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技術 高周波誘電加熱接着シート、布帛接合体及び接合方法

出願人 リンテック株式会社
発明者 佐々木遼内藤淳田矢直紀
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-068490
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-163786
状態 未査定
技術分野 プラスチック等のライニング、接合
主要キーワード 誘電加熱処理 誘電力率 伸縮試験 反転運動 テープ基体 高周波誘電加熱装置 ホットメルトシール したん
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図面 (5)

課題

縫合が無くても、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理によって高い強度で布帛接合できる高周波誘電加熱接着シートを提供すること、当該高周波誘電加熱接着シートを含む布帛接合体を提供すること、並びに当該高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法を提供すること。

解決手段

熱可塑性樹脂(A)と、誘電フィラー(B)と、を含有する高周波誘電接着剤層を有し、前記誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛である、布帛21,22を接合することに用いられる高周波誘電加熱接着シート10。

概要

背景

布帛接合する技術として、縫製に代替して、高周波又は加熱処理により布帛を接合する技術がある。
例えば、特許文献1には、布帛の接合に用いるテープとして、熱可塑性重合体テープ基体と、このテープ基体の少なくとも1面上に互いに離間して形成された多数の粘着剤スポット層からなる布帛用接着テープが記載されている。

また、例えば、特許文献2には、線維基布と、所定の誘電率、誘電力率及び融点熱可塑性樹脂皮膜とを積層した防水布帛を、所定の誘電率、誘電力率及び融点を有するホットメルトシール材を介して伏せ縫い縫合し、高周波ウエルダーを用いて縫合部を誘電加熱して接合する技術が記載されている。

概要

縫合が無くても、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理によって高い強度で布帛を接合できる高周波誘電加熱接着シートを提供すること、当該高周波誘電加熱接着シートを含む布帛接合体を提供すること、並びに当該高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法を提供すること。熱可塑性樹脂(A)と、誘電フィラー(B)と、を含有する高周波誘電接着剤層を有し、前記誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛である、布帛21,22を接合することに用いられる高周波誘電加熱接着シート10。

目的

本発明の目的は、縫合が無くても、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理によって高い強度で布帛を接合できる高周波誘電加熱接着シートを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

高周波誘電接着剤層を有し、前記高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)と、誘電フィラー(B)と、を含有し、前記誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛である、布帛接合することに用いられる高周波誘電加熱接着シート

請求項2

請求項1に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂を含む、高周波誘電加熱接着シート。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記熱可塑性樹脂(A)は、極性部位を有するポリオレフィン系樹脂を含む、高周波誘電加熱接着シート。

請求項4

請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電接着剤層の流動開始温度は、80℃以上、300℃以下である、高周波誘電加熱接着シート。

請求項5

請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下である、高周波誘電加熱接着シート。

請求項6

請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、動的屈曲性試験の実施前後における前記高周波誘電加熱接着シートの引張破壊応力変化率R1が、80%以上、120%以下である、高周波誘電加熱接着シート。変化率R1={(動的屈曲性試験後の引張破壊応力)/(動的屈曲性試験前の引張破壊応力)}×100

請求項7

請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電加熱接着シートのヤング率は、500MPa以下である、高周波誘電加熱接着シート。

請求項8

布帛と、被着体と、前記布帛及び前記被着体を接合する請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートの前記高周波誘電接着剤層と、を有する布帛接合体

請求項9

請求項8の布帛接合体において、前記布帛及び前記被着体を掴み具で固定して実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当する、布帛接合体。

請求項10

請求項9に記載の布帛接合体において、前記布帛接合体を温度25℃の水中に1日間浸漬させる耐水試験を施し、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当する、布帛接合体。

請求項11

請求項9又は請求項10に記載の布帛接合体において、前記布帛接合体を温度25℃の脂肪族系炭化水素溶剤中に1時間浸漬させる耐溶剤試験を施し、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当する、布帛接合体。

請求項12

請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の高周波誘電加熱接着シートを用いて、布帛と、被着体と、を接合する、接合方法

請求項13

請求項12に記載の接合方法において、前記布帛と前記被着体との間に前記高周波誘電加熱接着シートを配置する工程と、前記高周波誘電接着剤層に高周波印加して、前記布帛及び前記被着体を接合する工程と、を有する、接合方法。

請求項14

請求項13に記載の接合方法において、前記高周波誘電接着剤層に対して、1kHz以上、300MHz以下の高周波を印加する、接合方法。

請求項15

請求項13又は請求項14に記載の接合方法において、高周波の印加時間は、1秒以上、60秒以下である、接合方法。

技術分野

0001

本発明は、高周波誘電加熱接着シート布帛接合体及び接合方法に関する。

背景技術

0002

布帛を接合する技術として、縫製に代替して、高周波又は加熱処理により布帛を接合する技術がある。
例えば、特許文献1には、布帛の接合に用いるテープとして、熱可塑性重合体テープ基体と、このテープ基体の少なくとも1面上に互いに離間して形成された多数の粘着剤スポット層からなる布帛用接着テープが記載されている。

0003

また、例えば、特許文献2には、線維基布と、所定の誘電率、誘電力率及び融点熱可塑性樹脂皮膜とを積層した防水布帛を、所定の誘電率、誘電力率及び融点を有するホットメルトシール材を介して伏せ縫い縫合し、高周波ウエルダーを用いて縫合部を誘電加熱して接合する技術が記載されている。

先行技術

0004

特開昭57−117578号公報
特開平8−92868号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1に記載の布帛用接着テープによれば、出力2kW、周波数40.68MHzの高周波発振機による高周波処理を3秒間実施することで、2枚の帆布を接合できる旨が記載されている。
特許文献2に記載の接合技術では、伏せ縫い縫合した上で、高周波ウエルダーを用いて、印加周波数40MHz、発振時間5秒、陽極電流0.3Aの条件で防水布帛を接合している。
しかしながら、特許文献1に記載のような高周波処理条件では消費電力が大きいため、より低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理であっても布帛を高い強度で接合する技術が求められている。
また、特許文献2に記載の接合技術では、ミシン糸等を用いて縫合することで接合強度を確保しているが、縫合せずに充分な接合強度が得られる接合方法が求められている。

0006

本発明の目的は、縫合が無くても、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理によって高い強度で布帛を接合できる高周波誘電加熱接着シートを提供すること、当該高周波誘電加熱接着シートを含む布帛接合体を提供すること、並びに当該高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0007

本発明の一態様によれば、高周波誘電接着剤層を有し、前記高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)と、誘電フィラー(B)と、を含有し、前記誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛である、布帛を接合することに用いられる高周波誘電加熱接着シートが提供される。

0008

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系樹脂を含むことが好ましい。

0009

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記熱可塑性樹脂(A)は、極性部位を有するポリオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。

0010

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電接着剤層の流動開始温度は、80℃以上、300℃以下であることが好ましい。

0011

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下であることが好ましい。

0012

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、動的屈曲性試験の実施前後における前記高周波誘電加熱接着シートの引張破壊応力変化率R1が、80%以上、120%以下であることが好ましい。
変化率R1={(動的屈曲性試験後の引張破壊応力)/(動的屈曲性試験前の引張破壊応力)}×100

0013

本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートにおいて、前記高周波誘電加熱接着シートのヤング率は、500MPa以下であることが好ましい。

0014

本発明の一態様によれば、布帛と、被着体と、前記布帛及び前記被着体を接合する前述の本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートの前記高周波誘電接着剤層と、を有する布帛接合体が提供される。

0015

本発明の一態様に係る布帛接合体において、前記布帛及び前記被着体を掴み具で固定して実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当することが好ましい。

0016

本発明の一態様に係る布帛接合体において、前記布帛接合体を温度25℃の水中に1日間浸漬させる耐水試験を施し、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当することが好ましい。

0017

本発明の一態様に係る布帛接合体において、前記布帛接合体を温度25℃の脂肪族系炭化水素溶剤中に1時間浸漬させる耐溶剤試験を施し、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、前記布帛が破壊されるか、前記被着体が破壊されるか、前記布帛及び前記被着体の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当することが好ましい。

0018

本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る高周波誘電加熱接着シートを用いて、布帛と、被着体と、を接合する接合方法が提供される。

0019

本発明の一態様に係る接合方法において、前記布帛と前記被着体との間に前記高周波誘電加熱接着シートを配置する工程と、前記高周波誘電接着剤層に高周波を印加して、前記布帛及び前記被着体を接合する工程と、を有することが好ましい。

0020

本発明の一態様に係る接合方法において、前記高周波誘電接着剤層に対して、1kHz以上、300MHz以下の高周波を印加することが好ましい。

0021

本発明の一態様に係る接合方法において、高周波の印加時間は、1秒以上、60秒以下であることが好ましい。

発明の効果

0022

本発明の一態様によれば、縫合が無くても、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理によって高い強度で布帛を接合できる高周波誘電加熱接着シートを提供できる。
本発明の一態様によれば、当該高周波誘電加熱接着シートを含む布帛接合体を提供できる。
本発明の一態様によれば、当該高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法を提供できる。

図面の簡単な説明

0023

第1実施形態に係る接合布帛の断面概略図である。
第1実施形態において誘電加熱接着装置を用いて実施する誘電加熱処理を説明するための図である。
変形例に係る接合布帛の断面概略図である。
別の変形例に係る接合布帛の断面概略図である。

0024

〔実施形態〕
[高周波誘電加熱接着シート]
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層を含む。高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)を含有する。本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、布帛を接合することに用いられる。本明細書において、熱可塑性樹脂(A)をA成分と称する場合もある。本明細書において、誘電フィラー(B)をB成分と称する場合もある。
高周波誘電加熱接着シート及び高周波誘電接着剤層の詳細については後述する。

0025

(1)高周波誘電加熱接着シートの使用態様
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、布帛を接合することに用いられる。本明細書中では、例として布帛同士を接合させているが、布帛が接合される対象物は、布帛であってもよく、他の部材(被着体)であってもよい。他の部材としては、例えば、上質紙アート紙、コート紙、グラシン紙等の紙基材;これらの紙基材にポリエチレン等の熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙;アルミニウム箔銅箔や鉄箔等の金属箔;不織布等の多孔質材料ポリエチレン樹脂ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂ポリブチレンテレフタレート樹脂ポリエチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂アセテート樹脂ABS樹脂ポリスチレン樹脂塩化ビニル樹脂等の1種以上の樹脂を含む樹脂フィルム又はシート;等が挙げられる。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いて、布帛と被着体とを接合することで、例えば、布帛接合体を製造できる。本実施形態に係る布帛接合体が、布帛と被着体との接合体であって、当該被着体も布帛である場合、一方の布帛を第1布帛と称し、他方の布帛を第2布帛と称する場合がある。このように、布帛同士を接合して得られる接合体を、本明細書において、接合布帛と称する。

0026

(接合布帛)
図1には、本実施形態に係る接合布帛1を示す断面概略図が示されている。
本実施形態に係る接合布帛1は、第1布帛21と、高周波誘電加熱接着シート10と、第2布帛22と、を有する。接合布帛1は、第1布帛21と第2布帛22との間に高周波誘電加熱接着シート10を含む。
高周波誘電加熱接着シート10の詳細については後述する。

0027

(布帛)
第1布帛21及び第2布帛22は、特に制限されない。第1布帛21及び第2布帛22としては、それぞれ独立に、例えば、従来公知の天然繊維及び化学繊維からなる群から選択される繊維で構成された織物編物または不織布等を用いることができる。
化学繊維としては、再生繊維半合成繊維合成繊維及び無機繊維が挙げられる。
再生繊維としては、例えば、ビスコース繊維レーヨン及びポリノジック)、銅アンモニア繊維(キュプラ)、落花生たんぱく繊維とうもろこしたんぱく繊維、大豆たんぱく繊維、マンナン繊維、ゴム繊維アルギン繊維、キチン繊維並びにガゼイン繊維が挙げられる。
半合成繊維としては、例えば、アセテート繊維アセテート及びトリアセテート)並びにプロミックス繊維(プロミックス)が挙げられる。
合成繊維としては、例えば、ナイロン繊維ポリエステル系繊維アラミド繊維ビニロン繊維ポリ塩化ビニリデン系繊維ポリ塩化ビニル系繊維フッ素系繊維アクリル繊維アクリル系繊維ポリエチレン系繊維ポリプロピレン系繊維ポリウレタン系繊維ポリクラール繊維及びポリ乳酸繊維等が挙げられる。
無機繊維としては、例えば、ガラス繊維炭素繊維及び金属繊維が挙げられる。
天然繊維としては、植物繊維及び動物繊維が挙げられる。
植物繊維としては、例えば、コットン、カボック、木材パルプ非木材パルプマニラ麻サイザル麻ニュージーランド麻羅布麻椰子いぐさ、及び麦わらが挙げられる。
動物繊維としては、獣毛羊毛アンゴラモヘア、カシミア、アルパカ、キャメルビキューナ)、シルク)及び羽毛ダウンフェザー)が挙げられる。
布帛は、1種類の繊維から構成されていてもよいし、2種類以上の繊維から構成されていてもよい。

0028

第1布帛21及び第2布帛22は、本発明の効果をより得ることが出来る観点から、防水性を有する布帛であることが好ましい。

0029

第1布帛21及び第2布帛22の厚さは、特に限定されず、適宜、用途に応じた厚さの布帛を選択すればよい。
第1布帛21及び第2布帛22の厚さは、被着体へのダメージを小さくする観点から、それぞれ独立に、50μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることがさらに好ましく、500μm以上であることがよりさらに好ましい。
第1布帛21及び第2布帛22の厚さは、効率的に接合を行う観点から、それぞれ独立に、2000μm以下であることが好ましく、1200μm以下であることがより好ましく、1000μm以下であることがさらに好ましい。

0030

第1布帛21及び第2布帛22の目付は、特に限定されず、適宜、用途に応じた目付の布帛を選択すればよい。
第1布帛21及び第2布帛22の目付は、被着体へのダメージを小さくする観点から、それぞれ独立に、100g/m2以上であることが好ましく、150g/m2以上であることがより好ましく、170g/m2であることがさらに好ましい。
第1布帛21及び第2布帛22の目付は、効率的に接合を行う観点から、それぞれ独立に、3000g/m2以下であることが好ましく、2000g/m2以下であることがより好ましく、1000g/m2以下であることがさらに好ましく、500g/m2以下であることがよりさらに好ましく、250g/m2以下であることがさらになお好ましく、220g/m2以下であることが特に好ましい。

0031

第1布帛21及び第2布帛22は、誘電特性(tanδ/ε’)が低い布帛であることが好ましい。高周波誘電加熱接着シート10の誘電特性が、第1布帛21及び第2布帛22の誘電特性よりも大きいことが好ましい。第1布帛21及び第2布帛22の誘電特性(tanδ/ε’)は、それぞれ独立に、0.010以下であることが好ましく、0.008以下であることがより好ましく、0.005以下であることがさらに好ましい。第1布帛21及び第2布帛22がこのような範囲の誘電特性であれば、誘電加熱処理の際に、第1布帛21及び第2布帛22も加熱されて外観が損なわれるのを防止し易い。誘電正接(tanδ)、誘電率(ε’)及び誘電特性(tanδ/ε’)の測定方法は、後述する。

0033

例えば、ダウンジャケットが接合布帛1の構造を有することで、接合部(圧着部)の強度が強く、洗濯ドライクリーニング又は経時劣化により、当該接合部が剥がれることを防止できる。ダウンを収容する部位を区画するための縫合が無い、いわゆるシームレスダウンジャケットにおいて、高周波誘電加熱接着シート10による接合構造は好適である。
また、例えば、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シート10を用いて、第1布帛としての防水性のジッパーを第2布帛に接合することで、縫い目が無く、防水性がさらに向上したジッパー構造が得ることができる。
また、例えば、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シート10を用いることで縫い目が無く、風圧等に耐え得る、高強度のテントを得ることができる。

0034

(接合布帛の特性)
接合布帛1は、次に示す接合強度試験を行った場合に、評価結果が合格であることが好ましい。
・接合強度試験
一対の布帛(本実施形態においては、第1布帛21及び第2布帛22)を本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートにて接合して試験片を作製した当該試験片について、接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、第1布帛21が破壊されるか、第2布帛22が破壊されるか、第1布帛21及び第2布帛22の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当すれば合格と判定する。接合強度試験を行った場合に、評価結果が合格である高周波誘電加熱接着シートによれば、より高強度に接着された接合布帛1を提供できる。
本明細書において、接合布帛の接合強度試験は、JIS K 6850:1999に準じた引張試験機を用いて、引張試験機の掴み具で、接合布帛を構成するそれぞれの布帛を固定し、下記の測定条件にて実施する。
・接合強度試験の試験条件
試験片の幅:25mm以内
試験速度:100m/min
布帛接合体の接合強度試験は、接合布帛と同様の引張試験機及び試験条件で実施する。この場合、引張試験機の掴み具で、布帛接合体を構成する布帛及び被着体を固定する。

0035

さらに、接合布帛1は、次に示す耐水接合強度試験を行った場合に、評価結果が合格であることがより好ましい。耐水接合強度試験を行った場合に評価結果が合格である高周波誘電加熱接着シートによれば、より耐水性に優れた接合布帛1を提供できる。
・耐水接合強度試験
一対の布帛(本実施形態においては、第1布帛21及び第2布帛22)を本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートにて接合して得た試験片を、温度25℃の水中に1日間浸漬させる耐水試験を施し、さらに、25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、第1布帛21が破壊されるか、第2布帛22が破壊されるか、第1布帛21及び第2布帛の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当すれば合格と判定する。

0036

さらに、接合布帛1は、次に示す耐溶剤接合強度試験を行った場合に、評価結果が合格であることがより好ましい。耐溶剤接合強度試験を行った場合に評価結果が合格である高周波誘電加熱接着シートによれば、より耐溶剤性に優れた接合布帛1を提供できる。耐溶剤性に優れる接合布帛であれば、ドライクリーニング処理を受けても接合強度を確保し易い。
・耐溶剤接合強度試験
一対の布帛(本実施形態においては、第1布帛21及び第2布帛22)を本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートにて接合して得た試験片を、温度25℃の脂肪族系炭化水素溶剤中に1時間浸漬させる耐溶剤試験を施し、さらに、25℃、50%RH環境下に24時間静置した後に実施した接合強度試験の結果が、引張せん断力が4MPa以上であるか、第1布帛21が破壊されるか、第2布帛22が破壊されるか、第1布帛21及び第2布帛22の両方が破壊されるかの少なくともいずれかに該当すれば合格と判定する。本明細書において、耐溶剤試験に用いる脂肪族系炭化水素溶剤として、JXTGエネルギー株式会社製 T−SOL 3040FLUID(「T−SOL」は登録商標。)を用いる。

0037

前述の接合強度、耐水接合強度又は耐溶剤接合強度を満たす接合布帛1を製造するための方法としては、例えば、以下において説明する高周波誘電加熱接着シート及び誘電加熱接着装置を用いて、以下において説明する高周波誘電加熱接着条件により、接合布帛1を作製する方法が挙げられる。

0038

(2)第1布帛と第2布帛との接合方法
第1布帛21と第2布帛22とは、誘電加熱処理によって接合することが好ましく、下記工程(P1)及び工程(P2)を含む接合方法によって接合することがより好ましい。
工程(P1):第1布帛21と第2布帛22との間に、高周波誘電加熱接着シート10を配置する工程
工程(P2):第1布帛21と第2布帛22との間に配置した、高周波誘電加熱接着シート10に対して、誘電加熱接着装置を用いて、誘電加熱処理を行う工程

0039

工程(P1)は、高周波誘電加熱接着シート10を、所定場所に配置する工程である。具体的には、工程(P1)は、第1布帛21と第2布帛22との間に、高周波誘電加熱接着シート10を挟持する工程である。

0040

高周波誘電加熱接着シート10は、第1布帛21と第2布帛22とを接合できるように、第1布帛21と第2布帛22との間に挟持すればよい。高周波誘電加熱接着シート10は、第1布帛21と第2布帛22との間の一部において、複数個所において又は全面において挟持すればよい。第1布帛21と第2布帛22との接合強度を向上させる観点から、第1布帛21と第2布帛22との接合面全体に亘って高周波誘電加熱接着シート10を挟持することが好ましい。

0041

また、第1布帛21と第2布帛22との間の一部において高周波誘電加熱接着シート10を挟持する一態様としては、第1布帛21と第2布帛22との接合面の外周に沿って高周波誘電加熱接着シート10を枠状に配置して、第1布帛21と第2布帛22との間で挟持する態様が挙げられる。このように高周波誘電加熱接着シート10を枠状に配置することで、第1布帛21と第2布帛22との接合強度を得るとともに、接合面全体に亘って高周波誘電加熱接着シート10を配置した場合に比べて接合布帛1を軽量化できる。接合布帛1を軽量化することで、接合布帛1を用いた物品を軽量化でき、例えば、より快適な着心地衣料品を提供できる。また、高周波誘電加熱接着シート10を枠状に配置して、第1布帛21と第2布帛22とを接合すると、第1布帛21と第2布帛22と高周波誘電接着剤層とで囲まれた空間を形成できる。当該空間は、当該空間に収容した内包物(例えば、ダウンジャケットのダウン、空気又は綿等)が漏れ出すのを防止できると共に、当該空間外から内部への異物侵入も防止できる。

0042

また、第1布帛21と第2布帛22との間の一部に高周波誘電加熱接着シート10を挟持する一態様によれば、用いる高周波誘電加熱接着シート10のサイズを小さくできるため、接合面全体に亘って高周波誘電加熱接着シート10を配置した場合に比べて高周波誘電加熱処理時間を短縮できる。

0043

工程(P2)は、第1布帛21と第2布帛22との間に配置した、高周波誘電加熱接着シート10に対して、誘電加熱接着装置を用いて、誘電加熱処理を行う工程である。
次に、工程(P2)において使用する誘電加熱接着装置及びその誘電加熱処理の条件について、説明する。ここでは、接合布帛1を製造する例を挙げて説明する。

0044

(3)誘電加熱接着装置
図2には、誘電加熱接着装置100の概略図が示されている。
誘電加熱接着装置100は、第1高周波印加電極160と、第2高周波印加電極180と、高周波電源200と、を備えている。
第1高周波印加電極160と、第2高周波印加電極180とは、互いに対向配置されている。第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180は、プレス機構を有している。このプレス機構により、第1布帛21、高周波誘電加熱接着シート10及び第2布帛22を、第1高周波印加電極160と第2高周波印加電極180との間で加圧処理できる。

0045

第1高周波印加電極160と第2高周波印加電極180とが互いに平行な1対の平板電極を構成している場合、このような電極配置形式を平行平板タイプと称する場合がある。
高周波の印加には平行平板タイプの高周波誘電加熱装置を用いることも好ましい。平行平板タイプの高周波誘電加熱装置であれば、高周波が電極間に位置する高周波誘電加熱接着シートを貫通するので、高周波誘電加熱接着シート全体を暖めることができ、被着体と高周波誘電加熱接着シートとを短時間で接着できる。

0046

第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180のそれぞれに、例えば、周波数27.12MHz程度又は周波数40.68MHz程度の高周波を印加するための高周波電源200が接続されている。
誘電加熱接着装置100は、図2に示すように、第1布帛21と第2布帛22との間に挟持した高周波誘電加熱接着シート10を介して、誘電加熱処理する。さらに、誘電加熱接着装置100は、誘電加熱処理に加えて、第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180による加圧処理によって、第1布帛21と第2布帛22とを接着する。

0047

第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180の間に、高周波電界を印加すると、第1布帛21及び第2布帛22の重ね合わせ部分において、高周波誘電加熱接着シート10における接着剤成分中に分散された誘電フィラー(図示せず)が、高周波エネルギーを吸収する。
そして、B成分としての誘電フィラーは、発熱源として機能し、その発熱によって、A成分としての熱可塑性樹脂成分溶融させ、短時間処理であっても、最終的には、第1布帛21と第2布帛22とを強固に接着できる。

0048

第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180は、プレス機構を有することから、プレス装置としても機能する。そのため、第1高周波印加電極160及び第2高周波印加電極180による圧縮方向への加圧及び高周波誘電加熱接着シート10の加熱溶融によって、第1布帛21と第2布帛22とをより強固に接着できる。

0049

(4)高周波誘電加熱接着条件
高周波誘電加熱接着条件は、適宜変更できるが、以下の条件であることが好ましい。

0050

高周波出力は、10W以上であることが好ましく、50W以上であることがより好ましく、100W以上であることがさらに好ましい。
高周波出力は、50,000W以下であることが好ましく、20,000W以下であることが好ましく、15,000W以下であることがより好ましく、10,000W以下であることがさらに好ましく、1,000W以下であることがよりさらに好ましい。
高周波出力が10W以上であれば、誘電加熱処理によって、温度が上昇し難く、良好な接着力が得られないという不具合を防ぎ易い。
高周波出力が50,000W以下であれば、誘電加熱処理による温度制御が困難となる不具合を防ぎ易い。消費電力の観点からは、小さい高周波出力であることが好ましいが、接着力とのバランスも考慮して、適宜、高周波出力を設定することが好ましい。

0051

高周波の印加時間は、1秒以上であることが好ましい。
高周波の印加時間は、60秒以下が好ましく、45秒以下が好ましく、35秒以下であることが好ましく、25秒以下であることがより好ましく、10秒以下であることがさらに好ましい。
高周波の印加時間が1秒以上であれば、誘電加熱処理によって、温度が上昇し難く、良好な接着力が得られないという不具合を防ぎ易い。
高周波の印加時間が60秒以下であれば、接合布帛1の製造効率が低下したり、製造コストが高くなったり、さらには、接合布帛1並びに第1布帛21及び第2布帛22が熱劣化するといった不具合を防ぎ易い。

0052

高周波の周波数は、1kHz以上であることが好ましく、1MHz以上であることがより好ましく、5MHz以上であることがさらに好ましく、10MHz以上であることがよりさらに好ましい。
高周波の周波数は、300MHz以下であることが好ましく、100MHz以下であることがより好ましく、80MHz以下であることがさらに好ましく、50MHz以下であることがよりさらに好ましい。具体的には、国際電気通信連合により割り当てられた工業用周波数帯13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzが、本実施形態の高周波誘電加熱接着方法にも利用される。

0053

(5)高周波誘電加熱接着シート及び高周波誘電接着剤層
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、一態様としては高周波誘電接着剤層の一層のみからなる。なお、本発明に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる態様に限定されず、高周波誘電加熱接着シートの変形例としては、高周波誘電接着剤層以外の層が積層されている態様も挙げられる。
このように、高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる場合があるため、本明細書において、「高周波誘電加熱接着シート」という用語と、「高周波誘電接着剤層」という用語は、場合によっては、互いに入れ替えることが可能である。

0054

(5.1)熱可塑性樹脂(A)
熱可塑性樹脂(A)の種類は、特に制限されない。
熱可塑性樹脂(A)は、例えば、融解し易いとともに、所定の耐熱性を有する等の観点から、ポリオレフィン系樹脂、極性部位を有するポリオレフィン系樹脂、スチレン系樹脂ポリアセタール系樹脂ポリカーボネート系樹脂ポリアクリル系樹脂ポリアミド系樹脂ポリイミド系樹脂ポリ酢酸ビニル系樹脂フェノキシ系樹脂及びポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。

0055

熱可塑性樹脂(A)は、ポリオレフィン系樹脂又は極性部位を有するポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。

0056

熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、極性部位を有さないポリオレフィン系樹脂でもよい。

0057

(ポリオレフィン系樹脂)
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンポリブテン及びポリメチルペンテン等のホモポリマーからなる樹脂、並びにエチレンプロピレンブテンヘキセンオクテン及び4−メチルペンテン等からなる群から選択されるモノマー共重合体からなるα−オレフィン樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、一種単独の樹脂でもよいし、二種以上の樹脂の組み合わせでもよい。

0058

(極性部位を有するポリオレフィン系樹脂)
極性部位を有するポリオレフィン系樹脂における極性部位は、ポリオレフィン系樹脂に対して極性を付与できる部位であれば特に限定されない。極性部位を有するポリオレフィン系樹脂は、布帛に対して高い接着力を示すので好ましい。
熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体であってもよい。また、熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン系モノマーの重合によって得られたオレフィン系ポリマーに極性部位を付加反応等の変性により導入させた樹脂でもよい。

0059

熱可塑性樹脂(A)としての極性部位を有するポリオレフィン系樹脂を構成するオレフィン系モノマーの種類については、特に制限されない。オレフィン系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ヘキセン、オクテン及び4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。オレフィン系モノマーは、これらの一種単独で用いられてもよく、二種以上の組み合わせで用いられてもよい。
オレフィン系モノマーは、機械的強度に優れ、安定した接着特性が得られるという観点から、エチレン及びポリプロピレンが好ましい。
極性部位を有するポリオレフィン系樹脂におけるオレフィン由来構成単位は、エチレン又はプロピレンに由来する構成単位であることが好ましい。

0060

極性部位としては、例えば、水酸基カルボキシ基酢酸ビニル構造、酸無水物構造及び酸変性によってポリオレフィン系樹脂に導入される酸変性構造等が挙げられる。

0061

極性部位としての酸変性構造は、ポリオレフィン系樹脂を酸変性することによって導入される部位である。ポリオレフィン系樹脂をグラフト変性する際に用いる化合物としては、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸の酸無水物及び不飽和カルボン酸のエステルのいずれかから導かれる不飽和カルボン酸誘導体成分が挙げられる。

0062

不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸メタクリル酸マレイン酸フマル酸イタコン酸及びシトラコン酸などが挙げられる。

0063

不飽和カルボン酸の酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸無水イタコン酸及び無水シトラコン酸等の不飽和カルボン酸の酸無水物などが挙げられる。

0064

不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、アクリル酸メチルアクリル酸エチルメタクリル酸メチルメタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルマレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチルフマル酸ジメチルフマル酸ジエチルイタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、シトラコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル及びテトラヒドロ無水フタル酸ジメチル等の不飽和カルボン酸のエステルなどが挙げられる。

0065

熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体である場合、当該共重合体は、極性部位を有するモノマー由来の構成単位を2質量%以上含むことが好ましく、4質量%以上含むことがより好ましく、5質量%以上含むことがさらに好ましく、6質量%以上含むことがよりさらに好ましい。また、当該共重合体は、極性部位を有するモノマー由来の構成単位を30質量%以下含むことが好ましく、25質量%以下含むことがより好ましく、20質量%以下含むことがさらに好ましく、15質量%以下含むことが特に好ましい。
当該共重合体が極性部位を有するモノマー由来の構成単位を2質量%以上含むことで、高周波誘電加熱接着シートの接着強度が向上する。また、当該共重合体が極性部位を有するモノマー由来の構成単位を30質量%以下含むことで、熱可塑性樹脂(A)のタックが強くなり過ぎることを抑制できる。その結果、高周波誘電加熱接着シートの成形加工が困難になるのを防止し易くなる。また、当該共重合体が極性部位を有するモノマー由来の構成単位を30質量%以下含むことで、高周波誘電接着剤層の耐水性及び耐溶剤性が低下することを抑制し易くなる。

0066

熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合、酸による変性率は、0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合、酸による変性率は、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)が酸変性構造を有する場合、酸による変性率が、0.01質量%以上であることで、高周波誘電加熱接着シートの接着強度が向上する。また、酸による変性率が30質量%以下であることで、熱可塑性樹脂(A)のタックが強くなり過ぎることを抑制できる。その結果、高周波誘電加熱接着シートの成形加工が困難になるのを防止し易くなる。また、当該共重合体における酸による変性率が30質量%以下であれば、高周波誘電接着剤層の耐水性及び耐熱性が低下することを抑制し易い。
本明細書において、変性率は、酸変性ポリオレフィンの総質量に対する酸に由来する部分の質量の百分率である。

0067

無水マレイン酸変性ポリオレフィン
熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂は、酸変性構造として、酸無水物構造を有することがより好ましい。酸無水物構造は、無水マレイン酸によってポリオレフィン系樹脂を変性した際に導入される構造であることが好ましい。
A成分としての無水マレイン酸変性ポリオレフィンにおいて、無水マレイン酸による変性率は、熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合の変性率と同様の範囲であることが好ましく、当該範囲内であることで得られる効果も、熱可塑性樹脂(A)としてのポリオレフィン系樹脂が酸変性構造を有する場合と同様である。

0068

無水マレイン酸変性ポリオレフィンにおけるオレフィン由来の構成単位は、エチレン又はプロピレンに由来する構成単位であることが好ましい。すなわち、無水マレイン酸変性ポリオレフィンは、無水マレイン酸変性ポリエチレン樹脂又は無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂であることが好ましい。

0069

オレフィン酢酸ビニル共重合樹脂
本実施形態に係る熱可塑性樹脂(A)は、オレフィン由来の構成単位と、酢酸ビニル由来の構成単位とを含む共重合体(オレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂)であることも好ましい。
熱可塑性樹脂(A)としてのオレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂は、酢酸ビニル由来の構成単位を、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体における極性部位を有するモノマー由来の構成単位と同様の範囲で有することが好ましく、当該範囲内で得られる効果も、熱可塑性樹脂(A)がオレフィン系モノマーと極性部位を有するモノマーとの共重合体である場合と同様である。

0070

オレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂におけるオレフィン由来の構成単位は、機械的強度に優れ、安定した接着性を得られるという観点から、エチレン又はプロピレンに由来する構成単位であることが好ましい。
したがって、熱可塑性樹脂(A)は、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂及びプロピレン−酢酸ビニル共重合樹脂の少なくとも一種であることが好ましく、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であることがより好ましい。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂及びプロピレン−酢酸ビニル共重合樹脂における酢酸ビニル由来の構成単位についても、オレフィン−酢酸ビニル共重合樹脂について説明した百分率(質量%)と同様の範囲であることが好ましい。

0071

軟化温度
熱可塑性樹脂(A)のJIS K 7196:2012に準拠して測定される軟化温度は、40℃以上であることが好ましく、50℃以上であることがより好ましく、60℃以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のJIS K 7196:2012に準拠して測定される軟化温度は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の軟化温度が、40℃以上であれば、高周波誘電接着剤層の耐熱性を向上させ易い。本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いて布帛を接合させて得た接合布帛1が高温環境(例えば、真夏のような高温環境)の下に置かれても、布帛間の接合状態を確保できる。
熱可塑性樹脂(A)の軟化温度が、200℃以下であれば、短時間で安定した接合強度が得られ易くなる。短時間で安定した接合強度が得られれば、布帛に対する熱の影響を抑制できる。

0072

(平均分子量)
熱可塑性樹脂(A)の平均分子量(質量平均分子量)は、通常、5000以上であることが好ましく、1万以上であることがより好ましく、2万以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の平均分子量(質量平均分子量)は、30万以下であることが好ましく、20万以下であることがより好ましく、10万以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)の質量平均分子量が、5000以上であれば、耐熱性及び接着力が著しく低下することを防止し易い。
熱可塑性樹脂(A)の質量平均分子量が、30万以下であれば、誘電加熱処理を実施した際の溶着性等が著しく低下することを防止し易い。
熱可塑性樹脂(A)の質量平均分子量は、例えば、JIS K7252−4:2016に準拠してSEC法により測定できる。

0073

メルトフローレート
熱可塑性樹脂(A)のメルトフローレート(Melt flow rate,MFR)は、通常、次のような範囲であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRは、後述の条件下で、0.5g/10分以上であることが好ましく、2g/10分以上であることがより好ましく、5g/10分以上であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRは、後述の条件下で、50g/10分以下であることが好ましく、40g/10分以下であることがより好ましく、30g/10分以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂(A)のMFRが0.5g/10分以上であれば、流動性が維持でき、膜厚精度が得られ易い。また、熱可塑性樹脂(A)のMFRが0.5g/10分以上であれば、表面に凹凸を有する布帛に対する高周波誘電加熱接着シートの追従性を向上させ易い。また、布帛表面の凹凸に溶融した高周波誘電接着剤層が侵入し、その後、高周波誘電接着剤層が固化することで、いわゆるアンカー効果が生じ、布帛に対する高周波誘電接着剤層の接合強度がさらに向上する。
熱可塑性樹脂(A)のMFRが50g/10分以下であれば、造膜性を得易い。
熱可塑性樹脂(A)のMFRは、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。
なお、試験温度は、JIS K 7210−1:2014に準拠する。例えば、熱可塑性樹脂(A)におけるオレフィン由来の構成単位がポリエチレンの場合、試験温度は、190℃である。熱可塑性樹脂(A)におけるオレフィン由来の構成単位がポリプロピレンの場合、試験温度は、230℃である。

0074

(5.2)誘電フィラー(B)
(種類)
誘電フィラー(B)は、1kHz以上、300MHz以下の高周波の印加により発熱することが好ましい。さらに、誘電フィラー(B)は、例えば、周波数27.12MHz又は40.68MHz等の高周波の印加により、発熱可能な誘電特性を有する高周波吸収性充填剤であることが好ましい。

0075

誘電フィラー(B)は、酸化亜鉛、炭化ケイ素(SiC)、アナターゼ型酸化チタンチタン酸バリウムチタン酸ジルコン酸バリウムチタン酸鉛ニオブ酸カリウムルチル型酸化チタン水和ケイ酸アルミニウムアルカリ金属水和アルミノケイ酸塩等の結晶水を有する無機材料又はアルカリ土類金属の水和アルミノケイ酸塩等の結晶水を有する無機材料等の一種単独又は二種以上の組み合わせが好適である。

0076

誘電フィラー(B)は、金属酸化物であることが好ましく、酸化亜鉛であることがより好ましい。誘電フィラー(B)としての酸化亜鉛は、誘電特性が高く、熱可塑性樹脂(A)に及ぼす影響が少ない。また、酸化亜鉛は、種類が豊富であり、様々な形状及びサイズから選択できる。さらに、誘電フィラー(B)が酸化亜鉛であれば、高周波誘電加熱接着シートの接着特性及び機械特性を用途に合わせて改良し易い。
誘電フィラー(B)としての酸化亜鉛は、接着剤成分である熱可塑性樹脂(A)中へ均一に配合し易い。そのため、高周波誘電接着剤層中の酸化亜鉛の配合量が、比較的、少量であっても、所定の誘電加熱処理において、他の誘電フィラーを配合した高周波誘電加熱接着シートと比較して、優れた発熱効果を発揮できる。
したがって、高周波誘電接着剤層が、誘電フィラー(B)として酸化亜鉛を含んでいることで、布帛間を接合するための誘電加熱処理において、優れた溶着性が得られる。誘電フィラー(B)として酸化亜鉛を含む高周波誘電接着剤層によれば、被着体としての布帛の材質及び接合布帛の用途のバリエーションに応じた接着特性及び機械特性を発現できる。

0077

本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、導電性物質を含有しないことが好ましい。導電性物質としては、炭素又は炭素を主成分とする炭素化合物(例えば、カーボンブラック等)及び金属等が挙げられる。導電性物質の含有量は、高周波誘電接着剤層の全体量基準で、5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましく、0質量%であることがよりさらに好ましい。高周波誘電接着剤層中の導電性物質の含有量が5質量%以下であれば、誘電加熱処理した際に電気絶縁破壊して接着部及び布帛の炭化という不具合を防止し易い。

0078

平均粒子径
誘電フィラー(B)のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることがよりさらに好ましい。
誘電フィラー(B)のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、15μm以下であることがよりさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の平均粒子径が小さ過ぎると、高周波印加した際の反転運動が低下するため、誘電加熱接着性が過度に低下し、布帛間の強固な接着が困難となる場合がある。
一方、誘電フィラー(B)の平均粒子径が増大するにつれて、フィラー内部で分極できる距離が大きくなる。そのため、分極の度合いが大きくなり、高周波印加した際の反転運動が激しくなり、誘電加熱接着性が向上する。
したがって、誘電フィラー(B)の平均粒子径が1μm以上であれば、フィラーの種類にもよるが、フィラー内部で分極できる距離が小さくなり過ぎず、分極の度合いが小さくなることを防ぎ易い。
誘電フィラー(B)の平均粒子径が大き過ぎると、周囲の誘電フィラーとの距離が短いため、その電荷の影響を受けて高周波印加した際の反転運動が低下し、誘電加熱接着性が過度に低下したり、あるいは、布帛間の強固な接着が困難となったりする場合がある。
そのため、誘電フィラー(B)の平均粒子径が30μm以下であれば、誘電加熱接着性が過度に低下すること、並びに布帛間の強固な接着が困難となることを防止し易い。
誘電フィラー(B)としての酸化亜鉛のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、1μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることがよりさらに好ましい。
誘電フィラー(B)としての酸化亜鉛のJIS Z 8819−2:2001に準拠し測定される平均粒子径(メディアン径、D50)は、30μm以下であることが好ましく、25μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、15μm以下であることがよりさらに好ましい。
なお、誘電フィラー(B)の平均粒子径は、高周波誘電接着剤層の厚さよりも小さい値であることが好ましい。

0079

体積含有率
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、誘電フィラー(B)を、高周波誘電接着剤層中に3体積%以上含有することが好ましく、5体積%以上含有することがより好ましく、10体積%以上含有することがさらに好ましく、13体積%以上含有することがよりさらに好ましく、15体積%以上含有することが特に好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、誘電フィラー(B)を、高周波誘電接着剤層中に40体積%以下含有することが好ましく、35体積%以下含有することがより好ましく、25体積%以下含有することがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の体積含有率が、3体積%以上であれば、誘電加熱処理の際に発熱性が乏しくなることを防止し易い。その結果、熱可塑性樹脂(A)の溶融性が過度に低下して強固な接着力が得られないという不具合を防止できる。
誘電フィラー(B)の体積含有率が、40体積%以下であれば、誘電加熱処理の際に、高周波誘電加熱接着シートの流動性が低下したり、高周波を印加した際に電極間で通電したりすることを防止し易い。また、誘電フィラー(B)の体積含有率が、40体積%以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの製膜性、フレキシブル性及び靭性の低下を防止し易い。誘電フィラー(B)の体積含有率が、40体積%以下であれば、高周波誘電接着剤層の重量が高くなることを防止でき、接合布帛1を軽量化し易い。その結果、接合布帛1を用いた物品を軽量化でき、例えば、より快適な着心地の衣料品を提供できる。
なお、誘電フィラー(B)の体積含有率が、50体積%を越えると、高周波誘電接着剤層が脆くなるため、接合布帛に適さない場合がある。

0080

なお、本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)を含んでいるため、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)の合計体積に対して、誘電フィラー(B)を3体積%以上含有していることが好ましく、5体積%以上含有していることがより好ましく、13体積%以上含有していることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)の合計体積に対して、誘電フィラー(B)を40体積%以下含有していることが好ましく、35体積%以下含有していることがより好ましく、25体積%以下含有していることがさらに好ましい。

0081

(質量部数
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、誘電フィラー(B)を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、5質量部以上含有することが好ましく、20質量部以上含有することが好ましく、30質量部以上含有することがより好ましく、50質量部以上含有することがより好ましく、100質量部以上含有することがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、誘電フィラー(B)を、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して、800質量部以下含有することが好ましく、400質量部以下含有することが好ましく、300質量部以下含有することがより好ましく、200質量部以下含有することがさらに好ましい。
誘電フィラー(B)の質量部数が、5質量部以上であれば、誘電加熱処理の際に発熱性が乏しくなることを防止し易い。その結果、熱可塑性樹脂(A)の溶融性が過度に低下して強固な接着力が得られないという不具合を防止し易い。
誘電フィラー(B)の質量部数が、800質量部以下であれば、誘電加熱処理の際に、高周波誘電加熱接着シートの流動性が低下したり、高周波を印加した際に電極間で通電したりすることを防止し易い。また、誘電フィラー(B)の質量部数が、800質量部以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの製膜性、フレキシブル性及び靭性の低下を防止し易い。

0082

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートにおいては、高周波誘電接着剤層の全体質量に対して、熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)の合計質量は、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。

0083

(5.3)添加剤
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、添加剤を含んでいてもよいし、添加剤を含んでいなくてもよい。

0084

本実施形態に係る高周波誘電接着剤層が添加剤を含む場合、添加剤としては、例えば、粘着付与剤可塑剤ワックス着色剤酸化防止剤紫外線吸収剤抗菌剤カップリング剤粘度調整剤有機充填剤及び無機充填剤等が挙げられる。添加剤としての有機充填剤及び無機充填剤は、B成分としての誘電フィラーとは異なる。

0085

粘着付与剤及び可塑剤は、高周波誘電接着剤層の溶融特性及び接着特性を改良することができる。
粘着付与剤としては、例えば、ロジン誘導体ポリテルペン樹脂芳香族変性テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂の水素化物テルペンフェノール樹脂クマロンインデン樹脂脂肪族石油樹脂芳香族石油樹脂及び芳香族石油樹脂の水素化物が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、石油系プロセスオイル天然油二塩基酸ジアルキル及び低分子量液状ポリマーが挙げられる。石油系プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイルナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイル等が挙げられる。天然油としては、例えば、ひまし油及びトール油等が挙げられる。二塩基酸ジアルキルとしては、例えば、フタル酸ジブチルフタル酸ジ−2−エチルへキシル及びアジピン酸ジブチル等が挙げられる。低分子量液状ポリマーとしては、例えば、液状ポリブテン及び液状ポリイソプレン等が挙げられる。

0086

本実施形態に係る高周波誘電接着剤層が添加剤を含む場合、高周波誘電接着剤層は、通常、高周波誘電接着剤層の全体量基準で、添加剤を0.01質量%以上含有することが好ましく、0.05質量%以上含有することがより好ましく、0.1質量%以上含有することがさらに好ましい。また、本実施形態に係る高周波誘電接着剤層が添加剤を含む場合、高周波誘電接着剤層は、高周波誘電接着剤層の全体量基準で、添加剤を20質量%以下含有することが好ましく、15質量%以下含有することがより好ましく、10質量%以下含有することがさらに好ましい。

0087

本実施形態に係る高周波誘電接着剤層は、前述の各成分(熱可塑性樹脂(A)及び誘電フィラー(B)。必要に応じてさらに添加剤)を予備混合し、公知の混練装置を用いて混練し、公知の成形方法により製造できる。混練装置としては、例えば、押出機及び熱ロール等が挙げられる。成形方法としては、例えば、押出成形カレンダー成形インジェクション成形及びキャスティング成形等が挙げられる。

0088

(6)高周波誘電加熱接着シートの形態及び特性
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートが、高周波誘電接着剤層の一層のみからなる場合は、高周波誘電加熱接着シートの形態及び特性は、高周波誘電接着剤層の形態及び特性に相当する。

0089

(流動開始温度)
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の流動開始温度は、80℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましく、95℃以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の流動開始温度は、300℃以下であることが好ましく、250℃以下であることがより好ましく、200℃以下であることがさらに好ましく、150℃以下であることがより更に好ましく、130℃以下であることがさらになお好ましい。
高周波誘電接着剤層の流動開始温度が80℃以上であれば、高周波誘電接着剤層は、良好な耐熱性を有し易い。特に、接合部における高周波誘電接着剤層にお湯等の熱水が掛かっても、高周波誘電接着剤層の流動開始温度が80℃以上であれば、良好な接着性を維持し易い。
高周波誘電接着剤層の流動開始温度が300℃以下であれば、短時間で良好な接着性を得られ易い。また、布帛にダメージなく接着し易くなる。
高周波誘電接着剤層の流動開始温度は、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。

0090

(融点)
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の融点は、60℃以上であることが好ましく、70℃以上であることがより好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の融点は、200℃以下であることが好ましく、150℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電接着剤層の融点が60℃以上であれば、接合布帛1が高温環境下に置かれたり、接合布帛1の接合部に熱湯等の高温媒体が接触したりした場合でも、接合状態を確保し易い。
高周波誘電接着剤層の融点が200℃以下であれば、短時間で良好な接着性を得られ、また、被着体に熱ダメージが残り難い。
高周波誘電接着剤層の融点は、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。

0091

(1Hzにおける損失正接ピーク温度
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の1Hzにおける損失正接ピーク温度は、0℃以下であることが好ましく、−10℃以下であることがより好ましく、−20℃以下であることがさらに好ましい。また、高周波誘電接着剤層の1Hzにおける損失正接ピーク温度は、通常、−60℃以上である。
高周波誘電接着剤層の1Hzにおける損失正接ピーク温度が0℃以下であれば、接合布帛1が低温環境下に置かれても、接合強度を確保し易い。例えば、接合布帛1を含む衣服を着て寒冷地にて過ごす際も、第1布帛21と第2布帛22とが剥がれるのを防止できる。
高周波誘電接着剤層の1Hzにおける損失正接ピーク温度は、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。

0092

(動的屈曲性試験後の引張破壊応力)
動的屈曲性試験の実施前後における高周波誘電加熱接着シートの引張破壊応力の変化率R1が、80%以上であることが好ましく、85%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることがよりさらに好ましい。
動的屈曲性試験の実施前後における高周波誘電加熱接着シートの引張破壊応力の変化率R1が、120%以下であることが好ましく、115%以下であることがより好ましく、110%以下であることがさらに好ましく、105%以下であることがよりさらに好ましい。
変化率R1={(動的屈曲性試験後の引張破壊応力)/(動的屈曲性試験前の引張破壊応力)}×100
高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力の変化率R1が80%以上であれば、接着部位が人の動作又は洗濯等で、複数回、折り曲げられても、シートが脆くなり難い。
高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力の変化率R1が120%以下であれば、接着シートの組成物に変化が生じている可能性が低いため、接着部位が人の動作又は洗濯等で、複数回、折り曲げられても、品質定性が得られ易い。

0093

高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力は、3MPa以上であることが好ましく、4MPa以上であることがより好ましく、5MPa以上であることがさらに好ましい。
また、高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力は、40MPa以下であることが好ましく、25MPa以下であることがより好ましく、15MPa以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力が3MPa以上であれば、接着部位が人の動作又は洗濯などで、複数回、折り曲げられても、シートが破壊されることを防ぎ易い。
高周波誘電加熱接着シートの動的屈曲性試験後の引張破壊応力が、40MPa以下であれば、長期間使用後であっても加工性が得られ易い。

0094

(ヤング率)
高周波誘電加熱接着シートのヤング率は、10MPa以上であることが好ましく、25MPa以上であることがより好ましく、50MPa以上であることがさらに好ましく、75MPa以上であることがよりさらに好ましく、100MPa以上であることが特に好ましい。
高周波誘電加熱接着シートのヤング率は、500MPa以下であることが好ましく、400MPa以下であることがより好ましく、300MPa以下であることがさらに好ましく、200MPa以下であることがよりさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートのヤング率が500MPa以下であれば、接合布帛1の接合部を折り曲げ易い。
高周波誘電加熱接着シートのヤング率が10MPa以上であれば、自立性が小さくて施工時に扱く難くなることを防止できる。
高周波誘電加熱接着シートのヤング率は、JIS K 7161−1:2014及びJIS K 7127:1999により測定できる。

0095

(厚さ)
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の厚さは、通常、10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の厚さは、2,000μm以下であることが好ましく、1,000μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電接着剤層の厚さが10μm以上であれば、第1布帛21と第2布帛22との間の接着力が急激に低下することを防止できる。また、高周波誘電接着剤層の厚さが10μm以上であれば、第1布帛21及び第2布帛22の少なくともいずれかの接着面に凹凸がある場合、高周波誘電接着剤層が当該凹凸に追従可能になり、接着強度が発現し易くなる。
高周波誘電接着剤層の厚さが2,000μm以下であれば、長尺物として、ロール状に巻いたり、ロール・ツー・ロール方式に適用したりすることもできる。また、抜き加工などの次工程で高周波誘電加熱接着シートの取り扱いが容易となる。また、高周波誘電接着剤層の厚さが増すほど接合布帛全体の重量も増加するため、使用上問題の生じない範囲の厚さであることが好ましい。

0096

(誘電特性(tanδ/ε’))
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性としての誘電正接(tanδ)及び誘電率(ε’)は、JIS C 2138:2007に準拠して測定することもできるが、インピーダンスマテリアル法に準じて、簡便かつ正確に測定することができる。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε’)は、0.005以上であることが好ましく、0.008以上であることがより好ましく、0.01以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε’)は、0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましい。誘電特性(tanδ/ε’)は、インピーダンスマテリアル装置等を用いて測定される誘電正接(tanδ)を、インピーダンスマテリアル装置等を用いて測定される誘電率(ε’)で除した値である。
高周波誘電加熱接着シートの誘電特性が、0.005以上であれば、誘電加熱処理をした際に、所定の発熱をせずに、布帛間を強固に接着することが困難となるという不具合を防止し易い。
高周波誘電加熱接着シートの誘電特性が、0.05以下であれば、接合布帛1並びに第1布帛21及び第2布帛22の損傷が起き難くなる。
なお、高周波誘電加熱接着シートの誘電特性の測定方法の詳細は、次の通りである。所定大きさに切断した高周波誘電加熱接着シートについて、インピーダンスマテリアルアナライザE4991(Agilent社製)を用いて、23℃における周波数40.68MHzの条件下、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ)をそれぞれ測定し、誘電特性(tanδ/ε’)の値を算出する。

0097

(メルトフローレート)
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層のメルトフローレート(Melt flow rate,MFR)が1.0g/10分以上であることが好ましく、3.0g/10分以上であることがより好ましく、5.0g/10分以上であることがさらに好ましく、7.0g/10分以上であることがよりさらに好ましく、10.0g/10分以上であることが特に好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層のメルトフローレートは、65g/10分以下であることが好ましく、55g/10分以下であることがより好ましく、45g/10分以下であることがさらに好ましく、35g/10分以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、高周波誘電接着剤層のMFRを測定する際の試験温度は、230℃であり、荷重は、5kgである。
高周波誘電接着剤層のMFRが1.0g/10分以上であれば、流動性が維持でき、膜厚精度が得られ易い。また、高周波誘電接着剤層のMFRが1.0g/10分以上であれば、布帛表面の凹凸に溶融した高周波誘電接着剤層が侵入し、その後、高周波誘電接着剤層が固化することで、いわゆるアンカー効果が生じ、布帛に対する高周波誘電接着剤層の接合強度がさらに向上する。
高周波誘電接着剤層のMFRが65g/10分以下であれば、造膜性が得られ易い。
高周波誘電接着剤層のMFRは、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。

0098

(軟化温度)
高周波誘電加熱接着シートのJIS K 7196:2012に準拠して測定される軟化温度は、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートのJIS K 7196:2012に準拠して測定される軟化温度は、210℃以下であることが好ましく、160℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましく、110℃以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートの軟化温度が、50℃以上であれば、高周波誘電接着剤層の耐熱性を向上させ易い。本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いて布帛を接合させて得た接合布帛1が高温環境(例えば、真夏のような高温環境)の下に置かれても、布帛間の接合状態を確保できる。
高周波誘電加熱接着シートの軟化温度が、210℃以下であれば、短時間で安定した接合強度が得られ易くなる。短時間で安定した接合強度が得られれば、布帛に対する熱の影響を抑制できる。

0099

(密度)
高周波誘電加熱接着シートの密度は、0.90g/cm3以上であることが好ましく、1.00g/cm3以上であることがより好ましく、1.10g/cm3以上であることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートの密度は、3g/cm3以下であることが好ましく、2.5g/cm3以下であることがより好ましく、2g/cm3以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電加熱接着シートの密度が3g/cm3以下であれば、高周波誘電加熱接着シートの自重による撓みを防止し、布帛間の接合部位における剥離のきっかけが生じることを防止し易い。また、接合布帛1を軽量化することで、接合布帛1を用いた物品を軽量化でき、例えば、より快適な着心地の衣料品を提供できる。
また、高周波誘電加熱接着シートの密度が0.90g/cm3以上であれば、ロール・ツー・ロール方式でシート成形を行う際に、ばたつきを抑制し易くなる。
高周波誘電加熱接着シートの密度は、JIS K 7112:1999のA法(水中置換法)に準じて測定できる。

0100

(5%重量減少温度
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度は、300℃以上であることが好ましく、325℃以上であることがより好ましく、350℃以上であることがさらに好ましく、400℃以上であることがよりさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度は、500℃以下であることが好ましく、475℃以下であることがより好ましく、450℃以下であることがさらに好ましい。
高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度が300℃以上であれば、成形後も安定した物性が得られ易い。
高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度が500℃以下であれば、成形加工性が得られ易い。
高周波誘電接着剤層の5%重量減少温度は、後述する実施例の項目において説明する方法により測定できる。

0101

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、10W以上の高周波出力の条件で使用されることが好ましく、50W以上の高周波出力の条件で使用されることがより好ましく、100W以上の高周波出力の条件で使用されることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、50,000W以下の高周波出力の条件で使用されることが好ましく、20,000W以下の高周波出力の条件で使用されることがより好ましく、15,000W以下の高周波出力の条件で使用されることがさらに好ましく、10,000W以下の高周波出力の条件で使用されることがさらに好ましく、1,000W以下であることがよりさらに好ましい。

0102

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、1kHz以上の高周波の印加により使用されることが好ましく、1MHz以上の高周波の印加により使用されることがより好ましく、5MHz以上の高周波の印加により使用されることがより好ましく、10MHz以上の高周波の印加により使用されることがさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、300MHz以下の高周波の印加により使用されることが好ましく、100MHz以下の高周波の印加により使用されることがより好ましく、80MHz以下の高周波の印加により使用されることがさらに好ましく、50MHz以下の高周波の印加により使用されることがよりさらに好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、より具体的には、国際電気通信連合により割り当てられた工業用周波数帯13.56MHz、27.12MHz又は40.68MHzの高周波の印加により使用されることが好ましい。

0103

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、1秒以上の高周波の印加時間により使用されることが好ましい。
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、60秒以下の高周波の印加時間により使用されることが好ましく、45秒以下の高周波の印加時間により使用されることが好ましく、35秒以下の高周波の印加時間により使用されることが好ましく、25秒以下の高周波の印加時間により使用されることがより好ましく、10秒以下の高周波の印加時間により使用されることがさらに好ましい。

0104

(実施形態の効果)
本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートによれば、高周波誘電接着剤層に誘電フィラーを含むため、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理であっても、高い強度で第1布帛と第2布帛とを接合できる。さらに、熱による布帛の損傷も防止できる。また、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、従来使用されているホットメルト系接着剤と比較しても、短時間かつ高強度で布帛を接合できる。また、縫合せずとも布帛を高強度で接合できるため、接合布帛の表面に縫い目が現れず、外観が優れる。

0105

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電加熱により加熱されるため、高周波誘電加熱接着シートと接する布帛の表面側が局所的に加熱されるだけである。それゆえ、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートによれば、布帛との接合時に布帛全体が溶融するという問題も解消できる。

0106

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電加熱により、第1布帛21及び第2布帛22から剥離可能である。これにより、例えば、接合布帛1を構成する第1布帛21及び第2布帛22を他の布帛に貼り替えることもできる。そのため、接合布帛1において、傷又は汚れ等が生じた場合、当該傷又は汚れが生じた布帛を剥離して、別の布帛を高周波誘電加熱により接合することができる。

0107

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートによれば、縫製のような不連続な縫合構造とは異なり、第1布帛と第2布帛との間で、連続的に接合した接合構造を得ることができる。例えば、第1布帛と、第2布帛と、高周波誘電接着剤層とで、囲まれた空間を形成できる。そのため、当該空間に内包物(例えば、ダウン、空気又は綿)を収容させるようにして第1布帛と第2布帛とを接合することで、内包物が当該空間の外へ出ることを防止できる。一方で、外部から当該空間内へ異物(例えば、ゴミ、水又は薬品等)が侵入することも防止できる。

0108

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、高周波誘電加熱により、短時間で第1布帛と第2布帛とを接合できる。そのため、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、作業効率の観点でも好ましい。

0109

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、一般的な粘着剤に比べて、耐水性及び耐湿性が優れる。接合布帛は、風雨に曝されたり、日光に曝されて高温になる環境で使用されたりする衣料品等の用途にも適している。

0110

本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートは、溶剤を含有しないため、布帛の接合時に用いる接着剤に起因するVOC(Volatile Organic Compounds)の問題が発生し難い。そのため、本実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを布帛との接合に用いることで、衣料品等に適した接合布帛を提供できる。

0111

〔実施形態の変形〕
本発明は、前記実施形態に限定されない。本発明は、本発明の目的を達成できる範囲での変形及び改良等を含むことができる。

0112

高周波誘電加熱接着シートは、粘着部を有していてもよい。粘着部を有することで、高周波誘電加熱接着シートを布帛に貼り合わせる際に、位置ずれを防止して、正確な位置に配置できる。粘着部は、高周波誘電接着剤層の一方の面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。また、粘着部は、高周波誘電接着剤層の面に対して、全面に設けられていても良いし、部分的に設けられていてもよい。

0113

また、仮固定用の孔及び突起等が、高周波誘電加熱接着シートの一部に設けられていてもよい。仮固定用の孔及び突起等を有することで、高周波誘電加熱接着シートを布帛に貼り合わせる際に、位置ずれを防止して、正確な位置に配置できる。

0114

高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法によって製造された接合布帛は、図1に示す態様に限定されない。
また、図3に示す接合布帛1Aが挙げられる。接合布帛1Aは、第1布帛21と第2布帛22との間に高周波誘電加熱接着シート10を挟持した接合布帛1とは異なり、第1布帛21及び第2布帛22を、第1高周波誘電加熱接着シート11と第2高周波誘電加熱接着シート12とで挟持した構造を有する。第1高周波誘電加熱接着シート11及び第2高周波誘電加熱接着シート12としては、第1実施形態で説明した高周波誘電加熱接着シートを用いることが好ましい。

0115

高周波誘電加熱接着シートを用いた接合方法に使用される布帛の数は、それぞれ、特に制限されない。
前記実施形態とは異なる態様の布帛の接合構造としては、3つ以上の布帛を接着させた接合布帛も挙げられる。例えば、3つの布帛(第1布帛、第2布帛及び第3布帛)を接着させる場合、第1布帛に対向させて、第2布帛及び第3布帛を並べて配置し、第1布帛と第2布帛との間に第1高周波誘電加熱接着シートを挟持し、第1布帛と第3布帛との間に第2高周波誘電加熱接着シートを挟持してもよい。より具体的には、第1布帛に対して、第2布帛及び第3布帛を並べて配置する態様が挙げられる。
または、一つの高周波誘電加熱接着シートを第1被着体及び第2被着体に亘って配置して、第3被着体と、第1被着体及び第2被着体との間で、当該一つの高周波誘電加熱接着シートを挟持してもよい。この場合の例として、図4に示すような接合布帛1Bが挙げられる。接合布帛1Bは、第1布帛21、第2布帛22及び第3布帛23、並びに高周波誘電加熱接着シート10を有する。高周波誘電加熱接着シート10は、第1布帛21及び第2布帛22に亘って配置されている。接合布帛1Bのように、第3布帛23と、第1布帛21及び第2布帛22との間で、1つの高周波誘電加熱接着シート10が挟持された構造であれば、第1布帛21及び第2布帛22を強固に連結できる。また、例えば、1つの布帛が2つに分裂してしまった場合には、補修用に第3布帛に相当する部材を用いて分裂してしまった布帛同士(第1布帛及び第2布帛)を接合するといった接合方法でもよい。また、布帛に欠損部(例えば、穴又は亀裂等)又は汚染部(例えば、汚れ又は変色等)が生じてしまった場合に、補修用に第3布帛に相当する部材を用いて当該欠損部を覆ったり、補修したりするために、第3布帛を接合するという接合方法も挙げられる。

0116

また、1つの布帛を折り返したり、折り曲げたりして、当該布帛の重なった部分を高周波誘電加熱接着シート10にて接合してもよい。

0117

高周波誘電加熱処理は、前記実施形態で説明した電極を対向配置させた誘電加熱接着装置に限定されず、格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いてもよい。格子電極タイプの高周波誘電加熱装置は、一定間隔ごとに第1の電極と、第1の電極とは反対極性の第2の電極とを同一平面上に交互に配列した格子電極を有する。
例えば、図1に示すような接合布帛1を製造する場合は、第1布帛21側又は第2布帛22側に格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を配置して高周波を印加する。

0118

格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いて接合布帛を製造する際に、接合布帛の両面側に格子電極(第1の格子電極及び第2の格子電極)をそれぞれ配置し、両面側から同時に高周波を印加してもよい。
例えば、接合布帛1を製造する場合、第1布帛21側に第1の格子電極を配置し、第2布帛22側に第2の格子電極を配置して、同時に高周波を印加してもよい。

0119

格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いて接合布帛を製造する際に、接合布帛の一方の面側に格子電極を配置し、高周波を印加し、その後、接合布帛の他方の面側に格子電極を配置し、高周波を印加してもよい。
例えば、接合布帛1を製造する場合、第1布帛21側に格子電極を配置し、高周波を印加し、その後、第2布帛22側に格子電極を配置して、高周波を印加してもよい。

0120

高周波の印加には格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いることも好ましい。格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いることで、接合布帛の厚さの影響を受けず、接合布帛の表層側、例えば、高周波誘電加熱接着シートまでの距離が近い表層側から誘電加熱により布帛同士を接着できる。また、格子電極タイプの高周波誘電加熱装置を用いることで、接合布帛の製造の省エネルギー化を実現できる。

0121

なお、図においては、簡略化のために電極を対向配置させた誘電加熱接着装置を用いた態様を例示した。

0122

布帛接合体における被着体は、RFタグ等の通信タグであってもよい。この場合、布帛と、被着体としての通信タグとを、前記実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートを用いて接合することで、通信タグ付き布帛接合体を得ることができる。前記実施形態に係る高周波誘電加熱接着シートによれば、布帛と被着体とを高強度に接着できるため、接着部位が人の動作又は洗濯等で剥がれ難い。

0123

以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例に何ら限定されない。

0124

[高周波誘電加熱接着シートの作製]
(実施例1)
A成分としてエチレン酢酸ビニル共重合体(東ソー株式会社製、製品名「ウルトラセン626」、軟化温度:65℃、メルトフローレート:12g/10min、密度:0.936g/cm3、酢酸ビニル含有率:15質量%。)80.0体積%と、B成分として酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、製品名「LPZINC11」,平均粒子径:11μm、表1中、ZnOと記載する。)20.0体積%と、をそれぞれ容器内に量した。表1に各成分の配合割合を示す。表1において各成分の配合割合は、体積%で表示した値である。また、表1には、B成分の配合割合として、単位を質量部に換算した値も示した。
秤量したA成分及びB成分を容器内で予備混合した。各成分を予備混合した後、30mmΦ二軸押出機ホッパーに供給し、シリンダー設定温度を180℃以上200℃以下、ダイス温度を200℃に設定し、溶融混練した後、ペレタイザーにてペレット状に加工した。
次いで、得られたペレットを、Tダイを設置した単軸押出機のホッパーに投入し、シリンダー温度を200℃、ダイス温度を200℃の条件として、Tダイからシート状溶融混練物押出し、冷却ロールにて冷却させることにより、厚さ400μmの高周波誘電加熱接着シートを作製した。

0125

(実施例2〜4)
高周波誘電接着剤層の組成並びに布帛の種類を下記表1に記載の通り変更し、混練及び製膜時の温度を適宜調整したこと以外、実施例1と同様にして、実施例2〜4に係る高周波誘電加熱接着シートを得た。実施例2は、他の実施例と異なり、厚さ200μmの高周波誘電加熱接着シートを作製した。
実施例4のA成分としては、無水マレイン酸変性ポリエチレン(三菱ケミカル株式会社製、製品名「モディックL504」、軟化温度:84℃、メルトフローレート:20g/10min、密度:0.91g/cm3)を用いた。

0126

(比較例1、2)
比較例1及び2に係る高周波誘電加熱接着シートは、下記表2に記載の通り高周波誘電接着剤層の組成を変更し、混練及び製膜時の温度を適宜調整したこと以外、実施例1と同様にして作製した。

0127

[接合布帛の作製]
(実施例A1)
JIS K 6850:1999に準拠してサンプルを作製した。布帛であるナイロン布(25mm×100mm)を2枚、準備した。この2枚のナイロン布の間に、貼付面が、25mm×12.5mmとなるように、実施例1で得られた高周波誘電加熱接着シートを配置した。その後、高周波誘電加熱装置(山本ビニター株式会社製、YRP−400t−RC)の電極間に固定した状態で、周波数40.68MHz、出力200Wの条件下で、高周波を10秒印加した。このようにして2枚のナイロン布を接着させて、実施例1に係る接合布帛を得た。
なお、本明細書の実施例及び比較例で用いた布帛は、染色堅ろう度試験添付白布を使用した。

0128

(実施例A2〜A7)
実施例A2〜A7に係る接合布帛は、下記表2に記載の高周波誘電加熱接着シート及び布帛を用いたこと以外、実施例A1と同様にして作製した。

0129

(比較例B1〜B2)
比較例B1〜B2に係る接合布帛は、下記表2に記載の高周波誘電加熱接着シート及び布帛を用いたこと以外、実施例A1と同様にして作製した。

0130

[高周波誘電加熱接着シートの評価]
高周波誘電加熱接着シートの評価結果を表1に示す。

0131

(誘電特性)
作製した高周波誘電加熱接着シートを、30mm×30mmの大きさに切断した。切断した高周波誘電加熱接着シートについて、インピーダンスマテリアルアナライザE4991(Agilent社製)を用いて、23℃における周波数40.68MHzの条件下、誘電率(ε’)及び誘電正接(tanδ)をそれぞれ測定した。測定結果に基づき、誘電特性(tanδ/ε’)の値を算出した。
比較例1に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε)は、0.008であった。
比較例2に係る高周波誘電加熱接着シートの誘電特性(tanδ/ε)は、0.000であった。

0132

(軟化温度)
JIS K 7196:2012に則り、高周波誘電加熱接着シートの軟化温度を測定した。

0133

(流動開始温度)
作製した高周波誘電加熱接着シートの流動開始温度を、降下式フローテスター(株式会社島津製作所製,型番「CFT−100D」)を用いて測定した。荷重5.0kgとし、穴形状がφ2.0mm、長さが5.0mmのダイ、内径が11.329mmのシリンダーを使用し、測定試料の温度を昇温速度10℃/分で上昇させながら、昇温とともに変動するストローク変位速度(mm/分)を測定して、試料のストローク変位速度の温度依存性チャートを得た。このチャートにおいて、低温側に得られるピークを経過した後、再度ストローク変位速度が上昇し始める温度を流動開始温度とした。

0134

(5%重量減少温度)
5%重量減少温度(測定試料を昇温しながら重量減少を測定し、重量減少が5重量%に達したときの温度)の測定は、示差熱分析装置(株式会社島津製作所製、TG/DTA分析器DTG−60)を用いて行った。測定試料を、乾燥窒素雰囲気下で、昇温速度10℃/分にて40℃から500℃まで昇温し、測定試料の5%重量減少温度を測定した。

0135

(密度)
JIS K 7112:1999のA法(水中置換法)に準じて、高周波誘電加熱接着シートの密度(g/cm3)を測定した。

0136

(メルトフローレート)
測定試料のMFRは、JIS K 7210−1:2014に記載の試験条件を下記のとおり変更して測定した。
・試験温度:230℃
・荷重:5kg
・ダイ:穴形状φ2.0mm、長さ5.0mm
・シリンダー径:11.329mm
なお、実施例の熱可塑性樹脂(A)においては、オレフィン由来の構成単位がポリエチレンであるため、A成分のMFR測定時の試験温度は、190℃とした。

0137

(融点)
JIS K 7121:2012に準じて、示差走査熱量計DSCティーエイインスツルメンツ社製,製品名「Q2000」)を用いて測定した。
具体的には、まず、昇温速度20℃/分で常温から250℃まで加熱し、250℃で10分間保持し、降温速度20℃/分で−60℃まで低下させ、−60℃で10分間保持した。その後、再び昇温速度20℃/分で250℃まで加熱してDSC曲線を得て、融点を測定した。

0138

(1Hzにおける損失正接ピーク温度)
1Hzにおける損失正接ピーク温度は、動的粘弾性自動測定器(オリエンテック社製、バイブロDDV−01FP)を使用し、周波数1Hz、昇温4℃/分で−100℃〜120℃の範囲で引張モードによる高周波誘電加熱接着シートの粘弾性を測定し、得られたtanδ(損失弾性率貯蔵弾性率)の最大点における温度とした。

0139

(屈曲性試験前後の引張破壊応力)
高周波誘電加熱接着シートを150mm(MD方向)×15mm(TD方向)のサイズに切り出し、測定試料を得た。
屈曲性試験を実施する前の測定試料について、ヤング率の測定方法と同様に引張試験を行い、屈曲性試験前の引張破壊応力を求めた。
次いで、面状体無負荷U字伸縮試験機(ユアサシステム機器株式会社製)を用いて、この測定試料を、試験温度23℃、最小屈曲径10mmφ、屈曲回数3万回、屈曲速度30rpmの条件で繰り返し屈曲させ、屈曲性試験を行った。
屈曲性試験を終えた後、測定試料を25℃、50%RHの環境下に24時間静置し、その後、ヤング率の測定方法と同様に引張試験を行い、屈曲性試験後の引張破壊応力を求めた。

0140

(ヤング率)
上記実施例および比較例で製造した高周波誘電加熱接着シートを15mm(TD方向)×150mm(MD方向)の試験片に裁断し、
JIS K7161−1:2014及びJIS K 7127:1999に準拠して、23℃における引張伸度(%)及びヤング率(MPa)を測定した。具体的には、上記試験片を、引張試験機(島津製作所製,オートグラフAG−IS 500N)にて、チャック間距離100mmに設定した後、200mm/分の速度で引張試験を行い、ヤング率(MPa)を測定した。

0141

[接合布帛の評価]
接合布帛の評価結果を表2に示す。

0142

(接合強度試験)
一対の布帛(第1布帛及び第2布帛)を高周波誘電加熱接着シートにて接合して、前述の実施例A1〜A7並びに比較例B1〜B2に係る試験片(接合布帛)を作製した。
作製した試験片についてJIS K 6850:1999に準拠して引張せん断力を測定した。測定された引張せん断力が、4MPa以上であるか、一対の布帛の少なくとも一方の布帛が破壊されるかの少なくともいずれか一方に該当すれば合格と判定した。表2中、合格の場合「A」と示し、不合格の場合「F」と示す。

0143

(耐水接合強度試験)
前述の(接合強度試験)にて作製した試験片を温度25℃の水中に1日間浸漬させる耐水試験を実施した。耐水試験後の試験片について、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後、JIS K 6850:1999に準拠して引張せん断力を測定した。測定された引張せん断力が、4MPa以上であるか、一対の布帛の少なくとも一方の布帛が破壊されるかの少なくともいずれか一方に該当すれば合格と判定した。表2中、合格の場合「A」と示し、不合格の場合「F」と示す。

0144

(耐溶剤接合強度試験)
前述の(接合強度試験)にて作製した試験片を、温度25℃の脂肪族系炭化水素溶剤(JXTGエネルギー株式会社製 T−SOL 3040FLUID)中に1時間浸漬させる耐溶剤試験を実施した。耐溶剤試験後の試験片について、さらに25℃、50%RH環境下に24時間静置した後、JIS K 6850:1999に準拠して引張せん断力を測定した。測定された引張せん断力が、4MPa以上であるか、一対の布帛の少なくとも一方の布帛が破壊されるかの少なくともいずれか一方に該当すれば合格と判定した。表2中、合格の場合「A」と示し、不合格の場合「F」と示す。

0145

0146

実施例

0147

実施例1〜4に係る高周波誘電加熱接着シートによれば、低電力かつ短時間の高周波誘電加熱処理であっても、布帛同士を強固に接合できた。比較例1及び2に係る高周波誘電加熱接着シートは、実施例1〜4と同様の高周波誘電加熱処理条件では、布帛同士を強固に接合できなかった。

0148

1,1A,1B…接合布帛、10…高周波誘電加熱接着シート、21…第1布帛、22…第2布帛。

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