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技術 ヒトメタニューモウイルス検出用試薬

出願人 田中貴金属工業株式会社
発明者 望月浩子
出願日 2019年3月26日 (1年10ヶ月経過) 出願番号 2019-058483
公開日 2020年10月1日 (4ヶ月経過) 公開番号 2020-159827
状態 未査定
技術分野 生物学的材料の調査,分析
主要キーワード 投影写真 放射法 クロマト分析装置 グラスファイバー製 陰極電極板 NASA 陽極電極板 多孔質プラスチック
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2020年10月1日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

検体中のヒトメタニューモウイルス感度良く検出可能な検出用試薬を提供する。

解決手段

ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有することを特徴とする、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬と体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体により検出する、ヒトメタニューモウイルスの免疫学的測定方法に関する。さらに免疫学的測定方法がイムノクロマトグラフィー法であり、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と検体中のヒトメタニューモウイルスとを接触させて、標識抗体とヒトメタニューモウイルスとの複合体を形成させる工程と、複合体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程と、を含む。

概要

背景

ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus、以下単にhMPVと称すこともある)は、パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科メタニューモウイルス属に属するRNAウイルスである。

hMPVは、小児を中心とした急性呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであると考えられている。臨床症状はRSウイルス感染症に類似しており、上気道炎、気管支炎および肺炎などの下気道炎を引き起こす。

従来、hMPVのウイルス分離は比較的困難であると考えられてきており、hMPVの検出には遺伝子検査法が広く用いられてきた(例えば、非特許文献1)。

近年、より簡易かつ迅速にhMPVの検出を可能とすべく、イムノクロマトグラフィー法を用いた診断キットも開発されている。当該診断キットでは、ウイルス粒子表面にあってかつ変異の頻度の少ないhMPVのN蛋白(Nucleoprotein:核蛋白)またはF蛋白(Fusion protein:融合蛋白)に対する抗体を使用し、hMPVの検出を行うものである(非特許文献2)。

概要

検体中のヒトメタニューモウイルスを感度良く検出可能な検出用試薬を提供する。ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有することを特徴とする、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬と体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体により検出する、ヒトメタニューモウイルスの免疫学的測定方法に関する。さらに免疫学的測定方法がイムノクロマトグラフィー法であり、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と検体中のヒトメタニューモウイルスとを接触させて、標識抗体とヒトメタニューモウイルスとの複合体を形成させる工程と、複合体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程と、を含む。なし

目的

モノクローナル抗体は、常法に従って、上記免疫原で免疫したマウス脾臓細胞骨髄腫細胞ハイブリッドさせ、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ヒトメタニューモウイルス(humanmetapneumovirus)のマトリックスプロテインを認識する抗体を含有することを特徴とする、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬

請求項2

前記抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、請求項1に記載のヒトメタニューモウイルス検出用試薬。

請求項3

検体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体により検出する、ヒトメタニューモウイルスの免疫学的測定方法

請求項4

前記免疫学的測定方法は、酵素免疫測定法凝集法又はイムノクロマトグラフィー法である請求項3に記載の免疫学的測定方法。

請求項5

前記免疫学的測定方法がイムノクロマトグラフィー法であって、前記イムノクロマトグラフィー法は、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と、検体中のヒトメタニューモウイルスとを接触させることにより、前記標識抗体と前記ヒトメタニューモウイルスとの複合体を形成させる工程と、前記複合体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程と、を含む、請求項4に記載の免疫学的測定方法。

請求項6

前記標識抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、請求項5に記載の免疫学的測定方法。

請求項7

前記検出用抗体が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインの立体構造を認識する、請求項5または6に記載の免疫学的測定方法。

請求項8

試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体部及び吸収部を含む、ヒトメタニューモウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置であって、前記標識物質保持部および前記検出部が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有する、免疫クロマト分析装置。

請求項9

前記標識物質保持部が含有する抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、請求項8に記載の免疫クロマト分析装置。

請求項10

前記検出部が含有する抗体が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインの立体構造を認識する、請求項8または9に記載の免疫クロマト分析装置。

請求項11

請求項8〜10のいずれか1項に記載の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈するための検体希釈液とを含む、免疫クロマト分析キット

技術分野

0001

本発明は、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬、ヒトメタニューモウイルスの免疫学的測定方法、並びに、ヒトメタニューモウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置及び免疫クロマト分析キットに関する。

背景技術

0002

ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus、以下単にhMPVと称すこともある)は、パラミクソウイルス科ニューモウイルス亜科メタニューモウイルス属に属するRNAウイルスである。

0003

hMPVは、小児を中心とした急性呼吸器感染症の原因ウイルスの1つであると考えられている。臨床症状はRSウイルス感染症に類似しており、上気道炎、気管支炎および肺炎などの下気道炎を引き起こす。

0004

従来、hMPVのウイルス分離は比較的困難であると考えられてきており、hMPVの検出には遺伝子検査法が広く用いられてきた(例えば、非特許文献1)。

0005

近年、より簡易かつ迅速にhMPVの検出を可能とすべく、イムノクロマトグラフィー法を用いた診断キットも開発されている。当該診断キットでは、ウイルス粒子表面にあってかつ変異の頻度の少ないhMPVのN蛋白(Nucleoprotein:核蛋白)またはF蛋白(Fusion protein:融合蛋白)に対する抗体を使用し、hMPVの検出を行うものである(非特許文献2)。

先行技術

0006

“A newly discovered human pneumovirus isolated from young children with respiratory tract disease”nature medicine 2001 Jun;7(6):719−24.
モダンメディア60巻5号2014,新しい検査法迅速ヒトメタニューモウイルス診断キット−保険適用されたイムノクロマト法によるhMPV抗原定性

発明が解決しようとする課題

0007

本発明者の検討によれば、hMPVのN蛋白やF蛋白に対する抗体を用いた上記診断キットでは、hMPV感染者から採取した実検体中に対する感度は十分ではなく、hMPVの検査方法としては、いまだ改良の余地があった。

0008

そこで本発明者は、検体試料として実検体を用いた場合であっても、hMPVを感度良く検出可能な検出用試薬を提供すべく、hMPVのN蛋白やF蛋白質代わる新たな標的対象の検討を行った。本発明者は鋭意研究を重ねた結果、新たな標的対象としてhMPVのマトリックスプロテインに注目した。そして、同タンパク質を認識する抗体を用いることにより、hMPVを高感度に検出できることを見出し、本発明を完成するに至った。

課題を解決するための手段

0009

したがって、本発明は以下の通りである。
1.ヒトメタニューモウイルス(human metapneumovirus)のマトリックスプロテインを認識する抗体を含有することを特徴とする、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬。
2.前記抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、前記1に記載のヒトメタニューモウイルス検出用試薬。
3.検体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体により検出する、ヒトメタニューモウイルスの免疫学的測定方法。
4.前記免疫学的測定方法は、酵素免疫測定法凝集法又はイムノクロマトグラフィー法である前記3に記載の免疫学的測定方法。
5.前記免疫学的測定方法がイムノクロマトグラフィー法であって、前記イムノクロマトグラフィー法は、
ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と検体中のヒトメタニューモウイルスとを接触させることにより、前記標識抗体と前記ヒトメタニューモウイルスとの複合体を形成させる工程と、
前記複合体中のヒトメタニューモウイルスを、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程と、
を含む、前記4に記載の免疫学的測定方法。
6.前記標識抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、前記5に記載の免疫学的測定方法。
7.前記検出用抗体が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインの立体構造を認識する、前記5または6に記載の免疫学的測定方法。
8.試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体部及び吸収部を含む、ヒトメタニューモウイルスを検出するための免疫クロマト分析装置であって、
前記標識物質保持部および前記検出部が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有する、
免疫クロマト分析装置。
9.前記標識物質保持部が含有する抗体が、配列番号1のアミノ酸配列からなるヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する、前記8に記載の免疫クロマト分析装置。
10.前記検出部が含有する抗体が、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインの立体構造を認識する、前記8または9に記載の免疫クロマト分析装置。
11.前記8〜10のいずれか1に記載の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈するための検体希釈液とを含む、免疫クロマト分析キット。

発明の効果

0010

本発明の一実施態様によれば、ヒトメタニューモウイルスのマトリックスプロテインを認識する抗体を用いることによって、ヒトメタニューモウイルスを高感度に検出可能である。また、本発明の一実施態様によれば、ヒトメタニューモウイルスを迅速かつ簡易に検出できる。さらに、本発明の一実施態様によれば、RSV等のhMPVと相同性の高いウイルスに対して交叉反応を起こさず、hMPVを特異的に検出できる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、本発明の一実施形態の免疫クロマト分析装置の構造を説明するための断面図である。
図2は、実施例で作製した抗体が認識するhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列を調べるため実施したELISA試験の結果(吸光度)を示すグラフである。
図3は、実施例で作製した抗体が認識するhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列を調べるため実施したELISA試験の結果(S/N比)を示すグラフである。
図4(a)、(b)は、実施例で作製した抗体がhMPVのマトリックスプロテインの立体構造を認識するかを調べるため実施したSDS−PAGEおよびウエスタンブロット法の結果を示す写真図である。図中の矢印は全長のhMPVマトリックスプロテインに相当する約36kDaのバンドを示す。
図5は、実施例1の免疫クロマト分析キットを用いた検出感度評価の結果を示すグラフである。
図6は、実施例2の免疫クロマト分析キットを用いた検出感度評価の結果を示すグラフである。
図7は、実施例1の免疫クロマト分析キットを用いた交叉反応性評価の結果を示すグラフである。

0012

以下に、本発明を実施するための形態を説明する。

0013

本明細書において、本発明における抗体がhMPVのマトリックスプロテインを「認識する」とは、hMPVのマトリックスプロテインと実質的に抗原抗体反応することを意味する。また、本発明における抗体がhMPVのマトリックスプロテインの特定のアミノ酸配列を「認識する」とは、当該アミノ酸配列の全体又はその一部と実質的に抗原抗体反応することを示す。

0014

本発明における抗体が、hMPVのマトリックスプロテインや、その特定のアミノ酸配列の全体又はその一部と実質的に抗原抗体反応するかは、周知の免疫測定方法により確認できる。免疫測定方法としては、免疫測定方式で分類すれば、例えば、サンドイッチ法競合法、凝集法などが挙げられる。また、用いる標識で分類すれば、例えば、蛍光法酵素法放射法などが挙げられる。これらのいずれの免疫測定方法によっても抗原抗体反応の確認を行うことができる。

0015

ここで「実質的に抗原抗体反応する」とは、上記の免疫測定方法で検出可能なレベルで抗原抗体反応するものを意味するが、たとえ検出可能なレベルで反応をしていてもその反応の程度が明らかに弱く、特異的な反応でないものは除くことを意味する。

0016

本発明における抗体は、後述する参考例1に記載のELISA試験により吸光度を測定し、ブランク値を減じた吸光度が0.1Abs以上であることが好ましく、0.15Abs以上であることがより好ましく、0.2Abs以上であることがさらに好ましい。
また、本発明における抗体は、該抗体が認識する対象のタンパク質、またはアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として用いたELISA試験により吸光度を測定し、該吸光度からブランクの吸光度を除して得られるS/N比が1.4以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、1.6以上であることがさらに好ましい。

0017

本発明に適用できる検体は、ヒトメタニューモウイルスを含む可能性のあるものであれば特に制限されない。検体としては、例えば、ヒトメタニューモウイルス感染者の実検体である、血液、血漿血清のような血液試料、尿、唾液髄液羊水乳頭分泌液鼻汁鼻腔吸引液鼻腔拭い液、鼻汁かみ液、咽頭拭い液、皮膚からの浸出液組織細胞及び糞便からの抽出物等が挙げられる。なかでも、迅速診断や検出感度向上の観点から鼻腔吸引液、鼻腔拭い液、鼻汁鼻かみ液、及び咽頭拭い液が好ましい。

0018

[検出用試薬]
本発明の、ヒトメタニューモウイルス検出用試薬は、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有することを特徴としている。

0019

hMPVのマトリックスプロテインは、下記配列番号1で示される254個のアミノ酸からなる。
(配列番号1)
MESYLVDTYQGIPYTAAVQVDLVEKDLLPASLTIWFPLFQANTPPAVLLDQLKTLTITTLYAASQNGPILKVNASAQGAAMSVLPKKFEVNATVALDEYSKLDFDKLTVCEVKTVYLTTMKPYGMVSKFVSSAKSVGKKTHDLIALCDFMDLEKNIPVTIPAFIKSVSIKESESATVEAAISSEADQALTQAKIAPYAGLIMIMTMNNPKGIFKKLGAGTQVIVELGAYVQAESISKICKTWSHQGTRYVLKSR

0020

本発明における抗体が認識するhMPVのマトリックスプロテインは、ウイルスから分離された天然のタンパク質でもよく、公知となっているマトリックスプロテインをコードする遺伝子の塩基配列に基づいて作製された組換えタンパク質でもよい。また、hMPVのマトリックスプロテインは、ウイルスの構成成分から分離・精製されたものでも未精製のものでもよいが、分離されていない場合はマトリックスプロテインと抗体との接触が容易となるように界面活性剤で処理されたウイルスに由来するマトリックスプロテインであってもよい。

0021

本発明においては、hMPVが有する種々のタンパク質の中でも、特にマトリックスプロテインを認識する抗体を用いることによって、実検体であっても高感度にhMPVを検出することができるものである。

0022

本発明の検出用試薬は、配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのうち、アミノ酸配列149−178番目を認識する抗体を含有することが、検出感度をより向上させることができるという観点から、好ましい。
上記アミノ酸配列149−178番目を認識する抗体は、後述する参考例1に記載のELISA試験において、ペプチド5を抗原と用いて測定した吸光度からブランク値を減じた吸光度が0.1Abs以上であることが好ましく、0.15Abs以上であることがより好ましく、0.2Abs以上であることがさらに好ましい。
また、上記アミノ酸配列149−178番目を認識する抗体は、ペプチド5を抗原として用いたELISA試験により吸光度を測定し、該吸光度からブランクの吸光度を除して得られるS/N比が1.4以上であることが好ましく、1.5以上であることがより好ましく、1.6以上であることがさらに好ましい。
上記149−178番目のアミノ酸配列は、以下配列番号2に示される配列である。
(配列番号2)
FMDLEKNIPVTIPAFIKSVSIKESESATVE

0023

本発明における抗体としては、例えば、ポリクローナル抗体モノクローナル抗体等の天然型抗体、遺伝子組換技術を用いて製造され得るキメラ抗体ヒト化抗体一本鎖抗体ヒト抗体産生トランスジェニック動物等を用いて製造され得るヒト抗体、ファージディスプレイによって作製された抗体およびこれらの結合性断片が含まれる。検出感度の観点からモノクローナル抗体であることが好ましい。

0024

本発明における抗体の作製方法について、以下例示的に説明をする。

0025

抗体産生動物種としては、例えばヒト、マウスラットウサギヤギウマ等を使用できる。免疫グロブリンとしては、IgGIgMIgAIgEIgDのいずれでもよい。

0026

本発明における抗体の作製方法の一実施態様において、免疫原としてのhMPVのマトリックスプロテインのペプチドは、既知の一般的な製造方法によって製造することができる。例えば、hMPVから抽出精製したマトリックスプロテインのペプチド、またはクローニングされたマトリックスプロテインの遺伝子を大腸菌などの宿主遺伝子工学的発現させて抽出精製したhMPVマトリックスプロテインのペプチド、さらにはhMPVマトリックスプロテインのペプチドの一部を構成するポリペプチドを免疫原として用いることができる。

0027

モノクローナル抗体は、常法に従って、上記免疫原で免疫したマウスの脾臓細胞骨髄腫細胞ハイブリッドさせ、目的とする抗体を産生するハイブリドーマを選択し、このハイブリドーマから産生されてくるモノクローナル抗体を収得する[例えば、ケーラーミルスタインの技法(Nature 256(1975)495−497)を参照]。ポリクローナル抗体は、常法により、上記免疫原を産生動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ウマ等)に免疫して得た抗血清中から目的とする抗体を分離することにより得られる。

0028

モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマクローンスクリーニングは、ハイブリドーマを、例えばマイクロタイタープレート中で培養し、増殖の見られたウェル培養上清の上記免疫原に対する反応性を、例えばELISA等の酵素免疫測定法によって測定することにより行うことができる。

0029

このハイブリドーマは、培地(例えば、10%牛胎児血清を含むDMEM)を用いて培養し、その培養液遠心上清モノクローナル抗体溶液とすることができる。また、本ハイブリドーマを由来する動物の腹腔注入することにより、腹水を生成させ、得られた腹水をモノクローナル抗体溶液とすることができる。モノクローナル抗体は、単離および/または精製されることが好ましい。

0030

そして、上記の各ハイブリドーマを、通常、細胞培養に用いられる培地において培養し、培養上清から回収することによって、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を作製することができる。また、ハイブリドーマが由来する動物の腹腔内に投与することによって、腹水を貯留させ、該腹水から回収することによっても調製できる。

0031

また、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体のうち、配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目(配列番号2)を認識する抗体は以下のように作製できる。すなわち、上記のとおりhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を作製した後、配列番号2のアミノ酸配列に相当するペプチド断片を用いたELISA法やウエスタンブロット法等を実施することによって、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を産生するハイブリドーマの中から、配列番号2で示されるアミノ酸配列に対して一定の反応性を示す抗体を産生するハイブリドーマを選択する。これにより、上記配列番号2を認識する抗体を入手し、使用できる。

0032

本発明の検出用試薬は、酵素免疫測定法(EIA法、ELISA法等)、凝集法、またはイムノクロマトグラフィー法等により生体試料中のhMPVを検出する場合に、好適に用いることができる。
例えば、ELISA法の場合では、以下のようにして検出を行うことができる。まず、マイクロプレートの各ウェルに本発明の試薬を添加して、ウェル底面にhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を感作させる。次に、当該マイクロプレートの各ウェルに検体試料を添加して、当該試料中に含まれるhMPVと上記抗体の複合体を形成させる。そして、各ウェルにhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を標識した標識抗体を添加することにより、上記の複合体に当該標識抗体を結合させる。これにより、上記標識抗体の標識に基づいて、hMPVの検出が可能となる。

0033

本発明の検出用試薬は、当該試薬の用途、すなわち、当該試薬を用いて実施する測定法に応じて、上記抗体以外の成分を含有することができる。
その他成分としては、例えば、緩衝液、界面活性剤、塩類、タンパク質、防腐剤等が挙げられる。ELISA法の場合では、他に発色基質等が挙げられる。凝集法では、他に増粘剤等が挙げられる。

0034

緩衝液としては、例えば、乳酸緩衝剤クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤炭酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、グッド緩衝剤等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤陰イオン性界面活性剤陽イオン性界面活性剤等が挙げられる。
塩類としては、例えば、塩化ナトリウム塩化カリウム等が挙げられる。
タンパク質としては、例えば、ウシ血清アルブミンBSA)、ウシ胎児血清(FBS)、カゼインブロクエース(大日本製薬社製)等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、アジ化ナトリウムイソチアゾリン抗生物質ストレプトマイシンペニシリンゲンタマイシン等)、バイオエース、プロクリン300、プロキセル(Proxel)GXL等が挙げられる。
発色基質としては、例えば、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(TMB)、o−フェニレンジアミン(OPD)、p−ニトロフェニルフォスフェート(pNPP)、o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ゼラチン寒天グリセロール澱粉アルギン酸塩類デキストリンカラギナンキトサン等が挙げられる。

0035

[免疫学的測定方法]
本発明の免疫学的測定方法は、検体中のhMPVを、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体により検出することを特徴としている。
本発明の方法においては、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体は、本発明の検出用試薬で用いる抗体を用いることができる。

0036

本発明の方法の具体的態様としては、例えば、酵素免疫測定法(EIA法、ELISA法)、凝集法、又はイムノクロマトグラフィー法が挙げられる。なかでも、簡易、迅速かつ高感度で検出可能であるという観点から、イムノクロマトグラフィー法が好ましい。

0037

本発明の免疫学的測定方法としてのイムノクロマトグラフィー法においては、少なくとも、(1)hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と、検体中のhMPVとを接触させることにより、当該標識抗体とhMPVとの複合体を形成させる工程、及び、(2)当該複合体中のhMPVを、hMPVのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程、を含むことが好ましい。
以下、本発明の免疫学的測定方法としてのイムノクロマトグラフィー法について、当該方法に用いる免疫クロマト分析装置に基づいて、具体的に説明する。

0038

本発明のイムノクロマトグラフィー法の一実施態様は、以下の工程(1)〜(4)を含み、免疫クロマト分析装置を用いて検体に含まれるhMPVを検出する。
なお、免疫クロマト分析装置の一実施形態についての詳細は後述するとおりであるが、図1に示すように、試料添加部1、標識物質保持部2、クロマトグラフ媒体部3、検出部4、吸収部5、バッキングシート6から構成される。当該装置において、「固定」とは、抗体が移動しないように膜等の担体に配置されていることを意味し、「保持」とは、膜等の担体の中または表面を移動可能に配置されることを意味する。

0039

工程(1):検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
工程(2):標識物質保持部に保持されている、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と、検体中のhMPVとを接触させることにより、当該標識抗体とhMPVとの複合体を形成させる工程
工程(3):上記複合体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
工程(4):展開された上記複合体中のhMPVを、検出部に固定されているhMPVのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程
以下各工程について説明する。

0040

工程(1):検体希釈液により検体を希釈した検体含有液を試料として、試料添加部に添加する工程
第1に、検体を、測定精度を低下させることなく、装置内の媒体中をスムーズに移動する程度の濃度に、検体希釈液で調整または希釈して検体含有液とするのが好ましい。検体希釈液は後述するものを使用できる。
第2に、検体含有液を試料として、試料添加部1上に、所定量(通常、0.1ml〜2ml)滴下する。試料が試料添加部1に滴下されると、該試料は試料添加部1中で移動を開始する。

0041

工程(2):標識物質保持部に保持されている、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と、検体中のhMPVとを接触させることにより、前記標識抗体と前記hMPVとの複合体を形成させる工程
工程(2)は、工程(1)において試料添加部に添加された試料を、標識物質保持部2へと移動させ、標識物質保持部2に保持されているhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体に標識物質が結合した標識抗体と、検体中の被検出物質であるhMPVとを接触させることによって、上記標識抗体がhMPVを認識し、両者が複合体を形成する工程である。標識物質は後述するものを使用できる。

0042

工程(3):上記複合体を移動相としてクロマトグラフ媒体部に展開させる工程
工程(3)は、工程(2)において被検出物質であるhMPVが標識物質保持部2において標識抗体に接触、認識されて形成される複合体を、クロマトグラフ媒体部3上を移動相として通過させる工程である。

0043

工程(4):展開された前記複合体中のhMPVを、検出部に固定されているhMPVのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体により検出する工程
工程(4)は、クロマトグラフ媒体部3上を移動相として通過した検体中のhMPVが、抗原・抗体の特異的結合反応により、検出部4に固定されているhMPVのマトリックスプロテインを認識する検出用抗体と、前記工程(2)において標識物質が結合した標識抗体とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に反応結合して、検出部4が着色する工程である。

0044

被検出物質であるhMPVが存在しない場合には、試料の水分に溶解した標識物質は、クロマトグラフ媒体部3上の検出部を通過しても特異的結合反応が起こらないので、検出部4が着色しない。

0045

最後に、検体含有液の水分は、吸収部5へと移動する。

0046

上記標識抗体は、配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識することが好ましい。当該抗体を用いることにより、検出感度をより向上させることができる。配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する抗体は、上述したものを使用できる。

0047

また、上記検出用抗体は、hMPVのマトリックスプロテインの立体構造を認識することが好ましい。当該抗体を用いることにより、検出感度をより向上させることができる。これは、先に上記標識抗体が、検出対象であるマトリックスプロテインの一次構造ペプチド配列)を認識して結合することで、マトリックスプロテインの立体構造が安定化され、検出部における立体構造を認識する抗体に補足されやすくなるためであると推測できる。また、検出用抗体が上記立体構造を認識する場合は、一次構造(ペプチド配列)を認識する場合と比べ、標識抗体が結合したマトリックスプロテインに対しても検出用抗体がアクセスしやすく、マトリックスプロテイン表面における検出用抗体が認識する部位が限定されないためであると推測できる。

0048

当該抗体が認識するhMPVのマトリックスプロテインは、天然に存在するhMPVのマトリックスプロテインの立体構造の少なくとも特定の抗体との抗原抗体反応を維持するのに十分な立体構造が残されているものであればよく、SDS−PAGEなどによって天然に存在するマトリックスプロテインの立体構造が破壊されて、当該抗体に対するマトリックスプロテインとの実質的な抗原抗体反応を維持することができなくなったものは除かれる。

0049

当該抗体としては、天然に存在するhMPVのマトリックスプロテインにおける抗原抗体反応を行う部位の立体構造が破壊された当該タンパク質とは実質的に抗原抗体反応しない抗体であればよい。このような抗体としては、例えば、SDS−PAGEによって分離された全長のhMPVのマトリックスプロテインとはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しない抗体が挙げられる。なお、ウエスタンブロット法で抗原抗体反応しないとは、標準的なウエスタンブロット法における抗体濃度抗原濃度基質濃度、又は反応時間などの条件下で、検出可能なレベルで抗原抗体反応をしないことをいう。

0050

「SDS−PAGE」とは、本発明が属する技術分野で慣用されているタンパク質の分離、分析法であり、代表的にはLaemmli,U.K.の方法(Nature,227:680−685(1970))に従って行うことができるが、この方法に限定されるものではない。

0051

具体的には、例えば、以下の手順により実施することができる。まず、ゲル板に10〜15%濃度のポリアクリルアミドからなる分離ゲル、その上に3〜5%ポリアクリルアミドからなる濃縮ゲル重層し、作製したゲルスラブ型電気泳動装置に取り付ける。hMPVのマトリックスプロテインを含有する溶液に等量の2倍濃縮サンプルバッファー(125mM Tris−HCl、20%グリセロール、2% SDS、2%2−メルカプトエタノール、0.001%ブロモフェノールブルー、pH6.8)を添加し、100℃で5〜10分間加熱処理し、泳動用試料とする。泳動用試料及び市販の分子量マーカーを濃縮ゲルに作製されたレーンにそれぞれ添加し、泳動用バッファー(192mMグリシン、0.1% SDS、24mM Tris、pH8.3)を用いて、20mAの定電流で30〜90分間泳動を行う。SDS−PAGEによって分離される全長のhMPVのマトリックスプロテインは、分離ゲル中の分子量約36kDaに相当するバンドとして得ることができる。

0052

SDS−PAGEに用いられるhMPVのマトリックスプロテインを含有する溶液は、最終的に行うウエスタンブロット法において、抗体と抗原抗体反応をするのに十分な量(例えば1〜2mg)のhMPVのマトリックスプロテインを含有していればいかなるものにも限定されず、マトリックスプロテインに関して精製されていても精製されていなくてもよい。hMPVのマトリックスプロテインを含有する溶液としては、例えば、hMPV懸濁液、市販のhMPVワクチン及び組換えhMPVマトリックスプロテイン溶液などが挙げられる。

0053

SDS−PAGEに用いられる2倍濃縮サンプルバッファー中のSDSは、SDSの結合量がタンパク質1に対して1.2〜1.5程度であることを考慮して、hMPVのマトリックスプロテインの量に応じて0.5〜5重量%の濃度範囲で適宜変更して用いることができる。また、2倍濃縮サンプルバッファー中の2−メルカプトエタノールは、hMPVのマトリックスプロテインに存在するジスルフィド結合を切断する還元剤として作用し、1〜10重量%の濃度範囲で適宜変更して用いてもよく、ジチオスライトール(DTT)、Tris(2−Carboxyethyl)Phosphine Hydrochroride(TCEP-HCl)などの他の物質からなる還元剤を用いることもできる。

0054

「ウエスタンブロット法」とは、上記SDS−PAGEによって分離された全長のhMPVのマトリックスプロテインを、例えばTowbin H.らの方法[Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,76:4350−4354(1979)]に従ってポリビニリデンジフオリド(PVDF)膜に転写することによって行うことができるが、この方法に限定されるものではない。

0055

具体的には、例えば、PVDF膜を100%メタノールに10秒間、さらに転写用電極バッファー(192mMグリシン、5% メタノール、25mM Tris−HCl、pH8.3)に30分間浸潤し、転写に用いる。転写装置の組み立ては、陽極電極板上に下から順にろ紙、PVDF膜、SDS−PAGEが終了したゲル、ろ紙を重層し、その上に陰極電極板を固定することにより行う。なお、ろ紙は予め転写用電極バッファーに2〜3分間浸しておく。

0056

転写は1.9mA/cm2の定電流で60〜90分間で行う。転写終了後のPVDF膜は、ブロッキング溶液(0.5%BSA、10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5)中、室温で60分間インキュベートし、ブロッキング操作を行う。ブロッキング終了後、洗浄バッファー(10mM Tris−HCl、140mM NaCl、0.01% Tween20、pH7.5)で5分間、2回インキュベートして洗浄し、一次抗体として上記の検出用抗体を用いて、室温で90分間インキュベートして反応させる。

0057

一次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄し、二次抗体として、例えば酵素蛍光物質又は放射性同位元素などの標識物質で標識された、一次抗体に特異的に反応する抗体を用いて、室温で60分間インキュベートして反応させる。二次抗体との反応終了後、洗浄バッファーで5分間、2回インキュベートして洗浄した後、標識物質の性質を利用してPVDF膜に転写されたhMPVのマトリックスプロテインに結合した一次抗体を可視化することにより、ウエスタンブロット法における検出を行う。

0058

検出用抗体が、SDS−PAGEによって分離された全長のhMPVのマトリックスプロテインとはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しないことの確認は、例えば、ウエスタンブロット法でhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応することが確認されている市販の抗体を陽性コントロールの抗体として用い、陽性コントロールの抗体がPVDF膜上のhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応し、マトリックスプロテインを検出できる条件下で、hMPVのマトリックスプロテインを検出できないことを1つの基準として行うことができる。

0059

検出用抗体として、ウエスタンブロット法において、陽性コントロールの抗体がhMPVのマトリックスプロテインを検出できる抗体濃度と同じ抗体濃度でhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応しない抗体であることが、検出感度向上の観点から好ましい。より好ましくは2倍の抗体濃度でhMPVのマトリックスプロテインと反応しない抗体、さらに好ましくは5倍又は10倍の抗体濃度でhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応しない抗体である。

0060

検出用抗体として、ウエスタンブロット法において、陽性コントロールの抗体が検出できるhMPVのマトリックスプロテインの抗原濃度と同じ濃度のhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応しない抗体が検出感度向上の観点から好ましい。より好ましくは2倍の抗原濃度で反応しない抗体、さらに好ましくは5倍又は10倍の濃度のhMPVのマトリックスプロテインと抗原抗体反応しない抗体である。

0061

上記hMPVのマトリックスプロテインの立体構造を認識する抗体の作製は、上述した抗体の作製方法を採用できるが、免疫原としては、還元剤を含むSDS−PAGE用のサンプルバッファーで処理されていないhMPVのマトリックスプロテインが好ましく、より好ましくは陰イオン性界面活性剤であるSDSで処理されていないhMPVのマトリックスプロテインである。上記免疫原として好ましいものとしては、例えば、陰イオン性界面活性剤を含まないバッファーにhMPVを懸濁したもの、又は全長のhMPVのマトリックスプロテインなどである。

0062

本発明の免疫学的測定方法としてのイムノクロマトグラフィー法においては、上記標識抗体として配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する抗体を使用するとともに、上記検出用抗体としてhMPVのマトリックスプロテインの立体構造を認識する抗体を使用することが、検出感度の向上という観点から好ましい。これは、標識抗体と検出用抗体の組み合わせを上記のようにすることにより、先に上記標識抗体が、検出対象であるマトリックスプロテインの一次構造(ペプチド配列)を認識して結合することで、マトリックスプロテインの立体構造が安定化され、検出部における立体構造を認識する抗体に補足されやすくなること、さらに検出用抗体が上記立体構造を認識することから、マトリックスプロテイン表面における検出用抗体が認識する部位が限定されないことで、検出用抗体がマトリックスプロテイン−標識抗体の複合体を捉えやすくなるためであると推測される。

0063

[免疫クロマト分析装置]
本発明の免疫クロマト分析装置は、図1に示すように、試料添加部1、標識物質保持部2、クロマトグラフ媒体部3、検出部4、吸収部5、バッキングシート6から構成されている。

0064

試料添加部1は、免疫クロマト分析装置において、検体を含有する試料を添加する部位である。試料添加部1では試料が迅速に吸収されるが、速やかに試料が移動していくような性質の多孔質シートで構成することができる。多孔質シートとしては、例えば、セルロース濾紙グラスファイバーポリウレタン、ポリアセテート酢酸セルロースナイロン綿布等が挙げられる。

0065

標識物質保持部2は、後述する標識物質が結合した標識抗体が保持されている部位である。標識物質保持部2内を試料が移動する際に当該標識抗体と検体中の被検出物質とが結合する。当該標識抗体はhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体である。当該標識抗体は、配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識することが、検出感度向上の観点から好ましい。

0066

標識物質保持部2には、グラスファイバー、セルロース等の膜が通常使用される。

0067

標識物質保持部2の標識抗体の含有量は、通常0.05μg/装置〜0.5μg/装置であり、好ましくは0.05μg/装置〜0.25μg/装置であり、より好ましくは0.07μg/装置〜0.1μg/装置である。また、標識物質保持部2の単位面積当たりの標識抗体の含有量は、通常0.15μg/cm2〜1.5μg/cm2であり、好ましくは0.15μg/cm2〜1.0μg/cm2であり、より好ましくは0.20μg/cm2〜0.25μg/cm2である。標識物質保持部2の標識抗体の含有量を上記範囲内とすることにより、優れた検出感度を達成できる。

0068

免疫クロマト分析において抗体を標識する標識物質としては、一般的に酵素等も使用されるが、被検出物質の存在を目視で判定するのに適していることから、標識物質としては、不溶性担体を用いることが好ましい。すなわち本発明において、標識物質保持部2が含有する抗体としては、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を不溶性担体に感作することにより標識化した標識抗体を使用することが好ましい。なお、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を不溶性担体に感作する手段は、公知の方法に従えばよい。

0069

標識物質としての不溶性担体には、金、銀もしくは白金等の金属粒子酸化鉄等の金属酸化物粒子硫黄等の非金属粒子及び合成高分子よりなるラテックス粒子、またはその他の不溶性担体を用いることができる。上述のように不溶性担体は、被検出物質の存在を視覚的に判定するのに適した標識物質であり、目視による判定を容易にするためには有色であることが好ましい。金属粒子及び金属酸化物粒子は、それ自体が粒径に応じた特定の自然色を呈するものであり、その色彩を標識として利用することができる。

0070

標識物質としての不溶性担体は、特に金粒子が、検出が簡便であり、かつ凝集しづらく非特異的な発色が起こりにくい点で好ましい。金粒子の平均粒径は、例えば10nm〜250nm、好ましくは35nm〜120nmである。平均粒径は、透過型電子顕微鏡TEM日本電子(株)製、JEM−2010)により、撮影した投影写真を用いて無作為に100個の粒子投影面積円相当径計測し、その平均値から算出することができる。標識物質保持部における金粒子の含有量は、標識物質保持部の単位面積あたり、通常0.006μg/cm2〜0.42μg/cm2であり、好ましくは0.01μg/cm2〜0.3μg/cm2であり、より好ましくは0.01μg/cm2〜0.2μg/cm2である。上記範囲に設定することによって、標識された粒子が分散したまま展開し、抗体の認識部位阻害されず高感度化できるからである。

0071

クロマトグラフ媒体部3は、クロマトグラフ展開部位である。クロマトグラフ媒体部3は、毛管現象を示す微細多孔性物質からなる不活性の膜である。クロマトグラフで使用される検出試薬固定化試薬または被検出物質などと反応性を有しないという観点から、また、検出感度向上の観点から、例えば、ニトロセルロースメンブレンや、酢酸セルロースメンブレンが好ましく、ニトロセルロースメンブレンがさらに好ましい。なお、セルロース類メンブレン、ナイロンメンブレン及び多孔質プラスチック布類(例えばポリエチレンポリプロピレン等)も使用可能である。

0072

ニトロセルロースメンブレンとしては、ニトロセルロース主体で含まれていればよく、純品またはニトロセルロース混合品などニトロセルロースを主材とするメンブレンを使用することができる。

0073

ニトロセルロースメンブレンは、さらに、毛細管現象を促進させる物質を含有させることもできる。当該物質としては、膜面の表面張力を低下させ、親水性をもたらす物質が、迅速かつ正確な測定を可能にするという観点から好ましい。例えば、糖類、アミノ酸の誘導体脂肪酸エステル、各種合成界面活性剤またはアルコール等の両親媒性の作用を有する物質であって、被検出物質の移動に影響がなく、標識物質の発色に影響を及ぼさない物質が好ましい。

0074

ニトロセルロースメンブレンは、多孔性であって、毛細管現象を示す。この毛細管現象の指標は、吸水速度(吸水時間:capillary flow time)を測ることで確認できる。吸水速度は、検出感度と検査時間に影響する。

0075

上記のようなニトロセルロースメンブレンや酢酸セルロースメンブレンに代表されるクロマトグラフ媒体部3の形態及び大きさは特に制限されるものではなく、実際の操作の点及び反応結果の観察の点において適切であればよい。

0076

さらに操作をより簡便にするためには、クロマトグラフ媒体部3の裏面に、プラスチックなどよりなる支持体を設けることが好ましい。この支持体の性状は特に制限されるものではないが、目視判定によって測定結果の観察を行う場合には、支持体は、標識物質によりもたらされる色彩と類似しない色彩を有するものであることが好ましく、通常、無色又は白色であることが好ましい。

0077

また、クロマトグラフ媒体部3上には、非特異的な吸着により分析の精度が低下することを防止するため、必要に応じて、クロマトグラフ媒体部3に、公知の方法でブロッキング処理を行うことができる。一般にブロッキング処理は、ウシ血清アルブミン、スキムミルク、カゼインまたはゼラチン等のタンパク質が好適に用いられる。かかるブロッキング処理後に、必要に応じて、例えば、Tween20、TritonX−100またはSDS等の界面活性剤を1つ又は2つ以上組み合わせて洗浄してもよい。

0078

検出部4は、上記クロマトグラフ媒体部3上の任意の位置に形成されており、検出用抗体として、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体を含有する。検出感度向上の観点から、好ましくは、上述したhMPVのマトリックスプロテインの立体構造を認識する抗体を含有する。
検出部4へのhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体の固定化は、常法に従って行うことができる。

0079

検出部4では、クロマトグラフ媒体部上を移動相として通過した検体中のhMPVが、検出部4に固定されている検出用抗体と、標識物質が結合した標識抗体とによってサンドイッチ状に挟まれるように特異的に結合する。

0080

検出部4に含有される、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体の含有量は、通常0.05μg/装置〜5.0μg/装置であり、好ましくは0.08μg/装置〜3.0μg/装置であり、より好ましくは0.1μg/装置〜1.0μg/装置である。また、検出部4の単位面積当たりの、hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体の含有量は、通常0.1μg/cm2〜50μg/cm2であり、好ましくは0.8μg/cm2〜30μg/cm2であり、より好ましくは1μg/cm2〜10μg/cm2である。検出部4の検出用抗体の含有量を上記範囲内とすることにより、優れた検出感度を達成できる。

0081

吸収部5は、クロマトグラフ媒体部3の末端に、検出部4を通過した検体や展開液等の液体を吸収させるために設置される。本発明において、吸収部5は、例えばグラスファイバー、パルプセルロースファイバー等、またはそれら不織布にアクリル酸重合体等の高分子エチレンオキサイド基等を持つ親水性薬剤を含有させたものが用いられる。液体を良好に吸収できるという観点から、グラスファイバーが好ましい。

0082

バッキングシート6は、基材である。片面に粘着剤を塗布したり、粘着テープを貼り付けたりすることにより、片面が粘着性を有し、該粘着面上に試料添加部1、標識物質保持部2、クロマトグラフ媒体部3、検出部4、および吸収部5の一部または全部が密着して設けられている。バッキングシート6は、粘着剤によって試料液に対して不透過性非透湿性となるようなものであれば、基材としては、特に限定されない。

0083

本発明の免疫クロマト分析装置は、製品化する前に、通常乾燥処理に施される。乾燥温度は例えば20℃〜50℃、乾燥時間は0.5時間〜1時間である。

0084

[免疫クロマト分析キット]
本発明の免疫クロマト分析キットは、上記の免疫クロマト分析装置と、検体を希釈して展開するための検体希釈液とを含む。

0085

本発明の免疫クロマト分析キットにおいて、検体希釈液は、展開液としても使用することができるものである。検体希釈液は通常溶媒として水を用い、これに緩衝液、塩類、および非イオン性界面活性剤を含有する。さらに、例えば抗原抗体反応の促進または非特異的反応を抑制するためのタンパク質、高分子化合物(PVP等)、イオン性界面活性剤もしくはポリアニオン、または、抗菌剤キレート剤等の1種もしくは2種以上を加えてもよい。

0086

検体希釈液を展開液として用いる場合には、検体と展開液を予め混合したものを試料として、試料添加部に供給・滴下して展開させることもできるし、先に検体を含有する試料を試料添加部に供給・滴下した後、展開液を試料添加部に供給・滴下して展開させてもよい。

0087

以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。

0088

本発明におけるhMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体は、後述する方法で作製したNo.1〜No.8抗体を用いた。また比較例として、以下のhMPVのN蛋白を認識する市販の抗体を用いた。

0089

(hMPVのN蛋白を認識する抗体)
HMPV57(BIORAD社製):No.9と称する
・HMPV33(BIORAD社製):No.10と称する
・C01851M(Meridian社製):No.11と称する

0090

(本発明における抗体の作製)
製造例1
hMPVのマトリックスプロテインを認識する抗体は以下のように作製した。まず、配列番号1で示されるhMPVのマトリックスプロテインのアミノ酸配列からなるペプチドを合成した。His−tag発現用ベクターであるpET302/NT−Hisを制限酵素EcoRIで切断した後、脱リン酸化処理としてアルカリフォスファターゼにより処理し、当該ペプチドと混合し、DNA Ligation Kit Ver.2(タカラバイオ)を用いてライゲーション反応をおこなった。

0091

目的遺伝子を組み込んだ組換えマトリックスプロテインプラスミド組換え蛋白発現用宿主E.coliBL(DE3)pLysS(Novagen)に導入した。導入菌をLB寒天平板培地で培養し、得られたコロニーをLB液体培地で培養した。さらに1mMIPTG(タカラバイオ)を添加して組換えマトリックスプロテインの発現を誘導した後、E.coliを回収した。回収した菌を可溶化バッファー[0.5%Triron X−100(sigma)、10mM Imidazole、20mM Phosphateおよび0.5M NaCl(pH7.4)(Amersham)]に再浮遊し、超音波処理により可溶化した後、組換えhMPVマトリックスプロテインをHis trap Kit(Amersham)を用いて精製した。この精製タンパク質リン酸緩衝生理食塩水(以下、PBSと称する)に対して透析し、目的の組換えhMPVマトリックスプロテインとした。

0092

得られた組換えhMPVマトリックスプロテインを免疫用抗原として、組換えhMPVマトリックスプロテインに対するモノクローナル抗体を作製した。モノクローナル抗体の作製は次のように、常法に従っておこなった。100μgの組換えhMPVマトリックスプロテインと等量のAduvant Complete Freund(Difco)を混合して、マウス(BALB/c、5週齢、日本SLC)に3回免疫し、その脾臓細胞を細胞融合に用いた。細胞融合には、マウスの骨髄腫細胞であるSp2/0−Ag14細胞(Shulmanら、1978)を用いた。細胞の培養には、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(Gibco)にL−グルタミン0.3mg/ml、ペニシリンGカリウム100単位/ml、硫酸ストレプトマイシン100μg/ml、Gentacin 40μg/mlを添加し(DMEM)、これに牛胎児血清(JRH)を10%となるように加えた培養液を用いた。細胞融合は、免疫マウスの脾臓細胞とSp2/0−Ag14細胞を混合し、そこにPolyethylene glycol solution(Sigma)を添加することにより行った。融合細胞HAT−DMEM[0.1mM Sodium Hypoxantine、0.4μM Aminopterinおよび0.016mM Thymidine(Gibco)を含む血清加DMEM]で培養し、酵素結合抗体法(ELISA)により培養上清中の抗体産生を確認した。抗体産生陽性の細胞をHT−DMEM[0.1mM Sodium Hypoxantineおよび0.16mM Thymidineを含む血清加DMEM]で培養し、さらに血清加DMEMで培養を続けた。

0093

クローニングした細胞は、2,6,10,14−Tetramethylpentadecane(Sigma)を接種しておいたマウス(BALB/c、リタイア、日本SLC)に腹腔内接種し、腹水を採取した。この腹水をプロテインGカラムに供し、モノクローナル抗体を精製した。

0094

このようにして得られたモノクローナル抗体に対して、組換えhMPVマトリックスプロテインを96穴プレートに固定化した直接ELISA法にて抗体をスクリーニングした。その結果、hMPVマトリックスプロテインを認識する8種類の抗体が得られた。以下この8種類の抗体を、No.1〜No.8の抗体として説明する。

0095

参考例1(ELISA試験)
次に、上記作製した抗体が認識するアミノ酸配列をELISA試験により調べた。
配列番号1で示されるhMPVマトリックスプロテインのアミノ酸配列を、下記6つのアミノ酸配列に分け、それぞれのアミノ酸配列からなるペプチドを、ペプチドの化学合成法の常法であるペプチド固相合成法により作製した。なお、ペプチド1は、配列番号1で示されるhMPVマトリックスプロテインのアミノ酸配列の6−30番目(配列番号3)、ペプチド2は40−70番目(配列番号4)、ペプチド3は75−109番目(配列番号5)、ペプチド4は123−141番目(配列番号6)、ペプチド5は149−178番目(配列番号2)、ペプチド6は184−219番目(配列番号7)にそれぞれ対応する。
ペプチド1:VDTYQGIPYTAAVQVDLVEKDLLPA(配列番号3)
ペプチド2:QANTPPAVLLDQLKTLTITTLYAASQNGPIL(配列番号4)
ペプチド3:SAQGAAMSVLPKKFEVNATVALDEYSKLDFDKLTV(配列番号5)
ペプチド4:YGMVSKFVSSAKSVGKKTH(配列番号6)
ペプチド5:FMDLEKNIPVTIPAFIKSVSIKESESATVE(配列番号2)
ペプチド6:EADQALTQAKIAPYAGLIMIMTMNNPKGIFKKLGAG(配列番号7)

0096

まず、Nunc Immuno modules(Thermo Fisher Scientific社製、コード469949)ELISA用96ウェルプレートに、抗原として上記各ペプチド(ペプチド1〜6)0.5μg/well、コントロールとしてRecombinant Matrix Protein0.1μg/wellとなるよう添加し、4℃で一晩保持した。また、抗原を添加しないブランクウェルも用意した。その後、ウェルを300μLPBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュし、ウェルに残った液は、ペーパータオルに叩き付けて取り除いた。ブロッキング液として、カゼインNa(和光純薬社製)溶液を300μL加え、37℃で1時間インキュベートした。その後カゼインNa溶液を取り除き、ウェルを300μL PBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュし、ウェルに残った液は、ペーパータオルに叩き付けて取り除いた。これにより、各ペプチドをウェルに固定化した。

0097

一次抗体としてNo.1〜No.8の各抗体を1μg/mL in 1%BSA−PBSブロッキング溶液(一抗体溶液)100μLをウェルに加え37℃で1時間インキュベートした後、一次抗体溶液を取り除き、ウェルを300μL PBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュした。
二次抗体として、Anti MouseIgG(H+L),Rabbit,IgG Whole,Peroxidase Cojugated(和光純薬社製、コード014−17611)10μg/mLを100μL、ウェルに加え、37℃1.5時間インキュベートした。その後BSA溶液を取り除き、ウェルを300μL PBST(0.05% Tween20 in PBS)にて3回ウォッシュし、ウェルに残った液は、ペーパータオルに叩き付けて取り除いた。
ウェルに発色基質としてSure Blue Reserve TMB Microwell Peroxidase Substrate(1−Component)(KPL社製、コード53−00−01)を100μL加え、15分反応させ、2N硫酸を100μL加えて反応を停止させた後、マイクロプレートリーダー(BIORAD社製)で450nmの吸光度を測定した。
各ウェルの吸光度(実測値)からブランクの吸光度(ブランク値)を減じた値(測定値)を表1及び図2に示す。また、各ウェルの吸光度(実測値)からブランクの吸光度(ブランク値)を除した値(S/N比)を表2及び図3に示す。

0098

0099

0100

表1及び図2に示すとおり、No.2、No.6、No.8は、ペプチド5と反応させた場合に吸光度0.1Abs以上となった。また、同抗体は、表2及び図3に示すとおり、ペプチド5と反応させた場合に、S/N比が1.5以上となった。すなわち、No.2、No.6、No.8はペプチド5に対して実質的に抗原抗体反応を示した。
以上の結果から、No.2、No.6、No.8の抗体は配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する抗体であることが確認できた。

0101

参考例2(SDS−PAGE、ウエスタンブロット法)
次に、上記作製したNo.1〜No.8の抗体が、hMPVマトリックスプロテインの立体構造を認識しているのか、SDS−PAGEおよびウエスタンブロット法により調べた。
0.01mg/mlのRecombinant hMPV Matrix Protein溶液を、2倍濃縮サンプルバッファー(125mM Tris−HCl、10%グリセロール、4%SDS、3%TCEP、0.001%ブロモフェノールブルー、pH6.8)と等量で混合し、SDS−PAGEに供した。SDS−PAGEは、XV PANTERA Gel 5−20% 18well(DRC社製)を用いて、公知の標準的な方法に従った。泳動後のゲルからタンパク質をSequi−Blot PVDFMembrane(BIO−RAD社製)にブロッテイング装置(BIO−RAD社製)により転写した。転写後のPVDF膜を1%BSA−PBSで室温にて10分ブロッキングした。ブロッキング液を除き、PVDF膜を0.05%のTween20(商品名)を含むPBS(以下、T−PBSという。)で10分間3回洗浄後、上記No.1〜No.8の抗体とともに室温で1時間インキュベートした。PVDF膜をT−PBSで10分間3回洗浄後、T−PBSで5000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗マウスIgG(SIGMA社製)とともに室温で30分間インキュベートした。T−PBSで10分間3回洗浄後、発色基質である1−StepTM NBT/BCIP(PIERCE社製)とともにPVDF膜をインキュベートして、PVDF膜に結合した抗体を可視化した。結果を図4に示す。
図4に示すように、No.2、No.3、No.4、No.6、No.8の抗体において全長のhMPVマトリックスプロテインに相当する約36kDaのバンドが検出されたが、No.1、No.5、No.7の抗体において同バンドは検出されなかった。
すなわち、No.1、No.5、No.7の抗体は、SDS−PAGEによって分離された全長のhMPVのマトリックスプロテインとはウエスタンブロット法で抗原抗体反応しないことから、hMPVマトリックスプロテインの立体構造を認識していることが確認された。

0102

〈実施例1〉
検体希釈液、及び、試料添加部1と、標識物質保持部2と、検出部4を有するクロマトグラフ媒体3と、吸収部5とを含む免疫クロマト分析装置からなる免疫クロマト分析キットを作製した。
なお、標識物質保持部が含有する標識抗体、及び、検出部が含有する検出用抗体としては、上記作製したNo.1〜No.3の抗体を用い、その組み合わせは、下記表3に示すとおりである。以下詳細に説明する。

0103

(1)試料添加部の作製
試料添加部としてグラスファイバーからなる不織布(ミリポア社製:300mm×30mm)を用いた。

0104

(2)標識物質保持部の作製
金コロイド懸濁液(田中貴金属工業社製:LC40nm)0.5mlに、リン酸緩衝液(pH7.4)で0.05mg/mlの濃度になるように希釈した表3に示す抗体(標識抗体)を0.1ml加え、室温で10分間静置した。

0105

次いで、1質量%の牛血清アルブミン(BSA)を含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加え、更に室温で10分間静置した。その後、十分撹拌した後、8000×gで15分間遠心分離を行い、上清を除去した後、1質量%のBSAを含むリン酸緩衝液(pH7.4)を0.1ml加えた。以上の手順で標識物質溶液を作製した。

0106

上記作製した標識物質溶液300μLに、300μLの10質量%トレハロース水溶液と1.8mLの蒸留水を加えたものを12mm×300mmのグラスファイバーパッド(ミリポア社製)に均一になるように添加した後、真空乾燥機にて乾燥させ、標識物質保持部を作製した。標識物質保持部が含有する標識抗体は、0.07μg/装置(0.2μg/cm2)とした。

0107

(3)クロマトグラフ媒体部および検出部の作製
メンブレンとしてニトロセルロースからなるシート(ミリポア社製、商品名:HF120、300mm×25mm)を用いた。次に、5質量%のイソプロピルアルコールを含むリン酸緩衝液(pH7.4)で1.0mg/mlの濃度になるように、表3に示す抗体(検出用抗体)を希釈した溶液150μLを、乾燥されたメンブレン上の検出部に1mmの幅でイムノクロマトディスペンサー「XYZ3050」(BIODOT社製)を用いて1μL/mmの量(1シートあたり25μL)でライン状に塗布した。

0108

また、金ナノ粒子標識物質の展開の有無や展開速度を確認するために検出部位の下流に、金ナノ粒子標識物質と広く親和性を有するヤギ由来抗血清をリン酸緩衝液(pH7.4)で希釈した液をコントロール部位コントロールライン)に塗布した。その後、50℃にて30分間乾燥させ、室温にて一晩乾燥させ、クロマトグラフ媒体部および検出部を作製した。検出部が含有する検出用抗体は、0.15μg/装置(1.5μg/cm2)とした。

0109

(4)免疫クロマト分析装置の作製
次に、バッキングシートからなる基材に、試料添加部、標識物質保持部、検出部を有するクロマトグラフ媒体部、展開した試料や標識物質を吸収するための吸収部としてグラスファイバー製の不織布を順次貼り合わせた。そして、裁断機で幅が5mmとなるように裁断し、免疫クロマト分析装置とした。なお、標識物質保持部の試料展開方向の長さを12mmとした。

0110

(5)検体希釈液の調製
1質量%の非イオン性界面活性剤(ナカライテスク社製ノニデットP−40と日油社製ノニオンMN−811の1:1混合物)を含む50mMのHEPES緩衝液(pH7.5)を調製し、検体を希釈処理するための検体希釈液とした。

0111

〈実施例2〉
実施例1において、標識物質保持部が含有する標識抗体、及び、検出部が含有する検出用抗体として、上記作製したNo.5〜No.8の抗体を用い、その組み合わせを表4に示すとおりとした点を除いては、実施例1と同様にして、実施例2の免疫クロマト分析キットを作製した。

0112

〈比較例1〉
実施例1において、標識物質保持部が含有する標識抗体、及び、検出部が含有する検出用抗体として、hMPVのN蛋白を認識する抗体であるNo.9〜No.11の抗体を用い、その組み合わせを表5に示すとおりとした点を除いては、実施例1と同様にして、比較例1の免疫クロマト分析キットを作製した。

0113

試験例1(検出感度評価)
hMPVを含有する検体試料を使用して、上記作製した実施例1、2、及び比較例1の免疫クロマト分析装置を用いた場合の、検出部における発色強度を、以下のとおり測定した。
hMPV感染者の鼻腔吸引液を検体希釈液で5000倍希釈し、検体含有液を調製した。調製した検体含有液120μLを免疫クロマト分析装置の試料添加部上に載せて展開させた。展開開始から5分後に検出部の着色の度合い(発色強度)をデンシトメーターにより測定した。
実施例1の結果を表3及び図5、実施例2の結果を表4及び図6、比較例1の結果を表5に示す。

0114

0115

0116

0117

以上の結果から分かるように、hMPVのマトッリクスプロテインを認識する抗体を用いた実施例1、2では、hMPVのN蛋白を認識する抗体を用いた場合と比較して、hMPVの実検体でhMPVを高感度に検出できた。
特に、イムノクロマトグラフィー法において、標識抗体に配列番号1のアミノ酸配列からなるhMPVマトリックスプロテインのアミノ酸配列149−178番目を認識する抗体を用い、検出用抗体にhMPVマトリックスプロテインの立体構造を認識する抗体を用いることで、特に感度良くhMPVの検出できた。
一方、hMPVのN蛋白を認識する抗体(No.9〜No.11)を用いた比較例1では、hMPVの実検体を検出することができなかった。

0118

試験例2(交叉反応性評価)
本試験では、上記作製した実施例1の免疫クロマト分析キットを用い、RSV(製品名Respiratory Syncytial Virus、Microbix Biosystem社製型番EL−07−02)を検体として測定を行った。RSVの濃度が35μg/mLとなるように上記検体希釈液で希釈し、検体含有液を調製した検体含有液を試料として、試験例1と同様に測定を行った。また陽性コントロールとして、RSV検出キット(製品名:アルソニックRSV Lot.EN13、アルフレッサファーマ社製)を用いて、同様の試験を行った。結果を表6及び図7に示す。

0119

実施例

0120

表6及び図7に示すように、本発明の免疫クロマト分析キットは、hMPVと相同性の高いRSVに対して交叉反応を起こさず、hMPVを特異的に検出できることが分かった。

0121

1試料添加部
2標識物質保持部
3クロマトグラフ媒体部
4 検出部
5 吸収部
6 バッキングシート

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