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技術 全固体二次電池およびその製造方法

出願人 マクセルホールディングス株式会社
発明者 佐藤優太松本修明満永雅一中井敏浩
出願日 2019年3月26日 (1年11ヶ月経過) 出願番号 2019-058023
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-161277
状態 未査定
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電池の電極及び活物質
主要キーワード アクリル樹脂バインダ 七角形 適用機器 ガラスハーメチックシール 一体化物 形状維持性 非晶質複合酸化物 金属ラミネートフィルム
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (2)

課題

高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法とを提供する。

解決手段

本発明の全固体二次電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在する固体電解質層とを有する電極積層体を備え、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層は、それぞれ硫化物系固体電解質を含有し、前記負極活物質層は樹脂バインダを含有し、前記正極活物質層は実質的に樹脂バインダを含有しないことを特徴とするものである。

概要

背景

近年、携帯電話ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度二次電池が必要とされるようになってきている。

現在、この要求に応え得る非水二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒リチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。

そして、非水二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、非水二次電池の更なる長寿命化高容量化高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化した非水二次電池の信頼性も高く求められている。

しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年の非水二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中有機溶媒量増加傾向に伴い、より一層非水二次電池の信頼性が求められている。

以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型の二次電池も検討されている(特許文献1など)。全固体型の二次電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い信頼性を備えている。

全固体二次電池は、特許文献1に記載されているように、正極活物質を含有する層(正極活物質層)や負極活物質を含有する層(負極活物質層)にバインダを含有させることが一般的であり、このバインダによって、これらの層の構成成分同士の結着性の向上や、これらの層と隣接する層(集電体固体電解質層)との接着性の向上を図っている。

その一方で、特許文献2には、正極活物質層や負極活物質層にバインダ(結着剤)を含有させずに、特定条件加熱処理をして、これらの層と集電体との接着性を高めることで、バインダを使用することによる容量低下や内部抵抗の増大の抑制を図る技術も提案されている。

概要

高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法とを提供する。 本発明の全固体二次電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在する固体電解質層とを有する電極積層体を備え、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層は、それぞれ硫化物系固体電解質を含有し、前記負極活物質層は樹脂バインダを含有し、前記正極活物質層は実質的に樹脂バインダを含有しないことを特徴とするものである。

目的

本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法とを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在する固体電解質層とを有する電極積層体を備えた全固体二次電池であって、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層は、それぞれ硫化物系固体電解質を含有し、前記負極活物質層は樹脂バインダを含有し、前記正極活物質層は実質的に樹脂バインダを含有しないことを特徴とする全固体二次電池。

請求項2

前記固体電解質層は、樹脂バインダを含有する請求項1に記載の全固体二次電池。

請求項3

前記固体電解質層は、実質的に樹脂バインダを含有しない請求項1に記載の全固体二次電池。

請求項4

請求項1〜3のいずれかに記載の全固体二次電池の製造方法であって、負極活物質と硫化物系固体電解質と樹脂バインダとを含有する負極活物質層形成用組成物を用いて負極活物質層を形成する工程と、正極活物質と硫化物系固体電解質とを含有し、かつ樹脂バインダを含有しない正極活物質層形成用組成物を用いて正極活物質層を形成する工程とを有することを特徴とする全固体二次電池の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、携帯電話ノート型パーソナルコンピュータなどのポータブル電子機器発達や、電気自動車の実用化などに伴い、小型・軽量で、かつ高容量・高エネルギー密度二次電池が必要とされるようになってきている。

0003

現在、この要求に応え得る非水二次電池、特にリチウムイオン二次電池では、正極活物質コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)などのリチウム含有複合酸化物が用いられ、負極活物質黒鉛などが用いられ、非水電解質として有機溶媒リチウム塩とを含む有機電解液が用いられている。

0004

そして、非水二次電池の適用機器の更なる発達に伴って、非水二次電池の更なる長寿命化高容量化高エネルギー密度化が求められていると共に、長寿命化・高容量化・高エネルギー密度化した非水二次電池の信頼性も高く求められている。

0005

しかし、リチウムイオン二次電池に用いられている有機電解液は、可燃性物質である有機溶媒を含んでいるため、電池短絡などの異常事態が発生した際に、有機電解液が異常発熱する可能性がある。また、近年の非水二次電池の高エネルギー密度化および有機電解液中有機溶媒量増加傾向に伴い、より一層非水二次電池の信頼性が求められている。

0006

以上のような状況において、有機溶媒を用いない全固体型の二次電池も検討されている(特許文献1など)。全固体型の二次電池は、従来の有機溶媒系電解質に代えて、有機溶媒を用いない固体電解質成形体を用いるものであり、固体電解質の異常発熱の虞がなく、高い信頼性を備えている。

0007

全固体二次電池は、特許文献1に記載されているように、正極活物質を含有する層(正極活物質層)や負極活物質を含有する層(負極活物質層)にバインダを含有させることが一般的であり、このバインダによって、これらの層の構成成分同士の結着性の向上や、これらの層と隣接する層(集電体固体電解質層)との接着性の向上を図っている。

0008

その一方で、特許文献2には、正極活物質層や負極活物質層にバインダ(結着剤)を含有させずに、特定条件加熱処理をして、これらの層と集電体との接着性を高めることで、バインダを使用することによる容量低下や内部抵抗の増大の抑制を図る技術も提案されている。

先行技術

0009

特開2018−125260号公報
国際公開第2011/064842号

発明が解決しようとする課題

0010

全固体二次電池には、今後益々適用範囲が広がることが予想され、それを受けて、全固体二次電池に特に期待される特性、具体的には高温環境下での充放電サイクル特性などを高めることが求められる。

0011

本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法とを提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明の全固体二次電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層と前記負極活物質層との間に介在する固体電解質層とを有する電極積層体を備え、前記正極活物質層、前記負極活物質層および前記固体電解質層は、それぞれ硫化物系固体電解質を含有し、前記負極活物質層は樹脂バインダを含有し、前記正極活物質層は実質的に樹脂バインダを含有しないことを特徴とするものである。

0013

また、本発明の前記全固体二次電池は、負極活物質と硫化物系固体電解質と樹脂バインダとを含有する負極活物質層形成用組成物を用いて負極活物質層を形成する工程と、正極活物質と硫化物系固体電解質とを含有し、かつ実質的に樹脂バインダを含有しない正極活物質層形成用組成物を用いて正極活物質層を形成する工程とを有する製造方法により製造することができる。

発明の効果

0014

本発明によれば、高温環境下での充放電サイクル特性に優れた全固体二次電池と、その製造方法とを提供することができる。

図面の簡単な説明

0015

本発明の全固体二次電池の一例を模式的に表す断面図である。

0016

本発明の全固体二次電池は、正極活物質および硫化物系固体電解質を含有する正極活物質層と、負極活物質および硫化物系固体電解質を含有する負極活物質層と、硫化物系固体電解質を含有し、正極活物質層と負極活物質層との間に介在する固体電解質層とを有する電極積層体を備えている。すなわち、本発明の全固体二次電池においては、正極は正極活物質層によって構成され、負極は負極活物質層によって構成される。

0017

そして、本発明の全固体二次電池においては、負極活物質層は樹脂バインダを含有する一方で、正極活物質層は樹脂バインダを実質的に含有しない。

0018

樹脂バインダを含有しない正極活物質層を有する電極積層体を適用することで、全固体二次電池の高温環境下での充放電サイクル特性を高めることができる。樹脂バインダは抵抗成分として作用するが、これを正極活物質層に含有させると、特に高温環境下で正極活物質層の内部抵抗を高め、充放電を繰り返すに従ってその作用が増大すると推測される。よって、正極活物質層を、樹脂バインダを含有しない構成とすることで、樹脂バインダによって生じ得る問題が回避でき、全固体二次電池の高温環境下での充放電サイクル特性の向上が可能となる。

0019

なお、例えば、正極活物質層に隣接する固体電解質層に樹脂バインダを含有させた場合、積層電極体製造過程などにおいて、固体電解質層用に含有させた樹脂バインダの一部が正極活物質層に移行することがある。よって、本明細書でいう、正極活物質層が樹脂バインダを「実質的に」含有しない、とは、前記のように正極活物質層に不可避的に樹脂バインダが混入してしまう場合を除き、積極的に添加された樹脂バインダを正極活物質層が含有していないことを意味している。

0020

このように、本発明においては、正極活物質層に樹脂バインダを含有させない一方で、負極活物質層には樹脂バインダを含有させる。これは、負極活物質層に樹脂バインダを含有させても、充放電サイクル特性を低下させるものではなく、一方、樹脂バインダを含有させることにより、積層電極体の形状維持性が向上し、全固体二次電池の生産性や信頼性が高まるため、高温環境下での充放電サイクル特性を向上させることができる。

0021

全固体二次電池の正極活物質層は、正極活物質および硫化物系固体電解質を含有する。

0022

正極活物質には、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の、リチウムイオン吸蔵・放出可能な活物質を使用することができる。具体的には、LiM1xMn2−xO4(ただし、M1は、Li、B、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Sn、Sb、In、Nb、Mo、W、Y、RuおよびRhよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.01≦x≦0.5)で表されるスピネル型リチウムマンガン複合酸化物、LiaMn(1−b−a)NibM2cO2−dFf(ただし、M2は、Co、Mg、Al、B、Ti、V、Cr、Fe、Cu、Zn、Zr、Mo、Sn、Ca、SrおよびWよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0.8≦a1.2、0<b<0.5、0≦c≦0.5、d+f<1、−0.1≦d≦0.2、0≦f≦0.1)で表される層状化合物、LiCo1−gM3gO2(ただし、M3は、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦g≦0.5)で表されるリチウムコバルト複合酸化物、LiNi1−hM4hO2(ただし、M4は、Al、Mg、Ti、Zr、Fe、Co、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦h≦0.5)で表されるリチウムニッケル複合酸化物、LiM51−mNmPO4(ただし、M5は、Fe、MnおよびCoよりなる群から選択される少なくとも1種の元素で、Nは、Al、Mg、Ti、Zr、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Nb、Mo、Sn、SbおよびBaよりなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、0≦m≦0.5)で表されるオリビン型複合酸化物、Li4Ti5O12で表されるリチウムチタン複合酸化物などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0023

正極活物質層における硫化物系固体電解質としては、Li2S−P2S3、Li2S−P2S5、Li2S−P2S3−P2S5、Li2S−SiS2、LiI−Li2S−P2S5、LiI−Li2S−SiS2−P2S5、Li2S−SiS2−Li4SiO4、Li2S−SiS2−Li3PO4、Li3PS4−Li4GeS4、Li3.4P0.6Si0.4S4、Li3.25P0.25Ge0.76S4、Li4−xGe1−xPxS4、Li7P3S11などが挙げられ、これらのうちの1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

0024

正極活物質層には導電助剤を含有させることができる。正極活物質層の導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料などが挙げられる。

0025

正極活物質層は、正極活物質および硫化物系固体電解質を含有し、かつ実質的に樹脂バインダを含有しない正極活物質層形成用組成物を用いて形成される。前記正極活物質層形成用組成物は、必要に応じて導電助剤を含むものであってもよい。

0026

前記正極活物質層形成用組成物は、各構成材料粉体を混合した乾式の混合物混合粉体)であってもよく、また、各構成材料の粉体を溶媒中で分散させた湿式スラリーなどの組成物であってもよい。実質的に樹脂バインダを含有しない組成物であれば、その形態は特に限定されない。

0027

正極活物質層形成用組成物が混合粉体の場合には、これを集電体などの基材上や、電極積層体において正極活物質層と隣接する固体電解質層上で、加圧処理プレス処理)などによって圧縮することで正極活物質層を形成することができる。また、正極活物質層形成用組成物が湿式の組成物の場合には、これを集電体などの基材上や、電極積層体において正極活物質層と隣接する固体電解質層上に塗布して乾燥させ、必要に応じて加圧処理を施す工程を経て、正極活物質層を形成することができる。

0028

正極活物質層形成用組成物が湿式の組成物である場合に使用する溶媒には、硫化物系固体電解質を劣化させ難いものを選択することが好ましい。硫化物系固体電解質は微少量の水分によって化学反応を起こすため、ヘキサンヘプタンオクタンノナンデカンデカリントルエンキシレンなどの炭化水素溶媒に代表される非極性非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することがより好ましい。また、三井・デュポンフロロケミカル社製の「バートレル(登録商標)」、日本ゼオン社製の「ゼオローラ(登録商標)」、住友3M社製の「ノベック(登録商標)」などのフッ素系溶媒、並びに、ジクロロメタンジエチルエーテルなどの非水系有機溶媒を使用することもできる。

0029

正極活物質層の組成としては、正極活物質の含有量が50〜90質量%であることが好ましく、硫化物系固体電解質の含有量が10〜50質量%であることが好ましい。また、正極活物質層に導電助剤を含有させる場合、その含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。

0030

正極活物質層の厚みは、30μm〜3mmであることが好ましい。

0031

全固体二次電池の負極活物質層は、負極活物質、硫化物系固体電解質および樹脂バインダを含有する。

0032

負極活物質は、従来から知られているリチウムイオン二次電池に用いられているものと同様の、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な活物質を使用することができる。具体的には、例えば、黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体メソカーボンマイクロビーズMCMB)、炭素繊維などのリチウムイオンを吸蔵・放出可能な炭素系材料の1種または2種以上の混合物が用いられる。また、Si、Sn、Ge、Bi、Sb、Inなどの元素を含む単体化合物およびその合金リチウム含有化物またはリチウム含有酸化物などのリチウム金属に近い低電圧で充放電できる化合物;リチウム金属;リチウムアルミニウム合金;も、負極活物質として用いることができる。

0033

負極活物質層における硫化物系固体電解質には、正極活物質層に使用し得るものとして先に例示した各種硫化物系固体電解質と同じものが使用できる。

0034

負極活物質層における樹脂バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデンPVDF)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)などのフッ素樹脂アクリル樹脂イミド系バインダ;アミド系バインダなどが挙げられる。

0035

負極活物質層には導電助剤を含有させることができる。負極活物質層の導電助剤としては、カーボンブラックなどの炭素材料などが挙げられる。

0036

負極活物質層は、負極活物質と硫化物系固体電解質と樹脂バインダとを含有する負極活物質層形成用組成物を用いて形成される。前記負極活物質層形成用組成物は、必要に応じて導電助剤を含むものであってもよく、各構成材料の粉体、エマルジョンまたは液体を溶媒中で分散もしくは溶解させた湿式の組成物(スラリー、ペーストなど)であり、これを集電体などの基材上や、電極積層体において負極活物質層と隣接する固体電解質層上に塗布して乾燥させ、必要に応じて加圧処理を施す工程を経て負極活物質層を形成することができる。

0037

負極活物質層形成用組成物に使用する溶媒も、正極活物質層形成用組成物に使用する溶媒と同様に、硫化物系固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、正極活物質層形成用組成物用の溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。

0038

負極活物質層の組成としては、例えば、負極活物質の含有量が50〜90質量%であることが好ましく、硫化物系固体電解質の含有量が10〜50質量%であることが好ましく、樹脂バインダの含有量が0.1〜10質量%であることが好ましい。また、負極活物質層に導電助剤を含有させる場合、その含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。

0039

負極活物質層の厚みは、30μm〜3mmであることが好ましい。

0040

全固体二次電池の固体電解質層は、硫化物系固体電解質を含有する。固体電解質層における硫化物系固体電解質には、正極活物質層に使用し得るものとして先に例示した各種硫化物系固体電解質と同じものが使用できる。

0041

固体電解質層は、実質的に樹脂バインダを含有させずに形成することができる。この場合、固体電解質層において抵抗成分として作用する樹脂バインダが存在しないことから、樹脂バインダによる内部抵抗の増大を回避でき、全固体二次電池の放電特性のさらなる向上が期待できる。なお、ここでいう「実質的に」とは、隣接する負極活物質層から樹脂バインダが固体電解質層中に移行するような不可避的に樹脂バインダが混入する場合を除き、積極的に添加された樹脂バインダを固体電解質層が含有していないことを意味している。

0042

他方、固体電解質層には、樹脂バインダを含有させてもよい。この場合、固体電解質層の樹脂バインダも、負極活物質層の樹脂バインダと同様の作用を有することから、全固体二次電池の生産性や信頼性のさらなる向上が期待できる。

0043

固体電解質層に樹脂バインダを含有させる場合、その樹脂バインダには、負極活物質層に使用し得るものとして先に例示した各種樹脂バインダと同じものが使用できる。

0044

固体電解質層が樹脂バインダを含有する場合には、固体電解質層は、硫化物系固体電解質および樹脂バインダを含有する固体電解質層形成用組成物を用いて形成される。前記固体電解質層形成用組成物は、各構成材料の粉体、エマルジョンまたは液体を溶媒中で分散もしくは溶解させた湿式の組成物(スラリー、ペーストなど)であり、これを剥離可能な基材上、正極活物質層上または負極活物質層上に塗布して乾燥させ、必要に応じて加圧処理を施す工程を経て形成することができる。

0045

また、樹脂バインダを含有しない態様の固体電解質層の場合には、樹脂バインダを含有ない以外は前記と同様の湿式の組成物を用い、前記と同様の工程で固体電解質層を形成してもよく、また、硫化物系固体電解質を含有する粉体(硫化物系固体電解質のみで固体電解質層を構成する場合は、硫化物系固体電解質の粉体)を、剥離可能な基材上、正極活物質層上または負極活物質層上で加圧処理などによって圧縮して形成してもよい。

0046

固体電解質層形成用組成物に使用する溶媒も、正極活物質層形成用組成物に使用する溶媒と同様に、硫化物系固体電解質を劣化させ難いものを選択することが望ましく、正極活物質層形成用組成物用の溶媒として先に例示した各種溶媒を使用することが好ましく、含有水分量を0.001質量%(10ppm)以下とした超脱水溶媒を使用することが特に好ましい。

0047

固体電解質層の組成としては、硫化物系固体電解質の含有量が50質量%以上であることが好ましい。なお、固体電解質層は硫化物系固体電解質のみで構成してもよいため、固体電解質層における硫化物系固体電解質の好適上限値は100質量%である。また、固体電解質層に樹脂バインダを含有させる場合、その含有量は0.1〜10質量%であることが好ましい。

0048

電極積層体の製造に際しては、はじめに正極活物質層を集電体などの基材上に形成し、続いて正極活物質層上に固体電解質層を形成し、続いて固体電解質層上に負極活物質層を形成する順序で各層を形成してもよい。すなわち、全固体二次電池に使用する電極積層体を、集電体などの基材上に正極活物質層を形成する工程と、形成した正極活物質層上に固体電解質層を形成する工程と、形成した固体電解質層上に負極活物質層を形成する工程とを有する方法で製造することができる〔以下、この方法を「電極積層体の製造方法の第1の態様」という〕。なお、正極活物質層や負極活物質層を複数有する電極積層体をこの方法で得る場合、形成した負極活物質層上に固体電解質層を形成し、この固体電解質層上に正極活物質層を形成し、形成後の正極活物質層上に固体電解質層を形成してから、その固体電解質層上に負極活物質層を形成する操作を順次実施すればよい。

0049

また、はじめに負極活物質層を集電体などの基材上に形成し、続いて負極活物質層上に固体電解質層を形成し、続いて固体電解質層上に正極活物質層を形成する順序で各層を形成してもよい。すなわち、全固体二次電池に使用する電極積層体を、集電体などの基材上に負極活物質層を形成する工程と、形成した負極活物質層上に固体電解質層を形成する工程と、形成した固体電解質層上に正極活物質層を形成する工程とを有する方法で製造することができる〔以下、この方法を「電極積層体の製造方法の第2の態様」という〕。なお、正極活物質層や負極活物質層を複数有する電極積層体をこの方法で得る場合、形成した正極活物質層上に固体電解質層を形成し、この固体電解質層上に負極活物質層を形成し、形成後の負極活物質層上に固体電解質層を形成してから、その固体電解質層上に正極活物質層を形成する操作を順次実施すればよい。

0050

また、固体電解質層を剥離可能な基材上にあらかじめ形成しておき、形成した固体電解質層を前記基材から剥離させて電極積層体の作製に用いることもできる。例えば、基材上に形成された固体電解質層上に、さらに正極活物質層または負極活物質層を形成し、その後に全体を基材から剥離させ、固体電解質層の基材側に位置していた面に対極となる活物質層を形成するのであってもよい。

0051

前記のいずれの方法で電極積層体を製造する場合においても、正極活物質層、固体電解質層および負極活物質層の形成は、先に述べた各方法で行えばよい。

0052

また、電極積層体を構成する各層を形成した後に、電極積層体の全体を加圧処理することが好ましいが、特に正極活物質層を最後に形成する場合には、その形成時の圧縮によって、電極積層体全体の加圧処理を行うことができる。

0053

なお、負極活物質層は樹脂バインダを必須成分としており、樹脂バインダを含有しない正極活物質層に比べて形状安定性が優れている。よって、電極積層体の製造に際しては、負極活物質層を正極活物質層よりも先に形成する方法、すなわち、前記電極積層体の製造方法の第2の態様の方が、第1の態様よりも電極積層体の生産性、ひいては全固体二次電池の生産性を高めることができる。

0054

前記のようにして得られた電極積層体を、外装体に収容して全固体二次電池とする。

0055

図1に、本発明の全固体二次電池の一例の断面を模式的に表す図面を示す。図1に示す全固体二次電池1では、正極10と負極20とを固体電解質層30を介在させつつ積層して構成した電極積層体が、外装缶40と、封口缶50と、これらの間に介在する樹脂製のガスケット60とで形成された外装体(コイン形ボタン形などと称される扁平形の外装体)内に封入されている。図1に示す全固体二次電池1においては、封口缶50は、外装缶40の開口部にガスケット60を介して嵌合しており、外装缶40の開口端部が内方締め付けられ、これによりガスケット60が封口缶50に当接することで、外装缶40の開口部が封口されて電池内部が密閉構造となっている。そして、負極20の図中上面が負極端子を兼ねる封口缶50の内面と接触することで電気的に接続し、正極10の図中下面が正極端子を兼ねる外装缶40の内面と接触することで電気的に接続している。

0056

外装缶および封口缶で構成される外装体の場合、その形状は、平面視で多角形三角形四角形五角形六角形七角形八角形)であってもよく、平面視で円形楕円形であってもよい。

0057

外装缶および封口缶にはステンレス鋼製のものなどが使用できる。また、ガスケットの素材には、ポリプロピレンナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。

0058

また、全固体次電池の外装体には、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと金属フィルムアルミニウム箔など)とを積層した金属ラミネートフィルムなどで構成されたシート状外装体を使用することもできる。

0059

本発明の全固体二次電池は、従来から知られている二次電池と同様の用途に適用し得るが、有機電解液に代えて固体電解質層を有していることに加えて、高温環境下での充放電サイクル特性に優れていることから、高温に曝される可能性のある用途に好ましく使用することができる。

0060

以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は本発明を制限するものではない。

0061

実施例1
<電極積層体の形成>
溶媒としてキシレン(「超脱水グレード)を用い、平均粒子径20μmの黒鉛と、硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)と、アクリル樹脂バインダとを、質量比で50:47:3の割合とし、固形分比が50%となるように混合し、シンキーミキサーで10分間撹拌して均一なスラリーを調製した。

0062

このスラリーを、基材(SUS集電箔)上にアプリケータを用いてギャップを200μmとして塗布し、120℃で真空乾燥を行った後、加圧成形することにより、前記基材上に負極活物質層を形成した。

0063

前記の基材と負極活物質層との一体化物を10mmφのサイズに打ち抜いて加圧成形用の金型内に入れ、その負極活物質層上に0.050gの硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)を投入して3トン/cm2の条件で加圧成形を行い、負極活物質層上に固体電解質層を形成した。

0064

平均粒子径3μmのLiNi0.6Co0.2Mn0.2O2と、硫化物固体電解質(Li6PS5Cl)と、導電助剤であるカーボンナノチューブ〔昭和電工社製「VGCF」(商品名)〕とを質量比で55:40:5の割合で混合して、正極活物質層形成用の混合粉体を得た。

0065

前記加圧成形用の金型内の固体電解質層上に0.020gの前記混合粉体を投入して10トン/cm2の条件で加圧成形を行うことで正極活物質層を形成した。その後、これを金型から取り出し、電極積層体を得た。得られた電極積層体において、各層の厚みは、負極活物質層:200μm、固体電解質層:300μm、正極活物質層:200μmであった。

0066

<電池の組み立て>
ステンレス鋼製の封口缶の内底面上に前記負極の集電体(SUS集電箔)が前記内底面に接するようにして電極積層体を重ね、さらに、Al集電箔を電極積層体の正極活物質層の上に配置した後、ステンレス鋼製の外装缶をかぶせて封止を行うことにより、電極積層体の上面および下面にそれぞれ負極および正極の集電箔を有する以外は図1と同様の構造のコイン形全固体二次電池を作製した。

0067

比較例1
<正極活物質層>
溶媒としてキシレン(「超脱水」グレード)を用い、表面にLiとNbとの非晶質複合酸化物が形成された平均粒子径3μmのLiNi0.6Co0.2Mn0.2O2と、硫化物固体電解質(Li6PS5Cl)と、導電助剤であるカーボンナノチューブ(昭和電工社製「VGCF」(商品名)〕と、アクリル樹脂バインダとを、質量比で50:44:3:3の割合とし、固形分比が50%となるように前記溶媒と混合し、シンキーミキサーで10分間撹拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーを、基材(Al集電箔)上にアプリケータを用いて塗布し、120℃で真空乾燥を行った後、加圧成形することにより、正極活物質層を形成した。

0068

<固体電解質層>
溶媒としてキシレン(「超脱水」グレード)を用い、平均粒子径1μmの硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)と、アクリル樹脂バインダと、分散剤とを、質量比で100:3:1の割合とし、かつ固形分比が40%となるように前記溶媒と混合し、シンキーミキサーで10分間攪拌して均一なスラリーを調製した。このスラリーを、剥離用の基材(SUS箔)上にアプリケータを用いて塗布し、120℃で真空乾燥を行った後、加圧成形することにより、固体電解質層を形成した。

0069

<電極積層体の組み立て>
実施例1と同様にして基材上に形成した負極活物質層、および前記の正極活物質層並びに固体電解質層を、いずれも10mmφの大きさに打抜き、固体電解質層を基材から剥離した。SUS製の上下ピンの間にAl集電箔/正極活物質層−固体電解質層−負極活物質層/SUS集電箔の順に重ね、SUS製の筒に入れて10トン/cm2で加圧することにより、電極積層体を得た。

0070

<電池の組み立て>
前記の電極積層体を用いた以外は実施例1と同様にして、コイン形全固体二次電池を作製した。

0071

比較例2
平均粒子径20μmの黒鉛と、硫化物系固体電解質(Li6PS5Cl)とを、質量比で50:50の割合で混合して混合粉体を得た。

0072

加圧成形用の金型に基材(SUS集電箔)を10mφに打ち抜いて入れ、その上に0.02gの前記混合粉体を投入して10トン/cm2の条件で加圧成形を行って、基材上に負極活物質層を形成した。

0073

この負極活物質層上に、実施例1と同様にして固体電解質層および正極活物質層を順に形成して電極積層体を得た。そして、この電極積層体を用いた以外は、実施例1と同様にしてコイン形全固体二次電池を作製した。

0074

実施例および比較例のコイン形全固体二次電池について、以下の方法で高温環境下での充放電サイクル特性評価を行った。

0075

各電池について、100℃の環境下で、0.1Cの電流値電圧が4.2Vになるまで定電流充電を行い、続いて4.2Vの電圧で電流値が0.05Cになるまで定電圧充電を行い、0.1Cの電流値で電圧が2.7Vになるまで定電流放電させて、1サイクル目の充放電を行った(初回充放電)。その後、定電流充電時の電流値を1Cに変更した以外は前記と同じ条件での定電流・定電圧充電と、電流値を1Cに変更した以外は前記と同じ条件での定電流放電とを1つのサイクルとする充放電サイクルを、初回充放電から数えて100サイクル実施して、2サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の割合(容量維持率)により、充放電サイクル特性を評価した。その結果を表1に示す。

0076

0077

正極活物質層に樹脂バインダを含有させず、負極活物質層に樹脂バインダを含有させた実施例1の電池は、容量維持率が高く充放電サイクル特性が優れていた。

実施例

0078

一方、正極活物質層と負極活物質層のどちらにも樹脂バインダを含有させた比較例1の電池は、充放電サイクル特性が大幅に低下する結果となった。また、正極活物質層と負極活物質層のどちらにも樹脂バインダを含有させなかった比較例2の電池は、電極積層体の形状維持性が劣っており、実施例1の電池よりも充放電サイクル特性が劣っていた。

0079

1全固体二次電池
10 正極
20 負極
30固体電解質層
40外装缶
50封口缶
60 ガスケット

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