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技術 不燃シートの製造方法及び不燃シート

出願人 凸版印刷株式会社
発明者 大島野乃花
出願日 2019年3月29日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-068272
公開日 2020年10月8日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-163777
状態 未査定
技術分野 建築環境 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 積層体(2)
主要キーワード メタル繊維 技術的基準 多段形状 溶融押し出し装置 中空マイクロスフェア 膨張成分 炭酸カルシウム塩 アクリレート系共重合体樹脂
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

断熱性を有する不燃シートを提供する。

解決手段

本実施形態に係る不燃シート10は、原反層1と、原反層1の一方の面に形成された表面アンカー層2と、を備え、原反層1を、熱可塑性樹脂無機質材料発泡剤とを含む混合物を1軸延伸又は2軸延伸すると共に発泡剤を発泡させて形成し、表面アンカー層2を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有して形成する。1軸延伸又は2軸延伸することにより平面的な空隙が形成され、発泡剤を加熱発泡させることにより原反層1の厚み方向に延びるような形状の空隙が形成される。このように、原反層1に空隙を持たせることにより、不燃シート10に断熱性を持たせることができる。

概要

背景

建築物の壁、床、天井等の内装には、不燃材料が用いられている。高い不燃性を備えた積層材として、例えば、断熱性基材と、不燃補強層と、紙層と、金属層と、化粧層とをこの順に接着した不燃積層材等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

概要

断熱性を有する不燃シートを提供する。本実施形態に係る不燃シート10は、原反層1と、原反層1の一方の面に形成された表面アンカー層2と、を備え、原反層1を、熱可塑性樹脂無機質材料発泡剤とを含む混合物を1軸延伸又は2軸延伸すると共に発泡剤を発泡させて形成し、表面アンカー層2を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有して形成する。1軸延伸又は2軸延伸することにより平面的な空隙が形成され、発泡剤を加熱発泡させることにより原反層1の厚み方向に延びるような形状の空隙が形成される。このように、原反層1に空隙を持たせることにより、不燃シート10に断熱性を持たせることができる。

目的

しかしながら、断熱材や断熱シート等を床に積層することは手間がかかるため、これら断熱材等を積層しなくとも、十分に断熱性を確保することができる不燃シートが望まれていた

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

原反層と、前記原反層の一方の面に形成されたアンカー層と、を備える不燃シートの製造方法であって、前記原反層を、熱可塑性樹脂無機質材料発泡剤とを含む混合物を1軸延伸又は2軸延伸すると共に前記発泡剤を発泡させて形成し、前記アンカー層を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有して形成することを特徴とする不燃シートの製造方法。

請求項2

前記発泡剤は、分解ガス発生性発泡剤及び膨張性カプセル発泡剤のうちの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の不燃シートの製造方法。

請求項3

前記分解ガス発生性発泡剤は、アゾジカルボンアミドジニトロソペンタメチレンテトラミンパラトルエンスルホニルヒドラジドベンゼンスルホニルヒドラジド重炭酸ナトリウム及び炭酸アンモニウムアゾビスイソブチロニトリル、4,4−オキシビスベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、及び発泡性中空マイクロスフェアのうちの少なくとも1種であり、前記膨張性カプセル発泡剤は、アクリル酸エステル塩化ビニリデンアクリロニトリルウレタン等の熱可塑性樹脂を被膜とする微小粒子中に、エタンブタンペンタンネオペンタンヘキサンヘプタン等の炭化水素系の揮発性膨張成分が内包されたものであることを特徴とする請求項2に記載の不燃シートの製造方法。

請求項4

前記原反層は、1種以上の熱可塑性ポリマー粉末を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の不燃シートの製造方法。

請求項5

前記熱可塑性ポリマー粉末は、酢酸ビニルポモポリマー酢酸ビニルコポリマーエチレン酢酸ビニルコポリマー塩化ビニルホモポリマー塩化ビニルと酢酸ビニル及び(メタアクリレートの少なくとも一方とのコポリマースチレンホモ又はコポリマー、(メタ)アクリレートホモ又はコポリマー、ポリオレフィンポリエーテル又はポリビニルブチラール、のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の不燃シートの製造方法。

請求項6

前記熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンポリエチレンポリブテン及びポリメチルペンテンの少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の不燃シートの製造方法。

請求項7

前記無機質材料は、三酸化アンチモンアンチモンソーダ珪酸ジルコン酸化ジルコン、水酸化マグネシウム水酸化アルミニウム塩基性炭酸マグネシウム硼砂ホウ酸亜鉛炭酸カルシウム三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムの錯体、三酸化アンチモンとシリカの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華の錯体、ジルコニウムケイ酸、及びジルコニウム化合物と三酸化アンチモンの錯体、並びにそれらの塩、さらに、シリカ、アルミナ中空ガラスビーズアクリルビーズのうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の不燃シートの製造方法。

請求項8

前記原反層は、少なくとも1種のフィラーを含むことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の不燃シートの製造方法。

請求項9

前記フィラーは、雲母フィラー、ガラス繊維メタル繊維、炭酸カルシウム及び中空ガラスマイクロスフェアのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の不燃シートの製造方法。

請求項10

前記原反層は、カーボン繊維、メタル繊維、ガラス繊維、ポリアミド繊維ポリエチレン繊維ポリエステル繊維セルロース繊維及びこれらの混合物のうちのいずれか1種を含むことを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか一項に記載の不燃シートの製造方法。

請求項11

原反層と、前記原反層の一方の面に形成されたアンカー層と、を有し、前記原反層は、熱可塑性樹脂と無機質材料と発泡剤とを含有し、前記無機質材料と前記熱可塑性樹脂との間に形成される空隙を全体に散在して複数備えると共に、発泡した前記発泡剤により形成される空隙を全体に散在して複数備え、前記アンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有することを特徴とする不燃シート。

技術分野

0001

本発明は、不燃シートの製造方法及び不燃シートに関する。

背景技術

0002

建築物の壁、床、天井等の内装には、不燃材料が用いられている。高い不燃性を備えた積層材として、例えば、断熱性基材と、不燃補強層と、紙層と、金属層と、化粧層とをこの順に接着した不燃積層材等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。

先行技術

0003

特開2017−035898号公報

発明が解決しようとする課題

0004

ところで、水回りや、脱衣所等の床材冷えを伝えやすく、冬場等は風邪をひきやすい等、健康を害する恐れや、高齢者の場合には心臓等に負担がかかる恐れがある。
断熱性を確保する方法として、例えば、不燃性を備えた床材に、断熱材や断熱シート等を積層すること等が挙げられる。しかしながら、断熱材や断熱シート等を床に積層することは手間がかかるため、これら断熱材等を積層しなくとも、十分に断熱性を確保することができる不燃シートが望まれていた。
そこで、本発明は、断熱性を有する不燃シートの製造方法及び不燃シートを提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0005

上記目的を達成するべく、本発明の一態様に係る不燃シートの製造方法は、原反層と、前記原反層の一方の面に形成されたアンカー層と、を備える不燃シートの製造方法であって、前記原反層を、熱可塑性樹脂無機質材料発泡剤とを含む混合物を1軸延伸又は2軸延伸すると共に前記発泡剤を発泡させて形成し、前記アンカー層を、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有して形成することを特徴とする。
また、本発明の他の態様に係る不燃シートは、原反層と、前記原反層の一方の面に形成されたアンカー層と、を有し、前記原反層は、熱可塑性樹脂と無機質材料と発泡剤とを含有し、前記無機質材料と前記熱可塑性樹脂との間に形成される空隙を全体に散在して複数備えると共に、発泡した前記発泡剤により形成される空隙を全体に散在して複数備え、前記アンカー層は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂又は塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有することを特徴とする。

発明の効果

0006

本発明によれば、断熱性を有する不燃シートを実現することができる。

図面の簡単な説明

0007

本発明の第1実施形態に係る不燃シート及び不燃材の構成を示す断面図である。
本発明の第1実施形態の変形例に係る不燃シート及び不燃材の構成を示す断面図である。
本発明の第2実施形態に係る不燃シート及び不燃材の構成を示す断面図である。

実施例

0008

次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なる。また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。

0009

<第1実施形態>
[不燃シートの構成]
第1実施形態の不燃シート10は、図1に示すように、最背面側から最表面側に向かって、プライマー層6と、裏面アンカー層5と、原反層1と、表面アンカー層(特許請求の範囲のアンカー層に対応)2と、絵柄模様層3と、表面保護層4とを備えている。なお、図1は不燃シート10の断面図であるが、原反層1にはハッチングを施していない。また、第1実施形態の不燃材12は、第1実施形態の不燃シート10と、基板11とを備えている。

0010

以下、不燃シート10を構成する各層について説明する。なお、後述する各種材料の含有量は、乾燥状態における対応する層全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。例えば、後述する本実施形態の無機質材料の含有量は、乾燥状態における原反層1全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。また、後述する表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、乾燥状態における表面アンカー層2全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。また、後述する裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、乾燥状態における裏面アンカー層5全体の質量に対する含有比率(質量%)を意味する。

0011

(原反層)
原反層1は、不燃シート10の基材となる層(シート)であって、熱可塑性樹脂と、無機質材料と、発泡剤と、を含んだ層である。
本実施形態の無機質材料の含有量は、原反層1の質量に対して、15質量%以上90質量%以下の範囲内であればよく、20質量%以上80質量%以下の範囲内であればより好ましく、60質量%以上80質量%以下の範囲内であればさらに好ましい。無機質材料の含有量が原反層1の質量に対して、15質量%未満であると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が多くなるため、不燃性または難燃性が得にくい傾向がある。また、原反層1の表面をホフマンスクラッチテスターを用いて引っ掻いた際に、視認できる程度の傷が付く、即ち十分な表面硬度が得られないことがある。一方、無機質材料の含有量が原反層1の質量に対して、90質量%を超えると、相対的に熱可塑性樹脂の割合が少なくなる。このため、原反層1表面にアンカー層塗工もしくは印刷等を行った際に原反層1表面に所謂「粉吹き」が発生することがある。ここで、「粉吹き」とは、原反層1に含まれた無機質材料が原反層1の表面に浮き出ることをいう。また、絵柄模様層3の形成時に、原反層1から浮き出た無機質材料によってインキが積層しにくくなる、即ち印刷適性が低下することがある。また、表面アンカー層2、裏面アンカー層5、絵柄模様層3、及び表面保護層4の少なくとも一つを形成したシートをロール状または枚葉木質系基材及び石系基材にラミネートする際にラミネートしにくくなる、即ちラミネート適性が低下する傾向がある。また、絵柄模様層3を形成したシートの表面にセロハンテープ圧着した後、強く引き剥がし、絵柄模様層3内または原反層1(表面アンカー層2)と絵柄模様層3との間で剥離が生じる、即ちインキ密着性が低下することがある。

0012

このように、本実施形態の無機質材料の含有量が原反層1の質量に対して、15質量%以上90質量%以下、好ましくは20質量%以上80質量%以下、さらに好ましくは60質量%以上80質量%以下の範囲内であれば、不燃性または難燃性を得つつ、粉吹きの発生を低減し、印刷適性を向上させ、ラミネート適性を向上させることができ、さらに十分な表面硬度を得ることができ、インキ密着性を向上させることできる。

0013

また、本実施形態の無機質材料は、粉末形状粉体形状)であることが好ましく、その平均粒子径が1μm以上3μm以下の範囲内であり、且つ最大粒子径が50μm以下であることが好ましい。無機質材料の平均粒子径及び最大粒子径が上記数値範囲内であれば、熱可塑性樹脂に対する無機質材料の分散性を向上させつつ、原反層1表面の平坦性を維持することができる。無機質材料の平均粒子径が1μm未満であると、無機質材料同士の凝集力が高まり、後述する熱可塑性樹脂への分散性が低下することがある。また、無機質材料の平均粒子径が3μmを超えると、原反層1表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層2または裏面アンカー層5の厚みが不均一となったり、ムラ欠けが発生したりすることがある。また、無機質材料の最大粒子径が50μmを超えると、原反層1表面の平坦性が低下し、後述する表面アンカー層2または裏面アンカー層5の厚みが不均一となったり、ムラや欠けが発生したりすることがある。なお、本実施形態において、「平均粒子径」とは、モード径を意味する。

0014

無機質材料は、例えば、炭酸カルシウムを含有した粉末である。無機質材料は、炭酸カルシウムを、50質量%以上100質量%以下の範囲内で含むものが好ましい。炭酸カルシウムの含有量が50質量%以上である無機質材料であれば、原反層1に、十分な不燃性または十分な難燃性を付与することができると共に、十分な機械強度を付与することができる。
なお、無機質材料としては、炭酸カルシウム以外に、例えば、炭酸カルシウム塩シリカ(特に中空シリカ)、アルミナ三酸化アンチモンアンチモンソーダ珪酸ジルコン酸化ジルコンなどのジルコニウム化合物水酸化マグネシウム水酸化アルミニウム塩基性炭酸マグネシウム硼砂ホウ酸亜鉛三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムの錯体など、三酸化アンチモンとシリカの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華の錯体、ジルコニウムケイ酸、ジルコニウム化合物と三酸化アンチモンの錯体、並びにそれらの塩などの少なくとも1種が挙げられる。特に、炭酸カルシウム及び炭酸カルシウム塩は製造手法による粒径コントロールや熱可塑性樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため不燃シートの低廉化の観点からも好適である。

0015

また、無機質材料は、結晶性を有する粉末材料、所謂結晶粉末であってもよいし、結晶性を有さない粉末材料、所謂アモルファスタイプの粉末材料であってもよい。無機質材料が結晶性を有する粉末材料であれば、粉末自体が均質等方性を備えるため、粉末自体の機械強度が向上し、不燃シートの耐傷性耐久性が向上する傾向がある。また、無機質材料がアモルファスタイプの粉末材料であれば、粉末自体の電気伝導性熱伝導性、あるいは光透過率光吸収率を適宜調整することが可能となるため、触感等のバリエーション豊富意匠性を付与することが可能となる。

0016

また、無機質材料は、中空ガラスビーズや、アクリルビーズであってもよい。
本実施形態の熱可塑性樹脂は、エチレン単独重合体プロピレン単独重合体エチレン及び又はプロピレンとこれらと共重合可能な他のα−オレフィンとの共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群、つまり、ポリオレフィン系樹脂の中から選択される少なくとも1種である。具体的には、ポリエチレンポリプロピレンポリブテンポリメチルペンテン等を用いることが可能であり、ポリプロピレンが最も好ましい。熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも1種を使用することで、無機質材料の分散性が向上する。また、熱可塑性樹脂として、ポリプロピレンを使用することで、無機質材料の分散性がさらに向上する。

0017

また、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、原反層1の質量に対して、90質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を得つつ、印刷適性やラミネート適性を向上させることができる。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が原反層1の質量に対して、90質量%未満であると、十分な不燃性または十分な難燃性が得られないことがある。また、印刷適性やラミネート適性が低下することがある。

0018

なお、熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量は、原反層1の質量に対して、95質量%である場合には、熱可塑性樹脂の含有量を10質量%以上85質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を15質量%以上90質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を20質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがより好ましい。また、熱可塑性樹脂の含有量を20質量%以上40質量%以下の範囲内とし、無機質材料の含有量を60質量%以上80質量%以下の範囲内とすることがさらに好ましい。熱可塑性樹脂と無機質材料との合計含有量が上記数値範囲内であれば、十分な不燃性または十分な難燃性を確実に得つつ、印刷適性やラミネート適性を確実に向上させることができる。

0019

本実施形態の発泡剤は、分解ガス発生性発泡剤、膨張性カプセル発泡剤等のうちの少なくとも1種を用いることができる。分解ガス発生性発泡剤の好ましい例としては、アゾジカルボンアミドジニトロソペンタメチレンテトラミンパラトルエンスルホニルヒドラジドベンゼンスルホニルヒドラジド重炭酸ナトリウム及び炭酸アンモニウムアゾビスイソブチロニトリル、4,4−オキシビスベンゼンスルホン酸ヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、ベンゼン−1,3−ジスルホヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、及び発泡性中空マイクロスフェアのうちの少なくとも1種が挙げられる。また、膨張性カプセル発泡剤としては、アクリル酸エステル塩化ビニリデンアクリロニトリルウレタン等の熱可塑性樹脂を被膜とする微小粒子中に、エタンブタンペンタンネオペンタンヘキサンヘプタン等の炭化水素系の揮発性膨張成分が内包されたものが挙げられる。

0020

原反層1に発泡剤を含むことによって、図1に示すように、発泡剤により形成される空隙1aが全体に複数散在する原反層1を得ることができる。
発泡剤の含有量は、床材として断熱性を得ることができ、かつ樹脂組成物層間強度、また床材としての強度を有する量であればよく、必要に応じて調整すればよい。例えば、発泡剤の量は、不燃シート10が加熱された際に、少なくとも10%、25%、50%、100%、150%、200%又はそれ以上の容積のうちのいずれかの容積で発泡するようにすればよい。発泡剤の含有量は、例えば、原反層1の質量に対して、5質量%以上10質量%以下の範囲内である。

0021

なお、原反層1は、腐食耐性及び表面粘着性等を改善するために、少なくとも1種以上のフィラーを、10重量%以上60重量%以下の範囲内程度の量を含んでいてもよい。
原反層1は、フィラーとしては、雲母フィラー、ガラス繊維、炭酸カルシウム及び中空ガラスマイクロスフェアからなる群から選択される少なくとも1種以上を含んでいてもよい。中空ガラスマイクロスフェアは、例えば5μm以上200μm以下の範囲の径を有していることが好ましく、70μm以下の径を有していることがより好ましい。
また、原反層1は、カーボン繊維メタル繊維(例えば、アルミニウム)、ガラス繊維、ポリアミド繊維ポリエチレン繊維又はポリエステル繊維、及びそれらの混合物からなる群から選択される繊維を含んでいてもよい。また、原反層1は、セルロースナノファイバー等のセルロース繊維を含んでいてもよい。

0022

また、原反層1は、1種以上の超微細熱可塑性ポリマー粉末を含んでいてもよい。熱可塑性ポリマー粉末は、原則として、多数の超微粒子ポリマー粉末から選択することができ、例えば、酢酸ビニルポモポリマー酢酸ビニルコポリマーエチレン酢酸ビニルコポリマー塩化ビニルホモポリマーPVC)、塩化ビニルと酢酸ビニル及び(メタアクリレートの少なくとも一方とのコポリマースチレンホモ又はコポリマー、(メタ)アクリレートホモ又はコポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレートブチルアクリレートメチルアクリレートコポリマー)、ポリオレフィンポリエーテル又はポリビニルブチラール等が挙げられる。特に、カルボキシル基カルボン酸無水物基又はイミダゾール基等の官能基を含み及び/又はコアシェル構造を有する熱可塑性ポリマーが好ましい。熱可塑性ポリマー粉末は、一般に、1mm以下、好ましくは350μm以下、より好ましくは100μm以下の平均粒径を有する。

0023

原反層1の厚みは、50μm以上12500μm以下の範囲内であることが好ましく、70μm以上10000μm以下の範囲内であることがより好ましい。原反層1の厚みが上記数値範囲内であれば、ラミネート適性を向上させることができる。原反層1の厚みが50μm未満であると、ラミネート適性が低下する傾向がある。また、原反層1の厚みが12500μmを超えると、加工性及び施工性において取り扱いが困難となる。
また、原反層1は、1軸延伸または2軸延伸の原反層である。原反層1が1軸延伸または2軸延伸の原反層であれば、不燃シート10の汎用性を高めることができる。また、1軸延伸または2軸延伸の原反層であれば、図1に示すように、無機質材料1bを含むことにより無機質材料1bと熱可塑性樹脂との間に、原反層1の表裏面に平行な方向に延びるような平面的(横方向)な形状を有する空隙1cが、全体に複数散在する原反層1を得ることができる。

0024

つまり、原反層1は、発泡剤を含み且つ1軸延伸または2軸延伸により形成されるため、図1に示すように、発泡剤により図1において厚さ方向に延びるような形状の空隙1aを有し、かつ無機質材料1bにより図1において横方向に延びるような形状の空隙1cを有し、結果的に、図1において横方向に延びるような形状の空隙と厚み方向に延びるような形状の空隙とが全体に複数散在する原反層1を得ることができる。
なお、原反層1の少なくとも表面に、後述する表面アンカー層2を形成する前に、コロナ処理プラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。原反層1の少なくとも表面に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことで、表面処理が行われた面に形成される表面アンカー層2と、原反層1との接着性密着性)が向上する。原反層1の裏面にも裏面アンカー層5を形成する場合には、原反層1の裏面にも裏面アンカー層5を形成する前に、コロナ処理やプラズマ処理等の表面処理を施すことが好ましい。

0025

また、表面アンカー層2及び裏面アンカー層5を形成する前に、原反層1の、表面アンカー層2を形成する表面、また、裏面アンカー層5を形成する場合には裏面も、ブラッシングして、粉吹きした無機質材料を事前に落とすようにしてもよい。
なお、絵柄模様層3を原反層1の一方の面に密着させるために絵柄模様層3と原反層1との間、つまり、原反層1の表面側には表面アンカー層2を設ける必要がある。一方、原反層1の裏面側には、不燃シート10の施工方法等にもよるため、裏面アンカー層5及びプライマー層6は必ずしも設けなくともよい。

0026

(表面アンカー層)
表面アンカー層2は、原反層1の表面全体を覆うように形成された層であって、原反層1に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。印刷時や樹脂塗工時に原反層1に含まれる無機質材料が印刷系内、具体的には印刷装置内で粉落ちすると、その印刷系内を汚染することがある。また、原反層1に含まれる無機質材料が粉落ちすると、インキ抜け等の不具合が発生する可能性がある。ここで、「インキ抜け」とは、インキが部分的に印刷されないことをいう。

0027

また、表面アンカー層2は、原反層1と、後述する絵柄模様層3を形成するインキとの密着性を向上させるための機能も備えている。表面アンカー層2を備えない場合には、絵柄模様層3を形成するインキが原反層1に密着せずに剥離してしまうことがある。
表面アンカー層2は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。ここで、「塩酢ビ」とは、塩化ビニルと酢酸ビニルとの共重合体を意味する。また、「塩酢ビを含むウレタン系樹脂」とは、塩酢ビとウレタン系樹脂とを含んだ組成物であり、塩酢ビの含有量とウレタン系樹脂の含有量との比(塩酢ビの含有量(質量)/ウレタン系樹脂の含有量(質量))は80/20以上1/99以下の範囲内であればよく、50/50以上5/95以下の範囲内であれば好ましく、20/80以上10/90以下の範囲内であればさらに好ましい。

0028

また、「塩酢ビを含むウレタン系樹脂」は、前述の塩酢ビ及びウレタン系樹脂以外に硬化剤を含んでいてもよい。この硬化剤は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂を確実に硬化させるために添加されるものであり、その含有量については特に限定されない。例えば、塩酢ビを含むウレタン系樹脂の含有量と、硬化剤の含有量との比(塩酢ビを含むウレタン系樹脂の含有量(質量)/硬化剤の含有量(質量))は99/1以上1/99以下の範囲内であればよく、99/1以上50/50以下の範囲内であれば好ましく、95/5以上90/10以下の範囲内であればさらに好ましい。

0029

表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、表面アンカー層2の質量に対し、15質量%以上100質量%以下の範囲内が好ましく、80質量%以上100質量%以下の範囲内がより好ましく、85質量%以上95質量%以下の範囲内がさらに好ましい。表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、表面アンカー層2と絵柄模様層3との層間強度を十分なものにしつつ、均一でムラや欠けのない表面アンカー層2を形成することができる。表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層2の質量に対し、15質量%未満であると、表面アンカー層2と絵柄模様層3との層間強度が不十分となることがある。また、表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層2の質量に対し、乾燥状態で80質量%未満であると、使用上何ら問題はないが、表面アンカー層2の原反層1への食い込み比率が低下し、表面アンカー層2と原反層1との層間強度が低下することが僅かながらある。なお、表面アンカー層2における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が表面アンカー層2の質量に対し、100質量%以下であれば使用上何ら問題はないが、95質量%、より正確には98質量%を超えると、硬化不足で表面アンカー層2に欠けが生じたり、表面アンカー層2と原反層1、もしくは表面アンカー層2と絵柄模様層3との層間強度が低下したりすることがある。

0030

また、表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、後述する裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量と同じであってもよい。即ち、表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量の1.0倍(0.95倍以上1.04倍以下の範囲内)であってもよい。表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が、裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量と同じである場合には、表面アンカー層2の物性と裏面アンカー層5の物性がほぼ同じになるため、原反層1が表面アンカー層2及び裏面アンカー層5を備えた状態において、歪みや反り等の発生を低減することができる。そのため、不燃シート全体の歪みや反り等の発生を低減することができる。また、表面アンカー層2を形成するための塗工液と、裏面アンカー層5を形成するための塗工液とを共通化することができるため、製造コストを低減するとともに、作業効率を向上させることができる。

0031

また、表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量よりも多くてもよいし、少なくてもよい。表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が、裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量よりも多い、または少ない場合には、表面アンカー層2の物性と裏面アンカー層5の物性が異なるため、表面アンカー層2及び裏面アンカー層5を備えた原反層1に、歪みや反り等を付与することができる。このように、表面アンカー層2及び裏面アンカー層5を備えた原反層1に歪みや反り等を付与することで、その原反層1を湾曲した表面を備える基材等に隙間なく貼り合せることができる。例えば、表面アンカー層2における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、裏面アンカー層5における塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量の1.1倍以上10倍以下であってもよく、0.1倍以上0.9倍以下であってもよい。

0032

表面アンカー層2の厚みは、例えば、0.5μm以上20μm以下の範囲内であり、好ましくは、0.5μm以上10μm以下の範囲内である。また、表面アンカー層2の厚みは、裏面アンカー層5の厚みと同じであってもよい。表面アンカー層2の厚みが裏面アンカー層5の厚みと同じである場合には、表面アンカー層2の物性と裏面アンカー層5の物性がほぼ同じになるため、原反層1が表面アンカー層2及び裏面アンカー層5を備えた状態において、歪みや反り等の発生を低減することができる。
また、表面アンカー層2の厚みは、裏面アンカー層5の厚みよりも厚くてもよいし、薄くてもよい。表面アンカー層2の厚みと裏面アンカー層5の厚みを異なるものとすることで、光沢差が生じるため、原反層1の表面側と裏面側とを容易に視認することができる。そうすることで、原反層1の表面に、例えば印刷面であることを表示する識別マーク等を形成することなく、絵柄模様層3を印刷することができる。その結果、原反層1の裏面(非印刷面)側に絵柄模様層3を形成することで生ずる製品ロスを低減することができる。

0033

(絵柄模様層)
絵柄模様層3は、不燃シート10に絵柄を付与する層であり、表面アンカー層2上に形成されている。
絵柄模様層3が形成する絵柄模様の種類には、特に制約はなく、例えば、木目柄石目柄、布目柄、抽象柄、幾何学図形文字記号等を単独で、または、2種類以上を組み合わせて形成してもよい。また、絵柄模様層3は多色であってもよく単色であってもよい。
絵柄模様層3は、アクリル系樹脂をバインダーとして含むインキ(以下、絵柄模様層形成用インキとも称する)を、表面アンカー層2の一方の面に塗布して形成した層である。絵柄模様層形成用インキにバインダーとして含まれるアクリル系樹脂としては、例えば、エチレン−アクリル酸メチル共重合体樹脂(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体樹脂(EEA)、エチレン−メタクリル酸共重合体樹脂(EMAA)、エチレン−アクリル酸共重合体樹脂(EAA)、アイオノマー樹脂、またはそれらの混合物等のアクリレート系共重合体樹脂を主成分とするものを使用することができる。ここで、「主成分」とは、絵柄模様層3を構成する成分のうち、最も含有量が多い成分をいう。

0034

なお、絵柄模様層3は、ウレタン系樹脂をバインダーとして含むインキを、表面アンカー層2の一方の面に塗布して形成した層であってもよい。そのウレタン系樹脂としては、アクリルポリオールイソシアネートとを反応させて得られるウレタン系のものを用いて
もよい。イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、メチルヘキサンジイソシアネート(HTDI)、メチルシクロヘキサノンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などから適宜選択することができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)を用いることが好ましい。

0035

絵柄模様層形成用インキは、上記アクリル系樹脂とともに、そのアクリル系樹脂を架橋する架橋剤を含んでいてもよい。この架橋剤は、アクリル系樹脂を架橋して絵柄模様層3全体に機械強度を付与する機能を有することから、一般に「硬化剤」とも称される。絵柄模様層形成用インキに添加可能な架橋剤(硬化剤)としては、例えばウレタン硬化剤が挙げられる。より詳しくは、絵柄模様層形成用インキに添加可能なウレタン硬化剤としては、例えばIPDA(イソフオロンジアミン)やHDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)が挙げられる。本実施形態では、これらを単体またはそれらを混合して用いることができる。

0036

絵柄模様層形成用インキが架橋剤を含む場合、その架橋剤の含有量は、絵柄模様層3におけるアクリル系樹脂の含有量を100質量部とした場合、0質量部超10質量部以下の範囲内であることが好ましい。架橋剤の含有量が上記数値範囲内であれば、絵柄模様層形成用インキの塗工性が向上する。なお、好ましくは、架橋剤の含有量は、絵柄模様層3におけるアクリル系樹脂の含有量を100質量部とした場合、3質量部である。
絵柄模様層形成用インキは、上記バインダー以外に、例えば、有機又は無機染料又は顔料や、必要に応じて体質顔料充填剤粘着付与剤分散剤消泡剤、安定剤その他の添加剤を適宜添加してもよい。また、絵柄模様層形成用インキは、適当な希釈溶剤で所望の粘度に調整されている。

0037

絵柄模様層3の形成方法には、特に制約はなく、例えば、グラビア印刷法オフセット印刷法スクリーン印刷法フレキソ印刷法凸版印刷法インクジェット印刷法等の任意の印刷方法を用いることが可能である。
また、下地着色を目的として、表面アンカー層2と絵柄模様層3との間にベタインキ層(図示せず)を設ける場合には、ベタインキ層の形成方法として、上記各種の印刷方法の他に、例えば、ロールコート法グラビアコート法ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、スプレーコート法リップコート法、ダイコート法等、任意のコーティング方法を用いることが可能である。

0038

(表面保護層)
不燃シート10の最表面には、表面の保護や艶の調整としての役割を果たす表面保護層4が設けられている。表面保護層4の厚みは、2μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましい。表面保護層4の厚みが上記範囲内であれば、耐摩耗性や表面の硬さなどの機械特性を十分に得つつ、柔軟性を維持することができる。表面保護層4の厚みが2μm未満であると、耐摩耗性や表面の硬さなどの機械特性を十分に得られないことがある。また、表面保護層4の厚みが10μmを超えると、柔軟性が低下することがある。
表面保護層4の主成分となる樹脂材料としては、例えば、ポリウレタン系、アクリルシリコン系フッ素系、エポキシ系、ビニル系、ポリエステル系、メラミン系、アミノアルキッド系、尿素系などの樹脂材料から適宜選択して用いることができる。樹脂材料の形態は、水性エマルジョン溶剤系など特に限定されるものではない。硬化法についても1液タイプ、2液タイプ、紫外線硬化法など適宜選択して行うことができる。

0039

表面保護層4の主成分となる樹脂材料としては、イソシアネートを用いたウレタン系のものが作業性、価格、樹脂自体の凝集力などの観点から好適である。イソシアネートには、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、リジンジイソシアネート(LDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ビス(イソシアネートメチルシクロヘキサン(HXDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)などの誘導体であるアダクト体ビュレット体イソシアヌレート体などの硬化剤より適宜選定して用いることができるが、耐候性を考慮すると、直鎖状の分子構造を有するヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)もしくはイソホロンジイソシアネート(IPDI)をベースとする硬化剤が好適である。この他にも、表面硬度の向上を図る場合には、紫外線電子線などの活性エネルギー線で硬化する樹脂を用いることが好ましい。なお、これらの樹脂は相互に組み合わせて用いることが可能であり、例えば、熱硬化型光硬化型とのハイブリッド型とすることにより、表面硬度の向上、硬化収縮の抑制および密着性の向上を図ることができる。

0040

なお、不燃シート10を、床材用途に用いる場合には、ある程度の強度が必要となるため、表面保護層4は、例えばアクリルUV樹脂等、十分な強度を得ることのできる樹脂であることが好ましい。
また、不燃シート10の耐候性を向上させるために紫外線吸収剤および光安定化剤を適宜添加してもよい。また各種機能を付与するために抗菌剤防カビ剤等の機能性添加剤の添加も任意に行える。さらに、表面の意匠性から艶の調整のため、あるいはさらに耐摩耗性を付与するために、アルミナ、シリカ、窒化珪素炭化珪素ガラスビーズ等の添加も任意に行える。

0041

(裏面アンカー層)
裏面アンカー層5は、原反層1の裏面全体を覆うように形成された層であって、原反層1に含まれる無機質材料の粉落ちを防止するための層である。印刷時や樹脂塗工時に原反層1に含まれる無機質材料が印刷系内、具体的には印刷装置内で粉落ちすると、その印刷系内を汚染することがある。
また、裏面アンカー層5は、原反層1と、後述するプライマー層6との密着性を向上させるための機能も備えている。裏面アンカー層5を備えない場合には、プライマー層6を形成する塗液が原反層1に密着せずに剥離してしまうことがある。
裏面アンカー層5は、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有していることが好ましい。

0042

裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量は、例えば、裏面アンカー層5の質量に対し、15質量%以上100質量%以下の範囲内が好ましく、80質量%以上100質量%以下の範囲内がより好ましく、85質量%以上95質量%以下の範囲内がさらに好ましい。裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が上記数値範囲内であれば、裏面アンカー層5とプライマー層6との層間強度を十分なものにしつつ、均一でムラや欠けのない裏面アンカー層5を形成することができる。裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層5の質量に対し、15質量%未満であると、裏面アンカー層5とプライマー層6との層間強度が不十分となることがある。また、裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層5の質量に対し、80質量%未満であると、使用上何ら問題はないが、裏面アンカー層5の原反層1への食い込み比率が低下し、裏面アンカー層5と原反層1との層間強度が低下することが僅かながらある。なお、裏面アンカー層5における、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂の含有量が裏面アンカー層5の質量に対し、100質量%以下であれば使用上何ら問題はないが、95質量%、より正確には98質量%を超えると、硬化不足で裏面アンカー層5に欠けが生じたり、裏面アンカー層5と原反層1、もしくは裏面アンカー層5と絵柄模様層3との層間強度が低下したりすることがある。
また、裏面アンカー層5の厚みは、例えば、0.5μm以上20μm以下の範囲内であり、好ましくは、0.5μm以上10μm以下の範囲内である。

0043

(プライマー層)
プライマー層6の材料としては、例えば、バインダーとしての硝化綿セルロース、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリウレタン、アクリル、ポリエステル系等の単独もしくは各変性物の中から適宜選定して用いることができる。これらは水性、溶剤系、エマルジョンタイプなど特にその形態を問わない。また、硬化方法についても、単独で硬化する1液タイプ、主剤と合わせて硬化剤を使用する2液タイプ、紫外線や電子線等の照射により硬化させるタイプなどから適宜選択して用いることができる。一般的な硬化方法としては、ウレタン系の主剤に対して、イソシアネート系の硬化剤を合わせることによって硬化させる2液タイプが用いられており、この方法は作業性、価格、樹脂自体の凝集力の観点から好適である。上記のバインダー以外には、顔料、染料などの着色剤、体質顔料、溶剤、各種添加剤などが添加されている。特に、プライマー層6においては、不燃シート10の最背面に位置するため、不燃シート10を連続的なプラスチックフィルムウエブ状)として巻き取りを行うことを考慮すると、フィルム同士が密着して滑りにくくなることや、剥がれなくなるなどのブロッキングが生じることを避けるとともに、接着剤との密着を高めるために、例えば、シリカ、アルミナ、マグネシア酸化チタン硫酸バリウムなどの無機充填剤を添加してもよい。層厚は、後述する基板11との密着性を確保することが目的であるので、0.1μm以上3.0μm以下の範囲内とすることが好ましい。

0044

(接着性樹脂層)
本実施形態の不燃シート10は、絵柄模様層3と、表面保護層4または後述する透明樹脂層7との間に、接着性樹脂層(図示せず)を備えてもよい。接着性樹脂層を設けることによって、絵柄模様層3と表面保護層4との密着性を向上させることができる。接着性樹脂層の材質は特に限定されるものではないが、アクリル系、ポリエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などから適宜選択して用いることができる。塗工方法は接着剤の粘度などに応じて適宜選択することができるが、一般的には、グラビアコートが用いられ、絵柄模様層3上にグラビアコートによって塗布された後、表面保護層4または透明樹脂層7とラミネートするようにして形成される。

0045

[不燃シートの製造方法]
不燃シート10の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、原反層1を形成する。すなわち、無機質材料、熱可塑性樹脂、及び発泡剤及び、原反層1に含有されるその他成分を配合する。これら成分を、例えば、スーパーミキサーヘンシェルミキサータンブラーミキサー、リボンブレンダー等の公知の混合機を用いて混合する。
原反層1に含有される各成分を混合した後、一軸あるいは二軸押出機で加熱混錬し、原反層1に含有される各成分を混合した混合物からなるペレットを作成し、Tダイ押出等の公知の成形機を用いて、溶融製膜する。その後、一軸または二軸延伸して均一な微孔径を有する原反層1を形成する。次に、原反層1を加熱し、発泡剤を加熱発泡させる。

0046

次に、原反層1の一方の面である表面に、表面アンカー層2を形成するための表面アンカー層形成用インキを塗工して、表面アンカー層2を形成する。
次に、表面アンカー層2の表面上に、絵柄模様層3を形成するための絵柄模様層形成用インキを塗工して、絵柄模様層3を形成する。
次に、絵柄模様層3の表面上に、表面保護層4を形成するための表面保護層形成用インキを塗工して、表面保護層4を形成する。
次に、原反層1の他方の面である裏面に、裏面アンカー層5を形成するための裏面アンカー層形成用インキを塗工して、裏面アンカー層5を形成する。
最後に、裏面アンカー層5の表面上に、プライマー層6を形成するためのプライマー層形成用インキを塗工して、プライマー層6を形成する。
こうして、本実施形態に係る不燃シート10を製造する。
なお、裏面アンカー層5は、表面アンカー層2と同時に形成してもよい。また、プライマー層6は、絵柄模様層3及び表面保護層4を形成する前に形成してもよい。

0047

[不燃材の構成]
本実施形態の不燃シート10は、不燃シート10を基板11上に配置することで、不燃材12を形成してもよい。つまり、床材等の上に、不燃材12を敷くことで断熱効果を得るようにしてもよい。
図1を用いて、不燃材12の構成を説明する。
図1に表すように、不燃材12は、基板11と、上述の不燃シート10とを備えている。そこで、以下、基板11について説明し、上述の不燃シート10については説明を省略する。

0048

(基板)
本実施形態の基板11は、例えば、金属系の材料、木質系の材料、または無機質系の材料を用いて形成した板状の部材である。
金属系の材料としては、例えば、アルミ、鋼、ステンレス複合パネル等を用いることが可能である。
複合パネルとしては、例えば、芯材となる樹脂層と、樹脂層の両面それぞれに貼り付けられた金属板(アルミニウム、ガルバリウム、ステンレス等)を備えたものを用いることが可能である。
木質系の材料としては、例えば、MDF(Medium Density Fiberboard)、合板パーティクルボード等を用いることが可能である。
無機質系の材料としては、例えば、石こうボード繊維混入ケイ酸カルシウム板等を用いることが可能である。

0049

[不燃材の製造方法]
不燃材12の製造方法の一例について、簡単に説明する。
まず、不燃シート10のプライマー層6を基板11側に向けて配置する。
次に、この積層体を、例えば熱ラミネートする。
こうして、プライマー層6と基板11とを溶着させて、不燃材12を製造する。
上記積層体を熱ラミネートするための方法としては、金属板を当接して平圧プレスする方法の他に、円圧式の連続ラミネート方式を用いることも可能である。特に、金属製無端ベルト、あるいは金属製や硬化型樹脂製のヒートドラムを使用した連続ラミネート方式を用いると、表面の反りや波打ち等が無く、さらに、層間の密着性がよく、稠密に硬化一体化された高品質の不燃材12を、高速度で連続的に製造可能な利点がある。

0050

ここで、建築基準法施工令に規定の不燃材料の技術的基準においては、ISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において下記の要件を満たしている必要がある(建築基準法施工令第108条の2第1号および第2号)。本実施形態の不燃シート10が不燃材料として認定されるためには、不燃性基材と貼り合わせた状態で50kW/m2の輻射熱による加熱にて20分間の加熱時間において下記の1〜3の要求項目をすべて満たす必要がある。
1.総発熱量が8MJ/m2以下
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない

0051

なお、不燃性基材としては、石こうボード、繊維混入ケイ酸カルシウム板または亜鉛メッキ鋼板から選択して用いることができる。
そして、前述の原反層1を具備する本実施形態の不燃シート10は、前述の不燃性基材と貼り合わせた状態でのISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、前述の施工令第108条の2第1号および第2号に記載の要件をともに満たす不燃材料を実現している。
なお、不燃シート10の個々の成分の割合は、加工特性、柔軟性、また、必要な剛性、断熱性等に応じて、所望の特性が得られるように変化させることができる。

0052

<効果>
本実施形態に係る不燃シート10は、原反層1に空隙を備える。そのため、断熱性に優れ、かつ遮蔽性や強度を有する。そのため、特に脱衣所や水回り等、断熱性が要求される場所の床材等として用いることにより、断熱効果を得ることができる。このとき、別途断熱シートや断熱材等を設けることなく、床材を配置するだけで断熱効果を得ることができる。
また、原反層1を1軸又は2軸延伸することで、原反層1の表裏面と平行な方向に延びるような形状を有する平面的な空隙が全体に複数散在して形成されるだけでなく、原反層1に、樹脂組成物の層間強度を阻害しない範囲で発泡剤を配合しているため、原反層1の厚さ方向に延びるような形状の空隙が形成される。そのため、原反層1に立体的な空隙が形成されることになり、より一層断熱効果を高めることができる。
さらに、発泡剤により形成される空隙は、空隙同士がつながり、単独で形成される空隙よりも大きな空隙となる。そのため、このような空隙を原反層1内に含有する床材を用いることで、より一層断熱性を持たせることができる。

0053

また、発泡剤により形成される空隙と、1軸又は2軸延伸することにより形成される空隙とが混在するため、発泡剤及び無機質材料の量を調整することにより、発泡剤により厚さ方向に形成される空隙と、延伸により原反層1の表裏面と平行な方向に形成される空隙との割合を調整することができ、層間強度を阻害せずかつ断熱効果をより向上させることのできる原反層1を容易に得ることができる。
また、空隙を形成させることで断熱性を向上させるようにしているため、重量の大幅な増加を伴うことなく、より断熱性に優れた不燃シート10を実現することができる。

0054

<変形例>
本実施形態では、表面保護層4が単層の場合について説明したが、複層であってもよい。そこで、以下、表面保護層4が、第1の表面保護層4aと、第2の表面保護層4bとの2層を備えた場合について説明する。
図2に示すように、第1の表面保護層4aは、絵柄模様層3の表面側に設けられ、絵柄模様層3の全体を被覆する層である。第1の表面保護層4aは、第1の表面保護層4aを通して、絵柄模様層3の絵柄を透視できる程度に透明または半透明な材料(樹脂)で形成されている。第1の表面保護層4aは、単層でもよく、複数の層を重ねてなる層でもよい。また、第1の表面保護層4aの厚みは、例えば、2μm以上10μm以下の範囲内にあることが好ましい。

0055

第2の表面保護層4bは、第1の表面保護層4aの表面側に部分的に設けられ、第1の表面保護層4aの表面の一部を被覆する層である。第1の表面保護層4aの表面の一部としては、例えば、絵柄模様層3の印刷インキと対向する部分が挙げられる。また、第2の表面保護層4bの材料としては、例えば、第1の表面保護層4aと同じ樹脂を採用できる。第2の表面保護層4bには、フィラーを添加するようにしてもよい。フィラーを添加することにより、第1の表面保護層4aと異なる光沢や触感、質感表面強度摩擦等の機械的物性を付与できる。フィラーとしては、例えば、燃焼時において酸素消費量が少ない材料が好ましく、例えば、炭酸カルシウム、三酸化アンチモン、アンチモンソーダ、珪酸ジルコン、酸化ジルコンなどのジルコニウム化合物、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、塩基性炭酸マグネシウム、硼砂、ホウ酸亜鉛、三酸化モリブデンあるいはジモリブデン酸アンチモンと水酸化アルミニウムの錯体など、三酸化アンチモンとシリカの錯体、三酸化アンチモンと亜鉛華の錯体、ジルコニウムのケイ酸、ジルコニウム化合物と三酸化アンチモンの錯体などが挙げられる。特に、炭酸カルシウムは製造手法による粒径のコントロールや表面処理によるポリオレフィン系樹脂との相溶性の制御が容易であり、また、材料コストとしても安価であるため化粧シートの低廉化の観点からも好適である。また、アクリル、ポリオレフィン、シリコーン等の樹脂のビーズ不定形粒子や、シリカ(特に中空シリカ)、アルミナ、金属酸化物等の無機物のビーズや不定形粒子を用いることができる。また、第2の表面保護層4bの形成方法は、特に限定されるものではなく、既知印刷手法を採用できる。なお、第2の表面保護層4bは、一般に「触感コート層」や「マット導管印刷層」とも称される。

0056

<第2実施形態>
[不燃シートの構成]
第2実施形態の不燃シート10は、図3に示すように、最背面側から最表面側に向かって、プライマー層6と、裏面アンカー層5と、原反層1と、表面アンカー層2と、絵柄模様層3と、透明樹脂層7と、表面保護層4とを備えている。第2実施形態の表面保護層4は、第1の表面保護層4aと、第2の表面保護層4bとを備えている。また、第2実施形態の不燃材12は、第2実施形態の不燃シート10と、基板11とを備えている。つまり、第2実施形態の不燃シート10は、第1実施形態の不燃シート10と比較して、透明樹脂層7と、複数層からなる表面保護層4とを備えている点で異なる。そこで、以下、この異なる部分である透明樹脂層7と、複数層からなる表面保護層4とについて説明し、その他の層については説明を省略する。

0057

(透明樹脂層)
透明樹脂層7は、絵柄模様層3の絵柄が透け見えるように、透明な樹脂を用いて形成されたシート状の層であり、絵柄模様層3の上面に積層されて形成されている。
透明樹脂層7を積層する方法としては、例えば、原反層1、表面アンカー層2及び絵柄模様層3を含む積層体に対し、ラミネート加工により透明樹脂層7を積層する方法を用いることが可能である。
透明樹脂層7を形成する透明な樹脂は、特に限定されるものではなく、既知の透明な樹脂を用いることが可能である。
したがって、透明樹脂層7を形成する透明な樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、またはその鹸化物ポリオレフィン系共重合体ポリエステル系樹脂ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂スチレン系樹脂繊維素誘導体塩素系樹脂フッ素系樹脂等を単体で、または、これらの材料から選択した2種類以上の混合物、共重合体、複合体、積層体等を適宜使用することが可能である。

0058

特に、溶融押し出し装置を用いた製造では、生産性環境適合性、機械強度、耐久性、価格等を考慮すると、透明樹脂層7を形成する透明な樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂を用いることがより好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等を用いることが可能であり、ポリプロピレンが最も好ましい。また、ポリオレフィン系共重合体としては、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル)共重合体等を用いることが可能である。

0059

ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートポリブチレンテレフタレートポリエチレンナフタレートポリアリレートポリカーボネート共重合ポリエステル(代表的には、1,4−シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂である通称PET−G)等を用いることが可能である。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、12−ナイロン等を用いることが可能である。

0060

スチレン系樹脂としては、例えば、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂等を用いることが可能である。
繊維素誘導体としては、例えば、セルロースアセテートニトロセルロース等を用いることが可能である。
塩素系樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニルポリ塩化ビニリデン等を用いることが可能である。
フッ素系樹脂等としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンポリテトラフロロエチレン、エチレン−テトラフロロエチレン共重合体等を用いることが可能である。
透明樹脂層7の厚みは、透明樹脂層7の強度と透明度とをともに良好なものにする点から、20μm以上150μm以下の範囲内にあることが好ましく、45μm以上90μm以下の範囲内にあることがより好ましい。

0061

透明樹脂層7には、必要に応じて既存の熱安定化剤、難燃化剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、ブロッキング防止剤触媒捕捉剤、着色剤、光散乱剤および艶調整剤などの各種添加剤を添加することができる。表面強度の向上を図る場合には、高結晶性ポリプロピレン樹脂を用いることが好ましい。なお、熱安定化剤としては、例えば、フェノール系、硫黄系、リン系、ヒドラジン系などを用いることができる。難燃化剤としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどを用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾエート系ベンゾフェノン系、トリアジン系などを用いることができる。光安定化剤としては、例えば、ヒンダードアミン系などを用いることができる。また、透明樹脂層7の表面には必要に応じて、図3に示すような、所定の凹凸パターンを有するエンボス模様7aを形成してもよい。

0062

(エンボス模様)
エンボス模様7aは、例えば、絵柄模様層3の絵柄と同調した凹部と凸部とからなる模様である。エンボス模様7aの凹部と凸部により、触感による立体感を付与可能となっている。エンボス模様7aと絵柄模様層3の絵柄とのずれは、例えば、絵柄模様の形状に対して長手方向には10mm以下、短手方向幅方向)には3mm以下の範囲内とすることが好ましい。例えば、絵柄模様が木目である場合には、木目の導管が伸びている方向が「絵柄模様の形状に対する長手方向」となり、長手方向と直交する方向が「絵柄模様の形状に対する短手方向」となる。特に、木目の導管が不燃シート10の長手方向に沿って伸びている場合には、不燃シート10の長手方向が「絵柄模様の形状に対する長手方向」となり、不燃シート10の短手方向(幅方向)が「絵柄模様の形状に対する短手方向」となる。エンボス模様7aは、透明樹脂層7及び表面保護層4が透明であるため、斜光反射により初めて強く視認されるが、エンボス模様7aと絵柄模様層3の絵柄とのずれが上記範囲内であれば、反射光と同時に絵柄模様層3の透過光を視認することが困難なため違和感がない。エンボス模様7aと絵柄模様層3の絵柄とのずれを一定範囲内へ抑えることにより、パターンの形状と分布を等しくシート全面で精度よく一致させた不燃シート10を得ることができる。また、エンボス模様7aの凹部と凸部との高低差は、例えば、3μm以上200μm以下の範囲内とする。高低差は、目的とする不燃シート10の意匠に適した数値を選ぶことができる。例えば、最大高低差(200μm)内で連続的な多段形状を取ることもできる。特に、巨視的な立体物としての形状を得るために、高低差は、10μm以上150μm以下の範囲がより好ましい。

0063

(表面保護層)
表面保護層4は、第1の表面保護層4aと、第2の表面保護層4bとを備えている。
第1の表面保護層4aは、透明樹脂層7の表面側に設けられ、透明樹脂層7の全体を被覆する層である。第1の表面保護層4aは、第1の表面保護層4aを通して、絵柄模様層3の絵柄を透視できる程度に透明または半透明な材料(樹脂)で形成されている。第1の表面保護層4aは、単層でもよく、複数の層を重ねてなる層でもよい。また、第1の表面保護層4aの厚みは、例えば、エンボス模様7aを完全に埋めて意匠感を損なうことなく透明樹脂層7の表面を保護するに足る強度を得る点から、3μm以上100μm以下の範囲内にあることが好ましい。さらに、第1の表面保護層4aの材料としては、例えば、透明樹脂層7への接着性、不燃シート10の変形追従性耐擦傷性等の点で、熱硬化型樹脂が好ましい。特に、コスト、汎用性の点からは、2液硬化型ウレタン樹脂等のウレタン結合を有する熱硬化型樹脂(バインダー)がより好ましい。熱硬化型樹脂には、例えば、シリカ粒子等の艶消剤や耐傷剤を添加してもよい。

0064

2液硬化型ウレタン樹脂としては、例えば、ポリオール主体とし、イソシアネートを架橋剤(硬化剤)とするウレタン樹脂を用いることができる。ポリオールとしては、分子中に2個以上の水酸基を有するものであって、例えば、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アクリルポリオール、ポリエステルポリオールポリエーテルポリオールポリカーボネートポリオールポリウレタンポリオールを用いることができる。
また、イソシアネートとしては、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する多価イソシアネートを用いることができる。例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート、或いは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂肪族(または脂環式)イソシアネートを用いることができる。また、上記各種イソシアネートの付加体又は多量体を用いることができる。例えば、トリレンジイソシアネートの付加体、トリレンジイソシアネート3量体(trimer)等がある。なお、上記イソシアネートにおいて脂肪族(または脂環式)イソシアネートは、耐候性、耐熱黄変性も良好にできる点で好ましく、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートを使用できる。

0065

また、耐擦傷性を重視する場合は、硬度の点から、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型樹脂を用いることができる。例えば、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂エポキシ系樹脂を採用できる。紫外線硬化型樹脂を用いることにより、表面保護層4、つまり不燃シート10の最表面層の硬度を向上でき、不燃シート10の耐摩耗性や耐擦傷性、耐溶剤性等の表面物性を向上できる。また、第1の表面保護層4aの材料としては、例えば熱硬化型樹脂と電離放射線硬化型樹脂との混合物を用いてもよい。

0066

第2の表面保護層4bは、第1の表面保護層4aの表面側に部分的に設けられ、第1の表面保護層4aの表面の一部を被覆する層である。第1の表面保護層4aの表面の一部としては、例えば、絵柄模様層3の印刷インキと対向する部分が挙げられる。また、第2の表面保護層4bの材料としては、例えば、第1の表面保護層4aと同じ樹脂を採用できる。第2の表面保護層4bには、フィラーを添加するようにしてもよい。フィラーを添加することにより、第1の表面保護層4aと異なる光沢や触感、質感、表面強度、摩擦等の機械的物性を付与できる。フィラーとしては、例えば、アクリル、ポリオレフィン、シリコーン等の樹脂のビーズや不定形粒子や、シリカ、アルミナ、金属酸化物等の無機物のビーズや不定形粒子を用いることができる。また、第2の表面保護層4bの形成方法は、特に限定されるものではなく、既知の印刷手法を採用できる。なお、第2の表面保護層4bは、一般に「触感コート層」や「マット導管印刷層」とも称される。

0067

なお、上記実施形態においては、不燃シート10を床材として用いる場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、壁、天井、内装建具家具、扉等その他の用途に適用することも可能である。
また、上述した実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。

0068

[実施例]
実施例における不燃シート10は、原反層1に発泡剤を含有させたものである。
ここでは、まず比較例として、原反層に発泡剤を含有しない不燃シートについて説明した後、実施例における不燃シート10について説明する。
比較例における不燃シートは以下の手順で作成した。すなわち、まず、炭酸カルシウムを含む無機質材料と、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂とで構成される原反層を形成した。原反層の組成比は、無機質材料60質量%とし、ポリプロピレン樹脂40質量%とした。原反層の厚みは、200μmとした。なお、無機質材料の純度は、炭酸カルシウムが90質量%のものを使用した。また、無機質材料として、平均粒子径(モード径)が2μmであり、最大粒子径が50μm以下であるものを使用した。

0069

次に、原反層の表面及び裏面をコロナ処理した。
次に、コロナ処理した原反層の表面上及び裏面上に、塩酢ビを含むウレタン系アンカー層形成用インキを塗膜厚みが1μm以上2μm以下の範囲内となるように塗工し、乾燥温度40℃、乾燥時間30秒間の条件で乾燥させた。こうして、原反層の表面上及び裏面上にアンカー層を形成した。
次に、原反層の表面側のアンカー層上に、ウレタン系絵柄模様層形成用インキを塗膜厚みが1μm以上2μm以下の範囲内となるように塗工(印刷)し、乾燥温度40℃、乾燥時間30秒間の条件で乾燥させた。こうして、原反層の表面側のアンカー層上に絵柄模様層を形成した。

0070

その後、原反層、アンカー層及び絵柄模様層を備えた積層体(シート)を室温で1日エージングし、各評価を行うための比較例としての不燃シートのサンプルを作成した。
実施例における不燃シートは、比較例において、炭酸カルシウムを含む無機質材料と、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂と、発泡剤としてのアゾビスイソブチロニトリルと、の混合物を一次延伸し、発泡剤を発泡させて原反層を形成したこと以外は、比較例における不燃シートと同一条件で作成した。無機質材料と、熱可塑性樹脂であるポリプロピレン樹脂と、発泡剤としてのアゾビスイソブチロニトリルとの組成比は、無機質材料60質量%、ポリプロピレン樹脂10質量%、発泡剤(アゾビスイソブチロニトリル)10質量%とした。
本実施例における評価項目は、以下の通りである。

0071

0072

<インキ密着性>
印刷後のシート表面にニチバン製セロハンテープを圧着した後、一定の力で強く引き剥がし、絵柄模様層内部または原反層と絵柄模様層との層間での剥離の有無を目視にて評価した。
<印刷適性>
印刷時に原反層から粉落ちせずに、インキが積層できているか否かを目視にて評価した。
<印刷後の表面粉吹き>
印刷後のシート表面を手やコットンドライラビングし、粉吹きや無機質材料の脱落の有無を目視にて評価した。
不燃性試験
ISO5660−1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において下記の要件を満たしているか否か評価した。
1.総発熱量が8MJ/m2以下
2.最高発熱速度が10秒以上継続して200kW/m2を超えない
3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂および穴が生じない
なお、不燃性基材としては、石こうボードを用いた。

0073

<断熱性効果>
脱衣所に実施例の不燃シートと比較例の不燃シートとを張り付け、100人の試験員による官能試験にて評価した。(評価基準
○:各項目に対し、シート作製時・シート加工時に何ら不具合を生じない。
×:各項目に対し、不具合を生じる。
なお、断熱性効果については、断熱効果を感じると判定した人数が70人以上の場合を○、50人以上70人未満の場合を△、50人未満の場合を×とした。
実施例の不燃シート及び比較例の不燃シートにおける評価結果は、表1に示す通りである。発泡剤を含有する不燃シート(実施例)は、従来の発泡剤を含有しない不燃シート(比較例)に比較して、同等の特性を得ることができると共に、さらに断熱性が向上することが確認された。

0074

以上のように、原反層1と、原反層1の表面に形成された表面アンカー層2を備えたシートであって、原反層1が熱可塑性樹脂と無機質材料と発泡剤とを含有し、表面アンカー層2が、塩酢ビを含むウレタン系樹脂、または塩酢ビを含むアクリル系樹脂を含有し、原反層を、熱可塑性樹脂と無機質材料と発泡剤とを含む混合物を1軸延伸又は2軸延伸して形成した場合には、不燃性を備えつつ、断熱性に優れたシートを形成することができる。

0075

1原反層
1a 空隙
1b無機質材料
1c 空隙
2 表面アンカー層
3絵柄模様層
4表面保護層
4a 第1の表面保護層
4b 第2の表面保護層
5 裏面アンカー層
6プライマー層
7 透明樹脂層
7aエンボス模様
10不燃シート
11基板
12 不燃材

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