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課題

サイトカインを強力に中和し、したがって炎症性疾患および自己免疫疾患の予防および処置に有用であり得る多重特異性抗体およびその抗原結合断片を提供する。

解決手段

サイトカインにおける少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する、少なくとも2つの異なるドメインを含んでいる多重特異性抗体、またはその抗原結合断片を開示する。また、そのような抗体および抗体断片をコードしている核酸、ならびにそのような抗体および抗体断片を産生する不死化B細胞と培養プラズマ細胞を開示する。さらに、炎症性疾患および/または自己免疫疾患のスクリーニング法ならびに診断、予防および処置における、抗体および抗体断片の使用方法を開示する。

概要

背景

概要

サイトカインを強力に中和し、したがって炎症性疾患および自己免疫疾患の予防および処置に有用であり得る多重特異性抗体およびその抗原結合断片を提供する。サイトカインにおける少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する、少なくとも2つの異なるドメインを含んでいる多重特異性抗体、またはその抗原結合断片を開示する。また、そのような抗体および抗体断片をコードしている核酸、ならびにそのような抗体および抗体断片を産生する不死化B細胞と培養プラズマ細胞を開示する。さらに、炎症性疾患および/または自己免疫疾患のスクリーニング法ならびに診断、予防および処置における、抗体および抗体断片の使用方法を開示する。なし

目的

本発明の目的は、現在、利用可能な抗体より強力かつ効率的にサイトカイン(特にGMCSF)を中和する抗体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

(a)少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位;および(b)Fc部分を含んでおり、上記少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位のそれぞれが、サイトカインの個々のエピトープに対して特異的に結合し、これによって、上記少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位が結合する、サイトカインの複数の上記個々のエピトープは、重複しない複数のエピトープである、単離された多重特異性抗サイトカイン抗体またはその抗原結合断片

請求項2

上記抗体またはその抗原結合断片が、二重特異性三重特異性、四重特異性または五重特異性であり、好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、二重特異性、三重特異性または四重特異性であり、より好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、二重特異性または三重特異性であり、それ以上に好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、三重特異性であることを特徴とする、請求項1に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項3

上記抗体分子が、サイトカインにおける少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する上記異なるエピトープ結合部位のそれぞれを、厳密に2コピー含んでいることを特徴とする、請求項1または2に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項4

上記抗サイトカイン抗体が、抗コロニー刺激因子抗体および抗インターフェロン抗体からなる群から選択され、好ましくは上記抗サイトカイン抗体が、抗GMCSF抗体および抗インターフェロンベータ抗体からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項5

上記抗サイトカイン抗体が抗GM−CSF抗体であることを特徴とする、請求項4に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項6

上記抗体が、二重特異性の4価抗体または三重特異性の6価抗体であることを特徴とする、請求項5に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項7

上記抗体またはその抗原結合断片が、(c)少なくとも1つのリンカーをさらに含んでいることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項8

上記リンカーが、配列番号143もしくは144にしたがうアミノ酸配列もしくはその機能的な配列バリアントにしたがうアミノ酸配列を含んでいる、または当該アミノ酸配列もしくはその機能的な配列バリアントからなることを特徴とする、請求項7に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項9

上記抗体またはその抗原結合断片が、IgG型であること、好ましくはIgG1型であること、より好ましくはIgG1CH1−CH2−CH3型重鎖定常領域およびIgG1CK型の軽鎖定常領域を含んでいること、それ以上に好ましくは配列番号140にしたがうアミノ酸配列もしくはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいる重鎖定常領域、または当該アミノ酸配列もしくはその複数の機能的な配列バリアンからなる重鎖定常領域、ならびに配列番号141にしたがうアミノ酸配列もしくはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいる軽鎖定常領域、または当該アミノ酸配列もしくはその複数の機能的な配列バリアントからなるIgGCK型の軽鎖定常領域を含んでいることを特徴とする、請求項1〜8いずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項10

上記抗体またはその抗原結合断片が、Bs1、Bs2、Bs3、Ts1、Ts2およびTs3からなる群から選択される構築型であることを特徴とする、請求項1〜9いずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項11

上記抗体またはその抗原結合断片が、構築型Ts3にしたがっていること、好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、構築型T3にしたがう三重特異性の抗体であることを特徴とする、請求項10に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項12

上記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体またはその抗原結合断片であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項13

上記抗体またはその抗原結合断片が、(i)150ng/ml以下のIC90をともなった、厳密な条件;(ii)20ng/ml以下のIC90をともなった、より程度の低い厳密な条件;(iii)160ng/ml以下のIC90をともなった、より厳密な条件;および/または(iv)1000ng/mlのIC90をともなった、非常に厳密な条件の下に、上記サイトカインを中和することを特徴とする、請求項1〜12のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項14

上記抗体またはその抗原結合断片が、少なくとも1つのCDRH1、少なくとも1つのCDRH2および少なくとも1つのCDRH3を含んでいる重鎖、ならびに少なくとも1つのCDRL1、少なくとも1つのCDRL2および少なくとも1つのCDRL3を含んでいる軽鎖を含んでおり、上記少なくとも1つの重鎖CDRH3が、配列番号3、51、69もしくは107にしたがうアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいること、好ましくは上記少なくとも1つの重鎖CDRH3が、配列番号3もしくは69にしたがうアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいることを特徴とする、請求項1〜13のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項15

上記抗体またはその抗原結合断片が、(i)配列番号1〜5および7、または配列番号1〜4および6〜7にそれぞれしたがう、CDRH1アミノ酸配列、CDRH2アミノ酸配列、CDRH3アミノ酸配列、CDRL1アミノ酸配列、CDRL2アミノ酸配列およびCDRL3アミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;(ii)配列番号49〜53および55にそれぞれにしたがう、CDRH1アミノ酸配列、CDRH2アミノ酸配列、CDRH3アミノ酸配列、CDRL1アミノ酸配列、CDRL2アミノ酸配列およびCDRL3アミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;(iii)配列番号67〜71および73、または配列番号67〜70および72〜73にそれぞれしたがう、CDRH1アミノ酸配列、CDRH2アミノ酸配列、CDRH3アミノ酸配列、軽鎖CDRL1アミノ酸配列、軽鎖CDRL2アミノ酸配列および軽鎖CDRL3アミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;および/または(iv)配列番号105〜109および111、または配列番号105〜108および110〜111にしたがう、重鎖CDRH1アミノ酸配列、重鎖CDRH2アミノ酸配列、重鎖CDRH3アミノ酸配列、軽鎖CDRL1アミノ酸配列、軽鎖CDRL2アミノ酸配列および軽鎖CDRL3アミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項16

上記抗体またはその抗原結合断片が、(i)配列番号37にしたがうVHアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント、および配列番号38にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;(ii)配列番号63にしたがうVHアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント、および配列番号64にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;(iii)配列番号95にしたがうVHアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント、および配列番号96にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント;および/または(iv)配列番号130にしたがうVHアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアント、および配列番号131にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいることを特徴とする、請求項1〜15のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項17

上記抗体またはその抗原結合断片の上記重鎖が、配列番号4、52、70、108にしたがう複数のアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントから選択されるCDRL1アミノ酸配列、配列番号5、6、53、54、71、72、109、110にしたがう複数のアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントから選択されるCDRL2アミノ酸配列、および/または配列番号7、55、73、111にしたがう複数のアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントから選択されるCDRL3アミノ酸配列を含んでいることを特徴とする、請求項1〜16のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項18

上記抗体またはその抗原結合断片の上記重鎖が、配列番号38、64、96、131にしたがう複数のアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントから選択されるVLアミノ酸配列を含んでいること、好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号38もしくは96にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいること、より好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号96にしたがうVLアミノ酸配列またはその複数の機能的な配列バリアントを含んでいることを特徴とする、請求項1〜17のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項19

(i)上記抗体またはその抗原結合断片が、構築型Bs1、Bs2、Bs3、Ts1、Ts2およびTs3からなる群から選択される構築型であること;ならびに(ii)配列番号1〜7および67〜73にしたがう複数のアミノ酸配列からなる群から選択されるCDRH1アミノ酸配列、CDRH2アミノ酸配列、CDRH3アミノ酸配列、CDRL1アミノ酸配列、CDRL2アミノ酸配列およびCDRL3アミノ酸配列、またはその複数の機能的な配列バリアントを、位置Aおよび/またはBのいずれかに含んでいること;好ましくは配列番号67〜71および73、または配列番号67〜70および72〜73にしたがうCDRH1アミノ酸配列、CDRH2アミノ酸配列、CDRH3アミノ酸配列、CDRL1アミノ酸配列、CDRL2アミノ酸配列およびCDRL3アミノ酸配列、またはその複数の機能的な配列バリアントを、位置Aに含んでいることを特徴とする、請求項1〜18のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項20

上記抗体またはその抗原結合断片が、gTs1GC1、gTs1GC2a、gTs2GC2b、gTs2GC2c、gTs3GC2d、gTs3GC2e、gBs3GC1a、gBs3GC1b、gBs2GC1c、gBs2GC1d、gBs1GC2a、gBs3GC2b、gBs1GC3a、gBs3GC3b、gBs3GC4、およびgBs3GC5にしたがうこと、好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片が、gTs3GC2dまたはgBs1GC3aにしたがうことを特徴とする、請求項1〜19のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項21

上記抗体またはその抗原結合断片が、Ts1GC1、Ts1GC2a、Ts2GC2b、Ts2GC2c、Ts3GC2d、Ts3GC2e、Bs3GC1a、Bs3GC1b、Bs2GC1c、Bs2GC1d、Bs1GC2a、Bs3GC2b、Bs1GC3a、Bs3GC3b、Bs3GC4およびBs3GC5であること、この2はTs3GC2dまたはBs1GC3aであることを特徴とする、請求項20に記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項22

上記抗体またはその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、精製されている抗体または単鎖抗体であることを特徴とする、請求項1〜21のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項23

医薬としての使用のための、請求項1〜22のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項24

炎症性疾患および/または自己免疫疾患の予防、処置または弱化における使用のための、請求項1〜22のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片。

請求項25

請求項1〜24のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片をコードしているポリヌクレオチドを含んでいる、核酸分子

請求項26

上記ポリヌクレオチド配列が、配列番号8〜36、39〜48、56〜62、65〜66、74〜94、97〜104、112〜129、132〜139、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190またはその機能的な配列バリアントのいずれか1つにしたがう核酸配列を含んでいる、または当該核酸配列からなる、請求項25に記載の核酸分子。

請求項27

上記ポリヌクレオチド配列が、配列番号39〜48、65〜66、97〜104、132〜139、152、154、156、158、160、162、164、166、168、170、172、174、176、178、180、182、184、186、188、190のいずれか1つにしたがう核酸配列またはその機能的な配列バリアントを含んでいる、または当該核酸配列からなる、請求項26に記載の核酸分子。

請求項28

請求項25〜27いずれかに記載の核酸分子を含んでいる、ベクター

請求項29

請求項1〜24のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片を発現する;または請求項28に記載のベクターを含んでいる、細胞

請求項30

請求項1〜24のいずれかに記載の抗体またはその抗原結合断片に対して特異的に結合する少なくとも2つのエピトープを含んでいる、単離されている免疫原性ポリペプチドまたは精製されている免疫原性ポリペプチド。

請求項31

請求項1〜24のいずれかに記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項25〜27のいずれかに記載の核酸、請求項28に記載のベクター、請求項29に記載の細胞、または請求項30に記載の免疫原性ポリペプチド、ならびに薬学的に許容可能な賦形剤希釈剤または担体を含んでいる、薬学的組成物

請求項31

(i)炎症性疾患および/または自己免疫疾患の予防、処置または弱化;または(ii)炎症性疾患および/または自己免疫疾患の診断における使用のための、請求項1〜24のいずれかに記載の抗体もしくはその抗原結合断片、請求項25〜27に記載の核酸、請求項28に記載のベクター、請求項29に記載の細胞、または請求項30に記載の免疫原性ポリペプチド、または請求項31に記載の薬学的組成物。

発明の詳細な説明

0001

本発明は、サイトカイン(特にGMCSF)を強力に中和する多重特異性抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体およびその抗原結合断片に関する。本発明のサイトカイン(特にGM−CSF)を強力に中和する多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体は、単一のサイトカイン分子上にある少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する、少なくとも2つのドメインを含んでいる。本発明はまた、そのような抗体および抗体断片をコードする核酸、ならびにそのような抗体および抗体断片を産生する不死化B細胞および培養プラズマ細胞に関する。さらに、本発明は、スクリーニング法ならびに疾患(特に炎症性疾患および自己免疫疾患)の診断、予防および処置における本発明の上記抗体および抗体断片の利用に関する。

0002

サイトカインは、種々の細胞によって分泌される免疫調節性分子のファミリーであり、他の細胞に対して局所的または全身的に作用する。ほとんどのサイトカインは、種々の種類の、炎症性過程および宿主防御機序の制御に関与する免疫調節活性を有している。サイトカインとしては、ケモカインインターフェロンインターロイキンリンフォカイン腫瘍壊死因子モノカインおよびコロニー刺激因子が挙げられる。サイトカインは、広範な細胞(免疫細胞マクロファージBリンパ球Tリンパ球およびマスト細胞のような)ならびに内皮細胞繊維芽細胞、および種々の間質細胞が挙げられる)によって産生され;特定のサイトカインは、1種類以上の細胞によって産生され得る。

0003

サイトカイン顆粒球マクロファージ−コロニー刺激因子(GM−CSF)は、変化し得るグリコシル化の程度にしたがって14kDa〜35kDaの分子量を有している、127アミノ酸単量体タンパク質である。非グリコシル化GM−CSFおよびグリコシル化GM−CSFは、インビトロにおいて類似の活性を示す(Cebon, J., Nicola, N., Ward, M., Gardner, I., Dempsey, P., Layton, J., Duhrsen, U., Burgess, A.W., Nice, E., and Morstyn, G. (1990). Granulocyte-macrophage colony stimulating factor fromhuman lymphocytes. The effect of glycosylation on receptor binding and biological activity. J. Biol. Chem. 265, 4483-4491)。GM−CSFは、骨髄性細胞および内皮細胞の細胞表面上に発現されている(が、リンパ球上には存在しない)その受容体に対する結合によってその生理活性を発揮する(Hansen, G., Hercus, T.R., McClure, B.J., Stomski, F.C., Dottore, M., Powell, J., Ramshaw, H., Woodcock, J.M., Xu, Y., Guthridge, M., et al. (2008). The structure of the GM-CSF receptor complex revealsa distinct mode of cytokine receptor activation. Cell 134, 496-507)。上記受容体は、異種二量体であり、アルファサブユニットおよびベータサブユニットによって構成されている。ベータサブユニットはまた、インターロイキン−3受容体複合体およびインターロイキン−5受容体複合体の一部であり、GM−CSF受容体アルファサブユニットおよびGM−CSFと会合して、多量体複合体(GM−CSFが、ピコモルの結合アフィニティを有して結合される)の形成に導く。

0004

GM−CSFは、種々の細胞種(Tリンパ球、マクロファージ、NK細胞、マスト細胞、内皮細胞、繊維芽細胞および一部の悪性細胞が挙げられる)によって発現され得る(Gasson, J.C. (1991). Molecular physiology of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor. Blood 77, 1131-1145; Hamilton, J.A., and Anderson, G.P. (2004). GM-CSF Biology. Growth Factors 22, 225-231;Sergeeva, A., Ono, Y., Rios, R., and Molldrem, J.J. (2008). High titer autoantibodies to GM-CSF in patients with AML,CMLand MDS are associated with active disease. Leukemia 22, 783-790)。GM−CSFは、造血前駆細胞成長因子として作用して、顆粒球および単球を生じさせる。GM−CSFはまた、ミクログリア発達および肺胞マクロファージの機能に必須である。さらに、GM−CSFはまた、GM−CSF受容体を発現している、免疫系の細胞に対する炎症誘発作用を有している。これらの機能のうち最も重要なのは、種々の炎症性疾患および自己免疫疾患における単球、マクロファージおよび顆粒球の活性化(他のサイトカインおよびケモカインの産生、マトリクス分解プロテアーゼ、向上したHLA発現、ならびに接着分子またはCCケモカイン受容体の向上した発現を結果として生じる)である(Hamilton, J.A. (2002). GM-CSF in inflammation and autoimmunity. TrendsImmunol 23, 403-408)。GM−CSFはまた、他の炎症性因子(他のサイトカインまたはLPSのような)と共同作用する(Parajuli, B., Sonobe, Y., Kawanokuchi, J., Doi, Y., Noda, M., Takeuchi, H., Mizuno, T., and Suzumura, A. (2012). GM-CSF increases LPS-induced production of proinflammatory mediators via upregulation ofTLR4 and CD14 inmurine microglia. J Neuroinflammation 9, 268)。これらのことから、GM−CSFは、このように免疫/炎症性カスケードの一部である。

0005

しがたって、GM−CSFは、抗炎症性療法および抗自己免疫療法にとっての標的とみなされ得る。慢性および急性の炎症性疾患および/または自己免疫疾患(例えば、リウマチ様関節炎(RA)、多発性硬化症(MS)、クローン氏病乾癬喘息アトピー性皮膚炎またはショック)は、GM−CSFの中和および続く炎症誘発性カスケードに基づいて、利益を受け得る。例えば、MSにおいて、上昇したレベルのGM−CSFは、MSの活動段階と相関しており(McQualter, J.L., Darwiche, R., Ewing, C., Onuki, M., Kay, T.W., Hamilton, J.A., Reid, H.H., and Bernard, C.C. (2001). Granulocyte macrophage colony-stimulating factor: a new putative therapeutic target in multiple sclerosis. J Exp Med 194, 873-882;Noster, R., Riedel, R., Mashreghi, M.-F., Radbruch, H., Harms, L., Haftmann, C., Chang, H.-D., Radbruch, A., and Zielinski, C.E. (2014).IL-17 and GM-CSF expression are antagonistically regulated by human T helper cells. Sci Transl Med 6, 241ra80-241ra80)、GM−CSF欠損マウスは、多発性硬化症のための実験的自己免疫脳脊髄炎(EAEマウスモデルにおいて、疾患を進行させられない(McQualter, J.L., Darwiche, R., Ewing, C., Onuki, M., Kay, T.W., Hamilton, J.A., Reid, H.H., and Bernard, C.C. (2001). Granulocyte macrophage colony-stimulating factor: a new putative therapeutic target in multiple sclerosis. J Exp Med 194, 873-882)。

0006

喘息において、上昇したレベルのGM−CSFは、喘息患者気道に認められる(Broide, D.H., and Firestein, G.S. (1991). Endobronchial allergen challenge in asthma. Demonstration of cellular source of granulocyte macrophage colony-stimulating factor by in situ hybridization. J Clin Invest 88, 1048-1053;Sousa, A.R., Poston, R.N., Lane, S.J., Nakhosteen, J.A., and Lee, T.H. (1993). Detection of GM-CSFin asthmatic bronchial epithelium and decrease by inhaled corticosteroids. Am. Rev. Respir. Dis. 147, 1557-1561)。実際に、IL−5との共同作用におけるGM−CSFは、好酸球分化、活性化および生存を促進する(Yamashita, N., Tashimo, H., Ishida, H., Kaneko, F., Nakano, J., Kato, H., Hirai, K., Horiuchi, T., and Ohta, K. (2002). Attenuation of airway hyperresponsiveness in a murine asthma model by neutralization of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF). Cellular Immunology 219, 92-97)。GM−SCF中和抗体の有効性は、喘息のマウスモデル(それらの投与が気道の反応亢進および炎症の有意な低減をもたらす)において証明された(Yamashita, N., Tashimo, H., Ishida, H., Kaneko, F., Nakano, J., Kato, H., Hirai, K., Horiuchi, T., and Ohta, K. (2002). Attenuation of airway hyperresponsiveness in a murine asthma model by neutralization of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF). Cellular Immunology 219, 92-97))。

0007

肺疾患において、GM−CSFはまた、ある役割(高い好中球数、プロテアーゼ誘導、およびTNF−アルファの異常産生が、疾患(例えば、LPSを含んでいるバイオエアロゾルによって引き起こされる職業性肺疾患)の病因における中心的な因子であると考えられている)を有している。実際に、マウスモデルにおいて、LPS依存性の炎症は、GM−CSF中和抗体を用いて軽減された(Bozinovski, S., Jones, J., Beavitt, S.-J., Cook, A.D., Hamilton, J.A., and Anderson, G.P. (2004). Innate immune responses to LPS in mouse lung are suppressed and reversed by neutralization of GM-CSF via repression ofTLR-4. Am. J. Physiol. Lung Cell Mol. Physiol. 286, L877-L885)。

0008

RAにおいて、複数のグループが、滑膜関節液における高レベルのGM−CSFを測定している(Alvaro-Gracia, J.M., Zvaifler, N.J., Brown, C.B., Kaushansky, K., and Firestein, G.S. (1991). Cytokines in chronic inflammatory arthritis. VI. Analysis of the synovial cells involved in granulocyte-macrophage colony-stimulating factor production and gene expression in rheumatoid arthritis and its regulation byIL-1 and tumor necrosis factor-alpha. J Immunol 146, 3365-3371;Haworth, C., Brennan, F.M., Chantry, D., Turner, M., Maini, R.N., and Feldmann, M. (1991). Expression of granulocyte-macrophage colony-stimulating factor in rheumatoid arthritis: regulation by tumor necrosis factor-alpha. Eur J Immunol 21, 2575-2579;Fiehn, C., Wermann, M., Pezzutto, A., Hufner, M., and Heilig, B. (1992). [Plasma GM-CSF concentrations in rheumatoid arthritis, systemic lupus erythematosus and spondyloarthropathy]. Z Rheumatol 51, 121-126) and treatment with recombinant GM-CSF after chemotherapy was shown to cause flares of RA (de Vries, E.G., Willemse, P.H., Biesma, B., Stern, A.C., Limburg, P.C., and Vellenga, E. (1991). Flare-upof rheumatoid arthritis during GM-CSF treatment after chemotherapy. The Lancet 338, 517-518)。RAにおけるGM−CSF中和抗体の、治療上の潜在性が、コラーゲンによって誘導されたマウスの関節炎モデルにおけるそれらの有効性から示唆された(Cook, A.D., Braine, E.L., Campbell, I.K., Rich, M.J., and Hamilton, J.A. (2001). Blockade of collagen-induced arthritis post-onset by antibody to granulocyte-macrophage colony-stimulating factor (GM-CSF): requirement for GM-CSF in the effector phase of disease. Arthritis Res. 3, 293-298; Cornish, A.L., Campbell, I.K., McKenzie, B.S., Chatfield, S., and Wicks, I.P. (2009). G-CSF and GM-CSF as therapeutic targets in rheumatoid arthritis. Nat Rev Rheumatol 5, 554-559)。

0009

したがって、GM−CSFを中和可能な抗体は、炎症性疾患および/または自己免疫疾患(例えば、MS、RA、他の自己免疫疾患および他の炎症性疾患)のための、新たな有効な予防法および/または治療法を代表し得る。原理的に、サイトカイン中和は、可溶性標的サイトインまたは細胞表面に提示されているサイトカイン受容体に結合する抗体によって実現され得る。MOR103およびナミルマブは、RAおよびMSにおける治療薬として開発されている、GM−CSFを中和するファージ由来の2つのヒトモノクローナル抗体であり(Steidl, S., Ratsch, O., Brocks, B., Durr, M., and Thomassen-Wolf, E. (2008). In vitro affinity maturation of human GM-CSF antibodies by targetedCDR-diversification. Mol Immunol 46, 135-144;Krinner, E.-M., Raum, T., Petsch, S., Bruckmaier, S., Schuster, I., Petersen, L.,Cierpka, R., Abebe, D., Molhoj, M., Wolf, A., et al. (2007). A human monoclonalIgG1 potently neutralizing the pro-inflammatory cytokine GM-CSF. Mol Immunol 44, 916-925;Behrens, F., Tak, P.P., Ostergaard, M., Stoilov, R., Wiland, P., Huizinga, T.W., Berenfus, V.Y., Vladeva, S., Rech, J., Rubbert-Roth, A., et al. (2014). MOR103, a human monoclonal antibody to granulocyte-macrophage colony-stimulating factor, in the treatment ofpatients with moderate rheumatoid arthritis: results of a phase Ib/IIa randomised, double-blind, placebo-controlled, dose-escalation trial. Ann Rheum Dis)、マブリリムマブは、RA患者におけるGM−CSF受容体アルファを標的にする、開発中のヒトモノクローナル抗体である(Burmester, G.R., Feist, E., Sleeman, M.A., Wang, B., White, B., and Magrini, F. (2011). Mavrilimumab, a human monoclonal antibody targeting GM-CSF receptor-α, in subjects with rheumatoid arthritis: a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase I, first-in-human study. Ann Rheum Dis 70, 1542-1549)。

0010

しかし、単一のGM−CSF中和抗体は、インビボにおける共通するガンマ鎖サイトカインに対するモノクローナル抗体の向上した活性の根拠であり得る、依然として解離しかつ受容体を刺激し得る、寿命の長いGM−CSFの巨大プール蓄積をインビボにおいてもたらす(Boyman, O., Kovar, M., Rubinstein, M.P., Surh, C.D., and Sprent, J. (2006). Selective stimulation of T cell subsets with antibody-cytokine immune complexes. Science 311, 1924-1927)。

0011

以上の観点から、本発明の目的は、現在、利用可能な抗体より強力かつ効率的にサイトカイン(特にGM−CSF)を中和する抗体を提供することである。そのような抗体は、より少ない用量において使用され得、これによって、副作用リスクを低下させ、かつコストを抑える。さらに、依然として解離しかつ受容体を刺激し得る寿命の長いGM−CSF(特にGM−CSF)の巨大なプールの蓄積を生じない、サイトカイン(特にGM−CSF)を中和する抗体を提供することが、本発明の目的である。まとめると費用対効果および簡単な手法によって従来技術の欠点を克服する改良された抗体またはその抗原結合断片、ならびに関連する核酸分子ベクターおよび細胞、および薬学的組成物を提供することが、本発明の目的である。

0012

本発明の基礎をなす目的は、特許請求の範囲に記載の事項によって解決される。

0013

以下に本発明が詳細に説明されているが、本発明は、これらが変更され得ると本明細書に記載されている特定の方法論プロトコルおよび試薬に限定されないと理解されるべきである。また、本明細書に使用されている専門用語は、添付の特許請求の範囲にのみよって限定される本発明の範囲を、限定することを目的としていないと理解されるべきである。特に断りがない限り、本明細書に使用されているすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解される通りの同じ意味を有している。

0014

以下に、本発明の構成要素が説明される。これらの構成要素は、特定の実施形態とともに挙げられているが、それらは、さらなる実施形態を作るために任意の方法および任意の数において組み合わせられ得ると理解されるべきである。種々に説明されている例および好ましい実施形態は、明示的に説明されている複数の実施形態のみに、本発明を限定すると解釈されるべきではない。本明細書は、明示的に説明されている複数の実施形態を、開示されているおよび/または好ましい構成要素と組み合わせている複数の実施形態を、裏付け、かつ包含すると理解されるべきである。さらに、特に断りがない限り、本願に記載のすべての構成要素の、任意の順序交換および組み合わせが、本願の明細書によって開示されているとみなされるべきである。

0015

これ以降の明細書および特許請求の範囲の全体を通して、特に断りがない限り、用語「含んでいる(comprise)」およびその変化形(例えば、「含んでいる(comprises)」および「含んでいる(comprising)」)は、述べられている部材、整数またはステップの包含を意味し、述べられていない任意の他の部材、整数またはステップの排除を意味しないと理解される。用語「からなる」は、用語「含んでいる」のうち、述べられていない任意の他の部材、整数またはステップが排除されている特定の一実施形態である。本発明に関連して、用語「含んでいる」は、用語「からなる」を包含している。したがって、用語「含んでいる(comprising)」は、「含んでいる(including)」および「からなる(consiting)」を包含している(例えば、Xを「含んでいる」組成物は、排他的にXからなり得る、またはさらになにかを含み得る(例えば、X+Y))。

0016

用語「a」および「an」および「the」ならびに本発明を説明する文(特に特許請求の範囲の文)に使用されている類似の言及は、本明細書に特に断りがないか、または文脈に基づいて明らかに矛盾しない限り、単数および複数を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における数値範囲の詳述は、範囲内にある別の値のそれぞれに対して個々に言及している省略表現法としての役割を単に目的としている。特に断りがない限り、個々の値のそれぞれは、それらが本明細書に個々に詳述されているかのように、本明細書に組み込まれている。明細書にない事項は、請求されていない任意の構成要素が、本発明の実施に必須であることを示していると、理解されるべきではない。

0017

言葉「実質的に」は、「完全に」を排除しない(例えば、Yを「実質的に」含んでいない組成物は、Yを完全に含んでいなくていい)。必要な場合に、言葉「実質的に」は、本発明の規定から省略され得る。

0018

数値xに関する用語「約」は、x±10%を意味する。

0019

本明細書に使用されるとき、用語「疾患(disease)」は、用語「障害(disorder)」および「病気(condition)」(「病状(medical condition)」のときのように)と、(それらがすべて、ヒトまたは動物の身体の、正常な機能を損なう異常な状態(またはその一部)を示しているとき)一般的に同義であり、交換可能に使用され、顕著な徴候および症状によって典型的に明らかにされ、ヒトまたは動物にとって短い寿命または低下した生活の質の原因になる。

0020

本明細書に使用されるとき、対象または患者の「処置」に対する言及は、阻止、予防、弱化寛解および治療を包含していると意図されている。用語「対照」または「患者」は、すべての哺乳類(ヒトが挙げられる)を意味するために、本明細書において交換可能に使用される。対象の例としては、ヒト、ウシイヌネコウマヤギヒツジおよびウサギが挙げられる。一実施形態において、患者はヒトである。

0021

本明細書に使用されるとき、用語「抗体」は、本発明に係る特徴的な特性が維持されている限り、抗体の種々の形態(好ましくはモノクローナル抗体(抗体の全体、抗体断片、ヒト抗体キメラ抗体ヒト化抗体遺伝子工学的改変された抗体が挙げられるが、これらに限定されない))を包含する。ヒト抗体またはヒト化抗体(特に組換えヒト抗体のような)が、特に好ましい。

0022

本明細書に使用されるとき、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列由来する可変領域および定常領域を有している抗体を包含することを意図されている。ヒト抗体は、最新技術においてよく知られている(van Dijk, M. A., and van de Winkel, J. G., Curr. Opin. Chem. Biol. 5 (2001) 368-374)。ヒト抗体はまた、内因性抗体産生非存在において、ヒト抗体の全種またはそれから選ばれたものを、免疫によって、産生可能なトランスジェニック動物(例えばマウス)において産生され得る。ヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン遺伝子アレイの、そのような生殖細胞系列変異体マウスにおける、転移は、抗原投与によるヒト抗体の産生を生じる(例えば、Jakobovits, A., etal., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90 (1993) 2551-2555;Jakobovits, A., et al., Nature 362 (1993) 255-258;Bruggemann, M., et al., Year Immunol. 7 (1993) 3340を参照)。ヒト抗体はまた、ファージディスプレイライブラリ(Hoogenboom, H. R., and Winter, G., J. Mol. Biol. 227 (1992) 381-388;Marks, J. D., et al., J. Mol. Biol. 222 (1991) 581-597)において産生され得る。また、Cole et al.およびBoerner et al.の手法が、ヒトモノクローナル抗体の調製に利用可能である(Cole et al., Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, Alan R. Liss, p. 77 (1985);およびBoerner, P., et al., J. Immunol. 147 (1991) 86-95)。本明細書に使用されるとき、用語「ヒト抗体」はまた、例えば本発明に係る特性を生成するために可変領域において、修飾されているそのような抗体を包含する。

0023

本明細書に使用されるとき、用語「組換えヒト抗体」は、組換え方法によって調製、発現、生成または単離されているすべてのヒト抗体(例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子を形質導入されている宿主細胞(例えばCHO細胞など)もしくは動物(例えばマウス)から単離された抗体、または宿主細胞にトランスフェクトされた組換え発現ベクターを用いて発現されている抗体)を包含すると意図されている。そのような組換えヒト抗体は、再構成された形態において可変領域および定常領域を有している。本発明に係る組換えヒト抗体は、インビボの体細胞性超変異を受けている。したがって、組換え抗体のVHおよびVL領域アミノ酸配列は、ヒト生殖細胞系列のVH配列およびVL配列に由来および関連し、かつインビボのヒト抗体生殖細胞系列レパートリの範囲には天然に存在しない配列である。

0024

本明細書に使用されるとき、用語「抗原結合断片」、「断片」および「抗体断片」は、本発明に係る抗体の特異的な結合活性およびFc部分を維持している、本発明の抗体の、任意の断片を指すために、交換可能に使用される。抗体断片の例としては、単鎖抗体Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFvが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の抗体の断片は、酵素(例えばペプシンまたはパパイン)を用いた消化を含んでいる方法、および/または化学的還元によるジスルフィド結合開裂によって抗体から入手され得る。代替的に、抗体の断片は、重鎖および/または軽鎖の複数の部分配列クローニングおよび発現によって入手され得る。「断片」としては、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片およびFv断片が挙げられる。本発明はまた、本発明の抗体のうち重鎖および軽鎖から得られる単鎖Fv断片(scFv)を包含する。例えば、本発明は、本発明の抗体からの複数のCDRを含んでいるscFvを含んでいる。また、重鎖または軽鎖の単量体および二量体、単一ドメイン重鎖抗体単一ドメイン軽鎖抗体、ならびに単鎖抗体(例えば、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインペプチドリンカーによって接続されている単鎖Fv)が、含まれる。本発明の抗体断片は、1価相互作用または多価相互作用をもたらし得、上述のような種々の構造に含まれている。例えば、scFv分子は、3価の「トリアディ」または4価の「テトラボディ」を生成するために合成され得る。scFv分子は、2価のミニボディを生じるFc領域のドメインを含み得る。さらに、本発明の配列は、本発明の配列が本発明のエピトープを標的化し、分子の他の領域が他の標的に結合する多重特異性分子の構成要素であり得る。例示的な分子としては、2価のFab2、3価のFab3、2価のscFvおよびダイアボディ(Holligerand Hudson, 2005, Nature Biotechnology 9: 1126-1136)が挙げられるが、これらに限定されない。特許請求の範囲を含む本明細書は、いくつかの箇所において、抗体の、(複数の)抗原結合断片、(複数の)抗体断片、(複数の)バリアント、および/または(複数の)誘導体に明確に言及しているが、用語「抗体」または「本発明の抗体」は、すべての分類の抗体(すなわち抗体の、(複数の)抗原結合断片、(複数の)抗体断片、(複数の)バリアントおよび(複数の)誘導体)を包含する。さらに、本明細書に使用されるとき、用語「抗体」は、抗体およびその抗原結合断片の両方を包含する。

0025

本明細書に使用されるとき、「中和抗体」は、宿主における感染を惹起および/または持続させる、病原体能力を中和(すなわち阻止、阻害、低減、妨害または抑制する)し得る抗体である。用語「中和抗体」および「中和する抗体」もしくは「中和する複数の抗体」は、本明細書において交換可能に使用される。これらの抗体は、本明細書に記載のような、積極的なワクチン接種共同する、適切な製剤化によって予防剤または治療剤として、診断ツールとして、または生成ツールとして単独または組み合わせにおいて使用され得る。

0026

本明細書に使用されるとき、用語「可変領域」(軽鎖の可変領域(VL)、重鎖の可変領域VH)は、抗体を抗原に結合させることに直接に関与している軽鎖および重鎖の対のそれぞれを意味する。天然の抗体において、可変性のヒト軽鎖およびヒト重鎖の複数のドメインは、一般的な同じ構造を有しており、各ドメインは、3つの「超可変領域」(すなわち相補性決定領域、CDR)によって接続されている、その配列が広く保存されている4つのフレームワーク(FR)領域を含んでいる。フレームワーク領域は、βシート立体構造をとっており、CDRはβシート構造を接続しているループを形成し得る。それぞれの鎖におけるCDRは、フレームワーク領域によってそれらの3次元構造に保持されており、他の鎖からのCDRとともに、抗原結合部位を形成している。抗体重鎖および抗体軽鎖のCDR3領域は、本発明に係る抗体の結合特異性/アフィニティにおいて特に重要な役割を果たしており、本発明のさらなる目的をもたらす。

0027

本明細書に使用されるとき、用語「超可変領域」は、抗体結合を担っている、抗体の複数のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」(すなわち「CDR」)からの複数のアミノ酸残基を含んでいる。「フレームワーク」(すなわち「FR」)領域は、本明細書に規定されているような超可変領域以外の、可変性ドメインのこれらの領域である。したがって、天然の抗体の軽鎖および重鎖は、N末端からC末端にかけて、複数のドメインFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4を含んでいる。それぞれの鎖にある複数のCDRは、そのような複数のフレームワークアミノ酸によって分離されている。特に、重鎖のCDR3は、抗原結合に最も寄与する領域である。CDR領域およびFR領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of ImmunologicalInterest, 5th ed., Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991)の標準的な記述にしたがって決定される。

0028

本明細書に使用されるとき、用語「定常領域」は、抗原に対する抗体の結合には直接に関与しないが、種々のエフェクタ機能を示す、抗体のドメインを指す。それらの重鎖の定常領域のアミノ酸配列に依存して、抗体または免疫グロブリンは、複数のクラス:IgAIgDIgE、IgG、IgMに分けられ、これらのいくつかはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4、IgA1およびIgA2)にさらに分けられる。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常領域は、それぞれα、ε、γおよびμと呼ばれている。本発明に係る抗体はIgG型であることが好ましい。

0029

本明細書に使用されるとき、用語「核酸または核酸分子」は、DNA分子およびRNA分子を含んでいると意図されている。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得るが、二本鎖DNAであることが好ましい。

0030

本明細書に使用されるとき、「細胞」、「細胞株」および「細胞培養物」は、交換可能に使用され、そのような指定のすべては、子孫を包含している。したがって、単語「形質転換体」および「形質転換された細胞」は、初代の対象細胞、および継代数に関わらずそれらから得られた培養物を包含する。すべての子孫は、故意または不慮の変異に起因して、DNA内容物において厳密には同一でなくてもよいと理解される。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングされたときと同じ機能または生理活性を有している種々の子孫が包含される。別の意味が意図されている箇所は、文章から明らかである。

0031

用量はたいてい体重と関連付けて表されている。したがって、[g、mgまたは他の単位]/kg(またはg、mgなど)と表されている用量は、用語「体重」が明示されていなくとも、「kg(またはg、mgなど)体重につき」[g、mgまたは他の単位]を通常は指す。

0032

用語「特異的に結合する」および類似の言及は、非特異的な固着を包含しない。

0033

本明細書に使用されるとき、用語「ワクチン」は、少なくとも1つの抗原(好ましくは1つの免疫源)を提示する予防的または治療的な材料であると、一般的に理解される。抗原または免疫源は、ワクチン接種に好適な任意の材料から由来し得る。例えば、抗原または免疫源は、病原体(例えば細菌またはウイルス粒子など)または腫瘍もしくはがん組織に由来し得る。抗原または免疫源は、適応免疫応答をもたらす()ために、身体の適応免疫系を刺激する。特に、「抗原」または「免疫源」は、免疫系(好ましくは適応免疫系)によって認識され得る、抗原特異的な免疫応答を惹起可能(例えば適応免疫お応答の一部として抗体および/または抗原特異的なT細胞の形成によって)な、物質を一般的に指す。一般的に、抗原は、MHCによってT細胞に提示され得るペプチドまたはタンパク質であり得るか、または当該ペプチドまたはタンパク質を含み得る。

0034

本明細書に使用されるとき、「配列バリアント」は、基準配列における任意の変化を指す(ここで、基準配列は、「配列および配列番号の表」(配列表)に挙げられている配列(すなわち配列番号1〜190)のいずれかである)。したがって、用語「配列バリアント」は、ヌクレオチド配列バリアントおよびアミノ酸配列バリアントを包含している。特に、「配列バリアント」において、機能性(基準配列の)は保存されている。(すなわち配列バリアントは機能的である)。本明細書に使用されるとき、「配列バリアント」は、基準配列に対する少なくとも70%同一、好ましくは基準配列に対する少なくとも80%同一(より好ましくは基準配列に対する少なくとも90%同一、それ以上に好ましくは少なくとも90%同一および特に好ましくは少なくとも99%同一)な配列を一般的に有している。

0035

配列同一性は、基準配列の全長(すなわち本願に詳述されている配列)に対して、多くの場合に算出される。本明細書に言及されるとき、同一性パーセンテージは、例えばNCBI(the National Center for Biotechnology Information; http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)によって指定されている初期設定パラメータ[Blosum 62 matrix; gap open penalty=11 and gap extension penalty=1]を用いるBLASTを用いて、決定され得る。

0036

本明細書に使用されるとき、「核酸配列バリアント」は、基準配列における1つ以上のヌクレオチド欠失または置換されているか、または1つ以上のヌクレオチドが基準ヌクレオチド配列の配列に挿入されている、変更された配列を有している。ヌクレオチドは、標準的な1文字表記(A、C、GまたはT)によって本明細書には言及されている。遺伝コード縮重によって、「ヌクレオチド配列バリアントは、それぞれの基準アミノ酸配列における変更(すなわち「アミノ酸配列バリアント」)を生じ得るか、または生じない。好ましい配列バリアントは、アミノ酸配列バリアントを生じない(サイレント変異)ヌクレオチド配列バリアントであるが、他の非サイレント変異(特に、基準配列に対する少なくとも70%同一(好ましくは基準配列に対する少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも90%同一、それ以上に好ましくは少なくとも95%同一および特に好ましくは99%同一)な、アミノ酸配列を生じる変異ヌクレオチド配列)も同様に範囲内にある。

0037

本明細書に使用されるとき、用語「変異」または「変異させること」は、例えば核酸配列において(例えば、異なるアミノ酸を生じさせるために、1つのアミノ酸をコードしている、核酸分子のうちコドンを改変させること(例えば部位特異的変異生成)、または配列バリアントを合成すること(例えば、ポリペプチドをコードしている核酸分子のヌクレオチド配列を知ること、および当該ポリペプチドのバリアントをコードしているヌクレオチド配列を含んでいる核酸分子の合成を、核酸分子のヌクレオチドの1つ以上を改変する必要なしに、設計すること)によって)、変異を物理的に生成することを包含すると理解される。

0038

「アミノ酸配列バリアント」は、基準配列における1つ以上のアミノ酸が、欠失もしくは置換されているか、または1つ以上のアミノ酸が基準アミノ酸配列の配列に挿入されている、改変された配列を有している。改変の結果として、アミノ酸配列バリアントは、基準配列に対する少なくとも70%同一(好ましくは基準配列に対する少なくとも80%同一、より好ましくは少なくとも80%同一、それ以上に好ましくは少なくとも90%同一、特に好ましくは99%同一)なアミノ酸配列を有している。少なくとも10%同一なバリアント配列は、100アミノ酸の基準配列につき、10以下改変(すなわち欠失、挿入または置換の任意の組み合わせ)を有している。

0039

ペプチド/タンパク質の文において、「直鎖状配列」または「配列」は、配列における隣接する互いが、ペプチド/タンパク質の一次構造において連続している、アミノ末端からカルボキシル末端への方向における複数のアミノ酸の整列である。

0040

非保存的なアミノ酸置換を有することが可能であるが、置換は、置換されたアミノ酸が基準配列における対応するアミノ酸と類似する構造的特性または化学的特性を有している、保存的なアミノ酸置換であることが好ましい。一例として、保存的なアミノ酸置換は、1種の脂肪族または疎水性のアミノ酸(例えば、アラニンバリンロイシンおよびイソロイシン)の、他の種の脂肪族または疎水性のアミノ酸による置換;1種のヒドロキシル含有アミノ酸(例えば、セリンおよびトレオニン)の、他の種のヒドロキシル含有アミノ酸による置換;1種の酸性アミノ酸(例えば、グルタミン酸またはアスパラギン酸)の、他の種の酸性アミノ酸による置換;1種の芳香族残基(例えば、フェニルアラニンおよびチロシン)の、他の種の芳香族残基による置換;1種の塩基性アミノ酸(例えば、リジンアルギニンおよびヒスチジン)の、他の種の塩基性アミノ酸による置換;および1種の小さいアミノ酸(例えば、アラニン、セリン、トレオニン、メチオニンおよびグリシン)の、他の種の小さいアミノ酸による置換を包含する。

0041

アミノ酸配列の挿入は、1残基から、100以上の残基を含んでいるポリペプチドまでの長さに及ぶアミノ末端融合および/またはカルボキシ末端融合、ならびに1つ以上のアミノ酸残基の配列内挿入を包含する。末端挿入の例としては、レポータ分子または酵素に対するアミノ酸配列のN末端またはC末端に対する融合が挙げられる。

0042

重要なことには、配列バリアントは、配列バリアントにおける改変が、それぞれの基準配列の機能性(例えば、サイトカイン(特にGM−CSF)の重複しない同じエピトープ/部位に結合する、および/またはサイトカイン(特にGM−CSF)を十分に中和する、抗体またはその抗原結合断片の機能性)を喪失させない機能的な配列である。そのような機能性を喪失せずに、置換、挿入または欠失され得るヌクレオチドおよびアミノ酸残基のそれぞれを決定する手引きは、当該分野によく知られているコンピュータプログラムを用いることによって見出される。

0043

本明細書に使用されるとき、指定されている核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質「から得られる」核酸配列またはアミノ酸配列は、ポリペプチドの由来を指す。好ましくは、特定の配列から得られている核酸配列またはアミノ酸配列は、それが得られているその配列またはその部分と実質的に同一なアミノ酸配列であり、これによって、「実質的に同一」は、以上に規定されているような配列バリアントを包含する。好ましくは、特定のペプチドまたはタンパク質から得られている核酸配列またはアミノ酸配列は、当該特定のペプチドまたはタンパク質における対応するドメインから得られている。これによって、「対応する」は、特に同じ機能性を指す。例えば、「(特定の)単一特異性抗体から得られている」、多重特異性抗体におけるCDR(すなわちCDRH1)アミノ酸配列または核酸配列は、この単一特異性抗体の(対応する)CDR(すなわちCDRH1)アミノ酸配列または核酸配列(当該単一特異性抗体のうち他の(対応しない)部分ではない)から多くの場合に得られている。ペプチド、タンパク質および核酸の「対応する」部分は、このようにして当業者にとって容易に同定可能(例えば、CDR1はCDR1に対応し、CDR2はCDR2に対応するなど)である。同様に、他の配列「から得られている」配列は、当該配列におけるその起源を有していると、多くの場合に、当業者にとって容易に同定可能である。

0044

好ましくは、他の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から得られている核酸配列またはアミノ酸配列は、開始の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質(それが得られている)と同一であり得る。しかし、他の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から得られている核酸配列またはアミノ酸配列も、開始の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質(それが得られている)に対して1つ以上の変異を有している(特に、他の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質から得られている核酸配列またはアミノ酸配列が、開始の核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質(それが得られている)の、上述されているような機能的な配列バリアントであり得る)。例えば、ペプチド/タンパク質において、1つ以上のアミノ酸残基は他のアミノ酸残基と置換され得る、または1つ以上のアミノ酸残基の挿入もしくは欠失が生じ得る。

0045

いくつもの文献が本明細書の全体に引用されている。本明細書に引用されている上述または後述の各文献(すべての特許、特許出願、科学刊行物製造者仕様書指示書など)は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されていないことは、本発明が従来の発明によるそのような開示に遡る日に権利を有していないことの自認と解釈されるべきではない。

0046

それらが変わり得ると本明細書に記載されている特定の方法論、プロトコルおよび試薬に本発明が限定されないことを理解すべきである。本明細書に使用されている方法論は、特定の実施形態を説明する目的のためだけにあり、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定しないと意図されることを理解すべきである。特に断りがない限り、本明細書に使用されているすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるような同じ意味を有している。

0047

本発明は、他の知見のなかでも、同じサイトカイン(特にGM−CSF)における重複しない異なる部位に結合する3つの抗体のカクテルが、現在、利用可能な抗体MOR103またはナミルマブより、質量を基準にして、強力であるという発見に基づいている。特に、3つの抗体のカクテルが使用されるとき、寿命の長いGM−CSFの巨大なプールの蓄積が生じず、複数の抗体が、Fc依存的な様式において急速にインビボにおいて分解される免疫複合体を形成する。これは、本発明者らを、上述の抗体の組み合わせによってもたらされる多重特異性抗体を設計することに促した。意外にも、そのような多重特異性抗体は、現在、利用可能なGM−CSF抗体だけでなく、抗体のカクテルと比べても、非常に向上された中和活性を有している(ここで、各抗体は、サイトカインの単一部位に対してのみ特異的である)。本発明に係る多重特異性構築物において、サイトカイン(特にGM−CSF)は、不可逆的に隔離され、受容体との相互作用に利用されなくなることが示唆されている。これらの多重特異性抗体は、サイトカイン(特にGM−CSF)依存性の種々の疾患(例えば自己免疫疾患および炎症性疾患)を処置するために、極めて低用量において使用され得る。

0048

(多重特異性抗体またはその抗原結合断片)
第一の態様において、本発明は、
(a)少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位;および
(b)Fc部分
を含んでおり、
上記少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位のそれぞれが、サイトカインの個々のエピトープに対して特異的に結合し、これによって、上記少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位が結合する、サイトカインの複数の上記個々のエピトープは、重複しない複数のエピトープである、
単離された多重特異性の抗サイトカイン抗体またはその抗原結合断片を提供する。

0049

そのような、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、主として、サイトカイン(特に当該サイトカインの標的作用)を強力に中和する(例えば、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、主として、GM−CSF(特にGM−CSFの標的作用)を、強力に中和する)。そのような中和は、当業者に知られており、以下に説明されているような中和評価法において、評価され得る。

0050

好ましくは、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、天然に存在しないアミノ酸配列を含んでいる。

0051

本明細書に使用されるとき、「多重特異性」抗体は、単一の抗体分子が、少なくとも2つの異なるエピトープ(例えば、サイトカイン(特にGM−CSF)における少なくとも2つの、重複しない部位)に対して結合し得る抗体を指す。異なる複数の分子にある少なくとも2つのエピトープに対して一般に結合する、最も知られている多重特異性抗体と対照的に、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片の単一の分子は、単一のサイトカイン分子(特に単一のGM−CSF分子)にある、少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して結合できる。従って、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、単一のサイトカイン(分子)に対して「多重特異性」である。

0052

好ましくは、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性三重特異性、四重特異性または五重特異性であり、より好ましくは上記抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性、三重特異性または四重特異性であり、それ以上に好ましくは、上記抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性または三重特異性であり、特に好ましくは、上記抗体またはその抗原結合断片は、三重特異性である。それによって、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、単一のサイトカイン(分子)(特に単一のGM−CSF(分子))に対して、二重特異性、三重特異性、四重特異性または五重特異性であることが、意図されている。

0053

本発明の抗体が結合する複数のエピトープ(すなわち、サイトカイン(特に単一のサイトカイン分子(例えばGM−CSF(特に単一のGM−CSF分子)))における複数の部位)は、直鎖状(連続的)または立体構造的(非連続的)であり得る。好ましくは、本発明の抗体および抗体断片は、立体構造的なエピトープに結合し、より好ましくは当該立体構造的エピトープは、非還元状態においてのみ存在する。しかし、本発明の抗体および抗体断片はまた、直鎖状のエピトープに対して結合し得、より好ましくは、当該直鎖状のエピトープは、非還元状態および還元状態のいずれにも存在する。

0054

本発明に係る抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位を含んでおり、当該少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位のそれぞれは、サイトカインの個々のエピトープに対して特異的に結合し、それによって、当該少なくとも2つの異なるエピトープ結合部位が結合する、サイトカインの当該個々のエピトープは、重複しない複数のエピトープであり、特に、当該サイトカイン(例えばGM−CSF)の一次配列の重複しないエピトープである。重要なのは、本発明の抗体が結合する複数のエピトープ(すなわち、サイトカイン(特に単一のサイトカイン分子(例えばGM−CSF(特に単一のGM−CSF分子)))における複数の部位)は、異なり(すなわち同一ではなく)、かつ重複しない。単一のサイトカイン(例えばGM−CSF)分子において、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体が結合する複数のエピトープ(「部位」とも呼ばれる)は、直接的に隣接して配置され得るか、または(例えば、リンカー、他の抗体ドメインなどによって)分離され得るが、本発明に依れば、当該複数のエピトープは必須に重複しない。それによって、重複しないことは、サイトカイン(例えばGM−CSF)のアミノ酸配列におけるあるアミノ酸が、本発明に係る抗体が結合する2つ以上のエピトープ/部位に使用されていないことを意味する。言い換えれば、サイトカイン(例えばGM−CSF)のアミノ酸配列におけるそれぞれのアミノ酸は、本発明に係る抗体が結合する1つの単一エピトープの部分であるか、または本発明に係る抗体が結合するいずれのエピトープの部分でもない。

0055

従って、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片はまた、サイトカイン(例えばGM−CSF)のうち、それらが結合するエピトープの位置決定に使用され得る。

0056

本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、サイトカイン(例えばGM−CSF)における少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合するための、少なくとも2つの異なるドメインを含んでいる。言い換えれば、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、サイトカイン(例えばGM−CSF)における第一の部位に対して特異的に結合する少なくとも1つの第一のドメイン、および少なくとも1つの第二のドメイン、を含んでいる。ここで、当該少なくとも1つの第二のドメインは、上記少なくとも1つの第一のドメインと異なり、かつサイトカイン(例えばGM−CSF)における第二の部位に対して特異的に結合する。これによって、サイトカイン(例えばGM−CSF)における当該第二の部位は、上記サイトカイン(例えばGM−CSF)における第一の部位と異なり、かつ重複しない。

0057

本明細書において、サイトカイン(例えばGM−CSF)に対して特異的に結合する抗体の複数のドメインは、「結合ドメイン」、「エピトープ結合ドメイン」または「エピトープ結合部位」とも呼ばれる。好ましくは、抗体のそのようなエピトープ結合部位は、別個のエピトープに対して特異的に結合するための少なくとも最小の必要性を満たす(従って「エピトープ結合部位」を構成する)、例えば単一特異性抗体に由来し得る、少なくとも1つの、好ましくは3つの、およびより好ましくは6つのCDRを含んでいる。従って、それは、抗体のそのようなエピトープ結合部位が、エピトープ結合部位をともに形成している6つのCDR(例えば、単一特異性抗体の重鎖に由来するCDR1、CDR2およびCDR3、ならびに同じ単一特異性抗体の、対応する軽鎖に由来するCDR1、CDR2およびCDR3)を含んでいる場合により好ましい。それ以上に好ましくは、本発明に係る多重特異性抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体の、そのようなのエピトープ結合部位は、(例えば(同一の)単一特異性抗体に由来し得る)重鎖可変領域および/または(対応する)軽鎖可変領域を含み得る。

0058

原則的には、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片の、異なるエピトープ結合部位のそれぞれは、上記抗体において、1回以上(好ましくは、2回、3回、4回、5回または6回以上)現れ得る。例えば、天然のIgGは、同一のエピトープをいずれも認識する同一の2つのFabを含んでいるので、2価であり、単一特異性である。従って、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも2価(すなわち、抗体にそれぞれ1回現れる2つの異なるエピトープ結合部位の場合)である。さらに、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片はまた、例えば、それぞれ一回現れる、3つの異なるエピトープ結合部位の場合、または一方が一回現れ、かつ他方が二回現れる、2つの異なるエピトープ結合部位の場合、3価であってもよく;例えば一回現れ、それぞれ一回現れる、4つの異なるエピトープ結合部位の場合、または2つがそれぞれ一回現れ、かつ第三のエピトープ結合部位が二回現れる、3つの異なるエピトープ結合部位の場合、またはそれぞれ二回現れるか、もしくは一方が一回現れ、かつ他方が三回現れる、2つの異なるエピトープ結合部位の場合、4価であってもよく;5価であってもよく;6価であってもよく;7価であってもよく;8価であってもよく;9価であってもよく;10価であってもよく;11価であってもよく;12価であってもよく;13価であってもよく;14価などであってもよい。

0059

好ましくは、異なるエピトープ結合部位のそれぞれは、本発明に係る抗体分子において、二回現れる。言い換えれば、本発明に係る抗体分子は、抗体またはその抗原結合断片によって含まれる、サイトカインにおける、少なくとも2つの異なる、重複しない部位に対して特異的に結合する異なるドメインのそれぞれを、厳密に2コピー含んでいる。従って、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、好ましくは、4価、6価、8価、10価、12価、14価、などであり、それによって、抗体分子は、異なるエピトープ結合部位のそれぞれを、厳密に2コピー含んでいる。より好ましくは、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性の4価抗体、三重特異性の6価抗体、または四重特異性の8価抗体であり、それ以上に好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性の4価抗体または三重特異性の6価抗体である。

0060

一般的に、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、モノクローナル抗体または当該モノクローナル抗体の抗原結合断片であることが好ましい。モノクローナル抗体は、通常、例えば非分泌型骨髄腫細胞と免疫脾臓細胞との融合から、例えばハイブリッド抗体産生細胞を作製することによって、Bリンパ球の単一のクローンによって産生される。ポリクローナル抗体と対照的に、多重特異性モノクローナル抗体は、(予め)決められているエピトープに対して結合する。それ故に、予期しない結合、特に決められていないエピトープに対する予期しない結合はほとんど避けられ、モノクローナル抗体は、ポリクローナル抗体と比較して、より安全であると考えられる。

0061

好ましくは、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、ヒト抗体、モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、または精製されている抗体である。本発明に係る抗体またはその抗原結合断片はまた、単鎖抗体であってもよい。

0062

(Fc部分)
本発明に係る多重特異性抗抗体またはその抗原結合断片は、Fc部分を含んでいる。好ましくは、Fc部分は、ヒト起源から得られているに由来しており、例えばヒトIgG1、IgG2、IgG3および/またはIgG4に由来しており、それによって、ヒトIgG1は特に好ましい。

0063

本明細書に使用されるとき、用語「Fc部分」は、免疫グロブリン重鎖の一部分に由来する配列を指し、当該免疫グロブリン重鎖の一部分は、パパイン開裂部位(例えば、天然IgGにおける残基216であり、重鎖定常領域の一番目の残基を114番目にもっていく)の直上流ヒンジ領域から始まり免疫グロブリン重鎖のC末端でおわる。従って、Fc部分は、完全なFc部分であってもよく、またはその一部分(例えば、ドメイン)であってもよい。完全なFc部分は、少なくとも、ヒンジドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメイン(例えば、EUアミノ酸位置216〜446)を含んでいる。さらなるリジン残基(K)が、時々、Fc部分のC末端の最末端に存在するが、成熟した抗体からしばしば切断される。Fc領域内部におけるアミノ酸位置のそれぞれは、技術的に承認されたKabatのEU番号付与ステムに基づき、番号付けされている。Kabatらによる“Sequences of Proteins of Immunological Interest”, U.S. Dept. Health and Human Services, 1983 and 1987、を参照のこと。

0064

好ましくは、本発明との関連において、Fc部分は、少なくとも1つの:ヒンジ(例えば、上部、中部、および/または下部ヒンジ領域)ドメイン、CH2ドメイン、CH3ドメイン、またはそれらのバリアント、一部分、もしくは断片、を含んでいる。好ましい実施形態において、Fc部分は、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメインまたはCH3ドメインを含んでいる。より好ましくは、Fc部分は、完全なFc部分である。Fc部分はまた、天然に存在するFc部分に対して一つ以上のアミノ酸挿入、アミノ酸欠失、またはアミノ酸置換、を含んでいてもよい。例えば、少なくとも一つのヒンジドメイン、CH2ドメインまたはCH3ドメイン(またはそれらの一部分)は、削除されてもよい。例えば、Fc部分は、以下を含んでもよく、または以下から構成されてもよい:(i)CH2ドメイン(もしくはその一部分)に対して融合されたヒンジドメイン(もしくはその一部分)、(ii)CH3ドメイン(もしくはその一部分)に対して融合されたヒンジドメイン(もしくはその一部分)、(iii)CH3ドメイン(もしくはその一部分)に対して融合されたCH2ドメイン(もしくはその一部分)、(iv)ヒンジドメイン(もしくはその一部分)、(v)CH2ドメイン(もしくはその一部分)、または(vi)CH3ドメインもしくはその一部分。

0065

Fc部分が天然に存在する免疫グロブリン分子の完全なFc部分とアミノ酸配列の点で異なり、同時に、当該Fc部分が天然に存在するFc部分によって与えられる少なくとも一つの望ましい機能を維持するように、当該Fc部分は修飾されてもよい、ということが当業者によって理解されるだろう。そのような機能は、Fc受容体(FcR)結合、抗体半減期調節、ADCC機能、タンパク質A結合、タンパク質G結合、および補体結合、を含んでいる。そのような機能を担う、および/またはそのような機能にとって不可欠な、天然に存在するFc部分の一部分は、当業者によってよく知られている。

0066

例えば、補体カスケードを活性化するために、C1qは、抗原性標的に対して付着された、少なくとも2分子のIgG1または1分子のIgMに対して結合する(Ward, E. S., and Ghetie, V., Ther. Immunol. 2 (1995) 77−94)。Burton, D. R.は、アミノ酸残基318〜337を含んでいる重鎖領域補体固定に関与する、ということについて説明した(Mol. Immunol. 22 (1985) 161−206)。Duncan, A. R.およびWinter, G.は、部位特異的変異誘発を利用して、Glu318、Lys320およびLys322がC1qに対する結合部位を形成する、ということを報告した(Nature 332 (1988) 738−740)。C1qの結合における、Glu318、Lys320およびLys322残基の役割は、補体媒介性溶解の阻害に対する、これらの残基を含んでいる短い合成ペプチドの能力によって確かめられた。

0067

例えば、FcR結合は、(抗体の)Fc部分とFc受容体(FcRs)との相互作用によって媒介されることが可能であり、当該Fc受容体(FcRs)は造血細胞上の分化した細胞表面受容体である。Fc受容体は免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、当該Fc受容体は、免疫複合体のファゴサイトーシスによる、抗体で被覆された病原体の除去と、抗体依存的細胞介在性細胞毒性(ADCC;Van de Winkel, J. G., and Anderson, C. L., J. Leukoc. Biol. 49 (1991) 511−524)を介する、赤血球および、対応する抗体で被覆された様々な他の細胞の対象(例えば腫瘍細胞)の溶解と、の両方を媒介することが示される。FcRsは、免疫グロブリンのクラスに対するFcRsの特異性によって定義される;IgG抗体に対するFc受容体はFcγRと称され、IgEに対してはFcεRとして、IgAに対してはFcαRとして、等々称され、そして新生児のFc受容体はFcRnと称される。Fc受容体結合は、例えば、以下に記載されている:Ravetch, J. V., and Kinet, J. P., Annu. Rev. Immunol. 9 (1991) 457−492; Capel, P. J., et al., Immunomethods4 (1994) 25−34; de Haas, M., et al., J Lab. Clin. Med. 126 (1995) 330−341;およびGessner, J. E., et al., Ann. Hematol. 76 (1998) 231−248。

0068

天然のIgG抗体のFcドメインによる受容体(FcγR)の架橋結合は、多種多様作動体機能を引き起こし、当該作動体機能は、ファゴサイトーシス、抗体依存性細胞障害、および炎症性介在物質の放出、ならびに、免疫複合体の除去および抗体産生の調節、を含んでいる。ヒトにおいて、FcγRの3つのクラスが特徴付けられており、それらは以下である:(i)FcγRI(CD64)、当該FcγRI(CD64)は、高い親和性をともなって単量体IgGに結合し、かつマクロファージ、単球、好中球および好酸球上に発現される;(ii)FcγRII(CD32)、当該FcγRII(CD32)は、中間から低い親和性をともなって複合体化されたIgGに結合し、広く、特に白血球上に、発現され、抗体介在性免疫における中心的なプレーヤーであることが知られており、かつ当該FcγRII(CD32)は、FcγRIIA、FcγRIIBおよびFcγRIICに分けられることが可能であり、これらは、免疫システムにおいて異なる機能を果たすが、同様の低い親和性をともなってIgG−Fcに対して結合し、これらの受容体の外部ドメインは、高い相同性がある;および(iii)FcγRIII(CD16)、当該FcγRIII(CD16)は、中間から低い親和性をともなってIgGに結合し、かつ2つの型が存在する:NK細胞、マクロファージ、好酸球、ならびにいくつかの単球およびT細胞、上に見つけられ、ADCCを媒介するFcγRIIIA、ならびに、好中球上に高発現されるFcγRIIIB。FcγRIIAは、致死に関与する多くの細胞上に見つけられ(例えばマクロファージ、単球、好中球)、致死過程を活性化することができると思われる。FcγRIIBは、阻害過程において役割を果たすと思われ、かつB細胞、マクロファージ、ならびにマスト細胞および好酸球、上に見つけられる。B細胞上では、それは、さらなる免疫グロブリンの産生、およびアイソタイプの、およそ例えばIgEクラスへの切り替え、を抑えるための機能と思われる。マクロファージ上では、FcγRIIBは、FcγRIIAを通して媒介されるようなファゴサイトーシスを、阻害するために作用する。好酸球およびマスト細胞上では、b形態は、その別個の受容体に対して結合するIgEを通して、これらの細胞の活性化を抑えることを助けてもよい。

0069

FcγRI結合に関して、天然のIgGにおける、E233〜G236、P238、D265、N297、A327およびP329の少なくとも一つにおける修飾は、FcγRIに対する結合を減少させる。IgG1およびIgG4の中へ置換された、IgG2の位置233〜236における残基は、FcγRIに対する結合を、103倍まで減少させ、抗体感作赤血球に対するヒト単球の応答を取り除いた(Armour, K. L.ら Eur. J. Immunol. 29 (1999) 2613−2624)。FcγRII結合に関して、FcγRIIAについての減少した結合が、例えば、E233〜G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、R292およびK414の少なくとも一つのIgG変異について、見つけられた。FcγRIII結合に関して、FcγRIIIAに対する減少した結合が、例えば、E233〜G236、P238、D265、N297、A327、P329、D270、Q295、A327、S239、E269、E293、Y296、V303、A327、K338およびD376の少なくとも一つの変異について、見つけられた。Fc受容体に対するヒトIgG1上における結合部位を位置付けるために、上述した変異部位ならびに、FcγRIおよびFcγRIIAに対する結合の測定方法が、Shields, R. L., et al., J. Biol. Chem. 276 (2001) 6591−6604において説明されている。

0070

重大なFcγRIIに対する結合に関して、天然のIgGのFcの2つの領域は、FcγRIIsおよびIgGsの相互作用のために重要であるように見え、当該2つの領域は、すなわち、(i)IgG Fcの下部ヒンジ部位、特にアミノ酸残基L、L、G、G(234〜237、EU番号付与)、および(ii)IgG FcのCH2ドメインの隣接領域、特に、(例えばP331の領域における)下部ヒンジ領域に隣接する上部CH2ドメインにおける、ループおよびストランドである(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 − 5318)。さらに、FcRnおよびタンパク質AはIgG Fc上の異なる部位に対して結合するのに対して、FcγRIはIgG Fc上の同一の部位に対して結合するように見え、これは、CH2−CH3境界面においてであるように見える(Wines, B.D., et al., J. Immunol. 2000; 164: 5313 − 5318)。

0071

例えば、Fc部分は、FcRn結合または延長された半減期のために必要とされることが、技術的に知られているFc部分の少なくとも一部分、を含んでいてもよく、当該一部分で構成されてもよい。代替的にまたはさらに、本発明の抗体のFc部分は、タンパク質A結合のために必要とされることが、技術的に知られているうちの少なくとも一部分を含み、および/または本発明の抗体のFc部分は、タンパク質G結合のために必要とされることが、技術的に知られているFc分子の少なくとも一部分を含む。好ましくは、維持される機能は、サイトカイン−免疫複合体、例えばGM−CSF−免疫複合体、の除去であり、これは、FcγR結合によって介在されると仮定される。従って、好ましいFc部分は、FcγR結合のために必要とされることが技術的に知られている少なくとも一部分を含んでいる。上記に概略が説明されたように、好ましいFc部分は、従って、少なくと以下の(i)および(ii)を含んでいてもよい:(i)天然のIgGのFcの下部ヒンジ部位、特にアミノ酸残基L、L、G、G(234〜237、EU番号付与)、および(ii)天然のIgGのFcのCH2ドメインの隣接領域、特に、(例えばP331の領域における)下部ヒンジ領域に隣接する上部CH2ドメインにおける、ループおよびストランド、例えば、天然のIgG FcのP331のあたり(例えば、天然のIgG Fcのアミノ酸320と340(EU番号付与)との間)の上部CH2ドメインにおける、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10の連続したアミノ酸の領域。

0072

好ましくは、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、Fc領域を含んでいる。本明細書に使用されるとき、用語「Fc領域」は、抗体重鎖の2つ以上のFc部分によって形成される、免疫グロブリンの一部分を指す。例えば、Fc領域は、単量体Fc領域であってもよく、または「一本鎖」Fc領域(すなわち、scFc領域)であってもよい。単鎖Fc領域は、(例えば、単一の連続核酸配列においてコードされている)単一のポリペプチド鎖の内部で連結されたFc部分から構成される。例示的なscFc領域は、国際公開特許公報2008/143954A2号の中に開示されている。好ましくは、Fc領域は二量体Fc領域である。「二量体Fc領域」または「dcFc」は、2つの別個の免疫グロブリン重鎖のFc部分によって形成される二量体を指す。二量体Fc領域は、(例えば、天然に存在する免疫グロブリンのFc領域の)2つの同一のFc部分のホモ二量体であってもよく、または2つの非同一のFc部分のヘテロ二量体であってもよい。

0073

Fc領域のFc部分は、同一のまたは異なった、クラスおよび/もしくはサブクラスであってもよい。例えば、Fc部分は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4サブクラスの免疫グロブリン(例えば、ヒト免疫グロブリン)に由来してもよい。好ましくは、Fc領域のFc部分は、同一のクラスおよびサブクラスである。しかしながら、Fc領域(またはFc領域の一つ以上のFc部分)はまた、キメラであってもよく、ここで、キメラFc領域は、異なる免疫グロブリンのクラスおよび/またはサブクラスに由来するFc部分を含んでいてもよい。例えば、二量体または一本鎖Fc領域の、少なくとも2つのFc部分は、異なる免疫グロブリンのクラスおよび/またはサブクラスからであってもよい。さらに、または代替的に、キメラFc領域は、1つ以上のキメラFc部分を含んでいてもよい。例えば、キメラFc領域または部分は、第一のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2,またはIgG3サブクラス)の免疫グロブリンに由来する一つ以上の一部分を含んでいてもよく、その上、Fc領域または部分の残りは異なるサブクラスである。例えば、FcポリペプチドのFc領域または部分は、第一のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2,またはIgG4サブクラス)の免疫グロブリンに由来するCH2および/またはCH3ドメイン、ならびに、第2のサブクラス(例えば、IgG3サブクラス)の免疫グロブリンからのヒンジ領域を含んでいてもよい。例えば、Fc領域または部分は、第一のサブクラス(例えば、IgG4サブクラス)の免疫グロブリンに由来するヒンジおよび/またはCH2ドメイン、ならびに、第二のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2,またはIgG3サブクラス)の免疫グロブリンからのCH3ドメイン、を含んでいてもよい。例えば、キメラFc領域は、第一のサブクラス(例えば、IgG4サブクラス)についての免疫グロブリンからのFc部分(例えば、完全なFc部分)、および、第二のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2,またはIgG3サブクラス)の免疫グロブリンからのFc部分、を含んでいてもよい。例えば、Fc領域または部分は、IgG4免疫グロブリンからのCH2ドメイン、および、IgG1免疫グロブリンからのCH3ドメインを含んでいてもよい。例えば、Fc領域または部分は、IgG4分子からのCH1ドメインおよびCH2ドメイン、ならびに、IgG1分子からのCH3ドメインを含んでいてもよい。例えば、Fc領域または部分は、抗体の特定のサブクラスからのCH2ドメインの一部分、例えば、CH2ドメインのEU位置292〜340、を含んでいてもよい。例えば、Fc領域または部分は、IgG4部分に由来するCH2のアミノ酸位置292〜340、および、IgG1部分に由来するCH2の残り(代替的に、IgG1部分に由来してもよいCH2の292〜340、および、IgG4部分に由来するCH2の残り)を含んでいてもよい。

0074

さらに、Fc領域または部分は、(さらに、または代替的に)例えば、キメラヒンジ領域を含んでいてもよい。例えば、キメラヒンジは、例えば一部分、IgG1、IgG2またはIgG4分子(例えば、上部および下部中部ヒンジ配列)に由来していてもよく、かつ一部分、IgG3分子(例えば、中部ヒンジ配列)に由来してもよい。別の実施例において、Fc領域または部分は、一部分、IgG1分子に由来し、かつ一部分、IgG4分子に由来するキメラヒンジ、を含んでいてもよい。別の実施例において、キメラヒンジは、IgG4分子からの上部および下部ヒンジドメインと、IgG1分子からの中部ヒンジドメインと、を含んでいてもよい。そのようなキメラヒンジは、例えば、IgG4ヒンジ領域の中部ヒンジドメインにおけるEU位置228において、プロリン置換(Ser228Pro)を導入することによって作製されてもよい。別の実施形態において、キメラヒンジは、EU位置233〜236におけるアミノ酸を含み得、当該アミノ酸は、IgG2抗体からであり、および/またはSer228Pro変異であり、ここで、ヒンジの残りのアミノ酸はIgG4抗体からである(例えば、配列ESKYGPPCPPCPAPPVAGPのキメラヒンジ)。さらに、本発明に係る抗体のFc部分に使用されてもよいキメラヒンジは、米国公開特許公報第2005/0163783A1号において説明されている。

0075

「Fc領域」の定義の中に具体的に含まれるものは、「無糖化された(aglycosylated)Fc領域」である。用語「無糖化されたFc領域」は、例えば、Fc領域の一つ以上のFc部分において、EU位置297におけるNグリコシル化部位にて、共有結合的に連結されたオリゴ糖またはグリカンを欠いているFc領域を指す。例えば、無糖化されたFc領域は、完全に無糖化されていてもよく、すなわち、Fc領域のFc部分の全てが炭水化物を欠いていてもよい。代替的に、無糖化されたFc領域は、部分的に無糖化(すなわち、ヘミ−グリコシル化)されてもよい。無糖化されたFc領域は、脱グリコシル化されたFc領域、すなわち、例えば化学的または酵素的に、Fc炭水化物が取り除かれたFc領域、であってもよい。代替的に、またはさらに、無糖化されたFc領域は、非グリコシル化(nonglycosylated)(すなわち非グルコシル化(unglycosylated))され(すなわち、Fc炭水化物なしで(例えばグリコシル化パターン(例えばEU位置297または299におけるNグリコシル化部位)をコードしている1以上の残基の変異、タンパク質に炭水化物を天然に結合させない生物(例えば細菌)における発現、またはグリコシル化機序が遺伝子操作またはグリコシル化阻害剤(例えば糖転移酵素阻害剤)の添加によって欠損させられている宿主細胞もしくは宿主生物における発現によって)発現された抗体)得る。代替的に、Fc領域は、「グリコシル化されたFc領域」であり、すなわち、Fc領域は、すべての有効なグリコシル化部位において完全にグリコシル化される。

0076

本発明において、Fc部分、またはFc領域は、ヒト免疫グロブリンの配列(例えば、ヒトIgG分子からのFc領域またはFc部分)に由来するアミノ酸配列を有するか、または当該アミノ酸配列からなることが好ましい。しかしながら、ポリペプチドは、別の哺乳類種からの一つ以上のアミノ酸を含んでいてもよい。例えば、霊長類のFc部分または霊長類の結合部位が、対象のポリペプチドにおいて含まれていてもよい。代替的に、マウスの一つ以上のアミノ酸が、Fc部分の中にまたはFc領域の中に、存在してもよい。

0077

好ましくは、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体は、特に、上記に記載したようなFc部分に加えて、他の部分を含んでおり、当該他の部分は、定常領域、特にIgGの定常領域、好ましくはIgG1の定常領域、より好ましくはヒトIgG1の定常領域、に由来する。より好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体は、特に、上記に記載したようなFc部分に加えて、定常領域の他の部分の全て、特にIgGの定常領域の他の部分の全て、好ましくはIgG1の定常領域の他の部分の全て、より好ましくはヒトIgG1の定常領域の他の部分の全て、を含んでいる。

0078

上記に概略が説明されたように、本発明に係る特に好ましい多重特異性抗体は、ヒトIgGに由来する(完全な)Fc領域を含んでいる。より好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体は、特に、ヒトIgGに由来する(完全な)Fc領域に加えて、また、IgGの定常領域の他の部分の全て、好ましくはIgG1の定常領域の他の部分の全て、より好ましくはヒトIgG1の定常領域の他の部分の全て、も含んでいる。

0079

(サイトカイン)
本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体またはその抗原結合断片は、サイトカイン、好ましくはGM−CSFに対して結合する。サイトカインは、通常、細胞の情報伝達において重要である小さなタンパク質(〜5−20kDa)である。上記サイトカインは、細胞によって放出され、他の細胞の挙動に影響を及ぼし、時々、当該サイトカイン自身を放出している細胞の挙動に影響を及ぼす。サイトカインは、ケモカイン、インターフェロン、インターロイキン、リンフォカイン、腫瘍壊死因子、モノカインおよびコロニー刺激因子、を含むが、一般的にホルモンは含まない。サイトカインは、免疫細胞様マクロファージ、Bリンパ球、Tリンパ球、およびマスト細胞、ならびに内皮細胞、線維芽細胞、および様々な間質性細胞を含んでいる広範囲の細胞によって産生され、それによって、所定のサイトカインは、2つ種類以上の細胞によって産生されてもよい。

0080

ケモカインは、細胞間の化学誘引化学走性)を媒介する。サイトカインタンパク質は、挙動および構造上の特徴に基づき、ケモカインに分類されている。化学走性を媒介することで知られていることに加えて、ケモカインは、大きさに関してすべて約8〜10kDaであり、保存された位置において、当該ケモカインの3次元形状を形成するために重要である4つのシステイン残基を有している。これらのタンパク質は、歴史的に、いくつかの他の名前の下に知られており、当該他の名前は、サイトカインのSISファミリー、サイトカインのSIGファミリー、サイトカインのSCYファミリー、血小板因子−4スーパーファミリーまたはインタークリン、を含んでいる。ケモカインは、4つの主なサブファミリー:CXC、CC、CX3CおよびXCに分類され得る。

0081

CCケモカイン(またはβ−ケモカイン)タンパク質は、そのアミノ末端の近くに、2つの隣接したシステイン(アミノ酸)を有している。哺乳類について、このサブグループに属する少なくとも27の識別可能グループ員が報告されており、CCケモカインリガンド(CCL)−1〜−28、と呼ばれており;CCL10はCCL9と同一である。このサブファミリーのケモカインは、通常、4つのシステインを含んでいる(C4−CCケモカイン)が、少数のCCケモカインは、6つのシステインを保有する(C6−CCケモカイン)。C6−CCケモカインは、CCL1、CCL15、CCL21、CCL23およびCCL28を含む。CCケモカインは、単球、ならびに、NK細胞および樹状細胞のような他の細胞型遊走を引き起こす。CCケモカインの例は、単球走化性タンパク質−1(MCP−1またはCCL2)を含んでおり、当該単球走化性タンパク質−1は、単球が、血流から離れて周囲の組織に入り組織マクロファージになることを引き起こす。CCL5(またはRANTES)は、受容体CCR5を発現している、T細胞、好酸球および好塩基球のような細胞を誘引する。血漿において増加したCCL11レベルは、マウス及びヒトにおける加齢(および減少した神経発生)と関連する。CCケモカインは、例えば、CCL1−CCL28を含む。

0082

CXCケモカイン(またはα−ケモカイン)のN末端の2つのシステインは、1つのアミノ酸によって分離されており、当該1つのアミノ酸は、「X」を用いるこの名前で表される。哺乳類において記載された17の異なるCXCケモカインがあり、これらは2つの分類に再分され、当該2つの分類は、CXCモチーフの一番目のシステインの直前に、グルタミン酸−ロイシン−アルギニン(または略してELR)の特異的なアミノ酸配列(またはモチーフ)を有している分類(ELR−ポジティブ)、およびELRモチーフを有していない分類(ELR−ネガティブ)である。ELR−ポジティブCXCケモカインは、好中球の遊走を特異的に誘導し、ケモカイン受容体CXCR1およびCXCR2と相互作用する。ELR−ポジティブCXCケモカインの例は、インターロイキン−8(IL−8)であり、当該インターロイキン−8は、好中球が、血流から離れて周囲の組織の中に入ることを引き起こす。ELRモチーフを欠いている他のCXCケモカイン、例えばCXCL13、はリンパ球に対して化学誘引である傾向がある。CXCケモカインはCXCケモカイン受容体に結合し、7つのCXCケモカイン受容体が現在までに発見されており、CXCR1−7と表されている。CXCケモカインは、例えば、CXCL1−CXCL17を含む。

0083

ケモカインの第三のグループは、Cケモカイン(またはγケモカイン)として知られており、当該第三のグループは、当該第三のグループがたった2つのシステイン;一つのN末端のシステインおよび下流にひとつのシステイン、を有するという点で、全ての他のケモカインと異なっている。このサブグループについて、2つのケモカインが記載されており、当該2つのケモカインは、XCL1(リンフォクチン−α)およびXCL2(リンフォタクチン−β)と呼ばれている。

0084

第四のグループもまた、発見されており、グループ員は、2つのシステインの間に3つのアミノ酸を有しており、CX3Cケモカイン(またはd−ケモカイン)と称される。現在までに、ただ一つのCX3Cケモカインが発見されており、フラクタルカイン(またはCX3CL1)と呼ばれている。ただ一つのCX3Cケモカインは、分泌されたものと、当該ただ一つのCX3Cケモカインを発現する細胞の表面につながれたものとの両方であり、その結果、当該ただ一つのCX3Cケモカインは化学遊走および接着分子としての両方として役目を果たす。

0085

インターフェロン(IFNs)はサイトカインのグループであり、例えば、ウイルス、細菌、寄生虫、または腫瘍細胞のような病原体の存在に応答して、産生され、かつ放出される。典型的なシナリオにおいて、ウイルスが感染した細胞は、すぐ近くの細胞がそれらの抗ウイルス防御を高めることを引き起こすインターフェロンを、放出するだろう。20より多い、識別可能なIFN遺伝子およびタンパク質が、ヒトを含む動物において同定されている。ヒトインターフェロンは、受容体の型に基づいて3つの主な型:I型IFN、II型IFN、およびIII型IFN、に分類されており、当該ヒトインターフェロンは当該受容体を通して情報伝達をする。全ての3つの部類に属しているIFNsは、ウイルス感染戦うために、かつ免疫システムの調節のために、重要である。

0086

全てのI型IFNsは、IFN−α/β受容体(IFNAR)として知られている、特異的な細胞表面受容体複合体に対して結合し、当該IFN−α/β受容体はIFNAR1鎖およびIFNAR2鎖からなる。ヒトにおいて存在するI型インターフェロンは、IFN−α、IFN−β、IFN−ε、IFN−κおよびIFN−ωである。概して、I型インターフェロンは、ウイルスが体に侵入したことを当該体が認識したとき、産生される。I型インターフェロンは、線維芽細胞および単球によって産生される。しかしながら、I型IFN−αの産生は、インターロイキン−10として知られる別のサイトカインによって妨げられ得る。いったん活性化されると、I型インターフェロンは、ウイルスが当該ウイルスのRNAおよびDNAを産生し複製することを抑制する分子を、産み出すことができる。全般的に見れば、IFN−αは、B型肝炎およびC型肝炎の感染を処置するために使用されることが提案されており、一方IFN−βは、多発性硬化症を処置するために使用されることが提案されている。

0087

インターフェロンII型はまた、免疫インターフェロンとしても知られており、特に、インターロイキン−12によって活性化される。さらに、II型インターフェロンは、ヘルパーT細胞、特に1型、によって放出される。しかしながら、II型インターフェロンは、ヘルパーT細胞2型の増殖を阻むことができる。これまでのことは、Th2免疫応答の阻害およびTh1免疫応答のさらなる誘導、という結果を招き、これは、多発性硬化症のような身体を衰弱させる疾患の進行を引き起こす。IFNII型はIFNGRに対して結合し、当該IFNGRはIFNGR1鎖およびIFNGR2鎖からなる。ヒトにおける例示的なINFII型は、IFN−γである。

0088

インターフェロンIII型は、IL10R2(また、CRF2−4とも呼ばれている)およびIFNLR1(また、CRF2−12とも呼ばれている)からなる受容体複合体を通して情報伝達する。近年、I型IFNsおよびII型IFNsよりも多く発見されているが、近年の情報は、ウイルス感染のいくつかの型におけるIII型IFNsの重要性を実証している。

0089

インターロイキンは、白血球(white blood cells)(白血球(leukocytes))によって発現されることが初めて理解されたサイトカイン、のグループである。免疫システムの機能は、大部分においてインターロイキンに依存しており、いくらかのインターロイキンのまれな欠乏症が記載されており、インターロイキンの全ては、自己免疫疾患または免疫不全特徴づけている。インターロイキンの大部分は、ヘルパーCD4Tリンパ球によって、ならびに、単球、マクロファージ、および内皮細胞を通して、合成されている。インターロイキンは、TおよびBリンパ球、ならびに造血細胞の発達および分化を促進する。インターロイキンの例は、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IL−19、IL−20、IL−21、IL−22、IL−23、IL−24、IL−25、IL−26、IL−27、IL−28、IL−29、IL−30、IL−31、IL−32、IL−33、IL−34、IL−35、およびIL−36、を含む。

0090

リンフォカインは、リンパ球によって産生されるサイトカイン、のサブ集団である。リンフォカインは、概してT細胞によって産生され、その細胞間の情報伝達による免疫システム応答を指揮するための、タンパク質介在物質である。リンフォカインは多くの役割を有しており、当該役割は、マクロファージおよび他のリンパ球を含んでいる他の免疫細胞の、感染された場所への誘引、ならびに、それに続く、免疫応答を始めるためにそれらを準備するためのそれらの活性化、を含んでいる。循環性リンパ球は、非常に小さい濃度のリンフォカインを検出することが可能であり、その後、当該循環性リンパ球は、濃度勾配を免疫応答が必要とされる濃度勾配へと上昇することが可能である。リンフォカインは、B細胞が抗体を産生するのを助ける。ヘルパーT細胞によって分泌される重要なリンフォカインとしては、以下を含む:IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、GM−CSF、およびインターフェロン−ガンマ。

0091

腫瘍壊死因子(またはTNFファミリー)は、細胞死アポトーシス)を引き起こし得るサイトカインの一群を指す。配列、機能、および構造の類似性に基づいて、TNFファミリーの一部として19のタンパク質(種々の機能を有するサイトカインである、腫瘍壊死因子(TNF)(カセクチンまたはTNFアルファとしても知られている)が挙げられる)が同定されている。例えば、腫瘍壊死因子は、ある種の腫瘍細胞株細胞溶解を引き起こすことができ、悪液質の誘導に関与しており、直接作用によってまたはインターロイキン−1分泌の刺激によって熱を引き起こす強力な発熱物質であり、また、ある種の状況下において細胞増殖を刺激することができ、かつ細胞分化を誘導することができる。上記19のタンパク質は、インビトロおよびインビボにおいて広範囲の腫瘍細胞に対して細胞傷害性でありリンパ球によって産生された2つの関連したサイトカインである、リンフォトキシン−アルファ(LT−アルファ)およびリンフォトキシン−ベータ(LT−ベータ);B細胞の発達および活性化に重要であると思われるサイトカインである、T細胞抗原gp39(CD40L);T細胞の活性化において役割を果たし、共刺激されたT細胞の増殖を誘導し、かつ細胞傷害性T細胞産出を向上させるサイトカインである、CD27L;T細胞の増殖を誘導するサイトカインである、CD30L;細胞死に関与する細胞表面タンパク質である、FASL;T細胞刺激に寄与する誘導性のT細胞表面分子である、4−1BBL;T細胞増殖とサイトカイン産生とを共刺激する細胞表面たんぱく質である、OX40L;ならびに、アポトーシスを誘導するサイトカインである、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、を含む。

0092

全てのこれらTNFファミリー構成員は、それらの特異的な受容体によって認識されるホモ三量体の(またはLT−アルファ/ベータの場合にはヘテロ三量体の)複合体を、形成すると思われる。モノマー間の強い水素結合が、三次構造を安定化する。その一例は、M. musculusのTNFアルファにおけるAsn34−Arg82水素結合である。このファミリーに対するPROSITEパターンは、全ての構成員を通して保存されている、タンパク質の中心部分におけるベータ−ストランドに位置する。TNFファミリーの全ての構成員は、分泌されたリンフォトキシン、および増殖誘導リガンド(APRIL)を除いて、免疫細胞から突き出るII型膜貫通タンパク質である。そのような膜結合TNFリガンドは、当該膜結合TNFリガンドが他の細胞上においてそれらの同系の受容体と接触し結合したとき、しばしば、もとの免疫細胞へ情報伝達する。TNFファミリーの構成員の例は、CD40LG(TNFSF5);CD70(TNFSF7);EDA;FASLG(TNFSF6);LTA(TNFSF1);LTB(TNFSF3);TNF、TNFSF4(OX40L);TNFSF8(CD153);TNFSF9;TNFSF10(TRAIL);TNFSF11(RANKL);TNFSF12(TWEAK);TNFSF13;TNFSF13B;TNFSF14;TNFSF15;TNFSF18、を含む。

0093

モノカインはサイトカインであり、モノカインは、主に単球およびマクロファージによって、産生される。モノカインの例は、IL−1、TNFアルファ、インターフェロンアルファおよびインターフェロンベータ、ならびにコロニー刺激因子、を含む。

0094

コロニー刺激因子(CSFs)は、分泌された糖タンパク質であり、造血幹細胞の表面上において受容体タンパク質に結合し、その結果、細胞が増殖することおよび特定の種類の血液細胞に分化することを引き起こし得る、細胞内情報伝達経路を活性化する。他の、造血微細環境の膜結合物質と対照的に、コロニー刺激因子は、通常、可溶性である。これは、ときどき、CSFsの定義として用いられる。コロニー刺激因子は、パラクリンエンドクリン、またはオートクリンの情報伝達によって伝達する。コロニー刺激因子の例は、CSF1(「マクロファージコロニー刺激因子」としても知られている)、CSF2(「顆粒球マクロファージコロニー刺激因子」;GM−CSFおよびサルグラモスチムとしても知られている)、CSF3(「顆粒球コロニー刺激因子」;G−CSFおよびフィルグラスチムとしても知られている)、および、プロメガエチンのような合成のCSFs、を含む。

0095

本発明との関連において、特に、サイトカインにおける2つの異なる、重複しない部位に対して結合する2つの異なるドメインを有する多重特異性の、抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体、が結合するサイトカインは、コロニー刺激因子またはインターフェロンであることが好ましい。コロニー刺激因子のうちで、天然に存在するCSFsが好ましく(特にCSF1、CSF2(GM−CSF)およびCSF3(G−CSF))、また、GM−CSFがより好ましい。インターフェロンのうちで、I型およびII型インターフェロンが好ましく、I型インターフェロンがより好ましく、インターフェロンβがさらにより好ましい。従って、サイトカインは、好ましくはGM−CSFまたはインターフェロンベータであり、より好ましいサイトカインはGM−CSFである。

0096

(リンカー)
好ましくは、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、さらに以下を含んでいる:(c)少なくとも1つのリンカー。

0097

一般的に、本発明に係る多重特異性の抗サイトカイン(好ましくは抗GM−CSF)抗体、の2つの構成要素の間の連結は、直接的であってもよく、または間接的であってもよい。すなわち、2つの構成要素は直接的に隣接するか、または2つの構成要素は、複合体の付加的な構成要素によって、例えばリンカーによって、連結されてもよい。特に、本発明に係る多重特異性抗体のいくつかの構成要素は、他の構成要素がリンカーによって連結されるのに対して、直接的に連結されてもよい。好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体は、例えば、2つのVH配列、2つのVL配列、ならびに/またはVH配列およびVL配列の間の重鎖において、リンカーを含んでいる(「VH配列」は単一特異性抗体の重鎖に由来し、従って、たとえそれが本発明に係る多重特異性抗体の重鎖または軽鎖の中に存在しているかもしれないとしても、「VH」と称される。また、「VL配列」は単一特異性抗体の軽鎖に由来し、従って、たとえそれが本発明に係る多重特異性抗体の重鎖または軽鎖の中に存在しているかもしれないとしても、「VL」と称される。)。従って、軽鎖において、リンカーは、好ましくは、2つのVH配列、2つのVL配列、ならびに/またはVH配列およびVL配列の間で存在してもよい。さらに、リンカーが、本発明に係る多重特異性抗体の重鎖において、定常ドメイン、例えば(例えばIgGCH1−CH2−CH3における)CH3、およびVH/VL配列、の間で存在する場合もまた、好ましい。

0098

本明細書に使用されるとき、用語「連結された」、「融合された」、または「融合」は、互換的に使用されてもよい。これらの用語は、化学的結合または組み換え体手段を含んでいるいかなる手段によるものであっても、2つ以上の要素または構成要素の結合を表す。化学的結合(例えばヘテロ二官能性架橋結合剤を使用する化学的結合)の方法は、技術的に知られている。好ましくは、本発明に係る抗体の構成要素は、2つ以上のタンパク質、ポリペプチド、もしくはそれらの断片の共有結合的な連結または付着によって、例えばそれらの個々のペプチド骨格を介して、例えばそれらの構成要素またはペプチド断片をコードしている単一のタンパク質分子の発現を通して、連結される。好ましい融合はインフレームである。すなわち、コードしている核酸分子のレベル上で、2つ以上のオープンリーディングフレーム(ORF)が、本来の複数のORFの正確なリーディングフレームを維持する方法において、融合され、連続的なより長いORFを形成する。従って、結果として生じる組み換え融合タンパク質は、本来の複数のORFによってコードされたポリペプチドに対応する2つ以上のタンパク質断片(当該断片は、自然状態では、本来ならそのようにして結合されない)、を含んでいる単一のポリペプチドである。リーディングフレームは、従って、融合された遺伝子の断片の全体にわたって連続的に作製されるけれども、タンパク質断片は、例えば、(インフレームの)ペプチドリンカーによって、物理的にまたは空間的に分離されてもよい。

0099

従って、多重特異性抗体の2つの構成要素を連結するリンカーは、ペプチドリンカーであってもよい。代替的に、リンカーはまた、非ペプチド性、例えば架橋結合剤、であってもよいが、ペプチドリンカーが好ましい。

0100

非ペプチド性スペーサーは、エステルチオエステル、およびジスルフィドを含み得るか、またはエステル、チオエステル、およびジスルフィドであってもよい。ペプチドまたはタンパク質の架橋結合のための架橋結合剤は、例えば、(i)アミンとアミンとの架橋結合剤であり、例えば、第一級アミンの選択的結合のための、NHS−エステルおよびイミドエステル反応基に基づくホモ二官能性アミン特異的タンパク質架橋結合試薬短期および長期において有効であり、開裂可能であり、不可逆的であり、膜透過性であり、ならびに、細胞表面多様である;(ii)スルフィドリルと炭水化物との架橋結合剤であり、例えば、共有結合的な架橋結合の結合および形成のための、マレイミドならびにヒドラジド反応基に基づく架橋結合試薬;(iii)スルフィドリルとスルフィドリルとの架橋結合剤であり、例えば、安定したチオエーテル結合を形成するための、タンパク質およびペプチドチオール(還元されたシステイン)の選択的かつ共有結合的な架橋結合のための、マレイミドもしくはピリジルジチオール反応基に基づくホモ二官能性スルフィドリル特異的架橋結合試薬;(iv)光反応性架橋結合剤であり、例えば、2段階活性化を介して受容体−リガンド相互作用複合体に関与する、タンパク質、核酸および他の分子構造を結合するための、アリールアジドジアジリン、ならびに他の光−反応性(光−活性型)化学的ヘテロ二官能性架橋結合試薬;(v)アミンとスルフィドリルとの架橋結合剤であり、例えば、タンパク質および他の分子の、第一級アミン(リジン)ならびにスルフィドリル(システイン)基の間の結合のためのヘテロ二官能性タンパク質架橋結合試薬;スペーサーアームの異なる長さおよび型が利用可能である;ならびに(vi)アミンとアミンとの架橋結合剤であり、例えば、カルボキシルとアミンとの架橋結合剤であり、例えば、カルボキシル基グルタマート、アスパルタート、C末端)を第一級アミン(リジン、N末端)に結合するための、カルボジイミド架橋結合試薬、DDCおよびEDC(EDAC)、かつまた、アミン結合のための、カルボキシラートの安定した活性化のためのNヒドロキシスクシンイミド(NHS)。

0101

ペプチド性リンカーは、好ましくは、約1〜30アミノ酸から構成され、それによって、「短いリンカー」は、好ましくは、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10アミノ酸から、より好ましくは、約1、2、3、4、5、または6アミノ酸から、それ以上に好ましくは4〜6アミノ酸から、特に好ましくは5アミノ酸から、構成され、これは、好ましくは、配列番号143またはその機能的な配列バリアントにしたがってもよい。対照的に、「長いリンカー」は、好ましくは約10〜30アミノ酸から、より好ましくは約12〜25アミノ酸から、および、それ以上に好ましくは約14〜20アミノ酸から、構成される。特に好ましい長いリンカーは、15〜17アミノ酸、好ましくは16アミノ酸、を有し、より好ましくは、配列番号144またはその機能的な配列バリアントにしたがう。本発明に係る多重特異性抗体において、長いリンカーは、好ましくは、VH配列と対応するVL配列と(「対応する」は、本明細書中では、一緒にエピトープ結合部位を形成しているVHおよびVL配列、を指す)、例えば、同一の単一特異性抗体に由来するVH配列とVL配列と、を連結する。短いリンカーは、好ましくは、VH/VL配列と、例えば異なる単一特異性抗体からの、「対応していない」VH/VL配列と、を連結してもよく、および/または好ましくは、定常ドメインを、例えば(例えばIgGCH1−CH2−CH3における)CH3を、VH/VL配列と連結してもよい。

0102

好ましいリンカーは、配列番号143もしくは配列番号144もしくはそれらの機能的な配列バリアントにしたがうアミノ酸配列を含んでいるか、または当該アミノ酸配列からなる。

0103

代替的に、ペプチド性リンカーのアミノ酸配列は、N末端またはC末端のフランキング領域のアミノ酸配列と同一であってもよい。代替的に、ペプチド性リンカーは、例えば上記天然のフランキング領域の保存されたアミノ酸置換の結果生じるアミノ酸配列のような、非天然のアミノ酸配列から構成され得る。特定の実施形態において、ペプチド性スペーサーは、いずれのCys(C)残基も含んでいない。好ましい実施形態において、リンカー配列は、Gly(G)またはβアラニン残基(A)を、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、それ以上に好ましくは少なくとも50%、および特に好ましくは少なくとも70%、含んでいる。より好ましくは、リンカー配列は、Gly(G)残基を、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも40%、それ以上に好ましくは少なくとも50%、および特に好ましくは少なくとも70%、含んでいる。適切なリンカー配列は、当業者によって容易に、選択され得、かつ調製され得る。リンカー配列は、Dおよび/またはLアミノ酸から構成されてもよい。

0104

(抗体の構成および構築型)
原則的には、本発明に係る多重特異性抗体は、当該抗体が、サイトカイン(例えばGM−CSF)における、少なくとも2つの異なる、重複しない部位に対して特異的に結合する少なくとも2つの異なるドメイン、および、Fc部分、を含んでいる限り、任意の抗体形式であってもよい。

0105

例えば、抗体は、Fc部分を有する多重特異性抗体断片であってもよい。特に、Fc部分を有する二重特異性抗体断片についての例は、タンデムscFv−Fc、scFv−Fc、scFv−Fcノブ−イントゥホール(knobs-into-holes)、scFv−Fc−scFv、およびscDiabody−Fcであり、これらは、例えば、Chan, A.C. and Carter, P.J. (2010) Nat Rev Immu 10: 301−316の図3bに示され、また、上記文献中に説明されている。

0106

本発明に係る抗体は、任意の免疫グロブリンクラス(例えばIgA、IgG、IgMなど)およびサブクラス(例えばIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4など)に基づいていてもよい。好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体は、IgG(「IgG型」とも称される)に基づいている。IgGクラスの範囲内において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4サブクラスに基づいていてもよく、それによって、IgG1(「IgG1型」とも称される)に基づいている抗体が好ましい。好ましくは、本発明の抗体は、κ軽鎖またはλ軽鎖を有していてもよい。

0107

IgGに基づく多重特異性抗体形式は、当業者によく知られている。好ましい、IgGに基づく抗体形式は、例えば、ハイブリッドハイブリドーマ、一般的な軽鎖を有するノブ−イントゥ−ホール、様々なIgG−scFv形式、様々なscFv−IgG形式、ツー−イン−ワンIgG(two-in-one IgG)、二重(または多重、それぞれ、例えば、3回、4回、など)VドメインIgG、IgG−V、およびV−IgGを含み、これらは、二重特異性のIgGに基づく抗体、または結果としてIgG型の多重特異性抗体となるそれらの任意の組み合わせについて、Chan, A.C. and Carter, P.J. (2010) Nat Rev Immu 10: 301−316の図3cに示され、また、上記文献中に説明されている。他の好ましい、IgGに基づく抗体形式は、例えば、DAFクロスMab、IgG−dsscFv、DVD、IgG−dsFV、IgG−scFab、scFab−dsscFvおよびFv2−Fcを含み、これらはWeidle U.H. et al. (2013) Cancer Genomics and Proteomics 10: 1− 18の図1Aに示され、また、上記文献中に説明されている。

0108

好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、IgG型であり、好ましくはIgG1型であり、より好ましくは、IgG1 CH1−CH2−CH3型の重鎖定常領域とIgG GK型の軽鎖定常領域とを含んでおり、それ以上に好ましくは、配列番号140もしくはその機能的な配列バリアントにしたがうアミノ酸配列を含んでいるかまたは当該アミノ酸配列からなるIgG1 CH1−CH2−CH3型、の重鎖定常領域と、配列番号141もしくはその機能的な配列バリアントにしたがうアミノ酸配列を含んでいるかまたは当該アミノ酸配列からなるIgG GK型、の軽鎖定常領域と、を含んでいる。

0109

IgGは2つの天然のエピトープ結合部位を有しているので、さらなるエピトープ結合部位、すなわち「非天然の」エピトープ結合部位は、IgG抗体形式を構築している1つまたは両方の重鎖の、CH3ドメインに対して、好ましくはCH3ドメインのC末端に対して、好ましくは結合される。代替的に、さらなるエピトープ結合部位、すなわち「非天然の」エピトープ結合部位は、IgG抗体形式の天然のエピトープ結合部位の、軽鎖可変領域の1つもしくは両方に対して、好ましくは軽鎖可変領域の1つもしくは両方のN末端に対して、および/またはIgG抗体形式の天然のエピトープ結合部位の、重鎖可変領域の1つのもしくは両方に対して、好ましくは重鎖可変領域の1つもしくは両方のN末端に対して、好ましくは結合される。代替的に、さらなるエピトープ結合部位、すなわち「非天然の」エピトープ結合部位は、IgG抗体形式を構築している1つまたは両方の重鎖の、CH3ドメインに対して、好ましくはCH3ドメインのC末端に対して、および、IgG抗体形式の天然のエピトープ結合部位の、軽鎖可変領域の1つもしくは両方に対して、好ましくは軽鎖可変領域の1つもしくは両方のN末端に対して、好ましくは結合される。代替的に、さらなるエピトープ結合部位、すなわち「非天然の」エピトープ結合部位は、IgG抗体形式を構築している1つまたは両方の重鎖の、CH3ドメインに対して、好ましくはCH3ドメインのC末端に対して、および、IgG抗体形式の天然のエピトープ結合部位の、重鎖可変領域の1つもしくは両方に対して、好ましくは重鎖可変領域の1つもしくは両方のN末端に対して、好ましくは結合される。

0110

IgG抗体形式の任意のそのような付着部位において、好ましくは、天然のエピトープ結合部位の軽鎖および/もしくは重鎖可変領域、ならびに/または重鎖のCH3ドメイン、において、1つ以上の、例えば2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の(複数の)非天然のエピトープ結合部位は付着されてもよく、それによって、1つまたは2つの(複数の)非天然のエピトープ結合部位の付着が好ましく、1つの非天然のエピトープ結合部位の付着がより好ましい。

0111

例えば、本発明に係る抗体がIgG形式の二重特異性抗体である場合、一方の「特異性」が、好ましくは、天然のエピトープ結合部位によって提供され、他方の「特異性」が、好ましくは、非天然のエピトープ結合部位によって提供される。特に、非天然のエピトープ結合部位は、その後、任意の上述した付着部位に対して付着されてもよく、好ましくは、天然のエピトープ結合部位の軽鎖可変領域、天然のエピトープ結合部位の重鎖可変領域、またはIgG抗体形式の重鎖のCH3ドメイン、に対して付着されてもよい。

0112

例えば、本発明に係る抗体がIgG抗体形式の三重特異性抗体である場合、一つの「特異性」(「特異性1」)は、好ましくは、天然のエピトープ結合部位によって提供され、かつ他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)は、好ましくは、非天然のエピトープ結合部位によって提供される。それによって、「特異性2」のための非天然のエピトープ結合部位は、任意の上述した付着部位に対して好ましくは付着されてもよく、好ましくは、天然のエピトープ結合部位の軽鎖可変領域、天然のエピトープ結合部位の重鎖可変領域、またはIgG抗体形式の重鎖のCH3ドメイン、に対して好ましくは付着されてもよい。その一方、「特異性3」のための非天然のエピトープ結合部位は、好ましくは、任意の他の上述した付着部位に対して、すなわち、「特異性2」のための非天然のエピトープ結合部位が付着されていない任意の付着部位に対して、付着されてもよい。代替的に、他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)のための非天然のエピトープ結合部位は、好ましくは、同一の付着部位に対して付着されてもよく、例えば、他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)のための非天然のエピトープ結合部位は、両方ともに、天然のエピトープ結合部位の軽鎖可変領域に対して結合されるか、または他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)のための非天然のエピトープ結合部位は、両方ともに、天然のエピトープ結合部位の重鎖可変領域に対して結合されるか、または他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)のための非天然のエピトープ結合部位は、両方ともに、IgG抗体形式の重鎖のCH3ドメインに対して結合される。この場合、すなわち、他の2つの「特異性」(「特異性2」および「特異性3」)のための非天然のエピトープ結合部位が、両方とも、同一の付着部位に対して結合される場合、「特異性2」のための非天然のエピトープ結合部位、および、「特異性3」のための非天然のエピトープ結合部位は、好ましくは、連続して配置され、すなわち、一方の非天然のエピトープ結合部位のみが、直接的に(または本明細書中に記載されたようなリンカーを介して)、付着部位に対して付着されるが、他方の非天然のエピトープ結合部位は、好ましくは、一番目の非天然のエピトープ結合部位に対して連結される。

0113

特に、本発明に係る抗体は、好ましくは、エピトープ結合部位のそれぞれを、2コピー含んでおり、それによって、当該2コピーは、IgGに基づく抗体の第一のおよび第二の重鎖の対応する位置において付着されることが好ましい。例えば(i)一方のコピーがIgG抗体形式の第一の重鎖の、天然のエピトープ結合部位の重鎖可変領域に対して結合され、かつ他方のコピーがIgG抗体形式の第二の重鎖の、天然のエピトープ結合部位の重鎖可変領域に対して結合されるか;または(ii)一方のコピーがIgG抗体形式の第一の軽鎖の、天然のエピトープ結合部位の軽鎖可変領域に対して結合され、かつ他方のコピーがIgG抗体形式の第二の軽鎖の、天然のエピトープ結合部位の軽鎖可変領域に対して結合されるか;または(iii)一方のコピーがIgG抗体形式の第一の重鎖のCH3ドメインに対して結合され、かつ他方のコピーがIgG抗体形式の第一の軽鎖のCH3ドメインに対して結合されること、が好ましい。

0114

本発明に係る多重特異性抗体についての好ましい抗体形式、およびそれらの構築は、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号中に説明されており、これらは、特に、抗体の定常ドメインのFc領域を含んでいる、多重特異性のエピトープ結合タンパク質に関連する。従って、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号に開示されている抗体形式は、好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体に使用される。

0115

本発明に係る抗体の例示的な構築型は、構築型「Bs1」、「Bs2」、「Bs3」、「Ts1」、「Ts2」および「Ts3」を含み、これらは図4に示される。従って、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、好ましくは、Bs1、Bs2、Bs3、Ts1、Ts2およびTs3を含んでいる群から選択される構築型に基づいている。より好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、構築型Ts3に基づいており、好ましい抗体またはその抗原結合断片は、構築型Ts3に基づく三重特異性抗体である。

0116

構築型「Bs1」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、二重特異性の、4価の抗体形式である。Bs1の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(b)第一の可変領域(a)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第二の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第三の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および
(d)IgG CH1−CH2−CH3。

0117

好ましくは、構成要素(a)および(b)は長いリンカーによって連結され、構成要素(b)および(c)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(c)および(d)は直接的に連結される。Bs1の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(e)第三の可変領域(c)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、第四の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(f)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0118

好ましくは、構成要素(e)および(f)は直接的に連結される。Bs1はIgGに基づいているので、Bs1は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Bs1における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(b))が配置される位置は、「位置A」と称され、かつ抗体における位置であり、Bs1における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(d))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第二の)単一特異性抗体からの重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第二の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。構築型「Bs1」の好ましい実施形態、および構築型「Bs1」の構築は、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号、図4Eおよび図4Fならびに対応する記述において、説明されている。

0119

構築型「Bs2」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、二重特異性の、4価の抗体形式である。Bs2の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および
(b)IgG CH1−CH2−CH3。

0120

好ましくは、構成要素(a)および(b)は直接的に連結される。Bs2の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第二の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(d)第二の可変領域(c)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第三の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(e)第一の可変領域(a)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、第四の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(f)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0121

好ましくは、構成要素(c)および(d)は長いリンカーによって連結され、構成要素(d)および(e)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(e)および(f)は直接的に連結される。Bs2はIgGに基づいているので、Bs2は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Bs2における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(d))が配置される位置は、「位置A」と称され、かつ抗体における位置であり、Bs2における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(e))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第一の)単一特異性抗体の重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第一の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。構築型「Bs1」の好ましい実施形態、および構築型「Bs2」の構築は、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号、図4Cおよび図4Dならびに対応する記述において、説明されている。

0122

構築型「Bs3」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、二重特異性の、4価の抗体形式である。Bs3の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(b)IgG CH1−CH2−CH3;
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第二の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および(d)第二の可変領域(c)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第三の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域。

0123

好ましくは、構成要素(a)および(b)は直接的に連結され、構成要素(b)および(c)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(c)および(d)は長いリンカーによって連結される。Bs3の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(e)第一の可変領域(a)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、第四の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(f)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0124

好ましくは、構成要素(e)および(f)は直接的に結合される。Bs3はIgGに基づいているので、Bs3は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Bs3における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(d))が配置される位置は、「位置C」と称され、かつ抗体における位置であり、Bs3における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(e))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第一の)単一特異性抗体の重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第一の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。構築型「Bs3」(しかし、本発明に基づかない、他の「特異性」、すなわちエピトープ結合部位、を有する構築型「Bs3」)の原理、および当該構築型「Bs3」の構築は、また、Dimasi, N., Gao, C., Fleming, R., Woods, R.M., Yao, X.-T., Shirinian, L., Kiener, P.A., and Wu, H. (2009). The design and characterization of oligospecific antibodies for simultaneous targeting of multiple disease mediators. J Mol Biol 393, 672−692:図1(d)(「Bs3Ab」)、および対応する記述において説明されている。

0125

構築型「Ts1」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、三重特異性の、6価の抗体形式である。Ts1の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(b)IgG CH1−CH2−CH3;
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第二の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(d)第二の可変領域(c)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第三の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(e)例えば第三の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第四の可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および(f)第四の可変領域(e)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、対応する第五の可変領域、例えば、第三の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域。

0126

好ましくは、構成要素(a)および(b)は直接的に連結され、構成要素(b)および(c)ならびに構成要素(d)および(e)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(c)および(d)ならびに構成要素(e)および(f)は長いリンカーによって連結される。Ts1の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(g)第一の可変領域(a)と共に第三のエピトープ結合部位を形成している、第六の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(h)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0127

好ましくは、構成要素(g)および(h)は直接的に連結される。Ts1はIgGに基づいているので、Ts1は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Ts1における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(d))が配置される位置、ならびに、抗体における位置であり、Ts1における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(e)および(f))が配置される位置、は「位置C」と称され、かつ抗体における位置であり、Ts1における第三のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(g))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第一の)単一特異性抗体の重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第一の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。構築型「Ts1」の好ましい実施形態、および構築型「Ts1」の構築は、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号、図3Aおよび図3Bならびに対応する記述において、説明されている。

0128

構築型「Ts2」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、三重特異性の、6価の抗体形式である。Ts2の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(b)第一の可変領域(a)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第二の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第三の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および
(d)IgG CH1−CH2−CH3。

0129

好ましくは、構成要素(a)および(b)は長いリンカーによって連結され、構成要素(b)および(c)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(c)および(d)は直接的に連結される。Ts2の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(e)例えば第三の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第四の可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(f)第四の可変領域(e)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、対応する第五の可変領域、例えば、第三の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(g)第三の可変領域(c)と共に第三のエピトープ結合部位を形成している、第六の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(h)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0130

好ましくは、構成要素(e)および(f)は長いリンカーによって連結され、構成要素(f)および(g)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(g)および(h)は直接的に連結される。Ts2はIgGに基づいているので、Ts2は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Ts2における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(b))が配置される位置、ならびに、抗体における位置であり、Ts2における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(e)および(f))が配置される位置、は「位置A」と称され、かつ抗体における位置であり、Ts2における第三のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(g))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第二の)単一特異性抗体の重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第二の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。構築型「Ts2」の好ましい実施形態、および構築型「Ts1」の構築は、米国公開特許公報第US2009/0155275A1号、図4Gおよび図4Hならびに対応する記述において、説明されている。

0131

構築型「Ts3」は、IgGに基づく、好ましくはIgG1に基づく、三重特異性の、6価の抗体形式である。Ts3の重鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(a)例えば第一の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第一の可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(b)第一の可変領域(a)と共に第一のエピトープ結合部位を形成している、対応する第二の可変領域、例えば、第一の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第一の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;
(c)例えば第二の単一特異性抗体の重鎖に由来する、第三の可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;
(d)IgG CH1−CH2−CH3;
(e)例えば第三の単一特異性抗体の重鎖または軽鎖に由来する、第四の可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VH配列、すなわち、重鎖可変領域;および(f)第四の可変領域(e)と共に第二のエピトープ結合部位を形成している、対応する第五の可変領域、例えば、第三の単一特異性抗体に由来する、対応する重鎖または軽鎖可変領域;好ましくは、第三の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域。

0132

好ましくは、構成要素(a)および(b)ならびに構成要素(e)および(f)は長いリンカーによって連結され、構成要素(b)および(c)ならびに構成要素(d)および(e)は短いリンカーによって連結され、ならびに、構成要素(c)および(d)は直接的に連結される。Ts3の軽鎖は、(N末端からC末端までこの順で)以下を含んでいる:
(e)第三の可変領域(c)と共に第三のエピトープ結合部位を形成している、第六の可変領域、例えば、第二の単一特異性抗体に由来する、対応する軽鎖可変領域;好ましくは、第二の単一特異性抗体に由来する、VL配列、すなわち、軽鎖可変領域;および
(f)IgGCKまたはIG CL;好ましくはIgCK。

0133

好ましくは、構成要素(e)および(f)は直接的に連結される。Ts3はIgGに基づいているので、Ts3は2つの同一の重鎖、および2つの同一の軽鎖を含んでいる。本明細書に使用されるとき、抗体における位置であり、Ts3における第一のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(a)および(b))が配置される位置は、「位置A」と称され、抗体における位置であり、Ts3における第二のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(e)および(f))が配置される位置は、「位置C」と称され、かつ抗体における位置であり、Ts3における第三のエピトープ結合部位を形成しているCDR/可変領域(構成要素(c)および(d))が配置される位置は、「位置B」と称される(図4を参照せよ)。構築において、(第二の)単一特異性抗体の重鎖および軽鎖可変領域が、多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖にそれぞれ用いられている、当該(第二の)単一特異性抗体は、「足場」としての機能を果たしてもよい。

0134

構築型Bs1、Bs2、Bs3、Ts1、およびTs2の構築についてのさらなる情報のために、文献、米国公開特許公報第2009/0155275A1号およびDimasi, N., Gao, C., Fleming, R., Woods, R.M., Yao, X.-T., Shirinian, L., Kiener, P.A., and Wu, H. (2009): The design and characterization of oligospecific antibodies forsimultaneous targeting of multiple disease mediators; J Mol Biol 393, 672−692が、用いられてもよい。これらの文献において概略が説明された構築の原理は、新規の構築型Ts3に適合されてもよく、その後適用されてもよい。

0135

(中和)
好ましくは、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、サイトカイン(特に、GM−CSF)の標的効果を、以下の条件の下に中和する。
(i)150ng/ml以下、好ましくは120ng/ml以下、より好ましくは100ng/ml以下、より一層好ましくは50ng/ml以下、特に好ましくは10ng/ml以下のIC90をともなった、厳密な条件;
(ii)20ng/ml以下、好ましくは15ng/ml以下、より好ましくは10ng/ml以下、より一層好ましくは5ng/ml以下、特に好ましくは1ng/ml以下のIC90をともなった、より程度の低い厳密な条件;
(iii)160ng/ml以下、好ましくは130ng/ml以下、より好ましくは100ng/ml以下、より一層好ましくは50ng/ml以下、特に好ましくは10ng/ml以下のIC90をともなった、より厳密な条件;および/または、
(iv)1000ng/ml以下、好ましくは500ng/ml以下、より好ましくは250ng/ml以下、より一層好ましくは100ng/ml以下、特に好ましくは50ng/ml以下のIC90をともなった、非常に厳密な条件。

0136

ここで、「xng/ml以下のIC90」とは、本発明に係る抗体またはその抗原結合断片の濃度(xng/ml以下)を表している。上記濃度は、サイトカイン(例えばGM−CSF)の標的効果の、90%中和(IC90)のために必要とされる濃度である。

0137

一般に、抗体の機能性は、サイトカイン(例えばGM−CSF)の重要な効果(「標的効果」)を中和する能力によって評価される。中和アッセイでは、例えばサイトカイン(例えばGM−CSF)の標的効果またはウイルスの感染性を、中和するために必要とされる抗体の濃度を、決定することができる。種々の中和アッセイが、当業者に知られている。そして通常、当業者は、サイトカイン(例えばGM−CSF)およびその標的効果に応じた、中和アッセイを選択する。中和アッセイに有用なサイトカイン(例えばGM−CSF)の標的効果には、例えば、サイトカイン誘導性の増殖が含まれる。上記サイトカイン誘導性の増殖は、例えば、指標細胞株、サイトカイン誘導性のサイトカイン産生、TNF−α誘導性のL929細胞株の致死、およびL929細胞株およびA549細胞株のウイルス感染に対するIFN−γ−防御の、サイトカイン誘導性の増殖である。

0138

下記に、中和アッセイの原理を説明するために、中和アッセイの非限定的な例を示す。(1)異なる濃度の試験すべき抗体(例えば希釈系列)を、例えば、マイクロタイタープレート(または他の任意の適切な容器)中に用意する;
(2)標的量のサイトカイン(すなわち、所定量のサイトカイン(例えばGM−CSF))を上記抗体に加え、適切な条件(例えば、室温または37℃にて1時間)の下で共にインキュベートする;
(3)共にインキュベートされた抗体−サイトカイン(例えば、共にインキュベートされた抗体−GM−CSF)を、適切な培養標的細胞に(例えば、標的細胞(例えば、単層の標的細胞)を含んでいるウェル中に)移す。そして、例えば室温または37℃にて、所定期間(例えば、1、2、3、4、5、6または7日間)インキュベートする;
(4)その後、標的効果を定量分析し、IC90を決定することができる。

0139

測定される効果は、通常、量依存性である。つまり、抗体の抗体価が高いほど、標的効果の中和の度合いが高い。抗体の中和特性に応じて、IC90の値は変化する。例えば、中和特性が大きい抗体は、例えば上記アッセイにおいて標的効果を同程度に中和するために、より少量(の抗体)しか加える必要がない。

0140

本明細書において用いられるとき「より程度の低い厳密な条件」とは、約50pg/mlのサイトカイン(例えばGM−CSF)の最終濃度、および約1000細胞/ウェルを表す。「厳密な条件」とは、約50pg/mlのサイトカイン(例えばGM−CSF)の最終濃度、および約10000細胞/ウェルを表す。「より厳密な条件」とは、約500pg/mlのサイトカイン(例えばGM−CSF)の最終濃度、および約1000細胞/ウェルを表す。「非常に厳密な条件」とは、約500pg/mlのサイトカイン(例えばGM−CSF)の最終濃度、および約10000細胞/ウェルを表す。

0141

サイトカイン誘導性の増殖またはサイトカイン誘導性のサイトカイン産生の、中和アッセイのために適切な指標細胞株の例としては、TF−1、MC/9、L929、D10、CTLL−2、B9、脾細胞、NIH/3T3、COLO205、A549、hPBMC、NHDFおよびNag7/8が挙げられる。TF−1細胞は、サイトカインGM−CSF、IL−13、IL−4およびIL−5の中和に、好ましく用いられる。MC/9細胞は、サイトカインGM−CSF、IL−5およびIL−10の中和に、好ましく用いられる。L929細胞は、サイトカインIFN−ガンマおよびTNF−アルファの中和に、好ましく用いられる。D10細胞は、サイトカインIL−1アルファおよびIL−1ベータの中和に、好ましく用いられる。CTLL−2細胞は、サイトカインIL−2、IL−4およびIL−5の中和に、好ましく用いられる。B9細胞は、サイトカインIL−6およびIL−21の中和に、好ましく用いられる。脾細胞は、サイトカインIL−12/IL−23p40およびIL−23の中和に、好ましく用いられる。NIH/3T3細胞は、サイトカインIL−17Aの中和に、好ましく用いられる。COLO205細胞は、サイトカインIL−22の中和に、好ましく用いられる。A549細胞は、サイトカインIFN−ガンマおよびINFベータの中和に、好ましく用いられる。hPBMCは、サイトカインIL−12/IL23p40の中和に、好ましく用いられる。NHDF細胞は、サイトカインIL−17Aの中和に、好ましく用いられる。Nag7/8細胞は、サイトカインTSLPの中和に、好ましく用いられる。

0142

抗体がサイトカインGM−CSFを中和する能力(特に、GM−CSF誘導性の増殖を中和する能力)を評価する場合に、好適にも散られる細胞は、TF−1細胞である。好ましいGM−CSF中和アッセイは、以下の工程を含む。
(1)異なる濃度の試験すべき抗体(例えば希釈系列)を、例えば、マイクロタイタープレート(または他の任意の適切な容器)中に用意する;
(2)標的量のGM−CSF(例えば100pg/ml)を上記抗体に加え、適切な条件(具体的には、37℃にて1時間)の下で共にインキュベートする;
(3)共にインキュベートされた抗体−GM−CSFを、TF−1細胞に(具体的には、ウェルあたり1000個または10000個のTF−1細胞を含んでいる、ウェルに)移す。そして、例えば37℃にて、3〜4日間(例えば、72時間)インキュベートする;(4)その後、増殖の中和を定量分析し、IC90を決定することができる。例えば、GM−CSFの中和は、TF−1の成長が阻害される割合として、下記式により算出されうる。
[1−{(1つのウェルのCCPM)−(コントロール細胞成長(GM−CSFなし)の平均CCPM)}/{(コントロール細胞成長(GM−CSFあり)の平均CCPM)−(コントロール細胞成長(GM−CSFなし)の平均CCPM)}]×100
(CCPM=補正後のカウント/分)全てのサンプルについて、IC90(μg/ml)は、非線形回帰分析によって算出されうる(例えば、GraphPad Prism 5ソフトウェアを用いて)。

0143

上記のアッセイにおいて、より程度の低い厳密な条件とは、約50pg/mlのGM−CSFの最終濃度、および約1000細胞/ウェルのTF−1を表す。厳密な条件とは、約50pg/mlのGM−CSFの最終濃度、および約10000細胞/ウェルのTF−1を表す。より厳密な条件とは、約500pg/mlのGM−CSFの最終濃度、および約1000細胞/ウェルのTF−1を表す。非常に厳密な条件とは、約500pg/mlのGM−CSFの最終濃度、および約10000細胞/ウェルのTF−1を表す。

0144

(可変領域およびCDR)
本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、1つ以上の相補性決定領域(CDR)を含んでいることが好ましい。一般に、相補性決定領域(CDR)は、抗体の重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインに存在する、超可変領域である。本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、重鎖上に少なくとも3つのCDRを含んでおり、かつ、軽鎖上に少なくとも3つのCDRを含んでいることが好ましい。本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、重鎖上に少なくとも6つのCDRを含んでおり、かつ、軽鎖上に少なくとも3つのCDRを含んでいることが、より好ましい。本発明に係る抗体またはその抗原結合断片は、(1)重鎖上に少なくとも9つのCDRを含んでおり、かつ、軽鎖上に少なくとも3つのCDRを含んでいること、または、(2)重鎖上に少なくとも6つのCDRを含んでおり、かつ、軽鎖上に少なくとも6つのCDRを含んでいることが、より一層好ましい。

0145

通常、抗原のエピトープに対して(例えば、サイトカイン分子(特にGM−CSF)の特定部位に対して)特異的に結合する抗体のドメインは、「抗原受容体」または「エピトープ結合部位」とも呼ばれる。抗体のドメイン(すなわち、抗原受容体/エピトープ結合部位)は、通常、特に自然型の単特異性IgG抗体においては、重鎖の3つのCDRと、連結している軽鎖の3つのCDRと、によって形成されている。換言すると、特に自然型の単特異性IgG抗体においては、抗原受容体/エピトープ結合部位は通常2つの可変ドメインから構成されているため、それぞれの抗体受容体に6つのCDRが存在する(重鎖:CDRH1、CDRH2およびCDRH3;軽鎖:CDRL1、CDRL2およびCDRL3)。1つの抗体、特に1つの自然型の単特異性IgG抗体は、通常、2つの(同一の)抗原受容体を有しており、それゆえ、12個のCDRを含んでいる(すなわち2×6個のCDR)。

0146

しかし、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、少なくとも2つの異なるドメインを含んでいる。上記少なくとも2つの異なるドメインは、サイトカイン(特にGM−CSF)の、少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して、特異的に結合する。本発明に係る多重特異性抗体の1分子またはその抗原結合断片は、それぞれの異なるドメインについて、2つの同一のドメインを含んでいることが好ましい。上記異なるドメインはそれぞれ、サイトカインの少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して、特異的に結合する。本発明に係る多重特異性抗体の1分子またはその抗原結合断片は、2本の重鎖および2本の軽鎖を含んでいることも、また好ましい。本発明に係る多重特異性抗体の1分子またはその抗原結合断片は、2本の重鎖および2本の軽鎖を含んでおり、(1)上記2本の重鎖は、少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、より一層好ましくは95%、特に好ましくは100%の配列同一性を有していること、および/または、(2)上記2本の軽鎖は、少なくとも80%、好ましくは85%、より好ましくは90%、より一層好ましくは95%、特に好ましくは100%の配列同一性を有していることが、より好ましい。したがって、本発明に係る多重特異性抗体の1分子またはその抗原結合断片が、(1)それぞれの異なるドメインについて、2つの同一のドメインを含んでおり、(2)上記異なるドメインは、サイトカイン(例えばGM−CSF)の、少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する場合は、同一ドメインの一方は、上記多重特異性抗体の第1の重鎖および第1の軽鎖から構成されていることが好ましく、他方は上記多重特異性抗体の第2の重鎖および第2の軽鎖から構成されていることが好ましい。

0147

本発明に係る多重特異性抗体の重鎖および/または軽鎖、またはその抗原結合断片は、その「多重特異性(すなわち、異なるエピトープ結合部位)」のために、3つを超えるCDR(特に、3つを超える異なるCDR)を、(それぞれ)含んでいてよい。例えば、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片は、サイトカイン(特にGM−CSF)の少なくとも2つの異なる重複しない部位に対して特異的に結合する、少なくとも2つの異なるドメインを含んでいてよい。ここで、上記少なくとも2つの異なるドメインのそれぞれは、異なる単特異性抗体(例えば、IgG型の)に由来している。このような単特異性抗体は、通常、3つのCDRを重鎖に含み、かつ、3つのCDRを軽鎖に含むことによって、抗原受容体/エピトープ結合部位を形成している。そのため、本発明に係る多重特異性抗体は、(1)第1の抗体の重鎖の3つのCDRおよび第1の抗体の軽鎖の3つのCDR、(2)第2の抗体の重鎖の3つのCDRおよび第2の抗体の軽鎖の3つのCDR、(3)任意で、第3の抗体の重鎖の3つのCDRおよび第3の抗体の軽鎖の3つのCDR、などを、特に含んでいてよい。したがって、本発明に係る多重特異性抗体の重鎖および/または軽鎖に含まれているCDRの数は、3の倍数(例えば、3、6、9、12など)であることが好ましい。それゆえ、本発明に係る多重特異性抗体の、重鎖および軽鎖の両方に含まれているCDRの合計が、6の倍数(例えば、6、12、18など)であることもまた好ましい。

0148

特に、本発明に係る多重特異性抗体またはその抗原結合断片において、重鎖はまた、単特異性抗体の軽鎖に由来するCDRまたは可変領域を含んでいてもよい。例えば、本発明に係る多重特異性抗体において、重鎖は、(1)第1の単特異性抗体に由来する重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)、ならびに(2)第2の単特異性抗体(上記第1の単特異性抗体とは異なる)に由来する重鎖可変領域(VH)、を含んでいてよい。一方で、上記第2の単特異性抗体に由来する軽鎖可変領域(VL)は、本発明に係る多重特異性抗体の軽鎖に含まれている。このような多重特異性抗体において、上記第2の単特異性抗体は、特に「足場」として用いられてよい。したがって、本発明に係る多重特異性抗体において、重鎖は、(1)第1の単特異性抗体に由来する、1つ以上(好ましくは3つ全て)の重鎖CDRおよび1つ以上(好ましくは3つ全て)の軽鎖CDR、ならびに(2)第2の単特異性抗体(上記第1の単特異性抗体とは異なる)に由来する、1つ以上(好ましくは3つ全て)の重鎖CDR、を含んでいてよい。一方で、上記第2の単特異性抗体に由来する、1つ以上(好ましくは3つ全て)の軽鎖CDRは、本発明に係る多重特異性抗体の、軽鎖に含まれている。このような多重特異性抗体において、上記第2の単特異性抗体は、特に「足場」として用いられてよい。

0149

通常、特に自然型の単特異性IgG抗体において、3つのCDR(CDR1、CDR2およびCDR3)は、可変ドメイン中で非連続的に配置されている。換言すれば、重鎖および/または軽鎖中のCDRは、例えばフレームワーク領域によって隔てられていてよい。ここで、フレームワーク領域(FR)は、CDRよりも「可変的」でない、可変ドメイン中の領域である。例えば本発明に係る抗体において、可変領域(または、それぞれの可変領域)は、好ましくは、3つのCDRによって隔てられている、4つのフレームワーク領域を含んでいてよい。

0150

上述したように、本発明に係る多重特異性抗体において、1本の鎖(好ましくは重鎖)は、3つを超えるCDR(CDR1、CDR2およびCDR3)、および/または、上述の1つを超える可変領域を含んでいてよい。通常、「抗原受容体」は、CDR(すなわち、CDRH1、CDRH2およびCDRH3、ならびにCDRL1、CDRL2およびCDRL3)によって特徴づけられる。そのため、本発明に係る多重特性抗体において、CDRは、「抗原受容体」を保存するために(すなわち、抗原(例えばサイトカイン、特にGM−CSF)の特定の部位に特異的に結合する能力を保存するために)、順番(例えば、同じ単特異性抗体に由来する、CDRH1、CDRH2およびCDRH3、および/または、CDRL1、CDRL2およびCDRL3)が維持されるように配置されていることが好ましい。つまり、例えば、第1の単特異性抗体に由来するCDRH1、CDRH2およびCDRH3の順番は、アミノ酸鎖の中で、第2の単特異性抗体に由来するいかなるCDRにも遮られないことが好ましい。さらに、本発明に係る多重特異性抗体の1本の鎖(好ましくは重鎖)が、第1の単特異性抗体の重鎖および軽鎖に由来するCDRを含んでいる場合、重鎖CDRは、同じ単特性抗体に由来する軽鎖CDRの隣に配置されることが好ましい。例えば、上述の配列は、−CDRH1(a)−CDRH2(a)−CDRH3(a)−CDRL1(a)−CDRL2(a)−CDRL3(a)−CDRH1(b)−CDRH2(b)−CDRH3(b)−でありうる。上記配列中、(a)および(b)は、それぞれのCDRが由来している、異なる単特異性抗体を表す。また、CDRは、通常、非連続的に配置される。すなわち、CDRは、CDRではない任意のアミノ酸配列(例えば、フレームワーク領域および/またはリンカー)によって隔てられていてよい。重要なことには、本発明に係る多重特性抗体が、少なくとも2つの異なる単特異性抗体に由来するエピトープ結合部位(抗原受容体)を含んでいる場合、当該単特異性抗体のCDRまたは可変領域は、本発明に係る多重特異性抗体中で、以下のように配置されている。すなわち、上記CDR(または可変領域)が由来している、それぞれの単特異性抗体の「抗原受容体」が保存されるように(すなわち、抗原(例えばサイトカイン、特にGM−CSF)の特定の部位に特異的に結合する能力が保存されるように)、配置されている。

0151

本明細書において、CDRアミノ酸の位置は、IMGTナンバリングシステムに従って定義される(IMGT: http://www.imgt.org/; cf. Lefranc, M.-P. et al. (2009) NucleicAcidsRes. 37, D1006-D1012)。本発明の抗体の(すなわち、本発明に係るいくつかの抗体の)、(1)CDR、重鎖、軽鎖の配列の例、および(2)上記CDR、重鎖、軽鎖をコードしている核酸分子の配列の例、は、配列表に開示されている。単特異性抗体の重鎖CDRに由来する、本発明に係る多重特異性抗体のCDRはまた、CDRH1、CDRH2およびCDRH3とも、それぞれ表記される。同様に、単特異性抗体の軽鎖CDRに由来する、本発明に係る多重特異性抗体のCDRはまた、CDRL1、CDRL2およびCDRL3とも、それぞれ表記される。したがって、例えば、CDRL1、CDRL2およびCDRL3はまた、本発明に係る多重特異性抗体の重鎖上に存在していてもよい。それゆえ、単特性抗体の重鎖可変領域に由来する、本発明に係る多重特異性抗体の可変領域はまた、VHとも表記される。また、単特性抗体の軽鎖可変領域に由来する、本発明に係る多重特異性抗体の可変領域はまた、VLとも表記される。したがって、例えば、VLはまた、本発明に係る多重特異性抗体の重鎖上に存在していてもよい。

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