することを主たる目的としている。
課題を解決するための手段
0007
本発明は、空気入りバイアスタイヤであって、一対のビード部にそれぞれ配置されたビードコアの間を跨るように配置されたカーカスコードの層からなるカーカスを含み、前記カーカスは、前記カーカスコードをタイヤ周方向に対して傾斜して配列された複数枚のカーカスプライを含み、前記複数枚のカーカスプライは、前記カーカスコードが互いに交差する向きでタイヤ半径方向に重ねられており、前記複数枚のカーカスプライは、両端部が前記ビードコアでタイヤ軸方向内側から外側に折り返された複数の第1プライと、両端部が前記ビードコアで折り返されることなく終端し、かつ、前記第1プライのタイヤ半径方向外側に配された複数の第2プライとを含み、前記第1プライの前記カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度は、前記第2プライの前記カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さいことを特徴とする。
0008
本発明に係る前記空気入りバイアスタイヤにおいて、前記第1プライの前記角度は、前記第2プライの前記角度の70%〜85%であってもよい。
0009
本発明に係る前記空気入りバイアスタイヤにおいて、前記カーカスプライの単位プライ幅当たりの前記カーカスコードの打ち込み本数であるエンズについて、前記第2プライの前記エンズは、前記第1プライの前記エンズよりも大きくてもよい。
0010
本発明に係る前記空気入りバイアスタイヤにおいて、前記第2プライの前記エンズは、前記第1プライの前記エンズの105%〜130%であってもよい。
0011
本発明に係る前記空気入りバイアスタイヤにおいて、前記カーカスコードは、複数本のストランドが撚り合わされて形成されており、前記第1プライの前記カーカスコードの撚り数は、前記第2プライの前記カーカスコードの撚り数よりも大きくてもよい。
0012
本発明に係る前記空気入りバイアスタイヤにおいて、前記第1プライの前記撚り数は、前記第2プライの前記撚り数の110%〜130%であってもよい。
発明の効果
0014
本発明の空気入りバイアスタイヤは、第1プライのカーカスコードのタイヤ周方向に対する角度が、前記第1プライのタイヤ半径方向外側に配された第2プライの前記カーカスコードのタイヤ周方向に対する角度よりも小さく設定されている。これにより、本発明の空気入りバイアスタイヤは、内圧充填時において、トレッドセンター部のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。これは、前記トレッド部の外面の曲率半径を大きくし、接地圧をトレッド部の全域に分散させることができる。したがって、前記トレッド部のセンター摩耗が抑制される。
0015
前記第2プライの前記角度は、前記第1プライの前記角度に比べて大きく設定され、前記第2プライの両端部は、前記ビードコアで折り返されることなく終端している。これにより、路面に近い側に位置する第2プライは、走行時の歪を好適に吸収することができ、ひいては、前記カーカスプライの耐久性を維持することができる。
0016
したがって、本発明の空気入りバイアスタイヤは、前記トレッド部の前記センター摩耗の抑制と、前記カーカスプライの耐久性の維持とを両立しうる。
図面の簡単な説明
0018
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
図1は、空気入りバイアスタイヤ(以下、単に「タイヤ」と記載される場合がある)1の一例を示すタイヤ子午線断面図である。本実施形態のタイヤ1としては、フォークリフト等の産業車両用のものが例示される。
0020
前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば"Measuring Rim" を意味する。
0021
前記「正規内圧」とは、前記規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLDINFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE"を意味する。
0022
タイヤ1は、一対のビード部4にそれぞれ配置されたビードコア5の間を跨るように配置されたカーカス6を含んで構成されている。ビード部4には、ビードコア5から先細状にのびる硬質のビードエーペックスゴム8が配されている。さらに、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2の内方かつカーカス6のタイヤ半径方向外側に配置された補強層7を含んで構成されている。
0024
カーカス6は、カーカスコード9の層として構成されており、カーカスコード9をタイヤ周方向に対して傾斜して配列された複数枚のカーカスプライ10を含んでいる。
0025
複数枚のカーカスプライ10は、カーカスコード9が互いに交差する向きでタイヤ半径方向に重ねられている。本実施形態の複数枚のカーカスプライ10は、複数の第1プライ11と、複数の第2プライ12とを含んで構成されている。複数の第2プライ12は、タイヤ赤道Cにおいて、複数の第1プライ11のタイヤ半径方向外側に設けられている。
0026
図1に示されるように、複数の第1プライ11は、その両端部13が、ビードコア5でタイヤ軸方向内側から外側に折り返されている。このような第1プライ11は、ビードコア5によって強く拘束されるため、タイヤ1の剛性を高めることができる。
0027
本実施形態の複数の第1プライ11は、内側の第1プライ11Aと、外側の第1プライ11Bとを含んで構成されている。外側の第1プライ11Bは、タイヤ赤道Cにおいて、内側の第1プライ11Aのタイヤ半径方向外側に設けられている。本実施形態では、2枚の第1プライ11A及び11Bで構成されているが、3枚以上の第1プライ(図示省略)で構成されてもよい。
0028
第1プライ11Aの両端部13は、サイドウォール部3で終端している。また、内側の第1プライ11Aの両端部13a、及び、外側の第1プライ11Bの両端部13bについて、タイヤ半径方向の終端位置を互いに異ならせている。これにより、内側の第1プライ11Aの両端部13aの終端位置と、外側の第1プライ11Bの両端部13bの終端位置との間で剛性段差が生じるのを防ぐことができる。本実施形態では、内側の第1プライ11Aの両端部13aが、外側の第1プライ11Bの両端部13bよりもタイヤ半径方向外側で終端している。
0029
複数の第2プライ12は、その両端部14が、ビードコア5で折り返されることなく終端している。このような第2プライ12は、ビードコア5で折り返される第1プライ11に比べて、ビードコア5による拘束を小さくすることができる。本実施形態の両端部13は、ビードコア5のタイヤ半径方向の内端5iに沿って配される第1プライ11の内側を、タイヤ軸方向の外側から内側に向かって延びている。
0030
本実施形態の複数の第2プライ12は、内側の第2プライ12Aと、外側の第2プライ12Bとを含んで構成されている。外側の第2プライ12Bは、タイヤ赤道Cにおいて、内側の第2プライ12Aのタイヤ半径方向外側に設けられている。本実施形態では、2枚の第2プライ12A及び12Bで構成されているが、3枚以上の第2プライ(図示省略)で構成されてもよい。
0031
第2プライ12の両端部14は、ビードコア5のタイヤ軸方向の内端5sよりもタイヤ軸方向内側にのび、タイヤ内腔面15に至ることなく終端している。さらに、内側の第2プライ12Aの両端部14a、及び、外側の第2プライ12Bの両端部14bについて、タイヤ軸方向の終端位置を互いに異ならせている。本実施形態では、外側の第2プライ12Bの両端部14bの終端位置が、内側の第2プライ12Aの両端部14aの終端位置よりもタイヤ軸方向内側で終端している。
0032
図3は、カーカスコードの一例を示す拡大図である。カーカスコード9としては、例えば、ナイロン、ポリエステル、又は、レーヨン等の有機繊維コードを採用することができる。本実施形態のカーカスコード9は、複数本のストランド16、16が撚り合わされて形成されている。本実施形態のカーカスコード9は、2本のストランド16、16で構成されているが、3本以上のストランド(図示省略)で構成されてもよい。各ストランド16、16は、フィラメント束が下撚りされている。このストランド16、16が上撚りされることにより、1本のカーカスコード9が構成されている。
0033
図1に示されるように、補強層7は、トレッド部2を補強してカーカス6を保護するために設けられたものである。図2に示されるように、本実施形態の補強層7は、補強コード19を、タイヤ周方向に対して傾斜して配列された少なくとも1枚(本実施形態では、1枚)の補強プライ7Aを含んで構成されている。この補強プライ7Aは、タイヤ半径方向で最も外側に配されたカーカスプライ10(本実施形態では、外側の第2プライ12B)のカーカスコード9と互いに交差する向きで重ねられている。なお、補強層7が複数の補強プライ7Aで構成される場合は、それらの補強プライ7Aの補強コード19が互いに交差する向きで重ねられる。
0034
補強コード19のタイヤ周方向に対する角度α3は、例えば、最も外側に配されたカーカスプライ(本実施形態では、外側の第2プライ12B)のカーカスコード9の角度α2の±5程度に設定される。また、補強コード19としては、ナイロン、ポリエステル、又は、レーヨン等の有機繊維コードを採用することができる。本明細書において、補強コード19の角度α3や、カーカスコード9の角度α1及びα2は、タイヤ赤道C上で特定されるものとする。
0035
そして、本実施形態では、第1プライ11のカーカスコード9のタイヤ周方向に対する角度(以下、単に「第1プライの角度」ということがある。)α1が、第2プライ12のカーカスコード9のタイヤ周方向に対する角度(以下、単に「第2プライの角度」ということがある。)α2よりも小さく設定されている。
0036
本実施形態では、複数の第1プライ11(内側の第1プライ11A及び外側の第1プライ11B)の角度α1が同一に設定され、かつ、複数の第2プライ12(内側の第2プライ12A及び外側の第2プライ12B)の角度α2が同一に設定されている。なお、本明細書において、寸法等の「同一」には、製造上の軽微なバラツキ(誤差)等が許容されるものとする。
0037
また、内側の第1プライ11Aの角度α1a及び外側の第1プライ11Bの角度α1bが互いに異なる場合には、それらの角度α1a及びα1bの平均値が、第1プライ11の角度α1として特定される。同様に、内側の第2プライ12Aの角度α2a及び外側の第2プライ12Bの角度α2bが互いに異なる場合には、それらの角度α2a及びα2bの平均値が、第2プライ12の角度α2として特定される。
0038
本実施形態では、第1プライ11の角度α1を相対的に小さくすることで、第1プライ11によるタイヤ周方向の拘束力を大きくすることができる。これにより、本実施形態のタイヤ1は、内圧充填時において、図1に示したトレッドセンター部20のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。このトレッド部2のせり出しの抑制により、トレッド部2の外面21の曲率半径Rを大きくでき、接地圧をトレッド部2の全域に分散させることができる。したがって、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のセンター摩耗(即ち、トレッドセンター部20が相対的に早く摩耗すること)を抑制することができる。
0039
図1に示されるように、本実施形態の第1プライ11は、その両端部13がビードコア5でタイヤ軸方向内側から外側に折り返されているため、タイヤ周方向の拘束力を大きくすることができる。これにより、第1プライ11は、内圧充填時において、トレッドセンター部20のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制でき、センター摩耗を効果的に抑制することができる。
0040
一方、図2に示されるように、第2プライ12の角度α2は、第1プライ11の角度α1に比べて大きく設定され、図1に示されるように、第2プライ12の両端部14は、ビードコア5で折り返されることなく終端している。これにより、路面に近い側(トレッド部2の外面21側)に位置する第2プライ12は、第1プライ11に比べて、タイヤ周方向の拘束力を小さくすることができる。したがって、第2プライ12は、走行時の歪を好適に吸収することができ、ひいては、カーカスプライ10の耐久性を維持することができる。
0041
このように、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のセンター摩耗の抑制と、カーカスプライ10の耐久性の維持とを両立することができる。
0042
図2に示されるように、第1プライ11の角度α1は、第2プライ12の角度α2の70%〜85%に設定されるのが望ましい。第1プライ11の角度α1が、第2プライ12の角度α2の85%以下に設定されることで、内圧充填時において、トレッドセンター部20(図1に示す)のタイヤ半径方向外側へのせり出しを効果的に抑制することができる。一方、第1プライ11の角度α1が、第2プライ12の角度α2の70%以上に設定されることで、第1プライ11によるタイヤ周方向の拘束力が必要以上に大きくなるのを防ぐことができ、カーカスプライ10の耐久性を維持することができる。このような観点より、第1プライ11の角度α1は、より好ましくは第2プライ12の角度α2の80%以下であり、また、より好ましくは75%以上である。
0043
第1プライ11の角度α1及び第2プライ12の角度α2については、上記範囲を満たしていれば、適宜設定することができる。本実施形態の第1プライ11の角度α1は、25〜33度に設定されている。第1プライ11の角度α1が33度以下に設定されることで、内圧充填時において、トレッドセンター部20(図1に示す)のタイヤ半径方向外側へのせり出しを効果的に抑制することができる。一方、第1プライ11の角度α1が、25度以上に設定されることで、第1プライ11によるタイヤ周方向の拘束力が必要以上に大きくなるのを防ぐことができる。このような観点より、第1プライ11の角度α1は、好ましくは31度以下であり、また、好ましくは27度以上である。
0044
本実施形態の第2プライ12の角度α2は、33度〜39度に設定されている。第2プライ12の角度α2が33度以上に設定されることで、走行時の歪を好適に吸収することができる。一方、第2プライ12の角度α2が39度以下に設定されることで、トレッド部2の剛性を維持することができる。このような観点より、第2プライ12の角度α2は、好ましくは35度以上であり、また、好ましくは37度以下である。
0045
カーカスプライ10の単位プライ幅当たり(例えば、プライ幅5cm当たり)のカーカスコード9の打ち込み本数であるエンズについては、適宜設定することができる。第2プライ12のエンズは、第1プライ11のエンズよりも大きく設定されてもよい。
0046
本実施形態では、複数の第1プライ11(内側の第1プライ11A及び外側の第1プライ11B)のエンズが同一に設定され、かつ、複数の第2プライ12(内側の第2プライ12A及び外側の第2プライ12B)のエンズが同一に設定されている。なお、内側の第1プライ11Aのエンズ及び外側の第1プライ11Bのエンズが互いに異なる場合には、それらのエンズの平均値が、第1プライ11のエンズとして特定される。同様に、内側の第2プライ12Aのエンズ及び外側の第2プライ12Bのエンズが互いに異なる場合には、それらのエンズの平均値が、第2プライ12のエンズとして特定される。
0047
本実施形態では、第2プライ12のエンズが、第1プライ11のエンズよりも大きく設定されることにより、図1に示したトレッド部2の路面に近い側(トレッド部2の外面21側)の剛性を向上させることができる。したがって、本実施形態のタイヤ1は、トレッド部2のセンター摩耗を抑制することができる。
0048
一方、第1プライ11のエンズが、第2プライ12のエンズよりも小さく設定されることにより、上記角度α1の設定によって拘束力が相対的に大きくなった第1プライ11のカーカスコード9と、トッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷を防ぐことができる。
0049
第2プライ12のエンズは、第1プライ11のエンズの105%〜130%に設定されるのが望ましい。第2プライ12のエンズが、第1プライ11のエンズの105%以上に設定されることで、トレッド部2の剛性を効果的に向上させることができ、トレッド部2のセンター摩耗を抑制することができる。さらに、第1プライ11のエンズを、第2プライ12のエンズよりも小さく設定することができるため、第1プライ11のカーカスコード9と、トッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷を効果的に防ぐことができる。
0050
一方、第2プライ12のエンズが、第1プライ11のエンズの130%以下に設定されることで、走行時の歪を吸収することができ、カーカスプライ10の耐久性を維持することができる。このような観点より、第2プライ12のエンズは、より好ましくは、第1プライ11のエンズの110%以上であり、また、より好ましくは125%以下である。
0051
第2プライ12のエンズ及び第1プライ11のエンズについては、上記範囲を満たしていれば、適宜設定することができる。本実施形態の第2プライ12のエンズは、40〜48(本/5cm)に設定されている。第2プライ12のエンズが40(本/5cm)以上に設定されることで、トレッド部2の剛性を向上させることができる。一方、第2プライ12のエンズが48(本/5cm)以下に設定されることで、走行時の歪を吸収することができる。このような観点より、第2プライ12のエンズは、好ましくは42(本/5cm)以上であり、また、好ましくは46(本/5cm)以下である。
0052
本実施形態の第1プライ11のエンズは、30〜38(本/5cm)に設定されている。第1プライ11のエンズが38(本/5cm)以下に設定されることで、カーカスコード9とトッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷を防ぐことができる。一方、第1プライ11のエンズが30(本/5cm)以上に設定されることで、内圧充填時において、トレッドセンター部20のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。このような観点より、第1プライ11のエンズは、好ましくは36(本/5cm)以下であり、また、好ましくは32(本/5cm)以上である。
0053
カーカスコード9の撚り数については、適宜設定することができる。図3に示されるように、本明細書において、撚り数は、ストランド16、16の上撚り数(回/10cm)で定義されるものとする。なお、本実施形態において、ストランド16、16の下撚り数(回/10cm)は、同一に設定されている。
0054
第1プライ11のカーカスコード9の撚り数(以下、単に「第1プライの撚り数」ということがある。)は、第2プライ12のカーカスコード9の撚り数(以下、単に「第2プライの撚り数」ということがある。)よりも大きく設定されてもよい。
0055
本実施形態では、複数の第1プライ11(内側の第1プライ11A及び外側の第1プライ11B)の撚り数が同一に設定され、かつ、複数の第2プライ12(内側の第2プライ12A及び外側の第2プライ12B)の撚り数が同一に設定されている。なお、内側の第1プライ11Aの撚り数及び外側の第1プライ11Bの撚り数が互いに異なる場合には、それらの撚り数の平均値が、第1プライ11の撚り数として特定される。同様に、内側の第2プライ12Aの撚り数及び外側の第2プライ12Bの撚り数が互いに異なる場合には、それらの撚り数の平均値が、第2プライ12の撚り数として特定される。
0056
本実施形態では、第1プライ11の撚り数が、第2プライ12の撚り数よりも大きく設定されることにより、上記の角度α1が設定されることで伸長疲労を受けやすい第1プライ11のカーカスコード9を伸びやすくできるため、第1プライ11のカーカスコード9の耐疲労性を向上させることができる。さらに、第1プライ11のカーカスコード9は、カーカスコード9を被覆するトッピングゴム(図示省略)との接着面積を増加させることができるため、カーカスコード9とトッピングゴムとの間のセパレーション等の損傷を防ぐことができる。
0057
一方、第2プライ12の撚り数は、第1プライ11の撚り数よりも小さくできるため、第2プライ12のカーカスコード9を、第1プライ11のカーカスコード9に比べて伸びにくくすることができる。これにより、第2プライ12は、トレッド部2(図1に示す)の剛性を向上させることができ、トレッド部2のセンター摩耗を抑制することができる。
0058
第1プライ11の撚り数は、第2プライ12の撚り数の110%〜130%に設定されるのが望ましい。第1プライ11の撚り数が、第2プライ12の撚り数の110%以上に設定されることで、第1プライ11のカーカスコード9の耐疲労性の向上により、カーカスコード9の破断を防ぐことができ、かつ、カーカスコード9とトッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷を抑制することができる。これにより、カーカスプライ10の耐久性を維持することができる。さらに、第2プライ12は、トレッド部2の剛性を向上させることができるため、トレッド部2のセンター摩耗を効果的に抑制することができる。
0059
一方、第1プライ11の撚り数が、第2プライ12の撚り数の130%以下に設定されることにより、第1プライ11のカーカスコード9が必要以上に伸びるのを防ぐことができ、トレッドセンター部20(図1に示す)のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。このような観点より、第1プライ11の撚り数は、より好ましくは、第2プライ12の撚り数の115%以上であり、また、より好ましくは、第2プライ12の撚り数の125%以下である。
0060
第1プライ11の撚り数及び第2プライ12の撚り数については、上記範囲を満たしていれば、適宜設定することができる。本実施形態の第1プライ11の撚り数は、26〜34(回/10cm)に設定されている。第1プライ11の撚り数が26(回/10cm)以上に設定されることにより、第1プライ11のカーカスコード9の破断や、カーカスコード9とトッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷の抑制を実現することができる。一方、第1プライ11の撚り数が34(回/10cm)以下に設定されることにより、トレッドセンター部20(図1に示す)のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。このような観点より、第1プライ11の撚り数は、好ましくは28(回/10cm)以上であり、また、好ましくは32(本/5cm)以下である。
0061
本実施形態の第2プライ12の撚り数は、21〜29(回/10cm)に設定されている。第2プライ12の撚り数が29(回/10cm)以下に設定されることで、トレッド部2の剛性を向上させることができる。一方、第2プライ12の撚り数が21(回/10cm)以上に設定されることで、走行時の歪を好適に吸収することができる。このような観点より、第2プライ12の撚り数は、好ましくは27(回/10cm)以下であり、また、好ましくは23(回/10cm)以上である。
0062
図1に示されるように、カーカス6(及び補強層7)のタイヤ半径方向外側に配されたトレッドゴム22について、タイヤ赤道Cでの最大厚さW1については、適宜設定することができる。本実施形態の最大厚さW1は、25〜32mmに設定されている。
0063
最大厚さW1が25mm以上に設定されることで、トレッドゴム22の剛性を高めることができるため、内圧充填時において、トレッドセンター部20のタイヤ半径方向外側へのせり出しを抑制することができる。さらに、トレッドセンター部20のトレッドゴム22の厚さを大きくすることができるため、トレッドセンター部20の見かけ上の摩耗量(即ち、最大厚さW1に対する摩耗量の割合)を小さくすることができる。
0064
一方、最大厚さW1が32mm以下に設定されることで、トレッドゴム22の発熱が大きくなるのを抑制することができ、発熱に起因するカーカスコード9(図2に示す)のコード強力の低下や、カーカスコード9とトッピングゴム(図示省略)とのセパレーションを防ぐことができる。このような観点より、最大厚さW1は、より好ましくは27mm以上であり、また、より好ましくは30mm以下である。
0065
図2に示されるように、これまでの実施形態では、内側の第1プライ11Aの角度α1aと、外側の第1プライ11Bの角度α1bとが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、内側の第1プライ11Aの角度α1aは、外側の第1プライ11Bの角度α1bよりも小さく設定されてもよい。これにより、第1プライ11において、内側の第1プライ11Aによるタイヤ周方向の拘束力を大きくしつつ、路面に近い側(トレッド部2の外面21側)に位置する外側の第1プライ11Bにおいて、走行時の歪を好適に吸収することができる。
0066
また、内側の第2プライ12Aの角度α2aと、外側の第2プライ12Bの角度α2bとが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、第1プライ11A及び11Bと同様の観点より、内側の第2プライ12Aの角度α2aは、外側の第2プライ12Bの角度α2bよりも小さく設定されてもよい。
0067
これまでの実施形態では、内側の第1プライ11Aのエンズと、外側の第1プライ11Bのエンズとが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、外側の第1プライ11Bのエンズは、内側の第1プライ11Aのエンズよりも大きく設定されてもよい。これにより、トレッド部2(図1に示す)の路面に近い側(トレッド部2の外面21側)の剛性を向上させつつ、内側の第1プライ11Aのカーカスコード9と、トッピングゴム(図示省略)との間のセパレーション等の損傷を防ぐことができる。
0068
また、内側の第2プライ12Aのエンズと、外側の第2プライ12Bのエンズとが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、第1プライ11A及び11Bと同様の観点より、外側の第2プライ12Bのエンズは、内側の第2プライ12Aのエンズよりも大きく設定されてもよい。
0069
これまでの実施形態では、内側の第1プライ11Aの撚り数と、外側の第1プライ11Bの撚り数とが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、内側の第1プライ11Aの撚り数は、外側の第1プライ11Bの撚り数よりも大きく設定されてもよい。これにより、内側の第1プライ11Aのカーカスコード9の耐疲労性を向上させつつ、トレッド部2(図1に)の路面に近い側(トレッド部2の外面21側)の剛性を向上させることができる。
0070
また、内側の第2プライ12Aの撚り数と、外側の第2プライ12Bの撚り数とが同一に設定されたが、互いに異ならせてもよい。この場合、内側の第2プライ12Aの撚り数は、外側の第2プライ12Bの撚り数よりも大きく設定されてもよい。
0071
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
0072
[実施例A]
図1に示した基本構成を有し、かつ、表1の仕様に基づいてカーカスプライの角度が設定された空気入りバイアスタイヤが試作された(実施例1〜4、比較例)。そして、共通仕様は、次のとおりである。
タイヤサイズ:7.00−12/5.00
リムサイズ:12×5.00S
トレッドゴムの最大厚さW1:19mm
第1プライのカーカスコードのエンズ:34(本/5cm)
第2プライのカーカスコードのエンズ:34(本/5cm)
第1プライのカーカスコードの撚り数:25(回/10cm)
第2プライのカーカスコードの撚り数:25(回/10cm)
内圧:840kPa
車両:2.5t積みのカウンターウェイト式フォークリフト
テスト方法は次のとおりである。
0073
<耐センター摩耗性能・実車耐久性>
各試供タイヤが上記リムにリム組みされ、かつ、上記内圧が充填されて、上記車両の全輪に装着された。そして、1.5t前後の重量物の荷役作業を3ヶ月間実施した後に、各試供タイヤにおいて、センター摩耗の有無が確認された。タイヤ赤道での摩耗量とトレッド端での摩耗量との差を、実施例1を100とする指数で表示している。数値が大きいほど、センター摩耗が小さく良好であることを示している。さらに、各試供タイヤを解体して、カーカスコードの破断の有無が確認され、実施例1において破断した本数を100とする指数で表示している。数値が大きいほど、カーカスコードの破断が少なく、耐久性に優れていることを示している。なお、数値が95以上であれば、上記車両に求められる耐センター摩耗性能及び実車耐久性を満たしている。
0074
<ドラム耐久性>
各試供タイヤが上記リムにリム組みされ、かつ、上記内圧、縦荷重18.69kN、速度20km/hで直径1.7mのドラム上を5000km走行させた。そして、走行後の試供タイヤを解体して、カーカスコードの破断や、カーカスコードとトッピングゴムとの間のセパレーションなどの損傷箇所の有無が目視にて確認された。結果は、実施例1の損傷箇所の合計数を100とする指数で表示され、数値が大きいほど耐久性に優れることを示している。なお、数値が95以上であれば、上記車両に求められる耐久性を満たしている。
テストの結果が表1に示される。
0075
0076
テストの結果、実施例のタイヤは、比較例のタイヤに比べて、カーカスプライの耐久性を損ねずに、トレッド部のセンター摩耗を抑制できることが確認できた。
0077
[実施例B]
図1に示した基本構成を有し、かつ、表1の仕様に基づいて設定されたカーカスプライ及びトレッドゴムを有する空気入りバイアスタイヤが試作された(実施例1、6〜15)。共通仕様は、表2及び下記を除き、実施例Aのとおりである。
第1プライのカーカスコードの角度α1:28(度)
第2プライのカーカスコードの角度α2:36(度)
テスト方法は、実施例Aと同一であり、テストの結果が表2に示される。
0078
実施例
0079
テストの結果、実施例のタイヤは、トレッドゴムの最大厚さ、カーカスコードのエンズ、及び、カーカスコードの撚り数を所定の範囲に限定することで、トレッド部のセンター摩耗の抑制と、カーカスプライの耐久性の維持とを、高い次元で両立できることが確認できた。
0080
1空気入りバイアスタイヤ
4ビード部
5ビードコア
6カーカス
10カーカスプライ
11 第1プライ
12 第2プライ