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図面 (20)

課題

対象においてインフルエンザウイルスに対する免疫応答誘導するための組成物を提供する。

解決手段

インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチド。ヘマグルチニンステムドメインポリペプチドを提供する方法。それを含む組成物、それを含むワクチン、ならびに特にインフルエンザの検出、予防および/または治療におけるそれらの使用方法

概要

背景

インフルエンザウイルスは、主要なヒト病原体であり、無症状感染から死亡をもたらし
得る原発性ウイルス肺炎まで重症度に幅がある呼吸器疾患(一般に「インフルエンザ(i
nfluenza)」または「インフルエンザ(the flu)」と称される)を引き
起こす。感染の臨床効果は、インフルエンザ株病原性ならびに宿主曝露既往歴、年
齢、および免疫状態により変動する。毎年、世界中で約10億人の人々がインフルエンザ
ウイルスによる感染を受け、3〜5百万症例の重病および推定300,000から500
,000のインフルエンザ関連死をもたらすことが推定されている。これらの感染の大部
分は、H1またはH3ヘマグルチニン亜型担持するインフルエンザAウイルスに起因し
得、インフルエンザBウイルスからの寄与は小さく、したがって、3つ全ての代表物は季
節性ワクチンに含まれる。現在の予防接種実施は、有効な季節性インフルエンザワクチン
の適時産生を可能とするための循環インフルエンザウイルスの早期同定に依存する。次の
季節の間に優性となる株の予測固有の困難性とは別に、抗ウイルス耐性および免疫回避
も、現在のワクチンが罹患および死亡を予防することができない一因である。これに加え
病原体保有動物から生じ、ヒトからヒトへの拡散を増加させるようにリアソートされた
高度に病原性のウイルス株により引き起こされる流行病の可能性は、グローバルヘルス
とって顕著で現実的な脅威となる。

インフルエンザAウイルスは、天然に広く分布しており、種々の鳥類および哺乳動物
感染し得る。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxo
viridae)の科に属するエンベロープRNAウイルスである。これらのゲノムは、
11の異なるタンパク質、1つの核タンパク質(NP)、3つのポリメラーゼタンパク質
(PA、PB1、およびPB2)、2つのマトリックスタンパク質(M1およびM2)、
3つの非構造タンパク質(NS1、NS2、およびPB1−F2)、および2つの外部糖
タンパク質:ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)をコードする8つ
一本鎖RNAセグメントからなる。ウイルスは、HAおよびNAタンパク質の抗原構造
の差に基づき分類され、それらの異なる組合せは、規定のインフルエンザウイルス株にさ
らに分類されるユニークなウイルス亜型を表す。全ての公知の亜型は鳥類において見出す
ことができるが、現在循環するヒトインフルエンザA亜型は、H1N1およびH3N2で
ある。系統発生分析は、ヘマグルチニンの2つの主群への下位分類を実証した:とりわけ
系統発生グループ1におけるH1、H2、H5およびH9亜型およびとりわけ系統発生グ
ループ2におけるH3、H4およびH7亜型。

インフルエンザB型ウイルス株は、厳密にはヒトである。インフルエンザB型ウイルス
株内のHAにおける抗原変異は、A型株内で観察されるものよりも小さい。2つの遺伝的
および抗原的に区別されるインフルエンザBウイルスの系統は、B/Yamagata/
16/88(B/Yamagataとも称される)およびB/Victoria/2/8
7(B/Victoria)系統により表わされるとおり、ヒトにおいて循環している(
Ferguson et al.,2003)。インフルエンザBウイルスにより引き起
こされる疾患のスペクトルは、インフルエンザAウイルスにより引き起こされるものより
も一般に軽度であるが、インフルエンザB感染について入院を要する重病が依然として頻
繁に観察される。

インフルエンザを中和する抗体が主としてヘマグルチニン(HA)に対して指向される
ことは公知である。ヘマグルチニンまたはHAは、ウイルスコートにアンカリングされ、
二重の機能を有する三量体糖タンパク質であり:それは細胞表面受容体シアル酸への結合
を担い、取り込み後、それはウイルスおよびエンドソーム膜の融合を媒介し、細胞の細胞
ゾル中でのウイルスRNAの放出をもたらす。HAは、大型の頭部ドメインおよびより
小型のステムドメインを含む。ウイルス膜への付着は、ステムドメインに連結されたC末
端アンカリング配列により媒介される。タンパク質は、特定のループで翻訳開裂されて
2つのポリペプチドHA1およびHA2を生じさせる(全配列は、HA0と称される)。
遠位頭部領域は、主としてHA1に由来し、膜近位ステム領域は、主としてHA2に由
来する(図1)。

季節性インフルエンザワクチンを毎年アップデートしなければならない理由は、ウイル
スの大きい変異性である。ヘマグルチニン分子において、この変異は、抗原ドリフトおよ
シフトが多数の異なるバリアントをもたらした頭部ドメイン中で特に顕在化される。こ
れは、免疫優性区域でもあるため、ほとんどの中和抗体はこのドメインに対して指向さ
れ、受容体結合を妨げることにより作用する。頭部ドメインの免疫優性および大きい変異
の組合せは、なぜ特定の株による感染が他の株に対する免疫をもたらさないかも説明し:
第1の感染により誘発される抗体は、一次感染のウイルスと密接に関連する限定数の株を
認識するにすぎない。

近年、全てまたは実質的に全てのインフルエンザヘマグルチニン球状頭部ドメインを欠
くインフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドが記載されており、ステム
ドメインポリペプチドの1つ以上の保存エピトープに対する免疫応答を生成するために使
用されている。ステムドメインポリペプチドのエピトープは、球状頭部ドメインの高度に
免疫原性の領域よりも免疫原性でなく、したがってステムドメインポリペプチド中の球状
頭部ドメインの不存在がステムドメインポリペプチドの1つ以上のエピトープに対する免
応答発現許容し得ると考えられている(Steel et al.,2010)。
したがって、Steel et al.は、A/Puerto Rico/8/1934
(H1N1)およびA/HongKong/1968(H3N2)株のHA1のアミノ酸
残基53から276をHA一次配列から欠失させ、これを短いフレキシブル結合配列GG
GGにより置き換えることにより新規分子を作出した。H3HK68構築物によるマウス
ワクチン接種は、グループ1のHAと交差反応性抗血清を誘発しなかった。さらに、
PCT/EP2012/073706において示されるとおり、ステムドメインポリペプ
チドは高度に不安定であり、ステム領域中の保存エピトープに結合することが示された抗
体の結合の欠落により証明されるとおり、正確な立体構造を採用しなかった。

さらに、Bommakanti et al.(2010)は、HA2のアミノ酸残基
1〜172、7アミノ酸リンカー(GSAGSAG)、HA1のアミノ酸残基7〜46、
6アミノ酸リンカーGSAGSAに続くHA1の残基290〜321を、HA1中の突然
変異V297T、I300E、Y302TおよびC305Tとともに含むHA2ベース
ペプチドを記載した。設計は、H3HA(A/HongKong/1968)の配列を
ベースとした。このポリペプチドは、H3亜型内の別のインフルエンザウイルス株に対す
交差保護を提供したにすぎなかった(A/Phil/2/82に対して提供したが、H
1亜型(A/PR/8/34に対しては提供しなかった)。Bommakanti et
al(2012)によるより近年の論文において、H1N1A/Puerto Ric
o/8/1934からのHAをベースとするステムドメイン配列(H1HA0HA6)が
記載されている。このポリペプチドにおいて、残基55から302の相当物が欠失してお
り、突然変異I311T、V314T、I316N、C319S、F406D、F409
T、およびL416Dが作製されている。H3およびHAベースポリペプチドの両方が、
大腸菌(E.coli)中で発現され、したがって、天然HAタンパク質の一部であるグ
リカンを欠く。大腸菌(E.coli)中で発現される場合、ポリペプチドは、主として
高分子量凝集物および微量単量体分画として回収される。ポリペプチドは、9および0.
2μMの2つの見かけ解離定数でCR6261に結合する。著者らは、マウスが、10
0μgのCpG7909がアジュバント添加された20μgのタンパク質による免疫化
2回、4週間の間隔)後、1LD90の同種H1N1A/Puerto Rico/8/
1934ウイルスによるチャレンジ生存し得ることを示す。著者らは、A/Hong
Kong/1/1968由来ポリペプチドについて上記のものと同等の環状に並べ替え
れたポリペプチドも記載する。これらのポリペプチドは、H1N1A/Puerto R
ico/8/1934、H1N1A/North Carolina/20/99または
H1N1A/California/07/2009からのHAに由来し、H1N1A/
Puerto Rico/8/1934(すなわち、同一亜型内)のマウスにおける軽度
チャレンジ(1LD90)モデルの部分的保護を提供し得る。これらのポリペプチドによ
り免疫化されたモルモットからの血清は、中和アッセイにおいて試験された場合に検出可
能レベルの中和を示さなかった。

より近年、Lu et al(2013)も、H1N1A/California/0
5/2009のHAに由来する可溶性ステムドメインポリペプチドを記載した。最終設計
において、残基54〜303(配列番号1による番号付与)の相当物が欠失しており(リ
ーダー配列、残基1〜17も存在しない)、2つの突然変異がタンパク質のBループ、す
なわち、F407D、およびL413D中に導入されている。さらに、ポリペプチドは、
C末端三量体化ドメイン(foldon)を含有した。さらに、2つの単量体間スル
ィド架橋が、三量体foldonドメインの区域中に1つ、ならびに430および431
位に1つ導入された。ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)ベース無細胞系中で産生
され(したがって、天然HAタンパク質の一部であるグリカンを欠く)、使用前にリフォ
ルドさせる必要がある変性形態で回収される。インフルエンザチャレンジデータから免
疫学的または保護は示されなかった。

近年の論文において、Mallajosyula et al(2014)も、ステム
ドメインポリペプチドを報告している。この設計において、H1N1A/Puerto
Rico/8/1934からのHAをベースとして、HA1配列の大部分が欠失している
だけでなく(残基42から289、配列番号1による番号付与)、HA2のNおよびC末
端配列の大部分も欠失している(それぞれ、残基344から383、および457から5
65)。ポリペプチドは、C末端におけるfoldon三量体化ドメインを含有し、大腸
菌(E.coli)中でも産生されるため、ウイルスHA上の天然グリカンを欠く。ポリ
ペプチドは、広域中和抗体CR6261、F10およびFI6v3に結合する。ポリペプ
チドは、インフルエンザチャレンジモデル(1LD90のH1N1A/Puerto R
ico/8/1934)においても試験され、マウスを死亡から保護し得た。H1N1A
/New Caledonia/20/1999およびH1N1A/Californi
a/04/2009のHAに由来する相当ポリペプチドも、部分的に保護し得た。H5N
1A/Viet Nam/1203/2004に由来するポリペプチドは、このチャレン
ジモデルにおいて限定された保護を与えたにすぎなかった。さらに、使用されるチャレン
ジモデルは、比較的低い投与用量(1〜2LD90)で軽度である。

したがって、強固な広域中和抗体応答の産生を刺激し、広範な現在および将来のイン
ルエンザウイルス株(季節性および流行性の両方)に対する保護を提供する、特にインフ
ルエンザの有効な予防および治療のために系統発生グループ1および/またはグループ2
内の1つ以上のインフルエンザAウイルス亜型に対する保護を提供する安全で有効なユニ
バーサルワクチンが依然として必要とされている。

概要

対象においてインフルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導するための組成物を提供する。インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチド。ヘマグルチニンステムドメインポリペプチドを提供する方法。それを含む組成物、それを含むワクチン、ならびに特にインフルエンザの検出、予防および/または治療におけるそれらの使用方法。なし

目的

本明細書において、インフルエンザヘマグルチニンス
テムドメインポリペプチド、ヘマグルチニンステムドメインポリペプチドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドであって、(a)HAC末端ステムセグメントに0〜50アミノ酸残基結合配列により共有結合しているHA1N末端ステムセグメントを含むインフルエンザヘマグルチニンHA1ドメインを含み、前記HA1C末端セグメントは、(b)インフルエンザヘマグルチニンHA2に結合しており、前記HA1およびHA2ドメインは、H1亜型のHAを含むインフルエンザAウイルス亜型に由来し;(c)前記HA1ドメインおよびHA2ドメイン間の連結部におけるプロテアーゼ開裂部位を含まず;(d)前記HA1N末端セグメントは、HA1のアミノ酸1〜x、好ましくは、HA1のアミノ酸p〜xを含み、前記HA1C末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸y〜C末端アミノ酸を含み、x=配列番号1の52位(または別のインフルエンザウイルス株のヘマグルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり、p=配列番号1の18位(または別のインフルエンザウイルスのヘマグルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり、y=配列番号1の320位(または別のヘマグルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり;(e)アミノ酸残基402〜418を含む領域は、アミノ酸配列X1NTQX2TAX3GKEX4N(H/K)X5E(K/R)(配列番号8)を含み、X1は、M、E、K、V、RおよびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、X2は、F、I、N、T、H、LおよびY、好ましくは、I、LまたはYからなる群から選択されるアミノ酸であり、X3は、V、A、G、I、R、FおよびS、好ましくは、A、IまたはFからなる群から選択されるアミノ酸であり、X4は、F、I、N、S、T、Y、E、K、M、およびV、好ましくは、I、Y、MまたはVからなる群から選択されるアミノ酸であり、X5は、L、H、I、N、R、好ましくは、Iからなる群から選択されるアミノ酸であり;(f)337位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、E、K、V、A、およびTからなる群から選択され、340位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択され、352位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、D、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択され、353位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、K、R、T、E、G、およびVからなる群から選択され;(g)324位上のアミノ酸および436位上のアミノ酸間のジスルフィド架橋をさらに含み;(h)さらに、アミノ酸配列RMKQIEKIEIESK(配列番号20)が、419〜433位において導入されており、または配列RMKQIEDKIEEIESKQK(配列番号21)が417〜433位において導入されているポリペプチド

請求項2

前記HA2ドメインが、トランケートされている、請求項1に記載のポリペプチド。

請求項3

519位からC末端アミノ酸までの前記HA2ドメインのC末端部分が欠失されている、請求項1または2に記載のポリペプチド。

請求項4

530位からC末端アミノ酸までの前記HA2ドメインのC末端部分が欠失されている、請求項1または2に記載のポリペプチド。

請求項5

前記HA2ドメインのC末端部分が、場合によりリンカーを介して連結しているアミノ酸配列GYIPEAPRDGQAVRKDGEWVLLSTFL(配列番号3)により置き換えられている、請求項3または4に記載のポリペプチド。

請求項6

前記HA1C末端ステムセグメントのC末端アミノ酸残基が、アルギニン(R)またはリジン(K)以外の任意のアミノ酸、好ましくは、グルタミン(Q)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリペプチド。

請求項7

前記HA1ドメインおよび/または前記HA2ドメイン中の1つ以上のさらなる突然変異を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリペプチド。

請求項8

抗体CR6261および/またはCR9114に選択的に結合する、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリペプチド。

請求項9

抗体CR8020および/またはCR8057に結合しない、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリペプチド。

請求項10

請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子

請求項11

請求項10に記載の核酸分子を含むベクター

請求項12

請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチドおよび/または請求項10に記載の核酸分子を含む組成物

請求項13

医薬品として使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10に記載の核酸分子、および/または請求項11に記載のベクター。

請求項14

インフルエンザウイルスに対する免疫応答誘導において使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10に記載の核酸分子、および/または請求項11に記載のベクター。

請求項15

ワクチンとして使用される、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリペプチド、請求項10に記載の核酸分子、および/または請求項11に記載のベクター。

技術分野

0001

本発明は、医薬の分野に関する。本明細書において、インフルエンザヘマグルチニン
テムドメインポリペプチド、ヘマグルチニンステムドメインポリペプチドを提供する方法
、それを含む組成物、それを含むワクチンならびに特にインフルエンザの検出、予防およ
び/または治療におけるそれらの使用方法が提供される。

背景技術

0002

インフルエンザウイルスは、主要なヒト病原体であり、無症状感染から死亡をもたらし
得る原発性ウイルス肺炎まで重症度に幅がある呼吸器疾患(一般に「インフルエンザ(i
nfluenza)」または「インフルエンザ(the flu)」と称される)を引き
起こす。感染の臨床効果は、インフルエンザ株病原性ならびに宿主曝露既往歴、年
齢、および免疫状態により変動する。毎年、世界中で約10億人の人々がインフルエンザ
ウイルスによる感染を受け、3〜5百万症例の重病および推定300,000から500
,000のインフルエンザ関連死をもたらすことが推定されている。これらの感染の大部
分は、H1またはH3ヘマグルチニン亜型担持するインフルエンザAウイルスに起因し
得、インフルエンザBウイルスからの寄与は小さく、したがって、3つ全ての代表物は季
節性ワクチンに含まれる。現在の予防接種実施は、有効な季節性インフルエンザワクチン
の適時産生を可能とするための循環インフルエンザウイルスの早期同定に依存する。次の
季節の間に優性となる株の予測固有の困難性とは別に、抗ウイルス耐性および免疫回避
も、現在のワクチンが罹患および死亡を予防することができない一因である。これに加え
病原体保有動物から生じ、ヒトからヒトへの拡散を増加させるようにリアソートされた
高度に病原性のウイルス株により引き起こされる流行病の可能性は、グローバルヘルス
とって顕著で現実的な脅威となる。

0003

インフルエンザAウイルスは、天然に広く分布しており、種々の鳥類および哺乳動物
感染し得る。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科(Orthomyxo
viridae)の科に属するエンベロープRNAウイルスである。これらのゲノムは、
11の異なるタンパク質、1つの核タンパク質(NP)、3つのポリメラーゼタンパク質
(PA、PB1、およびPB2)、2つのマトリックスタンパク質(M1およびM2)、
3つの非構造タンパク質(NS1、NS2、およびPB1−F2)、および2つの外部糖
タンパク質:ヘマグルチニン(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)をコードする8つ
一本鎖RNAセグメントからなる。ウイルスは、HAおよびNAタンパク質の抗原構造
の差に基づき分類され、それらの異なる組合せは、規定のインフルエンザウイルス株にさ
らに分類されるユニークなウイルス亜型を表す。全ての公知の亜型は鳥類において見出す
ことができるが、現在循環するヒトインフルエンザA亜型は、H1N1およびH3N2で
ある。系統発生分析は、ヘマグルチニンの2つの主群への下位分類を実証した:とりわけ
系統発生グループ1におけるH1、H2、H5およびH9亜型およびとりわけ系統発生グ
ループ2におけるH3、H4およびH7亜型。

0004

インフルエンザB型ウイルス株は、厳密にはヒトである。インフルエンザB型ウイルス
株内のHAにおける抗原変異は、A型株内で観察されるものよりも小さい。2つの遺伝的
および抗原的に区別されるインフルエンザBウイルスの系統は、B/Yamagata/
16/88(B/Yamagataとも称される)およびB/Victoria/2/8
7(B/Victoria)系統により表わされるとおり、ヒトにおいて循環している(
Ferguson et al.,2003)。インフルエンザBウイルスにより引き起
こされる疾患のスペクトルは、インフルエンザAウイルスにより引き起こされるものより
も一般に軽度であるが、インフルエンザB感染について入院を要する重病が依然として頻
繁に観察される。

0005

インフルエンザを中和する抗体が主としてヘマグルチニン(HA)に対して指向される
ことは公知である。ヘマグルチニンまたはHAは、ウイルスコートにアンカリングされ、
二重の機能を有する三量体糖タンパク質であり:それは細胞表面受容体シアル酸への結合
を担い、取り込み後、それはウイルスおよびエンドソーム膜の融合を媒介し、細胞の細胞
ゾル中でのウイルスRNAの放出をもたらす。HAは、大型の頭部ドメインおよびより
小型のステムドメインを含む。ウイルス膜への付着は、ステムドメインに連結されたC末
端アンカリング配列により媒介される。タンパク質は、特定のループで翻訳開裂されて
2つのポリペプチドHA1およびHA2を生じさせる(全配列は、HA0と称される)。
遠位頭部領域は、主としてHA1に由来し、膜近位ステム領域は、主としてHA2に由
来する(図1)。

0006

季節性インフルエンザワクチンを毎年アップデートしなければならない理由は、ウイル
スの大きい変異性である。ヘマグルチニン分子において、この変異は、抗原ドリフトおよ
シフトが多数の異なるバリアントをもたらした頭部ドメイン中で特に顕在化される。こ
れは、免疫優性区域でもあるため、ほとんどの中和抗体はこのドメインに対して指向さ
れ、受容体結合を妨げることにより作用する。頭部ドメインの免疫優性および大きい変異
の組合せは、なぜ特定の株による感染が他の株に対する免疫をもたらさないかも説明し:
第1の感染により誘発される抗体は、一次感染のウイルスと密接に関連する限定数の株を
認識するにすぎない。

0007

近年、全てまたは実質的に全てのインフルエンザヘマグルチニン球状頭部ドメインを欠
くインフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドが記載されており、ステム
ドメインポリペプチドの1つ以上の保存エピトープに対する免疫応答を生成するために使
用されている。ステムドメインポリペプチドのエピトープは、球状頭部ドメインの高度に
免疫原性の領域よりも免疫原性でなく、したがってステムドメインポリペプチド中の球状
頭部ドメインの不存在がステムドメインポリペプチドの1つ以上のエピトープに対する免
応答発現許容し得ると考えられている(Steel et al.,2010)。
したがって、Steel et al.は、A/Puerto Rico/8/1934
(H1N1)およびA/HongKong/1968(H3N2)株のHA1のアミノ酸
残基53から276をHA一次配列から欠失させ、これを短いフレキシブル結合配列GG
GGにより置き換えることにより新規分子を作出した。H3HK68構築物によるマウス
ワクチン接種は、グループ1のHAと交差反応性抗血清を誘発しなかった。さらに、
PCT/EP2012/073706において示されるとおり、ステムドメインポリペプ
チドは高度に不安定であり、ステム領域中の保存エピトープに結合することが示された抗
体の結合の欠落により証明されるとおり、正確な立体構造を採用しなかった。

0008

さらに、Bommakanti et al.(2010)は、HA2のアミノ酸残基
1〜172、7アミノ酸リンカー(GSAGSAG)、HA1のアミノ酸残基7〜46、
6アミノ酸リンカーGSAGSAに続くHA1の残基290〜321を、HA1中の突然
変異V297T、I300E、Y302TおよびC305Tとともに含むHA2ベース
ペプチドを記載した。設計は、H3HA(A/HongKong/1968)の配列を
ベースとした。このポリペプチドは、H3亜型内の別のインフルエンザウイルス株に対す
交差保護を提供したにすぎなかった(A/Phil/2/82に対して提供したが、H
1亜型(A/PR/8/34に対しては提供しなかった)。Bommakanti et
al(2012)によるより近年の論文において、H1N1A/Puerto Ric
o/8/1934からのHAをベースとするステムドメイン配列(H1HA0HA6)が
記載されている。このポリペプチドにおいて、残基55から302の相当物が欠失してお
り、突然変異I311T、V314T、I316N、C319S、F406D、F409
T、およびL416Dが作製されている。H3およびHAベースポリペプチドの両方が、
大腸菌(E.coli)中で発現され、したがって、天然HAタンパク質の一部であるグ
リカンを欠く。大腸菌(E.coli)中で発現される場合、ポリペプチドは、主として
高分子量凝集物および微量単量体分画として回収される。ポリペプチドは、9および0.
2μMの2つの見かけ解離定数でCR6261に結合する。著者らは、マウスが、10
0μgのCpG7909がアジュバント添加された20μgのタンパク質による免疫化
2回、4週間の間隔)後、1LD90の同種H1N1A/Puerto Rico/8/
1934ウイルスによるチャレンジ生存し得ることを示す。著者らは、A/Hong
Kong/1/1968由来ポリペプチドについて上記のものと同等の環状に並べ替え
れたポリペプチドも記載する。これらのポリペプチドは、H1N1A/Puerto R
ico/8/1934、H1N1A/North Carolina/20/99または
H1N1A/California/07/2009からのHAに由来し、H1N1A/
Puerto Rico/8/1934(すなわち、同一亜型内)のマウスにおける軽度
チャレンジ(1LD90)モデルの部分的保護を提供し得る。これらのポリペプチドによ
り免疫化されたモルモットからの血清は、中和アッセイにおいて試験された場合に検出可
能レベルの中和を示さなかった。

0009

より近年、Lu et al(2013)も、H1N1A/California/0
5/2009のHAに由来する可溶性ステムドメインポリペプチドを記載した。最終設計
において、残基54〜303(配列番号1による番号付与)の相当物が欠失しており(リ
ーダー配列、残基1〜17も存在しない)、2つの突然変異がタンパク質のBループ、す
なわち、F407D、およびL413D中に導入されている。さらに、ポリペプチドは、
C末端三量体化ドメイン(foldon)を含有した。さらに、2つの単量体間スル
ィド架橋が、三量体foldonドメインの区域中に1つ、ならびに430および431
位に1つ導入された。ポリペプチドは、大腸菌(E.coli)ベース無細胞系中で産生
され(したがって、天然HAタンパク質の一部であるグリカンを欠く)、使用前にリフォ
ルドさせる必要がある変性形態で回収される。インフルエンザチャレンジデータから免
疫学的または保護は示されなかった。

0010

近年の論文において、Mallajosyula et al(2014)も、ステム
ドメインポリペプチドを報告している。この設計において、H1N1A/Puerto
Rico/8/1934からのHAをベースとして、HA1配列の大部分が欠失している
だけでなく(残基42から289、配列番号1による番号付与)、HA2のNおよびC末
端配列の大部分も欠失している(それぞれ、残基344から383、および457から5
65)。ポリペプチドは、C末端におけるfoldon三量体化ドメインを含有し、大腸
菌(E.coli)中でも産生されるため、ウイルスHA上の天然グリカンを欠く。ポリ
ペプチドは、広域中和抗体CR6261、F10およびFI6v3に結合する。ポリペプ
チドは、インフルエンザチャレンジモデル(1LD90のH1N1A/Puerto R
ico/8/1934)においても試験され、マウスを死亡から保護し得た。H1N1A
/New Caledonia/20/1999およびH1N1A/Californi
a/04/2009のHAに由来する相当ポリペプチドも、部分的に保護し得た。H5N
1A/Viet Nam/1203/2004に由来するポリペプチドは、このチャレン
ジモデルにおいて限定された保護を与えたにすぎなかった。さらに、使用されるチャレン
ジモデルは、比較的低い投与用量(1〜2LD90)で軽度である。

0011

したがって、強固な広域中和抗体応答の産生を刺激し、広範な現在および将来のイン
ルエンザウイルス株(季節性および流行性の両方)に対する保護を提供する、特にインフ
ルエンザの有効な予防および治療のために系統発生グループ1および/またはグループ2
内の1つ以上のインフルエンザAウイルス亜型に対する保護を提供する安全で有効なユニ
バーサルワクチンが依然として必要とされている。

発明が解決しようとする課題

0012

本明細書において、インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチド、ステ
ムドメインポリペプチドを提供する方法、それを含む組成物、それを含むワクチンおよび
それらの使用方法が提供される。

課題を解決するための手段

0013

第1の態様において、本発明は、インフルエンザ(HA)ステムドメインポリペプチド
と称される、インフルエンザヘマグルチニンステムドメインを含み、球状頭部を欠く新規
免疫原性ポリペプチドを提供する。ポリペプチドは、対象、特にヒト対象投与された場
合に免疫応答を誘導し得る。本発明のポリペプチドは、膜近位ステムドメインHA分子の
保存エピトープを、膜遠位頭部ドメイン中に存在する優性エピトープの不存在下で免疫系
提示する。この目的のため、頭部ドメインを構成するHA0タンパク質の一次配列の一
部を除去し、残留アミノ酸配列を直接的にまたは、一部の実施形態において、短いフレキ
シブル結合配列(「リンカー」)を導入することにより再連結させてアミノ酸鎖の連続性
回復させる。得られた配列を、HA0分子の残留部分の天然三次元構造を安定化する規
定の突然変異を導入することによりさらに改変する。免疫原性ポリペプチドは、インフル
エンザウイルスの全長HA1ドメインを含まない。

0014

本発明は、新規インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドであって、
(a)HA1C末端ステムセグメントに0〜50アミノ酸残基の結合配列により共有結合
しているHA1N末端ステムセグメントを含むインフルエンザヘマグルチニンHA1ドメ
インを含み、前記HA1C末端セグメントは、(b)インフルエンザヘマグルチニンHA
2ドメインに結合しており、HA1およびHA2ドメインは、H1亜型のHAを含むイン
フルエンザAウイルス亜型に由来し;
(c)HA1ドメインおよびHA2ドメイン間の連結部におけるプロテアーゼ開裂部位
含まず;
(d)前記HA1N末端セグメントは、HA1のアミノ酸1〜x、好ましくは、HA1の
アミノ酸p〜xを含み、HA1C末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸y〜C末端
アミノ酸を含み、x=配列番号1の52位(または別のヘマグルチニン中の相当位置)上
のアミノ酸であり、p=配列番号1の18位(または別のヘマグルチニン中の相当位置)
上のアミノ酸であり、y=配列番号1の321位(または別のヘマグルチニン中の相当位
置)上のアミノ酸であり;
(e)アミノ酸残基402〜418を含む領域は、アミノ酸X1NTQX2TAX3GK
EX4N(H/K)X5E(K/R)(配列番号8)を含み:
X1は、M、E、K、V、RおよびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2は、F、I、N、T、H、LおよびY、好ましくは、I、LまたはYからなる群から
選択されるアミノ酸であり、
X3は、V、A、G、I、R、FおよびS、好ましくは、A、IまたはFからなる群から
選択されるアミノ酸であり、
X4は、F、I、N、S、T、Y、E、K、M、およびV、好ましくは、I、Y、Mまた
はVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5は、L、H、I、N、R、好ましくは、Iからなる群から選択されるアミノ酸であり

(f)337位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、E、K、V、A、およびT
からなる群から選択され、
340位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、K、R、T、F、N、SおよびY
からなる群から選択され、
352位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、D、V、Y、A、I、N、S、および
Tからなる群から選択され、
353位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、K、R、T、E、G、およびVからな
る群から選択され;
(g)324位上のアミノ酸および436位上のアミノ酸間のジスルフィド架橋をさらに
含み;
(h)さらに、アミノ酸配列RMKQIEKIEIESK(配列番号20)が419
〜433位において導入されており、または配列RMKQIEDKIEEIESKQK(
配列番号21)が417〜433位において導入されている
ポリペプチドを提供する。

0015

ある実施形態において、ポリペプチドは、完全HA2ドメイン、すなわち、膜貫通ドメ
インおよび細胞内配列を含むHA2ドメインを含む。ある実施形態において、HA2ドメ
インは、トランケートされている。したがって、ある実施形態において、本発明のポリペ
プチドは、HAの細胞内配列および膜貫通ドメインを含有しない。ある実施形態において
、HA2ドメインの514、515、516、517、518、519、520、521
、522、523、524、525、526、527、526、528、529、または
530位(またはその相当物)からHA2ドメインのC末端のアミノ酸配列が除去されて
いる。

0016

本発明によれば、HA1C末端ステムセグメントのC末端アミノ酸は、HA2ドメイン
のN末端アミノ酸に結合しており、したがって、HA1およびHA2ドメイン間の連結部
を形成する。本発明のポリペプチドは、HA1およびHA2ドメイン間の連結部における
プロテアーゼ開裂部位を含まない。ある実施形態において、HA1C末端ステムセグメン
トのC末端アミノ酸残基(配列番号1のアミノ酸343)は、アルギニン(R)またはリ
ジン(K)以外の任意のアミノ酸、好ましくは、グルタミン(Q)である。

0017

本発明のポリペプチドは、HA0よりも実質的に小さく、好ましくは、HAの球状頭部
の全てまたは実質的に全てを欠く。好ましくは、免疫原性ポリペプチドは、360アミノ
酸長以下、好ましくは、350、340、330、320、310、305、300、2
95、290、285、280、275、または270アミノ酸長以下である。ある実施
形態において、免疫原性ポリペプチドは、約250から約350、好ましくは、約260
から約340、好ましくは、約270から約330、好ましくは、約270から約330
アミノ酸長である。

0018

本発明のポリペプチドは、グループ1交差中和抗体CR6261(国際公開第2008
/028946号パンフレットに開示)および/または抗体CR9114(国際公開第2
013/007770号パンフレットに記載)、グループ1およびグループ2インフルエ
ンザAウイルスの両方、ならびにインフルエンザBウイルスに結合し、中和し得る抗体の
保存ステムドメインエピトープを含む。したがって、HAステムドメインポリペプチドで
あって、前記ポリペプチドへの前記1つまたは複数の抗体の結合により示されるとおり、
抗体CR6261および/またはCR9114のエピトープを安定的に提示するポリペプ
チドを提供することは、本発明の別の態様である。一実施形態において、ポリペプチドは
、H3インフルエンザウイルスのみに結合するモノクローナル抗体であるCR8020お
よびCR8057(国際公開第2010/130636号パンフレットに記載)に結合し
ない。

0019

本発明に提供されるインフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドは、1
つまたは複数のインフルエンザウイルスAおよび/またはB株、特にH1亜型のインフル
エンザウイルスに対する免疫応答を生成し得る免疫原性組成物(例えば、ワクチン)にお
ける使用に好適である。一実施形態において、インフルエンザヘマグルチニンステムドメ
インポリペプチドは、系統発生グループ1および/またはグループ2のインフルエンザA
ウイルス株、特に系統発生グループ1およびグループ2の両方のインフルエンザウイルス
株に対する免疫応答を生成し得る。一実施形態において、ポリペプチドは、同種インフル
エンザウイルス株に対する免疫応答を生成し得る。一実施形態において、ポリペプチドは
、同一およびまたは異なる亜型の異種インフルエンザウイルス株に対する免疫応答を生成
し得る。さらなる実施形態において、ポリペプチドは、系統発生グループ1およびグルー
プ2の両方のインフルエンザウイルス株ならびにインフルエンザBウイルス株に対する免
疫応答を生成し得る。

0020

本発明によるポリペプチドは、例えば、インフルエンザウイルス、特に系統発生グルー
プ1もしくは2インフルエンザAウイルスおよび/もしくはインフルエンザBウイルスに
より引き起こされる疾患または病態スタンドアロン療法および/もしくは予防および/
もしくは診断において、または他の予防および/もしくは治療処置、例えば、(既存また
は将来の)ワクチン、抗ウイルス剤および/もしくはモノクローナル抗体との組合せで使
用することができる。

0021

さらなる態様において、本発明は、インフルエンザHAステムドメインポリペプチドを
コードする核酸分子を提供する。さらに別の態様において、本発明は、免疫原性ポリペプ
チドをコードする核酸を含むベクターを提供する。

0022

さらなる態様において、本発明は、対象において免疫応答を誘導する方法であって、対
象に本発明によるポリペプチドおよび/または核酸分子および/またはベクターを投与す
ることを含む方法を提供する。

0023

さらなる態様において、本発明は、本発明によるポリペプチドおよび/または核酸分子
および/またはベクターを含む組成物を提供する。組成物は好ましくは免疫原性組成物で
ある。本明細書に提供される組成物は、対象、例えば、マウス、フェレットまたはヒトへ
の組成物の投与を可能とする任意の形態であり得る。具体的な実施形態において、組成物
は、ヒト投与に好適である。ポリペプチド、核酸分子および組成物は、インフルエンザウ
イルス疾患を予防および/もしくは治療する方法において、ならびに/または診断目的に
使用することができる。組成物は、薬学的に許容可能な担体または賦形剤をさらに含み得
る。ある実施形態において、本明細書に記載の組成物は、アジュバントを含み、またはア
ジュバントとの組合せで投与される。

0024

別の態様において、本発明は、ワクチンとして使用されるポリペプチド、核酸および/
またはベクターを提供する。本発明は、特に、系統発生グループ1および/もしくは2の
インフルエンザウイルスA亜型ならびに/またはインフルエンザBウイルスにより引き起
こされる疾患または病態、特にH1亜型のHAを含むインフルエンザウイルスにより引き
起こされる疾患または病態において予防および/または治療においてワクチンとして使用
される免疫原性ポリペプチド、核酸、および/またはベクターに関する。

0025

本発明によるポリペプチドの種々の実施形態および使用は、以下の本発明の詳細な説明
から明確になる。

図面の簡単な説明

0026

天然三量体中に存在する融合前状態のHA単量体のモデルを示す。HA1を淡灰色で示し、HA2を暗灰色で示す。へリックスA(CR6261のエピトープの重要部分)およびへリックスCD(三量体界面の部分)を示し、ループがそれらの二次構造エレメントを連結する。HA1のC末端およびHA2のN末端も示される。融合ペプチドは、HA2のN末端において局在する。
PCT/EP2014/060997号明細書に開示の配列番号65から71および配列番号76から78を発現する培養物上清について得られたサンドイッチElisa結果。捕捉および検出抗体グラフ上方に示す。mini−HAは、残基519〜565の相当物がRSLVPRGSPGHHHHHHにより置き換えられている配列番号2の可溶性形を指し;FL−HA−FFHは、520位からのC末端Flag−thrombin−foldon−His配列(配列番号4)を含有する配列番号1の可溶性形を指し;FL−HA−7×Hisは、530位からのC末端配列EGRHHHHHHHを含有する配列番号1の可溶性形を指す。
419〜433位におけるGCN4由来配列RMKQIEDKIEEIESK(配列番号20)を含む本発明のポリペプチド(t2バリアント)を発現する培養物の上清について得られたサンドイッチElisa結果。捕捉および検出抗体をグラフ上方に示す。mini−HA−t2は、419〜433位において配列番号20を導入することによりMini−HAに由来し;FL−HA−FFH、FL−HA−7×Hisは上記のとおりである。
417〜433位におけるGCN4由来配列RMKQIEDKIEEIESKQK(配列番号21)を含む本発明のポリペプチド(t3バリアント)を発現する培養物の上清について得られたサンドイッチElisa結果。捕捉および検出抗体をグラフ上方に示す。mini−HA−t3は、417〜433位において配列番号21を導入することによりMini−HAに由来し;FL−HA−FFH、FL−HA−7×Hisは上記のとおりである。
精製手順における最終ステップであるSuperdex200サイズ排除カラムからのs55G7−t2、s127H1−t2およびs86B4−t2の溶出プロファイルクロマトグラム下方で番号付与された線は、溶出プロセスの間に回収された分画を示す。
Superdex200サイズ排除カラムの溶出の間に回収された分画のSDS−PAGEおよびウエスタンブロット分析。数字は、図5に示される分画に対応する。ウエスタンブロット上の検出のため、C末端hisタグを認識する抗体を使用した。
広域中和抗体CR9114、CR6261、およびCR8020のFab断片の存在および不存在下のs127H1−t2のサイズ排除クロマトグラフィー(Tosoh G2000分析カラム)。個々のタンパク質および/または複合体の分子量をカラムからの溶出の間に多角度光散乱により決定し、表8に列記した。
バイオレイヤー干渉法を使用するモノクローナル抗体CR6261およびCR9114への本発明のポリペプチドs127H1−t2の結合。上部パネルは、変動濃度のs127H1−t2に曝露された固定化モノクローナル抗体についての個々の結合曲線を示し、下部パネルは、Kdを推定するために使用された定常状態分析を示す。
陰性PBS、3週間の間隔における3回の免疫化)および陽性対照(15mg/kgのCR6261、チャレンジ1日前)群についての生存率(A)、体重損失(B)および臨床スコア(C)。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングした。エラーバーは、95%信頼区間(B)または四分位範囲(C)を示す。
10μgのMatrix−Mの存在または不存在下のいずれかで10μgのs127H1−t2により免疫化(3週間の間隔における3回の免疫化)された実験群についての生存率(A)、体重損失(B)および臨床スコア(C)。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングし、または比較のため、陰性対照群(PBS)も示す。エラーバーは、95%信頼区間(B)または四分位範囲(C)を示す。
s127H1−t2(A)または全長HAの可溶性形態(B)を抗原として使用する陰性対照および実験群の血清についてのElisa結果。バーは中央値を表す。
本発明のアジュバント添加ポリペプチドs127H1−t2による免疫化後に誘導された抗体は、競合ELISAにおいてH1N1A/Brisbane/59/07からの全長HAへの結合についてCR9114と競合し得る(A)。比較のため、非標識CR9114(すなわち、自己競合)ならびに非結合モノクローナル抗体CR8020およびCR−JB両方とも5μg/mlの出発濃度から段階希釈)による競合レベル別個のグラフに示す。
陰性(PBS、3週間の間隔における3回の免疫化)および陽性対照(15mg/kgのCR6261、チャレンジ1日前)群についての生存率(A)、相対体損失(B)および臨床スコア(C)。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングした。エラーバーは、95%信頼区間(B)または四分位範囲(C)を示す。
10μgのMatrix−Mの存在下で30μgのs127H1−t2−cl18longにより1回(A)、2回(B)または3回(C)免疫化された群についての生存率。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングした。比較のため、陰性対照群(PBS)も示す。
10μgのMatrix−Mの存在下で30μgのs127H1−t2−cl18longにより1回(A)、2回(B)または3回免疫化された群についての相対体重変化。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングした。比較のため、陰性対照群(PBS)も示す。エラーバーは、95%信頼区間を示す。
10μgのMatrix−Mの存在下で30μgのs127H1−t2−cl18longにより1回(A)、2回(B)または3回免疫化された群についての臨床スコア。マウスを致死用量(25×LD50)のH1N1A/Puerto Rico/8/34により最後の免疫化から4週間後にチャレンジし、21日間モニタリングした。比較のため、陰性対照群(PBS)も示す。エラーバーは四分位範囲を示す。
s127H1−t2−cl18long(A)または全長HAの可溶性形態(B)を抗原として使用する陰性対照および実験群のプレチャレンジ血清(最後の免疫化から4週間後)についてのELISA結果。バーは中央値を表す。
本発明のMatrix−Mアジュバント添加ポリペプチドs127H1−t2−cl18longによる免疫化後に誘導された抗体は、競合ELISAにおいてH1N1A/Brisbane/59/07からの全長HAへの結合についてCR9114と競合し得る(A)。比較のため、非標識CR9114(すなわち、自己競合)および非結合モノクローナル抗体CR8020(両方とも、5μg/mlの出発濃度から段階希釈)による競合レベルを別個のグラフに示す(B)。バーは中央値を表す。
(A)陰性(PBS、3週間の間隔における3回の免疫化)および陽性対照(15mg/kgのCR6261、チャレンジ1日前)群についての生存率。マウスを致死用量(12.5×LD50)のH5N1A/Hong Kong/156/97により最後の免疫化後4週間チャレンジした。10μgのMatrix−Mの存在下で30μgのs127H1−t2により3回免疫化された群についての(B)生存率、(C)相対体重変化および(D)臨床スコア中央値。エラーバーは、95%信頼区間(C)または四分位範囲(D)を示す。マウスを致死用量(12.5×LD50)のH5N1A/Hong Kong/156/97により最後の免疫化後4週間チャレンジし、21日間モニタリングした。比較のため、陰性対照群(PBS)もB、C、Dにおいて示す。
いくつかのグループ1(H1、H5およびH9)およびグループII(H3およびH7)インフルエンザ株の全長HAを抗原として使用する実施例5に記載の本発明のポリペプチドs127H1−t2により3回免疫化されたマウスからの血清についてのElisa結果。誘導された抗体は、グループ1からの試験された全てのFL HAを認識する。
(A)陰性(PBS、3週間の間隔における3回の免疫化)および陽性対照(15mg/kgのCR6261、チャレンジ1日前)群についての生存率。マウスを致死用量(12.5×LD50)のH1N1A/Brisbane/59/2007により最後の免疫化から4週間後にチャレンジした。10μgのMatrix−Mの存在下で30μgのs127H1−t2により3回免疫化された群についての(B)生存率、(C)相対体重変化および(D)臨床スコア中央値。エラーバーは、95%信頼区間(C)または四分位範囲(D)を示す。マウスを致死用量(12.5×LD50)のH1N1A/Brisbane/59/2007により最後の免疫化後4週間チャレンジし、21日間モニタリングした。比較のため、陰性対照群(PBS)もB、C、Dにおいて示す。
本発明のポリペプチドs127H1−t2またはPBSにより免疫化されたマウスからの血清を使用する粒子中和アッセイ。
抗体依存性細胞傷害ADCC代理アッセイ。本発明のポリペプチドs127H1−t2により免疫化されたマウスからの血清は、抗原資源としてのH5N1A/Hong Kong/156/97(A)またはH1N1A/Brisbane/59/07(B)からのFL HAが形質移入された標的細胞を使用して最大血清濃度においてFcγRIVシグナリング活性の30〜40倍の誘導を示す。
実施例9に記載の血清移入およびH5N1A/Hong Kong/156/97によるチャレンジ後のマウスの生存率(A)および%体重変化(B)。
70日目におけるドナーマウス(D)、および血清移入前(−4日目)またはチャレンジ前(0日目)のレシピエントマウス(R)の全長HA(H1N1A/Brisbane/59/2007)ELISA力価。傾きに基づく加重平均アプローチを使用してデータを分析した。白丸記号は、LODにおける計測値を示す。バーは中央値を示す。
実施例10に記載の免疫化およびH1N1A/NL/602/09によるチャレンジ後のマウスの生存率(A)および%体重変化(B)。
(A):実施例10に記載の免疫化されたマウスの全長HA(H1N1A/Brisbane/59/2007)ELISA力価。傾きに基づく加重平均アプローチを使用してデータを分析した。白丸記号は、LODにおける計測値を示す。バーは中央値を示す。(B):実施例10に記載のマウスの免疫化後に得られた血清IgGCR9114競合結合。H1N1A/Brisbane/59/2007からのFL HAを抗原として使用した。示されるデータは群中央値であり、エラーバーは四分位範囲を示す。5μg/mlの溶液から出発し、血清試料と同一の様式で希釈されたCR9114およびCR8020についてのデータを示す。
合計10472クローン(セット1および2からそれぞれ5544および4928)の初回スクリーン。データは、実験に含まれるFL HA結合および発現の平均に正規化する。FL HA発現の>50%の発現も示すCR9114サンドイッチアッセイ(パネルA)における上位20%のクローンおよびFL HAについて観察されたシグナルの>80%のCR6261への結合シグナル(パネルB)を示すものをヒットとみなし;この手順は703のヒットを生じさせた(ライブラリー1および2からそれぞれ596および107)。
本発明のポリペプチドについてのCR9114サンドイッチElisa結果。(A)C末端Flag−foldon−his配列を全て含有する配列番号158から162(B)C末端TCS−his配列を全て含有する配列番号163から166。
CR9114(CRF9114として示される)またはCR6261(CRF6261として示される)のFab断片の存在および不存在下の配列番号158についてのSEC MALS結果。多角度光散乱分析から導かれた分子質量を実施例12に挙げ、それは本発明のポリペプチドの三量体当たり3つのFab断片との複合体の形成を示す。
実施例13に記載の免疫化およびH1N1A/Brisbane/59/07によるチャレンジ後のマウスの生存率(A)および%体重変化(B)。
(A):実施例13に記載の免疫化されたマウスの全長HA(H1N1A/Brisbane/59/2007)ELISA力価。傾きに基づく加重平均アプローチを使用してデータを分析した。白丸記号は、LODにおける計測値を示す。バーは中央値を示す。(B):実施例18に記載のマウスの免疫化後に得られた血清IgG CR9114競合結合。H1N1A/Brisbane/59/2007からのFL HAを抗原として使用した。示されるデータは群中央値であり、エラーバーは四分位範囲を示す。5μg/mlの溶液から出発し、血清試料と同一の様式で希釈されたCR9114およびCR8020についてのレベルを示す。
実施例14に記載の免疫化およびH5N1A/Hon Kong/156/97によるチャレンジ後のマウスの生存率(A)および%体重変化(B)。
(A):実施例14に記載の免疫化されたマウスの全長HA(H1N1A/Brisbane/59/2007)ELISA力価。傾きに基づく加重平均アプローチを使用してデータを分析した。白丸記号は、LODにおける計測値を示す。バーは中央値を示す。(B):実施例18に記載のマウスの免疫化後に得られた血清IgG CR9114競合結合。H1N1A/Brisbane/59/2007からのFL HAを抗原として使用した。示されるデータは群中央値であり、エラーバーは四分位範囲を示す。5μg/mlの溶液から出発し、血清試料と同一の様式で希釈されたCR9114およびCR8020についてのレベルを示す。
実施例15に記載の免疫化およびH1N1A/Puerto Rico/8/1934によるチャレンジ後のマウスの生存率(A)および%体重変化(B)。
(A):実施例15に記載の免疫化されたマウスの全長HA(H1N1A/Brisbane/59/2007)ELISA力価。傾きに基づく加重平均アプローチを使用してデータを分析した。白丸記号は、LODにおける計測値を示す。バーは中央値を示す。(B):実施例18に記載のマウスの免疫化後に得られた血清IgG CR9114競合結合。H1N1A/Brisbane/59/2007からのFL HAを抗原として使用した。示されるデータは群中央値であり、エラーバーは四分位範囲を示す。5μg/mlの溶液から出発し、血清試料と同一の様式で希釈されたCR9114およびCR8020についてのレベルを示す。

0027

定義
本発明において使用される用語の定義を以下に挙げる。

0028

本発明によるアミノ酸は、20の天然(または「標準」アミノ酸)またはそのバリアン
ト、例えば、D−プロリン(プロリンのD−エナンチオマー)など、またはタンパク質に
天然に見出されない任意のバリアント、例えば、ノルロイシンなどのいずれかであり得る
標準アミノ酸は、それらの特性に基づきいくつかのグループに分割することができる。
重要な因子は、電荷親水性または疎水性、サイズおよび官能基である。これらの特性は
タンパク質構造およびタンパク質−タンパク質相互作用にとって重要である。一部のア
ミノ酸は、特別な特性を有し、例えば、システインは、他のシステイン残基への共有ジス
フィド結合(またはジスルフィド架橋)を形成し得、プロリンは、ポリペプチド骨格
周期性を形成し、グリシンは、他のアミノ酸よりもフレキシブルである。表5は、標準
アミノ酸の略語および特性を示す。

0029

用語「アミノ酸配列同一性」は、通常、割合として表現される一対のアラインされたア
ミノ酸配列間の同一性または類似性の程度を指す。同一性パーセントは、同一(すなわち
アラインメント中の所与の位置におけるアミノ酸残基は、同一残基である)または類似
(すなわち、アラインメント中の所与の位置におけるアミノ酸置換は、以下に論じる保存
置換である)の候補配列中のアミノ酸残基と、配列をアラインし、必要に応じてギャ
プを導入して最大パーセント配列相同性を達成した後のペプチド中の対応するアミノ酸残
基との割合である。配列相同性、例として配列同一性および類似性の割合は、当分野にお
いて周知の配列アラインメント技術を使用して、例えば、目視調査および数学的計算によ
り決定され、またはより好ましくは、比較は、コンピュータプログラムを使用して配列情
報を比較することにより行われる。例示的な好ましいコンピュータプログラムは、Gen
etics Computer Group(GCG;Madison,Wis.)Wi
sconsinパッケージバージョン10.0プログラム、「GAP」(Devereu
x et al.(1984))である。

0030

保存的置換」は、あるクラスのアミノ酸の同一クラスの別のアミノ酸による置換を指
す。特定の実施形態において、保存的置換は、本発明のポリペプチドの構造もしくは機能
、またはその両方を変化させない。保存的置換の目的のためのアミノ酸のクラスには、疎
水性(例えば、Met、Ala、Val、Leu)、中性親水性(例えば、Cys、Se
r、Thr)、酸性(例えば、Asp、Glu)、塩基性(例えば、Asn、Gln、H
is、Lys、Arg)、立体構造破壊物質(例えば、Gly、Pro)および芳香族
例えば、Trp、Tyr、Phe)が含まれる。

0031

本明細書において使用される用語「疾患」および「障害」は、対象における病態を指す
ために互換的に使用される。一部の実施形態において、病態は、ウイルス感染、特にイン
フルエンザウイルス感染である。具体的な実施形態において、用語「疾患」は、細胞もし
くは対象におけるウイルスの存在から生じ、またはウイルスによる細胞もしくは対象の侵
襲による病理的状態を指す。ある実施形態において、病態は、免疫原性組成物の投与を介
して対象において免疫応答を誘導することにより重症度が減少される対象における疾患で
ある。

0032

治療物を対象に投与する文脈における本明細書において使用される用語「有効量」は、
予防および/または治療効果を有する治療物の量を指す。ある実施形態において、治療物
を対象に投与する文脈における「有効量」は、インフルエンザウイルス感染、それに伴う
疾患もしくは症状の重症度の低減もしくは改善、例えば、限定されるものではないが、イ
ンフルエンザウイルス感染、それに伴う疾患もしくは症状の持続時間の低減、インフルエ
ンザウイルス感染、それに伴う疾患もしくは症状の進行の予防、インフルエンザウイルス
感染、それに伴う疾患もしくは症状の発現もしくは発症もしくは再発の予防、ある対象か
ら別の対象へのインフルエンザウイルスの拡散の予防もしくは低減、対象の入院および/
もしくは入院期間の低減、インフルエンザウイルス感染もしくはそれに伴う疾患を有する
対象の生存率の増加、インフルエンザウイルス感染もしくはそれに伴う疾患の排除、イン
フルエンザウイルス複製の阻害もしくは低減、インフルエンザウイルス力価の低減;およ
び/または別の治療物の予防もしくは治療効果の向上および/もしくは改善を達成するた
めに十分な治療物の量を指す。ある実施形態において、有効量は、インフルエンザウイル
ス疾患からの完全な保護をもたらさないが、未治療対象と比較してより低い力価または低
減数のインフルエンザウイルスをもたらす。インフルエンザウイルスの力価、数または総
負荷の低減の利益には、限定されるものではないが、より軽度の感染症状、より少ない感
染症状および感染に伴う疾患の期間の低減が含まれる。

0033

本明細書において使用される用語「宿主」は、ベクター、例えば、クローニングベクタ
ーまたは発現ベクターが導入された生物または細胞を指すものとする。生物または細胞は
原核または真核であり得る。好ましくは、宿主は、単離宿主細胞、例えば、培養物中の
宿主細胞を含む。用語「宿主細胞」は、細胞が本発明のポリペプチドの(過剰)発現のた
めに改変されていることを単に意味するにすぎない。宿主という用語は、特定の対象生物
または細胞を指すだけでなく、そのような生物または細胞の子孫も同様に指すものとする
ことを理解すべきである。ある改変が突然変異または環境的影響のいずれかに起因して後
続世代において生じ得るため、そのような子孫は、事実上、親生物または細胞と同一であ
り得ないが、依然として本明細書において使用される用語「宿主」の範囲内に含まれる。

0034

本明細書において使用される用語「含まれる」または「例として」の後には、語「限定
されるものではないが」が続くものとみなされる。

0035

本明細書において使用される用語「感染」は、細胞または対象におけるウイルスの繁殖
および/または存在による侵襲を意味する。一実施形態において、感染は、「活性」感染
、すなわち、ウイルスが細胞または対象において複製しているものである。このような感
染は、ウイルスにより最初に感染された細胞、組織、および/または器官から他の細胞、
組織、および/または器官へのウイルスの拡散を特徴とする。感染は、潜伏感染、すなわ
ち、ウイルスが複製していないものでもあり得る。ある実施形態において、感染は、細胞
もしくは対象中のウイルスの存在から生じ、またはウイルスによる細胞もしくは対象の侵
襲による病理学的状態を指す。

0036

インフルエンザウイルスは、インフルエンザウイルス型:A、BおよびC属に分類され
る。本明細書において使用される用語「インフルエンザウイルス亜型」は、ヘマグルチニ
ン(H)およびノイラミニダーゼ(N)ウイルス表面タンパク質の組合せを特徴とするイ
ンフルエンザAウイルスバリアントを指す。本発明によれば、インフルエンザウイルス亜
型は、それらのH番号、例えば、「H3亜型のHAを含むインフルエンザウイルス」、「
H3亜型のインフルエンザウイルス」または「H3インフルエンザ」など、またはH番号
およびN番号の組合せ、例えば、「インフルエンザウイルス亜型H3N2」もしくは「H
3N2」などにより称することができる。用語「亜型」には、具体的には、通常、突然変
異から生し、異なる病原プロファイルを示すそれぞれの亜型内の全ての個々の「株」、例
として、天然分離株および人工突然変異体またはリアソータントなどが含まれる。このよ
うな株は、ウイルス亜型の種々の「分離株」と称することもできる。したがって、本明細
書において使用される用語「株」および「分離株」は、互換的に使用することができる。
ヒトインフルエンザウイルス株または分離株についての現在の命名法には、ウイルスの型
(属)、すなわち、A、BまたはC、最初の分離の地理的場所、株番号および分離年度
通常括弧内に挙げられるHAおよびNAの抗原の記載が含まれ、例えば、A/Mosco
w/10/00(H3N2)である。非ヒト株には、命名法において起源の宿主も含まれ
る。インフルエンザAウイルス亜型は、それらの系統発生グループを参照することにより
さらに分類することができる。系統分析は、ヘマグルチニンの2つの主要グループへの下
位分類を実証した:とりわけ系統発生グループ1におけるH1、H2、H5およびH9亜
型(「グループ1」インフルエンザウイルス)およびとりわけ系統発生グループ2におけ
るH3、H4、H7およびH10亜型(「グループ2」インフルエンザウイルス」)。

0037

本明細書において使用される用語「インフルエンザウイルス疾患」は、細胞もしくは対
象中のインフルエンザウイルス、例えば、インフルエンザAもしくはBウイルスの存在ま
たはインフルエンザウイルスによる細胞もしくは対象の侵襲から生じる病理学的状態を指
す。具体的な実施形態において、この用語は、インフルエンザウイルスにより引き起こさ
れる呼吸器疾病を指す。

0038

本明細書において使用される用語「核酸」には、DNA分子(例えば、cDNAまたは
ゲノムDNA)およびRNA分子(例えば、mRNA)ならびにヌクレオチドアナログ
使用して生成されたDNAまたはRNAのアナログが含まれるものとする。核酸は、一本
鎖または二本鎖であり得る。核酸分子は、化学的もしくは生化学的に改変することができ
、または非天然もしくは誘導体化ヌクレオチド塩基を含有し得、それは当業者により容易
に認識される。このような改変には、例えば、標識、メチル化、アナログによる天然ヌク
レオチドの1つ以上の置換、ヌクレオチド間改変、例えば、未荷電結合(例えば、メチル
ホスホネートホスホトリエステルホスホラミデートカルバメートなど)、荷電結合
(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)、懸垂部分(例えば、ポリ
ペプチド)、挿入剤(例えば、アクリジンプソラレンなど)、キレート化剤アルキル
化剤、および改変結合(例えば、アルファアノマー核酸など)が含まれる。核酸配列への
言及は、特に記載のない限り、その相補物包含する。したがって、特定の配列を有する
核酸分子への言及は、その相補的配列を有するその相補鎖を包含すると理解すべきである
。相補鎖も、例えばアンチセンス療法、ハイブリダイゼーションプローブおよびPCR
ライマーに有用である。

0039

ある実施形態において、本明細書において使用されるHA中のアミノ酸の番号付与は、
野生型インフルエンザウイルスのHA0中のアミノ酸の番号付与、例えば、H1N1イン
フルエンザ株A/Brisbane/59/2007(配列番号1)のアミノ酸の番号付
与に基づく。したがって、本発明において使用される語「HA中の「x」位におけるアミ
ノ酸」は、特定の野生型インフルエンザウイルス、例えば、A/Brisbane/59
/2007(配列番号1;HA2ドメインのアミノ酸をイタリックで示した)のHA0中
のx位におけるアミノ酸に対応するアミノ酸を意味する。他のインフルエンザウイルス株
および/または亜型中の相当アミノ酸を多重配列アラインメントにより決定することがで
きることが当業者により理解される。本出願全体にわたり使用される番号付与系において
、1は、未成熟HA0タンパク質(配列番号1)のN末端アミノ酸を指すことに留意され
たい。成熟配列は、例えば、配列番号1の18位上で開始する。産生の間にタンパク質の
輸送を指向するリーダー配列(またはシグナル配列)(例えば、配列番号1のアミノ酸1
〜17に対応)は一般に、例えば、ワクチンにおいて使用される最終ポリペプチド中に存
在しないことが当業者により理解される。したがって、ある実施形態において、本発明に
よるポリペプチドは、リーダー配列を有さないアミノ酸配列を含み、すなわち、アミノ酸
配列は、シグナル配列を有さないHA0のアミノ酸配列をベースとする。

0040

「ポリペプチド」は、当業者により公知のアミド結合により結合しているアミノ酸の重
合体を指す。本明細書において使用されるこの用語は、共有アミド結合により結合してい
る単一ポリペプチド鎖を指し得る。この用語は、非共有相互作用、例えば、イオン接触
水素結合ファン・デル・ワールス接触および疎水性接触により会合している複数のポリ
ペプチド鎖も指し得る。当業者は、この用語には、例えば、翻訳後プロセシング、例えば
シグナルペプチド開裂、ジスルフィド結合形成グリコシル化(例えば、N結合および
O結合グリコシル化)、プロテアーゼ開裂および脂質改変(例えば、S−パルミトイル化
)により改変されたポリペプチドが含まれることを認識する。

0041

「ステムドメインポリペプチド」は、天然(または野生型)ヘマグルチニン(HA)の
ステムドメインを構成する1つ以上のポリペプチド鎖を含むポリペプチドを指す。典型的
には、ステムドメインポリペプチドは、単一ポリペプチド鎖(すなわち、ヘマグルチニン
HA0ポリペプチドのステムドメインに対応)または2つのポリペプチド鎖(すなわち、
ヘマグルチニンHA2ポリペプチドと会合しているヘマグルチニンHA1ポリペプチドの
ステムドメインに対応)である。本発明によれば、ステムドメインポリペプチドは、野生
型HA分子と比較して1つ以上の突然変異を含み、特に野生型HAの1つ以上のアミノ酸
残基が特定の野生型HA中の対応位置上で天然に生じない他のアミノ酸により置換されて
いてよい。本発明によるステムドメインポリペプチドは、下記の1つ以上の結合配列をさ
らに含み得る。

0042

用語「ベクター」は、複製され、一部の場合に発現される、宿主中への導入のために第
2の核酸分子を挿入することができる核酸分子を示す。換言すると、ベクターは、それが
結合した核酸分子を輸送し得る。クローニングおよび発現ベクターは、本明細書において
使用される用語「ベクター」により企図される。ベクターには、限定されるものではない
が、プラスミドコスミド細菌人工染色体(BAC)および酵母人工染色体(YAC)
ならびにバクテリオファージまたは植物または動物(例として、ヒト)ウイルスに由来す
るベクターが含まれる。ベクターは、提示される宿主により認識される複製起源および発
現ベクターの場合、宿主により認識されるプロモーターおよび他の調節領域を含む。ある
ベクターは、それらが導入された宿主中で自律複製し得る(例えば、細菌の複製起源を有
するベクターは、細菌中で複製し得る)。他のベクターは宿主中への導入時に宿主のゲノ
ム中に組み込むことができ、それによりベクターは宿主ゲノムに沿って複製される。

0043

本明細書において使用される、ウイルスの文脈における用語「野生型」は、高頻度であ
り、天然に循環し、典型的な疾患の蔓延を発生させているインフルエンザウイルスを指す

0044

詳細な説明
インフルエンザウイルスは、世界規模公衆衛生に対して顕著な影響を及ぼし、毎年数
百万の重病の症例、数千人の死亡、およびかなりの経済的損失を引き起こす。現在の三価
インフルエンザワクチンは、ワクチン株および密接に関連する分離株に対する強力な中和
抗体応答を誘発するが、ある亜型内のより分岐した株または他の亜型に及ぶことはほとん
どない。さらに、適切なワクチン株の選択は多くの困難を提示し、準最適保護を頻繁にも
たらす。さらに、次の流行性ウイルスの亜型の予測は、それがいつどこで生じるかを含め
、現在では不可能である。

0045

ヘマグルチニン(HA)は、中和抗体の主要な標的であるインフルエンザAウイルスか
らの主要なエンベロープ糖タンパク質である。ヘマグルチニンは、流入プロセスの間の2
つの主要な機能を有する。第1に、ヘマグルチニンは、シアル酸受容体との相互作用を介
して標的細胞の表面へのウイルスの付着を媒介する。第2に、ウイルスのエンドイト
シス後、ヘマグルチニンは、続いてウイルスおよびエンドソーム膜の融合を生んでそのゲ
ノムを標的細胞の細胞質中に放出させる。HAは、宿主由来酵素により開裂されてジスル
フィド結合により結合したままの2つのポリペプチドを生成する約500アミノ酸の大型
エクトドメインを含む。大多数のN末端断片(HA1、320〜330アミノ酸)は、受
容体結合部位およびウイルス中和抗体により認識されるほとんどの抗原決定基を含有する
膜遠位球状ドメインを形成する。より小型のC末端部分(HA2、約180アミノ酸)は
、球状ドメインを細胞またはウイルス膜にアンカリングするステム様構造を形成する。亜
型間の配列相同性の程度は、HA1ポリペプチド(34%〜59%の亜型間相同性)がH
A2ポリペプチド(51〜80%の相同性)よりも小さい。ほとんどの保存領域は、開裂
部位周囲の配列、特にHA2N末端23アミノ酸であり、それは全てのインフルエンザA
ウイルス亜型で保存される(Lorieau et al.,2010)。この領域の一
部は、HA前駆体分子(HA0)中で表面ループとして曝露されるが、HA0がHA1お
よびHA2に開裂された場合に接近不可能になる。

0046

ほとんどの中和抗体は、受容体結合部位を包囲するループに結合し、受容体結合および
付着を妨げる。これらのループは高度に変異性であるため、それらの領域を標的化するほ
とんどの抗体は、株特異的であり、なぜ現在のワクチンがそのような限定された株特異的
免疫を誘発するかを説明する。しかしながら、近年、広域交差中和効力を有するインフル
エンザウイルスヘマグルチニンに対する完全ヒトモノクローナル抗体が生成された。機能
および構造分析は、それらの抗体が膜融合プロセスを妨げ、インフルエンザHAタンパク
質のステムドメイン中の高度に保存されたエピトープに対して指向されることを明らかに
した(Throsby et al.,2008;Ekiert et al.2009
、国際公開第2008/028946号パンフレット、国際公開第2010/13063
6号パンフレット、国際公開第2013/007770号パンフレット)。

0047

これらの抗体のエピトープを安定的に提示するステムドメインポリペプチドは、同時係
属特許出願PCT/EP2012/073706号明細書に記載されている。本明細書に
記載のステムドメインポリペプチドの少なくとも一部は、CR6261および/またはC
R9114のエピトープを安定的に提示し、マウスにおいて免疫原性である。CR626
1および/またはCR9114のエピトープを安定的に提示する追加の免疫原性ステムド
メインポリペプチドは、同時係属特許出願PCT/EP2014/060997号明細書
に記載されている。

0048

本発明によれば、これらのエピトープを提示する新たなHAステムドメインポリペプチ
ドが設計された。これらのポリペプチドを使用して広範囲のインフルエンザ株に対する保
護を誘導するユニバーサルエピトープベースワクチンを作出することができる。既に記載
されたステムドメインポリペプチドにおいて同様、高度に変異性の免疫優性部分、すなわ
ち、頭部ドメインを最初に全長HA分子から除去してmini−HAとも称されるステム
ドメインポリペプチドを作出して免疫応答を広域中和抗体についてのエピトープが局在す
るステムドメインに再指向する。上記の広域中和抗体は、新たな作出された分子の正確な
フォールディングを調べるため、および中和エピトープの存在を確認するために使用され
る。

0049

本発明の新たなステムドメインポリペプチドは、以前に記載されたステムポリペプチド
(PCT/EP2012/073706号明細書およびPCT/EP2014/0609
97号明細書)への抗体の結合と比較して抗体、特にCR6261および/またはCR9
114の結合の増加、および/または多量体化する傾向の増加および安定性の増加を示す

0050

本発明のステムドメインポリペプチドは、膜近位ステムドメインHA分子の保存エピ
ープを、膜遠位頭部ドメイン中に存在する優性エピトープの不存在下で免疫系に提示し得
る。この目的のため、頭部ドメインを構成するHA0タンパク質の一次配列の一部を除去
し、直接的に、または一部の実施形態において、短いフレキシブル結合配列(「リンカー
」)を導入することにより再連結させてポリペプチド鎖の連続性を回復させる。得られた
ポリペプチド配列を、HA0分子の残留部分の天然三次元構造を安定化する規定の突然変
異を導入することによりさらに改変する。

0051

本発明は、特に、インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドであって

(a)HA1C末端ステムセグメントに0〜50アミノ酸残基の結合配列により共有結合
しているHA1N末端ステムセグメントを含むインフルエンザヘマグルチニンHA1ドメ
インを含み、前記HA1C末端セグメントは、
(b)インフルエンザヘマグルチニンHA2ドメインに結合しており、HA1およびHA
2ドメインは、H1亜型のHAを含むインフルエンザAウイルス亜型に由来し;
(c)HA1ドメインおよびHA2ドメイン間の連結部におけるプロテアーゼ開裂部位を
含まず;
(d)前記HA1N末端セグメントは、HA1のアミノ酸1〜x、好ましくは、HA1の
アミノ酸p〜xを含み、HA1C末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸y〜C末端
アミノ酸を含み、x=配列番号1の52位(または別のインフルエンザウイルス株のヘマ
グルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり、p=配列番号1の18位(または別のイ
ンフルエンザウイルスのヘマグルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり、y=配列番
号1の321位(または別のヘマグルチニン中の相当位置)上のアミノ酸であり;
(e)アミノ酸残基402〜418を含む領域は、アミノ酸X1NTQX2TAX3GK
EX4N(H/K)X5E(K/R)(配列番号8)を含み:
X1は、M、E、K、V、RおよびTからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X2は、F、I、N、T、H、LおよびY、好ましくは、I、LまたはYからなる群から
選択されるアミノ酸であり、
X3は、V、A、G、I、R、FおよびS、好ましくは、A、IまたはFからなる群から
選択されるアミノ酸であり、
X4は、F、I、N、S、T、Y、E、K、M、およびV、好ましくは、I、Y、Mまた
はVからなる群から選択されるアミノ酸であり、
X5は、L、H、I、N、R、好ましくは、Iからなる群から選択されるアミノ酸であり

(f)337位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、E、K、V、A、およびT
からなる群から選択され、
340位(HA1ドメイン)上のアミノ酸残基は、I、K、R、T、F、N、SおよびY
からなる群から選択され、
352位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、D、V、Y、A、I、N、S、および
Tからなる群から選択され、
353位(HA2ドメイン)上のアミノ酸残基は、K、R、T、E、G、およびVからな
る群から選択され;
(g)324位上のアミノ酸および436位上のアミノ酸間のジスルフィド架橋をさらに
含み;
(h)アミノ酸配列RMKQIEDKIEEIESK(配列番号20)が419〜433
位において導入されており、または配列RMKQIEDKIEEIESKQK(配列番号
21)が417〜433位において導入されている
ポリペプチドを提供する。

0052

したがって、本発明は、天然ヘマグルチニン分子のステムの三次元立体構造模倣する
安定なヘマグルチニンステムドメインポリペプチドを提供する。

0053

本発明のポリペプチドは、全長HA1ドメインを含まない。

0054

それゆえにポリペプチドは、HA0よりも実質的に小型であり、好ましくは、全てまた
は実質的に全てのHAの球状頭部を欠く。好ましくは、免疫原性ポリペプチドは、360
アミノ酸長以下、好ましくは、350、340、330、320、310、305、30
0、295、290、285、280、275、または270アミノ酸長以下である。あ
る実施形態において、免疫原性ポリペプチドは、約250から約350、好ましくは、約
260から約340、好ましくは、約270から約330、好ましくは、約270から約
330アミノ酸長である。

0055

本発明によれば、「HA1N末端セグメント」は、インフルエンザヘマグルチニン(H
A)分子のHA1ドメインのアミノ末端部分に対応するポリペプチドセグメントを指す。
HA1N末端ポリペプチドセグメントは、HA1ドメインの1位からx位のアミノ酸を含
み、x位上のアミノ酸は、HA1内のアミノ酸残基である。用語「HA1C末端セグメン
ト」は、インフルエンザヘマグルチニンHA1ドメインのカルボキシ末端部分に対応する
ポリペプチドセグメントを指す。HA1C末端ポリペプチドセグメントは、HA1ドメイ
ンのy位からC末端アミノ酸(そのアミノ酸を含む)のアミノ酸を含み、y位上のアミノ
酸は、HA1内のアミノ酸残基である。本発明によれば、yは、xよりも大きく、したが
って、HA1N末端セグメントおよびHA1C末端セグメント間、すなわち、HA1のx
位上のアミノ酸およびy位上のアミノ酸間のHA1ドメインのセグメントが欠失しており
、一部の実施形態において、結合配列により置き換えられている。したがって、ある実施
形態において、HA1セグメントの欠失は、x+1位におけるアミノ酸からy−1位にお
けるアミノ酸(そのアミノ酸を含む)のアミノ酸配列を含む。

0056

ある実施形態において、ポリペプチドは、シグナル配列を含まない。したがって、ある
実施形態において、HA1N末端セグメントは、HA1のアミノ酸p〜xを含み、pは、
成熟HA分子の最初のアミノ酸である(例えば、配列番号1の場合、p=18)。当業者
は、他のヘマグルチニン中の相当アミノ酸を決定し、HA1ドメインのx位までシグナル
ペプチド(例えば、配列番号1のアミノ酸1〜17または他のH1インフルエンザウイル
ス株(例えば、表2参照)中の相当位置を有さない本明細書に記載のポリペプチドを調製
することができる。

0057

本発明によれば、HA1N末端セグメントは、HA1ドメインのアミノ酸1〜x、好ま
しくは、p〜xを含み、配列番号1においてx=52であり、p=18であり、またはH
1亜型の他のHA配列中の相当アミノ酸位置である。

0058

本発明によれば、HA1C末端ポリペプチドセグメントは、H1HA1ドメインのy位
からC末端アミノ酸(そのアミノ酸を含む)のアミノ酸を含み、yは、321またはH1
亜型の他のHA配列中の相当アミノ酸位置である。

0059

したがって、本発明によれば、HA1N末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸残
基1〜52、好ましくは、HA1のアミノ酸残基18〜52を含み、HA1C末端ステム
セグメントは、HA1のアミノ酸残基321〜343を含む。ある実施形態において、H
A1N末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸残基1〜52、好ましくは、HA1の
アミノ酸残基18〜52からなり、HA1C末端ステムセグメントは、HA1のアミノ酸
残基321〜343からなる。

0060

本発明によれば、ポリペプチドは、HA1およびHA2ドメイン間の連結部におけるプ
テアーゼ開裂部位を含まない。したがって、ヘマグルチニンステムドメインポリペプチ
ドは、HA1およびHA2間の連結部におけるプロテアーゼ開裂に耐性である。HA1お
よびHA2に及ぶArg(R)〜Gly(G)配列(すなわち、配列番号1のアミノ酸位
置343および344)がトリプシンおよびトリプシン様プロテアーゼについての認識部
位であり、典型的には、ヘマグルチニン活性化のために開裂されることは当業者に公知で
ある。本明細書に記載のHAステムドメインポリペプチドは活性化すべきでないため、本
発明のインフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドは、プロテアーゼ開裂
に耐性である。したがって、本発明によれば、プロテアーゼ開裂部位は、HA1およびH
A2ドメイン間の開裂部位におけるポリペプチドの開裂を防止するために除去されている
。ある実施形態において、プロテアーゼ開裂部位は、プロテアーゼ開裂に耐性である配列
を得るためにC末端HA1セグメントのC末端アミノ酸の突然変異および/またはHA2
ドメインのN末端アミノ酸の突然変異により除去されている。ある実施形態において、あ
る実施形態におけるHA1およびHA2間の開裂部位の除去は、P1位におけるR(わず
かな場合においてK)からQへの突然変異により達成することができる(例えば、開裂部
位(配列番号1の343位)の命名法の説明については、Sun et al,2010
参照)。したがって、ある実施形態において、HA1C末端ステムセグメントのC末端ア
ミノ酸残基は、アルギニン(R)またはリジン(K)以外の任意のアミノ酸である。ある
実施形態において、HA1C末端アミノ酸は、グルタミン(Q)、セリン(S)、トレオ
ニン(T)、アスパラギン(N)、アスパラギン酸(D)またはグルタミン酸(E)であ
る。ある実施形態において、HA1C末端ステムセグメントのC末端アミノ酸残基は、グ
ルタミン(Q)である。

0061

本発明によれば、ポリペプチドは、H1HA、すなわち、H1亜型のインフルエンザウ
イルスからのアミノ酸配列を含むHAに由来し、またはそれをベースとする。特定の実施
形態において、ポリペプチドは、例えば、下記のインフルエンザウイルスA/Brisb
ane/59/2007(H1N1)(配列番号1)からの、H1亜型のHAを含むイン
フルエンザAウイルスのHAからの、またはそれをベースとするヘマグルチニンステムド
メインを含む。H1亜型のHAを含む他のインフルエンザAウイルスを本発明により使用
することができることも当業者により理解される。ある実施形態において、ポリペプチド
は、表2から選択されるインフルエンザAH1ウイルスのHAに由来し、またはそれをベ
ースとするヘマグルチニンステムドメインを含む。「に由来する」または「をベースとす
る」は、HA1ドメインおよび/またはHA2ドメインのN末端セグメント、および/ま
たはC末端セグメントが、当業者に公知のまたは後に発見されるH1亜型の天然インフル
エンザヘマグルチニンのHA1および/またはHA2ドメインの対応するN末端および/
またはC末端セグメントと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%
、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列同一性を有することを意味する

0062

本発明によれば、HA2ドメインは、ヘリックスAのC末端残基をヘリックスCDのN
末端残基に連結するHA2アミノ酸配列中の1つ以上の突然変異を含む(図1)。ヘリ
クスAのC末端残基およびヘリックスCDのN末端残基を連結するH1HA2アミノ酸配
列は、インフルエンザHAの残基402〜418を含むアミノ酸配列を含み(配列番号1
による番号付与)、アミノ酸配列MNTQFTAVGKEFN(H/K)LE(K/R)
(配列番号7)を含む。

0063

ある実施形態において、ヘリックスAのC末端残基をヘリックスCDのN末端残基に連
結するアミノ酸配列、すなわち、血清型H1のインフルエンザHAのアミノ酸残基402
〜418(配列番号1による番号付与)を含む領域は、アミノ酸配列X1NTQX2TA
X3GKEX4N(H/K)X5E(K/R)(配列番号8)を含む。

0064

本発明によれば、402、406、409、413および416位(番号付与は、配列
番号1を指す)上のアミノ酸の1つ以上、すなわち、アミノ酸X1、X2、X3、X4お
よびX5の1つ以上は突然変異しており、すなわち、ステムポリペプチドがベースとする
野生型インフルエンザウイルス中のそれらの位置において生じないアミノ酸を含む。

0065

ある実施形態において、402位上の突然変異アミノ酸、すなわち、X1は、M、E、
K、V、RおよびTからなる群から選択されるアミノ酸である。

0066

ある実施形態において、406位上の突然変異アミノ酸、すなわち、X2は、F、I、
N、T、H、LおよびY、好ましくは、I、LまたはYからなる群から選択されるアミノ
酸である。

0067

ある実施形態において、409位上の突然変異アミノ酸、すなわち、X3は、V、A、
G、I、R、FおよびS、好ましくは、A、IまたはFからなる群から選択されるアミノ
酸である。

0068

ある実施形態において、413位上の突然変異アミノ酸、すなわち、X4は、F、I、
N、S、T、Y、E、K、M、およびV、好ましくは、I、Y、MまたはVからなる群か
ら選択されるアミノ酸である。

0069

ある実施形態において、416位上の突然変異アミノ酸、すなわち、X5は、L、H、
I、N、R、好ましくは、Iからなる群から選択されるアミノ酸である。

0070

これらの突然変異の組合せも可能である。

0071

ある実施形態において、X1はMであり、X2はYであり、X3はIであり、X4はY
であり、X5はSである。

0072

本発明によれば、ステムポリペプチドは、対応する野生型インフルエンザウイルスHA
1および/またはHA2ドメイン、すなわち、ステムポリペプチドがベースとするインフ
ルエンザウイルスのアミノ酸配列と比較してHA1ドメインおよび/またはHA2ドメイ
ン中の1つ以上の追加の突然変異、すなわち、アミノ酸置換を含む。

0073

ある実施形態において、HA0開裂部位(配列番号1の残基343)に近い1つ以上の
アミノ酸残基が突然変異している。ある実施形態において、配列番号1の337、340
、352、もしくは353位または他のインフルエンザウイルス中の相当位置上のアミノ
酸残基の1つ以上が突然変異しており、すなわち、ステムポリペプチドがベースとする野
生型インフルエンザウイルスのHAのアミノ酸配列中の対応する位置において生じないア
ミノ酸により置換されている。表6は、天然アミノ酸変異を示す。

0074

ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1の352位上、または他
のインフルエンザウイルスの相当位置上の少なくとも1つの突然変異を含む。

0075

ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1の353位上、または他
のインフルエンザウイルスの相当位置上の少なくとも1つの突然変異を含む。

0076

ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1の337位上、または他
のインフルエンザウイルスの相当位置上の少なくとも1つの突然変異を含む。

0077

ある実施形態において、本発明のポリペプチドは、配列番号1の340位上、または他
のインフルエンザウイルスの相当位置上の少なくとも1つの突然変異を含む。

0078

ある実施形態において、337位(HA1ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、I
、E、K、V、A、およびTからなる群から選択される。

0079

ある実施形態において、340位(HA1ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、I
、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択される。

0080

ある実施形態において、352位(HA2ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、D
、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択される。

0081

ある実施形態において、353位(HA2ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、K
、R、T、E、G、およびVからなる群から選択される。

0082

ある実施形態において、突然変異アミノ酸は、例えば、配列番号6のI340Nの場合
のように配列中のコンセンサスN−グリコシル化、例えば、N−X−T/S(Xは、Pを
除く任意の天然アミノ酸である)を導入する。

0083

ある実施形態において、突然変異アミノ酸は、同一亜型の配列中で天然で生じないアミ
ノ酸である。

0084

ある実施形態において、337位(HA1ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、K
である。

0085

ある実施形態において、340位(HA1ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、K
である。

0086

ある実施形態において、352位(HA2ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、F
である。

0087

ある実施形態において、353位(HA2ドメイン)上の突然変異アミノ酸残基は、T
である。

0088

本出願全体にわたり、アミノ酸の番号付与はH1HA0中のアミノ酸の番号付与、特に
、H1N1インフルエンザ株A/Brisbane/59/2007(配列番号1)のア
ミノ酸の番号付与をベースとすることがここでも留意される。当業者は、他のインフルエ
ンザウイルスのHA中の相当(または対応する)アミノ酸を決定することができ、したが
って、相当の突然変異を決定することができ、例えば、異なるH1インフルエンザウイル
スの配列アラインメントについては表2参照。

0089

本発明によれば、ポリペプチドは、324位上のアミノ酸および436位上のアミノ酸
間のジスルフィド架橋をさらに含む。したがって、本発明によれば、少なくとも1つのジ
スルフィド架橋がステムドメインポリペプチド中で、好ましくは、H1A/Brisba
ne/59/2007(配列番号1)中の324および436位(またはその相当物)の
アミノ酸間に導入されている。したがって、ある実施形態において、ポリペプチドは、H
A1ドメイン中の突然変異R324CおよびHA2ドメイン中のT436Cをさらに含む
。相当位置は、当業者が好適なアルゴリズム、例えば、Clustal、Muscleな
どを使用して配列をアラインすることにより容易に決定することができる。遺伝子操作
スルフィド架橋は、少なくとも一方(他方が既にシステインである場合)、しかし通常、
空間的に近い2つの残基をシステインに突然変異させ、それが自発的にまたは活性酸化
よりそれらの残基の硫黄原子間の共有結合を形成することにより作出される。

0090

ある実施形態において、ポリペプチドは、HA1およびHA2ドメインが由来するHA
のアミノ酸配列と比較してHA1および/またはHA2ドメイン中の1つ以上の追加の突
然変異をさらに含む。したがって、ステムポリペプチドの安定性がさらに増加する。

0091

本出願人らは、一部がグループ1インフルエンザウイルスについて特異的(例えば、国
際公開第2008/028946号パンフレットに記載のCR6261)および一部がグ
ループ2インフルエンザウイルスについて特異的(例えば、国際公開第2010/130
636号パンフレットに記載のCR8020)であったワクチン接種された個体からの一
次ヒトB細胞から単離された広域中和抗体を既に同定している。これらのモノクローナル
抗体の詳細なエピトープの分析により、それらの特異的抗体の交差反応性の欠落の理由が
明らかになった。両方の場合、異なる位置上のグループ1またはグループ2HA分子中の
グリカンの存在により、抗体がグループ特異的である事実が少なくとも部分的に説明され
た。以下に記載の多くのグループ1および2HA分子と交差反応するCR9114様抗体
の同定により、ヒト免疫系がインフルエンザウイルスに対する極めて広域の中和抗体を誘
発することが可能であることが明らかになった。しかしながら、毎年のワクチン接種スキ
ームの必要性を考慮すると、それらの抗体は、亜型H1および/またはH3の(季節性)
インフルエンザウイルスによる感染後にもワクチン接種後にも明らかに誘発されず、また
は極めて低い程度に誘発されるにすぎない。

0092

本発明によれば、CR6261および/またはCR9114の特異的エピトープを模倣
し、例えば、単独で、または他の予防および/もしくは治療的治療との組合せでインビボ
で投与された場合、交差中和抗体を誘発するために免疫原性ポリペプチドとして使用する
ことができるポリペプチドが提供される。「交差中和抗体」は、少なくとも2つ、好まし
くは、少なくとも3つ、4つ、もしくは5つの系統発生グループ1のインフルエンザAウ
イルスの異なる亜型、および/または少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、4
つ、もしくは5つの系統発生グループ2のインフルエンザAウイルスの異なる亜型、およ
び/または少なくとも2つのインフルエンザBウイルスの異なる亜型、特に、CR626
1およびCR9114により中和される少なくとも全てのウイルス株を中和し得る抗体を
意味する。

0093

本発明のポリペプチドは、ステム結合インフルエンザ中和抗体CR6261および/ま
たはCR9114のエピトープを含む。したがって、ある実施形態において、ポリペプチ
ドは、抗体CR6261および/またはCR9114に選択的に結合する。ある実施形態
において、本発明のポリペプチドは、抗体CR8020および/またはCR8057に結
合しない。本発明において使用されるCR6261は、配列番号9のアミノ酸配列を含む
重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み;CR911
4は、配列番号11のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号12のアミノ酸配
列を含む軽鎖可変領域を含む。CR8057は、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。CR8020は
、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号18のアミノ酸配列を
含む軽鎖可変領域を含む。

0094

上記のとおり、ポリペプチドは、HA1C末端ステムセグメントに0〜50アミノ酸残
基の結合配列により共有結合しているHA1N末端ステムセグメントを含むインフルエン
ザヘマグルチニンHA1ドメインを含む。結合配列は、存在する場合、天然HAにおいて
も野生型HAにおいても生じない。ある実施形態において、リンカーは、1つのアミノ酸
残基、2つ以下のアミノ酸残基、3つ以下のアミノ酸残基、4つ以下のアミノ酸残基、5
つ以下のアミノ酸残基、10以下のアミノ酸残基、15以下のアミノ酸残基、または20
以下のアミノ酸残基または30以下のアミノ酸残基または40以下のアミノ酸残基または
50以下のアミノ酸残基を含むペプチドである。具体的な実施形態において、結合配列は
、G、GS、GGG、GSG、GSA、GSGS、GSAG、GGGG、GSAGS、G
SGSG、GSAGSA、GSAGSAG、およびGSGSGSGからなる群から選択さ
れる配列である。

0095

ある実施形態において、HA1N末端セグメントは、HA1C末端セグメントに直接結
合しており、すなわち、ポリペプチドは、結合配列を含まない。

0096

天然形態のインフルエンザHAは、細胞またはウイルス膜上で三量体として存在する。
ある実施形態において、細胞内および膜貫通配列は、分泌(可溶性)ポリペプチドが細胞
中での発現後に産生されるように除去されている。HAの分泌エクトドメインを発現させ
、精製する方法は記載されている(例えば、Dopheide et al 2009;
Ekiert et al 2009,2011;Stevens et al 200
4,2006;Wilson et al 1981参照)。当業者は、これらの方法を
本発明のステムドメインポリペプチドに直接適用して分泌(可溶性)ポリペプチドの発現
を達成することもできることを理解する。したがって、これらのポリペプチドも本発明に
包含される。

0097

ある実施形態において、ポリペプチドは、全長HA2ドメインを含み、したがって、膜
貫通および細胞内配列を含む。他の実施形態において、本発明のポリペプチドは、HAの
細胞内配列および膜貫通ドメインを含まない。ある実施形態において、ポリペプチドは、
トランケートHA2ドメインを含む。ある実施形態において、細胞内および膜貫通配列、
例えば、HA2ドメインの514、515、516、517、518、519、520、
521、522、523、524、525、526、527、526、528、529、
または530位(またはその相当物)からHA2ドメインのC末端(配列番号1による番
号付与)のアミノ酸配列は、細胞中での発現後に可溶性ポリペプチドが産生されるように
除去されている。

0098

ある実施形態において、519位からC末端アミノ酸のHA2ドメインのC末端部分が
欠失されている。さらなる実施形態において、530位からC末端アミノ酸のHA2ドメ
インのC末端部分が欠失されている。

0099

場合により、hisタグ配列(HHHHHH(配列番号15)またはHHHHHHH(
配列番号16))を、精製目的のために(場合により、トランケートされた)HA2ドメ
インに場合によりリンカーを介して連結させて結合させることができる。場合により、リ
ンカーは、精製後にhisタグを酵素的に除去するためのタンパク質分解開裂部位を含有
し得る。

0100

ある実施形態において、ポリペプチドは、三量体構造を形成することが公知の配列、す
なわち、GYIPEAPRDGQAVRKDGEWVLLSTFL(配列番号3)をH
A2のC末端において場合によりリンカーを介して連結させて導入することによりさらに
安定化される。したがって、ある実施形態において、HA2ドメインのC末端部分は、場
合によりリンカーを介して連結しているアミノ酸配列GYIPEAPRDGQAYVRK
DGEWVLLSTFL(配列番号3)により置き換えられている。リンカーは、場合に
より、当業者に周知のプロトコルに従って後でプロセシングするための開裂部位を含有し
得る。可溶性形態の精製を容易にするため、タグ配列、例えば、hisタグ(HHHHH
H(配列番号15)またはHHHHHHH(配列番号16))またはFLAGタグ(DY
DDDDK)(配列番号22)またはそれらの組合せを場合により短いリンカーを介し
て連結させて付加することができる。リンカーは、場合により、当業者に周知のプロト
ルに従って後でプロセシングするためのタンパク質分解開裂部位(の一部)、例えば、I
EGR(配列番号24)(第X因子)またはLVPRGS(配列番号23)(トロンビン
)を含有し得る。プロセシングされたタンパク質も本発明に包含される。

0101

ある実施形態において、519〜565位のHA2ドメインのC末端部分が欠失されて
おり(配列番号1による番号付与)、SGRDYKDDDDKLVPRGSPGSGYI
PEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGHHHHHH(配列番号4)により
置き換えられている。

0102

ある実施形態において、530〜565位のHA2ドメインのC末端部分が欠失されて
おり(配列番号1による番号付与)、SGRDYKDDDDKLVPRGSPGSGYI
PEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFLGHHHHHH(配列番号4)により
置き換えられている。

0103

天然HAは、細胞表面上の三量体として存在する。三量体を一緒に保持する個々の単量
体間の相互作用のほとんどは、頭部ドメイン中に局在する一方、ステムドメインにおいて
三量体化は三量体コイルドコイルモチーフの形成により媒介される。頭部の除去後、三
次構造は脱安定化され、したがって、タンパク質安定化を増加させるための改変が必要と
される。ヘリックスCDのヘリカル傾向を強化することにより、より安定なタンパク質を
作出することができる。

0104

同時係属出願PCT/EP2014/060997号明細書に記載のポリペプチドにお
いて、酵母転写アクチベータータンパク質GCN4に由来し、三量体化することが公知の
配列MKQIEDKIEEIESKQ(配列番号5)が419〜433位(の相当物)に
おけるCDヘリックス中で導入された。この配列は、ヘリカル二次構造を形成する高い傾
向を有し、こうして本発明のポリペプチドの全安定性を向上させ得る。

0105

驚くべきことに、本発明によれば、ポリペプチドの安定性および多量体化状態が、本発
明のポリペプチドの一次配列中のGCN4由来配列の正確な局在および配列に依存的であ
ることが示された。

0106

したがって、本発明によれば、配列RMKQIEDKIEEIESK(配列番号20)
が419〜433位(配列番号1による番号付与)において導入されており、または配列
RMKQIEDKIEEIESKQK(配列番号21)が417〜433位において導入
されている。

0107

ある実施形態において、ポリペプチドは、グリコシル化されている。

0108

本発明をもたらす研究において、当業者に周知の分子生物学の技術を使用して、例えば
、同時係属特許出願PCT/EP2014/060997号明細書に記載のs74H9(
配列番号65)、s127H1(配列番号66)、s71H2(配列番号71)、s86
B4(配列番号67)、s115A1(配列番号70)、s2201C9(配列番号77
)、s55G7(配列番号68)、s113E7(配列番号78)、s6E12(配列番
号69)、s181H9(配列番号76)を改変して419〜433位における配列RM
KQIEDKIEEIESK(配列番号20)を含有する配列s74H9−t2(配列番
号93)、s127H1−t2(配列番号91)、s71H2−t2(配列番号97)、
s86B4−t2(配列番号92)、s115A1−t2(配列番号96)、s220C
9−t2(配列番号99)、s55G7−t2(配列番号95)、s113E7−t2(
配列番号100)、s6E12−t2(配列番号94)、s181H9−t2(配列番号
98)を作出した。

0109

類似の様式において、417〜433位における配列RMKQIEDKIEEIESK
QK(配列番号21)を含有するポリペプチドs74H9−t3(配列番号123)、s
127H1−t3(配列番号121)、s71H2−t3(配列番号127)、s86B
4−t3(配列番号122)、s115A1−t3(配列番号126)、s2201C9
−t3(配列番号129)、s55G7−t3(配列番号125)、s113E7−t3
(配列番号130)、s6E12−t3(配列番号124)、s181H9−t3(配列
番号128)を作出した。

0110

本発明のポリペプチドは、以前に記載されたステムポリペプチド(PCT/EP201
2/073706号明細書およびPCT/EP2014/060997号明細書)と比較
してインフルエンザ抗体、特にCR6261および/またはCR9114の結合の増加、
および/または多量体化する傾向の増加および/または安定性の増加を示す。

0111

ある実施形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:



を含み、
X1は、E、I、K、V、A、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X2は、I、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択されるアミノ酸であり

X3は、D、F、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸
であり;
X4は、I、K、R、T、E、GおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X5は、M、E、K、V、R、Tからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X6は、F、I、N、S、T、Y、H、およびLからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X7は、A、G、I、R、T、V、F、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X8は、F、I、N、S、T、Y、G、E、K、M、およびVからなる群から選択される
アミノ酸であり;
X9は、H、I、L、N、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸である。

0112

ある実施形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:



を含み、
X1は、E、I、K、V、A、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X2は、I、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択されるアミノ酸であり

X3は、D、F、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸
であり;
X4は、I、K、R、T、E、GおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X5は、M、E、K、V、R、Tからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X6は、F、I、N、S、T、Y、H、およびLからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X7は、A、G、I、R、T、V、F、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X8は、F、I、N、S、T、Y、G、E、K、M、およびVからなる群から選択される
アミノ酸であり;
X9は、H、I、L、N、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸である。

0113

ある実施形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:



を含み、
X1は、E、I、K、V、A、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X2は、I、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択されるアミノ酸であり

X3は、D、F、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸
であり;
X4は、I、K、R、T、E、GおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X5は、M、E、K、V、R、Tからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X6は、F、I、N、S、T、Y、H、およびLからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X7は、A、G、I、R、T、V、F、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X8は、F、I、N、S、T、Y、G、E、K、MおよびVからなる群から選択されるア
ミノ酸であり;
X9は、H、I、L、N、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸である。

0114

ある実施形態において、ポリペプチドは、アミノ酸配列:



を含み、
X1は、E、I、K、V、A、およびTからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X2は、I、K、R、T、F、N、SおよびYからなる群から選択されるアミノ酸であり

X3は、D、F、V、Y、A、I、N、S、およびTからなる群から選択されるアミノ酸
であり;
X4は、I、K、R、T、E、GおよびVからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X5は、M、E、K、V、R、Tからなる群から選択されるアミノ酸であり;
X6は、F、I、N、S、T、Y、H、およびLからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X7は、A、G、I、R、T、V、F、およびSからなる群から選択されるアミノ酸であ
り;
X8は、F、I、N、S、T、Y、G、E、K、MおよびVからなる群から選択されるア
ミノ酸であり;
X9は、H、I、L、N、R、およびSからなる群から選択されるアミノ酸である。

0115

ある実施形態において、配列番号145〜148において、X1はKであり、X2はK
であり、X3はFであり、X4はTであり、X5はMであり、X6はYであり、X7はI
であり、X8はYであり、X9はSである。

0116

インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチドは、当業者に好適と考えら
れる任意の技術、例として、下記の技術に従って調製することができる。

0117

したがって、本発明の免疫原性ポリペプチドは、当分野において公知の標準的方法によ
DNA配列として合成し、当分野において公知の好適な制限酵素および方法を使用して
クローニングし、続いてインビトロまたはインビボで発現させることができる。したがっ
て、本発明はまた、上記のポリペプチドをコードする核酸分子に関する。本発明はさらに
、本発明のポリペプチドをコードする核酸を含むベクターに関する。ある実施形態におい
て、本発明による核酸分子は、ベクター、例えば、プラスミドの一部である。このような
ベクターは、当業者に周知の方法により容易に操作することができ、例えば、原核および
/または真核細胞中で複製し得るように設計することができる。さらに、多くのベクター
は、直接的に、またはそれから単離された所望の断片の形態で真核細胞の形質転換に使用
することができ、全部または一部としてそのような細胞のゲノム中に組み込まれ、所望の
核酸をゲノム中に含む安定な宿主細胞をもたらす。使用されるベクターは、DNAのクロ
ニングに好適であり、関心対象の核酸の転写に使用することができる任意のベクターで
あり得る。宿主細胞が使用される場合、ベクターは組込みベクターであることが好ましい
。あるいは、ベクターは、エピソーム複製ベクターであり得る。

0118

当業者は、好適な発現ベクターを選択し、本発明の核酸配列を機能的に挿入することが
できる。ポリペプチドをコードする核酸配列の発現を得るため、発現を駆動し得る配列を
、ポリペプチドをコードする核酸配列に機能的に結合させ、タンパク質またはポリペプチ
ドを発現可能なフォーマットでコードする組換え核酸分子をもたらすことができることは
当業者に周知である。一般に、プロモーター配列が、発現させるべき配列の上流に配置さ
れる。多くの発現ベクターが当分野において利用可能であり、例えば、Invitrog
enのpcDNAおよびpEFベクター系、BD SciencesからのpMSCVお
よびpTK−Hyg、StratageneからのpCMV−Scriptなどであり、
それらを使用して好適なプロモーターおよび/または転写終結配列ポリA配列などを得
ることができる。関心対象のポリペプチドをコードする配列が、コードされるポリペプチ
ドの転写および翻訳を支配する配列に関して適切に挿入される場合、得られる発現カセッ
トは、関心対象のポリペプチドを産生するために有用であり、それは発現と称される。発
現を駆動する配列には、プロモーター、エンハンサーなど、およびそれらの組合せが含ま
れ得る。これらは、宿主細胞中で機能し得、それによりそれらに機能的に結合している核
酸配列の発現を駆動し得るべきである。当業者は、宿主細胞中での遺伝子の発現を得るた
めに種々のプロモーターを使用することができることを把握する。プロモーターは、構成
的または調節的であり得、種々の資源、例として、ウイルス、原核、もしくは真核資源か
ら得ることができ、または人工的に設計することができる。関心対象の核酸の発現は、天
然プロモーターもしくはその誘導体から、または完全に異種のプロモーター(Kaufm
an,2000)からのものであり得る。一部の周知で、真核細胞中での発現にかなり使
用されるプロモーターは、ウイルス、例えば、アデノウイルスに由来するプロモーター、
例えば、E1Aプロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)に由来するプロモーター
、例えば、CMV前初期(IE)プロモーター(本発明においてCMVプロモーターと称
される)(例えば、pcDNA、Invitrogenから得られる)、シミアンウイル
ス40(SV40)に由来するプロモーター(Das et al,1985)などを含
む。好適なプロモーターは、真核細胞からも由来し得、例えば、メタロチオネインMT
)プロモーター、伸長因子1α(EF−1α)プロモーター(Gill et al.,
2001)、ユビキチンCまたはUB6プロモーター(Gill et al.,200
1)、アクチンプロモーター免疫グロブリンプロモーター、熱ショックプロモーターな
どである。プロモーター機能およびプロモーターの強度についての試験は、当業者の定型
事項であり、一般に、例えば、試験遺伝子、例えば、プロモーター配列後方のlacZ、
ルシフェラーゼ、GFPなどのクローニング、および試験遺伝子の発現試験を包含し得る
。無論、プロモーターは、その配列の欠失、付加、突然変異により変え、機能性について
試験して新たな、減衰した、または改善されたプロモーター配列を見出すことができる。
本発明によれば、最適な真核細胞中で高い転写レベルを付与する強力なプロモーターが好
ましい。

0119

当業者に周知の方法を使用して構築物を真核細胞(例えば、植物、真菌、酵母または動
物細胞)または大腸菌(E.coli)などの好適な原核発現系中に形質移入することが
できる。一部の場合、好適な「タグ」配列(例えば、限定されるものではないが、his
、myc、strep、またはflagタグなど)または完全タンパク質(例えば、限定
されるものではないが、マルトース結合タンパク質またはグルタチオントランスフェラ
ーゼなど)を本発明の配列に付加して細胞または上清からのポリペプチドの精製および/
または同定を可能とすることができる。場合により、特異的タンパク質分解部位を含有す
る配列を含めて後でタグをタンパク質分解消化により除去することができる。

0120

精製ポリペプチドは、当分野において公知の分光法(例えば、円偏光二色分光法、フー
リエ変換赤外分光法およびNMR分光法またはX線結晶分析法)により分析してへリック
スおよびベータシートなどの所望の構造の存在を調査することができる。以前に記載され
た広域中和抗体(CR6261、CR9114、CR8057)への本発明のポリペプチ
ドの結合を調査するためにELISA、OctetおよびFACSなどを使用することが
できる。したがって、正確な立体構造を有する本発明によるポリペプチドを選択すること
ができる。

0121

本発明は、さらに、治療有効量の本発明のポリペプチドおよび/または核酸の少なくと
も1つを含む免疫原性組成物に関する。免疫原性組成物は、好ましくは、薬学的に許容可
能な担体をさらに含む。本文脈において、用語「薬学的に許容可能な」は、担体が用いら
れる投与量および濃度において、それが投与される対象中で不所望な効果も有害効果も引
き起こさないことを意味する。このような薬学的に許容可能な担体および賦形剤は、当分
野において周知である(Remington’s Pharmaceutical Sc
iences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,Mack
Publishing Company[1990];Pharmaceutical
Formulation Development of Peptides and
Proteins,S.Frokjaer and L.Hovgaard,Eds
,Taylor & Francis[2000];およびHandbook of P
harmaceutical Excipients,3rd edition,A.K
ibbe,Ed.,Pharmaceutical Press[2000]参照)。用
語「担体」は、組成物がともに投与される希釈剤補助剤、賦形剤、またはビヒクルを指
す。生理食塩溶液および水性デキストローズおよびグリセロール溶液は、例えば、特に注
射溶液のための液体担体として用いることができる。正確な配合は、投与の様式に適合
べきである。ポリペプチドおよび/または核酸分子は、好ましくは、滅菌溶液として配合
および投与される。滅菌溶液は、滅菌濾過により、または当分野において自体公知の他の
方法により調製される。次いで、溶液は、凍結乾燥または医薬投与容器中に充填すること
ができる。溶液のpHは、一般に、pH3.0から9.5、例えば、pH5.0から7.
5の範囲である。

0122

本発明はまた、対象において免疫応答を誘導する方法であって、対象に上記のポリペプ
チド、核酸分子および/または免疫原性組成物を投与することを含む方法に関する。本発
明による対象は、好ましくは、感染性疾患惹起作用物質、特にインフルエンザウイルスに
より感染され得、またはそうでなければ免疫応答の誘導から利益を受け得る哺乳動物であ
り、そのような対象は、例えば、げっ歯類、例えば、マウス、フェレット、または家庭
しくは農場動物、または非ヒト霊長類、またはヒトである。好ましくは、対象は、ヒト対
象である。したがって、本発明は、特にグループ1および/もしくはグループ2インフル
エンザAウイルス、例えば、H1、H2、H3、H4、H5、H7および/もしくはH1
0亜型のHAを含むインフルエンザウイルス、ならびに/またはインフルエンザBウイル
スのインフルエンザウイルスヘマグルチニン(HA)に対する免疫応答を、本明細書に記
載のポリペプチド、核酸および/または免疫原性組成物を利用する対象において誘導する
方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、
核酸および/または免疫原性組成物を利用して対象においてH1亜型のHAを含むインフ
ルエンザウイルスに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。

0123

一部の実施形態において、誘導される免疫応答は、グループ1および/もしくはグルー
プ2インフルエンザAウイルス亜型ならびに/またはインフルエンザBウイルスにより引
き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防および/または治療するために有効であ
る。一部の実施形態において、本明細書に記載のポリペプチド、核酸および/または免疫
性組成物により誘導される免疫応答は、インフルエンザAウイルスの2、3、4、5も
しくは6つの亜型および/またはインフルエンザBウイルスにより引き起こされるインフ
ルエンザAおよび/またはBウイルス感染を予防および/または治療するために有効であ
る。一部の実施形態において、誘導される免疫応答は、H1亜型のHAを含むインフルエ
ンザウイルスにより引き起こされるインフルエンザウイルス感染を予防および/または治
療するために有効である。

0124

小型タンパク質および/または核酸分子は強力な免疫応答を常に有効に誘導するわけで
はないことが周知であるため、アジュバントを添加することによりポリペプチドおよび/
または核酸分子の免疫原性を増加させることが必要であり得る。ある実施形態において、
本明細書に記載の免疫原性組成物は、アジュバントを含み、またはそれとの組合せで投与
される。本明細書に記載の組成物との組合せ投与のためのアジュバントは、前記組成物の
投与前、投与と同時に、または投与後に投与することができる。好適なアジュバントの例
には、アルミニウム塩、例えば、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウム
;油−エマルション組成物(または水中油型組成物)、例として、スクアレン−水エマル
ション、例えば、MF59(例えば、国際公開第90/14837号パンフレット参照)
サポニン配合物、例えば、QS21および免疫刺激複合体ISCOM)など(例えば
、米国特許第5,057,540号明細書;国際公開第90/03184号パンフレット
、国際公開第96/11711号パンフレット、国際公開第2004/004762号パ
フレット、国際公開第2005/002620号パンフレット参照);細菌または微生
物誘導体が含まれ、その例は、モノホスホリルリピドA(MPL)、3−O−脱アシル化
MPL(3dMPL)、CpG−モチーフ含有オリゴヌクレオチドADPリボシル化
細菌毒素またはその突然変異体、例えば、大腸菌(E.coli)熱不安定エンテロトキ
シンLTコレラ毒素CT、百日咳毒素PT、または破傷風トキソイドTT、Matri
x M(Isconova)である。さらに、公知の免疫強化技術、例えば、免疫応答を
向上させることが当分野において公知のタンパク質(例えば、破傷風トキソイド、CRM
197、rCTB、細菌性フラジェリンなど)への本発明のポリペプチドの融合またはビ
ロソーム中へのポリペプチドの包含、またはそれらの組合せを使用することができる。使
用することができる他の非限定的な例は、例えば、Coffman et al.(20
10)により開示されている。

0125

一実施形態において、本発明のインフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプ
チドは、ウイルス様粒子(VLP)ベクター中に取り込まれる。VLPは、一般に、典型
的には、ウイルスの構造タンパク質に由来するウイルスポリペプチドを含む。好ましくは
、VLPは、複製し得ない。ある実施形態において、VLPは、ウイルスの全ゲノムを欠
き得、またはウイルスのゲノムの一部を含み得る。一部の実施形態において、VLPは、
細胞に感染し得ない。一部の実施形態において、VLPは、それらの表面上で当業者に公
知のウイルス(例えば、ウイルス表面糖タンパク質)または非ウイルス(例えば、抗体ま
たはタンパク質)標的化部分の1つ以上を発現させる。

0126

具体的な実施形態において、本発明のポリペプチドは、ビロソーム中に取り込まれる。
本発明によるポリペプチドを含有するビロソームは、当業者に公知の技術を使用して産生
することができる。例えば、ビロソームは、精製ウイルスを破壊し、ゲノムを抽出し、粒
子をウイルスタンパク質(例えば、インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペ
プチド)および脂質とリアソートさせてウイルスタンパク質を含有する脂質粒子を形成す
ることにより産生することができる。

0127

本発明はまた、特にワクチンとして使用される、インフルエンザHAに対する対象にお
ける免疫応答を誘導するための上記のポリペプチド、核酸および/または免疫原性組成物
に関する。したがって、インフルエンザヘマグルチニンステムドメインポリペプチド、そ
のようなポリペプチドをコードする核酸、またはそのような核酸を含むベクターまたは本
明細書に記載のポリペプチドは、インフルエンザウイルスに対する、例えば、インフルエ
ンザウイルスヘマグルチニンのステム領域に対する中和抗体を誘発させるために使用する
ことができる。本発明は特に、系統発生グループ1および/もしくは系統発生グループ2
のインフルエンザAウイルスならびに/またはインフルエンザBウイルスにより引き起こ
される疾患または病態の予防および/または治療においてワクチンとして使用される上記
のポリペプチド、核酸、および/または免疫原性組成物に関する。一実施形態において、
ワクチンは、系統発生グループ1および/または2の2、3、4、5、6もしくはそれよ
り多い異なる亜型ならびに/またはインフルエンザBウイルスにより引き起こされる疾患
の予防および/または治療において使用することができる。一実施形態において、ワク
ンは、H1亜型のHAを含むインフルエンザウイルスにより引き起こされるインフルエン
ザ感染の予防および/または治療において使用することができる。

0128

本発明のポリペプチドは、合成後にインビトロで、または好適な細胞発現系、例として
、細菌および真核細胞中で使用することができ、またはインビボでそれが必要とされる対
象中で、免疫原性ポリペプチドをコードする核酸を発現させることにより発現させること
ができる。このような核酸ワクチンは、任意の形態、例として、ネイキッドDNA、プラ
スミド、またはウイルスベクター、例として、アデノウイルスベクターを取り得る。

0129

本発明によるポリペプチド、核酸分子、および/または免疫原性組成物の投与は、標準
的な投与経路を使用して実施することができる。非限定的な例には、非経口投与、例えば
静脈内、皮内、経皮筋肉内、皮下など、または粘膜投与、例えば、鼻腔内、経口など
が含まれる。当業者は、本発明によるポリペプチド、核酸分子、および/または免疫原性
組成物を投与して免疫応答を誘導する種々の可能性を決定することができる。ある実施形
態において、ポリペプチド、核酸分子、および/または免疫原性組成物(またはワクチン
)は、2回以上、すなわち、いわゆる同種プライムブーストレジメンで投与される。ポリ
ペプチド、核酸分子、および/または免疫原性組成物が2回以上投与されるある実施形態
において、第2の用量の投与は、例えば、第1の用量の投与後1週間以上の時間間隔後、
第1の用量の投与後2週間以上、第1の用量の投与後3週間以上、第1の用量の投与後1
ヵ月以上、第1の用量の投与後6週間以上、第1の用量の投与後2ヵ月以上、第1の用量
の投与後3ヵ月以上、第1の用量の投与後4ヵ月以上など、ポリペプチド、核酸分子、お
よび/または免疫原性組成物の第1の用量の投与後数年まで実施することができる。ワク
チンを第1のプライミング投与後に2回以上のブースト投与が続くように3回以上、例え
ば、3回、4回など投与することも可能である。他の実施形態において、本発明によるポ
リペプチド、核酸分子、および/または免疫原性組成物は、1回のみ投与される。

0130

ポリペプチド、核酸分子、および/または免疫原性組成物は、プライムまたはブースト
のいずれかとして、異種プライム−ブーストレジメンで投与することもできる。

0131

本発明は、本明細書に記載のポリペプチド、核酸および/または組成物を利用して対象
においてインフルエンザウイルス疾患を予防および/または治療する方法をさらに提供す
る。具体的な実施形態において、対象においてインフルエンザウイルス疾患を予防および
/または治療する方法は、それが必要とされる対象に有効量の上記のポリペプチド、核酸
および/または免疫原性組成物を投与することを含む。治療有効量は、グループ1もしく
は2インフルエンザAウイルス、および/またはインフルエンザBウイルスによる感染か
ら生じる疾患または病態、特にH1亜型のHAを含むインフルエンザAウイルスの感染に
より引き起こされる疾患の予防、改善および/または治療に有効な本明細書に定義のポリ
ペプチド、核酸、および/または組成物の量を指す。予防は、インフルエンザウイルスの
拡散の阻害もしくは低減またはインフルエンザウイルスによる感染に伴う症状の1つ以上
の発症、発現もしくは進行の阻害もしくは低減を包含する。本明細書において使用される
改善は、可視もしくは知覚疾患症状ウイルス血症、または任意の他の計測可能なインフ
ルエンザ感染の症候の低減を指し得る。

0132

治療が必要とされる者には、グループ1もしくはグループ2インフルエンザAウイルス
、またはインフルエンザBウイルスによる感染から生じた病態により既に苦痛を受ける者
、およびインフルエンザウイルスによる感染を予防すべき者が含まれる。したがって、本
発明のポリペプチド、核酸および/または組成物は、未投薬の対象、すなわち、インフル
エンザウイルス感染により引き起こされる疾患を有さない、もしくはインフルエンザウイ
ルス感染により感染されたことがなく、現在も感染されていない対象、またはインフルエ
ンザウイルスにより既に感染され、および/または感染されたことのある対象に投与する
ことができる。

0133

一実施形態において、予防および/または治療は、インフルエンザウイルス感染を受け
やすい患者群において標的化することができる。このような患者群には、限定されるもの
ではないが、例えば、高齢(例えば、≧50、≧60歳、好ましくは、≧65歳)、若
年(例えば、≦5歳、≦1歳)、入院患者および抗ウイルス化合物により治療されたが、
不適切抗ウイルス応答を示した患者が含まれる。

0134

別の実施形態において、ポリペプチド、核酸および/または免疫原性組成物は、対象に
1つ以上の他の活性剤、例えば、既存または将来のインフルエンザワクチン、モノクロ
ナル抗体および/または抗ウイルス剤、および/または抗菌剤、および/または免疫調節
剤との組合せで投与することができる。1つ以上の他の活性剤は、インフルエンザウイル
ス疾患の治療および/または予防において有益であり得、またはインフルエンザウイルス
疾患に伴う症状または病態を改善し得る。一部の実施形態において、1つ以上の他の活性
剤は、鎮痛剤、抗発熱薬、または呼吸緩和もしくは補助する治療物である。

0135

本発明のポリペプチドおよび/または核酸分子の投与レジメンは、最適な所望の応答(
例えば、治療応答)を提供するように調整することができる。好適な投与量範囲は、例え
ば、0.1〜100mg/kg体重、好ましくは、1〜50mg/kg体重、好ましくは
、0.5〜15mg/kg体重であり得る。用いるべきポリペプチドおよび/または核酸
分子の正確な投与量は、例えば、投与経路、および感染またはそれにより引き起こされる
疾患の重症度に依存し、医師の判断および各対象の状況に従って決定すべきである。例え
ば、有効用量は、患者の標的部位生理学的状態(例として、年齢、体重、健康)に応じ
て変動し、治療が予防的または治療的であるかを問わない。通常、患者は、ヒトであるが
非ヒト哺乳動物、例として、トランスジェニック哺乳動物を治療することもできる。治
療投与量は、安全性および効力を最適化するように最適に力価測定される。

0136

本発明のポリペプチドは、潜在的な治療候補物として同定されたモノクローナル抗体の
結合を確認するために使用することもできる。さらに、本発明のポリペプチドは、診断ツ
ールとして、例えば、本発明のポリペプチドに結合し得るそのような個体の血清中の抗体
が存在するか否かを確認することにより個体の免疫状態を試験するために使用することが
できる。したがって、本発明はまた、患者におけるインフルエンザ感染の存在を検出する
インビトロ診断法であって、a)前記患者から得られた生物学的試料を本発明によるポリ
ペプチドと接触させるステップ;およびb)抗体−抗原複合体の存在を検出するステップ
を含む方法に関する。

0137

本発明のポリペプチドは、新たな結合分子を同定するため、または既存の結合分子、例
えば、モノクローナル抗体および抗ウイルス剤を改善するために使用することもできる。

0138

本発明を以下の実施例および図面においてさらに説明する。実施例は、本発明の範囲を
決して限定するものではない。

0139

実施例1:PCT/EP2014/060997号明細書に記載のステムベースポリペプ
チド
PCT/EP2012/073706号明細書は、インフルエンザヘマグルチニンステ
ムドメインポリペプチド、組成物およびワクチンならびにインフルエンザの予防および/
または治療の分野におけるそれらの使用方法を開示している。PCT/EP2014/0
60997号明細書は、H1−mini2−cluster1+5+6−GCN4(配列
番号2)の部位特異的突然変異により得られ、CR6261(Throsby et a
l,2009;Ekiert et al 2010)および/またはCR9114の広
域中和エピトープをさらに安定的に提示したH1N1A/Brisbane/59/20
07(配列番号1)の全長HAに由来するステムドメインポリペプチドの付加配列を開示
している。

0140

H1−mini2−cluster1+5+6−GCN4(配列番号2)は、H1N1
A/Brisbane/59/2007(配列番号1)の全長HAから以下のステップを
利用することにより導いた:
1.HA0の開裂部位を除去すること。この部位における野生型HAの開裂は、HA1お
よびHA2をもたらす。除去は、P1位におけるRからQへの突然変異により達成するこ
とができる(例えば、開裂部位(配列番号1の343位)の命名法の説明については、S
un et al,2010参照)。
2.配列番号1からアミノ酸53から320を欠失させることにより頭部ドメインを除去
すること。配列の残りのNおよびC末端部分は、4残基フレキシブルリンカーGGGGに
より結合させた。
3.H1A/Brisbane/59/2007(配列番号1)中の残基402から41
8(の相当物)により形成されるループ(AへリックスおよびCDへリックス間)の溶解
度を増加させて融合前立体構造の安定性を増加させ、改変HAの融合後立体構造を脱安定
化させること。H1−mini2−cluster1+5+6−GCN4(配列番号2)
において、突然変異F406S、V409T、F413GおよびL416S(番号付与は
、配列番号1を指す)を導入した。
4.H1A/Brisbane/59/2007中の324および436位におけるアミ
ノ酸間のジスルフィド架橋を導入すること;これは、突然変異R324CおよびY436
C(番号付与は、配列番号1を指す)を導入することにより達成される。
5.三量体化することが公知のGCN4由来配列MKQIEDKIEEIESKQ(配列
番号5)を419〜433位(番号付与は配列番号1を指す)において導入すること。

0141

ある実施形態において、分泌(可溶性)ポリペプチドが細胞中での発現後に産生される
ように、膜貫通および細胞内ドメインの配列は、HA2の514、515、516、51
7、518、519、520、521、522、523、524、525、526、52
6、527、528、529、または530位(または配列アラインメントから決定して
その相当物)からHA2のC末端(配列番号1による番号付与)まで欠失されている。可
溶性ポリペプチドは、三量体構造を形成することが公知の配列、すなわち、foldon
配列GYIPEAPRDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号3)を、場合
により上記の短いリンカーを介して連結させて導入することによりさらに安定化させた。
リンカーは、場合により、当業者に周知のプロトコルに従って後でプロセシングするため
の開裂部位を含有し得る。可溶性形態の精製および検出を容易にするため、タグ配列、例
えば、ヒスチジンタグ(HHHHHH(配列番号15)もしくはHHHHHHH(配列番
号16)またはFLAGタグ(DYKDDDDK;配列番号22)またはそれらの組合せ
を場合により短いリンカーを介して連結させて場合により付加することができる。リンカ
ーは、場合により、当業者に周知のプロトコルに従って後でプロセシングするためのタン
パク質分解開裂部位(の一部)、例えば、LVPRGS(配列番号23)(トロンビン)
またはIEGR(配列番号24)(第X因子)を含有し得る。プロセシングされたタンパ
ク質も本発明に包含される。

0142

FLAGタグ、トロンビン開裂部位、foldon、およびHis配列を組み合わせる
このようなC末端配列の一例は、配列番号4のFLAG−thrombin−foldo
n−Hisである。この配列をH1−mini2−cluster1+5+6−GCN4
(配列番号2)配列の可溶性形態と組み合わせて親配列(配列番号6)を作出し、それを
使用して突然変異導入により本発明の新規ポリペプチドを作出した。この配列は、配列番
号1および2のアミノ酸1〜17に対応するリーダー配列を含有しない。

0143

したがって、ステムドメインポリペプチドは、PCT/2012/073706号明細
書および上記に記載のとおり分子の頭部ドメインをコードするヘマグルチニン配列の一部
を欠失させ、配列のNおよびC末端部分を欠失の両側でリンカーを介して再連結させるこ
とにより作出した。頭部ドメインの除去は、水性溶媒から既に保護された分子の一部を曝
露されたままとし、本発明のポリペプチドの構造を潜在的に脱安定化させる。この理由の
ため、Bループ中の残基(特にアミノ酸残基406(配列番号1および2のそれぞれFお
よびS)、409(VおよびT)413(FおよびG)および416(LおよびS)を、
親配列の配列番号6を出発点として使用して種々の組合せにおいて突然変異させた。配列
番号6は、H1−mini2−cluster1+5+6−GCN4(配列番号2)から
、リーダー配列を除去し、残基520〜565をFlag−thrombin−fold
on−−his配列(配列番号4)により置き換えることにより作出した。

0144

同様に、融合ペプチド周辺の区域において、多数の疎水性残基が溶媒に曝露され、この
ことは、天然全長HAとは異なり、ポリペプチドが開裂され得ず、タンパク質内部に疎水
性融合ペプチドを埋め込む関連立体構造変化を受ける事実により引き起こされる。この問
題に対処するため、配列番号2の残基I337、I340、F352およびI353の一
部または全部も突然変異させた。

0145

このように、HAステムポリペプチドの可溶性形態74H9(配列番号57)、127
H1(配列番号55)、71H2(配列番号61)、86B4(配列番号56)、115
A1(配列番号60)、2201C9(配列番号63)、55G7(配列番号59)、1
13E7(配列番号64)、6E12(配列番号58)、181H9(配列番号62)を
作出した。

0146

当業者に周知のプロトコルを使用して上記ポリペプチドをコードするDNA配列をピキ
ア・パストリス(Pichia pastoris)中に形質転換させ、またはHEK2
93F細胞中に形質移入した。哺乳動物細胞中の発現に使用される構築物は、HAリーダ
ー配列(配列番号1および2の残基1〜17)を含有した一方、ピキア・パストリス(P
.pastoris)中の発現に使用される構築物において、HAリーダー配列を酵母ア
ファ因子リーダー配列(配列番号7)により置き換えた。このように発現タンパク質
細胞培養培地に指向させ、したがって、本発明のポリペプチドのさらなる精製なしで結合
および発現の決定を可能とした。全ての配列は、FLAG−foldon−HISC末
端配列(配列番号4)を含有した。

0147

ポリペプチドへのモノクローナル抗体結合(CR6261、CR9114、CR802
0)は、ELISAにより決定した。この目的のため、ELISAプレートを2μg/m
lのモノクローナル抗体溶液(20μl/ウェル)により4℃において一晩処理した。抗
体溶液の除去後、残留表面を脱脂粉乳のPBS中4%溶液により室温において少なくとも
1時間ブロッキングした。プレート洗浄した後、20μlの細胞培養培地(無希釈また
は希釈)をそれぞれのウェルに添加し、室温において少なくとも1時間インキュベート
た。次いで、ELISAプレートを洗浄し、20μlの抗FLAG−HRP抗体溶液(S
igma A8952、PBS−Tween中4%の脱脂粉乳中2000倍希釈)を添加
した。インキュベーション(室温において1時間)後、プレートを再度1回洗浄し、20
μlの発光基質(Thermoscientific C#34078)を添加してシグ
ナルを発現させた。あるいは、比色検出法を使用してシグナルを発現させることができる

0148

本発明のポリペプチドの発現は、均一性時間分解蛍光アッセイ(一般的記載について、
例えば、Degorce et al.,Curr.Chem.Genomics 20
09 3:22−32参照)から決定することができる。この目的のため、テルル(Tb
標識抗FLAGモノクローナル抗体(ドナー)およびAlexa488標識抗Hisモ
クローナル抗体(アクセプター)の混合物HTF溶液)は、210.5μlの抗F
LAG−TB(原液26μg/ml)および1.68mlの抗HIS−488(原液50
μg/ml)を培養培地および50mMのHEPES+0.1%のBSAの80mlの1
対1混合物に添加することにより調製した。19μlのHTRF溶液をELISAプレー
トのそれぞれのウェルに添加し、1μlの培養培地を添加した。励起時および他の化合物
(タンパク質、培地構成要素など)から生じる短期寿命バックグラウンドシグナルの減衰
を可能にするための遅延後、520および665nmにおける蛍光発光の比を決定した。
これは、試料中の総タンパク質含有率尺度であり、異なる実験間のmAb結合シグナル
を正規化するために使用する。

0149

当業者に周知のプロトコルに従って表3および4に列記されるポリペプチドをピキア・
パストリス(P.Pastoris)中で発現させた。培養培地を回収し、ステムドメイ
ンポリペプチドのCR6261結合への結合および発現を上記のとおり決定した。結合ア
セイにおける応答は発現タンパク質の濃度に対応するため、それぞれの発現配列につい
てのHTRFアッセイにおけるシグナルに対する結合シグナルの比を比較することにより
ELISA結合シグナルをタンパク質発現について正規化した。全ての発現ポリペプチド
は、配列番号6の親配列と比較して高いHTRFシグナルとCR6261結合との比を示
す。

0150

さらに、CR6261結合とHTRFシグナルとの比を計算し、親配列の配列番号6に
ついて計算された比と比較した。結果を表3および4の第5列に列記し;全ての発現タン
パク質は、より高い比を示し、上記ステムポリペプチドがCR6261の結合の増加を示
すことを示す。

0151

実施例2:本発明のポリペプチドの設計および特性決定
本発明のポリペプチドは、酵母転写アクチベータータンパク質GCN4に由来する配列
RMKQIEDKIEEIESK(配列番号20)またはRMKQIEDKIEEIES
KQK(配列番号21)をCDヘリックス中で含有する。この配列は、ヘリカル二次構造
を形成する高い傾向を有し、こうして本発明のポリペプチドの全安定性を向上させ得る。
驚くべきことに、本発明によれば、本発明のポリペプチドの安定性および凝集状態が本発
明のポリペプチドの一次配列中のGCN4由来配列の正確な局在および配列に依存的であ
ることが見出された。

0152

したがって、ここで、本発明者らは、配列RMKQIEDKIEEIESK(配列番号
20)が419〜433位において導入されており(配列番号1による番号付与;例えば
、配列番号81から110)または配列RMKQIEDKIEEIESKQK(配列番号
21)が417〜433位において導入されている(例えば、配列番号111から140
)本発明のポリペプチドの新規セットを記載する。

0153

この目的のため、当業者に周知の分子生物学の技術を使用して実施例1に記載のポリペ
プチド、すなわち、74H9(配列番号57)、127H1(配列番号55)、71H2
(配列番号61)、86B4(配列番号56)、115A1(配列番号60)、2201
C9(配列番号63)、55G7(配列番号59)、113E7(配列番号64)、6E
12(配列番号58)、181H9(配列番号62)を改変して419〜433位におけ
る配列RMKQIEDKIEEIESK(配列番号20)を含有する配列74H9−t2
(配列番号83)、127H1−t2(配列番号81)、71H2−t2(配列番号87
)、86B4−t2(配列番号82)、115A1−t2(配列番号86)、220C9
−t2(配列番号89)、55G7−t2(配列番号85)、113E7−t2(配列番
号90)、6E12−t2(配列番号84)、181H9−t2(配列番号88)を作出
した。

0154

類似の様式において、417〜433位における配列RMKQIEDKIEEIESK
QK(配列番号21)を含有する配列74H9−t3(配列番号113)、127H1−
t3(配列番号111)、71H2−t3(配列番号117)、86B4−t3(配列番
号112)、115A1−t3(配列番号116)、2201C9−t3(配列番号11
9)、55G7−t3(配列番号115)、113E7−t3(配列番号120)、6E
12−t3(配列番号114)、181H9−t3(配列番号118)を作出した。

0155

本発明のポリペプチドは、異なるウイルス株からのHA分子の配列に基づき作出するこ
とができる。例えば、配列番号149〜155は、H1N1A/California/
07/09株のHA配列をベースとする本発明のポリペプチドを記載する。

0156

上記のとおり、本発明の可溶性ポリペプチドは、例えば、HA2ドメインの残基519
、520、521、522、523、524、525、526、527、526、528
、529、または530からHA2ドメインのC末端(配列番号1による番号付与)のH
ベース配列のC末端部分を除去することにより作出することができる。

0157

ポリペプチドは、三量体構造を形成することが公知の配列、すなわち、GYIPEAP
RDGQAYVRKDGEWVLLSTFL(配列番号3)を場合によりリンカーを介し
て連結させて導入することによりさらに安定化させることができる。リンカーは、場合に
より、当業者に周知のプロトコルに従って後でプロセシングするための開裂部位を含有し
得る。可溶性形態の精製を容易にするため、タグ配列、例えば、hisタグ(HHHHH
HH(配列番号16)もしくはHHHHHH(配列番号15))またはFLAGタグ(D
YKDDDDK)(配列番号22)またはそれらの組合せを場合により短いリンカーを介
して連結させて付加することができる。リンカーは、場合により、当業者に周知のプロト
コルに従って後でプロセシングするためのタンパク質分解開裂部位(の一部)、例えば、
IEGR(配列番号24)(第X因子)またはLVPRGS(配列番号23)(トロン
ン)を含有し得る。プロセシングされたタンパク質も本発明に包含される。

0158

配列番号55〜64および81〜90のポリペプチドの可溶性形態は、残基519〜5
65(番号付与は配列番号1を指す)の相当物を、改変トロンビン開裂部位および6ヒス
チジンタグ(配列番号15)の両方を含有する配列RSLVPRGSPGHHHHHHに
より置き換えることにより作出し、当業者に周知のプロトコルに従ってHEK293F細
胞中で発現させた。

0159

比較のため、H1−mini2−cluster1+5+6−GCN4t2(配列番号
52)およびH1−mini2−cluster1+5+6−GCN4t3(配列番号5
3)の可溶性形態。培養培地を回収し、CR6261、CR9114への結合は、サンド
イッチELISAにより、培養培地から直接本発明のポリペプチドを捕捉するためのコー
トmAbのCR6261またはCR9114および検出目的のためのC末端hisタグに
対して指向されるセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗体を使用
して検出した。あるいは、ビオチン化CR9114を、HRPコンジュゲートストレプト
アビジンとの組合せで、サンドイッチELISAにおけるCR9114により捕捉された
本発明のポリペプチドの検出に使用した。このフォーマットは、本発明のポリペプチドの
多量体形態の存在の検出を可能とする。試験された本発明の全てのポリペプチドは、EL
ISAにより決定されたとおりCR9114(図2AおよびB、図3AおよびBならびに
図4AおよびB)およびCR6261(図2CおよびD、図3CおよびD、図4Cおよび
D)に結合し得た。CR9114捕捉−ビオチン化CR9114検出サンドイッチELI
SAにより検出される多量体化のレベルの増加は、図2EおよびF、図3EおよびFなら
びに図4EおよびFに示されるとおりs55G7−t2(配列番号95)、s86B4−
t2(配列番号92)、s115A1−t2(配列番号96)、s127H1−t2(配
列番号91)、s113E7−t2(配列番号100)、s220C9−t2(配列番号
99)、s71H2−t3(配列番号127)、s127H1−t3(配列番号121)
、s74H9−t3(配列番号123)について観察された。

0160

さらなる特性決定のために本発明のポリペプチドの高度に純粋な調製物を得るため、H
EK293F細胞に、127H1−t2(配列番号81)、86B4−t2(配列番号8
2)および55G7−t2(配列番号85)の可溶性形態をコードする遺伝子を含有する
発現ベクターpcDNA2004を形質移入した。産生の間にタンパク質の輸送を指向す
るリーダー配列(またはシグナル配列)(配列番号1のアミノ酸1〜17に対応)が分泌
最終ポリペプチド中に存在しないことが当業者により理解される。

0161

本発明のポリペプチドの生成のため、HEK293F細胞(Invitrogen)を
300gにおいて5分間スピンダウンさせ、SF1000フラスコを介して300mLの
予備加温Freestyle(商標)培地中で再懸濁することにより1.0*106vc
/mLを播種した。この培養物をmultitronインキュベーター中で37℃、10
%のCO2、110rpmにおいて1時間インキュベートした。1時間後、プラスミドD
NAを9.9mLのOptimem培地中で300mLの培養容量中1.0μg/mLの
濃度にピペッティングした。並行して、440μLの293fectin(登録商標)を
9.9mLのOptimem培地中でピペッティングし、室温において5分間インキュ
ートした。5分後、プラスミドDNA/Optimem混合物を293fectin(登
録商標)/Optimem混合物に添加し、室温において20分間インキュベートした。
インキュベーション後、プラスミドDNA/293fectin(登録商標)混合物を細
胞懸濁液に滴加した。形質移入培養物をmultitronインキュベーター中で37℃
、10%のCO2および110rpmにおいてインキュベートした。7日目、細胞を培養
培地から遠心分離(3000gにおいて30分間)により分離した一方、本発明の可溶性
ポリペプチドを含有する上清をさらなる処理のために0.2μmボトルトップフィルター
上で濾過した。

0162

精製目的のため、1500ml(s127H1_t2)、1800ml(s86B4_
t2)、および2400ml(s55G7_t2)の培養上清を、洗浄緩衝液(20mM
のTRIS、500mMのNaCl、pH7.8)中で予備平衡化された24mlのNi
Sepharose HPカラムにアプライした。洗浄緩衝液中10mMのイミダゾ
ルによる洗浄ステップ後、結合した本発明のポリペプチドを、洗浄緩衝液中300mMの
イミダゾールの段階的勾配により溶出させた。溶出ピークを回収し、濃縮し、さらなる精
製のためのサイズ排除カラム(Superdex 200)にアプライした。溶出プロフ
ァイルを図5に示す。55G7−t2および127H1−t2について、分画を回収し、
図面に示されるとおりプールし、SDS−PAGE(図6)、ELISAおよび分析サイ
排除クロマトグラフィーと多角度光散乱との組合せ(SEC−MALS)より分析して
分子質量を推定した。ELISA結果は、CR6261およびCR9114への本発明の
ポリペプチドの結合を裏付けたが、CR8020への結合は裏付けなかった。SEC−M
ALS結果を表8にまとめる。

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